特許第6040011号(P6040011)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホリー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6040011-ソーラーパネル用架台 図000002
  • 特許6040011-ソーラーパネル用架台 図000003
  • 特許6040011-ソーラーパネル用架台 図000004
  • 特許6040011-ソーラーパネル用架台 図000005
  • 特許6040011-ソーラーパネル用架台 図000006
  • 特許6040011-ソーラーパネル用架台 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040011
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】ソーラーパネル用架台
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/30 20140101AFI20161128BHJP
   H02S 20/10 20140101ALI20161128BHJP
【FI】
   H02S20/30 A
   H02S20/30 B
   H02S20/30 E
   H02S20/10 C
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-255847(P2012-255847)
(22)【出願日】2012年11月22日
(65)【公開番号】特開2014-101730(P2014-101730A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】504288535
【氏名又は名称】ホリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】高宮 章好
(72)【発明者】
【氏名】立花 秀男
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−069929(JP,A)
【文献】 特開2012−049174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 20/10
H02S 20/30
H01L 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向が水平方向に対し傾斜していて、ソーラーパネルが配置される下地フレームと、前後方向における本数が複数本であって、それぞれが前記下地フレームを頭部で支持し、この頭部を地上に残して地盤の内部に侵入している基礎杭と、を含んで構成されるソーラーパネル用架台において、
前記基礎杭の頭部に、左右方向を軸方向とする中心軸を中心に揺動自在となっている揺動部材が設けられ、この揺動部材を介して前記基礎杭の頭部に前記下地フレームが連結されており、
前記下地フレームが前記揺動部材に左右方向に位置調整可能に連結されていることを特徴とするソーラーパネル用架台。
【請求項2】
請求項1に記載のソーラーパネル用架台において、前記下地フレームは、左右方向が長さ方向となっている大引き部材と、この大引き部材の上に配置され、前後方向が長さ方向となっている根太部材とを含んで構成され、前記大引き部材が前記揺動部材に左右方向に位置調整可能に連結されていることを特徴とするソーラーパネル用架台。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のソーラーパネル用架台において、前記基礎杭の頭部に対する前記揺動部材の位置が上下方向に調整可能となっていることを特徴とするソーラーパネル用架台。
【請求項4】
請求項3に記載のソーラーパネル用架台において、前記基礎杭の頭部と前記揺動部材との間に、前記揺動部材が連結された中間部材が介設され、この中間部材が前記基礎杭の頭部に上下方向に位置調整可能に配置されていることにより、前記基礎杭の頭部に対する前記揺動部材の位置が上下方向に調整可能となっていることを特徴とするソーラーパネル用架台。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のソーラーパネル用架台において、前記基礎杭の頭部に対する前記揺動部材の位置が前後方向に調整可能となっていることを特徴とするソーラーパネル用架台。
【請求項6】
