特許第6040260号(P6040260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6040260ナットをファスナー孔の背後側に配置する装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040260
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】ナットをファスナー孔の背後側に配置する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/00 20060101AFI20161128BHJP
   F16B 37/04 20060101ALI20161128BHJP
   F16B 35/04 20060101ALI20161128BHJP
   B64D 29/06 20060101ALI20161128BHJP
   B64F 5/00 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   B25B21/00 Z
   F16B37/04 A
   F16B37/04 Z
   F16B35/04 V
   B64D29/06
   B64F5/00 B
【請求項の数】15
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-557658(P2014-557658)
(86)(22)【出願日】2013年1月14日
(65)【公表番号】特表2015-515384(P2015-515384A)
(43)【公表日】2015年5月28日
(86)【国際出願番号】US2013021477
(87)【国際公開番号】WO2013122705
(87)【国際公開日】20130822
【審査請求日】2015年12月17日
(31)【優先権主張番号】13/399,013
(32)【優先日】2012年2月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】スレス, トレヴァー ジー.
(72)【発明者】
【氏名】モット, アンドリュー ピー.
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−334770(JP,A)
【文献】 特開平8−232935(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0169656(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 21/00
B64D 29/06
B64F 5/00
F16B 35/04
F16B 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2ファスナー部材アセンブリの第1ファスナー部材(62)及び第2ファスナー部材を、構造(10)の壁を貫通するファスナー孔(14)に接続する方法であって、前記壁は、前記構造の内部に面する内側面(114)と、前記構造の外部に面する反対側の外側面(116)と、を有し、前記構造は、前記壁を貫通して前記構造内部への前記構造外部からの接近を可能にする接近開口部(118)を有し、前記接近開口部(118)は、前記ファスナー孔(14)から遠く離れて位置し、前記方法は:
フレキシブルコード(82)を、前記ファスナー孔(14)を通って前記構造外部から挿入することであって、前記コード(82)が、近位端(84)及び遠位端(86)が反対側に位置する長さを有し、そして前記コード遠位端(86)を、前記ファスナー孔(14)を通って、前記構造外部から前記構造内部に向かって挿入し、次に1つのコード長構成部分を、前記ファスナー孔(14)を通って、前記構造外部から前記構造内部に向かって挿入して、前記コード遠位端(86)を前記構造内部を通って移動させ、そして次に、前記コード遠位端(86)を前記接近開口部(118)を通って前記構造外部に移動させ、前記ファスナー孔(14)を通って挿入される前記コード長構成部分が、前記接近開口部(118)から前記構造内部を通って、前記壁内側面(114)の前記ファスナー孔(14)まで延在する、前記挿入することと、
前記第1ファスナー部材(62)をファスナー部材ホルダ(20)に取り付け、そして次に、前記ファスナー部材ホルダ(20)を前記コード(82)に取り付けることと、
前記ファスナー部材ホルダ(20)及び前記第1ファスナー部材(62)を、前記接近開口部(118)を通って移動させ、そして次に、前記コード(82)により案内される前記構造内部を通って前記接近開口部(118)から、前記構造壁の前記内側面(114)の前記ファスナー孔(14)まで移動させることと、
前記ファスナー部材ホルダ(20)を前記構造壁の前記内側面(114)に、前記第1ファスナー部材(62)を前記ファスナー孔(14)に位置合わせした状態で保持することと、
前記第2ファスナー部材を前記第1ファスナー部材(62)に、前記構造外部から接続することであって、接続された前記第1及び第2ファスナー部材のアセンブリが、前記ファスナー孔(14)を貫通して延在する、前記接続することと、
前記ファスナー部材ホルダ(20)を前記構造内部から取り外すことと、
を含む、方法。
【請求項2】
更に:
前記ファスナー部材ホルダ(20)及び前記第1ファスナー部材(62)を、前記構造内部を通って前記ファスナー孔(14)まで、前記ファスナー部材ホルダ(20)及び前記第1ファスナー部材(62)を、前記接近開口部(118)から前記構造内部を通って前記ファスナー孔(14)まで延在する前記コード長構成部分に沿って摺動させることにより移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
更に:
前記ファスナー部材ホルダ(20)の少なくとも1つの構成部分を磁性材料により形成することと、
前記ファスナー部材ホルダ(20)を前記構造壁の前記内側面(114)に、磁力発生源を前記構造壁内側面(114)にある前記ファスナー部材ホルダ(20)とは反対側の前記構造壁外側面(116)に配置することにより外部から保持することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
更に:
ネジ切りナットを前記第1ファスナー部材(62)として使用し、そしてネジ切りボルト(124)を前記第2ファスナー部材として使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
更に:
前記コード遠位端(86)を前記ファスナー孔(14)から前記構造内部を通って、そして前記接近開口部(118)を通って、重力を前記コード遠位端(86)に作用させることにより移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
更に:
磁性材料を前記コード遠位端(86)に設け、そして前記コード遠位端(86)を、前記コード遠位端(86)を吸引する磁力により、前記ファスナー開口部から前記構造内部を通って前記接近開口部(118)まで移動させ、そして前記接近開口部(118)を通って移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
