(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1または複数のプロセッサを用いて、前記生物に放射性標識アルブミンを注入した後の前記第1の時間より遅い第2の時間における、前記生物の前記血管外システムのアルブミン量に対する前記生物の前記血管内システムのアルブミン量の観測比率を算出するステップと、
1または複数のプロセッサを用いて、前記算出された血管内アルブミン量と、前記第2の時間における前記生物の前記血管外システムのアルブミン量に対する前記生物の前記血管内システムのアルブミン量の前記算出された観測比率と、前記第2の時間における前記生物の前記血管外システムのアルブミン量に対する前記生物の前記血管内システムのアルブミン量の予測比率の基準とに基づいて前記生物の前記体内総アルブミン量を算出するステップと、
1または複数のプロセッサを用いて、前記第1および第2の時間に算出された前記体内総アルブミン量の平均値を算出するステップと、
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【発明の概要】
【0002】
本発明の例示的な実施形態による、生物の体内総アルブミン量を自動的に求めるためにコンピュータを使用する方法は、
生物の血管外システムにおけるアルブミン量に対する、生物の血管内システムにおけるアルブミン量の予測比率の基準を求めるステップと、
生物のアルブミン濃度を求めるステップと、
1または複数のプロセッサを用いて、生物に注入された放射性標識アルブミンの検出数に基づいて生物の血漿量を算出するステップと、
1または複数のプロセッサを用いて、算出された血漿量および求められたアルブミン濃度に基づいて生物内の血管内アルブミン量を算出するステップと、
1または複数のプロセッサを用いて、放射性標識アルブミンを生物に注入した後の第1の時間における生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の観測比率を算出するステップと、
1または複数のプロセッサを用いて、算出された血管内アルブミン量と、第1の時間における生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の算出された観測比率と、第1の時間における生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の予測比率の基準とに基づいて、生物の体内総アルブミン量を算出するステップと
を備える。
【0003】
少なくとも一実施形態では、本方法はさらに、
1または複数のプロセッサを用いて、生物に放射性標識アルブミンを注入した後の第1の時間より遅い第2の時間における、生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の観測比率を算出するステップと、
1または複数のプロセッサを用いて、求められた血管内アルブミン量と、第2の時間における生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の観測比率と、第2の時間における生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の予測比率の基準とに基づいて、生物の体内総アルブミン量を算出するステップと、
1または複数のプロセッサを用いて、第1および第2の時間に算出された体内総アルブミン量の平均値を算出するステップと
を備える。
【0004】
少なくとも一実施形態では、第2の時間は第1の時間のおよそ24時間後である。
【0005】
少なくとも一実施形態では、
生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の予測比率の基準を求めるステップは、
放射性標識アルブミンを複数の生物に注入した後の一定の時間にわたって、放射性標識アルブミンの数値に関連するデータを収集するステップと、
データの局所重み付き散布図平滑分析(locally weighted scatterplot smoothing analysis)に基づく基準曲線を生成するステップと
を備える。
【0006】
少なくとも一実施形態では、生物の血漿量を算出するステップは、自動血液量分析器を用いて実施される。
【0007】
本発明の例示的な実施形態による自動体内総アルブミン量分析器は、
生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の予測比率の基準に関連する第1のデータの入力を受信する手段と、
生物のアルブミン濃度に関連する第2のデータの入力を受信するための手段と、
生物に注入された放射性標識アルブミンの検出数に基づいて生物の血漿量を算出するための手段と、
算出された血漿量および生物のアルブミン濃度に基づいて生物内の血管内アルブミン量を算出するための手段と、
放射性標識アルブミンを生物に注入した後の少なくとも1つの時間における、生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の観測比率を算出するための手段と、
算出された血管内アルブミン量と、少なくとも1つの時間における生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の算出された観測比率と、少なくとも1つの時間における生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の予測比率の基準とに基づいて、生物の体内総アルブミン量を算出するための手段と
を備える。
【0008】
少なくとも一実施形態では、
少なくとも1つの時間は、複数の時間を備え、
自動体内総アルブミン量分析器は、複数の時間に算出された体内総アルブミン量の平均値を算出するための手段をさらに備える。
【0009】
少なくとも一実施形態では、基準は、放射性標識アルブミンを複数の生物に注入した後の一定の時間にわたる放射性標識アルブミンの数値に関するデータの局所重み付き散布図平滑分析に基づく基準曲線である。
【0010】
