(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記調査対象の電子デバイスは、集積回路(IC)パッケージであり、前記ステップ(b)において、前記RF電力が前記ICの2つの末端において前記ICに結合されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記ステップ(b)において、前記RF電力が、シングルエンドフィードライン構成によって前記調査対象の電子デバイスに結合されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記ステップ(l)の後に、前記第2の復調ユニットを前記磁束ロックループ回路に結合し、前記低周波変調磁束を制御するステップをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
前記DC SQUID回路の前記入力および前記出力の間に結合され、前記DC SQUID回路の前記入力にフィードバック磁束nΦ0、n=0、1、2、…(ここで、Φ0は磁束量子である)を誘導結合する磁束ロックループ(FLL)回路をさらに含み、
前記FLL回路は、前記多重分離回路の出力に結合され、前記多重分離回路の出力から前記低周波信号成分を受信し、前記低周波信号成分は、前記FLL回路において処理され、前記フィードバック磁束nΦ0を生成し、
前記第2の復調ユニットは、前記FLL回路に結合され、前記低周波変調磁束を制御することを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【背景技術】
【0006】
磁気電流画像化は、集積回路(IC)および電子パッケージ化されたデバイスにおいて埋没した電流(buried currents)をそれらの磁場を検出することにより画像化するための技術である(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照)。
【0007】
検出された磁場は、フーリエ逆変換(Fourier Transform back−evolution)技術を使用することによりデバイスにおける電流をマッピングするのに使用される(例えば、非特許文献1および非特許文献3参照)。結果として得られた電流マップは回路図、光学/赤外線画像または無故障部品設計(non−failing part design)と比較され、不良箇所(fault)の位置を測定する。
【0008】
DC SQUIDおよび低周波SQUID顕微鏡法(例えば、非特許文献4、非特許文献5、および非特許文献6参照)は、短絡および高抵抗欠陥の位置測定をするのに今日一般的に使用されており、パッケージレベルの不良箇所の単離のための主流ツール(例えば、非特許文献7参照)およびダイレベルの不良箇所の単離のための有効なツール(例えば、非特許文献8および非特許文献9参照)となっている。
【0009】
しかしながら、DC信号または低周波信号は欠陥トレース(defective traces)に沿って伝播することができず、したがって「オープン(open)」欠陥を有する回路において電流を生じないため、DC SQUIDおよび低周波SQUID顕微鏡法はオープン欠陥には適用されていない。
【0010】
電気的オープンは、それらが電流を伝導しないため、特に単離するのが困難である。オープンとは異なり、短絡は熱画像化技術または電流画像化技術、およびX線を用いた画像によって単離され得る。しかしながら、ひび割れた金属トレース、剥離したバイア、C4乾燥欠陥(non−wet defects)、めっきスルーホール(Plated Through Hole)(PTH)きず、および任意のその他のパッケージ欠陥または相互接続構造欠陥のいずれかであり得るオープン回路故障は、デバイスを使用不能にする電気的オープン信号線につながる。
【0011】
現在、オープン回路欠陥を位置測定するための主な手法は、時間領域反射率測定法(Time Domain Reflectometry)(TDR)(例えば、非特許文献10、非特許文献11および非特許文献12参照)である。
【0012】
TDRでは短い電気パルスを調査対象のデバイスに送り、反射を受け取るまでの時間を監視する。反射された信号を非欠陥部品のそれと比較することにより、500μmまでの位置測定精度で欠陥を位置測定することが可能である。実際的には、1〜2mmが典型的なTDR位置測定精度であり、これは調査対象のパッケージング中の配線路の複雑な性質により制限される。
【0013】
TDRの他に、オープン欠陥を位置測定するための唯一の方法は、光学顕微鏡下の物理的検査と組み合わせた沿層(layer by layer)脱処理(deprocessing)である。この手順には数週間かかることがあり、多くの回数、欠陥は光学的検査で見逃され得るか、または機械的脱処理において実際に失われることがある。
【0014】
現在の故障解析の実践では、短絡が欠陥のおよそ20%を占め、高抵抗短絡が欠陥の10〜15%、そしてオープンはパッケージにおいて起こる欠陥の60〜70%である。ダイレベルでは、短絡とオープンはおよそ等しい確率で起こる。
【0015】
したがって、半導体製造業界からの強い関心が、電子デバイスにおけるオープン回路故障の非破壊的位置測定のためのさらなる技術にある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、本発明の目的は、電子デバイスにおけるオープン位置測定のための非破壊的技術を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、高感度DC SQUIDベースの磁気計を利用するオープン欠陥位置測定のための技術、特に200MHz以上までの帯域幅において動作可能なDC SQUIDベースのRF磁気計を提供することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、DC SQUIDベースのRF(またはマイクロ波周波数)磁気計を利用して調査対象の電子デバイスについてのRF磁場(またはRF電流)画像が取得され、オープン欠陥がRF磁場(RF電流)消失の位置で正確な位置を示される、オープン位置測定技術を提供することである。