更に:
前記第2ファスナー部材を前記第1ファスナー部材(62)に対して回転させて、前記第1及び第2ファスナー部材を接続することと、
前記ファスナー部材ホルダ(20)に外部構造を設けることと、を含み、前記外部構造は、前記構造内部の隣接物体に係合して、前記第2ファスナー部材を回転させると、前記ファスナー部材ホルダ(20)が前記構造壁内側面(114)上で回転するのを防止する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
更に:
前記ファスナー部材ホルダ(20)に内バネ(24)を設けることを含み、前記内バネ(24)によって、前記第1ファスナー部材ホルダ(20)が保持する前記第1ファスナー部材(62)を前記第1ファスナー部材ホルダ(20)内で、前記第2ファスナー部材を前記第1ファスナー部材(62)にねじ込むことにより、前記構造壁内側面(114)に押圧保持されている前記ファスナー部材ホルダ(20)を分離させることなく移動させることができる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
更に:
前記ファスナー部材ホルダ(20)及び前記第1ファスナー部材(62)を、前記接近開口部(118)を通って、そして次に、前記コード(82)によって案内される前記構造内部を通って、前記接近開口部(118)から前記構造壁内側面の前記ファスナー孔(14)まで、ストッパー(110)を前記ファスナー部材ホルダ(20)と前記コード遠位端(86)との間の前記コード(82)上に位置決めし、そして前記コード(82)を前記接近開口部(118)から前記構造内部を通って、そして前記ファスナー孔(14)を通って前記構造外部まで移動させることにより移動させることを含み、前記ストッパー(110)は、前記ファスナー部材ホルダ(20)に係合し、そして前記ファスナー部材ホルダ(20)を前記構造壁内側面の前記ファスナー孔(14)まで移動させる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第1及び第2ファスナー部材アセンブリの第1ファスナー部材(62)を、構造(10)の内部に、かつ前記構造(10)の壁を貫通するファスナー孔(14)に位置決めする装置であって、前記壁は、前記構造(10)の内部に面する内側面(114)と、前記構造(10)の外部に面する反対側の外側面(116)と、を有し、前記壁は、前記構造外部からの前記構造内部への接近を可能にする接近開口部(118)を有し、前記接近開口部(118)は前記ファスナー孔(14)から遠く離れて位置し、前記装置は:
近位端(84)及び遠位端(86)が反対側に位置する長さを有するフレキシブルコード(82)であって、前記コード長部分及び前記コード遠位端(86)が、前記コード遠位端(86)が、前記ファスナー孔(14)を通って前記構造外部から挿通し、そして次に、前記構造内部を通って、そして前記接近開口部(118)を通って前記構造外部まで挿通するように寸法設定され、1つのコード長構成部分が、前記構造内部を通って前記接近開口部(118)から前記構造壁内側面(114)の前記ファスナー孔(14)まで延在し、そして前記コード長構成部分が、前記接近開口部(118)から前記構造内部を通って、前記構造壁内側面(114)の前記ファスナー孔(14)まで延びるコード通路を画定する、前記フレキシブルコード(82)と、
前記第1ファスナー部材(62)を保持するよう前記ファスナー部材アセンブリの前記第1ファスナー部材(62)に取り付けることができるファスナー部材ホルダ(20)と、を備え、前記ファスナー部材ホルダ(20)は、前記コード(82)に取り付けることができ、かつ前記接近開口部(118)を通って前記構造外部から前記構造内部まで挿通するように寸法設定され、そして前記ファスナー部材ホルダ(20)は、前記構造内部を通って前記コード通路に沿って、前記接近開口部(118)から前記構造壁内側面(114)の前記ファスナー孔(14)まで移動するように寸法設定され、前記ファスナーアセンブリの前記第2ファスナー部材を前記第1ファスナー部材(62)に前記構造外部から組み付けることができ、組み付け後の前記ファスナーアセンブリは前記ファスナー孔(14)を通って挿通する、装置。
【請求項11】
更に:
磁性材料により形成される前記ファスナー部材ホルダ(20)の少なくとも1つの構成部分と、
前記構造外側面及び前記ファスナー孔(14)に隣接して位置決めすることができ、かつ前記ファスナー部材ホルダ(20)を前記ファスナー孔(14)に隣接する前記構造内側面(114)に吸引することになる磁力発生源と、を備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
更に:
前記第1ファスナー部材(62)が前記第1ファスナー部材(62)の軸線に沿って前記ホルダ(20)に対して移動することができる状態を保ちながら、前記第1ファスナー部材(62)を、前記ホルダ(20)に対して前記軸線の回りに回転しないように保持するよう、前記第1ファスナー部材(62)に取り付けることができる前記ファスナー部材ホルダ(20)を備える、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
更に:
内部ボアを有する前記ファスナー部材ホルダ(20)であって、前記内部ボアが、前記第1ファスナー部材(62)を収容して、前記ファスナー部材ホルダ(20)を前記第1ファスナー部材(62)に取り付けるように寸法設定され、前記第1ファスナー部材(62)が、前記第1ファスナー部材(62)内を貫通するボアを有する、前記ファスナー部材ホルダ(20)と、
前記ファスナー部材ホルダ(20)を前記第1ファスナー部材(62)に取り付け、そして前記ファスナー部材ホルダ(20)を前記コード(82)に取り付ける場合に、前記第1ファスナー部材ボアを貫通し、かつ前記ファスナー部材ホルダ内部ボアを貫通して延在する前記コード(82)と、
を備える、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
更に:
前記ファスナー部材ホルダ(20)に対して相互に直交する軸線方向及び半径方向を定義する中心軸線(32)を有する内部ボア(34)を有する前記ファスナー部材ホルダ(20)を備え、前記ファスナー部材ホルダ(20)の内部ボア(34)は、前記第1ファスナー部材(62)を、前記第1ファスナー部材軸線が前記ファスナー部材ホルダ(20)の内部ボア(34)の中心軸線(32)と同軸となるように収容し、前記ファスナー部材ホルダ(20)は、前記ファスナー部材ホルダ(20)の内部ボア(34)を取り囲む外側面を有し、そして前記ファスナー部材ホルダ(20)は、前記ファスナー部材ホルダ(20)の外側面から半径方向外側に突出するトルクアーム(46)を有する、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
更に:
前記コード遠位端(86)をチューブアセンブリの端部に収容するように、そして前記ファスナー部材ホルダ(20)に係合し、前記ファスナー部材ホルダ(20)を、前記接近開口部(118)から前記ファスナー孔(14)まで延在する前記コード(82)に沿って押し進めるよう前記コード(82)上を摺動するように、寸法設定される前記チューブアセンブリを備える、請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2部材型ファスナーアセンブリの第1部材、例えばナット及びポルトファスナーアセンブリのナットを、構造壁のファスナー孔の背後側に配置するために使用される装置、及び当該装置の使用方法に関するものであり、壁の背後側のファスナー孔には手を近付けることができない、または容易に手を近付けることができない。従って、当該装置はナットを、ファスナー孔に位置合わせした状態で保持して、ファスナーアセンブリのボルトを次に、ファスナー孔を通って構造の外部から挿入し、そして構造の内部のナットに接続することができる。
【背景技術】
【0002】
大型組立構造物、例えば航空機ジェットエンジンのハウジング構造では、2部材型ファスナーアセンブリ、例えばナット及びポルトアセンブリが構造物のファスナー孔から抜け落ちると、当該2部材型ファスナーアセンブリを同様の2部材型ファスナーに取り替えることが非常に難しい場合が多い。ファスナーアセンブリが抜け落ちたファスナー孔には、多くの場合、構造の外部から容易に接近することができる。しかしながら、2部材型ファスナーアセンブリをファスナー孔に組み付けるためには、ファスナー孔に構造の内部から接近する必要もある。この作業は、ファスナー孔に構造の内部から接近するために構造物を大規模に解体しないと不可能である。
【0003】
ファスナー孔に構造の内部から接近するために構造物を大規模に解体する必要を伴うことなく接近するという問題を解決するために、ロボットクローラを開発することができる。このようなロボットクローラは、当該クローラが壁内側面に沿って移動してファスナー部材、例えばクローラによってファスナー孔に位置合わせされた状態で保持されるナットを位置決めするときに、構造物の壁の内側面に強くしがみつく能力を有する。一旦、ナットがロボットクローラによってファスナー孔に位置合わせされた状態で位置決めされてしまうと、ボルトを、ファスナー孔を通って挿入し、そしてナットにねじ込んで、ファスナー孔から抜け落ちたファスナーアセンブリを取り替えることができる。
【0004】
しかしながら、このようなはロボットクローラは、これらのロボットクローラを製造するためにコストが高く付くという点で不利である。更に、ロボットクローラのサイズによって、当該ロボットクローラによるジェットエンジンハウジング構造のような組立構造の内部の領域への接近が制限される可能性がある。更には、ファスナー部材を、ジェットエンジンハウジング構造のような構造物のファスナー孔に位置合わせした状態で位置決めするロボットクローラの操作は、熟練作業者を当該クローラ用に必要とする。
【発明の概要】
【0005】
ジェットエンジンハウジング構造のような組立構造のファスナー孔の緩んだファスナーアセンブリ、または脱落したファスナーアセンブリを取り替えることに関連する問題は、本発明の装置及び当該装置の使用方法により解決される。
【0006】
前記装置は、近位端及び遠位端が反対側に位置する長さを有するフレキシブルコードを含む。前記コードの長さは、前記ファスナー孔から構造内部を通って、前記構造の接近開口部に到達するために十分な長さよりも長い。前記コード長部分、及び少なくとも前記コード遠位端は、前記ファスナー孔を通って構造外部から挿入することができるように寸法設定される。前記装置を使用する前記方法では、前記コード遠位端を、前記ファスナー孔を通って前記構造外部から挿入し、そして次に、1つのコード長構成部分を、前記ファスナー孔を通って挿入する。前記コード長構成部分を、前記ファスナー孔を通って挿入すると、前記コード遠位端は、前記構造内部を通って前記構造の前記接近開口部に向かって移動する。前記コード遠位端は、前記構造内部を重力によって移動することができるか、または前記コード遠位端は、金属材料により形成することができ、そして磁力発生源を使用して、前記コード遠位端を前記接近開口部に向かって移動させることができる。前記コードを、前記ファスナー孔を通って前記構造外部から挿通し続け、そして次に、前記コード遠位端が前記接近開口部を通って前記構造外部に挿通するまで、前記構造内部を通って挿通し続ける。
【0007】
前記装置は更に、ファスナー部材、例えば前記ナット及びボルトファスナーアセンブリのナットを収容し、そして保持することができるファスナー部材ホルダを含む。前記ホルダは前記ナットを、前記ホルダに対して前記ナットの中心軸線の回りに回転しないように保持し、かつ前記ホルダに対する前記ナットの軸線方向移動を相当程度制限することができる。前記ホルダは、前記ホルダを完全に貫通して延在し、かつ前記ホルダの中心に位置するボアを有する。前記ホルダは前記コードに、前記コード遠位端を、前記ホルダが保持する前記ナットに挿入し、そして前記ホルダボアに挿入することにより取り付けられる。これにより、前記ホルダ、及び前記ホルダが保持する前記ファスナー部材を取り付けて、前記コード長部分上を摺動させることができる。前記ホルダは、前記構造の入口開口部を通って挿通し、そして前記構造内部を通って前記ファスナー孔まで挿通するように寸法設定される。
【0008】
前記装置は更に、前方チューブ構成部を有するチューブアセンブリを含み、前記前方チューブ構成部は、前記コード遠位端、及び1つのコード長構成部分を、前記チューブ構成部内に収容するように寸法設定される。前記チューブ構成部を、前記コード長部分上を押し進めて前記ホルダに係合させることにより、前記ホルダを、前記コード長部分上を、前記ファスナー孔に向かって推し進める。
【0009】
前記装置は更に、前記ファスナー部材ホルダを、前記構造壁の内側面に対して、前記構造の外部から押圧保持することができる永久磁石、または電磁石、或いは他の或る吸着装置を含む。前記ホルダで前記ナットを前記ファスナー孔に位置合わせして位置決めすると、前記ホルダ及び前記ナットは、これらのホルダ及びナットの所定の位置で、前記構造壁の内側面に、前記構造の外部の前記磁石によって押圧保持される。前記ナットが当該ナットの所定の位置で、前記構造壁内側面に前記磁石によって押圧保持されると、前記チューブアセンブリ及び前記コードを前記構造から取り外すことができる。次に、前記2部材型ファスナーアセンブリのボルトを、前記ファスナー孔を通って前記構造の外部から挿入し、そして前記構造の内部の前記ナットにねじ込むことができる。
【0010】
前記ボルトが前記ナットにねじ込まれると、前記ボルトに作用する回転力によって、前記ナット及び前記ファスナー部材ホルダが、前記構造壁内側面上で回転し易くなる。この問題を解決するために、前記ファスナー部材ホルダに、前記ホルダから半径方向に突出するトルクアームを設ける。前記ナット及び前記ホルダが、前記構造の内部で回転すると、前記トルクアームが最終的に、前記構造内部の物体、例えば前記構造の一部、または前記構造壁の別のファスナーに接触するようになる。前記トルクアームがこの物体に係合すると、前記ホルダ、及び前記ホルダが保持する前記ナットが更に回転するのを防止することができる。これにより、前記ボルトを下方に向かって、前記ホルダが保持する前記ナットにねじ込むことができ、そして前記ボルト及びナットファスナーアセンブリを前記構造の外部から組み付ける作業を完了させることができる。
【0011】
