(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アンチロック制御手段には、前記要求制動力と、前記開閉手段を開いてから前記摩擦制動力が前記要求制動力まで増大するのに要する遅れ時間と、前記回生制動力を漸減するパターンと、の関係が予め記憶されており、
前記アンチロック制御手段は、前記スリップ車輪のスリップ率が前記所定値以下になったと判定したときの前記要求制動力に基づいて前記関係を参照し、当該要求制動力に対応する前記遅れ時間及び前記パターンに基づいて、前記遅れ時間の経過時に前記回生制動力がゼロとなるように当該回生制動力を漸減する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキシステム。
前記アンチロック制御手段は、前記アンチロック制御の作動中に、前記車輪のうちで前記駆動輪ではない非駆動輪に付与される前記摩擦制動力相当の制動力を、前記駆動輪に付与する前記回生制動力から減じる
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用ブレーキシステム。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用ブレーキシステムの概略構成図である。また、
図2(a)は駆動輪と非駆動輪に付与される摩擦制動力を示す図、
図2(b)は駆動輪に回生制動力が付与された状態を示す図である。
なお、
図2(a),
図2(b)は、左側の図(DW)が駆動輪を示し、右側の図(N−DW)が非駆動輪を示す。また、縦軸は制動力(BF)を示す。
【0022】
図1に示す車両用ブレーキシステム10は、通常時用として、電気信号を伝達してブレーキを作動させるバイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムと、フェイルセイフ時用として、液圧(ブレーキ液圧)を伝達してブレーキを作動させる旧来の液圧式のブレーキシステムの双方を備えて構成される。
【0023】
このため、
図1に示すように、車両用ブレーキシステム10は、基本的に、運転者によってブレーキペダル12等のブレーキ操作部が操作されたときにその操作の入力に応じた液圧を、作動液であるブレーキ液に発生させる液圧発生装置(入力装置14)と、ブレーキペダル12が踏み込み操作されたときの操作量(ストローク)を計測するペダルストロークセンサSt(Sens.)と、各車輪(右側前輪WFR,左側後輪WRL,右側後輪WRR,左側前輪WFL)のホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに供給される作動圧(ブレーキ液圧)を作動液(ブレーキ液)に発生する電動ブレーキアクチュエータ(モータシリンダ装置16)と、車両挙動の安定化を支援する車両挙動安定化装置18(以下、VSA(ビークルスタビリティアシスト)装置18という、VSA;登録商標)とを別体として備えて構成されている。
【0024】
これらの入力装置14、モータシリンダ装置16、及び、VSA装置18は、例えば、ホースやチューブ等の管材で形成された管路(液圧路)によって接続されているとともに、バイ・ワイヤ式のブレーキシステムとして、入力装置14とモータシリンダ装置16とは、図示しないハーネスで電気的に接続されている。
【0025】
このうち、液圧路について説明すると、
図1中(中央やや下)の連結点A1を基準として、入力装置14の接続ポート20aと連結点A1とが第1配管チューブ22aによって接続され、また、モータシリンダ装置16の出力ポート24aと連結点A1とが第2配管チューブ22bによって接続され、さらに、VSA装置18の導入ポート26aと連結点A1とが第3配管チューブ22cによって接続されている。
【0026】
図1中の他の連結点A2を基準として、入力装置14の他の接続ポート20bと連結点A2とが第4配管チューブ22dによって接続され、また、モータシリンダ装置16の他の出力ポート24bと連結点A2とが第5配管チューブ22eによって接続され、さらに、VSA装置18の他の導入ポート26bと連結点A2とが第6配管チューブ22fによって接続されている。
【0027】
VSA装置18には、複数の導出ポート28a〜28dが設けられる。第1導出ポート28aは、第7配管チューブ22gによって右側前輪WFRに設けられたディスクブレーキ機構30aのホィールシリンダ32FRと接続される。第2導出ポート28bは、第8配管チューブ22hによって左側後輪WRLに設けられたディスクブレーキ機構30bのホィールシリンダ32RLと接続される。第3導出ポート28cは、第9配管チューブ22iによって右側後輪WRRに設けられたディスクブレーキ機構30cのホィールシリンダ32RRと接続される。第4導出ポート28dは、第10配管チューブ22jによって左側前輪WFLに設けられたディスクブレーキ機構30dのホィールシリンダ32FLと接続される。
【0028】
この場合、各導出ポート28a〜28dに接続される配管チューブ22g〜22jによってブレーキ液がディスクブレーキ機構30a〜30dの各ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに対して供給され、各ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL内のブレーキ液圧が上昇することにより、各ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLが作動し、対応する車輪(右側前輪WFR,左側後輪WRL,右側後輪WRR,左側前輪WFL)との摩擦力が高くなって制動力が付与される。このように、各ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL内のブレーキ液圧が上昇して生じる制動力を、以下、摩擦制動力Poilと称する。
【0029】
また、右側前輪WFR、左側後輪WRL、右側後輪WRR、左側前輪WFLのそれぞれには、車輪速を検出する車輪速センサ35a,35b,35c,35d(S)がそれぞれ備わり、各車輪速センサ35a,35b,35c,35dが各車輪の車輪速を計測して発生する計測信号は制御手段150(Cont.)に入力される。
【0030】
なお、本実施形態の車両用ブレーキシステム10は、例えば、エンジン(内燃機関)と電動機200(Mot.)を動力源とするハイブリッド自動車、電動機200のみを動力源とする電気自動車など、電動機200を動力源として備える車両に搭載可能である。
電動機200は、例えば2つの前輪(右側前輪WFR,左側前輪WFL)を駆動するように車両に備わる。この場合、2つの前輪が駆動輪となり、2つの後輪(左側後輪WRL,右側後輪WRR)が非駆動輪となる。
【0031】
電動機200には回生制御装置201(RGcont.)が接続されている。回生制御装置201は、電動機200が駆動輪から入力されるトルクで発電する電力(回生電力)をバッテリ202(Batt.)に充電する機能を有し、制御手段150から入力される指令によって制御される。例えば、制御手段150から、電動機200で回生電力を発電させて制動力(回生制動力Pmot)を発生させる指令が入力されると、回生制御装置201は電動機200を「発電機」に切り替えるとともに電動機200が発電する回生電力をバッテリ202(Batt.)に充電するように機能する。
また、回生制御装置201は、例えば電動機200に供給する界磁電流を変更して電動機200による回生電力の発電量を調節するなどして、電動機200による回生制動力Pmotの強さを調節可能に構成される。
