特許第6039825号(P6039825)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6039825樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光を選択的に放射する波長選択性熱放射材料及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039825
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光を選択的に放射する波長選択性熱放射材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/373 20060101AFI20161128BHJP
   C25F 3/20 20060101ALI20161128BHJP
   C25F 3/02 20060101ALI20161128BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   H01L23/36 M
   C25F3/20
   C25F3/02 C
   H01L23/36 D
【請求項の数】20
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-559383(P2015-559383)
(86)(22)【出願日】2015年4月2日
(86)【国際出願番号】JP2015060447
(87)【国際公開番号】WO2015190163
(87)【国際公開日】20151217
【審査請求日】2015年12月8日
(31)【優先権主張番号】特願2014-122260(P2014-122260)
(32)【優先日】2014年6月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】305027401
【氏名又は名称】公立大学法人首都大学東京
(73)【特許権者】
【識別番号】000103677
【氏名又は名称】オキツモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100060368
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 迪夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】益田 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】近藤 敏彰
(72)【発明者】
【氏名】豊永 隆
(72)【発明者】
【氏名】木村 直史
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 文孝
【審査官】 木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−27831(JP,A)
【文献】 特開2014−33062(JP,A)
【文献】 特開2004−238230(JP,A)
【文献】 特開2013−93293(JP,A)
【文献】 特開2003−332607(JP,A)
【文献】 切替大善,金属被膜シリコンマイクロキャビティのふく射スペクトルに対する表面粗さの影響,第46回日本伝熱シンポジウム講演論文集,[online],2009年 6月,[平成27年11月16日検索]、インターネット<URL:http://www.thtlab.t.u-tokyo.ac.jp/Doc/C1-112.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34−23/473
C25F 3/02
C25F 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱放射光を通過させるように配置することにより、その後に通過させる樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光を選択的に放射する波長選択性熱放射材料であって、
前記波長選択性熱放射材料は、周期的に繰り返され且つ格子状に二次元配列される矩形の開口を有する多数のマイクロキャビティが形成された熱放射面を有しており、そして
前記マイクロキャビティは、開口比a/Λ(a;開口径,Λ;開口の周期)が0.5〜0.9の範囲であり、且つアスペクト比d/a(d;開口の深さ,a;開口径)が3.3以上であり、且つ前記マイクロキャビティを区画するキャビティ壁上部の表面粗さRzが1μm以下であることを特徴とする波長選択性熱放射材料。
【請求項3】
前記開口は、前記樹脂部材の赤外線透過波長域の波長と実質的に同じ周期か又は1μm短い周期で配列されていることを特徴とする請求項1に記載の波長選択性熱放射材料。
【請求項4】
前記開口は、4〜7μmの周期で配列されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の波長選択性熱放射材料。
【請求項5】
波長1〜10μmの赤外領域の放射率が0.4以下の金属材料からなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の波長選択性熱放射材料。
【請求項6】
(100)の結晶面の面積占有率が93%以上であるアルミニウム又はアルミニウムの合金からなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の波長選択性熱放射材料。
【請求項7】
前記熱放射光は、赤外線であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の波長選択性熱放射材料。
【請求項8】
前記樹脂部材は発熱源を覆っており、且つ前記波長選択性熱放射材料は前記発熱源と前記樹脂部材の間に配置されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の波長選択性熱放射材料。
【請求項9】
前記発熱源と前記樹脂部材との間に配置されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の波長選択性熱放射材料。
【請求項10】
金属箔からなる請求項1ないし9のいずれかに記載の波長選択性熱放射材料を製造する方法であって、
(a)所定の開口を有するマスクを前記金属箔の一面に設置して密着させるステップと、
(b)前記マスクの開口部で前記金属箔をエッチングし、前記金属箔にマイクロキャビティを形成するステップと、そして
(c)前記マスクを前記金属箔から剥離するステップと
を含んでいることを特徴とする波長選択性熱放射材料の製造方法。
【請求項11】
前記マスクは、可橈性のポリマーからなることを特徴とする請求項10に記載の波長選択性熱放射材料の製造方法。
【請求項12】
前記マスクは、その表面において、かまぼこ状の押圧面を有するスタンプを用いて押圧し、揺動させることにより、荷重が加えられていることを特徴とする請求項10又は11に記載の波長選択性熱放射材料の製造方法。
