特許第6039912号(P6039912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039912
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】抵抗値算出装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 27/16 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   G01R27/16
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-79882(P2012-79882)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-210246(P2013-210246A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2015年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000109598
【氏名又は名称】テンパール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】布上 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】野々上 満洋
(72)【発明者】
【氏名】川東 進
(72)【発明者】
【氏名】栗原 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和文
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼井 保徳
(72)【発明者】
【氏名】水戸 誠治
【審査官】 越川 康弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−227019(JP,A)
【文献】 特開2006−343267(JP,A)
【文献】 特開2002−296316(JP,A)
【文献】 特開2001−298851(JP,A)
【文献】 特開2000−099484(JP,A)
【文献】 実開昭63−187076(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 27/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極側の第1電源線及び負極側の第2電源線と、前記第1電源線に接続された第1接地抵抗及び前記第2電源線に接続された第2接地抵抗と、を備える直流回路の前記第1及び第2電源線のうち、前記第1電源線に地絡抵抗を接続する第1接続部と、
前記第1電源線に前記地絡抵抗が接続された際の前記第1電源線に発生する第1電圧を測定する第1測定部と、
前記第1及び第2電源線のうち、前記第2電源線に前記地絡抵抗を接続する第2接続部と、
前記第2電源線に前記地絡抵抗が接続された際の前記第2電源線に発生する第2電圧を測定する第2測定部と、
前記第1及び第2電圧の各値と、前記第1及び第2電源線の間の電圧の値と、前記第1及び第2接地抵抗と前記地絡抵抗との各抵抗値とに基づいて、前記直流回路の対地絶縁抵抗の抵抗値を算出する算出部と、
計時装置と、
所定の時間間隔毎に所定の処理を実行する制御部であって、前記処理において、前記計時装置から取得した現在の時刻が、前記対地絶縁抵抗の抵抗値を算出する所定の時刻となったか否かを判定し、現在の時刻が前記所定の時刻でないと、前記第1電源線に発生する電圧及び前記第2電源線に発生する電圧を測定し、前記第1電源線に発生する電圧の絶対値及び前記第2電源線に発生する電圧の絶対値の差電圧を算出し、今回の処理において算出された差電圧と、前回の処理において算出された差電圧との間の時間変化の大きさが所定値より大きい場合、前記対地絶縁抵抗の抵抗値を算出するために、前記第1及び第2接続部のうち一方の接続部に前記地絡抵抗を接続させ、その後、前記第1及び第2接続部のうち他方の接続部に前記地絡抵抗を接続させる制御部と、
