特許第6039973号(P6039973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6039973サーボプレスのスライドモーション生成方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039973
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】サーボプレスのスライドモーション生成方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 15/14 20060101AFI20161128BHJP
   B30B 15/00 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   B30B15/14 F
   B30B15/00 D
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-199256(P2012-199256)
(22)【出願日】2012年9月11日
(65)【公開番号】特開2014-54642(P2014-54642A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】五島 紘一
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−245098(JP,A)
【文献】 特開平10−071542(JP,A)
【文献】 特開2004−054454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 15/14
B30B 15/00
B21D 5/00
B21D 22/00
B21D 24/00
B21D 28/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボプレスのスライドモーション生成方法であって、
(a)表示手段に表示された各加工種及び各加工種の加工による製品の立体形状から加工種を選択する工程、
(b)選択した加工種の加工サンプルプログラムを一覧表示する工程、
(c)一覧表示された加工サンプルプログラムにおいて指示した加工サンプルプログラムの加工名称及び複数の改善項目評価点を表示したレーダチャートを表示する工程、
(d)前記レーダチャートを参照して選択した加工サンプルプログラムを作業メモリにコピーする工程、
(e)コピーした加工サンプルプログラムのスライドモーションを前記表示手段に表示する工程、
(f)表示されたスライドモーションの一部を調整して新たなスライドモーションを生成する工程、
の各工程を備えていることを特徴とするサーボプレスのスライドモーション生成方法。
【請求項2】
サーボプレスのスライドモーション生成方法であって、予め加工種メモリに登録してある複数の加工種及び各加工種の加工による製品の立体形状、各加工種に含まれる加工サンプルプログラム及び各加工サンプルプログラムに対応したスライドモーションのモーション種並びにレーダチャートを表示手段に表示し、当該レーダチャートを参照して選択された加工サンプルプログラムのスライドモーションを前記表示手段に表示し、この表示されたスライドモーションの一部を調整して新たなスライドモーションを生成することを特徴とするサーボプレスのスライドモーション生成方法。
【請求項3】
サーボプレスのスライドモーション生成装置であって、複数の加工種及び各加工種の加工による製品の立体形状の形状データを格納した加工種メモリと、前記加工種に対応した複数の加工サンプルプログラム及び各加工サンプルプログラムに対応したスライドモーションのモーション種を格納した加工プログラムメモリと、前記各加工サンプルプログラムに対応した加工名及び複数の改善項目評価点を表示するためのレーダチャートデータを格納したデータメモリと、選択した加工サンプルプログラムをコピーするための作業メモリと、前記加工種メモリ、加工プログラムメモリ、データメモリ、作業メモリに格納されている加工種の加工による製品の立体形状、加工サンプルプログラム、レーダチャート、を表示する表示手段と、前記作業メモリにコピーされた加工サンプルプログラムのスライドモーションを前記表示手段に表示して一部を調整する際の入力手段と、調整された部分を参照して新たなスライドモーションを生成するための演算手段と、を備えていることを特徴とするサーボプレスのスライドモーション生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボプレスのスライドモーション生成方法及び装置に係り、さらに詳細には、プレス加工においての、例えば成形性、生産性、加工精度、金型寿命、低騒音等の複数の改善項目の評価点を表示したレーダチャートを参照してスライドモーションを生成する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プレスにおいて上下動自在なスライド(ラム)の上下動作のモーションを所望のモーションに制御するために、サーボモータの回転に連動してスライドが上下動するサーボプレスが開発されている。そして、前記サーボモータの回転を制御することによってスライドの上下動作のモーションを所望のモーションに制御することが行われている。
【0003】
サーボプレスにおけるスライドモーションには、サインカーブを描くクランクモーション、低騒音化を図るためにスライドの最下降位置の直前に低速を制御するリンクモーション、小さな上下運動を行いつつ絞り加工等を行うパルスモーション、スライドモーションを適宜に制御するプログラムモーション、加工時の上型とワークの接触時の上型の下降速度を制御するソフトモーション、生産性向上を図るための振子モーション、下死点位置を任意に変えられる特性を生かした繰り返しモーション、下死点での停止、加圧を利用してスプリングバックを抑制するコイニングモーションなどがある。
【0004】
すなわち、サーボプレスのスライドモーションには複数のスライドモーションがある。したがって、新たなスライドモーションを作成しようとする場合、スライドモーションにおけるどのモーションがどのようなプレス加工の用途に適しているのか知らないと、どのスライドモーションを選択してよいのかわからないという問題がある。
