特許第6039852号(P6039852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6039852掻き出し作業機械および掻き出し作業用アタッチメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6039852
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】掻き出し作業機械および掻き出し作業用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/36 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   E02F3/36 A
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-112176(P2016-112176)
(22)【出願日】2016年6月3日
【審査請求日】2016年6月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000170325
【氏名又は名称】鴻池運輸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】須永 翼
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−125445(JP,A)
【文献】 特開2013−023859(JP,A)
【文献】 特開2013−133699(JP,A)
【文献】 特開2009−000610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/36
E02F 3/40
B09B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機に備わっている油圧駆動源に接続され作業機の前後方向に伸縮自在なテレスコピック型アームと、このアームの先端部側に取り付けられる掻き取り部とを備え、前記掻き取り部は掻き取り爪が前後揺動自在に取り付けられ、前記アームの引き寄せに際して爪を下方に立てた状態に固定するストッパ部が設けられていることを特徴とする掻き出し作業機械。
【請求項2】
作業機に着脱可能な掻き出し作業用アタッチメントであって、作業機に取り付け可能で伸縮自在なテレスコピック型アームと、その先端部に取り付け可能は掻き取り部と、を有し、掻き取り部は掻き取り爪が前後揺動自在に取り付けられ、かつ掻き取り動作に際して爪を下方に立てた状態に固定するストッパ部が設けられていることを特徴とする掻き出し作業用アタッチメント。
【請求項3】
作業機側に取り付け可能とされた掻き出し作業用アタッチメントであって、掻き取り爪を支承部に揺動自在に取り付けられ、掻き取り動作に際して爪を下方に立てた状態に固定するストッパ部が設けられていることを特徴とする掻き出し作業用アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は掻き出し作業機械および掻き出し作業用アタッチメントに係り、特に製鉄所の原料ヤードの搬送コンベアから落下した鉱石(落鉱)などを掻き出し回収するための作業機械とこれに用いられるアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製鉄所の原料供給ヤードから原料を搬送する場合、通常、ベルトコンベアが用いられる。この搬送ベルトコンベアによる搬送の際には、ベルトの振動などにより搬送物が落下し、いわゆる落鉱としてコンベアの側部に堆積しやすい。この堆積した落鉱は、放置して堆積し続けると、ベルトコンベアと接触し、これが過負荷の原因となってベルトコンベアの緊急停止を招き、ひいては製造ライン全体に悪影響を及ぼす。このため、ベルトコンベアの下方にある堆積された落鉱の除去が定期的に行われている。
【0003】
従来、先行文献1にあるように、作業機のアーム先端に水平に近い状態で保持されるスクリューコンベアを取付け、その先端部に設けた開口を横向きにして取り込みつつ、旋回しながら掻き取るようにしたものが知られている。しかし、このようなものは旋回範囲が限られている他、大型化の問題や、コンベア支柱の周りの落鉱も掻き出し難いという問題があった。これに対して、先行文献2に開示のものは、スクリュウコンベアの本体部の代わりにテレスコアーム構造とし、先端に掻き出し部材をバケット部の下縁に取り付けた構造のものが提供されている。これは伸縮部ができたので、従来のスクリューコンベアの欠点が補われているものの、掻き出し作業を行う場合のバケットの首振り旋回範囲が大きいため、実際の作業には困難が伴っていた。コンベアラインの下部に潜り込んだ場合には、テレスコアーム全体を上下に動かし、掻き取り部によって落鉱を取り除く必要があった。また、搬送ベルトが2基並走している場合には、奥側の搬送ベルトの落鉱は、掻き取るよりは押し広げる作業となっていたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−32764号公報