【請求項13】
前記スタンプの押圧面は、0.01〜0.2の曲率を有していることを特徴とする請求項12に記載の波長選択性熱放射材料の製造方法。
【請求項14】
前記マスクに加える荷重は、10〜10Paであることを特徴とする請求項12又は13に記載の波長選択性熱放射材料の製造方法。
【請求項15】
前記エッチングの前に、前記マスクの上面に蒸着またはスパッタリングにより銅の薄膜を形成するステップを含んでいることを特徴とする請求項10ないし14のいずれかに記載の波長選択性熱放射材料の製造方法。
【請求項16】
金属箔からなる請求項1ないし9のいずれかに記載の波長選択性熱放射材料を製造する方法であって、
(a)マイクロキャビティの位置に対応して配列された突起を有する押し型を押し付けることにより、前記金属箔の一面に凹部を形成させるステップと、そして
(b)前記金属箔をエッチングし、前記金属箔にマイクロキャビティを形成するステップと、
を含んでいることを特徴とする波長選択性熱放射材料の製造方法。
【請求項17】
前記金属箔の一面に所定の開口を有するマスクを密着させる前に又は前記金属箔の一面に凹部を形成させる前に、前記金属箔を化学研磨処理または電解研磨処理を行うステップを含んでいることを特徴とする請求項10ないし16のいずれかに記載の波長選択性熱放射材料の製造方法。
【請求項18】
前記電解研磨処理は、過塩素酸およびエタノールの混合溶液を用いて行われるものであることを特徴とする請求項17に記載の波長選択性熱放射材料の製造方法。
【請求項19】
前記エッチングは、電解エッチングであることを特徴とする請求項10ないし18のいずれかに記載の波長選択性熱放射材料の製造方法。
【請求項20】
前記電解エッチングは、浴組成が5〜7M塩酸水溶液、浴温が25〜45℃の電解浴を用いて、電解開始時の電流密度が1500mA/cmであり、そして150mA/cm/sの電流密度減少レートで200mA/cmまで電流密度を減少させた後、前記200mA/cmの電流密度を5〜40秒保持するものであることを特徴とする請求項19に記載の波長選択性熱放射材料の製造方法。
【請求項21】
前記電解エッチングにおける浴温は30〜40℃であり、且つ電流密度が200mA/cm時の保持時間が5〜15秒であることを特徴とする請求項20に記載の波長選択性熱放射材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光を選択的に放射する波長選択性熱放射材料及びその製造方法に関し、特に発熱源が赤外線透過波長域を有する樹脂部材で覆われている電子機器において、発熱源と樹脂部材との間に配置することによって、波長選択性熱放射材料の熱放射面から樹脂部材へ向けて、樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光を高い放射率で選択的に放射する波長選択性熱放射材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、電子機器の小型軽量化・高速化・多機能化に伴って半導体部品の高速化、高集積化が促進され、これにより各素子の発熱密度が増大し、局所的な発熱の集中が生じるようになってきている。また、電子機器関係の部品には各種の樹脂材料が使用されているため、熱伝導性が悪いという樹脂材料の特性により、電子機器が発する熱は樹脂製のカバーなどに捕捉されて蓄熱してしまい、温度上昇によって電子機器の故障率が上昇し、各部品の寿命が短くなるという問題があった。
【0003】
このため、本発明者等は上記の問題を解決するため、特開2010−27831号公報(特許文献1)及び特開2014−33062号公報(特許文献2)に記載されているように、発熱源が赤外線透過波長域を有する樹脂部材で覆われている電子機器において、周期的な表面微細凹凸パターンを形成する多数のマイクロキャビティが二次元配列された波長選択性熱放射材料を発熱源と樹脂部材との間に配置することによって、発熱源を覆っている樹脂部材の赤外線に対する透過性を向上(透明化)させて電子機器の放熱効率を向上させる方法や、前記樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光を選択的に放射するために用いられる波長選択性熱放射材料及びその製造方法について開発した。
【0004】
ところで、特許文献1及び2に記載されている波長選択性熱放射材料では、マイクロキャビティの開口径は数μm程度と極めて微細な窪みである。そのため、特許文献1では、半導体フォトリソグラフィ技術と電解エッチング法とを組み合わせることにより、波長選択性熱放射材料にマイクロキャビティを形成させており、特許文献2では、ナノインプリント技術を利用して、型に形成されている平面上に周期的に繰り返される表面微細凹凸パターンを金属材料に対し転写成形することにより、波長選択性熱放射材料にマイクロキャビティを形成させている。
【0005】
しかしながら、従来のような半導体フォトリソグラフィ技術と電解エッチング法との組み合わせ技術では、得られたマイクロキャビティのキャビティ壁上部が欠落したり又は薄肉化するなどするため、当初の設計どおりの放射率で、樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光を選択的に放射することができないという問題があった。また、キャビティ壁上部の欠落や薄肉化についても、樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光の放射特性にどのような影響を与えるのかについて知見がないという課題もあった。
【0006】
特許文献1及び2に記載されている波長選択性熱放射材料では、マイクロキャビティのアスペクト比は0.8〜3.0の範囲が好ましいとされていた。マイクロキャビティのアスペクト比が0.8を下回ると選択放射強度が低下するという不都合を生じるからであり、一方、アスペクトが3.0を上回ると、マイクロキャビティの形成が著しく困難になるという不都合を生じるからである。
【0007】
しかしながら、従来の半導体フォトリソグラフィ技術と電解エッチング法との組み合わせ技術或いはナノインプリント技術では、キャビティ壁上部を荒らすことなく、3.0より大きなアスペクト比を有するマイクロキャビティを形成することが困難であるという問題があった。このため、樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光を選択的に放射する波長選択性熱放射材料において、3.0より大きなアスペクト比を有するマイクロキャビティが形成された波長選択性熱放射材料は知られておらず、またマイクロキャビティのアスペクト比が3.0より大きくなると、波長選択性熱放射材料がどのような放射率で樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光を選択的に放射できるのかという知見もないという課題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−27831号公報