【0020】
加えて、本発明の目的は、電子デバイスにおけるオープン欠陥位置測定における適用のために、DC SQUIDベースの磁気計をRF/マイクロ波周波数帯域幅(200MHz以上まで)における動作に適合させることである。
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
一態様において、本発明はオープン欠陥を検出する方法を構成する。オープン欠陥の検出は以下のステップを通して行われる:
DC SQUIDベースの磁気計を200MHz以上までの無線周波数(Radio Frequency)(RF)帯域幅で動作するように適合させるステップと、
前記DC SQUIDの先端を調査対象の電子デバイスにわたって走査するステップと、
RF作動させたときの前記調査対象の電子デバイス中の伝導路において生じた磁場の画像を取得するステップ。
【0022】
前記調査対象の電子デバイスから生じる磁場のRF画像は、まず前記DC SQUIDの前記先端と前記調査対象の電子デバイスとの間の相対配置の関数として取得され、高速フーリエ変換技術によって電流画像に変換され得る。
【0023】
この手順は、前記RF電流画像を前記電子デバイスの配線(伝導路)レイアウトの光学画像に重ね合わせるステップと、前記電流画像が電流消失を示す前記配線レイアウト上の位置でオープン欠陥の正確な位置を示すステップとに続く。
【0024】
本主題検出方法は、10MHzから200MHz以上までの範囲にあるRF帯域幅で適用可能である。
【0025】
RF電力は、シングルエンド(single−ended)フィードライン(feedline)構成または差動フィードライン構成のいずれかにおいて前記調査対象の電子デバイスに印加され得る。
【0026】
前記差動フィードライン構成では、差動チャネル間の振幅不均衡、ならびに差動チャネル間の位相差が導入され得る。
【0027】
DC SQUID回路を無線周波数での動作に適合させるためには、前記SQUID回路を室温電子機器に結合する送信線における遅延、ならびに近接場カップリングによる帯域幅限界を克服しなければならない。これは、前記調査対象の電子デバイスから生じるRF磁束
【0028】
【数1】
【0029】
の、低周波変調磁束
【0030】
【数2】
【0031】
上への重ね合わせ、および両磁束を前記DC SQUID回路に誘導結合するステップを通して主題システムにおいて達成され、ここで、Φ
m、ω
mおよび
【0032】
【数3】
【0033】
は、それぞれ、前記変調磁束の振幅、周波数、および位相であり、Φ
RF、ω
RF、および
【0034】
【数4】
【0035】
は、それぞれ、前記RF磁束の振幅、周波数、および位相である。
【0036】
その結果、前記DC SQUID回路は周波数ω
mで0°と180°の間で二相変調された出力RF電圧を生成する。前記SQUIDの電圧は、RF信号成分と低周波信号成分に分離される。前記SQUID回路により生成された前記二相変調された出力RF電圧の前記RF信号成分は、それぞれ前記周波数ω
RFおよび前記周波数ω
mを基準とする第1の復調ユニットおよび第2の復調ユニットにより逐次的に復調され、前記第2の復調ユニットの出力において、対象の前記RF磁束を表す出力信号を得る。
【0037】
前記低周波信号成分は磁束ロックループ(flux−locked loop)回路に供給され、フィードバック磁束を生成し、前記DC SQUIDを準静的磁束nΦ
0、n=0、1、2、…(ここで、Φ
0は磁束量子である)においてロックし、前記SQUID回路の前記RF応答(出力RF電圧)を線形化する。
【0038】
前記第2の復調ユニットは前記磁束ロックループ回路に結合され、前記SQUID回路に対する前記低周波変調磁束を制御する。
【0039】
本発明の別の態様において、RF帯域幅(200MHz以上)で動作するDC SQUIDベースのRF磁気計の使用を通じて、電子デバイスにおけるオープン欠陥の非破壊的検出のためのシステムを構成する。
【0040】
本主題システムは、X−Y−Zステージが、調査対象の電子デバイスを支持し、前記ステージおよび前記DC SQUID先端に効果的に結合され、それらの間の相対配置を制御可能にかつ選択的に変更するコンピュータユニットにより制御可能に動作されるように設計されている。
【0041】
前記DC SQUIDベースのRF磁気計において、SQUID RFおよびAC電子ユニットが前記SQUID回路に結合され、前記生成された出力RF SQUID電圧を処理して、前記調査対象の電子デバイスから生じる測定された磁場に対応する出力信号(「IF信号」)を生成する。同時に、前記SQUID RFおよびAC電子ユニットは、SQUID動作の磁束ロックループレジームを制御し、前記SQUID回路と読み出し電子機器の間の送信線遅延、ならびに前記測定システムの様々な部品間の近接場「クロストーク」と関連した帯域幅限界を克服するように設計される。前記帯域幅限界は、本主題システムにおいて、前記調査対象の電子デバイスから生じる前記RF磁束を前記低周波変調磁束上に重ね合わせ、二相変調されたRF電圧を前記SQUID回路の出力において生成することにより、克服される。これは、前記SQUID RFおよびAC電子ユニットにおいて処理される。
【0042】