次に、前記磁石を前記構造の内部から取り外して、前記ホルダを前記構造の内部の前記ナットから取り外すことができるようにする。次に、前記ホルダを前記構造の内部から取り外す。
【0012】
本発明の1つの態様によれば、第1及び第2ファスナー部材アセンブリの第1ファスナー部材及び第2ファスナー部材を、構造の壁を貫通するファスナー孔に接続する方法が提供され、前記壁は、前記構造の内部に面する内側面と、前記構造の外部に面する反対側の外側面と、を有し、前記構造は、前記壁を貫通して前記構造内部への前記構造外部からの接近を可能にする接近開口部を有し、前記接近開口部は、前記ファスナー孔から遠く離れて位置する。前記方法は、フレキシブルコードを、前記ファスナー孔を通って前記構造外部から挿入することであって、前記コードが、近位端及び遠位端が反対側に位置する長さを有し、そして前記コード遠位端を、前記ファスナー孔を通って、前記構造外部から前記構造内部に向かって挿入し、次に1つのコード長構成部分を、前記ファスナー孔を通って、前記構造外部から前記構造内部に向かって挿入して、前記コード遠位端を前記構造内部を通って移動させ、そして次に、前記コード遠位端を前記接近開口部を通って前記構造外部に移動させ、前記ファスナー孔を通って挿入される前記コード長構成部分が、前記接近開口部から前記構造内部を通って、前記壁内側面の前記ファスナー孔まで延在する、前記挿入することと、前記第1ファスナー部材をファスナー部材ホルダに取り付け、そして次に、前記ファスナー部材ホルダを前記コードに取り付けることと、前記ファスナー部材ホルダ及び前記第1ファスナー部材を、前記接近開口部を通って移動させ、そして次に、前記コードにより案内される前記構造内部を通って取前記接近開口部から、前記構造壁の前記内側面の前記ファスナー孔まで移動させることと、前記ファスナー部材ホルダを前記構造壁の前記内側面に、前記第1ファスナー部材を前記ファスナー孔に位置合わせした状態で保持することと、前記第2ファスナー部材を前記第1ファスナー部材に、前記構造外部から接続することであって、接続された前記第1及び第2ファスナー部材アセンブリが、前記ファスナー孔を貫通して延在する、前記接続することと、前記ファスナー部材ホルダを前記構造内部から取り外すことと、を含む。
【0013】
有利な点として、前記方法は更に、前記ファスナー部材ホルダ及び前記第1ファスナー部材を、前記構造内部を通って前記ファスナー孔まで、前記ファスナー部材ホルダ及び前記第1ファスナー部材を、前記接近開口部から前記構造内部を通って前記ファスナー孔まで延在する前記コード長構成部分に沿って摺動させることにより移動させることを含む。有利な点として、前記方法は更に、前記ファスナー部材ホルダの少なくとも1つの構成部分を磁性材料により形成することと、前記ファスナー部材ホルダを前記構造壁の前記内側面に、磁力発生源を前記構造壁内側面にある前記ファスナー部材ホルダとは反対側の前記構造壁外側面に配置することにより外部から保持することと、を含む。有利な点として、前記方法は更に、ネジ切りナットを前記第1ファスナー部材として使用し、そしてネジ切りボルトを前記第2ファスナー部材として使用することを含む。有利な点として、前記方法は更に、前記コード遠位端を前記ファスナー孔から前記構造内部を通って、そして前記接近開口部を通って、重力を前記コード遠位端に作用させることにより移動させることを含む。有利な点として、前記方法は更に、磁性材料を前記コード遠位端に設け、そして前記コード遠位端を、前記コードの遠位端を吸引する磁力により、前記ファスナー開口部から前記構造内部を通って前記接近開口部まで移動させ、そして前記接近開口部を通って移動させることを含む。有利な点として、前記方法は更に、前記第2ファスナー部材を前記第1ファスナー部材に対して回転させて、前記第1及び第2ファスナー部材を接続することと、前記ファスナー部材ホルダに外部構造を設けることであって、前記外部構造が、前記構造内部の隣接物体に係合して、前記第2ファスナー部材が回転すると、前記ファスナー部材ホルダが前記構造壁内側面上で回転するのを防止する、前記設けることと、を含む。有利な点として、前記方法は更に、前記ファスナー部材ホルダに内バネを設けることを含み、前記内バネによって、前記ファスナー部材ホルダが保持する前記第1ファスナー部材を前記第1ファスナー部材ホルダ内で、前記第2ファスナー部材を前記第1ファスナー部材にねじ込むことにより、前記構造壁内側面に押圧保持されている前記第1ファスナー部材ホルダを分離させることなく移動させることができる。
【0014】
好適には、前記方法は更に、前記ファスナー部材ホルダ、及び前記ファスナー部材ホルダが保持する前記第1ファスナー部材を、前記コード長構成部分に沿って摺動させることを含み、チューブアセンブリを、前記コード遠位端上に位置決めし、そして前記コード上を移動させて前記ファスナー部材ホルダに係合させ、そして前記ファスナー部材ホルダを前記コード長構成部分に沿って前記構造壁内側面の前記ファスナー孔まで押し進める。
【0015】
有利な点として、前記方法は更に、前記ファスナー部材ホルダ及び前記第1ファスナー部材を、前記接近開口部を通って、そして次に、前記コードによって案内される前記構造内部を通って、前記接近開口部から前記構造壁内側面の前記ファスナー孔まで、ストッパーを前記ファスナー部材ホルダと前記コード遠位端との間の前記コード上に位置決めし、そして前記コードを前記接近開口部から前記構造内部を通って、そして前記ファスナー孔を通って前記構造外部まで移動させることにより移動させることを含み、前記ストッパーは、前記ファスナー部材ホルダに係合し、そして前記ファスナー部材ホルダを前記構造壁内側面の前記ファスナー孔まで移動させる。
【0016】
本発明の別の態様によれば、第1及び第2ファスナー部材アセンブリの第1ファスナー部材を、構造の内部に、かつ前記構造の壁を貫通するファスナー孔に位置決めする装置が更に提供され、前記壁は、前記構造の内部に面する内側面と、前記構造の外部に面する反対側の外側面と、を有し、前記壁は、前記構造外部からの前記構造内部への接近を可能にする接近開口部を有し、前記接近開口部は前記ファスナー孔から離れて位置している。前記装置は、近位端及び遠位端が反対側に位置する長さを有するフレキシブルコードであって、前記コード長部分及び前記コード遠位端が、前記コード遠位端を、前記ファスナー孔を通って前記構造外部から挿通させ、そして次に、前記構造内部を通って、そして前記接近開口部を通って前記構造外部に挿通させるように寸法設定され、1つのコード長構成部分が、前記構造内部を通って前記接近開口部から前記構造壁内側面の前記ファスナー孔まで延在し、そして前記コード長構成部分が、前記接近開口部から前記構造内部を通って、前記構造壁内側面の前記ファスナー孔まで延びるコード通路を画定する、前記フレキシブルコードと、前記第1ファスナー部材を保持するよう、前記ファスナー部材アセンブリの前記第1ファスナー部材に取り付けることができるファスナー部材ホルダと、を備え、前記ファスナー部材ホルダは、前記コードに取り付けることができ、かつ前記構造接近開口部を通って前記構造外部から前記構造内部まで挿通するように寸法設定され、そして前記ファスナー部材ホルダは、前記構造内部を通って前記コード通路に沿って、前記接近開口部から前記構造壁内側面の前記ファスナー孔まで移動するように寸法設定され、前記ファスナーアセンブリの前記第2ファスナー部材を前記第1ファスナー部材に前記構造外部から組み付けることができ、組み付け後の前記ファスナーアセンブリは前記ファスナー孔を通って挿通する。
