(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ジエン系液状エラストマーが、液状スチレン−ブタジエンランダム共重合体、液状スチレン−ブタジエンブロック共重合体、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン及び解重合天然ゴムから選ばれる少なくとも1種のジエン系液状エラストマーである請求項4に記載のゴムシート。
前記樹脂フィルムが、ポリエチレン樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、及びこれらの樹脂フィルムの少なくとも1種とエラストマー層との積層体フィルムから選ばれる少なくとも1種の樹脂フィルムである請求項11に記載の樹脂フィルムとゴム部材との複合体。
前記ゴム部材が、タイヤ用カーカスプライ被覆ゴム及びタイヤ用カーカスプライ被覆ゴムとタイヤ用インナーライナーとの間に配置される中間ゴム層から選ばれる少なくとも1種のゴム部材である請求項11〜13のいずれかに記載の樹脂フィルムとゴム部材との複合体。
前記ジエン系液状エラストマーが、液状スチレン−ブタジエンランダム共重合体、液状スチレン−ブタジエンブロック共重合体、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン及び解重合天然ゴムから選ばれる少なくとも1種のジエン系液状エラストマーである請求項20に記載のゴムシートの製造方法。
前記樹脂シートが、ポリオレフィン樹脂シート、ポリエステル樹脂シート、ポリアミド樹脂シート、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂シート、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂シート、ポリエーテルイミド樹脂シート、アセテート樹脂シート、ポリスチレン樹脂シート、塩化ビニル樹脂シート、及びこれらの樹脂シートの少なくとも1種とエラストマー層との積層体フィルムから選ばれる樹脂シートである請求項25に記載のゴムシートの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のゴムシートは、厚さ500μm以下のゴムシートであって、該ゴムシートを構成するゴム組成物のゴム成分が重量平均分子量500〜100000の液状エラストマーを含むことを特徴とする。
前記液状エラストマーの重量平均分子量が500〜100000であれば、前記ゴム組成物の粘度を10〜100000mPa・sの範囲内に制御することができる。前記ゴム組成物の粘度をより狭い範囲に制御する観点から、液状エラストマーの重量平均分子量は、1000〜100000がより好ましく、1000〜70000がさらに好ましく、2000〜50000が特に好ましい。
また、前記ゴム組成物中、液状エラストマーが10〜90質量%含まれることが好ましく、20〜90質量%含まれることがより好ましく、30〜90質量%含まれることがさらに好ましい。
なお、重量平均分子量は、GPC(Gel permeation Chromatography)法を用いて標準ポリスチレン換算値により求めた。また、ゴム組成物の粘度はJIS K 7117−2:1999に準拠して測定した。
【0008】
前記液状エラストマーは、ジエン系液状エラストマーであることが好ましい。ジエン系ゴム組成物からなるタイヤの各部材との共加硫性が良好となり、タイヤの各部材との優れた接着性が得られるからである。この観点から、ジエン系液状エラストマーとしては、液状スチレン−ブタジエンランダム共重合体、液状スチレン−ブタジエンブロック共重合体、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、解重合天然ゴム等が好適に挙げられる。
【0009】
本発明のゴムシートを構成するゴム組成物は、ゴム成分として、前記の液状エラストマーに加えて、ジエン系ゴムを含んでもよい。
ジエン系ゴムとしては、天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、エチレン−ブタジエン共重合体、プロピレン−ブタジエン共重合体等が挙げられる。
【0010】
本発明のゴムシートを構成するゴム組成物中、沸点が150℃以下の有機化合物の含有率が5質量%以下であることが好ましく、含有率が0質量%であることが特に好ましい。沸点が150℃以下の有機化合物としては、沸点が150℃以下の有機溶媒が挙げられる。ゴム組成物が、150℃以下の沸点の有機化合物の含有率が5質量%以下であれば、揮発性有機化合物(VOC)の発生を抑制できるので好ましい。
【0011】
本発明のゴムシートの厚さは、1〜500μmであることが好ましく、5〜500μmであることがより好ましく、5〜400μmであることがさらに好ましく、10〜200μmであることが特に好ましい。
