(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガスケット(9)を更に備え、前記ガスケット(9)は前記ポンプチャネル(5)を封止するために、前記ベース(2)と前記カバー(3)との間の周囲に配置される、請求項1から8のいずれかに記載のポンプモジュール。
前記ベース及び/又は前記カバーは圧力測定チャンバー(10)を含み、前記圧力測定チャンバーは前記ポンプチャネル(5)と接続され、前記圧力測定チャンバー(10)の壁部分は、該壁部分の変形によって前記圧力測定チャンバー(10)の内部圧力を測定するために可撓性であり、好ましくは、第2の撓み変形可能な膜(11)を有するように設計される、請求項1から9のいずれか一項に記載のポンプモジュール。
前記ベース(2)及び/又は前記カバー(3)は弁ユニット(12)を含み、前記弁ユニットは前記ポンプチャネル(5)と接続され、前記弁ユニット(12)の壁部分は可撓性であり、好ましくは第3の撓み変形可能な膜(13)を有するように設計され、該ポンプモジュール(1)は弁本体(14)を備え、前記弁本体は前記弁ユニット(12)内に配置され、前記弁本体(14)は、該弁本体(14)が前記弁ユニット(12)を閉じて流体が前記弁ユニットを通って流れるのを防ぐアイドル位置を占めることができ、また、前記弁本体は、該弁本体(14)によって前記流体が前記弁ユニット(12)を通って流れることができるようになり、かつ前記流体が前記弁ユニット(12)を通って流れることができるように該弁本体(14)の前記可撓性壁部分を変形させることによって該弁本体が動作することができる動作位置を占めることができる、請求項1から10のいずれかに記載のポンプモジュール。
揺動デバイス(41)及びレセプタクル(42)を有する揺動ポンプドライブシステム(43)を備える揺動ポンプベースモジュール(40)であって、前記レセプタクル(42)は、請求項1から11のいずれか一項に記載のポンプモジュール(1)を前記レセプタクル内に手動で設置又は挿入できるように、又は前記ポンプモジュール(1)を前記レセプタクル(42)から手動で取り出すことができるように設計される、揺動ポンプベースモジュール。
該揺動ポンプベースモジュール(40)は固定デバイスを備え、前記固定デバイスによって、前記ポンプモジュール(1)を前記レセプタクル(42)内のその位置に固定することができ、前記固定デバイスは、前記ポンプモジュール(1)の固定及び/又は取外しのために手動で操作することができる、請求項12に記載の揺動ポンプベースモジュール。
前記固定デバイスはカバー(44)を備え、前記カバーによって前記レセプタクル(42)を閉じることができ、前記カバー(44)が閉じられているときに、前記ポンプモジュールが前記レセプタクル(42)内のその位置に固定され、前記カバー(44)が開かれているときに、前記ポンプモジュール(1)は前記レセプタクル(42)から手動で取り出すことができる、請求項13に記載の揺動ポンプベースモジュール。
前記ポンプチャネル注入口(6)及び前記ポンプチャネル排出口(7)が閉じられているときに、前記ポンプチャネル注入口が開かれているときに、及び/又は前記ポンプチャネル排出口(7)が開かれているときに、前記ポンプチャネル(5)の前記内部圧力が前記圧力測定デバイスによって測定されるように構成される、請求項17に記載の揺動ポンプベースモジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明に基づくポンプモジュールは、ベースと撓み変形可能な膜とを備えており、ベース及び膜は少なくとも複数の部分において曲線を成す線状ポンプチャネルを形成し、ベースはポンプチャネル注入口及びポンプチャネル排出口を備え、ポンプチャネル注入口及びポンプチャネル排出口は、ポンプチャネルに流体を供給し、かつポンプチャネルから流体を排出するために、膜の周期的な回転変形によって、ポンプチャネルを通して流体をポンプチャネル注入口からポンプチャネル排出口に圧送することができるように、ポンプチャネルと接続される、ポンプモジュール。
【0006】
本発明に基づくポンプモジュールは、安価で堅牢に製造することができる。膜及びベースからポンプチャネルを設計することによって、規定された再現可能な寸法を有するポンプチャネルを製造することができ、それにより、生産速度において複数のポンプモジュールが高い精度を達成できるようになる。ポンプモジュールが安価で再現可能に製造できることにより、本発明に基づくポンプモジュールは、一度だけ使用することを意図した使い捨て商品(「使い捨て品」)として適している。
【0007】
詳細には、上記ポンプモジュールは揺動ポンプの構成要素として用いることができる。基本的には、本発明に基づくポンプモジュールは、他のポンプタイプに対しても用いることができる。そのポンプモジュールは、揺動ポンプ又は揺動ポンプベースモジュールに挿入されるか、又は挿入することができるので(以下の説明を参照)、そのポンプモジュールはポンプモジュールカセットと呼ぶこともできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
有利な発展形態によれば、ベース及び/又は場合によってカバーは、管を接続するための第1のコネクタ及び第2のコネクタを備えており、第1のコネクタはポンプチャネル注入口と接続され、第2のコネクタはポンプチャネル排出口と接続される。その発展形態は、ポンプモジュールが、第1のコネクタと接続される第1の管部分と、第2のコネクタと接続される第2の管部分とを備えるときに特に好ましい。
【0009】
更なる有利な実施形態によれば、膜は出張り部分(elevation)を含まない。更なる実施形態では、膜は出っ張っている隆起部を含む。突出部として表すこともできる隆起部を含む実施形態は、このようにして均等に分散した押圧力を膜に加えることができるので有利であることがわかる。さらに、上記揺動ポンプは、ポンプチャネル注入口及び/又は排出口における圧力変動による影響をほとんど受けない。さらに、その揺動ポンプは、膜に対する揺動デバイスの横方向寸法公差を考慮する必要がなく、このことは「使い捨て」という特徴にとって特に重要である。更なる実施形態では、隆起部は膜上、特に揺動板に取り付けられた膜の側に位置するのではなく、例えば、棒状体の形態における揺動板上に位置する。
【0010】
更なる有利な発展形態では、ポンプチャネル注入口とポンプチャネル排出口との間の部分におけるポンプチャネルの断面Qは、0.1mm
2≦Q≦10mm
2の範囲、好ましくは0.5mm
2≦Q≦2mm
2の範囲に及ぶ値を含む。
【0011】
更なる有利な発展形態では、ポンプチャネル注入口とポンプチャネル排出口との間の部分におけるポンプチャネルの容積VSは、1μl≦VS≦500μlの範囲、好ましくは10μl≦VS≦100μlの範囲に及ぶ値を含む。
【0012】
更なる有利な発展形態では、ベース、及びベースに接続されるカバーは合わせて、長くても100mm、好ましくは長くても50mm、特に好ましくは長くても25mmの長さ及び幅と、厚くても20mm、好ましくは厚くても10mm、特に好ましくは厚くても5mmの厚みとを含む。
【0013】
本発明に基づく揺動ポンプベースモジュールは、揺動デバイス及びレセプタクルを有する揺動ドライブシステムを備えており、レセプタクルは、レセプタクル内にポンプモジュールを手動で設置又は挿入することができ、ポンプシステムをレセプタクルから手動で取り出すことができるように設計される。
【0014】
本発明は、本発明に基づく揺動ポンプベースモジュール及び本発明に基づくポンプモジュールを含む揺動ポンプを供給又は維持管理又は始動するための方法も提供し、揺動ポンプを動作させるためのポンプモジュールは揺動ポンプベースモジュール内に挿入され、或る動作条件に達したときに揺動ポンプベースモジュールから取り出すことができ、ポンプモジュールは使い捨て商品として提供される。好ましくは、使用済みのポンプモジュールは、未使用のポンプモジュールと取り替えられる。
【0015】
その動作条件は予め決定することができる。例えば、特定の好ましい最大ポンプ容積に達したときに、及び/又は特定の好ましい最大動作時間に達したときに、及び/又は供給システムの少なくとも1つの構成要素、例えば、移送システムが変更されたときに、その動作条件が当てはまる場合がある。本発明に基づく揺動ポンプは通常、例えば、輸液又は栄養液を収容するバッグに関連して動作しているので、例えば、供給システムの少なくとも1つの構成要素の変更は、輸液バッグの取替えを含むことができる。上記の動作条件のリストは、例示と見なされるべきであり、行われた選択には限定されない。
【0016】
本発明に基づく揺動ポンプベースモジュールは、更なる工具を用いることなく、ポンプモジュールを手動で挿入できるようにし、それにより、機能的な揺動ポンプを製造できるようにする。揺動ポンプベースモジュールからポンプモジュールを取り出すのも同様に簡単である。これらの事実のために、揺動ポンプベースモジュールは、使い捨て商品(「使い捨て品」)として設計され、使用される度に通常取り替えられるポンプモジュールにおいて使用するのに特に良く適している。
【0017】
有利な発展形態によれば、揺動ポンプベースモジュールの揺動デバイスは、その回転軸に沿って、軸方向に移動可能に取り付けられる。揺動デバイスを軸方向に支持することによって、ポンプベースモジュールに対して揺動デバイスを動かし、ポンプモジュールの膜に規定された接触圧を加えることができるようになる。揺動デバイスの循環中に、膜と揺動デバイスとの間に永久、又は概ね永久の接触が存在することが好ましい。詳細には、膜は永久に、又は概ね永久にプリテンションをかけられる。結果として、ポンプ性能は、例えば、バッグの高さ位置(level)によって影響を及ぼされる初期圧の変動に関する影響を受けない。本発明の好ましい実施形態では、揺動デバイス及び膜は、例えば、ともに螺合されることによって接続されない。揺動デバイス及び膜は互いに接合する。
【0018】
更なる有利な発展形態では、揺動デバイスは圧力測定デバイスを備えており、その圧力測定デバイスによって、ポンプベースモジュールの膜を通してポンプチャネル内の圧力を測定できるようになる。ポンプチャネル内の圧力を測定することによって、揺動デバイスの運動状態に応じて、ポンプチャネル注入口及びポンプチャネル排出口が閉じられているときの圧力、並びにポンプチャネル注入口及びポンプチャネル排出口が開かれているときの圧力を測定することができる。
【0019】
本発明に基づく揺動ポンプシステムは、本発明に基づくポンプモジュール及び本発明に基づく揺動ポンプベースモジュールを備えており、ポンプモジュールは、揺動ポンプベースモジュールのレセプタクル内に収納される。
【0020】
揺動ポンプのための更なる本発明に基づくポンプモジュールは、少なくとも複数の部分において曲線を成す線状ポンプチャネル、ポンプチャネル注入口及びポンプチャネル排出口を備えており、ポンプチャネル注入口及びポンプチャネル排出口は、ポンプチャネル内に流体を供給し、ポンプチャネルから流体を排出するためにポンプチャネルと接続され、それにより、ポンプチャネルの周期的な回転変形によって、ポンプチャネルを通してポンプチャネル注入口からポンプチャネル排出口まで流体を圧送することができるようになり、ポンプチャネルは、ポンプチャネル注入口とポンプチャネル排出口との間の部分において、真円構造とは異なるように設計される。
【0021】
本発明との関連で、「円形構造」は、開いている場合があるか、又は閉じている場合がある円弧を指している(閉じているときに、円を形成する)。別のポンプチャネルは複数の円形部分を有するが、それらの円形部分は共通の中心に対して異なる半径を有するように設計される。本発明との関連で、上記ポンプチャネルは、円弧とは異なる構造を有するとも見なされる。
