特許第6040324号(P6040324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6040324ブラスト炉に送風を供給するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040324
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】ブラスト炉に送風を供給するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   C21B 9/00 20060101AFI20161128BHJP
   C21B 9/10 20060101ALI20161128BHJP
   F27D 17/00 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   C21B9/00 301
   C21B9/10 305
   F27D17/00 104G
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-548363(P2015-548363)
(86)(22)【出願日】2013年12月10日
(65)【公表番号】特表2016-505717(P2016-505717A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】EP2013076109
(87)【国際公開番号】WO2014095494
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2015年9月16日
(31)【優先権主張番号】1223135.3
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514251927
【氏名又は名称】プライメタルズ テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ポール・マーク・ギーチ
【審査官】 酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−005815(JP,A)
【文献】 特開昭58−039714(JP,A)
【文献】 実開昭57−052552(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラスト炉に送風を供給するための装置であって、
該装置は複数の熱風加熱炉を備え、前記加熱炉それぞれは、冷風入口、燃料入口、空気供給入り口、熱風出口、及び1つ以上の排ガス出口を備え、
前記装置は、燃料供給源、前記排ガス出口、前記燃料入口、及び前記冷風入口に接続された排熱回収ユニットをさらに備え、
前記加熱炉の前記排ガス出口は、前記冷風入口に圧縮機を介して接続されており、それによって1つの前記加熱炉からの加熱炉排ガスが、前記排熱回収ユニットおよび前記圧縮機を介して、冷風として別の前記加熱炉に供給されることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記装置が、前記熱回収ユニットと、前記冷風入口と、の間に排ガスベントをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置が、前記熱回収ユニットと、前記冷風入口と、の間に排ガスファンをさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記圧縮機は、前記排ガスファンと、前記冷風入口と、の間に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記装置が、前記送風が前記ブラスト炉に入る前に、COの変換によって前記送風からCOを再生するための再生装置をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記再生装置は、前記熱風出口と前記ブラスト炉との間に位置していることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
ラスト炉と、該ブラスト炉と前記熱回収ユニットとの間の接続と、をさらに備えて、再使用される炉頂ガスを前記熱回収ユニットに移送することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
素の供給源を前記排ガスファンと、加熱炉空気入口と、の間にさらに備えることを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
ブラスト炉に送風を供給する方法であって、
加熱炉の排ガスを第1の熱風加熱炉から抜き出すステップと、
前記排ガスを排熱回収ユニットにおいて冷却するステップと、
冷却された前記排ガスを加圧するステップと、
加圧された前記冷却された排ガスを第2の熱風加熱炉に冷風として供給するステップと、