請求項5に記載のソーラーパネル用架台において、前記基礎杭の頭部と前記揺動部材との間に、前記揺動部材が連結された中間部材が介設され、前記揺動部材が前記中間部材に前後方向に位置調整可能に配置されていることにより、前記基礎杭の頭部に対する前記揺動部材の位置が前後方向に調整可能となっていることを特徴とするソーラーパネル用架台。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のソーラーパネル用架台において、前記基礎杭の頭部と前記揺動部材との間に、前記揺動部材が連結された中間部材が介設され、この中間部材が前記基礎杭の頭部に上下方向に位置調整可能に配置されているとともに、前記揺動部材が前記中間部材に前後方向に位置調整可能に配置されていることを特徴とするソーラーパネル用架台。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電のためのソーラーパネルを地盤上に設置するためのソーラーパネル用架台に係り、例えば、大規模発電のためのメガソーラーシステムに利用することができるものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光で発電するソーラーパネルを地盤上に設置するためには、下記の特許文献1に示されているように、ソーラーパネルをソーラーパネル用架台に取り付けることが行われる。特許文献1のソーラーパネル用架台は、前後方向が水平方向に対し傾斜していて、ソーラーパネルが配置される下地フレームと、前後方向における本数が2本であって、それぞれが下地フレームを頭部で支持し、この頭部を地上に残して地盤の内部に侵入している基礎杭と、を含んで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−69929号公報(0026段落及び0027段落、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
頭部を地上に残して地盤の内部に基礎杭を侵入させることは、杭打ち機等の装置で基礎杭を地盤の内部に打ち込むことにより行われ、この地盤の地表面が不整地であったり不陸となっている場合には、基礎杭を本来の鉛直姿勢で正確に打ち込むことが難しく、基礎杭が前後方向に傾いた姿勢となって地盤の内部に打ち込まれることがある。このため、基礎杭がこのように前後方向に傾いた姿勢となっても、下地フレームを水平方向に対して所定の傾斜角度によりそれぞれの基礎杭の頭部で支持できるようにするための有効な工夫が求められる。
【0005】
本発明の目的は、頭部を地上に残して地盤の内部に侵入している基礎杭が前後方向に傾いた姿勢となっていても、下地フレームを水平方向に対して所定の傾斜角度で支持することができるソーラーパネル用架台を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るソーラーパネル用架台は、前後方向が水平方向に対し傾斜していて、ソーラーパネルが配置される下地フレームと、前後方向における本数が複数本であって、それぞれが前記下地フレームを頭部で支持し、この頭部を地上に残して地盤の内部に侵入している基礎杭と、を含んで構成されるソーラーパネル用架台において、前記基礎杭の頭部に、左右方向を軸方向とする中心軸を中心に揺動自在となっている揺動部材が設けられ、この揺動部材を介して前記基礎杭の頭部に前記下地フレームが連結されていることを特徴とするものである。
【0007】
このソーラーパネル用架台では、基礎杭の頭部に、左右方向を軸方向とする中心軸を中心に揺動自在となっている揺動部材が設けられ、この揺動部材を介して基礎杭の頭部に下地フレームが連結されているため、頭部を地上に残して地盤の内部に侵入している複数本の基礎杭のうちに、鉛直姿勢に対して前後方向に傾いた姿勢となっている基礎杭がある場合には、その基礎杭に設けられている揺動部材を中心軸を中心に揺動させることにより、基礎杭の傾き姿勢を揺動部材で修正して基礎杭の頭部で下地フレームを支持できることになり、このため、この下地フレームの前後方向を水平方向に対して所定の傾斜角度にすることができる。
【0008】
以上の本発明において、基礎杭の頭部に対する揺動部材の位置を上下方向に調整可能とすることが好ましい。
【0009】
これによると、前後方向に傾いた姿勢となっている基礎杭がある場合に、上述のようにこの基礎杭の傾き姿勢を揺動部材の揺動により修正したときに、揺動部材の高さ位置が変化しても、この高さ位置の変化を、基礎杭の頭部に対する揺動部材の位置を上下方向に調整することによって打ち消すことができ、また、地盤の内部への基礎杭の侵入深さ(基礎杭の打ち込み深さ)に誤差があっても、この誤差を、基礎杭の頭部に対する揺動部材の位置を上下方向に調整することによって解消することができる。
