(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記セクション(4)の前記第1の相変化材(7)の熱エネルギーを増加し、そして前記セクション(4)の前記第1の相変化材(7)から選択的に、熱エネルギーを回収するものであり、それぞれが、高温で高火力の排ガス(2)を生成する産業プロセスのフェーズ、および前記高温で高火力の排ガス(2)を生成するフェーズの後に続く産業プロセスのフェーズにおいて、構成されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
前記排ガス(2)が高温で高火力で生成される、前記産業プロセスのフェーズの期間において、前記セクション(4)の前記第1の相変化材(7)の熱エネルギーを増加させ、
前記排ガス(2)が高温で高火力で生成される、前記産業プロセスのフェーズの後に続く前記産業プロセスのフェーズの期間において、前記セクション(4)の前記第1の相変化材(7)から熱エネルギーを回収することを特徴とする請求項13又は14に記載の方法。
【背景技術】
【0005】
増加し続けるエネルギーコストと、代替資源や回収エネルギーから熱及び電気の生産を奨励する様々な国の規則は、数多くの産業プロセスから発生する高い熱量を有する排ガスから熱エネルギーを回収する技術の開発を、長年にわたり促進し続けてきた。エネルギー回収技術は、外部ユーザー装置に供給するため、あるいは高温のガスを発生するプロセスの効率を向上させるために用いられ、この技術を使用することで、1製品又は1サービス当たりに使用されるエネルギーである、エネルギー係数を減少させる。
【0006】
装入原料や、燃焼室の燃焼を持続させる物質を予熱したり、低温及び中温で化学プロセスを開始するために、燃焼又は化学反応工程で高温のガスの熱エネルギー回収を行う装置が知られている。
【0007】
また直接熱交換を行う熱エネルギー回収装置も知られており、この種の装置では、電力及び/又は熱エネルギーを生成するために、低/高温予熱に必要な熱を装置に直接供給する熱媒流体として空気、水、透熱性油や蒸気が用いられる。
【0008】
蓄熱体(水、蒸気、油)として機能するタンクからなる汎用のユーザー装置に供給するため、温度と火力の変動を抑制する技術が知られている。
【0009】
ある公知技術に、例えば太陽熱エネルギーの分野において、熱媒流体および蓄熱体として溶融塩を使用しているものがある。
【0010】
象徴的であり限定するものでは無い例であるが、電気製鋼所においては、ガスの形で散逸するエネルギーの総量は、エネルギーの総投入量の約38%であると言われている。
【0011】
全体のエネルギーの約21%は排ガスから熱回収され、残りは、空気中に放出されるか又はガス浄化ラインに沿って散逸する。
【0012】
公知のエネルギー回収装置の一つに、内部に熱媒流体を流しながら外部装置に直接熱供給を行う直接交換器を採用したプロセスガスの熱回収装置がある。直接交換器は、温度変化とガス流量により変化する熱流を生成する。
【0013】
直接交換装置のデメリットは、熱交換器及び外部装置の大きさが熱流の最大値に対応するものでなければならないという点にあり、平均的な利用効率が低くなると発電機が最適な平均性能よりも低い出力で動作する可能性もある。
【0014】
装置に供給する熱流の変化を抑制する公知技術の一つに蓄熱器(アキュムレーター)があるが、特に高圧に耐えうるよう建設される場合は、非常に高価であるというデメリットがある。
【0015】
蒸気アキュムレーターにおいて、流量を可変にして、生成した蒸気を移送し、外部ユーザー装置への蒸気供給のばらつきを低減する技術も知られている。
【0016】
回収される火力のばらつきを抑えるための公知技術として、熱回収システムに追加的に加熱する装置を一体化させた技術も知られている。この場合、より大きなプラントシステムが前提となり、従来燃料に、非常に大きくかつ総合的に依存し、又は回収の経済性に悪影響を及ぼす方向性を持つ。
【0017】
電気炉の装入バスケット内のスクラップ(装入物)を予熱するという、効果的な一つの解決策がある。この場合、バスケットの搬送によりプラント構成が複雑化することに加えて、低融点装入物が生じることに起因して炉の機能と生産性を悪化してしまうという、技術的課題も残る。この他にも、予熱ガスにダイオキシンが存在する可能性、ガスの後燃焼システムを必要とするような予熱された装入物の組成により生じる有害な副生成物につながる環境問題も生じうる。
【0018】
擬似空気で希釈した後、低温(300℃―350℃)で補助バーナーを用いることなく、スクラップに与えられた熱を利用して、排ガスの顕熱回収を実施することで、高温で予熱することによる装置の複雑化の問題は回避される。しかしながら、最大の省エネルギーを達成するのに最適とされる条件(600℃―650℃)からはほど遠いものとなる。
【0019】
状況の改善、すなわち、既存の設備を改訂する場合、予熱システムを採用するには、搬送とプラント設計が明らかに難しくなるため、この技術の広がりは限定されてしまう。
【0020】
当回収システムは、ガスの流量と温度が適切に活用され、溶銑サイクルタイム(tap−to−tap)があきらかに70分を超えるような、高い生産性を有するプラントにおいては、興味を持たれるものである。
【0021】
共通の電極シャフトシステムを有する2つのシェルを備えた電気炉による「ツインシェル(Twin Shell)」プロセスと呼ばれる技術が知られている。このタイプのプロセスでは、装入物が第1のシェルで融解されている間に別のスクラップを積んだバスケットが第2のシェルに搬送され予熱され、第1のシェルがタップに移動するときに第2のシェルで融解が開始される。一般に、装入原料を融解する炉からのガスは、ローディングが行われている炉に送られる。しかしながら環境問題のため、この場合も予熱を行うバーナーの使用が時に必要となる。
【0022】
