特許第6039787号(P6039787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039787
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】高圧ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F02M 59/44 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   F02M59/44 P
   F02M59/44 E
   F02M59/44 U
   F02M59/44 Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-246069(P2015-246069)
(22)【出願日】2015年12月17日
(62)【分割の表示】特願2012-203457(P2012-203457)の分割
【原出願日】2012年9月14日
(65)【公開番号】特開2016-35268(P2016-35268A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2015年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社日本自動車部品総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】松本 哲平
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 修
(72)【発明者】
【氏名】松本 典也
(72)【発明者】
【氏名】宮本 裕
【審査官】 中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭47−048522(JP,B1)
【文献】 特開昭50−107507(JP,A)
【文献】 特開昭50−131110(JP,A)
【文献】 実開昭60−116402(JP,U)
【文献】 実開平04−019938(JP,U)
【文献】 特開平06−144463(JP,A)
【文献】 実開平06−080852(JP,U)
【文献】 特開平09−195953(JP,A)
【文献】 特開2000−168622(JP,A)
【文献】 特開2000−205074(JP,A)
【文献】 特開2002−193051(JP,A)
【文献】 国際公開第02/055881(WO,A1)
【文献】 特開2003−148294(JP,A)
【文献】 特表2003−535699(JP,A)
【文献】 特開2004−052664(JP,A)
【文献】 特開2006−026638(JP,A)
【文献】 特表2009−543966(JP,A)
【文献】 特開2011−106470(JP,A)
【文献】 特開2011−144700(JP,A)
【文献】 特開2012−211551(JP,A)
【文献】 特表2014−500443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/00−37/22
F02M 39/00−71/04
F04B 9/00−15/08
F04B 25/00−37/20
F04B 41/00−41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を圧送する高圧ポンプ(10)であって、
固定部材(11)と、
軸方向へ往復移動可能であり、加圧室(24)を形成しているプランジャ(30)と、
前記加圧室に連通している吸入通路(37)および吐出通路(38)を有する通路部材(35)と、
前記通路部材に対し前記固定部材とは反対側に位置する底部(42、96)、および、前記通路部材を取り囲み、一端部が前記固定部材に固定されている外壁(41、81、86、91)を有するハウジング(40、80、85、90、95)と、
を備え、
前記ハウジングの前記外壁には、凹部(54、82、87、92)および凸部の少なくとも一方が形成されていることを特徴とする高圧ポンプ。
【請求項2】
前記ハウジングの前記外壁は、平板部(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8)を含み、
前記凹部または前記凸部は、前記平板部の中央に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の高圧ポンプ。
【請求項3】
前記凹部または前記凸部は、複数のディンプル(55)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の高圧ポンプ。
【請求項4】
前記凹部または前記凸部は、円形状または楕円形状に延びる溝(83)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の高圧ポンプ。
【請求項5】
前記凹部または前記凸部は、軸方向へ延びる一本または複数本の溝(88)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の高圧ポンプ。
【請求項6】
前記凹部または前記凸部は、互いに交差する複数本の溝(93)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の高圧ポンプ。
【請求項7】