詳細には、前記SQUID RFおよびAC電子ユニットにおいて、低周波変調磁束の電源
【0043】
【数5】
【0044】
(ここで、Φ
mは前記変調磁束の振幅であり、ω
mは前記変調磁束の周波数であり、
【0045】
【数6】
【0046】
は前記変調磁束の位相である)
が、前記調査対象の電子デバイスから生じ、前記DC SQUID回路の入力に誘導結合されるRF磁束
【0047】
【数7】
【0048】
(ここで、Φ
RF(t)は前記RF磁束の振幅であり、ω
RFは前記RF磁束の周波数であり、
【0049】
【数8】
【0050】
は前記RF磁束の位相である)
と共に前記DC SQUID回路の前記入力に誘導結合される。
【0051】
前記DC SQUID回路に結合された前記RF磁束および前記低周波変調磁束に応答して、前記DC SQUID回路は0°と180°の間の周波数ω
mで二相変調された出力RF電圧を生成する。
【0052】
前記SQUID RFおよびAC電子ユニットは、前記DC SQUID回路の前記出力に結合され、前記出力RF電圧をRF信号成分と低周波信号成分に分離する多重分離回路と、前記二相変調された出力RF電圧の前記RF信号成分を受信するRF復調回路とを含む。前記RF復調回路は、前記RF信号成分を前記周波数ω
mおよび前記周波数ω
RFでダウンコンバートし、前記調査対象の電子デバイスから生じる前記RF磁束を表す出力信号を生成する。前記RF復調回路は、前記周波数ω
RFを基準とする第1の復調ユニットと、前記周波数ω
mを基準とし、前記第1の復調ユニットの出力に結合された第2の復調ユニットとを含む。
【0053】
前記SQUID RFおよびAC電子ユニットは、前記DC SQUID回路の前記入力および前記出力の間に結合され、前記DC SQUID回路の前記入力にフィードバック磁束を誘導結合する磁束ロックループ(FLL)回路をさらに含む。前記FLL回路は、前記多重分離回路の出力に結合され、前記多重分離回路の出力から前記低周波信号成分を受信する。前記低周波信号成分は、前記FLL回路において処理され、前記フィードバック磁束を生成する。前記第2の復調ユニットは、前記FLL回路に結合され、前記低周波変調磁束を制御する。
【0054】
前記第1の復調ユニットは、周波数ω
RFを基準とするRFロックイン増幅器、またはRFミキサー/乗算回路を含み得る。前記第2の復調ユニットは、前記周波数ω
mを基準とする中間周波数(Intermediate Frequency)(IF)ロックイン増幅器、または乗算回路を含み得る。前記磁束ロックループ(FLL)回路は、前記周波数ω
mを基準とするFLLロックイン増幅器、または乗算ユニットを含み得る。
【0055】
低周波変調磁束の前記電源は、前記磁束ロックループ回路および前記第2の復調ユニットに結合される前記低周波変調磁束を生成する関数発生器を含み得る。
【0056】
RF電源が、シングルエンドフィードライン構成または差動フィードライン構成を介して前記電子デバイスに結合される。変調コイルが、前記DC SQUID回路に近接して配置され、前記DC SQUID回路に誘導結合され、前記低周波変調磁束および前記フィードバック磁束を前記DC SQUID回路に結合する。RFコイル(前記変調コイルから分離されているか、または単一の構成にある)が、前記DC SQUID回路に近接して配置され、前記DC SQUID回路に誘導結合され、前記調査対象の電子デバイスから生じる前記RF磁束を前記DC SQUID回路に結合する。
【0057】
データ取得ユニットが、前記SQUID RFおよびAC電子ユニットに効果的に結合され、前記調査対象の電子デバイスの伝導路において生じた磁場または磁気電流の画像を取得する。前記データ取得ユニットはコンピュータ制御下で動作する。
【0058】
データ分析ユニットは、前記コンピュータユニットおよび前記データ取得ユニットに効果的に結合され、前記取得された電流画像を前記伝導路レイアウトの光学画像上に重ね合わせるように機能する。
【0059】
さらに、出力ユニットが前記データ分析ユニットに結合され、前記電流画像が電流消失を示す前記伝導路レイアウトの領域におけるオープン欠陥位置に対応する信号を出力する。
【0060】
本発明のこれらの特徴および利点そしてその他の特徴および利点が、添付の特許図面と併せて、以下の本発明の詳細な説明から明らかになろう。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明は、DC SQUIDベースの磁気計を採用して、電子デバイスにおけるオープン欠陥を位置測定するという目標を追求する。
【0063】
電気的プロービングにおいて通常使用されるDC周期信号および/または低周波(数KHz)周期信号は、オープン欠陥の場合に回路欠陥トレースを通して正味電流を効果的に搬送しないことが知られている。オープン欠陥は、デバイスを使用不能にする電気的オープン信号線につながるひび割れた金属トレース、剥離したバイア、C4乾燥欠陥、めっきスルーホール、きず、および任意のその他のパッケージ欠陥または相互接続構造欠陥の形態であり得る。
【0064】
しかしながら、回路に供給された信号の周波数が、伝導トレースに沿って伝播するRF/マイクロ波範囲、例えば10MHzから100GHzまでとなったとき、
図1に示されるそのような定在波10の電流場/磁場ノードは、調査対象の電子デバイス18中の絶縁層16の上面上に延在する伝導トレース14において形成されたオープン12と一致する。定在波10のスナップショットである
図1に示されるように、フィードライン20の特性インピーダンスおよび調査対象の伝導トレース14が一致すると仮定して、定在波10の振幅は最大かつ正である。
【0065】
