(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1から10のいずれか1項に記載の二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムの製造方法であって、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムを、機械方向における20N以下の、好ましくは15N以下の降伏力で製造する、上記方法。
【背景技術】
【0002】
二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、配向ポリプロピレンフィルムとしても知られており、包装、テープ又はキャパシタフィルムなどの様々な技術的用途において使用されている。これらのポリプロピレンフィルムの望ましい特性は、低い収縮率及び高い弾性率などの良好な機械的特性と組み合わせた高い剛性及び結晶度である。同時に、ポリプロピレンフィルムは、優れた加工特性を有するべきである。特に、高い延伸比(draw ratio)でフィルム破壊を伴わずにポリプロピレンフィルムを得ながら二軸配向における低い降伏力を有することは重要である。しかしながら、加工性挙動のいかなる改善も、フィルム特性を犠牲にして達成されるべきではない。このような配向ポリプロピレンフィルムの製造に使用されるベース樹脂(base resin)は、通常、低温キシレン可溶性成分(XCS)の量が少なく、溶融分布(melting distribution)が狭いとともに、中〜高アイソタクティシティのポリプロピレンである。溶融分布は、加工中の二軸変形に必要とされる力に影響を及ぼし、かつ/又は、二軸配向を行うために使用することができる最低温度及び最高温度に関する加工ウィンドウを制御して、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムの延伸性(stretchability)に関与すると長い間考えられてきた。しかしながら、そのような配向ポリプロピレンフィルムの剛性、結晶度及び収縮に関する特性は非常に良好であるが、二軸配向において必要とされる降伏力は高めである。
【0003】
よって、当技術分野において、前述の不利点を回避し、特にそのようなフィルムの加工性、及び得られるフィルムの特性を改善することを可能にする、二軸配向ポリプロピレンフィルムを提供することが依然として必要である。言い換えると、加工が容易であり、得られる二軸配向ポリプロピレンフィルムが、先行技術の二軸配向ポリプロピレンフィルムと比較して良好なフィルム特性を有する、二軸配向ポリプロピレンフィルムを提供することが望ましい。
【0004】
したがって、フィルム特性と加工特性のバランスが改善された二軸配向ポリプロピレンフィルムを提供することが本発明の目的である。特に、フィルムは、二軸配向において低い降伏力で得ることができる一方、低い収縮率及び高い結晶度を有するべきである。
【0005】
本発明は、二軸配向における低い降伏力などの一際優れた加工特性とともに、低い収縮率及び高い結晶度などの良好なフィルム特性を併せ持つ二軸配向ポリプロピレンフィルムを、少量の残留結晶度(residual crystallinity)f
RCを有するポリプロピレンにより達成することができるという知見に基づく。
【0006】
したがって、本発明は第1の側面において、未延伸ポリプロピレン(PP)の溶融温度(T
m)より1℃低い温度(T)[T=T
m−1]で0.40以下の残留結晶度f
RCを有するポリプロピレン(PP)を含む、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムに関する。
【0007】
本発明の実施形態の1つにおいて、第1の側面の二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、ポリプロピレン(PP)の、好ましくはポリプロピレン(PP)の圧縮成形試験片の溶融温度(T
m)より1℃低い温度(T)[T=T
m−1]で0.10から0.40までの残留結晶度f
RCを有するポリプロピレン(PP)を含む。
【0008】
本発明の別の実施形態において、第1の側面の二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、ポリプロピレン(PP)の、好ましくはポリプロピレン(PP)の圧縮成形試験片の溶融温度(T
m)で0.35以下の残留結晶度f
RCを有するポリプロピレン(PP)を含む。
【0009】
あるいは、本発明は第2の側面において、
ポリプロピレン(PP)の溶融温度(T
m)より1℃低い延伸温度(T
draw)[T
draw=T
m−1]にて、機械方向及び横方向に5.0の延伸比で延伸された場合に、
(a)61.5%より高い結晶度、
及び
(b)2.2%未満の収縮率
を有するポリプロピレン(PP)を含む、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムに関する。
【0010】
本発明の第2の側面の実施形態の1つにおいて、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)のポリプロピレン(PP)は、ポリプロピレン(PP)の溶融温度(T
m)より1℃低い延伸温度(T
draw)[T
draw=T
m−1]にて、機械方向及び横方向に5.0の延伸比で延伸された場合に、
(a)62.0%以上、好ましくは62.0%から70.0%までの結晶度、
及び/又は
(b)2.1%以下、好ましくは0.5%から2.0%までの収縮率
を有する。
【0011】
本発明の実施形態の1つにおいて、第1及び/又は第2の側面の二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、
(a)(i)150℃より高く160℃まで
(ii)160℃より高く170℃まで
の温度範囲内で結晶化する結晶性画分であって、前記2つの結晶性画分の量[wt%]の差が10.0wt%を超え、さらに、前記2つの画分が段階的等温分離法(stepwise isothermal segregation technique)(SIST)により決定される、前記画分、
及び/又は
(b)(i)160℃より高く170℃まで
(ii)170℃より高く180℃まで
の温度範囲内で結晶化する結晶性画分であって、前記2つの結晶性画分の量[wt%]の差が7.0wt%以下であり、さらに、前記2つの画分が段階的等温分離法(SIST)により決定される、前記画分、
及び/又は
(c)63.0wt%を超える、160℃より高温で結晶化する結晶性画分であって、段階的等温分離法(SIST)により決定される前記画分
を有するポリプロピレン(PP)を含む。
【0012】
本発明の別の実施形態において、第1及び/又は第2の側面の二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、
(a)1.0wt%以下の量の、120℃より低い温度範囲内で結晶化する結晶性画分、
及び/又は
(b)15.0wt%以下の量の、150℃より低い温度範囲内で結晶化する結晶性画分、
及び/又は
(c)1.0wt%以下の量の、180℃より高温で結晶化する結晶性画分
であって、段階的等温偏析技術(SIST)により決定される前記画分
を有するポリプロピレン(PP)を含む。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態において、第1及び/又は第2の側面の二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、
(a)示差走査熱量測定(DSC)により測定される、少なくとも162℃、好ましくは少なくとも164℃の溶融温度(T
m)、
及び/又は
(b)示差走査熱量測定(DSC)により測定される、少なくとも115℃、好ましくは少なくとも118℃の結晶化温度(T
c)
を有するポリプロピレン(PP)を含む。
【0014】
本発明の実施形態の1つにおいて、第1及び/又は第2の側面の二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、
(a)ISO1133に従って測定される、7.0g/10min以下、好ましくは5.0g/10min以下のメルトフローレートMFR
2(230℃)、
及び/又は
(b)ISO6427に従って23℃で決定される、2.0wt%以上、好ましくは2.0wt%から3.0wt%までの範囲内の低温キシレン可溶性画分(XCS)、
及び/又は
(c)NMR分光法により決定される、95.0mol%以上、好ましくは95.0mol%から98.0mol%までの範囲内のmmmmペンタッド濃度、
及び/又は
(d)
13C−NMR分光法により決定される、1.0%未満、好ましくは0.5%未満、より好ましくは0.3%未満の2,1エリスロレギオ欠陥(erythro regio−defect)
を有するポリプロピレン(PP)を含む。
【0015】
本発明において、欠陥、すなわち2,1エリスロレギオ欠陥及び立体欠陥(mmmmペンタッド)の量が「%」で示される場合には常に、ポリマー鎖中のプロピレン単位の平均百分率を意味する。
【0016】
本発明の別の実施形態において、第1及び/又は第2の側面の二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、プロピレンホモポリマー(H−PP)であるポリプロピレン(PP)を含む。
【0017】
本発明のさらに別の実施形態において、第1及び/又は第2の側面の二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、20N以下の、好ましくは15N以下の機械方向の降伏力で製造されたものである。
【0018】
驚くべきことに、そのような二軸配向ポリプロピレンフィルムは、当技術分野において知られているフィルムと比較して優れた特性を有することが見いだされた。特に、本発明のフィルムは、低い収縮率及び高い結晶度などの一際優れたフィルム特性を有する。さらに、また驚くべきことに、本発明のフィルムは、二軸配向における低い降伏力などの一際優れた加工特性で得ることができる。
【0019】
本発明の目的のために、以下の用語は以下の意味を有することが理解されるべきである。
【0020】
本明細書及び特許請求の範囲において「〜を含む(comprising)」という用語が使用される場合、これは他の要素を除外しない。本発明の目的のために、「〜からなる(consisting of)」という用語は、「〜を含む(comprising of)」という用語の好ましい実施形態であると考えられる。以下で、ある群が少なくともある特定の数の実施形態を含むと規定される場合、これはまた、好ましくはこれらの実施形態のみからなる群を開示するものとも理解されるべきである。
【0021】
単数名詞に言及するときに不定冠詞又は定冠詞、例えば「1つの(a)」、「1つの(an)」又は「その(the)」が使用される場合、これは、他に特に規定のない限りその名詞の複数形を含む。
【0022】
「得ることができる」又は「規定することができる」及び「得られる」又は「規定される」といった用語は互換的に使用される。このことは例えば、文脈上明白な別段の規定のない限り、例えば実施形態が、例えば「得られる」という用語に続く一連の工程により得られなければならないという限定的な理解が、好ましい実施形態として「得られる」又は「規定される」という用語に常に含まれるとしても、「得られる」という用語によりそのような限定的な理解を示すわけではないことを意味する。
【0023】
本発明の第3の側面は、そのような二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムの製造方法であって、少なくとも
(a)前記ポリプロピレン(PP)を提供する工程、
(b)工程(a)のポリプロピレン(PP)を機械方向及び横方向に延伸する工程であって、好ましくは、ポリプロピレン(PP)の溶融温度(T
m)より低い温度で行われる上記工程
を含む、上記方法に関する。
【0024】
