特許第6040154号(P6040154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サターン ライセンシング エルエルシーの特許一覧

特許6040154受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システム
<>
  • 特許6040154-受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システム 図000002
  • 特許6040154-受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システム 図000003
  • 特許6040154-受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システム 図000004
  • 特許6040154-受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システム 図000005
  • 特許6040154-受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システム 図000006
  • 特許6040154-受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システム 図000007
  • 特許6040154-受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システム 図000008
  • 特許6040154-受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システム 図000009
  • 特許6040154-受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システム 図000010
  • 特許6040154-受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システム 図000011
  • 特許6040154-受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システム 図000012
  • 特許6040154-受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システム 図000013
  • 特許6040154-受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システム 図000014
  • 特許6040154-受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システム 図000015
  • 特許6040154-受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システム 図000016
  • 特許6040154-受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システム 図000017
  • 特許6040154-受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システム 図000018
  • 特許6040154-受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システム 図000019
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040154
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/443 20110101AFI20161128BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20161128BHJP
   H04N 21/435 20110101ALI20161128BHJP
【FI】
   H04N21/443
   G06F13/00 547T
   H04N21/435
【請求項の数】11
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2013-529977(P2013-529977)
(86)(22)【出願日】2012年8月14日
(86)【国際出願番号】JP2012070685
(87)【国際公開番号】WO2013027632
(87)【国際公開日】20130228
【審査請求日】2015年8月4日
(31)【優先権主張番号】61/526,938
(32)【優先日】2011年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】316009762
【氏名又は名称】サターン ライセンシング エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Saturn Licensing LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(72)【発明者】
【氏名】北里 直久
【審査官】 松元 伸次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−112522(JP,A)
【文献】 特開2010−182323(JP,A)
【文献】 特表2005−510145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F13/00
H04N7/10
7/14−7/173
7/20−7/56
21/00−21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
AVコンテンツを受信する受信部と、
前記AVコンテンツとともに送信される、前記AVコンテンツに連動して実行されるアプリケーションプログラムを動作させるためのトリガ情報であって、前記AVコンテンツを識別するための識別情報及び前記AVコンテンツに対する前記トリガ情報の時間的な挿入位置に関する時間位置情報を含む前記トリガ情報を抽出するトリガ抽出部と、
抽出した前記トリガ情報に含まれる前記識別情報及び前記時間位置情報により特定される、前記アプリケーションプログラムの動作を制御するためのコマンドを取得するコマンド取得部と、
取得した前記コマンドに応じて、前記アプリケーションプログラムの動作を制御する制御部と
を備える受信装置。
【請求項2】
前記コマンドは、前記アプリケーションプログラムの取得若しくは登録、取得若しくは起動、イベント発火、中断、又は終了のうちのいずれかを示しており、
前記制御部は、各コマンドに応じて、前記アプリケーションプログラムの取得若しくは登録、若しくは取得若しくは起動、又は実行中の前記アプリケーションプログラムのイベント発火、休止、若しくは終了を制御する
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記コマンドは、前記コマンドを実行する時刻を示す時刻情報を含み、
前記制御部は、前記時刻情報に応じて、前記コマンドを実行する
請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記時刻情報は、前記AVコンテンツの進行と関係なくあらかじめ定められた特定の時刻となったときに前記コマンドを実行させるための情報、又は前記AVコンテンツの進行と連動してあらかじめ定められた特定の時間が経過したときに前記コマンドを実行させるための情報である
請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記コマンドが取得若しくは起動を示し、かつ、前記アプリケーションプログラムを取得していない場合、前記アプリケーションプログラムを取得した後、前記コマンドを実行する時刻となったとき、取得した前記アプリケーションプログラムを起動する
請求項3に記載の受信装置。
【請求項6】
前記識別情報及び前記時間位置情報を、前記コマンドを提供する情報処理装置に送信する送信部をさらに備え、
前記コマンド取得部は、前記情報処理装置から、前記識別情報及び前記時間位置情報に応じた前記コマンドを取得する
請求項1に記載の受信装置。
【請求項7】
前記コマンドの解析結果に応じた要求を、前記アプリケーションプログラムを提供する情報処理装置に送信する送信部をさらに備え、
前記制御部は、前記情報処理装置からの前記要求に応じた前記アプリケーションプログラムの取得を制御する
請求項2に記載の受信装置。
【請求項8】
前記識別情報に応じて、前記コマンドを提供する情報処理装置を特定するための特定情報を取得する特定情報取得部をさらに備え、
前記コマンド取得部は、取得した前記特定情報により特定される前記情報処理装置にアクセスして、前記コマンドを取得する
請求項1に記載の受信装置。
【請求項9】
受信装置が、
AVコンテンツを受信し、
前記AVコンテンツとともに送信される、前記AVコンテンツに連動して実行されるアプリケーションプログラムを動作させるためのトリガ情報であって、前記AVコンテンツを識別するための識別情報及び前記AVコンテンツに対する前記トリガ情報の時間的な挿入位置に関する時間位置情報を含む前記トリガ情報を抽出し、
抽出した前記トリガ情報に含まれる前記識別情報及び前記時間位置情報により特定される、前記アプリケーションプログラムの動作を制御するためのコマンドを取得し、
取得した前記コマンドに応じて、前記アプリケーションプログラムの動作を制御する
ステップを含む受信方法。
【請求項10】
AVコンテンツを受信する受信部と、
前記AVコンテンツとともに送信される、前記AVコンテンツに連動して実行されるアプリケーションプログラムを動作させるためのトリガ情報であって、前記AVコンテンツを識別するための識別情報及び前記AVコンテンツに対する前記トリガ情報の時間的な挿入位置に関する時間位置情報を含む前記トリガ情報を抽出するトリガ抽出部と、
抽出した前記トリガ情報に含まれる前記識別情報及び前記時間位置情報により特定される、前記アプリケーションプログラムの動作を制御するためのコマンドを取得するコマンド取得部と、
取得した前記コマンドに応じて、前記アプリケーションプログラムの動作を制御する制御部と
して、コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項11】
AVコンテンツを受信する受信装置、前記AVコンテンツに連動して実行されるアプリケーションプログラムの動作を制御するためのコマンドの取得先を特定する第1の情報処理装置、前記コマンドを提供する第2の情報処理装置、及び前記アプリケーションプログラムを提供する第3の情報処理装置から構成される情報処理システムにおいて、
前記受信装置は、
前記AVコンテンツを受信する受信部と、
前記AVコンテンツとともに送信される、前記アプリケーションプログラムを動作させるためのトリガ情報であって、前記AVコンテンツを識別するための識別情報及び前記AVコンテンツに対する前記トリガ情報の時間的な挿入位置に関する時間位置情報を含む前記トリガ情報を抽出するトリガ抽出部と、
抽出した前記トリガ情報に含まれる前記識別情報に応じて、前記第1の情報処理装置から、前記第2の情報処理装置を特定するための特定情報を取得する特定情報取得部と、
前記第1の情報処理装置から取得した前記特定情報により特定される前記第2の情報処理装置にアクセスして、前記識別情報及び前記時間位置情報に応じた前記コマンドを取得するコマンド取得部と、