前記冷風を前記第2の加熱炉において加熱するステップと、
加熱された前記冷風を熱風として前記ブラスト炉に供給するステップと、
を備える方法。
【請求項10】
前記ブラスト炉からの洗浄された炉頂ガスを前記熱回収ユニットに供給して、前記洗浄された炉頂ガスを前記排熱回収ユニットにおいて、前記排ガスを冷却するステップからの熱で加熱するステップと、
加熱された前記洗浄された炉頂ガスを燃料として加熱炉に供給するステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項11】
冷却された前記排ガスを2つの流れに分離するステップと、
酸素を第1の流れに供給し、酸素を送り込まれた前記流れを第1の加熱炉の空気供給入り口に空気供給として供給するステップと、
第2の流れを圧縮するステップと、
前記第2の流れを第2の加熱炉に冷風として供給するステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記送風が前記ブラスト炉に入る前に、前記送風からのCOの変換によるCOの再生をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラスト炉に送風(blast)を供給するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱された送風空気の使用は炉に窒素を導入し、炭素捕捉(carbon capture)及び貯蔵が使用される場合には、窒素はブラスト炉の炉頂ガスから除去されなければならない。炉頂ガスから窒素を除去する問題への1つの解法が非特許文献1に記載されている。この論文において、酸素が予備加熱された空気の代わりに使用され、一酸化炭素が多く含まれる炉頂ガスは、ブラスト炉中に再噴射される。
【0003】
特許文献1は、加熱段階及び吹き込み段階中に交互に作動する複数の熱風加熱炉(hot blast stove)を有する熱風加熱炉設備を開示している。熱交換器は、冷風(cold blast)を加熱炉に供給する前に、冷風本管中の冷風から熱を除去する。
【0004】
特許文献2は、燃焼排ガス再循環を含む複数の熱風加熱炉から熱風を生産することを開示している。
【0005】
特許文献3は、熱風加熱炉の再生チャンバ中の熱交換器の使用を開示している。
【0006】
非特許文献2は、ブラスト炉の加熱炉プラントにおける加熱炉排ガスから回収された熱の使用を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4877013号明細書
【特許文献2】特開2012−031495号公報
【特許文献3】特開昭57−137407号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】G. Zuo and A. Hirsch, SP10−Top Gas Recycling Blast Furnace no2−3, Proceedings of 4th ULCOS Seminar, 1−2 October 2008
【非特許文献2】Peter Heinrich “Heat recovery in blast furnace stove plants”, MPT−Metallurgical Plant and Technology, no.3, 1 January 1982 (1982−01−01), page 10, XP001408316
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点によれば、熱風をブラスト炉に供給するための装置は、複数の加熱炉であって、加熱炉それぞれが冷風入口、燃料入口、空気供給入り口、熱風出口、及び1つ以上の排ガス出口を備える複数の加熱炉と、燃料供給源、加熱炉排ガス出口、加熱炉燃料入口、及び冷風入口に接続された排熱回収ユニットと、を備え、加熱炉排ガス出口は冷風入口に圧縮機を介して接続されており、それによって、1つの加熱炉からの加熱炉排ガスは、排熱回収ユニットおよび圧縮機を介して、別の加熱炉へ冷風として供給される。
【0010】
使用の際には、ガスに対して作動している1つの加熱炉の排ガス出口は、送風に対して作動している別の1つの加熱炉の冷風出口に接続され、排ガスを、熱回収ユニットを介して冷風入口に冷風として供給する。
【0011】
好ましくは、装置は熱回収ユニットと冷風入口との間に排ガスベントをさらに備える。
【0012】
好ましくは、装置は送風圧力未満で作動する排ガスファンをさらに備える。この排ガスファンは、加熱炉の排ガス出口と熱回収ユニットとの間に配置されるが、好ましくは、排ガスファンは熱回収ユニットと冷風入口との間に配置される。これは、ファンがそのような高温に耐える必要がないので、製造を単純化する。
【0013】
好ましくは、圧縮機はファンと冷風入口との間に位置する。
【0014】