本発明の第4の側面は、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムを製造するためのポリプロピレンの使用に関する。
【0025】
本発明のなおさらなる側面は、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムを含む物品に関する。
【0026】
以下において、本発明の二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムの好ましい実施形態又は技術的詳細に言及する場合、これらの好ましい実施形態及び技術的詳細はまた、そのような二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムの本発明の製造方法、ポリプロピレンの本発明の使用並びに本明細書において規定される物品にも関し、(適用できる限り)逆もまた同様であることが理解されるべきである。例えば、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムのポリプロピレン(PP)が示差走査熱量測定(DSC)により測定される少なくとも164℃の溶融温度(T
m)を有すると述べられている場合、本発明の方法、本発明の使用並びに本発明の物品のポリプロピレン(PP)もまた、好ましくは示差走査熱量測定(DSC)により測定される少なくとも164℃の溶融温度(T
m)を有する。
【0027】
以下に、本発明をより詳細に記述する。
【0028】
本発明の二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、本発明において規定されるポリプロピレン(PP)を含まなければならない。したがって二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、好ましくは、ポリプロピレン(PP)を少なくとも80wt%含み、より好ましくは少なくとも95wt%含み、いっそうより好ましくはポリプロピレン(PP)からなる。二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、酸化防止剤及び/又はステアリン酸カルシウムといった添加剤を含有してもよいが、好ましくはポリプロピレン(PP)以外のポリマーを含有しない。よって、100.0wt%までの残りの部分は、当技術分野において公知の添加剤、例えば酸化防止剤及び/又はステアリン酸カルシウムにより達成してもよい。そのため、この残りの部分、すなわちポリプロピレン(PP)ではない部分は、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルム中の5.0wt%以下、好ましくは2.0wt%以下、例えば1.0wt%以下とすることが好ましい。好ましい実施形態の1つにおいて、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムはポリマー成分としてポリプロピレン(PP)を含有するが、100wt%までの残りの部分は通常の添加剤により構成され他のポリマーは含有しない。
【0029】
「二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルム」という用語は、フィルムが二軸配向フィルムであり、すなわち下記に規定されているポリプロピレン(PP)、特にプロピレンホモポリマー(H−PP)を延伸プロセスに供し、それにより二軸配向ポリマーを得たことを示す。上記で示したように、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは好ましくは、ポリマーとしてポリプロピレン(PP)、特にプロピレンホモポリマー(H−PP)のみを含有し、よって、好ましくは前記ポリプロピレン(PP)から製造される、特に前記プロピレンホモポリマー(H−PP)から製造される二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムである。
【0030】
二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムが好ましくは上記で規定したポリプロピレン(PP)から、特にプロピレンホモポリマー(H−PP)から製造される場合、ポリプロピレン(PP)、特にプロピレンホモポリマー(H−PP)について示される特性は、別途規定されていなければ、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムに等しく適用できる。
【0031】
好ましくは、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、機械方向に少なくとも4.0倍、好ましくは少なくとも5.0倍、及び横方向に少なくとも4.0倍、好ましくは少なくとも5.0倍、より好ましくは少なくとも8.0倍、例えば少なくとも9.0倍の延伸比(stretching ratio)を有し、より好ましくは、機械方向に少なくとも5.0倍及び横方向に少なくとも9.0倍の延伸比、例えば機械方向に4.0倍から6.0倍又は5.0倍から6.0倍及び横方向に9.0倍から10.0倍の延伸比を有する。
【0032】
二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムのポリプロピレン(PP)は、少量の残留結晶度f
RCにより特徴付けられる。特に、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムのポリプロピレン(PP)は、先行技術で知られている二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムのポリプロピレンについて測定される残留結晶度f
RCより低い残留結晶度f
RCにより特徴付けられる。
【0033】
よって、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.10から0.40の範囲内、なおより好ましくは0.20から0.40の範囲内、いっそうより好ましくは0.28から0.38の範囲内の残留結晶度f
RCを有するポリプロピレン(PP)を含むことが好ましい。この段落において言及される残留結晶度f
RCは、ポリプロピレン(PP)の圧縮成形試験片において、特に実施例の項において規定されている圧縮成形試験片において、ポリプロピレン(PP)の前記試験片の溶融温度(T
m)より1℃低い温度(T)[T=T
m−1]で決定されたものである。
【0034】
加えて又はあるいは、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、好ましくは0.30以下、より好ましくは0.10から0.30の範囲内、なおより好ましくは0.18から0.30の範囲内、いっそうより好ましくは0.20から0.38の範囲内の残留結晶度f
RCを有するポリプロピレン(PP)を含む。この段落において言及される残留結晶度f
RCは、ポリプロピレン(PP)の圧縮成形試験片において、特に実施例の項において規定されている圧縮成形試験片において、ポリプロピレン(PP)の前記試験片の溶融温度(T
m)で決定されたものである。
【0035】
二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムのポリプロピレン(PP)は、さらに又はあるいは、延伸された状態でのその結晶度及び/又は収縮率により規定することができる。
【0036】
したがって、ポリプロピレン(PP)は、ポリプロピレン(PP)の溶融温度(T
m)より1℃低い延伸温度(T
draw)[T
draw=T
m−1]にて、機械方向及び横方向に5.0の延伸比で延伸された場合に、
(a)61.5%より高い、より好ましくは61.5%より高く70.0%まで、なおより好ましくは62.0%から70.0%、いっそうより好ましくは62.0%から65.0%の結晶度
及び/又は
(b)2.2%未満、より好ましくは0.5%以上2.1%未満、なおより好ましくは0.7%から2.0%、いっそうより好ましくは0.8%から1.7%の収縮率
を有することが好ましい。ポリプロピレン(PP)の正確な二軸延伸は、実施例の項において規定される。
【0037】
前段落の結晶度及び収縮率に加えて又はその代替として、ポリプロピレン(PP)は、ポリプロピレン(PP)の溶融温度(T
m)より3℃低い延伸温度(T
draw)[T
draw=T
m−3]にて、機械方向及び横方向に5.0の延伸比で延伸された場合に、
(a)62.0%より高い、より好ましくは62.5%より高く70.0%まで、なおより好ましくは63.0%から70.0%、いっそうより好ましくは63.0%から65.0%の結晶度
及び/又は
(b)3.0%未満、より好ましくは0.7%以上3.0%未満、なおより好ましくは1.0%から2.8%、いっそうより好ましくは1.0%から2.7%の収縮率
を有する。ポリプロピレン(PP)の正確な二軸延伸は、実施例の項において規定される。
【0038】
本発明のポリプロピレン(PP)は、好ましくはランダムプロピレンコポリマー(C−PP)又はプロピレンホモポリマー(H−PP)である。本発明の好ましい実施形態の1つにおいて、ポリプロピレン(PP)はプロピレンホモポリマー(H−PP)である。
【0039】
本発明において使用されるプロピレンホモポリマー(H−PP)という表現は、実質的にプロピレン単位からなる、すなわちポリプロピレンの全重量に対して少なくとも99.5wt%、好ましくは少なくとも99.6wt%、より好ましくは少なくとも99.8wt%のプロピレン単位からなるポリプロピレンに関する。本発明の実施形態の1つにおいて、プロピレンホモポリマー(H−PP)中でプロピレン単位のみが検出可能である。
【0040】
ポリプロピレン(PP)がランダムポリプロピレンコポリマー(C−PP)である場合、これは、プロピレンと共重合可能なモノマー、すなわちプロピレン以外のα−オレフィン、例えばエチレン及び/又はC
4〜C
10α−オレフィン、特にエチレン及び/又はC
4〜C
8α−オレフィン、例えば1−ブテン及び/又は1−ヘキセンなどのコモノマーを含む。好ましくは、ランダムポリプロピレンコポリマー(C−PP)は、エチレン、1−ブテン及び1−ヘキセンからなる群のうちのプロピレンと共重合可能なモノマーを含み、特に前記モノマーからなる。より詳細には、ランダムポリプロピレンコポリマー(C−PP)は、プロピレンの他に、エチレン及び/又は1−ブテンに由来する単位を含む。本発明の実施形態の1つにおいて、ランダムポリプロピレンコポリマー(C−PP)は、エチレン及びプロピレンに由来する単位のみを含む。
【0041】
ランダムポリプロピレンコポリマー(C−PP)中のコモノマー含量は、好ましくは比較的低く、すなわち、ランダムポリプロピレンコポリマー(C−PP)の全重量に対して10.0wt%未満、又はより好ましくは5.0wt%又はそれ未満である。本発明の実施形態の1つにおいて、コモノマー含量は、ランダムポリプロピレンコポリマー(C−PP)の全重量に対して好ましくは0.5wt%から5.0wt%の間、より好ましくは0.5wt%から4.0wt%の間、さらにより好ましくは0.5wt%から3.5wt%の間、最も好ましくは1.0wt%から3.0wt%の間である。
【0042】
好ましくは、ポリプロピレン(PP)はアイソタクチックである。したがって、ポリプロピレン(PP)は、NMR分光法により決定される高めの、すなわち95.0%以上のペンタッド濃度(mmmm)を有することが好ましい。本発明の実施形態の1つにおいて、ポリプロピレン(PP)は、NMR分光法により決定される、95.0%から98.0%までの範囲内のペンタッド濃度(mmmm)を有する。
【0043】
好ましくは、ポリプロピレン(PP)は少量のレギオ欠陥を有する。したがって、ポリプロピレン(PP)は、
13C−NMR分光法により決定される、1.0%未満、好ましくは0.5%未満、より好ましくは0.3%未満の2,1エリスロレギオ欠陥を有することが好ましい。具体的な実施形態の1つにおいて、2,1−エリスロレギオ欠陥は検出されない。
【0044】
