特許第6039971号(P6039971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039971
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】オレフィンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 5/25 20060101AFI20161128BHJP
   C07C 11/02 20060101ALI20161128BHJP
   B01J 21/06 20060101ALI20161128BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20161128BHJP
【FI】
   C07C5/25
   C07C11/02
   B01J21/06 Z
   !C07B61/00 300
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-188477(P2012-188477)
(22)【出願日】2012年8月29日
(65)【公開番号】特開2013-241386(P2013-241386A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2015年6月16日
(31)【優先権主張番号】特願2012-98703(P2012-98703)
(32)【優先日】2012年4月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100089185
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 誠
(72)【発明者】
【氏名】日比野 琢哉
(72)【発明者】
【氏名】高田 慎吾
【審査官】 中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0100474(US,A1)
【文献】 特表2011−500628(JP,A)
【文献】 特表平01−500249(JP,A)
【文献】 特開平06−192140(JP,A)
【文献】 特開昭62−039582(JP,A)
【文献】 特公昭47−048362(JP,B1)
【文献】 米国特許第05304696(US,A)
【文献】 特開昭58−026826(JP,A)
【文献】 特開2002−193618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
B01J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数8〜24の直鎖α−オレフィンの異性化反応を酸化チタン触媒の存在下で行う直鎖内部オレフィンの製造方法であって、
前記酸化チタン触媒に含まれる硫黄分の量が0.34質量%以下であり、前記酸化チタン触媒が硫酸チタニルの加水分解によって得られたものであり、前記異性化反応が液相反応であり、反応温度が200〜300℃である直鎖内部オレフィンの製造方法。
【請求項2】
炭素数8〜24の直鎖α−オレフィンの異性化反応を酸化チタン触媒の存在下で行う直鎖内部オレフィンの製造方法であって、
前記酸化チタン触媒に含まれる硫黄分の量が0.34質量%以下であり、前記酸化チタン触媒がハロゲン化チタン又はアルコキシチタンを加水分解又は気相酸化することにより得られた酸化チタンに対して、硫酸又は硫酸塩を含浸させることにより調製したものであり、前記異性化反応が液相反応であり、反応温度が200〜300℃である直鎖内部オレフィンの製造方法。
【請求項3】
前記酸化チタン触媒がアナターゼ型である、請求項1又は2に記載の直鎖内部オレフィンの製造方法。
【請求項4】
前記酸化チタン触媒の比表面積が10〜800m/gである、請求項1〜のいずれかに記載の直鎖内部オレフィンの製造方法。
【請求項5】
前記酸化チタン触媒の細孔容量が0.05〜2ml/gである、請求項1〜のいずれかに記載の直鎖内部オレフィンの製造方法。
【請求項6】
反応前の直鎖α−オレフィンに対するオレフィン多量体の生成量が5質量%未満である、請求項1〜のいずれかに記載の直鎖内部オレフィンの製造方法。
【請求項7】
反応前の直鎖α−オレフィンに対する分岐鎖を有するオレフィンの生成量が5質量%未満である、請求項1〜のいずれかに記載の直鎖内部オレフィンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオレフィンの製造方法に関し、詳しくは、直鎖α−オレフィンの異性化反応により、分子鎖の末端以外の部分に二重結合を有する直鎖内部オレフィンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内部オレフィンは、紙サイズ剤原料、界面活性剤原料、石油掘削油基油、潤滑油基油、潤滑油原料、及び化成品原料等に用いられる有用な中間体である。