前記ハウジング(95)の前記底部(96)は、前記通路部材とは反対側に膨らむドーム形状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の高圧ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料を圧送する高圧ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料タンクから吸入した燃料を例えばコモンレールまたはデリバリーパイプ等に圧送するプランジャ式の高圧ポンプが知られている。特許文献1に開示された高圧ポンプでは、プランジャの摺動部、加圧室、吸入通路および吐出通路は、ブロック状のハウジングが有している。ハウジングは、高圧ポンプの外部に露出するため、耐食性が比較的高い材料から構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−144700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、耐食性が高い材料は一般に強度が低い。そのため、特許文献1に開示された高圧ポンプでは、ハウジングの強度を確保するという観点から、ハウジングを軽量化のために薄肉化することができないという問題がある。
上記問題に対し、プランジャの摺動部、加圧室形成部および通路形成部をハウジングから分割して構成することが考えられる。これによれば、ハウジングは、加圧室の燃料の圧力を直接受けないため、薄肉化することができる。
【0005】
しかしながら、薄肉化されたハウジングは振動し易く、騒音の発生が懸念される。また、高圧ポンプが取り付けられたエンジンの振動周波数がハウジングの固有振動数に一致すると、ハウジングの振幅が大きくなる現象すなわち共振が生じ、騒音がさらに大きくなるおそれがある。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハウジングの振動を抑制可能な高圧ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、燃料を圧送する高圧ポンプであって、固定部材と、プランジャと、通路部材と、ハウジングとを備えている。プランジャは、軸方向へ往復移動可能であり、加圧室を形成している。通路部材は、加圧室に連通している吸入通路および吐出通路を有する。
【0007】
ハウジングは、底部および外壁を有する。底部は、通路部材に対し固定部材とは反対側に位置する。外壁は、通路部材を取り囲み、一端部が固定部材に固定されている。外壁には、凹部および凸部の少なくとも一方が形成されている。
したがって、ハウジングの外壁は、凹部または凸部により剛性が上げられており、振動しにくい。例えば、凹部または凸部が外壁の振動加速度のピーク値を小さくするように作用する場合、外壁の最大振幅を小さくすることができる。また、凹部または凸部が外壁の固有振動数を高周波側にずらすように作用する場合、従来のように凹部または凸部が無いハウジングだと共振が発生していた周波数帯域において振動を抑制することができる。
【0008】
そのため、高圧ポンプがエンジンに取り付けられたとき、凹部または凸部は、エンジンの振動によってハウジングが加振されることに起因した外壁の振動レベルを下げるか、あるいは共振を回避することができる。それゆえ、ハウジングの外壁の振動に起因した騒音の発生を抑制することができる。
また、ハウジングの外壁は、従来のように凹部または凸部が無いものと比べて表面積が増加する。そのため、ハウジングは、外壁の内部から外部への放熱効果が高められている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態による高圧ポンプを説明する図である。
図2図1のII−II線断面図である。
図3図1のIII−III線断面図である。
図4図1のハウジングの正面図である。
図5図1のハウジングの上面図である。
図6図4のハウジングのVI−VI線切断面端面図である。
図7図1の固定部材が所定の方向へ加振されたときのハウジングの筒部の振動周波数と振動加速度との関係を表す図である。
図8】本発明の第2実施形態による高圧ポンプのハウジングの正面図である。
図9図8のハウジングのIX−IX線切断面端面図である。
図10】本発明の第3実施形態による高圧ポンプのハウジングの正面図である。
図11図10のハウジングのXI−XI線切断面端面図である。
図12】第3実施形態による高圧ポンプの固定部材が所定の方向へ加振されたときのハウジングの筒部の振動周波数と振動加速度との関係を表す図である。
図13】本発明の第4実施形態による高圧ポンプのハウジングの正面図である。
図14図13のハウジングのXIV−XIV線切断面端面図である。
図15】本発明の第5実施形態による高圧ポンプのハウジングの正面図である。
図16図15のハウジングのXVI−XVI線切断面端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づき説明する。実施形態同士で実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による高圧ポンプを図1図2および図3に示す。高圧ポンプ10は、エンジンのインジェクタに燃料を供給するポンプである。
先ず、高圧ポンプ10の概略構成を説明する。高圧ポンプ10は、固定部材11、シリンダ20、プランジャ30、通路部材35、ハウジング40、吸入弁60および吐出弁70を備えている。以下の説明では、図1の上を「上」、図1の下を「下」として説明する。
【0011】
固定部材11は、エンジンの外壁に固定可能なフランジ部12と、フランジ部12から上方に突き出す円筒状のシリンダ保持部13と、フランジ部12から下方へ突き出す円筒状のエンジン嵌合部14とを有している。
シリンダ20は、有底筒状に形成され、底側端部21が開口端部22に対し上方に位置するように固定部材11のシリンダ保持部13を軸方向へ貫通している。シリンダ20は、固定部材11のシリンダ保持部13に例えば圧入により固定されている。
【0012】