【特許文献2】特開2014−33062号公報
【特許文献3】特開平11−74162号公報
【特許文献4】特開2013−57101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光を選択的に放射する波長選択性熱放射材料において、マイクロキャビティを区画するキャビティ壁上部の表面粗さ(キャビティ壁上部の欠落部又は薄肉部の大きさ)が抑制された波長選択性熱放射材料、若しくは3.0より大きなアスペクト比を有するマイクロキャビティが形成された波長選択性熱放射材料の製造方法を提供すると共に、得られた波長選択性熱放射材料の熱放射特性を調べることにより、樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光を選択的に放射させるのに有効なマイクロキャビティの形態を有する波長選択性熱放射材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光を選択的に放射する波長選択性熱放射材料の製造方法について鋭意検討を重ねた結果、予め一の面に所定の開口を有するマスクを密着させておくか、或いはマイクロキャビティの位置に対応して配列された突起を有する押し型を押し付けることによって予め一面に凹部を形成させた基材に対して異方性エッチングを施すことにより、マイクロキャビティを区画するキャビティ壁上部の表面粗さが抑制された波長選択性熱放射材料、若しくはアスペクト比が3.0より大きなマイクロキャビティを有する波長選択性熱放射材料を得られることを見出した。
【0011】
また、得られた波長選択性熱放射材料の特性を調べることにより、樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光を選択的に放射させるのに有効なマイクロキャビティの形態(開口比、アスペクト比、キャビティ壁上部の表面粗さ)を見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明によれば、(a)所定の開口を有するマスクを基材の一面に設置して密着させるステップと、(b)前記マスクの開口部で前記基材をエッチングし、前記基材にマイクロキャビティを形成するステップと、そして(c)前記マスクを前記基材から剥離するステップとを含む波長選択性熱放射材料の第1の製造方法を用いることにより、樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光を選択的に放射する波長選択性熱放射材料であって、前記波長選択性熱放射材料は、周期的に繰り返され且つ格子状に二次元配列される矩形の開口を有する多数のマイクロキャビティが形成された熱放射面を有しており、そして前記マイクロキャビティは、開口比a/Λ(a;開口径,Λ;開口の周期)が0.5〜0.9の範囲であり、且つ前記マイクロキャビティを区画するキャビティ壁上部の表面粗さ(キャビティ壁上部の欠落部又は薄肉部の大きさ)Rzが1μm以下であることを特徴とする波長選択性熱放射材料が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、(a)マイクロキャビティの位置に対応して配列された突起を有する押し型を押し付けることにより、基材の一面に凹部を形成させるステップと、そして(b)前記基材をエッチングし、前記基材にマイクロキャビティを形成するステップとを含む波長選択性熱放射材料の第2の製造方法を用いることによっても、樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光を選択的に放射する波長選択性熱放射材料であって、前記波長選択性熱放射材料は、周期的に繰り返され且つ格子状に二次元配列される矩形の開口を有する多数のマイクロキャビティが形成された熱放射面を有しており、そして前記マイクロキャビティは、開口比a/Λ(a;開口径,Λ;開口の周期)が0.5〜0.9の範囲であり、且つ前記マイクロキャビティを区画するキャビティ壁上部の表面粗さ(キャビティ壁上部の欠落部又は薄肉部の大きさ)Rzが1μm以下であることを特徴とする波長選択性熱放射材料が提供される。
【0014】
なお、キャビティ壁上部の表面粗さRzとは、図11,13に示されているように、マイクロキャビティを区画するキャビティ壁上部において、マイクロキャビティ上面からキャビティ壁が欠けている部分の深さ、または予定していたキャビティ壁の厚みよりも薄い部分のマイクロキャビティ上面からの長さを意味する。
【0015】
本発明による波長選択性熱放射材料は、発熱源が赤外線透過波長域を有する樹脂部材で覆われている電子機器などにおいて、発熱源と樹脂部材との間に該発熱源を覆うように配置され、発熱源からの熱エネルギーが伝熱または熱放射により波長選択性熱放射材料へ投入され、そして波長選択性熱放射材料の熱放射面から前記樹脂部材へ向けて、樹脂部材の赤外線透過波長域に含まれる熱放射光を選択的に放射させる波長選択性熱放射材料に適用することができる。
【0016】
特にマイクロキャビティのアスペクト比d/a(d;開口の深さ,a;開口径)が3.3以上である場合、本発明による波長選択性熱放射材料は、樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光に対して0.85以上という高い放射率を示すので、赤外線透過波長域を有する樹脂部材で覆われる発熱源の放熱効率を向上させるのに有益である。
【0017】
本発明による波長選択性熱放射材料は、後述する図12に示されるシミュレーションテストにより、マイクロキャビティを区画するキャビティ壁上部の表面粗さRzが1μmより大きくなると、特に4.75〜5.75μmの波長領域のスペクトル放射率のピークが低下する。また、キャビティ壁上部の表面粗さRzが1μmより大きくなると、マイクロキャビティの開口の深さdに関わらず、1〜10μmの波長領域のスペクトル放射率が低下し、特に3〜5.5μmの波長領域のスペクトル放射率のピークが低下する。このため、樹脂部材の赤外線透過波長域に含まれる熱放射光を選択的に放射させることが困難となる。
【0018】
本発明において、波長選択性熱放射材料の熱放射面に形成されるマイクロキャビティの開口比は0.5〜0.9の範囲であることが好ましい。
【0019】
マイクロキャビティの開口比が0.5を下回ると、樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光の選択性が低下するという不都合を生じ、逆に開口比が0.9を上回ると微細構造の構造安定性が低下する不都合を生じるからである。
【0020】
また、波長選択性熱放射材料の熱放射面に形成されるマイクロキャビティのアスペクト比d/a(d;開口の深さ,a;開口径)が3.3以上であることが好ましい。
【0021】