このような内部オレフィンの製造方法としては第4属金属触媒を用いる方法、具体的には、硫酸を4〜6質量%担持させた特定の酸化チタン触媒を用いる方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開2006/0100474号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の方法によれば、直鎖α−オレフィンから直鎖内部オレフィンを製造することができるが、異性化による分岐体や多量化体等の生成により収率が低下するという問題があるため、改善が望まれている。
本発明は、分岐体や多量化体等の副生成物を抑制し、高い収率で直鎖内部オレフィンを得ることができる直鎖内部オレフィンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らが、異性化反応に用いられる酸化チタン触媒について検討を行ったところ、硫黄分が特定量の酸化チタン触媒を特定の条件で用いることにより副反応を抑制することが可能となり、直鎖内部オレフィンを高収率で得られることを見出し本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
炭素数8〜24の直鎖α−オレフィンの異性化反応を酸化チタン触媒の存在下で行う直鎖内部オレフィンの製造方法であって、前記酸化チタン触媒に含まれる硫黄分の量が0.34質量%以下であり、前記異性化反応が液相反応であり、反応温度が200〜300℃である直鎖内部オレフィンの製造方法、
を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の製造方法によれば、分岐体や多量化体等の副生成物を抑制し、高い収率で直鎖内部オレフィンを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の直鎖内部オレフィンの製造方法は、炭素数8〜24の直鎖α−オレフィンの異性化反応を酸化チタン触媒の存在下で行うものであって、前記酸化チタン触媒に含まれる硫黄分の量が0.34質量%以下であり、前記異性化反応が液相反応であり、反応温度が200〜300℃である。
なお、本発明において、「液相反応」とは、反応時の圧力において原料オレフィン及び生成物オレフィンの沸点以下の温度であって、液体が存在する状態での反応を指す。
また、直鎖内部オレフィンとは、分岐鎖を有しない不飽和脂肪族炭化水素であって分子鎖の末端以外の部分に二重結合を有するものを指す。
【0008】
<酸化チタン触媒>
酸化チタン触媒は、例えば硫酸チタニルを加水分解して沈殿させる方法、テトライソプロポキシチタン等のアルコキシチタンのアルコール溶液に水を加えて沈殿させる方法、四塩化チタン等のハロゲン化チタンを気相酸化する方法等により得ることができる。
触媒としては、硫黄分が0.34質量%以下の酸化チタン触媒を用いる。硫黄分が0.34質量%を超えると、分岐体や多量化体等の副生成物の生成量が多くなる。硫黄分の含有量は、異性化反応を速やかに進行させる観点から、0.0001質量%以上が好ましく、0.002質量%以上がより好ましく、そして、分岐体や多量化体等の副生成物の生成を抑制する観点から、0.30質量%以下がより好ましく、0.28質量%以下が更に好ましい。
硫黄分の含有量は、具体的には、0.0001〜0.30質量%がより好ましく、0.002〜0.28質量%が更に好ましい。
ここで、硫黄分の含有量は、燃焼イオンクロマト法にて測定することができ、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
なお、酸化チタン触媒中の硫黄分の含有量は、例えば、硫酸チタニル等の硫黄分を含む原料から製造する場合、洗浄の程度により調整することができる。原料の洗浄方法としては、例えば触媒を水等の洗浄溶媒に分散後、濾過、遠心分離等の固液分離により行うことができる。洗浄溶媒の量や回数を調節することで、所望の硫黄分を含有する酸化チタンを得ることができる。
【0009】
四塩化チタンやテトライソプロポキシチタン等の硫黄を含まない原料から酸化チタン触媒を調製する場合は、硫黄分を含まない酸化チタンに硫酸又は硫酸アンモニウム等の硫酸塩を含浸させた後、乾燥させ、更に焼成することにより得られる。
【0010】
本発明においては、反応活性を向上させる観点、及び副生物の生成を抑制する観点から、硫黄分を含まない酸化チタンに硫酸又は硫酸塩を含浸させた後、乾燥させ、更に焼成させる方法により得られた酸化チタン触媒を用いることが好ましい。
酸化チタン触媒の結晶系は、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型等のいずれの結晶系でもよいが、異性化反応を促進させる観点から、アナターゼ型が好ましい。酸化チタンの結晶系は粉末X線回折等の公知の方法で確認することができる。
【0011】
酸化チタン触媒の比表面積は、反応速度を向上させる観点から、10m2/g以上が好ましく、20m2/g以上がより好ましく、30m2/g以上が更に好ましく、40m2/g以上がより更に好ましく、そして、800m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましく、200m2/g以下が更に好ましく、150m2/g以下がより更に好ましい。