【0012】
本発明のゴムシートは、製膜した未加硫ゴムシートが部分的に架橋されたものであることが好ましい。すなわち、後述する本発明の製造方法において、工程(A)で製膜したゴムシートを部分的に架橋する工程(B)を含むことが好ましい。ここで「部分的に架橋される」とは、シートに製膜されたゴム組成物のゲル分率が好ましくは10〜90質量%、より好ましくは10〜85質量%、さらに好ましくは20〜80質量%、特に好ましくは25〜75質量%であることをいう。また、「完全に架橋される」とは、ゲル分率が90質量%を超えること、好ましくはゲル分率が92質量%以上であることをいう。
本発明のゴムシートは、部分的に架橋されることにより、ゴムシートが安定した固形シートとなり、シートの厚みの均一性も安定することとなる。また、部分架橋により、粘着性を確保することができる。
部分的に架橋する方法としては、電子線架橋、光重合架橋及び熱架橋のいずれでもよい。
尚、ゴム組成物のゲル分率(トルエン不溶解分)は、ゴム組成物を約100mg秤量し、50mlのシクロヘキサンに23℃で48時間浸漬後、濾過し、濾過残分を室温にて72時間乾燥させ、ゴム組成物中のフィラー等の灰分(トルエン不溶性)量で補正したゴム成分の(100質量%−質量変化率)より求めることができる。
【0013】
本発明の部分的に架橋されたゴムシートは、動的せん断弾性率G’が、1×10
3〜1×10
6MPaであることが好ましい。但し、この動的せん断貯蔵弾性率 G’は、粘弾性測定装置を使用し、温度30℃、動歪0.1%、周波数10Hzで、部分的に架橋されたゴムシートの動的せん断貯蔵弾性率 G’を測定するものである。部分的に架橋されたゴムシートの動的せん断弾性率G’が、1×10
3MPa以上であれば、ゴムシートが安定した固形シートとなり、シートの厚みの均一性も安定することとなる。また、部分的に架橋されたゴムシートの動的せん断弾性率G’が、10
6MPa以下であれば、後述する被着体である樹脂フィルムやゴム部材との粘着性を確保することができる。
【0014】
本発明に係るゴム組成物は、最終的にゴム部材及び/又は被着体と架橋接着されるものであり、架橋剤を含むことが好ましい。また、ゴム組成物が、熱架橋、光重合架橋により部分的に架橋される場合にも、架橋剤を含むことが好ましい。
【0015】
本発明に係るゴム組成物が、熱架橋される場合は、架橋剤として、硫黄;モルホリン・ジスルフィド等の硫黄供与体化合物;第三ブチルヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソブチルベンゼンヒドロペルオキシド、ジクミルヒドロペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド等の有機過酸化物などが挙げられる。これらの内、硫黄が好ましい。
硫黄架橋の加硫促進剤としては、特に限定されないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアゾリルジスルフィド)等のチアゾール系、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)、NS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)等のスルフェンアミド系、又はDPG(1,3−ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等が挙げられる。加硫活性剤としては、ステアリン酸、樹脂酸等の有機酸、酸化亜鉛(亜鉛華)等が挙げられる。
有機過酸化物架橋助剤として、トリアリルシアヌレート、m−フェニレンジマレイミド、p−キノンジオキシム、o,o'−ジベンゾイル−p−キノンジオキシム等が挙げられる。
【0016】
本発明に係るゴム組成物が光重合架橋される場合は、光重合開始剤として、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、o−ベンゾイルメチルベンゾエート、アセトフェノン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、エチルアントラキノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、BASF・ジャパン株式会社製のイルガキュア184)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(例えば、BASF・ジャパン株式会社製のダロキュア1173)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(例えば、BASF・ジャパン株式会社製のイルガキュア651)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(例えば、BASF・ジャパン株式会社製のイルガキュア907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(例えば、BASF・ジャパン株式会社製のイルガキュア369)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(例えば、BASF・ジャパン株式会社製のLucirin TPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(例えば、BASF・ジャパン株式会社製のイルガキュア819)、メチルベンゾイルホルメートなどが挙げられる。