マイクロキャビティのアスペクト比d/aが3.3未満の領域では、アスペクト比d/aの増大に伴って、樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光の放射率が約0.85まで急激に高まるのに対して、アスペクト比d/aが3.3以上の領域では、アスペクト比d/aの増加割合に対し、樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光の放射率の増加割合が急激に低下し、0.85〜1.0の範囲でほぼ横ばいとなってしまうからである。
【0022】
このように、本発明による波長選択性熱放射材料は、発熱源の放熱効率を最大限にするために発熱源と樹脂部材との間に該発熱源を覆うように配置されることが好ましく、さらに樹脂部材の赤外線透過波長域に含まれる熱放射光は、熱の伝達において影響力の大きい赤外線を対象とすることが好ましい。
【0023】
本発明による波長選択性熱放射材料の熱放射面には、表面テクスチャー化(surface texturing)された多数のマイクロキャビティが存在する。これらのマイクロキャビティは、所定の開口比及び所定のアスペクト比を有するように矩形状または円形状に開口し、且つ発熱源を覆っている樹脂部材の赤外線透過波長域の波長と実質的に同じ周期か、または1μm短い周期に形成されていることが好ましい。
【0024】
その理由は、マイクロキャビティの周期を、発熱源を覆っている樹脂部材の赤外線透過波長域の波長と実質的に同じ周期にすると、その周期構造と熱放射光の電磁場とで表面プラズモン共鳴を生じるので、樹脂部材の赤外線透過波長帯域での放射率が増加するからである(共鳴効果)。
【0025】
また、マイクロキャビティの周期を、発熱源を覆っている樹脂部材の赤外線透過波長域の波長よりも1μm短い周期にすると、マイクロキャビティ内に閉じ込められた電磁波の中で最も強い強度を持つモードの波長と樹脂部材の赤外線透過波長域の波長とを一致させることができる。その結果、樹脂部材の赤外線透過波長域で放射率が増加するからである(キャビティ効果)。
【0026】
マイクロキャビティは、平面視野において放射面に格子状に配列されていることが好ましい。格子状の配列は熱エネルギー線の放射率を効率よく増加させるからである。なお、本発明は格子状配列のみに限定されるものではなく、ハニカム構造などの他の配列としてもよい。
【0027】
また、マイクロキャビティが形成される波長選択性熱放射材料は、波長1〜10μmの赤外領域の放射率が0.4以下の金属材料からできていることが好ましい。赤外領域の放射率が0.4を超えると、選択放射特性が低下するという不都合を生じるからである。
【0028】
また、マイクロキャビティの周期は4〜7μmとし、発熱源を覆っている樹脂部材の赤外線透過波長域の赤外線のみを選択的に放出できるようにすることが好ましい。樹脂の種類によって若干赤外線の吸収波長域と透過波長域が異なる場合もあるが、現在電子機器用部材として使用されている樹脂材料のほとんどは上記の波長域を示すことが多いからである。
【0029】
このため、本発明による波長選択性熱放射材料は、発熱源と該発熱源を覆っている樹脂部材との間に配置されることが好ましい。
【0030】
上述したように、本発明による波長選択性熱放射材料は、予め一の面に所定の開口を有するマスクを密着させておくか、或いはマイクロキャビティの位置に対応して配列された突起を有する押し型を押し付けることによって予め一面に凹部を形成させた基材に対して異方性エッチングを施すことにより作製される。
【0031】
本発明による波長選択性熱放射材料の製造において、電気化学エッチング法或いは化学エッチング法により異方性エッチング処理を施すと、マスクの開口または凹部から優先的にエッチングが開始され、エッチング開始位置が高い精度で制御されたエッチング孔の形成を実現することが可能となり、この結果、マイクロキャビティを区画するキャビティ壁上部の表面粗さRzが1μm以下に抑えられた高精度のマイクロキャビティ、若しくは3.0より大きなアスペクト比を有する高い拡面効率のマイクロキャビティが形成された波長選択性熱放射材料を容易に得ることができる。
【0032】
また、上記の異方性エッチングプロセスにおいて、波長選択性熱放射材料を作製するために用いる基材は、(100)の結晶面の面積占有率が93%以上であるアルミニウム又はアルミニウムの合金の金属箔からできていることが好ましい。(100)の結晶面を多く得るためには、焼鈍処理が施されているアルミニウム又はアルミニウムの合金からなる金属箔を用いることが有利である。
【0033】
(100)の結晶面が表面に対して優先的に配向されており、その面積占有率が93%以上であるアルミニウム又はアルミニウムの合金からなる金属箔を用いると、熱放射面に対し垂直に配向されたマイクロキャビティを容易に得ることができる。
【0034】
上記の異方性エッチングプロセスにおいて、予め基材の一の面に所定の開口を有するマスクを密着させておく場合、該マスクは可橈性のポリマーからできていることが好ましい。可撓性を有することで、マスクの密着や剥離操作が容易になり、所望の波長選択性熱放射材料の製造が容易化される。
【0035】
マスクがポリマーからなる場合、マスクの材質は特に限定されないが、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、セルロースアセテート、トリアセチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ系ポリマー等を用いることができる。
【0036】
また、マスクは、その表面から荷重を加えることにより金属箔に密着させていることが好ましく、マスクの密着性および基材の損傷防止を考慮すると、マスクに加える荷重は10〜10Paの範囲であることがより好ましい。
【0037】
マスクに対し、荷重をかけることでマスクを金属箔面に密着させるようにすれば、より確実に所望の密着状態を得ることができる。マスクが箔面に確実に密着されることにより、密着部において互いに対向するマスク面と箔面との間に不要なエッチング液等が侵入しなくなり、マスクの開口部を通しての所望のエッチングがより正確かつ確実に行われるようになる。
【0038】
より具体的には、マスクは、かまぼこ状の押圧面を有するスタンプを用いて押圧し揺動させることにより、転写することができる。また、かまぼこ状のスタンプの押圧面は、0.01〜0.2の曲率を有していることが好ましい。
【0039】
スタンプの押圧面にかまぼこ状の曲率を持たせることにより、マスク転写時に、マイクロキャビティが形成される金属箔とマスクまたは金属箔とスタンプとの間に空気が入り込んでパターンの転写が妨げられるのを防止することができる。また、スタンプの押圧面にかまぼこ状の曲率を持たせると、マスクに加える荷重を低減することもできる。
【0040】
さらに、異方性エッチングプロセスにおいて、予め基材の一の面に所定の開口を有するマスクを密着させておく場合、エッチングの前に、マスクの上面に蒸着またはスパッタリングにより5〜20nm厚みの銅の薄膜を形成させておくと、均一なマイクロキャビティの形成が促進されるので好ましい。
【0041】
