【文献】
Molecular-Based Synthetic Approach to New Group IV Materials for High-Efficiency, Low-Cost Solar Cells and Si-Based Optoelectronics,J. Am. Chem. Soc.,2008年,Vol.130 ,P.16095-16102
【文献】
Kouvetakis, J. et al.,Nanosynthesis of Si-Ge-Sn semiconductors and devices via purpose-built hydride compounds,ECS Transactions,2008年,Vol.16,No.10,P.807-821
【文献】
Richard Soref et al.,Advances in SiGeSn Technology,Journal of Materials Research,2007年,vol.22,pp.3281-3291
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記太陽電池はハイブリッド太陽電池であり、前記GeSiSnにより形成される前記補助電池上に堆積されたゲルマニウムから構成される補助電池を更に含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
IV族合金から形成される前記層は、0.91eVから0.95eVの範囲のバンドギャップを有する第一GeSiSn補助電池と、1.13eVから1.24eVの範囲のバンドギャップを有する第二GeSiSn補助電池とを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
III−V族合金から形成される前記半導体物質の層を堆積する前記段階は、第一バンドギャップを有する前記基板上に第一補助太陽電池を形成する段階と、前記第一補助太陽電池上に前記第一バンドギャップより小さい第二バンドギャップを有する第二補助太陽電池を形成する段階とを含み、IV族合金から構成される前記半導体物質の層を形成する前記段階は、前記第二補助太陽電池上に前記第二バンドギャップより小さい第三バンドギャップを有する第三補助太陽電池を形成する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
IV族合金から構成される前記半導体物質の層を形成する前記段階は、前記第三バンドギャップより小さい第四バンドギャップを有し、前記第三補助太陽電池と格子整合状態の第四補助太陽電池を形成する段階を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
IV族合金から構成される前記半導体物質の層を形成する前記段階は、前記第四補助太陽電池上に、前記第四バンドギャップより小さい第五バンドギャップを有する第五補助太陽電池を形成する段階を更に含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
IV族合金から構成される前記半導体物質の層を形成する前記段階は、前記第五補助太陽電池上に、前記第五バンドギャップより小さい第六バンドギャップを有する第六補助太陽電池を形成する段階を更に含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
IV族合金から構成される前記半導体物質の層を形成する前記段階は、前記第六補助太陽電池上に、前記第六バンドギャップより小さい第七バンドギャップを有する第七補助太陽電池を形成する段階を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
前記半導体成長用基板は、前記代替基板が取り付けられた後、研磨、エッチング、又はエピタキシャル除去により取り除かれることを特徴とする請求項11に記載の方法。
前記太陽電池はハイブリッド太陽電池であり、前記第一補助太陽電池は、InGa(Al)Pエミッター領域とInGa(Al)Pベース領域により構成され、前記第二補助太陽電池は、GaAs、InGaAsP、又はInGaPにより構成され、前記第三補助太陽電池は、GeSiSn、InGaP、又はGaAsにより構成されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
前記IV族合金層内にAs及びPの少なくとも一つを拡散することにより、前記IV族合金内に接合を形成して、光起電性の補助電池を形成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の詳細が、例示的な側面及びその実施形態を含むものとして以下に説明される。図面及び以下の説明においては、同じ参照番号が同様の又は機能的に類似した要素を識別すために使用され、高度に単純化した図式で例示的実施形態の主な特徴を表している。更に、図面は、実際の実施形態のあらゆる特徴、更に示した要素の相対寸法を示すようには意図されておらず、縮尺により描かれていない。
【0016】
反転多接合太陽電池を製造する基本概念は、基板上で太陽電池の補助電池を「逆」順に成長させることである。すなわち、通常は太陽放射線に面する「上部」補助電池である高バンドギャップ補助電池(すなわち、1.8eVから2.1eVの範囲のバンドギャップを有する補助電池)が、例えば、ヒ化ガリウム又はゲルマニウムなどの半導体成長用基板上に直接的に、該基板と格子整合した状態となるようにエピタキシャル状に最初に成長させられる。次いで、1又はそれ以上の、低いバンドギャップを有する中間太陽電池(すなわち、1.2eVから1.8eVの範囲のバンドギャップを有する)を、高バンドギャップ補助電池上に成長させることができる。
【0017】
少なくとも1つの、低位の補助電池が、成長基板に対して実質的に格子整合状態となるように、かつ、第三の低いバンドギャップ(すなわち、0.7eVから1.2eVの範囲のバンドギャップ)を持つように、中間補助電池上に形成される。次いで、代替基板すなわち支持構造が、「底部」又は低位の補助電池に取り付けられるか又は形成され、成長用の半導体基板が、その後取り除かれる。(成長用基板は、その後第二及びそれ以降の太陽電池の成長のために順次再使用することができる。)
【0018】
