(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物又は医薬的に許容されるその塩を含む、癌、線維症、血管形成術に関連する再狭窄、多発性嚢胞腎、血管形成異常、結節性硬化症(TSC)、KSHV関連腫瘍、脱毛、及びアルツハイマー病からなる群から選ばれる疾患又は状態の治療剤又は予防剤。
【発明の概要】
【0010】
発明の要旨
本発明は、概してアルファヘリックスミメティック構造体及びそれらの関連化学ライブラリーに関する。本発明は、医学的状態(例、癌疾患、線維症)の治療における応用及び当該ミメティックを含む医薬組成物にも関する。
【0011】
上記背景の検討から、TCF4/β−カテニン及びWnt経路のCBP複合体が細胞増殖、腫瘍形成及び細胞のアポトーシスなどの調節についての分子標的と捉えることができると思われる。従って、本発明は、CBPの阻害によりTCF4/β−カテニン転写経路をブロックし、従って癌、特に直腸結腸癌、及び線維症の治療に用いられ得る化合物についてのニーズにも対処する。それらの態様においては、本発明は生物学的に活性のあるペプチド及びタンパク質のアルファヘリックス領域の二次構造を模倣する、立体配座的に制限された新しいタイプの化合物に関する。本発明はそのような化合物を含有するライブラリー並びにそれらの合成及びスクリーニングも開示する。
【0014】
(式中、
− − − −は単結合又は二重結合であり;
Aは−CHR
7−
(式中、
R
7は、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル、又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルである;)であり、
Eは結合、−CHR
5−、−O−又は−NR
8−
(式中、
R
5は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルであり;且つ
R
8は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、又は必要に応じて置換されたアルキニルである;)であり、
Bは存在しないか、又はG及びYと一緒になって形成された、必要に応じて置換された単環式の環であり;
Dは存在しないか、又はYと一緒になって形成された、必要に応じて置換されたスピロ環であり;
但し
B及びDは両方は存在せず;
Bが存在する場合、G及びYは独立して炭素原子又は窒素原子であり、
Dが存在する場合、Yは炭素原子で、且つGは−NR
6−、−O−、−CHR
6−又は−C(R
6)
2−であり、
B及びDが両方存在しない場合、G及びYは、同一か又は異なって、それぞれ−NR
6−、−O−、−CHR
6−又は−C(R
6)
2−
(式中、
R
6はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである)であり、且つ
Eが結合の場合、Dは存在せず、Bは必要に応じて置換された単環式の環であり、且つB及びYは独立して炭素原子又は窒素原子であり;
R
1は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルであり;
R
2は−W
21−W
22−Rb−R
20
(式中、
W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり、
W
22は結合、−O−、−NH−又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、
Rbは結合又は必要に応じて置換されたアルキレンであり、且つ
R
20は、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルである;)であり、
R
3は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、又は必要に応じて置換されたアルキニルである;
但し
Dが存在せず、Eが結合であり、Bがベンゼンであり、且つR
2が−W
21−W
22−Rb−R
20(式中、W
21は−(CO)−であり、W
22は−NH−であり且つRbは結合である)である場合、R
20は、必要に応じて置換されたフェニルであってはならない;)を有する化合物又は医薬的に許容されるその塩。
【0015】
(2)式(I)において、
Dが存在せず、且つ
Bが、G及びYと一緒になって形成された、飽和又は不飽和の、必要に応じて置換された3−、4−、5−、6−又は7−員の単環式環である、上記(1)に記載の化合物。
【0016】
(3)式(I)において、
Dが存在せず、且つ
Bが、G及びYと一緒になって形成された、飽和又は不飽和の、必要に応じて置換された4−、5−、6−又は7−員の複素環式環であり、ヘテロ原子がS、N及びOから選ばれ、且つヘテロ原子数が1〜3の整数である、上記(1)に記載の化合物。
【0017】
(4)式(I)において、
Dが存在せず;
Bが、G及びYと一緒になって形成された、飽和又は不飽和の、必要に応じて置換された5−又は6−員の複素環式環であり、ヘテロ原子がS、N及びOから選ばれ、且つヘテロ原子数が1〜3の整数である、上記(1)に記載の化合物。
【0018】
(5)式(I)において、
Bが存在せず;
Dが必要に応じて置換されたスピロ環であり;且つ
Gが−NR
6’−、−CHR
6−、−C(R
6)
2−又は−O−
(式中、
R
6はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルであり、且つ
R
6’は必要に応じて置換された環式又は非環式の低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0019】
(6)式(I)において、
Bが存在せず;
Dが必要に応じて置換されたC
3−8シクロアルカンであり;且つ
Gが−NR
6’−、−CHR
6−、−C(R
6)
2−又は−O−
(式中、
R
6はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルであり、且つ
R
6’は必要に応じて置換された環式又は非環式の低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0020】
(7)式(I)において、
B及びDが両方存在せず、且つ
G及びYの少なくとも1つが−NR
6’−、−CHR
6−、−C(R
6)
2−又は−O−
(式中、
R
6はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルであり、且つ
R
6’は必要に応じて置換された環式又は非環式の低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0021】
(8)式(I)において、
B及びDが両方存在せず;且つ
Gが−NR
6’−、−CHR
6’−、−C(R
6’)
2−、又は−O−
(式中、
R
6’はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換された環式又は非環式の低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0022】
(9)式(I)において、
B及びDが両方存在せず;
Gが−NR
6’−又は−O−
(式中、
R
6’は必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアルケニル又は必要に応じて置換されたアリールである;)であり、且つ
Yが−CHR
6−又は−C(R
6)
2−
(式中、
R
6はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである)である、上記(1)に記
載の化合物。
【0023】
(10)式(I)において、
B及びDが両方存在せず;
Gが−NR
6’、−又は−O−
(式中、
R
6’は必要に応じて置換された低級アルキル、又は必要に応じて置換されたアルケニルである)であり、;且つ
Yが−CHR
6−又は−C(R
6)
2−
(式中、
R
6はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル又は必要に応じて置換されたアルキニルである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0024】
(11)式(I)において、
Eが−CHR
5−、−O−、又は−NR
8−
(式中、
R
5は水素、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換された低級アルケニル又は必要に応じて置換された低級アルキニルであり、且つ
R
8は水素、低級アルキル、低級アルケニル又は低級アルキニルである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0025】
(12)式(I)において、
Eが−CHR
5−、−O−、又は−NR
8−
(式中、
R
5は水素又は必要に応じて置換された低級アルキルであり、且つ
R
8は水素、低級アルキル、低級アルケニル又は低級アルキニルである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0026】
(13)式(I)において、
Eが−CHR
5−、−O−、又は−NR
8−
(式中、
R
5は水素、又は低級アルキルであり、且つ
R
8は水素、低級アルキル、低級アルケニル又は低級アルキニルである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0027】
(14)式(I)において、
Eが−CHR
5−、−O−、又は−NR
8−
(式中、
R
5は水素、低級アルキル、低級アルケニル又は低級アルキニルであり、且つ
R
8は水素又はアルキルである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0028】
(15)式(I)において、
Eが−CHR
5−、−O−、又は−NR
8−
(式中、
R
5は水素又は低級アルキルであり、且つ
R
8は水素又は低級アルキルである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0029】
(16)式(I)において、
Eが−O−、又は−NR
8−
(式中、
R
8は水素又は低級アルキルである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0030】
(17)式(I)において、
Dが存在せず、Bは必要に応じて置換された単環式の環であり、且つEが結合である、上記(1)に記載の化合物。
【0031】
(18)式(I)において、
R
3が水素又はC
1−4アルキル基である、上記(1)に記載の化合物。
【0032】
(19)式(I)において、
R
3が水素である、上記(1)に記載の化合物。
【0033】
(20)式(I)において、
Dが存在せず;且つ
Bが、G及びYと一緒になって形成された、必要に応じて置換されたシクロプロパン、必要に応じて置換されたシクロブタン、必要に応じて置換されたシクロペンタン、必要に応じて置換されたシクロヘキサン、必要に応じて置換されたシクロヘプタン、必要に応じて置換されたピロリジン、必要に応じて置換されたピラゾール、必要に応じて置換されたシクロプロペン、必要に応じて置換されたシクロブテン、必要に応じて置換されたシクロペンテン、必要に応じて置換されたシクロヘキセン、必要に応じて置換されたシクロヘプテン、必要に応じて置換されたシクロペンタジエン、必要に応じて置換されたジヒドロ−ピロール、必要に応じて置換されたピロール、必要に応じて置換されたジヒドロ−ピラゾール、必要に応じて置換されたイミダゾール、必要に応じて置換されたチオフェン、必要に応じて置換されたチアゾール、必要に応じて置換されたイソチアゾール、必要に応じて置換されたチアジアゾール、必要に応じて置換されたフラン、必要に応じて置換されたオキサゾール、必要に応じて置換されたイソキサゾール、必要に応じて置換されたオキサジアゾール、必要に応じて置換されたベンゼン、必要に応じて置換されたピリジン、必要に応じて置換されたピリダジン、必要に応じて置換されたピリミジン、必要に応じて置換されたピラジン及び必要に応じて置換されたトリアジンから選ばれる、上記(1)に記載の化合物。
【0034】
(21)式(I)において、
Bが存在し、−R
9、−OR
9、−COR
9、−COOR
9、−CONR
9R
4、−NR
9R
4、−SR
9、−SO
2R
9、−SO
2NR
9R
4、−SO
3R
9、−NHC(NHR
9)NR
4、及びハロゲン
(式中、
R
9及びR
4は、水素原子、必要に応じて置換された、環式又は非環式のアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル及びヘテロアリールアルキルから独立して選ばれる)からなる群から選ばれる1以上の化学物質部分により必要に応じて置換されている、上記(1)〜(4)及び(11)〜(20)のいずれかに記載の化合物。
【0035】
(22)式(I)において、
Bが存在せず;且つ
Dが必要に応じて置換されたシクロアルカンである、上記(1)に記載の化合物。
【0036】
(23)式(I)において、
Bが存在せず;且つ
Dが必要に応じて置換されたC
3−8シクロアルカンである、上記(22)に記載の化合物。
【0037】
(24)式(I)において、
Bが存在せず;
Dが必要に応じて置換されたC
3−6シクロアルカンである、上記(22)に記載の化合物。
【0038】
(25)式(I)において、
R
1が−Ra−R
10
(式中、
Raは必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
10は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0039】
(26)式(I)において、
R
1が−Ra−R
10
(式中、
Raは必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
10は水素、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである)である、上記(23)に記載の化合物。
【0040】
(27)式(I)において、
R
10が水素、必要に応じて置換されたメチル、必要に応じて置換されたエチル、必要に応じて置換されたプロピル、必要に応じて置換されたイソプロピル、必要に応じて置換されたイソブチル、必要に応じて置換されたシクロヘキシル、必要に応じて置換されたベンズヒドリル、必要に応じて置換されたビフェニル、必要に応じて置換されたフェニル、必要に応じて置換されたピリジル、必要に応じて置換されたピリミジル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたトリアジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたナフチル、必要に応じて置換されたテトラヒドロナフチル、必要に応じて置換されたキノリニル、必要に応じて置換されたイソキノリニル、必要に応じて置換されたキナゾリニル、必要に応じて置換されたキノザリニル、必要に応じて置換されたシンノリニル、必要に応じて置換されたナフチリジニル、必要に応じて置換されたベンゾトリアジニル、必要に応じて置換されたピリドピリミジニル、必要に応じて置換されたピリドピラジニル、必要に応じて置換されたピリドピリダジニル、必要に応じて置換されたピリドトリアジニル、必要に応じて置換されたインデニル、必要に応じて置換されたベンゾフラニル、必要に応じて置換されたベンゾチエニル、必要に応じて置換されたインドリル、必要に応じて置換されたインダゾリル、必要に応じて置換されたベンゾキサゾリル、必要に応じて置換されたベンズイミダゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチアゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチアジアゾリル、必要に応じて置換されたフロピリジニル、必要に応じて置換されたチエノピリジニル、必要に応じて置換されたピロロピリジニル、必要に応じて置換されたオキサゾロピリジニル、必要に応じて置換されたチアゾロピリジニル又は必要に応じて置換されたイミダゾピリジニルである、上記(25)に記載の化合物。
【0041】
(28)式(I)において、
R
10が水素、必要に応じて置換されたビフェニル、必要に応じて置換されたフェニル、必要に応じて置換されたピリジル、必要に応じて置換されたピリミジル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたト
リアジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたナフチル、必要に応じて置換されたテトラヒドロナフチル、必要に応じて置換されたキノリニル、必要に応じて置換されたイソキノリニル、必要に応じて置換されたキナゾリニル、必要に応じて置換されたキノザリニル、必要に応じて置換されたシンノリニル、必要に応じて置換されたナフチリジニル、必要に応じて置換されたベンゾトリアジニル、必要に応じて置換されたピリドピリミジニル、必要に応じて置換されたピリドピラジニル、必要に応じて置換されたピリドピリダジニル、必要に応じて置換されたピリドトリアジニル、必要に応じて置換されたインデニル、必要に応じて置換されたベンゾフラニル、必要に応じて置換されたベンゾチエニル、必要に応じて置換されたインドリル、必要に応じて置換されたインダゾリル、必要に応じて置換されたベンゾキサゾリル、必要に応じて置換されたベンズイミダゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチアゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチアジアゾリル、必要に応じて置換されたフロピリジニル、必要に応じて置換されたチエノピリジニル、必要に応じて置換されたピロロピリジニル、必要に応じて置換されたオキサゾロピリジニル、必要に応じて置換されたチアゾロピリジニル又は必要に応じて置換されたイミダゾピリジニルである、上記(26)に記載の化合物。
【0042】
(29)式(I)において、
R
2が−W
21−W
22−Rb−R
20
(式中、
W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり、
W
22は結合、−O−、−NH−又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、
Rbは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
20は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである)である;上記(1)に記載の化合物。
【0043】
(30)式(I)において、
R
2が−W
21−W
22−Rb−R
20
(式中、
W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり、
W
22は結合、−O−又は−NH−であり、
Rbは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
20は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである)である;上記(29)に記載の化合物。
【0044】
(31)式(I)において、
R
20が水素、必要に応じて置換されたメチル、必要に応じて置換されたエチル、必要に応じて置換されたプロピル、必要に応じて置換されたブチル、必要に応じて置換されたイソプロピル、必要に応じて置換されたイソブチル、必要に応じて置換されたシクロヘキシル、必要に応じて置換されたベンズヒドリル、必要に応じて置換されたビフェニル、必要に応じて置換されたフェニル、必要に応じて置換されたピリジル、必要に応じて置換されたピリミジル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたトリアジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたナフチル、必要に応じて置換されたテトラヒドロナフチル、必要に応じて置換されたキノリニル、必要に応じて置換されたイソキノリニル、必要に応じ
て置換されたキナゾリニル、必要に応じて置換されたキノザリニル、必要に応じて置換されたシンノリニル、必要に応じて置換されたナフチリジニル、必要に応じて置換されたベンゾトリアジニル、必要に応じて置換されたピリドピリミジニル、必要に応じて置換されたピリドピラジニル、必要に応じて置換されたピリドピリダジニル、必要に応じて置換されたピリドトリアジニル、必要に応じて置換されたインデニル、必要に応じて置換されたベンゾフラニル、必要に応じて置換されたベンゾチエニル、必要に応じて置換されたインドリル、必要に応じて置換されたインダゾリル、必要に応じて置換されたベンゾキサゾリル、必要に応じて置換されたベンズイミダゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチアゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチアジアゾリル、必要に応じて置換されたフロピリジニル、必要に応じて置換されたチエノピリジニル、必要に応じて置換されたピロロピリジニル、必要に応じて置換されたオキサゾロピリジニル、必要に応じて置換されたチアゾロピリジニル、必要に応じて置換されたベンゾジオキソリル又は必要に応じて置換されたイミダゾピリジニルである、上記(29)及び(30)に記載の化合物。
【0045】
(32)式(I)において、
AのR
7が−Rc−R
70
(式中、
Rcは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
70は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0046】
(33)式(I)において、
AのR
7が−Rc−R
70
(式中、
Rcは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
70は水素、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである)である、上記(32)に記載の化合物。
【0047】
(34)式(I)において、
R
70が水素、必要に応じて置換されたメチル、必要に応じて置換されたエチル、必要に応じて置換されたプロピル、必要に応じて置換されたブチル、必要に応じて置換されたイソプロピル、必要に応じて置換されたイソブチル、必要に応じて置換されたビフェニル、必要に応じて置換されたフェニル、必要に応じて置換されたピリジル、必要に応じて置換されたピリミジル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたトリアジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたナフチル、必要に応じて置換されたテトラヒドロナフチル、必要に応じて置換されたキノリニル、必要に応じて置換されたイソキノリニル、必要に応じて置換されたキナゾリニル、必要に応じて置換されたキノザリニル、必要に応じて置換されたシンノリニル、必要に応じて置換されたナフチリジニル、必要に応じて置換されたベンゾトリアジニル、必要に応じて置換されたピリドピリミジニル、必要に応じて置換されたピリドピラジニル、必要に応じて置換されたピリドピリダジニル、必要に応じて置換されたピリドトリアジニル、必要に応じて置換されたインデニル、必要に応じて置換されたベンゾフラニル、必要に応じて置換されたベンゾチエニル、必要に応じて置換されたインドリル、必要に応じて置換されたインダゾリル、必要に応じて置換されたベンゾキサゾリル、必要に応じて置換されたベンズイミダゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチアゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチアジアゾリル、必要に応じて置換されたフロピリジニル、必要に応じて置換されたチエノピリジニル、必要に応じて置換されたピロロピリジニル、必要に応じて置換されたオキサゾロピリジニル、必要に応じて置換されたチ
アゾロピリジニル又は必要に応じて置換されたイミダゾピリジニルである、上記(32)に記載の化合物。
【0048】
(35)式(I)において、
R
70が水素、必要に応じて置換されたビフェニル、必要に応じて置換されたフェニル、必要に応じて置換されたピリジル、必要に応じて置換されたピリミジル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたトリアジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたナフチル、必要に応じて置換されたテトラヒドロナフチル、必要に応じて置換されたキノリニル、必要に応じて置換されたイソキノリニル、必要に応じて置換されたキナゾリニル、必要に応じて置換されたキノザリニル、必要に応じて置換されたシンノリニル、必要に応じて置換されたナフチリジニル、必要に応じて置換されたベンゾトリアジニル、必要に応じて置換されたピリドピリミジニル、必要に応じて置換されたピリドピラジニル、必要に応じて置換されたピリドピリダジニル、必要に応じて置換されたピリドトリアジニル、必要に応じて置換されたインデニル、必要に応じて置換されたベンゾフラニル、必要に応じて置換されたベンゾチエニル、必要に応じて置換されたインドリル、必要に応じて置換されたインダゾリル、必要に応じて置換されたベンゾキサゾリル、必要に応じて置換されたベンズイミダゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチアゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチアジアゾリル、必要に応じて置換されたフロピリジニル、必要に応じて置換されたチエノピリジニル、必要に応じて置換されたピロロピリジニル、必要に応じて置換されたオキサゾロピリジニル、必要に応じて置換されたチアゾロピリジニル又は必要に応じて置換されたイミダゾピリジニルである、上記(33)に記載の化合物。
【0049】
(36)式(I)において、
Dが存在せず;
Bが、G及びYと一緒になって形成された、飽和又は不飽和の、必要に応じて置換された4−、5−、6−又は7−員の複素環式環であり、ヘテロ原子がS、N及びOから選ばれ、且つヘテロ原子数が1〜3の整数であり;
R
1が−Ra−R
10
(式中、
Raは必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
10は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである;)であり、
R
2は−W
21−W
22−Rb−R
20
(式中、
W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり、
W
22は結合、−O−、−NH−又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、
Rbは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
20は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである;)であり、且つ
AのR
7が−Rc−R
70
(式中、
Rcは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
70は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0050】
(37)式(I)において、
Bが存在せず;
Dが必要に応じて置換されたC
3−8シクロアルカンであり;
Gが−NR
6’−、−CHR
6’−、−C(R
6’)
2−、又は−O−
(式中、
R
6’はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換された環式又は非環式の低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである;)であり、
R
1が−Ra−R
10
(式中、
Raは必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
10は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである;)であり、
R
2が−W
21−W
22−Rb−R
20
(式中、
W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり、
W
22は結合、−O−、−NH−又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、
Rbは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
20は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである;)であり、且つ
AのR
7が−Rc−R
70
(式中、
Rcは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
70は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0051】
(38)式(I)において、
B及びDが両方存在せず;
Gが−NR
6’−、−CHR
6’−、−C(R
6’)
2−、又は−O−
(式中、
R
6’はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換された環式又は非環式の低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである;)であり、
R
1が−Ra−R
10
(式中、
Raは必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
10は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである;)であり、
R
2が−W
21−W
22−Rb−R
20
(式中、
W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり、
W
22は結合、−O−、−NH−又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、
Rbは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
20は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである;)
であり、且つ
AのR
7が−Rc−R
70
(式中、
Rcは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
70は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0052】
(39)式(I)において、
Eが−CHR
5−、−O−、又は−NR
8−
(式中、
R
5は水素又は必要に応じて置換された低級アルキルであり、且つ
R
8は水素、低級アルキル、低級アルケニル又は低級アルキニルである;)であり、
R
1が−Ra−R
10
(式中、
Raは必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
10は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである;)であり、
R
2が−W
21−W
22−Rb−R
20
(式中、
W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり、
W
22は結合、−O−、−NH−又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、
Rbは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
20は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである;)であり、且つ
AのR
7が−Rc−R
70
(式中、
Rcは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
70は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0053】
(40)式(I)において、
Dが存在せず、且つEが結合であり;
R
1が−Ra−R
10
(式中、
Raは必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
10は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである;)であり、