少なくとも一実施形態では、血漿量を算出するための手段は自動血液量分析器である。
【0011】
本発明の例示的な実施形態による生物の体内総アルブミン量を自動的に求めるシステムは、
1または複数のデータ処理機器と、
1または複数のデータ処理機器と接続されるコンピュータ可読媒体であって、1または複数のデータ処理機器によって実行されるときに、1または複数のデータ処理機器に方法を実施させる命令を有するコンピュータ可読媒体と
を備え、
方法は、
生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の求められた予測比率の基準に関連する第1のデータを受信することと、
生物のアルブミン濃度に関連する第2のデータを受信することと、
生物に注入された放射性標識アルブミンの数を検出することによって生物の血漿量を算出することと、
求められた血漿量および求められたアルブミン濃度に基づいて生物内の血管内アルブミン量を算出することと、
放射性標識アルブミンを生物に注入した後の第1の時間における生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の観測比率を算出することと、
算出された血管内アルブミンと、第1の時間における生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の算出された観測比率と、第1の時間における生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の予測比率の基準とに基づいて、生物の体内総アルブミン量を算出することと
を備える。
【0012】
本発明の例示的な実施形態による生物の血液を分析する自動血液分析器は、
生物に放射性標識アルブミンを注入した後の1または複数の時点における生物の血液量を表す一組のデータ点を、1または複数の時点における放射性標識アルブミンの検出数に基づいて算出するための手段と、
1または複数のデータ点のすべてを用いて一組のデータ点について第1の回帰分析を実施するとともに、一組のデータ点について1または複数の第2の回帰分析を実施する手段であって、各第2の回帰分析は異なるデータ点を除去して算出され、第1および第2の回帰分析のそれぞれは決定係数(r-squared)、残差標準誤差(residual standard error)および傾斜値(slope values)の計算を備える、手段と、
第1および第2の回帰分析の算出された決定係数、残差標準誤差および傾斜値に基づいて、生物の血液のさらなる分析に第1および第2の回帰分析のどちらを用いるかを選択するための手段と
を備える。
【0013】
少なくとも一実施形態では、選択するための手段は、最高決定係数値、最低残差標準誤差値、許容可能な傾斜値範囲内の傾斜値および許容可能な残差標準誤差範囲内の残差標準誤差値の組み合わせを第1および第2の回帰分析のどちらが有するかを判断することによって、第1および第2の回帰分析のどちらをさらなる分析に用いるかを判断する。
【0014】
少なくとも一実施形態では、許容可能な傾斜値範囲は0%から0.06%である。
【0015】
少なくとも一実施形態では、許容可能な残差標準誤差範囲は2.5%未満である。
【0016】
少なくとも一実施形態では、
さらなる分析は、ゼロ時間の生物の血液量を求めることを備え、
自動血液分析器は、第1および第2の回帰分析のうち選択した1つに基づいてゼロ時間の血液量値を算出するための手段をさらに備える。
【0017】
少なくとも一実施形態では、
さらなる分析は、生物の体内総アルブミン量を求めることを備え、
自動血液分析器は、
生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の予測比率の基準に関連する第1のデータの入力を受信するための手段と、
生物のアルブミン濃度に関連する第2のデータの入力を受信するための手段と、
生物に注入された放射性標識アルブミンの検出数に基づいて生物の血漿量を算出するための手段と、
算出された血漿量および生物のアルブミン濃度に基づいて生物内の血管内アルブミン量を算出するための手段と、
放射性標識アルブミンを生物に注入した後の少なくとも1つの時間における、生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の観測比率を算出するための手段と、
算出された血管内アルブミン量と、少なくとも1つの時間における生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の算出された観測比率と、少なくとも1つの時間における生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の予測比率の基準とに基づいて、生物の体内総アルブミン量を算出するための手段と
を備える。
【0018】
本発明の例示的な実施形態による生物の血液を自動的に分析するためのコンピュータを使用する方法は、
1または複数のプロセッサを用いて、生物に放射性標識アルブミンを注入した後の1または複数の時点における生物の血液量を表す一組のデータ点を、1または複数の時点における放射性標識アルブミンの検出数に基づいて算出するステップと、
1または複数のプロセッサを用いて、1または複数のデータ点のすべてを用いて一組のデータ点について第1の回帰分析を実施するとともに、一組のデータ点について1または複数の第2の回帰分析を実施するステップであって、各第2の回帰分析は異なるデータ点を除去して算出され、第1および第2の回帰分析のそれぞれは、決定係数、残差標準誤差および傾斜値の計算を備える、ステップと、
1または複数のプロセッサを用いて、第1および第2の回帰分析の算出された決定係数、残差標準誤差および傾斜値に基づいて、生物の血液のさらなる分析に第1および第2の回帰分析のどちらを用いるかを選択するステップと
を備える。
【0019】
少なくとも一実施形態では、選択するステップは、最高決定係数値、最低残差標準誤差値、許容可能な傾斜値範囲内の傾斜値および許容可能な残差標準誤差範囲内の残差標準誤差値の組み合わせを第1および第2の回帰分析のどちらが有するかを判断することを含む。