【0022】
例えば、ポンプチャネルが真円構造とは異なる構造を有するとき、揺動デバイスの振動中に、ポンプチャネル注入口及びポンプチャネル排出口を同時に確実に閉じることができる。結果として、ポンプ排出口とポンプ注入口との間でポンプチャネルが開き、流体の望ましくない排出が生じるという状況を防ぐことができる。軸方向に移動可能な構造を有する揺動デバイス、及び/又は少なくとも部分的に反発する構造を有する揺動デバイスの場合、その代わりに、又はそれに加えて、周期的な回転振動中に揺動デバイス又は揺動デバイスの一部の振幅の軸方向運動を最適化することができる。これは特に、揺動デバイスがポンプチャネル注入口とポンプチャネル排出口との間のポンプチャネルのない部分を架橋しなければならない移行段階中に可能である。
【0023】
さらに、その代わりに、又はそれに加えて、重なり合うポンプチャネル部分を形成することによって、ポンプチャネルを通して輸送されている流体の圧縮を、それゆえ、圧力上昇を達成することができる。その代わりに、又はそれに加えて、ポンプチャネルの構造が真円構造と異なるとき、例えば、ポンプチャネルが少なくとも第1のエリア及び第2のエリアに分割されるときに、ポンプチャネルに、測定のための、又は圧力補償のための部分を設けることができる。
【0024】
更なる本発明に基づく揺動ポンプベースモジュールは、揺動デバイスを有する揺動ポンプドライブシステムを含み、揺動デバイスは、少なくとも複数の部分において曲線を成し、管又は膜を揺動するようにして変形させるために揺動することができる線状の棒状体を含み、棒状体の構造は真円構造とは異なる。
【0025】
揺動デバイスの棒状体が真円構造とは異なる構造を有することにより、揺動デバイスの振動中に、ポンプチャネル注入口及びポンプチャネル排出口を同時に確実に閉じることができる。結果として、ポンプ排出口とポンプ注入口との間でポンプチャネルが少しの時間開き、流体の望ましくない排出が生じるという状況を防ぐことができる。その代わりに、又はそれに加えて、棒状体が円形構造とは異なる構造を有するとき、ポンプチャネルのそれぞれ設計された部分とともに、振動との関連でポンプチャネルのエリア内で圧力上昇を引き起こすことができる。
【0026】
代替的には、棒状体を有するように揺動デバイスを設計する代わりに、それぞれの隆起部を有するように膜を設計することができる。この場合、揺動デバイスは、膜の隆起部と相互作用する平坦な面を有することができる。
【0027】
更なる本発明に基づく揺動ポンプシステムは、本発明に基づくポンプモジュール及び本発明に基づく揺動ポンプベースモジュールを備えており、揺動ポンプベースモジュールの揺動デバイスの棒状体は、ポンプチャネルの、ポンプチャネル注入口とポンプチャネル排出口との間の部分に沿って少なくとも複数の部分において設計される。
【0028】
揺動デバイスの棒状体及びポンプチャネルは、少なくとも複数の部分において真円構造とは異なる形態に対応する。ポンプチャネルに対応する棒状体の部分が棒状体の一部分のみを形成するように、棒状体は一方向又は両方向に延長することができる。
【0029】
医療用ポンプ、特に揺動ポンプのための本発明に基づくポンプモジュールは、ポンプチャネル、及びポンプチャネルに接続される弁ユニット(又はチャンバー)を備えており、ポンプチャネル及び弁ユニットを通して流体を圧送することができ、弁ユニットの第1の壁部分は可撓性であり、ポンプモジュールは可撓性弁本体を有し、弁本体は弁ユニット内に配置され、弁ユニットは、弁本体が弁ユニットを閉じて流体が流れるのを防ぐアイドル位置を占めることができ、また、弁本体は、弁本体によって流体が弁ユニットを通って流れることができるようになり、かつ流体が弁ユニットを通って流れることができるように弁本体の可撓性壁部分を変形させることによって弁本体が動作することができる動作位置を占めることができる。
【0030】
弁本体によって、流体がポンプモジュールを通って意図せずに流れるのを防ぐことができる。好ましくは、このようにして形成される弁は「アンチフリーフロー弁」、すなわち、その基本位置において閉じられ、このようにして流体がポンプモジュールを通って意図せずに流れるのを防ぐ弁として用いられる。詳細には、これは、ポンプモジュールがそれぞれのポンプベースモジュールにまだ挿入されていないために、ポンプチャネルがまだ開いている状況を含む。その弁が能動的に開かれたときにのみ、ポンプモジュールを通した流れが放出される。弁の開放は、第1の壁部分の変形によって行われる。例えば、壁部分の変形によって、弁本体が確認位置に圧入されるか、代替的には、弁本体によって占められる場合がある空間が空けられる。弁本体が可撓性壁部分によってアクティベートされることにより、上記アクティベートの手段、例えば、手又は機械的デバイスが、ポンプモジュールによって輸送されることになる流体と直接接触しなくなる。さらに、そのような弁を有するポンプモジュールは、安価に製造することができる。結果として、ポンプモジュールは使い捨て商品(「使い捨て品」)として使用するのに特に良く適している。
【0031】
上記ポンプモジュールは、ポンプチャネルを形成するベース及び膜を含む、揺動ポンプのためのモジュールとして設計されることが特に好ましい。ベースは弁ユニットの少なくとも一部分を形成することができる。このようにして、僅かな部品のみを用いて、安価で堅牢であり、かつ特に医療用として用いられるときに十分に精密であるポンプモジュールを製造することができる。
【0032】
更なる本発明に基づくポンプベースモジュールは、ポンプドライブシステムと、レセプタクルと、弁アクチュエータとを備えており、レセプタクルは、ポンプモジュールをレセプタクル内に設置又は挿入することができ、かつポンプシステムをレセプタクルから取り出すことができるように設計され、弁アクチュエータは、ポンプモジュールが設置又は挿入されるときに、又はポンプモジュールが設置又は挿入された後に、ポンプモジュールの弁ユニットの第1の可撓性壁部分を変形させ、それにより弁本体を動作位置に動かすように設計される。
【0033】
本発明に基づくポンプベースモジュールは弁本体を動作位置に動かす、すなわち、ポンプモジュールの弁を開く。このようにして、弁を開くことを意図するとき、例えば、ポンプモジュールが正確に挿入されたとき、又は場合によって、例えば、初期化又はポンププログラムを開始した後に、ポンプベースモジュールがそれぞれの位置に置かれた(accepted)ときにのみ、弁が開かれることを保証することができる。
【0034】
更なる本発明に基づくポンプシステムは、本発明に基づくポンプモジュール及び本発明に基づくポンプベースモジュールを備える。
【0035】
更なる本発明に基づくポンプベースモジュールは、揺動ポンプドライブシステムと、揺動デバイスと、ポンプモジュールのためのレセプタクルと、プリテンショニングデバイスとを備えており、プリテンショニングデバイスは、揺動デバイスに抗して、レセプタクル内に収納されたポンプモジュールに弾性的にプリテンションをかける。
【0036】
ポンプモジュールが揺動デバイスに弾性的にプリテンションをかけることにより、レセプタクル内に収納されるポンプモジュール及び揺動デバイスが互いに対して規定された位置をとることを保証することができる。これは、ポンプモジュールが使い捨て商品(「使い捨て品」)として設計される場合に特に有利であり、それは一度使用された後に取り出され、新たなポンプモジュールと取り替えられることを意味する。揺動デバイス及びポンプモジュールの規定された位置は、ポンプモジュールが交換されるときに、ポンプ特性が望ましくない程度まで変化するのを防ぐ。
【0037】
更なる本発明に基づく揺動ポンプシステムは、本発明に基づく揺動ポンプベースモジュール及びポンプモジュールを備えており、ポンプモジュールはベースと、撓み変形可能な膜とを含み、ベース及び膜は、膜の揺動変形によって、ポンプチャネルを通して流体を圧送することができるように、少なくとも複数の部分において曲線を成す線状ポンプチャネルを形成し、ポンプモジュールは、プリテンショニングデバイスによって、ポンプモジュール及び揺動デバイスが弾性的に互いに押し付け合うようにして、揺動ポンプベースモジュールのレセプタクル内に収納される。
【0038】
本発明の更なる好ましい実施形態は従属請求項において記述される。
【0039】
本明細書において記述される、ポンプモジュール、ポンプベースモジュール、詳細には、揺動ポンプベースモジュール、ポンプシステム、詳細には揺動ポンプシステムは、医療分野における用途に良く適している。これらのデバイスの好ましい用途は、例えば栄養液を送り込むための経腸ポンプとしての使用、又は薬物を静脈から注入するための輸液ポンプとしての使用を含む。更なる用途は、硬膜外注入、筋肉内注入又は皮下注入を含む。
【0040】
次に、本発明は種々の実施形態によって更に詳述される。それらの実施形態は幾つかの図面によって表される。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図面において、同様の構成要素及び対応する構成要素は同じ参照符号を与えられる。
【0043】
図1、
図2、
図4及び
図5は、ポンプモジュール1の第1の実施形態、又はポンプモジュール1の個々の要素を示す。例えば、
図33において図示されるように、ポンプモジュール1は揺動ポンプベースモジュールとともに用いられるように設計される。これは、ポンプモジュール1が他のタイプのポンプとともに用いられることを除外しないが、上記のようにポンプモジュールを使用することが好ましい。ポンプモジュール及び揺動ポンプベースモジュールは、流体、すなわち、気体又は任意の他の流体を輸送することができる揺動ポンプシステムを形成する。
【0044】
ポンプモジュールは、ベース2と、カバー3と、撓み変形可能な膜4とを備える。ベース2及び膜4は、少なくとも複数の部分において曲線を成す線状ポンプチャネル5を形成する。ベース2は、ポンプチャネル注入口6及びポンプチャネル排出口7を備える。ポンプチャネル注入口6及びポンプチャネル排出口7は、ポンプチャネル5の中に流体を供給し、ポンプチャネル5から流体を排出するために、ポンプチャネル5と接続される。膜4の揺動変形の結果として、ポンプチャネル5の円形の局所的な圧縮が生じ、ポンプチャネル5を通して、ポンプチャネル注入口6からポンプチャネル排出口7まで流体を圧送することができるようになる。
【0045】
基本的に、振動運動を反転することによって、ポンプチャネル排出口7からポンプチャネル注入口6まで流体を圧送することもできる。
【0046】
この実施形態では、ベース2は溝23を含む。ポンプチャネル5は、溝23と、(この実施形態では)凹凸のない両面において平坦な膜4の、圧縮されていない状態で平坦な下面とによって形成される。溝23は僅かに曲面を成す輪郭を有し、その結果、揺動デバイス、例えば、
図3に示される揺動板41によって膜4を押し、溝23の表面を封止することができるようになる。そのプロセス中に、その膜は過剰な剪断力に晒されない。代替的には、溝を有する膜4を設計し、平坦な表面を有するベース2を設けるか、又はそれぞれ平坦な表面とは異なる構造を有する膜4及びベース2を設け、ポンプチャネル5を形成することもできる。
【0047】
ポンプチャネル5は完全に円形の構造を有するのではなく、棒状体26によって中断される。その棒状体は、流体がポンプチャネル注入口6とポンプチャネル排出口7との間で一方向にのみ流れることを確実にする。
【0048】
ポンプチャネル注入口6及びポンプチャネル排出口7はそれぞれ、棒状体26の一方の側に直接接合する。結果として、流体を輸送するためにポンプチャネル5の概ね全ての容積を使用することができる。