このことから、本実施形態では、制御手段150、電動機200および回生制御装置201を含んで回生ブレーキ手段が構成される。なお、回生制御装置201が、電動機200を制御して回生制動力Pmotを発生させる技術は公知の技術を利用すればよい。
【0032】
入力装置14は、運転者によるブレーキペダル12の操作によってブレーキ液に液圧を発生可能なタンデム式のマスタシリンダ34と、前記マスタシリンダ34に付設されたリザーバ(第1リザーバ36)とを有する。このマスタシリンダ34のシリンダチューブ38内には、前記シリンダチューブ38の軸方向に沿って所定間隔離間する2つのピストン(セカンダリピストン40a,プライマリピストン40b)が摺動自在に配設される。セカンダリピストン40aは、ブレーキペダル12に近接して配置され、プッシュロッド42を介してブレーキペダル12と連結される。また、プライマリピストン40bは、セカンダリピストン40aよりもブレーキペダル12から離間して配置される。
【0033】
また、シリンダチューブ38の内壁には、プライマリピストン40bの外周に摺接する一対のリング状を呈するカップシール44Pa,44Pb、およびセカンダリピストン40aの外周に摺接する一対のリング状を呈するカップシール44Sa,44Sbが装着されている。さらに、セカンダリピストン40aとプライマリピストン40bの間には、ばね部材50aが配設され、プライマリピストン40bとシリンダチューブ38の閉塞端側の側端部38aと間には、他のばね部材50bが配設される。
【0034】
また、シリンダチューブ38の側端部38aからプライマリピストン40bの摺動方向に沿ってガイドロッド48bが延設され、プライマリピストン40bは、ガイドロッド48bにガイドされて摺動する。
また、プライマリピストン40bのセカンダリピストン40a側の端部からセカンダリピストン40aの摺動方向に沿ってガイドロッド48aが延設され、セカンダリピストン40aは、ガイドロッド48aにガイドされて摺動する。
そして、セカンダリピストン40aとプライマリピストン40bはガイドロッド48aで連結されて直列に配置される。ガイドロッド48a,48bの詳細は後記する。
【0035】
また、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38には、2つのサプライポート(第2サプライポート46a、第1サプライポート46b)と、2つのリリーフポート(第2リリーフポート52a、第1リリーフポート52b)と、2つの出力ポート54a、54bとが設けられる。この場合、第2サプライポート46a、第1サプライポート46b及び第2リリーフポート52a、第1リリーフポート52bは、それぞれ合流して第1リザーバ36内の図示しないリザーバ室と連通するように設けられる。
さらに、セカンダリピストン40aの外周に摺接する一対のカップシール44Sa,44Sbは、セカンダリピストン40aの摺動方向に第2リリーフポート52aを挟んで配置される。また、プライマリピストン40bの外周に摺接する一対のカップシール44Pa,44Pbは、プライマリピストン40bの摺動方向に第1リリーフポート52bを挟んで配置される。
【0036】
また、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38内には、運転者がブレーキペダル12を踏み込む踏力に対応した液圧を発生する第2圧力室56a及び第1圧力室56bが設けられる。第2圧力室56aは、第2液圧路58aを介して接続ポート20aと連通するように設けられ、第1圧力室56bは、第1液圧路58bを介して他の接続ポート20bと連通するように設けられる。
第1圧力室56bと第2圧力室56aの間は、一対のカップシール44Pa,44Pbによって液密に封じられる。また、第2圧力室56aのブレーキペダル12側は、一対のカップシール44Sa,44Sbによって液密に封じられる。
【0037】
第1圧力室56bは、プライマリピストン40bの変位に応じた液圧を発生するように構成され、第2圧力室56aは、セカンダリピストン40aの変位に応じた液圧を発生するように構成される。
また、セカンダリピストン40aはブレーキペダル12とプッシュロッド42を介して連結され、ブレーキペダル12の動作にともなってシリンダチューブ38内を変位する。さらに、プライマリピストン40bは、セカンダリピストン40aの変位によって第2圧力室56aに発生する液圧によって変位する。つまり、プライマリピストン40bはセカンダリピストン40aに応動して変位する。
【0038】
マスタシリンダ34と接続ポート20aとの間であって、第2液圧路58aの上流側には圧力センサPmが配設されるとともに、第2液圧路58aの下流側には、ノーマルオープンタイプ(常開型)のソレノイドバルブからなる第2遮断弁60aが設けられる。この圧力センサPmは、第2液圧路58a上において、第2遮断弁60aよりもマスタシリンダ34側である上流側の液圧を計測するものである。
【0039】
マスタシリンダ34と他の接続ポート20bとの間であって、第1液圧路58bの上流側には、ノーマルオープンタイプ(常開型)のソレノイドバルブからなる第1遮断弁60bが設けられるとともに、第1液圧路58bの下流側には、圧力センサPpが設けられる。この圧力センサPpは、第1液圧路58b上において、第1遮断弁60bよりもホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL側である下流側の液圧を計測するものである。
【0040】
この第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bにおけるノーマルオープンとは、ノーマル位置(通電されていないときの弁体の位置)が開位置の状態(常時開)となるように構成されたバルブをいう。なお、
図1において、第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bは、ソレノイドが通電されて、図示しない弁体が作動した閉弁状態をそれぞれ示している。
【0041】
マスタシリンダ34と第1遮断弁60bとの間の第1液圧路58bには、前記第1液圧路58bから分岐する分岐液圧路58cが設けられ、前記分岐液圧路58cには、ノーマルクローズタイプ(常閉型)のソレノイドバルブからなる第3遮断弁62と、ストロークシミュレータ64とが直列に接続される。この第3遮断弁62におけるノーマルクローズとは、ノーマル位置(通電されていないときの弁体の位置)が閉位置の状態(常時閉)となるように構成されたバルブをいう。なお、
図1において、第3遮断弁62は、ソレノイドが通電されて、図示しない弁体が作動した開弁状態を示している。
【0042】
このストロークシミュレータ64は、バイ・ワイヤ制御時に、ブレーキペダル12の踏み込み操作に対してストロークと反力を与えて、あたかも踏力によって制動力が発生しているかのように運転者に思わせる装置であり、第1液圧路58b上であって、第1遮断弁60bよりもマスタシリンダ34側に配置されている。前記ストロークシミュレータ64には、分岐液圧路58cに連通する液圧室65が設けられ、前記液圧室65を介して、マスタシリンダ34の第1圧力室56bから導出されるブレーキ液(ブレーキフルード)が吸収可能に設けられる。
【0043】