本発明のポリプロピレン(PP)の特徴の1つは、その比較的多量の、すなわち2.0wt%以上、より好ましくは2.1wt%から5.0wt%の範囲内、なおより好ましくは2.2wt%から4.0wt%の範囲内の低温キシレン可溶性成分(XCS)である。これらの値は特に、プロピレンホモポリマー(H−PP)であるポリプロピレン(PP)について適用できる。
【0045】
加えて又はあるいは、ポリプロピレン(PP)は、ISO1133に従って測定される、7.0g/10min以下、及び好ましくは5.0g/10min以下のメルトフローレートMFR
2(230℃)を有する。例えば、ポリプロピレン(PP)は、ISO1133に従って測定される、0.5g/10minから7.0g/10minの範囲内、好ましくは1.0g/10minから5.0g/10minの範囲内、より好ましくは1.5g/10minから4.0g/10minの範囲内のメルトフローレートMFR
2(230℃)を有する。
【0046】
好ましくは、ポリプロピレン(PP)は結晶性ポリプロピレン(PP)である。「結晶性」という用語は、ポリプロピレン(PP)、すなわちプロピレンホモポリマー(H−PP)又はランダムプロピレンコポリマー(C−PP)が、高めの溶融温度を有することを示す。したがって本発明の全体にわたって、プロピレンホモポリマー(H−PP)又はランダムプロピレンコポリマー(C−PP)は、別段の指示のない限り結晶性であるとみなされる。
【0047】
そのため、ポリプロピレン(PP)は、好ましくは少なくとも160℃、すなわち160℃から172℃までの範囲内、より好ましくは少なくとも162℃、すなわち162℃から170℃までの範囲内、より好ましくは少なくとも164℃、すなわち164℃から168℃までの範囲内又は164.0℃から170.0℃までの範囲内の溶融温度を有する。これらの値は特に、プロピレンホモポリマー(H−PP)であるポリプロピレン(PP)について適用できる。
【0048】
実施形態の1つにおいて、ポリプロピレン(PP)は、示差走査熱量測定(DSC)により測定される高めの結晶化温度(T
c)を有する。よってこの実施形態において、ポリプロピレン(PP)は、示差走査熱量測定(DSC)により測定される、少なくとも115℃、好ましくは少なくとも118℃、より好ましくは少なくとも120℃の結晶化温度(T
c)を有する。したがってポリプロピレン(PP)は、示差走査熱量測定(DSC)により測定される、115℃から128℃までの範囲内、好ましくは118℃から128℃までの範囲内、より好ましくは120℃から128℃までの範囲内の結晶化温度(T
c)を有する。これらの値は特に、プロピレンホモポリマー(H−PP)であるポリプロピレン(PP)について適用できる。
【0049】
ポリプロピレン(PP)及び/又は二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、段階的等温分離法(SIST)により得られるその結晶性画分によってさらに特徴付けられることが好ましい。既知のポリプロピレンとは異なり、本発明のポリプロピレン(PP)は好ましくは、150℃より高い温度にて多めの量の結晶性画分を含有する。したがって、ポリプロピレン(PP)は、84.0wt%を超える、150℃より高い温度で結晶化する結晶性画分であって、段階的等温分離法(SIST)により決定される前記画分を含むことが好ましい。例えば、ポリプロピレン(PP)は、好ましくは、85.0wt%を超える、より好ましくは86.0wt%を超える、最も好ましくは86.5wt%を超える、150℃より高い温度で結晶化する結晶性画分であって、段階的等温分離法(SIST)により決定される前記画分を含む。本発明の実施形態の1つにおいて、ポリプロピレン(PP)は、84.0wt%から98.0wt%まで、より好ましくは85.0wt%から96.0wt%まで、なおより好ましくは86.0wt%から94.0wt%まで、最も好ましくは86.5wt%から92.0wt%までの、150℃より高い温度で結晶化する結晶性画分であって、段階的等温分離法(SIST)により決定される前記画分を含む。
【0050】
さらに、ポリプロピレン(PP)は、63.0wt%を超える、160℃より高い温度で結晶化する結晶性画分であって、段階的等温分離法(SIST)により決定される前記画分を含むことが好ましい。例えば、ポリプロピレン(PP)は、好ましくは、64.0wt%を超える、より好ましくは65.0wt%を超える、160℃より高い温度で結晶化する結晶性画分であって、段階的等温分離法(SIST)により決定される前記画分を含む。本発明の実施形態の1つにおいて、ポリプロピレン(PP)は、63.0wt%から71.0wt%まで、より好ましくは64.0wt%から70.5wt%まで、なおより好ましくは65.0wt%から70.0wt%までの、160℃より高い温度で結晶化する結晶性画分であって、段階的等温分離法(SIST)により決定される前記画分を含む。
【0051】
よって、本発明のポリプロピレン(PP)は、150℃より高く180℃までの温度範囲にて多めの量の結晶性画分を含有することが好ましい。
【0052】
したがって、ポリプロピレン(PP)は、少なくとも15.0wt%、より好ましくは少なくとも16.0wt%、例えば16.0wt%以上22.0wt%未満の範囲内、なおより好ましくは少なくとも17.0wt%、例えば17.0wt%以上21.5wt%未満の範囲内、いっそうより好ましくは少なくとも18.0wt%、例えば18.0wt%から21.0wt%までの範囲内の、150℃より高く160℃までの温度範囲内で結晶化する結晶性画分であって、段階的等温分離法(SIST)により決定される前記画分を含むことが好ましい。
【0053】
加えて又はあるいは、ポリプロピレン(PP)は、好ましくは、37.0wt%以下、例えば29.0wt%から37.0wt%までの範囲内、より好ましくは36.5wt%以下、例えば30.0wt%から36.5wt%までの範囲内、なおより好ましくは36.0wt%以下、例えば31.0wt%から36.0wt%の範囲内の、160℃より高く170℃までの温度範囲内で結晶化する結晶性画分であって、段階的等温分離法(SIST)により決定される前記画分を含む。
【0054】
加えて又はあるいは、ポリプロピレン(PP)は、好ましくは、少なくとも25.0wt%、例えば25.0wt%から39.0wt%までの範囲内、より好ましくは少なくとも28.0wt%、例えば28.0wt%から38.0wt%までの範囲内、なおより好ましくは少なくとも30.0wt%、例えば30.0wt%から38.5wt%までの範囲内、いっそうより好ましくは少なくとも32.0wt%、例えば32.0wt%から38.0wt%までの範囲内の、170℃より高く180℃までの温度範囲内で結晶化する結晶性画分であって、段階的等温分離法(SIST)により決定される前記画分を含む。
【0055】
一方では、ポリプロピレン(PP)は、
(i)150℃より高く160℃まで、及び
(ii)160℃より高く170℃まで
の温度範囲内で結晶化する結晶性画分であって、前記2つの結晶性画分の量[wt%]の差が10.0wt%を超える、前記画分を含むことが好ましい。例えば、2つの結晶性画分の量[wt%]の差は、12.0wt%を超え、例えば12.0wt%から20.0wt%までの範囲内、好ましくは14.0wt%を超え、例えば14.0wt%から18.0wt%までの範囲内であり、前記画分は、段階的等温分離法(SIST)により決定される。
【0056】
160℃より高く170℃までの温度範囲内で結晶化する結晶性画分の量は、150℃より高く160℃までの温度範囲内で結晶化する結晶性画分の量より、少なくとも10.0wt%、好ましくは少なくとも12.0wt%、例えば12.0wt%から20.0wt%までの範囲内、より好ましくは少なくとも14.0wt%、例えば14.0wt%から18.0wt%までの範囲内で多いことがさらに好ましい。
【0057】
加えて又はあるいは、
(i)160℃より高く170℃まで、及び
(ii)170℃より高く180℃まで
の温度範囲内で結晶化する2つの結晶性画分の量の差は、大きすぎるべきではなく、すなわち2つの結晶性画分の量[wt%]の差は7.0wt%を超えるべきではない。例えば、2つの結晶性画分の量[wt%]の差は、6.0wt%以下、例えば0.1wt%から7.0wt%までの範囲内、好ましくは5.0wt%以下、例えば0.5wt%から5.0wt%までの範囲内であり、前記画分は、段階的等温分離法(SIST)により決定される。
【0058】
よって、160℃より高く170℃までの温度範囲内で結晶化する結晶性画分の量は、170℃より高く180℃までの温度範囲内で結晶化する結晶性画分の量とほぼ等しいことが好ましい。例えば、160℃より高く170℃までの温度範囲内で結晶化する結晶性画分の量は、170℃より高く180℃までの温度範囲内で結晶化する結晶性画分の量より、0.1wt%から7.0wt%までの範囲内、好ましくは0.5wt%から5.0wt%までの範囲内で多いか又は少ない。
【0059】
よって、150℃より低い温度範囲内で結晶化する結晶性画分の量は、少なめ、すなわち16.0wt%以下、好ましくは15.0wt%以下、より好ましくは14.0wt%以下、最も好ましくは13.0wt%以下であることが好ましい。例えば、150℃より低い温度範囲内で結晶化する結晶性画分の量は、10.0wt%から16.0wt%の範囲内、好ましくは10.0wt%から15.0wt%の範囲内、より好ましくは10.0wt%から14.0wt%の範囲内、最も好ましくは10.0wt%から13.0wt%の範囲内であり、前記画分は、段階的等温分離法(SIST)により決定される。
【0060】
加えて又はあるいは、120℃より低い温度範囲内で結晶化する結晶性画分の量は、1.0wt%以下、好ましくは0.9wt%以下、より好ましくは0.8wt%以下である。例えば、120℃より低い温度範囲内で結晶化する結晶性画分の量は、0.1wt%から1.0wt%の範囲内、好ましくは0.2wt%から0.9wt%の範囲内、より好ましくは0.3wt%から0.8wt%の範囲内であり、前記画分は、段階的等温分離法(SIST)により決定される。
【0061】
加えて又はあるいは、180℃より高温で結晶化する結晶性画分の量もまた、少なめ、すなわち1.0wt%以下、好ましくは0.8wt%以下、より好ましくは0.5wt%以下、最も好ましくは0.3wt%以下であり、前記画分は、段階的等温分離法(SIST)により決定される。
【0062】
ポリプロピレン(PP)は、灰分含量が低いこと、特にその製造中に精製、すなわち洗浄工程を行わずに灰分含量が低いことを特徴とすることが好ましい。したがって、ポリプロピレン(PP)は、45ppm未満、すなわち10ppm以上45ppm未満の範囲内、好ましくは40ppm未満、すなわち15ppm以上40ppm未満、より好ましくは20ppmから38ppmの範囲内の灰分含量を有する。同じ値が、ポリプロピレン(PP)を含む二軸配向ポリプロピレン(BOPP)に適用される。
【0063】
ポリプロピレン(PP)は、フィルム成形プロセスに供される。二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムの製造に適した任意のフィルム成形プロセスを使用することができる。
【0064】
したがって、本発明の別の側面は、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムの製造方法であって、少なくとも
(a)上記で規定したポリプロピレン(PP)を提供する工程、
(b)工程(a)のポリプロピレンを機械方向及び横方向に延伸する工程
を含む、上記方法に関する。
【0065】
好ましい実施形態において、ポリプロピレン(PP)には、フィルム成形プロセスの前に洗浄工程を行わない。
【0066】
二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、当技術分野において公知である従来の延伸プロセスにより製造することができる。したがって、本発明の二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムの製造方法は、本明細書において規定されているポリプロピレン(PP)の使用及び好ましくは当技術分野において公知のテンター法によりそれをフィルムに成形することを含む。
