(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第三リンク部材と第二リンク部材との連結部は前記第一端部寄りに配置され、前記第三リンク部材と前記支持部材との連結部は前記第二端部寄りに配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の遮蔽蓋開閉装置。
前記遮蔽蓋は、前記ヒンジ部材に回動可能に接続される第一遮蔽蓋と、該第一遮蔽蓋に対して相対移動可能に接続された第二遮蔽蓋と、に分割されている、ことを特徴とする請求項1に記載の遮蔽蓋開閉装置。
前記第二遮蔽蓋は、前記第一遮蔽蓋に回動可能に接続される第四リンク部材と、該第四リンク部材に回動可能に接続された第五リンク部材と、該第五リンク部材及び前記ヒンジ部材に回動可能に接続されるとともに前記船舶に回動可能かつスライド可能に接続された第六リンク部材と、を有することを特徴とする請求項4に記載の遮蔽蓋開閉装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載された遮蔽蓋開閉装置では、遮蔽蓋(ドア)の開閉手段として油圧シリンダを使用しており、遮蔽蓋及びその艤装品の重量を油圧シリンダで支える必要があり、動力源も含めて駆動装置が大型化し易いという問題がある。また、油圧シリンダを使用して蓋を直接開閉する方式では、油圧シリンダの伸縮運動を遮蔽蓋の回転運動に変換していることから、駆動装置の配置が開口部周辺に制約されるという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した問題点に鑑み創案されたものであり、簡易な駆動装置を使用することができるとともに、駆動装置の配置を開口部周辺に制約されないようにすることができる、遮蔽蓋開閉装置及び船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、船舶の側面に形成された開口部と、該開口部を遮蔽する遮蔽蓋と、を有し、該遮蔽蓋を開閉する遮蔽蓋開閉装置において、前記船舶に接続され前記遮蔽蓋を回動可能に支持するヒンジ部材と、前記遮蔽蓋の背面に接続された第一リンク部材と、該第一リンク部材に回動可能に接続された第二リンク部材と、該第二リンク部材に回動可能に接続された第三リンク部材と、前記船舶に接続され前記第三リンク部材を回動可能に支持する支持部材と、
前記第三リンク部材を水平にした状態で前記側面に近接した側
に位置する前記第三リンク部材の第一端部又は
前記第三リンク部材を水平にした状態で前記側面から離隔した側
に位置する前記第三リンク部材の第二端部を牽引可能な牽引手段と、を有し、前記第一端部を前記牽引手段により牽引することによって前記遮蔽蓋を閉状態と
し、前記第二端部を前記牽引手段により牽引することによって前記遮蔽蓋を開状態とする、ことを特徴とする遮蔽蓋開閉装置が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、側面に形成された開口部と、該開口部を遮蔽する遮蔽蓋と、該遮蔽蓋を開閉する遮蔽蓋開閉装置と、を有する船舶において、前記遮蔽蓋開閉装置は、前記船舶に接続され前記遮蔽蓋を回動可能に支持するヒンジ部材と、前記遮蔽蓋の背面に接続された第一リンク部材と、該第一リンク部材に回動可能に接続された第二リンク部材と、該第二リンク部材に回動可能に接続された第三リンク部材と、前記船舶に接続され前記第三リンク部材を回動可能に支持する支持部材と、
前記第三リンク部材を水平にした状態で前記側面に近接した側
に位置する前記第三リンク部材の第一端部又は
前記第三リンク部材を水平にした状態で前記側面から離隔した側
に位置する前記第三リンク部材の第二端部を牽引可能な牽引手段と、を有し、前記第一端部を前記牽引手段により牽引することによって前記遮蔽蓋を閉状態と
し、前記第二端部を前記牽引手段により牽引することによって前記遮蔽蓋を開状態とする、ことを特徴とする船舶が提供される。
【0010】
上述した遮蔽蓋開閉装置及び船舶において、前記牽引手段は、前記第一端部若しくは前記第二端部に係止可能なフック部を有していてもよいし、前記第一端部及び前記第二端部を繋ぐ溝部に沿って移動可能に配置されたスライダ部を有していてもよ
い。
【0011】