【0049】
本明細書において、ポンプチャネル注入口6及びポンプチャネル排出口7は、溝形の凹部(
図5を参照)として設計され、それらの凹部はポンプチャネル5の各端部の底部に配置される。代替的には、異なる形状、例えば、円形又は楕円形の開口部を有するチャネルを用いることもできる。溝形の凹部は、ポンプチャネル5に対して垂直に位置決めされ、第1の円柱状凹部24又は第2の円柱状凹部25において終端する。第1の円柱状凹部は弁ユニット12の一部であり、第2の円柱状凹部は圧力測定チャンバー10(例えば、
図16を参照)の一部である。
【0050】
膜4はカバー3と接続される。種々のタイプの接続、例えば、特に接着又は成形によって付着接合される接続を用いることができ、成形プロセスは射出成形、又はクランプを用いた圧力嵌めによる接続も含む。この実施形態においてなされたように、膜4はカバー3に射出成形されることが好ましい。カバー3に対する膜4の接着を改善するために、カバー3はポンプチャネル5に面する内面に沿って突出部27を含み(
図5を参照)、突出部は、その上面及び下面において膜4によって包囲される。
【0051】
図6及び
図7は、膜4がクランプによって取り付けられた、ポンプモジュール1の代替の実施形態を示す。このモデルでは、膜4は平坦な上面及び下面を有する別個の凹凸のない要素を形成し、ベース2とカバー3との間に固定される。
【0052】
代替的には、膜4は、特にカバー3の場合に記述された接続のタイプに関連して、ベース2と接続することもできる。
【0053】
ベース2及びカバー3はアンダーカットのない構造を有する。結果として、ベース2及びカバー3は、コストのかかる工具を用いることなく、安価に製造することができる。詳細には、コストがかかる離型プロセスを実行する必要がない。
【0054】
図5に示されるように、カバー3は、ベース2が挿入される凹部8を含む。噛み合い嵌めは、カバー3及びベース2の相対的な位置が規定されるのを保証する。カバー3及びベース2を組み立てるときに、製造寸法公差を最小化することができ、その結果、基本的に全て同じ特性を有する複数のポンプモジュールを製造することができる。代替的には、ベース2はまた、その中にカバー3が挿入される又は形状が一致するように係合する凹部を有することができるか、カバー3及びベース2がそれぞれ、他方の要素が、形状が一致するように係合する少なくとも1つの凹部を有することができる。この実施形態では、カバー3の背面は長方形の凹部を含み、その中に、対応する長方形の外形を有するベースが挿入される。
【0055】
ベース2及びカバー3は、固体材料、好ましくはプラスチック材料、詳細には熱可塑性樹脂から製造される。例えば、用いられる材料は、POM(ポリオキシメチレン)、PC(ポリカーボネート)又はCOC(環状オレフィンコポリマー)を含む。ここで、ベース2及びカバー3は一体品として、詳細には、一体に形成される射出成形部品として製造される。ベース2及びカバー3は同じ材料からなり、それにより、ベース2とカバー3との間の付着接合(又は結合)される接続を簡単、かつ安価に製造できるようにする。好ましくは、その接続は溶接プロセス、例えば、超音波溶接プロセス又はレーザー溶接プロセスによって形成される。レーザー溶接プロセスの場合、ベース2又はカバー3のいずれかが透過性であり、一方、他方の構成要素は、少なくとも溶接エリアにおいて、レーザービームに対して吸収性であることが好ましい。しかしながら、ベース2及びカバー3は、他の接続法、例えば、接着又は圧締めによって接合することもできる。
【0056】
好ましくは、膜4は一体品からなるか(第2の実施形態、
図6、
図7を参照)、又はカバー3内に組み込まれる(例えば、ここで説明される第1の実施形態におけるようにである)。好ましくは、膜4は一体品からなる。好ましくは、膜4はエラストマー、好ましくは、熱可塑性エラストマー、例えば、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、エチレンプロピレンゴム又はシリコーンゴムを含む。ポンプモジュール1の第1の実施形態の膜4及びカバー3は、2構成要素射出成形プロセス(2構成要素射出成形)によって製造される。
【0057】
ベース2、カバー3及び膜4のために用いられる材料は安価であり、非常に正確に処理することができる。結果として、ポンプモジュール1は、再現可能な寸法及び最大の耐久性を有するように、安価に製造することができる。さらに、後に説明されるように、安価に、かつ空間を節約するように、幾つかの機能部をポンプモジュール1に組み込むことができる。
【0058】
さらに、ポンプモジュールはシール9(
図5を参照)を含む。シールはベース2とカバー3との間に配置される。シール9は、外部エリアに対してポンプモジュール1の流体誘導エリアを封止する。シール9はポンプチャネル5、圧力測定チャンバー10及び弁ユニット12(
図16も参照)を包囲する。ここで、シール9は、シールリップによって形成される。シールリップは、カバー3又はベース2に成形することができるか、又はカバー3又はベース2に完全には接さずに(loosely)構成することができる。シールリップは2構成要素射出成形によって射出成形されること、例えば、膜4の製造プロセスにおいてカバー3に射出成形されることが好ましい。上記の場合のように、好ましくは、シールリップは膜4と同じ材料からなる。代替的には、シールリップ又はシールリップの一部をベース2に射出成形することができる。
【0059】
代替的には、シールリップの代わりに、1つ又は複数のシールリング又は任意の他のシール剤を使用することができる。
【0060】
ベース2及びカバー3が溶接によって、詳細には、レーザー溶接によって接続される場合、シールは溶接プロセス中に製造することもできる。そのプロセスでは、流体誘導エリアが、溶接ラインに沿って互いに、かつ外部エリアに対して封止されるように辿られる。
【0061】
カバー3及びベース2は圧力測定チャンバー10(
図24〜
図27を参照)を形成する。ベース2の円柱状凹部25(
図2を参照)は、それぞれの直径によってカバー3の円柱状凹部と一体になる。カバー3の円柱状凹部は、同じくカバー3によって形成される排出口通路と接続される。流体は、上記排出口通路によって、ポンプモジュール1から出ることができる。
【0062】
圧力測定チャンバー10は可撓性壁部分11を含み、可撓性壁部分は、圧力測定チャンバー10内に加えられる流体の圧力によって変形することができる。ポンプモジュール1の動作中に、各ポンプサイクルが、流体によって、壁部分11の変形を引き起こす。壁部分11の変形の度合いは、流体の圧力を示すと同時に、圧力測定チャンバー10内の圧力を示す。詳細には、例えば、下流閉塞の場合に生じる過剰圧力を検出することができるか、又はポンプモジュール1と接続されるライン又は管が損傷を受けたときに生じる圧力損失を検出することができる。さらに、ポンプモジュール1が流体収容バッグ(それは通常の用途である)と接続されるとき、圧力を測定することによって、そのバッグが空であるか否かを検出することができる。この実施形態において示されるように、圧力測定チャンバー10は、ポンプチャネル5の外部に配置することができるか、又はポンプチャネル注入口6とポンプチャネル排出口7との間に配置することができる。圧力測定チャンバーは、ポンプチャネル5の一部とすることができるか、又は例えば、通路によって、ポンプチャネルと接続することができる。直前に記述された変形形態によれば、上流及び下流の圧力を測定できるようになり、それを用いて、閉塞、管破損又は空バッグを検出することができる。
【0063】
ポンプチャネル注入口6及びポンプチャネル排出口7が同時に閉じられているときに、ポンプチャネル5又はポンプチャネル5の一部の内部圧力を測定することもできる。ポンプチャネル5が小さな容積を有する場合に特に、例えば、測定された圧力を基準値と比較することによって、ポンプチャネル5内の流体体積に関して、及び流体内の泡の存在、特にポンプチャネルのサイズ以上の気泡の存在に関して結論を出すことができる。このようにして、流体の中を通る超音波の損失を測定すること等の空気検出の確立された測定法の代わりに、安価に測定を行うことができる。
【0064】
その代わりに、又はそれに加えて、ポンプチャネル5の前方又は後方に2つの圧力測定チャンバー10を配置することができ、上流及び下流の圧力を測定することができる。このようにして、例えば、空の流体バッグを検出することができる。さらに、下流又は上流に位置する流体内の個々の気泡又は閉塞を検出することができる。
【0065】
この実施形態では、可撓性壁部分11が膜として設計され、それは本発明によれば好ましい。圧力測定チャンバー10の上方において、カバー3は、可撓性壁部分11が配置される円形凹部を含む。好ましくは、可撓性壁部分は膜4のために用いられることが好ましい材料と同じ材料からなる。安価に製造するために、可撓性壁部分11及び膜4を単一のプロセスにおいて、詳細には、カバー3を製造することに関連して、2構成要素射出成形プロセスの一部として製造することが特に好ましい。可撓性壁部分11のための凹部の内面において、カバー3は、その上側及び下側において可撓性壁部分によって包囲される突出部を含み、結果として壁部分11とカバー3との間の接続が強化される。
【0066】
その代わりに、又はそれに加えて、ベース2内に可撓性壁部分11を設けることができる。それに応じて、カバー3内の可撓性壁部分11のための凹部が、ベース2の底部に設けられることになる。
【0067】
可撓性壁部分11は外部から直接アクセスすることができる。それゆえ、ポンプモジュール1の他の構成要素によって遮られることなく、壁部分11の変形を特定することができる。この実施形態では、変形していない可撓性壁部分11は、カバー3の表面とともに平坦な面を形成する。
【0068】
その代わりに、又はそれに加えて、膜4によって流体の圧力を測定することができる。このようにして、ポンプチャネル5の内部圧力を特定することができる。
【0069】
図28及び
図29は、ポンプチャネル5の内部圧力が膜4によって測定されるデバイスを表す実施形態を示す。
【0070】
膜4と向かい合う部分において、揺動デバイス41は凹部34を有し、凹部34は、圧力センサー(図示せず)と接続される圧力測定デバイス35、ここでは、移動可能であり、弾性的にプリテンションをかけた硬質の測定用指状体を含む。膜4の変形は、圧力測定デバイス35によって検出され、ポンプチャネル5の内部圧力を特定するために用いられる。隆起部を有する膜4が用いられるとき(例えば、
図8及び
図10を参照)、圧力測定の感度を高めるために、圧力測定デバイスが膜4と接触する測定レンジ36(
図28を参照)内で隆起部が中断されることが好ましい。壁の厚み及び/又は形態を変更することの他に、それに加えて、又はその代わりに、このエリア内の膜4を異なる材料、例えば、高い弾性を有する材料から設計することができる。
【0071】
ここでは、圧力測定デバイス35は、揺動デバイス41の振動運動から切り離される。圧力測定デバイスは、揺動ポンプベースモジュール40のハウジング内に堅く取り付けられ、膜4に対する測定用指状体の振幅を最小限に抑える。代替的には、圧力測定デバイス35を揺動デバイス41内に少なくとも部分的に組み込むこともできる。
【0072】
このようにして、膜4の周期的な回転圧接に応じて、ポンプチャネル5内部の下流圧力、上流圧力、及び注入口6及び排出口7が閉じられているときの圧力を測定することができる。
【0073】
図示される実施形態では、ポンプモジュール1は、圧力測定チャンバー10に加えて、弁ユニット12を備える。弁ユニット12はポンプチャネル5と接続され、ポンプチャネル5及び弁ユニット12を通して流体を輸送できるようにする。ポンプモジュール5と弁ユニット12との間の接続は、ポンプチャネル注入口6(