走査型DC SQUIDベースのRF磁気計によるオープン12近傍の定在波10により生じる磁場の画像化、定在波のプロファイルの回復を可能にし、オープンを位置測定する。
図1に示されるように、磁場、ならびに伝導トレース14中に流れる電流はオープン12の位置でかなり弱い。しかしながら、磁場、ならびに電流は、SQUIDベースのRF顕微鏡を電子デバイス18にわたって走査することにより、SQUID磁気計が高感度を有するために、鮮明に画像化され得る。
【0066】
オーミック接続22が、RF/マイクロ波フィードライン20と調査対象の電子デバイス18の間に形成される。フィードライン20は、その後の段落において提示されるように、シングルエンド構成または差動構成であり得る。RF/マイクロ波フィードライン20は、RF電力またはマイクロ波電力を調査対象の電子デバイス18に供給して、RF電流を伝導路において生成するのに役立つ。
【0067】
電子デバイスに供給されたRF電力(例えば0.001〜10mWまたはそれ未満の範囲内であり得る)およびSQUID−デバイス距離(例えば10〜2000ミクロンの範囲内であり得る)に応じて、本発明のSQUIDベースのRF磁気計の感度は、オープン(ノード)から数ミクロンの近さの磁場を検出するのに十分な程度高くなる。オープン12近くの定在波10におけるRF電流振幅を、伝導トレース14に沿った位置Xに対して、
【0069】
として推定することができる。
上式中、P
RFはRF電力であり、Z
0はフィードライン特性インピーダンスであり、λはトレースにより形成された送信線における放射波長である。典型的な集積回路については、RF周波数において、x≪λであることが考慮される。
【0070】
図2を参照すると、電子デバイス18におけるオープン欠陥を位置測定するためのシステム30は、超伝導ループにおいて接続される2つのジョセフソントンネル接合で構成されるSQUID回路32を含む。電流は、臨界電流I
cの最大値まで電圧降下なしにジョセフソン接合に存在する。SQUIDがジョセフソン接合の臨界電流I
cを超える定電流I
bでバイアスをかけられたとき、SQUIDループを貫通する(threading)磁束Φにおける変化が、SQUIDにわたる電圧降下における変化を生じる。
【0071】
SQUID磁気計は、エネルギー分解能が量子限界に接近している、磁場の最も高感度な検出器である。YBCO SQUIDセンサを使用した走査型SQUID磁気計は、20ptの小ささの磁場を測定することが可能である。SQUIDセンサは、SQUIDセンサから約100マイクロメートルの距離で10nAの小ささの電流を搬送するワイヤを検出するのに十分な程度感度が高い。
【0072】
磁気計は、調査対象のサンプルを室温および空気中にあることを可能にするものの、SQUIDセンサは、真空下にあり、かつクライオクーラ(cryocooler)を使用して80k未満に冷却しなければならない。空気中の室温サンプルの非接触非破壊的画像化の間、システムは、SQUID先端34を電流から隔てる距離に対応する生の処理されていない空間分解能を達成し得る。
【0073】
図1〜2に示されるように、SQUIDの感知部、すなわちSQUID先端34は、真空室内部に調査対象の電子デバイス18の表面から予め定めた距離に保持され得る。SQUID回路32は、クライオクーラ36内の真空室中に保持される。
【0074】
調査対象の電子デバイス18は、コンピュータシステム40の制御下でステージの3次元の動作を提供して、SQUID先端と調査対象の電子デバイスの間の相対配置を水平方向ならびに垂直方向に変化させることができる、X−Y−Zステージ38上に配置され、それにより支持される。
【0075】
RF/マイクロ波電源42(以下の段落において提示されるように、RFおよびAC電子ユニット44の一部であり得る)が、フィードライン20を介してシングルエンド構成または差動構成において調査対象の電子デバイス18に結合される。
【0076】
調査対象の電子デバイス18をRF(またはマイクロ波)エネルギーにより作動させたとき、結果として伝導路から生じる磁場をもたらす電流が電子デバイスの伝導路において生じる。SQUID回路32は、電子デバイス18にわたって走査中であり、伝導路から生じる場の磁場画像を取得する。
【0077】
SQUID回路32は、磁場を感知すると、SQUIDループを貫通する磁束の周期的な非線形関数であるRF電圧を生成する。
【0079】
上式中、Rはジョセフソン接合の通常抵抗であり、I
bはSQUIDバイアス電流であり、I
cはジョセフソン臨界電流であり、ΦはSQUID磁束であり、
【0083】
および電子電荷eを有する磁束量子である。
【0084】
V
SQUIDは、
図13〜19と併せて詳細に提示されるSQUID RFおよびAC電子ユニット44に供給される。SQUID RFおよびAC電子ユニット44は、SQUID回路を最適レジームにおいて動作させ、出力SQUID電圧を線形化し、雑音(例えば、スプリアス信号)を含まない、線形形式の電子デバイスから生じる磁束を表す出力信号IFを生成する手段としての役割を果たす。
【0085】
磁場代表的な信号IFは、次に、データの走査に伴い磁場の値を収集し、電子デバイスにわたるまたは伝導路に沿った先端34位置のX、Yおよび/またはZ座標に相関する磁場画像を生成するデータ取得ユニット46に供給される。
【0086】
データ取得ユニット46からの磁場画像は、高速フーリエ変換技術を使用して、磁場画像を対応する調査対象の集積回路またはプリント回路基板の伝導路における電流画像に変換し得る、データ分析ユニット48に転送される。得られた電流マップは、次に回路図の光学画像、例えばCADファイル50と比較され(重ね合わせられ)、不良箇所の位置の正確な位置を示し得る。
【0087】