前記第2の情報処理装置から取得した前記コマンドに応じて、前記第3の情報処理装置から取得した前記アプリケーションプログラムの動作を制御する制御部と
を備え、
前記第1の情報処理装置は、
前記受信装置からの問い合わせに応じて、前記特定情報を提供する第1の提供部を備え、
前記第2の情報処理装置は、
前記受信装置からの問い合わせに応じて、前記コマンドを提供する第2の提供部を備え、
前記第3の情報処理装置は、
前記受信装置からの問い合わせに応じて、前記コマンドに応じた前記アプリケーションプログラムを提供する第3の提供部を備える
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システムに関し、特に、デジタルテレビジョン番組等のAVコンテンツに連動して実行されるアプリケーションプログラムを提供することができるようにした受信装置、受信方法、プログラム、及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルテレビジョン放送信号を受信する受信装置において、デジタルテレビジョン番組と連動したアプリケーションプログラムをインターネットに接続されたサーバから取得して実行するサービスが普及することが予想され、このような放送と通信を融合したハイブリッドサービスを実現するための技術の検討が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−245653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、受信装置が、デジタルテレビジョン放送信号を直接受信しないで、CATV網や衛星通信網などの放送伝送路を介して受信する場合、デジタルテレビジョン番組と連動したアプリケーションプログラムを実行させるサービスの実現のためには、当該サービスに関連する情報を、放送伝送路及び専用端末を介して受信装置に通知する必要がある。
【0005】
その際、放送伝送路の設備や専用端末の改修が必要となるほか、中継を行う放送事業者の許諾を得なければならないため、そのような作業を伴うことなく、デジタルテレビジョン番組に連動して実行されるアプリケーションプログラムを提供できるようにすることが求められている。しかしながら、現状では、デジタルテレビジョン番組に連動して実行されるアプリケーションプログラムを提供するための技術方式は確立されてない。
【0006】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、デジタルテレビジョン番組等のAVコンテンツに連動して実行されるアプリケーションプログラムを提供することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の第1の側面の受信装置は、AVコンテンツを受信する受信部と、前記AVコンテンツとともに送信される、前記AVコンテンツに連動して実行されるアプリケーションプログラムを動作させるためのトリガ情報であって、前記AVコンテンツを識別するための識別情報及び前記AVコンテンツに対する前記トリガ情報の時間的な挿入位置に関する時間位置情報を含む前記トリガ情報を抽出するトリガ抽出部と、抽出した前記トリガ情報に含まれる前記識別情報及び前記時間位置情報により特定される、前記アプリケーションプログラムの動作を制御するためのコマンドを取得するコマンド取得部と、取得した前記コマンドに応じて、前記アプリケーションプログラムの動作を制御する制御部とを備える。
【0016】
受信装置は、独立した装置であってもよいし、1つの装置を構成している内部ブロックであってもよい。
【0017】
本技術の第1の側面の受信方法又はプログラムは、前述した本技術の第1の側面の受信装置に対応する受信方法又はプログラムである。
【0018】
本技術の第1の側面の受信装置、受信方法、及びプログラムにおいては、AVコンテンツが受信され、AVコンテンツとともに送信される、AVコンテンツに連動して実行されるアプリケーションプログラムを動作させるためのトリガ情報であって、AVコンテンツを識別するための識別情報及びAVコンテンツに対するトリガ情報の時間的な挿入位置に関する時間位置情報を含むトリガ情報が抽出され、抽出されたトリガ情報に含まれる識別情報及び時間位置情報により特定される、アプリケーションプログラムの動作を制御するためのコマンドが取得され、取得されたコマンドに応じて、アプリケーションプログラムの動作が制御される。
【0019】
本技術の第2の側面の情報処理システムは、AVコンテンツを受信する受信装置、前記AVコンテンツに連動して実行されるアプリケーションプログラムの動作を制御するためのコマンドの取得先を特定する第1の情報処理装置、前記コマンドを提供する第2の情報処理装置、及び前記アプリケーションプログラムを提供する第3の情報処理装置から構成される情報処理システムにおいて、前記受信装置は、前記AVコンテンツを受信する受信部と、前記AVコンテンツとともに送信される、前記アプリケーションプログラムを動作させるためのトリガ情報であって、前記AVコンテンツを識別するための識別情報及び前記AVコンテンツに対する前記トリガ情報の時間的な挿入位置に関する時間位置情報を含む前記トリガ情報を抽出するトリガ抽出部と、抽出した前記トリガ情報に含まれる前記識別情報に応じて、前記第1の情報処理装置から、前記第2の情報処理装置を特定するための特定情報を取得する特定情報取得部と、前記第1の情報処理装置から取得した前記特定情報により特定される前記第2の情報処理装置にアクセスして、前記識別情報及び前記時間位置情報に応じた前記コマンドを取得するコマンド取得部と、前記第2の情報処理装置から取得した前記コマンドに応じて、前記第3の情報処理装置から取得した前記アプリケーションプログラムの動作を制御する制御部とを備え、前記第1の情報処理装置は、前記受信装置からの問い合わせに応じて、前記特定情報を提供する第1の提供部を備え、前記第2の情報処理装置は、前記受信装置からの問い合わせに応じて、前記コマンドを提供する第2の提供部を備え、前記第3の情報処理装置は、前記受信装置からの問い合わせに応じて、前記コマンドに応じた前記アプリケーションプログラムを提供する第3の提供部を備える。
【0020】
本技術の第2の側面の情報処理システムにおいては、受信装置によって、AVコンテンツが受信され、AVコンテンツとともに送信される、アプリケーションプログラムを動作させるためのトリガ情報であって、AVコンテンツを識別するための識別情報及びAVコンテンツに対するトリガ情報の時間的な挿入位置に関する時間位置情報を含むトリガ情報が抽出され、抽出されたトリガ情報に含まれる識別情報に応じて、第1の情報処理装置から、第2の情報処理装置を特定するための特定情報が取得され、第1の情報処理装置から取得された特定情報により特定される第2の情報処理装置にアクセスして、識別情報及び時間位置情報に応じたコマンドが取得され、第2の情報処理装置から取得されたコマンドに応じて、第3の情報処理装置から取得したアプリケーションプログラムの動作が制御され、第1の情報処理装置によって、受信装置からの問い合わせに応じて、特定情報が提供され、第2の情報処理装置によって受信装置からの問い合わせに応じて、コマンドが提供され、第3の情報処理装置によって、受信装置からの問い合わせに応じて、コマンドに応じたアプリケーションプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0021】
本技術によれば、デジタルテレビジョン番組等のAVコンテンツに連動して実行されるアプリケーションプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】放送システムの構成例を示す図である。
図2】受信装置の構成例を示す図である。
図3】放送システムを構成する各装置の動作を示す図である。
図4】トリガ情報をビデオ信号に埋め込む例を示す図である。
図5】トリガ情報をTSのPCRパケットに含めて送信する概念を示す図である。
図6】PCRパケットにおけるトリガ情報の具体的な配置を示す図である。
図7】トリガ情報に含まれる項目の一例を示す図である。
図8】コマンドに含まれる情報の項目の一例を示す図である。
図9】コマンドの詳細仕様を示す図である。
図10】コマンドの詳細仕様を示す図である。
図11】コマンドの記述例を示す図である。
図12】データ放送用アプリの状態遷移を示す図である。
図13】各コマンドと状態遷移の関係を示す図である。
図14】コマンド対応処理を示すフローチャートである。
図15】同期制御処理を示すフローチャートである。
図16】動作シナリオの例を示す図である。
図17】通信システムの構成例を示す図である。
図18】コンピュータの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本技術の実施の形態について説明する。
【0024】
<第1の実施の形態>
[放送システムの構成例]
図1は、本実施の形態である放送システム1を示している。この放送システム1は、放送装置11、受信装置12、事業者解決サーバ13、コマンドサーバ14、及びアプリサーバ15から構成される。また、受信装置12、事業者解決サーバ13、コマンドサーバ14、及びアプリサーバ15は、インターネット16を介して、相互に接続されている。
【0025】
放送装置11は、デジタルテレビジョン番組やCM等のAVコンテンツのデジタルテレビジョン放送信号を送信するようになされている。なお、以下の説明では、AVコンテンツとして、デジタルテレビジョン番組を一例に説明する。
【0026】
また、放送装置11は、デジタルテレビジョン番組に連動して実行されるデータ放送用アプリを動作させるためのトリガ情報を、デジタルテレビジョン放送信号に含めて送信する。ここで、データ放送用アプリとは、デジタルテレビジョン番組に連動して実行されるデータ放送用のアプリケーションプログラムである。
【0027】
また、トリガ情報は、デジタルテレビジョン番組のビデオ信号又はオーディオ信号に挿入したり、デジタルテレビジョン放送信号のトランスポートストリーム(Transport Stream、以下、TSという)内に配置したりして送信する。なお、トリガ情報の詳細については、図4乃至図7を参照して後述する。
【0028】
受信装置12は、放送装置11から送信されたデジタルテレビジョン放送信号を受信して、デジタルテレビジョン番組の映像及び音声を取得する。受信装置12は、取得した映像をモニタに出力するとともに、音声をスピーカに出力する。
【0029】
なお、受信装置12は、単体として存在してもよいし、例えば、テレビジョン受像機やビデオレコーダ等に内蔵されているようにしてもよい。また、受信装置12の詳細な構成は、図2を参照して後述する。
【0030】
また、受信装置12は、トリガ情報に応じて、インターネット16を介して事業者解決サーバ13にアクセスして、データ放送用アプリの動作を制御するためのコマンドの取得先を問い合わせる。
【0031】
事業者解決サーバ13は、コマンドサーバ特定情報を管理している。ここで、コマンドサーバ特定情報は、デジタルテレビジョン番組の提供元となる事業者に対応して、その事業者により提供されるデータ放送用アプリの動作を制御するためのコマンドを提供するコマンドサーバ14を特定するための情報である。事業者解決サーバ13は、受信装置12からの問い合わせに応じて、コマンドサーバ特定情報を、インターネット16を介して受信装置12に提供する。
【0032】
受信装置12は、事業者解決サーバ13から取得したコマンドサーバ特定情報に応じて、インターネット16を介してコマンドサーバ14にアクセスして、データ放送用アプリの動作を制御するためのコマンドを取得する。
【0033】