反転変性多接合太陽電池として知られている反転多接合太陽電池形式の種々異なる特徴及び態様は、米国特許出願一連番号12/401,189及びその出願に述べられている関連する出願に開示されている。これらの特徴の幾つか又はすべてを、本発明の太陽電池に関連する構造及び製造に含ませることができる。
【0019】
半導体構造における層の格子定数及び電気特性は、好ましくは、適切な成長温度及び時間についての反応器仕様、及び適切な化学化合物及びドーピング剤の使用により制御される。有機的金属気相エピタクシー(OMVPE)、有機化学的金属蒸着(MOCVD)、分子ビームエピタクシー(MBE)などの蒸着法、又は他の逆成長のための蒸着法の使用によって、電池を形成するモノリシック半導体構造における層を、必要とされる厚さ、元素化合物、ドーピング剤濃度と粒度、及び導電型で成長させることができる。
【0020】
図2Aは、本発明の第一の実施形態により、GaAsの成長用基板上に3つの補助電池A、B及びCを順次形成した後の多接合太陽電池を示している。具体的に述べると、基板101が示されており、これは、ヒ化ガリウム(GaAs)が好ましいが、ゲルマニウム(Ge)又は他の適当な物質とすることができる。GaAsの場合には、基板は好ましくは、15°切り出し基板、すなわち、その表面が(100)平面から(111)平面方向に15°ずらして方向付けられたものであり、これは2008年3月13日付けの米国特許出願一連番号12/047,944に詳細に述べられている。2008年12月17日付けの米国特許出願一連番号12/337,014に述べられているような他の代替的成長基板も、同様に使用することができる。
【0021】
ゲルマニウム基板の場合には、核形成層(図示されず)が基板101上に直接堆積される。基板上に、又は(ゲルマニウム基板の場合)核形成層の上に、バッファー層102及びエッチストップ層103が(111)更に堆積される。GaAs基板の場合には、バッファー層102は、GaAsであることが好ましい。ゲルマニウム基板の場合には、バッファー層102は、InGaAsであることが好ましい。次にGaAsの接触層104が層103上に堆積され、A1InPのウインドウ層105が接触層上に堆積される。次にn+エミッター層106及びp型ベース層107から成る補助電池Aが、ウインドウ層105上にエピタキシャル状に堆積される。補助電池Aは、成長基板101と全体的に格子整合している。
【0022】
多接合太陽電池構造は、格子定数及びバンドギャップの必要事項を条件に、周期表に挙げられたIII族からV族までの元素のあらゆる適当な組み合わせにより形成することができ、ここで、III族は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びタリウム(T)を含むことを理解するべきである。IV族は、炭素(C)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、及びスズ(Sn)を含む。V族は、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、及びビスマス(Bi)を含む。
【0023】
1つの好ましい実施形態においては、エミッター層106は、InGa(Al)Pから構成され、ベース層107は、InGa(Al)Pから構成される。上式で括弧内のアルミニウムすなわちAl項は任意の成分であり、本発明の様々な実施形態においては、0%から30%の範囲の量で使用することができる。本発明の一実施形態によるエミッター及びベース層106及び107のドーピング形状は、
図16と関連して述べる。
【0024】
補助電池Aは、後に述べる本発明による製造段階の終了後、最終的には、反転多接合構造の「上部」補助電池となる。
【0025】
ベース層107の上部に、好ましくはp+AlGaInPである後部表面フィールド層(「BSF」)が堆積され、再結合損失を減少するために使用される。
【0026】
BSF層108は、再結合損失の影響を最小にするために、ベース/BSFインターフェース表面に近い領域から少数キャリアを駆逐する。言い換えれば、BSF層108は、補助太陽電池Aの後側で再結合損失を減少し、したがってベースでの再結合を減少する。
【0027】
BSF層108の上部に、高いドーピング濃度のp型層109a及びn型層109bがこの順で堆積され、補助電池Aを補助電池Bに接続するトンネルダイオード、すなわちオーム回路要素を形成する。層109aは、p++AlGaAsから構成されることが好ましく、層109bは、n++InGaPから構成されることが好ましい。
【0028】
トンネルダイオード層109の上部に、ウインドウ層110、好ましくはn+InGaPが堆積されるが、他の物質も同様に使用することができる。より一般的には、補助電池Bで使用されるウインドウ層110は、インターフェースの再結合損失を減少するように働く。本発明の範囲から外れることなく、付加層を電池構造に付加するか又は除去することができることが、当業者には明らかである。
【0029】
ウインドウ層110の上部に、補助電池Bの層、すなわちn型エミッター層111及びp型ベース層112が堆積される。これらの層は、好ましくは、それぞれInGaP及びGaAs(GaAs基板の場合)から構成されるが、必要条件の格子定数及びバンドギャップを備えたあらゆる他の適当な物質成分も同様に使用することができる。したがって、他の実施形態においては、該補助電池Bは、GaAs、GaInP、GaInAs、GaAsSb、又はGaInAsNエミッター領域及びGaAs、GaInAs、GaAsSb又はGaInAsNベース領域からそれぞれ構成することができる。本発明による様々な実施形態における層111及び112のドーピング形状は、
図16との関連で述べる。
【0030】
本発明の幾つかの実施形態においては、米国特許出願一連番号12/023,772に開示された構造に類似した、中間補助電池はInGaPを有するヘテロ構造とすることができ、そのウインドウはInAlPからInGaPに変えられる。この変更は、中間補助電池のウインドウ/エミッターインターフェースで、不連続な屈折率を除去することができる。更に、幾つかの実施形態においては、ウインドウ層110は、フェルミ・レベルを導電バンド近くまで上げるために、エミッター層111より多くドーピングされるようにすることが好ましく、これによりウインドウ/エミッター間インターフェースにおいてバンド曲がりを形成し、エミッター層への少数キャリアを抑制することとなる。
