(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039860
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】生態建築構造物とその断熱構造体及び該断熱構造体の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/76 20060101AFI20161128BHJP
E04B 1/64 20060101ALI20161128BHJP
E04B 1/92 20060101ALI20161128BHJP
E04B 1/90 20060101ALI20161128BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20161128BHJP
E04B 5/43 20060101ALI20161128BHJP
E04B 7/22 20060101ALI20161128BHJP
E04B 2/86 20060101ALI20161128BHJP
E04B 1/98 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
E04B1/76 400G
E04B1/64 D
E04B1/92
E04B1/90 D
E04B1/94 T
E04B1/76 500F
E04B5/43 G
E04B7/22
E04B2/86 611V
E04B1/98 E
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-510593(P2016-510593)
(86)(22)【出願日】2013年4月22日
(65)【公表番号】特表2016-520738(P2016-520738A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】KR2013003395
(87)【国際公開番号】WO2014175473
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2015年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】515292934
【氏名又は名称】ユン インハク
【氏名又は名称原語表記】YOON, In Hak
(74)【代理人】
【識別番号】110000981
【氏名又は名称】アイ・ピー・ディー国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ユン インハク
【審査官】
多田 春奈
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−248873(JP,A)
【文献】
特開2010−084502(JP,A)
【文献】
特開2011−021321(JP,A)
【文献】
特開2009−293249(JP,A)
【文献】
特開2004−011188(JP,A)
【文献】
特開2010−084476(JP,A)
【文献】
特表2004−513270(JP,A)
【文献】
特開2005−009277(JP,A)
【文献】
特開2000−199283(JP,A)
【文献】
特開2010−270585(JP,A)
【文献】
特開2010−275822(JP,A)
【文献】
特開2003−206593(JP,A)
【文献】
国際公開第00/065166(WO,A1)
【文献】
米国特許第05287674(US,A)
【文献】
米国特許第04177618(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B1/62−1/99
2/56−2/70
2/86−7/24
E04B5/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側垂直柱及び内側垂直柱が離隔し、前記外側垂直柱及び前記内側垂直柱は両側に交互に設置される多数の水平リブによって離隔状態が支持される柱部材を含み、多数の柱部材が一定間隔だけ離隔して配置される支持部材と、
前記支持部材の各柱部材をなす各外側垂直柱に結合されて外側をなす各外側板材と、
前記支持部材の各柱部材をなす各内側垂直柱に結合されて内側をなす各内側板材と、
前記各外側板材と前記各内側板材との間の離隔した空間及び前記柱部材の前記外側垂直柱と内側垂直柱との間の離隔した空間に充填される各断熱チップと、
前記各外側板材のうち一つ以上に形成された排出口と結合されながら開閉可能に構成される排出板と、