上記の異方性エッチングプロセスにおいて、予め金属箔の一の面に所定の開口を有するマスクを密着させておく場合は、金属箔の一面に所定の開口を有するマスクを密着させる前に、またはマイクロキャビティの位置に対応して配列された突起を有する押し型を押し付けることによって予め金属箔の一面に凹部を形成させておく場合は、金属箔の一面に凹部を形成させる前に、金属箔を化学研磨処理または電解研磨処理を施しておくことが好ましい。
【0042】
アルミニウム又はアルミニウムの合金からなる金属箔の表面には、焼鈍処理をはじめとする製造プロセスにおいて、不均一な酸化皮膜層、汚れ、疵などが存在しているため、研磨処理によりこれらを除去することで金属箔表面に形成された酸化皮膜層等の均一化・均質化を図り、この結果、凹部からのエッチング開始に対する選択性が向上し、エッチング開始点制御の精度の向上を実現することが可能となる。
【0043】
また、研磨処理が電解研磨処理である場合は、例えば過塩素酸およびエタノールの混合溶液を用いて電解研磨を施すことができる。
【0044】
マイクロキャビティを形成するために用いる異方性エッチングプロセスは、電気化学エッチング法によるもの又は化学エッチング法によるもののいずれも使用することができるが、特に電解エッチングは、複雑な装置を用いることなくマイクロキャビティを精度よく形成できるので、本発明による波長選択性熱放射材料の製造に好適である。電解エッチングは、例えば5〜7Mの塩酸を含む水溶液を用いて25〜45℃以上の温度で行うことができる。
【0045】
また、電解エッチングプロセスにおいて、予め金属箔の一の面に所定の開口を有するマスクを密着させておく場合は、電解エッチングにおける電解液がマスクやそれに連続して配置されるマスクの支持体などの細孔内に速やかに浸透できるよう、電解液に少量の界面活性剤或いはアルコール類など、マスクの濡れ性の改善を可能にする成分が添加されていることが好ましい。
【0046】
少量の界面活性剤或いはアルコール類などを添加した電解液を用いると、マスクの開口部を通じて金属箔が電解エッチングされるため、精度よくマイクロキャビティが形成された金属箔を製造することができる。
【0047】
具体的な電解エッチングの条件としては、浴組成が5〜7M塩酸水溶液、浴温が25〜45℃の電解浴を用いて、電解開始時の電流密度が1500mA/cmであり、そして150mA/cm/sの電流密度減少レートで200mA/cmまで電流密度を減少させた後、200mA/cmの電流密度を5〜40秒保持することが好ましく、電解エッチングにおける浴温が30〜40℃であり、且つ電流密度が200mA/cm時の保持時間が5〜15秒であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、予め一の面に所定の開口を有するマスクを密着させておくか、或いはマイクロキャビティの位置に対応して配列された突起を有する押し型を押し付けることによって予め一面に凹部を形成させた基材に対して異方性エッチングを施すことにより、マイクロキャビティを区画するキャビティ壁上部の表面粗さ(キャビティ壁上部の欠落部又は薄肉部の大きさ)が抑制されたアスペクト比が3.0より大きなマイクロキャビティを有する波長選択性熱放射材料を得ることができる。
【0049】
また、本発明によれば、かまぼこ状の押圧面を有するスタンプを用いて、予めマスクを基材の一の面に転写させるステップを含んだ波長選択性熱放射材料の製造方法を提供することができる。このため、マスク転写時に、金属箔とマスクとの間に空気が入り込んでパターンの転写が妨げられるのを防止することができると共に、マスクの密着性が向上するので、マスク面と金属箔面との間に不要なエッチング液等が侵入することが阻止され、マスクの開口部を通しての所望のエッチングをより正確かつ確実に実施することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本発明の波長選択性熱放射材料に形成されたマイクロキャビティの模式図である。
図2】本発明による波長選択性熱放射材料の製造方法において、電解浴の浴温を変化させることによって得られた波長選択性熱放射材料の電子顕微鏡写真である。
図3】本発明による波長選択性熱放射材料の製造方法において、電解浴の浴温を変化させることによって得られた波長選択性熱放射材料の波長/スペクトル放射率の関係を示す特性線図である。
図4】本発明による波長選択性熱放射材料の製造方法において、電解時間を変化させた場合に得られた波長選択性熱放射材料の電子顕微鏡写真である。
図5】本発明による波長選択性熱放射材料の製造方法において、電解時間を変化させることによって得られた波長選択性熱放射材料の波長/スペクトル放射率の関係を示す特性線図である。
図6】本発明による波長選択性熱放射材料の製造方法において、最適な電解条件にて得られた波長選択性熱放射材料の電子顕微鏡写真である。
図7】本発明による波長選択性熱放射材料の製造方法において、最適条件にて得られた波長選択性熱放射材料の波長/スペクトル放射率の関係を示す特性線図である。
図8】マスクの転写に用いられるスタンプの概要を示す模式図である。
図9】マイクロキャビティの深さが異なる場合の波長選択性熱放射材料の波長/スペクトル放射率の関係を示す特性線図である。
図10】マイクロキャビティの開口径が異なる場合の波長選択性熱放射材料の波長/スペクトル放射率の関係を示す特性線図である。
図11】キャビティ壁上部の表面粗さRzを変化させた場合の波長選択性熱放射材料の模式図である。
図12】キャビティ壁上部の表面粗さRzを変化させた場合の解析モデルについて数値解析をして得られた波長選択性熱放射材料の波長/スペクトル放射率の関係を示す特性線図である。
図13】2μmのキャビティ壁上部の表面粗さRzを有するマイクロキャビティの深さを変化させた場合の波長選択性熱放射材料の模式図である。
図14】2μmのキャビティ壁上部の表面粗さRzを有するマイクロキャビティの深さを変化させた場合の解析モデルについて数値解析をして得られた波長選択性熱放射材料の波長/スペクトル放射率の関係を示す特性線図である。
図15】マイクロキャビティの深さを変化させた場合の波長選択性熱放射材料の模式図である。
図16】マイクロキャビティの深さを変化させた場合の解析モデルについて数値解析をして得られた波長選択性熱放射材料の波長/スペクトル放射率の関係を示す特性線図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、実施例、比較例を用いて本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、本発明は、以下に示される実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。
【0052】
実施例1
