(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6039849
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】アリピプラゾール含有内用液剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/496 20060101AFI20161128BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20161128BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20161128BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20161128BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20161128BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20161128BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20161128BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20161128BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
A61K31/496
A61K9/08
A61K47/04
A61K47/12
A61K47/10
A61K47/02
A61P25/18
A61P43/00 111
A61P25/00
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-103951(P2016-103951)
(22)【出願日】2016年5月25日
【審査請求日】2016年5月25日
(31)【優先権主張番号】特願2015-130386(P2015-130386)
(32)【優先日】2015年6月12日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000169880
【氏名又は名称】高田製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】木村 直
【審査官】
渡部 正博
(56)【参考文献】
【文献】
特表2014−522820(JP,A)
【文献】
特表2013−515751(JP,A)
【文献】
特表2004−532225(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/060324(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
A61K 9/00−9/72
A61K 47/00−47/48
A61P 1/00−43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アリピプラゾール、塩酸、及びリンゴ酸を含有し、経時的な類縁物質の生成が抑制されていることを特徴とする内用液剤。
【請求項2】
リンゴ酸に対する塩酸の重量比[塩酸/リンゴ酸]が0.1〜3.0の範囲である請求項1に記載の内用液剤。
【請求項3】
グリセリン、プロピレングリコール、及び水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる1種以上の添加剤を含有する請求項1又は2に記載の内用液剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリピプラゾール(aripiprazole)を有効成分として含む内用液剤に関する。具体的には、アリピプラゾール、塩酸、及びリンゴ酸を含有することを特徴とする内用液剤に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明における有効成分であるアリピプラゾール、すなわち7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]−ブトキシ}−3,4−ジヒドロカルボスチリル(7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]−ブトキシ}−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノンと呼ばれる場合もある)は統合失調症の治療に有効な抗精神病剤であり、ドーパミンD
2及びセロトニン5−HT
1A受容体アゴニストで、セロトニン5−HT
2A受容体のアンタゴニストでもある。アリピプラゾールは、統合失調症ならびに他の精神障害及び中枢神経系障害の治療のための薬剤として広く用いられている。
【0003】
固体状経口投与剤をのみ込むことが困難な小児や老人患者等への投与を容易にすること等ができることから、アリピプラゾールの内用液剤は、これらの患者への投与に適した剤型といえる。
【0004】
アリピプラゾールを含有する内用液剤に関して、特許文献1には、アリピプラゾール、水、界面活性剤、水混和性溶媒及び可溶化剤からなる群から選ばれる1以上の剤からなる医療的に適した溶媒、1以上の風味向上/マスキング剤、及び乳酸、酢酸、酒石酸及びクエン酸からなる群から選ばれる1以上の化合物を含有し、2.5〜4.5のpHをもつ経口投与に適する医療用溶液が開示されている。また、特許文献2は、抗酸化剤を含有するアリピプラゾール医薬製剤に関するものであり、実施例には酸性化剤として各種の酸を使用した錠剤、懸濁物が記載されている。特許文献3には、アリピプラゾールの水性溶媒への溶解度を向上させる目的で、アリピプラゾールの内用液剤を調製する際にリンゴ酸等の特定の有機酸を加える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4401077号公報
