(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039827
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】モーター接地構造
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20161128BHJP
H02K 5/16 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K5/16 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-562943(P2015-562943)
(86)(22)【出願日】2014年5月8日
(65)【公表番号】特表2016-510207(P2016-510207A)
(43)【公表日】2016年4月4日
(86)【国際出願番号】KR2014004094
(87)【国際公開番号】WO2014189219
(87)【国際公開日】20141127
【審査請求日】2015年9月14日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0058368
(32)【優先日】2013年5月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512272708
【氏名又は名称】ニュモテク株式会社
【氏名又は名称原語表記】NEW MOTECH CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジョンチョル
(72)【発明者】
【氏名】チョン ワンギュ
(72)【発明者】
【氏名】キム ビョンス
【審査官】
宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−159302(JP,A)
【文献】
特開2013−081264(JP,A)
【文献】
特開2004−229429(JP,A)
【文献】
特開昭61−073535(JP,A)
【文献】
特開2012−095451(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0183983(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00−5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に形成された開口部の周囲に沿ってフランジ部が突設された樹脂材質のハウジングと、前記ハウジングとの結合のために、下面に前記フランジ部が挿入される結合溝部が形成された金属材質のベアリングカバーと、前記ハウジングの内部に固定設置され、内側面にコイルが巻線される複数個の歯が環状に形成されたステータコアと、一端は、前記フランジ部に結合され、前記ベアリングカバーがハウジングの上面に結合されるとき、ベアリングカバーの結合溝部に接触し、他端は、ハウジングを貫通し、ステータコアに接触する金属材質のコネクタと、を備え、前記コネクタは、前記フランジ部の外面を取り囲むクリップ状のブラケットと、前記ブラケットの一側から延長され、ハウジングの外面に密着される連結プレートと、前記ハウジングを貫通し、ステータコアに螺合されるとともに、前記連結プレートを加圧し、ハウジングの外面に固定させるスクリューと、を有し、前記ハウジングとステータコアには、前記スクリューとの螺合のための締付孔がそれぞれ形成されることを特徴とするモーター接地構造。
【請求項2】
前記連結プレートの外面は、樹脂材質のカバーで取り囲まれ、前記スクリューのヘッド部には、絶縁層が形成されることを特徴とする請求項1に記載のモーター接地構造。
【請求項3】
前記ブラケットが結合されるフランジ部の外面には、装着溝が形成されることを特徴とする請求項1に記載のモーター接地構造。
【請求項4】
上面に形成された開口部の周囲に沿ってフランジ部が突設された樹脂材質のハウジングと、前記ハウジングとの結合のために、下面に前記フランジ部が挿入される結合溝部が形成された金属材質のベアリングカバーと、前記ハウジングの内部に固定設置され、内側面にコイルが巻線される複数個の歯が環状に形成されたステータコアと、一端は、前記フランジ部に結合され、前記ベアリングカバーがハウジングの上面に結合されるとき、ベアリングカバーの結合溝部に接触し、他端は、ハウジングを貫通し、ステータコアに接触する金属材質のコネクタと、を備え、前記ハウジングの上面には、手指や器具を押し込み、ベアリングカバーの結合溝部を押し上げることにより、ベアリングカバーをハウジングから分離させる複数個の凹溝部が形成されることを特徴とするモーター接地構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーター接地構造に関し、より詳しくは、設置及び分解が簡便であり、作業工数を減らし、また、モータに印加される電流の漏れを遮断し、高周波ノイズの発生、ベアリングの電食等を防止することができるモーター接地構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、外部から供給された電源により、ローターが回転することにより、外部に突出した回転軸320を動作させるモータは、円筒状を有するハウジング100の内周面にステータが結合され、前記ステータの中心部には、回転軸320を含んだローターが回転可能に結合される。
