(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
食品等の製造工場においては異物の混入した製品が出荷されないように、原料の受入や生産過程および製品の最終段階で金属検出装置やX線異物検査装置等の検査装置を用いて異物混入の検査が行われている。しかしながら、金属検出装置は被検査物に混入した金属性異物を検出することができるが、非金属性異物の検出はできない。X線異物検査装置は被検査物に混入した金属性異物以外も検出することができるが、原理上密度の低いものほど検出しにくくなり、例えば鉄さびやアルミニウムの検出ができないという問題があった。これらの弱点を補完する目的で金属検出装置とX線異物検査装置は搬送手段の前後に直列に配置して使用されてきた。
【0003】
金属検出装置とX線異物検査装置を搬送手段の前後に直列に配置した異物検査方法として、下記の特許文献1、特許文献2、特許文献3記載の従来技術が公知である。
【0004】
図17は前段の金属検出装置200と後段のX線異物検査装置100を直列に配置した従来の実施例である。
特許文献1(特開平9−49883号公報)や、特許文献2(特開2003−294852号公報)、特許文献3(特開2008−268035号公報)には、被検査物の搬送方向に対して、金属検出器とX線検査装置とを直列に並べて配置した構成が記載されている。具体的には、
図17に示すように、被検査物180は矢印の方向にコンベヤ260により搬送されて、前段の金属検出装置の検出手段220の開口部220aと開口部220bを通して搬入搬出されるが、検出手段による磁界の変化を演算処理することにより被検査物に混入した金属性異物が検出できる。各種パラメータの設定や検出結果表示等は操作表示器210により行われる。続いて被検査物はコンベヤ160により後段のX線異物検査装置の開口部190aからX線遮蔽カーテン120a、およびX線遮蔽カーテン120bから開口部190bを通して搬入搬出されるが、X線発生器130により発生したX線が照射されるX線検出器140の間を通過するとき、被検査物と混入異物の密度差を画像解析することにより異物を検出する。各種パラメータの設定や画像および検出結果表示等は操作表示器110により行われる。検出された異物が混入した被検査物はX線異物検査装置の開口部190bから搬出された後、図示していない除去装置により製造ラインから排除されるような構成が一般的である。
【0005】
図18は前段の金属検出装置200を後段のX線異物検査装置100内に直列に配置した従来の実施例である。
また、特許文献1には、金属検出器を、X線検査装置のX線遮蔽体(シールド)の内部に収容し、且つ、X線センサに対して上流側に直列に配置した構成が記載されている。具体的には、
図18に示すように、被検査物180は矢印の方向にコンベヤ160により搬送されて、X線異物検査装置の開口部190aからX線遮蔽カーテン120a、および金属検出装置の検出手段220の開口部220aと開口部220b、さらにX線遮蔽カーテン120bからX線異物検査装置の開口部190bを通して搬入搬出されるが、前段の金属検出装置の検出手段による磁界の変化を演算処理することにより被検査物に混入した金属性異物が検出され、各種パラメータの設定や検出結果表示等は操作表示器210により行われる。被検査物が後段のX線発生器130により発生したX線が照射されるX線検出器140の間を通過するとき、被検査物と混入異物の密度差を画像解析することにより異物を検出する。各種パラメータの設定や画像および検出結果表示等は操作表示器110により行われる。検出された異物が混入した被検査物はX線異物検査装置の開口部190bから搬出された後、図示していない除去装置により製造ラインから排除されるような構成が一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(従来技術の問題点)
特許文献1〜3に記載の装置では、金属検出装置とX線異物検査装置を前後に直列に配置しているため、装置全体のサイズが大型になる。ところが、工場における製造ラインは次々に設備が増設されて狭隘な現場が多く、金属検出装置とX線異物検査装置を前後に直列に配置した特許文献1、特許文献2、特許文献3記載の装置を工場の製造ラインに設置するのには制限があり、スペース・セービングされた装置の開発が望まれていた。
【0008】
