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特許6039876左心室のねじれを測定するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039876
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】左心室のねじれを測定するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/08 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   A61B8/08
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2009-526182(P2009-526182)
(86)(22)【出願日】2006年9月1日
(65)【公表番号】特表2010-502245(P2010-502245A)
(43)【公表日】2010年1月28日
(86)【国際出願番号】IB2006053068
(87)【国際公開番号】WO2008026022
(87)【国際公開日】20080306
【審査請求日】2009年8月31日
【審判番号】不服2014-12987(P2014-12987/J1)
【審判請求日】2014年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100087789
【弁理士】
【氏名又は名称】津軽 進
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(72)【発明者】
【氏名】ジェラール オリヴィエール
(72)【発明者】
【氏名】アレン パスカル
(72)【発明者】
【氏名】ベッケルマン ハインリヒ
【合議体】
【審判長】 尾崎 淳史
【審判官】 ▲高▼橋 祐介
【審判官】 小川 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−250804(JP,A)
【文献】 Y.NOTOMI et.al., Measurement of Ventricular Torsion by Two−Dimensional Ultrasound Speckle Tracking Imaging, Journal of the American College of Cardiology, 米国, Elsevier Inc., 2005年 6月21日,Vol.45,No.12, pp。2034−2041
【文献】 山田博胤、他,左側完全型心膜欠損症における心室中隔の収縮期および拡張期異常運動の発生機序:断層心エコー法および組織ドプラ法による検討,日本超音波医学会 第67回研究発表会 講演抄録集,日本,(社)日本超音波医学会,1996年 6月,第23巻 supplement I,第88頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ及びメモリを有するコンピュータにおいて、左心室の少なくとも1つのねじれ角を決定する方法であって、前記プロセッサが、
心収縮位相の開始時に得られる、前記左心室の少なくとも1つの第1の2次元短軸像、及び前記心収縮位相の終了時に得られる、前記左心室の少なくとも1つの第2の2次元短軸像を得るため、前記左心室の3次元超音波データを入力するステップと、
前記左心室の3次元超音波データより、心収縮位相の開始時に得られる、前記左心室の少なくとも1つの第1の2次元短軸像、及び、前記心収縮位相の終了時に得られる、前記左心室の少なくとも1つの第2の2次元短軸像を得るステップと、
心収縮位相の開始時の第1ねじれ線を描くため、前記少なくとも1つの第1の2次元短軸像に少なくとも2つの第1のトラッキング点を位置するステップであって、前記少なくとも2つの第1のトラッキング点は、前記第1ねじれ線を描くために、前記第1の2次元短軸像内の前乳頭筋及び後乳頭筋上にそれぞれ位置付けられるトラッキング点を含む、ステップと、
心収縮位相の終了時の第2ねじれ線を描くため、前記少なくとも1つの第2の2次元短軸像に少なくとも2つの第2のトラッキング点を位置するステップであって、前記少なくとも2つの第2のトラッキング点は、前記第2ねじれ線を描くために、前記第2の2次元短軸像内の前乳頭筋及び後乳頭筋上にそれぞれ位置付けられるトラッキング点を含む、ステップと、