【0003】
これと共に、ハウジング100の上面には、前記ハウジング100に結合され、モータの外面を構成するとともに、ローターの回転を支持する円盤状のベアリングカバー400がボルト等の結合手段により、それぞれ結合される。
【0004】
このとき、前記ベアリングカバー400の中心部の内側には、回転軸320との接触面に対する摩擦を減少させるとともに、ステータとの正確な結合位置が持続的に維持されるようにし、ローターの回転が安定的に行われるようにするベアリングが設けられる。
【0005】
このようなモータは、エアコンを含めた家電機器の駆動系として広く用いられるため、接地とならない場合、漏れ電流により、使用者が感電される危険があるだけでなく、漏れ電流により、高周波ノイズが生じ、周辺機器の誤動作を引き起こすという問題点があった。
【0006】
特に、漏れ電流がベアリングを介して流れると、狭いベアリング間において、スパーク、すなわち、アークが発生し、ベアリングの表面に溝が生じるベアリングの電食(電気腐食)が発生してしまい、これにより、ベアリングが破損しやすい現象が生じる。
【0007】
したがって、モーターの接地のために、ベアリングカバー400に別途の接地フレームを形成させ、またはベアリングカバー400に孔を開け、前記孔に接地端子を固定させる等の方式が提案されているが、このような方式は、ベアリングカバー400の構造を複雑にし、モーターの全体のサイズを増加させ、構造が複雑であり、設置及び分解作業が困難であり、モーターの組立てに必要な全体の作業工数を増加させるという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、設置及び分解が簡便であり、作業工数を減らし、また、モータに印加される電流の漏れを遮断し、高周波ノイズの発生、ベアリングの電食等を防止することができるモーター接地構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明は、上面に形成された開口部の周囲に沿ってフランジ部が突設された樹脂材質のハウジングと、前記ハウジングとの結合のために、下面に前記フランジ部が挿入される結合溝部が形成された金属材質のベアリングカバーと、前記ハウジングの内部に固定設置され、内側面にコイルが巻線される複数個の歯が環状に形成されたステータコアと、一端は、前記フランジ部に結合され、前記ベアリングカバーがハウジングの上面に結合されるとき、ベアリングカバーの結合溝部に接触し、他端は、ハウジングを貫通し、ステータコアに接触する金属材質のコネクタと、を備え
、前記コネクタは、前記フランジ部の外面を取り囲むクリップ状のブラケットと、前記ブラケットの一側から延長され、ハウジングの外面に密着される連結プレートと、前記ハウジングを貫通し、ステータコアに螺合されるとともに、前記連結プレートを加圧し、ハウジングの外面に固定させるスクリューと、を有し、前記ハウジングとステータコアには、前記スクリューとの螺合のための締付孔がそれぞれ形成される。
【0010】
【0011】
本発明において、前記連結プレートの外面は、樹脂材質のカバーで取り囲まれ、前記スクリューのヘッド部には、絶縁層が形成されてもよい。
【0012】
本発明において、前記ブラケットが結合されるフランジ部の外面には、装着溝が形成されてもよい。
【0013】
又、本発明は別の観点より、上面に形成された開口部の周囲に沿ってフランジ部が突設された樹脂材質のハウジングと、前記ハウジングとの結合のために、下面に前記フランジ部が挿入される結合溝部が形成された金属材質のベアリングカバーと、前記ハウジングの内部に固定設置され、内側面にコイルが巻線される複数個の歯が環状に形成されたステータコアと、一端は、前記フランジ部に結合され、前記ベアリングカバーがハウジングの上面に結合されるとき、ベアリングカバーの結合溝部に接触し、他端は、ハウジングを貫通し、ステータコアに接触する金属材質のコネクタと、を備え、前記ハウジングの上面には、手指や器具を押し込み、ベアリングカバーの結合溝部を押し上げることにより、ベアリングカバーをハウジングから分離させる複数個の凹溝部が形成され
る。
【発明の効果】
【0014】
