特許第6040342号(P6040342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6040342思考を介した拡張現実における仮想オブジェクトの操作
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040342
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】思考を介した拡張現実における仮想オブジェクトの操作
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   G06F3/01 515
【請求項の数】20
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-518383(P2016-518383)
(86)(22)【出願日】2014年6月2日
(65)【公表番号】特表2016-521881(P2016-521881A)
(43)【公表日】2016年7月25日
(86)【国際出願番号】US2014040552
(87)【国際公開番号】WO2014197392
(87)【国際公開日】20141211
【審査請求日】2016年4月8日
(31)【優先権主張番号】13/909,042
(32)【優先日】2013年6月3日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515051847
【氏名又は名称】ダクリ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Daqri, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】マリンズ,ブライアン
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0278631(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0139551(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/158457(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0050144(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0044152(US,A1)
【文献】 特開2012−221498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01,3/048
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
当該装置のユーザに結合されて脳波データを生成する脳波検査(EEG)脳波センサと、
前記ユーザの心拍データを生成する心拍センサと、
当該装置の地理的場所を決定する場所センサと、
物理オブジェクトから参照識別子を捕捉するように構成されたカメラと、
前記参照識別子に基づいて第1の仮想オブジェクトを表示するように構成されたディスプレイと、
前記ディスプレイ上での前記ユーザの注視を決定するアイトラッキングセンサと、
少なくとも1つのハードウェアプロセッサを用いて実施され、
当該装置のユーザの脳活動データを受信することであって、前記脳活動データは、前記ディスプレイに前記第1の仮想オブジェクトを表示することに応答して生成され、
前記参照識別子及び前記脳活動データをネットワークを介してリモートサーバに通信することであって、前記リモートサーバは、前記参照識別子に関連付けられた複数の仮想オブジェクトを識別し、前記複数の仮想オブジェクトに基づいて複数の脳波パターンを取り出し、各脳波パターンは対応する仮想オブジェクトに関連付けられ、前記ユーザの脳活動データを前記複数の脳波パターンと比較し、前記複数の仮想オブジェクトから第2の仮想オブジェクトを識別し、前記第2の仮想オブジェクトは前記複数の脳波パターンからの脳波パターンに関連付けられ、前記脳波パターンは前記脳活動データに対応する、ように構成され、
前記第2の仮想オブジェクトを識別する前記リモートサーバからの通信を受信し、
前記ディスプレイに前記第1の仮想オブジェクトと共に前記第2の仮想オブジェクトを表示し、
前記物理オブジェクトに対する当該装置の位置に基づいて、前記ディスプレイの中の前記第1及び第2の仮想オブジェクトのビューを調整する
ように構成された仮想オブジェクト生成モジュールと、
前記脳波データと、心拍データと、当該装置の地理的場所と、前記ユーザの注視とに基づいて、前記ユーザの心理状態を識別するように構成された電波アプリケーションと、
を含む装置。
【請求項2】
複数の仮想オブジェクトモデルを対応参照識別子と共に記憶するように構成された記憶装置、
をさらに含み、
前記仮想オブジェクト生成モジュールは、前記参照識別子が前記記憶装置に記憶されたいずれかの参照識別子に対応するかを決定し、前記記憶装置からの前記参照識別子に対応する仮想オブジェクトモデルにアクセスし、前記仮想オブジェクトモデルを用いて前記仮想オブジェクトを生成するように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記仮想オブジェクト生成モジュールは、前記リモートサーバから前記参照識別子に対応する仮想オブジェクトモデルを受信し、前記仮想オブジェクトモデルを用いて前記仮想オブジェクトを生成するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ユーザに関連付けられたソーシャルネットワーク情報にアクセスするように構成されたソーシャルネットワークモジュール、
をさらに含み、
前記電波アプリケーションは、前記ユーザに関連付けられた前記ソーシャルネットワーク情報に基づいて、前記ユーザの心理状態をさらに識別する、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
仮想風景のディスプレイの中の焦点領域と前記仮想オブジェクトの特徴とを決定し、前記ユーザの脳活動データにおける変化に応答して前記焦点領域の中の前記仮想オブジェクトの特徴の状態を変更するように構成された視覚的ジェスチャモジュール、
をさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記プロセッサに結合された記憶装置、
をさらに含み、
前記記憶装置は、視覚的参照と、視覚的参照と前記ユーザからの電波の対応する強度及びパターンとの組み合わせに関連付けられた仮想オブジェクトと、該仮想オブジェクトの特徴と、を記憶するように構成されたデータベースを含み、前記仮想オブジェクトの特徴は、前記ユーザの電波の強度及びパターンにおける変化に応答して状態を変更するように構成される、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記焦点領域は、前記ディスプレイの予め定義された部分に対応し、前記特徴の状態は、前記特徴が前記ディスプレイの予め定義された部分内に位置することに応答して変わり、前記ディスプレイの予め定義された部分は、前記ディスプレイに対して中央の領域、前記ディスプレイの端部に隣接する領域、前記ディスプレイのコーナーに隣接する領域、又はディスプレイ領域のユーザ定義された部分のうち、少なくとも1つを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記特徴の状態は、前記特徴が時間閾値を超える時間の間、前記ディスプレイの予め定義された部分内に位置することに応答して、変わる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記視覚的ジェスチャモジュールは、焦点領域検出器と特徴状態修正器とを含み、
前記焦点領域検出器は、前記ディスプレイの焦点領域の中の3次元の仮想オブジェクトの特徴の存在を検出するように構成され、
前記特徴状態修正器は、前記特徴が前記焦点領域の中に存在することに応答して前記特徴の状態を変更するように構成される、
請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記特徴状態修正器は、前記焦点領域の中の前記仮想オブジェクトの第1のコンポーネントを前記焦点領域の中の前記仮想オブジェクトの第2のコンポーネントで置換することによって前記特徴の状態を変更するように構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
コンピューティング装置を用いて、物理オブジェクトから参照識別子を捕捉するステップと、
前記コンピューティング装置のディスプレイに第1の仮想オブジェクトを表示するステップであって、前記第1の仮想オブジェクトは前記参照識別子に基づく、ステップと、
前記コンピューティング装置のユーザの脳活動データを受信するステップであって、前記脳活動データは、前記コンピューティング装置の前記ディスプレイに前記第1の仮想オブジェクトを表示することに応答して生成される、ステップと、
前記参照識別子及び前記脳活動データをネットワークを介してリモートサーバに通信するステップであって、前記リモートサーバは、前記参照識別子に関連付けられた複数の仮想オブジェクトを識別し、前記複数の仮想オブジェクトに基づいて複数の脳波パターンを取り出し、各脳波パターンは対応する仮想オブジェクトに関連付けられ、前記ユーザの脳活動データを前記複数の脳波パターンと比較し、前記複数の仮想オブジェクトから第2の仮想オブジェクトを識別し、前記第2の仮想オブジェクトは前記複数の脳波パターンからの脳波パターンに関連付けられ、前記脳波パターンは前記脳活動データに対応する、ように構成される、ステップと、
前記第2の仮想オブジェクトを識別する前記リモートサーバからの通信を受信するステップと、
前記ディスプレイに前記第1の仮想オブジェクトと共に前記第2の仮想オブジェクトを表示するステップと、
前記物理オブジェクトに対する前記コンピューティング装置の位置に基づいて、前記ディスプレイの中の前記第1及び第2の仮想オブジェクトのビューを調整するステップと、
前記ユーザに結合された脳波検査(EEG)脳波センサを用いて脳波データを生成するステップと、
心拍センサを用いて前記ユーザの心拍データを生成するステップと、
アイトラッキングセンサを用いて前記ディスプレイ上での前記ユーザの注視を決定するステップと、
前記コンピューティング装置の地理的場所を決定するステップと、
前記脳波データと、前記心拍データと、前記ユーザの注視と、前記コンピューティング装置の地理的場所とに基づいて、前記ユーザの心理状態を識別するステップと、
を含む方法。
【請求項12】
前記コンピューティング装置の記憶装置に、複数の仮想オブジェクトモデルを対応参照識別子と共に記憶するステップと、
前記参照識別子が前記記憶装置に記憶されたいずれかの参照識別子に対応するかを決定するステップと、
前記記憶装置からの前記参照識別子に対応する仮想オブジェクトモデルにアクセスするステップと、
前記仮想オブジェクトモデルを用いて前記仮想オブジェクトを生成するステップと、
をさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記リモートサーバから前記参照識別子に対応する仮想オブジェクトモデルを受信するステップと、
前記仮想オブジェクトモデルを用いて前記仮想オブジェクトを生成するステップと、
をさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ユーザに関連付けられたソーシャルネットワーク情報にアクセスするステップと、
前記ユーザに関連付けられた前記ソーシャルネットワーク情報に基づいて、前記ユーザの心理状態を識別するステップと、
をさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記ディスプレイの中の焦点領域と前記仮想オブジェクトの特徴とを決定するステップと、
前記特徴が前記ディスプレイの焦点領域の中にあること、又は前記ユーザの脳活動データにおける変化に応答して、前記仮想オブジェクトの特徴の状態を変更するステップと、
をさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項16】
データベースに、視覚的参照と、視覚的参照と前記ユーザからの電波の対応する強度及びパターンとの組み合わせに関連付けられた仮想オブジェクトと、該仮想オブジェクトの特徴とを記憶するステップであって、前記仮想オブジェクトの特徴は、前記ユーザの脳活動データにおける変化に応答して状態を変更するように構成される、ステップ、
をさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記焦点領域が、前記ディスプレイの予め定義された部分に対応し、前記特徴の状態は、前記特徴が前記ディスプレイの予め定義された部分内に位置することに応答して変わり、前記ディスプレイの予め定義された部分は、前記ディスプレイに対して中央の領域、前記ディスプレイの端部に隣接する領域、前記ディスプレイのコーナーに隣接する領域、又はディスプレイ領域のユーザ定義された部分のうち、少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記特徴が時間閾値を超える時間の間、前記ディスプレイの予め定義された部分内に位置することに応答して、前記特徴の状態を変更するステップ、
をさらに含む請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ディスプレイの焦点領域の中の前記仮想オブジェクトの特徴の存在を検出するステップと、
前記特徴が前記焦点領域の中に存在することに応答して前記特徴の状態を変更するステップと、
をさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項20】
マシンの1以上のプロセッサにより実行されるときに、前記マシンに、
物理オブジェクトから参照識別子を捕捉するステップと、
ディスプレイに第1の仮想オブジェクトを表示するステップであって、前記第1の仮想オブジェクトは前記参照識別子に基づく、ステップと、
ユーザの脳活動データを受信するステップであって、前記脳活動データは、前記ディスプレイに前記第1の仮想オブジェクトを表示することに応答して生成される、ステップと、
前記参照識別子及び前記脳活動データをネットワークを介してリモートサーバに通信するステップであって、前記リモートサーバは、前記参照識別子に関連付けられた複数の仮想オブジェクトを識別し、前記複数の仮想オブジェクトに基づいて複数の脳波パターンを取り出し、各脳波パターンは対応する仮想オブジェクトに関連付けられ、前記ユーザの脳活動データを前記複数の脳波パターンと比較し、前記複数の仮想オブジェクトから第2の仮想オブジェクトを識別し、前記第2の仮想オブジェクトは前記複数の脳波パターンからの脳波パターンに関連付けられ、前記脳波パターンは前記脳活動データに対応する、ように構成される、ステップと、
前記第2の仮想オブジェクトを識別する前記リモートサーバからの通信を受信するステップと、
前記ディスプレイに前記第1の仮想オブジェクトと共に前記第2の仮想オブジェクトを表示するステップと、
前記物理オブジェクトに対する前記マシンの位置に基づいて、前記ディスプレイの中の前記第1及び第2の仮想オブジェクトのビューを調整するステップと、
前記ユーザに結合された脳波検査(EEG)脳波センサを用いて脳波データを生成するステップと、
心拍センサを用いて前記ユーザの心拍データを生成するステップと、
アイトラッキングセンサを用いて前記ディスプレイ上での前記ユーザの注視を決定するステップと、
前記マシンの地理的場所を決定するステップと、
前記脳波データと、前記心拍データと、前記ユーザの注視と、前記マシンの地理的場所とに基づいて、前記ユーザの心理状態を識別するステップと、
を含む動作を実行させる命令を含むコンピュータプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2013年6月3日に申請された米国出願第13/909,042号に対する優先を主張する国際出願であり、上記米国出願は、その全体を本明細書において参照により援用される。
【0002】
本明細書に開示される対象事項は、概して、データの処理に関する。詳細には、本開示は、思考を介して拡張現実における仮想オブジェクトを操作するシステム及び方法に対処する。
【背景技術】
【0003】
タッチスクリーンを備えたモバイル装置上のユーザインターフェースでは、しばしば、ユーザがモバイル装置のスクリーンを物理的にタップ又はスワイプしてアプリケーション内の特徴をアクティブ化することが求められる。モバイル装置上のいくつかのアプリケーションでは、通常、ユーザが自身の指又はスタイラスでタッチスクリーンと相互作用してアプリケーションに対する入力を提供することが求められる。モバイル装置を両手で保持しながら該モバイル装置上でコンテンツを見るとき、例えば、画像を撮影するときなどは、ユーザは、一方の手をモバイル装置から離して、例えば、アプリケーションにおける写真シャッターボタンをタップすることなどにより、コマンドをアクティブ化することが求められる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
添付図面の図において、いくつかの実施形態が限定ではなく例として示される。
図1】いくつかの実施形態例に従う、思考に基づいたコンテンツの選択及び操作を可能にするのに適した装置である。
図2】いくつかの実施形態例に従う、図1の装置における電波アプリケーションのモジュール(例えば、コンポーネント)を例示するブロック図である。
図3】いくつかの実施形態例に従う、図1の装置における拡張現実アプリケーションのモジュール(例えば、コンポーネント)を例示するブロック図である。
図4】いくつかの実施形態例に従う、図3の拡張現実アプリケーションの焦点領域検出器のモジュール(例えば、コンポーネント)を例示するブロック図である。
図5】いくつかの実施形態例に従う、図3の拡張現実アプリケーションの特徴状態修正器のモジュール(例えば、コンポーネント)を例示するブロック図である。
図6A】いくつかの実施形態例に従う、思考に基づいた図1の装置における仮想オブジェクトの選択の視覚化の一例を例示する図である。
図6B】いくつかの実施形態例に従う、思考に基づいた図1の装置における既存仮想オブジェクトに対するアクションの視覚化の一例を例示する図である。
図6C】いくつかの実施形態例に従う、視覚的ジェスチャと組み合わせられた思考に基づいた装置における既存仮想オブジェクトに対するアクションの視覚化の一例を例示する図である。
図7】いくつかの実施形態例に従う、図1の装置のディスプレイの中の仮想オブジェクトの特徴の状態における変更をトリガするための視覚的ジェスチャの一例を例示する図である。
図8】いくつかの実施形態例に従う、図1の装置における仮想オブジェクトの特徴に焦点を合わせるための視覚的ジェスチャの一例を例示する図である。
図9】いくつかの実施形態例に従う、図1の装置における仮想オブジェクトの特徴の状態における変更をトリガするための視覚的ジェスチャの一例を例示するブロック図である。
図10】いくつかの実施形態例に従う、思考に基づいて仮想オブジェクトを生成する方法を実行する際の、装置の視覚化アプリケーションの動作の一例を例示するフローチャートである。
図11】いくつかの実施形態例に従う、思考に基づいて既存仮想オブジェクトを操作する方法を実行する際の、装置の視覚化アプリケーションの動作の一例を例示するフローチャートである。
図12】いくつかの実施形態例に従う、思考及び視覚的ジェスチャに基づいて仮想オブジェクトを操作する方法を実行する際の、装置の視覚化アプリケーションの動作の一例を例示するフローチャートである。
図13】いくつかの実施形態例に従う、マシン可読媒体から命令を読み出し、本明細書に論じられる方法論のうち任意の1つ以上を実行することができるマシンのコンポーネントを例示するブロック図である。
図14】いくつかの実施形態例に従う、脳活動データに基づいて仮想オブジェクトを操作する動作の一例を例示するラダー図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
方法及びシステムの例は、思考に基づいた仮想オブジェクトの操作に向けられている。例は単に、あり得るバリエーションの代表例である。特に明示的に記されない限り、コンポーネント及び機能は任意的であり、組み合わせられ又は細分化されてもよい。さらに、動作は順序が変わってもよく、あるいは組み合わせられ又は細分化されてもよい。下記の説明において、説明することを目的として、実施形態例の深い理解を提供するために、多数の具体的な詳細が明記される。しかしながら、本願対象事項は、こうした具体的な詳細なしに実施され得ることが当業者には明らかであろう。
【0006】
拡張現実アプリケーションは、例えば、装置のカメラにより捕捉された物理オブジェクトの画像上にオーバーレイされた3次元仮想オブジェクトの形式などの情報を、ユーザが体験することを可能にする。物理オブジェクトには、拡張現実アプリケーションが識別することができる視覚的参照を含むことができる。追加情報の視覚化、例えば、物理オブジェクトのイメージにオーバーレイされ又は連動した3次元仮想オブジェクトなどが、装置のディスプレイに生成される。3次元仮想オブジェクトは、認識された視覚的参照に基づいて選択することができる。3次元仮想オブジェクトの視覚化のレンダリングは、視覚的参照に対するディスプレイの位置に基づくことができる。
【0007】
思考に基づいて仮想オブジェクトを生成し及び操作するためのシステム及び方法が説明される。物理オブジェクトからの参照識別子が捕捉される。ユーザの脳活動データが、脳活動データを取得するために受信される。参照識別子及び脳活動データは、ネットワークを介してリモートサーバに通信される。リモートサーバは、参照識別子及び脳活動データに基づいて、仮想オブジェクトを選択する。仮想オブジェクトを識別するサーバからの通信が受信される。仮想オブジェクトは仮想風景の中に表示される。
【0008】
一実施形態例において、装置が、電波アプリケーションと、参照識別子モジュールと、仮想オブジェクト生成モジュールとを有する。電波アプリケーションは、ユーザにより生成された電波の出力の強度及びパターンに基づいて、ユーザの心理状態を識別する。参照識別子モジュールは、物理オブジェクト上の視覚的参照を識別する。仮想オブジェクト生成モジュールは、視覚的参照とユーザの心理状態とに基づいて仮想オブジェクトを識別し、ディスプレイに、物理オブジェクトのイメージと連動した仮想オブジェクトの視覚化を生成する。仮想オブジェクトの視覚化のレンダリングは、視覚的参照に対するディスプレイの位置に基づく。
【0009】