心収縮位相の開始時の前記第1ねじれ線及び心収縮位相の終了時の前記第2ねじれ線の交差により形成される角度を、前記左心室の前記少なくとも1つのねじれ角として計算するステップと、
前記計算された少なくとも1つのねじれ角を、前記左心室の正常なねじれ角を表すデータと比較して、前記計算された少なくとも1つのねじれ角が正常であるかどうか判定するステップと
を実施する方法。
【請求項2】
前記左心室の前記第1及び前記第2の2次元短軸像が、前乳頭筋及び後乳頭筋を通って得られるスライスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
左心室の少なくとも1つのねじれ角を決定する超音波画像化システムであって、
心収縮位相の開始時に得られる、前記左心室の少なくとも1つの第1の2次元短軸像、及び前記心収縮位相の終了時に得られる、前記左心室の少なくとも1つの第2の2次元短軸像を得るため、前記左心室の3次元超音波データを収集するデータ取得ハードウェアと、
前記左心室の3次元超音波データより、前記左心室の少なくとも1つの第1の2次元短軸像、及び、前記左心室の少なくとも1つの第2の2次元短軸像を得ることと、
心収縮位相の開始時の第1ねじれ線を描くため、前記少なくとも1つの第1の2次元短軸像に少なくとも2つの第1のトラッキング点を位置する処理であって、前記少なくとも2つの第1のトラッキング点は、前記第1ねじれ線を描くために、前記第1の2次元短軸像内の前乳頭筋及び後乳頭筋上にそれぞれ位置付けられるトラッキング点を含む、処理
心収縮位相の終了時の第2ねじれ線を描くため、前記少なくとも1つの第2の2次元短軸像に少なくとも2つの第2のトラッキング点を位置する処理であって、前記少なくとも2つの第2のトラッキング点は、前記第2ねじれ線を描くために、前記第2の2次元短軸像内の前乳頭筋及び後乳頭筋上にそれぞれ位置付けられるトラッキング点を含む、処理
心収縮位相の開始時の前記第1ねじれ線及び心収縮位相の終了時の前記第2ねじれ線の交差により形成される角度を、前記左心室の前記少なくとも1つのねじれ角として計算し、前記計算された少なくとも1つのねじれ角を、前記左心室の正常なねじれ角を表すデータと比較して、前記計算された少なくとも1つのねじれ角が正常であるかどうか判定する処理と、
を行う処理手段と
上記の各処理において、少なくとも、心収縮位相の開始時の前記第1ねじれ線を描くため、前記少なくとも1つの第1の2次元短軸像を表示し、前記少なくとも2つの第1のトラッキング点を位置させるために使用されるディスプレイと、
を有する超音波画像化システム。
【請求項4】
前記左心室の前記第1及び前記第2の2次元短軸像は、前乳頭筋及び後乳頭筋を通って取られるスライスである、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
左心室の少なくとも1つのねじれ角を決定するプログラムであって、
心収縮位相の開始時に得られる、前記左心室の少なくとも1つの第1の2次元短軸像、及び前記心収縮位相の終了時に得られる、前記左心室の少なくとも1つの第2の2次元短軸像を得るため、前記左心室の3次元超音波データを入力するステップと、
前記左心室の3次元超音波データより、心収縮位相の開始時に得られる、前記左心室の少なくとも1つの第1の2次元短軸像、及び、前記心収縮位相の終了時に得られる、前記左心室の少なくとも1つの第2の2次元短軸像を得るステップと、
心収縮位相の開始時の第1ねじれ線を描くため、前記少なくとも1つの第1の2次元短軸像上に少なくとも2つの第1のトラッキング点を位置するステップであって、前記少なくとも2つの第1のトラッキング点は、前記第1ねじれ線を描くために、前記第1の2次元短軸像内の前乳頭筋及び後乳頭筋上にそれぞれ位置付けられるトラッキング点を含む、ステップと、
心収縮位相の終了時の第2ねじれ線を描くため、前記少なくとも1つの第2の2次元短軸像に少なくとも2つの第2のトラッキング点を位置するステップであって、前記少なくとも2つの第2のトラッキング点は、前記第2ねじれ線を描くために、前記第2の2次元短軸像内の前乳頭筋及び後乳頭筋上にそれぞれ位置付けられるトラッキング点を含む、ステップと、