また、前段の金属検出装置による金属検出情報と後段のX線異物検査装置による異物検出情報とを照合して、異物が金属性なのか、アルミニウムまたは鉄さびなのか、または金属性以外の異物なのかを判別するには、金属検出装置とX線異物検査装置との間に距離があり検出時期が異なるので、その間に複数の製品があって複数の異物混入があった場合には判別が複雑になる問題がある。また、検出時期が異なるため、その間に搬送手段の停止や、搬送手段の振動等、その他の状況により製品が移動しやすく、確実に判別することができない場合があるという問題があった。
【0009】
金属検出装置とX線異物検査装置の後段に共通の除去装置を設けて異物が混入した製品を自動的に排除するのが通常である。ところがそれぞれを直列に配置した場合には、その間に複数の製品があって複数の異物混入があった場合には除去処理が複雑になり、さらに金属検出装置から除去装置までの到達時間とX線異物検査装置から除去装置までの到達時間も異なるので装置別に排除するまでの時間の設定が必要という問題があった。
【0010】
本発明は、金属検出とX線異物検査が可能な装置を小型化することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の異物検査装置は、
被検査物を搬送する搬送手段と、
磁界を発生させる送信手段と、前記送信手段で発生した磁界が直接鎖交する位置に配置
され且つ前記被検査物の搬送路に沿って前記送信手段に並んで配置された受信手段と、を
有し、前記搬送手段によって搬送される前記被検査物に混入した金属性異物を前記磁界に
基づいて検出する金属検出部と、前記送信手段と前記受信手段とを収容し且つ前記被検査
物が搬送される搬送路に沿って延びる通路部が形成されて、前記金属検出部からの漏洩磁
界および外来磁界の進入を遮蔽する筐体部と、前記筐体部に形成され且つ前記送信手段と
前記受信手段との間または前記送信手段および前記受信手段の少なくとも一方の内部を通
過するX線通過部と、を有する金属検出手段と、
前記X線通過部を通過するX線により、前記通路部を通過する前記被検査物に混入した
異物を検出するX線検査手段と、
前記金属検出手段の前記筐体部を内部に収容し且つ前記X線
検査手段を内部に収容し、
X線の外部への漏洩を遮蔽する異物検査装置の筐体と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
前記技術的課題を解決するために、請求項2に記載の発明の異物検査装置は、
被検査物を搬送する搬送手段と、
磁界を発生させる送信手段と、前記送信手段で発生した磁界が直接鎖交する位置に配置
され且つ前記被検査物の搬送路を挟んで前記送信手段に対向して配置された受信手段と、
を有し、前記搬送手段によって搬送される前記被検査物に混入した金属性異物を前記磁界
に基づいて検出する金属検出部と、前記送信手段と前記受信手段とを収容し且つ前記被検
査物が搬送される搬送路に沿って延びる通路部が形成されて、前記金属検出部からの漏洩
磁界および外来磁界の進入を遮蔽する筐体部と、前記筐体部に形成され且つ前記送信手段
と前記受信手段との間または前記送信手段および前記受信手段の少なくとも一方の内部を
通過するX線通過部と、を有する金属検出手段と、
前記X線通過部を通過するX線により、前記通路部を通過する前記被検査物に混入した
異物を検出するX線検査手段と、
前記金属検出手段の前記筐体部を内部に収容し且つ前記X線
検査手段を内部に収容し、
X線の外部への漏洩を遮蔽する異物検査装置の筐体と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1,2に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、金属検出とX線異物検査が可能な装置を小型化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例としての実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0016】
図1は実施例1の異物検査装置の説明図である。
図1において、本発明の実施例1の異物検査装置10は、各種パラメータの設定や画像および検出結果表示等を共通で行う操作表示器11を有する。異物検査装置10の左端には、搬入用の開口部19aが形成され、右端には搬出用の開口部19bが形成されている。なお、各開口部19a,19bには、X線遮蔽カーテン12a,12bが配置されている。
異物検査装置10には、搬送手段の一例としてのコンベア16が配置されている。コンベア16は、搬入部19aの左方から、異物検査装置10の内部を貫通して、搬出部19bの右方まで延びている。実施例1のコンベア16は、被検査物18を左方から右方に向けて搬送可能に構成されている。
【0017】
図2は実施例1の金属検出手段およびX線検出手段の拡大図である。