【0010】
このように基礎杭の頭部に対する揺動部材の位置を上下方向に調整可能とすることは、各種の構造で実施でき、その一例は、基礎杭の頭部と揺動部材との間に、揺動部材が連結された中間部材を介設し、この中間部材を基礎杭の頭部に上下方向に位置調整可能に配置することにより、基礎杭の頭部に対する揺動部材の位置を上下方向に調整可能とすることである。また、他の例は、基礎杭の頭部に揺動部材を直接的に上下方向移動可能に連結することである。
【0011】
また、基礎杭の頭部に対する揺動部材の位置を前後方向に調整可能とすることが好ましい。
【0012】
これによると、複数本の基礎杭のうちに、地盤の内部への侵入位置(打ち込み位置)に前後方向の誤差が生じている基礎杭があっても、この誤差を、基礎杭の頭部に対する揺動部材の位置を前後方向に調整することによって解消することができる。
【0013】
このように基礎杭の頭部に対する揺動部材の位置を前後方向に調整可能とすることも、各種の構造で実施でき、その一例は、基礎杭の頭部と揺動部材との間に、揺動部材が連結された中間部材を介設し、揺動部材をこの中間部材に前後方向に位置調整可能に配置することにより、基礎杭の頭部に対する揺動部材の位置を前後方向に調整可能とすることである。また、他の例は、基礎杭の頭部に揺動部材を直接的に前後方向移動可能に連結することである。
【0014】
また、本発明において、基礎杭の頭部と揺動部材との間に、揺動部材が連結された中間部材を介設し、この中間部材を基礎杭の頭部に上下方向に位置調整可能に配置するとともに、揺動部材を中間部材に前後方向に位置調整可能に配置してもよい。
【0015】
これによると、基礎杭の頭部における中間部材の高さ位置を変化させることにより、基礎杭の頭部における揺動部材の高さ位置を調整することができるとともに、中間部材における揺動部材の前後位置を変化させることにより、基礎杭の頭部における揺動部材の前後位置を調整することができる。
【0016】
また、本発明において、下地フレームを揺動部材に左右方向に位置調整可能に連結することが好ましい。
【0017】
これによると、複数本の基礎杭のうちに、地盤の内部への侵入位置に左右方向の誤差が生じている基礎杭があっても、この誤差を、下地フレームの揺動部材に対する連結位置を左右方向に変化させることによって解消することができる。
【0018】
このように下地フレームを揺動部材に左右方向に位置調整可能に連結することは、各種の構造で実施でき、その一例は、下地フレームが、左右方向が長さ方向となっている大引き部材と、この大引き部材の上に配置され、前後方向が長さ方向となっている根太部材とを含んで構成されている場合には、大引き部材を揺動部材に左右方向に位置調整可能に連結することである。
【0019】
また、本発明は、下地フレームが、前後方向が長さ方向となっている大引き部材と、この大引き部材の上に配置され、左右方向が長さ方向となっている根太部材とを含んで構成されている場合にも適用することができる。
【0020】
以上説明した本発明において、下地フレームが水平方向に対し傾斜している前後方向に複数本が配置される基礎杭は、任意の材料によって形成されたものでよく、この基礎杭は、角型鋼管や丸型鋼管によるものでもよく、あるいは、溝型鋼、H型鋼、I型鋼、L型鋼、Z型鋼によるものでもよい。
【0021】
また、下地フレームが水平方向に対し傾斜している前後方向に配置される基礎杭の本数は、2本でもよく、3本以上でもよい。
【0022】
さらに、基礎杭の頭部に前述した中間部材を設ける場合や設けない場合において、基礎杭の頭部に上方へ延びる長さを有する連結部材を連結し、この連結部材の上下長さにより、地表面から上方へ突出する基礎杭の頭部の突出長さを短くても、地表面から充分離れた位置で下地フレームを基礎杭の頭部で支持するようにしてもよい。
【0023】
また、地盤の内部に侵入する基礎杭の先部の形状を、水平方向の幅寸法が下向きに次第に小さくなる先細り形状としてもよい。これによると、地盤の内部へ基礎杭を打ち込むときに、地盤からの抵抗力を小さくできる。
【0024】
さらに、基礎杭の全長のうち、地盤の内部に侵入する部分に、この地盤からの基礎杭の抜け出しに対する抵抗力を生じさせるための抜け出し抵抗力発生部を設けてもよい。これによると、例えば、水平方向に対し傾斜して下地フレームに配置されたソーラーパネルが後方からの風圧を受けても、地盤の内部に打ち込まれた基礎杭が地盤から抜け出すことを阻止することができる。
【0025】