前記各内側板材のうち一つ以上に形成された投入口と結合されながら開閉可能に構成される投入板と
を含むことを特徴とする生態建築構造物の断熱構造体。
【請求項2】
前記外側及び内側垂直柱は、木材及び鉄材のうちいずれか一つで構成される、請求項1に記載の生態建築構造物の断熱構造体。
【請求項3】
多数の前記水平リブは、前記外側垂直柱と前記内側垂直柱との間にトラス構造で構成される、請求項1に記載の生態建築構造物の断熱構造体。
【請求項4】
前記各外側板材と前記各内側板材との離隔間隔は、目標室内温度と最低平均温度との間の温度差が25℃以下である場合に250mmに設定され、25℃を超えて30℃以下である場合に300mmに設定され、30℃を超えて40℃以下である場合に400mmに設定され、40℃を超えて50℃以下である場合に500mmに設定される、請求項1に記載の生態建築物の断熱構造体。
【請求項5】
前記各外側板材と前記各内側板材との間の離隔した空間は、前記柱部材をなす前記外側垂直柱と前記内側垂直柱との間の離隔空間を介して連結されることによって、前記断熱チップが充填されて形成される断熱層が連続的につながる、請求項1に記載の生態建築構造物の断熱構造体。
【請求項6】
前記各断熱チップは、針葉樹、稲わら、麦わら、紙及びこれらの加工品のうち一つ以上を含み、1mm以上3mm以下の太さと、1mm以上20mm以下の長さを有する粒子からなる、請求項1に記載の生態建築構造物の断熱構造体。
【請求項7】
前記各断熱チップは、フィトンチッドを発生させる粒子、湿度を調節する機能を有する粒子及び有害物質を吸収する機能を有する粒子のうち一つ以上を含んでなる、請求項1に記載の生態建築構造物の断熱構造体。
【請求項8】
前記各断熱チップは、460℃以上の発火温度を有する粒子からなる、請求項1に記載の生態建築構造物の断熱構造体。
【請求項9】
前記各断熱チップは、環境にやさしい肥料として再使用可能な素材からなる、請求項1に記載の生態建築構造物の断熱構造体。
【請求項10】
前記投入板には、前記各断熱チップが充填された状態を観察できるウィンドウが構成される、請求項1に記載の生態建築構造物の断熱構造体。
【請求項11】
前記ウィンドウは、各貫通孔が形成された透明な板で構成される、請求項10に記載の生態建築構造物の断熱構造体。
【請求項12】
壁体、床体及び屋根のうち少なくとも一つ以上が請求項1の断熱構造体を含む生態建築構造物。
【請求項13】
木材及び鉄材のうちいずれか一つからなる外側垂直柱及び内側垂直柱を離隔し、前記外側垂直柱及び前記内側垂直柱の両側に交互に多数の水平リブを設置し、前記外側垂直柱及び前記内側垂直柱の離隔状態を支持して柱部材を構成する段階と、
多数の前記柱部材を一定間隔だけ離隔して配置する段階と、
各柱部材をなす各外側垂直柱に各外側板材を結合して外側を形成する段階と、
各柱部材をなす各内側垂直柱に各内側板材を結合して内側を形成する段階と、
前記柱部材、前記各外側板材及び前記各内側板材が組み立てられた構造体を壁体、床体及び屋根のうちいずれか一つをなすように組立式で設置する段階と、
前記各内側板材のうち一つ以上に形成された投入口に結合されながら開閉可能な投入板を開放し、前記構造体の前記各外側板材と前記各内側板材との間の離隔した空間及び前記柱部材の前記外側垂直柱と前記内側垂直柱との間の離隔した空間に断熱チップを充填する段階と
を含む生態建築構造物の断熱構造体施工方法。
【請求項14】
多数の前記水平リブは、前記外側垂直柱と前記内側垂直柱との間にトラス構造で設置される、請求項13に記載の生態建築構造物の断熱構造体施工方法。
【請求項15】
前記各外側板材と前記各内側板材は、目標室内温度と最低平均温度との間の温度差が25℃以下である場合に250mmだけ離隔し、25℃を超えて30℃以下である場合に300mmだけ離隔し、30℃を超えて40℃以下である場合に400mmだけ離隔し、40℃を超えて50℃以下である場合に500mmだけ離隔するように設置される、請求項13に記載の生態建築構造物の断熱構造体施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生態建築構造物とその断熱構造体及び該断熱構造体の施工方法に関し、より詳細には、針葉樹、稲わら、麦わら、紙及びこれらの加工品のうち一つ以上を含む断熱チップを確保された空間内に充填することによって断熱層をなし、この断熱層は、床層、壁体、屋根及び層間床層で連続的に一体化されるように構成され、断熱チップの充填及び排出が容易になるように改善した生態建築構造物とその断熱構造体及び該断熱構造体を組立式で施工する施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築構造物のエネルギー消費量は、全体の最終エネルギー消費量の43%に達しており、建築構造物のエネルギー消費量中の85%以上が温水、冷暖房及び炊事を含む建築物の管理に使用される。