図2及び
図24を参照)によって形成される。ポンプモジュール1は、弁ユニット12内に配置される可撓性弁本体14を備える。弁本体は、弁本体14が弁ユニット12を閉じて、流体が弁ユニットを通って流れるのを防ぐアイドル位置を占める場合があるか(
図24又は
図26)、弁本体14によって流体が弁ユニットを通って流れることができるようにする動作位置を占める場合がある(
図25又は
図27を参照)。弁ユニット12の第1の壁部分13は可撓性構造を有し、第1の壁部分13の変形によって弁本体を動作位置に動かし、それにより流体が弁ユニット12を通って流れることができるように、弁本体14と相互作用する。
【0074】
アイドル位置では、弁本体は弁ユニットの停止位置19に抗して弾性的にプリテンションをかけられる。結果として、弁本体14がアイドル位置から離れ、弁が開くために、特定の最小圧力が必要とされる。プリテンションは、弁本体14を押して停止位置19から離すために、流体が2bar以下の最小圧力、好ましくは1bar以上の最小圧力を有しなければならないように調整される。その結果、ポンプモジュール1は、その基本位置において閉じられている。弁本体14がアクティベートされたときにのみ、ポンプモジュール1を通して流体を輸送することができる。弁は、望ましくないときに、流体がポンプモジュールを通らないことを確実にし、例えば、ポンプモジュール1にバッグが接続されるときに、バッグから流体が無用に排出されないことを確実にする。そのような弁は、アンチフリーフロー弁とも呼ばれる。さらに、弁本体14の弾性プリテンションは、弁本体14がアイドル位置に圧入されるという効果を有し、その結果、流体の圧力又は弁本体14に接する第1の壁部分13の圧力が減圧されるときに、弁本体14はアイドル位置に戻る。
【0075】
ポンプモジュール1によって、流体が逆方向に輸送される、すなわち、ポンプモジュール1の有り得る使用法を明確に表す、ポンプモジュール1が逆の流れ方向において動作する場合には、弁本体14のプリテンションによってだけではなく、流体自体によっても、弁本体14が停止位置19に押し付けられ、それにより、アイドル位置に圧入される。結果として、その弁は、流体の圧力から独立して強制的に開かれない限り閉じたままである。
【0076】
弁ユニット12は第2の壁部分20を備えており、第2の壁部分20は撓み変形することができる。第2の壁部分20は、弁本体14と能動的に接続され、停止位置19に抗して、弁本体14に弾性的にプリテンションをかける。
図24及び
図25に示される第1のモデルでは、第2の壁部分20及び弁本体14は2つの部品からなる。
図26及び
図27に示される第2のモデルでは、第2の壁部分20及び弁本体14は一体品からなり、この場合、更には一体に形成される。
【0077】
好ましくは、第1の壁部分13、第2の壁部分20及び弁本体14は、半硬質又は軟質の撓み変形可能な材料から設計される。好ましい材料は、熱可塑性プラスチック材料、熱可塑性エラストマー、又はシリコーン含有材料を含む。詳細には、膜4、圧力測定チャンバー10の可撓性壁部分11、又はシールリップ9を製造するために用いられるのと同じ材料を用いることができる。このようにして、ポンプモジュール1を製造するための異なる材料の数及びプロセスステップの数を削減することができ、結果として、ポンプモジュール1を、より高い費用対効果で製造できるという事実が生じる。詳細には、第1の壁部分13及び第2の壁部分20は、ポンプモジュール1の更なる構成要素、特にベース1又はカバー3との2構成要素プロセスの一部として製造することができる。
【0078】
この実施形態では、弁ユニット12はベース2の円柱状凹部24によって形成され(
図2を参照)、縮小された直径によってカバー3の円柱状凹部と一体になる。カバー3の円柱状凹部は、同じくカバー3によって形成される排出口通路29と接続され、排出口通路によって、流体はポンプモジュール1に入ることができる(
図24を参照)。
【0079】
弁ユニット12の上方では、カバーは、その中に第1の可撓性壁部分13が配置される円形の凹部を有する。凹部の内側エッジにおいて、カバー3は、両側において可撓性壁部分13によって包囲される突出部を含み、それにより、第1の壁部分13とカバー3との間の接続の耐久性が改善される。
【0080】
弁ユニット12の下方では、ベース2は、その中に第2の壁部分20が配置される円形の凹部を有する。その凹部の内側エッジにおいて、ベース2は、両側において第2の壁部分20によって包囲される突出部を含み、それにより、第2の壁部分20とベース2との間の接続の耐久性が改善される。
【0081】
停止位置19は、ベース2内の弁ユニット12の円柱状部分がカバー3の弁ユニット12の円柱状部分よりも大きな直径を有することから作り出される段によって形成される。
【0082】
弁本体14は、ベース12内に位置する弁ユニット12のエリア内に配置される。第2の可撓性弾性壁部分20は、弁本体14がアイドル位置にあるときに既に変形しており、シールのように弁本体14を停止位置19に押し付ける接触圧を高める。好ましくは弁本体14の方向に向かう変形方向に、この場合には、第1の壁部分13及びカバー3の水平面に対して垂直に、第1の壁部分13を変形させることによって、弁本体14を動作位置に移動させることができる(
図25、
図26を参照)。弁本体14が動作位置に移動するのに応じて、第2の可撓性壁部分がますます外側に突出する。第1の壁部分13にかかる圧力を下げた後に、第2の壁部分20の復帰力によって、結果として弁本体14がアイドル位置に戻るという事実が生じる。
【0083】
この実施形態では、第1の壁部分13は、ポンプモジュール1の外壁の一部として設計され、その結果、第1の壁部分13は、遮られることなく、外部から操作することができる。第2の壁部分20もポンプモジュール1の外壁の一部として設計される。結果として、コンパクトなサイズを有するポンプモジュールを製造することができる。
【0084】
第1の壁部分13は、突出部51、例えば、ボルト又は棒状体と係合するための凹所21を含み、その凹所は外部からアクセスすることができる。このようにして、弁の誤用、詳細には、弁の意図しない開放を防ぐことができる。さらに、そのような凹所は、ポンプモジュールを揺動ポンプベースモジュールと正確な位置において接続するための位置決め補助手段として用いることができる。代替的には、第1の壁部分13は他の形態で、例えば、平坦に、又はカバー3の表面上方の出張り部分として設計することもできる。後者の変形形態によれば、弁を簡単に手動操作できるようになり、ポンプモジュールが揺動ポンプベースモジュールとまだ接続されていないときに、弁を開放する必要がある場合に有利である。
【0085】
代替的には、ベース2及びカバー3の機能を入れ替えることができ、すなわち、第2の壁部分20及び弁本体14をカバー3内に配置することができ、第1の壁部分13をベース2内に配置することができる。更には、注入口チャネル29及び排出口チャネル28をベース2によって部分的に、又は完全に形成することができる。基本的には、他の形状、例えば、楕円形又は長方形の形状の弁ユニット12及び/又は圧力測定チャンバー10を用いることもできる。
【0086】
記述される弁ユニット12は、膜4によって形成されるポンプチャネル5と組み合わせて用いるのに適しているだけでなく、基本的には、他のポンプシステムとともに用いることもできる。例えば、ポンプチャネル5として撓み変形可能な管を用いることができる。さらに、弁ユニット12の本発明に基づく構造は、ポンピング原理から独立して用いることができる。例えば、弁ユニット12の本発明に基づく構造は、リニアポンプ、蠕動フィンガーポンプ、ローラーポンプ又は膜ポンプの一部とすることができる。同じことが、圧力測定チャンバー10、詳細には、弁ユニット12と組み合わせた圧力測定チャンバーにも当てはまる。膜を用いるポンプ原理と、弁ユニット12及び圧力測定チャンバー10との組み合わせの特別な利点は、ポンプモジュールの個々の要素に幾つかの機能を与えることができ、それにより、ポンプモジュール1を安価に、コンパクトな形態で、かつ高い機械的精度で製造できるようになることである。
【0087】
カバー3は管を接続するための第1のコネクタ15及び第2のコネクタ16を備える。第1のコネクタ15はポンプ注入口6と接続され、第2のコネクタ16はポンプ排出口7と接続される。この実施形態では、第1のコネクタ15及び第2のコネクタ16は管状アダプターとして設計され、それぞれ管部分で覆われることができ(
図26を参照)、接続の安定性を改善するために、オプションで、例えば、接着又は溶接によってアダプターに付着接合することができる。注入口チャネル29の一部分が第1のコネクタ15とともに形成され、排出口チャネル28の一部分が第2のコネクタ16とともに形成される。結果として、注入口チャネル29を通り抜けた後に、注入口チャネル29を介してポンプモジュール1に注入された流体は、弁ユニット12、ポンプチャネル注入口6、ポンプチャネル5、ポンプチャネル排出口7及び圧力測定チャンバー10を通り抜け、その後、排出口チャネル28を介してポンプモジュールから出る。
【0088】
流体は異なる方向においてポンプモジュール1を通り抜けることもできる。この場合、ポンプモジュール1の弁が停止弁を形成し、停止弁は、流体の圧力から独立して注入口チャネル29への流体の流れを阻止し、第1の壁部分13によって弁本体14をアクティベートすることによって流れを解放する。
【0089】
代替的には、第1のコネクタ15及び/又は第2のコネクタ16は、他の形状に設計することができ、例えば、管部分を挿入することができるスリーブの形態とすることができる。
【0090】
ポンプチャネル5は真円構造を有することができるか、又は複数の実施形態において示されるポンプモジュール1のように、真円構造とは異なるように設計される。このようにして、ポンプモジュール1の動作中に、流体が妨げられることなく、又は十分に妨げられることなくポンプチャネル5を通り抜ける可能性がある短時間開放接続(「ショート」)が存在するという望ましくない状況を防ぐことができる。
【0091】
例えば、
図1及び
図2に示されるポンプモジュール1の第1の実施形態は、円形部分30、第1の直線部分31及び第2の直線部分32を有するポンプチャネル5を備える。円形部分は第1の直線部分と第2の直線部分との間に配置される。ポンプチャネル注入口6は第1の直線部分31内に位置し、ポンプチャネル排出口7は第2の直線部分32内に位置する。第1の部分31及び第2の部分32が直線構造を有することにより、例えば、揺動板(
図3に示される)によって示される、揺動デバイス41によって、ポンプチャネル5をポンプチャネル注入口6及びポンプチャネル排出口7において概ね同時に封止することができる実施形態が達成される(
図5を参照)。好ましくは、第1の部分31及び第2の部分32は、平行に、又は同一直線上に配置され、同一直線上にある態様が
図1、
図2及び
図5に示されるポンプモジュール1において示される。
【0092】
その回転軸に沿って軸方向に移動可能に取り付けられる揺動デバイス41、又は少なくとも膜4を圧縮するエリアにおいて弾性的に反発する構造を有する揺動デバイス41によって、ポンプチャネル注入口6及びポンプチャネル排出口7の同時閉鎖、並びに全ポンププロセスを改善することができる。この場合、揺動デバイスの軸方向の変位又は変形によって、十分な接触圧を達成することができる。詳細には、揺動デバイス41の軸方向支持及び/又は弾性反発構造によって、