【0005】
なお、本発明に係る先行例として特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−192467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載の構成は、複数のモーションデータを記憶したモーションデータ記憶手段(モーションデータバンク)を備えている。そして、モニタに表示されているプログラム番号選択ボタンを用いてプログラム番号を選択し、このプログラム番号に該当するクランクモーションを前記モーションデータバンクから読み出して、前記モニタのグラフ表示部に選択モーション軌跡を表示する。その後、モニタに表示されているデータ表示部における項目指定部(変更項目指定手段)を形成する変更項目指定ボタンをタッチ操作して、工程P1・P2間の速度を変更入力することにより、新規モーションデータを生成するものである(特許文献1の図4〜6及びその対応本文参照)。
【0008】
したがって、モーションデータバンクから適正なモーションデータを選択するには、どのモーションがどのプレス加工の用途に適しているかを知らなければならないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述したごとき問題に鑑みてなされたもので、サーボプレスのスライドモーション生成方法であって、表示手段に表示された各加工種及び各加工種の加工による製品の立体形状から加工種を選択する(a)工程と、選択した加工種の加工サンプルプログラムを一覧表示する(b)工程と、一覧表示された加工サンプルプログラムにおいて指示した加工サンプルプログラムの加工名称及び複数の改善項目評価点を表示したレーダチャートを表示する(c)工程と、前記レーダチャートを参照して選択した加工サンプルプログラムを作業メモリにコピーする(d)工程と、コピーした加工サンプルプログラムのスライドモーションを前記表示手段に表示する(e)工程と、表示されたスライドモーションの一部を調整して新たなスライドモーションを生成する(f)工程と、の各工程を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
また、サーボプレスのスライドモーション生成方法であって、予め加工種メモリに登録してある複数の加工種及び各加工種の加工による製品の立体形状、各加工種に含まれる加工サンプルプログラム及び各加工サンプルプログラムに対応したスライドモーションのモーション種並びにレーダチャートを表示手段に表示し、当該レーダチャートを参照して選択された加工サンプルプログラムのスライドモーションを前記表示手段に表示し、この表示されたスライドモーションの一部を調整して新たなスライドモーションを生成することを特徴とするものである。
【0011】
また、サーボプレスのスライドモーション生成装置であって、複数の加工種及び各加工種の加工による製品の立体形状の形状データを格納した加工種メモリと、前記加工種に対応した複数の加工サンプルプログラム及び各加工サンプルプログラムに対応したスライドモーションのモーション種を格納した加工プログラムメモリと、前記各加工サンプルプログラムに対応した加工名及び複数の改善項目評価点を表示するためのレーダチャートデータを格納したデータメモリと、選択した加工サンプルプログラムをコピーするための作業メモリと、前記加工種メモリ、加工プログラムメモリ、データメモリ、作業メモリに格納されている加工種の加工による製品の立体形状、加工サンプルプログラム、レーダチャート、を表示する表示手段と、前記作業メモリにコピーされた加工サンプルプログラムのスライドモーションを前記表示手段に表示して一部を調整する際の入力手段と、調整された部分を参照して新たなスライドモーションを生成するための演算手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、予め加工種メモリに登録してある複数の加工種における加工サンプルプログラム及びレーダチャートを表示手段に表示し、このレーダチャートを参照して加工サンプルプログラムを選択するものである。したがって、希望に近い加工プログラムの選択を容易に行うことができる。そして、この加工プログラムのスライドモーションの一部を調整して新たなスライドモーションを生成するものであるから、新たなスライドモーションの生成を容易に行い得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るスライドモーション生成装置の構成を示す機能ブロック図である。
図2】加工種の表示画面の説明図である。
図3】加工サンプルプログラムの一覧表示を示す説明図である。
図4】加工サンプルプログラムのデータ構造を示す説明図である。
図5】レーダチャートの説明図である。
図6】スライドモーションの一部を調整して新たなスライドモーションを生成する作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明するに、サーボプレスの全体的構成は、例えば前記特許文献1などに記載されているように、既によく知られた構成であるから、サーボプレスの全体的構成についての説明は省略する。
【0015】
図1を参照するに、本発明の実施形態に係るサーボプレスのスライドモーション生成装置1は、コンピュータから構成してあって、CPU3、RAM5、ROM7、入力手段9、表示手段11及び各種の演算処理を行う演算手段13が備えられている。さらに、前記スライドモーション生成装置1には加工種メモリ15が備えられている。
【0016】
前記加工種メモリ15は、図2に示すように、例えば抜き加工、曲げ加工、絞り加工、鍛造加工、順送り加工、連動加工、特殊加工、難加工及びその他の加工などの各種の加工種17A、17B、17C、…と、各加工種の加工による製品19A、19B、19C、…の形状データとを関連付けて格納してある。そして、前記抜き加工、曲げ加工、絞り加工、鍛造加工、順送り加工、連動加工、特殊加工、難加工及びその他の加工には、それぞれの加工に関連した複数の加工例の加工データ及びそれぞれの加工例の製品形状データを関連付けた複数の加工種データが含まれている。