コマンドサーバ14は、データ放送用アプリの動作を制御するためのコマンドを管理している。コマンドサーバ14は、受信装置12からの問い合わせに応じて、コマンドを、インターネット16を介して受信装置12に提供する。
【0034】
受信装置12は、コマンドサーバ14から取得したコマンドに応じて、データ放送用アプリの動作を制御する。また、受信装置12は、コマンドサーバ14から受信したコマンドに応じて、インターネット16を介してアプリサーバ15にアクセスし、データ放送用アプリを取得する。
【0035】
アプリサーバ15は、放送装置11により放送されるデジタルテレビジョン番組に連動して実行されるデータ放送用アプリを管理している。アプリサーバ15は、受信装置12からの問い合わせに応じて、データ放送用アプリを、インターネット16を介して受信装置12に提供する。
【0036】
放送システム1は、以上のように構成される。
【0037】
[受信装置の構成例]
図2は、図1の受信装置12の構成例を示している。
【0038】
受信装置12は、チューナ51、多重分離部52、オーディオデコーダ53、オーディオ出力部54、ビデオデコーダ55、ビデオ出力部56、トリガ抽出部57、通信I/F58、クロック同期部59、コマンド解析部60、制御部61、メモリ62、操作部63、アプリエンジン64、キャッシュメモリ65、及びアプリ用メモリ66から構成される。
【0039】
チューナ51は、ユーザによって選局されたチャンネルに対応するデジタルテレビジョン放送信号を受信して復調し、その結果得られるTSを多重分離部52に出力する。
【0040】
多重分離部52は、チューナ51から入力されるTSをオーディオ符号化信号と、ビデオ符号化信号に分離し、それぞれをオーディオデコーダ53と、ビデオデコーダ55に出力する。また、多重分離部52は、TSを構成するTSパケットからPCR(Program Clock Reference)を抽出して、クロック同期部59に供給する。
【0041】
オーディオデコーダ53は、入力されたオーディオ符号化信号をデコードし、その結果得られるオーディオ信号をオーディオ出力部54に出力する。オーディオ出力部54は、入力されたオーディオ信号を、後段のスピーカに出力する。
【0042】
ビデオデコーダ55は、入力されたビデオ符号化信号をデコードし、その結果得られるビデオ信号をビデオ出力部56及びトリガ抽出部57に出力する。ビデオ出力部56は、ビデオデコーダ55から入力されたビデオ信号を、後段のモニタに出力する。
【0043】
トリガ抽出部57には、ビデオデコーダ55から入力されたビデオ信号を常に監視し、ビデオ信号に埋め込まれているトリガ情報を抽出する。
【0044】
なお、ここでは、トリガ情報がビデオ信号に埋め込まれている場合を一例に説明するが、トリガ情報がTSに配置されている場合、トリガ抽出部57は、多重分離部52から入力される、トリガ情報を含むPCRパケットからトリガ情報を抽出する。また、トリガ情報がオーディオ信号に埋め込まれている場合、トリガ抽出部57は、オーディオデコーダ53から入力されるオーディオ信号を常に監視し、オーディオ信号に埋め込まれているトリガ情報を抽出する。
【0045】
トリガ抽出部57は、抽出されたトリガ情報に応じて、通信I/F58を制御して、インターネット16を介して事業者解決サーバ13にアクセスして、コマンドの取得先を問い合わせる。通信I/F58は、事業者解決サーバ13から送信されるコマンドサーバ特定情報を受信し、制御部61に供給する。
【0046】
制御部61は、メモリ62にあらかじめ記憶されている制御用プログラムを実行することにより受信装置12の各部の動作を制御する。メモリ62には、制御部61によって実行される制御用プログラムがあらかじめ記憶されている。この制御用プログラムは、デジタルテレビジョン放送信号、又はインターネット16を介して取得する更新データに基づいて適宜更新することができる。操作部63は、ユーザからの各種の操作を受け付けて、それに対応する操作信号を制御部61に通知する。
【0047】
また、制御部61は、通信I/F58からのコマンドサーバ特定情報を取得する。制御部61は、取得されたコマンドサーバ特定情報に応じて、通信I/F58を制御して、インターネット16を介してコマンドサーバ14にアクセスし、コマンドを問い合わせる。通信I/F58は、コマンドサーバ14から送信されるコマンドを受信し、コマンド解析部60に供給する。
【0048】
コマンド解析部60は、通信I/F58からのコマンドを解析し、その解析結果を制御部61に供給する。
【0049】
クロック同期部59は、例えばPLL(Phase Locked Loop)によって構成され、多重分離部52からのPCRに応じたシステムクロックを、オーディオデコーダ53、ビデオデコーダ55、及び制御部61など、受信装置12の各部に供給する。これにより、受信装置12では、放送装置11と同期したシステムクロックを得ることができるため、オーディオ信号及びビデオ信号を再生することができる。
【0050】
制御部61は、コマンド解析部60からの解析結果に基づき、データ放送用アプリの取得若しくは登録、取得若しくは起動、イベント発火、中断、又は終了等を制御する。また、制御部61は、コマンド解析部60からの解析結果に基づき、クロック同期部59からのシステムクロックを基準に、コマンドの実行のタイミングを制御する。
【0051】
アプリエンジン64は、制御部61からの制御に従い、通信I/F58を制御して、インターネット16を介してアプリサーバ15にアクセスし、データ放送用アプリを要求する。通信I/F58は、アプリサーバ15から送信されるデータ放送用アプリを受信し、キャッシュメモリ65に保持させる。
【0052】
アプリエンジン64は、制御部61からの制御に従い、キャッシュメモリ65に保持されているデータ放送用アプリを読み出して実行する。実行中のデータ放送用アプリのビデオ信号は、ビデオ出力部56に供給される。
【0053】
ビデオ出力部56は、アプリエンジン64から入力されるビデオ信号と、ビデオデコーダ55から入力されたビデオ信号を合成して、後段のモニタに出力する。
【0054】
アプリ用メモリ66は、ワークメモリ66A及び退避メモリ66Bとからなる。アプリエンジン64は、実行中のデータ放送用アプリに関するデータ(具体的には、表示されている情報の階層などを含む)をワークメモリ66Aに記録する。また、アプリエンジン64は、実行中のデータ放送用アプリを休止する場合、アプリ用メモリ66のワークメモリ66Aのデータを退避メモリ66Bに移動させる。そして、休止したデータ放送用アプリを再開する場合、退避メモリ66Bのデータをワークメモリ66Aに移動させて休止前の状態を復活させる。
【0055】
受信装置12は、以上のように構成される。
【0056】
[放送システムの各装置の動作]
次に、図3を参照して、放送システム1を構成する各装置の動作について説明する。
【0057】
図3の放送システム1においては、放送装置11によって、デジタルテレビジョン番組(図中の「Content」)のデジタルテレビジョン放送信号が、トリガ情報(図中の「Trigger」)を含めて送信される。また、デジタルテレビジョン放送信号には、当該デジタルテレビジョン番組に関するメタデータ(図中の「Metadata」)が含まれている。
【0058】
受信装置12(図中の「TV」)は、放送装置11からデジタルテレビジョン放送信号を直接受信する場合、デジタルテレビジョン放送信号に含まれるメタデータを取得することができる(S1)。一方、受信装置12は、CATV網や衛星通信網などを介して、放送装置11からのデジタルテレビジョン放送信号を受信する場合、セットトップボックス17(図中の「STB(Set Top Box) Recorder」)による変換後の信号を、HDMI(High Definition Multimedia Interface)経由で受信することになる(S1−1,S1−2)。この場合、セットトップボックス17からの出力は、デジタルテレビジョン番組とトリガ情報のみとなり、受信装置12では、メタデータを利用することはできない。
【0059】
すなわち、受信装置12においては、デジタルテレビジョン放送信号を直接受信する場合(S1)のほか、セットトップボックス17を経由して受信する場合(S1−1,S1−2)でも、デジタルテレビジョン放送信号とともに送信されるトリガ情報を抽出することができる。そして、受信装置12は、抽出されたトリガ情報に含まれる選局中のデジタルテレビジョン番組のチャンネル識別情報を、インターネット16を介して事業者解決サーバ13に送信して、コマンドの取得先を問い合わせる(S2)。
【0060】
ここで、チャンネル識別情報は、デジタルテレビジョン番組のチャンネルを識別するための識別情報であって、後述する図7の「ソースID」に対応している。図3において、チャンネル識別情報は、「S ID」により示されており、事業者解決サーバ13には、「S ID」が送信される。
【0061】
なお、受信装置12には、事業者解決サーバ13のURL(Uniform Resource Locator)等の事業者解決サーバ13を特定するための事業者解決サーバ特定情報があらかじめメモリ62に記憶されている。受信装置12は、事業者解決サーバ特定情報をメモリ62から読み出すことで、事業者解決サーバ13にアクセスする。また、事業者解決サーバ特定情報は、例えば設定ファイルとして提供される。この設定ファイルは、デジタルテレビジョン放送信号、又はインターネット16を介して取得する更新データに基づいて適宜更新することができる。
【0062】
事業者解決サーバ13は、受信装置12からのチャンネル識別情報に対応するデジタルテレビジョン番組の提供元となる事業者を識別して、その事業者のコマンドサーバ特定情報を特定する。具体的には、事業者解決サーバ13は、例えば、デジタルテレビジョン番組を識別する識別情報、デジタルテレビジョン番組の提供元となる事業者情報、及び事業者ごとのコマンドサーバ特定情報を対応付けたテーブルを保持している。事業者解決サーバ13は、当該テーブルを参照することで、受信装置12からのチャンネル識別情報に対応するデジタルテレビジョン番組を提供する事業者のコマンドサーバ特定情報を特定する。そして、事業者解決サーバ13は、特定された事業者のコマンドサーバ特定情報を、インターネット16を介して受信装置12に送信する(S3)。コマンドサーバ特定情報には、例えば、コマンドサーバ14のURLが記述される。
【0063】
受信装置12は、事業者解決サーバ13からのコマンドサーバ特定情報に応じて、インターネット16を介してコマンドサーバ14にアクセスする。そして、受信装置12は、トリガ情報に含まれるチャンネル識別情報及び時間位置情報を、インターネット16を介してコマンドサーバ14に送信することで、受信装置12にて実行可能となるコマンドを問い合わせる(S4)。
【0064】
ここで、時間位置情報とは、デジタルテレビジョン番組に対するトリガ情報の時間的な挿入位置を示す情報である。例えば、時間位置情報は、デジタルテレビジョン番組の開始から終了までを時間軸で表したときのトリガ情報が挿入された時間位置などを示している。また、この時間位置情報は、後述する図7の「メディア時刻」に対応している。図3において、時間位置情報は、「MT(Media Time)」により示されており、コマンドサーバ14には、「S ID」及び「MT」が送信される。
【0065】
コマンドサーバ14は、受信装置12からの問い合わせに応じて、チャンネル識別情報及び時間位置情報に応じたコマンドを特定する。具体的には、コマンドサーバ14は、デジタルテレビジョン番組ごとに実行可能となるコマンドを管理しており、受信装置12からのチャンネル識別情報に対応するデジタルテレビジョン番組において、時間位置情報に対応する時間帯に実行可能となるコマンドを特定する。例えば、コマンドサーバ14は、受信装置12からの時間位置情報に基づいて、受信装置12にて対象となるトリガ情報が受信された時刻から次のトリガ情報が受信される時刻までの間(例えば、数秒間や数分間)に動作させるべき1又は複数のコマンドを特定する。そして、コマンドサーバ14は、特定されたコマンドを、インターネット16を介して受信装置12に送信する(S5)。なお、コマンドは、例えばコマンドファイル(図中の「Command File」)として提供され、そのファイルには、1又は複数のコマンドが記述される。