光重合架橋として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを照射するのがよい。紫外線源としては、特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。光重合架橋する場合は、光透過性の観点からゴムシートの厚さは1〜200μmが好ましい。
【0017】
本発明に係るゴム組成物を電子線架橋する場合は、架橋剤を要しない。例えば、電子線源として、コックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用い、通常加速電圧50〜500kVで、照射線量5〜600kGyの範囲で照射すればよい。
なお、本発明に係るゴム組成物は、最終的に他のゴム組成物と架橋接着される場合は、電子線架橋する場合であっても前記の架橋剤を含むことが好ましい。
【0018】
本発明に係るゴム組成物は、充填材を含むことが好ましく、該充填材がカーボンブラック及び/又はシリカであることが好ましい。充填材として、カーボンブラック及び/又はシリカを含むことにより、本発明に係るゴム組成物の破壊強度が高くなるからである。
【0019】
本発明に係るゴム組成物には、前記の配合剤に加えて、必要に応じ、カーボンブラック及びシリカ以外の充填材、老化防止剤、軟化剤等が配合される。カーボンブラック及びシリカ以外の充填材としては、クレー、炭酸カルシウム等が挙げられ、老化防止剤としては、各種アミン系老化防止剤が挙げられ、軟化剤としては、芳香族系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、パラフィン系プロセスオイル等が挙げられる。シリカが配合される場合は、シランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(平均硫黄鎖長:2.35)、Evonik社製シランカップリング剤、商品名「Si75」(登録商標)が挙げられる。
【0020】
本発明のゴムシートを貼着する被着体としては、樹脂フィルム又はゴム部材が好適に挙げられる。この樹脂フィルムは、ポリエチレン樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体フィルム及びこれらの樹脂フィルムの少なくとも1種とエラストマー層との積層体フィルムから選ばれる少なくとも1種の樹脂フィルムであることが好ましい。
【0021】
本発明のゴムシートは、被着体である樹脂フィルムとゴム部材との間に配置されて、樹脂フィルムとゴム部材との複合体として好適に用いられる。これにより、樹脂フィルムとゴム部材とが強固に接着することが可能となる。
【0022】
本発明のゴムシートを貼着する被着体としてのゴム部材としては、各種ゴムシート状物又は各種ゴム押出物が好適に挙げられる。特に、空気入りタイヤ用途としては、インナーライナーと接するカーカスプライ被覆ゴムや、カーカスプライ被覆ゴムとインナーライナーとの中間層ゴムとが挙げられる。
【0023】
特に、本発明のゴムシートと被着体との複合体を空気入りタイヤのインナーライナー等のガスバリアフィルムとして用いる場合は、本発明のゴムシートと上記の樹脂フィルムからなる被着体との積層体として用いられることが好ましい。この場合、樹脂フィルムがタイヤ用インナーライナーであり、かつゴム部材が、タイヤ用カーカスプライ被覆ゴム及びタイヤ用カーカスプライ被覆ゴムとタイヤ用インナーライナーとの間に配置される中間ゴム層から選ばれる少なくとも1種のゴム部材であるとの組合せが特に好ましく例示される。
ここで、樹脂フィルムからなる被着体がインナーライナーとして機能し、本発明のゴムシートがタイヤのカーカス部を構成するカーカスプライ被覆ゴムや、カーカスプライ被覆ゴムとインナーライナーとの中間層ゴム等のゴム部材との接着剤として機能することが好ましい。
【0024】