を備えることを特徴とする抵抗値算出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の抵抗値算出装置であって、
前記直流回路は、
前記第1電源線に発生する電圧及び前記第2電源線に発生する電圧の差電圧の値が前記所定値より大きい第1の値より大きくなると、前記直流回路に地絡が発生していることを検出する地絡検出装置を更に含み、
前記地絡抵抗は、
前記地絡抵抗が前記第1または第2電源線に接続された際の、前記第1電源線に発生する電圧及び前記第2電源線に発生する電圧の差電圧の値が前記第1の値より小さくなる抵抗値を有すること、
を特徴とする抵抗値算出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の抵抗値算出装置であって、
前記直流回路は、
スイッチと、前記スイッチに直列接続され、前記スイッチがオンされると記第1及び第2電源線の間の電圧が印加される機器と、を更に含み、
前記第1電源線に発生する電圧及び前記第2電源線に発生する電圧の差電圧の極性の変化、又は、前記スイッチがオフ状態からオンした後に再びオフしたときの前記差電圧が、前記スイッチがオンする前の前記差電圧と同じ値に戻ることに基づいて、前記スイッチ及び前記機器が接続されるノードに地絡が発生しているか否かを判定する判定部と、
を更に備えること、
を特徴とする抵抗値算出装置。
【請求項4】
請求項1〜の何れか一項に記載の抵抗値算出装置であって、
前記算出部が前記対地絶縁抵抗の抵抗値が算出する毎に、前記対地絶縁抵抗の抵抗値が算出された時刻を示す情報と、算出された前記対地絶縁抵抗の抵抗値とを記憶する記憶部を更に備えること、
を特徴とする抵抗値算出装置。
【請求項5】
請求項1〜の何れか一項に記載の抵抗算出装置であって、
算出された前記対地絶縁抵抗の抵抗値が所定値以下である場合、警報を出力する警報出力部を更に備えること、
を特徴とする抵抗値算出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗値算出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直流回路の地絡を検出する装置としては、地絡検出継電器が知られている。地絡検出継電器は、例えば、直流回路の正極側の電圧及び負極側の電圧の差が所定値より大きくなると地絡を検出する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−60893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、地絡検出継電器には、地絡事故等を確実に検出させる必要があるため、地絡検出継電器が地絡を検出する際の絶縁抵抗を一般に小さい値(例えば、12kΩ)となっている。したがって、地絡検出継電器が動作する際には、かなり絶縁抵抗が低下してしまっている。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、直流回路の絶縁抵抗を算出可能な抵抗値算出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一つの側面に係る抵抗値算出装置は、正極側の第1電源線及び負極側の第2電源線と、前記第1電源線に接続された第1接地抵抗及び前記第2電源線に接続された第2接地抵抗と、を備える直流回路の前記第1及び第2電源線のうち、前記第1電源線に地絡抵抗を接続する第1接続部と、前記第1電源線に前記地絡抵抗が接続された際の前記第1電源線に発生する第1電圧を測定する第1測定部と、前記第1及び第2電源線のうち、前記第2電源線に前記地絡抵抗を接続する第2接続部と、前記第2電源線に前記地絡抵抗が接続された際の前記第2電源線に発生する第2電圧を測定する第2測定部と、前記第1及び第2電圧の各値と、前記第1及び第2電源線の間の電圧の値と、前記第1及び第2接地抵抗と前記地絡抵抗との各抵抗値とに基づいて、前記直流回路の対地絶