好ましくは、装置はCO再生装置をさらに備えて、送風がブラスト炉に入る前に、送風からのCOを再生する。
【0015】
再生装置は圧縮機と冷風入口との間に位置して、冷風からのCOを再生するが、好ましくは、再生装置は熱風出口とブラスト炉との間に位置する。
【0016】
好ましくは、装置は、ブラスト炉及び、ブラスト炉と熱回収ユニットとの間の接続部をさらに備えて、洗浄された、再使用される炉頂ガスを熱回収ユニットに移送する。
【0017】
好ましくは、装置は、酸素の供給源を排ガスファンと加熱炉空気供給入口との間にさらに備える。
【0018】
本発明の第2の観点によれば、ブラスト炉に送風を供給する方法は、加熱炉の排ガスを第1の熱風加熱炉から抜き出すステップと、排ガスを排熱回収ユニットにおいて冷却するステップと、冷却されたガスを加圧するステップと、加圧された、冷却された排ガスを第2の熱風加熱炉に冷風として供給するステップと、冷風を第2の加熱炉において加熱するステップと、加熱された冷風を熱風としてブラスト炉に供給するステップと、を備える。
【0019】
好ましくは、この方法は、ブラスト炉からの洗浄された炉頂ガスを熱回収ユニットに供給し、排熱回収ユニットにおいて、洗浄された炉頂ガスを、加熱炉排ガスを冷却するステップからの熱で加熱するステップと、加熱された、洗浄された炉頂ガスを燃料として加熱炉に供給するステップと、をさらに備える。
【0020】
好ましくは、この方法は冷却された排ガスを2つの流れに分離するステップと、酸素を第1の流れに供給し、酸素を送り込まれた流れを第1の加熱炉に空気供給源として供給するステップと、第2の流れを圧縮するステップと、第2の流れを第2の加熱炉に冷風として供給するステップと、をさらに備える。
【0021】
好ましくは、この方法は、送風がブラスト炉に入る前の、送風からのCOの再生をさらに備える。
【0022】
本発明による方法及び装置の例が、添付の図面を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来型のブラスト炉プラントの操業を図示する図である。
図2】本発明に従って適合されたブラスト炉プラントの第1の実施形態の図である。
図3】本発明に従って適合されたブラスト炉プラントの代替的な実施形態の図である。
図4】加熱炉排ガスからの二酸化炭素の再生を含むように変形された図3の実施形態の図である。
図5】排熱回収ユニットを有さない、図2又は図3のシステムの操業を図示する図である。
図6】排熱回収ユニットを有する、図2、3、又は4のシステムの操業を図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、ブラスト炉のための熱風の代替的な供給源として加熱炉からの排ガスを使用することができる。伝統的な送風空気を、その場で容易に入手可能な加熱炉燃焼プロセスからの排ガスで置き換えることによって、炉頂ガス中の窒素含有量が削減され、ブラスト炉から出る最終ガスの二酸化炭素含有量が増加し、炭素捕捉及び貯蔵(炭素捕捉及び隔離(sequestration))のためにより好適となる。酸素を冷風の流れに添加して、炉中のコークスを燃焼することができる。
【0025】
図1は、ブラスト炉1、ブラスト炉に材料を供給するための供給機構2、3、9、及びブラスト炉に対して熱風を供給するための一連の熱風加熱炉を含む、従来型のブラスト炉プラントを図示している。熱風加熱炉は、内燃加熱炉又は外燃加熱炉とすることができる。いかなる時においても、1つの加熱炉、この例では加熱炉4は送風に対して作動しており(on blast)、他の加熱炉5、6のうちの少なくとも1つはガスに対して作動している(on gas)。第1の加熱炉が送風の作動を終了すると、次いでコントローラが次の加熱炉をいつでも送風できる状態に切り替えるが、簡単のために、この図ではすべての回路及び接続が描かれているわけではない。燃料17は、ガスに対して作動している加熱炉5、6へ、ファン18からの空気とともに供給される。
【0026】
鉄鉱石及びコークスを含む必要な材料が制御された量で順にホッパ2から、(図示されない)貯蔵棟(stockhouse)中の計量装置3を通じて炉の頂部の装入機構8へ、例えばコンベヤベルト9を介して供給される。材料の所定の装入量が炉1中に放出されると、放出された材料は下方に向かって落下し、炉の底部に達する前に多様な化学反応を被る。コークスは、炉の底部近傍の所定の位置から供給される熱風空気7に接触すると熱を発生する。鉄及びスラグが様々な化学反応から結果的に生じ、炉を湯出しすることによって炉から除去され、鉄20及びスラグ21は、重い溶融鉄が溶融スラグから分離するように(図示されない)堰を超えて流れ、キャストハウス(casthouse)から離れたさらなる処理のために別々に取り出される。
【0027】