直流電流(DC)が供給されるアーク炉、いわゆる「Contiarc」炉も知られており、そこでは、融解される金属装入物は、下部の融解速度と等しい速度で、連続してシェルの上部から投入される。そして、このスクラップ(金属装入物)が降下する間にスクラップと、スクラップを予熱するために供給される上昇ガスとが衝突する。
【0023】
また、直流電流(DC)で供給される他の電気炉(いわゆる「Comelt」)は、隣接する(傾向がある)融解体から発生するガスを使用する垂直な予熱シェルを提供する。
【0024】
例えば、シェル炉又は「シャフト炉」は水冷され、融解炉より上に配置された補助シェル(又は交互に2つのシェルが使用される)を使用し、そこでスクラップを予熱するガスが生成される。この構成においても、酸素−燃料バーナーは、ガスにより放出される顕熱を集積するために設けられる。
【0025】
ダウンタイムを含めた溶銑サイクルタイムを短縮するため、融解炉への搬送技術が進歩し、いわゆる「CONSTEEL(登録商標)」と呼ばれる連続供給設備が開発された。この設備では、スクラップは電気アーク炉からの高温度の排ガスにより、ベルトコンベヤー上で予熱される。これにより、必要とされる電力の約10%を減少させ、生産性を向上させる。
【0026】
熱目的のみのエネルギー回収については、工業分野では熱量の小さい熱エネルギーは経済的重要性が低いことを考慮すると、地域暖房においては実用可能である。換言すれば、これらの廃熱のエネルギーを近くの産業施設又は民間施設に輸送する必要がある。
【0027】
その他の回収プロセスとしては、工業的にはまだ実現していないが、高融点の相変化材(PCM)(例えば約1083℃で融解する銅)をベースにしたものが知られている。この技術は、炉から放出される排ガス中の熱エネルギーを相変化材に蓄積し、水素を発生させるため、メタンの水蒸気改質の吸熱反応の熱源として機能させるものである。
【0028】
製鋼所で使用されるアーク炉は、通常、複雑で大規模なエネルギー散逸用の冷却装置を必要とする大規模水冷システムを備えることを特徴とすることが知られているが、それらは熱回収をまったく行わない。
これらの冷却システムは、融解炉の天井部分のシェルの上部にあり、融解炉の第4の孔から浄化システムまでガスを送る配管の第1区画に配置されており、それらの目的は、シェルを保護し、保護される耐火物及び冷却された金属部の摩擦を減少させることである。
【0029】
公知のエネルギー回収技術は、熱媒流体として熱水と蒸気が使用されるが、これらは、熱特性が低く、比較的に低温、低圧であり、排ガスの熱流量にばらつきがあるため、その性能は制限されてしまう。
【0030】
電気アーク炉における公知のエネルギー回収技術の他の欠点は、これだけでは無いが、最大負荷を想定して装置の大きさが決定されるという問題があり、二重に非効率なことに、大抵の場合初期投資の一部しか使用されないことと、公称出力の平均的削減との関係でエネルギー回収率が制限されてしまうこととが関連している。
【発明を実施するための形態】
【0056】
添付の図面に示されるように、本発明に従って製造される装置1は、相変化材を用いて熱エネルギーを輸送する装置1であって、産業プロセスからの高温の排ガス(OG)が通過する一つ以上の収容(閉じ込め)チャンバ又は流路/配管に接続されている。
100℃以上の排ガス(OG)の特性は、各瞬間の流量(flow rate)(Q
og、τ)、温度(t
og、τ)、及び熱流(heat flow)又は火力(heat power)(Φ
og、τ)の値の分布により表される。
特に、周期的又は断続的なプロセス(τ
p)の場合、排ガス(OG)の特性は、流量(Q
og,med)、温度(t
og,med)及び火力(Φ
og,med)のメディアン値により表される。
【0057】
装置は、2つ以上のセクション(SEC
n)からなる。各セクションは、一つ以上の熱交換モジュール(MOD
m)からなる。
【0058】
各熱交換モジュール(MOD
j)は、排ガス(OG)と直接接触して置かれ、実作動温度で、大きな機械抵抗及び耐摩耗性を有する金属のコンテナ/交換器(container/exchanger)(CS)を含む。
【0059】
コンテナ/交換器(CS)は、中空形状で、側壁により容積が規定されており、高い熱拡散率、即ち、10
―7m
2/s以上(例えば10
―6m
2/s以上)、を有する第1の相変化材からなる第1の充填体が挿入されている。以下、ここでは「伝熱材(transfer material」という用語で表す。
伝熱材(PCM
d)は、相転移温度(t
d,fus)により特徴付けられ、その温度は、考え得る実施形態において、排ガス(t
og,med)の温度のメディアン値に等しいか、ほぼ等しいか、上回るか、又は下回る場合がある。
【0060】
コンテナ/交換器(CS)の機能は、高い熱伝導率の壁により高温のオフガス(OG)と熱流(Φ)を交換し、伝熱材(PCM
d)に熱流を送り、その内部に「急速に」熱流を拡散させることである。
【0061】
伝熱材(PCM
d)と接触又は浸漬させて、熱交換器(回収交換器(SE)と称す)は、送り配管及び戻り配管に接続されて配置される。
セクション(SEC
i)に属する熱交換モジュール(MOD
m)の送り配管及び戻り配管は、最も完全な構成では、「セクション分配回路」(D
sec)という名前の共通の送り配管及び戻り配管により、互いに接続されている。
【0062】
いくつかの簡略化した実施例では、回路は戻り回路なし(開回路)で送り回路のみである。
【0063】
分配回路(D
sec)の方式は、熱交換の技術論に対応しており、熱交換モジュール(MOD
m)の送り配管及び戻り配管に対し、それぞれ同格に、並列、直列又はグループ構成のいずれかである。
【0064】
セクション分配回路(D
sec)は、「装置の供給回路」(D
app)という名称の、並列の接続回路によって外部ユーザー装置(UE)に順に接続されている。外部ユーザー装置(UE)は、本装置の技術的能力によってサイズを決定してもよく、条件付きの性能で既存のものであっても良い。