酸化チタン触媒の比表面積は、具体的には、10〜800m2/gが好ましく、20〜300m2/gがより好ましく、30〜200m2/gが更に好ましく、40〜150m2/gがより更に好ましい。比表面積は、BET法により求めることができ、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
【0012】
酸化チタン触媒の細孔容量は、0.05ml/g以上が好ましく、0.1ml/g以上がより好ましく、0.3ml/g以上が更に好ましく、そして、2.0ml/g以下が好ましく、1.5ml/g以下がより好ましく、1.0ml/g以下が更に好ましい。
酸化チタン触媒の細孔容量は、具体的には、0.05〜2.0ml/gが好ましく、0.1〜1.5ml/gがより好ましく、0.3〜1.0ml/gが更に好ましい。酸化チタン触媒の細孔容量が前記範囲内であれば、反応速度が向上する。細孔容量は、水銀圧入法によって求めることができ、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
【0013】
酸化チタン触媒の形状は、粉末状、造粒物、成形物のいずれでもよく、例えば、顆粒状、ヌードル状、ペレット状等を挙げることができる。酸化チタン触媒の形状は、懸濁床バッチ反応における固液分離性の観点から、また、固定床連続反応における圧力損失低下の観点から、顆粒状、ヌードル状、ペレット状等の成形物であることが好ましい。更に、酸化チタン触媒の1次粒子径は0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.5μm以上が更に好ましく、そして、10,000μm以下が好ましく、1,000μm以下がより好ましく、100μm以下が更に好ましい。
酸化チタン触媒の1次粒子径は、具体的には、0.1〜10,000μmが好ましく、0.2〜1,000μmがより好ましく、0.5〜100μmが更に好ましい。
【0014】
前記粒径は、反応速度を向上させる観点、及び後処理を行う際の濾過を効率的に行う観点から適宜選択することができる。粒径はレーザー回折/散乱法等の方法により求めることができる。
なお、酸化チタン触媒は、シリカ、珪藻土等の担体上に固定されていてもよい。
【0015】
<原料オレフィン(直鎖α−オレフィン)>
原料オレフィンとしては、炭素数8〜24の直鎖α−オレフィン(末端オレフィン)を用いる。反応に適する沸点を有する観点から、原料オレフィンの炭素数は10〜22が好ましく、12〜18がより好ましい。
直鎖α−オレフィンの具体例としては、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−イコセン、1−ヘニコセン、1−ドコセン、1−トリコセン、1−テトラコセンが挙げられる。
これらの直鎖α−オレフィンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。複数種の直鎖α−オレフィンを混合して用いる場合は、アルキル鎖長の異なる直鎖内部オレフィンを得ることができる。
【0016】
前記直鎖α−オレフィンとしては、クラッキング、リフォーミング、エチレンのオリゴマー化等の石油原料由来のもの、MTG(Methanol To Gasoline)法等による天然ガス由来のもの、動植物油の脂肪酸誘導体から脱カルボニル化する方法により得られたもの、1−アルコールの脱水反応により得られたもの等を好適に用いることができる。
また、前記直鎖α−オレフィンは、直鎖内部オレフィンを含んでいてもよい。原料となる直鎖α−オレフィンは、すでに直鎖内部オレフィンを含んでいるものもあるが、前記酸化チタン触媒の存在下で反応を行い、原料の直鎖内部オレフィン含有量よりも含有量が多くなれば、それは本発明の実施に該当する。
【0017】
<反応条件>
反応温度は、副生成物を抑制し収率を向上させる観点から、200℃以上が好ましく、220℃以上がより好ましく、230℃以上が更に好ましく、そして、300℃以下が好ましく、295℃以下がより好ましく、290℃以下が更に好ましい。
反応温度は、具体的には、200〜300℃が好ましく、220〜295℃がより好ましく、230〜290℃が更に好ましい。
一般的な内部オレフィンの製造は多量体の生成を抑制する観点から気相反応により行われるが、本発明においては液相反応で行う。本発明においては、触媒中の硫黄分を特定の範囲に規定した酸化チタン触媒を用いるため、液相反応であってもオレフィンの多量化を抑制することが可能であり、炭素数8〜24の高沸点のオレフィンから低エネルギーで直鎖内部オレフィンを得ることができる。
【0018】
本発明の製造方法における異性化反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。これらの不活性ガスの雰囲気下で行うことにより、副反応を抑制することができる。
【0019】