【0067】
テンター法は、特に、本明細書において規定されているポリプロピレン(PP)、特にプロピレンホモポリマー(H−PP)をTダイなどのスリットダイから溶融押出し、冷却ドラムにおいて冷却し未延伸シートを得る方法である。前記シートを、例えば加熱された金属ロールを用いて予備加熱し、次いで、周速度の差を設けた複数のロール間で長さ方向に延伸し、次いで両端を把持部で把持し、テンターを用いてシートをオーブン中で横方向に延伸し、二軸延伸されたフィルムを得る。長軸方向に延伸する間の前記延伸されるシートの温度は、好ましくは本明細書において規定されているポリプロピレン(PP)の融点の温度範囲になるように制御される。したがって、両方向における延伸温度(T
draw)が、不等式(I)、より好ましくは不等式(Ia)、いっそうより好ましくは不等式(Ib)、なおより好ましくは不等式(Ic)、なおいっそうより好ましくは式(Id)
Tm−5≦T
draw≦Tm+5 (I)
Tm−5≦T
draw≦Tm+3 (Ia)
Tm−5≦T
draw≦Tm (Ib)
Tm−3≦T
draw≦Tm−1 (Ic)
Tm−1=T
draw (Id)
(式中
T
drawは、延伸温度(T
draw)(℃)であり、
Tmは、ポリプロピレン(PP)の溶融温度(T
m)(℃)である。)を満たすことが好ましい。
【0068】
より好ましくは、機械方向における延伸温度(T
draw)は、不等式(I)、より好ましくは不等式(Ia)、いっそうより好ましくは不等式(Ib)、なおより好ましくは不等式(Ic)、なおいっそうより好ましくは式(Id)を満たし、一方、横方向における延伸温度(T
draw)は、不等式(II)、より好ましくは不等式(IIa)、いっそうより好ましくは不等式(IIb)、なおより好ましくは不等式(IIc)、なおいっそうより好ましくは式(IId)
Tm−4≦T
draw≦Tm+4 (II)
Tm−4≦T
draw≦Tm+1 (IIa)
Tm−4≦T
draw≦Tm (IIb)
Tm−2≦T
draw≦Tm (IIc)
Tm−1=T
draw (IId)
(式中
T
drawは、延伸温度(T
draw)(℃)であり、
Tmは、ポリプロピレン(PP)の溶融温度(T
m)(℃)である。)を満たす。
【0069】
好ましくは、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、少なくとも4.0、好ましくは少なくとも5.0の機械方向の延伸比、及び少なくとも4.0倍、好ましくは少なくとも5.0倍、より好ましくは少なくとも8.0倍、例えば少なくとも9.0倍の横方向の延伸比を有する。市販の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、少なくとも上記に規定されている程度まで破壊を伴わずに延伸可能でなければならないため、このような比が好ましい。長軸方向に延伸している間に試料の長さが増し、長軸方向の延伸比は、試料の元の長さに対するその時点での長さの比から計算する。続いて、試料は横方向に延伸され、試料の幅が増す。したがって、延伸比は、試料の元の幅に対する試料のその時点での幅から計算する。好ましくは、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムの機械方向の延伸比は、4.0から6.0まで、より好ましくは5.0から6.0までの範囲である。二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムの横方向の延伸比は、好ましくは8.0から10.0まで、より好ましくは9.0から10.0までの範囲である。
【0070】
本発明の実施形態の1つにおいて、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、20N以下の機械方向の降伏力で製造する。例えば、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、15N以下、例えば12N以下の機械方向の降伏力で製造する。好ましくは、降伏力は、未延伸ポリプロピレン(PP)の溶融温度(T
m)より1℃低い延伸温度(T
draw)[T
draw=T
m−1]で決定する。
【0071】
好ましくは、本発明の二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、機械方向の延伸比5及び横方向の延伸比5で少なくとも2,400MPaの引張弾性率(tensile modulus)を有する。より好ましくは、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、機械方向の延伸比5及び横方向の延伸比5で少なくとも2,600MPa、さらにより好ましくは2,850MPa、最も好ましくは少なくとも2,900MPaの引張弾性率を有する。
【0072】
二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムの厚さは、50.0μmまでとすることができるが、通常は二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、40.0μm以下、好ましくは30.0μm以下、より好ましくは25.0μm以下、いっそうより好ましくは1μmから50.0μmの範囲内、例えば2.5μmから25.0μmの範囲内の厚さを有する。
【0073】
二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムについて得られる非常に良好な結果から、本発明のさらなる側面は、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムを製造するための本明細書において規定されているポリプロピレン(PP)の使用に関する。
【0074】
続いて、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、蒸着させる金属への接着強度を改善するために、金属化する表面を空気、窒素、二酸化炭素ガス又はこれらの任意の混合物中でのコロナ放電により処理して、巻取機により巻き取ることができる。
【0075】
例えば、得られた二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、真空蒸着機(vacuum metallizer)にセットすることができる。次いで、当該目的に適した金属を蒸着させて所定の層抵抗を達成する。さらに、必要に応じて、櫛形の蒸着防止プレートを通して金属化を行って、フィルムの横方向の抵抗値を連続的に変化させる。金属化されたフィルムを好ましくはスリットして、キャパシタ素子を製造するための2つの金属化されたリールの対にする。次いで、リールを巻き取って素子を形成し、素子を熱プレスにより平らになるよう成形して最終的にキャパシタとする。
【0076】
したがって、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムはキャパシタフィルムとして使用されることが好ましい。そのような場合、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムは好ましくは、上記に述べたように金属化されている。
【0077】
本発明の別の側面によれば、上記で規定した二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムを含むことを特徴とする物品が提供される。例えば、物品はキャパシタである。
【0078】
本発明のポリプロピレン(PP)、例えばプロピレンホモポリマー(H−PP)又はランダムプロピレンコポリマー(C−PP)は、逐次重合プロセスにおいて製造されてもよい。
【0079】
「逐次重合プロセス」という用語は、ポリプロピレンが直列に接続された少なくとも2つの、例えば2つ又は3つの反応器において製造されることを示す。したがって本発明の方法は、少なくとも第1の重合反応器(R1)、第2の重合反応器(R2)、及び任意に第3の重合反応器(R3)を有する。「重合反応器」という用語は、主重合が起こることを示す。よって、プロセスが2つ又は3つの重合反応器からなる場合、この定義は、全体のプロセスが例えば前重合反応器中での前重合工程を含むという選択肢を除外しない。「〜からなる(consist of)」という用語は、主重合反応器のみに関連した限定的な表現である。
【0080】
第1の反応器(R1)は、好ましくはスラリー反応器(SR)であり、バルク又はスラリー状態で稼働する、任意の連続又は単純撹拌型のバッチタンク反応器又はループ反応器であってよい。バルクとは、少なくとも60%(w/w)のモノマーを含む反応媒体中での重合を意味する。本発明によれば、スラリー反応器(SR)は好ましくは(バルク)ループ反応器(LR)である。したがって、ループ反応器(LR)内のポリマースラリー中のポリプロピレン(PP)、すなわちポリプロピレン(PP)の第1画分(第1F)の平均濃度は、通常、ループ反応器(LR)内のポリマースラリーの全重量に対して15wt%から55wt%までである。本発明の実施形態の1つにおいて、ループ反応器(LR)内のポリマースラリー中のポリプロピレン(PP)、すなわちポリプロピレン(PP)の第1画分(第1F)の平均濃度は、ループ反応器(LR)内のポリマースラリーの全重量に対して20wt%から55wt%まで、より好ましくは25wt%から52wt%までである。
【0081】
好ましくは、第1の反応器(R1)のポリプロピレン(PP)、すなわちポリプロピレン(PP)の第1画分(第1F)、より好ましくはポリプロピレン(PP)の第1画分(第1F)を含むループ反応器(LR)のポリマースラリーを、第2の反応器(R2)、すなわち第1の気相反応器(GPR−1)中に、各段階の間でフラッシュ工程を行わずに直接供給する。この種類の直接供給は、EP887379A、EP887380A、EP887381A及びEP991684Aに記述されている。「直接供給」は、第1の反応器(R1)、すなわちループ反応器(LR)の内容物である、ポリプロピレン(PP)の第1画分(第1F)を含むポリマースラリーが、次の段階の気相反応器に直接送られるプロセスを意味する。
【0082】
あるいは、第1の反応器(R1)のポリプロピレン(PP)、すなわちポリプロピレン(PP)の第1画分(第1F)、より好ましくはポリプロピレン(PP)の第1画分(第1F)を含むループ反応器(LR)のポリマースラリーはまた、第2の反応器(R2)、すなわち第1の気相反応器(GPR−1)中に供給される前に、フラッシュ工程又はさらなる濃縮工程に送られてもよい。したがって、この「間接供給」とは、第1の反応器(R1)であるループ反応器(LR)の内容物、すなわちポリマースラリーが、反応媒体分離ユニット及び分離ユニットからガスとして分離される反応媒体を介して、第2の反応器(R2)である第1の気相反応器(GPR−1)中に供給されるプロセスを指す。
【0083】
本発明の気相反応器(GPR)は、好ましくは流動床反応器、高速流動床反応器又は固定床反応器又はそれらの任意の組合せである。
【0084】
より詳細には、第2の反応器(R2)、任意に第3の反応器(R3)及び任意の後続の反応器は、好ましくは気相反応器(GPR)である。そのような気相反応器(GPR)は、任意の機械混合式反応器又は流動床反応器であってよい。好ましくは、気相反応器(GPR)は、ガス速度が少なくとも0.2m/secである機械撹拌式流動床反応器を含む。よって、気相反応器は、好ましくはメカニカルスターラーを備えた、流動床型の反応器であることが好ましい。
【0085】
よって、好ましい実施形態において、第1の反応器(R1)はスラリー反応器(SR)、例えばループ反応器(LR)であり、一方、第2の反応器(R2)、及び任意の後続の反応器、例えば第3の反応器(R3)などは気相反応器(GPR)である。したがって本発明の方法のために、直列に接続された少なくとも2つの、好ましくは2つ又は3つの重合反応器、すなわちスラリー反応器(SR)、例えばループ反応器(LR)など、第1の気相反応器(GPR−1)、及び任意に第2の気相反応器(GPR−2)が使用される。必要であれば、スラリー反応器(SR)の前に前重合反応器を配置する。