【特許文献2】特開2013−23859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に着目し、簡単な構造のアタッチメントを取付けるだけで、山となっている落鉱の掻き取り作業が容易にできるとともに、例え2連の搬送ベルトによる落鉱であってもベルト面の側方から簡易に届くよう掻き取り作業ができる掻き出し作業機械および掻き出し作業用アタッチメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る掻き出し作業機械は、作業機に備わっている油圧駆動源に接続され作業機の前後方向に伸縮自在なテレスコピック型アームと、このアームの先端部側に取り付けられる掻き取り部とを備え、前記掻き取り部は掻き取り爪が前後揺動自在に取り付けられ、前記アームの引き寄せに際して爪を下方に立てた状態に固定するストッパ部が設けられていることを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係る掻き出し作業用アタッチメントは、作業機に着脱可能な掻き出し作業用アタッチメントであって、作業機に取り付け可能で伸縮自在なテレスコピック型アームと、その先端部に取り付け可能は掻き取り部と、を有し、掻き取り部は掻き取り爪が前後揺動自在に取り付けられ、かつ掻き取り動作に際して爪を下方に立てた状態に固定するストッパ部が設けられていることを特徴としている。
【0008】
さらに、本発明に係る掻き出し作業用アタッチメントは、作業機側に取り付け可能とされた掻き出し作業用アタッチメントであって、掻き取り爪を支承部に揺動自在に取り付けられ、掻き取り動作に際して爪を下方に立てた状態に固定するストッパ部が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
このような発明によれば、作業機を移動して搬送コンベアの脇に止め、ベルト下部の堆積落鉱の山に向かって伸縮アームを伸ばすと、アーム先端に取り付けられた掻き取り部が堆積落鉱の山を、掻き取り爪がスイングして簡単に乗り越えられる。そして、伸縮アームを引き寄せることにより、今度は掻き取り爪がストッパによって止められる掻き取り可能な位置で立設保持されるために、容易に掻寄可能となるのである。したがって、伸縮アームの伸縮動作のみにより、堆積落鉱の山を押し広げすることなく、簡単に堆積落鉱の掻き取り作業ができる。伸縮アームと掻き取り部とからなるアタッチメント構造、あるいは掻き取り部からなるアタッチメント構造とすることで、容易に作業機、あるいは伸縮アーム付きの作業機に配備することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例に係る作業機に装備された掻き取り部付きの伸縮アームの正面図である。
図2】実施例に係る作業機に装備された掻き取り部付きの伸縮アームの平面図である。
図3】伸縮アームに取り付けられた掻き取り作業用アタッチメントの正面図である。
図4図3の平面図である。
図5図3の左側面図である。
図6】掻き取り作業用アタッチメントの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照して、詳細に説明する。
なお、この実施形態は一つの例であり、本発明の技術的思想を失わない限り、その変更は自由である。
【0012】
この実施形態に係る装置は、作業機10と、これに直結されるテレスコピック型アーム(伸縮アーム)20、および伸縮アーム20の先端に取り付け可能は掻き取り部30から構成されている。
【0013】
作業機10は、いわゆる小型特殊重機といわれるもので、運転者が乗り込んで移動し、前端面にバケットなどの作業機器を装備し、機器に応じた作業を行うものとされている。この作業機10にはバケットを外し、任意の作業機器が取り付けられるようになっており、この実施形態では、掻き取り部30が付帯した伸縮アーム20が取り付けられる。
【0014】
伸縮アーム20は伸縮するテレスコピック型のアームであって、作業機10の前方に向かって伸縮できるように取り付けられている。これは作業機10に配備されている油圧源に接続されるポートを有し(図示せず)、油圧供給により略2mの外筒21に対し、略1.5mの内筒22を伸縮させる。外筒21の基部には端板23が垂直に設けられ、作業機10への取付け部とされる。端板23と外筒21との間には水平ブラケット24を外筒21の両サイドに設け、また水平ブラケット24と端板23の間を垂直ブラケット25により連結している。このため、端板23には伸縮アーム20の外筒21が強固に固定される。
【0015】