【0003】
このように建築構造物に使用されるエネルギー消費量は、自動車のエネルギー消費量より多い実情にあり、温室ガスの放出にも大きな比重を占める。
【0004】
したがって、建築構造物のエネルギー節減断熱技術は、エネルギー危機の克服と資源の保護において核心的な技術であると理解することができる。
【0005】
既存の建築構造物に適用される断熱工法においては、板状と繊維状の断熱材を設置することが一般的である。しかし、板状と繊維状の断熱材を用いた断熱工法の場合、各板間の継ぎ部と、壁体と断熱材との間の空間で対流及び気流が発生することによって多くのエネルギーが漏れてしまい、断熱効果が激しく低下するという問題を有する。
【0006】
そして、既存の板状と繊維状の断熱材などの全ての断熱材は、時間の経過と共に体積が減少する現象又は自重によって沈み込む現象が発生し、断熱性能の喪失又は低下をもたらすという問題を有する。
【0007】
また、既存の工法においては、前記のように既に設置された断熱材を交換、補修又は再充填することが不可能であり、断熱材を交換、補修又は再充填するためには、既存の建築構造物を解体しなければならないという困難さがあった。
【0008】
また、既存の板状と繊維状の断熱材を用いた断熱工法においては、断熱空間を完全に充填できないので、空の断熱空間によって内部空気の対流と気流が発生し、内外側壁からのエネルギー損失が深刻であり、また、音の回折現象と共鳴現象によって音が増幅するなど、防音に深刻な問題を有する。
【0009】
また、既存の工法においては、床断熱が脆弱であるか、床断熱を全く行わない場合がある。床の場合、外部と接触する基礎によって室内熱の損失が50%に至るほどに、断熱に深刻な問題を有する。
【0010】
また、既存の工法における屋根層の断熱においては、外部からの断熱施工が不可能であり、内部での断熱においては、敷桁で熱橋(Heat Bridge)が発生し、深刻なエネルギー漏れと結露現象が発生するという問題を有する。
【0011】
また、既存の工法においては、断熱材は各壁間に設置する。すなわち、既存の工法によると、高断熱建築物の壁体は、通常、200mm厚のコンクリート壁体、300mm厚の断熱材、及び100mm厚の煉瓦壁体を含み、合計600mmの厚さを有するように構成されるので、壁体の厚さが過度に厚く、材料が過多に使用され、その結果、建築の室内面積が縮小され、建築費が上昇するなどの多くの問題が発生する。
【0012】
そして、既存の工法においては、左右横方向に断熱材を連結して施工できるが、層間及び壁体と床層との間の断熱材を連続的につなげることは難しい。そのため、断熱材がつながらない層間又は壁体と床層との間に多くの熱橋(Heat Bridge)が発生し、ここから大量のエネルギーが漏れてしまい、断熱効果が激しく低下するという問題を有する。
【0013】
一方、既存に使用される断熱材は、価格が高価である。一例として、1立方メートル当たりのレディーミクストコンクリートの施工価格は約60,000ウォン程度であるが、断熱材である発泡スチロールの価格は少なくとも120,000ウォン以上である。
【0014】
一方、エネルギー節減のために生態建築物(パッシブハウス)が提示されたことがあり、生態建築物の施工において、ドイツの場合、断熱層の厚さとして、300mm以上の厚さの壁、300mm以上の厚さの基礎上の床層、300mm以上の厚さの屋根を使用することを薦めている。これは、断熱層の熱貫流率0.15w/m2k(以下)、外部温度−10℃、室内温度20℃を基準にして提示されたものである。このような建築構造物において、1平方メートルの建築面積当たり1.2立方メートルの断熱材を使用する必要がある。そのため、生態建築物は、高価な断熱材の使用量が多くなり、断熱構造体の仕上げ費用が上昇し、施工費が一般建築物の2倍に達するので普及に困難がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、前記の問題を解決するためのものであって、針葉樹、稲わら、麦わら、紙及びこれらの加工品のうち一つ以上を含む断熱チップを用いた断熱層を断熱構造体に形成し、経済的でありながら優れた断熱性能を有する生態建築構造物とその断熱構造体を提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明は、断熱層が内部に形成されるように断熱チップを充填する空間を提供する支持部材と板材が横力と圧縮力に耐える堅固な構造を有する生態建築構造物とその断熱構造体を提供することを他の目的とする。
