【実施例1】
【0013】
実施例に係る部品装着システム10について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、部品装着システム10は、部品供給装置(60,160)と、部品供給装置(60,160)に隣接して配置された実装機20と、部品供給装置(60,160)と実装機20とを制御する制御装置200を有している。まず、
図1に基づいて、部品装着システム10の全体の概略構成について説明する。
【0014】
部品供給装置(60,160)は、ウエハシート補給部160と、ウエハシート搬送部60を有している。ウエハシート補給部160には、オペレータによってウエハシートW2が補給される。ウエハシートW2の補給は、ウエハシート搬送部60が設けられた方向と反対側の側面162bから行われる。ウエハシート搬送部60は、オペレータによって補給されたウエハシートW2をウエハシート補給部160から搬出する。
【0015】
図17に示すように、ウエハシートW2は、シート192上に配置された複数の部品W1を備えている。複数の部品W1は、特定のパターン、すなわち、本実施例では、x方向及びy方向に互いに間隔を空けて配置されている。したがって、y方向に配列された複数の部品W1の中心(例えば、C1,C3)を結ぶ直線L1はy方向に伸び、また、x方向に配列された複数の部品W1の中心(例えば、C1,C2)を結ぶ直線L2はx方向に伸びている。これらの直線L1,L2は、ウエハシートW2の傾きを算出する際に利用される。
【0016】
図1に戻って、ウエハシート搬送部60は、ウエハシート補給部160の実装機側の側面162aに隣接して配置されている。後述するように、ウエハシート補給部160は、ウエハシート搬送部60の側面62bに対してスライド可能に取付けられている。ウエハシート搬送部60は、ウエハシート補給部160から搬出されるウエハシートW2を、実装機20の近傍の部品供給位置(実装機20の近傍の位置)に搬送する。
【0017】
実装機20は、ウエハシート搬送部60の側面62a(すなわち、ウエハシート補給部160側と反対側の側面)に隣接して配置される。具体的には、実装機20のウエハシート搬送部60側の面には凹部26が設けられ、この凹部26内にウエハシート搬送部60が収容される。そして、ウエハシート搬送部60の側面62aが実装機20の凹部26の底面に当接するように、ウエハシート搬送部60に対して実装機20が配置される。なお、ウエハシート搬送部60に対して実装機20が配置されると、ウエハシート搬送部60の右側方にスペースが形成される。このスペースには、図示しない他の部品供給装置(例えば、フィーダ)等を載置する載置台(例えば、フィーダデバイス台)が設置される。実装機20は、基板を搬送する基板搬送部22a,22bを有している。実装機20の左側面24aには、上流側の部品装着システムが配置される。実装機20の右側面24bには、下流側の部品装着システムが配置される。基板搬送部22a,22bには、上流側の部品装着システムで部品が装着された基板が供給される。基板搬送部22a,22bに供給された基板は、実装機20の中央に送られる。実装機20の装着ヘッド30は、ウエハシート搬送部60によって部品供給位置に搬送されたウエハシートW2上の部品W1を吸着し、吸着した部品W1を基板搬送部22a,22b上の基板に装着する。部品W1が装着された基板は、基板搬送部22a,22bによって下流側の部品装着システムに送られる。基板が複数の部品装着システムを通過することで、基板に必要な部品が取付けられてゆく。なお、実装機20の右側面24bに上流側の部品装着システムが配置され、実装機20の左側面24aに下流側の部品装着システムが配置されてもよい。この場合は、実装機20の右側面24b側から左側面24a側に基板が搬送される。
【0018】
(ウエハシート補給部160)
次に、部品装着システム10の各部について詳細に説明する。まず、ウエハシート補給部160について説明する。
図2に示すように、ウエハシート補給部160は、ハウジング162と、マガジン170と、昇降機構168を備えている。
【0019】