【0020】
少なくとも一実施形態では、許容可能な傾斜値範囲は0%から0.06%である。
【0021】
少なくとも一実施形態では、許容可能な残差標準誤差範囲は2.5%未満である。
【0022】
少なくとも一実施形態では、
さらなる分析は、ゼロ時間の生物の血液量を求めることを備え、
方法は、第1および第2の回帰分析のうち選択した1つに基づいてゼロ時間の血液量値を算出することをさらに備える。
【0023】
少なくとも一実施形態では、
さらなる分析は、生物の体内総アルブミン量を求めることを備え、
方法は、
生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システム内のアルブミン量の予測比率の基準を求めることと、
生物のアルブミン濃度を求めることと、
1または複数のプロセッサを用いて、生物に注入された放射性標識アルブミンの検出数に基づいて生物の血漿量を算出することと、
1または複数のプロセッサを用いて、算出された血漿量および求められたアルブミン濃度に基づいて生物内の血管内アルブミン量を算出することと、
1または複数のプロセッサを用いて、放射性標識アルブミンを生物に注入した後の第1の時間における、生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の観測比率を算出することと、
1または複数のプロセッサを用いて、算出された血管内アルブミン量と、第1の時間における生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の算出された観測比率と、第1の時間における生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の予測比率の基準とに基づいて生物の体内総アルブミン量を算出することと
をさらに備える。
【0024】
本発明の例示的な実施形態による生物の体内総アルブミン量を自動的に判断するシステムは、
1または複数のデータ処理機器と、
1または複数のデータ処理機器と接続するコンピュータ可読媒体であって、1または複数のデータ処理機器によって実行されるときに、1または複数のデータ処理機器に方法を実施させる命令を有するコンピュータ可読媒体とを備え、
方法は、
生物に放射性標識アルブミンを注入した後の1または複数の時点における生物の血液量を表す一組のデータ点を、1または複数の時点における放射性標識アルブミンの検出数に基づいて算出することと、
1または複数のデータ点のすべてを用いて一組のデータ点について第1の回帰分析を実施するとともに、一組のデータ点について1または複数の第2の回帰分析を実施することであって、各第2の回帰分析は異なるデータ点を除去して算出され、第1および第2の回帰分析のそれぞれは、決定係数、残差標準誤差および傾斜値の計算を備えることと、
第1および第2の回帰分析の算出された決定係数、残差標準誤差および傾斜値に基づいて、生物の血液のさらなる分析に第1および第2の回帰分析のどちらを用いるかを選択することと
を備える。
【0025】
少なくとも一実施形態では、選択するステップは、最高決定係数値、最低残差標準誤差値、許容可能な傾斜値範囲内の傾斜値および許容可能な残差標準誤差範囲内の残差標準誤差値の組み合わせを第1および第2の回帰分析のどちらが有するかを判断することを含む。
【0026】
少なくとも一実施形態では、許容可能な傾斜値範囲は0%から0.06%である。
【0027】
少なくとも一実施形態では、許容可能な残差標準誤差範囲は2.5%未満である。
【0028】
少なくとも一実施形態では、
さらなる分析は、ゼロ時間の生物の血液量を求めることを備え、
方法は、第1および第2の回帰分析のうち選択した1つに基づいてゼロ時間の血液量値を算出することをさらに備える。
【0029】
少なくとも一実施形態では、
さらなる分析は、生物の体内総アルブミン量を求めることを備え、
方法は、
アルブミン量の生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システム内の予測比率の基準を求めることと、
生物のアルブミン濃度を求めることと、
生物に注入された放射性標識アルブミンの検出数に基づいて生物の血漿量を算出することと、
算出された血漿量および求められたアルブミン濃度に基づいて生物内の血管内アルブミン量を算出することと、
放射性標識アルブミンを生物に注入した後の第1の時間における、生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の観測比率を算出することと、
算出された血管内アルブミン量と、第1の時間における生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の算出された観測比率と、第1の時間における生物の血管外システムのアルブミン量に対する生物の血管内システムのアルブミン量の予測比率の基準とに基づいて生物の体内総アルブミン量を算出することと
を備える。
【0030】
本発明の例示的な実施形態による生物の血液を分析する自動血液分析器は、
生物に放射性標識アルブミンを注入した後の異なる時点で生物から抽出された生物の血液のサンプルを保持する1または複数のサンプルキャリアと、
生物に放射性標識アルブミンを注入した後の1または複数の時点における生物の血液量を表す一組のデータ点であって、生物の血液のさらなる分析のために自動血液分析器が用いる一組のデータ点を、1または複数の時点における血液のサンプル中の放射性標識アルブミンの検出数に基づいて算出するための手段と、
算出するための手段を校正するか、または算出するための手段が規定のパラメータ内で動作していることを検証するかのうちの少なくとも1つを行う品質制御モジュールと
を備える。
【0031】
少なくとも一実施形態では、
算出するための手段は、生物から抽出した血液のサンプルの放射性標識アルブミンの数を検出するガンマカウンタを備え、
品質制御モジュールは、対応する放射性同位体のエネルギピークにガンマカウンタのチャネルが校正されるように、ガンマカウンタを校正する。