【0017】
したがって、前記加工種メモリ15に格納されている各種の加工種17A、17B、17C、…を前記表示手段11に表示すると、図2に示すように、各種の加工名称と各種の加工に対応した製品19A、19B、19C、…の形状が表示される。そして、例えば加工種1(17A)の抜き加工の表示画面をタッチして、又は、前記表示画面にカーソルを合せてクリックすると、加工種1(17A)に含まれる複数の加工サンプルプログラム21A、21B、…の一覧表示が行われる(図3参照)。
【0018】
複数の前記加工サンプルプログラム21A、21B、…は、前記スライドモーション生成装置1に備えられた加工プログラムメモリ23に格納されているものである。この加工プログラムメモリ23には、前記加工種メモリ15に格納された各加工種17A、17B、17C、…に対応した複数の加工サンプルプログラムを格納しているものである。したがって、加工種2(17B)をクリックしたときには、加工種2(17B)に対応した複数の加工サンプルプログラム(21A、21B、…相当)を一覧表示することになるものである。
【0019】
なお、前記加工サンプルプログラム21A、21B、…の一覧表示は、加工名称25とスライドモーションのモーション種27とが合せて表示されるものである。
【0020】
そして、前記各加工サンプルプログラム21A、21B、…のそれぞれには、対応した加工種17A、17B、…、スライドモーション種27が含まれていると共に、前記スライドモーション生成装置1に備えられたデータメモリ29に格納されているレーダチャートデータとしての評価点が含まれている。上記評価点としては、例えば成形性を改善項目1(31A)として5段階評価し、同様にして、生産性を改善項目2、加工精度を改善項目3、金型寿命を改善項目4、低騒音を改善項目5として、5段階評価する。そして、各改善項目の評価点を、図5に示すように、レーダチャート33に表示するものである。
【0021】
図5に示すレーダチャート33の場合、改善項目1としての成形性及び改善項目3としての加工精度は、普通(3)であり、改善項目2としての生産性はやや劣(2)である。そして、改善項目4としての金型寿命は劣(1)であり、改善項目5としての低騒音は良(4)である。したがって、作業者は、レーダチャート33における成形性、生産性、加工精度、金型寿命、低騒音の各評価点を参照して所望の加工サンプルプログラム21A、21B、…を選択するものである。
【0022】
したがって、作業者は、製品形状に対応して加工種17A、17B、…を選択し、この選択した加工種17A、17B、…に含まれる加工サンプルプログラム21A、21B、…を選択すると、この選択した加工サンプルプログラム21A、21B、…に対応したスライドモーションのモーション種27が得られると共に、レーダチャート33が表示手段11に表示されるものである。よって、作業者は、レーダチャート33に表示された各改善項目の各評価点を参照して希望にあった加工サンプルプログラム21A、21B、…を選択することができる。
【0023】
上述のように、加工サンプルプログラム21A、21B、…を選択した後、選択した加工サンプルプログラム21A、21B、…を、スライドモーション生成装置1に備えた作業メモリ35にコピーする。この作業メモリ35にコピーした加工サンプルプログラムを表示手段11に表示すると、図6(A)に示すように、スライドモーションとしてのスライド位置線図37、スライド速度線図39及びストローク数41が表示される。また、部品名称、モーション種類(この場合、パルスモーション)が表示されると共に、詳細項目が表示される。
【0024】
上記詳細項目において、加工開始位置は50mm、加工終了位置は50mmに設定してある。ここで、例えばワークの板厚等の変更により加工条件が変化することにより、前記加工開始位置及び加工終了位置に60mmを入力して変更すると、図6(B)に示すように、スライドモーションとしてのスライド位置線図37の加工開始位置及び加工終了位置は共に60mmの位置に変更される。そして、スライドモーションにおける加工開始位置及び加工終了位置が60mmの位置に変更されたことに対応して、スライド速度線図39及びストローク数41が演算手段13により演算され変更されることにより、所望の新たなスライドモーションが生成されることになるものである。
【0025】
この新たなスライドモーションは、前記加工プログラムメモリ23に新たに格納されると共に、新たな製品のプレス加工に供されるものである。
【0026】
以上のごとき説明より理解されるように、新たな製品のプレス加工を行うに際し、例えばワークの板厚等の僅かな加工条件の変化に対応して新たなスライドモーションを生成する場合、表示画面に表示された加工種選択画面(図2参照)から加工種を選択することにより、この選択した加工種に含まれる加工サンプルプログラムの一覧を表示する(図3、4参照)。そして、一覧表示された加工サンプルプログラムにおいて指示(指定)した加工サンプルプログラムにおける複数の改善項目の評価点を表示したレーダチャート(図5参照)を参照して所望の加工サンプルプログラムを選択する。この選択した加工サンプルプログラムのスライドモーションを表示手段に表示し(図6参照)、この表示されたスライドモーションの一部を調整して新たなスライドモーションを生成するものである。
【0027】
したがって、サーボプレスにおけるスライドモーションがどのようなプレス加工の用途に適しているかの知識がない場合であっても、作業者の希望にあった新たなスライドモーションを容易に作成することができるものである。
【符号の説明】
【0028】
1 スライドモーション生成装置
9 入力手段
11 表示手段
13 演算手段
15 加工種メモリ
17A、B、C、… 加工種
19A、B、C、… 製品
21A、B、C、… 加工サンプルプログラム
23 加工プログラムメモリ
29 データメモリ
31A、B、C、… 改善項目
33 レーダチャート
35 作業メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6