表面の(100)の結晶面の面積占有率が93%以上であるアルミニウム箔使用し、該アルミニウム箔を過塩素酸/エタノール浴を用いて電解研磨を施した後、その表面に直径2μmの細孔が5μm間隔で規則配列した構造を有するネオプレン薄膜層を密着形成させた。そして、該アルミニウム箔にスパッタリング処理により銅を付着させた後、浴温度が25℃、7Mの塩酸水溶液からなる電解浴を用いて、電解開始時の電流密度が1500mA/cmであり、そして150mA/cm/sの電流密度減少レートで200mA/cmまで電流密度を減少させた後、前記200mA/cmの電流密度で15秒保持する条件で電解エッチングを施した。その後、1wt%の水酸化ナトリウム水溶液に浸し超音波洗浄を1分30秒間行うことでネオプレン薄膜層を除去することにより、一辺の長さaが3μm、開口比a/Λ(a;開口径,Λ;開口の周期)が0.6のマイクロキャビティが形成された波長選択性熱放射材料を得た。得られた波長選択性熱放射材料の熱放射面の電子顕微鏡写真を図2(a)に示す。
【0053】
実施例2
電解浴の浴温が30℃であること以外は、実施例1と同じ条件で電解エッチングを施すことにより、一辺の長さaが3μm、開口比a/Λ(a;開口径,Λ;開口の周期)が0.6のマイクロキャビティが形成された波長選択性熱放射材料を得た。
【0054】
実施例3
電解浴の浴温が35℃であること以外は、実施例1と同じ条件で電解エッチングを施すことにより、一辺の長さaが3μm、開口比a/Λ(a;開口径,Λ;開口の周期)が0.6のマイクロキャビティが形成された波長選択性熱放射材料を得た。
【0055】
実施例4
電解浴の浴温が40℃であること以外は、実施例1と同じ条件で電解エッチングを施すことにより、一辺の長さaが3μm、開口比a/Λ(a;開口径,Λ;開口の周期)が0.6のマイクロキャビティが形成された波長選択性熱放射材料を得た。得られた波長選択性熱放射材料の熱放射面の電子顕微鏡写真を図2(b)に示す。
【0056】
実施例5
電解浴の浴温が45℃であること以外は、実施例1と同じ条件で電解エッチングを施すことにより、一辺の長さaが3μm、開口比a/Λ(a;開口径,Λ;開口の周期)が0.6のマイクロキャビティが形成された波長選択性熱放射材料を得た。
【0057】
実施例6
電解浴の浴温が50℃であること以外は、実施例1と同じ条件で電解エッチングを施すことにより、一辺の長さaが3μm、開口比a/Λ(a;開口径,Λ;開口の周期)が0.6のマイクロキャビティが形成された波長選択性熱放射材料を得た。得られた波長選択性熱放射材料の熱放射面の電子顕微鏡写真を図2(c)に示す。
【0058】
フーリエ変換型赤外線分光装置(JASCO社製:FT/IR−4100)、正反射ユニット(JASCO製:RF−81S)を用いて測定することによって得られた、実施例1〜6の波長選択性熱放射材料の波長/スペクトル放射率の関係を図3に示す。なお、測定条件は、検出器:TGS、分解:4cm−1、積算回数:32回、測定帯域:550cm−1〜7800cm−1の条件にて実施した。
【0059】
図3より、本発明による波長選択性熱放射材料の製造方法において、好ましくは電解浴の浴温が25〜45℃の範囲、より好ましくは30〜40℃の範囲にあると、7μm以下の波長領域で優れた波長選択性を有する波長選択性熱放射材料が得られることが判った。
【0060】
実施例7
表面の(100)の結晶面の面積占有率が93%以上であるアルミニウム箔使用し、該アルミニウム箔を過塩素酸/エタノール浴を用いて電解研磨を施した後、その表面に直径2μmの細孔が5μm間隔で規則配列した構造を有するネオプレン薄膜層を密着形成させた。そして、該アルミニウム箔にスパッタリング処理により銅を付着させた後、浴温度が40℃、7Mの塩酸水溶液からなる電解浴を用いて、電解開始時の電流密度が1500mA/cmであり、そして150mA/cm/sの電流密度減少レートで200mA/cmまで電流密度を減少させた後、前記200mA/cmの電流密度で5秒保持する条件で電解エッチングを施した。その後、1wt%の水酸化ナトリウム水溶液に浸し超音波洗浄を1分30秒間行うことでネオプレン薄膜層を除去することにより、一辺の長さaが3μm、開口比a/Λ(a;開口径,Λ;開口の周期)が0.6のマイクロキャビティが形成された波長選択性熱放射材料を得た。得られた波長選択性熱放射材料の熱放射面の電子顕微鏡写真を図4(a)に示す。
【0061】
実施例8
200mA/cmの電流密度での保持時間が10秒であること以外は、実施例7と同じ条件で電解エッチングを施すことにより、一辺の長さaが3μm、開口比a/Λ(a;開口径,Λ;開口の周期)が0.6のマイクロキャビティが形成された波長選択性熱放射材料を得た。
【0062】
実施例9
200mA/cmの電流密度での保持時間が15秒であること以外は、実施例7と同じ条件で電解エッチングを施すことにより、一辺の長さaが3μm、開口比a/Λ(a;開口径,Λ;開口の周期)が0.6のマイクロキャビティが形成された波長選択性熱放射材料を得た。得られた波長選択性熱放射材料の熱放射面の電子顕微鏡写真を図4(b)に示す。
【0063】
実施例10
200mA/cmの電流密度での保持時間が20秒であること以外は、実施例7と同じ条件で電解エッチングを施すことにより、一辺の長さaが3μm、開口比a/Λ(a;開口径,Λ;開口の周期)が0.6のマイクロキャビティが形成された波長選択性熱放射材料を得た。
【0064】
実施例11
200mA/cmの電流密度での保持時間が30秒であること以外は、実施例7と同じ条件で電解エッチングを施すことにより、一辺の長さaが3μm、開口比a/Λ(a;開口径,Λ;開口の周期)が0.6のマイクロキャビティが形成された波長選択性熱放射材料を得た。
【0065】
実施例12
200mA/cmの電流密度での保持時間が40秒であること以外は、実施例7と同じ条件で電解エッチングを施すことにより、一辺の長さaが3μm、開口比a/Λ(a;開口径,Λ;開口の周期)が0.6のマイクロキャビティが形成された波長選択性熱放射材料を得た。
【0066】
実施例13
200mA/cmの電流密度での保持時間が50秒であること以外は、実施例7と同じ条件で電解エッチングを施すことにより、一辺の長さaが3μm、開口比a/Λ(a;開口径,Λ;開口の周期)が0.6のマイクロキャビティが形成された波長選択性熱放射材料を得た。得られた波長選択性熱放射材料の熱放射面の電子顕微鏡写真を図4(c)に示す。
【0067】
フーリエ変換型赤外線分光装置(JASCO社製:FT/IR−4100)、正反射ユニット(JASCO製:RF−81S)を用いて測定することによって得られた、実施例7〜13の波長選択性熱放射材料の波長/スペクトル放射率の関係を図5に示す。なお、測定条件は、検出器:TGS、分解:4cm−1、積算回数:32回、測定帯域:550cm−1〜7800cm−1の条件にて実施した。
【0068】
図5より、本発明による波長選択性熱放射材料の製造方法において、好ましくは200mA/cmの電流密度での保持時間が5〜40秒の範囲、より好ましくは5〜15秒の範囲にあると、7μm以上の波長領域で優れた波長選択性を有する波長選択性熱放射材料が得られることが判った。
【0069】
実施例1〜13の結果より、最適と考えられる以下の電解条件にて実施例14の波長選択性熱放射材料を作製した。
【0070】
実施例14