データ取得ユニット46およびデータ分析ユニット48の機能は、コンピュータシステム40の制御下に実行され、任意の所望の様式において互換可能である。
【0088】
電流画像は電流密度画像、ならびに電流ピーク画像の形式で提示され得る。電流密度画像は、電流の大きさを与え、一方電流ピーク画像は、±3μmの分解能で電流路を明らかにする。
【0089】
システム30は、磁場強度または電流の大きさ(処理後)対電子デバイス上の位置の画像を、ディスプレイユニット52上に、例えば、光学、電子、デジタル、または印刷可能などの何らかの形式で出力する。
【0090】
本システムおよび方法において、オープン欠陥位置は電流消失の位置で検出される。RFマイクロストリップにおけるオープンの検出を示す
図3〜6を参照すると、200MHzの周波数および1mWの電力のRF場が、50Ωマイクロ波ストリップ線に供給され得、ここでオープン欠陥54がストリップ線56を横切って示されている。
図4に示される観察された磁場は、入口点において強く、オープン欠陥54の位置に向かって徐々に消失する。
図5および拡大されたスケールで
図6に示される磁場の電流への反転は、電流振幅がオープン位置で実質的にゼロ(雑音レベル)まで減少することを確認する。検出された磁場のマップ、ならびにRF電流が伝導路レイアウトと位置合わせされるので、電流の消失の位置は、電子デバイスにおけるオープンの位置と相関し得る。
【0091】
図7〜9を参照すると、RF電力がマイクロストリップ線の両端に同相に供給され、オープンの反対側でRF電流を生成し、任意の所与の時間で反対の方向に流れ込む、50オームマイクロストリップ線におけるオープンの検出の原則が示されている。
図7は、オープン欠陥54が送信線であるストリップ線56を横切っている状態のストリップ線56に供給されたRF電力(200MHz、1mW)の画像化結果を示す。オープンの位置で減少したRF磁場が
図8に示されている。オープンの位置は
図9において、電流の消失の位置で明瞭に判別し得る。
【0092】
IC(集積回路)パッケージにおけるオープンの検出を提示する
図10〜12を参照すると、走査型SQUID RF磁気計が実際のICパッケージ60におけるオープンを検出する能力を調査するために、10マイクロメートル幅のレーザーカットオープンがICパッケージにおいて作成された。3dB電力スプリッタを使用してICの両端において1mWの電力が供給され、サンプルを200MHzの周波数で作動させた。
図11に示されるRF磁場の振幅は、入口点において強いが、オープン位置に向かって徐々に減衰する。
図12に示される、電流画像への磁場の反転は、電流がオープン位置でゼロ(雑音レベル)まで減少することを確認する。蛇行構造は画像化するのがかなり難しい構造であるが(隣接トレースによる磁場キャンセレーション(cancellation)のために)、11マイクロメートルより優れた空間分解能でオープンの位置が得られた。
【0093】
サンプル形状およびオープン位置に応じて、シングルエンドフィードライン構成または差動フィードライン構成のいずれかが、RF電力をオープン伝導トレースに送り込むのに使用され得る。
図1および3に示されるようなシングルエンドフィードライン構成の場合、フィードライン信号ワイヤ70はオープントレース14(または
図3におけるストリップ線56)に結合される。
図1に示されるアース線72は、浮いたまま放置されるかサンプル接地板74に結合されるかのいずれかであり得る。差動結合の場合、ワイヤの1つ、例えば、高(または低)ワイヤであるワイヤ76が、オープントレースに結合され、低(または高)ワイヤである別のワイヤ78が、浮いたまま放置されるか接地板に結合される。差動接地端子は浮いたまま放置される。
【0094】
RF電力を発生器から2つのチャネルに分割し、オープントレースの両側でそれらを結合することによって、
図7に示されるようにRF電力をオープンの両側に同時に送り込むことも可能である。各チャネルは、上で提示したように、シングルエンド結合構成または差動結合構成のいずれかにおいて結合され得る。2つのチャネル間に振幅不均衡、ならびに位相差、例えば180度カプラ176を使用することによる
図18に提示される0から180度など、を導入することが可能である。
【0095】
本発明の最終的な目標は、DC SQUIDベースのRF磁気計を採用して調査対象の電子デバイス18におけるオープン欠陥を検出することである。
【0096】
DC SQUIDの使用は、電子デバイスにおける磁場(または磁気電流)の高感度な測定を実行することを可能にする。DC SQUIDベースの磁気計の、RF(さらにマイクロ波周波数でも)領域で動作する能力は、DC信号または低周波信号は「オープン」欠陥により遮断される伝導路に沿って伝播できないため、DC域(diapason)または低周波域で動作するDC SQUIDベースの磁気計には可能でなかった、「オープン」欠陥の位置測定を可能にする。
【0097】
200MHz以上の帯域幅におけるコヒーレント磁場を検出することが可能で、電子デバイスにおけるオープン欠陥位置測定に適用可能である、DC SQUIDをベースにしたRF磁気計が開発された。
【0098】
図2に概略的に示される主題システム30において、SQUID回路32は調査対象の電子デバイス18から生じる磁場を検出し、(式2)において提示されたSQUID電圧を生成する。
【0099】
V
SQUIDに対応する信号がSQUID回路32から、
図13〜18に詳細に提示されるSQUID RFおよびAC電子ユニット44に供給される。ユニット44の機能は、対象の電子デバイスから生じるRF磁場の尺度である、後でさらに論じられる出力IF信号を作り出すことである。出力IF信号は、SQUID先端34が電子デバイス18にわたって走査されるときに複数の磁場値を得るために、コンピュータシステム40に供給される。データは、FFT変換によって処理し、電流画像(