このような抜け出し抵抗力発生部は、任意の形状のものとして基礎杭に設けることができ、その一例の抜け出し抵抗力発生部は、基礎杭に対して上向きに末広がり状に傾斜した形状で形成されたものである。そして、この抜け出し記抵抗力発生部は、基礎杭の一部の切り起こし加工により形成してもよく、基礎杭に抜け出し抵抗力発生部材を結合することによって形成してもよい。
【0026】
さらに、基礎杭の長さ方向の途中であって地盤の地表面の位置と対応する箇所に、基礎杭が地盤の内部に侵入することに対する抵抗力を発生させる侵入抵抗力発生部を設けてもよい。これによると、基礎杭を杭打ち機等の装置により地盤の内部に侵入させる作業を行うときに、侵入抵抗力発生部により、地盤の内部への基礎杭の侵入深さ(基礎杭の打ち込み深さ)を正確に設定できるようになる。
【0027】
このような侵入抵抗力発生部は、任意の形状のものとして基礎杭に設けることができ、その一例の侵入抵抗力発生部は、基礎杭に結合された水平又は略水平の板状部材により形成されたものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、頭部を地上に残して地盤の内部に侵入している基礎杭が前後方向に傾いた姿勢となっていても、下地フレームを水平方向に対して所定の傾斜角度で支持できるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るソーラーパネル用架台の全体を示す斜視図である。
図2図2は、下地フレームと、この下地フレームの傾斜方向である前後方向に2本配置された基礎杭を示すソーラーパネル用架台の側面図である。
図3図3は、基礎杭の頭部及びその周辺部分の構造を示す分解斜視図である。
図4図4は、ソーラーパネル用架台の平面図である。
図5図5は、基礎杭の頭部に配置された中間部材と揺動部材を示す側面図であって、大引き部材を断面で示した図である。
図6図6は、図5のS6矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係るソーラーパネル用架台の全体の斜視図が示されている。このソーラーパネル用架台は、ソーラーパネルを配置するための下地フレーム1と、この下地フレーム1を頭部で支持し、この頭部を地上に残して地盤2の内部に侵入している基礎杭3と、を含んで構成されている。下地フレーム1の前後方向は水平方向に対して傾斜しており、この前後方向における基礎杭3の本数は、2本であり、前後方向と直角をなす左右方向に基礎杭3は、複数本(図示例では3本)設けられている。
【0031】
下地フレーム1の前後方向に配置されている2本の基礎杭3A,3Bのうち、前側の基礎杭3Aの全長は後側の基礎杭3Bの全長よりも短いが、これらの基礎杭3A,3Bにおける地表面2Aから下の地盤2の内部に侵入している部分の長さは同じであるため、地表面2Aから上方へ突出している長さは、基礎杭3Aで短く、基礎杭3Bで長くなっている。このため、それぞれの基礎杭3の頭部で支持されている下地フレーム1は、前後方向が水平方向に対して傾斜したものとなっている。
【0032】
本実施形態では、上述のように、前側の基礎杭3Aは左右方向に複数本配置され、後側の基礎杭3Bも左右方向に複数本配置されている。それぞれの前側の基礎杭3Aの頭部には、左右方向が長さ方向となっている大引き部材4が架け渡され、それぞれの後側の基礎杭3Bの頭部にも、左右方向が長さ方向となっている大引き部材4が架け渡されている。これらの大引き部材4の上には、前後方向が長さ方向となっている根太部材5が架け渡され、この根太部材5は、左右方向に等間隔で複数本設けられている。
【0033】
本実施形態に係る大引き部材4は、それぞれの基礎杭3に配置されていて、左右方向の寸法が短い第1短寸法部材4Aと、これらの第1短寸法部材4A同士の間に架け渡されていて、左右方向の寸法が長い長寸法部材4Bと、左右方向に複数本となっている基礎杭3のうち、右端の基礎杭3に配置された第1短寸法部材4Aの右側の端部に連結されていて、左右方向の寸法が短い第2短寸法部材4Cと、左端の基礎杭3に配置された第1短寸法部材4Aの左側の端部に連結されていて、左右方向の寸法が短い第3短寸法部材4Dとで構成され、第2短寸法部材4Cの左右方向長さと、第3短寸法部材4Dの左右方向長さは、同じである。言い換えると、第2短寸法部材4Cと第3短寸法部材4Dは、同じ部材である。
【0034】
図2には、それぞれの基礎杭3の頭部に大引き部材4が配置されていて、大引き部材4の上に根太部材5が配置されている本実施形態に係るソーラーパネル用架台の側面図が示されており、この図2に示されているように、それぞれの基礎杭3の頭部に、中間部材6と揺動部材7を介して大引き部材4が連結されている。
【0035】