R
2が−W
21−W
22−Rb−R
20
(式中、
W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり、
W
22は結合、−O−、−NH−又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、
Rbは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
20は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである;)であり、且つ
AのR
7が−Rc−R
70
(式中、
Rcは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
70は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0054】
(41)式(I)において、
B及びDが両方存在せず;
Gが−NR
6’−、−CHR
6’−、−C(R
6’)
2−、又は−O−
(式中、
R
6’はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換された環式又は非環式の低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである;)であり、
Eが−CHR
5−、−O−、又は−NR
8−
(式中、
R
5は水素又は必要に応じて置換された低級アルキルであり、且つ
R
8は水素、低級アルキル、低級アルケニル又は低級アルキニルである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0055】
(42)式(I)において、
Bが存在せず;
Dが必要に応じて置換されたC
3−8シクロアルカンであり;
Gが−NR
6’−、−CHR
6’−、−C(R
6’)
2−、又は−O−
(式中、
R
6’はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換された環式又は非環式の低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである;)であり、
Eが−CHR
5−、−O−、又は−NR
8−
(式中、
R
5は水素又は必要に応じて置換された低級アルキルであり、且つ
R
8は水素、低級アルキル、低級アルケニル又は低級アルキニルである;)であり、
R
1が−Ra−R
10
(式中、
Raは必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
10は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである;)であり、
R
2が−W
21−W
22−Rb−R
20
(式中、
W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり、
W
22は結合、−O−、−NH−又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、
Rbは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
20は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである;)であり、且つ
AのR
7が−Rc−R
70
(式中、
Rcは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
70は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0056】
(43)式(I)において、
B及びDが両方存在せず;
Gが−NR
6’−、−CHR
6’−、−C(R
6’)
2−、又は−O−
(式中、
R
6’はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換された環式又は非環式の低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである;)であり、
Eが−CHR
5−、−O−、又は−NR
8−
(式中、
R
5は水素又は必要に応じて置換された低級アルキルであり、且つ
R
8は水素、低級アルキル、低級アルケニル又は低級アルキニルである;)であり、
R
1が−Ra−R
10
(式中、
Raは必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
10は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである)であり、
R
2が−W
21−W
22−Rb−R
20
(式中、
W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり、
W
22は結合、−O−、−NH−又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、
Rbは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
20は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである)であり、
AのR
7が−Rc−R
70
(式中、
Rcは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
70は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである)である、上記(1)に記載の化合物。
【0057】
式(I)の更なる実施形態においては、そのような化合物は式(Ia)
【0059】
(式中、
− − − −は単結合又は二重結合であり;
Aは−CHR
7−
(式中、
R
7は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、
必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルである;)であり、
Eは−CHR
5−、−O−又は−NR
8−
(式中、
R
5は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルであり;且つ
R
8は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル又は必要に応じて置換されたアルキニルである;)であり、
Bが、G及びYと一緒になって形成された、必要に応じて置換された単環式の環であり;G及びYは独立して炭素原子又は窒素原子であり;
R
1は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルであり;
R
2は−W
21−W
22−Rb−R
20
(式中、
W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり、
W
22は結合、−O−、−NH−又は必要に応じて置換されたアルキレンであり、
Rbは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
20は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルである;)であり、且つ
R
3は、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル又は必要に応じて置換されたアルキニルである)を含む。
【0060】
式(I)の更なる他の実施形態においては、そのような化合物は式(Ib)
【0062】
(式中、
Aは−CHR
7−
(式中、
R
7は、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル又
は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルである;)であり、
Eは−CHR
5−、−O−又は−NR
8−
(式中、
R
5は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである;)であり、且つ
R
8は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル又は必要に応じて置換されたアルキニルであり;
Dは必要に応じて置換されたスピロ環であり、
Gは−NR
6−、−O−、−CHR
6−又は−C(R
6)
2−、
(式中、
R
6はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである;)であり、
R
1は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルであり;
R
2は−W
21−W
22−Rb−R
20
(式中、
W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり、
W
22は結合、−O−、−NH−又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、
Rbは結合又は必要に応じて置換されたアルキレンであり、且つ
R
20は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルである;)であり、且つ
R
3は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル又は必要に応じて置換されたアルキニルである)を含む。
【0063】
式(I)の更なる他の実施形態においては、そのような化合物は式(Ic)
【0065】
(式中、
Aは−CHR
7−
(式中、
R
7は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換さ
れたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルである;)であり、
Eは−CHR
5−、−O−又は−NR
8−
(式中、
R
5は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである)であり、且つ
R
8は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル又は必要に応じて置換されたアルキニルであり;
Gは−NR
6−、−O−、−CHR
6−又は−C(R
6)
2−
(式中、
R
6はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである;)であり、
R
1は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルであり;
R
2は−W
21−W
22−Rb−R
20
(式中、
W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり、
W
22は結合、−O−、−NH−又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、
Rbは結合又は必要に応じて置換されたアルキレンであり、
R
20は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルである;)であり、且つ
R
3は水素又は必要に応じて置換されたアルキルである)を含む。
【0066】
式(I)の更なる他の実施形態においては、そのような化合物は式(Id)
【0068】
(式中、
− − − −は単結合又は二重結合であり;
Aは−CHR
7−
(式中、
R
7は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換さ
れたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルである;)であり;
Bは必要に応じて置換された単環式の環であり;
Gは炭素原子又は窒素原子であり;
R
1は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルであり;
R
2は−W
21−W
22−Rb−R
20
(式中、
W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり、
W
22は結合、−O−、−NH−又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、
Rbは結合又は必要に応じて置換されたアルキレンであり、
R
20は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルである;)であり、且つ
R
3は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル又は必要に応じて置換されたアルキニルであり;
但し
Bがベンゼンであり、且つR
2が−W
21−W
22−Rb−R
20(式中、W
21は−(CO)−であり;W
22は−NH−であり;Rbは結合である)である場合、R
20は、必要に応じて置換されたフェニルであってはならない)を含む。
【0069】
式(I)の更なる他の実施形態においては、そのような化合物は式(II):
【0071】
(式中、
− − − −は単結合又は二重結合であり;
Aは−CHR
7−
(式中、
R
7は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルである;)であり、
Eは結合、−CHR
5−、−O−又は−NR
8−
(式中、
R
5は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルであり;且つ
R
8は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル又は必要に応じて置換されたアルキニルである;)であり、
Bは存在しないか、又はG及びYと一緒になって形成された、必要に応じて置換された単環式の環であり;
Dは存在しないか、又はYと一緒になって形成された、必要に応じて置換されたスピロ環であり;
但し
B及びDは両方は存在せず;
Bが存在する場合、G及びYは独立して炭素原子又は窒素原子であり、
Dが存在する場合、Yは炭素原子で、且つGは−NR
6−、−O−、−CHR
6−又は−C(R
6)
2−であり、
B及びDが両方存在しない場合、G及びYは、同一か又は異なって、それぞれ−NR
6−、−O−、−CHR
6−又は−C(R
6)
2−
(式中、
R
6はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである)であり、且つ
Eが結合の場合、Dは存在せず、Bは必要に応じて置換された単環式の環であり、且つG及びYは独立して炭素原子又は窒素原子であり;
R
1は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルであり;
R
2は−W
21−W
22−Rb−R
20
(式中、
W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり;
W
22は結合、−O−、−NH−又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり;
Rbは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり;
R
20は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルである;)であり、且つ
R
3は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル又は必要に応じて置換されたアルキニルであり;
R
91は必要に応じて置換されたアルキル、リンカー及び固相支持体から選ばれ;且つ
R
92は必要に応じて置換されたアルキル、リンカー及び固相支持体から選ばれる;
但し
Dが存在せず、Eが結合であり、Bがベンゼンであり、且つR
2が−W
21−W
22−Rb−R
20(式中、W
21は−(CO)−であり、W
22は−NH−であり、Rbは結合である)である場合、R
20は、必要に応じて置換されたフェニルであってはならない;)を含む。
【0072】
式(I)の更なる他の実施形態においては、そのような化合物は式(IIa’):
【0074】
(式中、
− − − −は単結合又は二重結合であり;
Aは−CHR
7−
(式中、
R
7は、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルである;)であり、
Eは結合、−CHR
5−、−O−又は−NR
8−
(式中、
R
5は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルであり;且つ
R
8は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル又は必要に応じて置換されたアルキニルである;)であり、
Bは存在しないか、又はG及びYと一緒になって形成された、必要に応じて置換された単環式の環であり;
G及びYは独立して炭素原子又は窒素原子であり;
但し
Eが結合の場合、Bは必要に応じて置換された単環式の環であり、且つG及びYは独立して炭素原子又は窒素原子であり;
R
1は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルであり;
R
2は−W
21−W
22−Rb−R
20
(式中、
W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり;
W
22は結合、−O−、−NH−又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり;
Rbは結合又は必要に応じて置換されたアルキレンであり、
R
20は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルである;)であり;且つ
R
3は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル又は必要に応じて置換されたアルキニルであり;
R
91は必要に応じて置換されたアルキル、リンカー及び固相支持体から選ばれ;且つ
R
92は必要に応じて置換されたアルキル、リンカー及び固相支持体から選ばれる;
但し、
Eが結結合であり、Bがベンゼンであり、且つR
2が−W
21−W
22−Rb−R
20(式中、W
21は−(CO)−であり、W
22は−NH−であり、Rbは結合である)である場合、R
20は、必要に応じて置換されたフェニルであってはならない;)を含む。
【0075】
式(I)の更なる他の実施形態においては、そのような化合物は式(IIb’):
【0077】
(式中、
− − − −は単結合又は二重結合であり;
Aは−CHR
7−
(式中、
R
7は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルである;)であり、
Eは−CHR
5−、−O−又は−NR
8−
(式中、
R
5は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルであり;且つ
R
8は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル又は必要に応じて置換されたアルキニルである;)であり、
Dは存在しないか、又はYと一緒になって形成された、必要に応じて置換されたスピロ環であり;
但し、
Dが存在する場合、Yは炭素原子で、且つGは−NR
6−、−O−、−CHR
6−又は−C(R
6)
2−であり、且つ
Dが存在しない場合、G及びYは、同一か又は異なって、それぞれ−NR
6−、−O−、−CHR
6−又は−C(R
6)
2−
(式中、
R
6はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである;)であり、
R
1は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応
じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルであり;
R
2は−W
21−W
22−Rb−R
20
(式中、
W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり;
W
22は結合、−O−、−NH−又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり;
Rbは結合又は必要に応じて置換されたアルキレンであり;且つ
R
20は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルである;)であり、且つ
R
3は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル又は必要に応じて置換されたアルキニルであり;
R
91は必要に応じて置換されたアルキル、リンカー及び固相支持体から選ばれ;且つ
R
92は必要に応じて置換されたアルキル、リンカー及び固相支持体から選ばれる;)
又はその塩を含む。
【0078】
本発明は、1以上の上記式(I)の化合物を含有するライブラリー、並びにそのようなライブラリーの合成方法及び生物学的に活性のある化合物を同定するための、そのようなライブラリーのスクリーニング方法にも関する。
【0079】
他の実施形態においては、医薬組成物は、式(I)の化合物又は医薬上許容されるその塩、及び、必要な場合、医薬的に許容される担体又は希釈剤をともに含む。本発明の化合物を、医薬的に許容される担体又は希釈剤と組合せて含有する組成物も開示される。
【0080】
他の実施形態には、式(I)の化合物を投与することによる、癌の状態又は線維症を治療する方法がある。本発明は、Wntシグナル伝達経路に関連する疾患を予防又は治療するための方法も提供する。本発明の化合物又は組成物を用いて治療又は予防され得る疾患としては、腫瘍又は癌(例、KSHV関連腫瘍)、線維症、血管形成術に関連する再狭窄、多発性嚢胞腎、血管形成異常、結節性硬化症、脱毛、及びアルツハイマー病が挙げられる。そのような方法は、それらを必要とする被験体に、本発明の化合物又は組成物を、所望の結果を達成するための有効量で投与することを含む。
【0081】
本発明の、これら及び他の態様は、添付の図及び以下の詳細な記載を参照すれば明らかであろう。この目的のために、種々の参考文献が本明細書中に提示されており、それらはいくつかの手順、化合物及び/又は組成物をより詳細に記載しているが、それら全体が参照により組込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0083】
発明の詳細な説明
本発明は、概してアルファヘリックスミメティック構造体及びそれらに関連する化学ライブラリーに関する。本発明は、生物学的ペプチド及びタンパク質のアルファヘリックス領域の二次構造を模倣する、立体配座的に制限された化合物(本明細書中、「アルファヘリックスミメティック」とも称される)にも関し、それらに関連する化学ライブラリーにも関する。本発明のアルファヘリックスミメティック構造体は、診断薬、予防薬及び/又
は治療薬としての用途を含む(が、これらに限定されない)、生物活性のある薬剤として有用である。本発明のアルファヘリックスミメティック構造体ライブラリーは、そのような用途を有する、生物活性のある薬剤の同定において有用である。本発明の実施においては、当該ライブラリーは数十〜数百、〜数千(又はそれを上回る)個別のアルファヘリックスミメティック構造体(本明細書中、「メンバー」とも称される)を含有し得る。
【0084】
定義
特に言及しなければ、本明細書及び特許請求の範囲で用いられる以下の用語は、本出願のために次の意味を有するものである。
【0085】
「低級」は、特に表示しなければ、所定の基(radical)を構成する炭素原子数が、1と6との間であることを意味する。
【0086】
「必要に応じて置換された」は、特に示さなければ、所定の基が、利用可能な原子価による水素置換基のみからなってもよいこと、又は、利用可能な原子価による1個以上の水素ではない置換基を更に含んでいてもよいことを意味する。一般的に、水素ではない置換基は、置換されることが明示される所定の基の原子に結合し得る、いずれかの置換基であり得る。置換基の例としては、−R
9、−OR
9、−COR
9、−COOR
9、−OCOR
9、−CONR
9R
4、−NR
9R
4、−NR
4COR
9、−NR
4COOR
9、−SR
9、−SO
2R
9、−SO
2NR
9R
4、−SO
3R
9、−NHC(NHR
9)NR
4、−NHC(NH
2)NH、−OPO(OH)
2、−OPO(ONa)
2、−CN、−NO
2、ハロゲン、及びメチレンジオキシ(式中、R
9及びR
4は独立して水素、環式又は非環式の、必要に応じて置換されたアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル及びヘテロアリールアルキルから選ばれる)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味する。
【0088】
「アルキル」は、直鎖又は分岐鎖の、飽和脂肪族の、炭素原子鎖を有する基を意味する。X及びYが、鎖中の炭素原子の数を示す、C
X−Yアルキルが、典型的に用いられる。鎖中の炭素原子数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜4である。アルキルの包括的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル及びイソヘキシル等が挙げられる。本明細書で用いる場合、「非環状アルキル」は「アルキル」と同じである。
【0089】
「アルケニル」は、直鎖又は分岐鎖の、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する炭素鎖を意味する。X及びYが、鎖中の炭素原子の数を示す、C
X−Yアルケニルが、典型的に用いられる。鎖中の炭素原子数は、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6である。アルケニルの包括的な例としては、エテニル(ビニル)、アリル、イソプロペニル、2−メチルアリル、1−ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル及び2−メチル−2−ブテニル等が挙げられる。
【0090】
「アルキニル」は、直鎖又は分岐鎖の、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有する炭素鎖を意味する。X及びYが、鎖中の炭素原子の数を示す、C
X−Yアルキニルが、典型的に用いられる。鎖中の炭素原子数は、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6である。アルキニルの包括的な例としては、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル及び2−へプチニル等が挙げられる。
【0091】
「アルキレン」は、特に示さなければ、直鎖又は分岐鎖の、飽和脂肪族の、多価の炭素鎖を意味する。X及びYが、鎖中の炭素原子の数を示す、C
X−Yアルキレンが、典型的に用いられる。鎖中の炭素原子数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルキレンの包括的な例としては、メチレン(−CH
2−)、エチレン(−CH
2CH
2−)、メチルメチレン(−CH(CH
3)−)、1,2−プロピレン(−CH
2CH(CH
3)−)、1,3−プロピレン(−CH
2CH
2CH
2−)、1,2−ブチレン(−CH
2CH(CH
2CH
3)−)、1,3−ブチレン(−CH
2CH
2CH(CH
3)−)、1,4−ブチレン(−CH
2CH
2CH
2CH
2−)、2−メチルテトラメチレン(−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2−)、ペンタメチレン(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−)、1,2,3−プロパントリイル及び1,3,3−プロパントリイル等が挙げられる。
【0092】
「オキシ」は、−O−基を意味する。当該オキシ基は、種々の置換基で更に置換されて、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ及びヘテロアリールオキシ等を含む、種々のオキシ基を形成してもよいことを指摘する。
【0093】
「チオ」は、−S−基を意味する。当該チオ基は、種々の置換基で更に置換されて、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ及びヘテロアリールチオ等を含む、種々のチオ基を形成してもよいことを指摘する。
【0094】
「スルフィニル」は、−SO−基を意味する。当該スルフィニル基は、種々の置換基で更に置換されて、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル及びヘテロアリールスルフィニル等を含む、種々のスルフィニル基を形成してもよいことを指摘する。
【0095】
「スルホニル」は、−SO
2−基を意味する。当該スルホニル基は、種々の置換基で更に置換されて、アルキルスルホニル、アリールスルホニル及びヘテロアリールスルホニル等を含む種々のスルホニル基を形成してもよいことを指摘する。
【0096】
「アルコキシ」は、更なるアルキル置換基を有する酸素部分を意味する。X及びYが、鎖中の炭素原子の数を示す、C
X−Yアルコキシが、典型的に用いられる。鎖中の炭素原子数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。アルコキシの包括的な例としては、メトキシ、エトキシ(ethoy)、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、tert−ペントキシ、ヘキシルオキシ及びイソヘキシルオキシ等が挙げられる。
【0097】
「ヘテロ原子」は、炭素原子及び水素原子ではない原子を指す。ヘテロ原子の具体的な例としては、窒素、酸素、及び硫黄が挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
「アリール」は、単環式又は多環式の基であって、各環が芳香族であるか、又は1以上の環と縮合する場合、芳香族環を形成する基を意味する。X及びYが、環集合中の炭素原子の数を示す、C
X−Yアリールが、典型的に用いられる。環中の炭素原子の数は、好ましくは6〜14、より好ましくは6〜10である。アリールの包括的な例としては、フェニル、ナフチル、インデニル、アズレニル、ビフェニル、フルオレニル、アントラセニル、フェナレニル等が挙げられる。「アリール」は部分的に水素化されていてもよい。部分的に水素化されたアリールの包括的な例としては、テトラヒドロナフチル及びインダニル等が挙げられる。
【0099】
「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環原子がヘテロ原子であり、且つ残りの環原子が炭素である単環式又は多環式の芳香族基を意味する。X及びYが、環集合中の炭素原
子及びへテロ原子の数を示す、「X−Y員へテロアリール」が、典型的に用いられる。環