また、前記第三リンク部材と第二リンク部材との連結部は前記第一端部寄りに配置され、前記第三リンク部材と前記支持部材との連結部は前記第二端部寄りに配置されていてもよい。
また、前記遮蔽蓋は、前記ヒンジ部材に回動可能に接続される第一遮蔽蓋と、該第一遮蔽蓋に対して相対移動可能に接続された第二遮蔽蓋と、に分割されていてもよい。さらに、前記第二遮蔽蓋は、前記第一遮蔽蓋に回動可能に接続される第四リンク部材と、該第四リンク部材に回動可能に接続された第五リンク部材と、該第五リンク部材及び前記ヒンジ部材に回動可能に接続されるとともに前記船舶に回動可能かつスライド可能に接続された第六リンク部材と、を有していてもよい。
【0012】
また、本発明によれば、船舶の側面に形成された開口部と、該開口部を遮蔽する遮蔽蓋と、を有し、該遮蔽蓋を開閉する遮蔽蓋開閉装置において、前記船舶に接続され前記遮蔽蓋を回動可能に支持するヒンジ部材と、前記遮蔽蓋の背面に接続された第一リンク部材と、該第一リンク部材に回動可能に接続された第二リンク部材と、該第二リンク部材に回動可能に接続された第三リンク部材と、前記船舶に接続され前記第三リンク部材を回動可能に支持する支持部材と、前記第三リンク部材を水平にした状態で前記側面に近接した側に位置する第一端部に接続された負荷手段と、を有し、前記負荷手段を下方に移動させることにより前記第一端部を下方に移動させることによって前記遮蔽蓋を開状態とし、前記負荷手段を上方に移動させることにより前記第一端部を上方に移動させることによって前記遮蔽蓋を閉状態とする、ことを特徴とする遮蔽蓋開閉装置が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、側面に形成された開口部と、該開口部を遮蔽する遮蔽蓋と、該遮蔽蓋を開閉する遮蔽蓋開閉装置と、を有する船舶において、前記遮蔽蓋開閉装置は、前記船舶に接続され前記遮蔽蓋を回動可能に支持するヒンジ部材と、前記遮蔽蓋の背面に接続された第一リンク部材と、該第一リンク部材に回動可能に接続された第二リンク部材と、該第二リンク部材に回動可能に接続された第三リンク部材と、前記船舶に接続され前記第三リンク部材を回動可能に支持する支持部材と、前記第三リンク部材を水平にした状態で前記側面に近接した側に位置する第一端部に接続された負荷手段と、を有し、前記負荷手段を下方に移動させることにより前記第一端部を下方に移動させることによって前記遮蔽蓋を開状態とし、前記負荷手段を上方に移動させることにより前記第一端部を上方に移動させることによって前記遮蔽蓋を閉状態とする、ことを特徴とする船舶が提供される。
【発明の効果】
【0014】
上述した本発明に係る遮蔽蓋開閉装置及び船舶によれば、リンク機構及び牽引手段を利用することにより、簡易な駆動装置を使用することができるとともに、駆動装置の配置を開口部周辺に制約されないようにすることができる。また、遮蔽蓋を開閉可能に構成したことにより、開口部を遮蔽することができ、海水、風雨、砂塵等の侵入を抑制することができ、ステルス性能を向上させることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について
図1〜
図6を用いて説明する。ここで、
図1は、本発明の第一実施形態に係る遮蔽蓋開閉装置を示す全体構成図である。
図2は、
図1に示した遮蔽蓋開閉装置の動作を示す図であり、(a)は閉状態、(b)は中間状態、(c)は開状態、を示している。
【0017】
本発明の第一実施形態に係る遮蔽蓋開閉装置1は、
図1及び
図2に示したように、船舶10の側面10aに形成された開口部2と、開口部2を遮蔽する遮蔽蓋3と、を有し、遮蔽蓋3を開閉する遮蔽蓋開閉装置であって、船舶10に接続され遮蔽蓋3を回動可能に支持するヒンジ部材4と、遮蔽蓋3の背面に接続された第一リンク部材11と、第一リンク部材11に回動可能に接続された第二リンク部材12と、第二リンク部材12に回動可能に接続された第三リンク部材13と、船舶10に接続され第三リンク部材13を回動可能に支持する支持部材5と、第三リンク部材13の側面10aに近接した側の第一端部13a又は側面10aから離隔した側の第二端部13bを牽引可能な牽引手段6と、を有し、第一端部13aを牽引手段6により牽引することによって遮蔽蓋3を閉状態とし、第二端部13bを牽引手段6により牽引することによって遮蔽蓋3を開状態とするように構成されている。