ハウジング162は、マガジン170と昇降機構168を収容する。ハウジング162のウエハ搬送部60側の側面162aには、ウエハシートW2を搬出する搬出口174が形成されている。また、ハウジング162の側面162aとウエハシート搬送部60の側面62bの間には、ウエハシート搬送部60に対してウエハシート補給部160をスライドさせるためのスライド機構(後述)が設けられている。
【0020】
マガジン170は、ウエハシートW2を収容する複数のウエハシート収容部172を備えている。複数のウエハシート収容部172は、高さ方向(z方向)に積層されている。各ウエハシート収容部172には、ウエハシートW2が収容されている。マガジン170は、x−z断面が矩形となる筒状に形成されている。すなわち、マガジン170の後端(ウエハシート搬送部60と反対側の端部)と、マガジン170の前端(ウエハシート搬送部60側の端部)は開放されている。このため、オペレータはマガジン170の後端よりウエハシート収容部172にウエハシートW2を補給することができる。一方、ウエハシート収容部172に収容されているウエハシートW2は、マガジン170の前端よりウエハシート搬送部60に搬出することができる。
【0021】
昇降機構168は、ボールねじ166と、ボールねじ166を回転させるモータ164を有している。ボールねじ166と係合するナット(図示しない)は、マガジン170に固定されている。このため、モータ164によりボールねじ166を回転させると、マガジン170がハウジング162内を上下方向に移動する。マガジン170を上下方向に移動させることで、マガジン170の任意のウエハシート収容部172を、ハウジング162の搬出口174の高さに一致させることができる。これによって、ウエハシート収容部172から搬出口174を通ってウエハ搬送部60にウエハシートW2を搬出することができる。なお、ウエハシート収容部172からウエハ搬送部60へのウエハシートW2の搬送は、図示しないロボットによって行われる。
【0022】
ここで、ウエハシート搬送部60に対してウエハシート補給部160をスライドさせるためのスライド機構について説明する。スライド機構は、ウエハシート補給部160の側面162aに設けられたスライドブロック178,186等と、ウエハシート搬送部60の側面62bに形成された係合溝138a、138b等を有している。
【0023】
図3に示すように、ウエハシート補給部160の側面162a(すなわち、ハウジング162の側面162a)には、x方向に伸びる第1スライドブロック178と、第1スライドブロック188に対してz方向に間隔を空けて配置された複数の第2スライドブロック178が設けられている。
【0024】
第1スライドブロック178には、ガイドローラ182を収容する複数の凹部178aと、ガイドローラ184を収容する複数の凹部178bが形成されている。ガイドローラ182は、y軸(紙面に直交する軸)と平行となる回転軸周りに回転可能となっている。ガイドローラ184は、z軸と平行となる回転軸周りに回転可能となっている。第1スライドブロック178は、ベースブロック180(
図5参照)を介してハウジング162の側面162aに固定されている。
【0025】
複数の第2スライドブロック186は、互いにx方向に間隔を空けて配置されている。複数の第2スライドブロック186が配置される方向は、第1スライドブロック178が伸びる方向と平行となっている。複数の第2スライドブロック186も、図示しないベースブロックによってハウジング162の側面162aに固定されている。第2スライドブロック186のそれぞれには、ガイドローラ188を収容する凹部186aが形成されている。ガイドローラ188は、z軸と平行となる回転軸周りに回転可能となっている。隣接する第2スライドブロック186の間にはガイドローラ190が配置されている。ガイドローラ190は、y軸(紙面に直交する軸)と平行となる回転軸周りに回転可能となっている。
【0026】
第1スライドブロック178と第2スライドブロック群186の高さ方向の中間位置には、係合ブロック176が配置されている。係合ブロック176は、ハウジング162の側面162aに固定されている。係合ブロック176は、その中央部に凹溝176aが形成されている(