図3は実施例1の金属検出手段およびX線検出手段の斜視図である。
図2、
図3において、異物検査装置10の内部には、金属検出手段の一例としてのサーチコイル22が配置されている。実施例1のサーチコイル22は、筐体の一例として、左右方向に延びる筒状の角筒フレーム22aを有する。角筒フレーム22aには、筒の中央の中空部分により通路部22bが構成されている。通路部22bには、前記コンベア16が貫通した状態で配置されている。
前記角筒フレーム22aには、金属検出部の一例としてのコイル本体23,24が収容されている。実施例1のサーチコイル22では、第1のコイルの一例であって、送信手段の一例としての送信コイル23が、通路部22bを囲む環状(リング状)に構成されている。
【0018】
また、送信コイル23に対して、コンベア16による被検査物18の搬送方向の上流側および下流側には、第2のコイルの一例であって、受信手段の一例としての受信コイル24a,24bが配置されている。実施例1の各受信コイル24a,24bも、送信コイル23と同様に、通路部22bを囲むように、左右対称且つ同軸の環状に配置されている。前記送信コイル23には、金属検出制御部31から交番励磁電流が供給されており、通路部22b内に磁界を発生させる。したがって、実施例1のサーチコイル22は、いわゆる送受信コイル同軸配置型のサーチコイルにより構成されている。
【0019】
前記角筒フレーム22aには、X線通過部の一例としてのX線通過スリット22c,22dが形成されている。実施例1のX線通過スリット22c,22dは、通路部22bに対して上下に配置されている。また、実施例1のX線通過スリット22c,22dは、被検査物18の搬送方向に対して、送信コイル23と、下流側の受信コイル24bとの間に形成されている。
なお、実施例1のX線通過スリット22c,22dは、被検査物18の搬送方向に沿った幅が、一例として、2mmに設定されているが、幅の具体的な数値は、この値に限定されず、設計や仕様変更等に応じて任意に変更可能である。
【0020】
なお、実施例1のサーチコイル22では、通路部22bとX線通過スリット22c,22dを除き金属材料の筐体22aで構成し、外部への磁界漏洩と外来磁界の進入を遮蔽することにより、サーチコイル22に近接するプーリ17やX線遮蔽カーテン12a,12bのような金属体の回動や変位、および外来電磁ノイズの影響を回避している。また、実施例1のサーチコイル22では、角筒フレーム22aの内部には、充填剤の一例としてのエポキシ樹脂が充填されており、コイル本体23,24が樹脂内に埋設(モールド)された状態で構成されている。
【0021】
なお、高感度が要求されないサーチコイル22においては、筐体22a内に樹脂等の充填の必要はないが、高感度に対応したサーチコイル22は耐振特性向上の目的で、通路部22bとX線通過スリット22c,22dを除き、筐体22a内にエポキシ樹脂等を充填することが望ましい。なお、充填する充填剤は、エポキシ樹脂に限定されず、磁界を利用する金属検出手段において使用可能な任意の材料を使用可能である。
また、実施例1のサーチコイル22は、耐振特性向上の目的で金属検出部22は防振台25a,25bにより保持されることが望ましいが、防振台25a,25bは省略することも可能である。
【0022】
上側のX線通過スリット22cの上方には、X線発生器13が配置されている。なお、実施例1のX線発生器13には、図示しない絞り装置が設けられており、一例として、1mm幅のファンビームとして、通路部22bの前後方向の全領域が検査できるように、X線15が出力される。また、下側のX線通過スリット22dの下方には、前後方向に延びるX線検出器14が配置されている。
したがって、X線発生器13により発生したX線15は、X線通過スリット22c,22dを通過して、X線検出器14に照射される。前記X線発生器13およびX線検出器14等により、実施例1のX線検査手段の一例としてのX線センサ13,14が構成されている。
なお、実施例1の異物検査装置10の筐体は、X線発生器13で発生したX線が外部に漏洩することを遮蔽する従来公知の構成を有する。例えば、異物検査装置10の筐体は、X線を遮蔽可能な鉛等で構成可能である。また、
図2からわかるように、実施例1の異物検査装置10では、前記被検査物の搬送方向に対して交差する方向である上方から見た場合に、サーチコイル22とX線センサ13,14とが重なった状態で配置されている。
【0023】