【0018】
前記船舶10の側面10aは、右舷又は左舷の船体外板により構成されており、例えば、水面側(下方側)に向かって傾斜した状態を有している。開口部2は、船舶10の側面10aの一部に形成されており、開口部2の内部には、例えば、係留索を案内するフェアリーダ10bが配置されている。フェアリーダ10bの替わりに、ムアリングパイプ、ボラード、ウインチ、クレーン等が配置されていてもよい。遮蔽蓋3は、開口部2の外側に開閉するドア又は扉であって、閉状態のときには外周に配置された弾性体(ゴム製ダンパ)によって水密状態が保持されるように構成されている。
【0019】
図1において、遮蔽蓋開閉装置1の構造を理解し易くするために、ヒンジ部材4を一点鎖線で表示し、第一リンク部材11を実線で表示するとともに塗り潰して表示し、第二リンク部材12を二点鎖線で表示し、第三リンク部材13及び支持部材5を実線で表示している。
【0020】
ヒンジ部材4は、遮蔽蓋3を船舶10に回動可能に固定する部品である。具体的には、ヒンジ部材4は、一端が遮蔽蓋3の背面に接続され、他端が船舶10に固定された支点P1に接続された略U字形状を有する部材により構成される。このように凹み部分を有する部材によりヒンジ部材4を構成することにより、船舶10の側面10aの内側に配置された支点P1に対して遮蔽蓋3を回動させた場合に、ヒンジ部材4が遮蔽蓋3の回動を阻害しないようにすることができる。
【0021】
第一リンク部材11は、遮蔽蓋3に回動するための動力を伝達するための部品である。具体的には、第一リンク部材11は、一端が遮蔽蓋3の背面に接続され、他端が第二リンク部材12に接続された略L字形状又は略円弧形状を有する部材により構成される。図示した第一リンク部材11の形状は、単なる一例であり、側面10aの角度、遮蔽蓋3の開閉角度、支持部材5や第三リンク部材13の配置位置等の条件によって任意に設定されるものであり、図示した形状に限定されるものではない。なお、ヒンジ部材4と第一リンク部材11とは、互いに干渉しない位置に配置されている。
【0022】
第二リンク部材12は、第三リンク部材13の移動を第一リンク部材11に伝達するための部品である。具体的には、第二リンク部材12は、一端が第一リンク部材11の端部にピン結合され、他端が第三リンク部材13にピン結合された略I字形状を有する部材により構成される。図示した第二リンク部材12の形状は、単なる一例であり、第一リンク部材11の形状、支持部材5や第三リンク部材13の配置位置等の条件によって任意に設定されるものであり、図示した形状に限定されるものではない。
【0023】
第三リンク部材13は、遮蔽蓋3に回動するための動力を付与するための部品である。かかる第三リンク部材13を回動させることによって、第二リンク部材12及び第一リンク部材11を介して遮蔽蓋3に動力を伝達する。第三リンク部材13は、例えば、細長い略平板形状を有しており、側面10aに近接した側の第一端部13a及び側面10aから離隔した側の第二端部13bを有している。
【0024】
また、第三リンク部材13は、第一端部13aに形成された溝形状の第一係止部131と、第二端部13bに形成された溝形状の第二係止部132と、第一係止部131及び第二係止部132を繋ぐ溝部133と、を有している。第一係止部131及び第二係止部132と溝部133とは、例えば、90度以下の角度で接続されており、溝部133は、第一係止部131と第二係止部132との間を連通する溝を形成する。かかる第一係止部131、第二係止部132及び溝部133には、後述する牽引手段6の先端部62が移動可能に接続される。
【0025】
支持部材5は、第三リンク部材13を支持する部品である。具体的には、支持部材5は、一端が船舶10の内面に接続され、他端が第三リンク部材13にピン結合された略平板形状を有する部材により構成される。かかる支持部材5を配置することにより、第三リンク部材13は支点P2を中心に回動可能に構成される。また、第三リンク部材13と第二リンク部材12との連結部は第一端部13a寄りに配置され、第三リンク部材13と支持部材5との連結部は第二端部13b寄りに配置されている。かかる構成により、第三リンク部材13の第一端部13a側を上下させることによって、第三リンク部材13を支点P2中心に容易に回動させることができる。