別の実施形態例において、装置は、脳波データを生成するようにユーザの頭部に結合されたEEG脳波センサと、ユーザの心拍データを生成するための心拍センサと、ディスプレイ上でのユーザの注視を決定するためのアイトラッキングセンサと、装置の地理的場所を決定するための場所センサと、ユーザに関連付けられたソーシャルネットワーク情報にアクセスするように構成されたソーシャルネットワークモジュールとをさらに含む。電波アプリケーションは、脳波データと、心拍データと、ユーザの注視と、装置の地理的場所と、ユーザに関連付けられたソーシャルネットワーク情報とに基づいて、ユーザの心理状態を識別する。
【0010】
別の実施形態例において、装置は、ディスプレイの中の焦点領域と仮想オブジェクトの特徴とを決定する視覚的ジェスチャモジュールをさらに含む。それから、視覚的ジェスチャモジュールは、特徴がディスプレイの焦点領域の中にあることに応答して、特徴の状態を変更する。そのようなものとして、装置における「視覚的ジェスチャ」は、ユーザが自身の手を使って装置のディスプレイ上でタップする必要なしに、ユーザが装置のディスプレイの中の特徴を選択し及びアクティブ化することを可能にする。例えば、装置のカメラが、装置の背面カメラから捕捉されるリアルタイムイメージを表示している間に、ユーザは、装置を物理的に移動し、向きを変更する(reorienting)ことによって、「視覚的ジェスチャ」をする。装置は、描画された物理オブジェクトを、生成された仮想オブジェクト及びその特徴とオーバーレイしているため、装置の物理的なモーション及び向き変更は、特徴のうち1つをディスプレイの焦点領域へと移動させるジェスチャをもたらし、アクションが生成される結果になり得る。
【0011】
別の実施形態例において、視覚的ジェスチャモジュールは、ディスプレイの中の焦点領域と仮想オブジェクトの特徴とを決定する。それから、視覚的ジェスチャモジュールは、出力の強度に応答して特徴の状態を変更する。
【0012】
別の実施形態例において、記憶装置が、視覚的参照と、視覚的参照とユーザからの電波の対応する強度及びパターンとの組み合わせに関連付けられた仮想オブジェクトと、仮想オブジェクトの特徴と、を記憶するデータベースを含む。仮想オブジェクトの特徴は、出力の強度に応答して状態を変更するように構成される。
【0013】
別の実施形態例において、焦点領域は、ディスプレイの予め定義された部分に対応する。特徴の状態は、特徴がディスプレイの予め定義された部分内に位置することに応答して、変わる。
【0014】
別の実施形態例において、ディスプレイの予め定義された部分は、ディスプレイに対して中央の領域、ディスプレイの端部に隣接する領域、ディスプレイのコーナーに隣接する領域、又はディスプレイ領域のユーザ定義された部分のうち、少なくとも1つを含む。
【0015】
別の実施形態例において、特徴の状態は、特徴がある時間閾値を超える時間の間、ディスプレイの予め定義された部分内に位置することに応答して、変わる。
【0016】
別の実施形態例において、特徴の状態は、出力の強度がある時間閾値を超える時間の間、強度閾値を超えることに応答して、変わる。
【0017】
別の実施形態例において、視覚的ジェスチャモジュールは、焦点領域検出器と特徴状態修正器とを含む。焦点領域検出器は、ディスプレイの焦点領域の中の3次元仮想オブジェクトの特徴の存在を検出する。特徴状態修正器は、特徴が焦点領域の中に存在することに応答して特徴の状態を変更する。
【0018】
別の実施形態例において、特徴状態修正器は、焦点領域の中の仮想オブジェクトの第1のコンポーネントを焦点領域の中の仮想オブジェクトの第2のコンポーネントで置換することによって特徴の状態を変更する。
【0019】
別の実施形態例において、非一時的マシン可読記憶装置が、少なくとも1つのプロセッサにより実行されるときに本開示内に論じられる方法動作を該少なくとも1つのプロセッサに実行させる命令セットを記憶することができる。
【0020】
図1は、いくつかの実施形態例に従う装置100を例示しているブロック図であり、この装置は、装置上での視覚的ジェスチャ(visual gestures)と装置のユーザからの思考とに基づいたコンテンツの選択を可能にするのに適している。装置100は、センサ102と、ディスプレイ104と、プロセッサ106と、記憶装置108とを含むことができる。例えば、装置100は、デスクトップコンピュータ、車載コンピュータ、タブレットコンピュータ、ナビゲーション装置、ポータブルメディア装置、ユーザのスマートフォン、又はユーザウェアラブルコンピューティング装置(例えば、メガネ)であり得る。ユーザは、人間ユーザ(例えば、人間)、マシンユーザ(例えば、装置100と相互作用するようにソフトウェアプログラムによって構成されたコンピュータ)、又はこれらのうち任意の適切な組み合わせ(例えば、マシンにより支援された人間、又は人間により監督されたマシン)であり得る。
【0021】
センサ102は、人間から電気的活動を測定する電極を含むことができる。例えば、センサ102は、脳のEEG(脳波検査)波、筋肉のEMG(筋電図検査)波、及び目のEOG(電気眼球図)波を測定する電極を含むことができる。センサ102を使用して、EEGを通して人間の集中レベル又は心理状態に関する電気信号を検出することによって、脳波を監視することができる。センサは、例えば、ユーザの頭部に付けられたヘッドセットを使用することによって実施することができる。別の例において、センサ102を使用して、顔の筋肉を監視してユーザの顔の表情を検出することができる。
【0022】
別の実施形態例において、センサ102は、光学センサ(例えば、電荷結合素子(CCD))、向きセンサ(例えば、ジャイロスコープ)、及び/又はオーディオセンサ(例えば、マイクロフォン)をさらに含むことができる。例えば、装置100は、ユーザの目の動き及び顔の表情を追跡する前面(front-facing)カメラと、物理オブジェクト(又は別の表示されている仮想オブジェクト)の画像又は動画を捕捉する背面カメラ(rear-facing)とを含むことができる。本明細書に説明されているセンサ102は例示目的のものであり、ゆえにセンサ102は説明されているものに限定されないことが留意される。別の例において、センサ102は、装置100に物理的に接続されないことがあり、しかし代わって、Wi‐FiやBluetooth(登録商標)などのワイヤレス手段を介して装置100に結合される。
【0023】
ディスプレイ104には、例えば、タッチスクリーンディスプレイを含むことができ、このタッチスクリーンディスプレイは、該タッチスクリーンディスプレイ上での接触を介してユーザ入力を受信するように構成される。別の例において、ディスプレイ104には、プロセッサ106により生成されたイメージを表示するように構成されたスクリーン又はモニタを含むことができる。別の実施形態において、ディスプレイ104は、ユーザがディスプレイ104を透かして見ることができるように、透過的又は半不透明(semi-opaque)であってもよい。
【0024】
プロセッサ106は、電波(例えば、EEG脳波)アプリケーション110と拡張現実アプリケーション112とを含むことができる。電波アプリケーション110は、センサ102からの出力に基づいて、ユーザの心理状態(例えば、リラックスしている、緊張している、幸せ、怒っている)を決定することができる。心理状態は、センサ102の出力の強度又はパターンに基づくことができる。拡張現実アプリケーション112は、装置100のディスプレイ104において、装置100のカメラ(図示せず)により捕捉された物理オブジェクトのイメージ上にオーバーレイされた仮想オブジェクトの視覚化(visualization)(3次元又は2次元)を生成することができる。仮想オブジェクトは、ユーザの現在の心理状態に基づいて選択することができる。さらに、仮想オブジェクトと仮想オブジェクトの特徴(features)とを、ユーザの心理状態における変化に基づいて操作することができる。別の実施形態において、仮想オブジェクトは、(例えば、ユーザによって)装置100のカメラレンズに対して物理オブジェクトの位置を調整することによって、さらに操作されてもよい。同様に、仮想オブジェクトの視覚化は、(例えば、ユーザによって)物理オブジェクトに対して装置100のカメラレンズの位置を調整することによって操作することができる。
【0025】
一実施形態において、電波アプリケーション110は、ある短い時間にわたり人間の脳から放電された電波の強度又はパターンを識別することができる。複数の電極を、ユーザの頭皮の至る所に置くことができる。各電極は、異なるタイプの波を測定するように構成することができる。例えば、デルタ波は、睡眠中に最も多く存在する。シータ波は、睡眠、深いリラックス、及び視覚化に関連付けられる。アルファ波は、リラックスし穏やかであるときに生じる。ベータ波は、積極的に思考し又は問題を解決しているときに生じる。ガンマ波は、より高次の精神活動や情報の統合に関与しているときに生じる。それから、電波アプリケーション110は、センサ102の出力に基づいてユーザの心理状態を識別することができる。例えば、電波アプリケーション110は、EEG電極を単体で、又は他のセンシング装置(マイクロフォン、カメラ、及び心拍数モニタ)と組み合わせて使用することができる。
【0026】
一実施形態において、拡張現実アプリケーション112は、物理オブジェクト上の視覚的参照(visual reference)を識別することができ、装置100のディスプレイ104内で視覚的参照の場所を追跡する。視覚的参照は、マーカーと呼ばれてもよく、識別可能なイメージ、シンボル、文字、数字、マシン可読コードを含むことができる。例えば、視覚的参照には、バーコード、クイックレスポンス(QR)コード、又は仮想オブジェクトに事前に関連付けられているイメージを含むことができる。
【0027】
拡張現実アプリケーション112は、ディスプレイ104の中の物理オブジェクトのイメージ又は画像に連動した(engaged)仮想オブジェクトの視覚化を生成し、表示することができる。仮想オブジェクトは、視覚的参照とユーザの心理状態とに基づいて生成することができる。各仮想オブジェクトは、一意の視覚的参照と対応する心理状態とに対応させることができる(例えば、拡張現実アプリケーション112内のある仮想オブジェクトに対して一意)。別の実施形態において、拡張現実アプリケーション112は、物理オブジェクトにおける視覚的参照に対する装置100の位置及び向きに基づいて、仮想オブジェクトの視覚化をレンダリングする(renders)。
【0028】
拡張現実アプリケーション112は、ディスプレイ104の中の焦点領域を決定することができる。ディスプレイ104の中の焦点領域は、ディスプレイ104の中の予め定義された領域に対応させることができる。予め定義された領域は、ディスプレイ104の中の仮想オブジェクトの特徴における状態の変更又はアクションをトリガすることができる。仮想オブジェクトの特徴は、センサ102の出力の強度に応答して、又はユーザの現在の心理状態(例えば、ユーザがリラックスしている)に応答して状態を変更することができる。仮想オブジェクトの特徴は、さらに、ユーザの心理状態の変化(例えば、ユーザがより集中しつつある)に応答して変わってもよい。特徴は、さらに、該特徴がディスプレイの焦点領域の中に存在している(例えば、表示されている仮想の車のエンジンが焦点領域の中にある)とき、状態を変更してもよい。焦点領域は、拡張現実アプリケーション112によって予め定義されてもよく、あるいは、装置100のユーザによりカスタマイズされ、定義されてもよい。
【0029】
