(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のランプユニットでは、バルブ中心部の高温となる部位に冷却空気を直接送風しているため、冷却効率が低いという問題がある。
ここで、冷却対象の冷却において、熱伝達率を改善して伝熱促進を行う方法としては、冷却対象の温度境界層を薄膜化することにより、当該冷却対象から冷却流体への熱伝達を促進する方法が挙げられる。この方法では、温度境界層の厚さは、冷却対象に沿う方向の流速の平方根に逆比例するため、冷却対象の温度をより低下させるには、当該冷却流体の流速を更に上げればよい。このためには、冷却流体が冷却空気の場合、当該冷却空気を送風するファンを大型化するか、或いは、ファンの回転速度を上げる必要がある。
しかしながら、前者の場合には、プロジェクターの小型化が阻害されるという問題があり、後者の場合には、ファンの駆動音及び風切音等の騒音が大きくなるという問題がある。このような問題から、発光管の冷却効率を向上できる他の構成が要望されてきた。
【0007】
本発明の目的は、発光管の冷却効率を向上できる光源装置及びプロジェクターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した目的を達成するために、本発明の光源装置は、冷却流体を送出する冷却装置を備えたプロジェクターに組み込んで使用される光源装置であって、内部に一対の電極が配置された発光部を有し、当該一対の電極間で放電発光する発光管と、
前記発光部に対して当該光源装置から出射される光束の進行方向とは反対方向側に位置し、前記発光部から
入射された光を
前記進行方向側に反射させる略凹曲面状の反射面を有する第
1反射部材と、前記発光管及び前記第
1反射部材を内部に収納する収納体と、を有し、前記収納体は、前記発光管が収納される収納空間と、導入口を介して導入された前記冷却流体を、前記収納空間内に流通させる複数の開口部と、を有し、前記複数の開口部は、
前記発光管の中心軸が略水平方向に沿うように前記発光管が配置された場合に、それぞれ前記発光管より鉛直方向における上側の位置で、かつ、前記発光管の中心を通る鉛直面に対して略対称となる位置に形成及び配置され、当該
複数の開口部を通過する前記冷却流体をそれぞれ略同じ流速で通過させて前記発光部より鉛直方向における上側で、かつ、前記第
1反射部材の反射面上に設定された衝突位置にて衝突させ、前記衝突位置にて衝突した前記冷却流体の一部は、前記発光部における上部に流通することを特徴とする。
【0009】
なお、発光管としては、超高圧水銀ランプ等の放電発光型の光源ランプを例示できる。
本発明によれば、
発光管の中心軸が略水平方向に沿うように当該発光管が配置された場合に、複数の開口部を通過した冷却流体が、発光部より鉛直方向における上側の衝突位置にて衝突することで、発光管が収納される収納空間内に、当該衝突位置から離散的に拡散される乱流及び旋回流を含む衝突噴流が生じる。これによれば、当該衝突噴流が発光部に送風されることで、当該発光部に沿って冷却流体が流通する場合に比べ、発光部と冷却流体との熱伝達を向上させることができる。従って、発光管の冷却効率を向上でき、ひいては、当該発光管の長寿命化を図ることができる。
また、発光管の点灯時に高温となりやすい発光部における上部(発光部上部)に、衝突噴流を確実に送出できる。従って、発光部、ひいては、発光管の冷却効率を一層向上できるほか、発光部上部と下部との温度差を小さくできるので、発光管の劣化を抑制できる。
更に、冷却流体を通過させる各開口部が、発光管の中心を通る鉛直面に対して略対称に形成及び配置されていることにより、当該各開口部から前述の衝突位置までの寸法(距離)をそれぞれ略同じにできる。これによれば、衝突噴流の流速分布が、一方の開口部側に偏ることを抑制できる。
加えて、
発光管の中心軸が略水平方向に沿うように発光管が配置された場合に、各開口部が発光管より鉛直方向における上側に位置していることにより、当該各開口部が発光管より鉛直方向における下側に位置する場合に比べ、各開口部から発光部より鉛直方向における上側に設定された衝突位置までの冷却流体の流路を短縮できる。これによれば、各開口部からの冷却流体の流速が大きく損なわれることなく、当該冷却流体を衝突させることができるので、流速の高い衝突噴流を生じさせることができる。従って、流速の高い衝突噴流を発光部に送出することができ、発光管の冷却効率をより一層高めることができる。
【0010】
本発明では、前記複数の開口部は、それぞれ略同じ流速
で冷却流体を通過させ
る。
本発明によれば、各開口部が、それぞれ同じ流速
で冷却流体を通過させるので、当該冷却流体が衝突する衝突位置を容易に制御できる。このほか、当該衝突位置にて生じる衝突噴流の流速分布に偏りが生じることを抑制できるので、当該衝突噴流を発光部に確実に送出できる。従って、発光管の冷却効果を一層高めることができる。
【0011】
本発明では、
前記発光部に対して当該光源装置から出射される光束の進行方向とは反対方向側に位置し、前記発光部から
入射された光を
前記進行方向側に反射させる略凹曲面状の反射面を有する第
1反射部材を備える。
本発明によれば、光源装置が、
上記第
1反射部材を備えることにより、光の利用効率を向上できる。
【0012】
本発明では、前記衝突位置は、前記第
1反射部材の反射面上に設定されている。
衝突位置が、略凹曲面状の反射面上に設定されている場合には、各開口部から送出された冷却流体を、当該反射面に沿って流通させることができる。これによれば、当該反射面をガイドとして利用することで、各開口部から送出された冷却流体を衝突位置にて確実に衝突させることができる。従って、当該衝突位置、すなわち、衝突噴流の発生位置の制御を一層容易に行うことができる。
【0013】
また、衝突位置が発光部より鉛直方向における上側で、かつ、当該発光部の中心から第
1反射部材に近接した位置に設定されている場合には、当該衝突位置で発生した衝突噴流は、第
1反射部材で折り返されて、発光部に向かって流通する。これによれば、当該発光部に送出される冷却流体の流量を増加させることができる。従って、発光部、ひいては、発光管の冷却効率を更に一層高めることができる。
【0014】
本発明では、
前記発光部に対して前記進行方向側に位置し、前記発光部における前記
進行方向側を所定の隙間を空けて覆
って、
前記発光部から入射された光を
前記第1反射部材側に反射させる第
2反射部材を備えることが好ましい。
ここで、一対の電極間で生じた光は、当該電極間の略中央から放射状に出射される。このため、当該光により所定の照明領域を照明する場合には、照明領域とは反対側に出射されて、当該照明領域内に入射されない光が発生することとなり、光の利用効率が低い。
これに対し、本発明では、光源装置が第
2反射部材を備えることにより、発光部から出射された光のうち、一方の電極側に出射された光を
第1反射部材側に反射させることができる。従って、光源装置から出射された光を前述の照明領域を入射させやすくすることができ、光の利用効率を向上できる。
【0015】
一方、第
2反射部材が、所定の隙間を空けて発光部を覆うため、
発光管の中心軸が略水平方向に沿うように発光管が配置された場合に、発光部上部に冷却流体を直接送出すると、当該第
2反射部材により冷却流体が遮られてしまうため、第
2反射部材により覆われた発光部の領域が適切に冷却されなくなる。
これに対し、本発明では、前述の衝突位置にて発生した乱流及び旋回流を含む衝突噴流が、当該発光部と第
2反射部材との間の隙間に流入するので、第
2反射部材により覆われた発光部の領域を冷却することができる。従って、発光部から出射された光の利用効率を向上できるとともに、発光管全体の冷却効率を向上できる。
【0016】
また、当該光源装置が、第1反射部材及び第2反射部材を備え、第
1反射部材が第
2反射部材とは発光部を挟んで反対側に設けられている
ので、発光部から出射された光のうち、一方の電極側に出射された光を第
2反射部材により第
1反射部材側に反射させることができ、凹曲面状の反射面を有する第
1反射部材は、他方の電極側に出射された光と、第
2反射部材を介して入射される光とを一方向に反射させることができる。従って、発光部から出射された光の略全てを第
1反射部材で一方向に反射させることができるので、当該光により前述の照明領域を照明する場合に、光の利用効率をより一層向上できる。
【0017】
本発明では、前記発光管は、前記発光部の少なくとも一方の端部から延出する封止部を有し、
前記衝突位置にて衝突した前記冷却流体の他の一部は、前記封止部に流通することが好ましい。
【0018】
本発明
の関連技術では、前記複数の開口部は、それぞれ前記発光管より鉛直方向における下側に位置してい