【0026】
牽引手段6は、第三リンク部材13を上下方向に牽引する装置である。具体的には、牽引手段6は、例えば、チェーンブロックにより構成される。牽引手段6(チェーンブロック)は、例えば、船体に固定されるチェーンブロック本体61と、第三リンク部材13に接続される先端部62と、チェーンブロック本体61に掛け回されるとともに先端部62に接続されたチェーン63と、チェーン63の他端に接続された操作部64と、を有する。
【0027】
先端部62は、第三リンク部材13の第一端部13a(第一係止部131)及び第二端部13b(第二係止部132)を繋ぐ溝部133に沿って移動可能に配置されたスライダ部を構成している。したがって、牽引手段6の先端部62は、第一係止部131、溝部133及び第二係止部132により構成される溝部に沿って移動可能に構成される。
【0028】
操作部64は、チェーン63の巻き取り及び巻き戻しを電動又はエア駆動により行うためのスイッチを有する部品であってもよいし、チェーン63の巻き取り及び巻き戻しを手動で行うことができるように構成されていてもよい。なお、牽引手段6は、チェーンブロックに限定されるものではなく、第三リンク部材13を上下方向に牽引可能な装置であれば他の装置であってもよい。
【0029】
ここで、上述した遮蔽蓋開閉装置1の動作について、
図2を参照しつつ説明する。なお、
図2(a)〜(c)の各図において、説明を理解し易くするために、ヒンジ部材4の図を省略してある。
【0030】
図2(a)に示した遮蔽蓋3の閉状態において、牽引手段6は、チェーン63を巻き取った状態、すなわち、先端部62を上方に牽引した状態に保持されている。先端部62は、第三リンク部材13の第一係止部131に係止されていることから、第三リンク部材13は、支点P2を中心に回動し、第一端部13a側が上方に持ち上げられた状態に保持されている。第三リンク部材13の第一端部13aが上方に牽引されることによって、第二リンク部材12が上方に持ち上げられる。第二リンク部材12が上方に牽引されることによって、第一リンク部材11は支点P1を中心に上方に向かって回動する。遮蔽蓋3は第一リンク部材11に固定されていることから、遮蔽蓋3も支点P1を中心に上方に向かって回動し、閉状態が保持される。
【0031】
遮蔽蓋3を開放するには、牽引手段6のチェーン63を巻き戻して弛め、第三リンク部材13に牽引力を付与しないニュートラル状態にする必要がある。ニュートラル状態にすると、遮蔽蓋3は、自重により支点P1を中心に下方に向かって回動し、開口部2から離隔する。この中間状態を
図2(b)に図示している。遮蔽蓋3の回動によって、第一リンク部材11も支点P1を中心に下方に向かって回動し、第二リンク部材12を下方に引っ張ることとなる。その結果、第三リンク部材13の第一端部13aが下方に引っ張られ、第三リンク部材13の第一端部13aは、支点P2を中心に下方に向かって回動する。このとき、牽引手段6の先端部62は、第三リンク部材13の第一係止部131から第二係止部132に向かって溝部133に沿って移動する。
【0032】
図2(c)に示した開状態において、牽引手段6は、先端部62が第二係止部132に係止されているとともに、チェーン63を巻き取った状態、すなわち、先端部62を上方に牽引した状態に保持されている。先端部62は、第三リンク部材13の第二係止部132に係止されていることから、第三リンク部材13は、支点P2を中心に回動し、第二端部13b側が上方に持ち上げられた状態、すなわち、第一端部13a側が下方に押し下げられた状態に保持されている。したがって、第三リンク部材13の第二端部13bが上方に牽引されることによって、第二リンク部材12が下方に押し下げられる。第二リンク部材12が下方に押し下げられることによって、第一リンク部材11は支点P1を中心に下方に向かってさらに回動する。遮蔽蓋3は第一リンク部材11に固定されていることから、遮蔽蓋3も支点P1を中心にさらに下方に向かって回動され、図示したような開状態が保持される。
【0033】
図2(c)では、遮蔽蓋3を側面10aに対して略90度の開閉角度を有する状態を図示しているが、第三リンク部材13の第二端部13bをさらに上方に牽引することにより、さらに遮蔽蓋3の開閉角度を大きくすることができ、リンク機構の構成によっては、遮蔽蓋3の表面が側面10aに近接する状態まで遮蔽蓋3を開放させることができる。