異物検査装置10の制御部(コントローラ)30は、サーチコイル22の制御を行う金属検出制御部31と、X線センサ13,14の制御を行うX線検査制御部32と、表示制御部33と、を有する。なお、前記制御部30は、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェースI/Oや、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたROM:リードオンリーメモリ、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM:ランダムアクセスメモリ、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU:中央演算処理装置等を有する。したがって、実施例1の制御部30は、小型の情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されている。よって、制御部30は、ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0024】
実施例1の金属検出制御部31は、送信コイル23への交番励磁電流を制御するとともに、受信コイル24に流れる電流に基づいて、被検査物18に金属性異物が混入しているか否かを判定する。また、実施例1のX線検査制御部32は、X線発生器13によるX線15の発生を制御するとともに、X線検出器14の検出結果に基づいて、被検査物18に異物が混入しているか否かを判定する。実施例1の表示制御部33は、操作表示器11(いわゆるタッチパネル)の画像表示や検査結果の表示を制御するとともに、操作表示器11からの入力情報を判読する。
【0025】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の異物検査装置10では、被検査物18に異物が混入しているかいなかの検査を行う場合、コンベア16に被検査物18が乗せられて異物検査装置10の内部に搬送される。異物検査装置10の内部に搬送された被検査物18は、サーチコイル22の通路部22bを通過する。
このとき、サーチコイル22の送信コイル23への交番励磁電流により磁界が発生している。送信コイル23の両側に左右対称に同軸配置された受信コイル24a,24bを、磁界が鎖交すると、受信コイル24a,24bに誘起される誘起起電力は等しくなり、その差分は零となる。ところが、金属性異物が混入した被検査物18がサーチコイル22を通過すると、受信コイル24a,24bの鎖交磁束が時間的に変化するので、2つの受信コイル24a,24bにおける誘起起電力に差分が発生する。したがって、誘起起電力の差分を金属検出制御部31が演算処理することにより、混入した金属性異物が検出される。
【0026】
また、サーチコイル22で金属性異物の検査中の被検査物18が、X線通過スリット22c,22dの位置を通過する際に、被検査物18には、X線15が照射される。したがって、被検査物18を透過したX線15をX線検出器14で検出して、X線検出器14からの信号をX線検査制御部32が被検査物18と混入異物との密度差の画像解析演算処理をすることにより、被検査物18に混入した異物が検出される。
【0027】
したがって、実施例1の異物検査装置10では、サーチコイル22にX線通過スリット22c,22dが形成されており、サーチコイル22とX線センサ13,14とが一体化されている。よって、被検査物18の搬送方向に対して、ほぼ同じ位置で、磁界による金属性異物の検出と、X線による異物の検出とが行われる。
したがって、従来の技術のように、金属検出手段とX線検査手段とが、被検査物の搬送方向に沿って直列に並べて配置された構成に比べて、実施例1の異物検査装置10では、構成を小型化(スペース・セービング、省スペース化)することができる。よって、工場における製造ラインにおいて、狭隘な場所でも、異物検査装置10を設置することができる。
【0028】
また、実施例1の異物検査装置10では、サーチコイル22を通過する際に、磁界による金属性異物の検査と、X線15による異物の検査とが行われる。したがって、従来技術のように、別々の金属検出手段とX線検査手段で検査を行って、検出時期が異なる場合に比べて、検出時期の差を極めて少なくでき、ほとんど零にすることができる。
従来の技術では、金属検出手段で検出後に、X線検査手段に被検査物が搬送されるまでの間に、搬送手段の停止や振動等で、ベルトコンベヤ上で被検査物の位置が移動する恐れがあり、最悪の場合、金属検出手段で検査した被検査物と、X線検査手段で検査した被検査物とが一致しない場合もある。したがって、異物の検査ミスや検査漏れ等が発生する恐れがあり、異物の混入が検出できなかったり、異物が混入していない被検査物が除去される恐れがある。すなわち、確実に異物を判別することができない場合があった。