る。
これによれば、各開口部が発光管より鉛直方向における下側に位置していることにより、当該各開口部から前述の衝突位置までの冷却空気の流路が長くなり、当該冷却空気の流通過程で収納空間内の空気が撹拌されるので、発光管全体の冷却効果を向上できる。
【0019】
本発明では、それぞれ略対称位置に形成された前記
複数の開口部は、当該光源装置から出射される光束の光軸直交
面に対して略同じ角度傾斜した方向に前記冷却流体を通過させることが好ましい。
本発明によれば、衝突位置に向かって流通する冷却流体は、発光管の中心を通る鉛直面に対してそれぞれ略対称位置に形成された各開口部から略同じ角度傾斜した方向に送出されるので、前述の衝突噴流の流速分布の偏りを一層抑制できる。従って、当該衝突噴流を発光部に確実に送出することができ、発光管の冷却効率をより一層高めることができる。
本発明では、前記複数の開口部の各開口面は、前記光軸直交面に対して30°以上50°以下の傾斜角で傾斜していることが好ましい。
【0020】
本発明では、前記複数の開口部は、それぞれスリット状に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、各開口部からは、薄い膜状(帯状)の冷却流体が送出されるので、開口部から送出される冷却流体の流れを安定化することができ、当該冷却流体の流通方向を容易に制御できる。また、スリット状の開口部により、絞られた状態で冷却流体が送出されることとなるので、衝突位置に至る冷却流体の圧力低下を抑制でき、前述の衝突噴流を確実に発生させることができる。
【0021】
本発明では、当該光源装置外の
前記冷却流体を前記複数の開口部に導くダクトを備え、前記ダクトは、当該ダクトの終端側に配置される板状部材を有し、前記板状部材は、前記冷却流体が通過する複数の孔を有することが好ましい。
本発明によれば、ダクト内を流通した冷却流体が板状部材の孔を通過することにより、当該冷却流体の流通方向に直交する面内の圧力を均一化できる。従って、各開口部に冷却流体を均等に分流させることができるので、当該各開口部を介して同じ流量の冷却流体を流通させやすくすることができ、前述の衝突噴流の偏りを一層抑制できる。
【0022】
或いは、本発明では、当該光源装置外の
前記冷却流体を前記複数の開口部に導くダクトを備え、前記ダクトは、当該ダクトの終端側に、当該ダクトの平均断面積より小さい断面積を有し、前記冷却流体が通過する通過口を有することが好ましい。
本発明によれば、ダクト内を流通した冷却流体が前述の開口部に至るまでの間に、当該ダクトの平均断面積より小さい断面積を有する通過口が形成されている。これによれば、当該通過口を冷却流体が通過することにより、当該冷却流体の流通方向に直交する面内の圧力を均一化できる。従って、前述の場合と同様に、各開口部に冷却流体を均等に分流させることができるので、当該各開口部から同じ流量の冷却流体を送出しやすくすることができ、前述の衝突噴流の偏りを一層抑制できる。
【0023】
また、本発明のプロジェクターは、前述の光源装置と、前記光源装置から出射された光束を変調する光変調装置と、変調された前記光束を投射する投射光学装置と
、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、前述の光源装置と同様の効果を奏することができるほか、発光管の長寿命化を図ることができるので、光源装置の交換周期を延長することができ、プロジェクターのメンテナンスの手間を省略できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
〔プロジェクターの構成〕
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1Aの構成を示す模式図である。
本実施形態に係るプロジェクター1Aは、内部に設けられた光源から出射された光束を変調して、画像情報に応じた画像光を形成し、当該画像光をスクリーン等の被投射面上に拡大投射するものである。このプロジェクター1Aは、
図1に示すように、外装を構成する外装筐体2と、当該外装筐体2内に収納配置される装置本体3とを備える。
このうち、外装筐体2は、天面(図示省略)、正面2B、背面2C、左側面2D、右側面2E及び底面(図示省略)を有する平面視略矩形状に形成され、当該底面には、複数の脚部(図示省略)が設けられている。そして、プロジェクター1Aは、これら脚部が設置面に接するように配置されることで正置き姿勢となり、また、正置き姿勢とは上下を逆にして底面を天井等に向けた状態で取り付けられることで天吊り姿勢となる。
【0026】
装置本体3は、光学ユニット4及び冷却装置CUを備える。また、装置本体3は、図示を省略したが、プロジェクター1Aの各構成部材に電力を供給する電源装置、及び、プロジェクター1Aの各構成部材の動作を制御する制御装置等を備える。
このうち、冷却装置CUは、複数のファンF1〜F4により構成され、外装筐体2外から冷却流体である冷却空気を導入し、光学ユニット4、電源装置及び制御装置に当該冷却空気を送風して、これら各装置を冷却する。これらファンF1〜F4のうち、後述する投射光学装置45を挟むように配置された一対のファンF1,F2は、シロッコファンで構成され、外装筐体2に形成された吸気口(図示省略)から外部の冷却空気を導入し、当該冷却空気を後述する電気光学装置44に送風する。
【0027】
また、後述する光源装置5近傍に配置されたファンF3,F4のうち、プロジェクター1Aの背面2C側に位置するファンF3はシロッコファンで構成され、外装筐体2内の冷却空気を吸引して、光源装置5に送風する。
更に、ファンF4は軸流ファンで構成され、光源装置5を冷却した空気を吸引して、プロジェクター1Aの正面2Bに向かって排出し、ひいては、当該空気を正面2Bの排気口2B1を介して外装筐体2外に排出する。なお、ファンF3は軸流ファンであってもよく、ファンF4はシロッコファンであってもよい。また、排気口2B1は、外装筐体2のどの面に形成されていてもよい。
【0028】
〔光学ユニットの構成〕
光学ユニット4は、前述の制御装置による制御の下、画像情報に応じた画像光を形成し、当該画像光を投射する。この光学ユニット4は、光源装置5、照明光学装置41、色分離光学装置42、リレー光学装置43、電気光学装置44及び投射光学装置45と、これら各装置5,41〜44を内部に設定された照明光軸A上の所定位置に収納配置するほか、投射光学装置45を支持する光学部品用筐体46とを備える。
【0029】
光源装置5は、光束を出射する。この光源装置5の構成については、後に詳述する。
照明光学装置41は、一対のレンズアレイ411,412、偏光変換素子413及び重畳レンズ414を備える。
色分離光学装置42は、ダイクロイックミラー421,422及び反射ミラー423を備え、リレー光学装置43は、入射側レンズ431、リレーレンズ433及び反射ミラー432,434を備える。
電気光学装置44は、フィールドレンズ441と、光変調装置としての3つの液晶パネル442(赤色光用、緑色光用及び青色光用の液晶パネルを、それぞれ442R,442G,442Bとする)と、それぞれ3つの入射側偏光板443、視野角補償板444及び出射側偏光板445と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム446とを備える。
投射光学装置45は、電気光学装置44で変調された光束を拡大投射する。この投射光学装置45は、図示を省略するが、筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成されている。
【0030】
このような光学ユニット4では、照明光学装置41により、光源装置5から出射された光束の照明領域内の照度が略均一化され、当該光束は、色分離光学装置42により、赤(R),緑(G),青(B)の3つの色光に分離される。これら分離された各色光は、各液晶パネル442にて画像情報に応じてそれぞれ変調される。そして、当該各色光は、クロスダイクロイックプリズム446にて合成され、投射光学装置45により投射面上に拡大投射される。
【0031】
〔光源装置の構成〕
図2は、光源装置5の光源ランプ50及び主反射鏡55を示す縦断面図である。なお、以降の図及び説明では、プロジェクター1Aを正置き姿勢とした場合に、光源装置5から水平方向に沿って出射される光束の進行方向をZ方向とする。また、当該Z方向に直交する方向のうち、水平方向に沿い、かつ、Z方向先端側から見て左方向をX方向とし、更に、これらZ方向及びX方向に直交する上方向(鉛直方向に対する反対方向)をY方向とする。すなわち、X,Y,Zで示される各方向は、それぞれ互いに直交する。
