特許第6040115号(P6040115)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040115
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】ポリアセタール共重合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 2/00 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   C08G2/00
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-155632(P2013-155632)
(22)【出願日】2013年7月26日
(65)【公開番号】特開2015-25073(P2015-25073A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2015年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 知宏
(72)【発明者】
【氏名】土岐 眞
【審査官】 井津 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−043212(JP,A)
【文献】 特開平01−069616(JP,A)
【文献】 特開平11−124422(JP,A)
【文献】 特開平11−255854(JP,A)
【文献】 特開2008−266372(JP,A)
【文献】 特開2007−211193(JP,A)
【文献】 特開2011−246611(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/018414(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02050774(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 2/00−2/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリオキサンと、環状エーテル及び/又は環状ホルマールとの重合を行うポリアセター
ル共重合体の製造方法であって、
前記環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、
重合触媒と、
前記重合触媒1モルに対し、0.01モル以上100モル以下の下記一般式(1)で示される少なくとも1種のアルコール類と、
を、混合し、プレ混合液を得る工程と、
前記プレ混合液と、前記トリオキサンとを、重合反応機に供給し、重合反応を行う工程
と、
を、有するポリアセタール共重合体の製造方法。
R−(CH2−O)n−H ・・・(1)
(一般式(1)中、Rは、水素、分岐状又は直鎖状のアルキル基、分岐状又は直鎖状のア
ルコキシ基、及びヒドロキシル基からなる群より選ばれるいずれか1つを表す。nは1以
上20以下の整数を表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)で示されるアルコール類と、前記環状エーテル及び/又は環状ホルマ
ールを予め混合し、その後、前記重合触媒を混合して前記プレ混合液を得る工程と、
当該プレ混合液と、前記トリオキサンとを、重合反応機に供給し、重合反応を行う工程
と、
を、有する、請求項1に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
【請求項3】
前記一般式(1)で示されるアルコール類と、重合触媒を予め混合し、その後、前記環
状エーテル及び/又は環状ホルマールを混合して前記プレ混合液を得る工程と、
当該プレ混合液と、前記トリオキサンとを、重合反応機に供給し、重合反応を行う工程
と、
を、有する、請求項1に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
【請求項4】
前記プレ混合液を得る工程においては、有機溶剤をさらに用い、
前記重合触媒を、25℃以上前記有機溶剤の沸点未満の温度条件下で混合する、請求項
1乃至3のいずれか一項に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
【請求項5】
前記重合触媒が、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、及び三フッ
化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラートからなる群より選ばれる少なくともいずれかであ
る、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
【請求項6】
前記有機溶剤が、n−ヘキサン、n−ヘプタン、及びシクロヘキサンからなる群より選
ばれる少なくともいずれかである、請求項4又は5に記載のポリアセタール共重合体の製
