(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039870
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】貯湯装置の排水構造
(51)【国際特許分類】
F24H 9/16 20060101AFI20161128BHJP
F24H 1/18 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
F24H9/16 A
F24H1/18 A
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-83520(P2013-83520)
(22)【出願日】2013年4月12日
(65)【公開番号】特開2014-206316(P2014-206316A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2015年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】谷地田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 正章
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 元泰
(72)【発明者】
【氏名】阿部 貴幸
【審査官】
礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−159564(JP,A)
【文献】
特開2008−267675(JP,A)
【文献】
特開2012−149506(JP,A)
【文献】
特開2007−146625(JP,A)
【文献】
特開2012−102944(JP,A)
【文献】
特開2010−249450(JP,A)
【文献】
特開2003−194417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 1/18 − 1/20
F24H 4/00 − 4/06
F24H 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の過圧を逃がすと共に負圧を破壊する負圧弁付き逃がし弁と、前記貯湯タンク底部に連通し該貯湯タン内の湯水を排水する排水栓とを備えたものに於いて、前記負圧弁付き逃がし弁に接続した逃がしドレンホースと、前記排水栓に接続した排水ドレンホースとがそれぞれ接続される1つの大気開放の集水器を備え、この集水器の上部蓋体には逃がしドレンホースが接続される接続口が設けられると共に、この接続口には逃がしドレンホースから放出される排水を、集水器底部の排水口まで案内する上面視半円状を呈し、上部蓋体から排水口まで垂下している導水板を備えた事を特徴とする貯湯装置の排水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のドレンホースを1つの集水器に集約してから器具外に排水させるようにした貯湯装置の排水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の貯湯式給湯装置に於いては、貯湯タンクに接続された逃がし弁から出る膨張水を排出する第1排出管と、貯湯タンク側と浴槽側とを縁切りする縁切り装置から出る水を排出する第2排出管とを集約し1箇所から排出する排水口を有した排水タンクを備えたものであった。(特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−147412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、初期使用の給水時に貯湯タンク内の空気も抜くために、逃がし弁を手動で開成した状態で給水するので、逃がし弁からは短時間に大量の水が排出されることとなり、排水口からの排水が間に合わずに排水タンクから排水が溢れ出して、周囲を水浸しにしてしまうと言う課題を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決する為、特にその構成を、湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の過圧を逃がすと共に負圧を破壊する負圧弁付き逃がし弁と、前記貯湯タンク底部に連通し該貯湯タン内の湯水を排水する排水栓とを備えたものに於いて、前記負圧弁付き逃がし弁に接続した逃がしドレンホースと、前記排水栓に接続した排水ドレンホースとがそれぞれ接続される1つの大気開放の集水器を備え、この集水器の上部蓋体には逃がしドレンホースが接続される接続口が設けられると共に、この接続口には逃がしドレンホースから放出される排水を、集水器底部の排水口まで案内する
上面視半円状を呈し、上部蓋体から排水口まで垂下している導水板を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のようにこの発明によれば、初期使用の給水時に逃がしドレンホースから短時間に大量の水の排水があっても、排水は逃がしドレンホースの接続口から導水板によって、集水器底部の排水口に案内されてスムーズに排水されるので、排水が間に合わずに溢れ出す心配がなく、常に安心して使用出来るものである。
【0009】
更に、前記導水板は半円状を呈し、上部蓋体から排水口まで垂下しているので、排水は半円状の導水板に案内されることで、ある程度は飛散することなくまとまった形で流下するが、パイプと違って流量に制限がなく、大量の排水を直接排水口まで案内することが出来、排水の溢れ出しを確実に防止出来るものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は湯水を貯湯する貯湯タンク2を有した貯湯ユニット、3は貯湯タンク2の下部へ給水する給水管、4は給水管3途中に設けられ給水圧を第1所定圧力にまで減圧する減圧弁、5は減圧弁4より上流側に設けられ手動で給水を遮断する止水栓である。
【0013】