【0086】
チーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)は、下記に規定されている通り、第1の反応器(R1)中に供給され、第1の反応器(R1)において得られるポリマー(スラリー)とともに後続の反応器中に移される。プロセスが前重合工程も包含する場合、チーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)は前重合反応器において供給することが好ましい。続いてチーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)を含有する前重合生成物を、第1の反応器(R1)中に移す。
【0087】
好ましい多段階プロセスは「ループ−気相」プロセスであり、例えばEP0887379、WO92/12182、WO2004/000899、WO2004/111095、WO99/24478、WO99/24479又はWO00/68315などの特許文献に記述されている、デンマークのBorealis A/Sにより開発されたもの(BORSTAR(登録商標)技術として知られている)などである。
【0088】
さらなる適したスラリー−気相プロセスは、BasellのSpheripol(登録商標)プロセスである。
【0089】
特に良好な結果は、反応器中の温度が注意深く選択される場合に達成される。したがって、2つ又は3つの反応器のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも第1の反応器(R1)、すなわちループ反応器(LR)中の温度が、70℃から100℃の範囲内、好ましくは70℃から90℃の範囲内、より好ましくは72℃から90℃の範囲内であることが好ましい。好ましい実施形態の1つにおいて、すべての(2つ又は3つの)反応器において、温度は70℃から100℃の範囲内、好ましくは70℃から90℃の範囲内、より好ましくは72℃から90℃の範囲内である。特定の実施形態の1つにおいてすべての(2つ又は3つの)反応器中の温度は本質的に同じであり、すなわち互いに差が2℃以内であり、さらにすべての3つの反応器中の温度は70℃から100℃の範囲内、好ましくは70℃から90℃の範囲内、より好ましくは72℃から90℃の範囲内である。
【0090】
通常、第1の反応器(R1)、好ましくはループ反応器(LR)中の圧力は、20barから80barまでの範囲内、好ましくは30barから60barであり、第2の反応器(R2)、すなわち第1の気相反応器(GPR−1)中、及び任意の第3の反応器(R3)、すなわち任意の第2の気相反応器(GPR−2)中、及び任意の後続の反応器中の圧力は5barから50barまでの範囲内、好ましくは15barから35barである。
【0091】
分子量、すなわちメルトフローレートMFR
2を制御するために、各反応器において水素が添加される。
【0092】
好ましくは、共触媒(Co)とプロピレン(C3)の重量比[Co/C3]は、特に前重合反応器及びループ反応器中へのプロピレン供給を考慮した場合、25g/tから40g/tの範囲内、より好ましくは28g/tから38g/tの範囲内、いっそうより好ましくは29g/tから35g/tの範囲内である。
【0093】
好ましくは外部供与体(ED)とプロピレン(C3)の重量比[ED/C3]は、特に前重合反応器及びループ反応器中への全プロピレン供給を考慮した場合、2.8g/tから4.8g/tの範囲内、より好ましくは3.0g/tから4.6g/tの範囲内、いっそうより好ましくは3.3g/tから4.3g/tの範囲内である。
【0094】
滞留時間は、上記で特定した反応器において変えることができる。実施形態の1つにおいて、第1の反応器(R1)、例えばループ反応器(LR)中の滞留時間は、0.5時間から5時間までの範囲内、例えば0.5時間から3時間であり、後続の反応器、すなわち気相反応器中の滞留時間は、一般に0.5時間から5時間までである。
【0095】
したがって、ポリプロピレン(PP)の製造方法は、上記の条件下において以下の工程
(a)第1の重合反応器(R1)、すなわちループ反応器(LR)において、プロピレン及び任意に少なくとも1種の他のα−オレフィン、例えば任意にプロピレン以外のC
2〜C
10α−オレフィンを重合させて、ポリプロピレン(PP)の第1画分(第1F)を得る工程、
(b)前記第1の画分(第1のF)を第2の重合反応器(R2)に移す工程、
(c)第2の重合反応器(R2)において、プロピレン及び任意に少なくとも1種の他のα−オレフィン、例えば任意にプロピレン以外のC
2〜C
10α−オレフィンを、第1画分(第1F)の存在下において重合させ、ポリプロピレン(PP)の第2画分(第2F)を得る工程であって、前記第1の画分(第1のF)及び前記第2画分(第2F)がポリプロピレン(PP)又は第1の混合物(第1のM)を形成する、上記工程、
第1の混合物(第1のM)の場合
(d)前記第1の混合物(第1のM)を第3の重合反応器(R3)に移す工程、及び
(e)第3の重合反応器(R3)において、プロピレン及び任意に少なくとも1種の他のα−オレフィン、例えば任意にプロピレン以外のC
2〜C
10α−オレフィンを、第1の混合物(第1のM)の存在下において重合させ、ポリプロピレン(PP)の第3の画分(第3のF)を得る工程であって、前記第1の混合物(第1のM)及び前記第3の画分(第3のF)がポリプロピレン(PP)を形成する、上記工程
を有する。
【0096】
ポリプロピレン(PP)がプロピレンホモポリマー(H−PP)である場合、その画分もまたプロピレンホモポリマー画分であることに留意すべきである。そのような場合、必ずしもそうでなくてもよいが、個々の画分はメルトフローレートMFR
2が異なっていてもよい。したがって、実施形態の1つにおいて、ポリプロピレン(PP)はプロピレンホモポリマー(H−PP)であり、各画分は類似のメルトフローレートMFR
2を有し、すなわち差が+/−0.5g/10min以内であり、より好ましくは差が+/−0.3g/10min以内である。
【0097】
ポリプロピレン(PP)がランダムプロピレンコポリマー(C−PP)である場合、3つの画分のうちの少なくとも1つはランダムプロピレンコポリマー画分である。したがって、ランダムプロピレンコポリマー(C−PP)はまた、プロピレンホモポリマー画分を有してもよい。しかしながら、ランダムプロピレンコポリマー(C−PP)は、ランダムプロピレンコポリマー画分のみからなることが好ましい。
【0098】
工程(c)の後(ポリプロピレン(PP)が2つの反応器において製造される場合)又は工程(e)の後、ポリプロピレン(PP)を、好ましくはいかなる洗浄工程も行わずに排出する。したがって、好ましい実施形態の1つにおいて、ポリプロピレン(PP)には洗浄工程を行わない。言い換えると、特定の実施形態において、ポリプロピレン(PP)には洗浄工程を行わず、よって用途に応じた成形プロセスにおいて未洗浄で使用される。
【0099】
上記で規定したポリプロピレン(PP)の特定の製造方法において上記で指摘した通り、チーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)が使用される。これは、ポリプロピレン(PP)が好ましくは下記に規定されているチーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)の存在下において製造されることを意味する。なおより好ましくは、ポリプロピレン(PP)は、上記で規定した方法で、本発明において規定されているチーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)の存在下において製造される。したがって、チーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)を以下により詳細に記述する。
【0100】
したがって、チーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)は、
(a)(a1)遷移金属(TM)の化合物、
(a2)周期表(IUPAC)の第1族から第3族より選択される金属(M)の化合物、及び
(a3)内部電子供与体(ID)
を含むプロ触媒(PC)、
(b)共触媒(Co)、並びに
(c)外部供与体(ED)
を含まなければならない。
【0101】
遷移金属(TM)の化合物の金属は、好ましくは、周期表(IUPAC)の第4族から第6族の1つから選択され、特にチタン(Ti)等の第4族の金属である。したがって、遷移金属(TM)の化合物は、好ましくは、酸化度3又は4のチタン化合物、バナジウム化合物、クロム化合物、ジルコニウム化合物、ハフニウム化合物及び希土類金属化合物からなる群より選択され、より好ましくはチタン化合物、ジルコニウム化合物及びハフニウム化合物からなる群より選択され、最も好ましくは遷移金属はチタン化合物である。さらに遷移金属(TM)の化合物は、特に遷移金属クロリドなどの遷移金属ハライドである。三塩化チタン及び四塩化チタンが特に好ましい。特に好ましくは四塩化チタンである。
【0102】
本発明によれば、「遷移金属の化合物」という用語と「遷移金属化合物」という用語は同義語である。
【0103】
金属(M)の化合物は、その金属が、周期表(IUPAC)の第1族から第3族の1つから、好ましくは第2族金属から選択される化合物である。通常、金属(M)の化合物はチタンを含まない。特に金属(M)の化合物は、マグネシウム化合物、例えばMgCl
2である。
【0104】
さらに上述したように、プロ触媒(PC)は、チーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)の外部供与体(ED)と化学的に異なる内部電子供与体(ID)を含まなければならず、すなわち内部供与体(ID)は、好ましくは、式(II)のフタル酸ジアルキル
【化1】
(式中、R
1及びR
2は、C
1〜C
4アルキルから独立に選択することができ、好ましくはR
1及びR
2は同じであり、すなわち同じC
1〜C
4アルキル残基を規定する。)を含み、なおより好ましくは前記フタル酸ジアルキルである。
【0105】
好ましくは、内部供与体(ID)は、式(II)のフタル酸n−ジアルキル(式中、R
1及びR
2は、C
1〜C
4n−アルキルから独立に選択することができ、好ましくはR
1及びR
2は同じであり、すなわち同じC
1〜C
4n−アルキル残基を規定する。)を含み、例えば前記フタル酸n−ジアルキルである。なおより好ましくは、内部供与体(ID)は、式(II)のフタル酸n−ジアルキル(式中、R
1及びR
2は、C
1及びC
2アルキルから独立に選択することができ、好ましくはR
1及びR
2は同じであり、すなわち同じC
1又はC
2アルキル残基を規定する。)を含み、例えば前記フタル酸n−ジアルキルである。なおより好ましくは、内部供与体(ID)は、フタル酸ジエチルを含み、例えばフタル酸ジエチルである。
【0106】
当然ながら、上記で規定され、下記でさらに規定されるプロ触媒(PC)は固体の担持型プロ触媒組成物である。
【0107】
さらに、プロ触媒(PC)は、2.5wt%以下の遷移金属(TM)、好ましくはチタンを含有することが好ましい。なおより好ましくはは、プロ触媒は、1.7wt%から2.5wt%の遷移金属(TM)、好ましくはチタンを含有する。加えて、プロ触媒の内部供与体(ID)と金属(M)、例えばMgのモル比[ID/M]は、0.03から0.08の間、なおより好ましくは0.04から0.06の間であることが好ましく、及び/又はその内部供与体(ID)含量は、4wt%から15wt%の間、なおより好ましくは6wt%から12wt%の間である。
【0108】
さらに、内部供与体(ID)は、式(I)のフタル酸ジアルキルとアルコールとのエステル交換の結果物であることが好ましい。プロ触媒(PC)は、特許出願WO87/07620、WO92/19653、WO92/19658及びEP0491566において製造されたようなプロ触媒(PC)であることが特に好ましい。これらの文書の内容は、参照により本明細書に含まれる。
【0109】