造方法。
【請求項7】
前記一般式(1)で示される少なくとも1種のアルコール類の一部を、前記トリオキサ
ンに混合する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリアセタール共重合体の製造方
法。
【請求項8】
前記一般式(1)で示される少なくとも1種のアルコール類が、メタノール、エタノー
ル、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチ
ル−1−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール
からなる群より選ばれるいずれかである、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のポリア
セタール共重合体の製造方法。
【請求項9】
前記一般式(1)で示される少なくとも1種のアルコール類が、
前記重合触媒1モルに対し、0.01モル以上100モル以下の範囲で使用される、請
求項1乃至8のいずれか一項に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアセタール共重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリアセタール共重合体は、剛性、強度、靭性、摺動性、及びクリープ性等に優れた樹脂材料であることが知られており、自動車部品や電気・電子機器及び各種機構部品を中心に広範に亘って使用されている。
また、ポリアセタール共重合体を用いた成形技術の発展も目覚ましく、高分子タイプのポリアセタールのニーズが高く、生産性の高い高分子タイプのポリアセタール共重合体の製造方法が望まれてきている。
【0003】
また、ポリアセタール共重合体を用いた部品は、重要な機構部品であることが多く、その品質安定化は必須である。そして、品質安定化のためには、ポリアセタール共重合体を、長期間安定して生産することが不可欠である。
【0004】
ポリアセタール共重合体の重合には、原料として一般的にトリオキサンが用いられており、通常、分子量調整剤の存在下で重合を行い、分子量を制御している。
高分子量タイプのポリアセタール共重合体を得るためには、分子量調整剤を少なくし、反対に低分子量タイプのポリアセタール共重合体を得るには、分子量調整剤を多くする方法が採られている。
【0005】
一方、上述したように、ポリアセタールを用いた部品の品質安定化のためには、ポリアセタール共重合体の重合の際、長期安定運転が重要であるが、従来から、ポリアセタール共重合体の重合の際の長期安定運転の妨げの原因としては、先ず、重合機供給部におけるスケール発生により安定的な原料の供給ができなくなり、重合収率が低下することが挙げられる。一方で、スケール発生に起因する重合工程における鳴き音・異音の低減による作業環境の改良も望まれている。
【0006】
上述したようなスケール発生を低減化する技術としては、例えば、ポリアセタール共重合体を製造する際に使用される重合触媒を低減化する方法が挙げられる。
ポリアセタール共重合体を製造する際に重合触媒を低減化することが可能な技術としては、例えば、環状エーテル及び/又は環状ホルマール、低分子量アセタール化合物、及び重合触媒を、予め混合しておき、その後、トリオキサンに添加供給して重合する技術(例えば、特許文献1参照。)や、環状エーテル及び/又は環状ホルマール、重合触媒、及び有機溶剤を予め混合しておき、トリオキサンと接触させて重合する技術(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。これらはいずれも高重合収率を達成するための技術であり、すなわち、重合触媒の低減化が可能な技術でもある。
また、特許文献1には、重合の生産性を向上させるため、トリオキサンと環状エーテルとを共重合させる工程において、環状エーテルとカチオン重合触媒と低分子量アセタールとを予め混合しておき、これにトリオキサンに添加する重合方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3850546号公報
【特許文献2】特公平6−62730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来提案されている技術をもってしても、重合機供給部のスケール発生を、未だ十分に低減化できていない。
また、重合の生産性を向上させるため、トリオキサンと環状エーテルとを共重合させる工程において、環状エーテルとカチオン重合触媒と低分子量アセタールとを予め混合しておき、これにトリオキサンを添加する重合方法を実施した場合は、特許文献3の実施例にも記載されている通り、実質得られるポリアセタールは、低分子量のポリアセタール共重合体のみであり、例えば190℃で測定するメルトインデックスが50g/10min以下のものを製造することについては、記載がなされていない。
【0009】