【0032】
少なくとも一実施形態では、
算出するための手段は、生物から抽出した血液のサンプルの放射性標識アルブミンの数を検出するガンマカウンタを備え、かつ
品質制御モジュールは、算出するための手段が以下のパラメータ、すなわち、
ガンマカウンタによる環境背景測定値が比較的低いこと、
ガンマカウンタが測定したサンプルキャリアの放射線汚染が比較的低いこと、
ガンマカウンタが測定した放射性標識アルブミンの注入に用いられる標準(standards)の放射線レベルが期待されるレベルに適合すること、
放射性標識アルブミンの注入に用いられる標準計数を測定するときに、ピークスペクトル全体がガンマカウンタのチャネルのウィンドウ内であるが、ウィンドウはピークより広くないこと、
放射性活動の既知量が異なるサンプルを計数するときに、観測された数が所望する公差内の線形を満たすこと、
のうち1または複数を満たすことを検証する。
【0033】
少なくとも一実施形態では、品質制御モジュールは定期的に動作する。
【0034】
少なくとも一実施形態では、品質制御モジュールは、放射性標識アルブミンを生物に注入するために用いられる標準及び放射性標識アルブミンが、同一のロットナンバーかつ同一の製造者のものであることを検証する注入物検証システムを備える。
【0035】
少なくとも一実施形態では、品質制御モジュールは、自動血液分析器を遠隔モニタできる遠隔診断システムを備える。
【0036】
少なくとも一実施形態では、さらなる分析は、ゼロ時間の生物の血液量を求めることを備える。
【0037】
少なくとも一実施形態では、さらなる分析は、生物の体内総アルブミン量を求めることをさらに備える。
【0038】
本発明の上記および別の特徴および利点は、以下の詳細な説明および本発明の原則を一例として例示する添付図に詳しく記載する。
【発明を実施するための形態】
【0041】
アルブミンは、血流内の非常に重要なタンパク質である。アルブミン濃度は、患者の血液サンプルに対して比較的簡単な実験室での実験を行うことによって容易に求めることができるが、体内総アルブミン量(TBA)は臨床的な関心事項でもある。測定したアルブミン濃度からTBAを求めるためには、血漿量と、血管内システムのアルブミンに血管外システムのアルブミンの対する比率とを知ることが必要である。
【0042】
本発明の様々な例示的な実施形態は、トレーサ希釈法を用いて体内総アルブミン量(total body albumin)(TBA)を求めるためのシステムおよび方法を対象とする。
少なくとも一実施形態によると、生物の血流内にトレーサが注入され、この注入ステップの後の対応する複数の測定された時間間隔で、血液およびトレーサの複数の混合サンプルが血流から取られる。
各時間間隔に対応する血管外アルブミンに対する血管内アルブミンの比率は、混合サンプルのトレーサレベルから自動的に算出される。また、算出された比率値および時間間隔から、基準減衰曲線に対する比較を用いて、調整されたゼロ時間のTBAが自動的に算出される。
【0043】
本発明による方法の様々な例示的な実施形態は、その内容は参照により本明細書に取り込まれる米国特許第5,024,231号に記載の自動多点血液量分析器などの自動血液量分析器を用いて実施されてもよい。
この点において、
図1は、米国特許第5,024,231号に記載されるとともに、体内総アルブミン量分析器としても機能できるように変更された血液量分析器のブロック図を示す。
自動体内総アルブミン量分析器は、概して符号10で表され、
たとえば、ヨウ化ナトリウム(NaI)シンチレーションガンマカウンタ12などの分析器ハードウェアと、
(試験管のための空間25を有するサンプル保持部16を含む)自動サンプル供給機構14と、
専用ハードウェアおよび/またはソフトウェアを実行するマイクロコンピュータ18とを含む。
マイクロコンピュータ18は、キーボードまたは別のデータ入力ユニットと、液晶ディスプレイと、プリンタまたは別のデータディスプレイユニットとを含む。
概して、分析器10は、人間の血液量および関連する量を直接測定するため、ならびにTBAを測定するためのコンピュータ制御された器具である。
血液量の直接測定は、I−131でタグ付けした血清アルブミンを利用するトレーサ希釈法に基づく。分析器は、トレーサが患者の血流に分散されるとき、放射性トレーサが希釈される程度を測定する。測定の達成はトレーサを均等に分配する循環システムの能力に影響されるので、希釈の定量的測度が作られ得る。トレーサ注入後に患者から抽出される各サンプルは、患者の血漿量内で希釈されるトレーサを表す。血漿量は、患者のサンプル、環境の背景サンプル、標準サンプルおよび対照サンプルから測定した数に基づいて算出される。ヘマトクリットを用いて血漿量を血液量全体に変換する。
【0044】
本発明の様々な例示的な実施形態によると、自動体内総アルブミン量分析器10は、進歩的な方法の様々な例示的な実施形態によるTBAの計算に適するデータの処理に有効な追加の機能を含んでいてもよい。
たとえば、自動体内総アルブミン量分析器10は、進歩的な方法の様々なステップを実施するのに適するハードウェア部品を含んでいてもよく、および/または自動体内総アルブミン量分析器は、コンピュータ可読媒体にコード化されたプログラミングであって、コンピュータプロセッサによって読み取られるとき、本発明の様々な例示的な実施形態による方法の様々なステップをコンピュータプロセッサに実施させるプログラミングを含んでいてもよい。この点において、体内総アルブミン量分析器10は、少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサ可読媒体とを含んでいてもよい。
【0045】
TBAを測定するための慣習的な方法は比較的時間がかかる。慣習的な手順は放射性アルブミンI−131を患者に注入する指示薬希釈法に基づく。
米国特許第5,024,231号に開示されるように、患者のサンプル、環境背景サンプル、標準サンプルおよび対照サンプル(control samples)から測定した計数に基づく短期間(1時間にわたる(over the course of an hour))のI−131トレーサの消失から初期血漿量が求められる。