【0034】
上述した第一実施形態に係る遮蔽蓋開閉装置1によれば、リンク機構(ヒンジ部材4、第一リンク部材11、第二リンク部材12、第三リンク部材13及び支持部材5)及び牽引手段6を利用することにより、開口部2の周辺に制約されずに、開口部2から離れた位置に簡易な駆動装置を装備することができる。また、遮蔽蓋3を開閉可能に構成したことにより、開口部2を遮蔽することができ、海水、風雨、砂塵等の侵入を抑制することができ、ステルス性能を向上させることもできる。
【0035】
次に、本発明の他の実施形態に係る遮蔽蓋開閉装置1について、
図3〜
図5を参照しつつ説明する。ここで、
図3は、本発明の第二実施形態に係る遮蔽蓋開閉装置の動作を示す図であり、(a)は閉状態、(b)は中間状態、(c)は開状態、を示している。
図4は、本発明の第三実施形態に係る遮蔽蓋開閉装置の動作を示す図であり、(a)は中間状態、(b)は開状態、を示している。
図5は、本発明の第四実施形態に係る遮蔽蓋開閉装置を示す全体構成図である。なお、
図1に示した第一実施形態に係る遮蔽蓋開閉装置1と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。また、
図4の各図において、説明の便宜上、牽引手段6の一部(チェーンブロック本体61、チェーン63等)を省略している。
【0036】
図3に示した本発明の第二実施形態に係る遮蔽蓋開閉装置1は、第三リンク部材13の第一係止部131及び第二係止部132が開口部により構成されており、かかる開口部に牽引手段6の先端部62を係止させるようにしたものである。具体的には、牽引手段6は、第一端部13a(第一係止部131)又は第二端部13b(第二係止部132)に係止可能なフック部(先端部62)を有している。
【0037】
図3(a)に示した遮蔽蓋3の閉状態では、牽引手段6によって第三リンク部材13の第一端部13a側が上方に牽引されており、その結果、第二リンク部材12及び第一リンク部材11を介して、遮蔽蓋3が開口部2に押し付けられて閉状態が保持されている。
【0038】
図3(b)に示した中間状態では、牽引手段6のチェーン63を巻き戻して弛め、第三リンク部材13に牽引力を付与しないニュートラル状態を作っている。ニュートラル状態にすると、遮蔽蓋3は、自重により支点P1を中心に下方に向かって回動し、開口部2から離隔する。そして、牽引手段6の先端部62は、第三リンク部材13の第一係止部131から取り外され、第二係止部132に係止される。
【0039】
図3(c)に示した遮蔽蓋3の開状態では、牽引手段6によって第三リンク部材13の第二端部13b側が上方に牽引されており、その結果、第二リンク部材12及び第一リンク部材11を介して、遮蔽蓋3が開口部2から離隔した開状態が保持されている。このように、牽引手段6の先端部62を遮蔽蓋3の開閉途中で付け替えることによっても、第一実施形態に係る遮蔽蓋開閉装置1と同様の効果を奏する。
【0040】
図4に示した第三実施形態に係る遮蔽蓋開閉装置1は、遮蔽蓋3が、ヒンジ部材4に回動可能に接続される第一遮蔽蓋31と、第一遮蔽蓋31に対して相対移動可能に接続された第二遮蔽蓋32と、に分割されているものである。ここで、ヒンジ部材4及び第一リンク部材11は第一遮蔽蓋31に接続されており、第一遮蔽蓋31を開閉させる機構については、上述した第一実施形態に係る遮蔽蓋開閉装置1と実質的に同じである。
【0041】
一方、第二遮蔽蓋32は、第一遮蔽蓋31に回動可能に接続される第四リンク部材14と、第四リンク部材14に回動可能に接続された第五リンク部材15と、第五リンク部材15及びヒンジ部材4に回動可能に接続されるとともに船舶10に回動可能かつスライド可能に接続された第六リンク部材16と、を有する。なお、
図4では、遮蔽蓋開閉装置1の構造を理解し易くするために、ヒンジ部材4、第三リンク部材13及び第四リンク部材14を実線で表示し、第一リンク部材11を短破線で表示するとともに塗り潰して表示し、第二リンク部材12を二点鎖線で表示し、第五リンク部材15を長破線で表示し、第六リンク部材16を一点鎖線で表示している。
【0042】