【0066】
なお、コマンドサーバ14は、受信装置12にて選局中のデジタルテレビジョン番組に連動して実行されるデータ放送用アプリの動作を制御するためのコマンドのすべてを、一度に、受信装置12に送信するようにしてもよい。この場合、受信装置12は、受信した全コマンドのうち、コマンド発効時刻となったコマンドから順に実行することになる。なお、コマンド発効時刻の詳細は後述する。また、コマンドサーバ14は、電波障害や受信装置12における取りこぼし(受信ミス)などを考慮して、同一内容のコマンドファイルを、複数回連続的に送信することになる。
【0067】
受信装置12は、コマンドサーバ14からのコマンドを受信して、解析する。また、受信装置12は、コマンドの解析結果に従って、アプリサーバ15にアクセスし、選局中のデジタルテレビジョン番組に連動して実行されるデータ放送用アプリを要求する(S6、図中の「App request」)。
【0068】
アプリサーバ15は、受信装置12からのアプリ要求に応じて、データ放送用アプリ(図中の「Application」)を、受信装置12に送信する(S7)。受信装置12は、アプリサーバ15からのデータ放送用アプリを取得して、そのデータ放送用アプリを起動する。
【0069】
また、受信装置12では、データ放送用アプリの実行中にトリガ情報が抽出された場合、抽出されたトリガ情報に応じて、コマンドサーバ14から、実行中のデータ放送用アプリの動作を制御するコマンドが取得される。そして、データ放送用アプリは、取得されたコマンドに応じて、イベント発火、中断、又は終了等の動作を実行することになる。
【0070】
以上のように、受信装置12では、放送装置11からのトリガ情報に応じて、事業者解決サーバ13、コマンドサーバ14、及びアプリサーバ15との連携が行われることで、選局中のデジタルテレビジョン番組に連動したデータ放送用アプリが取得され、実行される。
【0071】
なお、受信装置12は、事前に事業者解決サーバ13にアクセスしておくことで、コマンドサーバ特定情報に関するテーブルをまとめて取得して、あらかじめメモリ62に保持するようにしてもよい。これにより、受信装置12は、トリガ情報を受信するごとに、事業者解決サーバ13にアクセスすることなく、自身があらかじめ保持しているテーブルを参照して、トリガ情報に含まれるチャンネル識別情報に対応するデジタルテレビジョン番組の提供元となる事業者のコマンドサーバ特定情報を特定することが可能となる。あるいは、コマンドサーバ特定情報が、上記チャンネル識別情報に含まれる等、別の手段により取得可能な場合にも、受信装置12は、トリガ情報を受信するごとに、事業者解決サーバ13にアクセスすることなく、コマンドサーバ特定情報を特定することが可能となる。例えば、放送装置11により放送されるデジタルテレビジョン番組のように、チャンネル数がある程度限られている場合、受信装置12は、当該テーブルを保持することで、迅速に、コマンドサーバ特定情報を特定することができる。
【0072】
また、前述した説明では、受信装置12は、事業者解決サーバ13に対してコマンドサーバ特定情報を問い合わせるに際し、チャンネル識別情報のみを送信するとして説明したが、チャンネル識別情報のほか、受信装置12側を識別するための識別情報を送信するようにしてもよい。この識別情報としては、例えば、受信装置12を識別するための端末識別情報、又は受信装置12を使用するユーザを識別するためのユーザ識別情報を送信することができる。これにより、事業者解決サーバ13では、識別情報に対応したユーザ属性情報(例えば、ユーザの性別、年齢、住所、趣味など)をあらかじめ登録しておくことで、受信装置12からの識別情報に応じて、各種の処理を行い、ユーザごとに様々なサービスを提供することが可能となる。例えば、事業者解決サーバ13は、受信装置12からの識別情報を用いて、個人視聴率などの視聴率調査に関する処理を行うことが可能となる。
【0073】
さらに、前述した説明では、受信装置12は、コマンドサーバ14に対してコマンドを問い合わせるに際し、チャンネル識別情報及び時間位置情報のみを送信するとして説明したが、チャンネル識別情報及び時間位置情報のほか、端末識別情報等の受信装置12側を識別するための識別情報を送信するようにしてもよい。これにより、コマンドサーバ14では、識別情報に対応したユーザ属性情報(例えば、ユーザの性別など)をあらかじめ登録しておくことで、受信装置12からの識別情報に応じて、ユーザごとにカスタマイズされたコマンドを提供することが可能となる。
【0074】
また、前述した説明では、受信装置12は、アプリサーバ15に対してデータ放送用アプリを問い合わせるに際し、アプリ要求のみを送信するとして説明したが、アプリ要求に端末識別情報等の受信装置12側を識別するための識別情報を含めて送信するようにしてもよい。これにより、アプリサーバ15では、識別情報に対応したユーザ属性情報(例えば、ユーザの性別など)をあらかじめ登録しておくことで、受信装置12からの識別情報に応じて、ユーザごとにカスタマイズされたデータ放送用アプリを提供することが可能となる。
【0075】
なお、事業者解決サーバ13乃至アプリサーバ15のいずれかの1つの特定のサーバにおいて、識別情報に対応したユーザ属性情報を登録しておき、受信装置12からの識別情報に応じた処理を行い、その処理結果が他のサーバに通知されるようにしてもよい。これにより、例えば、事業者解決サーバ13のみが、識別情報に対応したユーザ属性情報を管理している場合、コマンドサーバ14は、事業者解決サーバ13から通知される処理結果を用いて、ユーザごとにカスタマイズされたコマンドを、受信装置12に提供することができる。また、アプリサーバ15は、事業者解決サーバ13から通知される処理結果を用いて、ユーザごとにカスタマイズされたデータ放送用アプリを、受信装置12に提供することができる。このように、放送システム1においては、各サーバが連携することで、ユーザ属性情報に応じたコマンド又はデータ放送用アプリが、受信装置12に提供される。
【0076】
[トリガ情報の送信方法]
次に、トリガ情報の送信方法について説明する。
【0077】
図4は、トリガ情報をデジタルテレビジョン番組のビデオ信号に埋め込んだ場合の2種類の例を示している。
【0078】
図Aは、トリガ情報を2次元バーコード化して、ビデオ信号の画像の所定の位置(いまの場合、右下隅)に重畳合成する例を示している。同図Bは、トリガ情報を映像コード化して、ビデオ信号の画像の下部の数ラインに合成する例を示している。同図Aおよび同図Bにおけるトリガ情報は、受信装置12のトリガ抽出部57によって検出される。
【0079】
図Aまたは同図Bのどちらの例においても、トリガ情報はデジタルテレビジョン番組の映像の上に配置されているので、例えば、CATV網や衛星通信網を利用した受信装置(例えば、図3の受信装置12)に対しても、トリガ情報を通知することができる。
【0080】
また、同図Aまたは同図Bのどちらの例においても映像上のトリガ情報(2次元バーコードまたは映像コード)は受信装置12のユーザによって視認され得るが、これが好ましくない場合、映像上のトリガ情報をその周囲の画素と同じ画素によりマスクしてから表示するようにすればよい。
【0081】
図4ではトリガ情報をデジタルテレビジョン番組のビデオ信号に埋め込む例を示したが、前述したように、トリガ情報の格納位置、伝送方法はこれに限定されるものではない。例えばほかに、トリガ情報がTSのPCRに格納されるようにしてもよい。
【0082】
図5は、トリガ情報がデジタルテレビジョン放送信号のTSのPCRパケットに配置された送信される場合の概念を示している。
【0083】
同図に示すように、トリガ情報は全てのPCRパケットに格納されるわけではなく、デジタルテレビジョン番組に連動させるための適切なタイミングにおいてのみ、PCRパケットに格納される。通常、PCRパケットは、CATV再送信装置のPIDフィルタを通過するので、CATV網や衛星通信網を利用する受信装置(例えば、図3の受信装置12)に対してもトリガ情報を通知することができる。また、トリガ情報は、ビデオ符号化ストリームやオーディオ符号化ストリーム上のユーザデータ領域に配置してもよい。
【0084】
なお、トリガ情報は、電波障害や受信装置12における取りこぼし(受信ミス)などを考慮して、同一内容のものが複数回連続的に送信される。
【0085】
図6は、PCRパケットにおいてトリガ情報が格納される位置を示している。PCRパケットは、TSパケットのadaptation_fieldにPCRが格納されたものであり、トリガ情報(Trigger Info_descriptor)は、PCRの後に続くtransport_private_data_byteに格納される。なお、トリガ情報が格納される場合、PCRの前に設けられているVarious_flagsのtransport_private_data_flagが1とされる。
【0086】
[トリガ情報の詳細]
次に、トリガ情報の詳細について説明する。図7は、トリガ情報に含まれる情報の項目の一例を示している。
【0087】
「トリガID」は、当該トリガ情報を識別するための情報である。同一内容のトリガ情報が複数回送信される場合、各トリガ情報のトリガIDは同一である。したがって、受信装置12は、同一のトリガIDのトリガ情報に対しては1度だけ処理を行えばよい。
【0088】
「ソースIDタイプ」は、当該トリガ情報とともに送信されるAVコンテンツのタイプを示しており、「1」又は「2」のいずれかが指定される。ソースIDタイプとして「1」が指定された場合、そのAVコンテンツは、「チャンネル」、すなわち、放送装置11から送信されたデジタルテレビジョン番組等であることを示す。また、ソースIDタイプとして「2」が指定された場合、そのAVコンテンツは、「コンテンツ」、すなわち、配信サーバ(後述する図17の配信サーバ91)から、VOD(Video On Demand)により配信されたVODコンテンツであることを示す。
【0089】
「ソースID」は、ソース(Source)としてのAVコンテンツを識別するための情報である。ソースIDタイプとして「1」が指定された場合、ソースIDには、デジタルテレビジョン番組を識別するためのチャンネル識別情報が指定される。チャンネル識別情報は、放送方式により異なるが、例えば、ネットワークID、トランスポートストリームID、及びサービスIDの組み合わせからなる。また、ソースIDタイプとして「2」が指定された場合、ソースIDには、VODコンテンツを識別するためのコンテンツ識別情報が指定される。例えば、コンテンツ識別情報には、URLなどのVODコンテンツを一意に特定するためのコンテンツIDが指定される。
【0090】
「メディア時刻タイプ」は、デジタルテレビジョン番組等のAVコンテンツに対するトリガ情報の時間的な挿入位置を示す情報である「メディア時刻」のタイプを示しており、「1」乃至「3」のいずれかが指定される。メディア時刻タイプとして「1」が指定された場合、メディア時刻には、例えば、相対時間として、AVコンテンツの開始時刻からの相対的な時間が指定される。また、メディア時刻タイプとして「2」が指定された場合、メディア時刻には、AVコンテンツの進行とは無関係に、あらかじめ設定された特定の日時が指定される。さらに、メディア時刻タイプとして「3」が指定された場合、メディア時刻には、同期再生を行うための時間情報であるPTS(Presentation Time Stamp)を用いたTSのSTC(System Time Clock)値が指定される。