【0065】
セクション分配回路(D
sec,i)及び回収交換器(SE)内部において、熱媒流体(FT)は、流量(Q
ft)で流れ、伝熱材(PCM
d)から熱流(Φ
est)を回収する。
【0066】
熱媒流体(FT)の流量(Q
ft)の値は、セクション分配回路(D
sec)の上流下流間の駆動圧力(ΔH
mo)により確定される。
【0067】
駆動圧力(ΔH
mo)の値と、従って熱媒流体(FT)の流量(Q
ft)の値は、液体の場合は可変流量ポンプ(PO
vr)、気体の場合は、可変流量送風機(VE
vr)により得られる。
【0068】
また、流量は、ダイバータ又は混合弁を備えた固定回転のポンプ又は送風機(PO
fs又はVE
fs)、又は電気的なレギュレータ(例えばインバータ)により変更可能である。流量(Q
ft)の変更により、回収交換器(SE)内部の熱媒流体の速度(V
ft)が対応して変更される。
【0069】
伝熱材(PCM
d)と接触又は浸漬する一般的な回収交換器(SE)の壁の透過率(U
se)は、熱媒流体のliminary係数(境膜伝熱係数)(α
ft)の一般的な関数であり、またそれは、速度(V
ft)に対して増加関数となる。
【0070】
熱媒流体の流量(Q
ft)と、それ故その速度(V
ft)を変化させることにより、透過率(U
se)及び、伝熱材(PCM
d)から回収される熱エネルギーの流れ(Φ
est)は変化する。従って、上述のパラメータは流量により増加し、その逆も同様である。
【0071】
解決策の変形例においては、駆動圧力(ΔH
mo)の値は、各瞬間でゼロとなるか、又は平均してゼロとなり、故に熱媒流体の速度(V
ft)もまたゼロとなり得る。
これらの解決策においては、駆動圧力(ΔH
mo)がゼロのセクション(SEC
i)は、受動的に動作する。
【0072】
伝熱材(PCMd)の各熱物理学的状態、および排ガス(OG)の各熱力学的状態におけるセクション(SECi)について言及すると、各時刻(τ)において、排ガスの温度が伝熱材(PCM
d)の温度より高い状態にあるときは、流量(Q
ft,eq)及び熱媒流体の速度(V
ft,eq)を決定するΔH
mo,eqが存在し、”バランス状態(balanced)”と呼ばれ、熱慣性を除いて伝熱材(PCMd)の状態が変化しない。
【0073】
各時刻(τ)での平衡状態の流量(Q
ft,eq)は、排ガス(OG)から伝熱材(PCM
d)へ移される熱流(Φ
imm)と熱媒流体(FT)から回収される熱流(Φ
est)とを等しくする。即ち、伝熱材に関して、熱収支ゼロとなる(ΔΦ
τ=Φ
imm−Φ
est=0)。
【0074】
本装置の機能において、熱媒流体(FT)と接触する伝熱材(PCM
d)の物理状態は、異なる熱物理特性(伝導率その他)の固体および液体となり得る。
熱媒流体(FT)と接触する伝熱材(PCM
d)が固相か液相かどうかで、各瞬間のバランス状態の速度(V
ft,eq)は変わる。バランス状態の速度(V
ft,eq)は、固相の方が熱伝導率が高いため速くなる。
【0075】
一般的な時刻(τ)に対するこれらの考察は、サイクル(τ
p)(サイクル時間の平均値が用いられる)の周期的プロセスに応用することができる。
【0076】
本装置の各セクション(SEC
i)に対して、プロセス周期の全サイクル時間(τ
p)について考えると、平均流量(Q
ft,med)と熱媒流体の速度(V
ft,med,p)が存在し、排ガス(OG)から取り出した全エネルギーに等しい全エネルギー(Φ
est,eq)を伝熱材から回収し、サイクルの最初の状態に戻ることなる。全プロセス時間(τ
p)において、熱媒流体の速度(V
ft)をバランス状態の平均速度より高く設定すると(V
ft,med>V
ft,eq,p)、伝熱材(PCM
d)全体が冷却することとなり、初期において融解している場合、その凝固を進行させる。一般に、伝熱材からの熱エネルギーの回収は、「アンローディングフェーズ」と呼ばれている。反対に、時間(τ
p)において、バランス状態の平均速度より低く(V
ft,med>V
ft,eq,p)、場合によってはゼロに設定すると、伝熱材(PCM
d)全体が加熱されることとなり、もし、初期において固相状態であると、その融解を進行させる。一般に、伝熱材(PCM
d)の熱エネルギーの増加は、「ローディングフェーズ」と呼ばれている。
【0077】
特に、限定するものでは無いが、回収の流量と、その流量を適用する時間を用いて、相転移のエンタルピーを用いれば、全ての伝熱材を完全に凝固させた「完全なアンローディングフェーズ」を確定することができる。
その後、時間経過後、同じく相転移のエンタルピーを用いれば、流量値を減少させることにより、たとえ初期に固相であっても、完全に融解させた「完全なローディングフェーズ」を確定することができる。
2つの完全な逆相の組合せは「完全転移サイクル」と呼ばれており、完全な融解及び完全な凝固を備えたサイクルを意味する。
【0078】
制御方法の変形例は、伝熱材について一部分に凝固および融解を限定する「部分転移サイクル」のために、本装置の各セクション(SEC
i)の熱媒流体(FT)の流量および適用時間(τ)を制御するものである。
【0079】
時間とともにローディング及びアンローディングフェーズを交互に行うことによって、一定な温度を特徴とする、伝熱材の相転移の連続状態を確定することができる。
【0080】
方法の他の変形例は、アンローディングフェーズの間は伝熱材を凝固温度より低い温度に、そして、ローディングフェーズの間は融解温度より高い温度にすることである。
この機能構成では、伝熱材の単位質量当たりに交換される熱エネルギーは、上記他の方法より大きくなる。この機能モードは「超転移サイクル」と呼ばれている。完全及び部分転移サイクルは、一定温度で起こる。超転移サイクルにおいては、伝熱材の温度は、相転移温度とは異なる温度になる。
【0081】
上記全ての機能構成において、各セクションは、高温で相当量の熱エネルギーを蓄積するものであり、特に一般的な外部ユーザー装置の利用に有用である。