記憶装置108は、視覚的参照と、視覚的参照に対応する仮想オブジェクトと、仮想オブジェクトに対応する仮想オブジェクトの特徴と、対応する心理状態との、データベースを記憶するように構成することができる。仮想オブジェクトの特徴は、ユーザの心理状態を用いて変更することができる。例えば、仮想の椅子の色を、ユーザがより集中するにつれて、青から赤に変更することができる。仮想の椅子は、ユーザがリラックスしている場合、青色で表示され得る。別の例において、仮想オブジェクトの特徴は、該特徴がディスプレイ104の焦点領域の中に存在するとき、変更することができる。例えば、視覚的参照には、マシン可読コード又は事前に識別されたイメージ(例えば、靴の画像)を含むことができる。事前に識別された靴のイメージは、靴の画像に対して装置100の位置を操作することによって種々のアングルから見ることができる3次元の仮想の靴に対応させることができる。3次元の仮想の靴の特徴には、3次元の仮想の靴上の選択可能アイコンを含むことができる。アイコンは、該アイコンをディスプレイ104の焦点領域内に表示するように装置100を移動させる(例えば、再位置づけし、向きを変更し、又は双方を行う)ことによって、選択し又はアクティブ化することができる。例えば、焦点領域は、ディスプレイ104の中央領域、ディスプレイ104のコーナー、ディスプレイ104の端部、又はこれらのうち任意の適切な組み合わせとすることができる。
【0030】
一実施形態において、装置100は、ネットワーク(図示せず)を通じてサーバ(図示せず)と通信して、視覚的参照と対応する3次元仮想オブジェクトと3次元仮想オブジェクトの対応する特徴と対応する心理状態とのデータベースの一部分を取り出すことができる。ネットワークは、マシン、データベース、及び装置(例えば、装置100)の間における又はこれらにわたる通信を可能にする任意のネットワークとすることができる。したがって、ネットワークは、有線ネットワーク、ワイヤレスネットワーク(例えば、モバイル又はセルラーネットワーク)、又はこれらのうち任意の適切な組み合わせとすることができる。ネットワークは、プライベートネットワーク、パブリックネットワーク(例えば、インターネット)、又はこれらのうち任意の適切な組み合わせを構成する1つ以上の部分を含むことができる。
【0031】
本明細書に説明されているモジュールうち任意の1つ以上を、ハードウェア(例えば、マシンのプロセッサ)、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを用いて実施することができる。例えば、本明細書に説明されている任意のモジュールが、該モジュールとして本明細書に説明される動作を実行するようにプロセッサを構成することができる。さらに、上記モジュールのうち任意の2つ以上が単一のモジュールへと組み合わせられてもよく、単一のモジュールとして本明細書に説明されている機能が複数のモジュールに細分化されてもよい。さらに、様々な実施形態例に従い、単一のマシン、データベース、又は装置内で実施されるものとして本明細書に説明されるモジュールが、複数のマシン、データベース、又は装置にわたって分散されてもよい。
【0032】
図2は、いくつかの実施形態例に従う、装置100の中の電波アプリケーション110のモジュール(例えば、コンポーネント)を例示しているブロック図である。電波アプリケーション110には、センサモジュール202と、初期化モジュール208と、強度モジュール204と、パターンモジュール206と、心理状態識別モジュール210とを含むことができる。
【0033】
センサモジュール202は、センサ102からの出力を捕捉する。例えば、センサモジュール202は、ユーザの頭皮上に位置づけられたEEG電極を使用することによって、ユーザの脳により生成された電波を捕捉することができる。これまでに説明されたとおり、センサモジュール202は、心拍数モニタ又は顔の筋肉のモニタなどの他のタイプのセンサからの出力を捕捉して、EEG電極からの出力をさらに補足することもできる。別の実施形態において、センサ102はカメラを含み、ユーザの注視を検出し、ディスプレイ104上でユーザがどこを見ているかを決定してもよい。
【0034】
初期化モジュール208は、電波アプリケーション110が特定のユーザに基づいてセンサ102からの出力を初期化し、較正することを可能にする。初期化モジュール208が、ユーザがリラックスした心理状態にある間のセンサからの出力のサンプルを捕捉する間、ユーザはリラックスするように求められ得る。それから、サンプル出力は、ユーザについてのベースライン又は参照として使用することができる。
【0035】
強度モジュール204は、1つ以上のセンサの強度を測定する。例えば、強度モジュール204は、アルファ波の電気信号の強度をユーザの心拍と組み合わせて測定して、ユーザのリラックスした心理状態を決定することができる。別の実施形態において、強度は、選択されたセンサからの1つ以上の出力についての統計的計算(例えば、平均又は中央値)に基づいてもよい。
【0036】
パターンモジュール206は、EEG電極又はセンサの組み合わせのパターンを測定する。例えば、ユーザがある特定の車について考えているとき、このユーザは一意の脳波パターンを生成し得る。パターンモジュール206は、センサ102の出力のパターンを記録し、ユーザからの一意のパターンと特定の車とを関連付けることができる。別の実施形態において、パターンモジュール206は、選択されたセンサ又は最も関連するセンサからの1つ以上の出力に基づいてパターンを識別する。例えば、パターンモジュール206は、ユーザがディスプレイの中の車を見ているときの脳波パターンの一意の組み合わせを識別することができる。パターンモジュール206は、装置100のカメラ又は光学センサを用いて、ユーザが車を見ていると決定する。さらに、ユーザの筋肉に関連付けられた電波からの出力を脳のEEGとの組み合わせで使用して、一意のパターンの識別をさらに増加させることもできる(例えば、アルファ脳波パターンA、デルタ脳波パターンB、顔の筋肉のパターンC、及びディスプレイの中のオブジェクトを見ている目のD)。そのようなものとして、ユーザからの各々の一意のパターンを、仮想オブジェクト体験の一意の視覚化に関連付けることができる。換言すると、センサ102の一意パターンは、ディスプレイ104の中で視覚化されるべき特定の仮想オブジェクトの識別をトリガする。例えば、センサ102からの強度x’y’z’でのパターンxyzは、飛行機に対応する。センサ102からの強度a’b’c’でのパターンabcは、飛行機の上昇に対応する。
【0037】
心理状態識別モジュール210は、ゆえに、強度モジュール204及びパターンモジュール206からの脳活動データに基づいて、ユーザの心理状態を決定し、識別することができる。例えば、心理状態識別モジュール210は、ユーザが幸せか、リラックスしているか、怒っているか、集中しているか、空腹か、又はのどが渇いているかを決定することができる。別の実施形態において、心理状態識別モジュール210は、ユーザが思考している具体的なオブジェクト(例えば、ミニバン)又は具体的なアクション(例えば、ドアを開ける)を決定することができる。
【0038】
別の実施形態において、心理状態識別モジュール210は、強度モジュール204から及びパターンモジュール206からの変化に基づいて、ユーザの心理状態における変化を決定する。例えば、心理状態識別モジュール210は、事前にリラックスしていたユーザが緊張してきたと決定することができる。
【0039】
図3は、いくつかの実施形態例に従う、装置100の中の拡張現実アプリケーション112のモジュール(例えば、コンポーネント)を例示しているブロック図である。拡張現実アプリケーション112には、参照識別子モジュール302と、心理状態モジュール312と、仮想オブジェクト生成モジュール304と、視覚的ジェスチャモジュール306とを含むことができる。
【0040】
心理状態モジュール312は、電波アプリケーション110の心理状態識別モジュール210に基づいて、ユーザの心理状態を生成する。例えば、心理状態モジュール312は、ユーザがリラックスしており、あるいは特定のオブジェクト又はアクションについて思考していることを、示すことができる。心理状態モジュール312は、心理状態識別モジュール210に基づいて、ユーザの心理状態における変化をさらに識別することができる。
【0041】
参照識別子モジュール302は、装置100のセンサ102によって捕捉された物理オブジェクト上の視覚的参照を識別する。例えば、装置100のカメラが、物理オブジェクトのイメージ、例えば、新聞の一ページなどを捕捉する。新聞のページには、記事と画像とが含まれ得る。画像は、記憶装置108の中に視覚的参照としてすでに識別されている可能性がある。画像は、オブジェクトの対応する3次元モデル(例えば、仮想のソファ)に関連付けることができる。
【0042】
仮想オブジェクト生成モジュール304は、装置100のセンサ102によって捕捉された物理オブジェクトのイメージと連動した3次元仮想オブジェクトの視覚化を生成し、表示する。(例えば、仮想のソファが雑誌ページの上に浮かび、回転する)。仮想オブジェクトは、視覚的参照(例えば、雑誌ページの中の家具広告)とユーザの心理状態とに基づくことができる。一実施形態において、各仮想オブジェクトは、視覚的参照と特定の心理状態とに一意に関連付けることができる。仮想オブジェクト生成モジュール304は、視覚的参照に対する装置100の位置に基づいて、仮想オブジェクトの視覚化をレンダリングする。別の実施形態において、仮想オブジェクトの属性が、ユーザの心理状態に基づいてもよい。例えば、仮想オブジェクト生成モジュール304は、ユーザの心理状態がユーザがリラックスしておりソファについて思考していると示すとき、青色のソファを生成することができる。同様に、仮想オブジェクト生成モジュール304は、ユーザの心理状態がユーザが興奮しておりソファについて思考していると示すとき、赤色のソファを生成することができる。
【0043】
さらに別の実施形態において、仮想オブジェクト生成モジュール304は、ユーザの心理状態における変化に基づいて仮想オブジェクトを生成する。例えば、ユーザの心理状態がユーザがより興奮しつつあると示すとき、青色の車が赤色の車へとモーフィングしてもよい。
【0044】
視覚的ジェスチャモジュール306は、ディスプレイ104の中の焦点領域と仮想オブジェクトの特徴とを決定することができる。例えば、上記の特徴には、3次元仮想オブジェクト上の関心のあるポイント(関心ポイント)又はユーザインタラクティブなオブジェクトを含むことができる。例えば、3次元仮想オブジェクトには、アイコンを有する3次元平面図を含むことができ、アイコンは、3次元平面図の中の関心ポイントに対応させることができる。3次元平面図において表現された部屋の中に位置するアイコンが、その対応する部屋に関するさらなる情報(部屋のサイズ、部屋の説明等)を生成するようにアクティブ化されてもよい。アイコンは、ディスプレイ104上のアイコンの表現上でユーザがタップすることによってアクティブ化されてもよい。
【0045】
一実施形態において、視覚的ジェスチャモジュール306は、特徴がディスプレイの焦点領域の中にあるとき、又はユーザの心理状態に基づいて応答的に、特徴の状態を変更し、あるいは特徴をアクティブ化することができる。例えば、焦点領域は、ディスプレイ104の中心領域として設定することができる。これまでの例を用いると、ユーザは、関心のある部屋のアイコンがディスプレイ104の中の中心領域に表示され得るように、装置100を移動させることができる。視覚的ジェスチャモジュール306は、アイコンの色又は形状を変更して、アイコンが選択されているとユーザに示すことができる。別の例において、関心のある部屋が、ユーザが興奮していると示すユーザ心理状態に基づいて、赤で強調表示されてもよい。
【0046】