そこで本発明においては、スケールの発生を低減化し、高品質のポリアセタール共重合体を高重合収率で長期間安定して連続生産することができ、かつ少ない重合触媒でも長期間に亘り重合収率が維持できる、ポリアセタール共重合体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本発明者らは鋭意検討した結果、ポリアセタール共重合体の重合工程において、環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、前記重合触媒と、所定のアルコール類とを予め混合したプレ混合液を得ておき、当該プレ混合液とトリオキサンとを、重合反応機に供給して重合反応を行うことにより、上述した従来技術の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0011】
〔1〕
トリオキサンと、環状エーテル及び/又は環状ホルマールとの重合を行うポリアセター
ル共重合体の製造方法であって、
前記環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、
重合触媒と、
前記重合触媒1モルに対し、0.01モル以上100モル以下の下記一般式(1)で示される少なくとも1種のアルコール類と、
を、混合し、プレ混合液を得る工程と、
前記プレ混合液と、前記トリオキサンとを、重合反応機に供給し、重合反応を行う工程
と、
を、有するポリアセタール共重合体の製造方法。
R−(CH2−O)n−H ・・・(1)
(一般式(1)中、Rは、水素、分岐状又は直鎖状のアルキル基、分岐状又は直鎖状のア
ルコキシ基、及びヒドロキシル基からなる群より選ばれるいずれか1つを表す。nは1以
上20以下の整数を表す。)
〔2〕
前記一般式(1)で示されるアルコール類と、前記環状エーテル及び/又は環状ホルマ
ールを予め混合し、その後、前記重合触媒を混合して前記プレ混合液を得る工程と、
当該プレ混合液と、前記トリオキサンとを、重合反応機に供給し、重合反応を行う工程
と、
を、有する、前記〔1〕に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
〔3〕
前記一般式(1)で示されるアルコール類と、重合触媒を予め混合し、その後、前記環
状エーテル及び/又は環状ホルマールを混合して前記プレ混合液を得る工程と、
当該プレ混合液と、前記トリオキサンとを、重合反応機に供給し、重合反応を行う工程
と、
を、有する、前記〔1〕に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
〔4〕
前記プレ混合液を得る工程においては、有機溶剤をさらに用い、
前記重合触媒を、25℃以上前記有機溶剤の沸点未満の温度条件下で混合する、前記〔
1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
〔5〕
前記重合触媒が、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、及び三フッ
化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラートからなる群より選ばれる少なくともいずれかであ
る、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
〔6〕
前記有機溶剤が、n−ヘキサン、n−ヘプタン、及びシクロヘキサンからなる群より選
ばれる少なくともいずれかである、前記〔4〕又は〔5〕に記載のポリアセタール共重合
体の製造方法。
〔7〕
前記一般式(1)で示される少なくとも1種のアルコール類の一部を、前記トリオキサ
ンに混合する、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のポリアセタール共重合体の製
造方法。
〔8〕
前記一般式(1)で示される少なくとも1種のアルコール類が、メタノール、エタノー
ル、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチ
ル−1−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール
からなる群より選ばれるいずれかである、前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のポ
リアセタール共重合体の製造方法。
〔9〕
前記一般式(1)で示される少なくとも1種のアルコール類が、
前記重合触媒1モルに対し、0.01モル以上100モル以下の範囲で使用される、前
記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明のポリアセタール共重合体の製造方法によれば、スケールの発生を低減化でき、高品質のポリアセタール共重合体を高重合収率で長期間安定して連続生産することができ、かつ少ない重合触媒でも長期間に亘り重合収率が維持できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0014】
〔ポリアセタール共重合体の製造方法〕