6は貯湯タンク2の上部の湯を給湯栓7へ給湯する給湯管、8は給水管3から分岐されて給湯管6途中へ接続された給水バイパス管、9は給湯管6と給水バイパス管8との合流点に設けられ貯湯タンク1からの湯と給水管6からの水を任意の混合比率に調節する混合弁、10は混合弁9の下流に設けられ給湯流量を検出する給湯流量センサ、11は給湯流量センサ10の下流に設けられ給湯温度を検出する給湯温度センサ、12は給湯管6の貯湯タンク2に近い位置で接続されこの貯湯タンク2内の圧力が第1所定圧力より高い第2所定圧力を超過すると開弁して過圧を逃がすと共に負圧を破壊する負圧弁付き逃がし弁である。
【0014】
13は貯湯タンク2の底部に接続された排水管、14は排水管13途中に設けられ手動で開いて貯湯タンク2の排水を行う排水栓であり、この貯湯タンク2内の排水を行う場合は、前記止水栓5を閉めて給水を止めた後に、負圧弁付き逃がし弁12を手動で開成して貯湯タンク2内に空気が入るようにした状態で排水栓14を開成して行われるものである。
【0015】
15は負圧弁付き逃がし弁12に接続されたゴム製の逃がしドレンホースで、過圧分の排水及び初期使用時の貯湯タンク2からの排水を行うものである。16は排水管13に接続されたゴム製の排水ドレンホースで、貯湯タンク2内の排水を行うものである。
【0016】
17は前記逃がしドレンホース15及び排水ドレンホース16がそれぞれ接続される1つの大気開放の集水器で、上部蓋体18には逃がしドレンホース15の一端内に押し込まれることで接続される突出した接続口19が設けられており、この接続口19に連通する上部蓋体18の裏側には、逃がしドレンホース15から放出される排水を、集水器17内の底部に形成された排水口20まで垂下して案内する半円状を呈した導水板21が備えられおり、排水は半円状の導水板21に案内されることで、ある程度は飛散することなくまとまった形で流下するが、パイプと違って流量に制限がなく、大量の排水を直接排水口20まで案内することが出来、排水の溢れ出しを確実に防止出来るものである。
【0017】
前記集水器17の側面には、排水ドレンホース16の一端が挿入保持され、更にこの集水器17内は仕切板22により、逃がしドレンホース15が接続した逃がしホース側23と、排水ドレンホース16が接続した排水ホース側24とに仕切られており、この仕切板22は導水板21と一体成形され、排水口20も逃がしホース側23と排水ホース側24とに仕切板22で仕切られるものである。
【0018】
25は貯湯タンク2内の湯水を加熱するヒートポンプ式の加熱手段で、貯湯タンク2の下部から取り出した水を加熱して貯湯タンク2の上部へ戻すように循環回路26で貯湯タンク2と接続されている。なお、このヒートポンプ式の加熱手段25の内部には、図示しない圧縮機、水冷媒熱交換器、膨張弁、蒸発器が環状に接続されていると共に、水冷媒熱交換器の水側には循環ポンプを介して循環回路26と貯湯タンク2内の湯水が循環可能に接続されている。
【0019】
27は貯湯タンク2の側面上下に複数設けられ貯湯タンク2内の湯水の温度を検出する貯湯温度センサ、28はマイクロコンピュータを有してこの貯湯装置全体の制御を行う制御部であり、台所リモコン29からの指示により混合弁9を制御して設定温度の給湯を行うものであり、30は集水器17の上部蓋体18に形成された複数の大気開放穴である。
【0020】
次にこの一実施形態の作動について説明する。
今契約電力の深夜時間帯では、循環回路26によって貯湯タンク2下部の低温水を加熱手段25で沸き上げて、高温水を貯湯タンク2上部に戻し、順次この循環を繰り返して午後23時から翌朝7時迄に貯湯タンク2内全体に高温水を貯湯するようにするものである。
【0021】
そして、この貯湯タンク2内の高温水を、混合弁9で給湯管6からの高温水と給水バイパス管8からの給水とを混合して、台所リモコン30で設定された給湯設定温度の温水として給湯栓7から給湯して利用するものである。
【0022】
又この貯湯装置の初期設置時には、貯湯タンク2内の空気を抜きながら給水する為に、止水栓5を手動で開成すると共に負圧弁付き逃がし弁12を手動で開成すると、貯湯タンク2内が給水で満杯となった後、負圧弁付き逃がし弁12から逃がしドレンホース15を介して余剰の給水が排水として短時間に大量に溢れ出すが、この排水は集水器17の接続口19から導水板21に案内されて排水口20よりスムーズに排水されるので、集水器17から溢れ出して周囲を汚す心配がなく安心して使用出来るものである。
【0023】
更に導水板21は半円状を呈し、上部蓋体18から垂下して排水口20まで達しているので、排水はある程度飛散を抑えられながら、しかも流量を規制されることなく流下し、確実に大量の排水をもれなく排水口20まで案内して、的確な誘導案内で漏れ出しを確実に防止出来るものである。
【0024】
次に貯湯タンク2内の排水を行う場合、止水栓5を手動で閉成し負圧弁付き逃がし弁12を手動で開成した後、排水栓14を開成すると、空気が負圧弁付き逃がし弁12から貯湯タンク2内に流入すると同時に、排水栓14から排水されるが、この排水は排水ドレンホース16を介して集水器17に入り、集水器17の排水口20から排水されるもので、集水器17内が仕切板22により、逃がしドレンホース15が接続した逃がしホース側23と、排水ドレンホース16が接続した排水ホース側24とに仕切られているので、貯湯タンク2内の排水と他の排水とが干渉することなく、お互いに独立して排水されるので、同時排水されたとしても集水器17から排水が溢れ出す心配がなく、安心して使用出来るものである。
【0025】
又貯湯タンク2内が過圧状態となり負圧弁付き逃がし弁12から過圧分の温水が排水されたとしても、この排水も逃がしドレンホース15から集水器17の接続口19を通り、導水板21に案内され排水口20からスムーズに排水されるものである。
【符号の説明】
【0026】
2 貯湯タンク
12 負圧弁付き逃がし弁
14 排水栓
15 逃がしドレンホース
16 排水ドレンホース
17 集水器
19 接続口
20 排水口
21 導水板
22 仕切板
23 逃がしホース側
24 排水ホース側