図3に示されるように、揺動デバイス41が間隙を有するときであっても、ポンプサイクル中に、揺動デバイス41が各サイクル段階において軸方向に動くことによって膜4を十分に押すことを保証することができる。
【0093】
軸方向に変位させるために、揺動デバイス41は軸方向にプリテンションをかけることができる。
【0094】
図8及び
図10は、本発明に基づくポンプモジュール1の第3の実施形態を示す。膜4がカバー3を越えて突出しない第1の実施形態とは違って、膜4は隆起部を有するように設計される。変形していない状態では、溝23に面する膜4の下面は、ポンプチャネル5を確実に閉じることができるように形成される。この実施形態では、下面は平坦な構造を有する。膜4の上面は円環状構造を有し、カバー3を越えて突出する。例えば、
図9に示されるような揺動デバイス41によって、ポンプチャネル5の一部分において、膜4の円環状エリアの一部分にかかる揺動デバイス41の圧力によって流体密封するように膜4を溝23の表面に押し付けることができる。結果として、転倒軸67の回りの揺動デバイス41の揺動運動によって、ポンプチャネルを通して流体を輸送することができる。円環状膜4のために、膜4に面する揺動デバイス41のベース62の下面は、平坦な構造を有することができる(
図10を参照)。
図10は、一部分が変形しておらず、一部分が揺動デバイス41によって変形し、ポンプチャネル5を閉じている状態の膜4を示す。残りの構造に関して、第3の実施形態はポンプモジュール1の第1の実施形態に対応する。
【0095】
揺動デバイス41のそのような平坦な実施形態は、揺動デバイス41及び揺動デバイスのドライブユニットが横方向寸法公差による影響を受けないという点で有利である。さらに、揺動デバイス41は、半硬質板又は可撓板として簡単かつ規定された方法で設計することができる(
図37を参照)。このようにして、揺動デバイス41に内在する可撓性を実現し、膜にかかる揺動デバイスの規定接触圧を達成することができる。このようにして、軸方向寸法公差を補償することができる。
【0096】
図11〜
図13は、本発明に基づくポンプモジュール1の第4の実施形態を示す。第1の実施形態と違って、曲面を成す膜4は平坦構造を有しない。その上面は隆起部を有するように設計され、第3の実施形態に対応する。変形していない状態では、膜4の下面は、内向きに曲面を成す。溝形カットとして設計されるポンプチャネル注入口6及びポンプチャネル排出口7は別として、ベースは、膜4の下面と向かい合う上面において平坦構造を有する。膜4の下面(内向きに曲面を成す)及びベース2の平坦面は、そこを通して流体を輸送することができるポンプチャネル5を形成する。例えば、ポンプチャネル5の一部分において、
図9に示されるような揺動デバイスによって、流体密封するように膜4をベース2の表面に押し付けることができる。
図13は、一部分において変形しておらず、一部分において揺動デバイス41によって変形し、ポンプチャネル5を閉じている膜4を示す。残りの構造に関して、第4の実施形態はポンプモジュール1の第1の実施形態に対応する。
【0097】
図14及び
図15は、本発明に基づくポンプモジュール1の第5の実施形態を示す。第1の実施形態とは違って、ポンプチャネル注入口6とポンプチャネル排出口7との間のポンプチャネル5は螺旋形構造を有し、ポンプチャネル注入口6とポンプチャネル排出口7との間の部分において、ポンプチャネル5は径方向において重なり合い、すなわち、ポンプチャネル5は36度よりも大きな角度範囲に及ぶ。好ましくは、螺旋形ポンプチャネル5は、転倒軸に対して垂直な面内に設計される。重なり合うエリアにおいて、ポンプチャネル注入口6及びポンプチャネル排出口7に向かって、ポンプチャネル5の螺旋形部分はそれぞれ1つの直線部分に合流し、両方の直線部分が平行に配置される。代替的には、ポンプチャネルは真の螺旋形構造を有することもできる。他の点では、ポンプモジュール1のこの実施形態は第1の実施形態に対応する。
【0098】
ポンプチャネル5の螺旋形部分は、ポンプチャネル注入口6及びポンプチャネル排出口7を互いにオフセットして配置できるようにし、その結果、1つの部分において、ポンプチャネルは径方向において重なり合うことができる(図面を参照)。その重なりは、揺動デバイス41によって、振動との関連でポンプチャネル注入口6及びポンプチャネル排出口7を確実に閉じることができることを保証できるようにする。結果として、ポンプチャネル5が、ポンプチャネル注入口6とポンプチャネル排出口7との間で少しの時間開くという状況を防ぐことができる。さらに、ポンプチャネル5の重なりは、ポンプチャネル排出口7の部分において、膜4の循環変形がポンプチャネル排出口7にまだ達していない間に、好ましくは、ポンプチャネル注入口6から開始する、ポンプチャネル5を局所的に閉じることによって、タンブリングプロセス中に、ポンプチャネル5内部の流体の圧縮を引き起こすことができるようにする。連続振動の場合、中心(それは転倒軸上に位置することが好ましい)から更に離れた、ポンプチャネル5を封止する局所的変形が、内側に位置する変形よりも長い距離に及ぶので、ポンプチャネル5のこれら2つの封止されたエリア間の容積は小さくなる。内側に位置する変形がポンプチャネル排出口7に達するときに、圧縮段階は終了する。そのような圧縮は、
図18〜
図20に示される揺動デバイス41によって実行することができるか、又は膜がそれぞれの隆起部を設けられるときに、そのような圧縮は
図9に示される揺動デバイスを用いて実行することができる。
【0099】
図16及び
図17は、本発明に基づくポンプモジュール1の第6の実施形態を示す。第1の実施形態とは違って、ポンプモジュール5は、2つの円形ポンプチャネル部分を含み、それらの部分は、膜4を形成する2つの円形膜部分401及び402によって、かつ2つの円形溝部分231及び232によってベース2内に形成され、第1のポンプチャネル部分は中心403(それは転倒軸上に位置することが好ましい)に対して第1の半径内に配置され、第2のポンプチャネル部分は、中心403に対して第2の、ここでは、更に大きな半径内に配置され、その半径は第1の半径とは異なる。第1のポンプチャネル部分は、好ましくは少なくとも180度から大きくても355度の角度範囲にわたって延在する。好ましくは、第2のポンプチャネル部分は少なくとも20度の角度範囲にわたって延在する。好ましくは、第1のポンプチャネル部分及び第2のポンプチャネル部分は、少なくとも10度の角度範囲内で重なり合う。
【0100】
ポンプチャネル注入口6は、外側の第2の溝部分232の一端に配置される。ポンプチャネル排出口7は、内側の第1の溝部分231の一端に配置される。第2のポンプチャネル部分/第2の溝部分232は、短い移行ダクト233によって、第1のポンプチャネル部分/第1の溝部分231と接続される。移行ダクト233は、ポンプチャネル注入口6から或る距離に位置する第2のポンプチャネル部分の場所から、ポンプチャネル排出口7の反対側に位置する第1のポンプチャネル部分の端部まで延在する。移行ダクト233がポンプチャネル注入口6の反対側に位置する端部の手前に配置されることにより、ポンプチャネル5は、移行ダクト233の場所において、第1のポンプチャネル部分(移行ダクト233の入口からポンプチャネル排出口7まで)及び第2のポンプチャネル部分(移行ダクト233の入口からポンプチャネル注入口の反対側に位置する第2のポンプチャネル部分の端部まで)に分割される。第1のポンプチャネル部分では、流体はポンプチャネル排出口7に輸送される。この実施形態では、第2のポンプチャネル部分は、流体のための「行き止まり」を形成し、圧力を補償するために用いられる。
【0101】
圧力補償は以下のように行われる。タンブリングプロセスの第1の周期的に繰り返す段階において、外側の第2のポンプチャネル部分内のポンプチャネル注入口6のエリア、及びポンプチャネル排出口7の手前に位置する、ポンプチャネル5の内側の第1のポンプチャネル部分内のエリアが同時に封止される。図示される実施形態では反時計回りに行われる振動を進めていくと、内側の第1のポンプチャネル部分の半径が外側の第2のポンプチャネル部分の半径よりも小さいので、圧縮段階が生じる。膜4の可撓性の結果として、少なくとも部分的に膜4の変形によって、移行ダクトと、ポンプチャネル注入口6に面しない第2のポンプチャネル部分の端部との間の第2のポンプチャネル部分を通して、過剰な圧力が補償される。最終的に、振動を進めていくと、移行ダクト233が横切られ、膜4の変形が第1のポンプチャネル部分において継続され、結果として、第2のポンプチャネル部分内に形成される過剰な圧力を解放できるという事実が生じる。好ましくは、膜4は、移行ダクト233に達したときに、移行ダクト233の注入口及び排出口のエリアにおいて同時に圧縮される。このようにして、振動によって変形する膜4が第2のポンプチャネル部分から第1のポンプチャネル部分に移行するときに、流体の望ましくない逆流を防ぐことができる。
【0102】
第2のポンプチャネル部分の変形形態として、膜は、異なる厚みの材料を用いて設けることができ、及び/又は圧力補償を最適化できるようにする異なる材料から設計することができる。
【0103】
移行ダクト233はベース2の平面内に形成され、ベース2は、溝23が位置する平面内に位置する。ポンプチャネル排出口7から、溝が位置する平面の下方の平面内に位置する供給ダクト234が第2のコネクタ16につながる。移行チャネル部分233又は供給ダクト234の他の実施形態を設計することもできる。
【0104】
代替のモデルでは、第1のポンプチャネル部分及び/又は第2のポンプチャネル部分は、円形構造の代わりに、螺旋形構造を有することができる。
【0105】
揺動デバイスは、棒状体を有する揺動デバイス41を含むことができるか、又は膜が隆起部を有するように設計される場合には、平坦な接触面を有する揺動デバイス41を含むことができる。
【0106】
ポンプモジュール1の第6の実施形態によれば、圧力測定チャンバー10が、ポンプチャネル注入口6とポンプチャネル排出口7との間のポンプチャネル5のエリア、ここでは、内側の第1のポンプチャネル部分内に位置する。ポンプチャネル5は測定チャンバーとして用いられる。圧力を測定するための圧力測定チャンバー10の可撓性壁部分11は、ポンプチャネル5の壁の一部を形成する。可撓性壁部分11は、膜4に向かい合うように位置する。
【0107】
ポンプチャネル5内部の流体は、ポンプチャネル注入口6及びポンプチャネル排出口7が同時に閉じられている状況においても、下流及び上流において測定することができる。このようにして、閉塞、管破損又は空バッグを検出することができる。さらに、そのような圧力測定は、流体内の気泡、特にポンプチャネル5のサイズ以上の気泡を検出できるようにする。また、ポンプチャネル注入口及びポンプチャネル排出口が閉じられているときのポンプチャネル5内の流体の充填体積を特定することもできる。
【0108】
代替的には、測定チャンバー10は、ポンプチャネル5から切り離し、供給ラインによってポンプチャネル5と接続することができる。
【0109】
代替の第7の実施形態(種々の変形形態が
図21〜
図23に示される)では、ポンプチャネル5は撓み変形された管45の部分によって形成される。ポンプチャネル5は、両側においてそれぞれ直線部分に合流する螺旋形部分を有し、両方の直線部分は互いにオフセットして配置される。内側に位置する管45の直線部分は、螺旋形部分の下を通る(
図23を参照)。この実施形態では、管45は硬質担体33の溝形ダクト内に配置され、硬質担体は管45をその形態において固定する。例えば、蠕動可撓管ポンプのために通常用いられる弾性の撓み変形可能な管45を用いることができる。
【0110】