また、ストロークシミュレータ64は、互いに直列に配置されたばね定数の高い第1リターンスプリング66aとばね定数の低い第2リターンスプリング66bと、前記第1及び第2リターンスプリング66a,66bによって付勢されるシミュレータピストン68とを備え、ブレーキペダル12の踏み込み前期時にペダル反力の増加勾配を低く設定し、踏み込み後期時にペダル反力を高く設定してブレーキペダル12のペダルフィーリングが、既存のマスタシリンダ34を踏み込み操作したときのペダルフィーリングと同等になるように設けられている。
つまり、ストロークシミュレータ64は、第1圧力室56bから導出されるブレーキ液の液圧に応じた反力を発生し、この反力をマスタシリンダ34を介してブレーキペダル12に与えるように構成される。なお、マスタシリンダ34の詳細については後記する。
【0044】
液圧路は、大別すると、マスタシリンダ34の第2圧力室56aと複数のホィールシリンダ32FR,32RLとを接続する第2液圧系統70aと、マスタシリンダ34の第1圧力室56bと複数のホィールシリンダ32RR、32FLとを接続する第1液圧系統70bとから構成される。
【0045】
第2液圧系統70aは、入力装置14におけるマスタシリンダ34(シリンダチューブ38)の出力ポート54aと接続ポート20aとを接続する第2液圧路58aと、入力装置14の接続ポート20aとモータシリンダ装置16の出力ポート24aとを接続する配管チューブ22a,22bと、モータシリンダ装置16の出力ポート24aとVSA装置18の導入ポート26aとを接続する配管チューブ22b,22cと、VSA装置18の導出ポート28a,28bと各ホィールシリンダ32FR,32RLとをそれぞれ接続する配管チューブ22g,22hとによって構成される。
【0046】
第1液圧系統70bは、入力装置14におけるマスタシリンダ34(シリンダチューブ38)の出力ポート54bと他の接続ポート20bとを接続する第1液圧路58bと、入力装置14の他の接続ポート20bとモータシリンダ装置16の出力ポート24bとを接続する配管チューブ22d,22eと、モータシリンダ装置16の出力ポート24bとVSA装置18の導入ポート26bとを接続する配管チューブ22e,22fと、VSA装置18の導出ポート28c,28dと各ホィールシリンダ32RR,32FLとをそれぞれ接続する配管チューブ22i,22jとを有する。
【0047】
モータシリンダ装置16は、電動機(電動モータ72)と、アクチュエータ機構74と、前記アクチュエータ機構74によって付勢されるシリンダ機構76と、を有する。
【0048】
アクチュエータ機構74は、電動モータ72の出力軸72b側に設けられ、複数のギヤが噛合して電動モータ72の回転駆動力を伝達するギヤ機構(減速機構)78と、前記ギヤ機構78を介して前記回転駆動力が伝達されることにより軸方向に沿って進退動作するボールねじ軸80a及びボール80bを含むボールねじ構造体80とを有する。
本実施形態においてボールねじ構造体80は、ギヤ機構78とともにアクチュエータハウジング172の機構収納部173aに収納される。
【0049】
シリンダ機構76は、略円筒状のシリンダ本体82と、前記シリンダ本体82に付設された第2リザーバ84とを有する。第2リザーバ84は、入力装置14のマスタシリンダ34に付設された第1リザーバ36と配管チューブ86で接続され、第1リザーバ36内に貯留されたブレーキ液が配管チューブ86を介して第2リザーバ84内に供給されるように設けられる。なお、配管チューブ86に、ブレーキ液を貯留するタンクが備わっていてもよい。
そして、略円筒状を呈するシリンダ本体82の開放された端部(開放端)がハウジング本体172Fとハウジングカバー172Rからなるアクチュエータハウジング172に嵌合してシリンダ本体82とアクチュエータハウジング172が連結され、モータシリンダ装置16が構成される。
【0050】
シリンダ本体82内には、前記シリンダ本体82の軸方向に沿って所定間隔離間する第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bが摺動自在に配設される。第2スレーブピストン88aは、ボールねじ構造体80側に近接して配置され、ボールねじ軸80aの一端部に当接して前記ボールねじ軸80aと一体的に矢印X1又はX2方向に変位する。また、第1スレーブピストン88bは、第2スレーブピストン88aよりもボールねじ構造体80側から離間して配置される。
【0051】
また、本実施形態における電動モータ72は、シリンダ本体82と別体に形成されるモータケーシング72aで覆われて構成され、出力軸72bが第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bの摺動方向(軸方向)と略平行になるように配置される。
そして、出力軸72bの回転駆動がギヤ機構78を介してボールねじ構造体80に伝達されるように構成される。
【0052】
ギヤ機構78は、例えば、電動モータ72の出力軸72bに取り付けられる第1ギヤ78aと、ボールねじ軸80aを軸方向に進退動作させるボール80bをボールねじ軸80aの軸線を中心に回転させる第3ギヤ78cと、第1ギヤ78aの回転を第3ギヤ78cに伝達する第2ギヤ78bと、の3つのギヤで構成され、第3ギヤ78cはボールねじ軸80aの軸線を中心に回転する。
【0053】
本実施形態におけるアクチュエータ機構74は、前記した構造によって、電動モータ72の出力軸72bの回転駆動力をボールねじ軸80aの進退駆動力(直線駆動力)に変換する。
【0054】
第1スレーブピストン88bの外周面には、環状段部を介して、一対のスレーブカップシール90a,90bがそれぞれ装着される。一対のスレーブカップシール90a,90bの間には、後記するリザーバポート92bと連通する第1背室94bが形成される。
なお、第2及び第1スレーブピストン88a,88bの間には、第2リターンスプリング96aが配設され、第1スレーブピストン88bとシリンダ本体82の側端部と間には、第1リターンスプリング96bが配設される。
【0055】
また、第2スレーブピストン88aの外周面と機構収納部173aとの間を液密にシールするとともに、第2スレーブピストン88aをその軸方向に対して移動可能にガイドする環状のガイドピストン90cが、第2スレーブピストン88aの後方に、シリンダ本体82をシール部材として閉塞するように備わっている。第2スレーブピストン88aが貫通するガイドピストン90cの内周面には、図示しないスレーブカップシールが装着され、第2スレーブピストン88aとガイドピストン90cの間が液密に構成されることが好ましい。さらに、第2スレーブピストン88aの前方の外周面には、環状段部を介して、スレーブカップシール90bが装着される。
この構成によって、シリンダ本体82の内部に充填されるブレーキ液がガイドピストン90cによってシリンダ本体82に封入され、アクチュエータハウジング172の側に流れ込まないように構成されている。
なお、ガイドピストン90cとスレーブカップシール90bの間には、後記するリザーバポート92aと連通する第2背室94aが形成される。
【0056】
シリンダ機構76のシリンダ本体82には、2つのリザーバポート92a,92bと、2つの出力ポート24a,24bとが設けられる。この場合、リザーバポート92a(92b)は、第2リザーバ84内の図示しないリザーバ室と連通するように設けられる。
【0057】
また、シリンダ本体82内には、出力ポート24aからホィールシリンダ32FR,32RL側へ出力されるブレーキ液圧を制御する第2液圧室98aと、他の出力ポート24bからホィールシリンダ32RR,32FL側へ出力されるブレーキ液圧を制御する第1液圧室98bが設けられる。