【0091】
例えば、ソースIDタイプ「2」が指定されるVODコンテンツの場合、メディア時刻タイプ「1」が指定され、メディア時刻には、VODコンテンツの開始時刻からの相対的な時間が指定される。また、例えば、ソースIDタイプ「1」が指定されるデジタルテレビジョン番組の場合、メディア時刻タイプ「2」が指定され、メディア時刻には、絶対日時が指定される。さらに、例えば、より厳密な時刻情報を指定したい場合には、メディア時刻タイプ「3」が指定され、メディア時刻には、STC値が指定される。
【0092】
なお、前述したように、「ソースID」は、チャンネル識別情報に相当し、「メディア時刻」は、時間位置情報に相当するものである。
【0093】
トリガ情報は、以上のように構成される。
【0094】
[コマンドの詳細]
図8は、コマンドに含まれる情報の項目の一例を示している。
【0095】
「コマンドID」は、当該コマンドを識別するための情報である。同一内容のコマンドが複数回送信される場合、各コマンドのコマンドIDは同一のものとなる。
【0096】
「コマンド発効時刻」は、当該コマンドを実行する時刻を示す「絶対日時」、「相対時間」、又は「PTS」のいずれかにより指定される。「絶対日時」は、デジタルテレビジョン番組の進行とは無関係に、あらかじめ設定された特定の日時となったときにコマンドを実行させる場合に指定される。また、「相対時間」は、デジタルテレビジョン番組中の基準となる時刻から特定の時間が経過したときにコマンドを実行させる場合に指定される。例えば、相対時間としては、デジタルテレビジョン番組の開始時刻からの相対的な時間が指定される。また、「PTS」は、同期再生を行うための時間情報であるPTSを用いて、コマンドを実行させる場合に指定される。すなわち、コマンド発効時刻としては、時分秒で指定する方式のほか、TSのSTC値で指定する方式を採用することが可能である。
【0097】
なお、コマンド発効時刻が既に経過している場合、当該コマンドは、受信された時点で即時に実行される。
【0098】
「コマンド対象機器タイプ」は、当該コマンドによるデータ放送用アプリ制御の対象となる機器が指定される。ここでは、受信装置本体(受信装置12)のほか、受信装置12に外部装置が接続される場合には、その外部装置が、コマンドの対象機器として指定される。
【0099】
「コマンドアクション」は、当該コマンドが、「アプリ取得」(Register)、「アプリ起動」(Execute)、「アプリ終了」(Terminate)、「イベント発火」(Inject_event)、「アプリ中断」(Suspend)のいずれかであるかを示す。
【0100】
レジスタ(Register)コマンドは、受信装置12に対して、データ放送用アプリの取得若しくは登録を指示するためのコマンドである。ここで、データ放送用アプリの登録とは、取得したデータ放送用アプリに対応付けて、その優先度と有効期限を記憶することを意味する。データ放送用アプリは、制御部61により、優先度と保持期限に従って管理される。
【0101】
エクスキュート(Execute)コマンドは、受信装置12に対して、データ放送用アプリの取得若しくは起動を指示するためのコマンドである。
【0102】
ターミネート(Terminate)コマンドは、受信装置12に対して、実行中のデータ放送用アプリを終了させるためのコマンドである。
【0103】
インジェクトイベント(Inject_event)コマンドは、受信装置12に対して、実行中のデータ放送用アプリにおいてイベントを発火させるためのコマンドである。
【0104】
サスペンド(Suspend)コマンドは、受信装置12に対して、実行中のデータ放送用アプリを休止させるためのコマンドである。
【0105】
「コマンド適用分散化パラメータ」は、受信装置12などの対象機器において、当該コマンドを適用するタイミングを確率的に分散させるためのパラメータである。このパラメータにより、コマンドサーバ14やアプリサーバ15にアクセスするタイミングが調整されるため、サーバに対するアクセスを分散して、負荷を軽減することが可能となる。
【0106】
「アプリID」は、当該コマンドに対応するデータ放送用アプリの識別情報である。「アプリタイプ」は、当該コマンドに対応するデータ放送用アプリのタイプを示す情報である。「事業者ID」は、当該コマンドに対応するデータ放送用アプリの実行サービスを行う事業者(例えば、放送局など)の識別情報である。
【0107】
「アプリURL」は、コマンドアクションが、「アプリ取得」又は「アプリ起動」である場合において、データ放送用アプリの取得先のURLを示す情報である。「アプリ有効期限」は、データ放送用アプリの有効期限を示す情報である。また、「アプリ保持優先度」は、当該コマンドに対応するデータ放送用アプリを取得、保持するときの優先度を示す情報である。データ放送用アプリが登録される場合、アプリ有効期限とデータ放送用アプリ保持優先度が記憶され、データ放送用アプリは、それらの有効期限と優先度に従って管理される。
【0108】
「イベントID」は、コマンドアクションが、「イベント発火」である場合において、アプリIDにて指定されたデータ放送用アプリにおいて発火すべきイベントの識別情報である。また、「イベント付加データ」は、コマンドアクションが、「イベント発火」である場合において、イベントを発火する際に参照されるデータが記載される。
【0109】
ここで、コマンドの詳細仕様について、図9及び図10に示す。
【0110】
コマンド要素は、destination属性、action属性のほか、timing要素、diffusion要素、application要素、event要素を主に含む。
【0111】
destination属性は、図8の「コマンド対象機器タイプ」に対応するものである。例えば、destination属性には、コマンドの対象機器が受信装置12となる場合、“receiver”が指定され、コマンドの対象機器が外部装置となる場合、“external_1”や“external_2”が指定される。
【0112】
action属性は、図8の「コマンドアクション」に対応するものである。例えば、action属性には、データ放送用アプリの取得若しくは起動を指示する場合、“execute”が指定され、データ放送用アプリの取得若しくは登録を指示する場合、“register”が指定され、データ放送用アプリの中断を指示する場合、“suspend”が指定される。また、action属性には、データ放送用アプリの終了を指示する場合、“terminate”が指定され、実行中のデータ放送用アプリにおいてイベントを発火させる場合、“event”が指定される。
【0113】
timing要素は、図8の「コマンド発効時刻」に対応するものである。timing要素の属性としては、unit属性がある。例えば、unit属性には、「絶対日時」を用いる場合、“utc”が指定され、「相対時間」を用いる場合、“smpte”が指定され、「PTS」を用いる場合、“pts”が指定される。
【0114】
diffusion要素は、図8の「コマンド適用分散化パラメータ」に対応するものである。diffusion要素の属性としては、rate属性、range属性、period属性があり、それぞれ、分配数、最大遅延時間、コマンド適用拡散期間が指定される。
【0115】
application要素は、図8の「アプリID」、「アプリタイプ」、「アプリURL」、「アプリ保持優先度」、及び「アプリ有効期限」に対応するものであって、id属性、type属性、url属性、priority属性、及びexpire_date属性が指定される。url属性及びexpire_date属性は、action属性が、“execute”又は“register”となる場合には必須の項目となる。また、priority属性は、通常は“0”が指定され、優先度を高くする場合には、“1”が指定される。
【0116】
event要素は、図8の「イベントID」及び「イベント付加データ」に対応するものであって、id属性、data属性が指定される。event要素は、action属性が、“event”となる場合には必須の項目となる。
【0117】
[コマンドの記述例]
図11は、コマンドの記述例を示す図である。
【0118】
図11の例では、2つのcommand要素が記述され、1つ目のcommand要素には、destination属性として“receiver”が指定され、action属性として“execute”が指定されている。すなわち、当該コマンドは、受信装置12宛てのエクスキュートコマンドとなる。
【0119】
command要素の開始タグと終了タグの間には、timing要素とapplication要素が記述される。timing要素には、unit属性として“pts”が指定され、その値として“1286743”が指定されている。すなわち、当該コマンドは、“1286743”であるクロックが経過したときに実行される。
【0120】
application要素には、id属性として“1”が指定され、type属性として“html”、url属性として“xxx.com/yyy”が指定され、expire_date属性として“2011-01-21”が指定されている。すなわち、HTML(Hyper Text Markup Language)により記述されたデータ放送用アプリが、“xxx.com/yyy”であるURLにより指定されるアプリサーバ15から取得できることを意味する。
【0121】
2つ目のcommand要素には、destination属性として“receiver”が指定され、action属性として“event”が指定されている。すなわち、当該コマンドは、受信装置12宛てのインジェクトイベントコマンドとなる。
【0122】
command要素の開始タグと終了タグの間には、timing要素、application要素、及びevent要素が記述される。timing要素には、unit属性として“pts”が指定され、その値として“1288203”が指定されている。application要素には、id属性として“1”が指定されている。また、event要素には、id属性として”event1”が指定され、data属性として”zzzzzzz・・・z”が指定される。
【0123】
すなわち、当該コマンドは、“1288203”であるクロックが経過したときに実行されるインジェクトイベントコマンドであって、イベント発火に伴い、”zzzzzzz・・・z”であるデータがデータ放送用アプリで利用される。
【0124】
なお、コマンドの記述方法は任意であって、図11に限定されるものではない。
【0125】
[データ放送用アプリの状態遷移]
図12は、レジスタ、エクスキュート、インジェクトイベント、サスペンド、及びターミネートの各コマンドに応じて受信装置12にて動作するデータ放送用アプリの状態遷移図である。同図に示すように、データ放送用アプリの状態は、解放状態(Released)、準備状態(Ready)、実行中状態(Active)、又は休止状態(Suspended)の4種類のうちのいずれかに遷移していると定義される。
【0126】
解放状態は、データ放送用アプリが受信装置12に未取得である状態を指す。準備状態は、そのデータ放送用アプリが受信装置12に登録済みであって起動されていない状態を指す。実行中状態は、データ放送用アプリが起動されて実行中である状態を指す。休止状態は、データ放送用アプリの実行が中断され、その中断したときの状態を示す情報が退避メモリ66Bに保持されている状態を指す。
【0127】
データ放送用アプリが解放状態に遷移しているとき(受信装置12に未取得のとき)、レジスタコマンドが受信され、レジスタコマンドに従ってそのデータ放送用アプリが取得(登録)されると、準備状態に遷移する。
【0128】