【0017】
また、本発明は、床層、壁体及び屋根に断熱チップを充填する空間に隙間が発生せず、断熱チップが完全に充填されてつながるように、断熱層が一体化されて形成されることによって、断熱性能を改善した生態建築構造物とその断熱構造体を提供することを更に他の目的とする。
【0018】
また、本発明は、断熱チップの充填と排出が容易な構造を有する生態建築構造物とその断熱構造体を提供することを更に他の目的とする。
【0019】
また、本発明は、フィトンチッドを発生させる粒子、湿度を調節する機能を有する粒子又は有害物質を吸収する機能を有する粒子が選択的に前記断熱チップとして利用できるので機能性を提供することができ、前記断熱チップが高い発火温度を有することによって耐火性を有し、前記断熱チップが環境にやさしい肥料として再使用可能な生態建築構造物とその断熱構造体を提供することを更に他の目的とする。
【0020】
また、本発明は、前記のような断熱構造体を壁体、床体及び屋根のうちいずれか一つをなすように組立式で設置することができ、施工性を改善した生態建築構造物とその断熱構造体施工方法を提供することを更に他の目的とする。
【0021】
また、本発明は、従来の耐力壁(bearing wall)と壁との間に空間を構築し、断熱材を取り付けて付着させる工法とは異なり、各柱部材間に断熱材を充填することによって断熱材の厚さが耐力壁の全体厚さになり得るので、十分な断熱層を確保できる生態建築構造物を提供することを更に他の目的とする。
【0022】
また、本発明は、断熱材を各板材間及び各柱間に充填するので、壁の厚さを減少させながら断熱チップで断熱層を形成し、断熱効果を改善した生態建築構造物を提供することを更に他の目的とする。
【0023】
また、本発明は、層間及び壁体と床層との間の断熱材の連結が難しい従来とは異なり、断熱層の連結として、横方向連結、層間の縦方向連結、壁体と床層との間の連結、壁体と屋根層との間の連結が可能であり、断熱構造体の断熱層が連続的につながり、断熱層を一体化し、エネルギー漏れのない完全断熱を達成することを更に他の目的とする。
【0024】
また、一体化された断熱層は、音の回折現象と共鳴現象を防止し、各部屋間の防音効果を改善することを更に他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前記の目的を達成するための本発明に係る生態建築構造物の断熱構造体は、外側垂直柱及び内側垂直柱が離隔し、前記外側垂直柱及び前記内側垂直柱は両側に交互に設置される多数の水平リブによって離隔状態が支持される柱部材を含み、多数の柱部材が一定間隔だけ離隔して配置される支持部材と、前記支持部材の各柱部材をなす各外側垂直柱に結合されて外側をなす各外側板材と、前記支持部材の各柱部材をなす各内側垂直柱に結合されて内側をなす各内側板材と、前記各外側板材と前記各内側板材との間の離隔した空間及び前記柱部材の前記外側垂直柱と内側垂直柱との間の離隔した空間に充填される各断熱チップと、前記各外側板材のうち一つ以上に形成された排出口と結合されながら開閉可能に構成される排出板と、前記各内側板材のうち一つ以上に形成された投入口と結合されながら開閉可能に構成される投入板とを含むことを特徴とする。
【0026】
ここで、前記外側垂直柱及び前記内側垂直柱は、木材及び鉄材のうちいずれか一つで構成することができる。
【0027】
そして、多数の前記水平リブは、前記外側垂直柱と前記内側垂直柱との間にトラス構造で構成することができる。
【0028】
そして、前記各外側板材と前記各内側板材との離隔間隔は、目標室内温度(20℃)と最低平均温度との間の温度差が25℃以下である場合に250mmに設定し、25℃を超えて30℃以下である場合に300mmに設定し、30℃を超えて40℃以下である場合に400mmに設定し、40℃を超えて50℃以下である場合に500mmに設定することができる。
【0029】
そして、前記各外側板材と前記各内側板材との間の離隔した空間は、前記柱部材をなす前記外側垂直柱と前記内側垂直柱との間の離隔空間を介して連結されることによって、前記断熱チップが充填されて形成される断熱層が連続的につながることが好ましい。
【0030】
そして、前記各断熱チップは、針葉樹、稲わら、麦わら、紙及びこれらの加工品のうち一つ以上を含み、1mm以上3mm以下の太さと、1mm以上20mm以下の長さを有する粒子からなり得る。