前記被着体としての樹脂フィルムが空気入りタイヤのインナーライナー等のガスバリアフィルムとして用いられる場合は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」と略称することがある。)及び変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「変性EVOH」と略称することがある。)から選ばれる樹脂の単層フィルムでもよいし、EVOH及び変性EVOHから選ばれる樹脂層と熱可塑性ポリウレタン(TPU)層との多層フィルムであってもよい。この多層フィルムとすることにより、空気入りタイヤの転動による動的変形にも耐えられるようになるので好ましい。
この多層フィルムの層構成としては、TPU層/樹脂層/TPU層の3層構成であってもよいし、{(TPU層/樹脂層)
n/TPU層}の(n+1)層の構成であってもよい。この場合、nは1〜40の範囲が賞用される。
この多層フィルムの製造方法としては、例えば、特開2011−105066号公報に記載された製造方法が挙げられる。
【0025】
本発明に係る樹脂フィルムに用いられるEVOHは、耐屈曲性及び耐疲労性とガスバリア性との両立の観点からエチレン含有量が25〜50モル%であることが好ましい。より良好な耐屈曲性及び耐疲労性を得るためには、エチレン含有量が30モル%以上であることがより好ましく、35モル%以上であることがさらに好ましい。また、より好適なガスバリア性を得るためには、エチレン含有量が48モル%以下であることがより好ましく、45モル%以下であることがさらに好ましい。
【0026】
変性EVOHとしては、EVOHにエポキシ化合物を反応させて得られる変性EVOHが好ましい。具体的には、EVOH100質量部に対して、エポキシ化合物1〜50質量部、好ましくは2〜40質量部、より好ましくは5〜35質量部を反応させて変性EVOHを得ることができる。ここで、前記EVOHに反応させるエポキシ化合物としては、一価のエポキシ化合物が好ましい。二価以上のエポキシ化合物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体と架橋反応し、ゲル、ブツ等を発生して、インナーライナーの品質を低下させることがある。なお、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造容易性、ガスバリア性、耐屈曲性及び耐疲労性の観点から、一価のエポキシ化合物の中でも、グリシドール及びエポキシプロパンが特に好ましい。
この変性EVOHの製造方法としては、例えば、特開2011−105066号公報に記載された合成方法が挙げられる。
【0027】
また、EVOH系樹脂としては、EVOHにエポキシ化合物を反応させて得られる変性EVOHからなるマトリックス中に、23℃におけるヤング率が当該変性EVOHより小さい柔軟樹脂を分散させた樹脂組成物を好適に用いることができる。この樹脂組成物を用いれば、屈曲時の破断性及びクラックの発生度合いを改良することができる。
柔軟樹脂は、23℃におけるヤング率が前記変性EVOHよりも低いことを要し、500MPa以下であることが好ましい。該ヤング率が500MPa以下であると、樹脂フィルム層の弾性率を低下させることができ、その結果インナーライナーの耐屈曲性を向上させることができる。また、前記柔軟樹脂は、水酸基と反応する官能基を有することが好ましい。前記柔軟樹脂が水酸基と反応する官能基を有することで、変性EVOH中に柔軟樹脂が均一に分散するようになる。ここで、水酸基と反応する官能基としては、無水マレイン酸残基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。かかる水酸基と反応する官能基を有する柔軟樹脂として、具体的には、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、無水マレイン酸変性超低密度ポリエチレン等が挙げられる。更に、前記柔軟樹脂は、平均粒径が2μm以下であることが好ましい。柔軟樹脂の平均粒径が2μm以下であれば、樹脂フィルム層の耐屈曲性が十分に改善されることとなり、ガスバリア性を低下させず、タイヤの内圧保持性を好適に維持することができる。なお、樹脂組成物中の柔軟樹脂の平均粒径は、例えば、サンプルを凍結し、該サンプルをミクロトームにより切片にして、透過電子顕微鏡(TEM)で観察することにより測定できる。
ここで、前記樹脂組成物における柔軟樹脂の含有率は、10〜80質量%の範囲であることが好ましい。柔軟樹脂の含有率が10質量%以上であれば、耐屈曲性を向上させる効果を好適に奏し、また、80質量%以下であれば、ガスバリア性の低下を好適に防止することができる。
【0028】
前記樹脂フィルムにおいて、多層フィルムに用いられる熱可塑性ポリウレタン(TPU)としては、例えば(株)クラレ製、商品名「クラミロン3190」が好適に用いられる。
【0029】
本発明の空気入りタイヤは、本発明のゴムシートが樹脂フィルムとゴム部材との間に配置されてなる樹脂フィルムとゴム部材との複合体を有することにより、樹脂フィルムとゴム部材とが良好に接着され、優れた耐久性を得ることができる。
【0030】