遷移金属(TM)の化合物の金属は、好ましくは、周期表(IUPAC)の第4族から第6族の1つ、特に第4族から選択され、例えばチタン(Ti)である。したがって、プロ触媒(PC)は、
(a)遷移金属(TM)の化合物、好ましくは周期表(IUPAC)の第4族から第6族から選択される遷移金属(TM)化合物、より好ましくは第4族の遷移金属(TM)化合物、例えばチタン(Ti)化合物、特にハロゲン化チタン、例えばTiCl
3又はTiCl
4、特に好ましくは後者、
(b)周期表(IUPAC)の第1族から第3族の1つから選択される金属(M)の化合物、好ましくはマグネシウム化合物、例えばMgCl
2、
(c)C
1〜C
4アルコール、好ましくはC
1〜C
2アルコール、例えばメタノール又はエタノール、最も好ましくはエタノール、及び
(d)式(I)のフタル酸ジアルキル
【化2】
(式中、R
1’及びR
2’は、前記アルコールより多い炭素原子を有し、好ましくは独立に、少なくともC
5アルキル、例えば少なくともC
8アルキルであり、より好ましくはR
1’及びR
2’は同じであり、少なくともC
5アルキル、例えば少なくともC
8アルキルである)、
又は
好ましくは式(I)のフタル酸n−ジアルキル(式中、R
1’及びR
2’は、前記アルコールより多い炭素原子を有し、好ましくは独立に少なくともC
5n−アルキル、例えば少なくともC
8n−アルキルであり、より好ましくはR
1’及びR
2’は同じであり、少なくともC
5n−アルキル、例えば少なくともC
8n−アルキルである)、
又は
より好ましくはフタル酸ジオクチル、例えばフタル酸ジ−イソ−オクチル又はフタル酸ジエチルヘキシル、いっそうより好ましくはフタル酸ジエチルヘキシル
を合わせることにより製造され、前記アルコールと前記式(I)のフタル酸ジアルキルのエステル交換が適したエステル交換条件下で、すなわち130℃から150℃の間の温度で行われたものであることが好ましい。
【0110】
とりわけ、プロ触媒(PC)を製造するための上記に及び下記の方法に好ましい式(I)のフタル酸ジアルキルは、フタル酸プロピルヘキシ(propylhexyphthalate)(PrHP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジ−イソ−デシル(DIDP)、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジエチルヘキシル及びフタル酸ジトリデシル(DTDP)からなる群より選択される。最も好ましいフタル酸ジアルキルは、フタル酸ジオクチル(DOP)、例えばフタル酸ジ−イソ−オクチル又はフタル酸ジエチルヘキシル、特にフタル酸ジエチルヘキシルである。
【0111】
好ましくは、少なくとも80wt%、より好ましくは少なくとも90wt%の式(I)のフタル酸ジアルキルが、上記で規定した式(II)のフタル酸ジアルキルにエステル交換される。
【0112】
プロ触媒(PC)は、
(a)噴霧結晶化した(spray crystallized)又は凝固させた式MgCl
2*nEtOH(式中、nは1から6である。)の付加物をTiCl
4と接触させて、チタン化担体を形成する工程、
(b)前記チタン化担体に、
(i)R
1’及びR
2’が独立に、少なくともC
5アルキル、例えば少なくともC
8アルキルである、式(I)のフタル酸ジアルキル、
又は好ましくは
(ii)R
1’及びR
2’が同じであり、少なくともC
5アルキル、例えば少なくともC
8アルキルである、式(I)のフタル酸ジアルキル、
又はより好ましくは
(iii)フタル酸プロピルヘキシル(PrHP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジ−イソ−デシル(DIDP)、及びフタル酸ジトリデシル(DTDP)からなる群より選択される式(I)のフタル酸ジアルキル、いっそうより好ましくは、フタル酸ジオクチル(DOP)、例えばフタル酸ジ−イソ−オクチル又はフタル酸ジエチルヘキシル、特にフタル酸ジエチルヘキシルである式(I)のフタル酸ジアルキル
を添加して、第1の生成物を形成する工程、
(c)前記第1の生成物を、適したエステル交換条件、すなわち130から150℃の間の温度に供し、その結果、前記エタノールが、前記式(I)のフタル酸ジアルキルの前記エステル基とエステル交換されて、好ましくは少なくとも80mol%、より好ましくは90mol%、最も好ましくは95mol%の式(II)のフタル酸ジアルキル(式中、R
1及びR
2は−CH
2CH
3である。)を形成する工程、及び
(d)プロ触媒(PC)として前記エステル交換生成物を回収する工程
により製造されることが特に好ましい。
【0113】
さらなる要件として、チーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)は、共触媒(Co)を含まなければならない。好ましくは、共触媒(Co)は、周期表(IUPAC)の第13族の化合物、例えば有機アルミニウム、例えばアルキルアルミニウム、アルミニウムハライド又はアルミニウムアルキルハライド化合物等のアルミニウム化合物である。したがって具体的な実施形態の1つにおいて、共触媒(Co)はトリアルキルアルミニウム、例えばトリエチルアルミニウム(TEA)、ジアルキルアルミニウムクロリド又はアルキルアルミニウムセスキクロリドである。具体的な実施形態の1つにおいて、共触媒(Co)はトリエチルアルミニウム(TEA)である。
【0114】
加えて、チーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)は、外部供与体(ED)を含まなければならない。好ましくは、外部供与体(ED)はヒドロカルビルオキシシラン誘導体である。したがって具体的な実施形態の1つにおいて、外部供与体(ED)は、式(IIIa)又は(IIIb)により表される。
【0115】
式(IIIa)は、
Si(OCH
3)
2R
25 (IIIa)
(式中、R
5は、3個から12個の炭素原子を有する分枝状アルキル基、好ましくは3個から6個の炭素原子を有する分枝状アルキル基、又は4個から12個の炭素原子を有するシクロアルキル、好ましくは5個から8個の炭素原子を有するシクロアルキルを表す。)により規定される。
【0116】
R
5は、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、tert−ブチル、tert−アミル、ネオペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル及びシクロヘプチルからなる群より選択されることが特に好ましい。
【0117】
式(IIIb)は、
Si(OCH
2CH
3)
3(NR
xR
y) (IIIb)
(式中、R
x及びR
yは、同じであるか又は異なることができ、1個から12個の炭素原子を有する炭化水素基を表す。)により規定される。
【0118】
R
x及びR
yは、1個から12個の炭素原子を有する直鎖状脂肪族炭化水素基、1個から12個の炭素原子を有する分枝状脂肪族炭化水素基及び1個から12個の炭素原子を有する環状脂肪族炭化水素基からなる群より独立に選択される。R
x及びR
yは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、オクチル、デカニル、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、tert−ブチル、tert−アミル、ネオペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル及びシクロヘプチルからなる群より独立に選択されることが特に好ましい。
【0119】
より好ましくは、R
x及びR
yは両方とも同じであり、いっそうより好ましくはR
x及びR
yは両方ともエチル基である。
【0120】
より好ましくは、外部供与体(ED)は、ジエチルアミノトリエトキシシラン[Si(OCH
2CH
3)
3(N(CH
2CH
3)
2)](U供与体)、ジシクロペンチルジメトキシシラン[Si(OCH
3)
2(シクロ−ペンチル)
2](D供与体)、ジイソプロピルジメトキシシラン[Si(OCH
3)
2(CH(CH
3)
2)
2](P供与体)及びそれらの混合物からなる群より選択される。最も好ましくは、外部供与体はジシクロペンチルジメトキシシラン[Si(OCH
3)
2(シクロ−ペンチル)
2](D供与体)である。
【0121】
したがって、特に良好な結果は、
(a)チタン、MgCl
2、及び内部供与体(ID)を含むプロ触媒(PC)であって、前記内部供与体(ID)が、
(i)式(II)のフタル酸ジアルキル
【化3】
(式中、R
1及びR
2は独立にC
1〜C
4アルキルから選択され、好ましくはR
1及びR
2は同じであり、すなわち同じC
1〜C
4アルキル残基を規定する。)、
又は好ましくは
(ii)式(II)のフタル酸n−ジアルキル(式中、R
1及びR
2は、C
1〜C
4n−アルキルから独立に選択することができ、好ましくはR
1及びR
2は同じであり、すなわち同じC
1〜C
4n−アルキル残基を規定する。)、
又はより好ましくは
(iii)式(II)のフタル酸n−ジアルキル(式中、R
1及びR
2は、C
1及びC
2アルキルから独立に選択することができ、好ましくはR
1及びR
2は同じであり、すなわち同じC
1又はC
2アルキル残基を有する。)、
又はなおより好ましくは
(iv)フタル酸ジエチル
を含み、好ましくは前記(i)〜(iv)のいずれかである、上記プロ触媒(PC)、
(b)トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロリド又はアルキルアルミニウムセスキクロリド、好ましくはトリエチルアルミニウム(TEA)である共触媒(Co)、及び
(c)ジエチルアミノトリエトキシシラン[Si(OCH
2CH
3)
3(N(CH
2CH
3)
2)]、ジシクロペンチルジメトキシシラン[Si(OCH
3)
2(シクロ−ペンチル)
2](D−供与体)、ジイソプロピルジメトキシシラン[Si(OCH
3)
2(CH(CH
3)
2)
2](P−供与体)及びそれらの混合物からなる群より選択され、より好ましくはジシクロペンチルジメトキシシラン[Si(OCH
3)
2(シクロ−ペンチル)
2]である、外部供与体(ED)
を含むチーグラー・ナッタ触媒(ZN−C)を用いて達成される。
【0122】
より好ましくは、前記プロ触媒(PC)は、上記で規定したように、また特許出願WO92/19658、WO92/19653及びEP0491566A2に記述されているように製造されたものである。共触媒(Co)並びに外部供与体(ED)は、ポリプロピレン(PP)の重合の前にプロ触媒(PC)に添加されるか、又は第1の反応器(R1)に、又は使用される場合は前重合反応器に、まとめて供給される。
【0123】
本発明の重要な側面は、一方では共触媒(Co)と外部供与体(ED)の比[Co/ED]が、他方では共触媒(Co)と遷移金属(TM)[Co/TM]の比が注意深く選択されていることである。
【0124】
したがって、
(a)共触媒(Co)と外部供与体(ED)のmol比[Co/ED]は、10より大きく40未満の範囲内でなければならず、
(b)共触媒(Co)と遷移金属(TM)のmol比[Co/TM]は、40より大きく160未満の範囲内でなければならない。
【0125】
以下に、本発明を実施例によりさらに説明する。
【実施例】
【0126】
A.測定方法
以下の用語及び決定方法の定義は、別段の規定がない限り、下記の実施例だけでなく特許請求の範囲を含む本発明の上記の一般的な記述にも適用される。
【0127】
NMR分光法による微細構造の定量
定量的核磁気共鳴(NMR)分光法を使用して、ポリマーの立体規則性(タクティシティ)、レギオ規則性(regio−regularity)及びコモノマー含量を定量した。
【0128】
定量的
13C{
1H}NMRスペクトルを、
1H及び
13Cについてそれぞれ400.15MHz及び100.62MHzで動作するBruker Advance III 400 NMR分光器を使用して溶液状態で記録した。すべてのスペクトルは、
13Cに最適化された10mmの動作温度範囲の広いプローブヘッドを使用して、125℃ですべての圧力に窒素ガスを使用して記録した。