中の炭素原子及びへテロ原子の数は、好ましくは5〜14、より好ましくは5〜10である。単環式のヘテロアリール基としては、少なくとも1つの環原子がヘテロ原子であり、且つ残りの環原子が炭素である、5又は6個の環原子を有する環式芳香族基が挙げられるが、これらに限定されない。窒素原子は、必要に応じて4級化され得、硫黄原子は、必要に応じて酸化され得る。本発明の単環式ヘテロアリール基の包括的な例としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、オキサゾール、1,2,3−オキサジアゾール、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピロリン、チアゾール、1,3,4−チアジアゾール、トリアゾール及びテトラゾールから誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。「ヘテロアリール」はまた、二環式又は三環式の環(当該ヘテロアリール環は、芳香族環、シクロアルキル環、及び他の単環式ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキル環から成る群より独立して選択される1つ又は2つの環に縮合している)を含むが、これらに限定されない。二環式又は三環式ヘテロアリールの包括的な例としては、ベンゾフラン(例、ベンゾ[b]フラン)、ベンゾチオフェン(例、ベンゾ[b]チオフェン)、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアジン(例、ベンゾ[e][1,2,4]トリアジン、ベンゾ[d][1,2,3]トリアジン)、ピリドピリミジン(例、ピリド[4,3−d]ピリミジン、ピリド[3,4−d]ピリミジン、ピリド[3,2−d]ピリミジン、ピリド[2,3−d]ピリミジン)、ピリドピラジン(例、ピリド[3,4−b]ピラジン、ピリド[2,3−b]ピラジン)、ピリドピリダジン(例、ピリド[2,3−c]ピリダジン、ピリド[3,4−c]ピリダジン、ピリド[4,3−c]ピリダジン、ピリド[3,2−c]ピリダジン)、ピリドトリアジン(例、ピリド[2,3−d][1,2,3]トリアジン、ピリド[3,4−d][1,2,3]トリアジン、ピリド[4,3−d][1,2,3]トリアジン、ピリド[3,2−d][1,2,3]トリアジン、ピリド[3,4−e][1,2,4]トリアジン、ピリド[3,2−e][1,2,4]トリアジン)、ベンゾチアジアゾール(例、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール)、フロピリジン(例、フロ[3,2−b]ピリジン、フロ[3,2−c]ピリジン、フロ[2,3−c]ピリジン、フロ[2,3−b]ピリジン)、オキサゾロピリジン(例、オキサゾロ[4,5−b]ピリジン、オキサゾロ[4,5−c]ピリジン、オキサゾロ[5,4−c]ピリジン、オキサゾロ[5,4−b]ピリジン)、チアゾロピリジン(例、チアゾロ[4,5−b]ピリジン、チアゾロ[4,5−c]ピリジン、チアゾロ[5,4−c]ピリジン、チアゾロ[5,4−b]ピリジン)、イミダゾピリジン(例、イミダゾ[1,2a]ピリジン、イミダゾ[4,5−c]ピリジン、イミダゾ[1,5−a]ピリジン)、キナゾリン、チエノピリジン(例、チエノ[2,3−c]ピリジン、チエノ[3,2−b]ピリジン、チエノ[2,3−b]ピリジン)、インドリジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、キノザリン、シンノリン、ナフチリジン、キノリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、インドリン、ベンズオキサゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾチアゾール、ピラゾロピリジン(例、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン)、イミダゾロピリミジン(例、イミダゾロ[1,2−a]ピリミジン、イミダゾロ[1,2−c]ピリミジン、イミダゾロ[1,5−a]ピリミジン、イミダゾロ[1,5−c]ピリミジン)、ピロロピリジン(例、ピロロ[2,3−b]ピリジン、ピロロ[2,3−c]ピリジン、ピロロ[3,2−c]ピリジン、ピロロ[3,2−b]ピリジン)、ピロロピリミジン(例、ピロロ[2,3−d]ピリミジン、ピロロ[3,2−d]ピリミジン、ピロロ[1,2−c]ピリミジン、ピロロ[1,2−a]ピリミジン)、ピロロピラジン(例、ピロロ[2,3−b]ピラジン、ピロロ[1,2−a]ピラジン)、ピロロピリダジン(例、ピロロ[1,2−b]ピリダジン)、トリアゾピリジン(例、トリアゾ[1,5−a]ピリジン)、プテリジン、プリン、カルバゾール、アクリジン、ペルミジン、1,10−フェナントロリン(phenenthroline)、フェノキサチイン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン、ベンゾジオキソール及びベンゾジオキソラン等から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。当該二環式又は三環式ヘテロ
アリール環は、当該ヘテロアリール基自身、或いはそれが縮合したアリール、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル基のいずれかを通して、親分子に結合することができる。
【0100】
「シクロアルキル」は、非芳香族の、飽和又は一部不飽和の、単環式、縮合二環式又は架橋多環式の環基を意味する。X及びYが、環集合中の炭素原子の数を示す、C
X−Yシクロアルキルが、典型的に用いられる。環中の炭素原子の数は、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜8である。ヘテロシクロアルキルの包括的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、2,5−シクロヘキサジエニル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンタン−1−イル、デカヒドロナフチル及びビシクロ[2.2.1]ヘプト−1−イル等が挙げられる。本明細書で用いる場合、「環状アルキル」は「シクロアルキル」と同じである。
【0101】
「ヘテロシクロアルキル」は、本出願中で定義したシクロアルキル(但し、環を形成する1つ以上の原子は、N、O、及びSから独立して選ばれるヘテロ原子である)を意味する。X及びYが、環集合中の炭素原子及びへテロ原子の数を示す、C
X−Yへテロシクロアルキルが、典型的に用いられる。環中の炭素原子及びへテロ原子の数は、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜8である。ヘテロシクロアルキルの包括的な例としては、ピペリジル、4−モルホリル、4−ピペラジニル、ピロリジニル、パーヒドロピロリジニル、1,3−ジオキサニル、1,4−ジオキサニル及びテトラゾリル等が挙げられる。
【0102】
その上、上述の定義は、上述の置換基が結合する基にも当てはまり得る。例えば、「アリールアルキル」は、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、1−ナフチルメチル及び2−ナフチルメチル、ベンズヒドリル、2,2−ジフェニルエチル、トリチル等の1以上のアリール基により置換される、直鎖又は分枝鎖状のアルキル基を意味する。
【0103】
本明細書で用いる場合、「単環式の環」は、単環式の飽和又は不飽和の炭素環或いは単環式の飽和又は不飽和の複素環を指す。典型的には「X(〜、又は)Y員の単環式環」(式中、X及びYは環集合中の炭素原子数及びヘテロ原子数を表示する)が用いられる。環中の炭素原子数及びヘテロ原子数は、好ましくは4〜7、より好ましくは5又は6である。「単環式の複素環」は単環式の芳香族又は非芳香族の環(少なくとも1つの環原子がへテロ原子(好ましくはS、N又はO)であり、且つ残りの環原子は炭素である)を意味す
る。窒素原子は必要に応じて4級化され得、硫黄原子は必要に応じて酸化され得る。
【0104】
単環式の飽和炭素環の包括的な例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン及びシクロヘプタン等が挙げられる。
【0105】
単環式の不飽和炭素環の包括的な例としては、シクロプロぺン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロペンタジエン及びベンゼン等が挙げられる。
【0106】
単環式の飽和複素環の包括的な例としては、ピロリドン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、1,3−ジオキサン及び1,4−ジオキサン等が挙げられる。
【0107】
単環式の不飽和複素環の包括的な例としては、ピラゾール、ジヒドロ−ピロール、ピロール、ジヒドロ−ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、フラン、オキサゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン及びトリアジン等が挙げられる。
【0108】
「スピロ環」は、本明細書で用いる場合、飽和又は不飽和のシクロアルカン或いは飽和
又は不飽和のヘテロシクロアルカンを指す。
【0109】
「シクロアルカン」は、非芳香族、飽和又は一部不飽和の、単環式、縮合二環式又は架橋多環式の環を意味する。X及びYが、環集合中の炭素原子の数を示す、C
X−Yシクロアルカンが、典型的に用いられる。環中の炭素原子の数は、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜8である。シクロアルカンの包括的な例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン及びシクロオクタン等が挙げられる。
【0110】
「ヘテロシクロアルカン」は、本願中で定義されたとおりのシクロアルカン(ただし、環を形成する1以上の原子が、独立してN、O、及びSから選ばれるヘテロ原子である)を意味する。X及びYが、環集合中の炭素原子及びヘテロ原子の数を示す、C
X−Yへテロシクロアルカンが、典型的に用いられる。環中の炭素原子及びヘテロ原子の数は、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜8である。ヘテロシクロアルカンの包括的な例としては、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、ペルヒドロピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキサン及び1,4−ジオキサン等が挙げられる。
【0111】
本明細書で用いる「縮合環」は、環集合を構成する環が、2つの環に共通した環原子が互いに直接結合するよう連結した、複数環の集合を指す。縮合環の包括的な例としては、デカリン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インドール、フラン、ベンゾフラン及びキノリン等が挙げられる。縮合環系を有する化合物は、飽和していても、一部飽和していても、芳香族であってもよい。
【0112】
本明細書で用いられる「架橋環」は、他の環に結合して二環式構造を有する化合物を形成し、両方の環に共通した2つの環原子が互いに直接結合していない環を指す。架橋環を有する一般化合物の包括的な例としては、アダマンチン、ボルネオール、ノルボルナン及び7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、などが挙げられる。
【0113】
「保護された誘導体」とは、反応性部位(単数又は複数)が保護基でブロックされた化合物の誘導体類を意味する。好適な保護基の包括的リストは、T.W. Greene,Protecting Groups in Organic Synthesis,3rd edition,John Wiley&Sons,Inc.1999に見受けられ得る。
【0114】
「異性体」とは、同一の分子式を有するが、それらの原子の結合の性質又は順序が異なるか、或いはそれらの原子の空間配置が異なる任意の化合物を意味する。それらの原子の空間配置が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれる。互いに鏡像でない立体異性体は「ジアステレオマー」と呼ばれ、重ね合わせられない鏡像である立体異性体は「エナンチオマー」と呼ばれるか、又は「光学異性体」と呼ばれる場合もある。4つの異なる置換基に結合した炭素原子は「キラル中心」と呼ばれる。1つのキラル中心を有する化合物は、反対のキラリティーを有する2つのエナンチオマー形態を有する。2つのエナンチオマー形態の混合物は「ラセミ混合物」と呼ばれる。1個よりも多くのキラル中心を有する化合物は、2
n−1個のエナンチオマー対を有する(式中、nは、キラル中心の数である)。1個よりも多くのキラル中心を有する化合物は、個々のジアステレオマーであるエーテルとして、或いはジアステレオマーの混合物(「ジアステレオマー混合物」と呼ばれる)として存在してもよい。キラル中心が1個存在する場合、立体異性体は、そのキラル中心の絶対配置により特徴づけることができる。絶対配置とは、キラル中心に結合した置換基の空間配置をいう。エナンチオマーは、それらのキラル中心の絶対配置により特徴づけられ、Cahn、Ingold及びPrelogのR−及びS−順位則によって示される。立
体化学命名法に関する規定、立体化学の決定に関する方法及び立体異性体の分離法は、当該技術分野で周知である(例えば、“Advanced Organic Chemistry”,4th edition,March,Jerry,John Wiley&Sons,New York,1992を参照)。
【0115】
「動物」は、ヒト、非ヒト哺乳動物(例、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ及びシカ等)及び非哺乳動物(例、鳥類等)を含む。
【0116】
「疾患」は、具体的には、動物又はその部分のどんな不健康な状態も含み、その動物に適用される医学的又は獣医学的な療法によって引き起こされ得るか、或いはそれに付随して起こり得る、不健康な状態(即ち、そのような療法の「副作用」)を含む。
【0117】
「医薬上許容され得る」とは、一般に安全で無毒性であり、そして生物学的にもそれ以外にも望ましくないものではない医薬組成物の調製に有用であることを意味し、且つヒトの医薬的用途のみならず獣医学的用途にも許容され得ることを含む。
【0118】
「医薬上許容され得る塩」とは、上で定義したように、医薬上許容され、且つ所望の薬理学的活性を有する本発明化合物の塩を意味する。このような塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸及びリン酸等の無機酸;又は例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、o−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’−メチレンビス(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸及びムコン酸等の有機酸で形成された酸付加塩が挙げられる。
【0119】
医薬上許容され得る塩としては、存在する酸性プロトンが無機又は有機の塩基と反応できる場合に形成され得る、塩基付加塩も挙げられる。許容され得る無機塩基としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム及び水酸化カルシウムが挙げられる。許容され得る有機塩基としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン及びN−メチルグルカミン等が挙げられる。
【0120】
「治療するための有効量」は、疾患を治療するために動物に投与された場合に、当該疾患について、そのような治療を達成するのに十分な量を意味する。
【0121】
「予防するための有効量」は、疾患を予防するために動物に投与された場合に、当該疾患について、そのような予防を達成するのに十分な量を意味する。
【0122】
「有効量」は「治療するための有効量」及び「予防するための有効量」と同じである。
【0123】
「治療」又は「治療する」とは、本発明の化合物の任意の投与を意味し、以下を含む:(1)疾患に罹りやすい可能性があるが、当該疾患の病理又は総体症状をまだ経験していない又は示していない動物における、疾患の発生の予防、
(2)疾患の病理又は総体症状を経験している又は示している動物における、当該疾患の阻害(即ち、病理及び/又は総体症状の更なる進行の停止)、或いは
(3)疾患の病理又は総体症状を経験している又は示している動物における、当該疾患の改善(即ち、病理及び/又は総体症状の逆転)。
【0124】
アルファへリックスミメティック
本発明の1つの態様においては、以下の式(I):
【0126】
(式中、
− − − −は単結合又は二重結合であり;
Aは−CHR
7−
(式中、
R
7は、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル、又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルである;)であり、
Eは結合、−CHR
5−、−O−又は−NR
8−
(式中、
R
5は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルであり;且つ
R
8は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、又は必要に応じて置換されたアルキニルである;)であり、
Bは存在しないか、又はG及びYと一緒になって形成された、必要に応じて置換された単環式の環であり、
Dは存在しないか、又はYと一緒になって形成された、必要に応じて置換されたスピロ環であり、
但し
B及びDは両方は存在せず、
Bが存在する場合、G及びYは独立して炭素原子又は窒素原子であり、
Dが存在する場合、Yは炭素原子で、且つGは−NR
6−、−O−、−CHR
6−又は−C(R
6)
2−であり、
B及びDが両方存在しない場合、G及びYは、同一か又は異なって、それぞれ−NR
6−、−O−、−CHR
6−又は−C(R
6)
2−
(式中、
R
6はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである;)であり、且つ
Eが結合の場合、Dは存在せず、Bは必要に応じて置換された単環式の環であり、且つB及びYは独立して炭素原子又は窒素原子であり;
R
1は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルであり;
R
2は−W
21−W
22−Rb−R
20
(式中、
W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり;
W
22は結合、−O−、−NH−又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり;
Rbは結合又は必要に応じて置換されたアルキレンであり、且つ
R
20は、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルである;)であり、且つ
R
3は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、又は必要に応じて置換されたアルキニルである;
但し
Dが存在せず、Eが結結合であり、Bがベンゼンであり、且つR
2が−W
21−W
22−Rb−R
20(式中、W
21は−(CO)−であり、W
22は−NH−であり且つRbは結合である)である場合、R
20は、必要に応じて置換されたフェニルであってはならない;)を有するアルファ−へリックスミメティック構造体又は医薬的に許容されるその塩が開示される。
【0127】
式(I)の1つの実施形態において、Aは−CHR
7−(式中、R
7は、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルである)である。
【0128】
必要に応じて置換されたアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピル、カルボキシブチル、カルバモイルメチル、カルバモイルエチル、カルバモイルプロピル、カルバモイルブチル、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシブチル、メチルチオメチル、メチルチオエチル、メチルチオプロピル、メチルチオブチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、エトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、ベンジルオキシメチル、ベンジルオキシエチル、ベンジルオキシプロピル及びベンジルオキシブチル等が挙げられる。
【0129】
アルケニル基の例としては、エテニル、アリル、1−プロペニル及び2−メチルアリル等が挙げられる。
【0130】
アルキニル基の例としては、エチニル及び1−プロピニル等が挙げられる。
【0131】
アリール基及びヘテロアリール基の例としては、ビフェニル、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピロリル、チエニル、フリル、チ
アゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、テトラヒドロナフチル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノザリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、ベンゾトリアジニル、インデニル、ピリドピリミジニル、ピリドピラジニル、ピリドピリダジニル、ピリドトリアジニル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ピロピリジニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル及びイミダゾピリジニル等が挙げられる。
【0132】
シクロアルキル及び必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びアダマンチル等が挙げられる。
【0133】
式(I)の他の実施形態において、Aは−CHR
7−(式中、R
7は、−Rc−R
70(式中、Rcは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つR
70は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルである)である)である。
【0134】
低級アルキレン基の例としては、メチレン、エチレン、メチルメチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,2−ブチレン、1,3−ブチレン、1,4−ブチレン、1,2,3−プロパントリイル及び1,3,3−プロパントリイル等が挙げられる。
【0135】
必要に応じて置換されたアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピル、カルボキシブチル、カルバモイルメチル、カルバモイルエチル、カルバモイルプロピル、カルバモイルブチル、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシブチル、メチルチオメチル、メチルチオエチル、メチルチオプロピル、メチルチオブチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルヒドロキシブチル、エトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、ベンジルオキシメチル、ベンジルオキシエチル、、ベンジルオキシプロピル及びベンジルオキシブチル等が挙げられる。
【0136】
アリール基及びヘテロアリール基の例としては、ビフェニル、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピロリル、チエニル、フラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、テトラヒドロナフチル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノザリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、ベンゾトリアジニル、インデニル、ピリドピリミジニル、ピリドピラジニル、ピリドピリダジニル、ピリドトリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ピロピリジニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル及びイミダゾピリジニル等が挙げられる。
【0137】
シクロアルキル基及びヘテロシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びアダマンチル等が挙げられる。
【0138】
式(I)の特定の実施形態においては、上述の実施形態におけるR
70は必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである。
【0139】
アリール基及びヘテロアリール基の例としては、ビフェニル、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピロリル、チエニル、フラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、テトラヒドロナフチル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノザリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、ベンゾトリアジニル、インデニル、ピリドピリミジニル、ピリドピラジニル、ピリドピリダジニル、ピリドトリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル(benzothiopenyl)、インドリル、インダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ピロロピリジニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル及びイミダゾピリジニル等が挙げられる。
【0140】
アリール基及びヘテロアリール基の好ましい例としては、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピロリル、チエニル、フラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル及びナフチル等が上げられる。
【0141】
アリール基の最も好ましい例としてはフェニル等が挙げられる。
【0142】
R
7についての置換基の例としては、−R
9、−OH、−OR
9、−OC(O)R
9、−OC(O)OR
9、−COOH、−COR
9、−COOR
9、−CONH
2、−CONHR
9、−CONR
9R
4、−NH
2、−NHR
9、−NR
9R
4、−SH、−SR
9、−SO
2R
9、−SO
2NH
2、−SO
2NHR
9、−SO
2NR
9R
4 −SO
3H、−SOR
9、−NHC(NH
2)(=NH)、−NHC(NHR
9)(=NR
4)、−OP(=O)(OH)
2、−OP(=O)(ONa)
2、−OP(=O)(OR
9)
2、−OP(=O)(OR
9)(OH)、−OP(=O)(OH)−O−P(=O)(OH)
2、−OP(=O)(ONa)−O−OP(=O)(ONa)
2、−CN、−NO
2及びハロゲン(式中、R
9及びR
4は独立して、直鎖又は分枝鎖、環式又は非環式、置換された又は置換されていない、アルキル鎖、アリール及びアリールアルキル部分から選ばれる)が挙げられる。
【0143】
当該置換基の好ましい例としては、−OH、−COOH、−OC(O)R
9、−OC(O)OR
9、−NH
2、−SH、−SO
3H、−SOR
9、−OP(=O)(OH)
2、−OP(=O)(OR
9)
2、−OP(=O)(OR
9)(OH)、−OP(=O)(ONa)
2、−OP(=O)(OH)−O−P(=O)(OH)
2、−OP(=O)(ONa)−O−OP(=O)(ONa)
2、及びハロゲンが挙げられる。
【0144】
当該置換基の最も好ましい例としては、−OH、−OR
9、−COOH、−OC(O)R
9、−COOR
9、−NH
2、−NHR
9、−NR
9R
4、−CONH
2、−CONHR
9、−CONR
9R
4、−OP(=O)(OH)
2、−OP(=O)(ONa)
2、及びハロゲンが挙げられる。
【0145】
式(I)の特定の実施形態においては、上記実施形態において、R
7はフェニル、ベンジル、フェネチル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、4−ヒドロキシベンジル、4−ベンジルオキシベンジル、イミダゾリル−5−メチル、メチル、n−ブチル、イソプロピル、イソブチル、ヒドロキシメチル、4−アミノブチル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、カルバモイルメチル、2−カルバモイルエチル、エトキシカルボニルメチル、2−エトキシカルボニルエチル及びベンジルオキシメチル等である。
【0146】
式(I)の1つの実施形態においては、Eは結合、−CHR
5−、−O−又は−NR
8−(式中、R
5は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアル
ケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルであり;且つR
8は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル又は必要に応じて置換されたアルキニルである)である。
【0147】
式(I)の他の実施形態においては、上記実施形態においてR
5は低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル又は低級アリールアルキルであり、且つR
8はアルキル、アルキニル又はアリールアルキルである。
【0148】
R
5についての低級アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル等が挙げられる。
【0149】
R
5についての低級アルケニル基の例としては、エテニル、アリル、1−プロペニル及び2−メチルアリル等が挙げられる。
【0150】
R
5についての低級アルキニル基の例としては、エチニル及び1−プロピニル等が挙げられる。
【0151】
式(I)の他の実施形態においては、R
5は−Rd−R
50(式中、Rdは必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つR
50は必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである)で表されるアリールアルキル又はヘテロアリールアルキルである。
【0152】
Rdについての低級アルキレン基の例としては、メチレン、エチレン、メチルメチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,2−ブチレン、1,3−ブチレン、1,4−ブチレン、1,2,3−プロパントリイル及び1,3,3−プロパントリイル等が挙げられる。
【0153】
アリール基及びヘテロアリール基の例としては、ビフェニル、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピロリル、チエニル、フラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、テトラヒドロナフチル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノザリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、ベンゾトリアジニル、インデニル、ピリドピリミジニル、ピリドピラジニル、ピリドピリダジニル、ピリドトリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ピロピリジニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル及びイミダゾピリジニル等が挙げられる。
【0154】
R
8についてのアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル等が挙げられる。
【0155】
R
8についてのアルケニル基の例としては、エテニル、アリル、1−プロペニル及び2−メチルアリル等が挙げられる。
【0156】
R
8についてのアルキニル基の例としては、エチニル及び1−プロピニル等が挙げられる。
【0157】
式(I)の特定の実施形態においては、上記実施形態においてEが−CH
2−、−O−又は−N(CH
3)−である。
【0158】
式(I)の他の実施形態においては、上記実施形態においてEが結合であり、但しEが結合の場合、Dは存在せず、Bは必要に応じて置換された単環式の環であり、且つG及びYは独立して炭素原子又は窒素原子である。
【0159】
式(I)の1つの実施形態においては、Bが存在しないか、又はG及びYと一緒になって形成された、必要に応じて置換された単環式環であり;Bが存在する場合、Dは存在せず、G及びYは独立して炭素原子又は窒素原子である。
【0160】
Bは、好ましくは、飽和又は不飽和の、必要に応じて置換された3−、4−、5−、6−又は7−員の単環式環であり、より好ましくは、G及びYと一緒になって形成された、飽和又は不飽和の、必要に応じて置換された5−又は6−員の単環式環である。
【0161】
Bが、G及びYと一緒になって形成された複素環式環の場合、好ましいヘテロ原子はS、N及びOから選ばれ、且つヘテロ原子数は、好ましくは、1〜3の整数である。
【0162】
単環式環基の例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、ピロリジン、ピラゾール、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロペンタジエン、ジヒドロ−ピロール、ピロール、ピロリジン、ジヒドロ−ピラゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、フラン、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、ベンゼン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン及びトリアジン等が挙げられる。