【0029】
これに対して、実施例1の異物検査装置10では、磁界による検査とX線15による検査とがほぼ同時期に行われており、従来の構成に比べて、異物の検査ミスや検査漏れの発生が低減されている。したがって、異物検査装置10の下流側に配置される除去装置において、異物が混入した被検査物を除去する場合にも、異物が混入している製品を除去できなかったり、異物が混入していない製品を誤って除去することを低減できる。
また、実施例1の異物検査装置10では、送信コイル23と受信コイル24bとの間で、X線15による検査が行われている。したがって、上流側の受信コイル24aのさらに上流側でX線15での検査を行う場合や、下流側の受信コイル24bのさらに下流側でX線15での検査を行う場合に比べて、搬送方向の大きさを小型化できる。
【0030】
さらに、実施例1の異物検査装置10では、送信コイル23と、下流側の受信コイル24bとの間で、X線15による検査が行われている。送信コイル23と上流側の受信コイル24aとの間でX線15による検査が行われた場合、磁界による異物の検査が開始されて間もなくX線15による検査が完了し、検査の時期にずれが生じやすいが、下流側の受信コイル24bと送信コイル23との間でX線15による検査を行う実施例1の異物検査装置10では、磁界による異物の検査が完了する時期と、X線15による検査の完了時期とを近づけることができ、検査の時期のずれをさらに低減できる。
【実施例2】
【0031】
図4は実施例2の金属検出手段およびX線検出手段の拡大図であり、実施例1の
図2に対応する図である。
図5は実施例2の金属検出手段およびX線検出手段の斜視図であり、実施例1の
図3に対応する図である。
次に本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
【0032】
図4、
図5において、実施例2のサーチコイル22′では、通路部22bに対して上方に、第1のコイルの一例としての送信コイル23が配置されている。また、通路部22bの下方には、通路部22bを挟んで送信コイル23に対向して、第2のコイルの一例としての上流側の受信コイル24aおよび下流側の受信コイル24bが配置されている。なお、実施例2の受信コイル24a,24bは、搬送方向に沿って間隔をあけて配置されている。
したがって、実施例2のサーチコイル22′は、いわゆる送受信コイル対向配置型のサーチコイルにより構成されている。また、実施例2のサーチコイル22′では、上側のX線通過スリット22cは、環状の送信コイル23の中央部分を通過する位置に形成されており、下側のX線通過スリット22dは、2つの受信コイル24a,24bの間を通過する位置に形成されている。
【0033】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の異物検査装置10では、実施例1と同様に、サーチコイル22′にX線センサ13,14が一体化されており、スペース・セービングが可能である。
なお、送信コイル23と受信コイル24とは、上下逆に配置することも可能であるが、X線が照射される前後方向の幅が、X線発生器13の配置された上側の方が狭く、下側の方が広いため、下側に送信コイル23を配置した場合には、送信コイル23の前後方向の幅をX線の照射範囲よりも十分に広く形成する必要があり、大型化する懸念があるため、実施例2のように、送信コイル23は上方に配置する方が、特に好適である。
【実施例3】
【0034】
図6は実施例3の金属検出手段およびX線検出手段の拡大図であり、実施例1の
図2に対応する図である。
図7は実施例3の金属検出手段およびX線検出手段の斜視図であり、実施例1の
図3に対応する図である。
次に本発明の実施例3の説明をするが、この実施例3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
【0035】
図6、
図7において、実施例3のサーチコイル22″は、筐体の一例として、平板状のプレート部22a″を有する。実施例3では、プレート部22a″の上面により、通路部22b″が構成されている。
プレート部22a″の内部には、被検査物18の搬送方向の中央部に、第1のコイルの一例としての送信コイル23が収容されている。また、送信コイル23に対して、被検査物18の搬送方向の上流側および下流側に、第2のコイルの一例としての受信コイル24a,24bが配置されている。
したがって、実施例3のサーチコイル22″は、いわゆる送受信コイル平面配置型のサーチコイルにより構成されている。
なお、実施例3のサーチコイル22″では、送信コイル23と下流側の受信コイル24bとの間に、X線通過スリット22c″が形成されている。