【特許文献2】特表2014−522820号公報
【特許文献3】特開2015−164907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、アリピプラゾールを液剤とした場合にアリピプラゾールが分解などにより類縁物質を生成すること、及び長期間保存した場合には類縁物質が経時的に増加するという問題点を有していることを初めて認識した。この問題点については本願の優先日当時において報告がなく、上記特許文献1及び2にはこの問題点及びそれを解決するための手段について何ら示唆ないし教示がない。なお、上記特許文献3には液剤における類縁物質の増加について記載があるが、この特許文献は本願の優先日当時において公開されているものではない。
【0007】
従って、本発明の課題は、長期保存に際して類縁物質の生成が抑制されたアリピプラゾール内用液剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために種々検討を加えた結果、アリピプラゾールと、塩酸及びリンゴ酸とを含有させた内用液剤では経時的な類縁物質の生成が抑制されており、長期保存に際しても安定な内用液剤であることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明により下記の内用液剤が提供される。
(1)アリピプラゾール、塩酸、及びリンゴ酸を含有することを特徴とする内用液剤。
(2)リンゴ酸に対する塩酸の重量比[塩酸/リンゴ酸]が0.1〜3.0の範囲である上記(1)に記載の内用液剤。
(3)グリセリン、プロピレングリコール、及び水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる1種以上の添加剤を含有する上記(1)又は(2)に記載の内用液剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明の内用液剤は、アリピプラゾールの類縁物質の生成が抑制されており、長期に保存しても安定な内用液剤である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の内用液剤100重量%中のアリピプラゾールの含有量は、特に限定されるものではないが、一般的には0.005〜10重量%であり、好ましくは0.01〜0.5重量%、さらに好ましくは0.05〜0.25重量%である。
【0012】
本発明に用いられるリンゴ酸は、医薬品用途に用いられるものであればいずれも用いることができ、その塩、例えばナトリウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム等との塩であってもよい。リンゴ酸の添加量は特に限定されるものではないが、例えば、内用液剤100重量%中、0.001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜1重量%であり、さらに好ましくは0.01〜0.2重量%である。
なお、本明細書において、リンゴ酸の塩の重量は、リンゴ酸に換算した重量である。
【0013】
本発明に用いられる塩酸は、医薬品用途に用いられるものであればいずれも用いることができる。本発明に用いられる塩酸の添加量は特に限定されるものではないが、例えば、内用液剤100重量%中、0.001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜1重量%であり、さらに好ましくは0.05〜0.2重量%である。
なお、本明細書において、塩酸の量は、塩化水素としての正味量である。
【0014】
本発明に従って、アリピプラゾールを有効成分とする内用液剤に塩酸及びリンゴ酸を配合することにより、内用液剤におけるアリピプラゾール類縁物質の経時的な生成を抑制できる。塩酸又はリンゴ酸の一方のみを配合する場合には、上記の抑制効果は十分に得られない。
【0015】
リンゴ酸に対する塩酸の重量比[塩酸/リンゴ酸]は特に限定されるものではないが、例えば、0.1〜3.0が好ましく、0.2〜2.0がより好ましく、0.3〜1.2がさらに好ましく、0.5〜1.0が特に好ましい。上記範囲内であれば、類縁物質の経時的な生成をより効率的に抑制できる。
【0016】
塩酸とリンゴ酸の合計の添加量は特に限定されるものではないが、例えば、アリピプラゾール100重量部に対して、100〜500重量部が好ましく、150〜300重量部がより好ましい。上記範囲内であれば、類縁物質の経時的な生成をより効率的に抑制できる。
【0017】
本発明の内用液剤は、pHを一定の範囲に調整することが好ましい。本発明の内用液剤のpHは、通常2〜4程度であればよいが、長期安定性の面からは、2.7〜3.5の範囲に調整することが好ましい。この好ましい範囲のpHに調節することにより、類縁物質の生成を効率的に抑制し、高い安定性を有する内用液剤を提供することができる。
【0018】
本発明の内用液剤は、服用性を改善するために、甘味剤を含有することができる。甘味剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、高甘味度甘味剤を用いることができる。高甘味度甘味剤としては、例えば、スクラロース、タウマチン、アセスルファムカリウム、サッカリンナトリウム、又はアスパルテーム等、好ましくはスクラロース及び/又はタウマチンが挙げられる。これらの甘味剤を2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0019】