【0031】
本発明の好ましい実施形態の1つにおいては、中間補助電池エミッターは、上部補助電池エミッターと等しいバンドギャップを有し、第三補助電池エミッターは、中間補助電池のベースのバンドギャップより大きいバンドギャップを有する。したがって、太陽電池が製造され、実装されて作動させられた後において、中間補助電池Bのエミッター及び第三補助電池Cのエミッターのいずれも吸収可能な放射線に曝されることはない。
【0032】
実質的には、吸収可能な放射線を表すすべての光子は、エミッターより狭いバンドギャップを有する電池B及びCのベースにおいて吸収される。したがって、ヘテロ接合型補助電池を使用する利点は、(i)両方の補助電池に対応する短い波長が改善され、(ii)放射線の束が、より狭いバンドギャップベースに、一層効率的に吸収されて、集積されることである。それによる効果は、短絡電流J
SCを増加させることである。
【0033】
ベース層112aの上に、BSF層113、好ましくはp+型AlGaAsが堆積される。BSF層113は、BSF層108と同じ機能を行う。
【0034】
p++/n++トンネルダイオード層114a及び114bのそれぞれは、層109a及び109bと同様にBSF層113上に堆積され、補助電池Bを補助電池Cに接続するオーム回路要素を形成する。114a層は、p++GeSiSnから構成されることが好ましく、層114bは、n++GeSiSnから構成されることが好ましい。
【0035】
好ましくはn+型GeSiSnから構成されるウインドウ層115が、トンネルダイオード層114b上に堆積される。このウインドウ層は、補助電池「C」内の再結合損失を減少するように作用する。本発明の範囲から外れることなく、付加的層を電池構造に付加するか又は除去することができることが、当業者には明らかである。
【0036】
ウインドウ層115の上部に、電池Cの層、すなわちn+エミッター層116及びp型ベース層117が堆積される。これらの層は、ヘテロ結合補助電池に対して、それぞれがn+型GeSiSnとp型GeSiSnか、又はn+型とp型から構成されることが好ましいが、格子定数及びバンドギャップの必要条件が一致する他の適当な物質も、同様に使用することができる。補助電池Cの接合部の形成は、As及びPをGeSiSn層に拡散することにより実行することができる。層116及び117のドーピング形状は
図16と関連して述べる。
【0037】
第一の実施形態において順に形成される補助太陽電池のバンドギャップの凡その値は、上部補助電池Aが1.85eV、補助電池Bが1.42eV、補助電池Cが1.03eVであることが好ましい。
【0038】
図3に関連して述べられているように、p+型GeSiSnから構成されることが好ましいBSF層は、補助電池Cのベース層117の上部に堆積することができ、該BSF層は、BSF層108及び113と同じ機能を達成する。
【0039】
図2Aの実施形態における太陽電池の製造における順次の製造段階の説明が、
図3から始まって、それ以降の図面の説明により示されている。一方で、多接合太陽電池半導体構造の他の実施形態を示す。
【0040】
図2Bは、本発明の第二の実施形態により、GaAsの成長用基板上に4つの補助電池A、B、C及びDを順次形成した後の多接合太陽電池を示している。具体的に述べると、基板101が示されており、これは、ヒ化ガリウム(GaAs)が好ましいが、ゲルマニウム(Ge)又は他の適当な物質とすることができる。GaAsにおいては、基板は好ましくは、15°切り出し基板、すなわち、その表面が(100)平面から(111)平面方向に15°ずらして方向付けられたものであり、これは2008年3月13日付けの米国特許出願一連番号12/047,944に詳細に述べられている。2008年12月17日付けの米国特許出願一連番号12/337,014に述べられているような他の代替的成長用基板も、同様に使用することができる。
【0041】
図2Bの実施形態における層101から層117の成分は、
図2Aの実施形態で示されたものと類似しているが、異なる要素成分又はドーピング濃度を有するものとすることができ、これはここに繰り返して述べられない。
【0042】
図2Bの実施形態においては、p+型GeSiSnから構成されることが好ましいBSF層118が、補助電池Cのベース層117の上部に堆積され、該BSF層は、BSF層108及び113と同じ機能を達成する。
【0043】
p++/n++トンネルダイオード層119a及び119bのそれぞれは、層109a及び109b及び114a/114bと同様にBSF層118上に堆積され、補助電池Cを補助電池Dに接続するオーム回路要素を形成する。119a層は、p++GeSiSnから構成されることが好ましく、層119bは、n++GeSiSnから構成されることが好ましい。
【0044】
好ましくはn+型GeSiSnから構成されるウインドウ層120が、トンネルダイオード層119b上に堆積される。このウインドウ層は、補助電池D内の再結合損失を減少するように作用する。本発明の範囲から外れることなく、付加層を電池構造に付加するか又は除去することができることが、当業者には明らかである。
【0045】
ウインドウ層120の上部に、補助電池Dの層、すなわちn+エミッター層121及びp型ベース層122が堆積される。これらの層は、それぞれがn+型Geとp+型Geから構成されることが好ましいが、格子定数及びバンドギャップの必要条件が一致する他の適当な物質も、同様に使用することができる。補助電池Cの接合部の形成は、As及びPをGeSiSn層に拡散することにより実行することができる。一実施形態における層121及び122のドーピング形状は
図16と関連して述べる。
【0046】
図3に関連して述べられているように、p+型GeSiSnから構成されることが好ましいBSF層123が、補助電池Dの上部に堆積され、該BSF層は、BSF層108、113及び118と同じ機能を達成する。
【0047】
第二の実施形態における補助太陽電池の順序のバンドギャップの凡その値は、上部補助電池Aが1.85eV、補助電池Bが1.42eV、補助電池Cが1.03eV、上部補助電池Dが0.73eVであることが好ましい。
【0048】
図2Bの実施形態における太陽電池の製造の順次の製造段階の説明が、