本発明の製造方法においては、必要に応じて有機溶媒を用いてもよい。本発明に用いることができる有機溶媒としては、反応温度において液体であり、基質及び生成物と相溶し、かつ反応を阻害しないものであれば特に限定されず、混合物であってもよい。また、反応後、沸点差を利用して生成物と分離できるものが好ましい。
本発明に使用することができる有機溶媒としては、飽和脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系有機溶媒が好ましい。
【0020】
飽和脂肪族炭化水素としては、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよい。
飽和脂肪族炭化水素の具体例としては、トリデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、ドコサン、トリアコンタン、スクアラン等の炭素数10〜35の化合物が挙げられる。
また、飽和脂肪族炭化水素としては、流動パラフィンや、ナフテン系炭化水素、イソパラフィン系炭化水素のような混合物であってもよい。また、固形パラフィンのように、常温において固体であるが反応温度において液体であるものも使用することができる。
また、飽和脂肪族炭化水素としては、プロピレン、イソブテン等のオリゴマーを使用することもできる。
【0021】
芳香族炭化水素の具体例としては、n−ドデシルベンゼン、n−トリデシルベンゼン、n−テトラデシルベンゼン、n−ペンタデシルベンゼン、n−ヘキサデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレン等のアルキルベンゼン及びアルキルナフタレンを挙げられる。
【0022】
本発明の製造方法においては、懸濁床法、固定床法のいずれを採用してもよい。
懸濁床法の場合の酸化チタン触媒の使用量は、反応速度と装置効率の観点から、原料である直鎖α−オレフィンに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.3〜15質量%がより好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。
【0023】
固定床法の場合、液空間速度は、反応温度や触媒の硫黄含量によって異なるが、0.05〜15/hが好ましく、0.1〜10/hがより好ましく、0.3〜5/hが更に好ましい。なお、固定床反応の場合、運転の容易さの観点から、触媒は造粒又は成形したものであることが好ましい。
【0024】
反応時の圧力は、反応速度の観点から、基質が液相状態にあって触媒を均一に濡らしていることが重要であるため、0.01〜1000kPaが好ましい。反応時間は、触媒の使用量や反応温度によって異なるが通常0.5〜24時間である。
【0025】
本発明の製造方法は、骨格の異性化による分岐体の生成量が少ないため、原料の直鎖α−オレフィンに対する分岐体の生成量を5質量%以下に抑えることができ、好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下に抑えることができる。
また、本発明の製造方法は、多量化体の生成量が少ないため、原料の直鎖α−オレフィンに対する多量化体の生成量を5質量%以下に抑えることができ、好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下に抑えることが可能である。
本発明の製造方法によれば、目的とする直鎖内部オレフィンを90質量%以上の収率で得ることができる。本発明の製造方法で得られるオレフィンは多分岐体や多量化体の含有量が低いので、そのままで界面活性剤等の製造原料として用いることができる。また、さらに精製を行うこともできるが、その場合でも精製負荷が少ない。
【0026】
本発明により、副反応を抑制しつつ効率的に直鎖内部オレフィンが得られる理由は明らかではないが、酸化チタン触媒の硫酸根を低減することにより、分岐化や多量化等の副反応の触媒となるブレンステット型の強酸点が少なくなることが、その一因であると考えられる。
【0027】
本発明においては、上記のようにして得られた内部オレフィンは、界面活性剤、有機溶剤、柔軟剤、サイズ剤等の原料又は中間原料として有用である。
【0028】
上述した実施の形態に関し、本発明は以下の直鎖内部オレフィンの製造方法を開示する。
<1>炭素数8〜24、好ましくは10〜22、より好ましくは12〜18の直鎖α−オレフィンの異性化反応を酸化チタン触媒の存在下で行う直鎖内部オレフィンの製造方法であって、前記酸化チタン触媒に含まれる硫黄分の量が0.34質量%以下、好ましくは0.0001〜0.30質量%、より好ましくは0.002〜0.28質量%であり、前記異性化反応が液相反応であり、反応温度が200〜300℃、好ましくは220〜295℃、より好ましくは230〜290℃である直鎖内部オレフィンの製造方法。
<2>前記酸化チタン触媒がアナターゼ型である、<1>に記載の直鎖内部オレフィンの製造方法。
【0029】
<3>前記酸化チタン触媒が硫酸チタニルの加水分解によって得られたものである、<1>又は<2>に記載の直鎖内部オレフィンの製造方法。