本実施形態のポリアセタール共重合体の製造方法は、
トリオキサンと、
環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、
の重合を行うポリアセタール共重合体の製造方法であって、
前記環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、重合触媒と、下記一般式(1)で示される少なくとも1種のアルコール類とを混合し、プレ混合液を得る工程と、
前記プレ混合液と、前記トリオキサンとを、重合反応機に供給し、重合反応を行う工程と、
を、有するポリアセタール共重合体の製造方法である。
R−(CH2−O)n−H ・・・(1)
(一般式(1)中、Rは、水素、分岐状又は直鎖状のアルキル基、分岐状又は直鎖状のアルコキシ基、及びヒドロキシル基からなる群より選ばれるいずれか一つを表す。nは1以上20以下の整数を表す。)
【0015】
(プレ混合液を得る工程において用いる材料)
本実施形態のポリアセタール共重合体の製造方法においては、先ず、前記環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、前記重合触媒と、前記一般式(1)で示される少なくとも1種のアルコール類とを予め混合してプレ混合液を得る。
当該プレ混合液を得る工程において用いる材料について、以下説明する。
【0016】
<環状エーテル及び/又は環状ホルマール>
環状エーテル及び/又は環状ホルマールは、後述するトリオキサンと共重合可能な成分である。
環状エーテル又は環状ホルマールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクルロルヒドリン、エピブロモヒドリン、スチレンオキサイド、オキサタン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールホルマール、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール等が挙げられる。入手のしやすさの観点から、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマールが好ましい。
これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
環状エーテル及び/又は環状ホルマールの添加量は、機械的強度の観点から、後述するトリオキサン1molに対して1×10-2〜20×10-2molの範囲が好ましく、より好ましくは1×10-2〜15×10-2molであり、さらに好ましくは1×10-2〜10×10-2molであり、さらにより好ましくは1×10-2〜5×10-2molである。
【0018】
<重合触媒>
重合触媒としては、ルイス酸に代表されるホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモン化物が挙げられる。特に、入手のしやすさの観点から、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素系水和物、及び酸素原子又は硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましく、具体的には、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラートが好ましい例として挙げられる。
これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
重合触媒の添加量は、後述するトリオキサン1molに対して0.1×10-5〜0.1×10-3molの範囲が好ましく、より好ましくは0.3×10-5〜0.5×10-4molの範囲であり、さらに好ましくは0.5×10-5〜0.4×10-4molの範囲である。
重合触媒の添加量を前記範囲内とすることにより、重合反応機の供給部におけるスケール発生量を低減化しながら、安定して長時間の重合反応を実施することができる。
【0020】
<一般式(1)で示される少なくとも1種のアルコール類>
本実施形態のポリアセタール共重合体の製造方法においては、プレ混合液用の材料として下記一般式(1)で示される少なくとも1種のアルコール類を用いる。
R−(CH2−O)n−H ・・・(1)
(一般式(1)中、Rは、水素、分岐状又は直鎖状のアルキル基、分岐状又は直鎖状のアルコキシ基、及びヒドロキシル基からなる群より選ばれるいずれかを表す。nは1以上20以下の整数を表す。)
前記一般式(1)で示されるアルコール類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2,2−ジメチル−1−ブタノール、2,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。特に、取扱い性の観点から、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノールが好ましい。これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