表面の(100)の結晶面の面積占有率が93%以上であるアルミニウム箔使用し、該アルミニウム箔を過塩素酸/エタノール浴を用いて電解研磨を施した後、その表面に直径2μmの細孔が5μm間隔で規則配列した構造を有するネオプレン薄膜層を密着形成させた。そして、該アルミニウム箔にスパッタリング処理により銅を付着させた後、浴温度が40℃、7Mの塩酸水溶液からなる電解浴を用いて、電解開始時の電流密度が1500mA/cmであり、そして150mA/cm/sの電流密度減少レートで200mA/cmまで電流密度を減少させた後、前記200mA/cmの電流密度で15秒保持する条件で電解エッチングを施した。その後、1wt%の水酸化ナトリウム水溶液に浸し超音波洗浄を1分30秒間行うことでネオプレン薄膜層を除去することにより、一辺の長さaが3μm、開口比a/Λが0.6、アスペクト比が16/3のマイクロキャビティが形成された波長選択性熱放射材料を作製した。
【0071】
得られた波長選択性熱放射材料の電子顕微鏡写真を図6に示す。図6(a),(b)は、拡大倍率が異なる波長選択性熱放射材料の熱放射面の電子顕微鏡写真であり、図6(c)は、形成されたマイクロキャビティの開口深さを測定するため、得られた波長選択性熱放射材料の熱放射面のレプリカの電子顕微鏡写真である。また、フーリエ変換型赤外線分光装置(JASCO社製:FT/IR−4100)、正反射ユニット(JASCO製:RF−81S)を用いて複数回(5箇所)測定することによって得られた、実施例14の波長選択性熱放射材料の波長/スペクトル放射率の関係を図7に示す。なお、測定条件は、検出器:TGS、分解:4cm−1、積算回数:32回、測定帯域:550cm−1〜7800cm−1の条件にて実施した。
【0072】
図6より、予め一の面に所定の開口を有するマスクを密着させておいて異方性電解エッチングを施すことにより、一辺の長さaが3μm、深さdが16μm、開口比a/Λが0.6、アスペクト比が16/3であって、キャビティ壁上部の表面粗さRzが1μm以下に抑えられたマイクロキャビティを、波長選択性熱放射材料の熱放射面に形成できることが判った。また、図7より、得られた波長選択性熱放射材料は、波長/スペクトル放射率の関係においてバラツキが少なく、7μm以上の波長領域で優れた波長選択性を示し、6μm付近の波長において放射率のピークを有することが判った。
【0073】
次に、マイクロキャビティの開口深さdを制御するため、電解時間がマイクロキャビティの開口深さdに与える影響について実験を行った。
【0074】
実施例15〜18
表面の(100)の結晶面の面積占有率が93%以上であるアルミニウム箔使用し、該アルミニウム箔を過塩素酸/エタノール浴を用いて電解研磨を施した後、その表面に直径2μmの細孔が5μm間隔で規則配列した構造を有するネオプレン薄膜層を密着形成させた。そして、該アルミニウム箔にスパッタリング処理により銅を付着させた後、浴温度が40℃、7Mの塩酸水溶液からなる電解浴を用いて、対極にはカーボン板を使用し、1500mA/cmの定電流(定電流密度)にて、電解時間を0.5、3.0、5.0、10秒と変化させて電解エッチングを施した。その後、1wt%の水酸化ナトリウム水溶液に浸し超音波洗浄を1分30秒間行うことでネオプレン薄膜層を除去することにより、実施例15〜18の直行マイクロキャビティの規則配列を形成した。
【0075】
なお、アルミニウム箔表面へのネオプレン薄膜層の密着は、図8に示されているような、0.01〜0.2の曲率の押圧面2を有するかまぼこ状のスタンプ1を用いて、10〜10Paの荷重にて押し付けて揺動することにより実施した。その結果、ネオプレン薄膜層は、アルミニウム箔表面との間に空気を入り込ませることなく正確かつ強力に密着させることができた。得られた実施例15〜18の各マイクロキャビティの開口深さdを表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
フーリエ変換型赤外線分光装置(JASCO社製:FT/IR−4100)、正反射ユニット(JASCO製:RF−81S)を用いて測定することによって得られた、実施例15〜18の波長選択性熱放射材料の波長/スペクトル放射率の関係を図9に示す。なお、測定条件は、検出器:TGS、分解:4cm−1、積算回数:32回、測定帯域:550cm−1〜7800cm−1の条件にて実施した。
【0078】
表1より、マイクロキャビティの開口深さdは、電解時間に対して略比例して深くなることが確認された。また、図9より、波長選択性熱放射材料の特性はマイクロキャビティの開口深さdによって異なり、マイクロキャビティの開口深さdが5.4μm、9.0μmである実施例17、18においては、特に7μm以上の波長領域で優れた波長選択性を示し、6μm付近の波長において放射率のピークを有することが判った。
【0079】
次に、マイクロキャビティの開口径aを制御するため、電解浴の浴温がマイクロキャビティの開口径aに与える影響について実験を行った。
【0080】
実施例19〜23
表面の(100)の結晶面の面積占有率が93%以上であるアルミニウム箔使用し、該アルミニウム箔を過塩素酸/エタノール浴を用いて電解研磨を施した後、その表面に直径2μmの細孔が5μm間隔で規則配列した構造を有するネオプレン薄膜層を密着形成させた。そして、該アルミニウム箔にスパッタリング処理により銅を付着させた後、電解時間3秒、7Mの塩酸水溶液からなる電解浴を用いて、対極にはカーボン板を使用し、1500mA/cmの定電流(定電流密度)にて、浴温を30、35、40、45、50℃と変化させて電解エッチングを施した。その後、1wt%の水酸化ナトリウム水溶液に浸し超音波洗浄を1分30秒間行うことでネオプレン薄膜層を除去することにより、実施例19〜23の直行マイクロキャビティの規則配列を形成した。
【0081】
なお、アルミニウム箔表面へのネオプレン薄膜層の密着は、図8に示されているような、0.01〜0.2の曲率の押圧面2を有するかまぼこ状のスタンプ1を用いて、10〜10Paの荷重にて押し付けて揺動することにより実施した。その結果、ネオプレン薄膜層は、アルミニウム箔表面との間に空気を入り込ませることなく正確かつ強力に密着させることができた。得られた実施例19〜23の各マイクロキャビティの開口径aを表2に示す。
【0082】
【表2】
【0083】
フーリエ変換型赤外線分光装置(JASCO社製:FT/IR−4100)、正反射ユニット(JASCO製:RF−81S)を用いて測定することによって得られた、実施例19〜23の波長選択性熱放射材料の波長/スペクトル放射率の関係を図10に示す。なお、測定条件は、検出器:TGS、分解:4cm−1、積算回数:32回、測定帯域:550cm−1〜7800cm−1の条件にて実施した。
【0084】
表2より、マイクロキャビティの開口径aは、浴温に対して略比例して狭くなることが確認された。また、図10より、波長選択性熱放射材料の特性はマイクロキャビティの開口径aによって異なり、マイクロキャビティの開口径aが3.6μm、3.2μm、3.0μmである実施例19、20、21においては、特に7μm以上の波長領域で優れた波長選択性を示し、6μm付近の波長において放射率のピークを有することが判った。
【0085】