【0017】
有利な点として、前記装置は更に、磁性材料により形成される前記ファスナー部材ホルダの少なくとも1つの構成部分と、前記構造外側面及び前記ファスナー孔に隣接して位置決めすることができ、かつ前記ファスナー部材ホルダを前記ファスナー孔に隣接する前記構造内側面に吸引することになる磁力発生源と、を含む。有利な点として、前記装置は更に、前記第1ファスナー部材が前記第1ファスナー部材の軸線に沿って前記ホルダに対して移動することができる状態を保ちながら、前記第1ファスナー部材を、前記ホルダに対して前記軸線の回りに回転しないように保持するよう、前記第1ファスナー部材(62)に取り付けることができる前記ファスナー部材ホルダを含む。有利な点として、前記装置は更に、前記第1ファスナー部材を収容して、前記ファスナー部材ホルダを前記第1ファスナー部材に取り付けるように寸法設定される内部ボアを有する前記ファスナー部材ホルダと、前記ファスナー部材ホルダを前記コードに取り付ける場合に、前記ファスナー部材ホルダ内部ボアを貫通して延在する前記コードと、を含む。好適には、前記装置は更に、前記第1ファスナー部材内を貫通するボアを有する前記第1ファスナー部材と、前記ファスナー部材ホルダを前記第1ファスナー部材に取り付け、そして前記ファスナー部材ホルダを前記コードに取り付ける場合に、前記第1ファスナー部材ボアを貫通し、かつ前記ファスナー部材ホルダ内部ボアを貫通して延在する前記コードと、を含む。有利な点として、前記装置は更に、前記ファスナー部材ホルダに対して相互に直交する軸線方向及び半径方向を定義する中心軸線を有する内部ボアを有する前記ファスナー部材ホルダを含み、前記ファスナー部材ホルダ内部ボアは、前記第1ファスナー部材を、前記第1ファスナー部材軸線が前記ファスナー部材ホルダ内部ボアの中心軸線と同軸となるように収容し、前記ファスナー部材ホルダは、前記ファスナー部材ホルダ内部ボアを取り囲む外側面を有し、そして前記ファスナー部材ホルダは、前記ファスナー部材ホルダ外側面から半径方向外側に突出するトルクアームを有する。有利な点として、前記装置は更に、前記コード遠位端をチューブアセンブリの端部に収容するように、そして前記ファスナー部材ホルダに係合し、前記ファスナー部材ホルダを、前記接近開口部から前記ファスナー孔まで延在する前記コードに沿って押し進めるよう前記コード上を摺動するように、寸法設定されるチューブアセンブリを含む。
【0018】
本発明の更に別の態様によれば、第1及び第2ファスナー部材アセンブリの第1ファスナー部材を、構造の壁を貫通するファスナー孔に位置決めする装置が更に提供され、前記壁は、前記構造の内部に面する内側面と、前記構造の外部に面する反対側の外側面と、を有し、前記壁は、前記ファスナー孔から遠く離れて位置する接近開口部を有する。前記装置は、近位端及び遠位端が反対側に位置するフレキシブル長さを有するコードであって、前記コードが、前記コード遠位端を、前記ファスナー孔を通って前記構造外部から前記構造内部まで挿通させ、そして次に、1つのコード長構成部分を、前記ファスナー孔を通って前記構造外部から前記構造内部まで、前記コード遠位端が、前記構造内部を通って、そして前記接近開口部を通って前記構造外部に挿通するまで挿通させるように寸法設定され、前記コード長部分が、前記構造外部の前記コード近位端から、前記ファスナー孔を通って、前記構造内部を通って、そして次に、前記接近開口部を通って前記構造外部の前記コード遠位端まで延在する、前記コードと、前記第1ファスナー部材をファスナー部材ホルダに保持するよう、前記ファスナー部材アセンブリの前記第1ファスナー部材に着脱可能に取り付けることができるファスナー部材ホルダであって、該ファスナー部材ホルダが、前記接近開口部を通って挿通するように寸法設定され、前記ファスナー部材ホルダを前記コードに、前記構造外部に位置する前記コード遠位端に隣接して着脱可能に取り付けることができ、そして前記ファスナー部材ホルダが、前記接近開口部を通って、そして前記コードに案内される前記構造内部を通って、前記構造壁内側面の前記ファスナー孔に向かって移動することができることにより、前記ファスナー部材ホルダ、及び前記ファスナー部材ホルダに着脱可能に取り付けられる前記第1ファスナー部材を前記ファスナー孔に位置する前記構造壁内側面に押圧して位置決めすることができ、前記ファスナーアセンブリの前記第2ファスナー部材を前記第1ファスナー部材に、前記構造外部から組み付けることができ、前記ファスナーアセンブリの組み付け後の前記第1及び第2部材が、前記ファスナー孔を通って挿通する、前記ファスナー部材ホルダと、前記ファスナー部材ホルダを前記構造壁内側面に押圧保持する保持装置と、を含む。
【0019】
有利な点として、前記装置は更に、前記コード遠位端をチューブアセンブリの端部に収容するように、そして前記ファスナー部材ホルダに係合し、前記ファスナー部材ホルダを、前記接近開口部から前記構造壁内側面の前記ファスナー孔まで延在する前記コードに沿って押し進めるよう前記コード上を摺動するように、寸法設定されるチューブアセンブリを含む。
【0020】
有利な点として、前記装置は更に、磁性材料により形成される前記ファスナー部材ホルダの少なくとも1つの構成部分を含み、そして前記ファスナー部材ホルダを前記構造壁内側面に押圧保持する前記保持装置は外部磁力発生源である。
【0021】
これまで説明してきた本発明の装置、及び当該装置の使用方法の特徴、機能、及び利点は、種々の実施形態において個別に実現することができる、または更に他の実施形態において組み合わせることができ、これらの実施形態の更なる詳細は、次の説明、及び以下の図面を参照することにより理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、ジェットエンジンカウリングまたはハウジング構造の前方部分図であり、本発明の装置及び方法の1種類のみの作業環境を示している。
図2図2は、装置の有利な実施形態の部分立断面図である。
図3図3は、図2の装置の分解後の構成部品の平面図である。
図4図4は、使用状態の装置の1つの実施形態の模式図である。
図5図5は、図4の模式図と同様の模式図であり、使用状態の装置の別の実施形態を示している。
図6図6は、使用状態の装置の更に別の実施形態の模式図である。
図7図7は、2部材型ファスナーの一方の部品をファスナー孔の内部に配置する必要がある状態の作業を表わしている。
図8図8は、装置を使用する方法の最初の工程を表わしている。
図9図9は、装置を使用する方法の更に別の工程を表わしている。
図10図10は、装置を使用する方法の別の工程を表わしている。
図11図11は、装置の一部の部分拡大図である。
図12図12は、装置を使用する方法の別の工程を表わしており、この工程では、コードを引き抜く。
図13図13は、方法の更に別の工程における装置を示す断面図である。
図14図14は、装置を使用する方法の別の工程を表わしている。
図15図15は、装置を使用する方法の更に別の工程における装置を示す断面図である。
図16図16は、装置を使用する方法の更に別の工程における装置を示す断面図である。