本発明の内用液剤は香料及び/又は保存料を含有していてもよい。香料の種類は特に限定されるものではないが、例えば、ストロベリー、パイナップル、オレンジ、アップル、グレープフルーツ、ミント、又はメントールなどを用いることができる。これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0020】
保存料の種類は特に限定されるものではないが、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ヒドロキシ安息香酸プロピル、プロピルヒドロキシ安息香酸ナトリウム、ヒドロキシ安息香酸メチル、又はメチルヒドロキシ安息香酸ナトリウムなどを用いることができる。これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0021】
さらに、本発明の内用液剤は、薬理学上許容しうるその他の添加剤として、例えば、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、グリセリン、濃グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トレハロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、又は塩化マグネシウム等を含有していてもよい。これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0022】
本発明の内用液剤において、グリセリン、プロピレングリコール、水酸化ナトリウムのいずれか1種以上を含有する場合にアリピプラゾール類縁物質の経時的な生成をさらに効率的に抑制できることを本発明者らは確認している。従って、本発明の内用液剤には、グリセリン、プロピレングリコール、水酸化ナトリウムのいずれか1種以上を添加することがより好ましい。
【0023】
本発明の内用液剤は、アリピプラゾール、塩酸、及びリンゴ酸と、必要に応じて1種以上の添加剤とをイオン交換水や蒸留水などの水に溶解することにより製造できる。また、上記の各成分のうちアリピプラゾールの溶解に際して、及びアリピプラゾールに他の各成分の1種又は2種以上を加えて水に溶解させる際に、70〜90℃の範囲で加熱溶解処理を行うことにより、冷所に保管した場合でもアリピプラゾールが析出しにくい内用液剤を得ることができる。
【0024】
上記の加熱処理の時間は特に限定されるものではないが、加熱処理の効果を十分に得る観点から5分間以上が好ましく、10分以上がより好ましく、20分以上がさらに好ましい。また、加熱処理は1時間で十分な効果が得られることから、加熱時間は1時間以下とすることが好ましい。上記の加熱処理は、少なくともアリピプラゾールを溶解させた溶液に対して行うことが必要であり、アリピプラゾール、塩酸及び/又はリンゴ酸を溶解させた溶液に対して行うことが好ましく、アリピプラゾール、塩酸、及びリンゴ酸を溶解させた溶液に対して行うことがより好ましい。
【0025】
本発明の内用液剤は、経口剤として用いることができ、本発明の内用液剤を用時希釈なしにそのまま患者に投与することが可能である。本発明の内用液剤を充填する容器は特に限定されるものではないが、例えば、製剤学的に許容できる容器であって、内用液剤を充填でき、かつ、密封可能な容器であれば、いずれの容器も好適に使用できる。また、容器の素材も特に限定されず、製剤学的に許容できる任意のものを使用できる。例えば、素材としては、ガラス、プラスチック、又はアルミラミネートフィルム等が挙げられる。
【0026】
本発明により提供される内用液剤では、長期保存に際してもアリピプラゾールの類縁物質の生成が抑制されている。アリピプラゾールの類縁物質としては、例えば、米国薬局方(USP)及び「エビリファイ(登録商標)錠3mg、同錠6mg、同錠12mg、同OD錠3mg、同OD錠6mg、同OD錠12mg、同OD錠24mg、同散1%、同内用液0.1%の医薬品インタビューフォーム(IF)2013年6月(改定第15版)」に記載されている下記の7種類の物質を挙げることができるが、これらに限定されることはない。上記7種類の類縁物質は試薬として購入することができるが、例えば、以下に示す実施例の高速液体クロマトグラフィーを用いた純度試験においてこれらを内部標準として使用することにより、従来のアリピプラゾール内用液剤において、アリピプラゾールのピークとは異なる位置に類縁物質由来のピークが生じることを確認することができる。通常の場合、複数の類縁物質の生成を確認することができるが、一種類のみの類縁物質が生成することもある。また、各類縁物質の生成の割合は、アリピプラゾールのピーク面積と、各類縁物質由来のピーク面積とを、自動積分法により測定することにより容易に決定することができる。本明細書において類縁物質の生成の抑制という用語は、生成する1種又は2種以上の類縁物質の総量の抑制のほか、1種又は2以上の特定の類縁物質の生成量の抑制も含む概念である。好ましくは、アリピプラゾールより主として酸化により生成すると考えられるRelated Compound Gの生成を確認することにより、リンゴ酸及び塩酸を含有しない内用液剤に比べて本発明の内用液剤においてアリピプラゾールからの類縁物質の生成が顕著に抑制されていることを確認することができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例、比較例、及び試験例により本発明をさらに具体的に説明するが、これらの例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0029】