本発明による波長選択性熱放射材料において、マイクロキャビティを区画するキャビティ壁上部の表面粗さ(キャビティ壁上部の欠落部又は薄肉部の大きさ)が抑制され3.0より大きなアスペクト比を有するマイクロキャビティが形成された波長選択性熱放射材料の熱放射特性をシミュレーションするために、法に基づく数値解析を実施した。RCWA法に基づく数値解析の概要は、以下のとおりである。
【0086】
数値解析
周期的な表面微細構造により波長選択的な吸収特性が得られる現象は、周期構造により誘起される表面プラズモンによる吸収やキャビティ構造による定在波モードの吸収などで説明されているが、材料物性も関係してくる複雑な事象であるため、定量的な説明はまだなされておらず、解析的に特性を評価することは困難である。
【0087】
解析モデル
そこで、本発明者等は、マクスウェル方程式の厳密解法であるRCWA法を用いてマイクロキャビティ周期構造の最適形状モデルの決定を行った。最適形状モデルは、開口径aと深さdを有する矩形のマイクロキャビティが、周期Λで縦横に二次元配列された構造である。これらのマイクロキャビティはアルミニウム箔の片面に形成されているものとした。
【0088】
計算条件
上記のような構造を有する解析モデルを用いてRCWA法に基づく数値解析を行い、表面にサブミクロン周期構造を持つ材料の光学特性をシミュレーション評価した。計算には,市販のシミュレーションソフト(DiffractMod,RSOFT社)を使用した.RCWA法では材料の誘電率分布をフーリエ級数展開により表現するため、任意の周期構造の解析が可能である。幾何形状及び材料の光学定数(複素屈折率)を入力し、マクスウェル方程式を厳密に解くことにより入射波の応答を求めることができる。RCWA法は一般的な三次元の回折格子問題を分析する方法である。微細構造領域での誘電率分布は、フーリエ展開によって表現される。解析精度は電磁場の空間的な調和展開項の数に依存する。本発明では調和展開項の数を8として解析を行った。
【0089】
8次までの回折次数を考慮し、各回折次数についての回折効率を各波長について計算した。入力データには、入射波の条件、構造上のプロファイル、および材料の光学定数(n,k)の状態のみが含まれ、可変パラメータは計算に用いない。各回折次数のための回折効率は、Handbook of Optical Constants of Solids,E.D.Palik,ed.(Academic Press,Orlando,1985),p369−383において報告された室温でのAlの光学定数を用いて計算した。
【0090】
キャビティ壁上部の表面粗さRzを変化させた場合のスペクトル放射特性に対する影響については、図11に示される模式図のように、一辺の長さaが3μm、開口周期Λが5μm、開口の深さdが10μmであって、開口比a/Λが0.6、アスペクト比d/aが3.3の矩形マイクロキャビティを基本形として、キャビティ壁上部の表面粗さRzを(1)0μm,(2)1μm,(3)2μmと変更させてシミュレーションを行った。
【0091】
計算結果1
図12は、横軸に波長λ(μm)をとり、縦軸にスペクトル放射率をとって、図11に示される構造モデルをRCWA法で数値解析した結果を示すスペクトル放射特性線図である。
【0092】
マイクロキャビティを区画するキャビティ壁上部の表面粗さRzが1μmより大きくなると、特に4.75〜5.75μmの波長領域のスペクトル放射率のピークが低下するので、樹脂部材の赤外線透過波長域に含まれる熱放射光を選択的に放射させることが困難となる。その結果、マイクロキャビティを区画するキャビティ壁上部の表面粗さRzを1μm以下に抑えることで、マイクロキャビティ周期構造が、赤外線に対し樹脂部材を実質的に透明化するための熱放射に適したスペクトル選択性を得られることが判った。
【0093】
2μmのキャビティ壁上部の表面粗さRzを有するマイクロキャビティの深さを変化させた場合のスペクトル放射特性に対する影響については、図13に示される模式図のように、一辺の長さaが3μm、開口周期Λが5μm、表面粗さRzが2μmであって、開口比a/Λが0.6の矩形マイクロキャビティを基本形として、開口の深さdを(1)5μm(アスペクト比d/a:1.7),(2)10μm(アスペクト比d/a:3.3),(3)20μm(アスペクト比d/a:6.7)と変更させてシミュレーションを行った。
【0094】
計算結果2
図14は、横軸に波長λ(μm)をとり、縦軸にスペクトル放射率をとって、図13に示される構造モデルをRCWA法で数値解析した結果を示すスペクトル放射特性線図である。
【0095】
マイクロキャビティを区画するキャビティ壁上部の表面粗さRzが1μmより大きくなると、マイクロキャビティの開口の深さdに関わらず、1〜10μmの波長領域のスペクトル放射率が低下し、特に3〜5.5μmの波長領域のスペクトル放射率のピークが低下するので、樹脂部材の赤外線透過波長域に含まれる熱放射光を選択的に放射させることが困難となる。その結果、マイクロキャビティを区画するキャビティ壁上部の表面粗さRzは、マイクロキャビティの開口の深さdに関わらず1μm以下に抑えることで、マイクロキャビティ周期構造が、赤外線に対し樹脂部材を実質的に透明化するための熱放射に適したスペクトル選択性を得られることが判った。
【0096】
マイクロキャビティの深さを変化させた場合のスペクトル放射特性に対する影響については、図15に示される模式図のように、一辺の長さaが3μm、開口周期Λが5μmであって、開口比a/Λが0.6の矩形マイクロキャビティを基本形として、開口の深さdを(1)2μm(アスペクト比d/a:0.7),(2)4μm(アスペクト比d/a:1.3),(3)7.5μm(アスペクト比d/a:2.5),(4)15μm(アスペクト比d/a:5.0),(5)32μm(アスペクト比d/a:10.7)と変更させてシミュレーションを行った。
【0097】
計算結果3
図16は、横軸に波長λ(μm)をとり、縦軸にスペクトル放射率をとって、図15に示される構造モデルをRCWA法で数値解析した結果を示すスペクトル放射特性線図である。
【0098】
マイクロキャビティのアスペクト比d/a(d;開口の深さ,a;開口径)が3.3未満の領域では、アスペクト比d/aの増大に伴って、樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光の放射率が約0.85まで急激に高まるのに対して、アスペクト比d/aが3.3以上の領域では、アスペクト比d/aの増加割合に対し、樹脂部材の赤外線透過波長域に対応する熱放射光の放射率の増加割合が急激に低下し、0.85〜1.0の範囲でほぼ横ばいとなる。その結果、マイクロキャビティのアスペクト比d/aを3.3以上とすることで、赤外線に対し樹脂部材を実質的に透明化するために、熱放射光に対して0.85以上という高い放射率を示す波長選択性熱放射材料を得られることが判った。
【符号の説明】
【0099】
1・・・スタンプ
2・・・押圧面
r・・・曲率半径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16