さらに、ユーザが少なくとも所定量の時間(例えば、数秒)の間、ディスプレイ104の中心領域の中にアイコンを維持する場合、アイコンが状態を変え、あるいは他の方法でアクティブ化されて、アイコン上でのタップに対応するアクションが開始されてもよい。例えば、ユーザにより選択された部屋の説明を提供するように、ダイアログボックスをディスプレイの中に生成することができる。
【0047】
別の実施形態において、視覚的ジェスチャモジュール306は、焦点領域検出器308と特徴状態修正器310とを含む。焦点領域検出器308は、ディスプレイ104の焦点領域の中の仮想オブジェクトの特徴の存在を検出する。焦点領域検出器308は、装置100を見ているユーザの目の動きを追跡して、ユーザが見ているディスプレイの中の特定の場所を決定することができる。例えば、焦点領域検出器308は、ユーザ及び物理オブジェクトに対する装置100のモーション、向き、及び位置に基づいて、ユーザがディスプレイ104の中の特定領域を見ていると決定することができる。焦点領域検出器308は、ユーザに面している装置の中の1つ以上のカメラレンズを使用して、ユーザの目の動き及び位置と、ゆえにユーザが見ているディスプレイ104上の対応する領域とを外挿することができる。
【0048】
特徴状態修正器310は、特徴がディスプレイ104の焦点領域の中に存在するときに該特徴の状態を変更するように構成することができる。例えば、特徴状態修正器310は、ユーザが見ている領域に対応する特徴を、これまでに説明されたアイトラッキングの特徴を用いてアクティブ化することができる。別の例において、焦点領域検出器308が、ユーザがディスプレイ104に表示された平面図の中の特定の部屋を見ているとき、興奮していると決定する。仮想オブジェクト生成モジュール304は、この特定の部屋の仮想3次元モデルを、明るい壁色で生成することができる。
【0049】
図4は、いくつかの実施形態例に従う、視覚的ジェスチャモジュール306の焦点領域検出器308のモジュール(例えば、コンポーネント)を例示しているブロック図である。焦点領域検出器308には、装置相対位置モジュール402と、中心焦点モジュール404と、端部焦点モジュール406と、タイマモジュール408と、アイトラッキングモジュール410と、ユーザ定義領域焦点モジュール412とを含むことができる。
【0050】
装置相対位置モジュール402は、センサ102を使用することによって物理オブジェクト上の視覚的参照に対する装置100の位置及び向きを検出するように構成することができる。例えば、ジャイロスコープが、装置100の向き及び位置を決定することができる。視覚的参照に対する装置100の照準及び角度を決定するために、カメラが使用されてもよい。換言すると、装置相対位置モジュール402は、装置100が視覚的参照に対してどれほど遠く又はどれほど近いかと、装置100がどのように視覚的参照に狙いを定めているかとを決定する。
【0051】
別の実施形態において、装置相対位置モジュール402は、装置の向きを検出する。例えば、装置相対位置モジュール402は、装置100が風景モード又はポートレートモードにおいて保持されているかを検出することができる。焦点領域の場所は、装置100が風景モード又はポートレートモードにおいて保持されているかに依存することができる。さらに、3次元仮想オブジェクトの特徴が、装置100が風景モード又はポートレートモードにおいて保持されているかに基づいて、有効にされ又は無効にされてもよい。
【0052】
中心焦点モジュール404は、ディスプレイ104の中心部にディスプレイ104の焦点領域を定義するように構成することができる。例えば、中心焦点モジュール404は、ディスプレイ104のほぼ中心の領域を焦点領域として定義するように構成することができる。領域は、円の形状、長円形、又は任意の他の形状であってよい。領域は、視覚的ジェスチャモジュール306によって予め定義されてもよく、あるいはユーザ選択に基づいてカスタマイズされてもよい。例えば、ユーザが、焦点領域をディスプレイ104の中の別の領域に移動させることができてもよい。
【0053】
端部焦点モジュール406は、ディスプレイ104の端部にディスプレイ104の焦点領域を定義するように構成することができる。例えば、端部焦点モジュール406は、ディスプレイ104の端部における又はコーナーにある領域を、焦点領域として定義するように構成することができる。領域は、円の形状、長円形、又は任意の他の形状であってよい。領域は、さらに、視覚的ジェスチャモジュール306によって予め定義されてもよく、あるいはユーザ選択に基づいてカスタマイズされてもよい。例えば、ユーザが、焦点領域をディスプレイ104の中の別の領域に移動させることができてもよい。
【0054】
タイマモジュール408は、仮想オブジェクトの特徴がディスプレイ104の焦点領域内に位置するように装置100が視覚的参照に対して指し示されている時間の量を測定するように構成することができる。
【0055】
アイトラッキングモジュール410は、装置100を見ているユーザの目の動きを追跡してユーザが見ている装置100のディスプレイの中の領域を決定するように構成することができる。
【0056】
ユーザ定義領域焦点モジュール412は、ユーザがディスプレイ104の中の領域のうち任意の部分又は領域のうち任意の形状を定義し及び選択して焦点領域を使用することを可能にするように構成することができる。
【0057】
図5は、いくつかの実施形態例に従う、視覚的ジェスチャモジュール306の特徴状態修正器310のモジュール(例えば、コンポーネント)を例示しているブロック図である。特徴状態修正器310は、これまでに説明されたとおり、ディスプレイ104の中の焦点領域に存在する特徴の状態を変更するように構成することができる。例えば、焦点領域がディスプレイ104の中心領域にある場合、特徴状態修正器モジュール310は、ユーザが少なくとも所定量の時間(例えば、数秒)の間、ディスプレイ104の中心領域の中にアイコンを維持していると焦点領域検出器308が検出したときに、アイコンの色を変更して、該アイコンが選択されているとユーザに示すことができる。その場合、アイコンは、状態を変更し、あるいは他の方法でアクティブ化されて、アイコン上でのタップに対応するアクションを開始することができる。例えば、ユーザにより選択された部屋の説明を提供するように、ダイアログボックスをディスプレイの中に生成することができる。
【0058】
別の例において、特徴状態修正器モジュール310は、ユーザが少なくとも所定量の時間(例えば、数秒)の間、ディスプレイ104の中心領域の中にアイコンを維持していると焦点領域検出器308が検出したとき、及び、ユーザが少なくとも所定量の時間(例えば、数秒)の間、特定の心理状態を維持していると心理状態モジュール312が決定したときに、アイコンの色を変更して、該アイコンが選択されているとユーザに示すことができる。
【0059】
特徴状態修正器310には、状態変更視覚化モジュール502とアクションモジュール504とを含むことができる。状態変更視覚化モジュール502は、焦点領域の中のアイコンを変更するように構成することができる。例えば、アイコンの色又は形状が変更されてもよく、あるいは、アイコンが別のアイコン又は別のインターフェース、例えば通知ボックスなどで置換されてもよい。
【0060】
アクションモジュール504は、ディスプレイ104上のアイコン上でのタップと同様にアクションをトリガするように構成することができる。例えば、アクションモジュール504は、メッセージ通知、ダイアログボックス、メニュー、又は、ディスプレイ104の焦点領域の中の特徴の存在によって若しくはユーザの心理状態によってトリガされる任意の他のアクションを生成することができる。別の実施形態において、アクションモジュール504は、例えばワイヤレスネットワークを介して、装置100から別のデバイスへの通信を生成するように構成することができる。
【0061】
図6Aは、いくつかの実施形態例に従う、思考に基づいた装置における仮想オブジェクトの視覚化の一例を例示しているブロック図である。ユーザ601が、センサ610、例えば、ユーザ601の頭皮に位置づけられた電極などを装備している。これまでに説明されたとおり、センサ610には、他のタイプの測定装置、中でも、顔の筋肉の活動や心拍の活動を測定するものを含むことができる。センサ610は、ワイヤを介して装置600(例えば、モバイル通信装置)に物理的に結合することができる。別の例において、センサ610は、ワイヤレス通信手段(例えば、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標))を用いて、ワイヤレスに装置600と通信することができる。
【0062】
ユーザ601は、装置600のリアカメラ612を、視覚的参照606を有する物理オブジェクト604の方へ向ける。これまでに説明されたとおり、視覚的参照606には、画像、マシン可読コード、又は装置600の中の拡張現実アプリケーション112に対して一意である任意の他の識別子を含むことができる。物理オブジェクト604は、例えば、雑誌又は新聞のページであり得る。別の実施形態において、物理オブジェクト604と視覚的参照606とは、一緒に組み合わせられてもよい(例えば、ポスター又はカップ)。こうした場合、3次元物理オブジェクトを視覚的参照として使用することができる。例えば、特定のパターン又はデザインを有するカップなどの3次元オブジェクトが、視覚的参照として使用されてもよい。装置600は、リアカメラ612を用いて物理オブジェクト604及び視覚的参照606のイメージ又は画像を捕捉する。
【0063】
装置600は、センサ610からの出力と視覚的参照606とに基づいて、装置600のディスプレイ602の中の3次元仮想オブジェクトの視覚化を生成する。例えば、装置600は、ユーザ601がある建築事務所に地理的に位置していると決定することができる。装置600は、センサ610から、ユーザ601の心理状態が高層ビルに集中していると決定する。別の実施形態において、さらに、装置600の前面カメラ614がユーザ601の心理状態に対する追加データを強化し、提供してもよい。例えば、装置600は、前面カメラ614を用いてユーザ601のライブ画像を取得して笑顔か渋面かを決定することができる。別の例において、前面カメラ614は、ユーザのアイデンティティを決定するように顔認識に使用されてもよい。装置600はユーザ601から、選好、例えば、好きな色やアイテムなどを取り出すことができる。別の例において、装置600は、装置600の地理的場所(例えば、オフィス、家、レストラン、市、国)と、視覚的参照606の捕捉の時間(例えば、朝、午後、晩、休日、週末)と、視覚的参照606に対する装置600の向き(例えば、ポートレート又は風景、どれほど近いか)と、ユーザ601の識別(例えば、顔認識又はログイン情報を用いて)と、ユーザ601の選好(例えば、好きな色、好きなタイプの音楽)と、ユーザ601に関連したソーシャルネットワーク情報(例えば、フレンド数、関心、フレンドの近さ、投稿)と、センサ610からの出力(例えば、EEGの脳の波、EMGの筋肉の波、EOGの目の波、心拍、血圧)と、視覚的参照606との組み合わせに基づいて、ディスプレイ602に表示されるべき仮想オブジェクトを決定し、識別し、操作する。
【0064】