【0058】
この構成によると、ブレーキ液が封入される第2背室94a、第1背室94b、第2液圧室98a、及び第1液圧室98bは、シリンダ本体82におけるブレーキ液の封入部であり、シール部材として機能するガイドピストン90cによって、アクチュエータハウジング172の機構収納部173aと液密(気密)に区画される。
なお、ガイドピストン90cがシリンダ本体82に取り付けられる方法は限定するものではなく、例えば、図示しないサークリップで取り付けられる構成とすればよい。
【0059】
第2スレーブピストン88aと第1スレーブピストン88bとの間には、第2スレーブピストン88aと第1スレーブピストン88bの最大ストローク(最大変位距離)と最小ストローク(最小変位距離)とを規制する規制手段100が設けられる。さらに、第1スレーブピストン88bには、第1スレーブピストン88bの摺動範囲を規制して、第2スレーブピストン88a側へのオーバーリターンを阻止するストッパピン102が設けられ、これによって、特にマスタシリンダ34で制動するバックアップ時において、1つの系統が失陥したときに、他の系統の失陥が防止される。
【0060】
VSA装置18は、公知のものからなり、右側前輪WFR及び左側後輪WRLのディスクブレーキ機構30a,30b(ホィールシリンダ32FR,32RL)に接続された第2液圧系統70aを制御する第2ブレーキ系110aと、右側後輪WRR及び左側前輪WFLのディスクブレーキ機構30c、30d(ホィールシリンダ32RR,32FL)に接続された第1液圧系統70bを制御する第1ブレーキ系110bとを有する。なお、第2ブレーキ系110aは、左側前輪WFL及び右側前輪WFRに設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統からなり、第1ブレーキ系110bは、右側後輪WRR及び左側後輪WRLに設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統であってもよい。さらに、第2ブレーキ系110aは、車体片側の右側前輪WFR及び右側後輪WRRに設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統からなり、第1ブレーキ系110bは、車体片側の左側前輪WFL及び左側後輪WRLに設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統であってもよい。
【0061】
この第2ブレーキ系110a及び第1ブレーキ系110bは、それぞれ同一構造からなるため、第2ブレーキ系110aと第1ブレーキ系110bで対応するものには同一の参照符号を付しているとともに、第2ブレーキ系110aの説明を中心にして、第1ブレーキ系110bの説明を括弧書きで付記する。
【0062】
第2ブレーキ系110a(第1ブレーキ系110b)は、ホィールシリンダ32FR,32RL(32RR,32FL)に対して、共通する管路(第1共通液圧路112及び第2共通液圧路114)を有する。このうち、第1共通液圧路112は、ホィールシリンダ32FR,32RL(32RR,32FL)にブレーキ液圧を供給する供給路となる。
VSA装置18は、導入ポート26a(26b)と第1共通液圧路112との間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなるレギュレータバルブ116と、前記レギュレータバルブ116と並列に配置され導入ポート26a(26b)側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から導入ポート26a(26b)側へのブレーキ液の流通を阻止する)第1チェックバルブ118と、第1共通液圧路112と第1導出ポート28a(第4導出ポート28d)との間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第1インバルブ120と、前記第1インバルブ120と並列に配置され第1導出ポート28a(第4導出ポート28d)側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から第1導出ポート28a(第4導出ポート28d)側へのブレーキ液の流通を阻止する)第2チェックバルブ122と、第1共通液圧路112と第2導出ポート28b(第3導出ポート28c)との間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第2インバルブ124と、前記第2インバルブ124と並列に配置され第2導出ポート28b(第3導出ポート28c)側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から第2導出ポート28b(第3導出ポート28c)側へのブレーキ液の流通を阻止する)第3チェックバルブ126とを備える。
【0063】
第1インバルブ120および第2インバルブ124は、ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに、ブレーキ液圧を供給する管路(第1共通液圧路112)を開閉する開閉手段である。そして、第1インバルブ120が閉弁すると、ホィールシリンダ32FR,32FLへの第1共通液圧路112からのブレーキ液圧の供給が遮断される。また、第2インバルブ124が閉弁すると、ホィールシリンダ32RR,32RLへの第1共通液圧路112からのブレーキ液圧の供給が遮断される。
【0064】
さらに、VSA装置18は、第1導出ポート28a(第4導出ポート28d)と第2共通液圧路114との間に配置されたノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第1アウトバルブ128と、第2導出ポート28b(第3導出ポート28c)と第2共通液圧路114との間に配置されたノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第2アウトバルブ130と、第2共通液圧路114に接続されたリザーバ装置132と、第1共通液圧路112と第2共通液圧路114との間に配置されて第2共通液圧路114側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から第2共通液圧路114側へのブレーキ液の流通を阻止する)第4チェックバルブ134と、前記第4チェックバルブ134と第1共通液圧路112との間に配置されて第2共通液圧路114側から第1共通液圧路112側へブレーキ液を供給するポンプ136と、前記ポンプ136の前後に設けられる吸入弁138及び吐出弁140と、前記ポンプ136を駆動するモータMと、第2共通液圧路114と導入ポート26a(26b)との間に配置されたノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなるサクションバルブ142とを備える。
【0065】
なお、第2ブレーキ系110aにおいて、導入ポート26aに近接する管路(液圧路)上には、モータシリンダ装置16の出力ポート24aから出力され、前記モータシリンダ装置16の第2液圧室98aで制御されたブレーキ液圧を計測する圧力センサPhが設けられる。各圧力センサPm、Pp、Phで計測された計測信号は、制御手段150に入力される。また、VSA装置18では、VSA制御のほか、ABS(アンチロックブレーキシステム)によるアンチロック制御も作動可能である。
さらに、VSA装置18に代えて、ABS機能のみを搭載するABS装置が接続される構成であってもよい。