【0082】
本装置の個々のセクションに関して言えば、エネルギーの抽出量を交互に入れ替えることは、もしも外部ユーザー装置へ直接供給した場合には、ユーザー側で部分的にしか利用できないというような経済的問題や、利用効率が平均的に限られていることによる技術的問題を生じさせる。
【0083】
我々は、本装置において2つ以上のセクションの構成とすること、本発明による流量を制御する方法が、どのように上記の問題を解決することができるかについて説明する。
【0084】
採用する方法は、本装置の重要な特性を活用するものであり、独立したモードで、熱媒流体(FT)の流量(Q
ft)に作用することにより、各セクション(SECi)の機能を制御するものである。
【0085】
簡単のため、同じ構成及び特性を有する2つのセクション(SEC1及びSEC2)が、排ガス(OG)に並列に浸漬されている装置について考慮する。
【0086】
2つの異なる機能のフェーズ(フェーズa及びフェーズb)は交互にかつ連続して設定され、ローディング及びアンローディングフェーズに関して「反対」に同時に機能するよう強制する。
【0087】
フェーズaにおいて、SEC1は、熱媒流体の速度を平均バランス速度(mean balance speed)より低く(V
ft,med<V
ft,eq,p)、また場合によってはゼロ値(V
ft,med=0)とすることにより、加熱(ローディング)を進行し、伝熱材全体を、部分にあるいは完全に融解し、場合によっては、さらに続けて過熱(superheating)する;それと同時に、SEC2は、熱媒流体の速度を平均バランス速度より高く(V
ft,med>V
ft,eq,p)して冷却を進行し、部分に或いは完全に凝固させ、場合によっては、固相状態の伝熱材全体をさらに続けて冷却する。
【0088】
フェーズbにおいては、フェーズaが完了すると、2つのセクションの流量値及び速度を逆転し、熱バランスの符号をその前の状態に対して逆にし、正反対の動作を確定し、その結果、ローディングフェーズにあったセクション1はアンローディングフェーズに移行し、前の段階でアンローディングフェーズにあったセクション2はローディングフェーズに移行する。
【0089】
各セクションのローディングフェーズ及びアンローディングフェーズの時間は、熱媒流体の流量及び相変化材の全熱容量(相変化材の種類及び重量)に依存する。
【0090】
基本的な本発明の特徴は、2つのセクションにより回収された2つの熱量は、外部ユーザー装置に並行して輸送され、したがってそれぞれが足し合わされて外部ユーザー装置に供給されるということである。
【0091】
本装置は、2つのセクションから構成されており、セクション1で回収された熱(Φ
1a)とセクション2で回収された熱(Φ
2a)、それぞれは平均値(Φ
med、p)よりも大きい値および小さい値となる、を足し合わせて、フェーズaの状態のユーザー装置に供給し;フェーズbの状態においては、これらの2つの回収された熱は、その値は逆転するが、両者の合計(Φ
tot)は不変である。
【0092】
従って、2つのセクションからなる本装置の特色は、外部ユーザー装置に対して「交換可能」な特性を有して機能できるということである。
外部ユーザー装置に供給する全熱流量を変化させることなく、異なる熱物理状態を誘導することによって、2つのセクションにより回収される熱流を変えることが可能である。
【0093】
ローディング及びアンローディングフェーズを連続して交互に行うことにより、異なる種類のサイクルにおいても、排ガスが一定でも、変化しても、あるいは断続的でも、本装置は、回収した熱量をほとんど一定して供給でき、外部ユーザー装置(タービン、熱交換機など)にとって有益かつ最適なものとなる。
【0094】
熱量と温度がほぼ一定の特性を持つエネルギー流は、公知装置の技術的経済的な非効率を防止するのである。
【0095】
本装置は、このように構成されており、いかなる場合も、ユーザー装置の要求に応じて、火力可変に制御することができる。
【0096】
より一般的な状況において、本セクションは、伝熱材のサイズ、種類、量等により、異なる特性を備えることができ、或いは、その機能の論理を変えることなく、並列とする代わりに直列に配置したり、組み合わせた構成で配置することも可能である。
【0097】
本装置は、3つのセクションで構成することができ、第3のセクションは全体的な調整特性を改善するために設けられる。
最初の2つのセクションは、前述のように機能する一方、第3のセクションは、外部ユーザー装置に送るために回収された熱流を微調整するための統合役として、そして、他の2つのセクションのアンローディング及びローディング時間を確定するために介在するものであり、高い制御柔軟性を有している。
【0098】
本装置が4つのセクションからなる場合、2つはローディングで、もう2つはアンローディングで作動できる。4つ以上の数のセクションの場合も、前述の事柄はあてはまる。
【0099】
断続的および周期的サイクルが存在する場合、例えば、或る限られた期間に排ガスの熱量が集中する場合、または排ガスの温度や熱量が大きく変化するサイクルがある場合は、数個のセクションを備えた装置を設置することが有利である。
その場合、排ガス(OG)が高温で高い火力を有しているプロセスフェーズの期間に、排ガス(OG)があると、全てのセクションにおいて同時にローディングフェーズが起こり、他方、その後の全サイクルに亘る期間、或いは、より低い温度および火力の排ガス(OG)を処理する期間においては、アンローディングフェーズが起こるものであるが、回収された熱流(その量は限られているものの時間的に配分されて)、連続的に得ることができる。
【0100】
上述と同じ目的は、1つのセクションによっても得ることはできる。しかし、所望の特性の熱流を回収するという目的で制御するには、同等の動作信頼性と柔軟性を得ることはできない。
【0101】
