特許第6039865号(P6039865)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6039865
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】エマルジョン燃料製造装置および方法
(51)【国際特許分類】
   C10L 1/32 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   C10L1/32 D
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-542793(P2016-542793)
(86)(22)【出願日】2015年6月17日
(86)【国際出願番号】JP2015067426
【審査請求日】2016年6月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】516184908
【氏名又は名称】バサラ・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107467
【弁理士】
【氏名又は名称】員見 正文
(72)【発明者】
【氏名】吉田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】村本 光康
【審査官】 森 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−181302(JP,A)
【文献】 特開2011−230110(JP,A)
【文献】 特表2000−510547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 1/32
F02M 25/022
F02M 37/00
F02M 37/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カビ菌を含む燃料油とカビ菌を含む添加水と添加乳化剤とを混合および攪拌してエマルジョン燃料を製造するためのエマルジョン燃料製造装置(1)であって、
燃料油配管(13)を介して供給される前記燃料油と添加水配管(24)を介して供給される前記添加水と添加乳化剤配管(34)を介して供給される前記添加乳化剤との混合液体を攪拌して前記エマルジョン燃料を生成するためのエマルジョン化装置(50)と、
前記エマルジョン化装置で生成された前記エマルジョン燃料を濾過するための燃料濾過器(60)と、
高周波のプラス型変調電磁場を発生するための酸化型変調電磁場発生装置(2)とを具備し、
前記燃料油配管および前記添加水配管に前記酸化型変調電磁場発生装置から高周波のプラス型変調電磁場を印加して、前記カビ菌によって前記エマルジョン燃料中に発生するカビによる前記燃料濾過器の目詰まりを防止する、
ことを特徴とする、エマルジョン燃料製造装置。
【請求項2】
前記酸化型変調電磁場発生装置が、燃料油配管コイル(2a)および添加水配管コイル(2b)を備え、
前記燃料油配管コイルが、前記燃料油配管に巻き付けられており、
前記添加水配管コイルが、前記添加水配管に巻き付けられており、
前記酸化型変調電磁場発生装置が、高周波の方形波にサイン波を乗せた変調電磁場信号を前記燃料油配管コイルおよび前記添加水配管コイルに流して、前記高周波のプラス型変調電磁場を前記燃料油配管および前記添加水配管に印加する、
ことを特徴とする、請求項1記載のエマルジョン燃料製造装置。
【請求項3】
前記酸化型変調電磁場発生装置が、前記燃料油配管コイルおよび前記添加水配管コイルの代わりにエマルジョン燃料配管コイルを備え、
前記エマルジョン燃料配管コイルが、前記燃料油、前記添加水および前記添加乳化剤の混合液体を前記エマルジョン化装置に供給するためのエマルジョン燃料配管(41)に巻き付けられており、
前記酸化型変調電磁場発生装置が、前記変調電磁場信号を前記エマルジョン燃料配管コイルに流して、前記高周波のプラス型変調電磁場を前記エマルジョン燃料配管に印加する、
ことを特徴とする、請求項2記載のエマルジョン燃料製造装置。
【請求項4】