データ放送用アプリが準備状態であるとき、エクスキュートコマンドが受信され、エクスキュートコマンドに従ってそのデータ放送用アプリが起動されると、実行中状態に遷移する。
【0129】
また、データ放送用アプリが解放状態に遷移しているとき(受信装置12に未取得のとき)、エクスキュートコマンドが受信され、エクスキュートコマンドに従ってそのデータ放送用アプリが取得されて起動されると、実行中状態に遷移する。
【0130】
データ放送用アプリが実行中状態に遷移しているとき、サスペンドコマンドが受信され、サスペンドコマンドに従って実行中のデータ放送用アプリが中断されると休止状態に遷移する。
【0131】
データ放送用アプリが休止状態に遷移しているとき、エクスキュートコマンドが受信され、エクスキュートコマンドに従って、中断されていたデータ放送用アプリが再開されると、実行中状態に遷移する。
【0132】
データ放送用アプリが、実行中状態又は休止状態に遷移しているとき、ターミネートコマンドが受信され、ターミネートコマンドに従って、実行中のデータ放送用アプリが終了されると、準備状態に遷移する(図中の「A」)。なお、準備状態への遷移は、ターミネートコマンドに基づくもののほか、他のデータ放送用アプリが実行されたときなどにも発生する。
【0133】
また、データ放送用アプリが、準備状態、実行中状態、又は休止状態に遷移しているとき、コマンドのアプリ有効期限が経過したとき、解放状態に遷移する(図中の「B」)。
【0134】
図13は、各コマンドと状態遷移の関係を示している。
【0135】
図13は、受信装置12において、デジタルテレビジョン番組のデジタルテレビジョン放送信号とともに送信されるトリガ情報に含まれるチャンネル識別情報(図中の「Source ID」)及び時間位置情報(図中の「Media Time」)をコマンドサーバ14に送信すると、コマンドサーバ14から各種のコマンドが取得されるとともに、アプリサーバ15からデータ放送用アプリが取得される様子を模式的に表している。
【0136】
受信装置12において、データ放送用アプリが解放状態に遷移しているとき(受信装置12に未取得のとき)、レジスタコマンドに応じて、そのデータ放送用アプリが取得、保持され、登録されると準備状態に遷移する。
【0137】
受信装置12において、データ放送用アプリが準備状態にあるとき、エクスキュートコマンドに応じて、そのデータ放送用アプリが起動されると実行中状態に遷移する。
【0138】
また、受信装置12以外の他の装置において、データ放送用アプリが解放状態に遷移しているとき(他の装置に未取得のとき)、エクスキュートコマンドに応じて、そのデータ放送用アプリが取得、起動されると実行中状態に遷移する。
【0139】
受信装置12において、データ放送用アプリが実行中状態に遷移しているとき、インジェクトイベントコマンドに応じて、実行中のデータ放送用アプリにてイベントが発火された場合、状態は実行中状態のままとなる。
【0140】
受信装置12において、データ放送用アプリが実行中状態に遷移しているとき、サスペンドコマンドに応じて、実行中のデータ放送用アプリが中断されると休止状態に遷移する。また、受信装置12において、データ放送用アプリが休止状態に遷移しているとき、エクスキュートコマンドに応じて、中断されていたデータ放送用アプリが再開されると、実行中状態に遷移する。
【0141】
また、受信装置12において、データ放送用アプリが実行中状態に遷移しているとき、ターミネートコマンドに応じて、実行中のデータ放送用アプリが終了されると準備状態に遷移する。なお、データ放送用アプリが準備状態、実行中状態、又は休止状態に遷移しているとき、当該データ放送用アプリのアプリ有効期限が経過すると、当該データ放送用アプリがキャッシュメモリ65から消去され、登録が抹消されて解放状態に遷移する。
【0142】
[コマンド対応処理]
次に、受信装置12がコマンドを受信したときのコマンド対応処理について、図14を参照して説明する。
【0143】
図14は、コマンド対応処理を説明するフローチャートである。このコマンド対応処理は、ユーザがデジタルテレビジョン番組を視聴しているとき、すなわち、受信装置12がデジタルテレビジョン放送信号を受信している間、繰り返して実行される。
【0144】
ステップS11において、トリガ抽出部57は、ビデオデコーダ55からのビデオ信号からトリガ情報を抽出するまで待機する。そして、ビデオ信号からトリガ情報が抽出された場合、処理は、ステップS12に進められる。ステップS12において、トリガ抽出部57は、抽出したトリガ情報の解析を行う。
【0145】
ステップS13において、トリガ抽出部57は、トリガ情報の解析結果に基づいて、当該トリガ情報に含まれるトリガIDに対してステップS14以降の処理を既に実行済みであるか否かを判定する。既に、ステップS14以降の処理を実行済みであると判定された場合、処理は、ステップS11に戻り、それ以降の処理が繰り返される。一方、当該トリガ情報に対して、ステップS14以降の処理を実行していないと判定された場合、処理は、ステップS14に進められる。
【0146】
ステップS14において、トリガ抽出部57は、通信I/F58を制御して、トリガ情報に含まれるチャンネル識別情報を、インターネット16を介して事業者解決サーバ13に送信して、コマンドサーバ特定情報を問い合わせる。
【0147】
事業者解決サーバ13では、受信装置12からのチャンネル識別情報に基づいて、デジタルテレビジョン番組の提供元の事業者が特定され、特定された事業者のコマンドサーバ特定情報が受信装置12に送信される。なお、事業者解決サーバ13において、コマンドサーバ特定情報を得られない場合には、コマンドサーバ特定情報の送信は行われない(コマンドサーバ特定情報は送信されるが、該当なしを示すことにしてもよい)。
【0148】
ステップS15において、制御部61は、通信I/F58を制御して、事業者解決サーバ13から、コマンドサーバ特定情報を受信したか否かを判定する。
【0149】
ステップS15において、コマンドサーバ特定情報を受信していないと判定された場合、処理は、ステップS11に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0150】
一方、ステップS15において、コマンドサーバ特定情報を受信したと判定された場合、受信されたコマンドサーバ特定情報が制御部61により取得される。そして、処理は、ステップS16に進められる。ステップS16において、制御部61は、通信I/F58を制御して、コマンドサーバ特定情報が示すURLに対応するコマンドサーバ14にアクセスし、チャンネル識別情報及び時間位置情報を送信することで、受信装置12にて実行可能となるコマンドを問い合わせる。コマンドサーバ14では、チャンネル識別情報に対応するデジタルテレビジョン番組において、時間位置情報に対応する時間帯に実行可能となるコマンドが取得され、受信装置12に送信される。
【0151】
ステップS17において、制御部61は、通信I/F58を制御して、コマンドの問い合わせ先のコマンドサーバ14から、コマンドを受信したか否かを判定する。
【0152】
ステップS17において、コマンドを受信していないと判定された場合、処理は、ステップS11に戻り、それ以降の処理が繰り返される。例えば、コマンドサーバ14では、チャンネル識別情報及び時間位置情報により定められる条件に一致するコマンドが存在しない場合、コマンドの送信は行われないことになる(コマンドは送信されるが、処理不要を示すことにしてもよい)。
【0153】
一方、ステップS17において、コマンドを受信したと判定された場合、処理は、ステップS18に進められる。ステップS18において、コマンド解析部60は、コマンドに含まれるコマンドIDを読み出し、当該コマンドに対してステップS19以降の処理を既に実行済みであるか否かを判定する。既に、ステップS19以降の処理を実行済みであると判定された場合、処理は、ステップS11に戻り、それ以降の処理が繰り返される。一方、当該コマンドに対して、ステップS19以降の処理を実行していないと判定された場合、処理はステップS19に進められる。
【0154】
ステップS19において、コマンド解析部60は、コマンドに含まれるコマンドアクションを読み出し、当該コマンドが、レジスタ、エクスキュート、ターミネート、インジェクトイベント、又はサスペンドのいずれかであるかを判別する。
【0155】
ステップS20において、コマンド解析部60は、ステップS19の判別結果がレジスタであるか否かを判定し、レジスタであると判定された場合、処理はステップS21に進められる。
【0156】
ステップS21において、制御部61は、通信I/F58を制御して、当該コマンドのアプリURLに対応するアプリサーバ15にアクセスして、アプリIDにより特定されるデータ放送用アプリを取得させる。通信I/F58により取得されたデータ放送用アプリは、キャッシュメモリ65に保持される。また、制御部61は、取得されたデータ放送用アプリに対応付けて、そのアプリ有効期限とアプリ保持優先度を、メモリ62に記憶する。これにより、キャッシュメモリ65に保持されたデータ放送用アプリは、制御部61により、有効期限と保持優先度に従って管理される。
【0157】
この後、処理は、ステップS11に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0158】
ステップS20において、ステップS19の判定結果がレジスタでないと判定された場合、処理は、ステップS22に進められる。ステップS22において、制御部61は、ステップS19の判定結果がエクスキュートであるか否かを判定し、エクスキュートであると判定された場合、処理は、ステップS23に進められる。
【0159】
ステップS23において、アプリエンジン64は、制御部61からの制御に従い、当該コマンドのコマンドIDにより特定されるデータ放送用アプリが休止中(サスペンド状態)であるか否かを判定する。具体的には、退避メモリ66Bに、コマンドIDにより特定されるデータ放送用アプリに、休止の状態を示すデータが退避されている場合に休止中であると判定する。
【0160】
ステップS23において、コマンドIDにより特定されるデータ放送用アプリが休止中ではないと判定された場合、処理はステップS24に進められる。ステップS24において、アプリエンジン64は、制御部61からの制御に従い、コマンドIDにより特定されるデータ放送用アプリが未取得(キャッシュメモリ65に存在しない)の場合にそれを取得する。
【0161】
ステップS25において、制御部61は、同期制御処理を行う。ここで、同期制御処理の詳細について、図15のフローチャートを参照して説明する。
【0162】
ステップS51において、制御部61は、当該コマンドに含まれるコマンド発効時刻が設定されているか否かを判定する。
【0163】
ステップS51において、コマンド発効時刻が設定されていると判定された場合、処理は、ステップS52に進められる。ステップS52において、制御部61は、コマンドを実行する時刻になったか否かを判定する。
【0164】
このコマンド発効時刻は、例えば、「絶対日時」、「相対時間」、又は「PTS」により指定される。ステップS52の判定処理では、「絶対日時」が指定されている場合、あらかじめ設定された特定の日時となった否かが判定される。また、「相対時間」が指定されている場合、例えば、デジタルテレビジョン番組の開始時刻から、あらかじめ設定された特定の時間が経過したか否かが判定される。さらに、「PTS」が指定された場合、クロック同期部59からのクロックに基づいて、コマンドを実行する時刻になったか否かが判定される。
【0165】
ステップS52の判定処理では、コマンドを実行する時刻になったと判定されるまで、判定処理が繰り返される。すなわち、コマンドを実行する時刻になるまで、当該コマンドの実行を待つことになる。
