特許第6040249号(P6040249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040249
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】ニコチン含有医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/465 20060101AFI20161128BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20161128BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20161128BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20161128BHJP
   A61P 25/34 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   A61K31/465
   A61K47/10
   A61K47/38
   A61K9/20
   A61P25/34
【請求項の数】25
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-531962(P2014-531962)
(86)(22)【出願日】2012年9月20日
(65)【公表番号】特表2014-526555(P2014-526555A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】US2012056325
(87)【国際公開番号】WO2013043866
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2015年9月2日
(31)【優先権主張番号】13/240,500
(32)【優先日】2011年9月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512278283
【氏名又は名称】ニコノバム・ユー・エス・エイ・インコーポレイテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホルトン,ダレル・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】フランセン,ネイリー
(72)【発明者】
【氏名】レディック,マット
【審査官】 深谷 良範
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−229131(JP,A)
【文献】 特表2007−504207(JP,A)
【文献】 特表2010−538669(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0200670(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/465
A61K 9/20
A61K 47/10
A61K 47/38
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.ニコチン性化合物と;
b.イソマルトの形態の少なくとも80重量%の量の代用糖と;
c.マルチトールシロップまたはキシリトールシロップから選択される、融解形態の前記代用糖の再結晶化を緩徐にするのに十分な量である最大20重量%の糖アルコールシロップと、
を含む、ニコチン含有医薬組成物であって、
前記組成物が半透明であり、前記組成物の経口送達に適合する医薬的に許容し得る形態である、医薬組成物。
【請求項2】
前記ニコチン性化合物の少なくとも一部が、遊離塩基、塩、錯体、または溶媒和物の形態である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記ニコチン性化合物が、ニコチン遊離塩基、ニコチンポラクリレックス、および重酒石酸ニコチン二水和物からなる群より選択される、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記ニコチン性化合物が、多孔質粒子担体に吸着されている、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記多孔質粒子担体が、微結晶セルロースを含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
少なくとも85重量%の前記代用糖を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
少なくとも4.0重量%の糖アルコールシロップを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
ロゼンジまたは錠剤の形態である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
1種以上の風味材料、甘味料、または塩を更に含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
風味材料の量が、前記医薬組成物の0.1〜0.5重量%である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
スクラロースを含む、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
NaClを含む、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項13】
ニコチン性アセチルコリン作用性受容体の刺激に応答する状態、疾患、または障害を有するヒト対象を処置するための請求項1〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物であって、経口的に適用される、医薬組成物。
【請求項14】
中枢神経系の状態、疾患、または障害を有するヒト対象に適用される、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
禁煙補助剤としてヒト対象に適用される、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
(i)イソマルトの形態の、少なくとも80重量%の量の非吸湿性代用糖と、マルチトールシロップまたはキシリトールシロップから選択される、融解形態の前記代用糖の再結晶化を緩徐にするのに十分な量である最大20重量%の糖アルコールシロップと、を融解状態で混合して混合物を形成すること;
(ii)前記混合物を冷却して、ニコチン性化合物を前記冷却された混合物に組み込むこと;および
(iii)前記混合物を室温に更に冷却して半透明な固体ニコチン含有医薬組成物を形成すること、
を含む、ニコチン含有医薬組成物を調製する方法。
【請求項17】
前記ニコチン性化合物の少なくとも一部が、遊離塩基、塩、錯体、または溶媒和物の形態である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ニコチン性化合物が、ニコチン遊離塩基、ニコチンポラクリレックス、および重酒石酸ニコチン二水和物からなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ニコチン性化合物が、多孔質粒子担体に吸着されている、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記多孔質粒子担体が、微結晶セルロースを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記医薬組成物が、少なくとも80重量%の前記代用糖を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記医薬組成物が、少なくとも4.0重量%の糖アルコールシロップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が、ロゼンジまたは錠剤の形態である、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記混合するステップが、前記代用糖および前記糖アルコールシロップを、前記代用糖のハードクラックステージ(hard crack stage)を超える温度まで加熱することを含み、前記組み込むステップが、ニコチン性化合物を、前記代用糖のハードクラックステージ未満の温度で前記混合物に添加することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記ハードクラックステージが、145℃〜155℃であり、前記代用糖および前記糖アルコールシロップを、前記ハードクラックステージと171℃の間の温度で加熱する、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ニコチンを含有する組成物、詳細には薬理学的効果を提供するために投与されること、またはその他に治療目的で使用されることを意図されたニコチン含有医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
中枢神経系(CNS)の状態、疾患、または障害は薬物で誘発されることがあり;遺伝的素因、感染症もしくは外傷に起因する場合;または原因不明であることもある。中枢神経系の状態、疾患、または障害は、神経精神障害、神経系疾患および精神病を含み;神経変性疾患、行動障害、認知障害および認知情動障害を含む。いくつかのCNSの状態、疾患または障害の臨床症状は、CNS機能障害(即ち、不適切なレベルの神経伝達物質放出、神経伝達物質受容体の不適切な特性、および/または神経伝達物質と神経伝達物質受容体との不適切な相互作用の結果として生じる障害)に起因してきた。
【0003】
ニコチンなどのニコチン性化合物は、ニコチン性アセチルコリン作用性受容体(nAChR)に影響を及ぼすことができる。nAChRのサブタイプは、CNSおよび末梢神経系(PNS)の両方に存在するが、サブタイプの分布は、不均一である。例えば、特定のサブタイプは、脊椎動物の脳内で優勢であり、他のサブタイプは、自律神経節で優勢であり、この他のサブタイプに神経筋接合部で優勢のものもある。ニコチン性化合物によるnAChRの活性化は、神経伝達物質の放出をもたらす。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Dwoskin et al.,Exp.Opin.Ther.Patents,10:1561−1581(2000);Schmitt et al.,Annual Reports in Med.Chem.,35:41−51(2000);Huang et al.,J.Am.Chem.Soc.,127:14401−14414(2006);Arneric et al.,Biochem.Pharmacol.,74:1092−1101(2007)およびMillar,Biochem.Pharmacol.,78:766−776(2009)を参照されたい。