次に、本発明のゴムシートの製造方法について述べる。
本発明のゴムシートの製造方法は、厚さ500μm以下のゴムシートを製造する方法であって、沸点が150℃以下の有機化合物の含有率が5質量%以下であるゴム組成物、特に、沸点が150℃以下の有機化合物を含まないゴム組成物を、該ゴム組成物の粘度が10〜100000mPa・sの範囲内となる温度で基材シート上に製膜する工程(A)を含むことが好ましい。
ゴム組成物の粘度が10mPa・s以上であれば、ゴムシートとして機能する十分な厚みを得ることができ、100000mPa・s以下であれば好適に塗布することができるからである。前記ゴム組成物の製膜時における粘度は、50〜50000mPa・sであることが好ましく、100〜50000mPa・sであることがより好ましく、500〜50000mPa・sであることがさらに好ましい。
【0031】
本発明のゴムシートの製造方法に係る工程(A)におけるゴム組成物の製膜時温度及び製膜時粘度は、上記の塗布方法及び共押出し法においては、塗布時のゴム組成物の塗液の温度及び粘度をいう。
本発明のゴムシートの製造方法により、樹脂フィルムとゴム部材との間に配置して用いるゴムシートであって、樹脂フィルムとゴム部材を接着させるための薄膜のゴムシートを好適に製造することができる。
本発明の製造方法に係るゴム組成物が、150℃以下の沸点の有機化合物を含まないことが好ましいのは、揮発性有機化合物(VOC)の発生を防止するためである。
本発明の製造方法に係るゴムシートの厚さは、上述の通りである。
【0032】
前記工程(A)において、前記ゴム組成物を製膜する温度が、10〜80℃であることが好ましい。この温度範囲であれば、特殊な被覆装置を用いることなく製膜することがより好適に可能となる。特に、前記ゴム組成物を基材シート上に製膜する場合、基材シートが製膜時に硬くなり過ぎたりすることがなく、軟らかくなり過ぎたりすることもないので、好ましい。
【0033】
本発明の製造方法に係る工程(A)は、樹脂シート、金属ベルト等の基材シート上にゴム組成物を塗布する製膜工程であり、基材シート表面への塗布方法としては特に制限はないが、例えばディップコート、ロールコート、ナイフコート(エアナイフコート、ロールナイフコート)、ブレードコート、バーコート、ドクターコート、スロットダイコート、リバースコート、カーテンコート、ダイコート、スリットコート法等の公知の塗布方法やTダイ法(キャスト法)等の共押出し法を用いることができる。本発明の製造方法では、ゴム組成物は沸点が150℃以下の有機化合物を含まないことが好ましく、沸点が150℃以下の有機化合物を含まない場合は、工程(A)を経た後、必ずしも乾燥工程を経ることを要しないが、ゴム組成物の表面状態を安定させるため、工程(A)を経た後、乾燥工程を設けてもよい。
【0034】
本発明の製造方法において、前記工程(A)で製膜したゴムシートを部分的に架橋する工程(B)を含むことが好ましい。部分的に架橋する工程(B)を経ることにより、ゴムシートが安定した固形シートとなり、シートの厚みの均一性も安定することとなる。
【0035】
本発明の製造方法に用いられるゴム組成物は、重量平均分子量が500〜100000である液状エラストマーを含むことが好ましい。液状エラストマーを含むことにより、ゴム組成物の粘度が10〜100000mPa・sであるゴム組成物を容易に製造することができる。液状エラストマーの重量平均分子量の好適な範囲、重量平均分子量の測定方法、ゴム組成物中の液状エラストマーの含有量、及び液状エラストマーの好適な具体例は、上述の通りである
【0036】
本発明の製造方法に係る工程(A)において、ゴム組成物を製膜する基材シートとしては、樹脂シートであることが好ましい。樹脂シートは可撓性があるからである。そして、樹脂シートとして樹脂フィルムを用いれば、樹脂フィルムとゴムシートとの複合体を直接製造できる利点もある。
本発明に係る工程(A)において、基材シートとして、前記の樹脂フィルムからなる被着体を用いると、ゴム組成物と被着体との複合体を直接的に工程(A)により得られるので好ましい。
また、ゴムシートを単独で用いる場合や、別の樹脂フィルム等とゴムシートをラミネートする場合は、予め基材シート表面に離型剤を塗布しておくことにより、ゴムシートを基材シートから容易に剥がすことができる。
基材シートの厚さは10〜200μmが好ましい。
【0037】