それから、装置600は、ユーザ601の心理状態に基づいて、物理オブジェクト604の画像に連動した3次元仮想オブジェクトの視覚化を生成することができる。この例では、集中した状態について、高層ビル608の3次元モデルがディスプレイ602の中の物理オブジェクト604のイメージの上にレンダリングされる。別の例において、ユーザの心理状態がリラックスしており、ユーザがビーチハウスについて思考している場合、装置600は、ディスプレイ602の中の物理オブジェクト604のイメージの上にレンダリングされるビーチハウスの3次元モデルを生成してもよい。そのようなもとして、装置600は、捕捉された視覚的参照606のイメージとユーザ601の現在の心理状態とに応答して、ディスプレイ602に表示されるべき仮想オブジェクトを決定する。
【0065】
図6Bは、いくつかの実施形態例に従う、思考に基づいた装置における仮想オブジェクトに対するアクションの視覚化の一例を例示しているブロック図である。装置600は、ユーザ601の心理状態における変化(例えば、ユーザはビルへの雨について思考している)を決定する。それから、装置600は、センサ610からの出力における変化と前面カメラ614とに応答したユーザ601の心理状態における変化に基づいて、装置600のディスプレイ602の中の3次元仮想オブジェクトの視覚化における変更を生成する。例えば、ユーザ601が雨に集中していると装置600が検出したときに、ビル608を覆う雨がディスプレイ602に動的にアニメ化されてもよい。
【0066】
このようなものとして、ディスプレイ602にすでに表示されている3次元仮想オブジェクトの変更が、ユーザ601の心理状態における変化に基づいて決定される。別の例において、ユーザ601がビル608を見ている間によりリラックスしてきたときに、ビル608の色がより明るい色相へと変わってもよい。別の例において、ユーザ601が動揺してきたときに、ビル608のテクスチャがより粗いテクスチャに変わってもよい。
【0067】
図6Cは、いくつかの実施形態例に従う、視覚的ジェスチャと組み合わせた思考に基づいた装置における仮想オブジェクトに対するアクションの視覚化の一例を例示しているブロック図である。
【0068】
装置600の前面カメラ614が、ユーザ601の注視を捕捉し、監視することができる。換言すると、装置600は、目の動きを追跡して、ディスプレイ602上のどこをユーザが見ているかを決定することができ得る。別の実施形態において、装置600の前面カメラ614は、アイトラッキングの動きとヘッドトラッキングの動きとの組み合わせを用いて、ユーザ601の注視を決定する。
【0069】
ビル608には、関心ポイントアイコン618、620、622を含むことができる。例えば、関心ポイントアイコン618は、トリガされ、あるいは他の方法で選択されたときに、ビル608の3次元モデルに対する関心ポイントアイコン618の場所に対応する追加情報を提供することができる。
【0070】
一実施形態において、関心ポイントアイコン618の状態は、関心ポイント618を見ているユーザ601とユーザ601の心理状態とに応答して、変更することができる。例えば、関心ポイント618は、ユーザ601の心理状態に基づいて、色を変更されてもよい。
【0071】
別の実施形態において、装置600は、ユーザ601が関心ポイントアイコン618を見ていることと、ユーザ601の心理状態が集中した状態に対応することとの決定に応答して、関心ポイントアイコン618に関するさらなる情報を表示してもよい。例えば、ユーザ601が関心ポイントアイコン618を見ており、ユーザ601が集中した状態にあるとセンサ610を用いて決定されるときに、説明ボックスがディスプレイ608にポップアップしてもよい。
【0072】
別の実施形態において、ユーザ601は、関心ポイントアイコン512が装置600のディスプレイ602の中央領域に表示されるように、物理オブジェクト604に対して装置600を位置づける。一実施形態において、関心ポイントアイコン618の状態は、ユーザに選択を通知するように変更されてもよい。例えば、関心ポイントアイコン618の色が、装置600のユーザに注目をさせるように変更されてもよい。
【0073】
別の実施形態において、前面カメラ614は、装置600のディスプレイ602の中のビル608を見ているユーザ601の、目の動きを追跡する。装置600は、ユーザ601がディスプレイ602上のある領域(例えば、旗竿)を見ていると決定する。領域は、ビル608上の予め識別された場所に対応させることができる。予め識別された場所には、領域に関連付けられたビル608上の関心ポイントを含むことができる。例えば、装置600が、ユーザ601がビル608の旗竿を数秒間見ていると検出する。一例において、旗竿に関するさらなる情報を示すダイアログボックスを表示することができる。別の例において、装置600は、ビル608上の予め識別された場所に関連付けられた任意の他のアクションを生成してもよい。
【0074】
別の実施形態において、装置600には透過ディスプレイ(図示せず)を含んでもよく、この透過ディスプレイを使用して、物理オブジェクト又は物理オブジェクト上の特定場所を識別することができる。一例において、透過ディスプレイは、(例えば、メガネの取り付け部又はヘッドギアの取り付け部を介して、)ユーザの頭部に取り付けることができる。別の例において、透過ディスプレイは、ユーザ601が保持し目を通して、透過ディスプレイの後ろの物理オブジェクトを見えるようにするハンドヘルド装置であり得る。装置600の背面カメラは、(例えば、物理オブジェクトのイメージと参照イメージとを比較することによって、)ユーザによって見られている物理オブジェクトを認識することができる。具体的に、ユーザ及び物理オブジェクトに対しての透過ディスプレイの位置及び向きを使用して、ユーザの視線を決定することができる。決定されたユーザの視線を用いて、装置は、見られている物理オブジェクトと、物理オブジェクトのうち具体的にどのパートが見られているかとを、リアルタイムで識別することができる。
【0075】
いったん装置600が、認識された物理オブジェクト又は認識された物理オブジェクトの一部が予め識別された物理オブジェクト又は物理オブジェクトの予め識別された一部に対応することを識別すると、この装置は、ユーザ601の心理状態に基づいて、対応するアクション(例えば、電子メールを送る、サウンドを生成する等)をトリガすることができる。例えば、装置600は、ユーザ601が透過ディスプレイでテレビジョンセットの底部部分へと目を通していると検出する。装置600は、テレビジョンセットを認識し、テレビジョンセットの底部部分(ユーザ601によって見られている)が、TVをオン又はオフに切り換えるためのテレビジョンセットに対する通信の生成に対応するアクションに関連付けられると決定する。ユーザ601が少なくとも数秒の間、テレビジョンセットの底部部分を見ていて、その心理状態がユーザは集中していると示す場合、装置600は、対応する信号を生成してテレビジョンセットをオン又はオフにする。
【0076】
別の例において、装置600が、ユーザ601の心理状態に基づいて、TVの上にオーバーレイされたTVチャンネルの仮想メニューを表示してもよい。例えば、ユーザが興奮している場合、TVチャンネルのメニューには、スポーツチャンネル及びアクション映画を含むことができる。別の例において、ユーザ601が、装置600の透過ディスプレイでラジオ装置へと目を通し得る。同様に、ユーザ601の心理状態に基づいて、音楽チャンネルの仮想メニューをラジオ装置の上に表示することができる。例えば、装置600は、ユーザ601がリラックスし又は眠そうであるとセンサ610が示すときに、クラシック音楽又はリラックスする音楽のチャンネルの仮想メニューを表示してもよい。
【0077】
図7は、いくつかの実施形態例に従う、装置のディスプレイの中の3次元仮想オブジェクトの特徴の状態における変更をトリガするための視覚的ジェスチャの一例を例示しているブロック図である。例えば、装置600が、関心ポイントアイコン618が少なくとも所定量の時間の間、焦点領域(例えば、ディスプレイ602の中心領域)に存在し続けていることを検出したとき、ユーザ601の心理状態に基づいて関心ポイントアイコン618の状態を変更するように、アクションがトリガされる。例えば、ダイアログボックス702がポップアップしてもよく、あるいは、関心ポイントアイコン618とユーザ601の心理状態とに対応する別のアクション(例えば、メディアファイルを再生する、関心ポイントアイコン618を保存する、説明を電子メールする)が装置600上に表示されてもよい。別の例において、ダイアログボックス702の内容がユーザ601の心理状態に基づいてもよい。
【0078】
図8は、いくつかの実施形態例に従う、装置における3次元オブジェクトの特徴に焦点を合わせるための視覚的ジェスチャの一例を例示しているブロック図である。例えば、装置600の焦点領域が、装置600のコーナー802、804、806、808に位置することができる。各コーナーは、ユーザの心理状態にさらに基づいた対応するアクション(例えば、関心ポイントを保存するなどのアクションをトリガすること)に関連付けることができる。例えば、コーナー802は、電子メールを送ることに関連付けることができる。電子メールの受信者は、ユーザの心理状態に基づいて決定することができる。ユーザが幸せである場合、電子メールには、ビル608を設計した建築事務所の代表建築家に対するテンプレートの賛辞の電子メールが含まれる。ユーザが不幸せである場合、電子メールには、カスタマサービス部門に対するテンプレートの苦情の電子メールを含むことができる。
【0079】
図9は、いくつかの実施形態例に従う、装置における3次元オブジェクトの特徴の状態における変更をトリガするための視覚的ジェスチャの一例を例示しているブロック図である。例えば、関心ポイントアイコン620が少なくとも数秒の間、コーナー802の焦点領域内にあるとの理由で、拡張現実アプリケーション112は、ダイアログボックス902を生成して、関心ポイントアイコン620とユーザの現在の心理状態とに関連付けられた説明を提供することができる。そのようなものとして、装置600のユーザ601は、装置600のスクリーン又はディスプレイ上でタップする必要なく、装置における3次元オブジェクトに関連したアクションを生成することができる。
【0080】
図10は、いくつかの実施形態例に従う、思考に基づいて仮想オブジェクトを視覚化する方法1000の実行における装置の視覚化アプリケーションの動作の一例を例示しているフローチャートである。動作1002において、ユーザの心理状態が、ユーザからの電波の強度及びパターンに基づいて識別される。出力には、例えば、電気的脳波を含むことができる。一実施形態において、動作1002は、図1の装置100の電波アプリケーション110を用いて実行することができる。
【0081】
動作1004において、装置により捕捉された物理オブジェクトのイメージが認識され、あるいは識別される。一実施形態において、動作1004は、物理オブジェクト上の視覚的参照を識別する参照識別子モジュール302によって実行することができる。
【0082】
動作1006において、仮想オブジェクト生成モジュール304が、物理オブジェクト(又は物理オブジェクト上の視覚的参照)とユーザの電波の強度及びパターンとに基づいて、仮想オブジェクトを識別する。別の例において、仮想オブジェクトを識別するために、他のパラメータが使用されてもよい。例えば、心拍データ、音声データを使用して、仮想オブジェクトを識別することができる。
【0083】
動作1008において、仮想オブジェクト生成モジュール304は、物理オブジェクトのイメージと連動した(例えば、その上にオーバーレイされた)仮想オブジェクトの視覚化を生成し、表示する。仮想オブジェクトは、視覚的参照とユーザの心理状態(例えば、センサの出力の強度)とに対応する。一実施形態において、仮想オブジェクト生成モジュール304は、視覚的参照に対するディスプレイの位置に基づいて、仮想オブジェクトの視覚化をレンダリングする。