図17図17は、装置を使用する方法の更に別の工程における装置を示す断面図である。
図18図18は、装置を使用する方法の更に別の工程における装置を示す断面図である。
図19図19は、装置を使用する方法の別の工程を表わしている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の装置は、本発明の方法に従って使用され、当該方法では、2部材型ファスナーアセンブリの第1ファスナー部材、例えばナット及びボルトファスナーアセンブリのナットを、ファスナー孔に構造内部において、手を接近させることができない、またはファスナー孔に手を容易に接近させることができない構造壁の内部のファスナー孔の背後側に配置する。図1は、装置の作業環境、及び当該装置の使用方法の1つの例を示している。図1は、ジェットエンジンカウリング構造10の前方部分を示している。当該構造の幾つかの構成部または壁は、ファスナーアセンブリ群12により一括保持されている。仮に、ファスナーアセンブリ群12のうちの1つのファスナーアセンブリが、構造10の壁の当該ファスナーアセンブリのファスナー孔14の中で緩むか、またはファスナー孔14から抜け落ちたとすると、不可能ではないにしても、2部材型ファスナーアセンブリ12を構造10の外部から手作業で取り替えることは非常に難しい。図1に示す構造のような構造10は多くの場合、構造の内部に通じる接近開口部を有するが、開口ファスナー孔14が接近開口部から遠く離れている場合、不可能ではないにしても、開口ファスナー孔14に接近開口部から手を届かすことは難しい。図1は、当該装置、及び当該装置の使用方法を用いることができる1種類のみの作業環境の例を示している。当該装置、及び当該装置の使用方法は、ファスナー孔を含む構造壁の背後側のファスナー孔に手を届かすことが難しい多くの他の環境において用いることもできる。当該装置、及び当該装置の使用方法は、図示のファスナーアセンブリ以外の多くの種類のファスナーアセンブリに用いることもできる。
【0024】
本発明の装置及び方法は、開口ファスナー孔14に構造10の接近開口部を通って手を届かす際の上記問題を解決するために開発されたのであり、この場合、開口ファスナー孔14は接近開口部から遠く離れており、かつ開口ファスナー孔14に、接近開口部から手を届かすことができない。図2及び3は、当該装置の有利な実施形態の構成部品群のうちの幾つかの構成部品を示している。図2及び3に示す当該装置の構成部品群は、ファスナー部材ホルダ20と、ボックスレンチインサート22と、バネ24と、ベース26と、そしてホイールアセンブリ28と、を含む。
【0025】
ファスナー部材ホルダ20は、非磁性材料、例えばプラスチックにより形成される。他の同等の材料を使用することができる。これらの描画図に示す実施形態では、ホルダ20は、当該ホルダの円筒外側面30により画定される略円筒形状を有する。円筒外側面30は操作中心線32を有し、この操作中心線32は、ホルダ20に対して相互に直交する軸線方向及び半径方向を定義する。中心ボア34は、ホルダ20内を通って、当該ホルダの前方円形端面36から当該ホルダの後方円形端面38に延在する。ボア34は、ホルダ中心軸線32と同軸になっている。当該ボアの前方部分は、六角形状の断面を有するボアの内側面42により画定される。ボア34の後方部分は、円形形状の断面を有する内側面44により画定される。ホルダ20は更に、ホルダ円筒外側面30から外側半径方向に突出するトルクアーム46を有する。図2に示す装置の実施形態では、トルクアーム46は、ホルダ後方端面38に平行であり、かつホルダ後方端面38から突出する。他の実施形態では、ホルダ20には、ランヤードを取り付けることができ、このランヤードは、当該ホルダを構造内部から取り外すために用いることができる。
【0026】
ボックスレンチインサート22は、非磁性材料または低透磁性材料、例えばチタンにより形成される。他の同等の材料を使用することができる。ボックスレンチインサート22は、六角形状の断面を有する外側面48を有する。この外側面48は、ホルダボア前方部42の六角形内側面に押圧摺動係合して嵌入するように寸法設定される。インサート22は、ホルダボア前方部42内を軸線方向に自由に移動することができるが、ホルダ20に対して回転しないようにボア前方部42の六角形内側面によって拘束される。当該インサートがホルダ内で回転しないように当該インサートを拘束しながらホルダボア内の当該インサートの摺動を可能にするホルダボア内側面及びインサート外側面の他の形状を用いることができる。ボックスレンチインサート22は、内側面52により画定され、かつ当該インサート内を、当該インサートの前面54から当該インサートの後面56に延在する内部ボアを有する。インサート内側面52は、2部材型ファスナーアセンブリの第1ファスナー部材62、例えばナット及びボルトファスナーアセンブリのナットの六角形外側面58を収容するように寸法設定される六角形断面形状を有する。当該装置の他の実施形態では、インサート22には、内部ボアを設けることができ、当該内部ボアは、他の種類のファスナー、例えばナット及びボルトファスナーアセンブリの中空ボルト、またはナット及びスクリューファスナーアセンブリの中空スクリューに係合し、かつ中空ボルトまたは中空スクリューを保持するように構成される内側面を有する。当該装置を使用して、3部材型ファスナーアセンブリ、例えばナット、ボルト、及びワッシャーを開放ファスナー孔に組み付けることができる。
【0027】
バネ24は、従来のコイルバネである。バネ24は、ボックスレンチインサート22とホルダ内部ボアの後方部表面44との間のホルダ内部ボアの前方部表面42内に収容される。図2に示す当該バネの位置では、当該バネは、未圧縮状態である。外力がインサート22に作用して当該インサートをホルダ後方端面38に向かって押し付けようとすると、バネ24がボックスレンチインサート22を軽く付勢して、または押し付けて、ホルダボア前方部表面42に沿って、ホルダ前方端面36に向かって押圧する。他の同等の種類の付勢装置をバネ24の代わりに用いることができる。
【0028】
ベース26は、円筒外側面64及び円筒内側面66により画定される円環形状を有する。ベース26は、磁性材料、例えば軟磁性鉄により形成される。他の同等の材料を使用することができる。ベース外側面64は、ホルダ外側面30の外径寸法に一致する外径寸法を有する。ベース内側面66は、ホルダボア前方部表面42の断面寸法よりも僅かに小さく、かつファスナー部材62の最大外径以上の外径寸法を有する。ベース26は、ハウジング前方端面36に、一対のスクリューねじ込み式ファスナー68によって取り付けられる。ベース内側面66の寸法によって、ボックスレンチインサート22をホルダボア前方部表面42の内部に保持する。ベース内側面66には、摩擦ゴム製インサート60が取り付けられる。当該インサートは、ファスナー部材62をファスナー部材ホルダ20内に、当該ファスナー部材62が早期に脱落することがないように小さな摩擦拘束力で保持するために設けられる。インサート60は、O−リング、ボール、及び戻り止め、または任意の他の同等の保持形状部とすることができる。
【0029】