縁抵抗の抵抗値を算出する算出部と、計時装置と、所定の時間間隔毎に所定の処理を実行する制御部であって、前記処理において、前記計時装置から取得した現在の時刻が、前記対地絶縁抵抗の抵抗値を算出する所定の時刻となったか否かを判定し、現在の時刻が前記所定の時刻でないと、前記第1電源線に発生する電圧及び前記第2電源線に発生する電圧を測定し、前記第1電源線に発生する電圧の絶対値及び前記第2電源線に発生する電圧の絶対値の差電圧を算出し、今回の処理において算出された差電圧と、前回の処理において算出された差電圧との間の時間変化の大きさが所定値より大きい場合、前記対地絶縁抵抗の抵抗値を算出するために、前記第1及び第2接続部のうち一方の接続部に前記地絡抵抗を接続させ、その後、前記第1及び第2接続部のうち他方の接続部に前記地絡抵抗を接続させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
直流回路の絶縁抵抗を算出可能な抵抗値算出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態である直流回路監視装置16が設けられた直流電源装置10を示した図である。
図2】母線21に地絡抵抗41が接続された状態を示す図である。
図3】母線22に地絡抵抗41が接続された状態を示す図である。
図4】記憶装置43の記憶領域の一例を示す図である。
図5】マイコン44が実現する機能ブロックの一例を示す図である。
図6】ノードAに地絡が発生した状態を示す図である。
図7】マイコン44が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図8】絶縁抵抗算出処理S105の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
図1は、本発明を適用した直流電源装置10の構成例を示す図である。直流電源装置10(直流回路)は、例えば電気所に設けられた各種電気機器を動作させるための直流電源を生成する装置であり、蓄電池20、及び母線21,22を含んで構成される。
【0011】
蓄電池20は、交流を直流に変換する整流器(不図示)により充電され、例えば、110Vの電圧を生成する。母線21(第1電源線)は、蓄電池20の正極側の電圧が印加される電線ケーブルであり、母線22(第2電源線)は、蓄電池20の負極側の電圧が印加される電線ケーブルである。また、直流電源装置10では、正極側の母線21とグランドの間に対地絶縁抵抗25が存在し、負極側の母線22とグランドの間に対地絶縁抵抗26が存在する。なお、本実施形態では、対地絶縁抵抗25,26の抵抗値を夫々Rp0,Rn0とする。
【0012】
直流電源装置10の母線21,22の間には、地絡検出継電器15、直流回路監視装置16、継電器50,51、及びスイッチ52〜54が設けられている。なお、継電器50,51、及びスイッチ52〜54の構成は一例であり、これらの構成に限られない。
【0013】
地絡検出継電器15(地絡検出装置)は、母線21,22の間に接続され、直流電源装置10を含む直流回路全体に地絡が発生しているか否かを検出する装置である。地絡検出継電器15は、抵抗30,31、及び判定装置32を含んで構成される。
【0014】
抵抗30(第1接地抵抗)は、母線21を接地する接地抵抗であり、抵抗31(第2接地抵抗)は、母線22を接地する接地抵抗である。なお、本実施形態では、抵抗30,31の抵抗値が対地絶縁抵抗25,26の抵抗値より十分小さくなるよう、例えば、抵抗30の抵抗値Zp、抵抗31の抵抗値Znをともに12kΩとしている。このような場合、母線21に発生する電圧Vp(母線21及びグランドの間の電圧)は、およそ55Vとなり、母線22に発生する電圧Vn(母線22及びグランドの間の電圧)もおよそ55Vとなる。
【0015】
判定装置32は、電圧Vp,Vnに基づいて、直流電源装置10に地絡が発生しているか否かを判定する。具体的には、判定装置32は、電圧Vp及び電圧Vnの差電圧Vd(=|Vp|−|Vn|)が、例えば41V(第1の値)より大きくなるか−41Vより小さくなると、直流電源装置10に地絡が発生していると判定する。