図5、9、および12に示される)をデバイス設計レイアウト50の光学画像と位置合わせするために、データ分析ユニット48に供給される。このことが、電流画像が電流の消失を示す、すなわち、電流の値が実質的に「0」(雑音レベル)に減少するレイアウトの位置でオープン欠陥の正確な位置を示す。伝導路レイアウトの光学画像(CADファイル)と重ね合わせられたRF電流画像は、任意の出力形式で(光学、デジタルなど)、ディスプレイ52に出力され、オープン欠陥の位置を示す。
【0100】
図13〜18を参照すると、システム30のSQUID RFおよびAC電子ユニット44は、超伝導ループ92において接続される2つのジョセフソントンネル接合90で構成されたDC SQUID回路32を利用する。SQUID回路32が接合の臨界電流を超える定電流でバイアスをかけられたとき(電流は、臨界電流の最大値まで電圧降下なしに接合に存在する)、SQUIDループを貫通する磁束Φにおける変化が、本明細書においてさらにSQUID応答と称される、SQUIDにわたる電圧降下における変化を生じる。
【0101】
SQUID応答を線形化し、その動的範囲を増加させるために、SQUID磁気計を磁束ロックループ(FLL)レジームにおいて動作させる。このレジームにおいて、磁束ロックループ(FLL)回路94は多重分離回路96を介してSQUID回路32に結合される。
【0102】
FLL回路94は、定電流I
bを生じ、SQUID回路32にバイアスをかける電流源98(本明細書において「バイアス」とも称される)と、デカップリングコンデンサ100と、昇圧器(step up transformer)102と、低雑音増幅器104と、FLLロックイン増幅器106と、フィードバック抵抗器110と、電流加算器112と、SQUID回路32に近接して配置され、変調磁束とフィードバック磁束をSQUID回路32に誘導結合する変調コイル114とを含む。
【0103】
図19および
図13〜18を参照すると、約Φ
0/4の振幅を有するω
mの周波数で振動する磁束が、SQUID回路32に近接して配置され誘導結合される変調コイル114によってSQUID回路32に適用される。変調周波数ω
mは、100Hzから10MHzまでの範囲内であり得る。
【0104】
周波数ω
mを基準とするFLLロックイン増幅器106は、SQUID出力電圧を復調し、その出力は積分器108によって積分され、反転され、フィードバック抵抗器110および電流加算器112を介して変調コイルにフィードバックされる。
【0105】
SQUIDの準静的磁束がnΦ
0、n=0、1、2、…、であるとき、SQUIDの電圧が基本波を含まないため、FLLロックイン増幅器106のロックイン出力はゼロである。準静的磁束がnΦ
0より大きいまたは小さい場合、FLLロックイン増幅器106の出力はそれぞれ、正または負であり、フィードバック信号は準静的磁場Φ
DCに比例する。
【0108】
が変調コイル114を介してSQUID回路に適用され、SQUID準静的磁束は、nΦ
0で「ロック」される。DC SQUID回路32が、変調磁束
【0110】
(これはV−Φ関数の最小nΦ
0に「ロック」される)
を有するFLL回路94に組み込まれたことを考慮すると、SQUIDに対するRF磁束
【0112】
の適用は、SQUIDループを貫通する総磁束を等しくする。
【0114】
Φ
RF(t)<Φ
0/4およびΦ
m〜Φ
0/4であれば、SQUIDは、0度(
【0118】
に対して)の間で、周波数ω
mで二相変調されたRF電圧を出力する。例えば、
図19に示される矩形波変調は、SQUIDに各半周期についてV−Φ関数の最大勾配でバイアスをかけるであろう。矩形波116は、FLLに対して誤り(フィードバック)信号を提供するのに使用される低周波変調磁束である。最初の半周期の間、変調磁束は1.25Φ/Φ
0の値を有し、効果的にSQUIDにV−Φ曲線118の最大正勾配でバイアスをかける。変調磁束116が0.75Φ/Φ
0である第2の半周期の間にも、同じことが起こる。しかしながら、SQUIDはV−Φ曲線118の最大負勾配でバイアスをかけられる。
【0119】
RF磁束120が変調磁束116の上に重ね合わせられた場合、SQUIDは、RF磁束120の振幅を掛けた1.25Φ/Φ
0または(0.75Φ/Φ
0)でV−Φ曲線の勾配に比例する振幅を有するRF電圧(「SQUID電圧」)122を出力する。すなわち、RF磁束観点からは、SQUIDは、変調の第1の半周期および第2の半周期の間にそれぞれ1.25Φ/Φ
0および0.75Φ/Φ
0で「バイアスをかけられた」ように見える。
【0120】
さらに、SQUID RF電圧122は、0度と180度の間で変調周波数ω
mで二相変調さる。RF電圧は、変調の第1の半周期の間、0度相を有し(正勾配のために)、変調の第2の半周期の間、180度相を有する(負勾配のために)。
【0121】
図13〜18を再び参照すると、多重分離回路96において多重分離した後、SQUID電圧126は、低周波信号成分128とRF周波数信号成分130に分離される。多重分離回路96は、SQUIDの出力RF電圧126に対してハイパスフィルタリングを実行する単一バイアスT回路132(
図14に提示されるように)、または二重バイアスT回路132(
図13および15〜18に示されるように)を実装され得る。
【0122】
出力されたSQUIDのRF電圧126からの単離後、RF周波数信号成分130はRF復調回路134により処理され、ここでRF周波数信号成分130が、平衡低雑音増幅器(LNA)(複数可)136によりまず増幅され、
図13および15〜18に提示される実施形態に示されるように、180度カプラ138により差動信号からシングルエンド信号に変換される。