ホイールアセンブリ28は、ホルダトルクアーム46の遠位端で回転するために取り付けられる。図2及び3に示す装置の実施形態では、ホイールアセンブリ28は、外側把持面72を有し、この外側把持面72は、ベアリングアセンブリの回転操作中心線74に対して傾斜している。図5及び6に図示される実施形態のような当該装置の他の実施形態では、ホイールアセンブリ28は、ベアリングアセンブリ回転軸に平行な把持面を有することができる、または当該ホイールアセンブリは、トルクアームから取り除くことができる。更には、当該装置の他の実施形態では、トルクアームは、当該ホルダから半径方向外側に、ホルダ前方端面36とホルダ後方端面38との間の当該ホルダに沿った或る他の位置から突出することができる。例えば、トルクアームは、図6に図示されるように、ホルダ前方端面36に隣接するホルダ外側面から半径方向外側に突出することができる。
【0030】
当該装置のファスナー部材ホルダ20の他に、当該装置はフレキシブルコード(flexible cord)82を含み、このフレキシブルコード82は、当該コードの反対側の近位端84と遠位端86との間に延びる長さを有する。コード82は、非磁性材料により形成される。コード82は、磁石ではなく、鉄鋼材料とすることができる。コード82の1つの実施形態では、当該コードは、重り88がコード遠位端に付設された状態で形成され、この場合、重り88は、磁石に吸引される磁性材料により形成されるが、重り自体は磁力を持たない。当該装置の有利な実施形態では、コード82は、当該コードの近位端84と遠位端86との間の長さを有し、この長さは、構造物の開放ファスナー孔と、当該装置が接近開口部に使用されることになる構造物の当該接近開口部との間の距離の長さの少なくとも2倍である。
【0031】
当該装置は更に、ファスナー部材ホルダを構造壁内側面に構造外部から押圧保持する磁力発生源92のような外部装置を含む。有利な実施形態では、磁力発生源92は永久磁石である。しかしながら、電磁石または他の同等の磁力発生源を磁石の代わりに使用してもよい。更に、ファスナー部材ホルダを構造内側面に、構造の外部から、または構造の内部から保持することができる或る他の同等の装置を磁石92の代わりに使用することができる。当該装置の磁石92は、円筒状中心ボアが当該磁石の円筒内側面94により画定される構成の環状形状を有する。内側面94の内径寸法は、第2ファスナー部材、例えばナット及びボルトファスナーアセンブリのねじ切りボルトが、磁石内側面94により画定されるボア内を挿通することができるように寸法設定される。磁石内側面94は更に、ホルダハウジング外側面30の外径寸法よりも小さくなるように寸法設定される。磁石92は更に、円筒外側面96を有し、そして略平坦かつ平行な前方面98及び後方面102を有する。
【0032】
当該装置は更に、多関節チューブアセンブリを含み、この多関節チューブアセンブリは、前方チューブ構成部104、及び複数の送給チューブ構成部106を備え、これらの送給チューブ構成部106は、図10及び12に図示されるように、隣接するチューブ構成部の間に延びるテザー群108により直列に一括して保持される。チューブアセンブリのこれらのチューブ構成部の各チューブ構成部は、少なくともコード遠位端86及びコード長構成部分が、前方チューブ構成部104内を、そして複数の送給チューブ構成部106内を通過することができるように寸法設定される。図9,10,及び12に図示されるように、前方チューブ構成部104は屈曲形状を有し、この屈曲形状によって、前方チューブ構成部104は、ファスナー部材ホルダ20を構造壁内側面に押圧して位置決めすることができる。これらの送給チューブ構成部106は全て、等しい長さの略直線形状を有する。隣接するチューブ構成部を接続するこれらのテザー108によって、これらの構成部は、これらの構成部が構造の内部を通って押し進められると、互いの構成部に対して関節運動を行なうことができる。図11に図示されるチューブアセンブリの更に別の実施形態では、隣接するチューブ構成部の端部に丸み形状が付与されて、隣接するチューブ構成部の関節運動を容易にしている。当該装置の他の実施形態では、前方チューブ構成部104は、チューブアセンブリの唯一のチューブ構成部とすることができ、そしてこれらの送給チューブ構成部106は、別の機構に置き換えることができ、この別の機構を使用して、前方チューブ構成部104を、コード長部分82上を押し進める、例えば高剛性かつ可撓性ワイヤ上を押し進めることができる。更には、チューブアセンブリは、ストッパー110のような機構に置き換えることができ、このストッパー110は、図9に図示されるコードの上のファスナー部材ホルダ20とコード遠位端86との間のコード82に固定することができる。ストッパー110は、ファスナー部材ホルダ20に押圧係合し、そして当該ホルダがコード82上を、コード遠位端86に向かって摺動するのを防止するように寸法設定される。引っ張り力をコード近位端84に構造外部から加えることにより、コード長部分82が、構造接近開口部から構造内部を通って、そして次に開放ファスナー孔を通って移動する。当該コードに固定されるストッパー110は、ファスナー部材ホルダ20に押圧係合し、そしてファスナー部材ホルダを当該コードでファスナー孔に向かって、ストッパー110が、ファスナー部材ホルダ20を構造内部壁に、ファスナー部材ホルダ20によって保持されるナットで、構造壁の開放ファスナー孔に位置合わせして押圧保持するまで移動させる。
【0033】
図7〜19は、本発明の装置を使用して、ナットをファスナー孔の背後側で、構造壁の内側面に押圧配置することにより、ボルトを、ファスナー孔を通って取り付けることができ、そして当該ナットに構造壁の外部からねじ込むことができる有利な方法を示している。図7は、図1に示す二重壁構造のジェットエンジンカウリングまたはハウジングの前端部を模式的に表わしている。構造壁を貫通する開放ファスナー孔112が、ハウジング構造の左上側に在る。構造壁は、ハウジング構造の内部に面する内側面114と、ハウジング構造の外部に面する反対側の外側面116と、を有する。構造壁を貫通する接近開口部118が、カウリング構造ハウジングの6時の位置に在る。ナット62及びボルト124を開放ファスナー孔112に対応して含む2部材型ファスナーアセンブリが更に、図7に図示されている。
【0034】
当該装置を使用する方法は、コード遠位端86を構造外部から、開放ファスナー孔112を通って構造内部に挿入することから始まる。次に、コード長構成部分82を更に、ファスナー孔112を通って挿入する。ファスナー孔112を通って挿入される当該コード構成部分82が長くなると、コード遠位端86の重り88が、図8に表わされるように、コード遠位端を、ハウジング構造の内部を通って引き降ろす。他の実施形態では、重り88は、磁石重りとすることができ、そして磁力発生源を、接近開口部118を通して挿入して、重り88を接近開口部118に向かって吸引することができる。コード82は、重り88及びコード遠位端86が接近開口部118を通って構造外部に挿通するまで、構造外部からファスナー孔112を通って構造内部に挿入し続ける。このようにして、当該コードは、接近開口部118を通って、構造内部を通って、そして壁内側面114のファスナー孔112に達するコード通路を画定する。
【0035】