【0004】
ニコチンおよび他のニコチン性化合物の投与が様々な薬理学的効果をもたらし得ることが、示唆された。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Bencherifらによる米国特許第5,583,140号;McDonaldらによる同第5,723,477号;Jacobsenらによる同第7,001,900号;Dartらによる同第7,135,484号;およびBencherifらによる同第7,214,686号;ならびにAhmadらによる米国特許出願公開第2010/0004451号を参照されたい。結果として、ニコチンおよび他のニコチン性化合物は、CNSに影響を及ぼすものを含む、多くの様々な状態、疾患および障害の処置における有用性を示し得ることが示唆されている。加えて、ニコチンおよびニコチン性化合物の投与は、特定の他の状態、疾患および障害の処置にも提案されている。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Smithらによる米国特許第5,604,231号;Bencherifらによる同第5,811,442号;Rhodesらによる同第6,238,689号;およびBencherifらによる同第6,489,349号を参照されたい。更に、ニコチンの投与は、喫煙者の禁煙を支援する試みにおいて(即ち、禁煙補助として)使用されてきた。例えばニコチンは、様々なタイプのいわゆる「ニコチン置換療法」または「NRT」製品の有効成分であった。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Brinkleyらによる米国特許出願第12/769,335号および国際特許出願第PCT/US2011/033928号を参照されたい。
【0005】
経皮パッチを使用してニコチンを投与することが、提案されている。ニコチン含有経皮パッチ製品の代表的なタイプは、商品名「Habitrol]、「Nicoderm」、「Nicorette」、「Nicorette CQ」、「Nicotinell」および「ProStep」として市販されている。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Etscomによる米国特許第4,597,961号;Bannonらによる同第5,298,257号;Wongらによる同第5,603,947号;Roseらによる同第5,834,011号;Osborneらによる同第6,165,497号;およびAndersonらによる同第6,676,959号も参照されたい。ニコチンの経皮的投与に他のタイプのニコチン含有製品の摂取を随伴することも、示唆されている。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Bakerらによる米国特許第5,593,684号;Gondaによる米国特許出願公開第2009/0004249号;およびFagerstrom,Health Values,18:15(1994)を参照されたい。
【0006】
ニコチンの経口投与を提供するための特に好まれる1つの方法は、ニコチン含有ガムの使用によるものであった。ニコチン含有ガム製品は、商品名「Nicorette」、「Nicotinell」および「Zonnic」として市販されてきた。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Fernoらによる米国特許第3,845,217号;Lichtneckertらによる同第3,877,468号;Lichtneckertらによる同第3,901,248号;Cherukuriらによる同第6,344,222号;Pinneyらによる同第6,358,060号;Reamらによる同第6,773,716号およびPinneyらによる同第6,893,654号;およびHanssonによる米国特許出願公開第2004/0191322号も参照されたい。
【0007】
ニコチンの経口投与を提供するために使用されてきた別の方法は、ニコチン含有ロゼンジまたは錠剤タイプの製品の使用によるものであった。ニコチン含有ロゼンジ、ミニロゼンジ、錠剤およびマイクロタブタイプの製品は、商品名「Commit」、「Nicorette」、「Nicotinell」および「NiQuitin」として市販されてきた。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Acharyaによる米国特許第5,110,605号;Damによる同第5,733,574号;Santusによる同第6,280,761号;Anderssonらによる同第6,676,959号;およびWilhelmsenによる同第6,248,760号;Wilhelmsenによる米国特許出願公開第2001/0016593号およびAxelssonらによる同第2010/0004294号も参照されたい。
【0008】
ニコチンは、更に鼻腔用または口腔用スプレーの形態でも投与されてきた。鼻腔用スプレー形態でニコチンを投与するための様々な例示的方法は、参照により本明細書に組み入れられる、Fernoらによる米国特許第4,579,858号;Jonesによる米国特許第5,656,255号およびJonesによる米国特許第6,596,740号に記載され示されている。口腔用スプレーの形態、例えば口腔内投与でニコチンを投与するための様々な例示的方法は、参照により本明細書に組み入れられる、Von Wiellighによる米国特許第6,024,097号;Lindellらによる米国特許出願公開第2003/0159702号;Lindellらによる同第2007/0163610号およびAxelssonによる同第2009/0023819号;LindellらによるEP1458388;およびAxelssonらによるPCT国際公開第2008/037470号に記載されている。ニコチン含有スプレーは、商品名「Nicotrol NS」、「Quit」および「Zonnic」として市販されている。
【0009】
治療効果を提供する目的でニコチンを投与するための他の様々な方法が、提案されている。例えばニコチンは、経口溶解フィルム(例えば、Zerbeらによる米国特許第6,709,671号;Leungらによる同第7,025,983号;およびLeungらによる同第7,491,406号;およびChanらによる米国特許出願公開第2006/0198873号およびBessらによる同第2006/0204559号);経口浸透性デバイス(例えば、Placeらによる米国特許第5,147,654号);ガムパッド(例えば、Yatesによる米国特許第6,319,510号);経口パッチ(例えば、Houzeらによる米国特許出願公開第2006/0240087号);パウチまたはサッシェ内の嗅ぎ薬形態(例えば、Rayらによる米国特許第4,907,605号およびAxelssonらによる米国特許出願公開第2009/0293895号);リップクリーム(例えば、Rollingによる米国特許第7,105,173号)および飲料(例えば、Thompsonによる米国特許第6,268,386号;Stillmanによる同第7,115,297号およびKnightによる同第7,435,749号)の中に組み入れ得ることが示唆されている。ニコチンが様々なタイプの吸入デバイスおよび蒸気送達システムを使用して送達し得ることも示唆されている(例えば、Rayによる米国特許第4,284,809号;Rayらによる同第4,800,903号;Bulbrookらによる同第6,234,169号およびFarrによる同第6,874,507号;Lechuga−Ballesterosによる米国特許出願公開第2006/0018840号およびGondaによる同第2009/0005423号;およびHonによるEP1,618,803)。
【0010】
治療目的で経口経路によりニコチンを送達または投与することが可能な別の組成物を提供することが、望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,583,140号明細書
【特許文献2】米国特許第5,723,477号明細書
【特許文献3】米国特許第7,001,900号明細書
【特許文献4】米国特許第7,135,484号明細書
【特許文献5】米国特許第7,214,686号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2010/0004451号明細書
【特許文献7】米国特許第5,604,231号明細書
【特許文献8】米国特許第5,811,442号明細書
【特許文献9】米国特許第6,238,689号明細書
【特許文献10】米国特許第6,489,349号明細書
【特許文献11】米国特許出願第12/769,335号明細書
【特許文献12】国際特許出願第PCT/US2011/033928号
【特許文献13】米国特許第4,597,961号明細書
【特許文献14】米国特許第5,298,257号明細書
【特許文献15】米国特許第5,603,947号明細書
【特許文献16】米国特許第5,834,011号明細書
【特許文献17】米国特許第6,165,497号明細書
【特許文献18】米国特許第6,676,959号明細書
【特許文献19】米国特許第5,593,684号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2009/0004249号明細書
【特許文献21】米国特許第3,845,217号明細書
【特許文献22】米国特許第3,877,468号明細書
【特許文献23】米国特許第3,901,248号明細書
【特許文献24】米国特許第6,344,222号明細書
【特許文献25】米国特許第6,358,060号明細書
【特許文献26】米国特許第6,773,716号明細書
【特許文献27】米国特許第6,893,654号明細書
【特許文献28】米国特許出願公開第2004/0191322号明細書
【特許文献29】米国特許第5,110,605号明細書
【特許文献30】米国特許第5,733,574号明細書
【特許文献31】米国特許第6,280,761号明細書
【特許文献32】米国特許第6,248,760号明細書
【特許文献33】米国特許出願公開第2001/0016593号明細書
【特許文献34】米国特許出願公開第2010/0004294号明細書
【特許文献35】米国特許第4,579,858号明細書
【特許文献36】米国特許第5,656,255号明細書
【特許文献37】米国特許第6,596,740号明細書
【特許文献38】米国特許第6,024,097号明細書
【特許文献39】米国特許出願公開第2003/0159702号明細書
【特許文献40】米国特許出願公開第2007/0163610号明細書
【特許文献41】米国特許出願公開第2009/0023819号明細書
【特許文献42】欧州特許出願公開第1458388号明細書