【0163】
式(I)の特定の実施形態においては、上記実施形態において、Qは、化合物の構造セクター;
【0168】
式(I)の1つの実施形態においては、Dは存在しないか、又はYと一緒になって形成された、必要に応じて置換されたスピロ環であり;Dが存在する場合、Bは存在せず、且つYは炭素原子であり、且つGが−NR
6−、−O−、−CHR
6−又は−C(R
6)
2−(式中、R
6はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである)である。
【0169】
R
6についての特定の実施形態を以下に詳細に説明する。
【0171】
スピロ環基の例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロ−2H−チオピラン、アゼパン及びシクロペンテン等が挙げられる。
【0172】
式(I)の他の実施形態においては、Dは必要に応じて置換されたシクロアルカン、好ましくは必要に応じて置換されたC
3−8シクロアルカンである。
【0173】
式(I)の特定の実施形態においては、上記実施形態において、Q
2は、化合物の構造セクター;
【0178】
B又はDの置換基は、−R
9、−OR
9、−COR
9、−COOR
9、−OCOR
9、−CONR
9R
4、−NR
9R
4、−NR
4COR
9、−NR
4COOR
9、−−SR
9、−SO
2R
9、−SO
2NR
9R
4、−SO
3R
9、−NHC(NHR
9)NR
4、ハロゲン及びメチレンジオキシ(式中、R
9及びR
4は独立して、水素原子、必要に応じて置換された、環式又は非環式の、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル及びヘテロアリールアルキルから選ばれる)からなる群から選ばれる1以上の化学物質部分である。
【0179】
式(I)の1つの実施形態においては、B及びDが両方存在しない場合、G及びYは、同一か又は異なって、それぞれ−NR
6−、−O−、−CHR
6−又は−C(R
6)
2−(式中、R
6はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである)である。
【0180】
R
6についてのアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル等が挙げられる。
【0181】
R
6についてのアルケニル基の例としては、エテニル、アリル、1−プロペニル及び2−メチルアリル等が挙げられる。
【0182】
R
6についてのアルキニル基の例としては、エチニル及び1−プロピニル等が挙げられる。
【0183】
式(I)の他の実施形態においては、R
6は−Re−R
60(式中、Reは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つR
60は必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルである)によって表されるアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル又はヘテロアリールアルキルである。
【0184】
Reについての低級アルキレン基の例としては、メチレン、エチレン、メチルメチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,2−ブチレン、1,3−ブチレン、1,4−ブチレン、1,2,3−プロパントリイル及び1,3,3−プロパントリイル等が挙げられる。
【0185】
R
60についてのアリール基及びヘテロアリール基の例としては、ビフェニル、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピロリル、チエニル、フラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、テトラヒドロナフチル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノザリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、ベンゾトリアジニル、インデニル、ピリドピリミジニル、ピリドピラジニル、ピリドピリダジニル、ピリドトリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ピロピリジニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル及びイミダゾピリジニル等が挙げられる。
【0186】
シクロアルキル基及びヘテロシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロ
ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びアダマンチル等が挙げられる。
【0187】
式(I)の他の実施形態においては、G及びYの少なくとも1つが−NR
6’−、−CHR
6’−又は−C(R
6’)
2−(式中、R
6’はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換された環式又は非環式の低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである)である。
【0188】
式(I)の特定の実施形態においては、上記実施形態においてR
6又はR
6’は水素、低級アルキル(例、メチル)又は低級アルケニル(例、アリル)である。
【0189】
式(I)の1つの実施形態においては、R
1は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルである。
【0190】
必要に応じて置換されたアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピル、カルボキシブチル、カルバモイルメチル、カルバモイルエチル、カルバモイルプロピル、カルバモイルブチル、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシブチル、メチルチオメチル、メチルチオエチル、メチルチオプロピル、メチルチオブチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、エトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、ベンジルオキシメチル、ベンジルオキシエチル、ベンジルオキシプロピル、ベンジルオキシブチル及び3,3−ジフェニルプロピル等が挙げられる。
【0191】
アルケニル基の例としては、エテニル、アリル、1−プロペニル及び2−メチルアリル等が挙げられる。
【0192】
アルキニル基の例としては、エチニル及び1−プロピニル等が挙げられる。
【0193】
式(I)の他の実施形態においては、R
1が−Ra−R
10(式中、Raは必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つR
10は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリールである)である。
【0194】
必要に応じて置換されたアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピル、カルボキシブチル、カルバモイルメチル、カルバモイルエチル、カルバモイルプロピル、カルバモイルブチル、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシブチル、メチルチオメチル、メチルチオエチル、メチルチオプロピル、メチルチオブチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、エトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、ベンジルオキシメチル、ベンジルオキシエチ
ル、ベンジルオキシプロピル、ベンジルオキシブチル及び3,3−ジフェニルプロピル等が挙げられる。
【0195】
低級アルキレン基の例としては、メチレン、エチレン、メチルメチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,2−ブチレン、1,3−ブチレン、1,4−ブチレン、1,2,3−プロパントリイル及び1,3,3−プロパントリイル等が挙げられる。
【0196】
シクロアルキル基及びヘテロシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びアダマンチル等が挙げられる。
【0197】
アリール基及びヘテロアリール基の例としては、ビフェニル、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピロリル、チエニル、フラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノザリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、ベンゾトリアジニル、ピリドピリミジニル、ピリドピラジニル、ピリドピリダジニル、ピリドトリアジニル、インデニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ピロロピリジニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル及びイミダゾピリジニル等が挙げられる。
【0198】
低級アルキレン基の好ましい例としては、メチレン、エチレン及び1,3−プロピレン等が挙げられる。
【0199】
アリール基及びヘテロアリール基の好ましい例としては、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノザリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、ベンゾトリアジニル、インデニル、ピリドピリミジニル、ピリドピラジニル、ピリドピリダジニル、ピリドトリアジニル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ピロピリジニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル及びイミダゾピリジニル等の縮合二環式アリール基及び縮合二環式ヘテロアリール基が挙げられる。
【0200】
R
1についての置換基の例としては、−R
9、−OR
9、−COR
9、−COOR
9、−OCOR
9、−CONR
9R
4、−NR
9R
4、−NR
4COR
9、−NR
4COOR
9、−SR
9、−SO
2R
9、SO
2NR
9R
4、−SO
3R
9、−NHC(NHR
9)NR
4、−NHC(NH
2)NH、−OPO(OH)
2、−OPO(ONa)
2、−CN、−NO
2、ハロゲン及びメチレンジオキシ(式中、R
9及びR
4は独立して、水素原子、必要に応じて置換された、環式又は非環式の、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル及びヘテロアリールアルキルから選ばれる)が挙げられる。
【0201】
当該置換基の好ましい例としては、−NH
2、−OH、−OR
9、−COOH、−COOR
9、−NR
4COR
9、−CONH
2、−CONHR
9、−CONR
9R
4、−NHR
9、−NR
9R
4及びハロゲンが挙げられる。
【0202】
当該置換基の最も好ましい例としては、−NH
2、−OH、−COOH、−COOR
9、−NR
4COR
9、−CONH
2及びハロゲンが挙げられる。
【0203】
式(I)の特定の実施形態においては、上記実施形態においてR
1はイソプロピル、ベンジル、2、4−ジフルオロベンジル、4−ヒドロキシベンジル、1−フェニルエチル、
2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、3、3−ジフェニルプロピル、ピリジル−4−メチル、ピリジル−2−メチル、チエニル−2−メチル、チエニル−3−メチル、イミダゾリル−5−メチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、4−キノリニルメチル、8−キノリニルメチル(quinolinylmethy)、l、5−クロロキノリン−8−イルメチル、5−イソキノリニルメチル、8−イソキノリニルメチル、5−クロロイソキノリニン−8−イルメチル、インダゾリル−7−イルメチル、ベンゾチアゾール−4−イルメチル、ベンゾチアゾール−7−イルメチル、7−フルオロベンゾチアゾール−4−イルメチル、4−フルオロベンゾチアゾール−7−イルメチル、2−アミノベンゾチアゾール−4−イルメチル、2−アミノベンゾチアゾール−7−イルメチル、2−アミノ−7−フルオロベンゾチアゾール−4−イルメチル、2−アミノ−4−フルオロベンゾチアゾール−7−イルメチル、2−tert−ブトキシカルボニルアミノベンゾチアゾール−4−イルメチル、ベンゾオキサゾール−4−イルメチル、ベンゾオキサゾール−7−イルメチル、7−フルオロベンゾオキサゾール−4−イルメチル、4−フルオロベンゾオキサゾール−7−イルメチル、2−アミノベンゾオキサゾール−4−イルメチル、2−アミノベンゾオキサゾール−7−イルメチル、2−アミノ−7−フルオロベンゾオキサゾール−4−イルメチル、2−アミノ−4−フルオロベンゾオキサゾール−7−イルメチル、ベンゾチオフェン−3−イルメチル、7−フルオロベンゾチオフェン−3−イルメチル、ベンゾチオフェン−4−イルメチル、ベンゾチオフェン−7−イルメチル、7−フルオロベンゾチオフェン−4−イルメチル、4−フルオロベンゾチオフェン−7−イルメチル、ベンゾチアジアゾール−4−イルメチル、ベンゾフラン−3−イルメチル、7−フルオロベンゾフラン−3−イルメチル、ベンゾフラン−4−イルメチル、ベンゾフラン−7−イルメチル、7−フルオロベンゾフラン−4−イルメチル又は4−フルオロベンゾフラン−7−イルメチルである。
【0204】
式(I)の1つの実施形態においては、R
2は−W
21−W
22−Rb−R
20(式中、W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり;W
22は結合、−O−、−NH−又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり;Rbは結合又は必要に応じて置換されたアルキレンであり;且つR
20は、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルである)である。
【0205】
W
22についての低級アルキレン基の例としては、メチレン、エチレン、プロピレン及びブチレン等が挙げられる。
【0206】
Rbについての低級アルキレン基の例としては、メチレン、エチレン、メチルメチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,2−ブチレン、1,3−ブチレン、1,4−ブチレン、1,2,3−プロパントリイル及び1,3,3−プロパントリイル等が挙げられる。
【0207】
R
20についての、必要に応じて置換されたアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピル、カルボキシブチル、カルバモイルメチル、カルバモイルエチル、カルバモイルプロピル、カルバモイルブチル、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシブチル、メチルチオメチル、メチルチオエチル、メチルチオプロピル、メチルチオブチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、エトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、ベンジルオキシメチル、ベンジルオキシエチル、ベンジルオキシプロピル、ベンジルオキシブチル及び3,3−ジ
フェニルプロピル等が挙げられる。
【0208】
R
20についてのアルケニル基の例としては、エテニル、アリル、1−プロペニル及び2−メチルアリル等が挙げられる。
【0209】
R
20についてのアルキニル基の例としては、エチニル及び1−プロピニル等が挙げられる。
【0210】
R
20についてのアリール基及びヘテロアリール基の例としては、ビフェニル、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピロリル、チエニル、フラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、テトラヒドロナフチル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノザリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、ベンゾトリアジニル、インデニル、ピリドピリミジニル、ピリドピラジニル、ピリドピリダジニル、ピリドトリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ピロロピリジニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、イミダゾピリジニル及びベンゾジオキソリル等が挙げられる。
【0211】
シクロアルキル基及びヘテロシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びアダマンチル等が挙げられる。
【0212】
式(I)の更なる実施形態においては、上記実施形態におけるR
2が−W
21−W
22−Rb−R
20(式中、W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり;W
22は結合、−O−、−NH−、メチレン、エチレン、プロピレン又はブチレンであり;Rbは結合、メチレン、エチレン、メチルメチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,2−ブチレン、1,3−ブチレン、1,4−ブチレン、1,2,3−プロパントリイル又は1,3,3−プロパントリイルであり;且つR
20はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピル、カルボキシブチル、カルバモイルメチル、カルバモイルエチル、カルバモイルプロピル、カルバモイルブチル、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシブチル、メチルチオメチル、メチルチオエチル、メチルチオプロピル、メチルチオブチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、エトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、ベンジルオキシメチル、ベンジルオキシエチル、ベンジルオキシプロピル、ベンジルオキシブチル、3,3−ジフェニルプロピル、エテニル、エチニル、アリル、1−プロピニル、2−メチルアリル、1−プロピニル、必要に応じて置換されたシクロプロピル、必要に応じて置換されたシクロブチル、必要に応じて置換されたシクロペンチル、必要に応じて置換されたシクロヘキシル、必要に応じて置換されたシクロヘプチル、必要に応じて置換されたアダマンチル、必要に応じて置換されたビフェニル、必要に応じて置換されたフェニル、必要に応じて置換されたピリジル、必要に応じて置換されたピリミジル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたトリアジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたナフチル、必要に応じて置換されたキノリニル、必要に応じて置換されたイソキノリニル、必要に応じて置換されたキナゾリニル、必要に応じて置換されたキノザリニル、必要に応じて置換されたシンノリニル、必要
に応じて置換されたナフチリジニル、必要に応じて置換されたベンゾトリアジニル、必要に応じて置換されたピリドピリミジニル、必要に応じて置換されたピリドピラジニル、必要に応じて置換されたピリドピリダジニル、必要に応じて置換されたピリドトリアジニル、必要に応じて置換されたベンゾフラニル、必要に応じて置換されたベンゾチオフェニル、必要に応じて置換されたインドリル、必要に応じて置換されたインデニル、必要に応じて置換されたベンゾオキサゾリル、必要に応じて置換されたベンズイミダゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチアゾリル、必要に応じて置換されたフロピリジニル、必要に応じて置換されたチエノピリジニル、必要に応じて置換されたピロピリジニル、必要に応じて置換されたオキサゾロピリジニル、必要に応じて置換されたチアゾロピリジニル、必要に応じて置換されたイミダゾピリジニル、又は必要に応じて置換されたベンゾジオキソリル等である)である。
【0213】
式(I)の特定の実施形態においては、上記実施形態におけるR
2は−W
21−W
22−Rb−R
20(式中、W
21は−(CO)−であり;W
22は−NH−であり;Rbは結合、メチレン又はエチレンであり;且つR
20は必要に応じて置換されたビフェニル、必要に応じて置換されたフェニル、必要に応じて置換されたピリジル、必要に応じて置換されたピリミジル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたトリアジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたナフチル又は必要に応じて置換されたベンゾジオキソリルである)である。
【0214】
R
20についての置換基の例としては、−R
9、−OR
9、−COR
9、−COOR
9、−OCOR
9、−CONR
9R
4、−NR
9R
4、−NR
4COR
9、−NR
4COOR
9、−SR
9、−SO
2R
9、SO
2NR
9R
4、−SO
3R
9、−NHC(NHR
9)NR
4、−NHC(NH
2)NH、−OPO(OH)
2、−OPO(ONa)
2、−CN、−NO
2、ハロゲン及びメチレンジオキシ(式中、R
9及びR
4は独立して、水素原子、必要に応じて置換された、環式又は非環式の、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル及びヘテロアリールアルキルから選ばれる)が挙げられる。
【0215】
当該置換基の好ましい例としては、−R
9、−NH
2、−OH、−OR
9、−COOH、−COOR
9、−CONH
2、−CONHR
9、−CONR
9R
4、−NHR
9、−NR
9R
4、ハロゲン及びメチレンジオキシが挙げられる。
【0216】
当該置換基のより好ましい例としては、−R
9、−NH
2、−OH、−COOH、−COOR
9、−CONH
2、ハロゲン及びメチレンジオキシが挙げられる。
【0217】
式(I)の1つの実施形態においては、R
3は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル又は必要に応じて置換されたアルキニルである。
【0218】
好ましいアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル等のC
1−4アルキル基が挙げられる。
【0219】
アルケニル基の例としては、エテニル、アリル及び2−メチルアリル等が挙げられる。
【0220】
アルキニル基の例としては、1−プロピニル及びエチニル等が挙げられる。
【0221】
R
3は、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、
sec−ブチル又はtert−ブチル等のC
1−4アルキル、より好ましくはメチル又はエチルである。
【0222】
式(I)の特定の実施形態においては、上記実施形態におけるR
3は水素又はメチルである。
【0223】
式(I)の更なる実施形態においては、上記実施形態におけるR
7は4−ヒドロキシ−ベンジルであり;且つR
2は−W
21−W
22−Rb−R
20(式中、W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり;W
22は結合、−O−、−NH−又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり;Rbは結合又は必要に応じて置換されたアルキレンであり;且つR
20は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルである)を表す。
【0224】
アクシデンタルアンティシペーションを避けるために、以下の条件;
Dが存在せず、Eが結合であり、Bがベンゼンであり、且つR
2が−W
21−W
22−Rb−R
20(式中、W
21は−(CO)−であり、W
22は−NH−であり、Rbは結合である)である場合、R
20は、必要に応じて置換されたフェニルであってはならない
が式(I)に追加される。
【0225】
本発明における化合物の全般的な合成は
図1及び
図2中に説明されるが、化合物Ia’は式(Ia)及び(Id)を示し、化合物Ib’は式(Ib)及び(Ic)を示す。
【0226】
式(Ia)(式中、Bが存在し、且つDが存在しない)及び式(Id)(式中、Bが存在し、且つEが存在しない)によって表される、本発明における化合物の全般的な合成は
図1中に説明される技術により合成され得る。
【0227】
式(Ib)及び式(Ic)(式中、Dが存在するか、又は存在せず、且つBが存在しない)によって表される本発明における化合物も、
図2中に説明された方法と同様の方法により合成され得る。
【0228】
式(IIa’)(式中、Bが存在し、且つDが存在しない)によって表される、本発明における化合物の全般的な合成は
図1中に説明される技術により合成され得る。
【0229】
式(IIb’)(式中、Dが存在するか、又は存在せず、且つBが存在しない)によって表される本発明における化合物も、
図2中に説明された方法と同様の方法により合成され得る。
【0230】
図1及び2中で説明されたR(式(IIa’)及び(IIb’)中のR
91及びR
92を含む)は合成における使用に好適な保護基であり、この保護基は、固相合成を可能にするために、固相高分子支持体に結合されていてもよい。好適なR基としてはアルキル基が挙げられ、好ましい実施形態においては、Rはメチル基又はエチル基である。
【0231】
図1中で説明されたLGは、離脱基、例、ハロゲン(Hal)基、メタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ及びトルエンスルホニルオキシ(toluenesufonyloxy)等である。
【0232】
図1及び
図2中で説明されたP
1及びP
3は、カルボン酸保護基である。
図1中で説明されたP
2及びP
5は、アミノ保護基である。
図1中で説明されたP
4は、ヒドロキシ保
護基である。好ましい保護基としては、メチル、エチル、ベンジル、9H−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルオキシカルボニル(BOC)、メチルオキシカルボニル(MOC)、及びアリルオキシカルボニル(Alloc)が挙げられる。アミノ保護基については、保護されるアミノ基と一緒になって形成されるフタルイミドもまた好ましい。
【0233】
化合物IVは、H
2N−R
1のCH(OR)
2−CR
3Oとの還元アミノ化により、R
1’−CHO(R
1=CH
2−R
1’の場合)のCH(OR)
2−CHR
3NH
2との還元アミノ化により、H
2N−R
1とCH(OR)
2−CHR
3−LGとの置換反応により、又はLG−R
1とCH(OR)
2−CHR
3−NH
2との置換反応により、容易に合成され得る。
【0234】
N−保護アミノ酸は、市販のものが入手可能である;例えば、Fmocアミノ酸は、種々のソースから入手できる。アミノ酸のアジド誘導体を化合物XVとして供する場合、そのような化合物は、Zaloom et al.(J.Org.Chem.46:5173−76,1981)で開示された反応により、対応するアミノ酸から調製され得る。
【0235】
本発明の化合物VIは表示された構造(式中、G、E、B及びR
2は上記定義の通りである)を有し得る。他の好適な化合物XIは種々のソースから市販のものが入手可能か、又は有機化学において周知の方法により調製され得る。
【0236】
化合物X、XI、XII、XIII、XIV、XVIII、XIX、XX、XXIV、XXIX、XXX、XXXIII、XXXIV、XXXV、XXXIV、XXXVII、XL、XLI、XLII、XLIV、XLV、XLVI及びXLVIIは、種々のソースから市販のものが入手可能か、又は有機化学において周知の方法により調製され得る。
【0237】
図1で説明されるように、式(Ia’)のアルファへリックスミメティック化合物は、化合物IVを化合物XXIと反応させて結合化合物XVを得、次いで結合化合物XVをピペリジンで処理して化合物VIを提供することによって合成され得る。このことが化合物VIを化合物Vと順次反応させて結合化合物IIa’を提供し、次いでこの中間体を環化して式(Ia’)のアルファへリックスミメティック構造体を得る。又は、式(Ia’)のアルファへリックスミメティック化合物は、、化合物Vを化合物XVIIIと反応させて結合化合物IXを得、次いで結合化合物IXを水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムで処理して化合物IIIを提供することによって合成され得る。
図1で説明されるように、化合物IIIは化合物IVと順次反応して結合化合物IIa’を提供し、次いでこの中間体を環化して式(Ia’)のアルファへリックスミメティック構造体を得る。
【0238】
図2で説明されるように、式(Ib’)のアルファへリックスミメティック化合物は、
図1中の方法と同様の方法で合成され得る。
【0239】
以下の一般式(II)を有する化合物は、式(I)の化合物を調製するための新規中間体化合物である。
【0241】
(式中、
− − − −は単結合又は二重結合であり;
Aは−CHR
7−
(式中、
R
7は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルである;)であり、
Eは結合、−CHR
5−、−O−又は−NR
8−
(式中、
R
5は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルであり、且つ
R
8は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル又は必要に応じて置換されたアルキニルである;)であり、
Bは存在しないか、又はG及びYと一緒になって形成された、必要に応じて置換された単環式の環であり;
Dは存在しないか、又はYと一緒になって形成された、必要に応じて置換されたスピロ環であり;
但し
B及びDは両方は存在せず;
Bが存在する場合、G及びYは独立して炭素原子又は窒素原子であり、
Dが存在する場合、Yは炭素原子で、且つGは−NR
6−、−O−、−CHR
6−又は−C(R
6)
2−であり、
B及びDが両方存在しない場合、G及びYは、同一か又は異なって、それぞれ−NR
6−、−O−、−CHR
6−又は−C(R
6)
2−
(式中、
R
6はそれぞれ独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリールアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキルである)であり、且つ
Eが結合の場合、Dは存在せず、Bは必要に応じて置換された単環式の環であり、且つG及びYは独立して炭素原子又は窒素原子であり;
R
1は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキル又は
必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルアルキルであり;
R
2は−W
21−W
22−Rb−R
20
(式中、
W
21は−(CO)−又は−(SO
2)−であり、
W
22は結合、−O−、−NH−又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、
Rbは結合又は必要に応じて置換された低級アルキレンであり、且つ
R
20は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル又は必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルである;)であり、且つ
R
3は水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル又は必要に応じて置換されたアルキニルであり;
R
91は必要に応じて置換されたアルキル、リンカー及び固相支持体から選ばれ;且つ
R
92は必要に応じて置換されたアルキル、リンカー及び固相支持体から選ばれる;
但し
Dが存在せず、Eが結合であり、Bがベンゼンであり、且つR
2が−W