前記一般式(1)で示される少なくとも1種のアルコール類は、全量を環状エーテル及び/又は環状ホルマールに混合して重合反応機に供給する方法、プレ混合液に全量混合して重合反応機に供給する方法、後述するトリオキサンに一部混合して重合反応機に供給し、残りの全量をプレ混合液に混合して重合反応機に供給する方法、のいずれに方法を選択してもよい。
特に、均一に分散するという観点から、前記一般式(1)で示される少なくとも1種のアルコール類の半量以上をプレ混合液に混合する方法を選択することが好ましい。
【0022】
前記一般式(1)で示される少なくとも1種のアルコール類の使用量は、上述した重合触媒1モルに対し、0.01モル以上100モル以下の範囲であることが好ましい。
重合触媒1モルに対し、0.01モル以上とすることにより、着色したスケールの発生を十分に抑制することができ、100モル以下とすることにより、実用上必要な使用量とすることができる。
取扱い性の観点から、重合触媒1モルに対し、0.1モル以上50モル以下の範囲が好ましく、より好ましくは0.1モル以上10モル以下の範囲である。
【0023】
<有機溶剤>
プレ混合液を得る工程においては、有機溶剤を併用してもよい。
有機溶剤としては、重合反応に関与したり悪影響を及ぼしたりするものでなければ特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン(沸点80℃)、トルエン(沸点110.63℃)、キシレン(沸点144℃)のような芳香族炭化水素;n−ヘキサン(沸点69℃)、n−ヘプタン(沸点98℃)、シクロヘキサン(沸点80.74℃)のような脂肪族炭化水素;クロロホルム(沸点61.2℃)、ジクロロメタン(沸点40℃)、四塩化炭素(沸点76.8℃)のようなハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル(沸点35℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、1,4−ジオキサン(沸点101.1℃)のようなエーテル類等が挙げられ、特にタール状析出物の抑制の観点からn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素が好ましい。
有機溶剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤の添加量は、後述するトリオキサン1molに対して0.1×10-3〜0.2molの範囲が好ましく、より好ましくは0.2×10-3〜0.5×10-1molの範囲であり、さらに好ましくは0.5×10-3〜0.3×10-1molの範囲である。
有機溶剤の添加量が前記範囲内であるとき、重合反応機の供給部におけるスケール発生量を低減化でき、かつ高収率で共重合体が得られる。
【0024】
(重合反応を行う工程において用いる材料)
本実施形態のポリアセタール共重合体の製造方法においては、前記プレ混合液と、トリオキサンとを重合反応機に供給し、重合反応を行う。
当該重合反応を行う工程において用いる材料について、以下説明する。
【0025】
<トリオキサン>
トリオキサンとは、ホルムアルデヒドの環状3量体であり、一般的には酸性触媒の存在下でホルマリン水溶液を反応させることにより得られる。
このトリオキサンは、水、メタノール、蟻酸、蟻酸メチル等の連鎖移動させる不純物を含有している場合があるので、重合反応を行う工程の前段階として、例えば、蒸留等の方法でこれら不純物を除去精製することが好ましい。
その場合、前記連鎖移動させる不純物の合計量をトリオキサン1molに対して、1×10-3mol以下とすることが好ましく、より好ましくは0.5×10-3mol以下とする。
前記不純物の量を上記数値のように低減化することにより、重合反応速度を実用上十分に高めることができ、生成したポリマーにおいて優れた熱安定性が得られる。
【0026】
<低分子量アセタール化合物>
重合反応を行う工程においては、低分子量アセタール化合物を用いてもよい。
低分子量アセタール化合物は、後述する重合工程において連鎖移動剤として機能するものであり、分子量が200以下、好ましくは60〜170のアセタール化合物である。
低分子量アセタール化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチラール、メトキシメチラール、ジメトキシメチラール、トリメトキシメチラールが挙げられる。
これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
低分子量アセタール化合物の添加量は、ポリアセタール共重合体の分子量を好適な範囲に制御する観点から、前記トリオキサン1molに対して0.1×10-4〜0.6×10-2molの範囲が好ましい。