【0123】
カプラの出力は、周波数ω
RFを基準とするRFロックイン増幅器140により復調され、この出力は、増幅器142を介して、周波数ω
mを基準とする中間周波数(IF)ロックイン増幅器144に供給される。適切な動作のために、RFロックイン増幅器140の出力帯域幅は、周波数ω
mより大きい、すなわち、周波数ω
mはRFロックイン増幅器140の出力帯域幅の範囲内にある。
【0124】
以下の段落において提示するように、IFロックイン増幅器144の同相出力X
IF(IF信号)はRF磁場の振幅および位相の両方に比例する。
【0126】
上式中、G
totはシステムの総利得である。
【0127】
同時に、バイアスT回路132のDC出力(低周波信号成分128)が、FLL回路94に供給され、このフィードバックがSQUIDの静的磁束の従来の尺度をもたらす。
【0128】
周波数ω
RF≫周波数ω
mにより、RFロックイン増幅器140およびIF復調回路(IFロックイン増幅器)144は、それぞれお互いに影響することなく同時に動作する。RFロックイン増幅器140からの変調磁束出力は、RF磁束に対するACバイアスおよびFLL回路94に対する変調磁束の両方として役割を果たす。
【0129】
図13〜18に示されるように、復調回路(IFロックイン増幅器)144(または乗算器158)はFLL回路94に結合され、変調レジームを決定する。例えば、矩形波変調の場合には(
図19に示されるように)、SQUID回路32は、各半周期についてそれぞれV−Φ関数の最大勾配(正および負)でバイアスをかけられるであろう。SQUIDループの外で生じるスプリアスRF信号は相変調を有さないので、それらはダブルロックイン技術により効率的に排除される。
【0130】
図13〜14に示すように、RF電力が、RFロックイン増幅器140から可変減衰器148を介して電子デバイス18に供給される。本実施形態では、RF周波数の範囲は、1MHzから200MHzまでであり得る。
【0131】
図14に示される本発明のRF磁気計の代替的実施形態において、単一バイアスT回路132、単一デカップリングコンデンサ100、および単一RF LNA136を有するシングルエンド構成が、RF復調回路134において使用される。本実施形態では、
図13の180度カプラ138は省略され、RF周波数帯域幅は、およそ1MHzから200MHzまでの範囲であり得る。
【0132】
図13、14および18に示されるRFロックイン増幅器140は、
図15〜17に示されるように、RFミキサー/乗算器150により置き換えられてもよい。この場合、RF電源152からのRF電力は、カプラ154を介してミキサー150の局部発振器156および電子デバイス18に送達される。本実施形態では、RF周波数の範囲は、およそ1MHzから200GHzまで延長し得る。
【0133】
図15および18に示されるように、バンドパスフィルタ166が、RFロックイン増幅器140(またはRFミキサー150)と増幅器142の間に結合され得る。
【0134】
図15に提示されたスキームの追加の版を示す
図16を参照すると、IFロックイン増幅器144が乗算器158で置き換えられている。本実施形態では、関数発生器160が変調信号をFLL回路94に、基準信号の周波数ω
mを局部発振器LOを介して乗算器158に供給する。
【0135】
図16に示されたスキームの別の実施形態を示す
図17を参照すると、FLLロックイン増幅器106は乗算器162で置き換えられている。
【0136】
ユニット44のさらなる代替的実施形態を提示する
図18を参照すると、測定スキームは、これを介してRFロックイン増幅器140により生成されたRF信号が、低温装置174内に封入されたSQUID回路32に結合される差動接続線168を含む。ローパスRFフィルタ169は、フィルタリングされたRF信号を減衰器148に通過させる。信号はさらに180度カプラ176において分割され差動信号になり、これは一対のバイアスT回路170に供給され、ここで差動RF信号はFLL回路94から来る変調信号およびフィードバック信号と組み合わされる。重ね合わせられた信号は、変調コイル172を介してSQUID回路32に誘導結合される。減衰器148設定を変更することにより、RF磁束の関数としてのIF信号の依存性を得ることができる。
ロックインシミュレーション
本発明のダブルロックイン手法を分析的にモデル化するために、式(1)をI
b>2I
cについて以下のように概算することができる。
【0138】
約Φ=nΦ
0(n=0、1、2、…)では、(式5)は
【0142】
は、Φ=(n+0.25)Φ
0におけるSQUID利得である。
以下の磁束がSQUIDに適用される:
RF磁束
【0146】
およびFLL欠点(imperfections)Φ
offによるnΦ
0からの寄生の静的オフセット。
【0147】
RFロックイン増幅器140の入力におけるコヒーレントスプリアスRF電圧は、
【0150】
バイアスT回路132のハイパスフィルタリング効果を考慮に入れると、RFロックイン増幅器140により観察される総電圧は:
【0152】
である。
上式中、G
LNAはLNA136電圧利得である。
【0153】
(式6)にRFロックイン標準G
RFsin(ω
RFt)を掛け、DC項および低周波項のみを保有することで、RFロックイン同相出力が得られる:
【0155】
上式中、G
RFはRFロックインの総利得である。
【0156】
寄生のDCオフセットおよびスプリアスRF電圧と関連した信号は、式9においてDC項として現れるため、それらはIFロックイン増幅器144の後に除去される。(式9)にIFロックイン標準G
IFsin(ω