図6参照)。凹溝176aは、ウエハシート搬送部60側からウエハシート補給部160側に凹となっている。
【0027】
図4に示すように、ウエハシート搬送部60の側面62bには、第1スライドブロック178が収容される第1係合溝138bと、第2スライドブロック群186が収容される第2係合溝138aが形成されている。第1係合溝138b及び第2係合溝138aは、x方向に伸びている。
図5に示すように、第1係合溝138bは、第1フレーム部材148と、第1フレーム部材148の上端に取付けられた第2フレーム部材150によって構成されている。第1フレーム部材148と第2フレーム部材150によって囲まれた空間内に、第1スライドブロック178及びガイドローラ182,184が収容される。ガイドローラ182は、第1フレーム部材148のy方向に伸びる面148bに接触している。このため、ガイドローラ182と第1フレーム部材148の間にはz方向の力が作用する。上述したようにガイドローラ182は、y軸と平行となる回転軸周りに回転可能となっている。このため、ウエハシート補給部160は、ガイドローラ182によって、ウエハシート搬送部60に対してx方向(紙面に直交する方向)のスライド移動を可能としながら、z方向に支持される。ガイドローラ184は、第1フレーム部材148のz方向に伸びる面148aに接触すると共に、第2フレーム部材150の突片150aに接触する。このため、ガイドローラ184とフレーム部材148,150の間には、y方向の力が作用する。上述したようにガイドローラ184は、z軸と平行となる回転軸周りに回転可能となっている。このため、ウエハシート補給部160は、ガイドローラ184によって、ウエハシート搬送部60に対してx方向のスライド移動を可能としながら、y方向に支持される。なお、
図5において、ガイドローラ182とガイドローラ184を図示しているが、実際には、
図3に示すように、ガイドローラ182とガイドローラ184のx方向の位置は同一とはならない。
図5では、説明の便宜上、ガイドローラ182とガイドローラ184を同一図面に図示していることに留意されたい。
【0028】
第2係合溝138aも、第1係合溝138bと同様に構成されている。すなわち、第2係合溝138a内に第2スライドブロック群186及びガイドローラ188,190が収容され、ガイドローラ188,190が第2係合溝138aの内面に接触している。ガイドローラ188,190によって、ウエハシート補給部160は、ウエハシート搬送部60に対してy方向及びz方向に支持される。
【0029】
図4に示すように、ウエハシート搬送部60の側面62bには、案内溝142が形成されている。案内溝142は、第1係合溝138bと第2係合溝138aの間に位置し、x方向に伸びている。案内溝142内には、ロックピン146が配置されている。ロックピン146は、リンク部材144の一端に連結されている。リンク部材144の他端は、解除ボタン140に連結されている。ロックピン146は、図示しない付勢手段(例えば、ばね)によって
図6の実線で示す位置に付勢されている。オペレータが解除ボタン140を操作すると、ロックピン146は
図6の点線で示す位置に後退する。
【0030】
上述した案内溝142内には、ウエハシート補給部160の係合ブロック176が配置される。係合ブロック176が案内溝142内に配置されることで、ウエハシート搬送部60に対するウエハシート補給部160のスライド可能な範囲が規制される。これによって、ウエハシート補給部160側の機器とウエハシート搬送部60側の機器とを接続する配線が外れてしまうことが防止される。
【0031】
また、案内溝142内に配置された係合ブロック176の凹溝176aには、ロックピン146が係合可能となっている。係合ブロック176の凹溝176aにロックピン146が係合することで、ウエハシート搬送部60に対してウエハシート補給部160がスライド不能な状態となる。本実施例では、ウエハシート搬送部60に対してウエハシート補給部160がスライド不能な状態とされたときにのみ、ウエハシート補給部160からウエハシート搬送部60にウエハシートW2の搬出が可能となっている。これによって、誤った位置でウエハシート補給部160からウエハ搬送部60にウエハシートW2が搬出されることを防止することができる。