炉1には、装入機構及び炉中における反応から結果的に生じる炉頂ガスを下降管19に導く多様なオフテイク(offtakes)11から炉を遮断するための炉頂バルブ10が設けられている。ブリード弁13が、炉頂ガスをブラスト炉から放出して、炉頂を突発的なガス圧の変化から保護することを可能にするために設けられている。炉頂ガスは、下降管19、脱塵機又はサイクロン14、並びにスクラバ15を通過して、粒子状物質を洗浄される。洗浄されたブラスト炉の炉頂ガスは、窒素、二酸化炭素、及び一酸化炭素を含む場合があり、加熱炉中で燃焼空気18とともに加熱炉の燃焼プロセスで使用される。洗浄された炉頂ガスは、加熱炉を加熱するための燃焼のために熱風加熱炉5、6へ戻される22、17。ガスに対して作動している加熱炉それぞれの耐火炉材は洗浄されたガスの燃焼によって加熱される。送風に対して作動している加熱炉は、冷風本管12を介して空気を受け取り、この空気が耐火炉材から熱を吸収して熱風7を生産し、この熱風がブラスト炉中にその底部近傍にて供給される。加熱炉を加熱するプロセスでは、ガスに対して作動段階中に、排ガスが生成される。これら排ガスは次いで、大煙突34を通じて放出される。
【0028】
大気に放出される排ガスの量を削減するため、及び資源をより効率的に使用するために、本発明の一実施形態は、図2に示すように、従来型のブラスト炉プラントを多くの方法で修正する。加熱炉の燃焼サイクルからの全ての排ガスを単に放出する34代わりに、加熱炉排ガス23をまずガス熱交換器30へのガスに使用して排熱を回収する。洗浄されたブラスト炉の炉頂ガス22bを熱交換器によって加熱し、加熱された炉頂ガス37を、ファン18からの空気とともに加熱炉5における燃焼に使用する。熱交換器30を通過させることの効果は、加熱炉排ガス23を冷却することであり、冷却されたガスの少なくとも幾らかは、次いで比較的低圧、すなわちブラスト炉の圧力より低い圧力(通常は、ファンは0.5Kg/cmの出口圧を有する)で運転されている排ガスファンによって、炉の送風ブロア/圧縮機35の入口へ導かれ、送風ブロア/圧縮機は冷却された排ガス33を送風圧力まで加圧し、加圧されたガス36を、送風に対して作動している加熱炉4の入口38に供給する。加熱炉排ガスの温度は200℃未満、ことによると熱交換器を通過した後にはさらに150℃未満である。ファン31は、加熱炉の排ガス出口と熱交換器との間に設けることができるが、これは、ガスがこの時点で400℃までと依然として熱く、ファンはこれら温度に耐えることができなければならないので、より高価で製造の面からは複雑なものとなってしまう。(図示されない)制御バルブは、ガスの供給の量とタイミングを制御する。熱交換器で排ガスを冷却することによって、冷風36の一定した温度、又は所定の温度を得ることができ、このことから、加熱炉において通常の方法で加熱することによって、望ましい温度で熱風39が得られる。また、熱交換器30における冷却は、ブロア35に入るガス33がブロアに損傷を生じさせる温度にないことを確実にする。バルブ32は、ブロア/圧縮機35に送られる、又は放出される34排ガス33の量を制御する。生産の開始時には、排ガス33は使用することができず、放出34せざるを得ず、その間は圧縮機35が外気50を圧縮して冷風36を生成する。排出ガスの全てを煙突34に排出するのではない、ということによって、全体的な排出量は削減される。プラントの配管は、わずかに酸性の加熱炉の排ガスに源を発する冷風を扱うように適合される。
【0029】
このように生成された熱風は、窒素及び二酸化炭素を含み、また、酸素を多く含むことができるが、送風は、空気の送風を使用するよりも高い二酸化炭素含有量と低い窒素含有量を有し、それによって最終的な送出ガス(export gas)中の二酸化炭素含有量は高く、したがって炭素捕捉、炭素隔離にはより好適である。また、送風ガス中の幾らかの二酸化炭素から始めることによって、炉の反応に要求される原炭素(raw carbon)の量を削減することもできる。また、炭素を多く含む送風ガスは、二酸化炭素が多く含まれる炉頂ガスは燃焼用に再使用されるときにより強力な加熱ガスとなる場合があり、濃縮ガスの量を削減することができる。いくつかの場合には、このメカニズムによって生じる熱風の比率を制御し、送風空気と組み合わせて望ましい特性の送風ガスを得ることができる。上述したように、二酸化炭素の幾らかをバルブ32を介して煙突34に排気することができ、既存の分解又は炭素捕捉を、二酸化炭素を揮散させるのに使用することができる。
【0030】
加熱炉の排ガスを送風として使用するさらなる実施形態が図3に示されている。加熱炉の排ガス23を送風ガス36として使用するのに加えて、熱交換器30における冷却の後の加熱炉の排ガス流れの一部を、加熱炉における燃焼のための炉頂ガス燃料37に加えられる純酸素48のためのキャリアとして使用することができる。最初に、生産が開始する際に燃焼空気40が供給されるが、これは再使用されるブラスト炉の炉頂ガス37が作動状態になると中止される。この例では、加熱炉2番がガスに対して作動しており、一旦使用可能になると、熱交換器30を通過した、洗浄されたブラスト炉ガス37が、加熱炉5に直接投入される。熱交換器30及び排ガスファン31を通過した後の加熱炉の排ガス23の幾らかは、加熱炉5の投入に向けられ、加熱炉の排ガスの幾らかは、送風に対して作動している加熱炉4において加熱される冷風のための加圧されたガスを提供するブロア/圧縮機35を通過する。加熱炉の排ガスが生成され、再使用される加熱炉の排ガスが十分となるまで、外気又は冷風50が圧縮機35によって圧縮されて送風に対して作動している加熱炉に供給される。熱風39は、前と同様にブラスト炉に供給される。