セクションの数(2つであるかそれ以上であるか、)は、排ガスの温度および火力の範囲の変化および中断のレベル、規模、技術的および工場設計要因、および最終的には、(適切な規模の)新しいユーザー装置、或いは既存のユーザー装置での熱の吸収量に関連した特性に依存する。
【0102】
前記構成の変形例は、第1の相変化材と異なる第2の相変化材(「補助材(helper material」(PCM
h)として知られている)を使用するものである。
補助材は、第1の伝熱材(PCM
d)に浸漬されており、分離面によって第1の伝熱材から分離され、コンテナとしてだけでなく熱交換器としても機能し、内部交換器(SI)として知られている。
【0103】
一般に補助材(PCM
h)は、相転移温度が伝熱材(PCM
d)より低いこと、相転移の潜熱が高いこと、比重が「小さい」こと、重量当たりのコストが「限られている」ことが特徴である。
補助材(PCM
h)は、装置の全熱容量に寄与し、その重量及びコストを減少させる。
【0104】
一般に、補助材は、固体及び液体状態の両方において、伝導性が低いことも特徴である(例えばNaNO
3―KNO
3又はKCl―MgCl
2、その他の工業的に用いられる溶融塩)。
【0105】
補助材(PCM
h)の低い熱伝導率は、伝熱材の熱透過率を制限し、熱拡散係数を低くする。
熱透過率(U)が限られるのを防ぎ、伝熱PCMと補助PCMの間で多量の熱流を得るために、内部交換器(SI)が使用され、それぞれのコンテナ/交換器に対して交換面を大きくする(SI/CS≧1)。
低い熱拡散係数は、補助材の厚みを薄くすることで対抗することができる。
【0106】
いくつかの特定の実施形態においては、補助材(溶融塩)より低い相転移温度を有する伝熱材(例えばスズ)を採用することが可能である。ただし、装置の構造及び制御方法は変わらない。
【0107】
補助材の相転移を確定するためには、本装置のセクションを個々に制御することが必要であり、伝熱材の温度を、ほぼ補助材の相転移温度にする。
【0108】
平均温度600℃以上の排ガスかつ700℃以上のフェーズの場合、純又は合金(例えば5075MG)アルミニウムは、凝固―融解温度範囲が520―660℃であり、第1の伝熱材として用いることができ、そして、最大動作温度590℃かつ融解温度約260℃の溶融塩は、補助材として用いることができる。
590℃を超える融解アルミニウム合金の最高温度は、内部交換器(SI)の壁を、技術的に(例えば、腐食性、熱応力等の理由で)許容できない温度になることがある。
【0109】
この場合、アルミニウムと補助材との間に他の伝熱材(例えば、融解温度370℃の鉛)を、分離表面と熱交換器表面に対して挿入することにより、溶融塩が590℃を超える温度に達することなく、本装置を制御することができる。
熱電対が鉛の温度を測定し、その値に応じて回収交換器(SE)の回収熱量が制御され、過熱された融解鉛の温度が補助材の最高許容値を超えることを防ぐ。
【0110】
上記装置の構成の変形例は、回収交換器(SE)を補助材又は第2の伝熱材と接触させるものである。
【0111】
相変化材は(伝熱材および補助材ともに)、排ガスの最高温度で技術的問題(沸点を超えない、腐食、摩耗など)に陥らないよう、最適に選択される。
【0112】
熱交換器のサイズを決定する際、熱媒流体の最小速度を定めることが必要である。
ガス(空気、CO
2、蒸気など)の場合、最低速度はゼロもありえる一方、液体(熱水又は過熱水、透熱性油、溶融塩、融解金属(例えばナトリウム)、鉛又は他の低融点金属又は低融点合金(例えば鉛−錫、鉛−ビスマス、錫−ビスマスその他の共晶合金))の場合、異なる圧力での液体の沸点及び臨界機能(critical function)状態を考慮することが必要である。
溶融塩、融解金属又は融解合金の場合、腐食及びその他の問題が生じる温度にならないようにする必要がある。
透熱性油の場合、安全性及び最高温度の上限に課題がある。
過熱水の場合、局所的な蒸発及び臨界機能状態を防ぐため、異なる圧力に対し最低機能速度を確定する必要がある。
【0113】
従って、本発明における様々な変形例で構成の特徴、材料及びプラント設計を選択するための指針となる主たる技術的要素や様々な要素の機能が記載されている。
【0114】
各セクションを構成する要素は、最も複雑な構成で、第1の伝熱材(PCM
d,
1)が挿入されているコンテナ/熱交換器(CS)と、場合によっては、内部交換器(SI)にある他の伝熱材(PCM
d,
2)と、場合によっては、内部交換器(SI)にある補助材(PCM
h)と、分配回路(D
sec)および流量が可変なポンプ若しくは送風機(PO
vr又はVE
vr)に接続されている送り配管および戻り配管を備えた回収熱交換器(SE)である。
本発明に係る装置(TET)は、供給網(D
app)によって、外部ユーザー装置に並列に接続された異なるセクション(SEC
n)の組合せからなり、共通の熱媒流体(FT)は交換器及び供給網の中を流れる。
【0115】
熱流が通過する要素は、コンテナ/交換器(CS)、内部交換器(SI)及び回収交換器(SE)であり、エネルギーを蓄積及び/又は放出する要素は、伝熱材(PCM
d)、補助材(PCM
h)であり、熱流に含まれる熱を回収する要素は熱媒流体(FT)である。
【0116】
個々のセクションを制御する要素は、そのポンプ(PO
vr)又は送風機(VE
vr)である。当該装置(TET)の制御は、それらのセクションのポンプ又は送風機を、相補的にそして連動させて、全体的に制御する機能である。
排ガス(OG)は、全熱エネルギーを放出し、それは外部ユーザー装置に対し、熱量として回収時点から時間経過して放出される。
本装置はまた、様々な分布の排ガスの温度を調整する。
【0117】
本発明(TET)は、電気回路の類推によれば、「整流回路のあとのコンデンサ」のように機能するものであり、この場合コンデンサーは、熱容量を有する相変化材である。