光源装置5は、
図1及び
図2に示すように、光を出射する光源ランプ50と、主反射鏡55と、平行化凹レンズ56(
図1)と、これらを収納配置するハウジング57(
図1)とを備える。
このうち、平行化凹レンズ56は、主反射鏡55により収束される光束を照明光軸Aに対して平行化する。
【0032】
光源ランプ50は、
図2に示すように、石英ガラスにより形成された発光管51と、当該発光管51に取り付けられる副反射鏡52及びトリガー線53とを備える。なお、このような発光管51としては、高輝度発光する種々の放電光源ランプを採用することができ、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ及び超高圧水銀ランプ等を採用することができる。
【0033】
〔発光管の構成〕
発光管51は、電圧印加によって発光する光源であり、略球状に膨出する発光部511と、発光部511の両端から互いに離間する方向に延出する一対の封止部512,513(Z方向基端側及び先端側の封止部を、それぞれ512,513とする)とを有する。
このうち、発光部511の内部には、一対の電極E(Z方向基端側及び先端側の電極を、それぞれE1,E2とする)が配置され、当該一対の電極E間には、水銀、希ガス及び少量のハロゲンを含む発光物質が封入された放電空間Sが形成されている。
【0034】
一対の封止部512,513の内部には、電極E1,E2にそれぞれ電気的に接続されるモリブデン製の金属箔5121,5131が挿入され、当該一対の封止部512,513における発光部511とは反対側の端部は、ガラス材料等で封止されている。これら各金属箔5121,5131には、更にリード線514,515がそれぞれ接続され、当該リード線514,515は、発光管51の外部まで延出している。そして、これらリード線514,515に電圧が印加されると、金属箔5121,5131を介して電極E1,E2間に電位差が生じて放電が発生し、アーク像Dが形成されて発光部511内部が発光する。
【0035】
〔主反射鏡の構成〕
ここで、主反射鏡55について説明する。
主反射鏡55は、本発明の第
1反射部材に相当し、入射される光を反射させて、照明光軸A上の第2焦点に収束させるガラス製の一体成形品である。この主反射鏡55は、封止部512にセメント等の接着剤Bにより固定されている。このような主反射鏡55には、封止部512に沿って延出する略円筒状の首状部551と、当該首状部551から拡がる凹曲面状の反射部552とが形成されている。
このうち、反射部552において発光部511に対向する回転曲線形状の面には、金属薄膜が蒸着された反射面5521が形成されている。
【0036】
首状部551は、封止部512が挿通される略円形状の挿通孔5511を有する。この挿通孔5511内に封止部512が挿通された状態で、当該挿通孔5511の端縁と封止部512との間に接着剤Bが注入され、これにより、封止部512と主反射鏡55とが固定される。この際、発光管51と主反射鏡55との位置は、電極Eの先端間での放電によって生じるアーク像Dの中心位置Cが、反射面5521の第1焦点近傍となるように設定される。
なお、本実施形態では、主反射鏡55は、回転楕円面を有する楕円面リフレクターで構成されているが、回転放物面を有する放物面リフレクターで構成してもよい。この場合には、平行化凹レンズ56を省略した構成とする。更に、主反射鏡55は、自由曲面リフレクターで構成してもよい。
【0037】
〔副反射鏡の構成〕
副反射鏡52は、本発明の第
2反射部材に相当し、発光部511における封止部513側を所定の隙間を空けて覆うように、当該封止部513に装着されるガラス製の成形品である。この副反射鏡52は、封止部513に沿って延出する略円筒状の首状部521と、当該首状部521における封止部512側の端部から拡がる反射部522とを備える。
首状部521は、封止部513が挿通される開口5211を有する。
反射部522は、発光部511に沿う略椀状に形成されている。この反射部522における発光部511と対向する側には、可視光を反射し、かつ、赤外線及び紫外線を透過する略凹曲面状の反射面5221が形成されている。
【0038】
このような反射面5221により、発光部511から出射された光のうち、電極E2側に出射された光(Z方向先端側に出射された光)は、反射されて反射面5521に入射される。このため、当該光は、発光部511から反射面5521に直接入射される光と同様に、当該反射面5521にて反射されて第2焦点に集束する。これにより、光源装置5の光路後段に位置するレンズアレイ411に入射されない光の発生を抑制できる。
【0039】
〔トリガー線の構成〕
トリガー線53は、発光管51の点灯始動性を向上するための始動補助線であり、一端が封止部512にコイル状に巻回され、中央が発光部511、副反射鏡52及び封止部513に沿ってこれらの外側に配置され、他端が接続部516を介してリード線515に接続される。この接続部516には、主反射鏡55の外部に延出するリード線517の一端が接続される。また、リード線517の他端は、接続部材54を介して電圧印加用のコネクター64(
図3参照)に接続される。このようなトリガー線53に高電圧を印加することにより、発光管51の点灯始動性を向上できる。
【0040】
〔ハウジングの構成〕
図3は、光源装置5を示す斜視図である。
ハウジング57は、本発明の収納体に相当し、前述のように、光源ランプ50及び主反射鏡55を内部に収納するほか、平行化凹レンズ56を支持する。このハウジング57は、
図3に示すように、収納体本体6と、前述のファンF3の吐出口と接続されるダクト7とを有する。
【0041】
〔ダクトの構成〕
図4は、ダクト7を示す図である。具体的に、
図4(A)は、ダクト7をX方向先端側から見た側面図であり、当該
図4(B)は、ダクト7をZ方向先端側から見た正面図である。
ダクト7は、収納体本体6(詳しくは、後述する第1本体部61の底面部61B、天面部61C及び側面部61D)に取り付けられ、当該収納体本体6内にファンF3から吐出された冷却空気を導入するものである。このダクト7は、
図4(A)に示すように、Z方向先端側に位置するダクト本体7Aと、Z方向基端側に位置する板体7Bと、当該ダクト本体7A内に回動自在に支持される導風板7Cとを有する。そして、ダクト本体7A及び板体7Bは、Y方向の中央を通り、かつ、X方向に沿う直線に対して略線対称に形成されており、これらは互いにねじ等により固定される。これにより、
図4(B)に示すように、Z方向先端側から見て略U字状のダクト7が構成される。
【0042】
ダクト7は、Z方向先端側にファンF3の吐出口と接続される略矩形の開口部71と、Y方向先端側及び基端側にそれぞれ形成され、後述する第1本体部61の正面部61AにZ方向基端側から当接される当接部72,73とを有する。更に、ダクト7は、開口部71を介してダクト7外部と連通される空間が内部に形成される第1ダクト部74及び第2ダクト部75を有する。
【0043】
第1ダクト部74は、Y方向先端側に延出した後、X方向先端側に向かって延出し、更にY方向基端側に向かって屈曲する。この第1ダクト部74のX方向先端側の端部には、Y方向基端側に向かって開口する開口部741が形成されている。
同様に、第2ダクト部75は、Y方向基端側に延出した後、X方向先端側に向かって延出し、更にY方向先端側に向かって屈曲する。この第2ダクト部75のX方向先端側の端部には、Y方向先端側に向かって開口する開口部751が形成されている。
【0044】
図5は、収納体本体6に取り付けられたダクト7の一部をX方向に沿って破断させた状態の光源装置5を示す斜視図である。
これら開口部741,751には、
図4及び
図5に示すように、当該開口部741,751(
図5では開口部741のみ図示)を覆う金網76がそれぞれ取り付けられている。
金網76は、本発明の板状部材に相当し、複数の微小な孔が形成されている。これら金網76は、後述する第1本体部61内に収納された発光管51が破損するなどした場合に、当該発光管51の破片がハウジング57外に飛散することを防止する。また、当該金網76は、詳しくは後述するが、第1ダクト部74及び第2ダクト部75内を流通する冷却空気の流通方向に直交する面内の圧力を均一化する機能を有する。
【0045】
導風板7Cは、ファンF3から導入される冷却空気の進行方向上に位置し、当該冷却空気を第1ダクト部74及び第2ダクト部75のうち、上方のダクト部に導風する。この導風板7Cは、回動軸となる一対の円筒部7C1と、略矩形の導風部7C2とを有し、全体略T字状に形成されている。