【0016】
直流回路監視装置16(抵抗値算出装置)は、直流電源装置10を含む直流回路全体の監視を行う装置である。具体的には、直流回路監視装置16電圧Vp,Vnに基づいて、直流電源装置10の絶縁抵抗25,26の抵抗値Rp0,Rn0を算出する。直流回路監視装置16は、スイッチ40、地絡抵抗41、ADコンバータ42、記憶装置43、マイコン44、表示装置45、警報装置46、及び計時装置47を含んで構成される。
【0017】
スイッチ40は、マイコン44からの指示に基づいて、母線21,22の何れか一方を、地絡抵抗41を介して強制的に地絡させるためのスイッチである。
【0018】
ADコンバータ(ADC)42は、電圧Vp,Vnの値をデジタル値に変換してマイコン44へ出力する。
【0019】
記憶装置43は、マイコン44が実行するプログラムデータや、マイコン44が各種処理を実行する際に使用するデータを記憶する。
【0020】
マイコン44は、直流回路監視装置16を統括制御するとともに、電圧Vp,Vnや記憶装置43に記憶された各種データに基づいて、絶縁抵抗25,26の抵抗値Rp0,Rn0を算出する。またマイコン44は、算出した抵抗値Rp0,Rn0を、時刻とともに記憶装置43に格納する。なお、記憶装置43やマイコン44の詳細については後述する。
【0021】
表示装置45は、例えば、直流回路監視装置16が動作しているか、停止しているか等を示す情報等の各種情報を表示する。
【0022】
警報装置46は、マイコン44が算出した抵抗値Rp0,Rn0が、所定値より小さい場合、直流電源装置10の絶縁抵抗25,26が低下していることを示す警報を出力する。
【0023】
計時装置47は、現在の時刻Tを計時する。また、計時装置47は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機(不図示)を備えており、正確な時刻を計時することができる。なお、本実施形態の計時装置47は、GPS受信機を備えることとしたが、これに限られない。例えば、電気所の他のテレコン等の機器と同期をとることにより、時刻を補正しても良い。また、計時装置47は、LAN(Local Area Network)を介して適宜時刻同期をとっても良い。
【0024】
継電器50(機器)は、例えば遮断器(不図示)の投入、遮断を制御する継電器である。継電器50は、継電器50に直列に接続されるスイッチ52が投入されると(オンとなると)、動作を開始する。なお、本実施形態では、継電器50及びスイッチ52が接続されるノードをノードAとする。
【0025】
継電器51(機器)は、例えば、断路器(不図示)の投入、遮断を制御する継電器である。継電器51は、継電器51に直列に接続されるスイッチ53,54がともに投入されると、動作を開始する。また、本実施形態では、スイッチ53,54が接続されるノードの電圧をノードBとする。
【0026】
==絶縁抵抗25,26の抵抗値Rp0,Rn0の算出方法について==
ここで、図2,3を参照しつつ、直流電源装置10における絶縁抵抗25,26の抵抗値Rp0,Rn0の算出方法について説明する。図2は、直流電源装置10の正極側の母線21に、地絡抵抗41が接続されている状態を示す図である。図3は、直流電源装置10の正極側の母線22に、地絡抵抗41が接続されている状態を示す図である。なお、ここでは、地絡抵抗41の抵抗値をRg1とし、抵抗30及び対地絶縁抵抗25の抵抗値をRp(=Zp//Rp0)とし、抵抗31及び対地絶縁抵抗26の抵抗値をRn(=Zn//Rn0)としている。
【0027】
地絡抵抗41が母線21に接続されている際の母線21と対地間の電圧Vpgとし、母線21,22の間の電圧(蓄電池20の電圧)を電圧Vとすると、電圧Vpg,Vの間には、下記の関係が成立する。
Vpg:(V−Vpg)=Rp×Rg1/(Rp+Rg1):Rn・・・(1)
また、図3に示すように、地絡抵抗41が母線22に接続されている際の母線22と対地間の電圧Vngとすると、電圧Vng,Vの間には、下記の関係が成立する。