21−W
22−Rb−R
20(式中、W
21は−(CO)−であり、W
22は−NH−であり、Rbは結合である)である場合、R
20は、必要に応じて置換されたフェニルであってはならない;又はその塩。
【0242】
式(II)におけるA、E、D、B、G、Y、R
1、R
2、及びR
3の例及び好ましい実施形態は式(I)についてのものと同じである。
【0243】
R
91及びR
92についての、必要に応じて置換されたアルキルの例としては、R
7について定義されたとおりのもの等が挙げられる。
【0244】
R
91及びR
92についての、リンカー及び固相支持体の例としては、以下に説明したとおりのライブラリーを調製するためのものが挙げられる。
【0245】
化合物(I)を調製するための化合物IIの環化反応を、以下に詳細に説明する。
【0246】
この環化反応は、化合物IIを酸と反応させることにより実施され得る。
【0247】
試薬を加える順番は特に限定されないが、例えば、酸が化合物IIに加えられてもよく、又はその逆でもよい。
【0248】
環化反応において用いられる酸は特に限定されないが、その例としては、塩酸、硝酸、硫酸又はリン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸;塩化水素溶液;臭化水素溶液;及びフッ化水素等が挙げられる。
【0249】
更に、水、アニソール、m−クレゾール、エタンジチオール、チオアニソール又はトリイソプロピルシランが当該酸と共に用いられ得る。
【0250】
環化反応において用いられる酸の量は、一般的には1molの化合物IIに対して0.001mol〜1000mol、好ましくは1mol〜100mol、より好ましくは5mol〜50molである。
【0251】
環化反応は溶媒を伴っても、又は伴わなくても、行い得る。環化反応において用いられる溶媒は、反応を阻害しない限り、いずれであってもよい。その例としては、テトラヒド
ロフラン(THF)、メチル tert−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、エチレングリコールジメチルエーテル、1,3−ジオキサン及び2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、アセトニトリル及びプロピオニトリル等の非プロトン性極性溶媒;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素及びモノクロロベンゼン等のハロゲン化溶媒;ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素;水等、並びにそれらの混合溶媒が挙げられる。混合溶媒が用いられる場合は、溶媒は任意の比率で混合され得る。
【0252】
環化反応における反応温度は、用いられる試薬等に依存するが、一般的には、−40℃〜120℃、好ましくは−20℃〜60℃、より好ましくは−10℃〜40℃である。反応時間は一般的には、0.5時間〜96時間、好ましくは1時間〜48時間である。
【0253】
環化反応において得られる化合物(I)は、抽出、水洗浄、酸洗浄、アルカリ洗浄、結晶化、再結晶化、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の従来法により単離及び生成され得る。
【0254】
更に説明を継続するが、プロドラッグとして有用な本発明の化合物、その塩及びその誘導体類は薬理作用選択性、安全性(種々の毒性及び安全性薬理学)、薬物動態特性及び物理化学的性質等において優秀であり、従って薬剤の有効成分としての有用性が確認され得る。
【0255】
薬理作用選択性に関する試験の例としては、以下に列記する、種々の薬理学的標的レセプターへに対する阻害又は活性化アッセイ、種々の薬理学的標的酵素、イオンチャンネル又はトランスポーターに対する阻害アッセイ、及び種々の薬理学的作用についての評価用に用いられる細胞試験等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0256】
安全性に関する試験の例としては、以下に列記する、細胞毒性試験(例、HL60細胞、肝細胞等を用いる試験等)、遺伝子毒性試験(例、エイムズ試験、マウスリンフォーマTK試験、染色体異常試験及び小核試験等)、皮膚感作性試験(例、ビューラー法、GPMT法、APT法及びLLNA試験等)、皮膚光感作性試験(例、Adjuvant−Strip法等)、眼刺激試験(例、単回点眼、短期継続点眼、反復点眼等)、心臓血管系についての安全性薬理試験(テレメトリー法、APD法及びhERG阻害アッセイ等)、中枢神経系についての安全性薬理試験(例、FOB法及び修正版Irwin法等)、呼吸系についての安全性薬理試験(例、呼吸機能測定機器を用いる測定方法及び血液ガス測定装置を用いる測定方法等)及び一般的毒性試験等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0257】
薬物動態特性に関する試験の例としては、以下に列記するチトクロームP450酵素阻害又は誘導試験、細胞透過性試験(例、CaCO−2細胞、MDCK細胞を用いる試験等)、薬物トランスポーターATPaseアッセイ、経口吸収試験、血液濃度遷移計測試験、代謝試験(例、安定性試験、代謝物分子種試験及び反応性試験等)、及び溶解度試験(例、懸濁法に基づく溶解度試験等)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0258】
物理化学的性質に関する試験の例としては、以下に列記する化学的安定性試験(例、HPLCなどを用いる安定性試験等)、分配係数(例、オクターノール相/水相等を用いる分配試験等)、イオン化定数試験、及び結晶化試験等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0259】
本発明の化合物は診断剤、予防剤及び治療剤等の生物活性剤として有用である。例えば、本発明のアルファヘリックスミメティック構造体は、有効量の式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)の化合物を動物に投与することを含む方法により、温血動物中の細胞シグナル伝達転写因子関連のペプチドを調節するために用いられ得る。
【0260】
他の実施形態においては、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)の化合物を投与することにより癌性の状態又は線維症を治療する方法がある。式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)の化合物は、直腸結腸癌等の癌等の、Wntシグナル伝達経路により調節される疾患等を、阻害又は治療するために用いられ得る。
【0261】
他の実施形態においては、医薬組成物は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)の化合物又は医薬的に許容されるその塩を、所望又は必要ならば医薬的に許容される担体とともに含む。他の態様において、本発明の目的は、一般式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)を有する化合物の有効量及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供することである。この組成物は、Wntシグナル伝達経路(特に、TCF4−β−カテニン−CBP複合体)により調節される疾患を治療するのに使用し得る。
【0262】
更に、本発明は、本発明の上記組成物を使用することにより腫瘍細胞の増殖を阻害する方法;本発明の上記組成物を使用することにより腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する方法;本発明の上記組成物を使用することによりTCF4−β−カテニン−CBP複合体により調節される疾患を治療する方法;及び他の抗癌剤(例えば、5−フルオロウラシル(5−FU)、タキソール、シスプラチン、マイトマイシンC、テガフール、ラルチトレキセド、カペシタビン及びイリノテカンなど)と共に本発明の組成物を投与することにより癌(例えば、直腸結腸癌)を治療する方法を提供する。
【0263】
本発明の他の態様においては、本発明のアルファヘリックスミメティック構造体を含むライブラリーが開示されている。本発明のライブラリーは、一旦構築されると、生物活性を有する個々のメンバーを同定するために、スクリーニングされ得る。生物活性メンバーについての、ライブラリーのこのようなスクリーニングは、例えば、当該ライブラリーのメンバーの結合活性を評価すること又はライブラリーメンバーが機能アッセイに対して有する効果を評価することを含んでも良い。スクリーニングは、通常、当該ライブラリーメンバー(又はライブラリーメンバーのサブセット)と目的の標的(例えば、抗体、酵素、レセプター又は細胞株等)とを接触させることにより、達成される。ライブラリーメンバー(これらは、目的の標的と相互作用できる)は、本明細書中にて、「生物活性ライブラリーメンバー」又は「生物活性ミメティック」として参照される。例えば、生物活性ミメティックは、抗体又はレセプターに結合できるか、或いは酵素を阻害できるか、或いは、例えば細胞株に関連した機能応答を誘発又はアンタゴナイズできるライブラリーメンバーであってもよい。言い換えれば、本発明のライブラリーのスクリーニングは、どのライブラリーメンバーが1個以上の目的の生物学的標的と相互作用できるかを決定する。更に、相互作用が起こるとき、その生物活性ミメティックは、次いで、当該ライブラリーメンバーから同定され得る。当該ライブラリーから単一(又は限られた数)の生物活性ミメティック(複数可)を同定すると、アルファへリックスミメティック構造体が得られ、これらは、それ自体、生物活性であり、従って、診断薬、予防薬又は治療薬として有用であり、且つ、これらの分野での重要な化合物の同定を著しく進展させるのに使用され得る。
【0264】
本発明のライブラリーのペプチドミメティックの合成は、本発明の第一、第二及び第三成分片と組み合わせて、公知のペプチド合成技術を使用して、達成され得る。更に具体的には、立体配座的に制限されたアルファへリックスミメティックのN−末端及び/又はC
−末端には、アミノ酸配列が付加され得る。この目的のために、当該ミメティックは、固相支持体(例えば、PAM樹脂)上で、公知技術(例、John M.Stewart and Janis D.Young,Solid Phase Peptide Synthesis,1984,Pierce Chemical Comp.,Rockford,III.を参照)により、又はシリル連結樹脂上にて、アルコール結合(Randolph et al.,J.Am Chem.Soc.117:5712−14,1995を参照)により、合成され得る。
【0265】
更に、溶液合成技術及び固相合成技術両方の組合せが、本発明のペプチドミメティックを合成するのに利用され得る。例えば、固相支持体は、この配列に立体配座的に制限されたアルファへリックスを加える時点まで、その直鎖ペプチド配列を合成するのに利用され得る。溶液合成技術により予め合成されている、好適な立体配座的に制限されたアルファへリックスミメティック構造体は、次いで、その固相合成の次の「アミノ酸」として加えられ得る(即ち、この立体配座的に制限されたアルファへリックスミメティックは、N−末端及びC−末端の両方を有するが、その直鎖ペプチドに加えられる次のアミノ酸として、利用され得る)。この配列に、この立体配座的に制限されたアルファへリックスミメティック構造体を取り込むと、次いで、追加アミノ酸が加えられ得、その固体相支持体に結合されたペプチドが完成する。或いは、これらの直鎖N−末端及びC−末端保護ペプチド配列は、固体支持体上で合成され、その支持体から取りだされ、次いで、公知の溶液カップリング技術を使用して、溶液中にて、この立体配座的に制限されたアルファへリックスミメティック構造体にカップリングされ得る。
【0266】
ライブラリーの構築方法に関しては、従来のコンビナトリアル・ケミストリー技術(例、Gallop et al.,J.Med.Chem.37:1233−1251,1994を参照)により、基本分子足場に試薬を連続的に組み合わせることで、膨大な数の化合物を迅速に調製することが可能となる。コンビナトリアル技術は、天然に生じるアミノ酸から誘導されたペプチドライブラリーを構築するのに使用され得る。例えば、20種の適当に保護した異なるアミノ酸の20種の混合物を取り出し、そして各々を20種のアミノ酸のうちの1種とカップリングすることにより、400種(即ち、20
2)のジペプチドのライブラリーが作り出される。この手順を7回繰り返すと、約260億(即ち、20
8)のオクタペプチドから構成されるペプチドライブラリーが調製される。
【0267】
具体的には、本発明のライブラリーのペプチドミメティックの合成は、公知のペプチド合成技術(例えば、PCT国際公開第2005/116032号で開示されて、本明細書中参照により組み込まれる等のもの)を使用して、達成され得る。
【0268】
本発明の更なる態様においては、本発明は、生物活性についてライブラリーをスクリーニングする方法及び生物活性のあるライブラリーのメンバーを単離する方法を提供する。
【0269】
一つの実施形態においては、生理活性のデータは以下の態様で決定される。化合物は以下のレポーター遺伝子アッセイの方法を用いることによってアッセイされる。
【0270】
レポーター遺伝子アッセイ
Wntシグナル伝達経路の阻害作用に関するスクリーニングは、ステ−ブルにトランスフェクトされた細胞株、Hek−293,STF1.1.を用い、以下の手順に従って行われ得る。
生育培地:SuperTOPFLASHにドライブされるルシフェラーゼ遺伝子のセレクションを維持するために400mg/mLのG418を加えたDMEM,10%FBS,ペニシリン−ストレプトマイシン。
1.アッセイの前日、細胞を乳白色の96ウェルプレートに、ウェル当たり完全成育培地200μl中20,000細胞で分配する。
2.プレートを37℃、5%CO
2で1晩インキュベートし、細胞を付着させる。
3.翌日、試験するインヒビターを、G418を除いた完全増殖培地中に、所望の最終濃度の2×で調製する(全ての条件をデュプリケートで行う)。
4.マルチピペッターを用いて各ウェルから古い培地を丁寧に除去する。
5.インヒビターを含有する50μlの新鮮な(G148を除いた)増殖培地を各ウェルに加える。
6.培地のみを含有する2ウェル、刺激のコントロールについての2ウェル、DMSOコントロールについての2ウェル、及びポジティブコントロール、ICG−001(2、5、及び10マイクロモラー)についてのウェルを含むことを確認する。
7.すべてのインヒビター及びコントロールを一度に加え、プレートを37℃、5%CO
2で1時間インキュベートする。
8.プレートをインキュベートしている間に、新鮮な20mMLiClを、(G148を除いた)完全増殖培地中に調製する。
9.1時間後、プレートをインキュベーターから取り出し、(単なる完全培地50μlを加える)未刺激のコントロールの2ウェルを除く各ウェルに、20mM LiClを含有する培地50μlを加える。
10.プレートを37℃、5%CO
2で24時間インキュベートする。
11.24時間後、各ウェルに100μlのBrightGlo(Promega,カタログ番号:G7573)を加える。
12.溶解の完了を確実にするために、プレートを5分間震盪する。
13.PackardのTopCountでプレ−トを読む。
【0271】
本発明のライブラリーも、他の種々の技術及び方法により、生物活性についてスクリーニングし得る。例えば、このスクリーニングアッセイは、(1)ライブラリーのミメティックを目的の生体標的(例えば受容体)と接触させて、そのライブラリーのミメティックと標的との間の結合を生じさせることにより、そして(2)適当なアッセイ(例えば、Lam et al.(Nature 354:82−84,1991)又はGriminski et al.(Biotechnology 12:1008−1011,1994))により開示された熱量測定アッセイ)(これらの両方は、本明細書中参照により援用される)により、その結合イベントを検出することにより、実行され得る。好ましい実施形態では、これらのライブラリーメンバーは、溶液中にあり、標的は、固相に固定化される。或いは、このライブラリーは、固相に固定化され得、それを溶液中で標的と接触させることにより、精査され得る。
【0272】
結合アッセイを行うための方法も、以下のとおり適用され得る。当該方法は、第一補助活性化因子、相互作用タンパク質、及び試験化合物を含めた組成物を提供することを含み得る。前記第一補助活性化因子のアミノ酸構造は、LXXLL、LXXLI、又はFXXFF(式中、Xは、任意のアミノ酸である)の結合モチーフを含む。この方法は、化合物の存在に起因する前記第一補助活性化因子と前記相互作用タンパク質との間の結合の変化を検出することと、その後、試験化合物の結合への影響を特徴づけることを更に含む。アッセイは、試験化合物が2つのタンパク質間の結合に及ぼす影響を測定できる方法であれば、いずれの方法で行われてもよい。このようなアッセイが当該技術分野で多く知られており、本発明の方法に利用され得るが、いわゆる、2ハイブリッドシステム及びスプリットハイブリッドシステムが挙げられる。2ハイブリッドシステムと、このシステムを用いてアッセイを行う種々の方法は、例えば米国特許第6、410、245号に記載されている。スプリットハイブリッドシステムは、例、Hsiu−Ming Shiu et al.Proc.Natl.I Acad.Sci.USA,93:13896−13901,November 1996;及び John D.Crispino,et al
.Molecular Cell,3:1−20,February 1999に記載されている。スプリットハイブリッドシステムにおいて、融合タンパク質が用いられるが、この際、タンパク質Xは、lexA DNA結合部位(pLexA)に融合され、タンパク質Yは、転写活性化剤であるVP16(pSHM.1−LacZ)に融合される。lexA−X及びVP16−Y間の相互作用は、テトラサイクリンリプレッサータンパク質(TetR)の発現をもたらす。TetRは、HIS3レポーター遺伝子の転写を妨げ、細胞がヒスチジンの欠けている培地で増殖できないようにする。タンパク質−タンパク質相互作用の崩壊は、テトラサイクリンリプレッサーの発現を停止させることにより、細胞がそのような培地で増殖する能力を回復させるであろう。従って、本発明の化合物は、増殖中の細胞に加えられてもよく、もし、その化合物を加えて細胞が培地で成長する能力を回復させれば、その化合物は、タンパク質間相互作用の有効な撹乱物質と認められ得る。スプリットハイブリッド系を形成するのに必要な酵母菌株としては、Stanley M.Hollenberg,et al.Molecular and Cellular Biology 15(7):3813−3822,July 1995に記載されたような、2ハイブリッド体のLexA/VP16コンストラクトが用いられ得る。スプリットハイブリッドシステムの有用な変更は、Takemaru,K.I.and Moon,R.T.J.of Cell Biol.149:249−254,2000によって活用された。
【0273】
他のアッセイ形式もまた好適であり得る。例えば、AP−1に対するレポーター遺伝子アッセイ、例えばELISAは、IL−2転写阻害剤を探すために、CD3及びCD28で刺激後、T−細胞株によるIL−2の産生を遮断する。直接結合アッセイ(補助活性化因子とこれらのパートナーとの間)は、表面プラスモン共鳴分光器(Biacore,Sweden,manufactures suitable instruments)又はELISAによって行うことができる。
【0274】
転写調節因子の例としては、VP16、VP64、p300、CBP、PCAF、SRCl、PvALF、AtHD2A及びERF−2が挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Robyr et al.(2000)Mol.Endocrinol.14:329−347;Collingwood et al.(1999)J.Mol.Endocrinol.23:255−275;Leo et al.(2000)Gene 245:1−11;Manteuffel−Cymborowska(1999)Acta Biochim.Pol.46:77−89;McKenna et al.(1999)J.Steroid Biochem.Mol.Biol.69:3−12;Malik et al.(2000)Trends Biochem.Sci.25:277−283;及びLemon et al.(1999)Curr.Opin.Genet.Dev.9:499−504.を参照)。他の転写調節因子の例としては、OsGAI、HALF−1、C1、AP1、ARF−5、−6、−7、及び−8、CPRF1、CPRF4、MYC−RP/GP並びにTRAB1が挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Ogawa et al.(2000)Gene 245:21−29;5 Okanami et al.(1996)Genes Cells 1:87−99;Goff et al.(1991)Genes Dev.5:298−309;Cho et al.(1999)Plant Mol.Biol.40:419−429;Ulmason et al.(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:5844−5849;Sprenger−Haussels et al.(2000)Plant J.22:1−8;Gong et al.(1999)Plant Mol.Biol.41:33−44;及びHobo et al.(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:15,348−15,353を参照)。
【0275】
前記転写補助活性化因子は、ヒト転写補助活性化因子であり得る。他の実施形態においては、前記転写補助活性化因子は、ヒストン・アセチルトランスフェラーゼ活性を有する補助活性化因子のp300/CBPファミリーのメンバーである。p300は、例えば、Ecknerら.(1994)により開示され、CBPは、Bannister及びKouzarides(1996)により開示されている。本発明の5つの目的のために、p300/CBPの引用は、ヒトのp300のアレリック及び合成変異体に言及し、他の哺乳動物の変異体及びそのアレリック及び合成変異体に言及するのみならず、前記ヒト及び哺乳動物のp300の形態のフラグメントに言及する。このアッセイの一つの態様においては、相互作用タンパク質が、転写因子又は第二補助活性化因子である。このアッセイの一つの態様においては、前記相互作用タンパク質は:RIP140;SRC−1(NCoA−1);TIF2(GRIP−1;SRC−2);p(CIP;RAC3;ACTR;AIB−1;TRAM−1;SRC−3);CBP(p300);TRAPs(DRIPs);PGC−1;CARM−1;PRIP(ASC−2;AIB3;RAP250;NRC);GT−198;及びSHARP(CoAA;p68;p72)のいずれか一つである。このアッセイの他の態様においては、前記相互作用タンパク質は:TAL1;p73;MDm2;TBP;HIF−1;Ets−1;RXR;p65;AP−1;Pit−1;HNF−4;Stat2;HPVE2;BRCA1;p45(NF−E2);c−Jun;c−myb;Tax;Sap 1;YY1;SREBP;ATF−1;ATF−4;Cubitus;Interruptus;Gli3;MRF;AFT−2;JMY;dMad;PyLT;HPV E6;CITTA;Tat;SF−1;E2F;junB;RNAヘリカーゼA;C/EBPβ;GATA−1;Neuro D;Microphthalimia;E1A;TFIIB;p53;P/CAF;Twist;Myo D;pp9O RSK;c−Fos;及びSV40Large Tのいずれか一つである。このアッセイの他の態様においては、前記相互作用タンパク質は:ERAP140;RIP140;RIP160;Trip1;SWM(SNF);ARA70;RAP46;TIF1;TIF2;GRIP1;及びTRAPのいずれか一つである。本発明のアッセイの他の態様においては、前記相互作用タンパク質は:VP16;VP64;p300;CBP;PCAF;SRC1 PvALF;AtHD2A;ERF−2;OsGAI;HALF−1;C1;AP−1;ARF−5;ARF−6;ARF−7;ARF−8;CPRF1;CPRF4;MYC−RP/GP;及びTRAB1のいずれか一つである。本発明の他の態様において、前記第一補助活性化因子は、CBP又はp300である。
【0276】
試験化合物は、本明細書中に記載の化合物から選択される。例えば、一般式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)を有する化合物。典型的には、試験化合物は、いく通りかの異なる濃度において検討され得るが、これらの濃度は、部分的にはアッセイ条件に応じて選択される。アッセイ条件の例を挙げると、第一補助活性化因子及び相互作用タンパク質の濃度である。約0.1から10μM範囲の濃度が用いられ得る。ある態様においては、このアッセイは、二つのタンパク質間の結合相互作用に影響を及ぼす、二つの化合物の相対的な効用を評価するということであるが、この二つの化合物の少なくとも一つは本発明の化合物である。より有効な化合物が、化合物構造と化合物活性との間の関係を研究するのに参照化合物となり得る。
【0277】
一般式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)の化合物は、それらがCBPへ特異的に結合するため、癌細胞におけるCBP介在性の転写活性化を阻害し得る。本発明の化合物はSW480細胞におけるサバイビン発現も阻害し、従って、癌細胞における発癌活性を阻害する。
【0278】
本発明の化合物は、癌細胞を抑制するために用いられ得、従って、細胞増殖の調節に有用である。本発明の化合物は、細胞においてアポトーシスを誘導するためにも、都合よく用いられ得る。
【0279】
本発明は、また、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)の1つ以上の化合物を含むライブラリーを用いるプロドラッグに関する。プロドラッグは、典型的には、酵素的及び/又は化学的加水分解によって、吸収の途中又は後に体内に活性薬物を放出するように設計される。プロドラッグアプローチは、水に溶解性がより高い化合物へ化学的誘導体化することによって、水への溶解性が低い薬物の経口生体利用性又は静脈(i.v.)投与を向上させる効果的な手段である。ヒドロキシル基を有する薬物の水溶性を増加させるために最もよく用いられるプロドラッグアプローチは、イオン化可能な基、例えば、リン酸基、カルボキシレート基、アルキルアミノ基を含むエステルを製造するものである(Fleisher et al.,Advanced Drug Delivery Reviews,115−130,1996;Davis et al.,Cancer Res.,7247−7253)。
【0280】
他の態様においては、本発明は、一般式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)を有する化合物を含有する医薬組成物を提供する。これらの組成物は、詳細を後述する本発明の様々な方法(例、癌、線維症又はアルツハイマー病の治療)に用いられ得る。
【0281】
本発明の医薬組成物は、目的とする投与経路に即して剤形化することができる。投与経路の例としては、非経口(例、静脈内)、皮内、皮下、経口(例、吸入)、経皮(局所)、経粘膜、及び直腸投与等が挙げられる。非経口、皮内又は皮下投与に用いられる液剤又は懸濁剤としては、以下の成分を含み得る:滅菌希釈液(例えば、注射用水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール類、グリセリン、プロピレングリコール、又はその他の合成溶媒)、抗菌剤(例えば、ベンジルアルコール又はメチルパラベン)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム)、キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸)、緩衝剤(酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩)、及び等張化剤(例えば、塩化ナトリウム又はデキストロース)。更に、pHは、酸又は塩基(例えば、塩酸又は水酸化ナトリウム)で調節することができる。非経口剤は、アンプル、使い捨て注射器、或いはガラス又はプラスチック製複数回投与バイアルに封入することができる。
【0282】
注射用に適した医薬組成物としては、滅菌水溶液(水溶性の場合)又は分散液と、滅菌注射溶液又は分散液の即時調整用製剤のための滅菌粉末が挙げられる。静脈内投与の場合、適切な担体としては、生理食塩水、静菌水、クレモフォア(Cremophor)EL(商標)(BASE,Parsippany,NJ)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。いかなる場合でも、前記組成物は、滅菌状態でなければならず、また容易に注射可能な程度に流動性がなければならない。製造及び貯蔵の状態下で安定でなければならず、バクテリア及び真菌などの微生物に汚染されずに保存されなければならない。前記担体としては、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液相ポリエチレングリコールなど)、そしてこれらの好適な混合物を含有する溶媒又は分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどの被覆物の使用により、分散液の場合に必要な粒径の維持により、また界面活性剤の使用により維持することができる。微生物作用の予防は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等)により達成することができる。多くの場合、組成物中に等張化剤(例えば、糖、ポリアルコール、(例えば、マニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム))を含有することが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅らせる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン)を前記組成物に含有させることにより行われ得る。
【0283】
滅菌注射溶液は、必要に応じて、上述した成分の単独又は組合せと共に、適切な溶媒中に、必要な量で、例えば一般式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)を有
する化合物である活性化合物を混入させた後、濾過による滅菌により調製することができる。一般に、分散液は、上述したものから必要な他の成分と分散媒体とを含有する滅菌ビヒクル中に活性化合物を混入することによって調製する。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥させて、予め滅菌−濾過された溶液からの所望の任意の追加成分及び活性成分の粉末を調製するものである。経口組成物は、一般に、不活性希釈剤又は食用担体を含有する。これらは、ゼラチンカプセル中に封止され得、或いは錠剤中に圧縮され得る。経口投与の治療目的のために、活性化合物は、賦形剤と共に取り入れられ得、錠剤、トローチ、又はカプセルの形態で用いられ得る。
【0284】
経口組成物はまた、うがい薬として用いるための液体担体を用いて調製することができ、ここで、液体担体中の前記化合物は、経口的に適用され、ヒュっと音を出したり、吐かれたり又は飲み込まれたりする。医薬的に適合性のある結合剤及び/又は補助剤物質は、組成物の一部として含まれ得る。錠剤、丸薬、カプセル、トローチ等は、以下の成分又は類似性質の化合物のいずれかのものを含有することができる:結合剤(例えば、微結晶性セルロース、トラガカント、又はゼラチン等)、賦形剤(例えば、デンプン、ラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、又はコーンスターチ)、滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム又はステロッツ(Sterotes))、流動促進剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、甘味剤(例えば、スクロース、サッカリン)、又は香料添加剤(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、又はオレンジ香味料)を含有することができる。
【0285】
吸入投与の場合、化合物は、好適な噴射剤(例えば、二酸化炭素などのガス)又は噴霧剤を含有する、加圧容器又はディスペンサーからエアゾールスプレーの形態で送達される。
【0286】
全身投与はまた、経粘膜又は経皮手段によることができる。経粘膜又は経皮投与の場合、浸透しようとするバリアに適切な浸透剤が剤形に用いられる。このような浸透剤は、一般に当該分野において公知であり、また例えば、経粘膜投与の場合、界面活性剤、胆汁塩、フシジン酸誘導体類を含む。経粘膜投与は、鼻腔用スプレー又は座薬の使用により達成され得る。経皮投与の場合、活性化合物は、一般に当該技術分野において公知の軟膏、膏薬、ゲル又はクリームに剤形化される。