これら円筒部7C1のうちの一方は、ダクト本体7Aの内側に形成された穴(図示省略)に嵌り込み、他方は、第1本体部61の後述する側面部61Dに形成された穴(図示省略)に嵌まり込む。これにより、導風板7Cは、回動自在に支持され、自重によって下方に回動して、Z方向及びY方向に対して傾斜する。この際、導風部7C2における円筒部7C1とは反対側の端部は、開口部71近傍に形成された当接部77に当接する。これにより、導風板7Cが必要以上に回動することが規制される。
【0046】
このような導風板7Cが自重によって回動して傾斜することにより、プロジェクター1Aが正置き姿勢及び天吊り姿勢のいずれの姿勢であっても、開口部71を介して導入された冷却空気は、上方のダクト部に導風される。
そして、ダクト部に導風された冷却空気は、当該ダクト部内を上方に向かって流通した後、X方向先端側に流通して、開口部を介して第1本体部61内に導入される。
なお、ダクト7におけるU字形状の底部に位置する側面部78は、ダクト7が収納体本体6に取り付けられる際に、後述する側面部61Dに当接する。そして、開口部71を介してダクト7内に導入された冷却空気の一部は、側面部78に形成された開口部79と、第1本体部61の側面部61Dに形成された開口部61D1(
図3参照)とを介して、収納体本体6内に導入される。
【0047】
〔収納体本体の構成〕
収納体本体6は、
図3に示すように、主反射鏡55におけるZ方向先端側を覆う第1本体部61と、当該主反射鏡55におけるZ方向基端側を覆う第2本体部62と、第1本体部61に取り付けられるカバー部材63と、コネクター64とを有する。
【0048】
〔第2本体部の構成〕
第2本体部62は、封止部512から延出するリード線514を使用者が直接触れないように保護するためのものである。この第2本体部62は、Z方向先端側に開口部621(
図7参照)が形成された断面略U字状を有する箱型形状に形成されている。そして、第2本体部62は、第1本体部61におけるZ方向基端側に形成された開口部611(
図7参照)の端縁と、開口部621の端縁とが当接するように、当該第1本体部61と組み合わされることで、箱型の収納体本体6が構成される。
このような第2本体部62の外面には、リード線514及び接続部材54に、ケーブルCAを介して接続されるコネクター64が取り付けられる。
【0049】
〔第1本体部の構成〕
第1本体部61は、主反射鏡55及び平行化凹レンズ56を保持し、内部に発光管51が収納される収納空間RS(
図7参照)を形成する。この第1本体部61は、
図3に示すように、Z方向先端側に位置する正面部61Aと、Y方向基端側及び先端側に位置する底面部61B及び天面部61Cと、X方向基端側及び先端側に位置する側面部61D,61Eとを有する。そして、当該第1本体部61は、Z方向基端側に開口部611が形成された箱型形状を有する。
【0050】
正面部61Aは、第1本体部61内に収納された発光管51及び主反射鏡55から出射された光束が透過する開口部61A1(
図7参照)を有し、当該開口部61A1には、平行化凹レンズ56が嵌め込まれる。また、正面部61Aには、当該平行化凹レンズ56を正面部61Aに向かって押圧して、当該平行化凹レンズ56を保持するためのカバー部材63が取り付けられる。
このカバー部材63は、側面視略C字状を有する金属製部材であり、略中央に円形状の開口部631を有する。この開口部631は、平行化凹レンズ56により平行化された光束を透過させる。このようなカバー部材63は、当該カバー部材63におけるXZ平面に沿う一対の端部に形成された孔632に、底面部61B及び天面部61Cに形成された突部61B1,61C1が挿入されることにより、正面部61Aに取り付けられる。
【0051】
図6は、収納体本体6に取り付けられたダクト7の一部を破断させた状態の光源装置5を示す斜視図である。
天面部61Cには、前述の突部61C1の他に、
図6に示すように、X方向に沿って延出する略矩形の開口部61C2が形成されており、当該開口部61C2は、前述のダクト7の第1ダクト部74により閉塞される。すなわち、開口部61C2を介して、第1ダクト部74内を流通した冷却空気が、第1本体部61内に導入される。
なお、当該開口部61C2を介して、第1本体部61内に配置される遮光部材65に形成された送出口654(654U1,654U2)が露出する。このため、当該開口部61C2を介して導入された冷却空気は、当該2つの送出口654U1,654U2を介して、遮光部材65内に形成される収納空間RS内に導入される。
【0052】
また、
図6では図示を省略するが、底面部61Bにも開口部61C2と同様の開口部61B2(
図7参照)が形成され、当該開口部61C2は、第2ダクト部75により閉塞される。そして、当該開口部61C2により、遮光部材65に形成された送出口654(654D1,654D2)(
図9及び
図10参照)が露出される。このため、第2ダクト部75内を流通した冷却空気は、当該開口部61C2及び2つの送出口654D1,654D2を介して、収納空間RS(
図7参照)内に導入される。
【0053】
側面部61Dには、
図3に示すように、略矩形の開口部61D1が形成されている。この開口部61D1には、前述のように、開口部71を介してダクト7内に導入された冷却空気の一部が流入し、当該冷却空気は、遮光部材65に形成された一対の開口部652(
図9及び
図10参照)を介して収納空間RS内に導入されて、発光管51の封止部513側を冷却する。
側面部61Eには、遮光部材65に形成された開口部653(
図9及び
図10参照)を介して収納空間RSと、ハウジング57外とを連通する排気口61E1が形成されている。この排気口61E1を介して、前述のファンF4の駆動により収納空間RS内の空気が吸引され、当該空気がハウジング57外に排出される。
【0054】
〔第1本体部の内部構成〕
図7は、光源装置5を示す縦断面図(Y方向に沿って断面視した図)である。また、
図8〜
図10は、第1本体部61をZ方向基端側から見た図である。詳述すると、
図8は、主反射鏡55が取り付けられた第1本体部61をZ方向基端側から見た斜視図であり、
図9及び
図10は、主反射鏡55が取り外された状態の第1本体部61をZ方向基端側から見た斜視図及び平面図である。
第1本体部61には、
図7〜
図10に示すように、Z方向基端側に前述の開口部611が形成されている。この第1本体部61の内側において、開口部611からZ方向先端側の位置には、Z方向基端側の開口面積が先端側の開口面積より大きい段差部612が形成されている。この段差部612には、主反射鏡55の反射部552の端縁が当接し、これにより、
図7及び
図8に示すように、主反射鏡55が第1本体部61に位置決めされる。
【0055】
また、第1本体部61の内部において、段差部612からZ方向先端側には、
図7、
図9及び
図10に示すように、遮光部材65が配置されている。
この遮光部材65は、
図9及び
図10に示すように、内部が中空な略六角柱状を有する金属製部材であり、当該遮光部材65は、中心軸が主反射鏡55により反射された光束の中心軸と略一致するように配置される。
遮光部材65の内側の空間は、主反射鏡55の内部とともに発光管51が収納される収納空間RSを形成する。そして、遮光部材65は、内部に収納された発光管51及び主反射鏡55から射出された光のうち、液晶パネル442の画像形成領域に入射されない光が第1本体部61に入射して、当該第1本体部61が劣化することを防ぐ。
【0056】
このような遮光部材65には、Z方向先端側の端面略中央に円形状の開口部651が形成されている。この開口部651は、主反射鏡55により反射された光を平行化凹レンズ56に入射させるための開口である。
また、遮光部材65には、前述の開口部61D1に応じた位置に開口部652が形成されており、当該開口部652は、収納空間RS内に配置された発光管51の封止部513側を冷却する冷却空気を導入するための開口である。
更に、遮光部材65には、前述の排気口61E1に応じた位置に開口部653が形成されており、当該開口部653は、発光管51及び主反射鏡55の内面を冷却して熱を帯びた空気を、排気口61E1を介して排出するための開口である。
【0057】
加えて、遮光部材65は、
図9及び
図10に示すように、4つのスリット状の送出口654を有する。これら送出口654は、本発明の開口部に相当し、前述の第1ダクト部74及び第2ダクト部75から導入された冷却空気を、収納空間RS内に送出するための開口部である。
このような送出口654は、光束が透過する開口部651の外側に形成されている。換言すると、当該各送出口654は、主反射鏡55により反射された光束が透過する領域の外側に形成されている。これら送出口654のうち、Y方向先端側に位置する2つの送出口654U1,654U2と、Y方向基端側に位置する2つの送出口654D1,654D2とは、Z方向基端側から見て、それぞれ発光管51の中心軸(すなわち、発光管51及び主反射鏡55から出射される光束の光軸)に対して略対称となる位置にそれぞれ形成されている。