【0129】
ポリプロピレンホモポリマーでは、約200mgの材料を、1,2−テトラクロロエタン−d
2(TCE−d
2)中に溶解した。確実に均質な溶液にするために、ヒートブロックにおける最初の試料調製の後、NMRチューブを回転オーブン中で少なくとも1時間さらに加熱した。マグネット中へ挿入して、チューブを10Hzで回転させた。このセットアップは、タクティシティ分布定量に必要とされる高分解能のために主に選択された(Busico,V.,Cipullo,R.,Prog.Polym.Sci.26(2001)443;Busico,V.;Cipullo,R.,Monaco,G.,Vacatello,M.,Segre,A.L.,Macromoleucles 30(1997)6251)。NOE及びバイレベルWALTZ16デカップリング法(Zhou,Z.,Kuemmerle,R.,Qiu,X.,Redwine,D.,Cong,R.,Taha,A.,Baugh,D.Winniford,B.,J.Mag.Reson.187(2007)225;Busico,V.,Carbonniere,P.,Cipullo,R.,Pellecchia,R.,Severn,J.,Talarico,G.,Macromol.Rapid Commun.2007、28、11289)を利用して、標準的なシングルパルス励起を用いた。1スペクトルあたり合計8192(8k)の過渡応答(transient)が得られた。
【0130】
エチレン−プロピレンコポリマーでは、約200mgの材料を、3mlの1,2−テトラクロロエタン−d
2(TCE−d
2)中にクロム(III)−アセチルアセトナート(Cr(acac)
3)とともに溶解し、緩和剤の65mM溶媒溶液を得た(Singh,G.,Kothari,A.,Gupta,V.,Polymer Testing28 5(2009)、475)。確実に均質な溶液とするために、ヒートブロックにおける最初の試料調製の後、NMRチューブを回転オーブン中で少なくとも1時間さらに加熱した。マグネット中へ挿入して、チューブを10Hzで回転させた。このセットアップは、正確なエチレン含量定量に必要とされる高分解能及び定量性のために主に選択された。NOEを用いずに、最適化されたフリップ角(tip angle)、1秒の繰り返し時間(recycle delay)及びバイレベルWALTZ16デカップリング法(Zhou,Z.,Kuemmerle,R.,Qiu,X.,Redwine,D.,Cong,R.,Taha,A.,Baugh,D.Winniford,B.,J.Mag.Reson.187(2007)225;Busico,V.,Carbonniere,P.,Cipullo,R.,Pellecchia,R.,Severn,J.,Talarico,G.,Macromol.Rapid Commun.2007、28、11289)を使用して、標準的なシングルパルス励起を用いた。1スペクトルあたり合計6144(6k)の過渡応答が得られた。
【0131】
定量的
13C{
1H}NMRスペクトルを処理し、積分し、独自開発したコンピュータプログラムを使用して関連する定量的特性を積分値から決定した。
【0132】
エチレン−プロピレンコポリマーについて、すべての化学シフトは、溶媒の化学シフトを使用して30.00ppmのエチレンブロック(EEE)の中央のメチレン基を間接的に基準とした。この方法により、この構造単位が存在しないときであっても同等に基準を取ることができた。
【0133】
ポリプロピレンホモポリマーについて、すべての化学シフトは、内部標準として21.85ppmのメチルアイソタクチックペンタッド(mmmm)を基準とする。
【0134】
レギオ欠陥(Resconi,L.,Cavallo,L.,Fait,A.,Piemontesi,F.,Chem.Rev.2000、100、1253;Wang,W−J.,Zhu,S.,Macromolecules 33(2000)、1157;Cheng,H.N.,Macromolecules 17(1984)、1950)又はコモノマーに対応する特徴的シグナルを観測した。
【0135】
23.6ppm〜19.7ppmの間のメチル領域の積分によりタクティシティ分布を定量し、目的の立体シーケンスに関連しない部位を補正した(Busico,V.,Cipullo,R.,Prog.Polym.Sci.26(2001)443;Busico,V.,Cipullo,R.,Monaco,G.,Vacatello,M.,Segre,A.L.,Macromoleucles 30(1997)6251)。
【0136】
特に、タクティシティ分布の定量に対するレギオ欠陥及びコモノマーの影響は、立体シーケンスの特定の積分領域から代表的なレギオ欠陥及びコモノマー積分値を減算することにより補正した。
【0137】
アイソタクティシティは、ペンタッドレベルで決定し、すべてのペンタッドシーケンスに対するアイソタクチックペンタッド(mmmm)シーケンスの百分率としてレポートした:
[mmmm]%=100*(mmmm/すべてのペンタッドの合計)
【0138】
2,1エリスロレギオ欠陥の存在は、17.7ppm及び17.2ppmの2つのメチル部位の存在により示され、他の特徴的部位により確認された。
【0139】
他のタイプのレギオ欠陥に対応する特徴的シグナルは観測されなかった(Resconi,L.,Cavallo,L.,Fait,A.,Piemontesi,F.,Chem.Rev.2000,100,1253)。
【0140】
2,1エリスロレギオ欠陥の量は、17.7ppm及び17.2ppmの2つの特徴的メチル部位の平均積分値を使用して定量した:
P
21e=(I
e6+I
e8)/2
【0141】
1,2一次挿入された(primary inserted)プロペンの量をメチル領域に基づいて定量し、一次挿入(primary insertion)に関連しないこの領域中に含まれる部位について、及びこの領域から除外される一次挿入部位について補正を行った:
P
12=I
CH3+P
12e
【0142】
一次挿入プロペン及びすべての他の存在するレギオ欠陥の合計としてプロペンの全量を定量した:
P
total=P
12+P
21e
【0143】
すべてのプロペンに関して2,1エリスロレギオ欠陥のモルパーセントを定量した:
[21e]mol%=100*(P
21e/P
total)
【0144】
コポリマーについて、エチレンの取り込みに対応する特徴的シグナルを観測した(Cheng,H.N.,Macromolecules 17(1984)、1950)。
【0145】
レギオ欠陥もまた観測されたため(Resconi,L.,Cavallo,L.,Fait,A.,Piemontesi,F.,Chem.Rev.2000,100,1253;Wang,W−J.,Zhu,S.,Macromolecules 33(2000)、1157;Cheng,H.N.,Macromolecules 17(1984),1950)、コモノマー含量に対するそのような欠陥の影響について補正が必要であった。
【0146】
ポリマー中のエチレンのモル分率は、Wangらの方法(Wang,W−J.,Zhu,S.,Macromolecules 33(2000),1157)を使用して、規定の条件を使用して得られた
13C{
1H}スペクトルの全スペクトル領域にわたる複数のシグナルを積分することにより定量した。この方法は、その精度、信頼性及び必要に応じてレギオ欠陥の存在を説明する能力のために選択された。より広範囲のコモノマー含量に適用できるように、積分領域を若干調整した。
【0147】
ポリマー中のコモノマー取り込みのモルパーセントを、下式に従ってモル分率から計算した:
E[mol%]=100*fE
【0148】
ポリマー中のコモノマー取り込みの重量パーセントを、下式に従ってモル分率から計算した:
E[wt%]=100*(fE*28.05)/((fE*28.05)+((1−fE)*42.08))
【0149】
トライアドレベルでのコモノマーシーケンス分布を、Kakugoらの方法(Kakugo,M.,Naito,Y.,Mizunuma,K.,Miyatake,T.Macromolecules 15(1982)1150)を使用して、規定の条件を使用して得られた
13C{
1H}スペクトルの全スペクトル領域にわたる複数のシグナルを積分することにより決定した。この方法はその信頼性のために選択された。より広範囲のコモノマー含量に適用できるように、積分領域を若干調整した。
【0150】
ポリマー中の所与のコモノマートライアドシーケンスのモルパーセントを、Kakugoらの方法(Kakugo,M.,Naito,Y.,Mizunuma,K.,Miyatake,T.Macromolecules 15(1982)1150)により決定されるモル分率から下式に従って計算した:
XXX[mol%]=100*fXXX
【0151】
トライアドレベルでのコモノマーシーケンス分布から決定されるポリマー中のコモノマー取り込みのモル分率は、既知の必要な関係式を使用して(Randall,J.Macromol.Sci.,Rev.Macromol.Chem.Phys.1989,C29,201)トライアド分布から計算した:
fXEX=fEEE+fPEE+fPEP
fXPX=fPPP+fEPP+fEPE
(式中、PEE及びEPPは、それぞれ、反転可能なシーケンスPEE/EEP及びEPP/PPEの合計を表す。)
【0152】
すべての取り込まれたエチレンと比較した孤立エチレンシーケンスの相対量として、コモノマー分布のランダム性を定量した。ランダム性は、下記の関係式を使用してトライアドシーケンス分布から計算した:
R(E)[%]=100*(fPEP/fXEX)
【0153】
レオロジー:動的レオロジー測定は、Rheometrics RDA−II QCを用いて、200℃にて窒素雰囲気下で、25mm直径プレート及びプレートの幾何学的形状を使用して、圧縮成形された試料に対して行った。振動剪断実験は、周波数0.01rad/sから500rad/sにおいて、ひずみの線形粘弾性領域内で行った(ISO6721−10)。
【0154】
貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)、複素弾性率(G
*)及び複素粘性率(η
*)の値は、周波数(ω)の関数として得た。
【0155】
ゼロ剪断粘度(η
0)は、複素粘性率の逆数として規定されている複素流動率を使用して計算した。よってその実部及び虚部は、以下により規定される。
f’(ω)=η’(ω)/[η’(ω)
2+η’’(ω)
2]及び
f’’(ω)=η’’(ω)/[η’(ω)
2+η’’(ω)
2]
以下の等式
η’=G’’/ω及びη’’=G’/ω
から
f’(ω)=G’’(ω)*ω/[G’(ω)
2+G’’(ω)
2]
f’’(ω)=G’(ω)*ω/[G’(ω)
2+G’’(ω)
2]
【0156】
多分散指数PI
PI=10
5/G
cは、G’(ω
c)=G’’(ω
c)=G
cが成り立つG’(ω)とG’’(ω)のクロスオーバーポイントから計算する。
【0157】
メルトフローレート(MFR
2)
メルトフローレートは、230℃で、2.16kgの荷重(MFR
2)で測定した。メルトフローレートは、ISO1133に準拠した試験機器が230℃の温度で、2.16kgの荷重下で10分間のうちに押し出すポリマー量をグラムで表したものである。
【0158】
灰分含量は、ISO3451−1(1997)に従って測定する。
キシレン可溶性成分(XCS、%):低温キシレン可溶性成分(XCS)の含量は、25℃で、ISO16152(初版、2005−07−01)に従って決定する。
【0159】
溶融温度T
m、結晶化温度T
cは、5〜10mgの試料に対して、Mettler TA820示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定する。結晶化曲線及び融解曲線の両方を、30℃と225℃の間の10℃/minの冷却及び加熱走査の間に得た。溶融温度及び結晶化温度を吸熱及び発熱のピークとみなした。
【0160】
融解エンタルピー及び結晶化エンタルピー(Hm及びHc)もまた、ISO11357−3に従ってDSC法により測定した。