[実施例1]
表2の処方に従い、実施例1のアリピプラゾール内用液剤を得た。具体的には、まず、酸、アリピプラゾール、及びグリセリンを精製水に溶解し、溶解を確認し、ついで、水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを表2に記載の値に調整した。その後、溶液を80℃で30分間攪拌した後、プロピレングリコール及びスクラロースを順次添加して攪拌し、溶解を確認した後にろ過することにより、アリピプラゾール内用液剤を得た。
得られたアリピプラゾール内用液剤について、下記試験例の純度試験を行った。
【0030】
<試験例>
(純度試験)
実施例1のアリピプラゾール内用液剤を恒温槽に入れ、60℃の環境下に1週間及び2週間保存した。保存後の各内用液剤と、保存前の内用液剤(初期)について、下記の方法で純度試験を実施した。
まず、表2の処方をもとにアリピプラゾール2mgに対応する容量をとり、これを希釈液(水:アセトニトリル:メタノール:酢酸=60:30:10:1(容積比)の溶液。)に加えて20mLとし、試料溶液とした。該試料溶液1mLを正確に量り、上記希釈液を加えて正確に100mLとし、標準溶液とした。そして、試料溶液及び標準溶液につき、下記の条件で高速液体クロマトグラフィーにより定量分析を行い、アリピプラゾール由来のピーク面積、及び、各類縁物質由来のピーク面積を、自動積分法により測定した。結果を表2に示す。なお、表2に記載の総類縁物質量は、(試料溶液中の類縁物質由来の各ピーク面積の総和/標準溶液中のアリピプラゾール由来のピーク面積)×0.01×100(%)を表す。
標準溶液については、分析システムの適合性等を確認する目的で分析を行った。
【0031】
(高速液体クロマトグラフィーの測定条件)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:254nm)。
カラム:内径4.6mm、長さ10cmのステンレス管に3μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てんしたカラム。
カラム温度:30℃付近の一定温度。
移動相A:トリフルオロ酢酸1mLに水を加えて2000mLとして得られた水溶液90容量%と、アセトニトリル10容量%とからなる溶液。
移動相B:トリフルオロ酢酸1mLに水を加えて2000mLとして得られた水溶液10容量%と、アセトニトリル90容量%とからなる溶液。
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を下記表3に記載のように変えて、濃度勾配制御する。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
流量:毎分1.2mL
【0034】
[実施例2、比較例1〜3]
表2に記載の処方に変更する以外は実施例1と同様の方法で、各例のアリピプラゾール内用液剤を得た。なお、エデト酸ナトリウム水和物を添加した例では、液を80℃で30分間攪拌した後、プロピレングリコールの添加と、スクラロースの添加との間に、エデト酸ナトリウム水和物を添加した。
得られたアリピプラゾール内用液剤について、実施例1と同様の方法で純度試験を行った。結果を表2に示す。
なお、リン酸を使用した場合にpHを3程度に調整すると、アリピプラゾールが析出してしまうため、リン酸を使用した比較例1では、pHが他の例よりも低くなるように調整した。
【0035】
[実施例3]
表2の処方に従い、実施例3のアリピプラゾール内用液剤を得た。具体的には、まず、酸、アリピプラゾール、グリセリン、及びプロピレングリコールの一部(表に記載のプロピレングリコールの20%の量)を精製水に溶解し、溶解を確認し、ついで、水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを表2に記載の値に調整した。その後、別途調製した下記のパラベン溶液、及びエデト酸ナトリウム水和物を液に添加し、80℃で30分間攪拌した後、スクラロース、タウマチン、及び香料を順次添加して攪拌し、溶解を確認後、ろ過することにより、アリピプラゾール内用液剤を得た。
パラベン溶液は、プロピレングリコールの一部(表に記載のプロピレングリコールの80%の量)にヒドロキシ安息香酸メチル、及びヒドロキシ安息香酸プロピルを溶解させて調製した。
得られたアリピプラゾール内用液剤について、実施例1と同様の方法で純度試験を行った。結果を表2に示す。
【0036】
表2に示したように、塩酸とリンゴ酸を併用した実施例1〜3の内用液剤は、アリピプラゾール類縁物質の経時的な生成が抑制されていた。
なお、各実施例のアリピプラゾール内用液剤を、別途、5℃で2週間保存し、結晶析出の有無を観察したところ、いずれの実施例も結晶析出は確認されなかった。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のアリピプラゾール内用液剤は、アリピプラゾール類縁物質の経時的な生成が抑制されており、長期に保存しても安定である。
【要約】
【課題】長時間保存しても安定であり、経時的な類縁物質の生成が抑制されたアリピプラゾール内用液剤を提供する。
【解決手段】アリピプラゾール、塩酸及びリンゴ酸を含有する内用液剤。当該内用液剤は、長期間保存した場合にも類縁物質の生成が抑制され、保存安定性に優れている。
【選択図】なし