【0058】
また、送出口654U1,654U2は、Z方向基端側から見て、発光管51を挟んで略対称位置に形成されている。すなわち、当該各送出口654U1,654U2は、発光管51の中心を通るYZ平面に対して略対称に、それぞれ形成及び配置され、同様に、送出口654D1,654D2は、当該YZ平面に対して略対称に、それぞれ形成及び配置されている。
一方、送出口654U1,654D1は、Z方向基端側から見て、発光管51を挟んで略対称位置に形成されている。すなわち、当該各送出口654U1,654D1は、発光管51の中心を通るXZ平面に対して略対称に、それぞれ形成及び配置され、同様に、送出口654U2,654D2は、当該XZ平面に対して略対称に、それぞれ形成及び配置されている。
【0059】
〔送風口の開口面の傾斜〕
送出口654U1,654U2の各開口面は、
図10に示すように、Z方向基端側から見て、Y方向基端側から先端側に向かうに従って互いに近接する方向に傾斜している。同様に、送出口654D1,654D2の各開口面は、Z方向基端側から見て、Y方向先端側から基端側に向かうに従って互いに近接する方向に傾斜している。すなわち、当該各開口面は、XZ平面である平面P1に対して、それぞれ傾斜角αで傾斜している。この傾斜角αは、本実施形態では45°に設定されている。
【0060】
図11は、光源装置5の縦断面(YZ平面での断面)を示す模式図である。なお、
図11、及び、以下に示す
図12〜
図15においては、説明の便宜上、光源装置5の構成の一部を省略或いは簡略化して図示する。
また、送出口654U1,654D1の開口面は、
図11に示すように、X方向先端側から見て、Z方向基端側から先端側に向かうに従って互いに離間するように傾斜している。すなわち、当該各開口面は、XY平面である平面P2(換言すると、主反射鏡55の反射部552の開口面)に対して、それぞれ傾斜角βで傾斜している。この傾斜角βは、本実施形態では、45°に設定されている。
なお、図示を省略したが、送出口654U2,654D2の開口面も、同様に、平面P2に対して傾斜角βで傾斜している。
【0061】
図12は、光源装置5の横断面(XZ平面での断面)を示す模式図である。
一方、送出口654U1,654U2の開口面は、
図12に示すように、Y方向先端側から見て、Z方向基端側から先端側に向かうに従って互いに近接するように傾斜している。すなわち、当該各開口面は、前述の平面P2に対して、それぞれ傾斜角γで傾斜している。この傾斜角γは、30°〜50°が好ましく、本実施形態では30°に設定されている。これは、送出口654U1,654U2から送出された冷却空気を、発光部511の上方に設定された衝突位置CP(
図15〜
図17参照)にて衝突させるためである。
なお、図示を省略したが、送出口654D1,654D2の開口面も同様に、平面P2に対して傾斜角γで傾斜している。
【0062】
〔冷却空気の流路〕
以下、プロジェクター1Aが正置き姿勢で設置されている場合での光源装置5を冷却する冷却空気の流路について説明する。なお、以下の説明では、プロジェクター1Aが正置き姿勢で設置されているため、「上方」及び「下方」はY方向先端側及び基端側を指す。
図13は、ダクト7内を流通する冷却空気の流路を示す模式図であり、
図14は、ダクト7から第1本体部61内に導入される冷却空気の流路を示す模式図である。
ファンF3から吐出された冷却空気Ar1は、
図13に示すように、開口部71を介してダクト7内に導入される。そして、当該冷却空気の一部は、自重によって回動する導風板7C(
図3及び
図4参照)によって上方に向かって進行方向が変更され、第1ダクト部74内を流通する。なお、残りの空気は、開口部61D1及び開口部652を介して収納空間RS内に導入される。
【0063】
第1ダクト部74内を流通する冷却空気Ar2は、X方向先端側に形成された開口部741及び金網76を通過した後、開口部61C2を介して、第1本体部61内に導入される。この際、冷却空気の流路上に金網76が設けられているため、当該金網76を通過する冷却空気の面内圧力(冷却空気の流通方向に直交する面内の圧力)が均一化される。これにより、
図14に示すように、開口部741から等距離に位置する送出口654U1,654U2に、開口部61C2を介して、それぞれ同流量の冷却空気Ar3,Ar4が送出される。
【0064】
図15は、Y方向先端側から見た場合の送出口654U1,654U2から送出される冷却空気の流路を示す模式図である。また、
図16は、X方向先端側から見た場合の送出口654U1から送風される冷却空気の流路を示す模式図である。
第1本体部61内に導入された冷却空気Ar3,Ar4は、送出口654U1,654U2から同流量及び同流速の冷却空気Ar5,Ar6となって、収納空間RS内に導入される。ここで、各送出口654U1,654U2は、前述のようにXY平面、XZ平面及びYZ平面に対して傾斜して形成されており、各冷却空気Ar5,Ar6は、
図15に示すように、発光部511の上方に設定された衝突位置CPにて互いに衝突する。これにより、
図16に示すように、当該衝突位置CPから離散的に拡散される乱流及び旋回流を含む衝突噴流が発生する。
【0065】
この衝突位置CPは、
図15及び
図16に示すように、発光部511の上方(上側)に設定されている。詳述すると、衝突位置CPは、当該発光部511の中央(電極E1,E2間の中央)の上方でZ方向基端側に寄った位置、すなわち封止部512の直上に設定されており、本実施形態では、主反射鏡55の反射面5521上の位置に設定されている。
このため、送出口654U1,654U2から冷却空気Ar5,Ar6を送出すると、コアンダ効果により、反射面5521に沿って各冷却空気Ar5,Ar6が流通する。このため、各冷却空気Ar5,Ar6を衝突位置CPにて衝突させやすくすることができる。更に、衝突位置CPが、反射面5521上に設定されていることにより、常時一定の流速分布を有する衝突噴流を安定して発生させることができる
【0066】
更に、送出口654U1,654U2が、スリット状に形成されていることにより、当該送出口654U1,654U2から送出される冷却空気Ar5,Ar6は、断面が膜状の噴流として送出される。このため、衝突位置CPに向かって送出される冷却空気Ar5,Ar6の方向を容易に制御することができ、各冷却空気Ar5,Ar6を確実に衝突位置にて衝突させることができる。
【0067】
図17は、冷却空気Ar5,Ar6の衝突により発生する衝突噴流の流れを示す模式図である。
冷却空気Ar5,Ar6の衝突により発生した衝突噴流のうち、一部の衝突噴流は、
図17に示すように、封止部512に向かって流通して、当該封止部512を冷却する。この際、当該一部の衝突噴流は、コアンダ効果により、封止部512に沿って流通することで、封止部512の温度境界層を薄くし、当該封止部512と噴流との熱伝達(温度置換)が促進される。
【0068】
また、他の一部の衝突噴流は、発光部511における上部に向かって流通する。この際、当該衝突噴流が発光部511に直接衝突することにより、当該発光部511が冷却される。このほか、発光部511に衝突して拡散される乱流と、当該他の一部の衝突噴流とが衝突することで、更なる乱流発生が促進される。これにより、発光部511の熱伝達が促進され、当該発光部511が更に冷却される。
【0069】
更に、発光部511に向かって流通する衝突噴流は、コアンダ効果により、発光部511に沿ってZ方向先端側に流通する。この衝突噴流は、発光部511における上部の温度境界層を薄くして、当該発光部511と当該衝突噴流との熱伝達を促進させ、当該発光部511における上部が冷却される。
この発光部511に沿って流通する衝突噴流は、Z方向先端側に更に流通し、当該発光部511と副反射鏡52の反射面5221との間の隙間に流入する。当該隙間に流入した噴流により、副反射鏡52に覆われた発光部511の領域が効果的に冷却される。
【0070】
一方、更に他の一部の衝突噴流は、副反射鏡52に向かって流通した後、当該副反射鏡52の外表面に沿ってZ方向先端側に流通する。この噴流は、封止部513に沿って流通して、側面部61Dの開口部61D1及び遮光部材65の開口部652を介してダクト7から導入される冷却空気と衝突する。そして、当該衝突によって、更に乱流発生が促進され、封止部513の冷却が促進される。
【0071】