【特許文献43】国際公開第2008/037470号
【特許文献44】米国特許第6,709,671号明細書
【特許文献45】米国特許第7,025,983号明細書
【特許文献46】米国特許第7,491,406号明細書
【特許文献47】米国特許出願公開第2006/0198873号明細書
【特許文献48】米国特許出願公開第2006/0204559号明細書
【特許文献49】米国特許第5,147,654号明細書
【特許文献50】米国特許第6,319,510号明細書
【特許文献51】米国特許出願公開第2006/0240087号明細書
【特許文献52】米国特許第4,907,605号明細書
【特許文献53】米国特許出願公開第2009/0293895号明細書
【特許文献54】米国特許第7,105,173号明細書
【特許文献55】米国特許第6,268,386号明細書
【特許文献56】米国特許第7,115,297号明細書
【特許文献57】米国特許第7,435,749号明細書
【特許文献58】米国特許第4,284,809号明細書
【特許文献59】米国特許第4,800,903号明細書
【特許文献60】米国特許第6,234,169号明細書
【特許文献61】米国特許第6,874,507号明細書
【特許文献62】米国特許出願公開第2006/0018840号明細書
【特許文献63】米国特許出願公開第2009/0005423号明細書
【特許文献64】欧州特許出願公開第1,618,803号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Dwoskin et al.,Exp.Opin.Ther.Patents,10:1561−1581(2000)
【非特許文献2】Schmitt et al.,Annual Reports in Med.Chem.,35:41−51(2000)
【非特許文献3】Huang et al.,J.Am.Chem.Soc.,127:14401−14414(2006)
【非特許文献4】Arneric et al.,Biochem.Pharmacol.,74:1092−1101(2007)
【非特許文献5】Millar,Biochem.Pharmacol.,78:766−776(2009)
【非特許文献6】Fagerstrom,Health Values,18:15(1994)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
一態様において、本発明は、治療目的で使用されることを意図されたニコチン含有組成物に関する。該組成物は、典型的には該組成物の経口送達に適合される、医薬的に許容し得る形態である。該組成物は、少なくとも1種のニコチン性化合物と、代用糖と、糖アルコールシロップと、を組み入れている。特定の実施形態において、該組成物は、ある程度の半透明性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0014】
特定の実施形態において、本発明は、ニコチン性化合物と;少なくとも約80重量%の代用糖と;糖アルコールシロップと、を含む、ニコチン含有医薬組成物であって、該代用糖が、ガラス状マトリックスを形成することが可能な非吸湿性糖アルコールであり、該組成物が、該組成物の経口送達に適合される医薬的に許容し得る形態である、組成物を提供する。ニコチン性化合物の少なくとも一部は、特定の実施形態において、遊離塩基、塩、錯体、または溶媒和物の形態であってよい。例えばニコチン性化合物は、ニコチン遊離塩基、ニコチンポラクリレックス、および重酒石酸ニコチン二水和物から選択されてよい。幾つかの実施形態において、ニコチン性化合物は、多孔質粒子担体に吸着される。例えば多孔質粒子担体は、微結晶セルロースを含み得る。
【0015】
幾つかの実施形態において、代用糖は、イソマルトである。特定の実施形態において、糖アルコールシロップは、マルチトールシロップまたはキシリトールシロップである。それらの成分の量は、様々であってよい。例えば幾つかの実施形態において、該組成物は、少なくとも約80重量%または少なくとも約85重量%の代用糖を含む。幾つかの実施形態において、糖アルコールシロップの量は、融解形態の代用糖の再結晶化を緩徐にするのに十分な量である。例えば幾つかの実施形態において、該組成物は、少なくとも約4.0重量%または少なくとも約4.5重量%の糖アルコールシロップを含む。
【0016】
様々な成分を、該医薬組成物に含ませることができる。例えば幾つかの実施形態において、該組成物は、1種以上の風味材料、甘味料、または塩を更に含む。これらの成分の量およびタイプは、様々であってよい。例えば幾つかの実施形態において、風味材料の量は、医薬組成物の約0.1〜約0.5重量%である。幾つかの実施形態において、風味材料は、バニリンおよび/またはミントフレーバーである。幾つかの実施形態において、甘味料は、スクラロースを含む。塩(例えば、NaCl)が含まれる場合、その量は、特定の実施形態において、組成物の約0.5〜約1重量%であってよい。
【0017】
該医薬組成物は、任意の形態をとり得る。例えば幾つかの実施形態において、該組成物は、ロゼンジまたは錠剤の形態である。特定の実施形態において、該組成物は、半透明である。特定の実施形態において、該組成物は、透明である。
【0018】
発明の別の態様において、本明細書に記述された実施形態のいずれかによる医薬組成物の有効量をヒト対象に経口投与すること(例えば、ニコチン性化合物と;少なくとも約80重量%の代用糖と;糖アルコールシロップと、を含み、該代用糖が、ガラス状マトリックスを形成することが可能な非吸湿性糖アルコールであり、該組成物が、該組成物の経口送達に適合される医薬的に許容し得る形態である、ニコチン含有医薬組成物を投与すること)、を含む、ニコチン性アセチルコリン作用性受容体の刺激に応答する状態、疾患、または障害を有するヒト対象を処置する方法が提供される。例えば該方法は、ニコチン性化合物と、代用糖と、糖アルコールシロップと、を組み入れた組成物を投与することを含んでいてもよい。投与するステップは、特定の実施形態において、該医薬組成物を、中枢神経系の状態、疾患、または障害を有するヒト対象に投与することを含み得る。投与するステップは、特定の実施形態において、該医薬組成物を禁煙補助剤としてヒト対象に投与することを含み得る。
【0019】
更なる態様において、本発明は、少なくとも80重量%の量のガラス状マトリックスを形成することが可能な非吸湿性代用糖と、糖アルコールシロップと、を融解状態で混合して混合物を形成させること;該混合物を冷却してニコチン性化合物を冷却された混合物に組み入れること;および該混合物を室温に更に冷却して固体ニコチン含有医薬組成物を形成させること、を含む、ニコチン含有医薬組成物を調製する方法を提供する。様々な他のステップが、この方法に含まれ得る。例えば該方法は、特定の実施形態において、風味材料、甘味料、および塩からなる群より選択される1種以上の成分を添加することを更に含んでいてもよい。
【0020】
幾つかの実施形態において、混合するステップは、代用糖および糖アルコールシロップを、代用糖のハードクラックステージ(hard crack stage)を超える温度まで加熱することを含み、組み入れるステップは、ニコチン性化合物を、代用糖のハードクラックステージ未満の温度で混合物に添加することを含む。例えば特定の具体的実施形態において、ハードクラックステージは約145℃〜約155℃であり、代用糖および糖アルコールシロップは、ハードクラックステージと約171℃の間の温度で加熱される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明を、以下により完全に記載する。本発明は、多くの異なる形態で実施でき、本明細書に示された実施形態に限定されるとみなすべきではなく;むしろこれらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供されている。本明細書および特許請求の範囲において用いられる単数形「a」「an」および「the」は、他に状況によって明白に示されない限り、複数の参照も含まれる。
【0022】
本発明は、治療目的でのニコチン性化合物の使用を含み、ニコチン性化合物の経口送達のために適合された組成物を提供する。本明細書で用いられる「ニコチン性化合物」は、植物材料由来の未結合の天然由来または合成ニコチンを指し、該化合物が少なくとも部分的に精製されていて、例えばタバコの葉などの植物構造内に含有されないことを意味する。最も好ましくは、ニコチンは、天然由来であり、ニコチアナ(Nicotiana)種(例えば、タバコ)からの抽出物として得られる。タバコの例示的タイプおよびタバコを加工する手法は、参照により本明細書に組み入れられる、Byrdらによる米国特許出願第13/095,277号に示される。
【0023】
該ニコチンは、鏡像異性体であるS(−)−ニコチン、R(+)−ニコチン、またはS(−)−ニコチンとR(+)−ニコチンとの混合物を有し得る。最も好ましくはニコチンは、S(−)−ニコチン(例えば、事実上全てS(−)−ニコチンの形態で)、または主として、もしくは大部分がS(−)−ニコチンから構成されるラセミ混合物(例えば、約95重量部のS(−)−ニコチンおよび約5重量部のR(+)−ニコチンから構成される混合物)の形態である。最も好ましくはニコチンは、事実上純粋な形態または本質的に純粋な形態で使用される。使用される非常に好ましいニコチンは、約95重量%を超える、より好ましくは約98重量%を超える、最も好ましくは約99重量%を超える純度を有する。ニコチンがニコチアナ種から抽出され得るという事実にもかかわらず、該ニコチン(ならびに本発明によって生成される組成物および製品)はタバコの他の成分を事実上、または本質的に含まないことが、非常に好ましい。
【0024】