【0287】
化合物はまた、座薬(例えば、カカオ脂及び他のグリセリドなどの従来の座薬の基剤とともに)又は直腸送達のための停留浣腸剤の形態に調製することもできる。
【0288】
1つの実施形態においては、活性化合物は、インプラント及びマイクロカプセル化した送達システムを含む、制御された放出剤形のように、身体からの速い除去に対して前記化合物を保護する担体と共に調製され得る。生分解性、生体適合性高分子、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルソエステル類、及びポリ乳酸が用いられ得る。このような剤形の調製方法は、当該分野における技術者にとっては自明なことである。材料はまた、Alza Corporation及びNova
Pharmaceuticals,Inc.から市販のものを入手することができる。リポソーム懸濁剤(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を有する、感染細胞を標的にしたリポソームを含む)はまた、医薬的に許容可能な担体としても用いられ得る。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に開示されたように、当該分野の技術者にとって公知の方法により調製することができる。
【0289】
投与の容易性及び用量の均一性のために、投与量単位の形態で経口的又は非経口的組成物を剤形化することが更に有利であり得る。ここで用いられる投与量単位の形態とは、治療する被験体のための単一容量に好適な物理的に区別された単位を意味し、それぞれの単
位は、所望の治療効果をもたらすために、必要な医薬的担体と関連して計算された所定量の活性化合物を含有する。本発明の用量単位の形態についての明細は、前記活性化合物の独特な特徴、達成しようとする特別な治療効果、及び個人の治療のためそのような活性化合物を混合する技術に固有な制限により決定され、またこれらに直接依存する。
【0290】
例えば、ある実施形態において、本発明の好適な医薬組成物は、単位用量で経口投与に好適なもの、例えば、約1mg〜約1gの本発明の化合物を含有する錠剤又はカプセル剤である。他のいくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、静脈内注射、皮下注射又は筋肉内注射に好適なものである。患者は、例えば、約1μg/kg〜約1g/kgの本発明の化合物の静脈内用量、皮下用量又は筋肉内用量を受け得る。静脈内用量、皮下用量及び筋肉内用量は、大量注射の手段により、与えられ得る。或いは、この静脈内用量は、一定時間にわたる連続注入により、与えられ得る。或いは、患者は、毎日非経口用量にほぼ等しい毎日経口用量を受け、その組成物は、1日あたり、1〜4回で、投与される。
【0291】
好ましくは、本発明の式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)の化合物は、非経口的に(特に好ましくは、持続点滴又は急速静脈内投与により)、ヒトを含む哺乳動物に投与し得る。
【0292】
その場合は、投与量は、患者の体重及び/又は年齢、並びに/或いは症状の程度及び投与経路等の種々の要因に依存して適切に選択される。例えば一般的には、非経口投与のための式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)の化合物の投与量は持続点滴投与による、ヒト体表面積あたり1〜10000mg/day/m
2の範囲であり、好ましくはヒト体表面積あたり1〜5000mg/day/m
2の範囲であり、そしてより好ましくはヒト体表面積あたり10〜5000mg/day/m
2である。
【0293】
一般式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)の化合物を含有する医薬組成物は、Wntシグナル伝達経路により調節される疾患、具体的に、癌、より具体的には、直腸結腸癌の治療に用いられ得る。
【0294】
本発明の1つの態様においては、本発明は、腫瘍の成長を阻害する方法を提供する。このような方法は、腫瘍の成長を阻害する有効量で、一般式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)を有する化合物を、腫瘍を有する被験体(例えば、哺乳動物被験体)に投与する工程を含む。化合物又は組成物は、腫瘍の大きさが、治療しなかったものよりも、化合物又は組成物の治療を受けた被験体において統計的に有意に小さい場合、腫瘍の成長を阻害する。
【0295】
腫瘍成長に対する本発明の特定の化合物又は組成物の阻害効果は、当該分野において公知である任意の適宜方法により特徴づけられてもよい。例えば、サバイビン発現に対する化合物又は組成物の効果を測定することができる。サバイビン発現をダウンレギュレートする化合物又は組成物は、おそらく腫瘍成長に対する阻害効果を示す。更に、腫瘍細胞株を用いたアッセイ(例えば、SW480細胞を用いた軟寒天アッセイ)及び腫瘍成長の動物モデル(例えば、腫瘍細胞を移植したヌードマウス及びMinマウスモデル)はまた、実施例において詳述するように、所定の化合物又は組成物の、腫瘍の成長に対する阻害効果を評価するのに用いられ得る。腫瘍成長に対する他の例示的な動物モデル又は異種移植片は、乳癌(Guo et al.,Cancer Res.62:4678−84,2002;Lu et al.,Breast Cancer Res.Treat.57:183−92,1999)、膵癌(Bouvet et al.,Cancer Res.62:1534−40,2002)、卵巣腫瘍(Nilsson et al.,Cancer Chemother.Pharmacol.49:93−100,2002
;Bao et al.,Gynecol.Oncol.78:373−9,2000)、黒色腫(Demidem et al.,Cancer Res.61:2294−300,2001)、直腸結腸癌(Brown et al.,Dig.Dis.Sci.45:1578−84,2000;Tsunoda et al.,Anticancer Res.19:1149−52,1999;Cao et al.,CHn.Cancer Res.5:267−74,1999;Shawler et al.,J.Immunother.Emphasis Tumor Immunol.17:201−8,1995;McGregor et al.,Dis.Colon.Rectum.36:834−9,1993;Verstijnen et al.,Anticancer Res.8:1193−200,1988)、肝細胞癌(Labonte et al.,Hepatol.Res.18:72−85,2000)、及び胃癌(Takahashi et al.,Int.J.Cancer 85:243−7,2000)に関するものを含む。
【0296】
腫瘍成長を阻害する化合物又は組成物は、例えば、腫瘍が残留する組織に応じて、適切な経路を経て腫瘍を有する被験体に投与することができる。適切な用量は、上述したように、当該分野において公知の知識及び技術を用いて決定することができる。腫瘍成長に対する化合物又は組成物の治療効果はまた、当該分野において公知の方法を用いてモニターされ得る。様々な方法としては、例えば、結腸鏡検査、S状結腸鏡検査、生体検査、コンピュータ断層撮影法、超音波、磁気共鳴映像法、及び陽電子放出断層撮影法を含み、直腸結腸癌の進行及び/又は成長をモニターするのに用いられ得る。卵巣癌の進行及び/又は成長をモニターする方法としては、例えば、超音波、コンピュータ断層撮影法、磁気共鳴映像法、胸部X線、腹腔鏡検査法、組織検査が挙げられる。
【0297】
関連する態様においては、本発明は癌又は線維症の治療又は予防方法を提供する。このような方法は、被験体の癌又は線維症を治療又は予防する有効量で、一般式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)を有する化合物又は組成物を、それを必要とする被験体に投与する工程を含む。癌(又は線維症)の治療は癌の進行(例えば、癌の成長及び転移)(又は適用可能なものとして、線維症)を減少または除去することを含むものと理解される。癌(又は線維症)の予防は、癌の発症を防止又は遅延することを含むものと理解される。様々な類型の癌が、本発明によって治療又は予防され得る。それらとしては、肺癌、乳癌、直腸結腸癌、胃癌、膵癌、肝癌、子宮癌、卵巣癌、神経膠腫、黒色腫、リンパ腫、及び白血病が挙げられるが、これらに限定されない。治療を必要とする被験体は、様々な類型の癌に罹ったヒト又は非ヒト霊長類或いは他の動物であってもよい。
【0298】
予防を必要とする被験体は、癌又は線維症が発生する危険のあるヒト又は非ヒト霊長類或いは他の動物であってもよい。癌又は線維症を診断し、そして癌又は線維症の危険が大きい個人をスクリーニングする方法は、当該分野において公知であり、本発明で用いられ得る。例えば、直腸結腸癌は、糞便潜血検査、S状結腸鏡検査、結腸鏡検査、空気注腸造影、及び仮想結腸鏡検査によって診断することができる。直腸結腸癌の危険が高い個々の患者は、一つ以上の直腸結腸癌の危険因子、例えば、強い家族歴の直腸結腸癌又はポリープ、公知の家族歴の遺伝性直腸結腸癌症候群、個人歴の腺腫性ポリープ、及び個人歴の慢性炎症性大腸炎を有し得る。
【0299】
癌(又は線維症)の治療又は予防に有用な一般式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)の化合物は、当該分野において公知の適切な方法により同定することができる。上述したように、腫瘍成長の阻害効果のための化合物を選択するのに使用され得る方法がまた用いられ得る。投与経路、所定の化合物の投与量、治療の効果は、当該分野において公知の知識及び技術を用いて決定することができる。このような決定において考慮し得る要因としては、例えば、治療する癌(又は線維症)の類型及び段階が挙げられる。
【0300】
癌の治療及び予防に有用な一般式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)の化合物は、他の抗腫瘍剤との組合せで投与することができる。抗腫瘍剤とは、腫瘍成長を阻害する化合物を指す。
【0301】
他の抗腫瘍剤の具体的な例としては、例には、チオテパ及びCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミド(cyclosphosphamide)等のアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン等のスルホン酸アルキル類;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)等のアジリジン類;アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethiylenethiophosphoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン類(特にブラタシン及びブラタシノン);カンプトセシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン類(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;ズオカルマイシン(合成類似体、KW−2189及びCB1−TM1を含む);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えばクロランブシル、クロロナファジン(chlornaphazine)、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタード;ニトロスレアス(nitrosureas)、例えばカルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン;抗生物質、例えばエネジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンガンマ1l及びカリケアマイシンオメガIl(例えばAgnew Chem Intl.Ed.Engl.33:183−186(1994)参照のこと);ダイネマイシン(dynemicin)Aを含むダイネマイシン;クロドロネート等のビスホスホネート、エスペラマイシン;並びにネオカルチノスタチン発色団及び関連する色素タンパク、エネジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン類(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authrarnycin)、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorbicin)、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、アドリアマイシン(ADRIAMYCIN)(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マーセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンC等のマイトマイシン、マイコフェノール酸(mycophenolic
acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン類(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);代謝拮抗剤、例えばメトトレキセート及び5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類似体、例えばデノプテリン(denopterin)、メトトレキ
セート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate);プリン類似体、例えばフルダラビン(fludarabine)、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6−アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロクスウリジン(floxuridine);アンドロゲン類、例えばカルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone);抗副腎剤、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸リプレニッシャー(replenisher)、例えばフロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elformithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidamine);メイタンシノイド(maytansinoid)類、例えばメイタンシン(maytansine)及びアンサミトシン類(ansamitocins);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン(losoxantrone);ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products,Eugene,OR);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2',2'’;−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン類(特にT−2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジン(roridine)A及びアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカーバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド類、例えばTAXOL(登録商標)パクリタキセル(Bristol−Myers
Squibb Oncology,Princeton,NJ)、ABRAXANE(商標)パクリタキセルのクレモフォア無添加アルブミン改変ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,Illinois)、及びTAXOTERE(登録商標)ドキセタキセル(Rhone−Poulenc Rorer,Antony,France);クロランブシル;GEMZAR(登録商標)ゲムシタビン(gemcitabine);6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金配位錯体、例えばシスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;マイトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)ビノレルビン;ノバントロン(novantrone);テニポシド;エダトレキセート(edatrexate);ダウノマイシン;アミノプテリン;キセローダ(xeloda);イバンドロナート(ibandronate);イリノテカン(例、CPT−11);トポイソメラーゼインヒビターRFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸等のレチノイド類;カペシタビン(capecitabine);及び上記のいずれかの医薬的に許容される塩、酸又は誘導体が挙げられる。
【0302】
更に、他の抗腫瘍剤としては、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えばタモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン(raloxifene)、ドロロキシフェン(droloxifene)、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストン(onapristone)、及びFARESTONトレミフェンを含む抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体調節物質(SERMs);副腎中でのエストロゲン産生を調節するアロマターゼ酵素を抑制するアロマターゼ阻害剤、例えば4(5)−イミダゾール類、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)酢酸メゲストロール、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、フォルメスタン(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、及びARIMIDEX(登録商標)アナストロゾール;及び抗アンドロゲン、例えばフルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;並びにトロキサシタビン(troxacitabine)(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に接着(adherant)細胞の増殖に関連するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えばPKC−α、Ralf、及びH−Ras;リボザイム、例えばVEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標)リボザイム)及びHER2発現阻害剤;遺伝子治療ワクチン等のワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、及びVAXID(登録商標)ワクチン;PROLEUKIN(登録商標)rIL−2;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;及び上記のいずれかの医薬的に許容される塩、酸又は誘導体が挙げられる。
【0303】
また、他の抗腫瘍剤の例としては、細胞の増殖を、インビトロ及び/又はインビボで阻害する化合物又は組成物を指す「成長阻害剤」も挙げられる。従って、成長阻害剤は、S期の細胞の割合を有意に減少させるものでありうる。成長阻害剤の例としては、細胞周期の進行を(S期以外の位置で)阻害する薬剤、例えばG1停止又はM期停止を誘発する薬剤が挙げられる。古典的なM期ブロッカーとしては、ビンカス(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキソール(登録商標)、及びトポII阻害剤、例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンが挙げられる。また、G1停止させるそれらの薬剤は、S期停止にも影響を与えるが、例えば、DNAアルキル化剤、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5−フルオロウラシル、及びアラ−Cである。
【0304】
更に、他の抗腫瘍剤の例としては、発癌(正常細胞が癌細胞になる過程)、腫瘍成長、又は腫瘍拡散に関わる特定分子を妨害することにより、癌の増殖及び転移を阻止する「分子標的薬」も挙げられる。「分子標的薬」の具体例としては、例えばイマチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、ダサチニブ、ニロチニブを含む、腫瘍のキナーゼ活性を阻害するキナーゼインヒビター;例えばイブリツモマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、パニツムマブ、ベバシズマブ、リツキシマブ等の、腫瘍細胞上の細胞表面分子又は増殖因子等に結合する抗体;及びボルテゾミブ等の、ユビキチン化されたタンパク質の分解によりタンパク質の発現及び機能を調節する、プロテアソームを阻害するプロテアソームインヒビター;並びに上記のいずれかの医薬上許容される塩、酸又は誘導体類が挙げられる。
【0305】
更なる情報が、Murakamiらによる、「細胞周期調節、癌遺伝子及び新生物治療薬(“Cell cycle regulation,oncogenes,and antineoplastic drugs”)」と題した、癌の分子的機序(The Molecular Basis of Cancer)、Mendelsohn、Isr
ael編、の第一章、特に13頁中に見受けられる。
【0306】
抗腫瘍剤と併用して投与される、一般式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)を有する化合物は、当該化合物と当該抗腫瘍剤が同時に投与されることを必ずしも必要としない。当該化合物及と当該剤は、ある時点においてそれらの両方が、同一の癌細胞に対して効果を有する限り、別個に投与されてもよい。
【0307】
例えば投与の態様は、(1)式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)の化合物と他の抗腫瘍剤とを同時に調合することにより得られた単一製剤の投与(2)式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)の化合物と他の抗腫瘍剤とを別個に調合することにより得られた2つの製剤の同一投与経路を通しての同時投与(3)式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)の化合物と他の抗腫瘍剤とを別個に調合することにより得られた2つの製剤の同一投与経路を通しての時間間隔付投与(4)式(I)の化合物と他の抗腫瘍剤とを別個に調合することにより得られた2つの製剤の異なる投与経路を通しての同時投与(5)式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)の化合物と他の抗腫瘍剤とを別個に調合することにより得られた2つの製剤の異なる投与経路を通しての時間間隔付投与(例、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)の化合物、次いで他の抗腫瘍剤の順での投与、又は逆順での投与)等により例示され得る。投与される他の抗腫瘍剤の量は、臨床で用いられる投与量に準拠して適切に選択され得る。式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)の化合物と他の抗腫瘍剤との混合比は、投与対象、投与経路、治療される疾患、症状、組合せ等によって適切に選択され得る。
【0308】
更に、本発明の化合物は、例えばVEGF又はTNFa等を包含する遺伝子治療、或いは種々の抗体医薬等を包含する治療法等と併用しても用いられ得る。
【0309】
更に関連する態様においては、本発明は癌細胞において、アポトーシスを促進する方法を提供する。そのような方法は、これらの細胞においてアポトーシスを促進する有効量で、癌細胞と一般式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)を有する化合物とを接触させる工程を含む。アポトーシスを行う癌細胞の数が、化合物の非在下よりも、化合物の存在下で統計的に有意に多い場合は、化合物はアポトーシスを促進する。そのような化合物は、培養された癌細胞株、異種移植片、又は動物癌モデルを使用して、当該分野において公知である方法(例、カスパーゼ活性及び/又は細胞死を測定)により同定することができる。好ましくは、前記化合物は、正常細胞よりも、癌細胞においてアポトーシスを促進するのにより活性がある。様々な組織起源の癌細胞が、本発明により治療可能である。
【0310】
本発明の他の態様においては、Wntシグナル伝達経路により調節された疾患を治療する方法が開示され、当該方法は、患者に、一般式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)を有する化合物の安全有効量を投与することを含む。本発明の化合物を含有する医薬組成物もまた、この目的に使用できる。このことに関連して、本発明では、一般式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)を有する化合物又はそれらを含有する医薬組成物が、TCF4−β−カテニン/CBP複合体(これは、Wntシグナル伝達経路に関連した癌細胞の過剰発現を開始する原因となると考えられている)により調節された疾患を治療するのに有用であり得ることが見出されている。従って、一般式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)を有する化合物を使用して、TCF−4−βカテニン/CBP複合体により調節された疾患を治療する方法を提供することは、本発明の他の態様である。
【0311】
本発明は、サバイビン発現を阻害する化合物及び方法も提供する。サバイビンは、TC
F/β−カテニン経路の標的遺伝子であり、より具体的には、TCF/β−カテニン/CBP経路の標的遺伝子である。それは、IAPタンパク質(インヒビターオブアポトーシスタンパク質)ファミリーのメンバーである。サバイビンと関連した生物学的活性としては、細胞周期入口と出口を調節するG2/Mにおいて高度に発現;細胞周期フェーズに依存して微小管、中心体(centrosome)、セントロメア及び中心体(midbody)と関連;カスパーゼ(例、カスパーゼ3、7及び9)との直接又は間接の相互作用を通じた抗アポトーシスが挙げられる。癌と関連して、サバイビンは、腫瘍細胞で広範囲且つ高度に発現するが、正常組織細胞では、殆ど又は全く発現しない。腫瘍がサバイビンを発現した癌患者は、全体的な生存率が減少することが観察されている。更に、サバイビンの発現程度は、他の癌のマーカー、例、Ki67、PNCA、p53、APCなどと相関している。
【0312】
サバイビン発現への本発明による特定の化合物の影響は、当該分野において公知の方法によって特徴づけられ得る。そのような方法としては、転写又は翻訳レベルでサバイビン発現を特徴づける方法が挙げられる。転写レベルでのサバイビン発現を特徴づける例示的な方法は;cDNAマイクロアレイ、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT−PCR)、クロマチン免疫沈降(ChIP)、サバイビンプロモーターによってドライブされたレポーター活性についてのアッセイである。翻訳レベルでのサバイビン発現を特徴づける例示的な方法は、ウエスタンブロット解析、免疫化学及びカスパーゼ活性である。上記の例示的な方法の詳細な記述は、下記実施例において見出され得る。
【0313】
上記したように、本発明は、サバイビン発現を阻害する方法を提供する。そのような方法は、サバイビン発現を阻害する有効量で、サバイビン発現細胞と本発明の化合物とを接触させる工程を含む。細胞内のサバイビン発現が、化合物の非存在下と比べて、化合物の存在下で減少する場合は、その化合物はサバイビン発現を阻害する。サバイビン発現細胞としては、肺癌、乳癌、胃癌、膵臓癌、肝臓癌、子宮癌、卵巣癌、神経膠腫、黒色腫、直腸結腸癌、リンパ腫、及び白血病における、又は由来の細胞等の発現腫瘍細胞が挙げられる。サバイビン発現細胞と化合物とを接触させる工程は、インビトロ、エックスビボ、インビボにおいて行うことができる。サバイビン発現を阻害するのに有用な化合物が同定され得、そして、本発明の特定の化合物の効果は、詳細を上記したように当該分野において公知の適切な方法によって特徴づけられ得る。
【0314】
本発明の化合物は、サバイビンの発現も阻害し得る。Blanc−Brude et al.,Nat.Medicine 8:987(2002)は、サバイビンが平滑筋細胞アポトーシスの重要な調節因子であり、これは、病理学的血管壁再構築で重要であることを示している。従って、本発明の他の態様は、血管形成術に関連する再狭窄を治療又は予防する方法を提供し、当該方法は、それが必要な被験体に、本発明のアルファヘリックスミメティックの安全有効量を投与することを含む。1つの実施形態においては、本発明は、再狭窄を治療する。即ち、再狭窄に罹った被験体に本発明のアルファヘリックスミメティックを投与すると、再狭窄の重症度、程度(extent)又は程度(degree)などの低減が達成される。他の実施形態においては、本発明は、再狭窄を予防する。即ち、新規又は追加の再狭窄を発症すると予測されている被験体に本発明のアルファヘリックスミメティックを投与すると、予想される再狭窄の重症度、程度(extent)又は程度(degree)などの低減が達成される。必要に応じて、当該被験体は、哺乳動物被験体である。
【0315】
本発明の化合物は、TCF/β−カテニン転写も阻害し得る。Rodova et al.,J.Biol.Chem.277:29577(2002)は、PKD−1プロモーターがβ−カテニン/TCF経路の標的であることを示している。従って、本発明の他の態様は、多発性嚢胞腎を治療又は予防する方法を提供し、当該方法は、それが必要な被
験体に、本発明のアルファヘリックスミメティックの安全有効量を投与することを含む。1つの実施形態においては、本発明は、多発性嚢胞腎を治療する。即ち、多発性嚢胞腎に罹った被験体に本発明のアルファヘリックスミメティックを投与すると、多発性嚢胞腎の重症度、程度(extent)又は程度(degree)などの低減が達成される。他の実施形態においては、本発明は、多発性嚢胞腎を予防する。即ち、新規又は追加の多発性嚢胞腎を発症すると予測されている被験体に本発明のアルファへリックスミメティックを投与すると、予想される多発性嚢胞腎の重症度、程度(extent)又は程度(degree)などの低減が達成される。任意に、当該被験体は、哺乳動物被験体である。
【0316】
本発明の化合物は、Wntシグナル伝達の発現も阻害し得る。Hanai et al.,J.Cell Bio.158:529(2002)は、公知の抗血管原性因子であるエンドスタチンがWntのシグナル伝達を阻害することを示している。従って、本発明の他の態様は、血管形成異常を治療又は予防する方法を提供し、当該方法は、それが必要な被験体に、本発明のアルファヘリックスミメティックの安全有効量を投与することを含む。1つの実施形態においては、本発明は、血管形成異常を治療する。即ち、血管形成異常に罹った被験体に本発明のアルファヘリックスミメティックを投与すると、血管形成異常の重症度、程度(extent)又は程度(degree)などの低減が達成される。他の実施形態においては、本発明は、血管形成異常を予防する。即ち、新規又は追加の血管形成異常を発症すると予測される被験体に本発明のアルファヘリックスミメティックを投与すると、血管形成異常の予想される重症度、程度(extent)又は程度(degree)などの低減が達成される。必要に応じて、当該被験体は、哺乳動物被験体である。
【0317】