本発明の製造方法に係る工程(A)において、基材シートとして用いられる樹脂シートは、特に限定されないが、例えば単層シートを用いる場合は、ポリエチレン樹脂シート、ポリプロピレン樹脂シートなどのポリオレフィン樹脂シート、ポリブチレンテレフタレート樹脂シート、ポリエチレンテレフタレート樹脂シート、ポリエチレンナフタレート樹脂シートなどのポリエステル樹脂シート、6−ナイロンシート、6、6−ナイロンシートなどのポリアミド樹脂シート、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂シート、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(変性EVOH)樹脂シート、ポリエーテルイミド樹脂シート、アセテート樹脂シート、ポリスチレン樹脂シート、塩化ビニル樹脂シートなどの樹脂シート、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体シート及びこれらの樹脂シートの少なくとも1種とエラストマー層との積層体フィルムとして柔軟化させたフィルムなどが挙げられる。これらの内、ポリエチレンテレフタレート樹脂シート、ポリエチレンナフタレート樹脂シートなどのポリエステル樹脂シート、ポリエーテルイミド樹脂シート、ポリプロピレン樹脂シート(CPP、OPP)、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂シート、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体シート及びこれらの樹脂シートの少なくとも1種とエラストマー層との積層体フィルムとして柔軟化させたフィルムが好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレート樹脂シート、ポリアミド樹脂シート、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂シート、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体シート及びこれらの樹脂シートの少なくとも1種とエラストマー層との積層体フィルムとして柔軟化させたフィルムが好ましい。これらのフィルムの材質は、ガラス転移温度が70℃以上のものが好ましい。また、これらの樹脂シートは、熱収縮率の小さいものが好ましい。具体的には、150℃での熱収縮率が3%以下であることが好ましく、特に1.5%以下が好ましい。
また、基材シートとしての樹脂シートは、未延伸でもよいが、縦又は横などの一軸方向又は二軸方向に延伸されたフィルムが、寸法安定性が良いのでより好ましい。樹脂シートは、ブロッキングを防ぐためにその表面が良好な滑り性を有することが必要であり、そのためには、滑り性向上処理が施されていることが好ましい。
滑り性向上処理としては、例えば、サンドマット、練り込みマット、ケミカルマット等が挙げられる。滑り性の程度としては、JIS K7125で測定した動摩擦係数(対ポリウレタン樹脂シート)で3〜10が適当である。
【0038】
本発明に係る工程(A)において、基材シートとして、前記の樹脂フィルムからなる被着体を用いると、ゴム組成物と被着体との複合体を直接的に工程(A)により得られるので好ましい。
また、前記樹脂フィルムとエラストマー層との積層体フィルムは、柔軟化したフィルムとなるので、被着体として用いれば、静的及び動的な変形に耐えられるので好ましい。
【実施例】
【0039】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
[評価方法]
<ゴム組成物の粘度(mPa・s)>
JIS K 7117−2:1999に準拠して測定した。
<ゲル分率>
明細書記載の方法により評価した。
<部分架橋後弾性率 G’(MPa)>
粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度30℃、動歪0.1%、周波数10Hzで、部分的に架橋されたゴムシートの動的せん断貯蔵弾性率 G’を測定した。
<ゴム部材(a)、(b)もしくは(c)、又は被着体との接着性>
ゴム部材(a)もしくは(b)と、樹脂フィルムとの間にゴムシートを配置した3層構成の複合体を調製し、架橋反応後の複合体の接着性を、JIS K6256:1999の接着試験方法(布と加硫ゴムのはく離試験)に準拠して以下の基準で評価した。はく離試験は、ゴム部材(a)もしくは(b)とゴムシートとの界面と、樹脂フィルムとゴムシートとの界面との双方にて実施した。
同様にして、架橋反応後のゴムシートとゴム部材(c)との複合体、又は架橋反応後のゴムシートと樹脂フィルムとの複合体の接着性を、JIS K6256:1999の接着試験方法(布と加硫ゴムのはく離試験)に準拠して以下の基準で評価した。
○: ゴムシートとゴム部材(a)、(b)もしくは(c)とゴムシートとの界面ではく離せず、又は樹脂フィルムとゴムシートとの界面ではく離せず、接着性が良好であると判定された。
×: ゴムシートとゴム部材(a)、(b)もしくは(c)とゴムシートとの界面ではく離し、又は樹脂フィルムとゴムシートとの界面ではく離して、接着性が低いと判定された。
【0040】
製造例1 被着体として用いる樹脂フィルム(以下、「EVOHフィルム」と略称する。)の作製