心収縮位相の開始時の前記第1ねじれ線及び心収縮位相の終了時の前記第2ねじれ線の交差により形成される角度を、前記左心室の前記少なくとも1つのねじれ角として計算するステップと、
前記計算された少なくとも1つのねじれ角を、前記左心室の正常なねじれ角を表すデータと比較して、前記計算された少なくとも1つのねじれ角が正常であるかどうか判定するステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に超音波画像定量化に関し、より詳細には、3次元超音波データを使用して、左心室のねじれを測定するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
左心室(LV)のねじれ又はゆがみは、心収縮の間の、心尖部の基準に対して反時計回りの回転である。より詳細には、LVねじれは、LV軸の回りの約10度の回転である。近年までLVねじれは、ほとんど臨床的関連がないと考えられていた。最近、この見方が変わり、LVねじれを測定することが、ある循環器疾患、例えば虚血性疾患、すなわち血流が身体の一部に制限される状態の診断において有益であり得ると信じられる。
【0003】
一片のx線不透過性のワイヤ(例えばステンレススチール)が基準線として心臓組織に埋め込まれる、複雑なシネ放射線技術を使用する試みがなされている。他の侵襲性を抑えた技術、例えば磁気共鳴画像化(MRI)及び経食道心エコー図(TEE)も、LVねじれを研究するために使用されている。しかしながら、これらの技術も複雑であり、非常に時間がかかり、多額の費用がかかる。例えばTEEは、可撓性チューブを患者の食道に挿入することを必要とし、一方MRIは、患者を閉所恐怖症の状態に長期間固定して位置する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それゆえ、高速、比較的安価、及び操作するのが容易な画像化技術を使用して、LVねじれを測定するシステム及び方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、3次元超音波データを使用して、左心室心尖部の角度を測定するシステム及び方法を提供することである。画像化システムは、少なくとも1回の心臓周期の3次元超音波データを収集する。1又はそれより多くのトラッキング点は、心収縮位相(フェーズ)の開始時に、3次元データ上に位置される。該点は、左心室の心尖の角度を決定するため、収縮フェーズを通してトラッキングされる。
【0006】
本発明の他の態様は、左心室の第1及び第2の短軸像を、一方は心収縮の開始時に、他方は心収縮の終了時に取り込む2次元スライスを得るため、3次元超音波データをスライスする。その後、2又はそれより多くのトラッキング点は、心収縮フェーズの開始時に取られる第1短軸像に位置され、第1の線が該点を横切って描かれる。前記点が第1短軸像上でトラッキングされ、ねじれ角度と同じ角度で第1の線と交差する第2の線が描かれる。
【0007】
本開示の一実施例によると、左心室の少なくとも1つのねじれ角を決定するシステムが開示される。該システムは、左心室の、心収縮フェーズのほぼ開始時に得られる少なくとも1つの第1の2次元像、及び心収縮フェーズのほぼ終了時に得られる少なくとも1つの第2の2次元像を得るため、左心室の3次元超音波データを収集するデータ取得ハードウェアと、第1ねじれ線を描くため、少なくとも1つの第1の2次元像に少なくとも2つのトラッキング点を位置することに使用するディスプレイと、少なくとも1つの第2の2次元像上に少なくとも2つのトラッキング点の位置を外挿(extrapolate)し、第2のねじれ線を描くため、少なくとも2つのトラッキング点をトラッキングし、前記第1及び第2のねじれ線の交点により形成される角度を測定することにより、少なくとも1つのねじれ角を計算する処理手段とを有する。
【0008】
本開示の他の実施例によると、左心室の少なくとも1つのねじれ角を決定する方法が開示される。該方法は、左心室の、心収縮フェーズのほぼ開始時に得られる少なくとも1つの第1の2次元像、及び心収縮フェーズのほぼ終了時に得られる少なくとも1つの第2の2次元像を得るため、左心室の3次元超音波データを収集するステップと、第1ねじれ線を描くため、前記少なくとも1つの第1の2次元像に少なくとも2つのトラッキング点を位置するステップと、前記少なくとも1つの第2の2次元像上に前記少なくとも2つのトラッキング点の位置を外挿し、第2のねじれ線を描くため、前記少なくとも2つのトラッキング点をトラッキングするステップと、前記第1及び第2のねじれ線の交点により形成される角度を測定することにより、少なくとも1つのねじれ角を計算するステップとを有する。