ニコチンがニコチアナ種の植物に由来する実施形態において、該植物またはその一部を、ニコチンを提供するための様々なタイプの工程条件に供することができる。例えば成分を、互いに分離するか、または別の方法で化学物質群もしくは個々の化合物の混合物に分画できる。典型的な分離工程は、1種以上の工程手段(例えば、極性溶媒、有機溶媒、または超臨界液を用いた溶媒抽出)、クロマトグラフィー、蒸留、濾過、再結晶化、および/または溶媒−溶媒分配を含み得る。例示的な抽出および分離の溶媒または担体としては、水、アルコール(例えば、メタノールまたはエタノール)、炭化水素(例えば、ヘプタンおよびヘキサン)、ジエチルエーテルメチレンクロリド、および超臨界二酸化炭素が挙げられる。ニコチアナ種から成分を抽出するのに有用な例示的技術は、参照により本明細書に組み入れられる、Fioreによる米国特許第4,144,895号;Osborne, Jr.らによる同第4,150,677号;Reidによる同第4,267,847号;Wildmanらによる同第4,289,147号;Brummerらによる同第4,351,346号;Brummerらによる同第4,359,059号;Mullerによる同第4,506,682号;Keritsisによる同第4,589,428号;Sogaらによる同第4,605,016号;Pouloseらによる同第4,716,911号;Niven, Jr.らによる同第4,727,889号;Bernasekらによる同第4,887,618号;Clappらによる同第4,941,484号;Faggらによる同第4,967,771号;Robertsらによる同第4,986,286号;Faggらによる同第5,005,593号;Grubbsらによる同第5,018,540号;Whiteらによる同第5,060,669号;Faggによる同第5,065,775号;Whiteらによる同第5,074,319号;Whiteらによる同第5,099,862号;Whiteらによる同第5,121,757号;Faggによる同第5,131,414号;Munozらによる同第5,131,415号;Faggによる同第5,148,819号;Kramerによる同第5,197,494号;Smithらによる同第5,230,354号;Faggによる同第5,234,008号;Smithによる同第5,243,999号;Raymondらによる同第5,301,694号;Gonzalez−Parraらによる同第5,318,050号;Teagueによる同第5,343,879号;Newtonによる同第5,360,022号;Clappらによる同第5,435,325号;Brinkleyらによる同第5,445,169号;Lauterbachによる同第6,131,584号;Kierulffらによる同第6,298,859号;Muaらによる同第6,772,767号;およびThompsonによる同第7,337,782号に記載される。同じく、参照により本明細書に組み入れられる、Brandt et al., LC−GC Europe, p. 2−5 (March, 2002)およびWellings, A Practical Handbook of Preparative HPLC (2006)に示される分離技術のタイプを参照されたい。加えて、該植物またはその一部は、参照により本明細書に組み入れられる、Ishikawa et al., Chem. Pharm. Bull., 50, 501−507 (2002); Tienpont et al., Anal. Bioanal. Chem., 373, 46−55 (2002);Ochiai, Gerstel Solutions Worldwide, 6, 17−19 (2006);Coleman, III, et al., J. Sci. Food and Agric., 84, 1223−1228 (2004);Coleman, III et al., J. Sci. Food and Agric., 85, 2645−2654 (2005);Pawliszyn, ed., Applications of Solid Phase Microextraction, RSC Chromatography Monographs, (Royal Society of Chemistry, UK) (1999);Sahraoui et al., J. Chrom., 1210, 229−233 (2008);およびRaymondらによる米国特許第5,301,694号に示された処置のタイプに供すことができる。
【0025】
特定の実施形態において、ニコチアナ種の植物からのニコチンの単離は、タバコ抽出物から高分子量成分を除去するステップを含む。特定の実施形態において、本発明により有利に除去される高分子量成分としては、非限定的に、高分子量のメイラード褐変ポリマー、蛋白質、多糖、特定の顔料、および細菌が挙げられる。サイズ排除クロマトグラフィー、マイクロフィルトレーション、限外濾過、ナノフィルトレーション、逆浸透、およびそれらの組み合わせを含む様々な方法を、この目的で用いることができる。
【0026】
一実施形態において、限外濾過は、タバコ材料から高分子量成分を除去するのに用いられる。該限外濾過法は、典型的にはタバコ抽出物(例えば、水性タバコ抽出物)の形態のタバコ材料に適用される。限外濾過において、濾過される材料が、半透膜と接触される。該膜は、任意のタイプ、例えばプレート・アンド・フレーム型(積層させた膜と、支持プレートとを有する)、らせん型(管の周りに巻き付けられた、連続層の膜および支持材料を有する)、管状(供給物が流れる膜で仕切られたコアと、透過物が回収される外部管状ハウジングと、を有する)、または中空繊維(複数の小径の管または繊維を有し、透過物が繊維の周りのカートリッジ領域に回収される)であってよい。該膜は、任意の材料で構築されていてよい。例えばポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、およびセルロースアセタート膜が一般に用いられるが、本明細書に記載された発明から逸脱することなく、他の材料を用いることができる。
【0027】
限外濾過膜は、広範囲の孔径(典型的には約0.1〜約0.001ミクロンの範囲内)で利用できる。膜は、より典型的には数平均分子量カットオフにより記載される。限外濾過膜は、一般には約10Da〜約10Daの分子量カットオフを有する膜として分類される。実際には、分子量カットオフを超える分子量を有する化合物は、被保持物中に保持され、該カットオフ未満の分子量を有する化合物は、フィルターを通過して透過物中に入る。限外濾過法は、典型的には低分子量有機化合物およびイオンを除去できない。
【0028】
限外濾過は、典型的にはクロスフロー分離工程である。処理される液体の流れ(供給物)は、膜表面に沿って接線方向に流れ、膜を通過する一つの流れ(透過物)と、通過しないもう一つ(被保持物または濃縮物)に分離される。該限外濾過システムの操作パラメータは、所望の結果を実現するように変えることができる。例えば濾過される供給混合物は、適用される圧力により膜と接触させることができる。膜を横切る透過速度は、適用される圧力に正比例するが、最大圧は限定され得る。膜表面を横切る混合物の流速は、調整できる。温度も、様々であってよい。典型的には透過速度は、温度上昇に伴って上昇する。
【0029】
市販の限外濾過システムは容易に入手可能であり、本発明の限外濾過法に用いられてもよい。例えばMillipore、Spectrum(登録商標)Labs、Pall Corporation、Whatman(登録商標)、Porex Corporation、およびSnyder Filtrationなどの商業的供給業者は、様々な濾過膜およびカートリッジ、ならびに/または濾過システム(例えば、タンジェンシャルフロー濾過システム)を製造している。例示的な膜としては、非限定的に、Biomax(登録商標)膜、Ultracel(登録商標)膜、およびPellicon(登録商標)XLカセット(Millipore製)、Microkros(登録商標)、Minikros(登録商標)、およびKrosFlo(登録商標)中空繊維モジュール(Spectrum(登録商標)Labs製)、ならびにMicrozaフィルターおよびCentramate(商標)、Centrasette(商標)、Maximate(商標)、およびMaxisette(商標)タンジェンシャルフロー濾過膜カセットが挙げられる。市販の濾過システムとしては、非限定的に、MilliporeのLabscale(商標)タンジェンシャルフロー濾過(TFF)システムおよびSpectrum(登録商標)LabのKrosFlo(登録商標)およびMiniKros(登録商標)タンジェンシャルフロー濾過システムが挙げられる。
【0030】
本発明により有用となり得るフィルターおよび/または膜は、約100,000Da未満、約75,000Da未満、約50,000Da未満、約25,000Da未満、約20,000Da未満、約15,000Da未満、約10,000Da未満、および約5,000Da未満の分子量カットオフを有するものを包含する。特定の実施形態において、多段階濾過工程を用いて、改善された清澄性を有する抽出物を提供する。そのような実施形態は、異なる(典型的には減少していく)分子量カットオフの複数のフィルターおよび/または膜を用いる。任意の数のフィルターおよび/または膜を、本発明により連続的に用いることができる。例えば最初の濾過を、5,000Da分子量カットオフのフィルターを用いて実施し、2番目の濾過を、5,000Da分子量カットオフのフィルターを用いて実施してもよい。したがって限外濾過された抽出物は、約50,000Da未満、約25,000Da未満、約10,000Da未満、約7,500Da未満、約5,000Da未満、約2,500Da未満または約1,000Da未満の分子量を有する化合物のみを含むことができる。限外濾過抽出物は、典型的には主に糖、ニコチン、およびアミノ酸を含む。限外濾過を他の分離および精製方法と組み合わせて用いて、許容し得る純度レベルを有するニコチンを提供できる。
【0031】
該限外濾過抽出物は、限外濾過されていない抽出物よりも清澄性の改善を示す。抽出物(およびそれから生成された本発明による医薬組成物)の清澄性は、典型的には半透明性に関して定義される。本明細書で用いられる「半透明の」または「半透明性」は、ある程度の光を拡散的に進行させる材料を指す。特定の実施形態において、本発明の特定の材料(例えば、特定のタバコ抽出物またはそれから生成された医薬組成物)は、該材料が「透明」と分類され得る、または「透明性」を示し得るような高度な清澄性を有することができ、光を著しく拡散させることなく自由に通過させる材料として定義される。限外濾過抽出物の清澄性には、不透明性(光が透過できない材料を指す)とは対照的にある程度の半透明性がある。
【0032】
限外濾過されていない抽出物と比べた限外濾過抽出物の清澄性の改善は、任意の公知方法により定量できる。例えば比濁法(またはネフェロメトリー法)および比色法などの光学法が、限外濾過抽出物またはそれから生成された生成物の、それぞれ、曇り(光散乱)および色(光吸収)を定量するのに用いられてもよい。半透明性は、単に材料(例えば、抽出物)または生成物を単に光源にかざして、光が該材料または生成物を通って拡散的に進行するかどうかを決定することによる視覚的精査により、確かめることもできる。
【0033】
特定の実施形態において、限外濾過抽出物は、抽出物を光と接触させて、抽出物により吸収および/または分散されなかった光の割合を測定することにより分析される。該測定は、例えば所与の波長で標準的分光光度計を用いて実施できる。該分光光度計は、典型的には脱イオン水で較正され、これを透明性値100%とする。限外濾過抽出物における所与の波長での半透明性/透明性の許容し得るレベルは、様々であってよい。典型的には限外濾過抽出物は、約5%を超える、約10%を超える、約15%を超える、約20%を超える、約25%を超える、約30%を超える、約40%を超える、約50%を超える、約60%を超える、約60%を超える、約70%を超える、約80%を超える、または約90%を超える半透明性を有する。典型的には限外濾過抽出物は、無色でなく、いくらかの識別可能な褐色/黒色を有する。限外濾過の後、該抽出物は冷蔵庫もしくは冷凍庫に貯蔵でき、または該抽出物は、凍結乾燥もしくは噴霧乾燥した後、更なる工程を経て本発明による医薬組成物中での使用のためにニコチンを単離できる。