Vng:(V−Vng)=Rn×Rg1/(Rn+Rg1):Rp・・・(2)
上述した、式(1),(2)から、下記の式(3),(4)が得られる。
Rp=((V−Vng−Vpg)×Rg1)/Vng・・・(3)
Rn=((V−Vng−Vpg)×Rg1)/Vpg・・・(4)
【0028】
また、抵抗値Rp,Rnのそれぞれには、Rp=Zp//Rp0、Rn=Zn//Rn0の関係がある。さらに、抵抗値Zp,Znはともに等しいため、これらの抵抗値をRx(=Zp=Zn)とすると、対地絶縁抵抗25の抵抗値Rp0、対地絶縁抵抗26の抵抗値Rn0は、以下の式で表される。
Rp0=(Vng/((V−Vng−Vpg)×Rg1)−1/Rx)−1・・・(5)
Rn0=(Vpg/((V−Vpg−Vng)×Rg1)−1/Rx)−1・・・(6)
このように、電圧Vpg,Vng,Vの値と、抵抗値Rx,Rg1の値に基づいて、対地絶縁抵抗25,26のそれぞれの抵抗値Rp0,Rn0が算出できる。
【0029】
==地絡抵抗41の抵抗値Rg1について==
ここで、地絡抵抗41の抵抗値Rg1について説明する。前述の式(5),(6)を用いて対地絶縁抵抗25,26の抵抗値Rp0,Rn0を算出する場合、理論的には、地絡抵抗41の抵抗値Rg1はどのような値であってもよい。ただし、実際には、抵抗値Rg1が抵抗値Rp0,Rn0より非常に大きい場合、地絡抵抗41を母線21,22に接続した際の電圧Vpg,Vngがほぼ等しくなり、精度良く抵抗値Rp0,Rn0を算出できないことがある。一方、抵抗値Rg1が小さい場合、地絡抵抗41が母線21,22に接続されると、地絡検出継電器15が動作してしまうことがある。このため、本実施形態では、対地絶縁抵抗25,26の抵抗値より小さく、地絡検出継電器15が地絡を検出する際の抵抗値(地絡検出継電器15の動作設定値)より大きい抵抗値Rg1を用いている。
【0030】
具体的には、例えば、対地絶縁抵抗25の抵抗値Rp0が2000kΩ、対地絶縁抵抗26の抵抗値Rn0が100kΩ、地絡継電器15の抵抗30,31の抵抗値Rx(=Zp=Zn)が12kΩであり、さらに、地絡検出継電器15の動作設定値が10kΩである場合、抵抗値Rg1として例えば50kΩ(10kΩ<50kΩ<100kΩ)を選択する。
【0031】
このような場合において、地絡抵抗41が母線21に接続された状態では、正極側の対地間の合成抵抗は、約9.6kΩ(Rp0//Rx//Rg1)となり、負極側の対地間の合成抵抗は、約10.7kΩ(Rn0//Rx)となる。そして、蓄電池20の電圧、つまり母線21,22の間の電圧Vは110Vであるため、電圧Vpの大きさは約52.1V、電圧Vnの大きさは約57.9Vとなる。このため、差電圧Vd(=|Vp|−|Vn|)は、−5.8Vとなる。
【0032】
一方、地絡抵抗41が母線22に接続された状態では、負極側の対地間の合成抵抗は、約11.9kΩ(Rp0//Rx)となり、負極側の対地間の合成抵抗は、約8.8kΩ(Rn0//Rx//Rg1)となる。このため、この際の電圧Vpの大きさは約63.2V、電圧Vnの大きさは約46.8Vとなり、差電圧Vd(=|Vp|−|Vn|)は、16.5Vとなる。
【0033】
前述のように、地絡検出継電器15の動作設定値が10kΩである場合、差電圧Vdが、41Vより大きいか、−41Vより小さい場合に地絡検出継電器15が地絡を検出することになる。したがって、本実施形態の地絡抵抗41が母線21,22の何れかに接続された場合には、差電圧Vdは±41Vを超えることはないため、地絡検出継電器15は地絡を検出することはない。
【0034】
==記憶装置43及びマイコン44の詳細について==
ここで、記憶装置43及びマイコン44の詳細について説明する。記憶装置43(記憶部)の記憶領域には、図4に示すように少なくとも、プログラム記憶部60、抵抗値記憶部61、及びデータ記憶部62が設けられている。
【0035】
プログラム記憶部60は、マイコン44が実行する各種プログラムを記憶する。抵抗値記憶部61は、地絡継電器15の抵抗30,31の抵抗値Rx(12kΩ)、地絡抵抗41の抵抗値Rg1(50kΩ)を記憶する。