【0036】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の異物検査装置10では、実施例1,2と同様に、サーチコイル22″にX線センサ13,14が一体化されており、スペース・セービングが可能である。
【実施例4】
【0037】
図8は実施例4の異物検査装置の説明図であり、実施例1の
図1に対応する図である。
図9は実施例4の金属検出手段およびX線検出手段の拡大図であり、実施例1の
図2に対応する図である。
次に本発明の実施例4の説明をするが、この実施例4の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
【0038】
図8、
図9において、実施例4の異物検査装置10では、サーチコイル22の角筒フレーム22aには、コイル本体23,24が収容された部分の上流端から上流側に延びる上流側の遮蔽フード22eと、下流端から下流側に延びる下流側の遮蔽フード22fが支持されている。
なお、実施例4では、遮蔽フード22e,22fの開口部の高さH1を150mmとし、遮蔽フードの長さL1を開口部の高さの1/2の75mmにして漏洩磁界遮蔽フードによる効果について、フード22e,22fの間口中央の延長50mm位置で金属体を変位させて実測した結果、サーチコイル22に近接するプーリ17やX線遮蔽カーテン12a,12bのような金属体の回動や変位、および外来電磁ノイズの影響は60%に低減できることが判明した。好ましくは、漏洩磁界遮蔽フードによる効果を更に高めるために遮蔽フードの長さL1を開口部の高さH1と等しくすることが望ましい。さらに好ましくは、遮蔽フードの長さL1は、開口部の高さH1の2倍以内とすることが、漏洩磁界の遮蔽の効果を高めるためには更に望ましい。また、現在市販されている一般的なサーチコイル22では、遮蔽フード22eの上流端から、遮蔽フード22fの下流端までの長さは、最大でも、開口部の高さH1の8倍以内となっている。
なお、高さH1と長さL1の関係は、例示した関係に限定されず、サーチコイル22の方式と被検査物18の寸法、要求される精度や感度、設置スペース、設計や仕様変更等に応じて適宜変更可能である。
【0039】
(実施例4の作用)
前記構成を備えた実施例4の異物検査装置10では、漏洩磁界の遮蔽フード22e,22dを有しない実施例1に記載の構成に比べて、磁界による金属性異物の検出時に、外来電磁ノイズによる精度低下を低減することができ、感度を向上させることができる。
【実施例5】
【0040】
図10は実施例5の金属検出手段およびX線検出手段の拡大図であり、実施例1の
図2に対応する図である。
次に本発明の実施例5の説明をするが、この実施例5の説明において、前記実施例1,4の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1,4と相違しているが、他の点では前記実施例1,4と同様に構成される。
【0041】
図10において、実施例5の異物検査装置10では、サーチコイル22の角筒フレーム22aには、実施例4の遮蔽フード22e,22fに加えて、X線通過スリット22c,22dの位置にも、上下方向外側に延びる漏洩磁界の遮蔽フード22g,22hが形成されている。
なお、実施例5の構成において、本発明者の実験により、X線通過スリット22c,22dの漏洩磁界遮蔽フード22g,22hは、設けなくても影響は少なかったが、X線通過スリット幅H2を2mmとした本実施の形態においてはフード長L2が5mmで十分影響を回避できることが判明した。なお、幅H2と長さL2の関係は、例示した関係に限定されず、要求される精度や感度、設計や仕様変更等に応じて任意に変更可能である。
【0042】
(実施例5の作用)
前記構成を備えた実施例5の異物検査装置10では、漏洩磁界の遮蔽フード22g,22hを有しない実施例1,4に記載の構成に比べて、磁界による金属性異物の検出時に、外来電磁ノイズによる精度低下を、さらに低減することができ、感度を向上させることができる。
【実施例6】
【0043】
図11は実施例6の金属検出手段およびX線検出手段の拡大図であり、実施例1の
図2に対応する図である。
次に本発明の実施例6の説明をするが、この実施例6の説明において、前記実施例1,4,5の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1,4,5と相違しているが、他の点では前記実施例1,4,5と同様に構成される。
【0044】
図11において、実施例6の異物検査装置10では、X線通過スリット22c,22dに対応する漏洩磁界の遮蔽フード22g,22hが、上下方向の外側だけでなく、内側に向けても延びている。