【0031】
そして、前記各断熱チップは、フィトンチッドを発生させる粒子、湿度を調節する機能を有する粒子及び有害物質を吸収する機能を有する粒子のうち一つ以上を含んでなり得る。
【0032】
そして、前記各断熱チップは、460℃以上の発火温度を有する粒子からなることが好ましい。
【0033】
そして、前記各断熱チップは、環境にやさしい肥料として再使用可能な素材からなり得る。
【0034】
そして、前記投入板には、前記各断熱チップが充填された状態を観察できるウィンドウを構成することができ、前記ウィンドウは、各貫通孔が形成された透明な板で構成することができる。
【0035】
そして、前記支持部材、前記各外側板材及び前記各内側板材が組み立てられた構造体は、壁体、床体及び屋根のうちいずれか一つをなすように構成することができる。
【0036】
一方、本発明に係る生態建築構造物の断熱構造体の施工方法は、木材及び鉄材のうちいずれか一つからなる外側垂直柱及び内側垂直柱を離隔し、前記外側垂直柱及び前記内側垂直柱の両側に交互に多数の水平リブを設置し、前記内側垂直柱及び前記外側垂直柱の離隔状態を支持して柱部材を構成する段階と、多数の前記柱部材を一定間隔だけ離隔して配置する段階と、各柱部材をなす各外側垂直柱に各外側板材を結合して外側を形成する段階と、各柱部材をなす各内側垂直柱に各内側板材を結合して内側を形成する段階と、前記柱部材、前記各外側板材及び前記各内側板材が組み立てられた構造体を壁体、床体及び屋根のうちいずれか一つをなすように組立式で設置する段階と、前記各内側板材のうち一つ以上に形成された投入口に結合されながら開閉可能な投入板を開放し、前記構造体の前記各外側板材と前記各内側板材との間の離隔した空間及び前記柱部材の前記外側垂直柱と内側垂直柱との間の離隔した空間に断熱チップを充填する段階とを含むことができる。
【0037】
そして、多数の前記水平リブは、前記外側垂直柱と前記内側垂直柱との間にトラス構造で設置することができる。
【0038】
そして、前記各外側板材と前記各内側板材は、目標室内温度(20℃)と最低平均温度との間の温度差が25℃以下である場合に250mmだけ離隔し、25℃を超えて30℃以下である場合に300mmだけ離隔し、30℃を超えて40℃以下である場合に400mmだけ離隔し、40℃を超えて50℃以下である場合に500mmだけ離隔するように設置することができる。
【発明の効果】
【0039】
したがって、本発明によると、針葉樹、稲わら、麦わら、紙及びこれらの加工品のうち一つ以上を含む断熱チップを用いた断熱層が断熱構造体に適用されることによって、経済性に優れ、材質による特性と、断熱層が上下及び縦横などに連続的に継ぎ目なしでつながることによって屋根、壁体、床層の断熱層が連続的に一体化され、熱エネルギーの漏れが最小化され、その結果、高い断熱性能を有するという効果がある。
【0040】
そして、本発明によると、断熱空間をなす支持部材と板材が堅固に結合され、撓み、横力及び圧縮力に耐える堅固な構造を有することによって、耐振性能に優れるという効果がある。
【0041】
また、本発明によると、断熱チップの充填と排出が容易であり、排出された断熱チップを環境にやさしい肥料として利用可能であるという効果がある。
【0042】
また、本発明によると、断熱チップにフィトンチッドの発生、湿度の調節、有害物質の吸収及び耐火などの機能性を付加することができ、機能性を有する断熱構造体を提供できるという効果がある。
【0043】
また、本発明によると、断熱構造体を壁体、床体及び屋根のうちいずれか一つをなすように組立式で設置することができ、施工性が改善されるという効果がある。
【0044】
また、本発明によると、従来の耐力壁(bearing wall)と壁との間に空間を構築し、断熱材を取り付けて付着させる工法とは異なり、各柱部材間に断熱材を充填することによって、断熱材の厚さが耐力壁の全体厚さになり得るので、十分な断熱層を確保できるという効果がある。
【0045】
また、本発明によると、断熱材を各板材間及び各柱間に充填するので、壁の厚さを減少させながら断熱チップで断熱層を形成し、断熱効果を改善できるという効果がある。
【0046】
また、本発明によると、断熱層の連結として、横方向連結、層間の縦方向連結、及び壁体と床層との間の連結が可能であり、音の回折現象と共鳴現象を防止し、各部屋間の防音効果を改善できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明に係る実施例が適用された生態建築物の平面図である。
【