【0034】
本発明のニコチン性化合物は、ニコチンを遊離塩基形態で、塩形態で、錯体として、または溶媒和物として含み得る。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Hanssonによる米国特許出願公開第2004/0191322号における遊離塩基形態のニコチンの議論を参照されたい。ニコチン性化合物の少なくとも一部は、ニコチンポラクリレックスなどのイオン交換樹脂中にニコチンが結合された、ニコチンの樹脂複合体の形態で用いることができる。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Lichtneckertらによる米国特許第3,901,248号を参照されたい。ニコチンの少なくとも一部は、塩の形態で使用し得る。ニコチンの塩は、Coxらによる米国特許第2,033,909号およびPerfetti,Beitrage Tabakforschung Int.,12:43−54(1983)に示された原材料および技術のタイプを利用して提供できる。加えてニコチンの塩は、例えばPfaltz and Bauer Inc.およびK&K Laboratories,Division of ICN Biochemicals Inc.などの供給源から入手できる。例示的な医薬的に許容し得るニコチン塩としては、酒石酸塩(例えば、酒石酸ニコチンおよび重酒石酸ニコチン)、塩化物(例えば、ニコチン塩酸塩およびニコチン二塩酸塩)、硫酸塩、過塩素酸塩、アスコルビン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、アスパラギン酸塩、サリチル酸塩、トシル酸塩、コハク酸塩、ピルビン酸塩など;ニコチン塩水和物(例えば、ニコチン塩化亜鉛一水和物)などが挙げられる。特定の実施形態において、ニコチン性化合物の少なくとも一部は、参照により本明細書に組み入れられる、Brinkleyらによる米国特許出願第12/769,335号および国際特許出願第PCT/US/2011/033928号に議論された通り、非限定的に、レブリン酸を含む有機酸部分との塩の形態である。
【0035】
一実施形態において、ニコチン性化合物は、本発明の組成物に組み入れられる前に、微結晶セルロース(MCC)などの多孔質粒子担体材料に吸着される。一実施形態において、本発明において用いられるMCC材料は、約15〜約250ミクロンの平均粒径範囲を有する。例示的なMCC材料としては、様々なグレードのAVICEL(登録商標)材料およびVIVACEL(登録商標)材料が挙げられる。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Hanssonによる米国特許出願公開第2004/0191322号を参照されたい。特定の実施形態において、本明細書において議論された様々なニコチン性化合物の組み合わせのいずれかを含む、複数の形態のニコチン性化合物が、特定の担体に吸着され得る。幾つかの実施形態において、ニコチン性化合物、そして場合により有機酸部分は、例えばニコチン性化合物(そして場合により有機酸部分)を親水性溶媒(例えば、水、アルコール、またはそれらの混合物)に溶解して、その溶液を粒子担体と混和し、次に乾燥させて溶媒を除去することにより、粒子担体に吸着させることができる。吸着されたニコチン、そして場合により有機酸部分を有する粒子担体材料は、有効成分の経口送達に適合された組成物を提供するために、他の担体または賦形剤と組み合わせることができる。
【0036】
本発明の組成物は、医薬的に有効で、かつ医薬的に許容し得る形態を有する。即ち、該組成物は、最も好ましくは、ニコチン以外のタバコの成分を、感知できるいかなる程度でも組み入れていない、または意図的に組み入れていない。そのため医薬的に有効で、かつ医薬的に許容し得る組成物は、タバコ、加工タバコ成分、またはタバコ含有シガレット、シガー、パイプ、もしくは無煙形態のタバコ製品内に伝統的に存在するタバコの成分の多数を含まない。非常に好ましい組成物は、ニコチン以外のタバコ成分を0.5重量%未満、より多くの場合約0.25重量%未満含み、典型的にはニコチン以外の、タバコの成分、加工タバコ成分、またはタバコ由来成分が全く存在しない、または欠如している。
【0037】
本発明の医薬組成物は、便宜上単位剤形で利用可能にでき、この場合、そのような製剤は、製薬分野において一般に公知の方法のいずれかによって調製できる。概して言えば、そのような調製方法は、有効物質を1種以上の原材料からなり得る適切な担体または他のアジュバントと(様々な方法により)組み合わせることを含む。該有効成分と1種以上のアジュバントとの組み合わせは、その後、送達のための適切な形態である製剤となるよう物理的に処理される(例えば、錠剤に成形する、または水性懸濁液を形成する)。
【0038】
本発明のニコチン含有医薬組成物は、様々な医薬的に許容し得る賦形剤を組み入れることができる。「医薬的に許容し得る担体」または「医薬的に許容し得る賦形剤」は、有効物質(例えば、ニコチン性化合物)の貯蔵、投与、および/または治癒効果を容易にするために、当該技術分野において従来から使用される担体または賦形剤とする。担体(複数可)は、該製剤の他の成分と適合性があり、これの受容者にとって過度に有害にならないという意味で医薬的に許容し得るものでなければならない。担体は、該物質の望ましくない副作用を減少させることもできる。全体として参照により本明細書に組み入れられる、Wang et al.(1980)J.Parent.Drug Assn.,34(6):452−462を参照されたい。本発明による組成物において使用に適した他の例示的な医薬賦形剤および/または添加物は、参照により本明細書に組み入れられる、Remington:The Science & Practice of Pharmacy,21st ed.,Lippincott Williams & Wilkins(2006);the Physician’s Desk Reference,64th ed.,Thomson PDR(2010);およびHandbook of Pharmaceutical Excipients,6th ed.,Eds.Raymond C.Rowe et al.,Pharmaceutical Press(2009)に列挙される。
【0039】
該様々な賦形剤は、様々であってよく、各賦形剤の選択および量は、望ましい製品の最終形態および機能などの因子に依存し得る。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Carlssonらによる米国特許第5,512,306号;Damによる同第5,525,351号;Santusによる同第5,549,906号;Reinerらによる同第5,711,961号;Krishnamurthyによる同第5,811,126号;Albrechtsenらによる同第5,939,100号;Khankariらによる同第6,024,981号;Humbert−Drozらによる同第6,083,531号;Gowan,Jr.らによる同第6,090,401号;Damによる同第6,110,495号;Wilhelmsenによる同第6,248,760号;Santusによる同第6,280,761号;Reamらによる同第6,426,090号;Patelらによる同第6,569,463号;Smithらによる同第6,583,160号;Moroらによる同第6,585,997号;Anderssonらによる同第6,676,959号;Pinneyらによる同第6,893,654号;Leungらによる同第7,025,983号;およびJohnsonらによる同第7,163,705号;Anderssonらによる米国特許出願公開第2003/0176467号;Martinoらによる同第2003/0235617号;Vayaらによる同第2004/0096501号;Liuらによる同第2004/0101543号;Hanssonによる同第2004/0191322号;Ekらによる同第2005/0053665号;Chanらによる同第2005/0123502号;Andersenらによる同第2008/0038209号;Anderssonらによる同第2008/0286341号;Axelssonによる同第2009/0023819号;Andersenによる同第2009/0092573号;Axelssonらによる同第2010/0004294号;およびAxelssonらによる同第2010/0061940号に示された原材料のタイプ、原材料の相対量および組み合わせ、ニコチン含有製剤ならびにニコチン含有製品の製造方法を参照されたい。
【0040】
スクロースは、本発明のニコチン含有生成物の調製に用いられ得るが、該生成物は、典型的には1種以上の代用糖を含む無糖生成物である。本明細書で用いられる「無糖」は、重量で約15分の1未満の糖、または10分の1未満の糖を有する生成物を含むものとする。
【0041】
特定の実施形態において、本明細書に記載されたニコチン生成物の主成分は、代用糖である。「主成分」は、ニコチン生成物の比較的高い割合を占める物質を意味する。ニコチン含有生成物の混合物における代用糖の量は、様々であってよいが、典型的には該混合物の少なくとも約60重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、または少なくとも約90重量%である。
【0042】
代用糖は、典型的には純粋な固体形態(例えば、顆粒または粉末形態)で提供される。特定の実施形態において、代用糖は、乾燥していて非常に低い水分量を含む。例えば代用糖は、約5重量%未満の水、約3重量%未満の水、約2重量%未満の水、または約1重量%未満の水を含み得る。
【0043】
代用糖は、任意の無糖材料(即ち、スクロース不含材料)であってよく、天然であっても、または合成されてもよい。本発明で用いられる代用糖は、栄養性または非栄養性であってよい。例えば代用糖は、一般に糖アルコールである。本発明により有用となり得る糖アルコールとしては、非限定的に、エリトリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リボトール(ribotol)、マンニトール、ソルビトール、ダルシトール、イジトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、ポリグリシトール、およびそれらの混合物が挙げられる。例えば特定の実施形態において、糖アルコールは、エリトリトール、ソルビトール、およびイソマルトからなる群より選択される。
【0044】