【0084】
図11は、いくつかの実施形態例に従う、思考に基づいた仮想オブジェクトの操作の方法1100の実行における装置の視覚化アプリケーションの動作の一例を例示しているフローチャートである。
【0085】
動作1102において、ユーザの心理状態における変化が、ユーザに結合されたセンサの出力の強度における変化に基づいて識別される。一実施形態において、動作1102は、図1の装置100の電波アプリケーション110を用いて実行することができる。
【0086】
動作1104において、仮想オブジェクト生成モジュール304は、ユーザの心理状態における変化(例えば、センサの出力の強度及びパターンにおける変化)に基づいて、ディスプレイの中の事前に表示されている仮想オブジェクトの視覚化を変更する。換言すると、ユーザの心理状態における変化に基づいて、ディスプレイの中の仮想オブジェクトに対してアクションを実行することができる。仮想オブジェクトは、センサの出力における変化に基づいて操作することができる。例えば、ユーザがよりリラックスしてきたときに、仮想オブジェクトの色が赤から青に変わってもよい。ユーザがより集中してきたときに、仮想オブジェクトがより速く回転してもよい。ユーザがディスプレイ上の仮想の車のドアの場所により集中してきたときに、そのドアが開いてもよい。別の例において、最初、ユーザはライオンについて思考していて、ライオンのイメージが表示される。それから、ユーザはヒョウについて思考し、そして、ライオンのイメージが装置上でヒョウのイメージへとモーフィングされる。
【0087】
一実施形態において、仮想オブジェクト生成モジュール304は、視覚的参照に対するディスプレイの位置における変化に基づいて、仮想オブジェクトの視覚化をレンダリングする。
【0088】
図12は、いくつかの実施形態に従う、思考と視覚的ジェスチャとに基づいた仮想オブジェクトの操作の方法1200の実行における装置の視覚化アプリケーションの動作の一例を例示しているフローチャートである。
【0089】
動作1202において、ユーザの心理状態が、人間に結合されたセンサの出力の強度及びパターンに基づいて識別される。出力には、例えば、電気的脳波をふくむことができる。一実施形態において、動作1202は、図1の装置100の電波アプリケーション110を用いて実行することができる。
【0090】
動作1206において、視覚的ジェスチャモジュール306が、ディスプレイの中の焦点領域と仮想オブジェクトの特徴とを決定する。視覚的ジェスチャモジュール306は、特徴がディスプレイの焦点領域の中にあることに応答して、及びユーザの心理状態(又は、心理状態の変化)に応答して、特徴の状態を変更する。
【0091】
一実施形態において、参照識別子モジュール302及び視覚的ジェスチャモジュール306が、視覚的参照、対応する仮想オブジェクト、仮想オブジェクトの対応する特徴、対応する心理状態のデータベースを、装置の記憶装置に記憶する。仮想オブジェクトの特徴は、ディスプレイの焦点領域の中にあることに応答して状態を変更される。
【0092】
一実施形態において、視覚的ジェスチャモジュール306は、特徴がディスプレイの予め定義された部分内に位置することとユーザの心理状態とに応答して、特徴の状態を変更する。焦点領域は、ディスプレイの予め定義された部分に対応する。
【0093】
一実施形態において、ディスプレイの予め定義された部分は、ディスプレイに対して中央の領域、ディスプレイの端部に隣接する領域、ディスプレイのコーナーに隣接する領域、又はユーザ定義された領域を含む。
【0094】
一実施形態において、視覚的ジェスチャモジュール306は、時間閾値を超える時間の間、特徴がディスプレイの予め定義された部分内に位置し、維持された心理状態が時間閾値を超えることに応答して、特徴の状態を変更する。
【0095】
一実施形態において、視覚的ジェスチャモジュール306は、ディスプレイの焦点領域の中の3次元仮想オブジェクトの特徴の存在を検出し、特徴が焦点領域の中に存在するときに(及び、ユーザの心理状態に基づいて)特徴の状態を変更する。
【0096】
一実施形態において、視覚的ジェスチャモジュール306は、焦点領域の中の3次元仮想オブジェクトの第1のコンポーネントを、焦点領域の中の3次元仮想オブジェクトの第2のコンポーネントで置換する。特徴にはインタラクティブオブジェクトを含むことができ、このインタラクティブオブジェクトは、焦点領域の中にあるときに(及び、ユーザの心理状態に基づいて)状態を変える。例えば、インタラクティブオブジェクトは、該インタラクティブオブジェクトが焦点領域の中にあるとき、色が変わってもよい。
【0097】
図14は、いくつかの実施形態例に従う、脳活動データに基づいて仮想オブジェクトを操作する動作の一例を例示しているラダー図である。動作1406において、装置1402(例えば、装置100)が、物理オブジェクトから参照識別子のイメージを捕捉する。動作1408において、装置1402は、装置のユーザの脳活動データをさらに捕捉する。動作1410において、装置1402は、ネットワークを介して参照識別子及び脳活動データをリモートサーバ1404に通信する。動作1412において、リモートサーバ1404は、参照識別子及び脳活動データに関連付けられた仮想オブジェクトデータを取り出す。動作1414において、リモートサーバ1404は、仮想オブジェクトデータを装置1402に送る。それから、1416において、装置1402は、仮想オブジェクトデータを用いて仮想風景の中に仮想イメージを表示する。
【0098】
モジュール、コンポーネント及びロジック
特定の実施形態が、ロジック、又は複数のコンポーネント、モジュール若しくはメカニズムを含むものとして説明されている。モジュールは、ソフトウェアモジュール(例えば、マシン可読媒体上に、又は送信信号内に具現化されたコード)又はハードウェアモジュールのいずれかを構成することができる。ハードウェアモジュールは、特定の動作を実行することができる有形ユニットであり、特定の方式で構成され又は配置されることができる。複数の実施形態例において、1つ以上のコンピュータシステム(例えば、スタンドアロンコンピュータシステム、クライアントコンピュータシステム、又はサーバコンピュータシステム)、又はコンピュータシステムの1つ以上のハードウェアモジュール(例えば、プロセッサ、又はプロセッサのグループ)が、ソフトウェア(例えば、アプリケーション、又はアプリケーションの一部)によって、本明細書に説明された特定の動作を実行するように動作するハードウェアモジュールとして構成されることができる。
【0099】
様々な実施形態において、ハードウェアモジュールは、機械的に又は電子的に実施することができる。例えば、ハードウェアモジュールは、特定の動作を実行するように(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は特定用途向け集積回路(ASIC)などの特別目的プロセッサとして)永続的に構成された専用回路又はロジックを含むことができる。さらに、ハードウェアモジュールは、特定の動作を実行するようにソフトウェアよって一時的に構成された(例えば、汎用目的プロセッサ又は他のプログラマブルプロセッサ内に包含された)プログラマブルロジック又は回路を含むことができる。ハードウェアモジュールを、機械的に、専用の永続的に構成された回路において、又は一時的に構成された回路(例えば、ソフトウェアによって構成される)において実施するとの判断が、コスト及び時間を考慮することによって推進され得ることが十分理解されるであろう。
【0100】
したがって、用語「ハードウェアモジュール」は、有形エンティティを包含するものと理解されるべきであり、この有形エンティティは、特定の方式で動作し及び/又は本明細書に説明された特定の動作を実行するように、物理的に構築され、永続的に構成され(例えば、ハードワイヤード)、又は一時的に構成され(例えば、プログラムされ)たエンティティである。ハードウェアモジュールが一時的に構成される(例えば、プログラムされる)実施形態を考えると、ハードウェアモジュールの各々は、時間におけるいずれの段階(instance)においても構成され又はインスタンス化される必要がない。例えば、複数のハードウェアモジュールが、ソフトウェアを用いて構成された汎用目的プロセッサを含む場合、この汎用目的プロセッサは、異なる時間において、それぞれ異なるハードウェアモジュールとして構成されることができる。したがって、ソフトウェアは、例えば、時間のある段階において特定のハードウェアモジュールを構成し、時間の異なる段階において異なるハードウェアモジュールを構成するように、プロセッサを構成することができる。
【0101】
ハードウェアモジュールは、他のハードウェアモジュールに情報を提供し、他のハードウェアモジュールから情報を受信することができる。したがって、説明されているハードウェアモジュールは、通信可能に結合されたものとみなすことができる。こうしたハードウェアモジュールのうち複数が同時に存在する場合、通信は、ハードウェアモジュールを接続する信号送信を通して(例えば、適切な回路及びバスを通じて)達成することができる。複数のハードウェアモジュールが異なる時間において構成され又はインスタンス化される実施形態において、こうしたハードウェアモジュール間の通信は、例えば、複数のハードウェアモジュールがアクセスを有するメモリ構造においての情報の記憶及び取り出しを通して達成することができる。例えば、あるハードウェアモジュールが動作を実行し、該動作の出力を、このハードウェアモジュールに通信可能に結合されたメモリ装置に記憶することができる。それから、より後の時間において、さらなるハードウェアモジュールが上記メモリ装置にアクセスして、上記の記憶された出力を取り出し、処理することができる。ハードウェアモジュールは、入力又は出力装置との通信をさらに開始してもよく、リソース(例えば、情報の集合)に対して動作することができる。
【0102】
本明細書に説明された方法例の様々な動作は、関連する動作を実行するように一時的に(例えばソフトウェアによって)構成され又は永続的に構成された1つ以上のプロセッサによって、少なくとも部分的に実行することができる。上記のプロセッサは、一時的に構成されても永続的に構成されても、1つ以上の動作又は機能を実行するように動作する、プロセッサにより実施される(processor-implemented)モジュールを構成することができる。本明細書において言及されるモジュールは、いくつかの実施形態例において、プロセッサにより実施されるモジュールを含むことができる。
【0103】
同様に、本明細書に説明された方法は、少なくとも部分的に、プロセッサにより実施されることができる。例えば、方法の動作の少なくともいくつかを、1つ以上のプロセッサ又はプロセッサにより実施されるモジュールによって実行することができる。動作のうち特定のものの実行は1つ以上のプロセッサ間で分散させることができ、単一のマシン内に存在してもよいだけでなく、複数のマシンにわたってデプロイされ(deployed)てもよい。いくつかの実施形態例において、1つ又は複数のプロセッサが単一の場所に(例えば、家庭環境内に、オフィス環境内に、又はサーバファームとして)位置することができ、他の実施形態において、プロセッサは複数の場所にわたって分散されてもよい。
【0104】
1つ以上のプロセッサは、さらに、「クラウドコンピューティング」環境において、又は「サービスとしてのソフトウェア」(SaaS)として、関連する動作の実行をサポートするように動作することができる。例えば、動作のうち少なくともいくつかが、(プロセッサを含むマシンの例として)コンピュータのグループによって実行されてもよく、これら動作は、ネットワークを介して、及び1つ以上の適切なインターフェース(例えば、API)を介してアクセス可能である。