本発明のモーター接地構造によれば、構造が単純であり、製造費用を低くすることができ、またコネクタのブラケットをフランジ部に形成された装着溝に結合させ、スクリューを用いて、連結プレートをハウジングの外面に固定させた後、ベアリングカバーをハウジングの上面に結合させると、自然にステータコアとベアリングカバーが、コネクタにより電気的に連結されて接地されるので、接地作業を簡便、かつ迅速に進行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明によるモーター接地構造を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明によるベアリングカバーの下面構造を示す斜視図である。
【
図3】本発明によるコネクタの構造をさらに詳細に示す斜視図である。
【
図4】本発明によるハウジングにコネクタが結合された状態を示す斜視図である。
【
図5】
図4のA‐A線による切断部の断面図である。
【
図6】本発明によるコネクタの他の実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、上記した目的が具体的に実現され得る本発明の好適な実施例について説明する。本実施例を説明するに当たって、同一の構成については、同一の名称及び同一の符号が用いられ、以下、これによる付加的な説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明によるモーター接地構造を示す分解斜視図である。
【0018】
図1に示すように、本発明によるモーター接地構造は、ハウジング100と、ステータアセンブリー200と、ローターアセンブリー300と、ベアリングカバー400と、コネクタ500と、を備える。
【0019】
前記ハウジング100は、上面にベアリングカバー400により開閉される開口部110が形成されており、前記開口部110の周囲に沿っては、ベアリングカバー400との結合のためのフランジ部120が上側に突設されている。
【0020】
このようなハウジング100は、内部に設けられるステータアセンブリー200との絶縁のために、樹脂材質で作製され、別途作製され、ステータアセンブリー200と組み立てられ、またはBMC(Bulk Molding Compound)成形方式で、ステータアセンブリー200と一体形成されてもよい。
【0021】
前記ステータアセンブリー200は、ステータコア210と、インシュレーター220、230を有する。
【0022】
前記ステータコア210は、珪素鋼板等を積層させて形成し、内側面にはコイル(図示せず)が巻線される複数個の歯211が環状に形成されている。
【0023】
前記インシュレーター220、230は、前記ステータコア210の上下部にそれぞれ結合される上部インシュレーター220と下部インシュレーター230と、からなり、前記ステータコア210の内側面及びコイルが巻き取られる歯211の巻線部を取り囲み、電流が印加されるコイルがステータコア210の内側面及び歯211に直接接触することを防止する役割をする。
【0024】
このような前記上下部のインシュレーター220、230は、ポリアセタル(polyacetal)またはポリオキシメチレン(Polyoxymethylene)のような合成樹脂材質で作製され、別途作製され、ステータコア210に組み立てられ、またはインサート成形等により、ステータコア210と一体形成されてもよい。
【0025】
前記ローターアセンブリ300は、上述したステータアセンブリー200の内部に設けられるローターコア310と、前記ローターコア310に固定される回転軸320と、前記ローターコアの外面に装着溝される磁石330と、を有する。
【0026】
前記ローターコア310は、コイルが巻線される前記歯211と対向して設けられ、コイルに電源が印加されると、回転を開始し、これにより、上端部が洗濯機の洗濯翼やエアコンの圧縮機等に連結される回転軸320が回転を開始し、洗濯機または圧縮機を駆動させる。このようなローターアセンブリー300の構造は、既に広く知られているので、詳細な説明を省略する。
【0027】
前記ベアリングカバー400は、金属材質からなり、ハウジング100の上面に着脱可能に結合され、内部には、前記回転軸320を回転可能に支持するベアリング(図示せず)が設けられる。
【0028】
図2は、本発明によるベアリングカバーの下面構造を示す斜視図である。
【0029】
このようなベアリングカバー400の下面には、
図2に示すように、前記ハウジング110の開口部110の周囲に沿って形成されたフランジ部120が挿入される結合溝部410が形成される。
【0030】
したがって、前記ベアリングカバー400をハウジング100に結合させるときは、ベアリングカバー400の結合溝部410ーをハウジング100のフランジ部120の上側に位置させた後、ベアリングカバー400を押圧し、前記結合溝部410にフランジ部120を挿入させ、これに対して、ベアリングカバー400をハウジング100から分離させるときは、ベアリングカバー400を上側に押し上げ、ベアリングカバー400の結合溝部410からフランジ部120を抜け出させてよい。