特定の実施形態において、代用糖は、ガラス状マトリックスを形成することが可能である。ガラス状マトリックスの構成は、一般に半透明/透明な外観を特徴とする。典型的には代用糖は、実質的に非吸湿性である。非吸湿性材料は、典型的には空気から著しい量の水分を吸収、吸着、および/または保持しない。例えば幾つかの実施形態において、代用糖は、25℃、相対湿度80%の条件に2週間暴露すると、約50%未満の水分重量増加を示す。典型的には代用糖は、25℃、相対湿度80%の条件に2週間暴露すると、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、約2%未満、または約1%未満の水分重量増加を示す。非吸湿性材料は、湿度暴露の際にニコチン含有生成物が粘着力を高める傾向を低減するという利益を提供できる。
【0045】
特定の実施形態において、代用糖は、1種以上の糖アルコールを含む。例えば一実施形態において、代用糖は、イソマルトである。イソマルトは、典型的にはスクロースをイソマルツロースに酵素的に転位し、続いて水素化して6−O−α−D−グルコピラノシド−D−ソルビトール(1,6−GPS)および1−O−α−D−グルコピラノシド−D−マンニトール二水和物(1,1−GPM二水和物)の等モル組成物を与えることにより生成される二糖類である。
【0046】
ニコチン性化合物および代用糖に加えて、本発明のニコチン含有生成物は、典型的にはシロップ、例えば糖シロップまたは糖アルコールシロップを含有する。本明細書で用いられる「糖アルコールシロップ」は、例えば約40%を超える固体を有する、好ましくは約50重量%を超える固体、約60重量%を超える固体、約70重量%を超える固体、または約80重量%を超える固体を有する、水中の糖アルコールの濃厚溶液を指すものとする。典型的には該糖アルコールシロップの固体含量は、その名前の付けられた糖アルコールを主に含む(即ち、マルチトールシロップは、典型的には乾重量で約80重量%を超える、約85重量%を超える、または約90重量%を超えるマルチトールを含む)。糖アルコールシロップは、一般に水中の糖アルコール溶液を加熱し、その混合物を冷却して粘性組成物を与えることにより調製される。得られたシロップは、典型的には比較的高濃度の糖アルコールおよび比較的高い安定性を特徴とする(即ち、糖アルコールは典型的には、例えば室温では、溶液から結晶化しない)。
【0047】
シロップ、例えば糖アルコールシロップは、好ましくは融解された代用糖の再結晶化に影響を及ぼすことができる。本発明により特に有用である例示的な糖アルコールシロップの1つは、マルチトールシロップである。非限定的にキシリトール、マンニトール、グリセロール、エリトリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、ダルシトール、イジトール、イソマルト、ラクチトール、またはポリグリシトールを含む他の糖アルコールシロップを、用いることができる。そのような糖アルコールシロップは調製でき、または商業的供給源から得られる。例えばマルチトールシロップは、Corn Products Specialty Ingredients of Newark, Delawareなどの供給業者から市販される。糖アルコールシロップが好ましい場合があるが、糖シロップを、特定の実施形態において、糖アルコールシロップの代わりに、またはそれと組み合わせて用いることができる。例えば幾つかの実施形態において、コーンシロップ、ゴールデンシロップ、および/または糖蜜を用いることができる。
【0048】
生成物の混合物に添加される糖アルコールシロップの量は、典型的には融解形態の代用糖の再結晶化を緩徐にするのに必要な量である。当業者は、残っている原材料の組成に応じて糖アルコールシロップの量を変動させて、再結晶化を十分に緩やかにすることで所望の特性(例えば、半透明性/透明性の所望のレベル)を有する材料を確実に提供する必要があることを理解するであろう。したがって糖アルコールシロップの量は様々であってよいが、典型的にはニコチン含有生成物の混合物の約0.1重量%〜約2重量%の範囲であり、多くの場合約0.5重量%〜約1.5重量%、より多くの場合約1重量%である。特定の実施形態において、糖アルコールシロップの量はより高く、例えば混合物の最大約2重量%、混合物の最大約5重量%、混合物の最大約10重量%、または混合物の最大約20重量%である。
【0049】
別の医薬的に許容し得る成分が、本発明の生成物に添加されてもよい。例えば特定の実施形態において、ニコチン含有医薬成分は、塩を更に含む。該組成物中の塩の存在は、苦みを抑制し、そして/または甘味を増強し得る。任意のタイプの塩を用いることができる。一般的な食卓塩(NaCl)が、典型的には本発明により用いられるが、他のタイプの塩も包含されるものとする。添加される塩の量は、変動してよいが、典型的には医薬組成物混合物の0重量%〜約8重量%の範囲であり、例えば約1重量%〜約4重量%または約0重量%〜約2重量%、多くの場合およそ1重量%である。幾つかの実施形態において、若干の塩味が、該医薬組成物の好ましい特徴である。
【0050】
幾つかの実施形態において、本発明による組成物は、1種以上の緩衝剤および/またはpH調整剤(例えば、酸または塩基)を更に含む。特定の例示的な緩衝剤および/またはpH調整剤としては、非限定的に、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、またはそれらの混合物が挙げられる。幾つかの実施形態において、1種以上の緩衝剤および/またはpH調整剤は、最終的な医薬組成物が好ましい範囲内のpHを確実に有するように、混合物に添加される。そのような組成物中の例示的pH範囲は、一般には約6〜11、多くの場合約7〜10(例えば、約7または約8)である。そのような実施形態において、組成物の混合物に添加される緩衝剤および/またはpH調整剤の量は、単に、製剤を所望のpHにする、または所望のpHに保持するのに必要な量である。任意の所与の製剤に添加される緩衝剤および/またはpH調整剤の量は、当業者により容易に計算でき、例えば混合物の約0.5重量%〜約1重量%を占め得る。特定の実施形態において、塩基性pHが、本発明の生成物において必須ではないことに留意されたい。したがって本発明の特定の生成物は、約6未満または約5未満(例えば約4〜約6)のpHを有する。
【0051】
様々な食品グレードの緩衝剤が公知であり、本発明の生成物のpHを調整するのに用いられ得る。適切な緩衝剤としては、酢酸塩、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、アルカリ金属クエン酸塩などのクエン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、およびホウ酸塩、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。特定の実施形態において、緩衝剤は、例えば参照により本明細書に組み入れられる、Anderssonらによる米国特許出願公開第2008/0286341号およびAnderssonらによるPCT出願第WO2008/04371号において教示されたアミノ酸である。それらに記述された通り、非限定的にアルギニン、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、バリン、システイン酸、N−グリシルグリシン、およびオルニチンを含む様々なアミノ酸およびその塩が、この目的に有用である。特定の実施形態において、N−グリシルグリシンまたはL−リシンが、緩衝剤として添加される。幾つかの実施形態において、アミノ酸緩衝剤は、別のアミノ酸緩衝剤と組み合わせて、および/または1種以上の非アミノ酸緩衝剤と組み合わせて、用いられる。特定の実施形態において、任意のpH調整剤は、塩基(例えば、NaOH)である。特定の実施形態において、L−リシンおよびNaOHが、本発明の組成物に添加される。
【0052】
幾つかの実施形態において、1種以上の追加的甘味料が、本発明の組成物に添加される。1種以上の追加的甘味料は、非限定的に糖、または先に記載された代用糖のいずれかを含む、任意の天然または人工甘味料を含み得る。特定の実施形態において、甘味剤は、グリシルリジン、グリセロール、イヌリン、ラクチトール、ラクトース、マビンリン、マルチトール、マンニトール、ミラクリン、モナチン、モネリン、オスラジン、ペンタジン、ポリデキストロース、ソルビトール、ステビア、タガトース、タウマチン、アセスルファームカリウム、アリテーム、アスパルテーム、シクラマート、ズルチン、グルチン(glucin)、ネオテーム、サッカリン、ソルビトール、スクラロース、キシリトール、およびそれらの組み合わせを含み得る。特定の実施形態において、甘味料は、スクラロース(1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−β−D−フルクトフラノシル−4−クロロ−4−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシド)を含む。添加される甘味料の量は、様々であってよいが、典型的には十分に「甘い」風味のために必要な量である。例えば甘味料は、ニコチン含有医薬組成物の甘味を糖と同等にするために添加できる。特定の実施形態においてスクラロースは、生成物混合物の約0.5重量%〜約2重量%の量、多くの場合、該混合物の約1重量%の量で添加される。
【0053】
様々な天然および/または人工風味材料も、本発明の医薬組成物に添加でき、これらのフレーバーの性質は、非限定的に、新鮮な、甘い、ハーブのような、菓子のような、花のような、果物のような、または刺激的な、と説明できる。フレーバーの具体的タイプとしては、非限定的に、バニラ(例えば、場合により複合的形態のバニリン)、コーヒー、チョコレート、クリーム、ミント、スペアミント、メントール、ペパーミント、ヒメコウジ、ラベンダー、カルダモン、ナツメグ、シナモン、クローブ、カスカリラ、ビャクダン、はちみつ、ジャスミン、ジンジャー、アニス、セージ、リコリス、ならびにフルーツフレーバー、例えばレモン、オレンジ、リンゴ、桃、ライム、さくらんぼおよび苺が挙げられる。参照により本明細書に組み入れられる、Leffingwill et al., Tobacco Flavoring for Smoking Products, R. J. Reynolds Tobacco Company (1972)を参照されたい。風味剤は、湿潤剤、清涼化剤または滑剤と見なされる成分、例えばユーカリも含み得る。風味剤は、医薬組成物に様々な触感的で感覚刺激性の特性を加え得る感覚惹起剤も含むことができる。例えば感覚惹起剤は、暖かい、冷たい、またはヒリヒリするという感覚を提供できる。これらのフレーバーは、ストレートで(即ち単独で)または複合体として(例えば、スペアミントとメントール、またはオレンジとシナモン)提供されてよい。このタイプの風味材料は、混合物の約0.5重量%〜約15重量%の量、多くの場合、混合物の約0.5重量%〜約1.5重量%の量で存在し得る。特定の実施形態において、風味材料は、混合物の少なくとも約0.5重量%または少なくとも約0.75重量%の任意の量で存在する。
【0054】