本発明の化合物は、Wnt経路のTCF/β−カテニンのシグナル伝達も阻害し得る。従って、本発明の他の態様は、結節硬化症(TSC)を治療又は予防する方法を提供し、当該方法は、それが必要な被験体に、本発明のアルファヘリックスミメティックの安全有効量を投与することを含む。TSCを有する被験体は、典型的に脳、心臓、腎臓、及び他の組織において多発性局所性病変が発達する(例えばGomez,M.R.Brain Dev.17(suppl):55−57(1995)を参照)。哺乳動物細胞の研究は、TSC1(ハマルチンを発現させる)及びTSC2(ツベリンを発現させる)の過剰発現が、細胞増殖を負に調節し、また、G−i/S停止を誘発することが明らかとなっている(例えば、Miloloza,A. et al.,Hum.Mol.Genet.9:1721−1727(2000)を参照)。ハマルチン及びツベリンがβ−カテニン分解複合体のレベルで機能し、また、より具体的には、これらのタンパク質がβ−カテニン分解複合体に加わることにより、β−カテニンの安定性及び活性を負に調節することが明らかとなっている(例えば、Mak,B.C.,et al.J.Biol.Chem.278(8):5947−5951,(2003)を参照)。β−カテニンは、膜結合型カドヘリンファミリのメンバーとの結合を通じて細胞接着に関与し、また、Wnt/Wingless経路の鍵コンポーネントとして細胞増殖及び細胞分化に関与する、95−kDaタンパク質である(例えば、Daniels,D.L.,et al.,Trends Biochem.Sci 26:672−678(2001)を参照)。この経路の誤調節は、ヒト及び齧歯動物において腫瘍を発生させることが明らかとなっている。本発明は、β−カテニンの活性及び、特に他のタンパク質とのその相互作用を調節する化合物を提供し、従って、TSCの治療に使用され得る化合物を提供する。1つの実施形態においては、本発明は、TSCを治療する。即ち、TSCに罹った被験体に本発明のアルファヘリックスミメティックを投与すると、TSCの重症度、程度(extent)又は程度(degree)などの低減が達成される。他の実施形態においては、本発明は、TSCを予防する。即ち、新規又は追加のTSCを発症すると予測されている被験体に本発明のアルファヘリックスミメティックを投与すると、TSCの予想される重症度、程度(extent)又は程度(degree)などの低減が達成される。必要に応じて、当該被験
体は、哺乳動物被験体である。
【0318】
本発明の化合物は、Wntシグナル伝達の発現も阻害し得る。カポジ肉腫関連ヘルペス・ウィルス(KSHV)潜伏関連核抗原(LANA)は、原発性滲出液リンパ腫(PEL)及び多中心性キャッスルマン病等のカポジ肉腫(KS)及びβ−細胞腫瘍を含めた全てのKSHV関連腫瘍において発現する。Fujimuro,M.et al.,Nature Medicine 9(3):300−306(2003)は、LANAが、見かけ上、負の調節因子GSK−3βの再分配によって、β−カテニンの安定化作用を果たすことを明らかにしている。本発明は、β−カテニンタンパク質相互作用、例えば、β−カテニン/TCF複合体の形成を阻害する化合物及び方法を提供する。従って、本発明の化合物は、LANA誘発性のβ−カテニン/TCF複合体の蓄積及び少なくとも部分的なKSHV感染の被害を防ぐ。従って、本発明の他の態様は、カポジ肉腫関連ヘルペス・ウィルス(KSHV)の感染による状態を治療又は予防する方法を提供する。そのような状態には、カポジ肉腫(KS)及び原発性滲出液リンパ腫(PEL)を含めたKSHV関連腫瘍を含む。当該方法は、それが必要な被験体に、本発明のアルファヘリックスミメティックの安全有効量を投与することを含む。1つの実施形態においては、本発明は、KSHV関連腫瘍を治療する。即ち、KSHV関連腫瘍に罹った被験体に本発明のアルファヘリックスミメティックを投与すると、腫瘍の重症度、程度(extent)又は程度(degree)などの低減が達成される。他の実施形態においては、本発明は、KSHV関連腫瘍を予防する。即ち、新規又は追加のKSHV関連腫瘍を発症すると予測されている被験体に本発明のアルファヘリックスミメティックを投与すると、腫瘍の予想される重症度、程度(extent)又は程度(degree)などの低減が達成される。必要に応じて、当該被験体は、哺乳動物被験体である。
【0319】
LEF/TCF DNA結合タンパク質は、活性化したβ−カテニン(Wntシグナル伝達の産物)と共に作用して、下流標的遺伝子を転写活性化する。DasGupta,R.andFuchs,E.Development 126(20):4557−68(1999)は、細胞運命の変化と分化のコミットメントが起こった場合、毛髪発生及び周期において特定時間に活性化したLEF/TCF複合体の重要性を明らかにしている。更に、皮膚形態形成において、β−カテニンは、毛嚢形成において必須であることが明らかとなっていて、その過剰発現はマウスにおける「furry」表現型の原因となる、(Gat,U.,et al.Cell 95:605−614(1998) and Fuchs,E.Harvey Lect.94:47−48(1999。また、Xia,X.et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:10863−10868(2001)を参照)。本発明の化合物は、Wntシグナル伝達の発現を阻害し、また、β−カテニン複合体の形成を妨げることが明らかとなっている。従って、本発明は、それが必要な被験体に、本発明のアルファヘリックスミメティックの安全有効量を投与することを含む、毛髪の成長を調節する方法を提供する。ここで、前記量は、被験体において毛髪の成長を調節するのに有効な量である。必要に応じて、当該被験体は、哺乳動物被験体である。
【0320】
本発明は、アルツハイマー病を治療又は予防するのに有用な化合物も提供する。アルツハイマー病(AD)は、進行性痴呆を伴う神経変性病である。この疾患は、脳における三つの主な構造変化、即ち、i)細胞内タンパク質沈着物(また、神経原線維変化、NEFとして知られている)、ii)ジストロフィー性の神経炎で取り囲まれているアミロイド斑と呼ばれる細胞外タンパク質沈着物、iii)びまん性の神経細胞喪失を伴う。
【0321】
本発明の化合物又は組成物は、プレセニリン−1変異に起因する神経分化の欠陥を治癒し、また、神経前駆体集団がアルツハイマーの脳で神経に分化する数又は速度を少なくすることができる。プレセニリンは、その機能が、ノッチ及びアミロイド前駆体タンパク質
の輸送、ターンオーバー及び切断と関連した膜貫通タンパク質である。プレセニリン−1(PS−1)におけるミスセンス変異は、早期発症の家族性アルツハイマー病と関連している(Fraser et al,Biochem.Soc.Symp. 67,89(2001))。本発明の化合物は、PS−1家族性アルツハイマー変異の個々の患者のみならず、一般のアルツハイマー病患者に対しても適用可能である。
【0322】
更に、本発明は、それが必要な被験体に、本発明のアルファヘリックスミメティックの安全有効量を投与することを含むアルツハイマー病の治療又は予防方法であって、前記量は、被験体においてアルツハイマー病を治療又は予防するのに有効である方法を提供し得る。アルツハイマー病の治療は、アルツハイマー病の症状特性の徴候を減少又は除去するか、或いはこの疾患の進行を遅延させることを含むものと理解される。アルツハイマー病の予防は、この疾患の発病を予防又は遅延させることを含むものと理解される。
【0323】
治療を必要とする被験体は、アルツハイマー病の様々な段階にあるヒト又は非ヒト霊長類或いは他の動物であってもよい。アルツハイマー病の診断方法としては、神経心理学的措置、機能的画像化措置、生物学的マーカー、及び頭脳組織の剖検の使用が挙げられ、当該分野において公知である(例、Dinsmore,J.Am.Osteopath.Assoc.99(9 Suppl.J:S1−6,1999;Kurz et al.,J.Neural Transm.Suppl.62:127−33,2002;Storey et al.,Front Viosci.7:e155−84,2002;Marin et al.,Geriatrics 57:36−40,2002;Kril and Halliday,Int.Rev.Neurobiol.48:167−217,2001;Gurwitz,Trends Neurosci.23:386,2000;Muller−Spahn and Hock,Eur.Arch.Psychiatry Clin.Neurosci.249 Suppl.3:37−42;Fox and Rossor,Rev.Neuro.(Paris)155 Suppl.4:S33−7,1999を参照)。予防を必要とする被験体は、アルツハイマー病が発症する危険性のあるヒト又は非ヒト霊長類或いは他の動物、例えば、この疾患の原因である特定の遺伝子(例えば、アミロイド前駆体タンパク質、プレセニリン−1、及びプレセニリン−2をコードする遺伝子)及び/又はこの疾患への発病に関与する遺伝子(例えば、アポリポタンパク質E遺伝子)の変異を有する個体であってもよい(Rocchi et al.,Brain Res.Bull.61:1−24,2003)。
【0324】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)で示される構造を有する化合物は、当該分野において公知であるいずれかの適切な方法によるアルツハイマー病の治療又は予防において、その活性がスクリーニングされてもよい。このようなスクリーニングは、最初は、インビトロ培養細胞(例、PC−12細胞)を使用して行うことができる。プレセニリン−1変異によって生じる神経分化の欠陥を治癒することができる化合物は、アルツハイマー病に対する様々な動物モデルを使用して更にスクリーニングすることができる。或いは、一般式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)で示される構造を有する化合物は、アルツハイマー病の動物モデルにおいて直接試験することができる。多くのモデルシステムが、当該分野において公知であり、また本発明において使用され得る(Rowanら,Philos.Trans.R.Soc.Lond.B.Biol.Sci.358:821〜8,2003;Sant’Angeloら,Neureochem.Res.28:1009〜15,2003;Weiner Harv.Rev.Psychiatry 4:306〜16,1997)。アルツハイマー病の治療又は予防に対する選択された化合物の効果は、アルツハイマー病の進行を評価するために、当該分野において公知である方法によって、特徴づけ又はモニターすることができるが、これらの方法には、当該疾患の診断について上述したものを含む。
【0325】
本発明はまた、神経突起伸長を促進する方法を提供する。当該方法は、神経突起伸長を促進する有効量で、神経と式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)による化合物とを接触させる工程を含む。当該方法は、神経変性疾患(例、緑内障、黄斑変性、パーキンソン病、及びアルツハイマー病)及び神経系の損傷の治療に有用である。神経細胞の神経突起の長さが、化合物の非存在下よりも、化合物の存在下で統計的に有意に長ければ、その化合物は、神経突起伸長を促進する。このような化合物は、インビトロ培養細胞(例、PC−12細胞、神経芽細胞種B1−4細胞)(Bitar et al.,Cell Tissue Res.298:233−42,1999;Pellitteri et al.,Eur.J.Histochem.45:367−76,2001;Satoh et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.258:50−3,1999;Hirata and Fujisawa,J.Neurobiol.32:415−25,1997;Chauvet et al.,GHa18:211−23,1996;Vetter and Bishop,Curr.Biol.5:168−78,1994;Koo et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:4748−52,1993;Skubitz et al.,J.Cell Biol.115:1137−48,1991;O'Shea et
al.,Neuron 7:231−7,1991;Rydel and Greene,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:1257−61,1988)を使用するか、或いは、外植片(Kato et al.,Brain Res.31:143−7,1983;Vanhems et al.,Eur.J.Neurosci.2:776−82,1990;Carri et al.,Int.J.Dev.Neurosci.12:567−78,1994)を使用して同定することができる。本発明による化合物と神経細胞とを接触させることは、インビトロ又はインビボにおいて行うことができる。得られた処理神経細胞は、インビトロで生成されれば、必要とする組織に移植することができる(Lacza et al.,Brain Res.Protoc.11:145−54,2003;Chu et al.,Neurosci.Lett.343:129−33,2003;Fukunaga et al.,Cell Transplant 8:435−41,1999)。
【0326】
本発明はまた、神経幹細胞の分化を促進する方法も提供し、前記方法は、神経幹細胞の分化を促進する有効量で、神経幹細胞と一般式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)による化合物とを接触させることを含む。当該方法は、神経変性疾患(例えば、緑内障、黄斑変性、パーキンソン病、及びアルツハイマー病)及び神経系の損傷の治療にも有用である。「神経幹細胞」は、適切な条件下で、神経細胞、星状細胞、又は乏突起膠細胞に分化できる、クローン化可能細胞、未分化細胞、多能性細胞を意味する。神経幹細胞が化合物の非存在下よりも、化合物の存在下で統計的に有意に高い分化程度を示せば、その化合物は神経幹細胞の分化を促進する。このような化合物は、インビトロ培養幹細胞又は動物モデルと関係したアッセイを用いて確認され得る(Albranches et al.,Biotechnol.Lett.25:725−30,2003;Deng et al.,Exp. Neurol.182:373−82,2003;Munoz−Elias et al.,Stem Cells 21:437−48,2003;Kudo et al.,Biochem.Pharmacol.66:289−95,2003;Wan et al.,Chin.Med.J.116:428−31,2003;Kawamorita et al.,Hum.Cell 15:178−82,2002;Stavridis and Smith,Biochem.Soc.Trans.31:45−9,2003;Pachemik et al.,Reprod.Nutr.Dev.42:317−26,2002;Fukunaga et al.,supra)。神経幹細胞は、培養された幹細胞、そのソースの組織から新たに単離した幹細胞又はそのソースの生物体内の幹細胞であってもよい。従って、神経幹細胞と本発明による化合物とを接触させることは、インビトロ(培養幹細胞又は新たに分離した幹細
胞の場合)又はインビボ(そのソースの生物体内の幹細胞の場合)のいずれかで行い得る。生じる分化神経細胞は、インビトロで作製されれば、必要とする組織に移植されてもよい(Lacza et al.,supra;Chu et al.,supra;Fukunaga et al.,supra)。このような組織としては、外傷又は神経変性病に罹った脳組織又は他の神経組織が挙げられる。
【0327】
本発明の1つの実施形態においては、本発明の化合物又は本発明の1以上の化合物を含有する医薬製剤は、一般的に、線維症の治療及び/又は予防において有用である。以下に、本発明の化合物により治療可能な線維症の、種々の型/形態の例を更に記載する。
【0328】
線維症の発症の鍵となるメディエーターである形質転換成長因子β(TGFβ)は、細胞の増殖及び分化、アポトーシス、並びに細胞外基質(ECM)の沈着に重要である。TGFβシグナル伝達は、Smad及びAP−1の転写経路双方を活性化させる。肺線維症(PF)患者の気道におけるTGFβは、最初に初期気道炎症の縮小と組織修復に関わる「治癒分子」として機能し得る。しかし、PFにおいて発症する可能性があるもののような持続性の炎症反応を伴う場合は、過剰なECM沈着及び気道線維症の発症にバランスがシフトすることがある。
【0329】
線維増殖性疾患は、一般に、ほとんどの臓器に見られる常在星細胞の活性化により引き起こされる。この星細胞の活性化は、筋細胞及び非筋細胞の特長を表す筋線維芽細胞へのその転換を引き起こす。活性化星細胞は、主にTGF−βにより媒介される炎症シグナルを開始する。TGF−βに加え炎症性サイトカイン及びメディエーターは、筋線維芽細胞の増殖を引き起こす。星細胞由来の筋線維芽細胞が増殖し、健康で機能的な臓器細胞を筋肉及び結合組織特性を示す細胞外基質で置き換える。最終的には、非機能の線維性蜂巣状基質がある限界数の健常細胞を置換すると、臓器不全が起きる。
【0330】
線維症の最初の原因は、臓器組織への障害又は損傷の結果であると考えられている。この臓器組織への細胞障害は、しばしば毒性又は感染物質に由来し得る。肺線維症又は間質性肺疾患は、しばしば喫煙、慢性ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、又は肺炎の結果である。線維症はほぼすべての組織及び器官系を冒す。線維症が疾病率及び死亡率の主要原因である疾患の非限定的な例を以下に列記する。
【0331】
主要器官の線維症
間質性肺疾患(ILD)としては、肺の炎症及び線維症が共通の最終的な病理経路である、広い範囲の特徴ある疾患が挙げられる。ILDの原因は、サルコイドーシス、珪肺症、薬の副作用、感染及び膠原血管病並びに全身性硬化症(強皮症)を含め150超ある。
【0332】
特発性肺線維症(IPF)はILDの最も一般的なタイプである。肝硬変の原因には、ILDの原因と同様のものがあるが、ウイルス性肝炎、住血吸虫症及び慢性アルコール依存症が世界中で主要な原因である。
【0333】
糖尿病を含む腎臓疾患により腎臓が損傷及び傷害され得るが、それで機能喪失の進行がもたらされる。未治療の高血圧症も腎臓の線維化拡大の一因になり得る。
【0334】
瘢痕組織に関係する心臓疾患により心臓のポンプ機能が損なわれ得る。
【0335】
黄斑変性症並びに網膜及び硝子体網膜症を含む眼疾患が視力を損なう。
【0336】
慢性膵炎は、慢性的な炎症及び線維症により特徴づけられる、膵臓の不可逆的な疾患であるが、それで内分泌及び外分泌機能の喪失がもたらされる。
【0337】
線維増殖性疾患としては、全身性及び局所性強皮症が挙げられる。強皮症は、局在性又は全身性であり得る、結合組織の慢性的な疾患であり、身体の多くの器官及び組織において影響があり得る。
【0338】
ケロイド及び肥厚性瘢痕は、外科手術後、外傷性創傷の後、火傷の後に、又は擦り傷後にさえも生じ得る。それらは傷害部位で、瘢痕組織の異常増殖として現れる。
【0339】
アテローム性動脈硬化症及び再狭窄。再狭窄とは、アテローム性動脈硬化症を治療するための血管形成術後に冠動脈が再び狭くなることを指す。外傷に関連する瘢痕化は、外傷関連の傷害部位での瘢痕組織の異常増殖と関連し得る。外科合併症は、瘢痕組織及び線維化拡大が外科的処置に起因するいずれの器官においても、線維症につながり得る。
【0340】
例えば化学療法後の肺においては、化学療法誘導性の線維症が起こり得、肺線維症として現れる。そして原発の悪性腫瘍が肺に影響しなかった場合でさえ、肺移植を要するのに十分なほど重篤になり得る。
【0341】
放射線誘導性線維症(RIF)は、慢性痛、神経障害、関節の運動制限、及びリンパ節の腫脹を引き起こし得る、放射線治療の重篤且つ一般的な合併症である。それは胸、頭、首、及び結合組織において最もよく生じる。RIFは放射線治療に曝した後4〜6月乃至1〜2年までに発症し得、時間とともに重篤となる。RIF発症の危険因子としては、高放射線量、大きな体積の組織の放射線への曝露、及び外科手術、化学療法、又は両方と併用される放射線が挙げられる。
【0342】
タンパク質が過剰生成される場合、火傷が線維症をもたらし得る。過剰なECM沈着により組織の線維化が引き起こされる。
【0343】
肺線維症
肺線維症は、酸素及びその他の気体を血液内にまた血液外に輸送する肺の能力を損なう。この疾患は、肺の精巧な弾性組織を変更し、組織をより厚く、硬い線維性組織に変えてしまう。この原組織の変化又は置換は、他の損傷組織に発生することがある永久的な瘢痕に類似している。肺の瘢痕は、血液中に或いは血液外に気体(即ち酸素、二酸化炭素)を通過させる肺の能力を低下させる。次第に、肺の空気嚢は、線維化組織に置換される。瘢痕が形成すると、組織が肥厚し、酸素を血流中に運ぶ組織の能力の不可逆的喪失を引き起こす。症状としては、特に労作時における息切れ、慢性の頻発性空咳、疲労と脱力、胸部不快感、食欲不振、及び急激な体重の減少が挙げられる。
【0344】
肺線維症にはいくつかの原因が知られているが、それには職業及び環境曝露が含まれる。多くの仕事、特に採鉱に関わるもの、又は労働者がアスベスト又は金属塵に曝露されるものは、肺線維症を引き起こす可能性がある。このような種類の仕事をする労働者は、小粒子(シリカ粉塵やアスベスト線維など)を吸入する可能性があるが、これは肺の、特に末梢気道及び空気嚢に損傷を与え、線維症に関連する瘢痕を引き起こすことがある。農業労働者も影響を受けることがある。有機物質の中には、黴の生えた干草など、肺のアレルギー反応を引き起こすものがある。この反応は、農夫肺と呼ばれ、肺線維症の原因となり得る。農場で見られるその他のガスは、肺に対して直接的な毒性がある。
【0345】
他の原因には、サルコイドーシスがあるが、これは肉芽腫の形成(炎症細胞部分)を特徴とする疾患であり、身体のどの部分にも発病する可能性があるが、最も高い頻度で肺を冒す。
【0346】
一部の医薬は、乳癌の治療等の放射線と同じく、肺線維症を引き起こす望ましくない副作用を有する可能性がある。全身性硬化症等の結合組織病又は膠原病も、肺線維症に関連している。遺伝因子及び家族性の要因が関わっている可能性もあるが、この原因は上述の他の原因ほど一般的ではない。
【0347】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、結合組織増殖及び線維症は、重度のCOPDを特徴づけることがある。COPDは、喫煙や慢性喘息の結果として発症し得る。
【0348】
特発性肺線維症(IPF)
間質性肺疾患の知られている原因全てが除外された場合、その症状は(原因不明の)「特発性」肺線維症(IPF)と呼ばれる。83,000人を超える米国人がIPFを抱えて生活しており、31,000を上回る新しい症例が毎年発症している。この消耗性の状態は、肺の瘢痕(scaning)を伴う。肺の空気嚢は、瘢痕又は線維化組織を発達させ、これは徐々に血流中に酸素を運ぶ身体能力を妨害し、重要臓器及び組織が十分な酸素を得て正常に機能するのを妨げる。
【0349】
IPFを引き起こす可能性がある原因については、いくつかの学説があるが、これにはウイルス性疾患、及びアレルギー又は環境曝露(喫煙を含む)が含まれる。これらの学説は、まだ研究中である。バクテリア及びその他の微生物は、IPFの原因となると考えられていない。家族性特発性肺線維症として知られる家族型の疾患も存在する。この疾患を発症する遺伝的傾向が存在するかどうかを究明し、またIPFの他の原因を究明するための、更なる研究が行われている。
【0350】
IPF患者は、肺が血流中に酸素を運ぶ能力を失うと、肺線維症のものと類似の症状を経験する。これらの症状には、特に身体的活動中或いは後の息切れ、発作性空咳、意図しない緩やかな体重減少、疲労と脱力、胸部不快感、組織の蓄積による手の指(又は足指の場合もある)先の湾曲又は腫脹が含まれる。これらの症状は、IPF患者の生活の質を著しく損ねる可能性がある。肺リハビリテーション及び酸素療法は、IPFの生活様式を変える影響を低減させ得るが、治癒はもたらさない。
【0351】
線維性疾患の治療を開発するために、疾患の状態が共有する最終的な病態への共通の経路に焦点を置くことが、原因に関わらず、また症状が現れる組織に関わらず、重要である。以下に、原因経路のいくつかのコンポーネントを、特にβ−カテニンの役割に関して、検討する。
【0352】
他の病的状態
アポトーシスのインヒビター、サバイビンは肺高血圧症に関係する。β−カテニン TCF/LEF介在性の転写を通じたサバイビン発現の上昇によって、CK2キナーゼ活性により細胞の生存が促進されることが示されている(Tapia,JC(lC).et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.103:15079−84(2006))。従ってこの経路は、β−カテニン介在性の遺伝子転写過程を改変するために本化合物を利用する別の機会を提供する。
【0353】
McMurtry,M.S.(J.Clin.Invest.115:1461−1463(2005))らは、肺動脈高血圧症の患者の肺動脈においてサバイビンが発現したが、肺動脈高血圧症でない患者の肺動脈においては発現しなかったことを報告した。肺動脈高血圧症を誘導するためにモノクロタリンで処理したラットにおいて同様の結果が見出された。当該ラットにおいては、生存期間が延長されて、ドミナント−ネガティブな特性を有するサバイビン変異体を有するアデノウイルスの吸入を伴う遺伝子治療により、肺動脈高血圧症が治療された。
【0354】
サバイビンの発現は過剰増殖性の新生血管系においてアップレギュレートされる(Simosa,H.F.et al.,J.Vase.Surg.41:682−690,2005)。サバイビンは、他のヒト硬化性プラーク及び狭窄静脈移植血管において特異的に発現した。大腿動脈のバルーン障害後過形成のウサギモデルにおいては、リン酸化欠損サバイビン変異体ベクターによる治療で新生内膜領域が減少した。サバイビン発現と血管傷害後の平滑筋細胞表現型の調節とが相関することにより、サバイビンが血管疾患の治療における治療法のための標的であることが指摘される。
【0355】
サバイビンは、本明細書中に記載の経路のうちの1以上を介しての、本明細書中に開示される化合物の投与による標的化に適している。特定の作用態様に縛られないが、本明細書中に開示される化合物は、血管形成の関係から例えば、コーティングしたステントの形態で投与され得る。コーティングしたステントの調製方法は当該技術分野で説明されており、本発明の化合物の使用のため必要に応じて変更されよう。例えば、米国特許第No.7,097,850号には種々の生物活性化合物によるステントのコーティング方法が開示及び教示されている。米国特許第No.7,087,078号には少なくとも1の有効成分を伴うステントの調製方法が開示されている。冠状動脈及び末梢のステントは両方とも本明細書中に開示される1以上の化合物を包含するのに適している。薬剤をコーティングしたステントに関する更なる教示はGrube,E.et al.、Herz 29:162−6(2004)及びW.L.Hunter,Adv.Drug Deliv.Rev.58:347−9(2006)において入手できる。
【0356】
骨髄細胞は移植が関係するアテローム性動脈硬化症の一因となる(Sata,M.,Trends Cardiovasc.Med.13:249−253,2003)。骨髄細胞は機械的血管損傷後の損傷形成の発症の一因にもなる(Sata,M.et al.,Nat.Med.8:403−409,2002)。従って、本発明の1以上の化合物でアテローム性動脈硬化症及び血管損傷を治療することにより、血管損傷形成の低減が達成され得る。
【0357】
サバイビンは静脈移植血管過形成においても役割を果たす(Wang,G.J.et al.,Arterioscler.Thromb.Vase.Biol.25:2091−2087,2005)。バイパス移植ではよく、内膜過形成、内膜肥厚により特徴づけられる線維増殖性病変が発達する。ウサギの静脈移植血管がアデノウイルス性のサバイビンコンストラクトで治療された。アデノウイルスで治療された移植血管すべてで導入遺伝子の発現が証明された。ドミナントネガティブ型変異アデノウイルスによる治療で移植リモデリングの初期における細胞増殖が減少した。当該データにより、この系においても同様に、静脈移植血管リモデリングの調節におけるサバイビンの重要な役割についての証拠が提供され、そしてバイパス移植と併用する、本発明の化合物の役割が更に支持される。
【0358】
リンパ脈管筋腫症(LAM)は、結節性硬化症を伴う一部の患者に生じる疾患である(Moss,J.et al.,Am.J.Respir.Crit Care Med.163:669−671,2001)。
【0359】
LAMにおける嚢胞性肺疾患は、平滑筋細胞の異常な増殖により特徴づけられる。本明細書中で開示される化合物には、細胞増殖の調節及び軽減、従って臨床症状の緩和における用途が見出されると期待される。
【0360】
TGF−βの役割
肺線維症においては、薄い正常な肺組織が、血液への酸素流入を損なう、厚くて粗い瘢
痕組織に置き換わり、肺機能の喪失をもたらす。過剰なTGF−βが線維症の直接の原因であることを示唆する研究が相次いでいる。マウスにおいて、このTGF−βの過剰発現が肺線維症を引き起こすことが示されている。異常に高いTGF−βシグナルが、健康な肺の上皮細胞を、アポトーシスを介して死亡させる。細胞死により健康な肺組織の、厚くて機能性に乏しい瘢痕組織への置換がもたらされる。健康な上皮細胞のアポトーシスが、肺線維症の発症に先立って要求される(Elias et al)。線維性肺疾患治療の1形態には、TGF−βを特異的に阻害する薬物を投与し、ひいてはアポトーシスを阻止し、肺において線維性組織の形成を阻止することが包含される。しかしながら、以下で検討する理由により、TGF−βそれ自体は、治療の理想的な標的ではないかもしれない。
【0361】
TGF−βは、細胞増殖及び分化、アポトーシス、細胞外マトリクス(ECM)沈着及び細胞接着に関わる分泌性ポリペプチドシグナル伝達分子からなる形質転換増殖因子スーパーファミリーのメンバーである。TGF−βは細胞増殖の強力なインヒビターであり、免疫抑制特性を有する。しかしながら、TGF−βは線維症につながるECMのコンポーネントの沈着も引き起こす。線維症発症における鍵調節因子としてのTGF−βの役割は、線維芽細胞に対する化学誘引物質として作用するその能力、線維芽細胞のプロコラーゲン遺伝子発現/コラーゲンタンパク質合成を刺激する能力、及びコラーゲン分解を阻害する能力に関係する。TGF−βは、ECMプロテアーゼ群の発現を阻害することにより、及びECMプロテアーゼインヒビターの発現を刺激することにより、ECMを更に安定化する。線維素溶解系はECMの蓄積及び線維症において不可欠である。線維素溶解の阻害によりフィブリン及びECMの蓄積がもたらされる。プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(PAI−1)は線維素溶解の鍵インヒビターである。PAIプロモーターは、TGF−βによるPAI−1誘導を促進するAP−1及びSmad結合エレメントを含む、いくつかの転写因子結合部位を含有する。PAI−1は、組織型プラスミノーゲンアクチベーター(TPA)及びウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA)の両方の、主要なインヒビターである。従って、TGF−β及びPAI−1はタンデムにはたらき、線維症の特徴的な組織を生成する。
【0362】
ブレオマイシン誘導性肺線維症(PF)モデルにおいては、PAI−1遺伝子が欠失したマウスは、PF発症から防護された。更に、肺のヒドロキシプロリンの産生及びブレオマイシン誘導性の肺コラーゲンの増加は、共に線維症の顕著な特徴であるが、アデノウイルスを介してuPA遺伝子を肺へ導入すると、それらが有意に減少し、また弱められた。TGF−βシグナル伝達経路は複雑である。TGF−βファミリーのメンバーは、セリン/スレオニンレセプターキナーゼの特定のペアに結合する。結合に際しては、リガンドが2つのI型レセプター及び2つのII型レセプターを集合させて複合体にするよう作用する。II型レセプターはI型レセプターをリン酸化し、I型レセプターは次いで、細胞内物質のSmad2及びSmad3をリン酸化する。次いで、この複合体はSmad4に結合してシグナル伝播のために核へ移行する。TGF−βは、MAPK経路を介してAP−1(AP−l)の転写も活性化する。TGF−βは元来、初期の肺又は肝臓への炎症及び傷害の後に、当該組織において「治療分子」として作用するのかもしれない。しかしながら、継続的な炎症/傷害により、過剰な線維化蔓延及びECM沈着にバランスがシフトし、「終わりなき治療」過程及び線維症の発症につながり得る。従って、TGF−βの完全な阻害により、最初は治療過程を損ない得る。
【0363】
TGF−βは、COPD患者の気道上皮及び末梢気道のマクロファージで高発現している。コルチコステロイド及びインターフェロン−γ等の、PFを治療するための抗炎症療法の使用は、効果のばらつきや重大な副作用のために、期待はずれとなっている。従って、患者に見られる線維症の進行防止又は治療のための重要な目標は、予め同定された、線維症の発症に関わる分子経路(即ち、TGF−βシグナル伝達)と相互作用する小分子を同定することである。
【0364】
Wntシグナル伝達とヒトの疾患
脊椎動物のWntタンパク質は、Drosophilaのwingless遺伝子のホモログであり、細胞分化、増殖、及び極性の調節において重要な役割を果たすことが示されている。Cadijan,K.M.et al.,Genes Dev.11:3286−3305(1997);Parr,B.A.et al.,Curro Opin.Genet.Dev.4:523−528(1994);Smalley,M.J.et