低分子量アセタールは、前記トリオキサンに全量混合して重合反応機に供給する方法、後述するプレ混合液に全量混合して重合反応機に供給する方法、前記トリオキサンに一部混合して重合反応機に供給し、残りの全量をプレ混合液に混合して重合機に供給する方法のいずれの方法によって用いてもよい。特に、均一に分散するという観点から、低分子量アセタール化合物の半量以上をトリオキサンに混合する方法が好ましい。
【0027】
(プレ混合液を得る工程)
本実施形態のポリアセタール共重合体の製造方法においては、後述する重合反応を行う工程の前段階として、前記環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、前記重合触媒と、前記一般式(1)で示される少なくとも1種のアルコール類とを予め混合してプレ混合液を得る。
【0028】
プレ混合液を得る具体的な方法としては、下記の1〜3等の方法が挙げられる。
1: 重合触媒と、前記一般式(1)で示される少なくとも1種のアルコール類と、環状エーテル及び/又は環状ホルマールとを混合する方法。
2:前記一般式(1)で示される少なくとも1種のアルコール類と、前記環状エーテル及び/又は環状ホルマールを混合し、その後、重合触媒と混合する方法。
3:前記一般式(1)で示される少なくとも1種のアルコール類と、重合触媒を混合し、その後、前記環状エーテル及び/又は環状ホルマールと混合する方法。
【0029】
プレ混合液を得る工程においては、前記環状エーテル及び/又は環状ホルマールは、全量をプレ混合液に添加してもよいし、一部をプレ混合液に添加し、残量を、重合反応工程で用いるトリオキサン中に混合してもよい。
また、プレ混合液を得る工程後、当該プレ混合液を後述する重合反応を行う工程を実施する重合反応機へ供給する間に、プレ混合液の均一性を維持するため、十分に混合しておくことが必要である。
混合方法としては、連続的に配管内で合流させ混合させる方法、連続的に配管内で合流させ、その後スタティックミキサーにて混合させる方法、攪拌機を備えた容器内で混合させる方法等が挙げられ、特に、連続的に配管内で合流させ、その後スタティックミキサーにて混合させる方法が好ましい。
【0030】
プレ混合液を得る方法としては、上記1〜3の方法のうち、操作の簡便性の観点からは1の操作が好ましく、フローを簡便にできる。均一の混合の観点からは2の操作が特に好ましく、長期にわたって安定に運転が可能となる。
【0031】
また、プレ混合液を得る工程を実施する温度としては、0℃を超えて60℃未満の範囲が好ましい。
前記温度範囲でプレ混合を実施することにより、低コストでの混合工程の実施が可能になり、かつ粘度の急激な上昇を抑制し、長期安定運転が可能になる。
また、プレ混合液を得る工程を実施する時間としては、0.01〜120分間の範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜60分間の範囲である。
プレ混合時間を上記範囲内とすることにより、材料が十分に混合され、かつ混合物の急激な粘度上昇が抑制され、長期安定運転が可能になる。
【0032】
上記プレ混合液を得る工程により得られたプレ混合液と、前記トリオキサンとを、後述する重合工程を実施する重合反応機へ供給する。
【0033】
なお、重合触媒は、予め所定の有機溶媒と混合した状態で使用してもよい。
また、重合触媒と有機溶剤とを混合する温度としては、15℃以上有機溶剤の沸点未満の範囲であり、好ましくは25℃以上有機溶剤の沸点未満の範囲であり、35℃以上有機溶剤の沸点未満の範囲である。
15℃以上で混合することによりタール状析出物の発生を抑制でき、有機溶剤の沸点未満で混合することにより、有機溶剤の揮散を防止できる。
【0034】
(重合反応を行う工程)
本実施形態のポリアセタール共重合体の製造方法においては、上述のようにして得たプレ混合液と、前記トリオキサンと、必要に応じて低分子量アセタール化合物とを、重合反応機に供給し、重合反応を行い、ポリアセタール共重合体を得る。
ポリアセタール共重合体の重合方法としては、スラリー法、塊状法、メルト法のいずれでもよい。
【0035】
また使用する重合反応機の形状(構造)も特に制限されるものではなく、ジャケットに熱媒を通すことのできる2軸のパドル式や、スクリュー式の攪拌混合型重合装置がいずれも好適に使用できる。
【0036】
重合反応を行う工程における重合反応機の温度は、63〜135℃に保つことが好ましく、より好ましくは70〜120℃の範囲であり、さらに好ましくは70〜100℃の範囲である。
重合反応機内の滞留(反応)時間は0.1〜30分であることが好ましく、より好ましくは0.1〜25分であり、さらに好ましくは0.1〜20分である。
重合反応機の温度及び滞留時間が上記範囲内であれば安定した重合反応が継続される傾向にある。
【0037】
上記重合反応を行う工程により、先ず、粗ポリアセタール共重合体が得られ、失活処理等の後処理を施すことにより、目的とするポリアセタール共重合体が得られる。