【0031】
ここで、前記ベアリングカバー400をより容易にハウジング100から分離させるように、前記ハウジング100の上面には、手指や器具を押込み可能な凹溝部130(
図1参照)が複数個形成される。
【0032】
この場合、作業者は、前記凹溝部130に手指や器具を押し込み、ベアリングカバー400の下面を容易に押し上げられるので、ベアリングカバー400をハウジング100から容易に分離させることができる。
【0033】
前記コネクタ500は、金属材質からなり、一端は、前記フランジ部120に結合され、前記ベアリングカバー400がハウジング100の上面に結合されるとき、ベアリングカバー400に接触し、他端は、ハウジング100を貫通し、ステータコア210に接触する。
【0034】
図3は、本発明によるコネクタの構造をさらに詳細に示す斜視図である。
【0035】
このようなコネクタ500は、
図3に示すように、前記フランジ部120の外面を取り囲むクリップ状のブラケット510と、前記ブラケット510の一側から延長され、ハウジング100の外面に密着する連結プレート520と、前記ハウジング100を貫通し、ステータコア210に螺合するとともに、前記連結プレート520を加圧し、ハウジング100の外面に固定させるスクリュー530と、を有する。
【0036】
図4は、本発明によるハウジングにコネクタが結合された状態を示す斜視図であり、
図5は、
図4のA‐A線による切断部の断面図である。
【0037】
したがって、
図4及び
図5に示すように、前記ブラケット510をフランジ部120に結合させ、前記スクリュー530がハウジング100を貫通し、ステータコア210に螺合されると、コネクタ500とステータコア210が電気的に連結され、また、この状態で、ハウジング100の上面にベアリングカバー400を結合させると、フランジ部120を取り囲んでいるブラケット510が、フランジ部120と一緒に、ベアリングカバー400の結合溝部410に挿入され、結合溝部410に接触するので、結局として、コネクタ500により、ステータコア210とベアリングカバー400とが電気的に連結されて接地される。
【0038】
ここで、前記ハウジング100とステータコア210には、前記スクリュー530との螺合のための締付孔140、212がそれぞれ形成されており、前記スクリュー530は、ハウジング100を貫通し、ステータコア210の締付孔212に螺合される。
【0039】
一方、前記フランジ部120の外面には、
図1に示すように、前記ブラケット510との結合のための装着溝150が形成される。既述したように、ベアリングカバー400がハウジング100に結合されると、フランジ部120は、ベアリングカバー400に形成された結合溝部410に挿入され、このとき、前記ブラケット120が結合されるフランジ部120の厚さが、ブラケット510の厚さだけ厚くなるので、ブラケット510が結合溝部410の内部に挿入されないかもしれず、ベアリングカバー400をハウジング100に結合させないことがあり得る。
【0040】
したがって、ブラケット510が結合されるフランジ部120に一定の深さで装着溝150を形成し、ブラケット510が結合されるフランジ部120の厚さが結合溝部410の内部幅よりも小さくなるようにし、ブラケット510とフランジ部120が一緒に結合溝部410に挿入可能にしなければならない。
【0041】
また、フランジ部120に前記装着溝150を形成させておくと、作業者がブラケット510が結合される部位を把握しやすいので、コネクタ500の組立て作業を迅速に進行することができる。
【0042】
図6は、本発明によるコネクタの他の実施例を示す断面図である。
【0043】
一方、
図6に示すように、前記連結プレート520の外面は、樹脂材質のカバー540で取り囲まれ、前記スクリュー530のヘッド部には、絶縁層531が形成されることが好ましい。
【0044】
前記コネクタ500がハウジング100に設けられると、前記連結プレート520とスクリュー530のヘッド部が外部に露出するので、上述のように、ステータコア210とベアリングカバー400を電気的に連結させるコネクタ500に人が接触すると、感電の危険がある。したがって、連結プレート520の外面を樹脂材質のカバー540で取り囲むとともに、スクリュー530のヘッド部には、絶縁層531を形成させ、感電による安全事故の危険を予め防止することが好ましい。
【0045】
上述した本発明は、その範囲が、上述したものに限られず、当該技術の分野における通常の知識を有する者にとって、容易に変更または置換可能なものが、本発明の範囲に該当するのはもとより、その均等物も本発明に含まれる。