図3】断熱構造体をなすための支持部材の斜視図である。
【
図4】支持部材に内側板材、外側板材、排出板及び投入板が組み立てられた状態を説明する分解図である。
【
図5】支持部材に内側板材と外側板材が組み立てられた状態における排出板と投入板との組み立て状態を説明する分解図である。
【
図6】内側板材、外側板材、排出板及び投入板が組み立てられた状態の斜視図である。
【
図7】断熱チップの投入を説明するための図である。
【
図8】断熱チップの排出を説明するための図である。
【
図9】本発明に係る断熱構造体が屋根に適用された実施例を例示する分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。本明細書及び特許請求の範囲に使用された用語は、通常的又は辞書的な意味に限定して解釈してはならず、本発明の技術的事項に符合する意味と概念で解釈しなければならない。
【0049】
本明細書に記載した実施例と図面に図示した構成は、本発明の好ましい実施例であり、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないので、本出願時点でこれらに取って代わる多様な均等物と変形例があり得る。
【0050】
本発明に係る生態建築構造物は、
図1に示すように実施することができ、壁体は、本発明に係る断熱構造体で構成することができる。
【0051】
すなわち、
図1に示すように、本発明に係る実施例は、生態建築構造物の壁10に適用され、壁10は、
図2に示すように、外側垂直柱20、内側垂直柱22、外側垂直柱20と内側垂直柱22との間を連結する水平リブ24、各外側柱20に設置される外側板材26、各内側柱22に設置される内側板材28、及び外側板材26と内側板材28との間の離隔空間と外側垂直柱20と内側垂直柱22との間の離隔空間に充填されて断熱層をなす断熱チップ30を含み、外側板材26には仕上げ材32を設置することができる。ここで、外側垂直柱20、内側垂直柱22及び水平リブ24の組立体は柱部材34をなす。そして、互いに離隔して配置された多数の柱部材34が支持部材をなす。
【0052】
以下では、
図2及び
図3を参照して支持部材の構成を詳細に説明する。
【0053】
支持部材をなす多数の柱部材34において、断熱層をなすための空間を形成するように互いに離隔した外側垂直柱20と内側垂直柱22は、両側に交互に設置される多数の水平リブ24によって離隔状態が支持されるように固定される。
【0054】
ここで、各水平リブ24は、外側垂直柱20と内側垂直柱22との間を連結することによって横力と圧縮力を有する柱部材34をなす役割をし、外側垂直柱20と内側垂直柱22に印加される横力と圧縮力は各水平リブ24を介して分散させることができる。
【0055】
そして、各水平リブ24は、外側垂直柱20と内側垂直柱22との間の両側に交互に配置されるか又はトラス(Truss)構造をなすなど、製作者の意図によって多様に実施可能である。ここで、トラス構造は、鋼材や木材を三角形網状に編んで荷重を支える構造を意味する。柱部材34にトラス構造の各水平リブ24が採用された場合、横力と圧縮力に対する安定性が倍加し得る。
【0056】
前記の外側垂直柱20と内側垂直柱22は、木材材質の角材や鉄材材質のビームで構成することができ、これらを連結する水平リブ24も、外側垂直柱20及び内側垂直柱22の材質によって木材材質や鉄材材質で構成することができる。
【0057】
そして、離隔した多数の柱部材34は、上部と下部のそれぞれに二つ以上設置される水平連結梁36によって固定されることによって支持部材をなすことができる。
【0058】
水平連結梁36の材質も、外側垂直柱20と内側垂直柱22の材質によって木材材質や鉄材材質で構成することができる。
【0059】
上述したように、各水平連結梁36間には空間が形成され、この空間は、上下層間の断熱材を連結して構成する必要性がある場合、断熱材の連結構成に用いることができる。
【0060】
一方、上述した
図3のように構成される支持部材には、
図4〜
図6に示すように、各外側板材26、各内側板材28、排出板40及び投入板44が結合される。
【0061】
すなわち、各外側垂直柱20には、外側をなすように各外側板材26が結合され、各内側垂直柱22には、内側をなすように各内側板材28が結合される。
【0062】
外側板材26は、二つ以上の外側垂直柱20にわたって多様な幅を有するように設計することができ、内側板材28も、二つ以上の内側垂直柱22にわたって多様な幅を有するように設計することができる。
【0063】