図3から始まって、その次の図面の説明により示される。一方で、多接合太陽電池半導体構造の他の実施形態を示す。
【0049】
図2Cは、本発明の別の実施形態において、GaAs成長基板上に5つの補助電池A、B、C、D及びEを順次形成した後の多接合太陽電池を示している。より特定的には、基板101が示されており、これは、ヒ化ガリウム(GaAs)が好ましいが、ゲルマニウム(Ge)又は他の適当な物質とすることができる。
【0050】
基板101から層105まで、及び層114aから層123までの成分及び説明は、実質的には、
図2Bの実施形態と関連して述べられたものと類似しているが、異なる要素成分又はドーピング濃度によって、異なるバンドギャップを形成するが、ここでは繰り返す必要はない。特に、
図2Cの実施形態においては、補助電池Aのバンドギャップは、およそ2.05eVとすることができ、補助電池Bのバンドギャップは、およそ1.6eVとすることができる。
【0051】
図2Cで述べられた実施形態を見ると、ウインドウ層105の上に、補助電池Aの層、すなわちn+エミッター層106a及びp型ベース層107aが堆積される。これらの層は、好ましくは、それぞれn+型InGaAlP及びp型InGaAlPから構成されるが、必要条件の格子定数及びバンドギャップを備えた他の適当な物質成分も同様に使用することができる。補助電池Aは、およそ2.05eVのバンドギャップを有することが好ましい。
【0052】
ベース層107の上部に、好ましくはp+AlGaInPである後部表面フィールド層(「BSF」)が堆積され、再結合損失を減少するために使用される。
【0053】
BSF層108は、再結合損失の影響を最小にするために、ベース/BSFインターフェース表面に近い領域から少数キャリアを駆逐する。言い換えれば、BSF層108は、補助太陽電池Aの後側で再結合損失を減少し、したがってベースでの再結合を減少する。
【0054】
BSF層108の上部に、高いドーピング濃度のp型層109c及びn型層109dがこの順で堆積され、補助電池Aを補助電池Bに接続するトンネルダイオード、すなわちオーム回路要素を形成する。層109cは、p++AlGaAsから構成されることが好ましく、層109dは、n++(Al)InGaPから構成されることが好ましい。
【0055】
トンネルダイオード層109c/109dの上部に、ウインドウ層110、好ましくはn+InGaPが堆積されるが、他の物質も同様に使用することができる。より一般的には、補助電池Bで使用されるウインドウ層110は、インターフェースの再結合損失を減少するように働く。本発明の範囲から外れることなく、付加層を電池構造に付加し又は除去できることが、当業者には明らかである。
【0056】
ウインドウ層110の上部に、補助電池Bの層、すなわちn+型エミッター層111a及びp型ベース層112aが堆積される。これらの層は、好ましくは、それぞれInGaAsP及びInGaAsPから構成されるが、必要条件の格子定数及びバンドギャップを備えたあらゆる他の適当な物質成分も同様に使用することができる。補助電池Bは、およそ1.6eVのバンドギャップを有することが好ましい。一実施形態におけるエミッター層及びベース層のドーピング形状は、
図16との関連で述べる。
【0057】
ベース層112aの上部に、好ましくはp+InGaAsである後部表面フィールド層(「BSF」)113aが堆積され、再結合損失を減少するために使用される。
【0058】
BSF層113の上部に、高いドーピング濃度のp型層114a及びn型層114bがこの順で堆積され、トンネルダイオードを形成する。層114aから層123は、実質的には、
図2Bの実施形態と関連して述べられたものと類似しているが、異なる要素成分又はドーピング濃度によって、異なるバンドギャップを形成する。この実施形態における、補助太陽電池C及びDの順序のバンドギャップは、補助電池Cがおよそ1.24eV、補助電池Dがおよそ0.95eVである。
【0059】
補助電池Dのベース層122の上部に、好ましくはp+GeSiSnである後部表面フィールド層(「BSF」)123が堆積され、これは、再結合損失を減少するために使用される。
【0060】
BSF層123の上部に、高いドーピング濃度のp型層124a及びn型層124bがこの順で堆積され、補助電池Dを補助電池Eに接続するトンネルダイオード、すなわちオーム回路要素を形成する。層124aは、p++GeSiSnから構成されることが好ましく、層124bは、n++GeSiSnから構成されることが好ましい。
【0061】
トンネルダイオード層124a/124bの上部に、ウインドウ層125、好ましくはn+GeSiSnが堆積されるが、他の物質も同様に使用することができる。より一般的には、補助電池Eで使用されるウインドウ層125は、インターフェースの再結合損失を減少するように働く。本発明の範囲から外れることなく、付加層を電池構造に付加又は除去できることが、当業者には明らかである。
【0062】
ウインドウ層125の上部に、補助電池Eの層、すなわちn+型エミッター層126及びp型ベース層127が堆積される。これらの層は、好ましくはGeから構成されるが、必要条件の格子定数及びバンドギャップを備えたあらゆる他の適当な物質成分も同様に使用することができる。補助電池Eの接合部の形成は、As及びPをGe層に拡散することにより実行することができる。一実施形態における層126及び127のドーピング形状は、
図16との関連で述べる。補助電池Eは、およそ0.73eVのバンドギャップを有することが好ましい。
【0063】
図3に関連して述べられているように、p+型GeSiSnから構成されることが好ましいBSF層128が、補助電池Eの上部に堆積され、該BSF層は、BSF層108、113a、118及び123と同じ機能を達成する。
【0064】
この実施形態において順に形成される補助太陽電池のバンドギャップの凡その値は、上部補助電池Aが2.05eV、補助電池Bが1.6eV、補助電池Cが1.24eV、上部補助電池Dが0.95eV、補助電池Eが0.73eVであることが好ましい。
【0065】
図2Cの実施形態における太陽電池の製造における順次の製造段階の説明が、
図3から始まって、それ以降の図面の説明により示される。一方で、多接合太陽電池半導体構造の他の実施形態を示す。
【0066】