なお、冷却空気Ar5,Ar6の衝突によって生じた衝突噴流の一部は、主反射鏡55の反射面5521に沿って下方に流通し、発光部511における下部を冷却する。しかしながら、当該一部の噴流は、熱伝達が行われた比較的温度が高い噴流であることや、当該噴流の流速が、発光部511における下部に到達するまでに弱められていること等から、当該噴流による冷却効率は、発光部511における上部に向かって流通する噴流の冷却効率に比べて高くない。このため、発光部511において、最も温度が高くなる上部と、当該上部に比べて温度が低い下部との温度差を小さくすることができ、発光管51の劣化を抑制できる。
【0072】
発光管51を冷却した空気は、前述のように、遮光部材65の開口部653及び側面部61Eの排気口61E1を介して、収納空間RSから排出される。そして、当該空気は、ファンF4(
図1参照)により吸引され、排気口2B1(
図1参照)を介して外装筐体2外に排出される。
このようにして発光管51が冷却される。
【0073】
以上の説明では、プロジェクター1Aが正置き姿勢で設置された場合に、発光管51を冷却する冷却空気の流路について述べたが、プロジェクター1Aが天吊り姿勢で設置された場合の当該冷却空気の流路も同様である。
すなわち、ダクト7内に導入された冷却空気の一部は、下方に回動した導風板7Cにより、上方に位置する第2ダクト部75内を流通する。そして、当該冷却空気は、金網76及び開口部751,61B2を介して第1本体部61内に導入され、遮光部材65の送出口654D1,654D2に均等に分流される。
【0074】
これら送出口654D1,654D2から送出された冷却空気は、前述の衝突位置CPとは、発光管51の中心軸に対して対称位置に設定された衝突位置にて衝突し、前述の正置き姿勢時と同様の衝突噴流を生じさせる。この衝突噴流、及び、開口部652を介して導入された冷却空気により、発光管51(特に、発光部511上部)が冷却される。そして、発光管51の冷却に供された空気は、排気口61E1を介して収納空間RS外に排出される。
【0075】
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1Aによれば、以下の効果がある。
プロジェクター1Aが正置き姿勢で設置された場合に、送出口654U1,654U2を通過した冷却空気Ar5,Ar6は、発光部511上方に設定された衝突位置CPにて衝突する。これによれば、収納空間RS内に、当該衝突位置CPから離散的に拡散される乱流及び旋回流を含む衝突噴流を発生させることができる。この衝突噴流が発光部511に送出されることで、当該発光部511の温度境界層を薄くして、発光部511と衝突噴流との熱伝達を促進することができ、発光部511を冷却できる。
【0076】
ここで、1つの送出口から反射面5521に沿って流通した冷却空気が発光部511に送出される場合では、当該冷却空気が、発光部511から下側に流通してしまうこともあり、発光部511上部が適切に冷却されない可能性がある。
これに対し、衝突噴流が発光部511上方にて発生することにより、当該発光部511上部に適切に噴流を送出できる。従って、発光管51の冷却効率を向上でき、ひいては、当該発光管51の長寿命化を図ることができる。
なお、プロジェクター1Aが天吊り姿勢で設置された場合に、送出口654D1,654D2から送出された冷却空気が衝突することにより生じた衝突噴流によっても、同様の効果が得られる。
【0077】
プロジェクター1Aが正置き姿勢で設置された場合に、送出口654U1,654U2を通過する冷却空気Ar5,Ar6の流速及び流量は、それぞれ同じとなるように設定されている。これによれば、当該冷却空気Ar5,Ar6が衝突する衝突位置CPを容易に制御できる。このほか、衝突位置CPにて生じる衝突噴流の流速分布に偏りが生じること、すなわち、一方の送出口654側に衝突噴流の流速分布が偏ることを抑制できるので、当該衝突噴流を発光部511に確実に送出できる。従って、発光管51の冷却効果を一層高めることができる。
なお、送出口654D1,654D2から送出される冷却空気においても同様である。
【0078】
光源装置5が副反射鏡52を備えることにより、前述のように、当該副反射鏡52が無い場合に比べて、発光部511から出射され、レンズアレイ411に入射される光量を増加させることができる。従って、画像形成において、発光部511から出射された光の利用効率を向上できる。
また、発光部511上方の衝突位置CPにて衝突噴流が発生するので、発光部511の外表面と、副反射鏡52の反射面5221との間の隙間に噴流を導入することができる。従って、副反射鏡52により覆われた発光部511の領域を冷却することができ、光の利用効率の向上と、発光管51全体の冷却効率の向上とを同時に実現できる。
【0079】
主反射鏡55及び副反射鏡52により、発光部511から出射され、レンズアレイ411に入射される光量を増加させることができる。従って、画像形成において、発光部511から出射された光の利用効率を向上できる。
また、衝突位置CPが、略凹曲面状の反射面5521上に設定されているので、各送出口654U1,654U2から送出された冷却空気Ar5,Ar6は、当該反射面5521に沿って衝突位置CPに進行できる。これによれば、当該各冷却空気Ar5,Ar6が反射面5521によりガイドされることで、これら冷却空気Ar5,Ar6を衝突位置CPにて確実に衝突させることができる。従って、衝突位置CP、すなわち、衝突噴流の発生位置を一層容易に制御できる。
なお、各送出口654D1,654D2から送出された冷却空気が衝突する衝突位置は、発光管51を挟んで衝突位置CPと略対称位置に設定されており、当該衝突位置は、反射面5521上に設定されている。このため、プロジェクター1Aが天吊り姿勢で設置された場合でも、上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0080】
ここで、衝突位置CPは発光部511の上方に設定されている。これによれば、発光管51の点灯時に温度が高くなりやすい発光部511における上部に、衝突噴流を確実に送出することができるほか、発光部511において温度が低い下部に、多くの噴流が送出されないようにすることができる。従って、発光部511上部を効果的に冷却できるほか、発光部511上部と下部との温度差を小さくでき、発光管51の劣化を抑制できる。
更に、当該衝突位置CPは反射面5521上に設定されているので、当該衝突位置CPで発生した衝突噴流を、反射面5521で折り返して発光部511に送出できる。従って、当該発光部511に送出される冷却空気の流量を増加させることができ、発光部511、ひいては、発光管51の冷却効率を更に一層高めることができる。
【0081】
正置き姿勢時に冷却空気が流通する送出口654U1,654U2は、それぞれ発光管51より上側に位置する。これによれば、当該各送出口が発光管51の下側に位置する場合に比べ、発光部511の上側に設定された衝突位置CPまでの冷却空気の流路を短縮できる。このため、衝突位置CPに到達する際の冷却空気Ar5,Ar6の流速が大きく損なわれることなく、当該冷却空気Ar5,Ar6を衝突させることができ、流速の高い衝突噴流を生じさせることができる。従って、発光管51の冷却効率をより一層高めることができる。
なお、天吊り姿勢時に冷却空気が流通する送出口654D1,654D2についても、同様の効果を奏することができる。
【0082】
各送出口654U1,654U2は、発光管51を挟んで略対称位置に形成されている。これによれば、当該各送出口654U1,654U2から衝突位置CPまでの寸法(距離)をそれぞれ略同じにできる。これによれば、衝突噴流の流速分布が、一方の送出口654側に偏ることを抑制できる。また、この際、衝突位置CPに向かって流通する冷却空気は、各送出口654U1,654U2から略同じ角度傾斜した方向に送出されるので、前述の衝突噴流の流速分布の偏りを一層抑制できる。従って、当該衝突噴流を発光部511に確実に送出することができ、発光管51の冷却効率をより一層高めることができる。
なお、送出口654D1,654D2も、発光管51を挟んで略対称位置に形成され、冷却空気は、当該送出口654D1,654D2からXY平面に対して略同じ角度傾斜した方向に送出される。このため、これら送出口654D1,654D2によっても、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0083】
スリット状に形成された各送出口654U1,654U2からは、薄い膜状の冷却空気Ar5,Ar6が送出される。これによれば、冷却空気Ar5,Ar6の流れを安定化することができ、当該冷却空気Ar5,Ar6の流通方向を容易に制御できる。また、当該冷却空気Ar5,Ar6は、絞られた状態で送出されるので、衝突位置CPに至る冷却空気Ar5,Ar6の圧力低下を抑制でき、前述の衝突噴流を確実に発生させることができる。