トレーサは、複数の損失率の存在を示す複雑な曲線に従って、血流から消失する。これは標識アルブミンの目的地が複数あるためである。たとえば、標識アルブミンは尿排泄され、組織に吸収され、または血管外液と混合され得る。
慣習的な方法によって血管内アルブミンに対する血管外アルブミンの比率を求めるために、濃度が血流内外で安定するとともに、減衰が簡単な対数線形関数に従うまで待つ必要がある。
曲線の対数線形部分は注入後2,3日で始まり、ゼロ時間(time zero)までの確実な外挿を得るためには、その後数日間にわたり複数のサンプルを取る必要がある。ただし、短期間の時間枠でTBA測定を可能とするのは、むしろ臨床的な問題である。
【0046】
図2は、本発明の例示的な実施形態によるTBAを算出する方法を示すフローチャートである。
本方法のステップS2では、血管外アルブミン量に対する血管内アルブミン量の予測比率の基準が実験データを用いて求められる。
基準は、一部を滑らかにした指数関数適合(locally smoothed exponential fit)(LOESS)を放射性標識アルブミンの減衰曲線に用いて求められてもよい。
減衰曲線は、複数の健常志願者に放射性標識アルブミンI−131を注入し、注入後時間をおいて血液サンプルを収集し、各サンプル内のアルブミンI−131の数に関するデータを集めることによって得てもよい。
計数データは、注入後時間をおいた血管内アルブミン数を示す。
データは、「経過時間」対「Pアルブミン」グラフで表示してもよい。Pアルブミンは、ゼロ時間での初期数に対する特定時間での計数の比率である。
LOESS分析は、血管外アルブミンに対する血管内アルブミンの基準比率を画定する曲線を生成するために、データについて実施されてもよい。
例示的な基準曲線を
図3に示す。
患者サンプルが平均曲線から一定の偏差を示すことがデータから分かった。つまり、患者データは常に、基準曲線の上部、下部または基準曲線に沿って位置した。これによって、患者のゼロ時間の外挿値は、患者のデータと基準曲線との偏差を考慮すると、曲線の後期の対数線形部分ではなく、曲線の複雑な初期部分から推測することができると確信が得られる。
【0047】
ステップS4では、当業者にとって既知の実験室での実験を用いて、患者のアルブミン濃度が求められる。たとえば、アルブミン濃度を求めるための適切な実験室での実験は、肝機能検査(liver function tests)(LFT)の一部分であってもよいが、別にオーダーされてもよい。アルブミンは、血清(上部が黄色い試験管)、添加物なしの素の試験管(上部が赤い試験管)、またはヘパリン血漿(上部が緑の試験管)において測定することができる。用いられる方法の1つは、ロシュ社製モジュラまたはオリンパス社製AU2700分析器におけるブロモクレゾールグリーンである。
【0048】
ステップS6では、前述するとともに
図1に示した体内総アルブミン量分析器10の自動多点血液量分析器機能を用いて、患者の血漿量が求められる。この点において、自動体内総アルブミン量分析器は、患者のサンプルからの計数(対照サンプルからの計数を引く)と標準サンプルからの計数(背景からの数を引く)とを比較することによって、患者の血漿量を導いてもよい。
【0049】
ステップS8では、求められたアルブミン濃度の値および血漿量を用いて、患者の血管内アルブミンが算出される。具体的には、血管内アルブミンは、次の方程式を用いて算出されてもよい。
アルブミンIV=アルブミン濃度*血漿量 (1)
【0050】
ステップS10では、放射性標識アルブミン注入後の時間Xにおける血管外アルブミンに対する血管内アルブミンの観測比率が算出される。Xは、患者サンプルナンバーに対応する。
本ステップでは、体内総アルブミン量分析器は、ガンマカウンタ12を用いて時間Xのサンプルに対応する計数データを自動的に収集し、次にゼロ時間の初期計数データに対する観測計数データを算出する。
任意の数の患者サンプルを収集してもよい。たとえば、単点アルブミン測定値(one-point albumin measure)が求められてもよい事例では1患者サンプルを収集してもよく、または多点アルブミン測定値が求められてもよい事例では複数のサンプルを収集してもよい。
この点において、TBA測定の不確実さは、注入と測定との間の時間が長くなるにつれて改善されるが、あまり大きい要因ではない。ほとんどの患者にとっては、初期注入後24時間から48時間以内に測定した単点TBA測定値で十分であろう。
【0051】
ステップS12では、血管内アルブミン値、時間Xでの血管外アルブミンに対する血管内アルブミンの観測比率、および時間Xでの血管外アルブミンに対する血管内アルブミンの予測比率の基準に基づいて患者のTBAが算出される。
本ステップでは、体内総アルブミン量分析器は、TBAを次の方程式を用いて自動的に算出してもよい。
Pアルブミン偏差=(観測Pアルブミン−予測Pアルブミン)/予測Pアルブミン (2)
アルブミンIV/TBAの推定比率=アルブミンIV/TBA基準比率*(1+Pアルブミン偏差) (3)
TBA=アルブミンIV/(アルブミンIV/TBA推定比率) (4)
式中、Pアルブミン偏差は、基準曲線から予測される時間XでのPアルブミンからの観測Pアルブミンの標準偏差であり、 アルブミンIV/TBA推定比率は、TBAに対する血管内アルブミンの推定比率であり、
アルブミンIV/TBA基準比率は、平均値(つまり、32.79%)であると推定する。
【0052】
ステップS14では、患者サンプルがまだあるかを判断する。
患者サンプルがある場合は、プロセスはステップS16に続く。時間Xは時間(X+1)と等しく設定され、時間(X+1)は次のサンプルを取る時間に対応する。
その次にプロセスはステップS10まで戻り、次のサンプルから収集する計数データに基づいて血管外アルブミンに対する血管内アルブミンの観測比率が求められる。
その次に、観測比率および基準曲線データに基づいて、TBAが再度算出される。