図2Dは、本発明の別の実施形態により、GaAs成長基板上に6つの補助電池A、B、C、D、E及びFを順次形成した後の多接合太陽電池を示している。具体的に述べると、基板101が示されており、これは、ヒ化ガリウム(GaAs)が好ましいが、ゲルマニウム(Ge)又は他の適当な物質とすることができる。
【0067】
基板101及び層102から110、及び層120から128までの成分及び説明は、実質的には、
図2Cの実施形態と関連して述べられたものと類似しているが、異なる要素成分又はドーピング濃度によって、異なるバンドギャップを形成するが、ここでは繰り返す必要はない。
【0068】
図2Dで述べられた実施形態を見ると、ウインドウ層110の上に、補助電池Bの層、すなわちn+型エミッター層111b及びp型ベース層112bが堆積される。これらの層は、好ましくは、それぞれn+型InGaP及びp型InGaPから構成されるが、必要条件の格子定数及びバンドギャップを備えた他の適当な物質成分も同様に使用することができる。補助電池Bは、ほぼ1.74eVのバンドギャップを有することが好ましい。
【0069】
ベース層112bの上部に、好ましくはp+AlGaAsである後部表面フィールド層(「BSF」)113bが堆積され、これは、再結合損失を減少するために使用される。
【0070】
BSF層113bの上部に、高いドーピング濃度のp型層114c及びn型層114dがこの順で堆積され、補助電池Bを補助電池Cに接続するトンネルダイオード、すなわちオーム回路要素を形成する。層114cは、p++AlGaAsから構成されることが好ましく、層114dは、n++AlGaInPから構成されることが好ましい。
【0071】
トンネルダイオード層114c/114dの上部に、ウインドウ層115a、好ましくはn+InAlPが堆積されるが、他の物質も同様に使用することができる。より一般的には、補助電池Cで使用されるウインドウ層115aは、インターフェースの再結合損失を減少するように働く。本発明の範囲から外れることなく、付加層を電池構造に付加するか又は除去することができることが、当業者には明らかである。
【0072】
ウインドウ層115aの上に、補助電池Cの層、すなわちn+型エミッター層116a及びp型ベース層117aが堆積される。これらの層は、好ましくは、それぞれn+型InGaAsP及びp型InGaAsPから構成されるが、必要条件の格子定数及びバンドギャップを備えた他の適当な物質成分も同様に使用することができる。補助電池Cは、およそ1.42eVのバンドギャップを有することが好ましい。
【0073】
ベース層117aの上部に、好ましくはp+AlGaAsである後部表面フィールド層(「BSF」)118aが堆積され、これは、再結合損失を減少するために使用される。
【0074】
BSF層118aの上部に、高いドーピング濃度のp型層119c及びn型層119dがこの順で堆積され、補助電池Cを補助電池Dに接続するトンネルダイオード、すなわちオーム回路要素を形成する。層119cは、p++AlGaAs又はGeSiSnから構成されることが好ましく、層119dは、n++GaAs又はGeSiSnから構成されることが好ましい。
【0075】
トンネルダイオード層119c/119dの上部に、ウインドウ層120、好ましくはn+GeSiSnが堆積されるが、他の物質も同様に使用することができる。より一般的には、補助電池Dで使用されるウインドウ層120は、インターフェースの再結合損失を減少するように働く。本発明の範囲から外れることなく、付加層を電池構造に付加又は除去できることが、当業者には明らかである。上記したように、層120から層128は、実質的には、
図2Cの実施形態と関連して述べられたものと類似しているが、異なる要素成分又はドーピング濃度によって、異なるバンドギャップを形成するが、ここでは繰り返す必要はない。したがって、この実施形態においては、補助電池Dは、およそ1.13eVのバンドギャップを有することが好ましく、補助電池Eは、およそ0.91eVのバンドギャップを有することが好ましい。
【0076】
p型GeSiSnから構成されるBSF層128の上に、高いドーピング濃度のp型層129a及びn型層129bがこの順で堆積され、補助電池Eを補助電池Fに接続するトンネルダイオード、すなわちオーム回路要素を形成する。層129aは、p++GeSiSnから構成されることが好ましく、層129bは、n++GeSiSnから構成されることが好ましい。
【0077】
トンネルダイオード層129a/129bの上部に、ウインドウ層130、好ましくはn+GeSiSnが堆積されるが、他の物質も同様に使用することができる。より一般的には、補助電池Fで使用されるウインドウ層130は、インターフェースの再結合損失を減少するように働く。本発明の範囲から外れることなく、付加層を電池構造に付加するか又は除去することができることが、当業者には明らかである。
【0078】
ウインドウ層130の上部に、補助電池Fの層、すなわちn+型エミッター層131及びp型ベース層132が堆積される。これらの層は、好ましくはそれぞれn+型Ge及びp型Geから構成されるが、必要条件の格子定数及びバンドギャップを備えたあらゆる他の適当な物質成分も同様に使用することができる。補助電池Fは、およそ0.7eVのバンドギャップを有することが好ましい。一実施形態におけるエミッター層及びベース層のドーピング形状は、
図16との関連で述べる。
【0079】
図3に関連して述べられているように、p+型GeSiSnから構成されることが好ましいBSF層133が、補助電池Fの上部に堆積され、該BSF層は、BSF層108、113a、118、123及び128と同じ機能を達成する。
【0080】
この実施形態において順に形成される補助太陽電池のバンドギャップの凡その値は、上部補助電池Aが2.15eV、補助電池Bが1.74eV、補助電池Cが1.42eV、補助電池Dが1.13eV、補助電池Eが0.91eV、補助電池Fが0.7であることが好ましい。
【0081】
図2Dの実施形態における太陽電池の製造の順次の製造段階の説明が、
図3から始まって、それ以降の図面の説明により示される。一方で、多接合太陽電池半導体構造の他の実施形態を示す。
図2Eは、本発明の別の実施形態により、GaAs成長基板上に7つの補助電池A、B、C、D、E、F及びGを順次形成した後の多接合太陽電池を示している。具体的に述べると、基板101が示されており、これは、ヒ化ガリウム(GaAs)が好ましいが、ゲルマニウム(Ge)又は他の適当な物質とすることができる。