実施形態において示されるポンプモジュール1のポンプチャネル5は、ポンプチャネル注入口6とポンプチャネル排出口7との間の部分において、0.1mm
2≦Q≦10mm
2の範囲、好ましくは0.5mm
2≦Q≦2mm
2の範囲に及ぶ値を含む断面を有する。さらに、ポンプチャネル注入口6とポンプチャネル排出口7との間の部分におけるポンプチャネル5の容積VSは、1μl≦VS≦500μlの範囲、好ましくは10μl≦VS≦100μlの範囲に及ぶ値を含む。ベース2、及びベース2に堅く接続されるカバー3は合わせて、長くても100mm、好ましくは長くても50mm、特に好ましい長くても25mmの長さ及び幅と、厚くても20mm、好ましくは厚くても10mm、特に好ましい厚くても5mmの厚みとを含む。
【0111】
揺動ポンプドライブシステム43に加えて、揺動ポンプベースモジュール40は、それにより膜4を圧縮することができる揺動デバイス(記述済み)を備える。同時に、揺動デバイス41の形状はポンプチャネル5に適合する。この場合、揺動デバイス41は線状の棒状体を含み、その棒状体は少なくとも複数の部分において曲線を成し、かつ振動して膜4を揺動するように変形させることができ、記述される実施形態における棒状体46、及びポンプモジュール1のポンプチャネル5は、真円構造とは異なるように設計される。
【0112】
代替的には、棒状体46は円形構造を有することもでき、この場合、揺動デバイス41は好ましくは軸方向に移動可能に取り付けられるか、又は揺動デバイス41は弾性構造を有する(
図37を参照)。
【0113】
棒状体46は揺動デバイス41の円板状ベース62に取り付けられ、このようにして揺動板として設計される。代替的には、揺動デバイス41は、ポンプモジュール1が隆起部を有する膜4を含む場合、棒状体を用いることなく、平坦な圧力面を有するように設計することもできる。
【0114】
揺動デバイス41の第1の実施形態によれば、棒状体46は、円形部分47と、第1の直線部分48と、第2の直線部分49とを含み、円形部分47は、第1の直線部分48と第2の直線部分49との間に配置される(
図3を参照)。棒状体46の軌道(course)は、
図1、
図2、
図4及び
図5に示されるポンプモジュール1の第1の実施形態のポンプチャネル5の軌道に対応する。棒状体46は、完全に円形の構造を有するのではなく、第1の直線部分48と第2の直線部分49との間の部分において凹む。その凹部はポンプチャネル注入口6をポンプチャネル排出口7から分離するポンプモジュール1の棒状体26を架橋するという目的を有する。
【0115】
第1の直線部分48及び第2の直線部分49において、棒状体はそれぞれ丸みを帯びた舌部の形態で終端する。この舌部の形状によって、第1の直線部分48及び第2の直線部分49の終端部分に弾性をもたらすことができる。このようにして、揺動デバイス41によって、ポンプチャネル注入口6及びポンプチャネル排出口7のエリア内の膜4の衝撃を低減することができる。
【0116】
基本的に、棒状体46は一貫した高さを有するように設計することができ、ここでそれは、ポンプモジュール1に向かい合う棒状体46のエッジが1つの平面内に位置することを意味する。揺動デバイス41の第1の実施形態によれば、棒状体46は可変の高さを有するように設計され、すなわち、棒状体46のエッジは共通の面内に位置しない。第1の直線部分48及び第2の直線部分49のエリアにおいて、棒状体46の高さは曲線を成すように減少する(
図3における点線58は、一定の高さを有する棒状体の軌道を示す)。結果として、振動中に、揺動デバイス41は、ポンプモジュール1のポンプチャネル5のポンプチャネル注入口6及びポンプチャネル排出口7を同時に確実に圧縮し(第1の実施形態を参照)、それにより、逆流問題を防ぐことができる。好ましくは、揺動デバイス41は、ポンプモジュール1の方向における軸方向運動によって、ポンプチャネル注入口6及びポンプチャネル排出口7が確実に封止されることを保証するために、軸方向に、例えば、撓むように取り付けられる。
図18及び
図19は、揺動デバイス41の既に言及された第3の実施形態の2つのモデルを示す。この実施形態では、揺動デバイス41の棒状体46は、両側にそれぞれ第1の直線部分60及び第2の直線部分61が接続される螺旋形部分59を備えており、直線部分60、61は互いに平行に配置され、結果として、棒状体46の重なりが生じる。棒状体46の軌道は、ポンプモジュール1の第5の実施形態(
図14、
図15を参照)のポンプチャネル5の軌道に対応する。螺旋形部分の第1の部分では、棒状体46は、コイルの中心から更に離れて位置する螺旋形部分の第2の部分よりも高い(
図19を参照)。この実施形態では、棒状体の高さは、コイルの半径が小さくなると高くなる。直線部分60、61は螺旋形部分に取り付けられる。棒状体46が中心に近いエリアほど高いことにより、ポンプチャネルが常に確実に圧縮されることを保証することができる。
【0117】
図20は、
図18及び
図19に示される揺動デバイス41の第2の実施形態のモデルを示す。
【0118】
その代わりに、又はそれに加えて、傾斜が変化するようにポンプモジュール1のポンプチャネル5を設計することができるか、又は振動中心に応じて膜4のサイズ又はその隆起部の高さを変更することができる。
【0119】
好ましくは、揺動デバイス41の棒状体46は剛体である。詳細には、使用されることになる材料はプラスチック材料、又は更には金属を含むことができる。好ましくは、棒状体46は射出成型部品である。詳細には、棒状体46は一体品において製造することができ、ベース62が揺動板として設計される。さらに、棒状体は硬質材料からなることができるが、半硬質材料からなることもできる。棒状体46に内在する可撓性のために、棒状体は膜又は溝の輪郭に容易に適合させることができ、径方向及び/又は軸方向の寸法公差を補償する場合に有利である可能性がある。
【0120】
揺動板として設計される、
図9に示される揺動デバイス41の凹凸のない実施形態では、ベース62は好ましくは半剛体を含む。その内在する可撓性のために、揺動板の軸方向への弾性的な可撓性を実現することができる。結果として、接触圧を規定して、ポンプチャネル5の確実な周期的回転圧縮を達成することができ、かつ特に注入口及び排出口の同時閉鎖を保証することができる。さらに、このようにして、ポンプベースモジュールとポンプモジュールとの間の軸方向寸法公差を補償することができる。
【0121】
図30〜
図37は、揺動ポンプベースモジュール40及びポンプモジュール1を備える、種々の揺動ポンプシステムを示す。
【0122】
揺動ポンプベースモジュール40は、揺動ポンプドライブシステム43と、揺動ポンプデバイス41とを備える(例えば、
図33を参照)。揺動ポンプドライブシステム43によって、揺動ポンプデバイス41をアクティベートし、振動を実行することができる。さらに、揺動ポンプベースモジュール40は、その中に揺動ポンプドライブシステム43及び揺動ポンプデバイス41が配置されるハウジングを備える。ハウジングは上部63及び底部64を含む。
【0123】
ポンプモジュール1を収納するために、揺動ポンプベースモジュール40はレセプタクル42(
図30及び
図31も参照)を備える。レセプタクル42は、本発明に基づくポンプモジュール1をレセプタクル42内に手動で設置又は挿入することができ、ポンプモジュール1をレセプタクル42から手動で取り出すことができるように設計される。これに関連して、手動で挿入又は設置することは、ポンプモジュール1を挿入するか、又は取り出すためにいかなる工具も必要としないことを意味する。
【0124】
この実施形態では、レセプタクル42は、凹所又はバットの形態で設計される。レセプタクル42はポンプモジュール1の外側形状に対応するので、ポンプモジュール1は、形状が一致するようにレセプタクル42によって収納されることができる。これは、揺動デバイス41に対してポンプモジュール1を正確に位置決めする場合に有利である。この場合、レセプタクル42は、ポンプモジュール1の長方形の形状に対応する長方形の形状を有する。また、当然、ポンプモジュール1及びレセプタクルに対して異なる構造を用いることもできる。
【0125】
その底部において、レセプタクル42は凹部を有する。揺動デバイス41は凹部のエリア内に配置され、その結果、揺動デバイス41はレセプタクル42内に挿入されたポンプモジュール1と能動的に接続することができる。好ましくは、レセプタクル42と揺動デバイス41との間の間隙を、例えば、可撓膜65によって流体密封するように封止し、レセプタクル42に入った流体が、例えば、不適切な取扱い又は欠陥のあるポンプモジュール1によって、ポンプベースモジュール40のハウジングの内部に稀に流れ込むのを防ぐ。
【0126】
さらに、レセプタクルに加えて、ハウジング64の底部は、レセプタクル42から出てくる2つの溝状ダクト65を含む。ポンプモジュール1の両側から出てくる管の部分は、溝状ダクト65の中に挿入することができる。
【0127】
少なくとも部分的に非対称に、レセプタクル42に対応するポンプモジュール1を設計することによって、ポンプモジュール1を一方向においてのみレセプタクルに挿入できることを保証することができる。このようにして、誤用の危険性を低減することができる。この場合、ポンプモジュール1の管ノズル15、16はポンプモジュール1の中心に配置されるのではなく、中心からオフセットされる。
【0128】
レセプタクル42はハウジングの一部として設計することができる。その実施形態では、レセプタクル42は、ハウジング64の底部によって形成される。
【0129】
さらに、揺動ポンプベースモジュール40は固定デバイスを備え、固定デバイスによって、ポンプモジュール1をレセプタクル42内のその位置に固定することができる。固定デバイスは手動で、すなわち、工具を使用することなく操作することができ、それは、簡単かつ単純に操作できることを意味する。
【0130】
この実施形態では、固定デバイスはカバー44を含む。カバー44はハウジング、ここでは、ハウジングの底部64にヒンジ結合される。レセプタクル42は、カバー44によって閉じることができる。カバー44が閉じられているとき、カバー44は、レセプタクル42内においてポンプモジュール1がその位置に形状が一致するように固定する(例えば、
図22及び
図23を参照)。カバー44が開かれているとき、ポンプモジュール1はレセプタクル42から手動で取り出すことができる。
【0131】
カバー44をその閉位置に固定するために既知のデバイスを用いることができる。例えば、スナップ嵌め、ラッチ又は任意の他のロック機構を用いることができる。自動制御されるロックシステム(場合によって、上記の機構に加えて)によってカバーを固定し、ポンプが動作している間にカバー44が開かれるのを防ぐこともできる。
【0132】
さらに、揺動ポンプベースモジュール40は弁アクチュエータを備える。弁アクチュエータは、ポンプモジュール1が設置又は挿入されるときに、ポンプモジュール1の弁ユニット12の第1の可撓性壁部分を変形させ、それにより、弁本体14を動作位置に動かすように設計される。
【0133】
この実施形態では、弁アクチュエータは、硬質の突出ボルト51(
図32を参照)によって設計される。ボルト51は、レセプタクル42の底部に撓まないように配置される。ボルト51はポンプモジュール1の凹所21内に係合するように設計される(
図24も参照)。ポンプモジュール1が挿入されるとき、ボルトは凹所21内に係合し、第1の可撓性壁部分13を変形させ、それにより、弁本体14を動作位置に動かす。第1の可撓性壁部分13及び凹所21の設計に応じて、弁アクチュエータは、異なる形状を有することができ、例えば、棒状体として設計することができるか、又は膜13が凹所を有するように、若しくは凹凸のないように設計される代わりに出張り部分を有している場合、弁アクチュエータは、ポンプモジュール1が挿入されるときに膜13の出張り部分が係入される凹所又は凹部を含む。