【0032】
一方、オペレータが解除ボタン140を操作すると、係合ブロック176の凹溝176aからロックピン146が外れる(ロックピン146が
図6の点線で示す位置に後退する)。これによって、ウエハシート搬送部60に対してウエハシート補給部160がスライド可能となる。したがって、ウエハシート補給部160をスライドさせるときは、オペレータは、解除ボタン140を操作し、ウエハシート補給部160をスライド方向に押せばよい。
【0033】
なお、
図1に示すように、ウエハシート補給部160は、ウエハシート搬送部60に対してx方向(すなわち、ウエハシートW2を供給する方向(y方向)に直交する方向)にスライド可能となる。そして、本実施例においてウエハシート補給部160がスライド移動できる範囲は、
図1の実線に示す位置から一点鎖線で示す位置までの範囲とされ、実装機20のx方向の幅内とされている。このため、ウエハシート補給部160をスライド移動させても、ウエハシート補給部160が上流側の部品装着システムと干渉することはなく、また、下流側の部品装着システムと干渉することはない。また、
図1より明らかなように、ウエハシート補給部160を左方向にスライドさせた一点鎖線で示す位置では、ウエハ搬送部60の側面62bが大きく開放される。このため、実装機20に不具合等が発生した場合は、オペレータは解除ボタン140を操作してウエハシート補給部160をスライドさせ、実装機20へのアクセスするための空間を充分に確保することができる。実装機20にアクセスするためのスペースを事前に設けておく必要がないため、部品装着システム10のコンパクト化を図ることができる。
【0034】
(ウエハシート搬送部60)
次に、ウエハシート搬送部60について説明する。
図2に示すように、ウエハシート搬送部60は、移動テーブル62と、移動テーブル62を昇降するテーブル昇降機構110と、移動テーブル62に対してxy方向に移動可能とされた吸着ヘッド100と、移動テーブル62に載置されたウエハシートW2を撮影するカメラ104を有している。
【0035】
図7に示すように、移動テーブル62は、ベース64と、ベース64に対してスライド移動するスライダ78と、スライダ78に対して回転移動するウエハテーブル88を有している。ベース64は、テーブル昇降機構110によって上下方向に移動可能となっている。すなわち、
図2に示すように、テーブル昇降機構110は、ボールねじ106と、ボールねじ106を回転させるモータ108を有している。ボールねじ108と係合するナット(図示しない)は、ベース64に固定されている。このため、モータ108によりボールねじ106を回転させると、ベース64が上下方向に移動する。ベース64が上下方向に移動することで、ウエハテーブル88も上下方向に移動する。
【0036】
スライダ78は、ベース64に対してy方向にスライド可能に支持されている。具体的には、ベース64の上面にはガイド72が設けられている。ガイド72にはスライダ78の案内部74が係合している。このため、スライダ78は、ベース64に対してy方向に移動可能に支持されている。スライダ78の移動は、図示しないボールねじ機構と、ボールねじ機構を回転駆動するモータによって行われる。
【0037】
図7,8に示すように、スライダ78には、z方向に伸びる回転軸(以下、θ軸(具体的には、
図9に示すC点を通過してz方向に伸びる軸)という)の周りに回動可能にウエハテーブル88が支持されている。具体的には、スライダ78の実装機20側の辺縁にはRガイド82が設けられている。ウエハテーブル88の下面にはスライダ84が取付けられ、スライダ84はRガイド82によって案内されている。また、スライダ78の左右の辺縁にはクロスガイド80a,80bが設けられている。ウエハテーブル88の下面に設定された支持点86a、86bは、クロスガイド80a,80b(詳細には、クロスガイド80a,80bの玉軸受)によって支持される。したがって、ウエハテーブル88は、スライダ84が設けられる位置と、支持点86a,86bの3点で、スライダ78に支持されている。