第四リンク部材14は、第一遮蔽蓋31の背面に形成される支点P3を中心に第二遮蔽蓋32を回動させる部品である。具体的には、第四リンク部材14は、一端が第二遮蔽蓋32の背面に接続され、他端が第一遮蔽蓋31に回動可能に接続される略三角形状を有する部材により構成される。かかる第四リンク部材14によって、第二遮蔽蓋32は支点P3を中心に回動し、第一遮蔽蓋31に対して相対移動することとなる。なお、図示した第四リンク部材14は、単なる一例であり、図示した形状に限定されるものではない。
【0043】
第五リンク部材15は、第六リンク部材16の移動を第四リンク部材14に伝達するための部品である。具体的には、第五リンク部材15は、一端が第四リンク部材14の端部にピン結合され、他端が第六リンク部材16にピン結合された略I字形状を有する部材により構成される。なお、図示した第五リンク部材15は、単なる一例であり、図示した形状に限定されるものではない。
【0044】
第六リンク部材16は、ヒンジ部材4の回動を第二遮蔽蓋32に伝達するための部品である。具体的には、第六リンク部材16は、中間部がヒンジ部材4にピン結合(支点P4)されており、一端が第五リンク部材15の端部にピン結合され、他端が船舶10に配置されたピン10cに係止される長孔161を有している。長孔161をピン10cに係止することによって、第六リンク部材16を船舶10(ピン10c)に対して回動可能かつスライド可能に拘束することができる。
【0045】
図4(a)に示したように、牽引手段6を弛めてニュートラル状態にしたとき、第一遮蔽蓋31及び第二遮蔽蓋32は、自重により下方に垂れ下がることとなり、開口部2から離隔する。ヒンジ部材4が下方に回動すると、ヒンジ部材4にピン結合された第六リンク部材16も一緒に回動することとなる。さらに、第六リンク部材16は、ピン10cに拘束されていることから、長孔161に沿って第六リンク部材16が移動することによって、ヒンジ部材4に対して相対移動することとなり、支点P4を中心に下方に向かって回動することとなる。かかる第六リンク部材16の回動によって、第五リンク部材15が下方に向かって移動し、第四リンク部材14を支点P3中心に下方に向かって回動させることとなる。その結果、図示したように、第二遮蔽蓋32は、第一遮蔽蓋31よりも回動した状態に保持される。
【0046】
図4(b)に示したように、牽引手段6の先端部62を第三リンク部材13の第二係止部132に係止させて上方に牽引することにより、第一遮蔽蓋31及び第二遮蔽蓋32をさらに回動させることができ、遮蔽蓋3が開放される。このとき、第一遮蔽蓋31の動作は、上述した第一実施形態に係る遮蔽蓋3と実質的に同じである。
【0047】
一方、第二遮蔽蓋32は、ヒンジ部材4が下方に回動されると、ヒンジ部材4にピン結合された第六リンク部材16も一緒に回動される。さらに、第六リンク部材16は、ピン10cに拘束されていることから、長孔161に沿って第六リンク部材16が移動することによって、ヒンジ部材4に対して相対移動することとなり、支点P4を中心に下方に向かってさらに回動することとなる。かかる第六リンク部材16の回動によって、第五リンク部材15が移動し、第四リンク部材14を支点P3中心にさらに回動させることとなる。その結果、図示したように、第二遮蔽蓋32は、第一遮蔽蓋31よりも回動した状態に保持される。
【0048】
このように遮蔽蓋3を第一遮蔽蓋31及び第二遮蔽蓋32に分割することにより、一枚の遮蔽蓋3の開放位置よりも、第二遮蔽蓋32を上方にΔhだけ余分に開放することができ、少ない牽引操作でより大きく遮蔽蓋3を開放させることができる。また、遮蔽蓋3を大きく開放することによって、開口部2から出し入れされる係留索等と遮蔽蓋3との接触を抑制することができる。
【0049】
図5に記載した第四実施形態に係る遮蔽蓋開閉装置1は、牽引手段6が、第三リンク部材13の第一端部13aに接続されるとともに第一端部13aを下方に牽引可能な負荷手段65を有するものである。かかる負荷手段65は、例えば、自重によって第三リンク部材13の第一端部13aを下方に移動させる錘(