ニコチンが酸化を受け易いことは周知であり、したがってパルミチン酸アスコルビルおよび/またはアスコルビン酸ナトリウムなどの、1種以上の抗酸化剤を本発明による組成物に組み入れることが、有利となり得る。1種以上の抗酸化剤は、該医薬組成物混合物中に、約0.05重量%〜約0.3重量%の濃度、例えば約0.1重量%〜約0.25重量%または約0.15重量%〜約0.2重量%の濃度で存在してもよい。
【0055】
様々な他の物質を、本発明の組成物に添加できる。例えば、有効成分のための充填剤もしくは担体(例えば、ポリカルボフィルカルシウム、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、コーンスターチ、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、ラクトース、およびジャガイモデンプン、トウモロコシデンプンなどのデンプン)、増粘剤、フィルム形成剤および結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アカシア、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガムおよびゼラチン)、粘着防止剤(例えば、タルク)、流動促進剤(例えば、コロイド状シリカ)、保水剤(例えば、グリセリン)、防腐剤および酸化防止剤(例えば、安息香酸ナトリウムおよびパルミチン酸アスコルビル)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)、染料または顔料(例えば、二酸化チタンまたはD&C Yellow No.10)、ならびに潤滑剤または加工助剤(例えば、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸マグネシウム)などの賦形剤が、特定の実施形態において、該組成物に添加される。
【0056】
特定のタイプのニコチン含有生成物は、許容し得る外部コーティングを提供できる原材料から構成された外部コーティングを有することもできる(例えば、外部コーティングはカルナウバワックスなどの原材料、ならびに医薬的に許容し得る形態のシェラック、艶出し組成物および表面研磨剤から構成できる)。コーティングの塗布は、エアレススプレー、流動層コーティング、コーティングパンの使用などの技術を利用して遂行できる。コーティングとして使用される材料は、セルロース材料(例えば、酪酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、およびカルボキシメチルエチルセルロース)、ならびにアクリル酸、メタクリル酸、およびそれらのエステルのポリマーおよびコポリマーなど、本質的にポリマーであってよい。
【0057】
本発明の製剤は、該製剤が本明細書に記載された通りニコチン性化合物の投与を実現するという条件で、短期間、急速発現、急速消失、制御放出、持続放出、遅延放出、およびパルス放出製剤を含むことができる。全体として参照により本明細書に組み入れられる、Remington’s Pharmaceutical Sciences(18thed.;Mack Publishing Company,Eaton,Pennsylvania,1990)を参照されたい。
【0058】
例えば固体剤形は、コーティングの塗布によってなど、有効物質(即ち、ニコチン性化合物)の遅延放出を提供するように製剤できる。遅延放出コーティングは当該技術分野において公知であり、このようなコーティングを含有する剤形は、任意の公知の適切な方法によって調製できる。そのような方法は、一般に、固体剤形(例えば、錠剤もしくはカプレット)の調製後に遅延放出コーティング組成物の塗布を含む。本発明による固体剤形は持続放出(即ち、長期間にわたって有効物質を放出する)であってもよく、かつ遅延放出であってもなくてもよい。持続放出製剤は、当分野において公知であり、一般には徐々に分解可能もしくは加水分解可能な材料、例えば不溶性プラスチック、親水性ポリマーまたは脂肪化合物からなるマトリックス内に有効物質を分散させることにより調製される。あるいは固体剤形は、そのような材料でコーティングされる。
【0059】
組成物は、サンドイッチ型の形態を有するように共押出、積層または成形でき、このためニコチンおよび他の原材料の位置は、所望の特徴、例えば性能、挙動、他の原材料との相互作用または非相互作用、貯蔵安定性などを提供するために制御できる。加えて成分原材料の混合物は、コア/シェルタイプの構成(例えば、内部領域および少なくとも1つの追加の上層を有するロゼンジタイプの生成物)に製剤および製造でき、様々な領域によりそのような製品の全体の組成もしくは特性が異なるようにできる。こうして、例えばニコチン性化合物は、該生成物の内部領域に向かって相対的に高い濃度を有するか、または該生成物の外部領域に向かって相対的に高い濃度を有することができる。
【0060】
ニコチンを有効成分として組み入れ、ニコチンを経口で提供される形態で含む代表的組成物の特に好ましいタイプの1つは、ロゼンジ、錠剤、マイクロタブまたは他の錠剤タイプの生成物の形態を有する。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Shawによる米国特許第4,967,773号;Acharyaによる同第5,110,605号;Damによる同第5,733,574号;Santusによる同第6,280,761号;Andersson et al.による同第6,676,959号;Wilhelmsenによる同第6,248,760号;および同第7,374,779号;Wilhelmsenによる米国特許出願公開第2001/0016593号;Liu et al.による同第2004/0101543号;Mcneightによる同第2006/0120974号;Chau et al.による同第2008/0020050号;Gin et al.による同第2009/0081291号;およびAxelssonらによる同第2010/0004294号に示されるニコチン含有ロゼンジ、ロゼンジ製剤、ロゼンジの様式および構成、ロゼンジの特性、ならびにロゼンジを製剤または製造するための技術のタイプを参照されたい。
【0061】
ロゼンジタイプの生成物の各ピースもしくは単位内に含有される本発明の組成物の量は、様々であってよい。例えば、ロゼンジ生成物の代表的な一単位は、一般に少なくとも約100mgの重さ、多くの場合少なくとも約200mg、および頻繁には少なくとも約300mgの重さを有するが、他方ではそのような生成物の代表的な一単位の重量は、一般には約1.5gを超えず、多くの場合約1gを超えず、頻繁には約0.75gを超えない。
【0062】
該組成物全体の有効成分の量は、様々であってよい。対象の口腔内への挿入による経口摂取を意図された組成物(例えば、ロゼンジなど)については、各用量ピースもしくは単位内のニコチンの量は、ニコチンベースで計算すると、典型的には少なくとも約0.5mg、一般には少なくとも1mg、多くの場合少なくとも約1.5mg、および頻繁には少なくとも約2mgであり;他方では各ピース内のニコチンの量は、典型的には約10mgを超えず、一般には約8mgを超えず、多くの場合約6mgを超えず、および頻繁には約5mgを超えない。そのような生成物の例示的なタイプは、ニコチンベースで計算すると、1ピースもしくは1単位あたり約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mgおよび約4mgのニコチンを組み入れることができる。
【0063】
本発明の組成物は、医薬的に有効量のニコチンを組み入れている。有効成分(即ち、様々なニコチン形態の全て)の用量は、好ましくは対象または患者が抱えている状態、疾患、または障害の幾つかの症状を処置する、または症状発生を予防するのに効果的な量である。「有効量」、「治療的量」または「有効用量」は、所望の薬理学的または治療効果を誘発し、従って該状態、疾患または障害の効果的な予防または処置をもたらすのに十分な量を意味する。従って、有効成分の有効量は、身体の関連領域に進入して(例えば、対象の血液脳関門を通過して)、対象のCNSおよびPNSにおける関連受容体部位に結合し、そして/または神経薬理学的効果を誘発する(例えば、神経伝達物質分泌を誘発し、従って該状態、疾患または障害の効果的な予防または処置をもたらす)のに十分な量である。障害の予防は、例えば状態、疾患または障害の症状発生を遅延させることにより発現される。障害の処置は、例えば状態、疾患もしくは障害に関連する症状の減少、またはこれらの症状の再発の改善により発現される。
【0064】
本発明の組成物については、有効成分の意図される日用量は、様々であってよい。有効成分の全用量は、該組成物を摂取する対象の体重、処置される状態、処置される疾患もしくは障害の状況もしくは重症度、所望の薬理学的効果、または他のそのような因子に依存し得る。典型的には、ニコチンベースで計算された、対象に1日あたり投与されるニコチン有効成分の量は、少なくとも約2mg、多くの場合少なくとも約4mg、および頻繁には少なくとも約10mgである。典型的には、対象に1日あたり投与されるニコチン有効成分の量は、約60mgを超えず、多くの場合約50mgを超えず、および頻繁には約40mgを超えない。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Bakerらによる米国特許第5,593,684号;Kyleらによる同第6,660,754号;ならびにSachsによる米国特許出願公開第2004/0006113号;Pinneyらによる同第2005/0214229号;Andersenによる同第2008/0124283号;およびAxelssonらによる同第2009/0293895号に示された投薬レジメンおよび投与技術のタイプも参照されたい。
【0065】