外側板材26と内側板材28は合板で構成することができ、特に、内側板材28の場合、耐水合板で構成することができ、防湿紙を接着させることができる。そして、外側板材26には仕上げ材32を結合することができ、防火石膏ボードや落葉松ルーバーなどを仕上げ材32として用いることができる。
【0064】
そして、外側板材26の下部には排出口38を形成することができ、排出口38には開閉可能な排出板40が構成される。
【0065】
そして、内側板材28の上部には投入口42を形成することができ、投入口42には開閉可能な投入板44が構成される。
【0066】
ここで、排出口38と投入口42は、多数の外側板材26の全体又は一部に形成することができ、排出板40と投入板44は合板で構成することができ、排出板40と投入板44は、外側垂直柱20と内側垂直柱22にねじ結合される方法などで反復的な開閉が可能になるように構成することができる。
【0067】
そして、投入板44には、各断熱チップ30の充填状態を観察できるウィンドウ46を構成することができ、ウィンドウ46は、各貫通孔が形成された透明な板で構成することができる。このとき、ウィンドウ46は、100mm程度の直径を有することができる。ウィンドウ46は、投入板44の全体又は一部に形成することができ、内部断熱チップ30の沈下状態を肉眼で識別する機能と、湿気を排出又は提供する通路を提供する役割をすることができる。特に、断熱チップ30がフィトンチッド機能を有する粒子を含む場合、フィトンチッドは、ウィンドウ46に形成される各貫通孔を介して放射され得る。
【0068】
上述したように、支持部材の外側垂直柱20と内側垂直柱22にそれぞれ設置される外側板材26、内側板材28、排出板40及び投入板44は、
図4のように配置して組み立てることができ、
図5のように外側板材26及び内側板材28を組み立てた後、
図6のように排出板40及び投入板44を組み立てることができる。
【0069】
外側板材26と内側板材28は、外側垂直柱20及び内側垂直柱22を含む柱部材34によって一定距離だけ離隔し、柱部材34の内部にも外側垂直柱20と内側垂直柱22が一定距離だけ離隔する。
【0070】
前記のような離隔空間に断熱チップ30を充填し、
図7のように投入板44が分離されて投入口42が開放された状態で断熱チップ30を充填することができる。
【0071】
また、充填された断熱チップ30は、長時間の使用によって沈下し、断熱機能が劣化し得るので、一定期間使用した後で排出される必要性がある。この場合、
図8のように排出板40が分離されて排出口38が開放された状態で断熱チップ30を排出することができる。
【0072】
このように、本発明に係る断熱構造体は、断熱チップ30を交換、補修及び再充填することができ、このような作業は、機械装備や手で容易に行えるので、維持補修が容易であるという利点を提供することができる。
【0073】
一方、充填される断熱チップ30によって形成される断熱層の厚さは、室内温度と外部温度との差と粒子状断熱材の熱貫流率によって決定することができ、その結果、本発明によって実施される断熱構造体の厚さは可変になり得る。
【0074】
より具体的に、断熱層を形成するための各外側板材26と各内側板材28との離隔間隔は、目標室内温度(20℃)と最低平均温度との間の温度差が25℃以下である場合に250mmに設定し、25℃を超えて30℃以下である場合に300mmに設定し、30℃を超えて40℃以下である場合に400mmに設定し、40℃を超えて50℃以下である場合に500mmに設定することができる。そして、目標室内温度と最低平均温度との間の温度差が50℃を超える場合にも、断熱性を勘案した上で、各外側板材26と各内側板材28との離隔間隔を500mm以上に設定することができる。
【0075】
前記のように、本発明に係る実施例は、各外側板材26と各内側板材28との間の離隔した空間が柱部材をなす外側垂直柱20と内側垂直柱22との間の離隔空間を介して連結されることによって、断熱チップ30が充填されて形成される断熱層が連続的につながる構成を有する。したがって、従来のように、各断熱材間の継ぎ目を通じて断熱性能が低下するという問題の発生を防止することができる。
【0076】
そして、本発明に係る実施例は、断熱チップ30として、針葉樹、稲わら、麦わら、紙及びこれらの加工品のうち一つ以上を含ませることができ、各断熱チップ30は、1mm以上3mm以下の太さと、1mm以上20mm以下の長さを有する粒子からなり得る。
【0077】
前記の断熱チップ30は、針葉樹のようにフィトンチッドを発生又は有害物質を吸収する機能を有する粒子や、木材、稲わら、麦わら及び紙のように湿度を調節する機能を有する粒子を含むことができる。