【0038】
ここで、スライダ84と支持点86a,86bが設けられる3点は、
図9に示すC点を中心とする同一の円の円周上となるように設定されている。すなわち、ウエハテーブル88は、C点(θ軸)を中心とする同一円周上の3点で支持されている。また、このC点(θ軸)を中心とする同一の円の円周上をスライダ84が移動するように、Rガイド82の曲率が設定されている。このため、スライダ84がRガイド82に案内されてθ軸周りに円弧運動をすると、支持点86a,86bもクロスガイド80a,80bに案内されてθ軸周りに円弧運動する。その結果、ウエハテーブル88がθ軸周りに回転することとなる。
【0039】
本実施例では、ウエハテーブル88をθ軸周りに回転させるために、ボールねじ機構(94,85)が採用されている。すなわち、
図8に示すように、ボールねじ94は、スライダ78の実装機20側の辺縁に回転可能に支持されている。ボールねじ94の一端にはモータ92の出力軸が固定され、モータ92によってボールねじ94は回転駆動される。ボールねじ94は、x方向に伸びており、ナット部材85が係合している。ナット部材85とスライダ84とは、x方向については一体で移動し、y方向については相対変位可能に連結されている。したがって、モータ92によってボールねじ94を回転駆動すると、ナット部材85がボールねじ94に沿ってx方向に移動する。ナット部材85のx方向の移動に応じて、スライダ84がRガイド82に案内されながらx方向に移動する。これによって、
図9に示すように、ウエハテーブル88がθ軸周りに回転する。
【0040】
上記ウエハテーブル88には、ウエハシートW2が載置される載置面が形成されている。
図8に示すように、ウエハテーブル88の載置面の中央には開口88aが形成されている。載置面の中央に開口88aを形成することで、ウエハシートW2の下面側にウエハシートW2を突き上げる機構を配置することができる。ウエハシートW2を下面から突き上げることで、ウエハシートW2から部品W1を容易に吸着することができる。なお、ウエハテーブル88に載置されたウエハシートW2は、移動機構102に固定されたカメラ104で撮影することができる。
【0041】
また、
図7,8に示すように、ウエハテーブル88の左右の辺縁にはy方向に伸びるクランプ取付部89a,89bが設けられている。クランプ取付部89a,89bには、ウエハクランプ90a,90bが取付けられる。ウエハクランプ90a,90bによって、ウエハシートW2がクランプされ、ウエハテーブル88にウエハシートW2が保持される。
【0042】
次に、吸着ヘッド100について説明する。
図11,12に示すように、吸着ヘッド100は、第1ハウジング111と、第1ハウジング111に対して回転可能に支持された回転軸116と、回転軸116に固定された第2ハウジング112を有している。第2ハウジング112には、複数の吸着ノズル114a,114bが取付けられている。複数の吸着ノズル114a,114bの配置は、実装機20の装着ヘッド30に装備される複数の吸着ノズル32の配置と対応している。複数の吸着ノズル114a,114bが第2ハウジング112に取付けられているため、第2ハウジング112が回転軸116と共に回転すると、吸着ノズル114a、114bは、吸着ノズル114a,114bの先端が下方を向く吸着位置(
図11の状態)と、吸着ノズル114a,114bの先端が上方を向く受渡し位置(
図12の状態)とに移動する。
【0043】
図13,14に示すように、吸着ヘッド100は、吸着ノズル114a,114bを吸着位置と受渡し位置に切り換える機構(118,120等)を備えている。すなわち、第1ハウジング110には、上下方向に移動可能にラック118が取付けられている。ラック118には、ピニオンギア120が噛合っている。ピニオンギア120は回転軸116に固定されている。したがって、ラック118が上下方向に移動することで、ピニオンギア120及び回転軸116が回転し、吸着ノズル114a,114bも吸着位置と受渡し位置の間を移動する。
【0044】