【0053】
ステップS14においてこれ以上サンプルがないと判断される場合、プロセスはステップS18に続く。多点TBA測定値は、各サンプルに対応する以前に算出されたTBA測定値を平均することによって算出されてもよい。
本発明の例示的な実施形態によれば、多点TBA測定値を算出してから、TBA測定値をすべてのサンプルに関して算出してもよいことを理解されたい。
【0054】
本発明の例示的な実施形態では、血漿量およびアルブミン濃度データが入手可能になり次第、予備TBA測定値を算出してもよい。この計算は、既知の血漿およびアルブミン濃度を用いて血管内アルブミンを単に測定するのみであり、体内総アルブミン量に対する血管内アルブミンの平均比率を患者が有するものと推定される。予備TBAを次の方程式を用いて算出してもよい。
予備総アルブミン=アルブミンIV/(アルブミンIV/TBA基準) (5)
【0055】
図1にさらに示すように、本発明の例示的な実施形態による血液量/体内総アルブミン量分析器10は、患者サンプル測定値の正確性を確実にするデータ点分析器50を含んでいてもよい。
これらのサンプルは、様々な収集および関与する測定手順の精度の限界を原因とする「通常の」変動の影響を受ける。
ただし、サンプルは、収集および測定の重大なエラーによって時折破損することもある。
本発明の例示的な実施形態による目的は、このようなエラーの検出と不正確な最終結果を報告することの防止との両方、疑わしい測定値を排除することによってこれらのエラーを修正すること、及び有効な最終測定を報告することを含む。
この補正機構は医学的に有意である。なぜなら、検査そのものは、時間がかかり、高額であり、放射線被曝に関与し、重体または動的状態にある患者に実施することが多いため、医者は、治療の方向を決定するために検査結果が必要となるからである。
【0056】
本発明の例示的な実施形態によると、データ点分析器50は、患者データ点に関してアルゴリズムを実施し、点の正確性を判断してもよい。
アルゴリズムは、実際の患者の結果の広範なデータベースを用いて求められる統計的な測定値の組み合わせを用いてもよい。
実際の患者の結果は、血液量検査のデータベースを用いて研究(study)を行うことによって得てもよい。
研究の目的は、「悪い」点がないと考えられた事例に関して、浸出傾斜および回帰の不確実さ(および、延長によって、最終血液量結果の不確実さ)に関する通常の値を確立することである。事例は、ゼロ時間回帰グラフの視覚的検査に基づいて、「良い」または「悪い」に判断される。各事例に関して、回帰の「良さ」の2つの標準統計的な測定を以下のように行うことができる。
1.残差標準誤差(Residual Standard Error)(RSE)。これは、回帰の不確実さの測定(つまり、ゼロ時間の切片および浸出傾斜の測定)を提供する。
2.決定係数(R-Squared)(RSQ)。これは、回帰で説明される個々の点の変動の割合の測定(つまり、直線がどの程度良くデータに適合するか)を提供する。
【0057】
0%のRSEは完全な直線回帰を示し、100%のRSQは完全な直線回帰を示す。
【0058】
例示的な研究は、74の「良い」事例と17の「悪い」事例を含む。統計的なデータの結果が表1に示される。
【0060】
上記の結果は、0.206%±0.115%min
−1の平均浸出傾斜の例示的な研究である。研究の平均RSEは1%よりわずかに大きく、中央値はわずかに小さい(RSEは決して0未満にならないため、分布は正規分布からある程度歪んでいる。)。中央値の事例が平均値の事例より良いという点で、RSQの結果はRSEと類似する。
【0061】
データ点分析器50は、許容可能な傾斜の範囲および許容可能なRSEの範囲を入力として取るアルゴリズムを実施してもよい。
許容可能な範囲は、以前に説明した例示的な研究の結果に基づいて選択されてもよい。たとえば、許容可能な傾斜は0%と0.6%との間になるように選択されてもよく、許容可能なRSEは2.5%未満に選択されてもよい。
各患者に対して一組のデータ点を収集してもよく、データ点分析器50は、まず完全なデータ点の組について回帰を自動的に算出し、次に、その組について複数の追加の回帰(各回帰は異なるデータ点が除去されて計算される)を算出してもよい。
データ点分析器50は、各回帰について傾斜、RSEおよびRSQを算出してもよい。最善のRSQ、最善のRSE、許容可能なRSEおよび許容可能な傾斜の組み合わせを示す回帰は、患者データセットの最も正確な回帰としてデータ点分析器50によって選択されてもよい。
どの回帰も上記の基準を満たさない場合は、次に、除去されたデータ点を伴う回帰が最善のRSE、許容可能なRSEおよび許容可能な傾斜基準を満たす場合は、次に、その回帰が最も正確なものとして選択される。そうでない場合は、完全なデータの組の回帰が選択される。
完全なデータの組の回帰が許容可能な傾斜または許容可能なRSEを有さない場合は、データ点分析器50は警告を発生してもよい。
【0062】
次の例は、本発明の例示的な実施形態によるデータ点分析器50が実施する悪い点を除去するアルゴリズムを例示する。
【0063】
例1
自動多点血液量分析器を用いて、患者Aの血液量を測定した。この測定では、患者Aにトレーサを注入後、異なる時間間隔で収集した患者Aの血液の5つの異なるサンプルを用いた。
5つのデータ点を
図4に示すようにグラフ100に描写し、表2に要約した。
具体的には、表2の「InG」と表示される行に記載する値およびグラフ100に描写するデータ点は、算出された患者Aの総血液量の自然対数値を示す。
自動多点血液量分析器のデータ点分析器によって、第1のすべての5つのデータ点を用いて1つの回帰が算出される。結果を表2の「5つの点すべて」と表示される列に記載するとともに、グラフ100の「5つの点すべて」と表示される線で描く。
次に、後続する複数の回帰がデータ点分析器によって算出された。各回帰は異なるデータ点を除去して算出された。
グラフ100では、
「#1を除去」と表示される線がデータ点#1を除去して実施した回帰に対応し、
「#2を除去」と表示される線がデータ点#2を除去して実施した回帰に対応し、