前記エマルジョン燃料配管に、外部から流入される前記エマルジョン燃料の戻り燃料油を前記エマルジョン化装置に供給するための戻り油配管(71)が接続されており、
前記エマルジョン燃料配管コイルが、前記エマルジョン燃料配管の前記戻り油配管との接続点よりも前記エマルジョン化装置側に巻き付けられている、
ことを特徴とする、請求項3記載のエマルジョン燃料製造装置。
【請求項5】
前記燃料油が、A重油であり、
前記酸化型変調電磁場発生装置が、4万Hzのプラス型変調電磁場を発生する、
ことを特徴とする、請求項1乃至4いずれかに記載のエマルジョン燃料製造装置。
【請求項6】
前記酸化型変調電磁場発生装置が、ウォーターウォッチャー(登録商標)が備える酸化(+)型変調電磁場発生器であることを特徴とする、請求項1乃至5いずれかに記載のエマルジョン燃料製造装置。
【請求項7】
カビ菌を含む燃料油とカビ菌を含む添加水と添加乳化剤とを混合および攪拌してエマルジョン燃料を製造するためのエマルジョン燃料製造方法であって、
燃料油配管(13)を介して供給される前記燃料油と添加水配管(24)を介して供給される前記添加水と添加乳化剤配管(34)を介して供給される前記添加乳化剤とを混合して混合液体を生成する第1の製造過程と、
前記混合液体をエマルジョン化装置(50)で攪拌して前記エマルジョン燃料を生成する第2の製造過程と、
前記エマルジョン化装置で生成された前記エマルジョン燃料を燃料濾過器(60)で濾過する第3の製造過程とを具備し、
酸化型変調電磁場発生装置(2)から前記燃料油配管および前記添加水配管に高周波のプラス型変調電磁場を印加して、前記カビ菌によって前記エマルジョン燃料中に発生するカビによる前記燃料濾過器の目詰まりを防止する、
ことを特徴とする、エマルジョン燃料製造方法。
【請求項8】
前記酸化型変調電磁場発生装置が、燃料油配管コイル(2a)および添加水配管コイル(2b)を備え、
前記燃料油配管コイルが、前記燃料油配管に巻き付けられており、
前記添加水配管コイルが、前記添加水配管に巻き付けられており、
前記酸化型変調電磁場発生装置が、高周波の方形波にサイン波を乗せた変調電磁場信号を前記燃料油配管コイルおよび前記添加水配管コイルに流して、前記高周波のプラス型変調電磁場を前記燃料油配管および前記添加水配管に印加する、
ことを特徴とする、請求項7記載のエマルジョン燃料製造方法。
【請求項9】
前記酸化型変調電磁場発生装置が、前記燃料油配管コイルおよび前記添加水配管コイルの代わりにエマルジョン燃料配管コイルを備え、
前記エマルジョン燃料配管コイルが、前記燃料油、前記添加水および前記添加乳化剤の混合液体を前記エマルジョン化装置に供給するためのエマルジョン燃料配管(41)に巻き付けられており、
前記変調電磁場信号を前記酸化型変調電磁場発生装置から前記エマルジョン燃料配管コイルに流して、前記高周波のプラス型変調電磁場を前記エマルジョン燃料配管に印加する、
ことを特徴とする、請求項8記載のエマルジョン燃料製造方法。
【請求項10】
前記エマルジョン燃料配管に、外部から流入される前記エマルジョン燃料の戻り燃料油を前記エマルジョン化装置に供給するための戻り油配管(71)が接続されており、
前記エマルジョン燃料配管コイルが、前記エマルジョン燃料配管の前記戻り油配管との接続点よりも前記エマルジョン化装置側に巻き付けられている、
ことを特徴とする、請求項9記載のエマルジョン燃料製造方法。
【請求項11】
前記燃料油が、A重油であり、
前記酸化型変調電磁場発生装置が、4万Hzのプラス型変調電磁場を発生する、
ことを特徴とする、請求項7乃至10いずれかに記載のエマルジョン燃料製造方法。
【請求項12】
前記酸化型変調電磁場発生装置が、ウォーターウォッチャー(登録商標)が備える酸化(+)型変調電磁場発生器であることを特徴とする、請求項7乃至11いずれかに記載のエマルジョン燃料製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エマルジョン燃料製造過程においてエマルジョン燃料中に発生するカビによる燃料濾過器の目詰まりを防止するのに好適なエマルジョン燃料製造装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、排気ガス中の窒素酸化物濃度(NOx)を低下させるために、燃料油(重油、灯油、軽油および廃油など)に水および乳化剤(中和剤)を添加して乳化させたエマルジョン燃料が使用されている(たとえば、下記の特許文献1参照)。
【0003】
図5に、ディーゼルエンジン120にエマルジョン燃料を供給するための従来のエマルジョン燃料製造装置110を示す。
エマルジョン燃料製造装置110は、燃料油供給装置11と、燃料油配管13に取り付けられた流量計12と、注水タンクユニット20と、乳化剤タンクユニット30と、エマルジョン燃料配管41に取り付けられた混合液体供給ポンプ40、エマルジョン化装置50(ラインミキサー)および燃料濾過器60とを具備する。
【0004】
ここで、注水タンクユニット20は、軟水槽から供給される軟水(以下、「添加水」と称する。)を貯めるための注水タンク21と、添加水配管24に取り付けられた添加水供給ポンプ22および添加水流量調整弁23とを備える。
【0005】
乳化剤タンクユニット30は、添加乳化剤が貯められた乳化剤タンク31と、添加乳化剤配管34に取り付けられた添加乳化剤供給ポンプ32および添加乳化剤流量調整弁33とを備える。
【0006】
添加水流量調整弁23および添加乳化剤流量調整弁33は、添加水配管24および添加乳化剤配管34を流れる添加水および添加乳化剤の流量を流量計12によって測定された燃料油の流量に応じて調整することにより、水添加率および乳化剤添加率を所定の値に保つためのものである。
添加水供給ポンプ22、添加水流量調整弁23、添加乳化剤供給ポンプ32および添加乳化剤流量調整弁33は、外部から入力される起動/停止指令に応じて起動および停止する。
【0007】
燃料油管13、添加水配管24および添加乳化剤配管34はエマルジョン燃料配管41に接続されており、燃料供給装置11からの燃料油と添加水流量調整弁23によって流量が調整された添加水と添加乳化剤流量調整弁33によって流量が調整された添加乳化剤とは混合されて混合液体供給ポンプ40を介してエマルジョン化装置50に供給される。
このとき、戻り油配管71もエマルジョン燃料配管41に接続されており、ディーゼルエンジン120からリターンチャンバー130を介してエマルジョン燃料製造装置110に戻される燃料戻り油も燃料油、添加水および添加乳化剤と混合されて混合液体供給ポンプ40を介してエマルジョン化装置50に供給される。
【0008】
エマルジョン化装置50は、エマルジョン化装置50を構成する配管内の入口側に設置されたガイドベーンと、ガイドベーンよりも出口側の配管内壁に設置された突起部(カレントカッター)とを備え、燃料油、添加水、添加乳化剤および燃料戻り油の混合液体の旋回流をガイドベーンによって発生したのち、突起部で混合液体を機械的に攪拌して燃料油を乳化することにより、エマルジョン燃料を生成する。
【0009】
燃料濾過器60(自動逆洗濾器)は、図6(a)に示すように、中央部に集油管63(集合管)を備える円筒状の本体61内に、混合液体を外周面から取り込んで濾過材で濾過する24本の円筒状のフィルター62を設けたものである。
ここで、24本のフィルター62は、集油管63を二重に取り巻くように、内側に8本および外側に18本ほど配設されている。
【0010】
エマルジョン製造装置110を用いたエマルジョン燃料製造過程においては、燃料油や添加水にカビ菌(土壌菌)が含まれているとカビの発生が促進されるとともに、燃料油と添加水との混合物に熱が加わればカビが容易に発生する。
【0011】
燃料油としてA重油を用いた場合には、A重油を強制的に加温する必要はないが、ディーゼルエンジン120からの燃料戻り油がリターンチャンバー130を介してエマルジョン製造装置110に戻される循環回路が形成されているため、ディーゼルエンジン120からの放熱によってA重油が若干加温された状態になる結果、エマルジョン燃料中にカビが発生し易い。
また、一般的にB重油は70℃以上強制的に加温するともにC重油は100℃以上に強制的に加温するため、燃料油としてB重油またはC重油を用いた場合には、A重油を用いた場合よりもカビが発生し易い。
【0012】
エマルジョン燃料中に発生したカビは、微細に混じり合った燃料油と添加水との境界面において燃料油を養分として繁殖する。
また、エマルジョン燃料によっては、エマルジョン燃料同士が結合して大きな結合体(スカム)となって粘性を増して燃料油配管13、添加水配管24およびエマルジョン燃料配管41の内壁や燃料濾過器60の各フィルター62の外周面に付着するため、付着した結合体にカビが発生して繁殖する。
【0013】
なお、下記の特許文献2には、被処理流体照射用のコイル部と、コイル部に周波数が時間的に変化する方形波の交流電流を流す還元(−)型変調電磁場発生器と、コイル部に周波数が時間的に変化する方形波にサイン波を乗せた交流電流を間欠的に流す酸化(+)型変調電磁場発生器と、これらの2つの変調電磁場発生器とコイル部との間にこれらの2つの変調電磁場発生器のいずれかを作動させるための切替器とを備えた変調電磁場処理装置が開示されている。
また、このような変調電磁場処理装置として、エスケーエイ株式会社製のウォーターウォッチャー(登録商標)が製品化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2010−229922号公報
【特許文献2】特開2005−288436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来のエマルジョン燃料製造装置110では、エマルジョン燃料中に発生したカビが各フィルター62の外周面に付着すると燃料濾過器60の目詰まり(各フィルター62の目詰まり)が生じるため(図6(b)参照)、エマルジョン燃料に防カビ剤(薬品)を添加して、カビの生育を抑制したり既に発生したカビに対して菌糸の発育を阻害して死滅させたりしているが、防カビ剤以外による解決策が要請されている。
【0016】
また、上記の特許文献2に開示された変調電磁場処理装置は、酸化(+)型変調電磁場発生器と還元(−)型変調電磁場発生器とを併用して、これらを切り替えてコイル部で変調電磁場を発生させる装置による電磁場処理により、あらゆる被処理流体(被処理水)を用いる流路または貯留槽の壁面でのスケールの付着防止および除去、あらゆる流路または貯留槽の壁面の腐食防止、油含有排水の流路の詰まり防止、アンモニア含有水からのアンモニア臭の脱臭、被処理水の濾過用フィルターの目詰まり防止、被処理水流路または貯留槽の壁面への海生物付着防止などの効果が得られることは分かっているが(公報の段落0049参照)、エマルジョン燃料中に発生したカビによる燃料濾過器の目詰まり防止にも有効であるか否かは不明であるという問題があった。
【0017】
本発明の目的は、防カビ剤を用いずにカビによる燃料濾過器の目詰まりを防止することができるエマルジョン燃料製造装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のエマルジョン燃料製造装置は、カビ菌を含む燃料油とカビ菌を含む添加水と添加乳化剤とを混合および攪拌してエマルジョン燃料を製造するためのエマルジョン燃料製造装置(1)であって、燃料油配管(13)を介して供給される前記燃料油と添加水配管(24)を介して供給される前記添加水と添加乳化剤配管(34)を介して供給される前記添加乳化剤との混合液体を攪拌して前記エマルジョン燃料を生成するためのエマルジョン化装置(50)と、前記エマルジョン化装置で生成された前記エマルジョン燃料を濾過するための燃料濾過器(60)と、高周波のプラス型変調電磁場を発生するための酸化型変調電磁場発生装置(2)とを具備し、前記燃料油配管および前記添加水配管に前記酸化型変調電磁場発生装置から高周波のプラス型変調電磁場を印加して、前記カビ菌によって前記エマルジョン燃料中に発生するカビによる前記燃料濾過器の目詰まりを防止することを特徴とする。
ここで、前記酸化型変調電磁場発生装置が、燃料油配管コイル(2a)および添加水配管コイル(2b)を備え、前記燃料油配管コイルが、前記燃料油配管に巻き付けられており、前記添加水配管コイルが、前記添加水配管に巻き付けられており、前記酸化型変調電磁場発生装置が、高周波の方形波にサイン波を乗せた変調電磁場信号を前記燃料油配管コイルおよび前記添加水配管コイルに流して、前記高周波のプラス型変調電磁場を前記燃料油配管および前記添加水配管に印加してもよい。
前記酸化型変調電磁場発生装置が、前記燃料油配管コイルおよび前記添加水配管コイルの代わりにエマルジョン燃料配管コイルを備え、前記エマルジョン燃料配管コイルが、前記燃料油、前記添加水および前記添加乳化剤の混合液体を前記エマルジョン化装置に供給するためのエマルジョン燃料配管(41)に巻き付けられており、前記酸化型変調電磁場発生装置が、前記変調電磁場信号を前記エマルジョン燃料配管コイルに流して、前記高周波のプラス型変調電磁場を前記エマルジョン燃料配管に印加してもよい。
前記エマルジョン燃料配管に、外部から流入される前記エマルジョン燃料の戻り燃料油を前記エマルジョン化装置に供給するための戻り油配管(71)が接続されており、前記エマルジョン燃料配管コイルが、前記エマルジョン燃料配管の前記戻り油配管との接続点よりも下流側に巻き付けられていてもよい。
前記燃料油が、A重油であり、前記酸化型変調電磁場発生装置が、4万Hzのプラス型変調電磁場を発生してもよい。
前記酸化型変調電磁場発生装置が、ウォーターウォッチャー(登録商標)が備える酸化(+)型変調電磁場発生器であってもよい。
本発明のエマルジョン燃料製造方法は、カビ菌を含む燃料油とカビ菌を含む添加水と添加乳化剤とを混合および攪拌してエマルジョン燃料を製造するためのエマルジョン燃料製造方法であって、燃料油配管(13)を介して供給される前記燃料油と添加水配管(24)を介して供給される前記添加水と添加乳化剤配管(34)を介して供給される前記添加乳化剤とを混合して混合液体を生成する第1の製造過程と、前記混合液体をエマルジョン化装置(50)で攪拌して前記エマルジョン燃料を生成する第2の製造過程と、前記エマルジョン化装置で生成された前記エマルジョン燃料を燃料濾過器(60)で濾過する第3の製造過程とを具備し、酸化型変調電磁場発生装置(2)から前記燃料油配管および前記添加水配管に高周波のプラス型変調電磁場を印加して、前記カビ菌によって前記エマルジョン燃料中に発生するカビによる前記燃料濾過器の目詰まりを防止することを特徴とする。
ここで、前記酸化型変調電磁場発生装置が、燃料油配管コイル(2a)および添加水配管コイル(2b)を備え、前記燃料油配管コイルが、前記燃料油配管に巻き付けられており、前記添加水配管コイルが、前記添加水配管に巻き付けられており、前記酸化型変調電磁場発生装置が、高周波の方形波にサイン波を乗せた変調電磁場信号を前記燃料油配管コイルおよび前記添加水配管コイルに流して、前記高周波のプラス型変調電磁場を前記燃料油配管および前記添加水配管に印加してもよい。
前記酸化型変調電磁場発生装置が、前記燃料油配管コイルおよび前記添加水配管コイルの代わりにエマルジョン燃料配管コイルを備え、前記エマルジョン燃料配管コイルが、前記燃料油、前記添加水および前記添加乳化剤の混合液体を前記エマルジョン化装置に供給するためのエマルジョン燃料配管(41)に巻き付けられており、前記変調電磁場信号を前記酸化型変調電磁場発生装置から前記エマルジョン燃料配管コイルに流して、前記高周波のプラス型変調電磁場を前記エマルジョン燃料配管に印加してもよい。
前記エマルジョン燃料配管に、外部から流入される前記エマルジョン燃料の戻り燃料油を前記エマルジョン化装置に供給するための戻り油配管(71)が接続されており、前記エマルジョン燃料配管コイルが、前記エマルジョン燃料配管の前記戻り油配管との接続点よりも前記エマルジョン化装置側に巻き付けられていてもよい。
前記燃料油が、A重油であり、前記酸化型変調電磁場発生装置が、4万Hzのプラス型変調電磁場を発生してもよい。
前記酸化型変調電磁場発生装置が、ウォーターウォッチャー(登録商標)が備える酸化(+)型変調電磁場発生器であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のエマルジョン燃料製造装置および方法は、以下に示す効果を奏する。
(1)防カビ剤を用いずにカビによる燃料濾過器の目詰まりを防止することができる。
(2)カビによる燃料濾過器のトラブルをなくせるため、設備信頼度の向上を図ることができるとともに、供給信頼度の向上も図ることができる。
(3)燃料濾過器の清掃作業をなくしたり、防カビ剤を添加する必要をなくしたりできるため、コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施例によるエマルジョン燃料製造装置10の構成を示す図である。
図2図1に示したエマルジョン燃料製造装置10の効果を確かめるための実験結果について説明するための図であり、(a)は通常時のエマルジョン燃料の安定性を示す図であり、(b)は実験に使用したエマルジョン燃料の安定性を示す図である。
図3図1に示したエマルジョン燃料製造装置10の効果確認実験の結果を示す図であり、(a)〜(h)は変調電磁場印加直後、15分後、30分後、45分後、60分後、75分後、90分後および105分後にサンプリングしたエマルジョン燃料の状態を示す図である。
図4】燃料油配管13および添加水配管24に印加する高周波の変調電磁場の極性の組合せを変えた比較実験の結果について説明するための図であり、(a)〜(c)は比較実験1〜3の結果を示す図である。
図5】従来のエマルジョン燃料製造装置110の構成を示す図である。
図6】カビによる燃料濾過器60の目詰まりについて説明するための図であり、(a)は燃料濾過器60の構成について説明するための図であり、(b)は燃料濾過器60のフィルタ62の外周面にカビが付着した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
上記の目的を、燃料油配管および添加水配管に酸化型変調電磁場発生装置から高周波のプラス型変調電磁場を印加することにより実現した。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明のエマルジョン燃料製造装置および方法の実施例について図面を参照して説明する。
本発明の一実施例によるエマルジョン燃料製造装置1は、図1に示すように、燃料油配管コイル2aおよび添加水配管コイル2bを備えた酸化型変調電磁場発生装置2を具備し、燃料油配管コイル2aを燃料油配管13の流量計12よりも下流側部分(混合液体供給ポンプ40側部分)に巻き付けるとともに、添加水配管コイル2bを添加水配管24の下流側部分(混合液体供給ポンプ40側部分)に巻き付けている点で、図5に示した従来のエマルジョン燃料製造装置110と異なる。
【0023】
ここで、酸化型変調電磁場発生装置2は、高周波(たとえば、4万Hz)の方形波にサイン波を乗せた変調電磁場信号を連続的または間欠的に燃料油配管コイル2aおよび添加水配管コイル2bに流して、高周波の変調電磁場(以下、「プラス型変調電磁場」と称する。)を燃料油配管13および添加水配管24に連続的または間欠的に印加するためのものであり、ウォーターウォッチャーが備える酸化(+)型変調電磁場発生器と同様の構成を有する(たとえば、発信器(OSC)からの信号を任意の周波数の信号に変換するための分周器と、分周器の出力信号が入力されて変調電磁場信号を生成するためのゼネレータと、ゼネレータの出力信号の電力を増幅するための電力増幅器とを備える。)。
したがって、酸化型変調電磁場発生装置2として、ウォーターウォッチャーが備える酸化(+)型変調電磁場発生器を用いることができる。
燃料油配管コイル2aと添加水配管コイル2bとは直列接続されている。
【0024】
エマルジョン燃料製造装置1では、燃料油供給装置11からの燃料油は、注水タンク21からの添加水、乳化剤タンク31からの添加乳化剤およびディーゼルエンジン120からリターンチャンバー130を介して戻ってくる燃料戻り油と混合され、エマルジョン化装置50でエマルジョン燃料にされたのち、燃料濾過器60を介してディーゼルエンジン120に供給される。
【0025】
このとき、燃料油配管13および添加水配管24には、酸化型変調電磁場発生装置2から燃料油配管コイル2aおよび添加水配管コイル2bを介してプラス型変調電磁場が印加される。
【0026】
次に、本実施例によるエマルジョン燃料製造装置1を用いることにより燃料濾過器60の目詰まりを防止できることを確かめた実験結果について、図2(a),(b)および図3(a)〜(h)を参照して説明する。
なお、酸化型変調電磁場発生装置2としてウォーターウォッチャーが備える酸化(+)型変調電磁場発生器を用いて、4万Hzのプラス型変調電磁場を燃料油配管13および添加水配管24に連続的に印加した。
また、燃料油としてA重油を用い、燃料濾過器60とディーゼルエンジン120とを接続するエマルジョン燃料配管41の途中からエマルジョン燃料をプラス型変調電磁場印加直後から15分毎にサンプリングして乳化状態を確認した。
さらに、通常時には水添加率=20%とするとともに燃料油と添加水とが良く混ざるように乳化剤添加率=2%としているが、この場合にはA重油と添加水と添加乳化剤との混合液体は白濁色となり、時間が経っても分離せずに安定しているため(図2(a)参照)、乳化剤添加率=1%としてサンプリング直後からA重油が添加水および添加乳化剤と分離するようにした(図2(b)参照)。
【0027】
4万Hzのプラス型変調電磁場の印加直後にサンプリングしたエマルジョン燃料では、図3(a)に示すようにA重油(燃料油)が添加水および添加乳化剤から分離した。
同様に、4万Hzのプラス型変調電磁場の印加から15分後、30分後および45分後にそれぞれサンプリングしたエマルジョン燃料でも、図3(b)〜(d)に示すようにA重油(燃料油)が添加水および添加乳化剤から分離した。
【0028】
しかしながら、4万Hzのプラス型変調電磁場の印加から60分後、75分後および90分後にそれぞれサンプリングしたエマルジョン燃料では、図3(e)〜(g)に示すようにA重油(燃料油)が添加水および添加乳化剤から分離せずに、色相が灰色に変化した。
この理由としては、燃料油配管13および添加水配管24への4万Hzのプラス型変調電磁場の印加により燃料油と添加水とがプラス電位に荷電させられて振動し、燃料油配管13、添加水配管24およびエマルジョン燃料配管41や燃料濾過器60の各フィルター62に付着したカビが剥離してエマルジョン燃料中に混入したためと、燃料油配管13およびエマルジョン燃料配管41の内壁や燃料濾過器60の各フィルター62への結合体(スカム)の付着を防止するとともにエマルジョン燃料同士の反発作用も働かせて結合体自体の成長を防止したためと思われる。
【0029】
4万Hzのプラス型変調電磁場の印加から105分後にサンプリングしたエマルジョン燃料では、図3(h)に示すようにA重油(燃料油)が添加水および添加乳化剤から分離した。
この理由としては、燃料油配管13、添加水配管24およびエマルジョン燃料配管41の内壁や燃料濾過器60のフィルター62に付着したカビがなくなって、エマルジョン燃料中へのカビの混入がなくなったためと思われる。
【0030】
次に、酸化型変調電磁場発生装置2の代わりにウォーターウォッチャーを用いて燃料油配管13および添加水配管24に印加する変調電磁場の極性の組合せを変えたときの比較実験結果について、図4(a)〜(c)を参照して説明する。
なお、この比較実験では、燃料油配管コイル2aおよび添加水配管コイル2bは、直列接続せずに、燃料油配管13および添加水配管24にそれぞれ取り付けた。
【0031】
(比較実験1)
ウォーターウォッチャーが備える還元型(−)変調電磁場発生器に燃料油配管コイル2aを接続して4万Hzの変調電磁場(4万Hzを中心として周波数が時間的に変化する方形波の変調電磁場信号を連続的または間欠的にコイルに流して生成される変調電磁場。以下、「マイナス型変調電磁場」と称する。)を燃料油配管13に印加するとともに、ウォーターウォッチャーが備える酸化型(+)変調電磁場発生器に添加水配管コイル2bを接続して4万Hzのプラス型変調電磁場を添加水配管24に印加した場合には、印加直後から105分後までサンプリングしたエマルジョン燃料のすべてにおいて、A重油(燃料油)が添加水および添加乳化剤から分離した(図4(a)参照)。
【0032】
(比較実験2)
ウォーターウォッチャーが備える還元型(−)変調電磁場発生器に燃料油配管コイル2aおよび添加水配管コイル2bを接続して4万Hzのマイナス型変調電磁場を燃料油配管13および添加水配管24に印加した場合にも、印加直後から105分後までサンプリングしたエマルジョン燃料のすべてにおいて、A重油(燃料油)が添加水および添加乳化剤から分離した(図4(b)参照)。