【0036】
データ記憶部62は、例えば、マイコン44で算出された抵抗値Rp0,Rn0、抵抗値Rp0,Rn0を算出した際の時刻、各種電圧(電圧Vp,Vn,Vd,Vpg,Vng)等を記憶する。
【0037】
図5は、マイコン44が記憶装置43に記憶されるプログラムデータを実行することにより、マイコン44に実現される機能ブロックを示す図である。マイコン44は、時刻判定部70、測定部71、差電圧算出部72、差電圧判定部73、制御部74、接続部75、算出部76、地絡点判定部77、及び警報出力部78の機能を実現する。
【0038】
時刻判定部70は、計時装置47から現在の時刻Tを取得し、現在の時刻Tが、絶縁抵抗25,26の抵抗値を算出する所定の時刻TAとなったか否かを判定する。なお、所定の時刻は、1日に2回であれば、例えば12時、24時であり、利用者により設定される。
【0039】
測定部71(第1及び第2測定部)は、ADコンバータ42からの出力を取得して、電圧Vsp,Vnを測定する。また、測定部71は、測定した電圧Vp,Vnを記憶装置43のデータ記憶部62に適宜格納する。
【0040】
差電圧算出部72は、測定部71で測定された電圧Vp,Vnに基づいて、差電圧Vd(=|Vp|−|Vn|)を算出する。
【0041】
差電圧判定部73は、地絡発生の兆候を検出すべく、差電圧Vdの時間変化であるΔVd(現在の差電圧Vdと、前回の差電圧Vdとの差)を算出し、差電圧Vdの時間変化ΔVdの大きさが所定値(10V:第2の値)より大きいか否か(ΔVd>10V、又はΔVd<−10V)を判定する。なお、10Vは一例であり、他の値であっても良い。
【0042】
制御部74は、現在の時刻Tが所定の時刻TAとなるか、差電圧Vdの時間変化ΔVdが所定値より大きくなると、電圧Vp,Vnに基づいて母線21,22間の電圧Vを算出した後に、接続部75を制御する。
【0043】
接続部75(第1及び第2接続部)は、制御部74からの指示に基づいて、地絡抵抗41を母線21,22に順次接続する。
【0044】
算出部76は、取得された電圧Vpg,Vng,Vと、抵抗値Rx,Rg1の値に基づいて、対地絶縁抵抗25,26の抵抗値Rp0,Rn0を算出する。また、算出部76は、取得した電圧や、算出した抵抗値等の各種データを記憶装置43に記録する。
【0045】
地絡点判定部77は、差電圧Vdの極性の変化に基づいて、所定の位置で地絡が発生しているか否かを判定する。なお、地絡点判定部77の詳細については後述する。
【0046】
警報出力部78は、算出部76で算出された抵抗値Rp0,Rn0が所定値以下である場合、つまり、直流電源装置10の絶縁抵抗が低下している場合、警報装置46に警報を出力させる。
【0047】
==地絡点判定部77の詳細==
ここで、地絡点判定部77の詳細について説明する。地絡点判定部77は、前回の差電圧Vdの値と、今回(現在)の差電圧Vdの値の極性が異なる場合、つまり差電圧Vdの極性が反転(変化)した場合に、所定の位置で地絡が発生していることを判定する。ここで、差電圧Vdの極性の変化は、図6に示すように、例えばノードAに地絡が発生している場合に観測される。図6は、ノードAに、地絡が発生した状態を示す図であり、便宜上、直流回路監視装置16等を適宜省略している。また、ここでは、抵抗30,31の抵抗値を12kΩ、対地絶縁抵抗25,26の抵抗値を1MΩ、継電器50の内部抵抗を10kΩ、ノードAにおける地絡抵抗55の値を20kΩとしている。
【0048】
ここで、スイッチ52が投入されていない場合、つまり、スイッチ52がオフの場合、地絡抵抗55は、継電器50の内部抵抗を介して負極側の母線22に接続されることになる。つまり、直列接続された継電器50の内部抵抗及び地絡抵抗55(30kΩ=10kΩ+20kΩ)が、抵抗31、対地絶縁抵抗26に並列に接続されることになる。このため、正極側の対地間抵抗は、約11.9kΩ(=12kΩ//1MΩ)となり、負極側の対地間抵抗は、約8.5kΩ(=12kΩ//1MΩ//30kΩ)となる。したがって、電圧Vpは、約64Vとなり、電圧Vnは、約46Vとなるため、差電圧Vdは18Vとなる。