「#3を除去」と表示される線がデータ点#3を除去して実施した回帰に対応し、
「#4を除去」と表示される線がデータ点#4を除去して実施した回帰に対応し、
「#5を除去」と表示される線がデータ点#5を除去して実施した回帰に対応する。
最善のRSQを有する回帰は、データ点#3を除去して算出されたものである。
しかしながら、その回帰は最善のRSEを示さない。このように、回帰のいずれもが最善のRSQおよび最善のRSEの組み合わせを示さない。
そこでデータ点分析器50は、点#1を除去した回帰が傾斜およびRSEの許容可能な値を有しながら最善のRSEを示したため、その点#1を除去した回帰を選択した。
【0065】
さらに
図1に示すように、本発明の例示的な実施形態による血液量/体内総アルブミン量分析器10は、品質制御モジュール60を含んでいてもよい。品質制御モジュール60は、自動校正システム62と、注入検証システム64と、遠隔診断システム66とを含む。
【0066】
自動校正システム62は、ガンマカウンタ12が最適なレベルで確実に機能するようにさせる。
具体的には、I−131減衰のエネルギウィンドウを正確に設定しなければならない。
シンチレーションカウンタは、減衰エネルギを、異なるエネルギレベルに対応する様々な「チャネル」の計数に変換することによって動作する。
特定の種類の放射線を(一定の同位体(この事例ではI−131)から)効率的に計数するためには、ウィンドウは減衰スペクトルに対応しなければならない。理想的なウィンドウは、スペクトルのピークを含み、それ以外のスペクトルを排除することによって、信号対雑音比を最大化する。
【0067】
自動校正システム62は、1つのセシウム(Cs−137)および1つのユウロピウム(Eu−152)同位体を用いて、校正確認および必要に応じて調整を実施してもよい。
ガンマカウンタ12のマルチチャネル分析器(multichannel analyzer)(MCA)部分は、一組の等間隔のチャネルにエネルギを分離する。MCAのチャネルは、スペクトルの中に既知のエネルギピークを有する放射能源を測定することによって、特定のエネルギレベルと関連付けることができる。
校正は、2段階のプロセスである。
自動校正システム62は、最初に、統合ピーク検索アルゴリズムを用いてまず662keVCs−137ピークを発見し、次に、ガンマカウンタ12のマルチチャネル分析器に照会して、662keVCs−137ピークがどのチャネルに存在したかを判断してもよい。
チャネルの値が[662]±/−特定のチャネル公差ではない場合、自動校正システム62は、チャネル[662]が662keVCs−137ピークに対応するように、マルチチャネル分析器のファインゲインの調整を進めてもよい。
自動校正システム62は、次に、Eu−152源を用いて、チャネル[334]が334keVEu−152ピークに対応するようにエネルギ対チャネル曲線に線形調整を行ってもよい。
[662]は662keVに関連するチャネルナンバーを指すことに注意されたい。MCAは任意の数の物理チャネル、一般に512、1024、2048などの2の累乗の物理チャネルを有することができる。
【0068】
品質制御モジュール60は、一連の測定を実施して、承認されたパラメータ内で血液量/体内総アルブミン量分析器10が確実に動作するようにしてもよい。
たとえば、品質制御モジュール60は、次の1または複数を測定してもよい。
環境背景測定値確認(これは検出器には何も入れずに行う測定であり、放射線は比較的低くなるべきである)、
サンプルキャリア汚染確認(これはサンプルキャリアのみの測定であるが、キャリアにはサンプルを入れない。放射線は比較的低くなるべきである)、
標準確認(個々のBV検査で用いたI−131でタグ付けした血清アルブミン標準)(これは、BVAおよびTBA測定の基準であり、既知の活動レベルを有するI−131標準の測定である。検出された計数は、期待されるレベルと適合すべきである)、
解像度および効率性確認(I−131標準を計数するとき、ピークスペクトル全体がチャネルのウィンドウ内にあるべきであるが、ウィンドウはピークより広くてはならない)および
線形試験(既知の異なる放射性活動(量xおよび量y)を有するサンプルを係数するとき、観測された計数(計数xおよび計数y)は、所望する公差内の線形を満たさなければならない。線形からの偏差はabs((計数x/計数y)*(量y/量x)−1))で表される。)
これらの各測定では、結果は規定の範囲内とならなければならない。(たとえば、器具の除染、または器具を別の低背景な場所に移動することによって)範囲外の値を処理するために、ユーザ文書が提供され得る。
【0069】
品質制御モジュール60は、ユーザが関与する必要をなくすように、規定の時間および頻度で自動的に作動するように構成されてもよい。
品質制御モジュール60はまた、最後に無事に品質確認を行ってからの経過時間の内部記録を保存してもよく、ユーザが利用可能な記録を維持してもよい。
例示的な実施形態では、品質制御モジュール60は、最後に無事に品質制御確認を行ってからの時間が特定の最大時間、たとえば、24時間などを超える場合に、自動的に品質制御確認を開始するように構成可能である。
品質制御モジュール60によって、予定された品質制御確認を無効にし、および/または中断してもよい。
【0070】
注入物検証システム64は、ユーザに研究を進めることを許容する前に、所定の患者研究のための標準とI−131でタグ付けした血清アルブミン注入物とが同一のロットナンバーおよび同一の製造者からのものであることを確かにしてもよい。
注入物および標準の製造時にそれら注入物および標準の両方にユニークな暗号化機械可読2Dバーコードを貼り付けることによって、注入物検証を実現してもよい。
試験開始前に、注入物検証システム64は、各バーコード読み取り、検証段階を実施するために含有される情報を解読してもよい。
注入物検証システム64によって読み取られるバーコードは、たとえば、製造年月日、バッチID、シリアル化ID、製造者認証コード、種類(注入物または標準)、および注入物ブランドなどの情報を含有していてもよい。