【0166】
そして、ステップS52において、コマンドを実行する時刻になったと判定された場合、処理は、図14のステップS25に戻され、それ以降の処理が実行される。
【0167】
ステップS26において、アプリエンジン64は、制御部61からの制御に従い、現在実行中のデータ放送用アプリがあるならば、それを終了させる。そして、ステップS27において、アプリエンジン64は、制御部61からの制御に従い、コマンドIDにより特定されるデータ放送用アプリを起動する。
【0168】
すなわち、ステップS25の同期制御処理(図15)を行うことで、当該コマンドを実行する時刻が経過してから、データ放送用アプリが起動されるので、例えば、デジタルテレビジョン番組の進行にあわせて、データ放送用アプリを起動させたり、あるいは、ある特定の時間帯にデータ放送用アプリを起動させたりすることが可能となる。
【0169】
また、コマンド発効時刻が設定されていない場合(図15のステップS51の「No」)、図15のステップS52はスキップされ、ステップS24の取得処理が終了した後、直ちに、ステップS26,S27が実行される。この場合、未取得のデータ放送用アプリが取得された後、直ちに、そのデータ放送用アプリが起動されることになる。
【0170】
この後、処理はステップS11に戻り、それ以降が繰り返される。
【0171】
また、ステップS23において、コマンドIDにより特定されるデータ放送用アプリが休止中(サスペンド状態)であると判定された場合、処理はステップS28に進められる。
【0172】
ステップS28において、制御部61は、図15の同期制御処理を行う。すなわち、コマンド発効時刻が設定されている場合には、コマンドを実行する時刻になったとき、ステップS29の処理が行われ、コマンド発効時刻が設定されていない場合には、直ちに、ステップS29の処理が行われる。
【0173】
ステップS29において、アプリエンジン64は、制御部61からの制御に従い、退避メモリ66Bのデータをワークメモリ66Aに移して、コマンドIDにより特定されるデータ放送用アプリを起動する。これにより、コマンドIDにより特定される、休止中のデータ放送用アプリが休止された状態から再開されることになる。この後、処理はステップS11に戻り、それ以降が繰り返される。
【0174】
ステップS22において、ステップS19の判別結果がエクスキュートではないと判定された場合、処理はステップS30に進められる。ステップS30において、制御部61は、ステップS19の判別結果がインジェクトイベントであるか否かを判定し、インジェクトイベントであると判定された場合、処理はステップS31に進められる。
【0175】
ステップS31において、制御部61は、図15の同期制御処理を行う。すなわち、コマンド発効時刻が設定されている場合には、コマンドを実行する時刻になったとき、ステップS32の処理が行われ、コマンド発効時刻が設定されていない場合には、直ちに、ステップS32の処理が行われる。
【0176】
ステップS32において、制御部61は、当該コマンドのコマンドIDと、動作中のデータ放送用アプリのコマンドIDが一致する場合のみ、アプリエンジン64を制御して、動作中のデータ放送用アプリにおいて、コマンドのイベントIDに対応するイベントを発火(実行)させる。この後、処理はステップS11に戻り、それ以降が繰り返される。
【0177】
ステップS30において、ステップS19の判別結果がインジェクトイベントではないと判定された場合、処理はステップS33に進められる。ステップS33において、制御部61は、ステップS19の判別結果がサスペンドであるか否かを判定し、サスペンドであると判定された場合、処理はステップS34に進められる。
【0178】
ステップS34において、制御部61は、図15の同期制御処理を行う。すなわち、コマンド発効時刻が設定されている場合には、コマンドを実行する時刻になったとき、ステップS35の処理が行われ、コマンド発効時刻が設定されていない場合には、直ちに、ステップS35の処理が行われる。
【0179】
ステップS35において、アプリエンジン64は、制御部61からの制御に従い、現在実行中のデータ放送用アプリの状態を示すデータ(すなわち、現在ワークメモリ66Aに書き込まれているデータ。表示する情報に階層構造がある場合、表示されている情報の階層を示す情報を含む)を退避メモリ66Bに退避させる。この後、処理はステップS11に戻り、それ以降が繰り返される。
【0180】
ステップS33において、ステップS19の判別結果がサスペンドではないと判定された場合、ステップS19の判別結果はターミネートであるので、処理はステップS36に進められる。
【0181】
ステップS36において、制御部61は、図15の同期制御処理を行う。すなわち、コマンド発効時刻が設定されている場合には、コマンドを実行する時刻になったとき、ステップS37の処理が行われ、コマンド発効時刻が設定されていない場合には、直ちに、ステップS37の処理が行われる。
【0182】
ステップS37において、アプリエンジン64は、制御部61からの制御に従い、コマンドIDにより特定されるデータ放送用アプリが実行中であればそれを終了させる。ステップS38において、アプリエンジン64は、制御部61からの制御に従い、コマンドIDにより特定されるデータ放送用アプリに関するデータを、ワークメモリ66Aおよび退避メモリ66Bから消去するとともに、データ放送用アプリをキャッシュメモリ65から消去させる。この後、処理はステップS11に戻り、それ以降が繰り返される。
【0183】
以上でコマンド対応処理の説明を終了する。前述したコマンド対応処理によれば、テレビジョン放送のAVコンテンツ(例えばデジタルテレビジョン番組やCMなど)に連動してデータ放送用アプリを起動したり、イベントを発火させたり、終了したりすることができる。さらに、データ放送用アプリを実行中の状態を保持したままで休止させて、他のデータ情報用アプリを実行、終了し、その後、休止したデータ放送用アプリを休止状態から再開することができる。
【0184】
なお、図14の例では、ステップS24乃至S27において、未取得のデータ放送用アプリを取得した後(S24)、コマンドを実行する時刻となったとき(S25)、取得されたデータ放送用アプリを起動するとして説明したが、ステップS24とS25の処理の順番を逆にしてもよい。すなわち、この場合、コマンドを実行する時刻となるまでは、未取得のデータ放送用アプリの取得は行われず、コマンドを実行する時刻となったときに、未取得のデータ放送用アプリが取得され、起動されることになる。
【0185】
[動作シナリオ]
受信装置12において、前述したコマンド対応処理を行うことで、例えば、図16に示すようなデータ放送用アプリの運用が可能となる。
【0186】
図16は、コマンド発効時刻が設定された場合の動作シナリオの例を示す図である。
【0187】
図16において、受信装置12は、放送装置11からのデジタルテレビジョン放送信号に対応するデジタルテレビジョン番組をモニタに表示しているとき、トリガ情報が抽出されると、事業者解決サーバ13に対して、コマンドサーバ特定情報の問い合わせを行う。
【0188】
受信装置12は、事業者解決サーバ13からのコマンドサーバ特定情報に応じて、コマンドサーバ14に対してコマンドを問い合わせるが、受信装置12にて実行可能となるコマンドが存在しない場合には、コマンドサーバ14からの応答は行われない。
【0189】
その後、受信装置12では、トリガ情報の抽出が行われ、それに対応して事業者解決サーバ13とコマンドサーバ14に対する問い合わせも継続的に行われる。そして、受信装置12は、コマンドサーバ14からエクスキュートコマンドを受信した場合、アプリURL(図8)に対応するアプリサーバ15にアクセスし、データ放送用アプリを取得する。また、当該エクスキュートコマンドには、コマンド発効時刻が設定されているため、受信装置12は、データ放送用アプリを取得した後、コマンドを実行する時刻になるまで、エクスキュートコマンドの実行を待つことになる(図中の「同期待ち」)。例えば、デジタルテレビジョン番組の特定のシーンに同期させて、データ放送用アプリに対応する番組関連情報を表示させる場合、その特定のシーンと同期するための時刻がコマンド発効時刻に記述されているので、受信装置12は、コマンドを実行する時刻になるのを待って、データ放送用アプリを起動することになる。これにより、デジタルテレビジョン番組の特定のシーンと番組関連情報(図中の「Video Synchronized application」)を同期させることができる。
【0190】
その後もトリガ情報の抽出が継続して行われ、受信装置12は、コマンドサーバ14からターミネートコマンドを受信した場合、コマンドを実行する時刻を待って、実行中のデータ放送用アプリを終了させる。これにより、モニタでは、デジタルテレビジョン番組に重畳表示されていた番組関連情報が消されて、番組のみが表示される。
【0191】
図16の例では、受信装置12において、コマンドサーバ14から受信されるコマンドとして、エクスキュートコマンドとターミネートコマンドを説明したが、それ以外のコマンドが受信されるようにしてもよい。例えば、データ放送用アプリの実行中に、インジェクトイベントコマンドが受信された場合、コマンドを実行する時刻を待って、実行中のデータ放送用アプリにおいてイベントが発火される。また、データ放送用アプリの実行中に、サスペンドコマンドが受信された場合には、コマンドを実行する時刻を待って、実行中のデータ放送用アプリが休止される。
【0192】
以上のように、図16の動作シナリオでは、コマンドサーバ14により送信されるコマンドには、コマンド発効時刻が設定されているため、受信装置12では、コマンドを実行する時刻を待って、コマンドサーバ14から受信したコマンドを実行することになる。これにより、受信装置12では、トリガ情報の抽出の分解能ではなく、任意のタイミングで、コマンドを実行することが可能となる。
【0193】
<第2の実施の形態>
[通信システムの構成例]
前述した説明では、受信装置12が、放送装置11から送信されたデジタルテレビジョン番組等のAVコンテンツのデジタルテレビジョン放送信号を受信する例を説明したが、AVコンテンツは、インターネット16を介してVODにより配信されるようにしてもよい。
【0194】
図17は、本実施の形態である通信システム81を示している。
【0195】
図17において、図1と対応する箇所には同一の符号が付してあり、その説明は適宜省略する。
【0196】
すなわち、図17では、図1と比較すると、放送装置11の代わりに、インターネット16に接続された配信サーバ91が設けられている。配信サーバ91は、受信装置12からの要求に応じて、VODコンテンツ等のAVコンテンツを、インターネット16を介して、受信装置12に配信する。また、配信サーバ91は、VODコンテンツとともに、トリガ情報を送信する。
【0197】
受信装置12は、配信サーバ91からVODコンテンツとともに送信されるトリガ情報を抽出して、抽出されたトリガ情報に含まれるコンテンツ識別情報を、事業者解決サーバ13に送信する。すなわち、図7の「ソースID」にも示したように、受信装置12では、放送装置11からのデジタルテレビジョン番組等のデジタルテレビジョン放送信号を受信した場合には、トリガ情報から、チャンネル識別情報が取得されるが、配信サーバ91からのVODコンテンツを受信した場合には、コンテンツIDなどのコンテンツ識別情報が取得される。
【0198】
受信装置12は、コマンドサーバ特定情報に記述されたURLに対応するコマンドサーバ14にアクセスして、コンテンツ識別情報及び時間位置情報を送信することで、受信装置12にて実行可能となるコマンドを問い合わせる。そして、受信装置12は、コマンドサーバ14からのコマンドに応じて、VODコンテンツに連動して実行されるデータ放送用アプリの動作を制御することになる。