【0049】
一方、スイッチ52が投入されると、つまり、スイッチ52がオンとなる場合、地絡抵抗55は、正極側の母線21に接続される。このため、正極側の対地間抵抗は、約7.4kΩ(=12kΩ//1MΩ//20kΩ)となり、負極側の対地間抵抗は、約11.9kΩ(=12kΩ//1MΩ)となる。したがって、電圧Vpは、約42Vとなり、電圧Vnは、約67Vとなるため、差電圧Vdは−25Vとなる。
【0050】
このように、スイッチ52と継電器50とが接続されるノードAに地絡が発生している場合、スイッチ52の状態によって差電圧Vdの極性が変化する。なお、ここでは、ノードAに地絡が発生している場合について説明したが、例えば、ノードBに地絡が発生する場合も同様である。このような現象に基づいて、地絡点判定部77は、差電圧Vdの極性が変化した場合に、ノードA,B等の位置(中性相)で地絡が発生していることを判定する。
【0051】
なお、ここでは、地絡点判定部77は、差電圧Vdの極性の変化した場合にノードA等の所定の位置で地絡が発生していることを判定したがこれに限られない。例えば、スイッチ52がオフ状態からオンとなり、その後再びオフとなると、差電圧Vdは、18Vから−25Vに変化した後に18Vとなる。したがって、スイッチ52の動作時刻に応じて、差電圧Vdがほぼ元の値(18V)に短時間で戻るか否かを判定することにより、ノードA,B等の位置で地絡が発生していることを判定しても良い。
【0052】
==マイコン44が実行する処理について==
ここで、図7図8を参照しつつ、対地絶縁抵抗25,26の抵抗値Rp0,Rn0を算出する際にマイコン44が実行する処理の一例について説明する。なお、図7に示す処理は、例えば所定の時間間隔毎に実行される。
【0053】
まず、時刻判定部70は、現在の時刻Tが、絶縁抵抗25,26の抵抗値を算出する所定の時刻TAとなったか否かを判定する(S100)。そして、現在の時刻Tが所定の時刻TAとなると(S100:YES)、絶縁抵抗算出処理(S105)が実行される。一方、現在の時刻Tが所定の時刻TAでないと(S100:NO)、測定部71は、電圧Vp,Vnを測定する(S101)。また、電圧Vp,Vnが測定されると、差電圧算出部72は、差電圧Vd(=|Vp|−|Vn|)を算出する(S102)。差電圧判定部73は、処理S102で算出された現在の差電圧Vdと、前回算出された差電圧Vdとから、差電圧Vdの時間変化であるΔVdを算出し、時間変化ΔVdの大きさが所定値(10V)より大きいか否かを判定する(S103)。なお、前回算出された差電圧Vdは、予め記憶装置43のデータ記憶部62に記憶されている。そして、時間変化ΔVdの大きさが所定値(10V)より小さい場合(S103:NO)、差電圧算出部72は、電圧Vp,Vnや、現在の差電圧Vdを記憶装置43のデータ記憶部62に記録する(S104)。一方、時間変化ΔVdの大きさが所定値(10V)より大きい場合(S103:YES)、絶縁抵抗算出処理(S105)が実行される。
【0054】
図8は、絶縁抵抗算出処理(S105)の一例を示すフローチャートである。まず、制御部74は、電圧Vp,Vnに基づいて母線21,22間の電圧Vを算出する(S200)。その後、接続部75は、制御部74からの指示に基づいて、母線21に地絡抵抗41を接続する(S201)。測定部71は、電圧Vpが安定すると、地絡抵抗41が母線21に接続されている際の電圧Vpを測定し、電圧Vpgとしてデータ記憶部62に記録する(S202)。電圧Vpgが記録されると、接続部75は、地絡抵抗41を切り離す(S203)。そして、接続部75は、地絡抵抗41が切り離された後に電圧Vp,Vnが安定化するまでの所定時間τが経過すると(S204:YES)、母線22に地絡抵抗41を接続する(S205)。また、測定部71は、電圧Vnが安定すると、地絡抵抗41が母線22に接続されている際の電圧Vnを測定し、電圧Vngとしてデータ記憶部62に記録する(S206)。電圧Vngが記録されると、接続部75は、地絡抵抗41を切り離す(S207)。そして、算出部76は、取得された電圧Vpg,Vng,Vと、データ記憶部62に格納されている抵抗値Rx,Rg1の値に基づいて、対地絶縁抵抗25,26の抵抗値Rp0,Rn0を算出する(S208)。なお、この際、算出部76は、前述した式(5),(6)を用いて抵抗値Rp0,Rn0を算出する。