重合触媒の失活方法としては、重合反応機から出た粗ポリアセタール共重合体を、アンモニア、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等のアミン類、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、無機塩類、有機酸塩等の中和失活剤の少なくとも1種を含む水溶液又は有機溶液中に投入し、スラリー状態で数分〜数時間、室温〜100℃以下の範囲で連続攪拌する方法が挙げられる。
この際、粗ポリアセタール共重合体が大きな塊状の場合は、重合後一旦粉砕して処理することが好ましい。
その後、遠心分離機でろ過し、窒素下で乾燥することにより、目的とするポリアセタール共重合体が得られる。
また、本実施形態のポリアセタール共重合体の重合反応には、上記成分の他に、ブロック、分岐、架橋の構造を形成し得るその他の共重合体成分を併用することもできる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明について、具体的な実施例と、これとの比較例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例における特性の測定法は以下の通りとした。
【0039】
〔重合収率〕
後述する実施例及び比較例において、重合反応機から排出された粗ポリアセタール共重合体の単位時間当りの排出量を、全モノマーの単位時間当りのフィード量で除し、算出した。
なお、重合収率は重合開始から1時間後及び240時間後において算出した。
【0040】
〔重合機供給部スケール状況〕
後述する実施例及び比較例において、連続運転終了後の重合反応機を開放し、供給部のスケール状況を目視確認した。
スケール発生が少ないと運転が安定していることを示すものと判断した。
スケールが無い・もしくはわずかにある場合:○
スケールの発生により、安定的な収率を維持することができなかった場合:×
○と×の中間:△
【0041】
〔重合機内の着色物質の生成状況確認〕
後述する実施例及び比較例において、連続運転終了後の重合反応機を開放し、目視確認した。
重合反応機のバレルに付着したポリアセタール共重合体の色を以下のように評価した。
白いポリアセタール共重合体が付着していた場合:○
褐色又は黄色に着色していたポリアセタール共重合体が付着していた場合:×
【0042】
〔実施例1〕
熱媒を通すことのできるジャケット付き2軸パドル型連続重合反応機(栗本鐵工所性、径2B、L/D=14.8)を80℃に調整した。
重合触媒として三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラート0.18g/hr、アルコール類としてメタノールを0.025g/hr、有機溶媒としてシクロヘキサン(沸点:80.74℃)6.5g/hr、環状エーテル及び/又は環状ホルマールとして1,3−ジオキソラン120.9g/hrを、温度50℃、混合時間2分にて連続的にプレ混合し、プレ混合液を得た。
前記プレ混合液の調製には、スタティックミキサーを用いた。
前記プレ混合液127.61g/hrを、配管にて重合反応機に連続的に供給し、トリオキサン3500g/hrと、低分子量アセタール化合物であるメチラール3.9g/hrとのトリオキサン混合物を、配管にて重合反応機に連続的に供給し、重合を行い、粗ポリアセタール共重合体を得た。
前記重合反応機から排出された粗ポリアセタール共重合体を、トリエチルアミン水溶液(0.5質量%)中にサンプリングし、その後、常温で1hr攪拌を実施した後、遠心分離機でろ過し、窒素下で120℃×3hr乾燥し、ポリアセタール共重合体を得た。
得られたポリアセタール共重合体の重合収率を、重合開始1hr後と240hr後に評価した。
また、240hr運転後の着色物質生成状況、及び重合機供給部のスケール状況を目視確認した。
評価結果を表1に示す。
【0043】
〔実施例2〜11〕
原料組成、プレ混合液の調製条件を、下記表1に示すように変更した。
その他の条件は実施例1と同様とし、ポリアセタール共重合体を得た。
評価結果を下記表1に示す。
【0044】
〔実施例12〕
実施例1と同じ重合反応器を用い、アルコール類としてメタノールを0.025g/hr、環状エーテル及び/又は環状ホルマールとして1,3−ジオキソラン120.9g/hrを用い、これらを先ず温度50℃にて連続的に混合した。
混合にはスタティックミキサーを用いた。
次に、重合触媒として三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラート0.18g/hr、有機溶媒としてシクロヘキサン(沸点:80.74℃)6.5g/hrで、混合時間2分にて連続的にプレ混合し、プレ混合液を得た。
前記プレ混合液の調製には、スタティックミキサーを用いた。
前記プレ混合液127.61g/hrを、配管にて前記重合反応機に連続的に供給し、トリオキサン3500g/hrと、低分子量アセタール化合物としてメチラール3.9g/hrとのトリオキサン混合物を、配管にて重合反応機に連続的に供給し、重合を行い、粗ポリアセタール共重合体を得た。
その他の操作は実施例1と同様とし、ポリアセタール共重合体を得た。
【0045】
〔実施例13〜15〕
原料組成、プレ混合液の調製条件を、下記表1に示すように変更した。