【0134】
代替的には、硬質ボルト又は棒状体(図示せず)のような硬質の突出部の代わりに、弁アクチュエータとして可動突出部を設けることもできる。このようにして、所望の時点で、例えば、動作のためにポンプがアクティベートされることになるときのみ、弁本体14を開くためにアクティベートすることができる。ポンプ動作が終了するとき、突出部は格納することができ、弁本体14はそのアイドル位置に戻ることができる。例えば、引き出すことができるか、又は格納することができる突出部もボルト又は棒状体として設計することができる。
【0135】
補助的に、弁アクチュエータ51は、ポンプモジュール1のための位置決め補助手段として、かつポンプモジュール1がレセプタクル内に正確に挿入されることを保証する補助手段として用いることができる。
【0136】
揺動ポンプベースモジュール40は凹部52を含み、弁本体14が動作位置に移動するとき、ポンプモジュール1の弁ユニット12の第2の可撓性壁部分20は凹部52の中に退避することができる。この実施形態では、凹部52はカバー44内に配置される(
図30〜
図32を参照)。このようにして、ポンプモジュール1を凹凸のない小型の構成要素として設計することができる。
【0137】
さらに、揺動ポンプベースモジュール40は圧力センサー66を備える(
図32を参照)。圧力センサー66は、圧力測定チャンバー10の可撓性壁部分11の変形によって値を求めるように設計され、その値は圧力測定チャンバー10の内部圧力を反映する。そのような圧力センサー66は専門家には既知である。この実施形態では、圧力センサー66は、揺動ポンプベースモジュール40のハウジング内に配置される。
【0138】
それとは別に、又はそれに加えて、圧力センサー66又は更なる圧力センサーを、ポンプモジュール1の膜4と接触させて、上記のように、ポンプチャネル5内の圧力を測定することができる。
【0139】
さらに、揺動ポンプベースモジュール40はプリテンショニングデバイス56を備える(例えば、
図33を参照)。プリテンショニングデバイス56は、揺動デバイス41がレセプタクル42内に収納されるポンプモジュール1に抗して弾性的にプリテンションをかけられるように設計される。
【0140】
揺動デバイス41がポンプモジュール1に抗して弾性的にプリテンションをかけられることにより、揺動デバイス41とポンプモジュール1との間の規定された位置を達成することができ、及び/又はポンプモジュール1は、ポンプモジュール1の膜4に十分な接触圧を加える。このようにして、ポンプモジュールが交換されるときに、ポンプの特性が変化しないか、又はごく僅かしか変化しないことを保証することもできる。軸方向寸法公差も補償することができる。
【0141】
この実施形態では、揺動デバイス41はプリテンショニングデバイス56によって軸方向においてプリテンションをかけられる。したがって、揺動デバイス41は、軸方向(
図33において軸によって示される)において移動可能に取り付けられる。プリテンショニングデバイス56は、限界停止位置83まで揺動デバイス41を開始位置に押し込み、開始位置において、揺動デバイス41は、ポンプモジュール1がレセプタクル42内に挿入されていないときに、レセプタクルの中に延在する。軸67は、レセプタクル42の底部分に対して垂直な位置を有する。結果として、揺動デバイス41の棒状体56はレセプタクル42の中に延在する。ポンプモジュール1が挿入されているときに、棒状体56はポンプモジュール1の膜4と接触し、膜4を圧縮点において封止する。ポンプモジュール1が完全に挿入されるときに、揺動デバイス41は、ポンプモジュール1によるプリテンションに逆らってハウジングの方向に押される。
【0142】
この実施形態では、プリテンショニングデバイス56は幾つかのばね69を含み、ばねは、揺動デバイス41とともに、揺動ポンプドライブシステム43にプリテンションをかける。揺動デバイス41がレセプタクル42に対して傾斜しないか、又は僅かにしか傾斜しないことを保証するために、揺動デバイス41が接続される揺動ポンプドライブシステム43は幾つかのガイドピン70に取り付けられる。プリテンショニングデバイス56は、揺動ポンプベースモジュール40のハウジング、ここではハウジングの底部64と堅く接続される。
【0143】
更なる実施形態(図示せず)によれば、プリテンショニングデバイスは、ポンプベースモジュール40のカバー44内に組み込まれる。プリテンショニングデバイスは、ポンプモジュール1がレセプタクル42内に挿入され、カバー44が閉じられているときに、ポンプモジュール1に圧力を加えるように設計される。結果として、ポンプモジュール1は揺動デバイスに押し付けられる。その結果、カバー44が閉じられているときに、ポンプモジュール1はプリテンションをかけられる。
【0144】
さらに、軸67に沿った揺動デバイス41の軸方向プリテンションによって、ポンプ動作中に、揺動デバイス41は、振動に加えて、軸方向における重なり運動(overlapping movement)を実行できるようになる。同じことが、ポンプモジュール1が揺動デバイス41に抗して軸方向にプリテンションをかけられるときにも当てはまる。ポンプモジュール1及び揺動デバイス41の特定のモデルの場合、これにより、ポンプチャネル5の確実な周期的循環圧縮、特にポンプチャネル注入口6及びポンプチャネル排出口7の確実な同時閉鎖を可能にする。さらに、揺動デバイス41は位置決め補助手段57を備える。位置決め補助手段57は、モーターシャフトの延長時に揺動デバイス41を中心に合わせるように設計される。ポンプモジュール1の対応するレセプタクル又は凹部が、揺動デバイス41の軸方向運動を可能にする。この実施形態では、揺動デバイス41は中央のドーム形突出部を含む。ポンプモジュール1は対応するS字形凹所22を含み、ポンプモジュールがレセプタクル42に挿入されるときに、その凹所に位置決め補助手段が係入する。好ましくは、揺動デバイスの可撓性を保証し、かつ摩擦損を回避するために、位置決め補助手段57及びポンプモジュール1は直接接触しない。
【0145】
揺動ポンプドライブシステム43によって、揺動デバイス41は振動状態に設定される。
図33〜
図36は、揺動ポンプドライブシステム43の種々の実施形態を伴う揺動ポンプベースモジュール40を示す。
【0146】
揺動ポンプドライブシステム43はモーター69を備えており、モーターによってドライブシャフト70は回転状態に設定することができる。ドライブシャフト70は軸67の回りを回転する。その回転プロセスは、伝達機構によって揺動デバイス41の振動に変換される。
【0147】
好ましくは、モーターは電気モーター、例えば、直流モーター、ステップモーター又は圧電モーターを含む。好ましくは、モーター(図示せず)にエネルギーを供給するために1つ又は複数の電池が用いられ、それらの電池は揺動ポンプベースモジュール40内に位置する。それとは別に、又はそれに加えて、外部エネルギー供給源を用いることができる。
【0148】
第1の実施形態(
図33に示される)では、揺動ポンプドライブシステム43は伝達要素71を含む。ボールベアリング73によって、伝達要素71は担体内に旋回可能に取り付けられ、担体内にはモーター69も位置する。伝達要素71はドライブシャフト70と堅く接続され、その結果、ドライブシャフト70の回転運動が生じる。
【0149】
伝達要素71は横方向ピン74を含む。その軸において、ピン74は軸74に対して傾けられる。ピン74の傾斜角は、90度−転倒角68に対応する。転倒角68は、軸67に対する揺動デバイス41の傾斜を決定する。
【0150】
ピン74上にボールベアリング75が配置される。ボールベアリング75の外側エッジは揺動デバイス41の背面のエッジに当接する。
【0151】
揺動デバイス41は、伝達要素71内にボールベアリング76によって旋回可能に取り付けられる中央ピン77によって、適所に保持される。同時に、中央ピン77は揺動デバイス41の中央凹部78に完全には接さずに係入する。中央ピン77の回転軸は、軸67に対応する。ボールベアリングの中央ピン77は回転せず、凹部78内の摩擦損を最小限に抑える。その形状のために、揺動デバイス41の凹部78は、揺動デバイス41が中央ピン77に対して十分に傾くようすることができる。代替的には、揺動デバイス41を中央ピン77と堅く接続することができ、揺動デバイス41は、中央ピン77に対して所定の傾斜を有する。
【0152】
ドライブシャフト70が回転する結果として、ピン77が回転軸67の回りを回転する。ピン77上に配置されるボールベアリング75は、揺動デバイスの外側エッジ上で転動せず、ピン77の傾斜の結果として、揺動デバイス41を回転させる。
【0153】
揺動デバイス41の対称軸は、転倒角68だけ回転軸67に対して傾けられる。この実施形態では、ここで揺動板として設計される揺動デバイスを中心に合わせるのが非常に容易であることが有利である。
【0154】
その実施形態の変形形態では(
図34に示される)、揺動デバイス41は、揺動デバイス41の対称軸を中心にして、中心に位置決めされる2つのボールベアリング78によって、伝達要素71内に旋回可能に取り付けられる。2つのボールベアリング78は、揺動デバイス41から、伝達要素71の回転運動を切り離す。この実施形態では、揺動デバイス41の位置合わせは予め決定される。
【0155】
その実施形態の異なるモデルでは(
図35に示される)、伝達要素は第1のピン74に加えてピン79を含む。ピン79は、軸67の反対側に第1のピン74に対して同一直線上に配置される。第2のボールベアリング75が第2のピン79上に配置される。ボールベアリング75の外側エッジも揺動デバイス41のエッジに当接する。ドライブシャフト70の回転によって、ピン74、79上に配置される2つのボールベアリング75は揺動デバイス41の外側エッジの反対の場所において転動せず、揺動デバイス41を振動させる。
図33に示される実施形態と比べて、このようにして、振動を安定化させることができる。
【0156】
その実施形態の更なるモデルでは(
図36に示される)、伝達要素71の傾けられたピン74及びボールベアリングは磁石80で置き換えられる。揺動デバイス41は、リング状の磁石81を備えており、その磁石は、磁石80に面する揺動デバイスの背面に配置される。伝達要素71の磁石80は、角度の一部分に制限される。伝達要素71を回転させることによって、磁石80は、揺動デバイス41のリング状磁石81の上方を移動する。磁石80、81は互いに逆の極性を有するように構成されるので、磁石80、81は互いに接触する。磁石80、81の反発効果のために、揺動デバイス41は伝達要素71の磁石80の回転によって振動するように設定される。この実施形態では、摩擦損が最小限に抑えられることが有利である。揺動デバイスは中央ピン77によって中心に合わせられる。
【0157】
更なるモデルでは(
図37に示される)、揺動デバイス41は、凹凸のない、半硬質の撓み変形可能な揺動板の形態で設計される。
【0158】
揺動デバイス41が弾性であることにより、全ポンプサイクル中に、挿入されたポンプモジュール1の膜4上に十分な接触圧が加えられることを保証することができる。
【0159】
この場合、揺動デバイス41は、プリテンショニングデバイス56によって弾性的にプリテンションをかけられる。しかしながら、代替的には、そのようなプリテンショニングデバイス56を使用しないことができる。
【0160】