【0161】
WAXS(広角X線散乱)測定:
試料の広角X線散乱(WAXS)を測定するために、Bruker D8 Discoverを使用した。回折計は、30kV及び20mAで動作する銅ターゲットのX線管並びにGADDS 2−D検出器を備えていた。ビームを表面に向けるために、ポイントコリメーション(0.5mm)を使用した。反射配置(reflection geometry)で測定を行い、10°から32.5°までの範囲の2θ角を測定した。300sにわたってデータを収集した。
【0162】
溶媒抽出により調製した非晶質ポリプロピレン試料に対して同じ測定パラメータを用いて強度対2θ曲線を得た。曲線を平滑化することにより非晶質ハローが得られた。測定された強度対2θ曲線から非晶質ハローを減算して、結晶曲線を得た。
【0163】
結晶度指数(crystallinity index)Xc(結晶度)は、Challa、Hermans及びWeidingerの方法[Challa G,Hermans PH,Weidinger A,Makromol.Chem.56,169(1962)]を使用して、結晶曲線下面積及び元のスペクトル下面積により以下の通り規定することができる:
【数1】
【0164】
結晶相内のβ型ポリプロピレンの量K
βは、Jonesの方法[Turner−Jones A,Aizlewood JM,Beckett DR,Makromol.Chem.75,134(1974)]を使用して以下の等式に従って計算する:
【数2】
(式中、I
β(300)、I
α(110)、I
α(040)、I
α(130)は、それぞれ、非晶質ハローを引いた後に得られるβ(300)ピークの強度、α(110)ピークの強度、α(040)ピークの強度、α(130)ピークの強度である。)
【0165】
結晶相内のγ型iPPの量Kγは、Paeにより開発された方法[Pae KD,J.Polym.Sci.,Part A,6,657(1968)]を使用して以下の通り計算する:
【数3】
(式中、I
α(130)及びI
γ(117)は、それぞれ、これらのピークのベースをつなぐベースラインを減算した後に得られるα(130)ピークの強度及びγ(117)ピークの強度である。)
【0166】
3相結晶系の定量は、Obadal M,Cermak R,Stoklasa K,Macromol.Rapid Commun.26,1253(2005)において説明されている手順に従って行った。3相結晶系について、以下の等式を使用してKα(α−相の量)、Kβ(β−相の量)及びKγ(γ−相の量)を決定した:
【数4】
【0167】
段階的等温分離法(SIST)
SIST分析のための等温結晶化は、Mettler TA820 DSCにおいて、3±0.5mgの試料に対して、200℃と105℃の間の降温で行った。
(i)試料を225℃で5分間溶融させ、
(ii)次いで80℃/minで145℃まで冷却し、
(iii)145℃に2時間維持し、
(iv)次いで80℃/minで135℃まで冷却し、
(v)135℃に2時間維持し、
(vi)次いで80℃/minで125℃まで冷却し、
(vii)125℃に2時間維持し、
(viii)次いで80℃/minで115℃まで冷却し、
(ix)115℃に2時間維持し、
(×)次いで80℃/minで105℃まで冷却し、
(×i)105℃に2時間維持した。
【0168】
最後の工程の後、試料を80℃/minで−10℃まで冷却し、冷却した試料を10℃/minの加熱速度で200℃まで加熱することにより融解曲線を得た。すべての測定を窒素雰囲気中で行った。融解エンタルピーを温度の関数として記録し、以下の温度区間内で融解する画分の融解エンタルピーを測定することにより評価した。
50℃〜60℃;60℃〜70℃;70℃〜80℃;80℃〜90℃;90℃〜100℃;100℃〜110℃;110℃〜120℃;120℃〜130℃;130℃〜140℃;140℃〜150℃;150℃〜160℃;160℃〜170℃;170℃〜180℃;180℃〜190℃;190〜200℃。
【0169】
圧縮成形
試料を、ISO173−2に従って型枠上で製造した。
【0170】
【表1】
【0171】
二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルム
Karo IV Labscale BOPP延伸機(Brueckner Maschinenbau製)において、試料を同時に等二軸方向に延伸した。
【0172】
【表2】
【0173】
降伏力の評価
延伸中、力−ひずみ曲線を自動的に記録した。力−ひずみ曲線の最初のピークを降伏点として特定した。記録されたMD力のみを使用して降伏力を読み取った。
【0174】
機械方向の引張弾性率を、ISO527−3に従って23℃で二軸配向フィルムにおいて決定した。 試験は、1mm/minのクロスヘッド速度で行った。
【0175】
引張弾性率;引張応力;23℃でISO527−1(クロスヘッド速度1mm/min)に従って、圧縮成形試験片から切り取ったS2短冊形試験片を使用して測定した。
【0176】
BOPPフィルムの収縮は、ISO11501−「加熱寸法変化の測定」と同様にして測定した。BOPPフィルムから5×10cmサイズのフィルム試験片を切り取り、空気中にて、120℃で30分間オーブンに入れた。元のフィルムと比較した、このように処理されたフィルムの長さの相対的減少を収縮率(パーセント)としてレポートする。
【0177】
残留結晶度f
RC
残留結晶度f
RCは、上記で規定した圧縮成形試料に対して行う示差走査熱量(DSC)測定の1回目の加熱走査から得る。残留結晶度f
RCは、以下の式により規定される。
f
RC=1−f
RM
(式中
f
RCは残留結晶度であり、
f
RMは溶融画分である。)
【0178】
溶融画分f
RMは、以下の式においてレポートされる、融解エンタルピーΔH
mにより正規化された連続積分(running integral)である。
【数5】
【0179】
全融解エンタルピーΔH
mは、90℃からT
m+20℃までの範囲(式中、T
mは、圧縮成形ポリプロピレンの溶融温度を意味する)における融解時のDSCサーモグラムの積分値として計算する。例えば、150℃で計算された等式の分子部分での積分値は、融解ピーク下の90℃から150℃までの面積となり、150℃での溶融画分f
RMは、この面積の、融解ピーク下の全体すなわち90℃からT
m+20℃までの面積に対する比となる。よって(150℃での)残留結晶度f
RCは、融解ピーク下の、150℃から始まりT
m+20℃までの面積の、全体の面積に対する比に対応する。選択された温度(150℃、155℃、160℃など)において異なるf
RC計算を行うことができる。
【0180】
B.実施例
反応器にモノマー、水素を添加するため、及びフラッシングのための制御バルブを備えた21.3Lオートクレーブにおいて、実施例IE1を行った。反応器中へのモノマー及び水素の添加量は、流量調節器により、またそれらのそれぞれのリザーバの質量をモニターすることによりモニターした。反応器の温度は、反応器の上部及び下部の両方にセンサーを有する反応器の周囲のダブルジャケット中の水を冷却/加熱することにより制御した。反応器内部を効果的に混合するためにマグネチックカップリングによるヘリカルスターラーを使用し、撹拌速度は反応中に変えることができた。反応器室(reactor cabin)外のワークステーションコンピュータにより全体のプロセスを事前にセットし、実行し、モニターした。
【0181】
一般的な重合条件:
本発明の実施例(IE1)のポリプロピレンの重合プロセスにおいて使用した触媒は、以下の通り製造された:まず、0.1molのMgCl
2×3EtOHを、不活性条件下において大気圧で、反応器中の250mlのデカンに懸濁した。溶液を、−15℃の温度まで冷却し、温度を前記レベルに維持しながら、300mlの冷TiCl
4を加えた。次いで、スラリーの温度をゆっくりと20℃まで上昇させた。この温度で、0.02molのフタル酸ジオクチル(DOP)をスラリーに添加した。フタル酸エステルの添加後、温度を90分の間に135℃まで上げ、スラリーを60分間静置した。次いで、さらに300mlのTiCl
4を加え、温度を120分間135℃に保った。この後、触媒を液体から濾過し、80℃のヘプタン300mlで6回洗浄した。次いで、固体触媒成分を濾過し、乾燥した。触媒及びその製造概念は、例えば特許公報EP491566、EP591224及びEP586390に概して記述されている。共触媒としてトリエチル−アルミニウム(TEAL)及び供与体としてジシクロペンチルジメトキシシラン(D供与体)を使用した。アルミニウム対供与体の比を表1に示す。
【0182】
バルク:
最初に反応器をプロピレンでパージし、次いで前重合のための5250gのプロピレン及び6リットルの水素を入れる。反応器に添加する前に、触媒を、異なる比のTEALとD供与体の溶液(表1を参照)と5分間混合した。次いで触媒投入容器を250gのプロピレンで洗い流して、確実にすべての触媒混合物を反応器に添加する。次いで反応器において350rpmで撹拌しながら23℃で6分間前重合を行う。続いて、反応器を75℃から85℃の間の温度まで加熱してバルク条件を開始する。移行の間、流量調節器から所望の量の水素を反応器に添加する。水素は必ず一括で添加し、反応中に連続的には添加しない。所望の反応器条件に達したら、プロピレンを添加することにより反応器を一定圧力に維持する。バルク条件に達するまでのこの移行時間は通常〜19分であった。指定されたバルク滞留時間の後、反応器を100rpmの撹拌速度で0.5barまでパージして気相工程を続ける。
【0183】
GPR1
所望のパージ圧力(0.5bar)に達すると、最終気相(GPR1)への移行が始まった。反応器の撹拌速度を350rpmに上げ、温度及び圧力がそれぞれ75℃〜85℃及び22barまで上昇したときに、反応器にプロピレン及び水素を添加した。ループとGPR1の間の移行時間は通常8分から10分の間であった。反応器が所望の温度に達したら、プロピレンを添加することにより圧力を22barで一定に維持した。生成されるポリマーの量は、反応中に添加されるプロピレンの量を測定することによりモニターすることができた。気相反応を3時間行った後、反応器は下記に略述した終了手順に従った。
【0184】
反応終了:
反応を完了させた後、撹拌速度を100rpmまで下げ、気体混合物を0barまで反応器からパージした。反応器を数回の真空サイクルで処理することにより、残留ガスを反応器(並びにポリマー粒子)から除去する。このサイクルでは、反応器を真空下に数分間置き、周囲圧力まで窒素を満たし、その後このプロセスを数回繰り返す。次いで、生成物を反応器から安全に取り出す。
【0185】
【表3】
【0186】
【表4】
【0187】
*圧縮成形試料の溶融温度T
mより1℃低温で測定した
**圧縮成形試料の溶融温度T
mより1℃低い延伸温度でのBOPPフィルムの製造において測定した
Crys 結晶度
【0188】
比較例CE1として、下記に示す特性を有する市販のプロピレンホモポリマーを使用した。
【0189】
【表5】
【0190】
本発明の実施例及び比較例のポリプロピレンから製造された未延伸試料の特性を表2及び3にまとめる。
【0191】
本発明の実施例(IE1)のf
RCは0.36であり、一方、比較例(CE1)のf
RCは0.43であり、約16%の差である。これは、この温度差でフィルムを延伸するために必要とされる力に明らかに影響を及ぼす。特に、IE1に必要とされる力は10Nであり、一方、CE1に必要とされる力は2倍を超える、すなわち24Nであることが分かる。
【0192】
本発明の実施例及び比較例のポリプロピレンから製造された二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムの特性を表4にまとめる。
【0193】
【表6】
【0194】
表4に略述されている測定された詳細から分かるように、本発明のBOPPフィルムは、測定された温度で、先行技術の二軸配向ポリプロピレンフィルムと比較して良好なフィルム特性を有する。特に、比較BOPPフィルムは、収縮率、結晶度及び剛性について良好なフィルム特性を示すことが分かる。