【0199】
このように、受信装置12は、AVコンテンツを、放送網を介して受信するのみならず、通信網を介して受信することができる。そして、放送網と通信網のどちらから受信されたAVコンテンツであっても、トリガ情報に含まれるチャンネル識別情報又はコンテンツ識別情報により識別されるので、受信装置12は、コマンドサーバ14から、チャンネル識別情報又はコンテンツ識別情報に応じたコマンドを取得することができる。
【0200】
なお、前述の説明では、事業者解決サーバ13、コマンドサーバ14、及びアプリサーバ15など、提供する機能ごとにサーバを複数設ける例を説明したが、それらの機能の全部又は一部をまとめて、1又は複数のサーバにより提供されるようにしてもよい。また、コマンドサーバ14が、データ放送用アプリの取得コマンドを、受信装置12に送信せずに、アプリサーバ15に直接送信することで、例えば、受信装置12では、チャンネル識別情報又はコンテンツ識別情報、及び時間位置情報をコマンドサーバ14に送信すると、アプリサーバ15からデータ放送用アプリを取得する、といった運用が可能となる。
【0201】
以上のように、本技術によれば、デジタルテレビジョン番組やVODコンテンツ等のAVコンテンツに連動して実行されるアプリケーションプログラムを提供することができる。また、受信装置12においては、トリガ情報に応じて、各サーバとの連携が行われ、選局中のデジタルテレビジョン番組等のAVコンテンツに連動して実行されるデータ放送用アプリの動作が制御されることから、CATV網や衛星放送網の設備や専用端末の改修をしたり、中継を行う放送事業者の許諾を得たりする作業を伴うことなく、デジタルテレビジョン番組に連動して実行されるアプリケーションプログラムを提供することができる。
【0202】
[本技術を適用したコンピュータの説明]
前述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0203】
図18は、前述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0204】
コンピュータ100において、CPU(Central Processing Unit)101,ROM(Read Only Memory)102,RAM(Random Access Memory)103は、バス104により相互に接続されている。
【0205】
バス104には、さらに、入出力インタフェース105が接続されている。入出力インタフェース105には、入力部106、出力部107、記録部108、通信部109、及びドライブ110が接続されている。
【0206】
入力部106は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部107は、モニタ、スピーカなどよりなる。記録部108は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部109は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ110は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア111を駆動する。
【0207】
以上のように構成されるコンピュータ100では、CPU101が、例えば、記録部108に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース105及びバス104を介して、RAM103にロードして実行することにより、前述した一連の処理が行われる。
【0208】
コンピュータ100(CPU101)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア111に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0209】
コンピュータ100では、プログラムは、リムーバブルメディア111をドライブ110に装着することにより、入出力インタフェース105を介して、記録部108にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部109で受信し、記録部108にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM102や記録部108に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0210】
なお、コンピュータ100が実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0211】
ここで、本明細書において、コンピュータ100に各種の処理を行わせるためのプログラムを記述する処理ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。
【0212】
また、プログラムは、1のコンピュータにより処理されるものであってもよいし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであってもよい。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであってもよい。
【0213】
なお、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0214】
また、本技術の実施の形態は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0215】
さらに、本技術は、以下の構成とすることも可能である。
【0216】
[1]
AVコンテンツを受信する受信部と、
前記AVコンテンツとともに送信される、前記AVコンテンツに連動して実行されるアプリケーションプログラムを動作させるためのトリガ情報を抽出するトリガ抽出部と、
抽出した前記トリガ情報に応じて、前記アプリケーションプログラムの動作を制御するためのコマンドを取得するコマンド取得部と、
取得した前記コマンドに応じて、前記アプリケーションプログラムの動作を制御する制御部と
を備える受信装置。
[2]
前記コマンドは、前記アプリケーションプログラムの取得若しくは登録、取得若しくは起動、イベント発火、中断、又は終了のうちのいずれかを示しており、
前記制御部は、各コマンドに応じて、前記アプリケーションプログラムの取得若しくは登録、若しくは取得若しくは起動、又は実行中の前記アプリケーションプログラムのイベント発火、休止、若しくは終了を制御する
[1]に記載の受信装置。
[3]
前記コマンドは、前記コマンドを実行する時刻を示す時刻情報を含み、
前記制御部は、前記時刻情報に応じて、前記コマンドを実行する
[1]又は[2]に記載の受信装置。
[4]
前記時刻情報は、前記AVコンテンツの進行と関係なくあらかじめ定められた特定の時刻となったときに前記コマンドを実行させるための情報、又は前記AVコンテンツの進行と連動してあらかじめ定められた特定の時間が経過したときに前記コマンドを実行させるための情報である
[3]に記載の受信装置。
[5]
前記制御部は、前記コマンドが取得若しくは起動を示し、かつ、前記アプリケーションプログラムを取得していない場合、前記アプリケーションプログラムを取得した後、前記コマンドを実行する時刻となったとき、取得した前記アプリケーションプログラムを起動する
[3]又は[4]に記載の受信装置。
[6]
前記トリガ情報は、前記AVコンテンツを識別するための識別情報及び前記AVコンテンツに対する前記トリガ情報の時間的な挿入位置に関する時間位置情報を含み、
前記コマンド取得部は、前記識別情報及び前記時間位置情報により特定される前記コマンドを取得する
[1]乃至[5]のいずれかに記載の受信装置。
[7]
前記受信装置側を識別するための識別情報を、前記コマンドを提供する情報処理装置に送信する送信部をさらに備え、
前記コマンド取得部は、前記情報処理装置から、前記識別情報に応じた前記コマンドを取得する
[1]乃至[6]のいずれかに記載の受信装置。
[8]
前記受信装置側を識別するための識別情報を、前記アプリケーションプログラムを提供する情報処理装置に送信する送信部をさらに備え、
前記制御部は、前記情報処理装置からの前記識別情報に応じた前記アプリケーションプログラムの取得を制御する
[2]に記載の受信装置。
[9]
抽出した前記トリガ情報に応じて、前記コマンドを提供する情報処理装置を特定するための特定情報を取得する特定情報取得部をさらに備え、
前記コマンド取得部は、取得した前記特定情報により特定される前記情報処理装置にアクセスして、前記コマンドを取得する
[1]乃至[8]のいずれかに記載の受信装置。
[10]
受信装置が、
AVコンテンツを受信し、
前記AVコンテンツとともに送信される、前記AVコンテンツに連動して実行されるアプリケーションプログラムを動作させるためのトリガ情報を抽出し、
抽出した前記トリガ情報に応じて、前記アプリケーションプログラムの動作を制御するためのコマンドを取得し、
取得した前記コマンドに応じて、前記アプリケーションプログラムの動作を制御する
ステップを含む受信方法。
[11]
AVコンテンツを受信する受信部と、
前記AVコンテンツとともに送信される、前記AVコンテンツに連動して実行されるアプリケーションプログラムを動作させるためのトリガ情報を抽出するトリガ抽出部と、
抽出した前記トリガ情報に応じて、前記アプリケーションプログラムの動作を制御するためのコマンドを取得するコマンド取得部と、
取得した前記コマンドに応じて、前記アプリケーションプログラムの動作を制御する制御部と
して、コンピュータを機能させるためのプログラム。
[12]
AVコンテンツを受信する受信装置、前記AVコンテンツに連動して実行されるアプリケーションプログラムの動作を制御するためのコマンドの取得先を特定する第1の情報処理装置、前記コマンドを提供する第2の情報処理装置、及び前記アプリケーションプログラムを提供する第3の情報処理装置から構成される情報処理システムにおいて、
前記受信装置は、
前記AVコンテンツを受信する受信部と、
前記AVコンテンツとともに送信される、前記アプリケーションプログラムを動作させるためのトリガ情報を抽出するトリガ抽出部と、
抽出した前記トリガ情報に応じて、前記第1の情報処理装置から、前記第2の情報処理装置を特定するための特定情報を取得する特定情報取得部と、
前記第1の情報処理装置から取得した前記特定情報により特定される前記第2の情報処理装置にアクセスして、前記コマンドを取得するコマンド取得部と、
前記第2の情報処理装置から取得した前記コマンドに応じて、前記第3の情報処理装置から取得した前記アプリケーションプログラムの動作を制御する制御部と
を備え、
前記第1の情報処理装置は、
前記受信装置からの問い合わせに応じて、前記特定情報を提供する第1の提供部を備え、
前記第2の情報処理装置は、
前記受信装置からの問い合わせに応じて、前記コマンドを提供する第2の提供部を備え、
前記第3の情報処理装置は、
前記受信装置からの問い合わせに応じて、前記コマンドに応じた前記アプリケーションプログラムを提供する第3の提供部を備える
情報処理システム。
【符号の説明】
【0217】
1 放送システム, 11 放送装置, 12 受信装置, 13 事業者解決サーバ, 14 コマンドサーバ, 15 アプリサーバ, 51 チューナ, 57 トリガ抽出部, 58 通信I/F, 60 コマンド解析部, 61 制御部, 64 アプリエンジン, 81 通信システム, 91 配信サーバ, 100 コンピュータ, 101 CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18