【0009】
本開示の更なる実施例によると、左心室の少なくとも1つのねじれ角を決定する方法が開示される。該方法は、心収縮フェーズのほぼ開始時から心収縮フェーズのほぼ終了時まで、左心室の3次元超音波データを収集するステップと、3次元超音波データ上に少なくとも4つの3次元トラッキング点を位置するステップと、3次元メッシュを生成するため、少なくとも4つの3次元トラッキング点を処理するステップと、3次元メッシュを3次元超音波データと比較することにより、少なくとも1つのねじれ角を計算するステップとを有する。
【0010】
本開示の更なる実施例によると、コンピュータ可読媒体に記憶される、左心室の少なくとも1つのねじれ角を決定する少なくとも1つのプロセッサにより実行可能である一連のプログラム可能命令が開示される。該一連のプログラム可能命令は、左心室の、心収縮フェーズの開始時に得られる第1の2次元像、及び心収縮フェーズの終了時に得られる第2の2次元像を得るため、左心室の3次元超音波データを収集するステップと、第1ねじれ線を描くため少なくとも1つの第1の2次元像に少なくとも2つのトラッキング点を位置するステップと、前記少なくとも2つのトラッキング点を前記少なくとも1つの第2の2次元像上で外挿し、第2ねじれ線を描くため、少なくとも2つのトラッキング点をトラッキングするステップと、第1及び第2ねじれ線の交点により形成される角度を測定することにより、少なくとも1つのねじれ角を計算するステップとを有する。
【0011】
本開示の様々な実施例は、図面を参照して以下に記載されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示によるシステムのブロック図である。
図2図2は、本開示による動作方法を図示する動作フローブロック図である。
図3図3は、本開示による心臓の3次元超音波画像である。
図4図4は、本開示による図3の心臓の二腔の超音波画像である。
図5図5は、本開示による図3の心臓の単腔の超音波画像である。
図6図6は、本開示による図3の心臓の短軸超音波画像である。
図7A図7Aは、本開示による図3の心臓のねじれの動きを示す短軸超音波画像である。
図7B図7Bは、本開示による図3の心臓のねじれの動きを示す短軸超音波画像である。
図7C図7Cは、本開示による図3の心臓のねじれの動きを示す短軸超音波画像である。
図7D図7Dは、本開示による図3の心臓のねじれの動きを示す短軸超音波画像である。
図8A図8Aは、本開示による図3の心臓の乳頭筋先端のトラッキングを示す短軸超音波画像である。
図8B図8Bは、本開示による図3の心臓の乳頭筋先端のトラッキングを示す短軸超音波画像である。
図8C図8Cは、本開示による図3の心臓の乳頭筋先端のトラッキングを示す短軸超音波画像である。
図8D図8Dは、本開示による図3の心臓の乳頭筋先端のトラッキングを示す短軸超音波画像である。
図9図9は、本開示による図3の心臓の左心室の正常な回転角を図示するグラフである。
図10図10は、本開示による代替の動作方法を図示する動作フローブロック図である。
図11図11は、本開示による3次元メッシュを有する心臓の3次元超音波画像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、左心室ねじれを測定するシステム及び方法に関する。該方法は、3D超音波検査器を使用して、左心室(LV)の3次元(3D)視覚的データを得るステップを含む。2次元断面像が得られる。より詳細には、左心室の短軸像が得られ、ある解剖学的な点がトラッキングのために選択される。解剖学的な点は、LVのねじれ角を定量化するため、所定のサイクルでトラッキングされる。当業者は、本開示が例として人間の心臓を使用して記載されていること、及び本開示が、LVねじれを有し得る他の種の心臓に適用し得ることを理解するであろう。
【0014】
本開示では、ねじれ角は、カーブとして表わされ得る心周期を取り込む画像データのフレーム毎の角度、カーブの最大ねじれ角、カーブとしても表わされるねじれの速度(例えば度/秒)、最大ねじれ速度、角度が最大値(例えば度又は度/秒)に到達する時間等を含む。