【0082】
基板101及び層102から層118aまで、及び層125から層133までの成分及び説明は、実質的には、
図2Dの実施形態と関連して述べられたものと類似しているが、異なる要素成分又はドーピング濃度によって、異なるバンドギャップを形成するが、ここでは繰り返す必要はない。特に、
図2Eの実施形態においては、補助電池Cのバンドギャップは、およそ1.6eVとすることができ、層125から133の順序では、補助電池Eのバンドギャップは、およそ1.13eV、補助電池Fのバンドギャップは、およそ0.91eVとすることができる。
【0083】
図2Eに示された実施形態を見ると、AlGaAsから構成されるBSF層118aの上部に、高いドーピング濃度のp型層119e及びn型層119fがこの順で堆積され、補助電池Cを補助電池Dに接続するトンネルダイオード、すなわちオーム回路要素を形成する。層119eは、p++AlGaAsから構成されることが好ましく、層119fは、n++InGaPから構成されることが好ましい。
【0084】
トンネルダイオード層119e/119fの上部に、ウインドウ層120a、好ましくはn+InAlPが堆積されるが、他の物質も同様に使用することができる。より一般的には、補助電池Dで使用されるウインドウ層120aは、インターフェースの再結合損失を減少するように働く。本発明の範囲から外れることなく、付加層を電池構造に付加するか又は除去できることが、当業者には明らかである。
【0085】
ウインドウ層120aの上部に、補助電池Dの層、すなわちn+型エミッター層121a及びp型ベース層122aが堆積される。これらの層は、好ましくはそれぞれn+型GaAs及びp型GaAsから構成されるが、必要条件の格子定数及びバンドギャップを備えたあらゆる他の適当な物質成分も同様に使用することができる。補助電池Dは、およそ1.42eVのバンドギャップを有することが好ましい。
【0086】
ベース層122aの上部に、好ましくはp+AlGaAsである後部表面フィールド層(「BSF」)123aが堆積され、これは、再結合損失を減少するために使用される。
【0087】
BSF層123aの上部に、高いドーピング濃度のp型層124c及びn型層124dがこの順で堆積され、補助電池Dを補助電池Eに接続するトンネルダイオード、すなわちオーム回路要素を形成する。層124cは、p++GeSiSn又はAlGaAsから構成されることが好ましく、層124dは、n++GeSiSn又はGaAsから構成されることが好ましい。
【0088】
トンネルダイオード層129d/129eの上部に、n+型GeSiSnで構成されるウインドウ層130が堆積される。上記したように、層125から層133は、実質的には、
図2Dの実施形態と関連して述べられたものと類似しているが、異なる要素成分又はドーピング濃度によって、異なるバンドギャップを形成するが、ここでは繰り返す必要はない。このように、この実施形態においては、補助電池Eは、およそ1.13eVのバンドギャップを有し、補助電池Fは、およそ0.91eVのバンドギャップを有することが好ましい。
【0089】
図2Eに示された実施形態を再び見ると、GeSiSnから構成されるBSF層133の上に、高いドーピング濃度のp型層134a及びn型層134bがこの順で堆積され、補助電池Fを補助電池Gに接続するトンネルダイオード、すなわちオーム回路要素を形成する。層134aは、p++GeSiSnから構成されることが好ましく、層134bは、n++GeSiSnから構成されることが好ましい。
【0090】
トンネルダイオード層134a/134bの上部に、ウインドウ層135、好ましくはn+GeSiSnが堆積されるが、他の物質も同様に使用することができる。より一般的には、補助電池Gで使用されるウインドウ層135は、インターフェースの再結合損失を減少するように働く。本発明の範囲から外れることなく、付加層を電池構造に付加するか又は除去することができることが、当業者には明らかである。
【0091】
ウインドウ層135の上部に、補助電池Gの層、すなわちn+型エミッター層136及びp型ベース層137が堆積される。これらの層は、好ましくはそれぞれn+型GeSiSn及びp型GeSiSnから構成されるが、必要条件の格子定数及びバンドギャップを備えたあらゆる他の適当な物質成分も同様に使用することができる。補助電池Gは、およそ0.73eVのバンドギャップを有することが好ましい。一実施形態におけるエミッター層及びベース層のドーピング形状は、
図16と関連して述べられるであろう。
【0092】
図3は、
図2A、2B、2C、2D又は2Eの実施形態のいずれかの太陽電池構造を大幅に簡略化した断面図であり、
図3及びその後の図面でBSF層146と再び標識を付されている太陽電池構造の上部BSF層は、最後に堆積した補助電池のベース層上に堆積されたものを示している。したがって、BSF層146は、
図2A、2B、2C、2D、又は2Eと関連して示されているBSF層118、123、128、133、又は138をそれぞれ表す。
【0093】
図4は、
図3の太陽電池に、次の製造段階、好ましくは適当なp++型物質から構成される高バンドギャップ接触層147がBSF層146上に堆積される製造段階を行った後の太陽電池の断面図である。多接合光電池における最低バンドギャップ光電池の底部(非照射)側に堆積するこの接触層127は、電池を通って通過する光の吸収を減少する適当な組成とすることができ、その結果、(i)次に堆積された接触層の下のオーム金属接触層(すなわち、非照射側に向かって)がミラー層として機能し、(ii)接触層は、層での吸収を防止するために選択的にエッチング除去する必要がない。
【0094】
本発明の範囲から外れることなく、付加的層を電池構造に追加し、又は除去できることは、当業者にとって明らかである。
【0095】
図4は、金属接触層148がp++半導体接触層147上に堆積される次の製造段階を示している。金属は、金属層Ti/Au/Ag/Au又はTi/Pd/Agの順であることが好ましいが、他の適当な順序及び物質も、同様に使用することができる。
【0096】