【0066】
なお、本実施形態のモータシリンダ装置16およびVSA装置18は、制御手段150で制御される。この構成に替えて、VSA装置18を制御する制御部(図示せず)と、モータシリンダ装置16を制御する制御部(図示せず)がそれぞれ備わる構成であってもよい。
【0067】
本実施形態に係る車両用ブレーキシステム10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
なお、アンチロック制御に、電動機200(またはエンジン)のトルクがコントロールされるEDC(エンジンドラッグコントロール)が含まれる構成としてもよい。
つまり、アンチロック制御の作動時にEDCが作動する構成であってもよい。
【0068】
車両用ブレーキシステム10が正常に機能する正常時には、ノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bが励磁されて弁閉状態となり、ノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第3遮断弁62が励磁されて弁開状態となる。従って、第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bによって第2液圧系統70a及び第1液圧系統70bが遮断されているため、入力装置14のマスタシリンダ34で発生した液圧がディスクブレーキ機構30a〜30dのホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに伝達されることはない。
【0069】
このとき、マスタシリンダ34の第1圧力室56bで発生した液圧は、分岐液圧路58c及び弁開状態にある第3遮断弁62を経由してストロークシミュレータ64の液圧室65に伝達される。この液圧室65に供給された液圧によってシミュレータピストン68が第1及び第2リターンスプリング66a,66bのばね力に抗して変位することにより、ブレーキペダル12のストロークが許容されるとともに、擬似的なペダル反力を発生させてブレーキペダル12に付与される。この結果、運転者にとって違和感のないブレーキフィーリングが得られる。
【0070】
このようなシステム状態において、制御手段150は、運転者によるブレーキペダル12の踏み込みを検出すると制動時と判定し、モータシリンダ装置16の電動モータ72を駆動させてアクチュエータ機構74を付勢し、第2リターンスプリング96a及び第1リターンスプリング96bのばね力に抗して第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bを
図1中の矢印X1方向に向かって変位させる。この第2スレーブピストン88a及び第1スレーブピストン88bの変位によって第2液圧室98a及び第1液圧室98b内のブレーキ液がバランスするように加圧されて所望のブレーキ液圧が発生する。
【0071】
具体的に、制御手段150は、ペダルストロークセンサStの計測値に応じてブレーキペダル12の踏み込み操作量(以下、適宜「ブレーキ操作量」と称する)を算出し、このブレーキ操作量に基づいて、回生制動力Pmotを考慮した上で目標となるブレーキ液圧を設定し、設定したブレーキ液圧をモータシリンダ装置16に発生させる。
【0072】
図2(a)に示すように、制御手段150(
図1参照)は、ブレーキ操作量に基づいて、目標となる制動力(運転者が要求する要求制動力Preq)を算出する。例えば、ブレーキ操作量と要求制動力Preqの関係を示すマップが予め設定されて制御手段150の記憶部(後記するROM等)に記憶されている構成とすれば、制御手段150は当該マップを参照することによってブレーキ操作量に対応する要求制動力Preqを算出できる。
【0073】
さらに制御手段150(
図1参照)は、電動機200(
図1参照)に接続される回生制御装置201(
図1参照)に指令を与えて、電動機200が発生する電力をバッテリ202(
図1参照)に充電するように回生制御装置201を切り替える。
そして制御手段150は、電動機200が回生電力を発電することで生じる回生制動力Pmotを、設定した要求制動力Preqから減算した制動力を算出し、算出した制動力を摩擦制動力Poilの目標値とする。さらに、制御手段150は、この目標値の摩擦制動力Poilを発生させるブレーキ液圧を設定する。
【0074】
なお、エンジンが備わる車両の場合、駆動輪(例えば、右側前輪WFR,左側前輪WFL)には、エンジンブレーキによる制動力(エンジン制動力Pen)が付与されるため、制御手段150(
図1参照)は、エンジン制動力Penに相当する量だけ小さく摩擦制動力Poilの目標値を設定する。
【0075】
そして、
図2(b)に示すように、制御手段150は回生制御装置201(
図1参照)を介して電動機200(
図1参照)を回生制御し、斜線部で示すように駆動輪(右側前輪WFR,左側前輪WFL)に回生制動力Pmotを付与する。さらに、制御手段150は、モータシリンダ装置16を制御して、設定したブレーキ液圧を発生させる。これによって、モータシリンダ装置16で発生したブレーキ液圧が導入ポート26a,26bからVSA装置18に供給され、さらに、VSA装置18から各ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに供給されて、摩擦制動力Poilが全ての車輪、すなわち、駆動輪(右側前輪WFR,左側前輪WFL)と非駆動輪(左側後輪WRL,右側後輪WRR)に付与される。
【0076】
つまり、本実施形態の車両用ブレーキシステム10は、制御手段150が算出するブレーキ液圧をモータシリンダ装置16が発生し、さらに、モータシリンダ装置16が発生したブレーキ液圧を各ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに供給して全ての車輪に摩擦制動力Poilが付与される。よって、本実施形態では、制御手段150、モータシリンダ装置16、各ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLを含んで電動ブレーキ手段が構成される。
【0077】
このように、制動時の車両用ブレーキシステム10は、駆動輪(右側前輪WFR,左側前輪WFL)に回生制動力Pmotと摩擦制動力Poilが付与され、非駆動輪(右側後輪WRR,左側後輪WRL)に摩擦制動力Poilが付与される。この結果、
図2(b)に示すように、回生制動力Pmotと摩擦制動力Poilが付与される前輪(右側前輪WFR,左側前輪WFL)には、摩擦制動力Poilのみが付与される後輪(右側後輪WRR,左側後輪WRL)よりも大きな制動力が付与される。
【0078】
図1の説明に戻る。本実施形態の制御手段150は、例えば、いずれも図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成されるマイクロコンピュータ及び周辺機器からなる。そして、制御手段150は、あらかじめROMに記憶されているプログラムをCPUで実行し、車両用ブレーキシステム10を制御するように構成される。
また、本実施形態における電気信号は、例えば、電動モータ72を駆動する電力や電動モータ72を制御するための制御信号である。
【0079】
また、ブレーキペダル12の踏み込み操作量(ブレーキ操作量)を計測する操作量計測手段はペダルストロークセンサStに限定されるものではなく、ブレーキペダル12の踏み込み操作量を計測可能なセンサであればよい。例えば、操作量計測手段を圧力センサPmとして、圧力センサPmが計測する液圧をブレーキペダル12の踏み込み操作量に変換する構成であってもよいし、図示しない踏力センサによってブレーキペダル12の踏み込み操作量(ブレーキ操作量)を計測する構成であってもよい。