<4>前記酸化チタン触媒がハロゲン化チタン又はアルコキシチタンを、加水分解又は気相酸化することにより得られた酸化チタンに対して、硫酸又は硫酸塩を含浸させることにより調製したものである、<1>又は<2>に記載の直鎖内部オレフィンの製造方法。
【0030】
<5>前記酸化チタン触媒の比表面積が、好ましくは10m2/g以上、より好ましくは20m2/g以上、更に好ましくは30m2/g以上、より更に好ましくは40m2/g以上、そして、好ましくは800m2/g以下、より好ましくは300m2/g以下、更に好ましくは200m2/g以下、より更に好ましくは150m2/g以下である、<1>〜<4>のいずれかに記載の直鎖内部オレフィンの製造方法。
<6>前記酸化チタン触媒の比表面積が、好ましくは10〜800m2/g、より好ましくは20〜300m2/g、更に好ましくは30〜200m2/g、より更に好ましくは40〜150m2/gである、<1>〜<5>のいずれかに記載の直鎖内部オレフィンの製造方法。
【0031】
<7>前記酸化チタン触媒の細孔容量が、好ましくは0.05ml/g以上、より好ましくは0.1ml/g以上、更に好ましくは0.3ml/g以上、そして、好ましくは2.0ml/g以下、より好ましくは1.5ml/g以下、更に好ましくは1.0ml/g以下である、<1>〜<6>のいずれかに記載の直鎖内部オレフィンの製造方法。
<8>前記酸化チタン触媒の細孔容量が、好ましくは0.05〜2ml/g、より好ましくは0.1〜1.5ml/g、更に好ましくは0.3〜1.0ml/gである、<1>〜<7>のいずれかに記載の直鎖内部オレフィンの製造方法。
【0032】
<9>反応前の直鎖α−オレフィンに対するオレフィン多量体の生成量が5質量%未満、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下である、<1>〜<8>のいずれかに記載の直鎖内部オレフィンの製造方法。
<10>反応前の直鎖α−オレフィンに対する分岐鎖を有するオレフィンの生成量が5質量%未満、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下である、<1>〜<9>のいずれかに記載の直鎖内部オレフィンの製造方法。
【実施例】
【0033】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<硫黄分定量>
硫黄成分の定量は燃焼イオンクロマト法により、下記の条件で測定した。
(試験内容)
試料を燃焼IC用の試料容器に採取し、酸化タングステンを加えて混和した後、燃焼イオンクロマトへ導入し測定を行った。
(詳細条件)
検体採取量 ;約0.01g
(燃焼条件)
機種 ;自動試料燃焼装置、型番「AQF−100型」(三菱化学(株)製)
燃焼炉温度 ;1,000℃
加熱・燃焼時間;730秒[固体試料メソッド使用]
キャリアガス ;Ar
燃焼補助ガス ;O2
燃焼時にセラミックボードにNi−インナーボードを入れ、更に検体に酸化タングステン(検体の約5倍量)を入れ、よく混合させてから燃焼させた。
【0034】
(イオンクロマト条件)
機種 ;ICS−1500(DIONEX Corporation製)
検出器 ;電気伝導度検出器
分離カラム ;IonPac AS12A 4mmID×200mm
ガードカラム;IonPac AG12A 4mmID×50mm
サプレッサー;ASRS300 4mm(リサイクルモード)(DIONEX Corporation製)
溶離液 ;2.7mmol/L炭酸ナトリウム及び0.3mmol/L炭酸水素ナ
トリウムの混合溶離液
溶離液流量 ;1.5mL/min
検量線 ;0.1,0.5,1.0,5.0μg/mLの標準溶液を調製して検量
線を作成した。
【0035】
<比表面積・細孔分布測定>
比表面積測定装置((株)島津製作所製、商品名「FlowSorb III」)により、液体窒素を用いてBET比表面積を測定した。
細孔分布測定には、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法による解析を行った。水銀ポロシメーターは(株)島津製作所製、商品名「AutoPore IV 9500」を用いた。
【0036】
1H−NMR>
1H−NMRは、測定装置としてVarian社製、商品名「Mercury400」、溶媒として重クロロホルムを用いて測定を行った。
【0037】
<ガスクロマトグラフィー>
ガスクロマトグラフィーはAgilent社製「HP6890」及びFronteerLAB製「Ultra−Alloy−1」を用い、下記の条件で測定した。
昇温条件 ;1分間に12℃の速度で100℃から350℃まで昇温し、3
50℃で5.2分間保持した。
キャリアガス ;ヘリウム
流量 ;19mL/分
注入口温度 ;300℃
検出器(FID)温度;350℃
注入量 ;1μL
スプリット ;20:1
内部標準物質 ;ドデカン
【0038】
<触媒調製例1>