【0055】
処理S105において抵抗値Rp0,Rn0が算出されると、地絡点判定部77は、今回の差電圧Vdと、前回の差電圧Vdとを比較し、差電圧Vdの極性が変化したか否かを判定する(S106)。差電圧Vdの極性が変化した場合(S106:YES)、地絡点判定部77は、ノードA,B等のスイッチと継電器とが接続されているノードに地絡が発生していることを判定する(S107)。処理S107が実行された場合、または差電圧Vdの極性が変化しない場合(S106:NO)、警報出力部78は、算出された抵抗値Rp0,Rn0と所定値とを比較する(S108)。算出された抵抗値Rp0,Rn0が所定値以下の場合(S108:YES)、警報出力部78は、警報装置46に警報を出力させる(S109)。また、処理S109が実行された場合、または、算出された抵抗値Rp0,Rn0が所定値より大きい場合(S108:NO)、例えば、算出部76等は、取得された電圧Vpg,Vng,V、算出された抵抗値Rp0,Rn0、処理S106の判定結果(地絡点の判定結果)を、現在の時刻Tとともにデータ記憶部62に記録する(S110)。
【0056】
以上、本発明の一実施形態である直流回路監視装置16が設けられた直流電源装置10について説明した。直流回路監視装置16は、地絡検出継電器15の動作を停止させることなく対地絶縁抵抗25,26の抵抗値Rp0,Rn0を算出することが可能である。
【0057】
また、地絡抵抗41が母線21,22に接続された場合であっても、差電圧Vdの値は、地絡検出継電器15が地絡を検出する際の電圧である41V(第1の値)よりも小さい。このため、抵抗値Rp0,Rn0が算出されている際に地絡が発生しても、地絡検出継電器15は確実に地絡を検出できる。
【0058】
また、制御部74は、現在の時刻が所定の時刻TA(所定のタイミング)となると、接続部75を制御し、抵抗値Rp0,Rn0を算出させることができる。
【0059】
また、制御部74は、現在の時刻が所定の時刻TAとならない場合であっても、地絡の兆候が発生すると、接続部75を制御し、抵抗値Rp0,Rn0を算出させることができる。
【0060】
また、地絡点判定部77は、差電圧Vdの極性の変化に基づいて、ノードA,B等の位置(中性相)で地絡が発生しているか否かを判定することができる。また、スイッチ52等の装置動作データ時刻と電気所設備の運転記録(時刻)を照合することで,地絡点の把握が容易になる。
【0061】
また、算出された抵抗値Rp0,Rn0等は時刻とともに記憶装置43に記録される。これにより、直流回路監視装置16はデータロガー(記録計)の機能を有することになるため、作業者は、抵抗値Rp0,Rn0の経年変化や地絡の兆候を把握することができる。
【0062】
また、算出された抵抗値Rp0,Rn0が所定値以下である場合、警報装置46は警報を出力する。これにより、作業者は、絶縁抵抗の低下を直ちに知ることが可能となる。
【0063】
なお、上記実施例は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0064】
10 直流電源装置
15 地絡検出継電器
16 直流回路監視装置
20 蓄電池
21,22 母線
25,26 対地絶縁抵抗
30,31 抵抗
32 判定装置
40,52〜54 スイッチ
41 地絡抵抗
42 ADコンバータ
43 記憶装置
44 マイコン
45 表示装置
46 警報装置
47 計時装置
50,51 継電器
60 プログラム記憶部
61 抵抗値記憶部
62 データ記憶部
70 時刻判定部
71 測定部
72 差電圧算出部
73 差電圧判定部
74 制御部
75 接続部
76 算出部
77 地絡点判定部
78 警報出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8