プランジャ30は、シリンダ20の開口端部22から当該シリンダ20内部に挿入され、シリンダ20の内壁により軸方向へ往復移動可能に支持されている。プランジャ30の上端部31は、シリンダ20の底面23との間に加圧室24を区画形成している。プランジャ30は、下端部32に固定されたスプリングシート33を介してスプリング34により下方へ付勢されている。加圧室24の容積は、プランジャ30が下方へ移動すると大きくなり、プランジャ30が上方へ移動すると小さくなる。
【0013】
通路部材35は、プランジャ30の軸方向に直交する方向へ長手状をなす直方体であり、長手方向の中央を短手方向へ貫通する収容孔36と、収容孔36から長手方向の一方に延びる吸入通路37と、収容孔36から長手方向の他方に延びる吐出通路38とを有している。収容孔36には、シリンダ20の底側端部21が例えば圧入により固定されている。吸入通路37は、シリンダ20の吸入孔25を通じて加圧室24に連通している。吐出通路38は、シリンダ20の吐出孔26を通じて加圧室24に連通している。
【0014】
ハウジング40は、筒部41および底部42を形成している。筒部41は、シリンダ20の底側端部21および通路部材35を取り囲む筒状であり、下端部が固定部材11のフランジ部12に例えば溶接により固定されている。底部42は、筒部41の上端部を塞いでおり、筒部41と一体に形成されている。筒部41は、周方向位置が吸入通路37と一致する第1取付孔43と、周方向位置が吐出通路38と一致する第2取付孔44と、インレットパイプ48が取り付けられた第3取付孔45とを有している。
【0015】
ハウジング40と固定部材11とは、燃料ギャラリ46を区画形成している。燃料ギャラリ46のうちハウジング40の底部42と通路部材35との間には、燃料の圧力脈動を低減するためのパルセーションダンパ47が設けられている。燃料ギャラリ46にある燃料は、通路部材35の連通孔39および吸入通路37を通じて加圧室24に供給される。
【0016】
吸入弁60は、吸入通路37を開閉可能な電磁弁であり、筒状ハウジング61、吸入弁ボディ62、吸入弁部材63、スプリング64、可動コア65、固定コア66およびコイル67などを備えている。筒状ハウジング61は、ハウジング40の筒部41の第1取付孔43を挿通し、通路部材35の吸入通路37の内壁に例えばねじ締結により固定されている。筒状ハウジング61とハウジング40との隙間は、溶接により封止されている。
可動コア65は、コイル67が通電されると固定コア66側に吸引され、吸入弁部材63を吸入弁ボディ62に着座させる。また、スプリング64は、コイル67が非通電となると吸入弁部材63を吸入弁ボディ62から離座させる。吸入弁部材63は、吸入弁ボディ62に着座すると吸入通路37を閉じ、吸入弁ボディ62から離座すると吸入通路37を開ける。
【0017】
吐出弁70は、吐出通路38を開閉可能であり、筒状ハウジング71、吐出弁ボディ72、吐出弁部材73およびスプリング75を備えている。筒状ハウジング71は、ハウジング40の筒部41の第2取付孔44を挿通し、通路部材35の吐出通路38の内壁に例えばねじ締結により固定されている。筒状ハウジング71とハウジング40との隙間は、溶接により封止されている。
吐出弁部材73は、加圧室24の燃料の圧力が所定値以上になると、当該燃料の圧力により吐出弁ボディ72から離座する。また、スプリング75は、加圧室24の燃料の圧力が所定値を下回ると吐出弁部材73を吐出弁ボディ72に着座させる。吐出弁部材73は、吐出弁ボディ72から離座すると吐出通路38を開け、吐出弁ボディ72に着座すると吐出通路38を閉じる。
【0018】
以上のように構成された高圧ポンプ10では、吸入弁60が吸入通路37を開けているとき、加圧室24の燃料はプランジャ30が上昇しても加圧されず、吸入通路37を経由して燃料ギャラリ46に戻される。
一方、吸入弁60が吸入通路37を閉じているとき、加圧室24の燃料はプランジャ30が上昇すると加圧され、圧力が所定値以上になると吐出弁70を押し開けて外部に吐出される。
【0019】
次に、ハウジング40の特徴構成を図2図6に基づき説明する。
ハウジング40の筒部41は、プランジャ30の軸方向において底部42側から順に第1円形部51、多辺形部52、および第2円形部53を形成している。第1円形部51および第2円形部53は、プランジャ30の軸心に直交する横断面形状が円形であり、多辺形部52は横断面形状が多辺形である。本実施形態では、多辺形部52は、横断面形状が八辺形であり、8つの平板部S1〜S8が含まれている。
【0020】
ここで、図3において、多辺形部52のうち第1取付孔43が形成されている箇所を平板部S1とし、時計まわりに平板部S2、平板部S3、平板部S4、平板部S5、平板部S7、平板部S7、および平板部S8とすると、平板部S2、S3、S6、S7およびS8は、凹部からなる強化部54を外壁に有している。強化部54は、平板部S2、S3、S6、S7およびS8の中央に設けられており、複数のディンプル55を有している。ハウジング40の筒部41は、強化部54によって剛性が上がるとともに表面積が増している。
【0021】
以上説明したように、第1実施形態による高圧ポンプ10では、ハウジング40の筒部41は、複数のディンプル55を有する強化部54によって剛性が上げられており、振動しにくくなる。例えば、ハウジング40の筒部41の平板部S3と平板部S7とを結ぶ方向へ固定部材11を所定の加速度で加振した場合、平板部S7の振動周波数と振動加速度との関係は、図7に実線で示すようになる。図7に破線で示すのは、ハウジングの筒部に強化部54が設けられていない比較形態の振動周波数と振動加速度との関係である。図7に示すように、第1実施形態によるハウジング40の平板部S7の振動加速度のピーク値は、比較形態の振動加速度のピーク値に対し小さい。すなわち、強化部54は、ハウジング40の筒部41の振動における共振点を分割し、振動加速度を分散させる。
【0022】