【0080】
このモータシリンダ装置16における第2液圧室98a及び第1液圧室98bのブレーキ液圧は、VSA装置18の弁開状態にある第1、第2インバルブ120,124を介してディスクブレーキ機構30a〜30dのホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに伝達され、前記ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLが作動することにより各車輪に所望の制動力が付与される。
【0081】
換言すると、本実施形態に係る車両用ブレーキシステム10では、動力液圧源として機能するモータシリンダ装置16やバイ・ワイヤ制御する制御手段150等が作動可能な正常時において、運転者がブレーキペダル12を踏むことで液圧を発生するマスタシリンダ34と各車輪を制動するディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL)との連通を第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bで遮断した状態で、モータシリンダ装置16が発生するブレーキ液圧でディスクブレーキ機構30a〜30dを作動させるという、いわゆるブレーキ・バイ・ワイヤ方式のブレーキシステムがアクティブになる。このため、本実施形態では、例えば、電気自動車等のように、旧来から用いられていた内燃機関による負圧が存在しない車両に好適に適用することができる。
【0082】
一方、モータシリンダ装置16等が作動不能となる異常時では、第2遮断弁60a及び第1遮断弁60bをそれぞれ弁開状態、第3遮断弁62を弁閉状態としマスタシリンダ34で発生する液圧をディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL)にブレーキ液圧として伝達し、前記ディスクブレーキ機構30a〜30d(ホィールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL)を作動させるという、いわゆる旧来の液圧式のブレーキシステムがアクティブになる。
【0083】
本実施形態の制御手段150は、ディスクブレーキ機構30a〜30dのホィールシリンダ(32FR,32RL,32RR,32FL)にブレーキ液圧が伝達されて、各車輪(右側前輪WFR,左側後輪WRL,右側後輪WRR,左側前輪WFL)に制動力が付与されているときに、車輪速センサ35a〜35dから導入される計測信号に基づいて各車輪の車輪速を取得し、さらに、取得した車輪速から各車輪のスリップ率を算出する。そして制御手段150は、少なくとも1つの車輪のスリップ率が予め設定されている所定値より大きいと判定した場合、アンチロック制御を作動する。以下、スリップ率が所定値より大きな車輪を「スリップ車輪」と称する。つまり、制御手段150は、少なくとも1つのスリップ車輪が生じたと判定するとアンチロック制御を作動する。なお、制御手段150が各車輪のスリップ率を算出する技術は公知の技術を利用することができる。
【0084】
制御手段150は、アンチロック制御を作動すると、スリップ車輪に備わるディスクブレーキ機構30a〜30dへのブレーキ液圧の供給を遮断するように、該当するインバルブ(第1インバルブ120または第2インバルブ124)を閉弁する。さらに、制御手段150は、閉弁したインバルブと同じ管路に備わるアウトバルブ(第1アウトバルブ128または第2アウトバルブ130)を開弁して、閉弁したインバルブが配設される管路のブレーキ液をリザーバ装置132に導入する。これによって、閉弁したインバルブが配設される管路に接続されるホィールシリンダ(32FR,32RL,32RR,32FL)に供給されるブレーキ液圧が減圧して当該ホィールシリンダが備わる車輪に付与される摩擦制動力Poilが減少する。そして、スリップ車輪に付与される摩擦制動力Poilが減少する。
【0085】
さらに制御手段150は、摩擦制動力Poilが減少した車輪(スリップ車輪)の車輪速が他の車輪の車輪速と等しくなったと判定したとき、閉弁しているインバルブ(第1インバルブ120または第2インバルブ124)を開弁し、閉弁しているアウトバルブ(第1アウトバルブ128または第2アウトバルブ130)を閉弁する。これによって、ブレーキ液圧が減圧しているホィールシリンダ(32FR,32RL,32RR,32FL)に供給されるブレーキ液圧が昇圧し、当該ホィールシリンダが備わる車輪(スリップ車輪)に付与される摩擦制動力Poilの減少が解消されて摩擦制動力Poilが増大(回復)する。
【0086】
このように、制御手段150は、スリップ車輪が生じたと判定するとモータシリンダ装置16およびVSA装置18を制御してアンチロック制御を作動し、スリップ車輪に付与される摩擦制動力Poilを減少および増大(回復)することによってスリップ車輪のスリップを解消する。したがって、本実施形態においては、VSA装置18と、VSA装置18を制御してアンチロック制御を作動させる制御手段150を含んでアンチロック制御手段が構成される。
なお、制御手段150は、アンチロック制御の作動中に適宜ポンプ136を駆動して、リザーバ装置132に導入されているブレーキ液を第2共通液圧路114から第1共通液圧路112に供給する。
【0087】
また、アンチロック制御の作動時にEDCが作動する構成の場合、電動機200(またはエンジン)およびエンジンコントロールユニット(図示せず)等を含んで構成されるアンチロック制御手段としてもよい。
この場合、制御手段150は、アンチロック制御を作動するときにエンジンコントロールユニット等に指令を与えて電動機200(またはエンジン)のトルクを調節する構成とすればよい。さらに、制御手段150は、電動機200(またはエンジン)のトルクの調節によって生じる制動力を考慮した摩擦制動力Poilが各車輪(右側前輪WFR,左側後輪WRL,右側後輪WRR,左側前輪WFL)に付与されるようにVSA装置18を制御する構成とすればよい。
【0088】
図3(a)は制動時における車速の変化を示すグラフ、
図3(b)は車両に発生する摩擦制動力の変化を示すグラフ、
図3(c)は車両に発生する回生制動力の変化を示すグラフである。
また、
図3(a)は縦軸が車速(VC)、横軸が時間(Tim)を示し、
図3(b)は縦軸が摩擦制動力Poil、横軸が時間(Tim)を示し、
図3(c)は縦軸が回生制動力Pmot、横軸が時間(Tim)を示す。
なお、
図3(b)に示す摩擦制動力Poilおよび、
図3(c)に示す回生制動力Pmotは、それぞれ、車両に生じる摩擦制動力Poilと回生制動力Pmotの全体を示している。
以下、適宜
図1〜3を参照して、車両に生じる制動力(摩擦制動力Poil,回生制動力Pmot)と、車速と、の変化を説明する。
【0089】
図3(a)に示すように、車両が車速V1で走行しているときに、時刻t0で運転者がブレーキペダル12を踏み込み操作すると、制御手段150は、ブレーキ操作量に応じて要求制動力Preqを算出する。さらに、制御手段150は、
図2(b)に示すように回生制動力Pmotと摩擦制動力Poilを各車輪(右側前輪WFR,左側前輪WFL,右側後輪WRR,左側後輪WRL)に付与して、つまり、回生制動力Pmotと摩擦制動力Poilを併用して、要求制動力Preqとなる制動力を車両に発生させて車速を減速する。