2Lのセパラブルフラスコにチタンテトライソプロポキサイド(和光純薬工業(株)製(一級))70g及びエタノール800gを仕込んだ。この溶液をメカニカルスターラーで攪拌(SUSタービン羽根)し、イオン交換水600gを1時間かけて滴下した。その後、更に1時間攪拌を行い、エバポレーターを用いて溶媒を留去した。残存した固体を120℃で12時間乾燥させ、その後500℃で3時間焼成を行った。得られた酸化チタン触媒の硫黄分は、定量下限値(10ppm)以下であり、結晶系はアナターゼ型であり、比表面積は87m2/gであった。
【0039】
<触媒調製例2>
2Lのセパラブルフラスコにチタンテトライソプロポキサイド(和光純薬工業(株)製(一級))74g、2−プロパノール(和光純薬工業(株)製(一級))500gを仕込んだ。この溶液を80℃に加熱し、メカニカルスターラーで4時間攪拌(SUSタービン羽根)した。その後、イオン交換水600gを1時間かけて滴下した。そして、更に1時間攪拌を行った。残存した固体をろ取した後、120度で15時間乾燥させ、その後500℃で3時間焼成を行った。
得られた酸化チタンのうちの10g、硫酸アンモニウム(東京化成工業(株)製)62.9mg、イオン交換水50gを100mLのナスフラスコに仕込み、エバポレーターを用いて溶媒を留去した。残存した固体を120℃で約12時間乾燥させ、その後500℃で3時間焼成を行った。得られた酸化チタン触媒中の硫黄分は0.15質量%であり、結晶系はアナターゼ型であり、比表面積は35m2/gであった。
【0040】
<触媒調製例3>
200mLのナスフラスコに市販の酸化チタン(堺化学工業(株)製、酸化チタン(型番「CS200S」)、硫黄分=0.15質量%)9.7g、硫酸アンモニウム(東京化成工業(株)製)0.48g、イオン交換水50gを仕込んだ。これをエバポレーターを用いて溶媒を留去した。残存した固体を120℃で約12時間乾燥させ、その後500℃で3時間焼成を行った。得られた酸化チタン触媒中の硫黄分は1.3質量%であり、結晶系はアナターゼ型であり、比表面積は55m2/gであった。
【0041】
[実施例1〜7、比較例1]
実施例1
酸化チタン触媒として、市販の酸化チタン1.5g(堺化学工業(株)製、型番「CS200S」、アナターゼ型、硫黄=0.15質量%)」を用意し、これと1−オクタデセン(SIGMA−Aldrich製)50gを100mL四ツ口フラスコに仕込んだ。反応容器内に窒素ガス(50mL/分)を流通させ、メカニカルスターラーで攪拌した(半月型攪拌羽(直径40mm)、500rpm)。反応容器をマントルヒーターで加熱し、内温が240℃に到達した時点を反応開始点として、240±10℃で5時間反応を行った。反応物の組成の変化は、1H−NMR及びガスクロマトグラフィーにより確認した。反応開始から0.5時間後及び5時間後の組成を表1に示す。
【0042】
実施例2
触媒を堺化学工業(株)製、酸化チタン型番「CS300S」(アナターゼ型、硫黄=0.27%)としたこと以外は実施例1と同様に反応を行った。反応開始から0.5時間後及び5時間後の組成を表1に示す。
【0043】
実施例3
反応温度を280℃としたこと以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応終了後の組成を表1に示す。
【0044】
実施例4
酸化チタン触媒を触媒調製例1の方法で調製した触媒としたこと以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応終了後の組成を表1に示す。
【0045】
実施例5
反応温度を200℃としたこと、触媒量を10質量%としたこと以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応終了後の組成を表1に示す。
【0046】
実施例6
触媒を触媒調製例2の方法で調製した触媒としたこと以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応0.5時間後及び5時間後の組成を表1に示す。
【0047】
実施例7
反応温度を200℃、原料を1−ドデセン(和光純薬工業(株)製)、触媒量を7質量%としたこと以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応終了後の組成を表1に示す。
【0048】
比較例1
触媒を触媒調製例3の方法で調製した触媒としたこと以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応終了後の組成を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
実施例1、2、6の0.5時間後の転化率を見ると触媒調製例2の触媒がより高活性であることが分かる。
【0051】
なお、内部オレフィン選択率は、以下の計算式により算出することができる。
内部オレフィン選択率=
[(末端オレフィン転化率−分岐体生成率−二量体生成率)/末端オレフィン転化率]×100
【0052】
表1より、本発明の製造方法は、分岐体や多量化体等の副生成物を抑制し、高い収率で直鎖内部オレフィンを得ることができる。