上記ラック118の上下方向の移動は、回動部材126が支持軸128周りに回転することで実施される。すなわち、ラック118の上端には、カムフォロワ122が取付けられている。カムフォロワ122には、案内溝124が形成されている。カムフォロワ122の案内溝124にはピン130が係合しており、ピン130は回動部材(カム部材)126の一端に固定されている。このため、図示しないアクチュエータ(例えば、エアシリンダ)で回動部材126を支持軸128周りに回転させると、回動部材126の回転に応じてピン130も回転する。これによって、ピン130と係合するカムフォロワ122も上下方向に移動し、ラック118が上下方向に移動する。
【0045】
上記の説明から明らかなように、カムフォロワ122(すなわち、ラック118)の上下方向の移動速度は、吸着ノズル114a,114bが吸着位置と受渡し位置の近傍にあるときは遅く、吸着位置と受渡し位置の中間にあるときは速い。すなわち、
図15に示すように、吸着ノズル114a,114bが吸着位置と受渡し位置の近傍にあるときは、ピン130の回転角度の変化に対して上下方向の移動量S1は小さい。一方、吸着ノズル114a,114bが吸着位置と受渡し位置の中間にあるときは、ピン130の回転角度の変化に対して上下方向の移動量S2は大きい。このため、上記のカム機構(122,126,130)を用いることで、吸着ノズル114a,114bが吸着位置と受渡し位置の近傍にあるときの第2ハウジング112の回転速度を低くすることができる。これによって、第2ハウジング112の回転が停止する際の衝撃を抑制することができる。
【0046】
なお、吸着ヘッド100の回転軸116には、
図16に示すように、吸気通路132が形成されている。回転軸116の外周面には溝116aが形成され、溝116aの底面に吸気通路132の一端が接続している。また、回転軸116の溝116aには、吸着ノズル114a,114bの吸気通路が連通している。したがって、吸着ノズル114a,114bは、溝116a及び吸気通路132を介して吸引装置に接続されている。回転軸116内に吸気通路132を設けることで、吸着ノズル114a,114bへの吸気配管を不要とすることができる。
【0047】
また、吸着ヘッド100及びカメラ104は、移動テーブル62に取付けられた移動機構102によって、移動テーブル62に対してxy方向に移動可能となっている。これによって、ウエハシートW2上の任意の位置に載置されている部品W1を吸着ヘッド100で吸着し、また、カメラ104で撮影することができる。移動機構102には、公知の機構(例えば、ボールねじ機構等)を用いることができる。なお、上述の説明から明らかなように、吸着ヘッド100及びカメラ104は、移動機構102を介して移動テーブル62に取付けられている。このため、移動テーブル62がテーブル昇降機構110によって上下方向に移動すると、それに応じて吸着ヘッド100及びカメラ104も上下方向に移動する。
【0048】
(実装機20)
次に、実装機20について説明する。なお、実装機20には、従来公知のものを使用することができるため、ここでは、実装機20の構成については簡単に説明する。
図2に示すように、実装機20は、基板搬送部22a,22bと、装着ヘッド30と、部品カメラ28を有している。基板搬送部22a,22bは、コンベアベルトを回転させることで、コンベアベルト上に載置された基板を搬送する。装着ヘッド30は、部品W1を吸着するための複数の吸着ノズル32と、ウエハシートW2のフィデューシャルマークを読み取るためのマークカメラ34を備えている。装着ヘッド30の吸着ノズル32の配置は、吸着ヘッド100の吸着ノズル114a,114bの配置に対応している。すなわち、装着ヘッド30は、吸着ヘッド100の吸着ノズル114a,114bに保持された複数の部品W1を同時に受取ることができる。なお、装着ヘッド30は、図示しないx方向移動機構とy方向移動機構によって、xy方向に移動可能となっている。部品カメラ28は、装着ヘッド30に吸着された部品W1の読み取り等を行う。
【0049】
次に、上述した部品装着システム10の動作について、
図18を参照して説明する。