図3には、基礎杭3の頭部及びその周辺部分の構造が分解斜視図として示されている。図3に示されている基礎杭3は、前述した前側の基礎杭3Aと後側の基礎杭3Bのうち、前側の基礎杭3Aとなっているが、後側の基礎杭3Bについての構造も図3と同様になっている。基礎杭3は、上下方向の長さを有する棒状材となっている溝型鋼により形成されており、このため、基礎杭3は、共に水平方向である左右方向と前後方向のうち、左右方向が幅方向となっている第1フランジ部11と、この第1フランジ部11の右端部に一方の端部が直角に接続され、前後方向が幅方向となっているウエブ部12と、第1フランジ部11と同じく、左右方向が幅方向となっていて第1フランジ部11と平行になっており、ウエブ部12の他方の端部に右端部が直角に接続されている第2フランジ部13とからなる。
【0036】
中間部材6は、上下方向の長さが短い溝型鋼で形成されており、この中間部材6の溝型鋼は、基礎杭3の溝型鋼よりも前後寸法が大きい鋼材であるため、中間部材6を、基礎杭3の頭部において、この頭部の外側に嵌合できるようになっている。基礎杭3のウエブ部12と対応する中間部材6の箇所には、上下方向に長い長孔14が前後方向に2個形成され、これらの長孔14と、基礎杭3のウエブ部12に2個設けられた孔15とにボルト16を挿入し、これらのボルト16の端部にナット17を螺合して締め付けることにより、中間部材6は、基礎杭3の頭部に結合される。そして、基礎杭3の上面から上方へ突出する中間部材6の上部には、前後方向に長い長孔18が形成されている。
【0037】
揺動部材7は、それぞれ板材で形成されている第1部材19と第2部材20からなり、略正四角形で鉛直姿勢となっている第1部材19の前端上部に、左右方向の長さが長い横長の四角形となっている第2部材20の左右方向中央部が溶接で接合され、これにより、第1部材19と第2部材20とが直角をなして結合さている。第1部材19には孔21が形成され、この孔21と中間部材6の長孔18とにボルト22を挿入し、このボルト22の端部にナット23を螺合して締め付けることにより、揺動部材7は、中間部材6に結合される。そして、揺動部材7は、左右方向を軸方向とするボルト22を中心軸として、中間部材6に対して揺動自在となる。
【0038】
また、第2部材20には、第1部材19の両側において、左右方向に長い長孔24が形成されている。
【0039】
大引き部材4を構成している第1短寸法部材4Aと長寸法部材4Bと第2短寸法部材4Cと第3短寸法部材4Dのそれぞれは、Z型鋼により形成されている。このため、これらの部材4A〜4Dは、前後方向が幅方向となっている上部の第1フランジ部31と、この第1フランジ部31の後端部に上端部が直角に接続され、上下方向が幅方向となっているウエブ部32と、第1フランジ部31と同じく、前後方向が幅方向となっていて第1フランジ部31と平行になっており、ウエブ部32の下端部に前端部が直角に接続されている下部の第2フランジ部33とからなる。
【0040】
第1短寸法部材4Aの左右両端部の上に、長寸法部材4Bの端部や、第2短寸法部材4Cの端部、第3短寸法部材4Dの端部が重ねられて載せられ、長寸法部材4Bの第1フランジ部31の端部や、第2短寸法部材4Cの第1フランジ部31の端部、第3短寸法部材4Dの第1フランジ部31の端部に形成された孔34と、第1短寸法部材4Aの第1フランジ部31の左右両端部に設けられた孔35とにボルト36を挿入し、これらのボルト36の端部にナット37を螺合して締め付けるとともに、長寸法部材4Bの第2フランジ部33の端部や、第2短寸法部材4Cの第2フランジ部33の端部、第3短寸法部材4Dの第2フランジ部33の端部に形成された孔と、第1短寸法部材4Aの第2フランジ部33の左右両端部に設けられた孔とにボルト46を挿入し、これらのボルト46の端部にナット47を螺合して締め付けることにより、第1短寸法部材4Aの長さ方向の両端部に、長寸法部材4Bや、第2短寸法部材4C、第3短寸法部材4Dが連結される。
【0041】
なお、長寸法部材4Bのウエブ部32の端部や、第2短寸法部材4Cのウエブ部32の端部、第3短寸法部材4Dのウエブ部32の端部と、第1短寸法部材4Aのウエブ部32の左右両端部とを、これらの端部に形成された孔に挿入されるボルトとナットとにより、連結するようにしてもよい。
【0042】
第1短寸法部材4Aのウエブ部32には、左右2個の孔50(図6を参照)が形成されており、これらの孔50と、揺動部材7の第2部材20に2個設けられた長孔24とに2個のボルト48を挿入し、これらのボルト48の端部に図3で示すナット49を螺合して締め付けることにより、第1短寸法部材4Aと長寸法部材4Bと第2短寸法部材4Cと第3短寸法部材4Dとからなる大引き部材4は、ボルト48及びナット49により揺動部材7に連結される。