選択される金属接触の構成は、加熱処理後オーム接触を活性化するために、半導体に対して平らなインターフェースを有するものである。これは、(1)金属を半導体とは別の誘電層を堆積する必要がなく、金属接触領域で選択的にエッチングする必要がなく、かつ(2)接触層が、問題となる波長範囲にわたり鏡面反射する、ようにするために行われるものである。
【0097】
図5は、次の製造段階である、接着層149が金属接触層148の上に堆積された後の
図4の太陽電池の断面図である。本発明の一実施形態においては、接着層149は、接着剤、すなわちWafer Bond(ミズーリー州ローラのBrewer Science, Inc.で製造されている)が好ましいが、他の適当な接着物質も使用することができる。
【0098】
次の製造段階においては、好ましくはサファイアである代替基板150が接着層の上に取り付けられる。代替的には、代替基板は、GaAs、Ge又はSi、或いは他の適当な物質とすることができる。代替基板150は、好ましくは厚さが約40ミルで、代替基板が取り除かれる実施形態の場合には、続いて行われる接着剤及び基板の除去を助けるために、直径が約1mmで、4mmの間隔を有する孔が穿孔される。
【0099】
図6Aは、最初の基板が、次の段階、すなわち、ラッピング、研磨及び/又はエッチング段階の順により基板101及びバッファー層102を取り除く製造段階が行われた後の
図5の太陽電池の断面図である。特定の腐食液の選択は、成長用基板に依存する。幾つかの実施形態においては、基板101は、引用によりここに組み入れられる2009年2月9日付けの米国特許出願一連番号12/367,991に述べられているような、エピタキシャル除去方法により取り除くことができる。
【0100】
図6Bは、代替基板150が図面の底部にある状態で描かれた
図6Aの太陽電池の断面図である。本出願におけるこれ以降の図面は、この方向で描かれているものと考える。
【0101】
図7は、次の製造段階である、エッチストップ層103がHCl/H
2O溶液により取り除かれる段階を行った後の
図6Bの太陽電池の断面図である。
【0102】
図8は、次の製造段階である、フォトレジスト層(図示されず)が半導体接触層104上に設置される段階を行った後の
図7の太陽電池の断面図である。フォトレジスト層は、マスクでリトグラフ法によりパターン化されて、グリッド線501の位置を形成し、グリッド線が形成されるフォトレジスト層の部分が取り除かれ、次にフォトレジスト層の上とグリッド線が形成されるフォトレジスト層の開口部の中との両方に、金属接触層が蒸着法又は同様の方法により堆積される。接触層104を覆うフォトレジスト層の部分は、図面に示しているように、最終の金属グリッド線501を残すために取り除かれる。引用によりここに組み入れられる2008年7月18日付けの米国特許出願一連番号12/218,582に詳細に述べられているように、グリッド線501は、Pd/Ge/Ti/Pd/Auの層の順序で構成されることが好ましいが、他の適当な順序及び物質も同様に使用することができる。
【0103】
図9は、次の製造段階として、グリッド線501をマスクとして使用し、クエン酸/過酸化水素水エッチング混合物を使用して、ウインドウ層105の表面にエッチング処理する段階を行った後の
図8の太陽電池の断面図である。
【0104】
図10Aは、4つの太陽電池が実装されている100mm(又は4インチ)のウエハの平面図である。4つの電池の図は説明のためだけのものであり、本発明は、1つのウエハに対して特定の数の電池を使用することに限定されるものではない。
【0105】
各々の電池には、グリッド線501(より特定的には
図9に断面図が示されている)、相互結合したバス線502、及び接触用パッド503がある。グリッド線、バス線、及び接触用パッドの形状及び数は、説明のためのものであり、本発明は、図示した実施形態に限定されるものではない。
【0107】
図10Cは、2つの太陽電池が実装されている100mm(又は4インチ)のウエハの平面図である。幾つかの実施形態においては、各々の太陽電池は、およそ26.3cm
2の面積を有する。
【0108】
図11は、次の製造段階として、反射防止用(ARC)誘電体被膜層160が、グリッド線501を有するウエハの「上部」側の表面全体に付与される段階を行った後の
図9の太陽電池の断面図である。
【0109】
図12Aは、本発明による次の製造段階である、第一及び第二環状チャンネル510及び511、すなわち半導体構造の部分が、リン化腐食液及びヒ化腐食液を使用して、金属層148をエッチング処理することにより形成される段階を行った後の
図11の太陽電池の断面図である。これらのチャンネルは、2008年8月12日付けの米国特許出願一連番号12/190,449により具体的に示されているように、ウエハの縁部で、電池、囲みメサ516及び周辺メサ517との間に周辺境界を定め、太陽電池を構成するメサ構造を残す。
図12Aに示された断面図は、
図13Aに示されたA−A面から見たものである。
【0110】
図12Bは、次の製造段階である、チャンネル511が金属用腐食液に曝されて、チャンネル511の層123が取り除かれる段階を行った後の
図12Aの太陽電池の断面図であり、チャンネル511の深さは、接着層149のほぼ上部表面にまで延びる。
【0111】
図13Aは、
図10Aのウエハにおいて、各々の電池の周辺にエッチングされたチャネル510及び511を示した平面図である。
【0112】
図13Bは、
図10Cのウエハにおいて、各々の電池の周辺にエッチングされたチャネル510及び511を示した平面図である。
【0113】
図14Aは、次の製造段階である、個々の太陽電池(
図13に示す電池1、電池2等)が、チャネル511においてウエハから切り出されるか、又は刻み目を入れることにより形成され、垂直縁512が代替基板150を通って延びるように形成された後における
図12Bの太陽電池の断面図である。本発明のこの第一の実施形態においては、代替基板150は、本発明の太陽電池の支持材を形成し、カバーガラス(以下に述べられる第三の実施形態で示されているような)は必要ではない。ある実施形態においては、金属接触層148への電気接触は、チャネル510を通して行うことができる。
【0114】
図14Bは、本発明の第二の実施形態による次の製造段階である、代替基板150が、研磨、ラッピング、又はエッチングにより比較的薄い層150aにまで適切に薄肉化された後の