【0045】
(実施例6の作用)
前記構成を備えた実施例6の異物検査装置10では、漏洩磁界の遮蔽フード22g,22hを有しない実施例1,4に記載の構成に比べて、感度を向上させることができると共に、実施例5に比べて、外側への遮蔽フード22g,22hの突出量を減らすことも期待できる。
【実施例7】
【0046】
図12は実施例7の金属検出手段およびX線検出手段の拡大図であり、実施例1の
図2に対応する図である。
次に本発明の実施例7の説明をするが、この実施例7の説明において、前記実施例1,2,4〜6の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1,2,4〜6と相違しているが、他の点では前記実施例1,2,4〜6と同様に構成される。
図12において、実施例7の異物検査装置10では、実施例2のサーチコイル22′に対して、実施例4〜6の遮蔽フード22e,22f,22g,22hが追加されている。
【0047】
(実施例7の作用)
前記構成を備えた実施例7の異物検査装置10では、実施例2に記載の送受信コイル対向配置型のサーチコイル22′において、実施例4〜6と同様に、感度を向上させることができる。
【実施例8】
【0048】
図13は実施例8の金属検出手段およびX線検出手段の拡大図であり、実施例1の
図2に対応する図である。
次に本発明の実施例8の説明をするが、この実施例8の説明において、前記実施例1,2の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1,2と相違しているが、他の点では前記実施例1,2と同様に構成される。
図13において実施例8の異物検査装置10では、実施例2のサーチコイル22′に対して、送信コイル23と受信コイル24a,24bが上下逆に配置されている。そして、X線は、上側に配置された受信コイル24a,24bの間を通過し、且つ、下側に配置された送信コイル23の内部を通過している。
【0049】
(実施例8の作用)
前記構成を備えた実施例8の異物検査装置10では、実施例2と同様に、送受信コイル対向配置側のサーチコイル22′にX線センサ13,14が一体化されており、スペース・セービングが可能である。
なお、実施例8の構成において、実施例7と同様に遮蔽フード22e〜22hを設けることが望ましい。
【実施例9】
【0050】
図14は実施例9の金属検出手段およびX線検出手段の拡大図であり、実施例1の
図2に対応する図である。
次に本発明の実施例9の説明をするが、この実施例9の説明において、前記実施例1,2の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1,2と相違しているが、他の点では前記実施例1,2と同様に構成される。
図14において実施例9の異物検査装置10では、実施例2のサーチコイル22′に対して、X線が、上側に配置された送信コイル23の内部を通過すると共に、下側且つ搬送方向の下流側に配置された受信コイル24bの内部を通過している。
【0051】
(実施例9の作用)
前記構成を備えた実施例9の異物検査装置10では、実施例2と同様に、送受信コイル対向配置側のサーチコイル22′にX線センサ13,14が一体化されており、スペース・セービングが可能である。
なお、実施例9の構成において、下流側の受信コイル24bの内部を、X線が通過する構成を例示したが、これに限定されない。上流側の受信コイル24aの内部を、X線が通過する構成とすることも可能である。
【実施例10】
【0052】
図15は実施例10の金属検出手段およびX線検出手段の拡大図であり、実施例1の
図2に対応する図である。
次に本発明の実施例10の説明をするが、この実施例10の説明において、前記実施例1,3の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1,3と相違しているが、他の点では前記実施例1,3と同様に構成される。
図15において実施例10の異物検査装置10では、実施例3のサーチコイル22″に対して、X線が、送信コイル23の内部を通過している。
【0053】
(実施例10の作用)
前記構成を備えた実施例10の異物検査装置10では、実施例3と同様に、送受信コイル平面配置側のサーチコイル22″にX線センサ13,14が一体化されており、スペース・セービングが可能である。
なお、実施例10の構成において、送信コイル23の内部を、X線が通過する構成を例示したが、これに限定されない。上流側または下流側の受信コイル24a,24bの内部を、X線が通過する構成とすることも可能である。