なお、プロジェクター1Aが天吊り姿勢で設置された場合に冷却空気が流通する送出口654D1,654D2もスリット状に形成されているので、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0084】
第1ダクト部74内を流通した冷却空気Ar2が金網76の孔を通過することにより、当該冷却空気Ar2の前述の面内の圧力を均一化できる。これによれば、開口部741及び開口部61C2を介して各送出口654U1,654U2に流通する冷却空気Ar3,Ar4を均等に分流できる。従って、当該各送出口654U1,654U2から同じ流量及び流速の冷却空気Ar5,Ar6を送出させやすくすることができ、前述の衝突噴流の流速分布の偏りを一層抑制できる。
【0085】
また、開口部741に金網76が設けられていることにより、発光管51が破損した場合に、当該発光管51の破片がハウジング57外に飛散することを防止できる。
更に、ダクト7により、ファンF3から吐出された冷却空気を送出口654U1,654U2に分流できるので、送出口654U1,654U2ごとにファン及びダクトを設ける場合に比べ、プロジェクター1Aの部品点数の増加、及び、当該プロジェクター1Aの大型化を抑制できる。
なお、第2ダクト部75の開口部751にも金網76が設けられているので、プロジェクター1Aが天吊り姿勢で設置された場合でも、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0086】
〔第1ダクト部及び第2ダクト部の他の構成〕
ここで、上述したプロジェクター1Aでは、第1ダクト部74及び第2ダクト部75内を流通した冷却空気の面内の圧力を均一化して、2つの送出口654にそれぞれ同流量及び同流速の冷却空気を流通させるために、開口部741,751内に金網76を設けていた。しかしながら、当該2つの送出口に同流量及び同流速の冷却空気を送出可能であれば、他の構成を採用してもよい。
【0087】
図18は、上述した光源装置5の変形である光源装置5Aを示す斜視図である。なお、
図18は、ダクト8における第1ダクト部84をXZ平面で破断させた状態の光源装置5Aを示している。
例えば、光源装置5の変形である光源装置5Aは、ダクト7に代えて、ダクト8を備えるほかは、光源装置5と同様の構成を備える。
ダクト8は、前述のダクト7と同様に、底面部61B、天面部61C及び側面部61Dに取り付けられ、ファンF3から吐出された冷却空気を、それぞれ、開口部61D1と、開口部61B2又は開口部61C2に流通させる機能を有する。このダクト8は、
図18に示すように、それぞれZ方向先端側及び基端側に位置するダクト本体8A及び板体7Bと、ダクト本体8A内に回動自在に支持される導風板7Cとを備える。そして、ダクト本体8Aと板体7Bとは、互いにねじ等により固定される。
【0088】
このようなダクト8は、第1ダクト部74及び第2ダクト部75に代えて、第1ダクト部84及び第2ダクト部85を備えるほかは、ダクト7と同様の構成を備える。
これら第1ダクト部84及び第2ダクト部85は、開口部71を介して導入され、自重によって回動する導風板7C(図示省略)によって上向きに流通方向が変更された冷却空気を、それぞれ、開口部61C2,61B2に導く。
【0089】
このうち、第1ダクト部84には、X方向先端側の端部に、本発明の通過口としての開口部841がZ方向先端側に偏って形成されている。この開口部841内には、金網76は設けられておらず、当該開口部841の開口面積は、開口部741より小さい。
詳述すると、開口部841の開口面積は、当該開口部841を通過する冷却空気の面内圧力(当該冷却空気の流通方向に直交する面内の圧力)が均一化されるのに十分な面積に設定されている。具体的に、当該開口面積は、第1ダクト部84における冷却空気の流通方向に直交する断面の平均断面積より小さく設定されている。
【0090】
このような構成によっても、開口部841を通過する冷却空気は、同流量及び同流速となるように送出口654U1,654U2に均等に分流される。
なお、図示を省略したが、送出口654D1,654D2に冷却空気を導く第2ダクト部85も、開口部841と同様の開口部を有する。これにより、第2ダクト部85内を流通した冷却空気は、開口部61B2を介して、同風量となるように送出口654D1,654D2に均等に分流される。
【0091】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、前述のプロジェクター1Aと同様の構成を有する。ここで、プロジェクター1Aでは、発光部511の上方に位置する衝突位置CPに冷却空気を送出する送出口として、発光管51より上側に位置する2つの送出口654を利用した。これに対し、本実施形態に係るプロジェクターでは、発光管51より下側に位置する2つの送出口654を利用する。この点で、本実施形態に係るプロジェクターと、プロジェクター1Aとは相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0092】
図19は、本実施形態に係るプロジェクター1Bが備える光源装置5Bの縦断面を示す模式図である。
本実施形態に係るプロジェクター1Bは、光源装置5に代えて光源装置5Bを備えるほかは、前述のプロジェクター1Aと同様の構成を有する。また、光源装置5Bは、
図19に示すように、ダクト7に代えてダクト9を有するほかは、光源装置5と同様の構成を有する。
【0093】
ダクト9は、ダクト7と同様の構成を備え、収納体本体6に取り付けられる。このダクト9は、前述のファンF3から吐出された冷却空気を内部に導入し、自重によって回動する導風板により、当該冷却空気を第1ダクト部74の開口部741及び第2ダクト部75の開口部751のうち、下側に位置する開口部に誘導する。このため、冷却空気は、収納体本体6の開口部61C2及び開口部61B2、並びに、送出口654U1,654U2及び送出口654D1,654D2のうち、それぞれ下側に位置する開口部及び2つの送出口を介して、収納体本体6内に導入される。
なお、ダクト9は、ダクト7と同様の構成としたが、ダクト8と同様の構成としてもよく、発光管51より下側に位置する2つの送出口に冷却空気を誘導できればよい。
【0094】
これら送出口654U1,654U2,654D1,654D2が送出する冷却空気の流量及び流速は、本実施形態においても、それぞれ同じである。
一方、これら送出口654U1,654U2及び送出口654D1,654D2による冷却空気の送出方向は、発光管51より下側に位置した際に、発光部511の上方に設定された衝突位置CPに向かって冷却空気を送出するように、上向きに設定されている。このため、
図19に示すように、プロジェクター1Bが正置き姿勢とされている場合には、下側の2つの送出口654D1,654D2(
図19では、送出口654D1のみ図示)からそれぞれ送出された冷却空気は、衝突位置CPに向かって送出されて、当該衝突位置CPにて互いに衝突し、これにより、衝突噴流が生じる。この衝突噴流により、前述の光源装置5,5Aでの場合と同様に、発光部511(特に、副反射鏡52により覆われる発光部511の上部)及び封止部512,513が冷却される。更に、当該衝突噴流同士が衝突することによって生じる乱流により、発光部511上部が効果的に冷却される。
【0095】
なお、プロジェクター1Bが天吊り姿勢とされた場合には、発光管51より下側に位置する送出口654U1,654U2から、当該天吊り姿勢に応じて発光部511の上方に設定された衝突位置CPに向かってそれぞれ冷却空気が送出される。そして、冷却空気は、当該衝突位置CPにて衝突し、これにより生じた衝突噴流により、正置き姿勢時と同様に、発光管51(特に発光部511)が効果的に冷却される。
【0096】
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1Bによれば、前述のプロジェクター1Aと同様の効果を奏することができる。このほか、冷却空気を送出する2つの送出口654が、発光管51より下側に位置しているので、当該各送出口654から衝突位置CPまでの冷却空気の流路が長くなる。このため、冷却空気の流通過程で収納空間RS内の空気が撹拌されるので、発光管51全体の冷却効果を向上できる。