mt)を掛けることにより、IFロックイン同相出力、すなわちIF信号が得られる:
【0158】
上式中、G
IFはIFロックイン増幅器144の総利得である。
【0160】
を選択することにより、IF信号は最大化され得る:
【0162】
上式中、G
TOT=0.5G
IFG
RFG
LNAG
SQUIDは全システムの純利得である。
【0163】
(式11)の右辺中のG
TOTおよびΦ
mの両方が固定されており周知である。
実験設定
32x32μm
2の有効ループ面積を有するバイクリスタル(bi−crystal)SrTiO
3基板上の商業用YBa
2Cu
3O
7DC SQUIDおよび単一変調コイルを、オープン欠陥検出のために使用した。1x1mmの大きさのSQUID洗浄器を、先細になったサファイアロッドの端面に接着した。SQUIDの臨界電流は11μAであり、通常接合抵抗は3オームであり、接触抵抗は1オーム未満であり、自己インダクタンスは200pHであった。測定は、遮蔽なしに77.4Kにおいて液体窒素浴中で行われた。
【0164】
すべての電子機器44は、室温で動作させ、3つの主なセクション:同期RF復調器(RFロックイン増幅器)140(またはRFミキサー150)、同期IF復調器(IFロックイン増幅器)144(または乗算器158)、およびFLL回路94を含んでいた(
図13〜18に示される)。
【0165】
図18に示される、差動信号伝達は、低レベルRF信号および低レベルAC信号について、SQUID回路32および変調コイル172端子を2対の50Ωステンレススチール同軸ケーブルの内部導体にワイヤボンディングすることにより実装された。この手法は、コモンモード雑音、
図18に示される差動接続線168を排除しながら、それぞれ自然にバランスのとれた電源および負荷であるSQUIDと変調コイルの双方を利用する。これはまた、SQUIDとRF電子機器の間のインピーダンス不整合の問題を解決し、これにより広帯域システムにつながる。
【0166】
RF復調器は、2対の平衡超低雑音増幅器(LNA)136と、180度ハイブリッドカプラ138と、200MHzRF帯域幅を有するRFロックイン増幅器140[SRS844]とを含む。LNA136による前増幅の後に、RF信号は、180度カプラ138により差動からシングルエンドに変換され、周波数ω
RFを内部基準とするRFロックイン増幅器140に供給された。RF磁場のレベルに応じて、RFロックイン増幅器140の純利得は10
3から10
5へと変化した。試験設定における最良の達成可能なRFロックイン感度は、100μV(10
5RFロックイン純利得)であり、スプリアスRF信号により制限された。RFロックインは、100μsの最小時定数を有したので、最大変調周波数ω
mは2kHzで制限された。
【0167】
周波数ω
mを中心としたアクティブ低雑音バンドパスフィルタ166を通過した後、RFロックインの出力は、周波数ω
mを内部基準とするIFロックイン増幅器144に供給された。IFロックイン純利得は10であり、時定数は100から500msまでであった。SQUID回路32と180度カプラ138の間に形成された定在波は、周波数2ω
mで振幅変調されたスプリアスRF信号を生じた。スプリアスRF信号は、周波数ω
mを基準とするIFロックイン増幅器144により拒絶された。
【0168】
図2〜18のユニット(IFロックイン増幅器)144において利用されるダブルロックイン技術(RFロックインおよびIFロックイン)は、SQUIDを同軸ケーブルに接続する配線ループによるコヒーレントピックアップ(pick−up)、設定全体の励起アームと検出アームの間の近接場カップリング(クロストーク)、バイアスTのDCからRFポートへのRFピックアップの漏洩、ならびにLO(局部発振器)からRFロックインのRFポートへのRF漏洩によるスプリアスRF信号を排除する。
【0169】
2kHz正弦波変調および100Hz帯域幅を有するFLL回路94を、容量結合された入力変換器である昇圧器102、差動超低雑音前置増幅器104、周波数ω
mを外部基準とするFLLロックイン増幅器106、積分器108、および電流加算器112で設計した。2オーム入力のフィードバック抵抗器110が室温にある状態で、前置増幅器104は、10
5の利得および2kHzにおいて<0.5nV/√Hzの電圧雑音密度を有した。
【0170】
50から200MHz以上までのコヒーレント磁場を検出することが可能なDC SQUIDベースのRF磁気計が、電子デバイスにおけるオープン欠陥の位置測定のために実証された。システムは、200MHzにおける磁束雑音密度が4μΦ
0/√Hz未満である4桁を超えるRF動的範囲を提供する。
【0171】
読み出し電子機器における送信線遅延により帯域幅が制限される既存のSQUID FLLとは異なり、本主題RF磁気計における上限周波数はRFロックイン帯域幅のみにより制限され、ディスクリート乗算器(ミキサー)を使用することによりGHz範囲にまで延長され得、ディスクリート乗算器(ミキサー)は変調周波数を増加させることも可能にする。キャリア/位相回収モジュールの実装は、未知の位相を有する調波RF信号を感知する一助となり得る。
【0172】
本発明を、その特定の形式および実施形態と関連して記載してきたが、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の精神または範囲から逸脱することなく、上で論じたもの以外の様々な改変が用いられ得ることが理解されよう。例えば、同等の要素が具体的に示され記載されたものを置換してもよく、特定の特徴をその他の特徴と独立して使用してもよく、ある場合には、要素の特定の位置を逆にしても割り込ませてもよく、これらはすべて添付の特許請求の範囲において定義される本発明の精神または範囲から逸脱することなく行われる。