【実施例11】
【0054】
図16は実施例11の金属検出手段およびX線検出手段の拡大図であり、実施例1の
図2に対応する図である。
次に本発明の実施例11の説明をするが、この実施例11の説明において、前記実施例1,2の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1,2と相違しているが、他の点では前記実施例1,2と同様に構成される。
図16において実施例11の異物検査装置10では、実施例2のサーチコイル22′に対して、X線が、搬送方向下流側上方から搬送方向上流側下方に向かって、斜めに通過している。具体的には、送信コイル23の外側を通過し、且つ、受信コイル24a,24bの間を通過している。
【0055】
(実施例11の作用)
前記構成を備えた実施例11の異物検査装置10では、実施例2と同様に、送受信コイル対向配置側のサーチコイル22′にX線センサ13,14が一体化されており、スペース・セービングが可能である。
なお、実施例11の構成において、X線の通過方向が、下流側上方から上流側下方に向かう構成を例示したが、これに限定されず、上流側上方から下流側下方に向かう構成とすることも可能である。
【0056】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更実施例を下記に例示する。
前記実施例において、送信コイル23に交番励磁電流を供給し、送受信コイルを用いた検出方法について例示したが、これに限定されない。たとえば、供給する電流として直流励磁電流を用いたり、送信コイルを永久磁石に置き換えたり、受信コイルを他の磁気センサに置き換えることも可能である。なお、直流磁界を用いた金属検出方式では、筐体22aと漏洩磁界遮蔽フード22e〜22hは磁性体金属材料で構成することが望ましい。
【0057】
前記実施例において、X線発生器13を上方に配置し、X線検出器14を下方に配置する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、上下逆に配置したり、縦長の瓶の検査を行ったりする場合には、前方にX線発生器13を配置し、後方にX線検出器14を配置してX線を前方から後方に照射する等、任意の変更が可能である。なお、X線を前後方向に通過させる場合、サーチコイル22も併せて回転させることも可能である。
また、前記実施例において、X線通過スリット22c,22dの位置と、コイル23,24a,24bの位置関係は、実施例に例示した位置関係に限定されず、任意に変更可能である。また、実施例3において、送信コイル23と下流側の受信コイル24bとの間にX線通過スリット22dを形成したが、これに変えて、送信コイル23または受信コイル24a,24bの中心を通過させる構成とすることも可能である。
【0058】
前記実施例3において、各コイル23,24a,24bは、コイルの中心が上下方向となるように並べて配置された構成を例示したが、これに限定されず、例えば、コイルの中心が実施例1のように、搬送方向に平行に配置された構成とすることも可能である。
前記実施例において、X線発生器13とX線検出器14が被検査物18の搬送方向に対して直交する方向からX線15を照射する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、搬送方向に対して傾斜する方向からX線15を照射する構成とすることも可能である。例えば、直方体状の箱を有する被検査物18では、搬送方向に直交する方向から箱の前縁や後縁の部分にX線が照射された場合、X線が箱を通過する長さが長くなってX線画像が暗くなり、異物との明暗比が低くなって、異物の混入が見分けにくくなる恐れがある。これに対して、斜めからX線15を照射した場合、箱を通過する長さが長くなりすぎず、明暗比が明確になって異物の混入が見分けやすくなる。なお、斜めからX線を照射する技術としては、例えば、特開2006−17687号公報等に記載された技術を採用可能である。
【0059】
前記実施例において、X線発生器13とX線検出器14が1つずつの構成を例示したが、これに限定されない。例えば、X線発生器13やX線検出器14を複数配置して、複数のX線で異物の検査を行う構成とすることも可能である。このとき、X線通過スリット22c,22dは複数形成することとなる。また、例えば、1つのX線発生器13からのX線を絞りやスリット等で、2つ以上に分け、各X線に対応するX線検出器14を設けることも可能である。このとき、フィルター等を設置することで、各X線検出器14においてエネルギーが異なるX線を検出して、エネルギーが異なる画像を検出することも可能である。