従って、本装置は、「熱整流機」もしくは「熱ピストンを有するヒートポンプ」と称することができる。ここで、「ポンプ」とは、熱流を輸送する機能を言い、熱ピストンは、各セクション(ピストン)の融解境界が交互に入れ替わることを言う。
【0118】
本新しい装置の性能の計算式について、以下説明する。
【0119】
本発明の主要な機能は、回収(Fn
es)であり、高温度の排ガスの平均熱量(Φ
og、med)に対する回収された平均熱量(Φ
es、med)の比率により表される。
その他の条件を同じにして、オフガスとPCM
d,1の融解温度の平均値の差が大きければ大きいほど、熱エネルギー回収の熱量が大きくなる。逆にいえば、熱力学第2法則がその下位にある。
【0120】
本発明の他の機能は、排ガス(常に温度が変動する流れ)を緩和する能力であり、最高温度(t
og,max)を下げ、最低気温(t
og,min)を上げ、最大及び最低気温(Δt
og)の差を減少させる能力であると理解でき、温度の変動(VAR
t)と標準偏差(DS
t)および熱流のそれ(VAR
Φ、DS
Φ)が低減する。
【0121】
緩和機能の効率は以下の公式により表される。
Ef
mo=1−(VAR
t,out/VAR
t,in)≦1
【0122】
図1は、装置1とその機能を示す図である。本装置1は、排ガス2に接触もしくは浸漬し、そこからの熱流を、外部ユーザー装置3に輸送するものであり、工場において発電や発熱、コージェネレーションで使用する。
さらに、排ガス2との熱流の交換によって、本装置1の下流側の排ガス2自体の温度や熱量の変動が減少する。
排ガス2の温度変化が低減するのは、伝熱材7の温度より排ガス2の温度が高いとき、高温の排ガス2から熱流を引き抜き、そして、熱条件が逆の場合は、供給することによる。
装置1は、2つまたはそれ以上のセクション4からなり、各セクション4は1つまたはそれ以上の熱交換モジュール5からなる。
【0123】
図2は、熱交換モジュール5の構成とその機能を示す図である。
各熱交換モジュール5は、コンテナ/交換器6からなり、そこには熱伝達率が高い伝熱材7が備えられ、本質的に固相−液相転移する。回収交換器8は、伝熱材7と接し、送り配管と戻り配管9に接続されている。
熱媒流体10(気体又は液体)は、交換器8及び配管9内を流れる。
コンテナ/交換器6は、排ガス2と入口と出口とで熱流を交換し、加熱および冷却により、伝熱材7に熱流が輸送される。
一般に、排ガス2に与えられた熱流については、排ガス2から回収され伝熱材7に供給されることが多い。それは排ガス2の平均温度は、伝熱材7の相転移温度よりも高いためである。
必ずという訳ではないが、場合により、熱交換モジュール5は、補助材11として公知の他の相変化材と統合され、それは第1の伝熱材7に浸漬され、内部交換器12と呼ばれる分離面によって分離される。
補助材11は、伝熱材7の相転移温度より通常低い相転移温度を有する。補助材11は入口と出口でエネルギー流を伝熱材7と交換し、熱交換モジュール5全体の潜熱に寄与し、伝熱材7と比較して相対的に費用が安くかつ重量が軽い。
熱交換モジュール5は、熱エネルギーを蓄積するものであり、排ガス2からの熱流に対して時間的に遅らせて制御する熱流により、熱エネルギーを回収するものである。
【0124】
図3は、装置1の各セクション4の構成とその機能を示す図である。
セクション4は、
図2に記載のように、少なくとも一つの熱交換モジュール5(一般に複数)からなる。
セクション4は、セクション4の全ての熱交換モジュール5の送り配管および戻り配管を、全て連結する1つの分配網13(送りと戻り)と、熱媒流体10が液体の場合は可変流量ポンプ14により、熱媒流体10が気体の場合は可変流量送風機15により、特徴付けられる。
全ての送りおよび戻り配管9とポンプ14または送風機15との接続形式は、偏り無く同等に、直列、若しくは並列、若しくは組み合わせたグループ構成である。
ポンプ14又は送風機15への流量を切り替えるには、ミキサー又はダイバーター弁を使用できる。
熱媒流体10の流量を変化させることにより、伝熱材7及び補助材11の熱物理状態を設定することが可能である。
【0125】
図4は、本発明1の装置と機能的な方法の供給回路の図を示し、
図3に記載の2つ以上のセクション4からなる。
本装置1は、個々のセクション4に接続されている送り配管13と戻り配管9の並列接続と、外部ユーザー装置3に接続されている送りおよび戻り配管17への並列接続により、特徴付けられている。
本方法は、ローディング又はアンローディングフェーズに関し、各セクション4を独立に制御し(例えば、セクション4のいくつか、若しくは全部について、異なっていたり、共通であったりする、)、ポンプ14または送風機15の流量に作用してエネルギー流を回収する。
各セクション4により回収されるエネルギー流は、供給回路17から並列16に送られて、まとめられて外部ユーザー装置3へ供給される。
本装置1は、各区域4により回収されるエネルギー流を相補的に制御でき、伝熱材7と、場合により補助材11の異なった熱物理状態を確定できる。
高温の排ガス2の特性が同じで、装置1の構成が同じなら、排ガス2の平均温度と伝熱材7の融解温度の差が大きくなればなるほど、回収機能が高くなり、緩和機能は小さくなる。逆もまた同様で、融解温度が排ガス2の平均温度に近づけば近づくほど、回収機能は低くなり、緩和機能は高くなる。
【0126】
図5は、排ガス2に対して並列に置かれる2つのセクション4からなる本発明1を例として図示する。(排ガス2の熱交換条件は同じ。)
【0127】
図6は、直列に置かれる2つのセクション4からなる本発明1を例として図示する。(排ガス2の熱力学的条件が異なるが故、熱交換条件も異なる。)
更なる変形例として、熱伝材7は異なってもよい。特に、第1のセクションから出る排ガス2の平均温度に関連させて、伝熱材7は、熱エネルギーをさらに回収するように低い転移温度のものを採用する。
【0128】
図7は、2つのセクション4(SEC1及びSEC2)を有する装置1が機能する方法を例として図示する。