【0043】
図3に示されているように、根太部材5はZ型鋼により形成されており、このため、根太部材5は、左右方向が幅方向となっている下部の第1フランジ部51と、この第1フランジ部51の右端部に下端部が直角に接続され、上下方向が幅方向となっているウエブ部52と、第1フランジ部51と同じく、左右方向が幅方向となっていて第1フランジ部51と平行になっており、ウエブ部52の上端部に左端部が直角に接続されている上部の第2フランジ部53とからなる。第1フランジ部51に形成された孔54と、大引き部材4の長寸法部材4Bの第1フランジ部31や、第2短寸法部材4Cの第1フランジ部31、第3短寸法部材4Dの第1フランジ部31に設けられた孔55とにボルト56を挿入し、これらのボルト56の端部にナット57を螺合して締め付けることにより、大引き部材4の上に載せられた根太部材5は、大引き部材4に連結される。
【0044】
以上により、図5に示されているように、基礎杭3の頭部に、中間部材6と揺動部材7を介して大引き部材4が取り付けられるとともに、大引き部材4には根太部材5が取り付けられ、これらの大引き部材4と根太部材5とにより前述した下地フレーム1が形成されることになり、この下地フレーム1は、基礎杭3の頭部に中間部材6及び揺動部材7によって連結されていることになる。
【0045】
図6は、図5のS6矢視図であり、この図6に示されているように、揺動部材7と大引き部材4は、揺動部材7に左右方向に長く形成された長孔24に挿入されたボルト48及びナット49により連結されている。
【0046】
図4には、下地フレーム1の平面図が示されている。この下地フレーム1に複数個のソーラーパネルSPが配置され、図示例では、ソーラーパネルSPは、左右方向に5個、前後方向に4個配置されている。根太部材5の第2フランジ部53の上面に、ソーラーパネルSPが載置せられ、この第2フランジ部53には孔8が形成されており、これらの孔8に挿入されるボルトにより、ソーラーパネルSPは下地フレーム1に固定される。
【0047】
図4等に示されているように、本実施形態では、左右方向に配置される基礎杭3の本数は3本となっているが、この本数を4本以上とすることができる。このように基礎杭3の本数を4本以上としたときには、左右両端の基礎杭3を除く2本以上の基礎杭3に配置される大引き部材4の第1短寸法部材4Aの左右両端部に長寸法部材4Bを連結し、右端の基礎杭3に配置される大引き部材4の第1短寸法部材4Aの右端部に第2短寸法部材4Cを連結するとともに、左端の基礎杭3に配置される大引き部材4の第1短寸法部材4Aの左端部に第3短寸法部材4Dを連結すればよい。
【0048】
この説明から分かるように、本実施形態に係るソーラーパネル用架台によると、ソーラーパネルSPを配置するための下地フレーム1を構成する大引き部材4は、第1短寸法部材4Aと、長寸法部材4Bと、第2短寸法部材4Cと、第3短寸法部材4Dとにより構成されるものとなっているため、基礎杭3及び長寸法部材4Bの個数と、基礎杭3に結合される中間部材6や揺動部材7、根太部材5の個数とを増やすだけにより、言い換えると、別種の部材を追加することなく、ソーラーパネル用架台の左右方向の寸法を大きくすることができ、配置することが要求されるソーラーパネルの個数に対応した任意の左右寸法を有するソーラーパネル用架台を製作できるため、大規模発電のためのメガソーラーシステムのために、本実施形態に係るソーラーパネル用架台を適用することができる。
【0049】
以上のソーラーパネル用架台を地盤上に設置するためには、最初に、杭打ち機等の装置によりそれぞれの基礎杭3を図1で示す地盤2の内部に打ち込み、次いで、地盤2の地表面2Aの上方に残したそれぞれの基礎杭3の頭部に前述した中間部材6と揺動部材7とを取り付け、この後に、これらの中間部材6及び揺動部材7を介してそれぞれの基礎杭3の頭部に大引き部材4を連結して、大引き部材4に根太部材5を連結することにより、ソーラーパネルSPを配置するための下地フレーム1がそれぞれの基礎杭3の頭部で支持されることになる。
【0050】
杭打ち機等の装置によってそれぞれの基礎杭3を地盤2の内部に打ち込むときに、例えば、地表面2Aが不整地であったり不陸となっている場合には、全部の基礎杭3を本来の鉛直姿勢で正確に打ち込むことは難しく、これらの基礎杭3のうちに、前後方向に傾いた姿勢で地盤2の内部に打ち込まれた基礎杭3が生じる場合がある。このような基礎杭3が生じた場合には、この基礎杭3の頭部に中間部材6を介して取り付けられている揺動部材7を、図5等で示したボルト22を中心軸にして揺動させ、これにより、この揺動部材7にボルト48及びナット49で連結される大引き部材4の姿勢を、本来の鉛直姿勢で正確に地盤2に打ち込まれた基礎杭3に配置される大引き部材4と同じ姿勢に、言い換えると、前後方向が水平方向に対して傾斜している下地フレーム1の傾き角度を得られる姿勢に修正し、この修正後にナット49の締め付けを行う。