【0090】
また、制御手段150は、前記したように、車輪速センサ35a〜35dから導入される計測信号に基づいて各車輪の車輪速を取得する。そして、制御手段150は、例えば時刻t1でいずれかの車輪のスリップ率が所定値より大きくなったと判定すると(少なくとも1つのスリップ車輪が生じたと判定すると)アンチロック制御を作動する。
【0091】
制御手段150は、時刻t1でアンチロック制御を作動(アンチロック制御の減圧制御)すると、ブレーキ操作量に基づいて設定した要求制動力Preqを摩擦制動力Poilの目標値に置き換え、目標値(つまり、要求制動力Preq)となる摩擦制動力Poilを発生させるブレーキ液圧を設定するとともに、モータシリンダ装置16を制御して、設定したブレーキ液圧を発生させる。これによって、時刻t1でモータシリンダ装置16で発生するブレーキ液圧が上昇し、VSA装置18の第1共通液圧路112のブレーキ液圧が上昇する。第1共通液圧路112のブレーキ液圧は、回生制動力Pmotを発生させないとして要求制動力Preqを発生させる場合の圧力まで上昇する(
図3(b)に太い破線で図示)。
一方、制御手段150は、
図3(c)に示すように、駆動輪(右側前輪WFR,左側前輪WFL)に付与されている回生制動力Pmotをそのまま維持する。したがって、車両に生じている回生制動力Pmotは一定に維持される(回生制動力Pmotは減少されない)。つまり、制御手段150(アンチロック制御手段)は、アンチロック制御の作動中に回生制動力Pmotを一定に維持する。これによって、アンチロック制御の作動中は、モータシリンダ装置16が動作してブレーキ液圧が上昇しても回生制動力Pmotは減少しない。そして、アンチロック制御の作動中に、モータシリンダ装置16はブレーキ液圧(作動圧)を増圧または減圧する。なお、仮にモータシリンダ装置16がブレーキ液圧を増圧して車輪のスリップ率が所定値を超えた場合でも、アンチロック制御によって車輪がロックすることを防げる。
【0092】
なお、このとき、回生制動力Pmotと摩擦制動力Poilで発生する制動力が要求制動力Preqを超える場合がある。しかしながら、車輪のスリップ率の低下が過大になるとアンチロック制御によって摩擦制動力Poilが減少する。したがって、過大な制動力は発生しない。
【0093】
また、制御手段150は、時刻t1でモータシリンダ装置16によってブレーキ液圧を発生させることなく、回生制動力Pmotを一定に維持してもよい。
この構成とすることで、モータシリンダ装置16がブレーキ液圧を増圧する場合よりも過大な制動力が発生しない。
【0094】
なお、制御手段150は、アンチロック制御の作動中に、非駆動輪(左側後輪WRL,右側後輪WRR)に付与される摩擦制動力Poil相当(摩擦制動力Poilに相当する制動力)を、駆動輪(右側前輪WFR,左側前輪WFL)に付与する回生制動力Pmotから減じる構成であってもよい。この構成とすることで、アンチロック制御が作動するときに付与される回生制動力Pmotが減少し、過大な制動力の発生が抑制される。
【0095】
そして、制御手段150は、スリップ車輪にブレーキ液を供給する管路(第1共通液圧路112)に配設されるインバルブ(第1インバルブ120または第2インバルブ124)を閉弁するとともに同じ管路に配設されるアウトバルブ(第1アウトバルブ128または第2アウトバルブ130)を開弁する。
【0096】
アウトバルブ(第1アウトバルブ128または第2アウトバルブ130)の開弁によって、当該アウトバルブが配設されている管路のブレーキ液がリザーバ装置132に導入されるため当該管路のブレーキ液圧が低下する。このことによって、スリップ車輪に付与される摩擦制動力Poilが減少し、
図3(b)に実線で示すように、車両に生じる摩擦制動力Poilが減少する(時刻t1→時刻t2)。
【0097】
制御手段150は、車輪速センサ35a〜35dで計測された計測信号で各車輪の車輪速を監視し、スリップ車輪の車輪速が他の車輪の車輪速と同じになるまでこの状態を維持する。制御手段150は、スリップ車輪の車輪速が他の車輪の車輪速と同じになったと判定したら(時刻t2)、閉弁しているインバルブ(第1インバルブ120または第2インバルブ124)を開弁し、さらに、開弁しているアウトバルブ(第1アウトバルブ128または第2アウトバルブ130)を閉弁する。なお、制御手段150は、インバルブやアウトバルブが実際に開閉動作しないうちに時刻t2で車輪のスリップが解消したと判定した場合にもインバルブを開弁してアウトバルブを閉弁する(制御手段150は、開弁する指令をインバルブに与え、閉弁する指令をアウトバルブに与える)。
【0098】
開弁したインバルブが配設される管路に備わるホィールシリンダ(32FR、32RL、32RR、32FL)には、第1共通液圧路112において、要求制動力Preqを発生させる圧力に維持されているブレーキ液圧が供給される。このことによって、スリップ車輪のホィールシリンダには、要求制動力Preqを発生させるブレーキ液圧が供給される。
【0099】
しかしながら、時刻t2での状態は、アンチロック制御で摩擦制動力Poilが減少した状態である。また、インバルブが開弁して第1共通液圧路112からホィールシリンダまでブレーキ液が流通するのに所定の時間を要する。このため、
図3(b)に実線で示すように、車両に生じる摩擦制動力Poilが要求制動力Preqに上昇するまでに所定の遅れ時間Dtim(時刻t2から時刻t3までの時間)が生じる。
また、例えば、制御手段150が摩擦制動力Poilを増大させるときに、この増大よりも早く回生制動力Pmotを減少させると、車両に生じる制動力が要求制動力Preqよりも小さくなってしまう。
つまり、時刻t2から時刻t3の間では、車両に生じる摩擦制動力Poilが要求制動力Preqより低くなる。そこで、本実施形態の制御手段150は、遅れ時間Dtimにおいては摩擦制動力Poilが要求制動力Preqに不足する制動力を補填するように回生制動力Pmotを発生させる。
【0100】
具体的に制御手段150は、時刻t2において、摩擦制動力Poilと回生制動力Pmotの併用で要求制動力Preqが車両に生じるように回生制動力Pmotを発生する。このことによって、路面の摩擦係数が低い状態(低μ)から、摩擦係数が高い状態(高μ)に急変するような場合に過大な制動力が発生すること、が抑制される。その後、制御手段150は、車両に生じる摩擦制動力Poilの上昇に応じて時刻t3まで回生制動力Pmotを減少させる。例えば、制御手段150は回生制御装置201に指令を与え、電動機200による回生電力の発電量を低下させるなどして回生制動力Pmotを減少させる。
【0101】
このとき制御手段150は、所定のパターンに沿って回生制動力Pmotが減少するように回生制御装置201に指令を与える。
例えば、遅れ時間Dtimで回生制動力Pmotを減少させる形態(パターン)が、時刻t2に車両に生じている摩擦制動力Poilと、ブレーキ操作量(要求制動力Preq)と、に対応して実験計測等によって予め決定され、決定されたパターンが制御手段150の図示しない記憶部(ROM)にデータとして記憶されている構成とすればよい。
【0102】
アンチロック制御が作動した状態でスリップ車輪の車輪速が他の車輪の車輪速と等しくなる時刻t2で、アンチロック制御の作動によって所定の摩擦制動力Poil(固定値)が車両に生じる構成とすれば、時刻t2におけるブレーキ操作量(要求制動力Preq)と、時刻t2でインバルブが開弁してから車両に生じる摩擦制動力Poilが要求制動力Preqまで上昇するのに要する遅れ時間Dtimと、の関係は実験計測等で容易に求めることができる。そして、回生制動力Pmotが遅れ時間Dtimで「0」になるように漸減するパターンをブレーキ操作量ごとに実験計測等で決定すればよい。