注入物検証システム64は、上記の情報を用いて、自動的に所定の患者研究に用いた注入物のロットナンバーを記録してもよい。それによって、ロットナンバー情報を得ることに関して、オペレータが転記する際に間違える可能性を排除することができる。
【0071】
本発明の例示的な実施形態では、注入物検証システム64は、どの標準が品質制御検証されたかに関してすべてのロットの内部記録を維持してもよい。品質制御検証されていない標準からバーコードを読み取るときには、注入物検証システム64は、その標準を血液量患者研究に用いる前に、その標準に対して品質制御試験を行うようにユーザに指示してもよい。この確認によって、試験結果の統合性と一貫性が確保できる。
【0072】
遠隔診断システム66は、安全な手段を介して、遠隔モニタをするために、血液量/体内総アルブミン量分析器10の状態およびユーザの使用パターンを提供してもよい。
遠隔診断によって、所定の症状、問題または課題を診断できる。
遠隔診断の目的は、設置(installation)の確実性の改善と、予定外の維持管理を回避することによる管理費用の削減と、対処されていないユーザのニーズの特定とを含む。
遠隔診断は、任意の性能低下を検出することによって傾向分析を行う能力と、外挿によって故障する時期を予測する能力とを含む。
遠隔診断は、任意の安全な暗号化手段、たとえば、仮想プライベートネットワーク(Virtual Private Network)(VPN)などの安全な暗号化インターネット接続により行うことができる。
別の例示的な実施形態は、暗号化した分析器の作動データを光ディスクなどの記録媒体に記憶するためのソフトウェア施設を含んでいてもよい。この記録媒体は閲覧のために物理的に別の場所に移動されてもよい。
【0073】
例示的な実施形態では、遠隔診断システム66は、カイ2乗適合度検定を用いて、算出したシンチレーションカウンタ効率性の結果の母集団が特定の信頼水準の予測と適合するかを定量的に判断する傾向分析を行ってもよい。
【0074】
例示的な実施形態では、遠隔診断システム66は、血液量および品質制御検査を実施中に計数したすべてのサンプルのエネルギスペクトルを記録するスペクトル取得を実施してもよい。任意のサンプルに関して記録したスペクトルは、診断を目的として、遠隔的にアクセスされ、閲覧されてもよい。
【0075】
例示的な実施形態では、遠隔診断システム66は、システムイベントを取得する一組のシステムログを維持してもよい。
ログは、診断を目的として、遠隔的に閲覧され、検索されてもよい。
イベントは、エラー、警告、情報または安全性イベントとして分類されてもよい。
システムエラーイベントは、マルチチャンネル分析器との通信故障または不意の停電などの重要な問題(problem)と考えられる。
システム警告は、重要ではないイベントかもしれないが、将来起こりうる問題を示すかもしれない。
情報イベントは、ソフトウェアモジュール、ドライバ、またはサービスのロードなどのシステム動作が無事終了したことを記載してもよい。
安全性イベントは、血液量/体内総アルブミン量分析器10または装置内に記憶される情報を改ざんしようとする試みを示す行動を記載してもよい。
【0076】
例示的な実施形態では、遠隔診断システム66は、ボタンを押すこと、または情報を入力するために入力フィールドをクリックすることなどの一般的なユーザ行動を取得する一組の使用ログを維持してもよい。これらのログは、遠隔的にアクセスされてもよく、問題(issue)または課題(problem)につながるユーザ使用シナリオを再現するために用いてもよい。
【0077】
本発明の例示的な実施形態による血液量/体内総アルブミン量分析器10は、肢切断患者(amputee patient)の理想的な血液量を判断するように構成されてもよい。
この点において、予測される理想的な血液量および赤血球容積を低減するために、補正係数を用いてもよい。
補正は、足または腕などの筋組織の血液量が、胴体または腹部の理論的断面から得られるであろう血液量/cc比率(またはml比率)よりも高い血液量/cc比率(またはml比率)を有するという前提に基づいてもよい。
これらは、足または腕を失うことに伴う体重の部分を考慮すると合理的な概算である。
このような補正推定を用いて発生する不確実さの程度は、およそ±2%であろう。
次のように計算を行ってもよい。
1)血液量/体内総アルブミン量分析器10によって求められるような、患者の身長および体重に基づく、予測される通常の血液量を得る。
2)次の補正係数を適用する。
(a)ひざ下切断−3%(白血球数および赤血球容積の両方に対して)。
(b)ひざ上切断−4%(血球数および赤血球容積に対して)。
(c)腕切断−2%(白血球数および赤血球容積に対して)。
【0078】
例示的な実施形態では、血液量/体内総アルブミン量分析器10は、ユーザが放射性ヘマトクリット(radio hematocrit)を実施できるような性能を有していてもよい。
通常は、ヘマトクリットは、細い試験管内の全血サンプルを遠心分離機にかけ、下端に圧縮される全血容積を測定することによって測定される。この測定は正確性において物理的要因(具体的には、試験管上の細かい距離を読み取り/測定する能力)から限界があり、精度は+/−0.5%にすぎない。
放射性ヘマトクリットは、血液量/体内総アルブミン量分析器10を用いて、同一のサンプルからの分離された血漿サンプルに対して全血の1または複数のサンプルを測定し、かつ観測された計数の比率をとることによって実施することができる。
この方法によって、個別のヘマトクリット測定の必要がなくなり、ヘマトクリット測定の正確性が大幅に増加するという少なくとも2つの利点が得られる。ヘマトクリット測定の正確性はピペット作業の正確性(+/−0.02%の範囲)および観測される数の長さによってのみ制限される。
【0079】
ここまで本発明の好ましい実施形態について詳細に示し、記載してきた。その様々な修正および改善は当業者には容易に明らかとなるであろう。したがって、本発明の精神および範囲は広く解釈されるものとし、前述の仕様には制限されない。