EVOH[(株)クラレ製、商品名「E105」]と、熱可塑性ポリウレタン(TPU)[(株)クラレ製、商品名「クラミロン3190」]とを使用し、2種21層多層共押出装置を用いて、下記共押出成形条件で21層構造のフィルム層(TPU層/EVOH層…EVOH層/TPU層。TPU層:11層、EVOH層:10層、EVOH層とTPU層とが交互に配置される。)を作製した。各層の厚みは、TPU層は2μm、EVOH層は1μmである。
多層用のフィードブロック温度を210℃、ダイを208℃で21層の多層フィルムを押し出した。
各樹脂の押出機仕様:
熱可塑性ポリウレタン:25mmφ押出機「P25−18AC」[大阪精機工作株式会社製]
EVOH:20mmφ押出機ラボ機ME型「CO−EXT」[株式会社東洋精機製]
Tダイ仕様:500mm幅2種21層用[株式会社プラスチック工学研究所製]
冷却ロールの温度:50℃
引き取り速度:4m/分
【0041】
実施例1〜6
第1表に示す配合内容により、アシザワファインテック株式会社製ビーズミル スターミルにより混練りして、実施例1〜6のゴムシートに用いられる6種類のゴム組成物を得た。
次に、ナイフコーター[康井精機株式会社製]を用いて、第1表に示す製造条件で、基材シート上に製膜した。ゴム組成物の粘度は、製膜時の温度でJIS K 7117−2:1999に準拠して測定した。実施例1〜6のいずれも、基材シートとして、表面に離型剤を塗布した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート樹脂シート(藤森工業株式会社製、商品名「NO.23」であり、以下、「離型PETシート」と略称する。)を用いた。
次に、実施例1〜3及び6の離型PETシートとゴム組成物シート(以下、「2層シート」という。)を、日清ハイボルテージ製キュアトロンを用いて、実施例1〜3では加速電圧200kV、照射線量100kGyで、実施例6では加速電圧200kV、照射線量150kGyで、電子線照射して部分的に架橋した。また、実施例4の2層シートを乾燥炉中で140℃10分の条件で部分的に架橋した。さらに、実施例5の2層シートを1000mJ/cm
2の条件で紫外線照射して部分的に架橋した。
6種類の2層シートのそれぞれのゴムシートを離型PETシートから剥離し、ゴムシートの厚み及び部分架橋後弾性率 G’(MPa)を測定した。結果を第1表に示す。
次に、実施例1のゴムシートに、厚さ30μmの6−ナイロンフィルム(宇部興産株式会社製、商品名「ウベナイロン1030B」)をラミネートし、離型PETシートを剥離した後に厚さ2mmである第2表に示すゴム部材(a)をゴムシートとラミネートして、6−ナイロンフィルム/ゴムシート/ゴム部材(a)の3層構成の複合体を調製した。同様にして、実施例2、4及び5のゴムシートに、製造例1で得られたEVOHフィルムをラミネートし、離型PETシートを剥離した後に厚さ2mmである第2表に示すゴム部材(a)をゴムシートとラミネートして、EVOHフィルム/ゴムシート/ゴム部材(a)の3層構成の複合体を調製した。さらに、実施例3のゴムシートに、製造例1で得られたEVOHフィルムをラミネートし、離型PETシートを剥離した後に厚さ2mmである第2表に示すゴム部材(b)をゴムシートとラミネートして、EVOHフィルム/ゴムシート/ゴム部材(b)の3層構成の複合体を調製した。同様にして、実施例6のゴムシートに、厚さ30μmのスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(以下、「SIBS」と略称する。)フィルムをラミネートし、離型PETシートを剥離した後に厚さ2mmである第2表に示すゴム部材(a)をゴムシートとラミネートして、SIBS/ゴムシート/ゴム部材(a)の3層構成の複合体を調製した。なお、SIBSフィルムとして、カネカ(株)社製の「シブスターSIBSTAR 102T」(スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体、重量平均分子量100,000、スチレン単位含有量25質量%、ショアA硬度25)を用いた。
次いで、実施例1〜6のゴムシートを有する6種類の複合体について160℃15分で架橋反応を行った後に、上記の方法で、樹脂フィルム/ゴムシート界面及びゴム部材/ゴムシート界面との双方について接着性を評価した。評価結果を第1表に示す。
また、実施例1、4、5及び6の4種類の2層シートのそれぞれのゴムシートを厚さ2mmである第2表に示すゴム部材(c)と貼り合わせた後に、離型PETシートを剥離して、得られた複合体を160℃15分で架橋反応を行った結果、実施例1、4、5及び6のゴムシート及びゴム部材の複合体全てにおいて良好な接着力が得られた。評価結果を第1表に「ゴムシートとゴム部材(c)との接着性」として示す。