【0031】
図2及び図3に示す本願の実施形態との組み合わせで使用することができるさらなる特徴は、ブラスト炉への送風として使用されている加熱炉の排ガスからの二酸化炭素の再生を、炉床羽口の高さにおいて炉に入る前に行うことである。これは、図4に示されている。二酸化炭素の流れは従来の外気からの熱風の代わりである。再生装置51が加熱炉4、5、6と炉1との間に設けられて、加熱炉の排ガスから生成された熱風39を処理する。この熱風は二酸化炭素を含んでいる。COは熱風から引き抜かれ、次いで加圧され、加熱された二酸化炭素が、石炭のような炭素質燃料52とともに酸素48を有する加圧された容器の中で燃焼して、COを燃焼してCOにすることによって一酸化炭素54を再生し、ブラスト炉の環状管、炉床羽口への搬送に先立ってCO還元ガス流れ54を生成する。還元ガス流れは、炉中で作られるよりはむしろ直接的に炉の中に進入する。結果として、炉反応に必要とされる原炭素(raw carbon)の量を節約することができる。高温の加圧された一酸化炭素は、炉の朝顔、すなわち路床と炉頂部へ延びる垂直シャフトとの間の区画で、ブラスト炉の中でコークスを反応させることなく生成される。
【0032】
コークスは依然として炉中に添加する必要がある場合があり、酸素も同様であり、したがって再生されたCOは、羽口の高さにおいてコークスを完全に置き換えることはない。炉の前で酸素のレベルを制御して、炉の前での発火を避けることが望ましい。1週間程度である場合がある始動時以外では、上述のように、加熱炉の排ガス23を、煙突34を通じて排出する必要はなく、CO排出が減じられる。炉頂ガスの再使用及び加熱炉の排ガスからのCOの再生は100%の効率ではないが、より少ない新しい炭素しか炉において必要とされず、したがって鉄の生産において必要とされるKg/トンが削減される。
【0033】
図4に示されるように、COの再生は、再生装置51へ管53を介して供給される燃料52、及び管55を介して再生装置に供給される酸素48を含む。再生装置51を通過した後の熱風54は、ブラスト炉1に投入される。簡単のために、すべての接続が図示されているわけではなく、またプロセスの全ての段階の作動におけるすべての管路が図示されているわけではないことが理解される。この例では、再生装置51は熱風加熱炉の出口とブラスト炉1との間に示されている。この位置の利点は、プロセスが、熱風39で行われているときにより効率的であることである。代替として、再生装置を圧縮機35の後、加熱炉の入口の前に配置することができる。加熱炉4、5、6からの排ガス23はCOを含み、この排ガスは熱交換器30を通過し圧縮機35へ進む。圧縮機35とブラスト炉1との間に再生装置を設けることよって、再生装置は依然としてCOをCOに変換することができる。この位置の利点は、再生装置を備える機器の設計温度が、再生装置が熱風に対して作動する場合に必要とされる温度より低いことである。図には示していないが、図2の実施形態もまた、上述の位置のいずれかで再生装置を含むように変形することができる。
【0034】
加熱炉の排ガスの送風としての使用、及びCOの再生は、排熱回収、ファン、及び再生段階を付け加えることによって、既存の加熱炉を有する現場(site)を改造することができる特徴である。
【0035】
図5及び図6は、熱収支及び特定の成分とガス流れの温度に関して排熱の回収を使用することの効果を図示している。図5の結果は、従来のプラントに対するものであり、図6の結果は排熱の回収を使用するプラントに対するものである。
【0036】
両図において、41は℃で示した冷風の温度であり、42は℃で示した加熱炉の排ガスの温度であり、43は℃で示した熱風の温度であり、44はブロアへの供給温度であり、45はブロアからの排出温度である。図5では、熱回収が適用されておらず、これは図1に示すような従来のプラントの場合であり、温度が熱風の温度からそれほど離れていないレベルまで急速に上昇することが分かる。図6では、図2、3、及び4に関して記載されたような廃熱回収が存在し、限られた上昇の後、温度は平坦となり、冷風は、熱風に対して必要とされる温度より十分に低い略一定の温度である。
【符号の説明】
【0037】
1 ブラスト炉
4、5、6 熱風加熱炉
30 排熱回収ユニット
35 圧縮機
23 加熱炉排ガス
36 冷風
31 排ガスファン
51 CO再生装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6