図18に示すように、まず、ウエハシート補給部160からウエハシートW2を搬送する(S10)。具体的には、制御装置200は、昇降機構168を駆動して、ウエハシート収容部172の1つを搬出口174に位置決めする。また、制御装置200は、移動テーブル62を駆動して、ウエハテーブル88をウエハシート載置位置(ウエハシート補給部160の近傍の位置)に位置決めする。ウエハシート載置位置とは、ウエハシート補給部160の搬出口174からウエハシートW2が搬出される位置であり、ウエハシート補給部160の搬出口174の近傍に設定される。次に、制御装置200は、ロボットを駆動してウエハ収容部172に収容されたウエハシートW2を、ウエハテーブル88の載置面に載置する。
【0050】
ウエハテーブル88上にウエハシートW2が載置されると、制御装置200は、移動テーブル62を駆動してウエハテーブル88を部品供給位置(実装機20の近傍の位置)に位置決めする(S12)。部品供給位置は、実装機20の近傍に設定され、ウエハシートW2から装着ヘッド30へ部品W1の供給を行う位置である。
【0051】
次に、制御装置200は、カメラ104によってウエハテーブル88上に載置されたウエハシートW2を撮影する(S14)。ウエハシートW2の画像が撮影されると、制御装置200は、その撮影された画像から、ウエハシートW2のθ方向のずれ量を算出する。すなわち、ウエハシート収容部172へのウエハシートW2の補給はオペレータによって行われ、ウエハシート収容部172からウエハテーブル88へのウエハシートW2の載置はロボットによって行われる。したがって、ウエハシートW2がウエハテーブル88上に予め定められた設定角度で載置されていないことがある。このため、カメラ104によって、ウエハテーブル88上のウエハシートW2を撮影し、ウエハシートW2のずれ量(θ方向のずれ(角度ずれ))を算出する。なお、ウエハシートW2のθ方向のずれは、例えば、下記の手順で算出することができる。すなわち、カメラ104で撮影された画像から、
図17に示すように、複数の部品W1の中心点C1〜C3を算出する。そして、中心点C1と中心点C2を結んだ直線L2と、中心点C1と中心点C3を結んだ直線L1の傾きから、ウエハシートW2のθ方向のずれ(角度ずれ)を算出する。
【0052】
ウエハシートW2のずれ量が算出されると、制御装置200は、移動テーブル62を駆動して、θ軸周りの位置ずれを補正する(S18)。これによって、ウエハシートW1が予め定められた姿勢(角度)で位置決めされる。
【0053】
次に、制御装置200は、ウエハシートW2上の部品W1を装着ヘッド30で直接吸着するか否かを判断する(S20)。すなわち、制御装置200は、ウエハシートW2の部品W1をフェイスアップ供給するか、フェイスダウン供給するかを判断する。装着ヘッド30で直接吸着する場合(S20でYES)は、ステップS22,24をスキップして、ステップS26に進む。
【0054】
一方、ウエハシートW2上の部品W1を装着ヘッド30で直接吸着しない場合(S20でNO)は、制御装置200は、吸着ヘッド100を駆動して、ウエハシートW2上の部品W1を吸着ヘッド100に吸着する(S22)。吸着ヘッド100は複数の吸着ノズル114a,114bを有しているため、吸着ヘッド100には複数の部品W1が吸着される。次いで、制御装置200は、第2ハウジング112を回転させることで、吸着ヘッド100の吸着ノズル114a、114bを吸着位置から受渡し位置に移動させる。また、制御装置200は、テーブル昇降機構110を駆動して、移動テーブル62を下降させる。すなわち、
図2,10から明らかなように、吸着ヘッド100は、移動テーブル62(詳細には、ウエハテーブル88)よりも上方に位置している。このため、吸着ノズル114a,114bの先端が基準面A(
図10に示す)の高さとなるように、移動テーブル62を下降させる。移動テーブル62と吸着ヘッド100は移動機構102を介して接続されているため、移動テーブル62を下降させれば、吸着ヘッド100も下降させることができる。ここで、基準面Aは、装着ヘッド30でウエハシートW2上の部品W1を直接吸着するときのウエハテーブル88の位置(高さ)である。本実施例では、吸着ノズル114a,114bが基準面Aに位置決めされるため、装着ヘッド30が部品W1を吸着する高さは、フェイスアップ供給でもフェイスダウン供給でも変わらないこととなる。このため、装着ヘッド30への部品W1の吸着を容易に行うことができる。