【0097】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、前述のプロジェクター1Bと同様の構成を有する。ここで、プロジェクター1Bでは、発光管51より下側に位置する2つの送出口654から衝突位置CPに向かって冷却空気をそれぞれ直接送風し、当該衝突位置CPにて衝突させた。これに対し、本実施形態に係るプロジェクターでは、当該下側に位置する2つの送出口から主反射鏡55の反射面5521に沿って冷却空気を流通させ、当該冷却空気を衝突位置にて衝突させる。この点で、本実施形態に係るプロジェクターと、プロジェクター1Bとは相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0098】
図20は、本実施形態に係るプロジェクター1Cが備える光源装置5Cの縦断面を示す模式図である。
本実施形態に係るプロジェクター1Cは、光源装置5Bに代えて光源装置5Cを備えるほかは、プロジェクター1Bと同様の構成を有する。また、光源装置5Cは、
図20に示すように、各送出口654の冷却空気の送出方向が光源装置5Bと異なっているほかは、当該光源装置5Bと同様の構成を有する。
【0099】
具体的に、光源装置5Cでは、送出口654(654U1,654U2,654D1,654D2)のうち、発光管51の光軸方向から見て当該発光管51より下側に位置する2つの送出口654(正置き姿勢では、送出口654D1,654D2)に、ダクト9を介して冷却空気がそれぞれ導入される。これら2つの送出口654からは、反射面5521に向かって発光管51の中心軸と略平行に冷却空気が送出され、当該冷却空気は、反射面5521に沿って前述の衝突位置CPにそれぞれ到達する。そして、当該衝突位置CPにてそれぞれの冷却空気が衝突することで、発光管51を冷却する前述の衝突噴流が発生する。この衝突噴流により、前述の光源装置5,5A,5Bと同様に、発光管51(特に、副反射鏡52によって覆われる発光部511上部)が効果的に冷却される。
【0100】
なお、プロジェクター1Cが天吊り姿勢とされた場合には、発光管51より下側に位置する送出口654U1,654U2から、冷却空気が反射面5521に向かって発光管51の中心軸と略平行に送出される。そして、当該反射面5521に沿って流通した冷却空気が、天吊り姿勢に応じて設定された衝突位置CPにてそれぞれ衝突し、衝突噴流が生じる。この衝突噴流により、前述の正置き姿勢時と同様に、発光管51(特に発光部511)が効果的に冷却される。
また、本実施形態においても、送出口654U1,654U2,654D1,654D2が送出する冷却空気の流量及び流速は、それぞれ同じである。
【0101】
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1Cによれば、前述のプロジェクター1Bと同様の効果を奏することができる。このほか、反射面5521により冷却空気が衝突位置CPに案内されるので、発光管51より下側に位置する2つの送出口654からそれぞれ送出された冷却空気を、当該衝突位置CPにて確実に衝突させることができる。
【0102】
〔実施形態の変形〕
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、冷却流体として冷却空気を採用したが、本発明はこれに限らない。例えば、光源装置5全体の絶縁処理が施されていれば、水やエチレングリコール等の液体を冷却流体として採用してもよい。
【0103】
前記各実施形態では、収納空間RS内で冷却空気が衝突する衝突位置CPは、発光部511の上方で、Z方向基端側に寄った位置に設定されるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、当該衝突位置は、発光部511のZ方向先端側又は基端側、或いは、X方向先端側又は基端側から見て当該発光部511の上方(上側)に位置し、生じた衝突噴流が適切に発光部511に吹き付けられる位置であれば、その位置は問わない。同様に、当該衝突位置は、必ずしも反射面5521上に設定されていなくてもよい。
【0104】
前記各実施形態では、送出口654U1,654U2は、それぞれ同じ流速及び流量の冷却空気Ar5,Ar6を送出するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、一方の送出口から送出される冷却空気の流速及び流量が、他方の送出口から送出される冷却空気の流速及び流量より高くてもよい。このような場合、発生する衝突噴流の流速分布に偏りが生じるので、当該偏りに応じて衝突位置を調整し、当該衝突噴流が適切に発光部511に吹き付けられるようにすればよい。
【0105】
前記各実施形態では、光源装置5,5Aは、第
2反射部材としての副反射鏡52を備えるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、副反射鏡52は無くてもよい。
また、前記第1実施形態では、プロジェクター1Aが正置き姿勢及び天吊り姿勢でそれぞれ設置される際に、発光管51より上側に位置する2つの送出口654を、冷却空気が通過する送出口として利用し、前記第2及び第3実施形態では、発光管51より下側に位置する2つの送出口654を利用したが、4つの送出口を頂点とする矩形の少なくとも一方の対角線上に位置する2つの送出口654を利用してもよい。
【0106】
前記各実施形態では、送出口654U1,654U2は、発光管51を挟んで略対称位置に形成及び配置されるとしたが、本発明はこれに限らない。また、前記実施形態では、各送出口654は、スリット状に形成されるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、生じた衝突噴流を発光部511に吹き付けることができれば、冷却空気を送出する送出口の位置及び形状は問わない。送出口654D1,654D2についても同様である。
【0107】
前記各実施形態では、2つの送出口654に均等に冷却空気を分流するために、ダクト7の開口部741に板状部材としての金網76を配置し、或いは、第1ダクト部84に当該第1ダクト部84の平均断面積より小さい開口面積を有する開口部841を形成するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、他の構成により、冷却空気を分流してもよい。例えば、金網76に代えて、メッシュ様の合成樹脂製部材を採用してもよい。更に、各送出口654に冷却空気を送出するファン及びダクトを、送出口ごとに設けてもよい。
【0108】
前記各実施形態では、収納空間RS内に導入される冷却空気が通過する送出口654を、第1本体部61内に収納される遮光部材65に形成したが、本発明はこれに限らない。例えば、第1本体部61に形成してもよい。すなわち、収納体内に冷却流体を導入可能な開口部であればよい。
【0109】
前記各実施形態では、プロジェクター1A〜1Cは、3つの液晶パネル442(442R,442G,442B)を備えるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、2つ以下、あるいは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクターにも、本発明を適用可能である。
また、前記各実施形態では、光学ユニット4は平面視略L字形状を有した構成を説明したが、これに限らず、例えば、平面視略U字形状を有した構成を採用してもよい。
さらに、前記各実施形態では、光束入射面と光束射出面とが異なる透過型の液晶パネル442を用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。
【0110】
前記各実施形態では、光変調装置として液晶パネル442を備えたプロジェクター1A〜1Cを例示したが、入射される光束を画像情報に応じて変調した画像光を形成する光変調装置であれば、他の構成の光変調装置を採用してもよい。例えば、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調装置を用いたプロジェクターにも、本発明を適用することも可能である。このような光変調装置を用いた場合、光束入射側及び光束射出側の偏光板443,445は省略できる。
【0111】
前記各実施形態では、被投射面に対する画像光の投射方向と、当該画像光に係る画像の観察方向とが略同じであるフロントタイプのプロジェクター1A〜1Cを例示したが、本発明はこれに限らない。例えば、投射方向と観察方向とがそれぞれ反対方向となるリアタイプのプロジェクターにも適用できる。
また、前記各実施形態では、光源装置5,5A〜5Cを、プロジェクター1A〜1Cに採用したが、本発明はこれに限らない。すなわち、このような光源装置5,5A〜5Cは、スタンド等の照明装置に利用することも可能である。