説明を簡潔にするために、セクション1及び2は、排ガス2に対して並列に置かれ、フェーズa及びフェーズbと呼ぶ2つのフェーズが、互いに時間的に連続して続く。
フェーズaでは、セクション1において、熱媒流体10の流量を減少させるかゼロとすることにより、エネルギー流の回収は、排ガス2から導入されるエネルギー流より小さいか、ゼロとなり、その結果正の熱バランス(ΔΦ>0)を確定し、伝熱材7の融解を進行させる。このフェーズは、「ローディング」フェーズと呼ばれる。
同時に、セクション2では、反対の機能を強制され、排ガス2によって放たれる熱流より大きい熱流を伝熱材7から回収し、凝固が進行し(ΔΦ<0)、「アンローディング」フェーズと呼ばれる。
2つのセクション4の2つの供給回路13の熱媒流体10は、外部ユーザー装置3に供給するために、並列16に置かれる。
フェーズbにおいて、ポンプ14(又は送風機15)に作用することによって、2つのセクション4の熱流の値を逆転し、反対かつ相補的な挙動を示すことになる。
このようにして、時間とともに伝熱材7の融解と凝固とを交互に行うことが可能であり、その温度を一定(完全又は部分的転移サイクル)又は、規定された範囲内(過剰転移サイクル)に保つ。
相補性の特性は、全体的に一定な熱量を得るため、或いは如何なる制御をするも、熱交換器を設計し、調整するのに、非常に役立つ。
【0129】
図8は、3つのセクション4からなる装置1を示し、ここでは2つのセクションは
図7に図示、記載されたものと逆の機能のフェーズにある。
第3のセクション(SEC3)は、予備的な熱エネルギーを構成するものであり、ユーザー装置に対して最適となるよう、熱エネルギー流の追加回収を調整できるようにする。
2つのセクション4(SEC1及びSEC2)は、融解又は凝固面が同調するローディング−アンローディングサイクルによって、逆のフェーズで機能し、一方、第3のセクション(SEC3)では、回収する熱流に依存して、融解−凝固面が2方向に変わる(微調整)。
【0130】
図9は、断続的な熱流を有する排ガス2に対して並列に置かれた、例えば3つの同一のセクション4からなる装置1に関した例であり、前記装置のエネルギー流の制御を示す。
例えば、LD転炉(Linz―Donawitz)で製鋼する場合は、高温の排ガス2の生成段階が約20分に限られ、排ガス2がない段階が約40分という、周期的かつ間欠的なプロセスがある。
セクション1において、ローディングフェーズとアンローディングフェーズとのバランス状態を仮定する。
排ガス2が存在するときに、他の2つのセクションはロードされ、そしてその後、残りの40分は、順にアンロードされることになり、その間セクション1は作動しない。
このようにして、時間全体で3つのセクションのアンロードが配分されることとなり、全般的に一定な熱流の回収が確定し、外部ユーザー4装置3に送られる。
液体の伝熱材7の場合、技術的問題を避けるため、有利には、流量10の最小値を維持する。
【0131】
図10は、周期的かつ断続的なプロセスが発生する火葬施設を示す。処理は所用時間60―120分であるが、中断は日単位や週単位となる。
火葬施設は、放熱のプロセスがあり、約40Nm
3(Nmc)のメタン/火葬の熱量が必要である。その火力は1MWである。
図11は、排ガス2の方向に対して、後燃焼室の下流で、放熱器の上流に、新しい装置1を挿入していることを示す。
【0132】
図11は、燃焼用の空気を高温に予熱するための新しい装置1を備えた火葬施設のブロックダイヤグラムを示す。この場合、回路が開いており、それ故、戻り配管又は流路がないことに着目する。
装置1は20℃(10a)から約400℃(10b)まで、空気(熱媒流体10)を予熱するために用いる。
【0133】
セクション4及びそれに対応する熱交換モジュール5を有する装置1は、熱物理特性が既知のアルミニウムを相変化材7として採用する。
本装置1は、温度850℃以上(約900℃)かつ流量約1000Nm
3/hである排ガス2から、温度20℃(10a)で送風機15により本装置に導入される熱媒流体10である空気流に、熱流を輸送する。
総流量約500Nm
3/hの燃焼用空気は、以下に考えられる3つの用途で、温度約400℃まで加熱される(10b)。その用途とは、放出される煙を過熱し、蒸気の「柱」を除去し、同時に次の交換器で放散される熱量を減少させるため煙突への導入(10c);例えば隣接する部屋を暖めるといった内部で使用するための回収(10d);一次空気と二次の空気の温度を入れ換えるため、回収区域と異なる工場区域への再導入(10e)である。
棺の下部の燃焼を加速し、火葬サイクルの時間を縮めるため、400℃の空気が木の棺の下10e1(自己発火温度が300℃未満)に導入される。
また別の場合、発熱しない工程(特に、日または週単位で始動するときの予熱工程や、骨の仮焼の際)において、バーナーのメタン消費を約20%減少させるために、予熱された空気を、燃焼室及び後燃焼室(10e2,10e3及び10e4)に導入しても良い。
【0134】
図12は、排ガス2に浸漬される2つのセクション4a及び4bからなる装置1の平面構成図を示し、各セクション4は8つの熱交換モジュール5からなる。
2台の流量可変の送風機15が図示されており、2つのセクション4、供給及び戻り流路13に連結し、供給流路13により入口10aで20℃かつ出口10bで400℃となる、熱媒流体としての周囲空気に繋がっている。2つのセクションから来る空気は、並列16に接続され、流路17によって外部ユーザー装置3に送られる。
熱媒流体は、総流量約500Nm
3/hの空気10からなる。
個々のセクションの熱物理状態を変えない空気の速度は、約8m/s(バランス速度)である。
【0135】
既に記載したように、二つのフェーズ(フェーズa及びフェーズb)がある。フェーズaにおいて、第1のセクション4に導入される空気の速度は14m/s以上の値で、伝熱材7(アルミニウム)の凝固を進行(アンローディングフェーズ)させる。第2のセクション4では、設定される速度は4m/s未満であり、伝熱材7の融解を進行(ローディングフェーズ)する。