【0055】
次に、制御装置200は、装着ヘッド30に部品W2を吸着する(S26)。すなわち、ウエハシートW2上の部品W1を装着ヘッド30に直接吸着する場合は、ウエハテーブル88上のウエハシートW2から部品W1を吸着する。一方、吸着ヘッド100の吸着ノズル114a,114bから部品W1を吸着する場合は、吸着ヘッド100の吸着ノズル114a,114bから部品W1を吸着する。この際、吸着ヘッド100の吸着ノズル114a,114bの配置と、装着ヘッド30の吸着ノズル32の配置とが対応するため、吸着ヘッド100から装着ヘッド30に複数の部品W1を同時に受け渡すことができる。なお、吸着ヘッド100に設けられた吸着ノズルと、装着ヘッド30に設けられた吸着ノズルとは、その一部が対応し、複数の部品W1が同時に受渡し可能となっていればよい。例えば、吸着ヘッド100の吸着ノズルが2行×2列に配置(すなわち、x方向に2個、y方向に2個並んだ配置)され、装着ヘッド30の吸着ノズルが1行×2列に配置され、吸着ヘッド100から装着ヘッドに2個の部品W1が同時に受渡されるものであってもよい。あるいは、吸着ヘッド100の吸着ノズルが1行×2列に配置され、装着ヘッド30の吸着ノズルが2行×2列に配置され、吸着ヘッド100から装着ヘッドに2個の部品W1が同時に受渡されるものであってもよい。さらには、吸着ヘッド100の吸着ノズルが4行×2列に配置され、装着ヘッド30の吸着ノズルが2行×4列に配置され、吸着ヘッド100から装着ヘッドに4個の部品W1が同時に受渡されるものであってもよい。
【0056】
装着ヘッド30に部品W1が吸着されると、制御装置200は、装着ヘッド30を駆動して、装着ヘッド30に吸着した部品W1を、基板搬送部22a,22b上の基板に装着する。これによって、基板上に部品W1が装着される。
【0057】
以上に説明したように、本実施例の部品装着システム10では、ウエハ搬送部60に対してウエハ補給部160がスライド可能となっているため、実装機20へのアクセスを容易に行うことができる。その一方、ウエハ補給部160のスライドできる範囲を規制することで、ウエハ補給部160が隣接する部品装着システムと干渉することを防止することができる。その結果、オペレータの実装機20へのアクセスエリアを拡大しながら、部品装着システム10が大型化することを抑制することができる。
【0058】
また、本実施例の部品装着システム10では、ウエハテーブル88に載置されたウエハシートW2のθ方向の角度を、予め定められた角度に調整することができる。その結果、装着ヘッド30の移動距離を短くすることができ、生産性の向上を図ることができる。また、ウエハテーブル88をθ軸周りに回転させる機構にRガイド82とクロスガイド80a,80bを用いることで、簡易な機構でウエハテーブル88をθ軸周りに回転させることができる。
【0059】
また、部品W1をフェイスダウン供給する際は、吸着ヘッド100から装着ヘッド30に複数の部品W1を同時に受け渡すことができる。このため、部品W1の受渡し回数を減少することができ、生産性の向上を図ることができる。
【0060】
以上、本実施例について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
【0061】
例えば、吸着ヘッド100の吸着ノズル114a,114bの配置と、装着ヘッド30の吸着ノズル32の配置は、様々な態様を採ることができる。吸着ヘッド100の吸着ノズルの配置が装着ヘッド30の吸着ノズルの配置と完全に一致してもよいし、その一部のみが一致するようにしてもよい。また、吸着ヘッド100の吸着ノズル114a,114bを反転させる機構には、種々の機構を用いることができる。
【0062】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。