【0015】
図1を参照すると、超音波画像化システム12が示される。システム12は、超音波画像を取得及び記憶するため、Philips Medical Systemsから利用可能であるSONOS(登録商標)7500デジタル心エコーシステム又はiE33 PMSシステムのような3D超音波検査器を示し得る。システム12は、超音波トランスデューサ及びキーボードのようなデータ取得ハードウェア14、データを処理するプロセッサ16、及びソフトウェア定量化ツールのグラフィカルユーザインタフェースを表示することができるモニタ18を含み、画像化システム12及びこの2次元スライスにより得られる音波検出器は、以下でより詳細に説明される。
【0016】
システム12は、超音波画像取得及び高調波画像強調のような画像化システム12の様々な機能を実行するプロセッサ16により実行可能である運用ソフトウェア22を更に含む。運用ソフトウェア22は、本開示の機能及び特徴を含む様々な機能を実行する複数のソフトウェアモジュール24a乃至24aを含む。
【0017】
複数のソフトウェアモジュール24a乃至24aは、好ましくは、コンピュータハードドライブのようなメモリ記憶装置、RAM若しくはROMのようなメモリモジュール、及び/又はCD−ROMのようなコンピュータ可読媒体に記憶され、プロセッサ16により実行するため、アクセスされ得る。複数のソフトウェアモジュール24a乃至24aは、好ましくは、超音波画像及び他の関連データのオフライン画像レビュー、定量化、及び解釈に使用するソフトウェア定量化ツールに組み込まれる。
【0018】
図2を参照すると、LVのねじれを定量化する方法が議論されるであろう。ステップ100において、心臓の一連の3D画像が、画像化システム12を使用して得られる。実施例において、一連の3D画像は、心臓収縮及び拡張のフェーズを含む1又はそれより多くの心周期を表わす。画像シーケンスは、1秒に約30又は50枚の画像のレートで取得され得、シーケンスの各画像は、心周期の例と関連付けられる。
【0019】
ステップ102において、1度3D超音波データが収集されると、LVの短軸像がソフトウェアモジュール24aの1つを使用して得られる。従来技術で知られるように、心臓は、長手方向軸及び短軸を有するとして記載される。短軸は、心臓の側面を通り、短軸に沿って得られるスライスは、図6に示され、以下でより詳細に議論されるように、心臓の断面像を示す。
【0020】
図3は、ステップ100において得られる心臓の3次元超音波画像を示し、これは、3つの2次元スライス30,32,34を含む。図4に示されるように、スライス30は、垂直であり、二腔の画像を含む。図5を参照すると、スライス32も垂直であり、心臓の単腔の画像を含む。図6は、心臓の短軸像を含む横方向のスライス34を示す。スライス34は、ソフトウェアモジュール24aの1つを使用して、ステップ102において得られる。これらの像の各々におけるねじれ角を計算するため、1又はそれより多くの横方向のスライスが得られ得ることが、想定される。
【0021】
短軸像の横方向のスライス34は、以下においてより詳細に議論されるように、LVねじれ角のトラッキングにおいて解剖学的トラッキング点として使用されるであろう前乳頭筋38及び後乳頭筋39を示す左心室(LV)36のある像を示す。複数の短軸像を得るため、複数の横方向のスライスが使用され得ることは想定される。
【0022】
心周期の間、より詳細には心収縮フェーズの間、LV36は、この筋繊維と接触する。LV36の心臓の繊維が層内で一定方向に向けられるので、複数の収縮が知られ、弁の平面と心尖との間の距離が短縮する長手方向収縮、心内膜の境界が内側に移動し、これにより心臓の中心に向かって、LV36の腔のサイズを低減する径方向収縮、及びねじれ運動であり、これらの研究、より詳細には、角度定量化及び分析は、本開示の主題である。
【0023】