【0078】
一般に使用される断熱材は、石油化学製品や無機物材料であり、製造時に莫大なエネルギーを消費しながら二酸化炭素を多く排出させ、廃棄時に特定廃棄物として深刻な環境汚染を発生させる要因として作用する。
【0079】
しかし、本発明に係る断熱チップ30は、環境にやさしい素材である針葉樹、稲わら、麦わら、紙及びこれらの加工品からなるので、二酸化炭素の発生がなく、二酸化炭素を吸収して貯蔵するという効果を有する。
【0080】
そして、本発明に係る断熱チップ30は、フィトンチッドを発生させて放出したり、湿度を調節したり、又は有害物質を吸収する機能を有し得るので、アトピー、喘息などを予防するという効果を有することができる。
【0081】
そして、本発明に係る断熱チップ30は、材質の特性上、一般的に用いられる発泡性断熱材の発火温度である180℃の2.5倍以上である460℃の発火温度を有することによって火災防止の効果を有することができ、火災時に有毒ガスを発生させないので、人命被害を減少させ得るという効果を期待することができる。
【0082】
そして、本発明に係る断熱チップ30は、環境にやさしいと共に再使用が可能な針葉樹、稲わら、麦わら、紙及びこれらの加工品からなるので、使用されたものは、環境にやさしい肥料として再使用可能であり、廃棄による環境汚染などの問題を発生させないという利点を期待することができる。
【0083】
そして、本発明に係る断熱チップ30は、針葉樹、稲わら、麦わら、紙及びこれらの加工品からなるので、低価格で提供することができ、断熱構造体を施工する費用を節減させ得る経済的利益も提供することができる。
【0084】
上述した
図1〜
図8は、壁体に対して施工される断熱構造体を説明しているが、
図9のように屋根又は床体で構成することができる。
【0085】
図9を参照すると、外側柱50と内側柱52がトラス構造を有するリブ54によって結合されて柱部材56をなし、多数の柱部材56が離隔して配置される支持部材の上側に外側板材58と投入板60が結合され、下側に内側板材62と排出板64が結合される構成を有することができる。前記の外側板材58と内側板材62との間、そして、柱部材56の離隔した空間に断熱材が充填される。このとき、製作者の意図に応じて、排出板64を外側板材58に構成し、投入板60を内側板材62に構成することができ、投入板60にはウィンドウ66を形成することができる。
【0086】
一方、本発明に係る実施例において、柱部材、各外側板材及び各内側板材が組み立てられた構造体は、壁体、床体及び屋根のうちいずれか一つをなすように組立式で設置して施工することができる。
【0087】
すなわち、本発明に係る施工方法は、木材及び鉄材のうちいずれか一つからなる外側垂直柱20及び内側垂直柱22を離隔し、外側垂直柱20及び内側垂直柱22の両側に交互に多数の水平リブ24を設置し、外側垂直柱20及び内側垂直柱22の離隔状態を支持して柱部材34を構成する段階と、多数の柱部材34を一定間隔だけ離隔して配置する段階と、各柱部材34をなす各外側垂直柱20に各外側板材26を結合して外側を形成する段階と、各柱部材34をなす各内側垂直柱22に各内側板材28を結合して内側を形成する段階と、柱部材34、各外側板材26及び各内側板材28が組み立てられた構造体を壁体、床体及び屋根のうちいずれか一つをなすように組立式で設置する段階と、各内側板材28のうち一つ以上に形成された投入口42に結合されながら開閉可能な投入板44を開放し、前記構造体の各外側板材26と各内側板材28との間の離隔した空間及び柱部材34の外側垂直柱20と内側垂直柱22との間の離隔した空間に断熱チップ30を充填する段階を含んでなり得る。
【0088】
前記のように組立式で本発明に係る断熱構造体を施工できるので、壁体、床体及び屋根のうちいずれか一つに対して断熱構造体を施工する施工性を改善することができる。
【0089】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能であろう。したがって、本発明に開示した各実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであって、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されることはない。本発明の保護範囲は、下記の特許請求の範囲によって解釈しなければならなく、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈すべきであろう。