特許第6039866号(P6039866)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6039866フラーレンアーク源およびアーク源を備えるフラーレン製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039866
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】フラーレンアーク源およびアーク源を備えるフラーレン製造装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 31/02 20060101AFI20161128BHJP
   H05H 1/48 20060101ALI20161128BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20161128BHJP
【FI】
   C01B31/02 101F
   H05H1/48
   B82Y40/00
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-550917(P2016-550917)
(86)(22)【出願日】2014年7月30日
(65)【公表番号】特表2016-536267(P2016-536267A)
(43)【公表日】2016年11月24日
(86)【国際出願番号】CN2014083313
(87)【国際公開番号】WO2015070642
(87)【国際公開日】20150521
【審査請求日】2016年4月28日
(31)【優先権主張番号】201310559199.7
(32)【優先日】2013年11月12日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201320710393.6
(32)【優先日】2013年11月12日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516129518
【氏名又は名称】厦▲門▼福▲納▼新材料科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】XIAMEN FUNANO NEW MATERIAL TECHNOLOGY COMPANY.LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100181021
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 剛輝
(72)【発明者】
【氏名】朱常▲鋒▼
【審査官】 廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−256373(JP,A)
【文献】 特開2004−155613(JP,A)
【文献】 特開2004−67499(JP,A)
【文献】 特開2004−256375(JP,A)
【文献】 特開2005−343784(JP,A)
【文献】 特開2001−295047(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0042927(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0124093(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 31/00−31/36
B82Y 40/00
H05H 1/00−1/54
B01J 10/00−12/00
B01J 14/00−19/32
C23C 14/00−14/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードと、カソードと、を備えるフラーレンアーク源であって、
前記アノードはトリガー末端とアノード押出シャフトとを有し、前記カソードはカソードシャフトとカソードトリガーとを有し、前記アノードと、前記カソードシャフトと、前記カソードトリガーが閉じた電流回路を形成し、
前記カソードトリガーが、前記カソードシャフトの一端に配置され、前記アノードと前記カソードシャフトの両方が前記カソードトリガーの同じ側に配置され、前記アノードの前記トリガー末端は前記カソードトリガーに対して垂直であり、
前記トリガー末端が前記カソードトリガーと接触するときに、アークが生成して前記トリガー末端を蒸発させ、中にフラーレンを含む混合物が得られる、
不活性気体の雰囲気の中に配置される、フラーレンアーク源。
【請求項2】
前記アノードおよび前記カソードが、取り付け要素に固定され、前記トリガー末端は、前後に移動し、前記カソードトリガーとの相対的な位置を維持することができる、請求項1に記載のフラーレンアーク源。
【請求項3】
アノードの前記トリガー末端がグラファイトロッドであり、前記グラファイトロッドが前記アノード押出シャフトにまっすぐに接続して前後に移動し、前記アノード押出シャフトが取り付け要素を通過し、線形スライドモジュールによって制御され、前記線形スライドモジュールが、前記取り付け要素に対し、前記トリガー末端とは別の側に配置される、請求項1に記載のフラーレンアーク源。
【請求項4】
サーボモーターおよび前記線形スライドモジュールは自動押出システムを形成し、前記押出システムが、前記アノードを前側に移動させ、次いで、前記アノードに設置された前記グラファイトロッドを押し出し、前記アノード押出シャフトはアノード絶縁固定具を介してスライドブロックに固定され、前記線形スライドモジュールに接続され、前記アノード押出シャフトの一部は炉の内側に配置され、前記炉はアノード保護筐体を用いて設置される、請求項3に記載のフラーレンアーク源。
【請求項5】
前記アーク源の前記カソードトリガーが、グラファイトシート、またはグラファイトロッドであり、前記アノードおよび前記カソードを固定する前記取り付け要素は、炉の取り付けプレートおよびフランジからなる群から選択される、請求項2に記載のフラーレンアーク源。
【請求項6】
前記カソードトリガーとカソードシャフトが互いに接続され、前記カソードシャフトが前記取り付けプレートを通過する、請求項に記載のフラーレンアーク源。
【請求項7】
前記アノード押出シャフトおよび前記カソードシャフトは両方とも内側に冷却路を備え、冷却ノズルが前記冷却路のポートに配置される、請求項1に記載のフラーレンアーク源。
【請求項8】
真空炉と、請求項1に記載のフラーレンアーク源と、を備えるアーク法を用いたフラーレン製造デバイスであって、
複数の独立したフラーレンアーク源が真空炉の内側に設置され、それぞれのアーク源のアノードおよびカソードが互いに接触してアークが発生しアノードのトリガー末端が蒸発して中にフラーレンを含む混合物が生成され、真空炉の内側に設置された複数のアーク源が同時に働いて放電することによって、フラーレンの大量の工業生産を達成
前記真空炉には不活性気体が充填される、フラーレン製造デバイス。
【請求項9】
前記複数のアーク源が、上部から底部まで前記真空炉のそれぞれの層に設置され、それぞれの層は一般的に少なくとも1つのアーク源を備え、前記アーク源は前記真空炉の周囲に配置され、それぞれのアーク源は取り付け要素によって前記真空炉の対応する複数のインターフェースに固定され、線形スライドモジュールは前記炉の外側に配置される、請求項8に記載のアーク源を備えるフラーレン製造デバイス。
【請求項10】
前記真空炉は、自身に設置された、複数の真空インターフェースを有しており、前記真空炉の扉は観察窓を有しており、前記複数のアーク源は、炉の取り付けプレートまたはフランジによって、前記真空炉の対応する複数のインターフェースに固定される、請求項8に記載のアーク源を備えるフラーレン製造デバイス。
【請求項11】
前記真空炉の複数の底部の出口が自動的な灰収集管と接続されており、前記自動的な灰収集管の複数の出口が次の製造プロセスに接続され、磁気バルブ制御スイッチが前記自動的な灰収集管に設置され、灰が高速排気ファンによって前記真空炉から自動的に吐き出されるか、または集められる、請求項8に記載のアーク源を備えるフラーレン製造デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本発明は、「アーク法を用いたフラーレンの効果的な製造デバイス」と「フラーレンアーク源デバイス」という名称の2報の中国特許出願の利益を請求する。「アーク法を用いたフラーレンの効果的な製造デバイス」という名称の特許出願の出願日は、2013年11月12日であり、出願番号は201320710393.6号である。「フラーレンアーク源デバイス」という名称の特許出願の出願日は、2013年11月12日であり、出願番号は201320710393.6号である。
【0002】
[発明の分野]
本開示は、フラーレンアーク源およびこれを備えるフラーレン製造装置を開示する。国際特許分類(IPC)によれば、本開示は、フラーレン製造デバイスを製造する分野に属する。
【背景技術】
【0003】
フラーレンは、炭素およびグラファイトの同素体である。最も一般的なフラーレンは、C60、C70のような中空フラーレンおよび他の元素を含む金属フラーレンである。近年、フラーレンの製造は、実験室でのグラムレベルの段階にとどまっている。フラーレンおよび金属フラーレンの広範囲にわたる応用および促進に伴い、実験室での研究装置は、フラーレンおよび金属フラーレンのために必要とされる急速に厳しくなっている要求条件を満たすことができなくなっている。
【0004】
アーク法は、フラーレンを得るための一般的な方法である。フラーレンは、アノードとカソードの放電、グラファイト電極の蒸発および冷却プロセスによって得られる。アノードとカソードは、炉内の向かい合う位置に配置される。炉内のアノードとカソードは、直線状に配置されており、互いに離されている。従って、アノードおよびカソードによって作られる1つのアーク源が1つの炉の中に設置されるので、生産効率が低くなり、工業生産の要求条件を満たすことができない。
【0005】
中国特許出願第CN201010591761.0号は、フラーレンナノ材料を製造するための回転式アーク炉を開示する。この回転式アーク炉のアノードおよびカソードは、向かい合う位置に配置され、アノードおよびカソードと接続したカソードロッドとアノードロッドが、逆向きの2方向に延び、それぞれ炉の右側および左側を通過する。中国特許出願第CN200510124525.7号は、アーク炉が、1〜6個のアノードロッドが設置されたアノード回転プレートを備えることを開示する。アノードとカソードの配置は、上述の特許と同じであり、従って、生産能力および生産効率が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、既存技術の欠点を克服し、十分に構築されたフラーレンアーク源を提供する。閉じられた電極回路を設計することによって、複数の上述の独立したアーク源を同じフラーレン合成炉に設置することができ、この設計は、高い効率でのフラーレン大量生産の中心部となる。
【0007】
本発明の別の目的は、自動的に、効率よくフラーレンおよび金属フラーレンを生産することができる上述のアーク源フラーレン製造デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の技術的な提案によって達成することができる。
【0009】
アノードと、カソードと、カソードトリガーと、を備えるフラーレンアーク源。アノードと、カソードと、カソードトリガーが、閉じられた電流回路を形成する。カソードトリガーは、カソードの一端に配置されている。アノードのトリガー末端がカソードトリガーと接触すると、アークが生成してアノードのトリガー末端が蒸発し、中にフラーレンを含む混合物が形成される。
【0010】
好ましくは、アノードおよびカソードは、取り付け要素に固定される。アノードのトリガー末端は、前後に移動し、カソードトリガーとの相対的な位置を維持することができる。
【0011】
好ましくは、アノードのトリガー末端は、前後への移動を達成するためのアノード押出シャフトに接続したグラファイトロッドである。アノード押出シャフトは取り付け要素を通過し、線形スライドモジュールによって制御される。線形スライドモジュールは、設置要素に対し、トリガー末端とは別の側に配置される。
【0012】
好ましくは、線形スライドモジュールおよびサーボモーターは、自動押出システムを形成し、アノード押出シャフトを押し出す。アノードに設置されたグラファイトロッドは、自動押出システムによって押し出される。アノード押出シャフトはアノード絶縁固定具を介してスライドブロックに固定され、線形スライドモジュールに接続される。取り付けプレートの上に配置され、グラファイトロッドの近くに配置されたアノード押出シャフトの一部はアノード保護筐体を用いて設置される。
【0013】
好ましくは、アーク源のカソードトリガーは、グラファイトシート、グラファイトロッドである。アノードおよびカソードを固定する取り付け要素は、真空炉に固定された取り付けプレート、フランジまたは他の要素である。
【0014】
好ましくは、カソードトリガーはカソードシャフトと接続され、カソードシャフトが取り付けプレートを通過する。
【0015】
好ましくは、アノード押出シャフトおよびカソードシャフトは冷却路と冷却ノズルを内部に備える。
【0016】
アーク源を用いるフラーレン製造装置は、真空炉と、上述のフラーレンアーク源とを備える。1個より多い独立したアーク源が真空炉内に取り付けられる。それぞれのアーク源のアノードは、カソードトリガーと接触してアークが発生し、アノード電極のトリガー末端が蒸発し、フラーレンを含む混合物が生成される。真空炉内の複数のアーク源が同時に働き、大量の様式でフラーレンを工業的に生産することができる。
【0017】
好ましくは、複数のアーク源は上部から底部まで真空炉のそれぞれの層に設置される。それぞれの層は一般的に少なくとも1つのアーク源を備え、アーク源は、真空炉の周囲に配置される。それぞれのアーク源は取り付け要素によって真空炉の対応するインターフェースに固定される。線形スライドモジュールは炉の外側に配置される。
【0018】
好ましくは、真空炉は、自身に設置された、真空状態にされたインターフェースを有している。真空炉の扉は観察窓を有している。アーク源と真空炉との間の固定要素は、取り付けプレート、フランジまたは他の同様の要素である。
【0019】
好ましくは、真空炉の底部の出口は自動的な灰収集管と接続される。収集管の出口は次の製造プロセスに接続される。磁気バルブ制御スイッチが自動的な灰収集管に設置される。灰は高速排気ファンによって真空炉から外側に自動的に吐き出される。
【0020】
本発明は、アーク源の電流投入様式を変えるフラーレンアーク源の閉じた回路を開示する。閉じた電流回路を有する複数のアーク源は、取り付けプレートおよびフランジのような取り付け要素によって真空炉に固定される。真空状態中でアーク放電現象が起こる。本発明のアーク源デバイスの量は、炉の要求および大きさに依存して変わり得る。アーク源が同時に働くことによって、生産および効率が大きく向上する。本発明によれば、実験室での既存の生産が大量工業生産に取って代わり、フラーレンおよび金属フラーレンを自動的、連続的、かつ効率的に生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明のフラーレンアーク源の模式図である。
図2】アーク法を用いるフラーレン製造デバイスの模式図である。
図3】アーク法を用いるフラーレン製造デバイスの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示を、添付の図面と共に本明細書で以下に記載する。
【0023】
実施形態1:図1を参照すると、フラーレンアーク源2は、アノード21と、カソード22と、カソードトリガー23とを備える。アノード21と、カソード22と、カソードトリガー23とが、閉じた電流回路を形成する。カソードトリガー23は、カソード22の一端に配置されている。アノード21のトリガー末端が、カソードトリガー23と接触すると、アークが生成し、アノード21のトリガー末端が蒸発し、中にフラーレンを含む混合物を生成する。アノードおよびカソードは、カソードトリガーの同じ側にすべて配置され、閉じた電流回路を形成する。
【0024】
図1〜3を参照すると、フラーレンアーク源2のカソードトリガー23は、カソード22の一端に設置される。カソード22およびアノード21は、両方とも設置要素に設置される。設置要素は、真空炉1に固定された炉の取り付けプレート3、フランジまたは他の要素であってもよい。図1の点線の四角は、要素が真空炉に設置され、内側に位置し、真空状態でアーク放電が起こることを意味する。アノード21の前端は、トリガー末端であり、前後に移動して、カソードトリガー23との相対的な位置を維持することができる。アノード21のトリガー末端は、前後へ移動するためのアノード押出シャフト211に接続したグラファイトロッド213である。アノード押出シャフト211は、設置要素(すなわち、炉の取り付けプレート3またはフランジ)を通過し、線形スライドモジュール24によって制御される。線形スライドモジュール24は、設置要素に対し、トリガー末端とは別の側に配置される。真空炉を設置すると、線形スライドモジュール24は、炉の外側に配置される。線形スライドモジュール24およびサーボモーター25は、自動押出システムを形成し、アノード押出シャフト211を押し出す。次いで、アノード21に設置されたグラファイトロッド213は、自動押出システムによって押し出される。アノード押出シャフト221は、アノード絶縁固定具26を介してスライドブロック27に固定され、線形スライドモジュール24に接続されている。炉の内側に配置されたアノード押出シャフト211の一部は、アノード保護筐体212を用いて設置される。冷却路は、アノード押出シャフト211の内側に配置され、冷却ノズル2200は、冷却路のポートに配置される。
【0025】
図1を参照すると、フラーレンアーク源2のカソードトリガー23は、グラファイトシート、グラファイトロッドまたはグラファイトの同素体であってもよく、アノード21の前端に配置される。好ましい実施形態において、カソードトリガー23は、グラファイトロッド213に垂直である。カソードトリガー23が、炉の取り付けプレート3を通過するカソードシャフト220と接続し、外側に延びてカソードの外側末端を形成する。冷却路は、カソードシャフト220の内側に配置され、カソード冷却ノズル2110は、冷却路のポートに配置される。
【0026】
実施形態2:図1〜3を参照すると、アーク法を用いた効果的な製造デバイスは、真空炉1と、真空炉1に設置された少なくとも1つの独立したフラーレンアーク源2とを備える。それぞれのアーク源2は、一般的に、アノード21と、カソード22と、カソードトリガー23とを備える。アノード21と、カソード22と、カソードトリガー23は閉じた電流回路を形成する。それぞれのアーク源のアノード21およびカソードトリガー23が互いに接触すると、中にフラーレンを含む混合物を同時に生成することができる。複数のアーク源は、上部から底部まで真空炉1のそれぞれの層に設置される。それぞれの層は、一般的に、少なくとも1つのアーク源2を備え、アーク源2は、真空炉1の周囲に配置される。図3は、4個のアーク源を備える層を示す。それぞれのアーク源は、炉の取り付けプレート3またはフランジによって、真空炉の対応するインターフェースに固定される。図2は、フランジプレート102を備えるアーク源デバイスを示す。デバイスを設置するフラーレンアーク源2の詳細な構造は、上述の実施形態1から見出されるだろう。フラーレンアーク源2のアノード21およびカソード22は、両方ともカソードトリガー23(すなわち、カソードグラファイトシート)の同じ側に配置され、カソードトリガー23は、カソードシャフトの上端に配置される。
【0027】
図2〜3を参照すると、真空化のためのインターフェース101が、真空炉1に配置される。真空炉1の炉の扉11には、観察窓110が備わっている。図2を参照すると、真空炉1は、支持部4に設置される。真空炉の底部の出口は、自動的な灰収集管5と接続する。収集管5の出口は、灰混合物を分離する次の製造プロセスに接続する。磁気バルブ6を制御するスイッチが、自動的な灰収集管5に設置される。灰は、高速排気ファンによって真空炉から自動的に吐き出されるか、または集められる。
【0028】
本発明は、フラーレンを製造するためのグラファイトアーク法を使用する効果的な製造装置を開示する。効果的な製造装置は、真空炉1と、アーク源などを備える。この効果的な製造装置は、さらに、真空炉に設置された複数のフランジプレートと、自動的な灰収集デバイスと、真空システムのポートと、真空ゲージインターフェースと、冷却水のポートと、炉の扉と、炉の扉の観察窓とを備える。真空炉は、真空システムのインターフェースを介して真空引きされてもよく、内圧の強さは、1.0×10-2Paまでであってもよい。
【0029】
自動的な灰収集デバイスは、自動的な収集管と、磁気バルブによって構成される。自動的な収集管は、次のプロセスで使用される製造装置に接続される。磁気バルブが開放位置にあるとき、排気ファンは、真空炉の内側の灰を自動的に集める。
【0030】
本発明は、サーボモーターと、線形スライドモジュールと、アノードと、カソードと、カソードグラファイトシートとを備えるアーク源デバイスを開示する。サーボモーターと、スライドモジュールとが、自動押出システムを形成する。押出システムが、アノードを前側に移動させ、次いで、アノードの上に設置されたグラファイトロッドを押し出す。アノード押出シャフトおよびスライドモジュールは、アノード絶縁固定具を介し、スライドブロックに固定される。炉の内側に配置されたアノード押出シャフトの一部は、アノード保護筐体を用いて設置される。アノード保護筐体は、アークによって作られた高温を絶縁した。
【0031】
アーク源デバイスは、炉の取り付けプレート(またはフランジ)を介して真空炉に固定される。図1の点線の四角は、要素が真空炉に設置され、内側に位置し、真空状態でアーク放電が起こることを意味する。アノードと、グラファイトロッドと、カソードグラファイトシートは、閉じた回路を形成する。グラファイトロッドとカソードグラファイトシートが互いに接触すると、アーク放電現象が起こる。アーク放電によって、グラファイトロッドが迅速に蒸発して消費される。蒸発および消費のプロセスによって、フラーレンを含む混合物が生成される。アーク放電プロセス中、アノードおよびカソードは、冷却ノズルによって冷却される。
【0032】
本発明の動作原理は、グラファイトロッドを設置する工程;真空炉を予め設定された程度まで真空引きする工程;内部雰囲気を不活性気体で満たす工程;アーク源デバイスとDC電源を接続する工程;グラファイトロッドおよびカソードグラファイトシートの放電によってアークを発生する工程によって行われ、グラファイトロッドを自動的に押し出すことによって、アークが維持される。グラファイトロッドを使い果たしたら、DC電源が停止する。これらの工程は、さらに、自動的な灰収集デバイスに設置された磁気バルブを開ける工程;グラファイトロッド、アモルファス炭素およびその中のフラーレンなどの、アーク放電によって生成した混合物を含む灰を自動的な収集管を介して外に吐き出す工程;この混合物を次のプロセスで分離し、フラーレンを得る工程を含む。
【0033】
本発明のアーク源デバイスの量は、その必要性および炉の大きさによってさまざまであってもよい。生産は、1個のデバイスにおける既存の技術の10倍より大きくてもよい。
【0034】
本発明についてのこれまでの記載から、当業者は、現時点で本発明の最良の形態であると考えられるものを製造し、使用することができるが、当業者は、本明細書の具体的な実施形態、方法および実施例の変形、組み合わせおよび均等物の存在を理解し、認識するだろう。従って、本発明は、上述の実施形態によって限定されるのではなく、本発明の範囲および精神の範囲内にあるすべての実施形態および方法によって限定されるべきである。

図1
図2
図3