図12Bの太陽電池の断面図である。個々の太陽電池(
図13Aに示す電池1、電池2等)が、チャネル511においてウエハから切り出されるか、又は刻み目を入れることにより形成され、垂直縁515が代替基板150aを通って延びるように形成されている。この実施形態においては、薄い層150aは、本発明の太陽電池の支持材を形成し、以下に述べられる第三の実施形態で示されているようなカバーガラスは必要ではない。ある実施形態においては、金属接触層148への電気接触は、チャネル510を通して行うことができる。
【0115】
図14Cは、本発明の第三の実施形態による次の製造段階である、カバーガラス514が接着剤513を介して電池の上部に取り付けられた後の、
図12Bの太陽電池の断面図である。カバーガラス514は、典型的には、約4ミルの厚さで、チャンネル510全体を覆うことが好ましく、メサ516の一部上に延びるが、チャンネル511までは延びない。カバーガラスの使用は、多くの周囲環境状態及び用途に対して望ましいものではあるが、すべての実装に必要なものではなく、付加的層又は構造を使用して、太陽電池の付加的支持又は周囲環境の保護を達成することができる。
【0116】
図14Dは、本発明の幾つかの実施形態における次の製造段階である、接着層、代替基板150、及びウエハの周囲部分517がすべて取り除かれて、太陽電池には上部のARC層160(又は他の層或いは構造)及び底部の金属接触層148だけが残され、金属接触層148が太陽電池の後側の接触部を形成した状態における
図14Aの太陽電池の断面図である。代替基板は、「Wafer Bond」溶媒の使用により取り除かれることが好ましい。上記したように、代替基板は、その表面に孔を含み、該孔を通して溶媒を流れさせて該代替基板150を取り除くことを可能にする。取り除いた後、代替基板は、次のウエハ製造作業において再使用することができる。
【0117】
図15は、本発明の幾つかの実施形態における次の製造段階である、接着層124、代替基板150、及びウエハの周囲部分517がすべて取り除かれて、太陽電池には上部のカバーガラス514(又は他の層或いは構造)及び底部の層だけが残された状態における
図14Cの太陽電池の断面図である。代替基板は、「Wafer Bond」溶媒の使用により取り除かれることが好ましい。上記したように、代替基板は、その表面に孔を含んでおり、この孔は、該代替基板150を通して溶媒を流れさせて該代替基板を取り除くことを可能にする。取り除いた後、代替基板は、次のウエハ製造作業において再使用することができる。
【0118】
図16は、本発明の反転変性多接合太陽電池の1又はそれ以上の補助電池におけるエミッター及びベース層のドーピング形状のグラフである。本発明の範囲内の様々なドーピング形状、及びその様なドーピング形状の利点は、より特定的には、2007年12月13日付けの係属中の米国特許出願一連番号11/956,069に示されており、この特許出願は、引用によりここに組み入れられる。ここに示されたドーピング形状は、単に説明的なものであり、他のより複雑な形状も、本発明の範囲から外れることなく当業者に明らかなものとして利用することができる。
【0119】
上記した各々の要素、又は2又はそれ以上の要素を組み合わせたものは、上記した形式の構造とは異なる他の形式の構造において、有益な用途を見出すことができる。
【0120】
更に、本実施形態は、上部及び底部に電気接触部を有するように形成されているが、補助電池は、代替的には、補助電池間に位置する横方向導電性半導体と金属接触により接触するように構成することができる。このような配列は、3端子、4端子、及び一般的にn端子装置を形成するために使用することができる。補助電池は、これらの付加的端子を使用して、各々の補助電池の最も有効な光電流密度を効率的に使用することができるように回路に相互接続することができ、光電流密度が典型的には様々に補助電池によって異なるにもかかわらず、多接合電池に対し高い効率性をもたらす。
【0121】
上記したように、本発明は、1又はそれ以上の、又はすべての均一接合電池又は補助電池、すなわち、どちらも同一の化学化合物と同一のバンドギャップを有するが、ドーピング剤の種及び型だけが異なるp型半導体とn型半導体との間にp−n接合部が形成される電池又は補助電池、及び1又はそれ以上のヘテロ接合電池又は補助電池の配列を利用することができる。p型及びn型InGaPを有する補助電池Aは、均一接合補助電池の一例である。代替的には、より詳細に2008年1月31日付けの米国特許出願一連番号12/023,772に述べられているように、本発明は、1又はそれ以上の、又はすべてのヘテロ接合電池又は補助電池、すなわち、n型領域において異なる半導体物質の化学的化合物、及び/又はp型領域において異なるバンドギャップエネルギーを有し、更にp−n接合部を形成するp型及びn型領域において異なるドーピング剤の種及び型を利用して、p型半導体とn型半導体との間にp−n接合部が形成される電池又は補助電池を利用することができる。
【0122】
幾つかの電池においては、薄い、いわゆる「真性層」を、エミッター層とベース層との間に配置することができ、この真性層は、エミッター層又はベース層のいずれかと同じか又は異なる化合物により形成することができる。真性層は、空間電荷領域で少数キャリアの再結合を抑制するように機能するものとなる。同様に、ベース層又はエミッター層のいずれかは、その厚さの部分又は全体で真性であるか又は意図的なドーピングがなされていない(「NID」)ものとすることができる。このような形態の幾つかは、係属中の2008年10月16日付けの米国特許出願一連番号12/253,051に、より具体的に示されている。
【0123】
ウインドウ層又はBSF層の化合物は、格子定数及びバンドの必要条件によって、他の半導体化合物を利用することができ、AlInP、AlAs、AlP、AlGaInP、AlGaAsP、AlGaInAs、AlGaInPAs、GaInP、GaInAs、GaInPAs、AlGaAs、AlInAs、AlInPAs、GaAsSb、AlAsSb、GaAlAsSb、AlInSb、GaInSb、AlGaInSb、AIN、GaN、InN、GaInN、AlGaInN、GaInNAs、AlGaInNAs、ZnSSe、CdSSe、及び同様の材料を含むことができ、これらも、本発明の思想の範囲内に含まれる。