次に、厚さ30μmの上記6−ナイロンフィルムに実施例1で得られたゴムシートをラミネートし、製造例1で得られたEVOHフィルムに実施例4及び5で得られたゴムシートをラミネートし、厚さ30μmの上記SIBSフィルムに実施例6で得られたゴムシートをラミネートした後に160℃15分で架橋反応を行った結果、実施例1、4、5及び6のゴムシート及び樹脂フィルムの複合体全てにおいて良好な接着力が得られた。評価結果を第1表に「ゴムシートと樹脂フィルムとの接着性」として示す。
【0042】
【表1】
【0043】
[注]
*1: 株式会社クラレ製、商品名「クラプレン UC−102」{重量平均分子量:17000、粘度(38℃):30Pa・s}(測定方法:JIS K 7117−2:1999に準拠した。)
*2: 株式会社クラレ製、商品名「クラプレン LIR−50」{重量平均分子量:54000、粘度(38℃):500Pa・s(測定方法:JIS K 7117−2:1999に準拠した。)}
*3: 株式会社クラレ製、商品名「クラプレン LBR−307」{重量平均分子量:8000、粘度(38℃):1.5Pa・s(測定方法:JIS K 7117−2:1999に準拠した。)}
*4: 株式会社クラレ製、商品名「クラプレン L−SBR−820
」{重量平均分子量:8000、粘度(38℃):350Pa・s(測定方法:JIS K 7117−2:1999に準拠した。)}
*5: 天然ゴム、商品名「TSR20」
*6: エポキシ化天然ゴム、Mu-ang Mai Guthrie Public Company Limited社製、商品名「EPOXYPRENE 50」
*7: Evonik社製、商品名「ウルトラシルVN3」(登録商標)
*8: Evonik社製、シランカップリング剤、商品名「Si75」(登録商標)
*9: カーボンブラック GPF、旭カーボン株式会社製、商品名「#55」(登録商標)
*10: 出光興産株式会社製、商品名「ダイアナプロセスオイル PW−380」(登録商標)
*11: 旭電化工業株式会社製
*12: ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーDM」(登録商標)
*13: 白水化学株式会社製
*14: 軽井沢精錬所製
*15: 2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、化薬アクゾ株式会社製、商品名「トリゴノックス101−40MB」(登録商標)
*16: 1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、BASF・ジャパン株式会社製、商品名「IRGACURE−184」(登録商標)
*17: 多官能メタクリレート(トリメチロールプロパントリメタクリレート)、新中村化学工業株式会社製、商品名「TMPT」(登録商標)
【0044】
【表2】
[注]
*1〜*13は、第1表と同じ。
*18: カーボンブラック HAF、旭カーボン株式会社製、商品名「#70」(登録商標)
*19: N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック6C」(登録商標)
*20: N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーNS」(登録商標)
【0045】
第1表から明らかなように、本発明のゴムシート及び本発明の製造方法で得られるゴムシートは、有機溶剤を使用しなくても、非常に薄いシートとして得られることができ、本発明のゴムシートを被着体である樹脂フィルムとゴム部材との間に配置することにより、被着体である樹脂フィルムとの接着性及びゴム部材との接着性を良好にすることができた。
【0046】
実施例7〜12
次に、ゴム部材(b)の配合内容のカーカスプライ被覆ゴム部材、ゴム部材(a)の配合内容のカーカスプライ被覆ゴムとインナーライナーとの中間層ゴム部材を用いて実施例7〜12のタイヤサイズ225/60 R16の乗用車用ラジアルタイヤを製造した。
実施例7においては、厚さ30μmの上記の6−ナイロンフィルムをインナーライナーとして用い、中間層ゴム部材とインナーライナーである6−ナイロンフィルムとの間に実施例1のゴムシートを配置した。同様に、実施例8〜11においては、製造例1で得られたEVOHフィルムをインナーライナーとして用い、中間層ゴム部材とインナーライナーであるEVOHフィルムとの間に実施例2〜5のゴムシートをそれぞれ配置した。同様に、実施例12においては上記のSIBSフィルムをインナーライナーとして用い、中間層ゴム部材とインナーライナーであるSIBSフィルムとの間に実施例6のゴムシートをそれぞれ配置した。
実施例7〜12のタイヤを常法により製造した後、上記の方法で、(6−ナイロンフィルム、EVOHフィルム又はSIBSフィルム)/ゴムシート界面、及び中間層ゴム部材/ゴムシート界面との双方について接着性を評価した所、実施例7〜12のいずれの乗用車用ラジアルタイヤにおいても接着性が良好であった。