【0103】
図4は回生制動力を減少させるパターンの一例を示す図であり、横軸が時間(Tim)、縦軸が制動力(BF)を示す。
図3(b)に示す時刻t2における要求制動力Preqが高いほど、摩擦制動力Poilが要求制動力Preqまで上昇するのに要する時間(遅れ時間Dtim)は長くなる。したがって、回生制動力を減少させるパターンは、
図4に示すように、時刻t2における要求制動力Preqが高いほど時刻t2から時刻t3までの時間が長くなり、要求制動力Preqが高いほど、時刻t2から長い時間を要して回生制動力Pmotを「0」まで減少するパターンとなる。このように、回生制動力Pmotを減少させるパターンは、時刻t2における要求制動力Preqに対応して決定され、要求制動力Preqの違いに応じて異なった形態になる。
【0104】
そして、制御手段150は、
図3(c)に示すように、スリップ車輪の車輪速が他の車輪の車輪速と等しくなったと判定した時刻t2で、閉弁しているインバルブ(第1インバルブ120または第2インバルブ124)を開弁するとともに、開弁しているアウトバルブ(第1アウトバルブ128または第2アウトバルブ130)を閉弁する。さらに制御手段150は、時刻t2における要求制動力Preqに対応するパターンを
図4に示すデータ(グラフ)から選択し、選択したパターンに沿って時刻t3まで回生制動力Pmotを減少させる。
【0105】
これによって、アンチロック制御が作動してスリップ車輪の車輪速が他の車輪の車輪速と等しくなる時刻t2以降は、要求制動力Preqとほぼ等しい制動力が車両に生じる。つまり、時刻t2から時刻t3までは摩擦制動力Poilと回生制動力Pmotの併用によって要求制動力Preqとほぼ等しい制動力が車両に生じ、時刻t3以降は摩擦制動力Poilによって要求制動力Preqが車両に生じる。このため、時刻t2以降は、ブレーキ操作量に対応した要求制動力Preqとほぼ等しい制動力が車両に生じることになり、ブレーキペダル12を踏み込み操作している運転者が感じる違和感が軽減される。また、車両に生じる制動力の不足が回避される。
【0106】
また、本実施形態の制御手段150は、アンチロック制御を一度作動すると、車輪のスリップが解消するまでアンチロック制御を作動させる。したがって、制御手段150は、スリップ車輪の車輪速が他の車輪の車輪速と等しくなったときや、全ての車輪の車輪速が車速に対応した車輪速になったときにスリップ車輪のスリップが解消したと判定する(時刻t2)。そして、制御手段150は、スリップ車輪のスリップが解消したと判定したとき、アンチロック制御を作動した状態(アンチロック制御の増圧制御)で摩擦制動力Poilを高めて回生制動力Pmotを減少させる。
これによって、時刻t3以降にスリップ車輪が生じた場合、制御手段150は摩擦制動力Poilを増減することによって好適にスリップ車輪のスリップを解消できる。
【0107】
以上のように、
図1に示す本実施形態の車両用ブレーキシステム10は、モータシリンダ装置16で発生するブレーキ液圧による摩擦制動力Poilと、電動機200が回生電力を発電することによる回生制動力Pmotと、を併用して各車輪(右側前輪WFR,左側後輪WRL,右側後輪WRR,左側前輪WFL)に制動力を付与する。
また、少なくとも1つの車輪のスリップ率が所定値より大きくなってスリップ車輪が生じるとアンチロック制御が作動して車両の安定性が確保される。アンチロック制御が作動すると車輪のスリップを解消するためにスリップ車輪の摩擦制動力Poilを減少させる。そして、当該車輪のスリップが解消したら減少している摩擦制動力Poilを運転者が要求する要求制動力Preqまで増大(回復)させる。
【0108】
このとき、本実施形態の車両用ブレーキシステム10では、摩擦制動力Poilが要求制動力Preqまで上昇する間に不足する制動力が回生制動力Pmotで補填される。このことによって、アンチロック制御による摩擦制動力Poilの減少が解除された後は、摩擦制動力Poilと回生制動力Pmotの併用によって、速やかに要求制動力Preqに相当する制動力が車両に発生する。したがって、ブレーキペダル12を踏み込み操作している運転者が感じる違和感が軽減する。
【0109】
なお、本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更が可能である。
例えば、
図1に示す制御手段150がアンチロック制御を作動しているときに少なくとも1つのスリップ車輪のスリップ率が所定値以下になった場合に、制御手段150がVSA装置18のサクションバルブ142とレギュレータバルブ116を閉弁し、さらに、モータシリンダ装置16に指令を与えてモータシリンダ装置16が発生するブレーキ液圧を減圧する構成としてもよい。
この構成の場合、サクションバルブ142およびレギュレータバルブ116は、モータシリンダ装置16と第1共通液圧路112の間に備わる遮断弁として機能する。そして、制御手段150は、モータシリンダ装置16と第1共通液圧路112の間に備わる遮断弁を閉弁して、モータシリンダ装置16から第1共通液圧路112へのブレーキ液圧の供給を遮断する。
また、制御手段150がアンチロック制御を作動しているときに、少なくとも1つのスリップ車輪のスリップ率が所定値より大きくなった場合、制御手段150が、モータシリンダ装置16で発生しているブレーキ液圧を低下させる(摩擦制動力Poilを低下させる)、および/または、回生制動力Pmotを低下させる構成であってもよい。
【0110】
サクションバルブ142とレギュレータバルブ116の閉弁によって、モータシリンダ装置16が発生する油圧をVSA装置18の第1共通液圧路112に供給する油圧供給路が閉鎖される。したがって、モータシリンダ装置16が発生するブレーキ液圧が減圧してもVSA装置18の第1共通液圧路112におけるブレーキ液圧は減圧しない。そして、制御手段150は、閉弁しているインバルブ(第1インバルブ120または第2インバルブ124)を開弁するとともに開弁しているアウトバルブ(第1アウトバルブ128または第2アウトバルブ130)を閉弁して、第1共通液圧路112のブレーキ液をホィールシリンダ(32FR,32RL,32RR,32FL)に供給する。
【0111】
さらに、制御手段150は、VSA装置18のポンプ136を駆動してリザーバ装置132に導入されているブレーキ液を第1共通液圧路112に送り込んで第1共通液圧路112のブレーキ液圧を昇圧する。これによって、ホィールシリンダ(32FR,32RL,32RR,32FL)に供給されるブレーキ液圧が昇圧し、車両に発生する摩擦制動力Poilが増大する。
【0112】
このような構成であっても、第1共通液圧路112からホィールシリンダまでブレーキ液が流通するのに遅れ時間Dtimが生じ、ひいては、車両に生じる摩擦制動力Poilが要求制動力Preqに上昇するまでに遅れ時間Dtimが生じる。したがって、遅れ時間Dtimにおいて摩擦制動力Poilが要求制動力Preqに不足する制動力を補填するように回生制動力Pmotが発生する構成であることが好ましい。
【0113】
また、本実施形態では
図1に示す前輪(右側前輪WFR,左側前輪WFL)が駆動輪、後輪(右側後輪WRR,左側後輪WRL)が非駆動輪としたが、後輪が駆動輪で前輪が非駆動輪の車両に本発明を適用することも可能である。