ねじれ運動の間、LV36の先端部は、反時計回りに回転され、弁の平面付近の基礎の部分が反対、すなわち時計回りの方向に回転され、その結果、図7A乃至Dに示されるねじれ運動となる。それゆえねじれ角を正確に計算するため、好ましくは1又はそれより多くのLV36の横方向のスライスが使用される。より詳細には、図7A乃至Dは、収縮フェーズの間のLV36の回転を図示する。図7Aは、心周期の拡張フェーズの終了時(例えば収縮フェーズの開始時)に乳頭筋38,39スライスにおいて取られる短軸像を示す。図7Bは、収縮フェーズの終了時に乳頭筋38,39スライスにおいて取られる他の短軸像を示す。図7Cは、収縮フェーズの終了時に、乳頭筋38,39より下の先端付近で取られるLV36の更なる短軸像を示す。そして図7Dは、図7Aと同じスライスであるが、収縮フェーズの終了時において取られるLV36の最後の短軸像を示す。
【0024】
1又はそれより多くのLV36の短軸像が、図6,7A乃至Dに示されるように、ステップ102において得られた後、ステップ104において、トラッキング点が選択される。図8Aを参照すると、トラッキング点40は、前乳頭筋38に位置され、トラッキング点42が、後乳頭筋39に位置される。トラッキング点の位置は、ソフトウェアモジュール24aの1つを使用して実施される。好ましい像が、モニタ18に表示され、ユーザは、ポインタ装置(図示略)又は他の入力装置を使用することにより、トラッキング点40,42を選択する。
【0025】
少なくとも2つのトラッキング点が、好ましくはLV36のねじれ角を決定するために使用される。更に、トラッキング点は、LV36の他の解剖構造領域、例えば心筋、僧帽弁等の付近又は内部に位置され得る。トラッキング点の上記の位置は、単に本開示の説明的な実施例である。(例えばメッシュオーバーレイ分析を使用することにより)心筋全体がトラッキングされ得ることは、想定される。
【0026】
トラッキング点40,42の位置は、図8Aに示されるように、心臓拡張フェーズの終了時に前乳頭筋38、39において取られるスライスの短軸像上で達成され、これは、図7Aと同じ断面像、すなわち心臓拡張フェーズの終了時に、前乳頭筋38、39において取られるスライスを示す。この像は、ねじれ運動が検出され得る間、収縮フェーズの開始を最もよく表わす。更に、このスライスは、解剖学的マーカとして役立つ乳頭筋38,39の像も提供する。
【0027】
トラッキング点は、LV36の複数のスライスから得られる複数の横方向の像に位置され得ることは、想定される。より詳細には、図7C乃至Dを参照すると、心臓の先端付近のLV36の横方向のスライスが示され、これは、この上にトラッキング点を位置し、ねじれ角の測定を得るためにも使用され得る。LV36の異なる部分でねじれ角の複数の測定を収集することは、1つの横方向の像から得られる単一の測定を単に比較することよりも、よりよい分析を可能にする。
【0028】
ステップ106では、トラッキング点40、42は、収縮フェーズの間、ねじれ角を決定するためにシステム12によりトラッキングされる。トラッキングは、図8Aに示される心臓拡張フェーズの終了時のトラッキング点40,42の位置とともに、図8Cに示される心臓収縮フェーズの終了時のトラッキング点40,42の位置を参照することにより達成される。
【0029】
より詳細には、図8Cは、図7Cに示されるものと実質的に類似した像を示す。図8Cは、図8Aに示されるものと同じ横方向のスライスの収縮フェーズの終了時において、乳頭筋38,39に位置されるトラッキング点40,42を示す。収縮フェーズの終了時に、乳頭筋は、図8Aに示される拡張フェーズの終了時の元の位置からシフトされる。システム12は、トラッキング点40,42のシフトを決定し、より詳細には、LV36のねじれ角と同じシフト角を測定する。
【0030】
図8Bは、心臓拡張フェーズの終了時に位置されるトラッキング点40,42を示し、図8Dは、収縮フェーズの終了時に位置されるトラッキング点40,42を示す。システム12は、第1ねじれ線44を外挿し、より詳細には、第1線44は、図8Aに示されるように、トラッキング点40,42が位置された後にトラッキング点40,42を横切って図示される。
【0031】
その後、システム12は、収縮フェーズの終了時に位置されるトラッキング点40,42を横切る第2ねじれ線46を生成する。第1及び第2線44及び46は、角度Aで互いに交差する。システム12は、ステップ108において角度Aを決定する。角度Aは,LV36のねじれ角と同じであり、ねじれ角が正常な範囲内かどうかの決定を可能にする。
【0032】