さらに、揺動ポンプベースモジュール40は、可撓性支持板82を備える。支持板82はレセプタクル42内に、ここでは、レセプタクル42の底部分に配置される。レセプタクル42内に挿入されるポンプモジュール1とカバー44との間に存在する寸法公差は、支持板82の可撓性によって補償することができ、カバー44は硬質構造を有することができる。結果として、ポンプモジュール1はプリテンショニングデバイス56によってカバーにしっかりと押し付けられ、確実に位置決めされる。プリテンショニングデバイス56によって生成される、揺動デバイス41の軸方向振幅は、ポンプモジュール1の最大許容軸方向可撓性よりも大きい。結果として、膜4が確実に圧縮されることを保証することができる。
【0161】
基本的には、実施形態において用いられるボールベアリング73、75、76、78の数を変更することができる。幾つかのボールベアリングを用いることによって、運動を更に厳密に規定するか、又は安定させることができる。ボールベアリングの数を減らすことは、コンパクトで軽量の構造を有するという観点から有利である。
【0162】
図38a〜
図38cは、組み立てられていない状態及び組み立てられた状態のポンプモジュール1の好ましい実施形態を示す。
【0163】
図38aは、膜4とともにポンプチャネル5を形成するリング状凹部又は溝23を有するベース2を示す。また、その図は、第1のコネクタ15、ポンプチャネル注入口6、ポンプチャネル排出口7及び第2のコネクタ16も示す。第1のコネクタ15と第2のコネクタ16との間に更なる凹部24又は25が配置され、その凹部は可撓性壁部分を収納するために設けられる。点線はポンプチャネル注入口6及びポンプチャネル排出口7から第1のコネクタ15又は第2のコネクタ16までの移行部を示す。
【0164】
さらに、
図38aは、ベース2内の凹部23とともに、リング状ポンプチャネル5を形成する膜4を有するカバー3を示す。隆起部(示されない)が膜4の表面上に配置される。基本的には、膜又は膜の少なくとも表面は、特に少なくとも幾つかの部分において、凸構造を有する。この構造は、揺動デバイス41が可能な限り均等に膜4を圧縮することを確実にする。さらに、カバー3は可撓性壁部分11又は13、例えば、更なる凹部24又は25とともに弁ユニット12又は圧力測定チャンバー10を形成するか、又は形成することができる膜を支持する。
【0165】
図38bは、使い捨てポンプモジュール1を組み立てられた状態において示す。
図38cは、揺動デバイス41又は揺動板41との相互作用を示す。ポンピングのプロセスのために、揺動板41の棒状体は、リング状ポンプチャネル5に係入するか、上から膜4を押し付ける(図示せず)。ポンプチャネル注入口6とポンプチャネル排出口7との間のエリアにおいて、棒状体46は、棒状体26を架橋する中断部を含む。
【0166】
一実施形態では、ポンプモジュール1は、4cm×4cmよりも小さな横方向寸法で製造することができる。回転当たりのポンプ容積は、10マイクロリットルから50マイクロリットルに及ぶことができ、好ましくは20マイクロリットルから30マイクロリットルに及ぶことができる。現在、本発明に基づく揺動ポンプによって、最大約200ml/hのポンプ容積及び/又は最大25Lの全ポンプ可能容積を達成することができる。予め調べられた圧力エリアでは、ポンプモジュール1、及び/又はポンプモジュール1を収納する揺動ポンプベースモジュール40は、ポンプチャネル注入口6及び/又はポンプチャネル排出口7における圧力変動による影響を非常に受けにくい。例えば、現在、ポンプチャネル排出口7において0barより高く最大1000mbarの可変の背圧を有する場合、約3%よりも低い偏差を有する流量を達成することができる。ポンプチャネル注入口6において、−100mbar〜+100mbarの範囲内の可変圧力を有する場合、約5%よりも低い偏差を有する流量を達成することができる。ポンプモジュール1が低コストで製造できることにより、それは好ましくは、使い捨て商品として提供することができる。
【0167】
先に説明され、
図3において例示的に図示されたように、一貫した高さを有する揺動デバイス41の棒状体46を設計することができる。これまでの説明では、揺動デバイス41を、高さが変化し、好ましくは徐々に高くなる棒状体46を有するように設計できることも示される。この場合、棒状体46のエッジは共通の面内に位置しない。
【0168】
高さが変化する棒状体46を有する揺動デバイス41の更なる実施形態では、棒状体46は或るタイプの傾斜路46aを与える。これが、
図39a及び
図39bに示される。このために、
図39bは
図39aに示される揺動板41の架橋エリアの拡大図を示す。よりよく示すために、両方の図において傾斜路46aは縮尺通りに図示されない。ポンプモジュール1に関連付けられる棒状体46のエッジは、1つの面内に位置しない。好ましくは、棒状体の高さは連続して増加する。傾斜路46aが形成される。同時に、揺動板41の外周全体にわたってその増加率が変化することも可能である。例えば、増加率は増減することができるか、又は一定のままにすることができる。(揺動デバイス41のベース62に対して)棒状体46の深く延在する(deep-set)部分すなわち長い部分46cは、ポンプモジュール1のポンプチャネル排出口7に関連付けられる。(揺動デバイス41のベース62に対して)棒状体46の高い部分すなわち短い部分46bは、ポンプモジュール1のポンプチャネル注入口6に関連付けられる(
図38cも参照)。振動中に、棒状体46内の中断部がベース内の棒状体26に沿って延在するときに、揺動板41は下方に傾けられる。結果として、振動中に、揺動デバイス41は、ポンプモジュール1のポンプチャネル注入口6及びポンプチャネル排出口7を同時に確実に閉じるか、又は圧縮することができる。結果として、特に、逆流問題を防ぐか、少なくとも緩和することができる。
【0169】
傾斜路46aの構造のために、ポンプチャネル注入口6が依然として閉じられているか、又はポンプチャネル5内に圧力が蓄積されていない間に、揺動板41が振動し続けているときに、ポンプチャネル排出口7が開かれるのを防ぐ。傾斜路46aは、揺動板41が振動し続けるときに揺動板が突然持ち上げられないようにし、かつポンプチャネル排出口7が突然開かれないようにする効果を有し、突然開くことはポンプチャネル5内の圧力が低いことに起因し、それゆえ、ポンプチャネル排出口7を介してポンプチャネル5へのいわゆる「逆流」が生じることになる。「逆流」は、ポンプチャネル排出口7における流体の望ましくない流入を表す。
【0170】
傾斜路46aの2つの部分46bと46cとの間の高さの差ΔHは、
図39bにおいて両矢印によって示される。好ましくは、高さの差ΔHは、約1/100mm〜約1mmの範囲に及び、好ましくは、約1/10mm〜約3/10mmの範囲に及ぶ。結果として、傾斜路46aの増加は、約1/100mm〜約1mmの範囲に及び、好ましくは、約1/10mm〜約3/10mmの範囲に及び、揺動板41の外周にわたって、詳細には、約300度〜約360度の角度範囲にわたって分布する。傾斜路46aは、棒状体46若しくは棒状体のエッジ上の材料除去によって(
図39a及び
図39に示される)、及び/又は棒状体46若しくは棒状体のエッジ上の材料堆積によって設けることができる。代替形態又は付加形態として、傾斜路46aは、膜4上の材料除去によって、及び/又は膜4上の材料堆積によって設けることもできる。更なる代替形態又は付加形態として、ポンプモジュール1のポンプチャネル5を、傾斜路を有するように設計することもできる。
【0171】
傾斜路46aによって、逆流を防ぐか、少なくとも低減することができる。この関連で、
図40a及び
図40bは、傾斜路46aを有する場合、及び有しない場合のポンプ性能に関する計算を示す。いずれの場合にも、それぞれのポンプ容積は、1ポンプサイクルにわたる時間の関数として示される。図示される2つの曲線は、ポンプチャネル注入口6(「流入曲線」)及びポンプチャネル排出口7(「流出曲線」)におけるポンプ性能を示す。正の値は、ポンプチャネル5に送り込まれる体積(「流入曲線」)又はポンプチャネル5から圧送される体積(「流出曲線」)を示す。負の値は、ポンプチャネル5から圧送される体積(「流入曲線」)又はポンプチャネル5に送り込まれる体積(「流出曲線」)を示す。この場合、特に「逆流出」、すなわち、ポンプチャネル排出口7における流体の望ましくない流入又は流出が望ましくない。
図40aは、傾斜路46aを用いない場合に、結果として1.7マイクロリットルの「逆流出」が生じたポンプ性能を示す。
図40bは、傾斜路46aを用いる場合に、結果として逆流が少ないか、又は基本的に逆流が抑制されたポンプ性能を示す。
【0172】
棒状体及び凹部を有する揺動デバイス41(
図33〜
図40に示される)の代わりに、代替的には、平坦な接触面を有する揺動デバイス41を使用することができる(
図9に示される)。それに応じて、円環状膜4を用いてポンプモジュール1が設計される。
【0173】
揺動ポンプベースモジュール40及びポンプモジュール1は合わせて、流体を送り込むための揺動ポンプシステムを形成する。ポンプモジュール1及び揺動ポンプベースモジュール40は適合するように形成され、特に、揺動ポンプベースモジュール40の揺動デバイス41とポンプモジュール1のポンプチャネル5が適合し、ポンプモジュール1の形態と揺動ポンプベースモジュール40のレセプタクル42の形態が適合するように形成される。そのような揺動ポンプシステムは、規定されたポンプ特性を有するポンプを表し、ポンプモジュールを交換することによって、輸送される流体によって汚されたポンプの構成要素を簡単、かつ迅速に取り替えることができる。ポンプモジュール1は、コンパクトな構造で、使い捨て商品(「使い捨て品」)として安価に製造することができる。特定の応用形態の場合に特に、ポンプモジュール1は、管群又は移送システム内に組み込むことができる。
【0174】
さらに、ポンプモジュール1は逆止弁を含むことができ、流体の望ましくない逆流が輸送されるのを防ぐ。逆止弁は、ポンプチャネル排出口7の後方、又はポンプチャネル注入口6の前方のポンプ方向に配置することができる。詳細には、ポンプチャネル排出口7の後方、及びポンプチャネル注入口6の前方に配置される少なくとも2つの逆止弁を設けることができる。好ましくは、逆止弁は、第1のコネクタ15とポンプチャネル注入口6との間に、及び/又は第2のコネクタ16とポンプチャネル排出口7との間に位置する。例えば、少なくとも1つの逆止弁は、可撓膜フラップとして設計することができる。そのような膜フラップは専門家には既知である。好ましくは、逆止弁は、ベース2及び/又はカバー3及び可撓膜によって形成される。
【0175】
本発明に基づくポンプモジュール1は、安価に、かつ堅牢に製造することができる。少なくとも膜4及びベース2からポンプチャネル23を設計することによって、規定通りで再現可能な寸法を有するポンプチャネル23を製造することができる。周期的に循環する膜変形によって、生産速度において高い精度を達成できるようになる。本発明に基づくポンプモジュール1を揺動デバイスとともに用いることは、膜4を変形させる物体との転がり接触又は滑り接触が存在しないので、膜4の機械的応力が最小限に抑えられるという利点を有する。ポンプモジュールが安価で再現可能に製造できることにより、本発明に基づくポンプモジュール1は、一度だけ使用することを意図した使い捨て商品(「使い捨て品」)として適している。
【0176】
ポンプモジュール1、揺動ポンプベースモジュール40及び揺動ポンプシステムの上記の実施形態は、特に医療分野において用いることができる。これらのデバイスは、例えば、栄養液を送り込むための経腸ポンプとして、又は薬物を静脈内注入するための注入ポンプとして使用するのに特に好ましい。また、それらの実施形態を他の応用形態のために用いることもできる。