【0105】
電子的な装置及びシステム
実施形態例は、デジタル電子回路において、若しくはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアにおいて、又はこれらの組み合わせにおいて実施することができる。実施形態例は、コンピュータプログラムプロダクトを用いて実施されてもよい。コンピュータプログラムプロダクトは、例えば、情報担体の中に有形に具現化されたコンピュータプログラムである。情報担体は、例えば、データ処理装置による実行のため又はデータ処理装置の動作を制御するためのマシン可読媒体である。データ処理装置は、例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のコンピュータである。
【0106】
コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語又はインタプリタ型言語を含む任意の形式のプログラミング言語において書くことができ、スタントアロンプログラムとして又はモジュール、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとしてを含む任意の形式においてデプロイすることができる。コンピュータプログラムは、1つのサイトにおける1つのコンピュータ上又は複数のコンピュータ上で実行されるようにデプロイされてもよく、あるいは、複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続されてもよい。
【0107】
実施形態例において、動作は、入力データに対して作用すること及び出力を生成することによって機能を実行するように、コンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブルプロセッサによって実行することができる。方法動作は、特別目的ロジック回路(例えば、FPGA又はASIC)によって実行することもでき、実施形態例の装置が、上記特別目的ロジック回路として実施されてもよい。
【0108】
コンピューティングシステムには、クライアント及びサーバを含むことができる。クライアント及びサーバは、一般に互いからリモートにあり、通常、通信ネットワークを通して相互作用する。クライアント及びサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、クライアント‐サーバ関係を互いに対して有するコンピュータプログラムによって、発生する。プログラマブルコンピューティングシステムをデプロイする実施形態において、ハードウェアアーキテクチャ及びソフトウェアアーキテクチャの双方が考慮に値することが十分理解されるであろう。具体的に、特定の機能性を、永続的に構成されるハードウェア(例えば、ASIC)において実施するか、一時的に構成されるハードウェア(例えば、ソフトウェアとプログラマブルプロセッサとの組み合わせ)において実施するか、又は永続的に構成されるハードウェアと一時的に構成されるハードウェアとの組み合わせにおいて実施するかの選択は、設計上の選択であり得ることが十分理解されるであろう。下記に、様々な実施形態例においてデプロイされ得るハードウェア(例えば、マシン)及びソフトウェアアーキテクチャを提示する。
【0109】
例示的なマシンアーキテクチャ及びマシン可読媒体
図13は、コンピュータシステム1300の例示的形態におけるマシンのブロック図であり、コンピュータシステム1300内で、本明細書に論じられた方法論のうち任意の1つ以上をマシンに実行させる命令を実行することができる。代替的な実施形態において、マシンはスタンドアロン装置として動作し、あるいは他のマシンに接続され(例えば、ネットワーク化され)てもよい。ネットワーク化されたデプロイにおいて、マシンは、サーバ‐クライアントネットワーク環境でのサーバ又はクライアントの能力において、又はピアツーピア(又は分散)ネットワーク環境でのピアマシンとして動作することができる。マシンは、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、セルラー電話、ウェブ電化製品、ネットワークルータ、スイッチ、若しくはブリッジ、又はマシンにより取られるべきアクションを規定する命令を(順次に又はその他の方法で)実行することができる任意のマシンであってよい。さらに、単一のマシンだけが例示されているが、用語「マシン」は、本明細書に論じられた方法論のうち任意の1つ以上を実行するように命令のセット(又は複数のセット)を個々に又は一緒に実行するマシンの任意の集合をさらに含むものとする。
【0110】
例示的なコンピュータシステム1300は、プロセッサ1302(例えば、中央処理ユニット(CPU)、グラフィクス処理ユニット(GPU)、又は双方)と、メインメモリ1304と、スタティックメモリ1306とを含み、これらは、バス1308を介して互いに通信する。コンピュータシステム1300は、ビデオディスプレイユニット1310(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)又は陰極線管(CRT))をさらに含むことができる。コンピュータシステム1300は、英数字入力装置1312(例えば、キーボード)と、ユーザインターフェース(UI)ナビゲーション(又はカーソル制御)装置1314(例えば、マウス)と、ディスクドライブユニット1316と、信号生成装置1318(例えば、スピーカー)と、ネットワークインターフェース装置1320とをさらに含む。
【0111】
マシン可読媒体
ディスクドライブユニット1316はマシン可読媒体1322を含み、このマシン可読媒体1322上に、本明細書に説明された方法論又は機能のうち任意の1つ以上を具現化し又はこれらにより利用されるデータ構造及び命令1324の1つ以上のセット(例えば、ソフトウェア)が記憶される。命令1324はさらに、コンピュータシステム1300による命令1324の実行の間、メインメモリ1304内及び/又はプロセッサ1302内に、完全に又は少なくとも部分的に存在することがあり、メインメモリ1304及びプロセッサ1302がさらにマシン可読媒体を構成することがある。命令1324はさらに、完全に又は少なくとも部分的に、スタティックメモリ1306内に存在することがある。
【0112】
マシン可読媒体1322は、一実施形態例において単一の媒体であるように図示されているが、用語「マシン可読媒体」には、1つ以上の命令1324又はデータ構造を記憶した単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中型若しくは分散型のデータベース、及び/又は関連するキャッシュ及びサーバ)を含むことができる。用語「マシン可読媒体」は、マシンが実行する命令セットを記憶し、エンコードし又は伝えることができてマシンに本願実施形態の方法論のうち任意の1つ以上を実行させる任意の有形媒体、又は、上記の命令により利用され又は上記の命令に関連するデータ構造を記憶し、エンコードし又は伝えることができる任意の有形媒体をさらに含むものとする。したがって、用語「マシン可読媒体」は、これらに限定されないが、ソリッドステートメモリ、光学媒体、及び磁気媒体を含むものとする。マシン可読媒体の具体例には不揮発性メモリが含まれ、例として、半導体メモリデバイス(例えば、消去可能プログラマブル読取専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読取専用メモリ(EEPROM)、及びフラッシュメモリ)と、内部ハードディスク及び取外し可能ディスクなどの磁気ディスクと、光磁気ディスクと、コンパクトディスク読取専用メモリ(CD‐ROM)及びデジタル多用途ディスク(又はデジタルビデオディスク)読取専用メモリ(DVD‐ROM)ディスクとが含まれる。
【0113】
送信媒体
さらに、命令1324は、ネットワーク1326を通じて送信媒体を用いて送信され、あるいは受信されてもよい。命令1324は、ネットワークインターフェース装置1320と多数の周知の転送プロトコル(例えば、HTTP)のうち任意のものとを用いて送信することができる。通信ネットワークの例には、LAN、WAN、インターネット、携帯電話網、POTSネットワーク、及びワイヤレスデータネットワーク(例えば、WiFi及びWiMaxネットワーク)が含まれる。用語「送信媒体」には、マシンが実行する命令を記憶し、エンコードし又は伝えることができる任意の無形媒体を含むものとし、上記のソフトウェアの通信を容易にするためのデジタル若しくはアナログ通信信号又は他の無形媒体が含まれる。
【0114】
実施形態が具体的な実施形態例を参照して説明されたが、これら実施形態に対して本開示の上位の主旨及び範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更がなされ得ることが明らかであろう。したがって、明細書及び図面は、限定的ではなく例示的な意味において考慮されるべきである。本願の一部を成す添付図面は、限定ではなく例示として、対象事項が実施され得る具体的な実施形態を図示している。例示された実施形態は、本明細書に開示された教示を当業者が実施することを可能にするほど十分詳細に説明されている。これらから、他の実施形態が利用され、導出されてもよく、その結果、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的及び論理的な代替及び変更が行われ得る。したがって、詳細な説明は、限定する意味に取られるべきではなく、様々な実施形態の範囲は、別記の請求項とこうした請求項が権利を与えられている均等物の完全な範囲とによってのみ定義される。
【0115】
上記の発明対象事項の実施形態は、個々に及び/又は集合的に、本明細書において用語「発明」によって参照されることがあるが、これは単に簡便さのためであり、2以上の発明又は発明概念が実際に開示されている場合に本出願の範囲をいずれかの単一の発明又は発明概念に自発的に限定する意図はない。ゆえに、具体的な実施形態が本明細書に例示され、説明されたが、同じ目的を達成するように計算された任意の配置が、図示された具体的な実施形態の代替にされてもよいことが十分理解されるべきである。本開示は、様々な実施形態についての任意の及びすべての適合又はバリエーションをカバーすることが意図される。上記の実施形態の組み合わせ、及び本明細書に具体的に説明されていない他の実施形態が、上記の説明を検討した当業者に明らかになるであろう。
【0116】
本開示の要約は、読み手が技術開示の要旨を迅速に判定することができるように要約を要求する37C.F.R.セクション1.72(b)に準拠するために提供される。要約は、請求項の範囲又は意味を解釈又は限定するためには使用されないという理解の下で提出されている。さらに、上記詳細な説明では、開示を簡素化する目的のために、様々な特徴が単一の実施形態の中に一緒に集められていることが分かる。この開示の方法は、請求項に記載された実施形態が各請求項に明示されている特徴より多くの特徴を必要とするとの意図を反映するものとして解釈されるべきではない。それどころか、別記の請求項が反映するように、発明対象事項は、単一の開示された実施形態のすべての特徴に満たない特徴にある。ゆえに、別記の請求項は、これにより、各請求項が別個の実施形態として独立した状態で詳細な説明に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14