トラッキングするステップは、1より多くのスライスが使用される場合、全ての横方向スライスに位置される全てのトラッキング点に対して繰り返される。複数のスライスが利用される場合、使用される各スライスに対して少なくとも2つの画像が取得され、一方は、収縮フェーズの開始時のLV36の画像であり、他方は、収縮フェーズの終了時の画像である。図8A乃至Dを参照して上で議論されるように、収縮フェーズの開始時及び終了時に与えられるスライスの画像を持つことは、第1及び第2ねじれ線の外挿を可能にする。
【0033】
システム12は、正常なねじれ角のデータを含み得るか、又は同じデータを含む外部ソースが、角度Aが正常であるかどうかの決定において参照され得る。図9は、心内膜及び心外膜の両方の境界線に対する先端及び基底のスライスにおいて、心周期の間のLV36の正常なねじれ角を図示するグラフを示す。角度Aと図9のデータを比較して、システム12のオペレータ、又はシステム12は、角度Aが正常であるか決定するため、ソフトウェアモジュール24aの1つを使用してデータを分析し得る。
【0034】
ステップ108において、他のパラメータが抽出され得ることも想定される。システム12は、LV36のねじれを記載する全体のねじれ角、及びLV36の特定のセグメントのねじれを記載する部分的(regional)ねじれ角を計算し得る。部分的ねじれ角は、LV36が心臓画像の分析の間、17個の解剖学的領域(例えば弁から先端まで)に従来再分割されるので、特に役立つ。より詳細には、部分的ねじれ角は、互いに比較され得る。システム12は、17個のセグメントの各々に対して、部分的なねじれ角を計算し得る。更に、システム12は、局部的(local)ねじれ角を計算し得、これは、ねじれ角のパラメータ表示である。局部ねじれ角は、計算され、3Dメッシュに表示される(例えば3Dデータに重ねられる)か、又は2D表示(例えば極座標表示、「ブルズアイ」プロット等)に表示される。
【0035】
図10は、LVねじれ角を計算する代替の方法を示す。ステップ200において、1又はそれより多くの心周期を含む心臓の一連の3D画像が、画像化システム12を使用して得られる。サンプルの3D心周期データは、図11に示される。図2に示される上述された方法とは異なり、3Dデータは、LV36の2D短軸像を得るためにスライスされない。その代わり、ユーザは、ステップ202において3Dデータに4個又は5個の3Dトラッキング点を入力し、より詳細には、3個又は4個の点が僧帽弁の高さに位置され、1個が心外膜先端に位置される。一実施例において、点は、自動的又はシステムの支援で半自動的に選択され得る(例えばユーザが最初の5点を選択肢、一方システム12は残り又は該点を選択することを終える)。3次元トラッキング点が、2次元スライスを使用して位置され、3次元データに外挿され得ることも想定される。
【0036】
ステップ204において、トラッキング点はトラッキングされる。より詳細には、画像化システム12は、3Dメッシュ210及びトラッキング点により表わされるように、4個又は5個のトラッキング点を含むLV36の平均形状の間のアフィン変形を決定する。自動変形手順は、3Dデータにマッチングさせるため平均形状に対しても実施される(例えば3D「蛇のような」アプローチは、従来技術で当業者の視野の範囲内にある)。トラッキングは、全ての位置の3Dデータにおいて計算される密度運動フィールド計算を使用して達成され得る。トラッキング点の配置及びこの処理は、Philips QLab画像処理ソフトウェア、より詳細には3DQAdvancedプラグインを使用して達成され得、どちらもPhilips Medical Systems, N.A., 22100 Bothell Everett Highway, P.O.Box3003, WA98041-3003から利用可能である。ステップ206において、システム12は、図2の方法とほとんど同様の態様でねじれ角を定量化する。
【0037】
ここに記載されていることは、単に本開示の原理を説明しているに過ぎない。例えば、本開示を動作させる最良のモードとして上で記載され、実施されるシステム及び方法は、説明的な目的に過ぎない。他の構成及び方法は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者により実施され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11