そのため、高圧ポンプ10がエンジンに取り付けられたとき、強化部54は、エンジンの振動によってハウジング40が加振されることに起因したハウジング40の筒部41の振動レベルを下げることができる。それゆえ、ハウジング40の筒部41の振動に起因した騒音の発生を抑制することができる。
また、ハウジング40の筒部41は、従来のように強化部54が無いものと比べて表面積が増加しており、内部から外部への放熱効果が高められている。
【0023】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による高圧ポンプを図8および図9に基づき説明する。ハウジング80の筒部81の強化部82は、楕円形状に延びる溝83を有している。ハウジング80の筒部81は、強化部82によって剛性が上がるとともに表面積が増している。例えば、ハウジング80の筒部81の平板部S3と平板部S7とを結ぶ方向へ固定部材を所定の加速度で加振した場合、図7に示すように、実線で示すハウジング80の平板部S7の振動加速度のピーク値は、破線で示す強化部82が設けられていない比較形態の振動加速度のピーク値に対し小さくなる。
【0024】
したがって、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、ハウジング80の筒部81の振動に起因した騒音の発生を抑制することができ、またハウジング80の内部から外部への放熱効果が高めることができる。
【0025】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による高圧ポンプを図10および図11に基づき説明する。ハウジング85の筒部86の強化部87は、軸方向へ延びる二本の溝88を有している。ハウジング85の筒部86は、強化部87によって剛性が上がるとともに表面積が増している。例えば、ハウジング85の筒部86の平板部S3と平板部S7とを結ぶ方向へ固定部材を所定の加速度で加振した場合、平板部S7の振動周波数と振動加速度との関係は、図12に実線で示すようになる。図12に破線で示すのは、ハウジングの筒部に強化部87が設けられていない比較形態の振動周波数と振動加速度との関係である。図12に示すように、第3実施形態によるハウジング85の平板部S7の振動加速度のピーク値は、比較形態の振動加速度のピーク値に対し高周波側にずれている。
【0026】
そのため、高圧ポンプがエンジンに取り付けられたとき、ハウジング85の強化部87は、従来のように強化部87が無いハウジングだと共振が発生していた周波数帯域において、振動を抑制することができる。したがって、第3実施形態によれば、ハウジング85の筒部86の振動に起因した騒音の発生を抑制することができ、またハウジング85の内部から外部への放熱効果が高めることができる。
【0027】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態による高圧ポンプを図13および図14に基づき説明する。ハウジング90の筒部91の強化部92は、互いに交差する二本の溝93を有している。ハウジング90の筒部91は、強化部92によって剛性が上がるとともに表面積が増している。例えば、ハウジング90の筒部91の平板部S3と平板部S7とを結ぶ方向へ固定部材を所定の加速度で加振した場合、図12に示すように、ハウジング90の平板部S7の振動加速度のピーク値は、強化部92が設けられていない比較形態の振動加速度のピーク値に対し高周波側にずれている。
【0028】
したがって、第4実施形態によれば、第3実施形態と同様に、ハウジング90の筒部91の振動に起因した騒音の発生を抑制することができ、またハウジング90から外部への放熱効果が高めることができる。
【0029】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態による高圧ポンプを図15および図16に基づき説明する。ハウジング95の底部96は、外側に膨らむドーム形状である。これによってハウジング95の底部96は剛性が上がるとともに表面積が増している。
したがって、第5実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏し、さらに、ハウジング95の底部96の振動が抑制され騒音の発生を一層抑制することができ、またハウジング95から外部への放熱効果を一層高めることができる。
【0030】
(他の実施形態)
本発明の他の実施形態では、ハウジングの筒部の強化部は、凸部から構成されてもよい。また、ハウジングの筒部の強化部は、凹部および凸部から構成されてもよい。
本発明の他の実施形態では、ハウジングの筒部の強化部は、ディンプルと溝との組み合わせで構成してもよい。つまり、強化部は、複数種類の凹部から構成されてもよい。
本発明の他の実施形態では、ハウジングの筒部の強化部は、平板部ごとに形状が異なっていてもよい。
本発明の他の実施形態では、ハウジングの筒部は、少なくとも一つの強化部を有していればよい。
本発明の他の実施形態では、ハウジングの筒部は、多辺形部を形成せず、円形部のみを形成してもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0031】
10・・・高圧ポンプ 11・・・固定部材
20・・・シリンダ 21・・・底側端部
23・・・底面 24・・・加圧室
30・・・プランジャ 35・・・通路部材
37・・・吸入通路 38・・・吐出通路
40、80、85、90、95・・・ハウジング
41、81、86、91・・・筒部(外壁) 42、96・・・底部
54、82、87、92・・・強化部(凹部) 55・・・ディンプル
83、88、93・・・溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
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図16