図5参照)や付勢力によって第三リンク部材13の第一端部13aを下方に移動させるバネ部材(図示せず)により構成される。負荷手段65を利用することにより、牽引手段6のチェーン63を巻き戻して弛めることによって、第三リンク部材13の第一端部13a側を遮蔽蓋3の自重によって下方に向かって回動させることができるとともに、負荷手段65の自重によりさらに遮蔽蓋3を回動させることができる。すなわち、負荷手段65は、牽引手段6によって第三リンク部材13の第二端部13bを上方に牽引する牽引力を代替するものである。かかる構成によっても遮蔽蓋3を開閉することができる。なお、
図5に示した遮蔽蓋3は、第三実施形態に係る第一遮蔽蓋31及び第二遮蔽蓋32を有する分割式の遮蔽蓋3であるが、第一実施形態に係る一枚式の遮蔽蓋3により構成してもよい。
【0050】
次に、本発明の実施形態に係る船舶10について、
図6を参照しつつ説明する。ここで、
図6は、本発明の実施形態に係る船舶を示す図であり、(a)は船舶の概略側面図、(b)は開口部の裏面図、(c)は船舶の係船状態を示す概略構成図、である。
【0051】
図6(a)に示した船舶10は、側面10aに形成された開口部2と、開口部2を遮蔽する遮蔽蓋3と、遮蔽蓋3を開閉する遮蔽蓋開閉装置1(
図1等参照)と、を有するものである。そして、遮蔽蓋3の内側の船内には、遮蔽蓋開閉装置1が配置されており、かかる遮蔽蓋開閉装置1は、上述した第一実施形態〜第四実施形態に係る遮蔽蓋開閉装置1のいずれかにより構成されている。なお、
図6(b)には、第一実施形態に係る遮蔽蓋開閉装置1を適用した場合を図示している。
【0052】
図6(a)及び(b)に示したように、開口部2及び遮蔽蓋3は、例えば、横長の矩形形状に構成されており、開口部2の内部(船内)には、
図6(b)において破線で示したように、例えば、複数のフェアリーダ10bが配置されている。
【0053】
そして、遮蔽蓋3の背面(船内側の面)には、複数のヒンジ部材4が船体に回動可能に配置されている。ヒンジ部材4の個数は、遮蔽蓋3の大きさや重量によって任意に設定されるものであり、少なくとも一つ以上、好ましくは二つ以上であればよい。また、遮蔽蓋3の横幅方向の略中央部には、第一リンク部材11が接続されている。第一リンク部材11は、遮蔽蓋3の大きさや重量によって複数個所に配置するようにしてもよい。この場合、第一リンク部材11〜第三リンク部材13を有するリンク機構もセットで配置されることになるため、牽引手段6を同期させて第三リンク部材13を回動させるようにした方がよい。
【0054】
また、船舶10は、閉鎖した遮蔽蓋3の位置を固定するロック手段10dを有していてもよい。かかるロック手段10dにより、遮蔽蓋3の位置を固定することによって、牽引手段6による牽引状態を解除することができ、牽引手段6を含む遮蔽蓋開閉装置1に生じるストレスを解消することができ、遮蔽蓋開閉装置1の疲労の蓄積を抑制することができる。
【0055】
図6(c)は、船舶10を岸壁20に係留した状態を示している。岸壁20には、海沿いに複数のボラード20aが立設されている。ボラード20aには、船舶10から延出される係留索10eが固定される。係留索10eは、船舶10に配置されたウインチ10fにより巻き戻されながら、フェアリーダ10bを介して、遮蔽蓋3が開放された開口部2から岸壁20に向かって繰り出され、ボラード20aに固定される。かかる係留索10eは、ボラード20aを経由して船舶10に配置されたムアリングパイプ(図示せず)を介して船舶10に配置されたボラード(図示せず)に接続されてもよい。また、岸壁20から延出される係留索を船舶10に配置されたムアリングパイプ(図示せず)を介して船舶10に配置されたボラード(図示せず)に接続するようにしてもよい。船舶10と岸壁20との間には、適宜、緩衝材20bが配置される。なお、
図6(c)は甲板を透視した状態を図示しており、上述した係留索10eは、
図6(a)及び(b)に示した開口部2から船外に繰り出されるように構成されており、フェアリーダ10bやウインチ10fは船内に配置されている。
【0056】
上述した開口部2を係留索10eの挿通口として利用する方法は、開口部2の利用方法の単なる一例であり、例えば、開口部2は救命艇や貨物の挿通口として利用することもできる。また、遮蔽蓋3の背面や開口部2の船内には、救命艇や貨物を収容するためのウインチやクレーン等が配置されていてもよい。
【0057】
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。