【0051】
このように本実施形態では、それぞれの基礎杭3の頭部には揺動部材7が設けられ、この揺動部材7は、左右方向が軸方向となっているボルト22を中心軸として揺動可能になっているため、頭部を地上に残して地盤の内部に侵入している複数本の基礎杭3のうちに、鉛直姿勢に対して前後方向に傾いた姿勢となっている基礎杭3がある場合には、その基礎杭3に設けられている揺動部材7をボルト22を中心に揺動させることにより、基礎杭3の傾き姿勢を揺動部材7で修正して基礎杭3の頭部で下地フレーム1を支持できることになり、これにより、この下地フレーム1の前後方向を水平方向に対して所定の傾斜角度にすることができる。
【0052】
また、本実施形態によると、基礎杭3の頭部に中間部材6がボルト16及びナッ17で連結され、この中間部材6に揺動部材7が連結されているとともに、基礎杭3の頭部に対する中間部材6の連結は、ボルト16を挿入するために中間部材6に設けた孔を上下方向に長い長孔14としているため、基礎杭3に対する揺動部材7の位置を、長孔14により上下方向に調整可能となっている。
【0053】
これによると、上述したように前後方向に傾いた姿勢となっている基礎杭3がある場合に、この基礎杭3の傾き姿勢を揺動部材7の揺動により修正したときに、揺動部材7の高さ位置が変化しても、この高さ位置の変化を、揺動部材7の位置を上下方向に調整することによって打ち消すことができる。
【0054】
また、例えば、地表面2Aが不整地であったり不陸となっているために、地盤2の内部への基礎杭3の侵入深さ(基礎杭の打ち込み深さ)に誤差があっても、この誤差を、揺動部材7の位置を上下方向に調整することによって解消することができる。
【0055】
さらに、本実施形態では、基礎杭の頭部に連結された中間部材6に揺動部材7を、この揺動部材7の揺動の中心軸となっている前述したボルト22及びナット23で連結することは、中間部材6に前後方向に長く形成した長孔18にボルト22を挿入することにより行われているため、揺動部材7の位置は、基礎杭3及び中間部材6に対して前後方向に調整可能となっている。
【0056】
これによると、複数本の基礎杭3のうちに、地盤2の内部への侵入位置(打ち込み位置)に前後方向の誤差が生じている基礎杭3があっても、この誤差を、基礎杭3及び中間部材6に対する揺動部材7の位置を前後方向に調整することによって解消することができる。
【0057】
また、本実施形態では、基礎杭3の頭部と揺動部材7との間に、揺動部材7を連結した中間部材6が介設され、この中間部材6が、長孔14により基礎杭3の頭部に上下方向に位置調整可能に配置されているとともに、揺動部材7が、長孔18により中間部材6に前後方向に位置調整可能に配置されているため、基礎杭3の頭部における中間部材6の高さ位置を変化させることにより、基礎杭3の頭部における揺動部材7の高さ位置を調整することができるとともに、中間部材6における揺動部材7の前後位置を変化させることにより、基礎杭3の頭部における揺動部材7の前後位置を調整することができる。
【0058】
また、本発明において、下地フレーム1を構成している大引き部材4は揺動部材7にボルト48及びナット49で連結されているとともに、ボルト48が挿入されている揺動部材7の孔は左右方向に長い長孔24となっているため、下地フレーム1は揺動部材7に左右方向に位置調整可能に連結されている。
【0059】
これによると、複数本の基礎杭3のうちに、地盤2の内部への侵入位置に左右方向の誤差が生じている基礎杭3があっても、この誤差を、下地フレーム1の揺動部材7に対する連結位置を左右方向に調整させることによって解消することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、太陽光発電のためのソーラーパネルを地盤上に設置するために利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 下地フレーム
2 地盤
3 基礎杭
4 大引き部材
5 根太部材
6 中間部材
7 揺動部材
22 中心軸であるボルト
SP ソーラーパネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6