ニコチンを有効成分として組み入れている代表的な組成物は、様々なタイプの様式および構成を有することができ、結果として、該組成物の特性、性質、挙動、稠度、形状、形態、サイズおよび重量は、様々であってよい。代表的な組成物の形状は、一般に球形、円筒形(例えば、扁平な円板の概形から比較的長く細い棒状の概形までの範囲)、らせん形、楕円形、正方形、長方形などであってよく、または該組成物は、ビーズ、顆粒性粉末、結晶性粉末、カプセル、フィルム、ストリップ、ゲルなどの形態を有することができる。該組成物の形状は、医薬タイプの製品を投与するために伝統的に使用されてきた広範囲の丸薬、錠剤、ロゼンジ、カプセル、カプレット、パウチおよびガムタイプの製品に類似し得る。代表的な組成物の一般的性質は、感触が柔らかくても硬くてもよく、または中等度の柔らかさもしくは硬さであってもよく、つまり該組成物は、可鍛性、可撓性、噛みごたえ、弾力性、脆性などがあるとみなすことができる。経口投与された場合に、該生成物の様々な成分は、易分散性もしくは緩徐分散性であるとみなすことができ、またはこれらの様々な成分は、様々な速度で(例えば、比較的速くから比較的遅くまで)溶解できる。結果として、ヒト対象の口腔内への挿入により摂取される組成物について、該製品使用中の有効成分の放出速度は、該製品のデザインおよびこの製品を使用する対象による製品の使用法などの因子に応じて、比較的速くから比較的遅くまで様々であってよい。例として、参照により本明細書に組み入れられる、Rayらによる米国特許第4,655,231号;Placeらによる同第5,147,654号;Carlssonらによる同第5,543,424号;Thompsonによる同第6,268,386号;Yatesによる同第6,319,510号;Hallidayらによる同第6,488,953号;Zerbeらによる同第6,709,671号;Leungらによる同第7,025,983号;Rollingによる同第7,105,173号;Stillmanによる同第7,115,297号;Knightによる同第7,435,749号;およびLeungらによる米国特許第7,491,406号;ならびにChanらによる米国特許出願公開第2006/0198873号;Houzeらによる同第2006/0240087号;Bessらによる同第2006/0204559号;Steenらによる同第2007/0269492号;Chauらによる同第2008/0020050号;Anderssonらによる同第2008/0286340号;Sanghviらによる同第2008/0292683号;およびBunickらによる同第2009/0004248号において提案された製品のタイプも参照されたい。
【0066】
特定の実施形態において、ニコチン含有医薬組成物は、本明細書に定義された通り透明または半透明である。透明性/半透明性は、当該技術分野で一般に用いられる任意の手段により決定できるが、それは一般に、一定範囲の波長(たとえば、約400〜700nm)にわたり分光度法での光透過性により測定される。本発明のニコチン含有生成物の透過性測定は、典型的には伝統的なニコチン含有生成物のそれと同等であるか、またはそれよりも高い。半透明性は、生成物を単に光源にかざして、光が該材料または生成物を通って拡散的に進行するかどうかを決定することによる視覚的精査により、確かめることもできる。
【0067】
ニコチン含有組成物を製剤および製造するために用いられる手法および方法は、様々であってよい。医薬タイプの生成物の製造に関連する典型的な条件としては、熱および温度(即ち、製造中に様々な原材料が暴露される熱の度合いおよび製造環境の温度)の制御、水分量(例えば、個々の原材料中および最終組成物中に存在する水分の度合い)、製造環境内の湿度、雰囲気制御(例えば、窒素雰囲気)、製造工程中に様々な成分が受ける気流、ならびに他の同様のタイプの因子が挙げられる。加えて、製品製造に関与する様々な工程ステップは、特定の溶媒および加工助剤の選択、熱および輻射線の使用、冷却および低温条件、原材料の混合速度などを含むことができる。製造条件は、様々な原材料の形態(例えば、固体、液体または気体)、固体形態である成分の粒径または結晶の性質、液体形態である原材料の濃度などの選択により制御することもできる。原材料は、例えば、押出、圧縮、スプレーなどの技術によって所望の組成物に加工できる。
【0068】
例えば該組成物は、ハードボイルドの糖菓子(hard boiled confection)の調製に一般に用いられる任意の方法により調製できる。固い糖菓子の調製のための例示的方法は、例えば参照により本明細書に組み入れられる、LFRA Ingredients Handbook, Sweeteners, Janet M. Dalzell, Ed., Leatherhead Food RA (Dec. 1996), pp. 21−44に見出すことができる。
【0069】
典型的には最初、原材料の第一の混合物を調製することにより、本発明の生成物が調製される。原材料の第一の混合物の組成は、様々であってよいが、典型的には代用糖を含み、様々な任意の追加的物質(例えば、糖アルコールシロップ、NaCl、防腐剤、更なる甘味料、水、および/または風味剤)を含有していてよい。特定の実施形態において、原材料の第一の混合物は、代用糖および糖アルコールシロップ(例えば、マルチトールシロップまたはキシリトールシロップ)を含む。典型的には原材料の第一の混合物は、ニコチン性化合物を含有しない。
【0070】
原材料の第一の混合物は、融解するまで加熱され、続いてその混合物をハードクラックステージまで、またはそれを超えるまで加熱される。糖菓子の製造において、ハードクラックステージは、加熱された混合物の糸(冷却されたシロップの試料を親指と人差し指間で引張ることにより得られる)が砕ける温度、またはシロップを成形しようとしてひび割れを起こす温度として定義される。本発明の方法によれば、ハードクラックステージに達する温度は、生成物の混合物の具体的構成に応じて様々であってよいが、一般には約145℃〜約170℃(例えば、約165℃)である。典型的には該混合物は、カラメル化が起こり始める温度である約171℃を超えて加熱されない。本発明の工程において、該混合物は、典型的にはハードクラックステージ温度まで、またはそれを超えて加熱され、その後、放冷される。加熱は、大気圧または真空下で実施され得る。典型的には本発明の方法は、大気圧で実施される。
【0071】
1つの例示的実施形態において、原材料の第一の混合物は、高割合のイソマルトを含み、該混合物は、ハードクラックステージを超えて(例えば、約165℃まで)加熱される。該混合物は、この温度まで加熱され、その後混合物を熱から取り出して放冷する。1つ以上の所定の温度で、特定の更なる成分が添加される。例えば特定の実施形態において、融解物が約143℃まで冷却されると、様々な成分が添加される。例えばこの時点で添加され得る特定の成分としては、非限定的に、緩衝液、水、および/またはニコチン性化合物が挙げられる。幾つかの実施形態において、融解物が約120℃まで冷却されると、様々な成分が添加される。例えばこの時点で添加され得る特定の成分としては、非限定的に、風味材料、ニコチン性化合物、水、および/または甘味料が挙げられる。特定の風味材料は、揮発性であり、従って好ましくは混合物が幾分か冷却された後に添加される。更に幾つかの実施形態において、幾分か冷却された温度で、タバコ成分を添加することが望ましい。先に記述された通り、特定の実施形態において、様々な成分が冷却工程の異なる段階で添加される。しかし、これらの成分をひとまとめにして冷却工程における1つの段階で一緒に添加することも可能である。
【0072】
その後、ひとまとめにされた混合物は、所望の形状に成形される。特定の実施形態において、該混合物は、鋳型に直接注がれ、所望の形状に成形される(例えば、圧延または圧縮される)か、または押出される。所望なら混合物を、押出成形または射出成型できる。特定の実施形態において、混合物は、閉鎖されたシステム内で成形されるか、または所望の形状の鋳型に押出され、その場合、温度の低下が必要であり特定の混合成分の蒸発を制限できる。例えばそのようなシステムは、非限定的に、ニコチン性化合物および/または風味材料を含む揮発性成分の蒸発を制限できる。ロゼンジなどのニコチン含有生成物を製造する他の方法も、本明細書に包含されるものとする。使用において本発明の組成物は、典型的には口腔または舌下送達に適合される形態で投与される。特定の実施形態において、該組成物は、経口摂取に適した形態である。例えばニコチン含有組成物は、典型的にはニコチン含有ロゼンジの伝統的なタイプの投与に用いられる手法および方法を利用して投与および使用できる。
【0073】
本発明の組成物は、ニコチン性アセチルコリン作用性受容体(nAChR)の1つ以上のタイプの刺激に応答する様々な状態、疾患、および障害の処置に用いることができる。該組成物は、nAChRのアゴニストとしてのニコチンの使用または投与を通して処置され得ることが報告されたそれらのタイプの状態、疾患、および障害を処置するのに用いることができる。そういうものとして、該組成物は、様々なCNS状態、疾患、および障害を処置するのに用いることができ、該組成物は、禁煙補助剤として(即ち、NRTの成分として)使用することもできる。処置され得る例示的な状態、疾患または障害としては、アルツハイマー病および注意欠陥障害などの認知障害、統合失調症、パーキンソン病、トゥレット症候群、潰瘍性大腸炎、ドライアイ病、高血圧、肥満、および痔疾が挙げられる。本発明の組成物は、ストレスまたは疼痛を低減する処置としての用途も見出し得る。
【0074】
本発明の多くの改良および他の実施形態は、前述の記載に示された教示の利益を有する本発明が属する当業者により発想されるであろう。それゆえ、本発明は開示された具体的実施形態に限定されないこと、およびその改良および他の実施形態は添付の特許請求の範囲に含まれることが、理解されなければならない。具体的用語が本明細書において用いられているが、それらは包括的および説明的意味で用いられているに過ぎず、限定を目的とするものではない。
【0075】
本発明の態様は、以下の実施例によって、より完全に示されるが、実施例は本発明の特定の態様を例示するために記載されており、それを限定するものではない。
【0076】
実験
以下の実施例は、本発明を更に例示するために提供されており、その範囲を限定するものと解釈されてはならない。他に記述がない限り、部および割合の全てが、重量によるものである。
【実施例】
【0077】
ハードボイルドロゼンジを、以下の工程により調製する。イソマルトおよびマルチトールシロップ(またはキシリトールシロップ)を、撹拌せずにハードクラック温度(例えば、165℃)まで加熱して融解させる。融解物を極わずかに断続的に撹拌しながら、およそ143℃まで冷却する。他の成分(例えば、緩衝液、ニコチン、甘味料、および/または風味材料)を混合物に添加して、空気を融解物にあまり導入しないようにして、スパーテルで注意深く混ぜ合わせる。融解物を更に約120℃まで冷却する。更なる成分(例えば、緩衝液、ニコチン、甘味料、および/または風味材料)を混合物に添加して、空気を融解物にあまり導入しないようにして、スパーテルで注意深く混ぜ合わせる。最終的な混合物をガラスビーカに注いで、内容物をビーカからメタルブリック上のコード(chord)、適切な寸法のニッチの付いた分離式鋳型(breakway mold)、または鋳型(個々のロゼンジの)に注ぐ。融解物が容易に流動するように、その粘性を得るためビーカの再加熱が必要な場合がある。融解物は、固化に適した時間、冷却される(例えば、室温で)。
【0078】
以下の表1は、先に概説された本発明により調製される生成組成物の6種の実施例を示す。
【表1】
【0079】
以下の表2において、6種の試料それぞれが、該生成物を製造するのに用いられる工程ステップに関して記載されている。ステップは、第一の混合物(例えば、イソマルトおよびマルチトールシロップ)を形成するステップ、該第一の混合物をハードクラックステージを超える温度で融解するステップ、該第一の混合物を約143℃まで冷却し、その後、第二の組成物を該第一の混合物に添加するステップ(即ち、表の添加1)、および最後に、該生成物の混合物を120℃まで冷却した後、最後の原材料を添加するステップ(即ち、表の添加2)、を含む。
【表2】