外筒21に内挿する内筒22は先端に端面フランジ26が設けられており、この端面フランジ26と掻き取り部30が取り付けられる。この掻き取り部30は、端面フランジ26に面合わせされる取付け面部32を有し、これらがボルト34を介して強固に取り付けられている。取付け面部32には伸縮方向前方に向かって二枚の取付ブラケット36が設けられ、これらの間隔を保持する間隔保持部材38がその中間部に配置されている。取付ブラケット36は側面から見て下辺が水平で、上辺が前方に向かって傾斜している台形状を成している。下辺の中央部に2枚の取付ブラケット36に跨って円柱の固定軸受け部40の上半部が固着されている。この固定軸受け部40は、丁度、間隔保持部材38の下辺に沿って配置されている。
【0016】
一方、前記固定軸受け部40に支軸42が取り付けられ、この支軸42を介して可動部分である掻き取り爪44が設けられている。すなわち、矩形平板から構成されている掻き取り爪44の上辺部には、前記固定軸受け部40と同芯となる可動軸受け部46が一対、固定軸受け部40を挟み込むような配置で設けられている。この同芯配置された固定軸受け部40と両サイドの可動軸受け部46とに支軸42を通し、平板状の掻き取り爪44が支軸42を中心として揺動自在となっている。また、掻き取り爪44には、一対の可動軸受け部46に跨り、水平方向に延びるストッパ板48が三角板状の保持ブラケット50を介して設けられている。保持ブラケット50は掻き取り爪44に溶着されている。このストッパ板48は前記二枚の取付ブラケット36の水平下辺に当接するようになっており、掻き取り爪44がそれ以上回動しないように回転を規制する。これによって、掻き取り爪44はストッパ板48が取付ブラケット36に規制保持されている図3の実線位置である下方に立てた状態に固定される。そして、伸縮アーム20の伸長時には、掻き取り爪44が下方に立てた状態から爪44が格納状態(図3の破線状態)まで揺動できるようになっている。
【0017】
このように構成された実施形態に係るアタッチメントとこれを取付けた作業機10の作用は次のようになる。
作業機10を移動し、まず、落鉱の山に向かって伸縮アーム20を伸ばす。この伸長作業により、掻き取り爪44が山にぶつかるが、掻き取り爪44は揺動自在となっており、最初は図3の破線で示すように、掻き取り爪44の引き込み動作を行う。この作用により掻き取り爪44は更に伸長し易くなり、山の頂上を容易に乗り越えることができる。そして、今度は、伸縮アーム20の引き込み動作を行うことにより、掻き取り爪44が内側の落鉱に押され、図3実線に示されるように、掻き取り爪44はストッパ板48が取付ブラケット36に当たって垂直に下方に立てた状態となり、掻き取り作業が円滑に行われる。以後は同じように作業を行えばよい。
【0018】
このように、本実施形態によれば、作業機10にテレスコピック型アーム20を取付け、さらにこの先端に揺動可能な掻き取り爪44を揺動自在にして、ストッパ板48により収縮時にのみ掻き取り爪44が立っている状態に保持したので、落鉱の山と天井とが狭くても容易に除去できる。伸縮アームの伸縮動作のみにより、堆積落鉱の山を押し広げすることなく、簡単に堆積落鉱の掻き取り作業ができる。伸縮アームと掻き取り部とからなるアタッチメント構造、あるいは掻き取り部からなるアタッチメント構造とすることで、容易に作業機、あるいは伸縮アーム付きの作業機に配備することができる。
【0019】
なお、掻き取り爪44は実施形態のように平板構造にしてもよいが、通常の櫛形形状としてもよい。また、掻き取り爪44の下縁部にコロなどを取付けてもよい。また、ストッパ板48と取付ブラケット36による回転ストッパ機能は軸受け部分に形成することも容易である。
【符号の説明】
【0020】
10……作業機、20……テレスコピック型アーム(伸縮アーム)、21……外筒、22……内筒、23……端板、24……水平ブラケット、25……垂直ブラケット、30……掻き取り部、32……取付け面部、34……ボルト、36……取付ブラケット、38……間隔保持部材、40……固定軸受け部、42……支軸、44……掻き取り爪、46……可動軸受け部、48……ストッパ板、50……保持ブラケット。
【要約】
【課題】簡単な構造のアタッチメントを取付けるだけで、山となっている落鉱の掻き取り作業を容易に行い、例え2連の搬送ベルトによる落鉱であってもベルト面の側方から簡易に届くよう掻き取り作業ができるようにする。
【解決手段】作業機に備わっている油圧駆動源に接続され作業機の前後方向に伸縮自在なテレスコピック型アームを設ける。このアームの先端部側に取り付けられる掻き取り部とを備える。前記掻き取り部は掻き取り爪が前後揺動可能に取り付けられ、前記アームの引き寄せに際して爪を下方に立てた状態に固定するストッパ部を設ける。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6