コード遠位端86及びコード長構成部分が、接近開口部118を通って構造外部に突出した状態では、コード近位端84は、ハウジング構造に対して或る方法で固定されるか、または静止保持されて、構造内部を通って延在するコード構成部分に引っ張り力が加わっても絶対に、コード82がファスナー孔112を通って更に進んで挿通することがないようにする。固定されたコード近位端84は、図9に参照番号126で表わされる。
【0036】
次に、ファスナー部材ホルダ20をコード82に、2部材型ファスナーアセンブリの第1ファスナー部材を当該ホルダに取り付けることにより取り付ける用意をする。第1ファスナー部材またはナット62をホルダ20に、図2に表わされる方法で、ナット62の六角形外側面58をボックスレンチ内側面52に挿入し、そしてナット円筒形表面部分を、ナット62をホルダ20の内部に摩擦係合により強固に保持するベース円筒形内側面66に挿入することにより取り付ける。次に、コード遠位端86をナット62の雌ねじボア内に挿入し、そしてホルダ20の内部ボア34内に挿入する。これにより、図9に表わされるように、ホルダ20をコード82に取り付けて、コード通路に沿って案内される当該ホルダを、コード遠位端86から、ファスナー孔112を通って突出する方のコード構成部分に向かって摺動させることができる。ホルダ20及び当該ホルダに保持されるナット62が、コード82に取り付けられた状態で、ホルダ20を次に、図9に表わされるように、ハウジング接近開口部118を通ってハウジング構造の内部に挿入する。
【0037】
次に、前方チューブ構成部104、及びテザー群108により直列に一括保持される複数の送給チューブ構成部106を備える関節チューブアセンブリをコード82に、コード遠位端86を前方チューブ構成部104内に挿入し、そして次に、一連の送給チューブ構成部106内に挿入することにより取り付ける。この様子は図10に表わされる。次に、前方チューブ構成部104がホルダ20をハウジング壁内側面114に、ファスナー孔112に位置合わせされるホルダ20によって保持されるナット62で押圧して位置決めするまで、チューブアセンブリを、構造内部を通って延在するコード構成部分82に沿って押し進める。この様子は図12に表わされる。
【0038】
ファスナー部材ホルダ20、及び当該ホルダによって壁内側面にファスナー孔112に位置合わせして押圧保持されるナット62を保持するために、磁力発生源92を壁外側面116に、ファスナー孔112に位置合わせした状態で押圧して位置決めする。磁力発生源92または磁石は、ベース26を壁内側面114に吸引し、そしてファスナー部材ホルダ20及びナット62を壁内側面114に押圧保持する。この様子は、図13及び14に表わされる。ファスナー部材ホルダ20及びナット62が壁内側面114に、壁外側面116の磁力発生源92によって強固に押圧保持された状態では、参照番号126の位置に固定されるコード近位端84を次に、解放することができ、そしてコード82及びチューブアセンブリを次に、構造内部から接近開口部128を通って取り出すことができる。これにより、ホルダ20及びナット62が、壁内側面に磁石92によってのみ保持される状態を保つことができる。この様子は図14に表わされる。
【0039】
次に、ファスナーアセンブリの第2部材、すなわちナット及びボルトファスナーアセンブリのボルト124を、ファスナー孔112を通って構造外部から挿入する。この様子は図15に表わされる。ボルト124を、磁石内側面94により画定される磁石ボアを通って、ファスナー孔112を通って挿入し、そしてナット62の雌ねじボア内に挿入する。ボルト124をナット62にねじ込むために、ねじ回し、またはスクリュードライバービット132をボルト124のスロット頭部に挿入し、そして軸線方向力をボルト124に、そして回転力をボルト124に同時に加える。これにより、ボルト124がナット62を押圧するようになり、そしてナット62及びボックスレンチインサート22をホルダボアの奥側に、前方部表面42に沿って移動させる。ホルダボア前方部表面42に沿ったナット62及びボックスレンチインサート22のこの移動は、バネ24の圧縮力による僅かな抵抗を受ける。ナット62及びボックスレンチインサート22の移動をホルダ20に対してこのように制限すると、ねじ回し132から軸線方向力をボルト124に加えることにより、当該ボルトをナット62内に、ホルダ20が壁内側面114から分離することなく進入させることができる。この様子は図16に表わされる。ねじ回し132でボルト124をナット62にねじ込むと、ボルト124の回転力によってファスナー部材ホルダ20が、構造壁内側面114上で回転する可能性がある。このような回転の防止効果は、トルクアーム46に依存する。トルクアーム46は、ファスナー部材ホルダ20の外側面30から半径方向外側に突出しているので、ファスナー部材ホルダ20が構造内側面114上で、ボルト124が回転することによって回転すると、最終的にトルクアーム46が、またはトルクアーム上のベアリングアセンブリ72の外側面が、図16に示すように、構造の側壁または隔壁に係止される、またはトルクアーム46が、図6に示すように、隣接する別のファスナーに係止されるようになる。従って、これにより、ファスナー部材ホルダ20を、構造壁内側面114上で更に回転することがないように保持することができ、そしてボルト124を図17に示すように、ナット62にねじ込むことができる。ボルト124をナット62にねじ込むと、ナット及びボックスレンチインサート22がホルダボア前方部表面42に沿って移動して、ナット62が図17に示すように、構造壁内側面114に強固に押圧係合するまでバネ24を弛緩させる。これにより、ナット62及びボルト124から成る2部材型ファスナーアセンブリをファスナー孔112に固定することができる。
【0040】
2部材型ファスナーアセンブリをファスナー孔の背後側に配置し、そして当該ファスナーアセンブリのボルトをナットにねじ込む方法は従って、磁力発生源92を構造外側面116から取り外すことにより完了する。これにより、ファスナー部材ホルダ20を構造内側面114から解放して当該ホルダを、構造内部を通って構造内部の下部に向かって落下させることができ、この場合、ホルダ20は、構造接近開口部118を通って取り外すことができる。この様子は図19に表わされる。
【0041】
ファスナー部材ホルダ20、コード82、磁力発生源92、及びチューブアセンブリを備える装置は、製造費用が安く、殆どの構造の内部を通って挿通して、ファスナー孔の背後側に達するように寸法設定され、そして使用するために特別の訓練を必要としない。これまでの説明から、本発明の装置及び方法の幾つかの利点が達成され、そして得られることが分かるであろう。
【0042】
種々の変形は、本明細書において記載され、かつ例示される装置、及び当該装置の使用方法の構成に、本発明の範囲から逸脱しない限り加えることができるので、これまでの説明に含まれる、または添付の図面に図示される全ての事項は、限定的ではなく、例示的であると解釈されるべきである。従って、本発明の広さ、及び範囲は、上記例示的な実施形態のいずれの実施形態によっても限定されるべきではなく、本明細書に添付される以下の請求項、及びこれらの請求項の均等物によってのみ規定されるべきである。
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