その他の条件は実施例12と同様とし、ポリアセタール共重合体を得た。
評価結果を下記表1に示す。
【0046】
〔実施例16〕
実施例1と同じ重合反応機を用い、アルコール類としてメタノールを0.025g/hr、重合触媒として三フッ化ホウ素−ジ−n−エチルエーテラート0.18g/hr、有機溶媒として1、4−ジオキサン(沸点:80.74℃)6.5g/hrを、先ず温度50℃にて連続的に混合した。
混合にはスタティックミキサーを用いた。
次に、環状エーテル及び/又は環状ホルマールとして1,3−ジオキソラン120.9g/hrを混合時間2分にて連続的にプレ混合し、プレ混合液を得た。
前記プレ混合にはスタティックミキサーを用いた。
前記プレ混合液127.61g/hrを配管にて前記重合反応機に連続的に供給し、トリオキサン3500g/hr、低分子量アセタール化合物としてメチラール3.9g/hrからなるトリオキサン混合物を、配管にて前記重合反応機に連続的に供給し、重合を行い、粗ポリアセタール共重合体を得た。その他の操作は実施例1と同様に実施し、ポリアセタール共重合体を得た。
【0047】
〔比較例1〕
熱媒を通すことのできるジャケット付き2軸パドル型連続重合反応機(栗本鐵工所性、径2B、L/D=14.8)を80℃に調整した。
重合触媒として三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラート0.18g/hrを、先ず温度50℃にて連続的に前記反応機に供給し、次に、環状エーテル及び/又は環状ホルマールとして1,3−ジオキソラン120.9g/hrを、温度50℃、混合時間2分にて連続的にプレ混合し、プレ混合液を得た。
前記プレ混合にはスタティックミキサーを用いた。
前記プレ混合液121.08g/hrを配管にて重合反応機に連続的に供給し、トリオキサン3500g/hr、低分子量アセタール化合物としてメチラール3.9g/hrからなるトリオキサン混合物を、配管にて前記重合反応機に連続的に供給し重合を行い、粗ポリアセタール共重合体を得た。
重合反応機から排出された粗ポリアセタール共重合体を、トリエチルアミン水溶液(0.5質量%)中にサンプリングし、その後、常温で1hr攪拌を実施した後、遠心分離機でろ過し、窒素下で120℃×3hr乾燥し、ポリアセタール共重合体を得た。
得られたポリアセタール共重合体の重合収率を重合開始1hr後に評価した。
また、2hr運転後プレ混合液送液が不安定となったため、重合を停止した。
停止後、重合機供給部のスケール状況を目視確認した。
評価結果を下記表2に示す。
【0048】
〔比較例2〕
熱媒を通すことのできるジャケット付き2軸パドル型連続重合反応機(栗本鐵工所性、径2B、L/D=14.8)を80℃に調整した。
重合触媒として三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラート0.18g/hrと、有機溶媒としてシクロヘキサン(沸点:80.74℃)6.5g/hrとを、先ず温度50℃にて連続的に混合し、触媒液を得た。
前記触媒液6.68g/hrを配管にて重合反応機に連続的に供給し、環状エーテル及び/又は環状ホルマールとして1,3−ジオキソラン120.9g/hrを用い、かつトリオキサン3500g/hrと、低分子量アセタール化合物としてメチラール3.9g/hrとからなるトリオキサン混合物を配管にて重合反応機に連続的に供給し、重合を行い、粗ポリアセタール共重合体を得た。
重合反応機から排出された粗ポリアセタール共重合体を、トリエチルアミン水溶液(0.5質量%)中にサンプリングし、その後、常温で1hr攪拌を実施した後、遠心分離機でろ過し、窒素下で120℃×3hr乾燥し、ポリアセタール共重合体を得た。
得られたポリアセタール共重合体の重合収率を重合開始1hr後と240hr後に評価した。
また、240hr運転後の重合安定性、及び重合機供給部のスケール状況を目視確認した。評価結果を表2に示す。
【0049】
〔比較例3〕
原料組成を下記表2に示すように変更した。
その他の条件は実施例1と同様とし、ポリアセタール共重合体を得た。
評価結果を下記表2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
表1、2に示すように、実施例1〜16においては、長期間運転した後の重合機供給部におけるスケール発生が少なく、長期間安定的に高品質のポリアセタール共重合体を高重合収率で、長期間安定して連続的に製造することができた。
比較例1では途中で原料の供給が不安定となり、重合を2時間継続することが困難であった。
比較例2では、原料を、プレ混合を行わず別々に重合機に供給したため、重合機供給部のスケールが多くなり、長期安定運転が行われなかった。
比較例3では、重合機内に着色性物質が生成した。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明のポリアセタール共重合体の製造方法は、高重合収率で長期間安定してポリアセタール共重合体の製造を、少ない重合触媒でも重合収率が維持しながら可能とする方法として、産業上の利用可能性がある。