【0033】
(比較実験3)
ウォーターウォッチャーが備える酸化型(+)変調電磁場発生器に燃料油配管コイル2aを接続して4万Hzのプラス型変調電磁場を燃料油配管13に印加するとともにウォーターウォッチャーが備える還元型(−)変調電磁場発生器に添加水配管コイル2bを接続して4万Hzのマイナス型変調電磁場を添加水配管コイル2bに印加した場合にも、印加直後から105分後までサンプリングしたエマルジョン燃料のすべてにおいて、A重油(燃料油)が添加水および添加乳化剤から分離した(図4(c)参照)。
【0034】
なお、以上の説明では、燃料油配管コイル2aおよび添加水配管コイル2bを備えた酸化型変調電磁場発生装置2を用いて燃料油配管13の流量計12よりも下流側に巻き付けるとともに添加水配管コイル2bを添加水配管24の下流側に巻き付けたが、燃料油配管コイル2aおよび添加水配管コイル2bの代わりに1つのエマルジョン燃料配管コイルを備えた酸化型変調電磁場発生装置(酸化型変調電磁場発生装置2と同様の構成のもの)を用いて、エマルジョン燃料配管コイルをエマルジョン燃料配管41の戻り油配管71との接続箇所よりも上流側(流量計12側)に取り付けて、この酸化型変調電磁場発生装置からエマルジョン燃料配管41にプラス型変調電磁場を印加しても、エマルジョン燃料配管41の内壁および燃料濾過器60に付着したカビを剥離することができるため、同様の効果が得られる。
【0035】
同様に、この酸化型変調電磁場発生装置のエマルジョン燃料配管コイルをエマルジョン燃料配管41の戻り油配管71との接続箇所よりも下流側(混合液体供給ポンプ40側)に取り付けて、この酸化型変調電磁場発生装置からエマルジョン燃料配管41にプラス型変調電磁場を印加しても、エマルジョン燃料配管41の内壁および燃料濾過器60に付着したカビを剥離することができるため、同様の効果が得られる。
【0036】
また、酸化型変調電磁場発生装置2から燃料油配管13および添加水配管24にプラス型変調電磁場を常時印加してもよいし、カビは一度除去すると燃料濾過器60の各フィルター62に付着して目詰まりを生じさせるのに時間を要するため、たとえばエマルジョン燃料製造装置1の定期点検時などにのみ酸化型変調電磁場発生装置2から燃料油配管13および添加水配管24にプラス型変調電磁場を印加するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1,110 エマルジョン燃料製造装置
2 酸化型変調電磁場発生装置
2a 燃料油配管コイル
2b 添加水配管コイル
11 燃料油供給装置
12 流量計
13 燃料油配管
20 注水タンクユニット
21 注水タンク
22 添加水供給ポンプ
23 添加水流量調整弁
24 添加水配管
30 乳化剤タンクユニット
31 乳化剤タンク
32 添加乳化剤供給ポンプ
33 添加乳化剤流量調整弁
34 添加乳化剤配管
40 混合液体供給ポンプ
41 エマルジョン燃料配管
50 エマルジョン化装置
60 燃料濾過器
61 本体
62 フィルター
63 集油管
71 戻り油配管
120 ディーゼルエンジン
130 リターンチャンバー
【要約】
防カビ剤を用いずにカビによる燃料濾過器の目詰まりを防止することができるエマルジョン燃料製造装置および方法を提供する。エマルジョン燃料製造装置1は、燃料油配管13を介して供給される燃料油と添加水配管24を介して供給される添加水と添加乳化剤配管34を介して供給される添加乳化剤との混合液体を攪拌してエマルジョン燃料を生成するためのエマルジョン化装置50と、エマルジョン化装置50で生成されたエマルジョン燃料を濾過するための燃料濾過器60と、高周波のプラス型変調電磁場を発生するための酸化型変調電磁場発生装置2とを具備し、燃料油配管13および添加水配管24に酸化型変調電磁場発生装置2から高周波のプラス型変調電磁場を印加して、燃料油および添加水に含まれるカビ菌によってエマルジョン燃料中に発生するカビによる燃料濾過器60の目詰まりを防止する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6