2つのセクション4で、速度の値を交互に入れ換えることにより、全熱媒流体10の熱力学的条件をほぼ固定値(400℃、500Nm
3/h)に維持することができ、また、一定温度で熱エネルギーを貯蔵する(相転移状態のアルミニウム)。
アルミニウムは、最高温度700℃(融解温度より約70℃高い)となり、そして最低温度500℃(すなわち凝固温度より130℃低い)となる。
本装置に入る排ガス2の温度は、900℃(2a)であり、本装置から出て行く排ガス2は温度720℃(2b)である。
排ガス2から取り出され、燃焼用空気10に与える火力は73kWである。
本装置1で使用されるアルミニウムの質量は、体積0.083m
3あたり約224kgであり、それは2つのセクション4と全16台の熱交換モジュール5で分けられる。
各セクション4は、131,860KJ(熱媒流体10の速度によって変化)の熱エネルギー交換を伴う、30分の「ローディング」及び「アンローディング」フェーズによって特徴付けられる。
外殻の総表面は6.70m
2である。
【0136】
図13は、排ガス2に浸される各熱交換モジュール5を例示して表し、構造上の構成を示す。それは外径100mm、例えば市販の厚み6mmの金属シリンダから成り、コンテナ/交換器6を構成する。
伝熱材7がアルミニウムの場合、使用可能な交換器の高さは1mであり、コンテナ/交換器6の外殻の表面は0.314m
2である。
コンテナ/交換器6内部でアルミニウムに浸漬された状態で、2つの流路が、この場合直角に挿入されており、これは、例えば厚さ2mmの熱交換器8を規定する。
【0137】
好ましい変形例によれば、熱交換器8は、例えば、直径約30mmの円形断面を備えた4つの流路により確定できる。
【0138】
流路は熱交換モジュール5の外側に延長し、送り配管及び戻り配管9を構成する。
流路内部で、空気10は0から14m/sまでの可変な速度で送られる。
「熱橋」により局所的に融解が始まるのを防ぐために、配管の基部は、公知のタイプの断熱ディスク18により断熱される。
空間19が、シリンダの上部に残され、アルミニウムの体積膨張を許容し、さらに安全を見込んで追加の「マージン」を持たせる。
上部は真空にされるか、あるいは大気圧よりわずかに高い初期圧力で不活性ガス20(例えばCO
2)で満たされる。
【0139】
図14は高温の排ガスがない場合のアルミニウムの温度の低下を表すグラフを示す。
この低下は「ニュートンの冷却」としても知られている。
一般に、火葬場の炉は、1日8―12時間稼働し、週末(土曜日及び日曜日)又は日曜日のみ停止(週に6日稼動)するというように断続的に稼働する。
夜の停止は12時間、日曜日の停止は36時間であり、最も長い停止(土曜日と日曜日)は60時間となる。
最初の温度として、固体状態のアルミニウムにとって、最も好ましく無い温度630℃の場合を考察する。
12時間後にアルミニウムの温度は550℃より高く、36時間後に490℃に達し、そして60時間後も400℃(木材の自己発火温度より非常に高い)より高い。
3つの全ケースにおいて、起動を加速して、メタンの消費を減少させるために、装置1を使用して、燃焼用空気10bを予熱することが可能である。
機能的な変形例として、稼働時間の終わりにおいて、アルミニウムは、
図14に示されるグラフほどは急峻でない冷却過程の融解状態にある。
【0140】
図15は、典型的なアーク炉(electric arc furnace)21を使用した鋼の生産プロセスのエネルギーバランスを図示し、潜在的な熱の回収が示されている。
図16はアーク炉21の沈降チャンバ22への入口での高温の排ガス2の温度特性をグラフ化したものである。これは、中−高生産の能力がある。
【0141】
時間依存性が、図示されており、平均温度は800℃であり、1200℃以上のピークを持つ。本装置の上流では、温度の分散は209,338であり、標準偏差は457.5である。一方、本装置の下流では、分散は43,319であり、標準偏差は208である。その最高温度は867℃であり、最低気温は412℃である。
このような緩和により、装置の下流での熱回収を容易にする。
【0142】
図17は、本装置の沈降チャンバ22内への収容を図示する。
【0143】
図18は、沈降チャンバ22内部の熱交換モジュール5の配置の平面図を示す。排ガス2が通過する区域は5mx5mである。
これらのモジュールは0.1mの距離を置かれ、直径は10”である。
二酸化炭素が熱媒流体10として用いられる場合、各セクション4の熱交換モジュール5は、100台であり、熱交換モジュール5の合計は200台である。
溶融塩(NaNO
3―KNO
3又はKCl―MgCl
2その他)が熱媒流体10として用いられる場合、各セクション4の熱交換モジュール5は70台であり、熱交換モジュール5の合計は140台である。
【0144】
図19は、熱媒流体10としてCO
2を圧力5バールで用いる熱交換モジュール5の構造の特徴について考えられる実施例を、図にて示す。
熱交換器8の配管は直径3”で厚さ4mmである。
二酸化炭素の最高速度は11.3m/s、入口温度10aは300℃、出口温度10bは500℃である。
この対策においては、このセクションの回路のロードの損失は相対的に高い。
【0145】
図20は、熱媒流体10として工業用溶融塩を使用する熱交換モジュール5の構造の特徴について考えられる実施例を、図により示す。
熱交換器8の配管は直径1”かつ厚さ3mmである。溶融塩の最高速度は0.5m/s、入口温度10aは350℃、出口温度10bは450℃である。
【0146】
図21は、それぞれ個々の熱交換モジュール5に、二酸化炭素と溶融塩の両方の対策を用い、並列接続したダイアグラムを示す。
図22は、補助ヒーターを備えた溶融塩の貯蔵タンクと組み合わせた本装置1の使用を示す。
【0147】
この構成は、太陽熱エネルギーで使用する構成と類似する。