al.,Cancer Met.Rev.18:215−230(1999);and
Willert,K.et al.,CUIT.Opin.Genet.Dev.8:95−102(1998)。Wntタンパク質は、少なくとも3つの公知の経路を通じてシグナルを伝達する、システインリッチな分泌性糖タンパク質である。これらのうち最もよく理解され、一般に標準経路と呼ばれる経路は、細胞表面レセプターfrizzled及び細胞表面低密度リポタンパク質共受容体へのWntタンパク質の結合を包含し、それによってグリコーゲンシンターゼキナーゼ313(GSK−313)による細胞骨格タンパク質β−カテニンのリン酸化を阻害する。次いで、このリン酸化過少のβ−カテニンは核へと移行し、そこで転写因子のLEFITCFファミリーのメンバーと結合する。β−カテニンの結合によりLEF/TCF因子がリプレッサーからアクチベーターへと転換し、それによって細胞特異的な遺伝子転写のスイッチをオンにする。Wntタンパク質がシグナル伝達し得る他の2経路は、カルモジュリンキナーゼII及びプロテインキナーゼC(Wnt/Ca++経路として知られる)又はjun N−ターミナルキナーゼ(平面内細胞極性経路としても知られる)のいずれかの活性化を通したものである。
【0365】
Wnt経路のいくつかのコンポーネントはヒト及びマウスにおける腫瘍形成に関係しているが、それらの研究が、ひいてはβ−カテニンの役割を同定している。Wnt1は、マウスにおいて乳腺腫瘍を引き起こす、レトロウイルスの組み込みから最初に同定された。Tsukamoto,A.S.et al.,Cell 55:619−625(1988);and Jue,S.F.et al.,Mol.Cell.Biol.12:321−328(1992)。乳腺におけるプロテインキナーゼCK2の過剰発現により、β−カテニン依存性のWntシグナル伝達が促進されるが、トランスジェニックマウスにおいては乳腺腫瘍の発生率も増加する。Landesman−Bollag,E. et
al.,Oncogene 20:3247−3257(2001);and Song,D.H.et al.,J.Biol.Chem.275:23790−23797(2000)。Wntシグナル伝達と腫瘍形成との最も克明な相関が、腸管上皮で明らかとなっている。幾例かの結腸腫瘍におけるβ−カテニン自体の変異が、いくつかの報告に記載されているが、これらの変異はGSK−313リン酸化部位か、又はその付近に生じている。Polakis,P.et al.,Adv.Exp.Med.Biol.470:23−32(1999);and Morin,P.J.et al.,Science 275:1787−1790(1997)。Chilosiと協力者ら(Chilosi,M.et al.,Am.J.Pathol.162:1497−1502,2003)は、IPF患者においてβ−カテニンの変異を調査したが、何も同定しなかった。これは、Wnt経路の異常な活性化は応答であってIPFの原因ではないとする機序と一貫する。
【0366】
肺発生とWntシグナル伝達
肺は、マウスにおいては原始前腸内胚葉から、マウスの発生過程の間の、おおよそE9.5から開始して生じる。(Warburton,D.et al.,Mech.Dev.92:55−81,2000.)この原始上皮は、中胚葉に由来する多能性間葉細胞で囲まれるが、これらは時間どおりに、気管支及び血管平滑筋、肺線維芽細胞、及び血管の内皮細胞を含むいくつかの細胞系統に分化する。妊娠期間に気道上皮が生じ、分岐形態形成と称する過程を通じて成長する。この過程により、出生後の呼吸のための十分な表面領
域を形成するのに必要な気道の三次元樹状ネットワークが生じる。マウス胚の肺発生は:胚芽期(E9.5〜E12.5)、偽腺状期(E12.5〜E16.0)、管状期(E16.0〜E17.5)、及び嚢胞/肺胞期(E17.5〜出生後)の少なくとも4段階に分けられ得る。
【0367】
発生の間に、上皮−間充組織シグナル伝達は、上皮細胞及び間葉細胞の両方の分化及び発生の調節において重要な役割を果たす。気道上皮には、骨形成ファミリーのメンバー(BMP−4)、形質転換増殖因子ファミリーのメンバー(TGF−β1、−2)及びソニック・ヘッジホッグ(SHH)を含む、いくつかの重要なシグナル伝達分子が発現しており、隣接する間充組織へシグナルを伝達する。すると今度は、間充組織でFGF−7、−9、及び−10等のいくつかのシグナル伝達分子が発現するが、これらは肺の上皮組織の発生及び増殖に重要である。マウスでのgain of function型及びloss of function型の実験により、肺上皮及び間充組織の増殖及び分化の調節におけるこれら各因子の重要な役割が証明されている。Bellusci,S.,et al.,Development 1997,124:4867−4878;Simonet,W.S.,et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 1995,92:12461−12465;Clark,lC.,et al.,Am.J.Physiol.2001,280:L705−L715;Min,R.,et al.,Genes Dev.1998,12:3156−3161;Motoyama,I.,et al.,Nat.Genet.1998,20:54−57;Litingtung,Y,et al.,Nat.Genet.1998,20:58−61;Pepicelli,C.V.,et al.,Curro Biol.1998,8:1083−1086;Weaver,M.,et al.,Development 1999,126:4005−4015。
【0368】
Wntシグナル伝達は肺発生の間も役割を果たす。発生中の肺及び成人の肺においては、Wnt2、Wnt2b/13、Wnt7b、Wnt5a及びWnt11を含む、いくつかのWnt遺伝子が発現する。Kispert,A.,et al.,Development 1996,122:3627−3637;Lin,Y.,et al.,Dev.Dyn.2001,222:26−39;Monkley,S.l,et al.,Development 1996,122:3343−3353;Yamaguchi,T.P.,et al.,Development 1999,126:1211−1223;Weidenfeld,J.,et al.,J.Biol.Chem.2002,277:21061−21070。これらのうち、Wnt5a及びWnt7bは肺発生の間に、専ら発生中の気道上皮に高レベルで発現する。マウスにおいて、Wnt2、Wnt5a及びWnt7bが相同組換えにより不活化されている。Wnt2ヌルマウスは明確な肺の表現形を示さず、Wnt5aヌルマウスは後期の肺成熟に欠陥があるが、これはWnt5aが肺発生の後期において発現することと対応する(Monkley,(1996);Li,C.et al.,Dev.Biol.248:68−81(2000)。Wnt7bの不活化により、胚以降の組織の欠陥のために胚が早期に死ぬか、又は肺発生の欠陥のために出産前後期に死ぬかのいずれかとなる。Parr,B.A.,et al.,Dev.Biol.237:324−332(2001);Shu,W.et al.,Development 129:4831−4842(2002))。これらの肺の欠陥としては、間充組織増殖の減少、分枝の減少により引き起こされる肺形成不全、及び肺における血管からの出血につながる肺血管平滑筋の欠陥が挙げられる(Shu,W.(2002))。従って、Wntシグナル伝達は、おそらく自己分泌及び傍分泌の両方のシグナル伝達機構を通じて、妊娠期間の間の上皮及び間充組織の両方の発生の重要局面を調節する。
【0369】
核β−カテニンの蓄積は、ヒト成体の肺において、上皮及び間葉(筋線維芽細胞)の両
方の細胞系統において観察されている。マウスの肺発生の間のこれらの観察は、他の報告により支持される(Tebar,R.,et al.,Mech.Dev.109:437−440(2001))。II型肺細胞は胚及び成体の両方において、高レベルのβ−カテニンを発現すると見られる(Tebar,2001)。II型細胞はI型細胞の前駆細胞であり、肺におけるガス交換のために重要な、散気可能な薄い層を形成する。肺上皮再形成のいくつかのモデルにおいては、II型細胞は再び細胞周期に入り、増殖し、そしてI型細胞へと分化することが示されている(Borok,Z.et al.,Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.12:50−55(1995);Danto,S.l.et al.,Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.12:497−502(1995))。
【0370】
重要なことだが、II型細胞は、特発性線維症(IPF)及び他の増殖性の肺疾患の間に過剰に増殖する。そしてこれらの細胞における核β−カテニンの増大により、Wntシグナル伝達がこの増殖を調節することが示唆される。(Kawanami,O.,et al.,Lab.Invest.46:39−53(1982);Kasper,M.et al.,Histol.Histopathol.11:463−483(1996))。過剰な増殖は多くの場合、細胞分化と対立的なので、IPFにおけるII型細胞の増殖促進により、それらのI型細胞への分化も阻害され得る。これに関連して、肺においては、いくつかの重要な転写及びシグナル伝達調節因子の発現が、在胎月齢に伴って減少することに留意するのは重要なことだ。これらのうちいくつか、BMP−4,GATA6及びFoxa2等の強制発現により、肺上皮成熟停止の態様を多く示す肺発生の異常がもたらされる(Weaver,1999;Koutsourakis,M.et al.,Mech.Dev.105:105−114,2001;Zhou,L.et al.,Dev.Dyn.210:305−314,1997)。従って、正常な肺発生には、いくつかの調節遺伝子の正確な時空間的発現の綿密なバランスが必要であり、これらの経路の不適切な活性化により、上皮の分化における重篤な欠陥がもたらされ得る。
【0371】
核β−カテニンは気道上皮に隣接する間充組織中に見出される(Chilosi,2003)が、このことは、特にこれらの細胞は性質が筋線維芽細胞様であり、肺中の気管支及び血管の平滑筋に寄与し得るので、重要である。これらの間葉細胞におけるWntシグナルは、性質が自己分泌的であり得るが、おそらく間葉細胞は、Wnt5a及びWnt7b等のWntが発現する気道上皮からの傍分泌シグナルに応答している。このように上皮は、隣接する間充組織においてWntシグナル伝達の異常な活性化を引き起こす原因であり得、線維症の増大及び肺への損傷につながる。IPF患者の気道においてII型細胞の数が増加することから、このことは特に関連がある。これはまた、I型細胞が稀少である肺胞における胚期の表現型への転換も反映しているのかもしれない。ひいてはこれにより、出生後の発生において発現が劇的にダウンレギュレートされるWnt7b等のWntを含む、いくつかの遺伝子の発現上昇がもたらされる(Weidenfeld,2002;Shu,2002)。Wntレベルの増加によって、修復過程が損なわれ、I型細胞等の、より成熟した肺胞細胞の適切な分化が阻害され得る。
【0372】
β−カテニンの核移行はWntシグナル伝達活性の結果であることから、それが末梢気道上皮組織及び気道上皮に隣接する間充組織等の細胞中に存在することにより、上皮組織−間充組織のWntシグナル伝達は活性があって、肺の発達の間及びIPF等の疾患状態の間の両方で重要な役割を果たし得ることが示唆される。
【0373】
Wntシグナル伝達による細胞−マトリクス相互作用の調節
Wntシグナル伝達と細胞接着及び移動を含む細胞−マトリクス相互作用の調節との関連が示されている。特に、Wntシグナル伝達が黒色腫細胞の細胞移動性と侵襲性に影響を与えることが示されている(Weer arana,A.T.et al.,Canc
er Cell 1:279−288(2002))。この系において、Wnt5aを過剰発現する黒色腫細胞は、アクチン細胞骨格の再構築に関連する、接着性の増大を示す(Weer,2002)。これらのデータにより、Wnt5a発現が黒色腫腫瘍の転移能に直接関係することが示唆される。IPFの肺組織において(Chilosi,2003)は、高レベルの核β−カテニンを含有する細胞のうちのいくつかにおいて、重要な細胞外マトリクスメタロプロテイナーゼ、マトリリシンが過剰発現した。これは、マトリリシンがWntシグナル伝達の分子標的であることを示す以前の研究により支持される(Crawford,H.C.,Oncogene 18:2883−2891,1999)。マトリリシンは小腸癌及び子宮内膜癌の両方において、発癌における役割に関連している。マトリリシン発現の増大は核β−カテニン発現の増大と強く相関し、この核移行の阻害はマトリリシン発現の減少をもたらす(Crawford,1999)。特定の仮説に縛られないが、そのメカニズムはマトリリシン発現の増大に起因する細胞外マトリクスの分解の増加を包含し、細胞接着の低減と細胞移動性の増加につながり得る。IPFにおいては、これで上皮細胞及び間葉細胞の両方の、障害後気道構造を適切に再構築する能力が低減し得る。更に、I型細胞の分化には細胞外マトリクスの完全性が必要であり得るが、それはそれらが扁平な形態であること及びそれらが肺胞において被覆する表面領域が非常に広いからである。この過程はII型細胞の増殖の増加に寄与し得、ひいてはI型細胞分化を減少させ得る。
【0374】
Wntシグナル伝達とIPF
特定の仮説に縛られないが、いくつかのモデルで、IPFにおいてWntシグナル伝達が異常に活性化されるという知見を説明し得る。第一に、Wntシグナル伝達経路の無秩序な活性化が肺障害又は修復過程のいずれかへの生理学的応答となり得るが、これは恐らく、II型肺胞上皮及び隣接する筋線維芽細胞等の細胞の増殖においてWnt経路が必要なためである。このモデルにおいては、一度修復過程が完了すると、Wntシグナル伝達が失活して、正常な増殖への回帰につながらなくてはならない。第二のモデルにおいては、異常なWntシグナル伝達はII型細胞における細胞増殖の増加につながる初期イベントであり、これがそのI型細胞への分化能及び肺胞構造の適切な再構築を阻害し得る。標準的なWn経路のいくつかのコンポーネント又はこの経路を調節する調節分子における傷害誘導性又は自発性のいずれかの変異が、この細胞増殖の異常調節をもたらし得る。肺の他の増殖性疾患において核β−カテニンがアップレギュレートされるという事実により、以前のデータ(Chilosi,2003)は、IPFにおける応答であり、原因となる主要なイベントではないかもしれないということが示唆される。その上、存在する核β−カテニンの増加と合わせ、II型細胞及び間葉性線維芽細胞の無秩序増殖により、IPF等の肺疾患においてはWnt経路が継続的に刺激されること、及びWntシグナル伝達の阻害剤がこの増殖の制御手段を提供し得ることが示唆される。核β−カテニンの増加は、筋線維芽細胞と記載される、気道上皮に隣接する間充組織で検出された(Chilosi,2003)。これらの筋線維芽細胞は、おそらく細胞外マトリクスの分解を通じて、隣接する上皮細胞において、in vitro及びin vivoでアポトーシスを誘導し得る(Ubal,B.D.et al.,Am.J.Physiol.275:L1192−L1199,1998;Dhal,B.D.et al.,Am.J.Physiol.269:L819−L822,1995;Selman,M.et al.,Am.J.Physiol.279:L562−L574,2000)。更に、IPFにおいては、上皮再形成の欠如又は、あるとすればわずかなI型細胞の成熟を伴う、II型細胞の増加のいずれかが起きるように思われ、傷害領域で中胚葉性のコンポーネントが露出するか、又は未成熟II型細胞により上皮が再形成される。IPFにおいて、II型細胞は高レベルの、線維化促進性のサイトカインであるTGF−β1を発現することが証明されているので、いずれかのシナリオでこれら傷害領域の適切な上皮再形成が阻害され、線維症がもっと引き起こされるのだろう(Kapanci,Y.,et al.,Am.J.Respir.Crit.Care Med.152:2163−2169,1995;K
halil,N.,et al.,Am.1.Respir.Cell Mol.Biol.5:155−162,1991)。この過程はチェックされずに進行し得、結局は組織構造の大規模変化、結果的な組織破壊、及び肺機能の喪失をもたらす。
【0375】
結合組織増殖因子(CTGF)は36〜38kDの、349アミノ酸を含むシステインリッチなペプチドであり、増殖因子のCCNファミリー(CTGF,cyr 61/cef 10,nov)に属する。CTGFの遺伝子は、ヒト臍帯内皮細胞のcDNAライブラリーから最初にクローニングされた。CTGFは内皮細胞、線維芽細胞、軟骨細胞、平滑筋細胞、及びいくつかの癌細胞株で検出されている。より初期の研究では、ヒト包皮線維芽細胞においてTGF−βlが、CTGFmRNAを顕著に増加させることが明らかとなった。PDGF,EGF,及びFGFもCTGF発現を誘導することが示されたが、それらの効果は単に一過的であり、弱かった。
【0376】
結合組織増殖因子は多様な生物活性を有する。細胞種に依存するが、CTGFは有糸分裂誘発、走化性、ECM産生、アポトーシス、及び血管形成を引き起こすことが示された。より初期の研究において、CTGFは線維芽細胞に対して有糸分裂誘発及び走化性の効果を有することが指摘された。CTGFは線維芽細胞において、α1(I)コラーゲン、フィブロネクチン、及びインテグリン(as integrin)のmRNA発現を亢進するとも報告された。TGF−βがCTGF合成を増大させるという知見及びTGF−β及びCTGFが多くの機能を共有するという知見は、CTGFがTGF−βの下流の調節因子であるという仮説と一貫している。
【0377】
CTGFが、細胞に対してその効果(特にそのシグナル伝達)を発揮するメカニズムは依然としてよくわかっていない。CTGFは線維芽細胞表面に高親和性で結合すると報告され、且つこの結合は組換えPDGF BBと競合した。これはCTGFがあるクラスのPDGFレセプターに結合するか、又はPDGF BBとCTGFレセプターとの交差反応がある程度あることを示唆する。
【0378】
結合組織増殖因子mRNAは、全身性硬化症患者の硬化症の病班の線維芽細胞中に検出されている。限局性強皮症の患者においては、CTGFmRNAは炎症段階の組織よりも硬化症段階の組織において線維芽細胞中により多く検出されたが、このことはCTGFと線維症との密接な相関関係を示唆する。ケロイド及び他の線維性疾患においても同様の結果が得られた。次いでCTGF発現が、肝線維症、肺線維症、及び心臓線維症等の種々の線維症において報告されている。
【0379】
CTGFは強皮症(sclerodelma)という皮膚線維症にも関係する。しかし、線維症におけるCTGFの詳細な役割は依然不明である。この点を明らかにするために更なる研究が必要である。
【0380】
CCNファミリーはシステインリッチ61(CYR61/CCN1)、結合組織増殖因子(CTGF/CCN2)、腎芽細胞腫過剰発現(NOV/CCN3)並びにWnt誘導性分泌タンパク質1(WISP−1/CCN4)、2(WISP−2/CCN5)及び3(WISP−3/CCN6)を含む。これらのタンパク質は有糸分裂、接着、アポトーシス、細胞外マトリクス産生、増殖停止及び多数の細胞種の移動を刺激する。おそらくこれらの活性の多くはCCNタンパク質の、細胞表面インテグリンへ結合してそれを活性化する能力により生じる。
【0381】
Wnt及びBMPシグナル伝達の可能性のある標的として結合組織増殖因子(CTGF)が同定されている。CTGFはB:MP9及びWnt3A刺激の初期段階でアップレギュレーションされて、且つWnt3Aにより調節されるCTGF発現はβ−カテニン依存
性であったことがマイクロアレイの結果により確認され、実証された。
【0382】
上記各状態には、本発明の1以上の化合物による治療から利益がもたらされ得る。上記の各タイプの線維症は本発明の1以上の化合物により治療され得る。
【0383】
以下の比限定的実施例により本発明の化合物、組成物、及び使用方法を説明する。
【実施例】
【0384】
実施例
実施例を参照して本発明を更に詳しく説明する。しかしながら、本発明の範囲は以下の実施例に限定されない。実施例において、薄層クロマトグラフィー(TLC)については、Precoated Silica Gel 60 F254(Merck製、製品番号:5715−1M)を用いた。クロロホルム:メタノール(1:0〜1:1)又は酢酸エチル:ヘキサン(1:0〜0:1)で展開後、スポットを、UV(254nm)照射或いはニンヒドリン又はリンモリブデン酸のエタノール溶液で発色することにより観察した。有機溶媒の乾燥のためには、無水硫酸マグネシウム又は無水硫酸ナトリウムを用いた。カラムクロマトグラフィーに関しては、表示「Buch」はBuchのセパコア分取クロマトグラフィーシステム(Buch製)の使用を意味し、サンプル量によって、同一製造業者により製造されたカートリッジカラムSi6M−12×75mm、12×150mm、40×75mm及び40×150mmから選ばれる1個又は数個のカラムを、使用した。カラムクロマトグラフィーに関しては、表示「Purif」は、Moritex Purif分取カラムクロマトグラフィーシステム(Moritex製)の使用を意味し、サンプル量によって、同一製造業者により製造されたカートリッジカラム20、35、60、200及び400から選ばれる1個又は数個のカラムを、使用した。フラッシュカラムクロマトグラフィーについては、Silica gel 60N(球形、中性、40〜100μm、関東化学製)を用いた。サンプル量により、PLC Plate Silica Gel 60 F254(20×20cm、厚さ:2mm、濃度帯:4cm、Merck製、製造番号:13793−1Mを使用)の1又は数枚のプレートを用いることにより、分取薄層クロマトグラフィー(以後、「PTLC」と略す)を行った。
【0385】
表示「LCMS」は、質量スペクトルを液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)により測定したことを意味する。LCタイププラットフォームの質量分析機器ZQ2000(Micromass製)を質量分析器として用いて、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法により測定を行った。液体クロマトグラフィー機器としては、waters製の機器を用いた。分離カラムとしては、以下に言及する(menthioned)表において、方法「A」についてはDevelosil C30−UG−5(50×4.6mm、野村化学株式会社)を、又はAgilent ZOBAX SB−C(2.1×50mm、Agilent)を用いた。溶出は流速1ml/minuteで行い、方法「A」については、溶媒として溶液A=水[0.1%(v/v)ギ酸含有]及び溶液B=アセトニトリル[0.1%(v/v)ギ酸含有]を用いた。他の溶出方法は以下に示すとおり行った。
【0386】
以下に言及する表において、「RT」で表示するデータは液体クロマトグラフィーの保持時間のデータを意味する。「Mass」の列においては、質量分析のデータを示す(「N.D」の表示は分子イオンのピークが検出されないことを意味する)。「方法」の列においては、液体クロマトグラフィーの溶出条件を記載する。液体クロマトグラフィーにおける保持時間の表示については、溶出条件についての「A」の表示は、測定を5〜100%(v/v)溶液B0分〜5分、次いで100%溶液B6分までのリニアーグラジエントでの溶出により行ったことを意味する。
【0387】
表においては、レポーター遺伝子アッセイで決定された、10マイクロM(μM)の濃度で50%を上回る阻害活性を有する化合物を以下に示す。
【0388】
レポーター遺伝子アッセイ
Wntシグナル伝達経路の阻害作用に関するスクリーニングは、ステ−ブルにトランスフェクトされた細胞株、Hek−293,STF1.1.を用い、以下の手順に従って行われた。
生育培地:SuperTOPFLASHにドライブされるルシフェラーゼ遺伝子のセレクションを維持するために400mg/mLのG418を加えたDMEM,10%FBS,ペニシリン−ストレプトマイシン。
1.アッセイの前日、細胞を乳白色の96ウェルプレートに、ウェル当たり完全成育培地200μl中20,000細胞で分配する。
2.プレートを37℃、5%CO
2で1晩インキュベートし、細胞を付着させる。
3.翌日、試験するインヒビターを、G418を除いた完全増殖培地中に、所望の最終濃度の2×で調製する(全ての条件をデュプリケートで行う)。
4.マルチピペッターを用いて各ウェルから古い培地を丁寧に除去する。
5.インヒビターを含有する50μlの新鮮な(G148を除いた)増殖培地を各ウェルに加える。
6.培地のみを含有する2ウェル、刺激のコントロールについての2ウェル、DMSOコントロールについての2ウェル、及びポジティブコントロール、ICG−001(2、5、及び10マイクロモラー)についてのウェルを含むことを確認する。
7.すべてのインヒビター及びコントロールを一度に加え、プレートを37℃、5%CO
2で1時間インキュベートする。
8.プレートをインキュベートしている間に、新鮮な20mM LiClを、(G148を除いた)完全増殖培地中に調製する。
9.1時間後、プレートをインキュベーターから取り出し、(単なる完全培地50μlを加える)未刺激のコントロールの2ウェルを除く各ウェルに、20mMLiClを含有する培地50μlを加える。
10.プレートを37℃、5%CO
2で24時間インキュベートする。
11.24時間後、各ウェルに100μlのBrightGlo(Promega,カタログ番号:G7573)を加える。
12.溶解の完了を確実にするために、プレートを5分間震盪する。
13.PackardのTopCountでプレ−トを読む。
【0389】
実施例の多くの化合物が阻害活性を示した。例えば、実施例I−2、I−253、I−254、I−255、I−257、I−259及びI−260の化合物が、10μMの濃度で1%以上50%以下、50%未満の阻害活性を示した。更に、実施例I−4、I−250、I−251、I−252、I−261、I−262、I−268、I−270及びI−271の化合物が、10μMの濃度で50%以上の優れた阻害活性を示した。
【0390】
[実施例XXXVIII−1]
(S)−ベンジル 1−(メトキシ(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(化合物XXXVIII−1)の合成
N−メトキシ−N−メチルアミン塩酸塩21.95g(225mmol)の1N水酸化ナトリウム225ml溶液に(S)−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)プロパン酸33.48g(150mmol)及び4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド62.26g(225mmol)のアセトニトリル(acetnitrile)225ml溶液を加え、混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残渣を酢酸エチル600mlで希釈し、水300ml及びブライン300mlで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過
し、母液を減圧下濃縮して標題化合物42g(93%)を得た。
【0391】
[実施例XX−1]
(S)−ベンジル 1,1−ジエトキシプロパン−2−イルカルバメート(化合物XX−1)の合成
(S)−ベンジル 1−(メトキシ(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(化合物XXXVIII−1)5.33g(20.0mmol)のテトラヒドロフラン40ml溶液に2M水素化アルミニウムリチウムのテトラヒドロフラン10ml溶液を0℃で0.5時間加えた。結果生じる溶液を室温で2時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液10mlを滴下して加えた。沈殿物をセライトで濾過し、メタノール50mlで洗浄した。母液を減圧下濃縮し、残渣を酢酸エチル200mlで希釈し、水100ml及びブライン100mlで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、母液を減圧下濃縮した。残渣をエタノール50mlで希釈し、混合物を4N塩酸のジオキサン0.25ml溶液に加えた。反応混合物を18時間還流し、減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチル200mlで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム200ml及びブライン200mlで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、母液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=100:0〜80:20)で精製して標題化合物3.55g(63%、2段階)を得た。
【0392】
[実施例XIV−1]
(S)−1,1−ジエトキシプロパン−2−アミン(化合物XIV−1)の合成
(S)−ベンジル 1,1−ジエトキシプロパン−2−イルカルバメート(化合物XX−1)844mg(3.00mmol)のメタノール50ml溶液に5%パラジウム炭素30gを加え、混合物を水素雰囲気下、室温で2時間攪拌した。反応混合物をセライトで濾過し、メタノール200mlで洗浄し、母液を減圧下濃縮して標題化合物442mg(100%)を得た。
【0393】
[実施例IV−1]
N−ベンジル−2,2−ジエトキシエタンアミン(化合物IV−1)の合成
ベンズアルデヒド5.1ml(50.0mmol)の2,2−ジエトキシエタンアミン10.9ml(75.0mmol)溶液を室温で0.5時間攪拌した。反応混合物をテトラヒドロフラン450mlで希釈し、トリアセトキシボロヒドリド32.0g(150mmol)を加えて混合物を一晩攪拌した。反応混合物を酢酸エチル500mlで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム500ml、水500ml及びブライン500mlで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。濾液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=70:30〜50:50)で精製して標題化合物7.8g(収率70%)を得た。
【0394】
表Iに示す以下の化合物を、上記方法と同様の方法により得た。
表I
【0395】
【表1】
【0396】
[実施例IV−7]
N−(2,2−ジエトキシエチル)−3−メチルブタン−1−アミン(化合物IV−7)の合成
2,2−ジエトキシエタンアミン2.91ml(20mmol)のアセトニトリル50ml溶液に炭酸カリウム2.0g(15mmol)及び臭化イソアミル1.26ml(10mmol)のアセトニトリル20ml溶液を加え、混合物を65℃で一晩攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残渣を酢酸エチル100mlで希釈し、水100ml及びブライン100mlで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。濾液を減圧下濃縮してBuechのシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=90:10〜80:20)で精製し、標題化合物1.57g(77%)を得た。
【0397】
表IIに示す以下の化合物を、上記方法と同様の方法により得た。
表II
【0398】
【表2】
【0399】
[実施例IV−13]
(R)−2,2−ジエトキシ−N−(1−フェニルエチル)エタンアミン(化合物IV−13)の合成
(R)−(+)−1−フェニルエチルアミン66.6g(550mmol)のアセトニトリル300ml溶液に2−ブロモ−1,1−ジエトキシエタン41.3ml(270mmol)及び炭酸カリウム70.7g(405mmol)を加え、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残渣を酢酸エチル300mlで希釈し、水500ml及びブライン500mlで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。濾液を減圧下濃縮して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1及び1:1)で精製し、標題化合物46.0g(70%)を得た。
【0400】
表IIIに示す以下の化合物を、上記方法と同様の方法により得た。
表III
【0401】
【表3】
【0402】
[実施例IV−15]
(S)−N−ベンジル−1,1−ジエトキシプロパン−2−アミン(化合物IV−15)の合成
(S)−1,1−ジエトキシプロパン−2−アミン(化合物XIV−1)682mg(3.55mmol)のテトラヒドロフラン2ml溶液にベンズアルデヒド337mg(3.55mmol)を加え、混合物を室温で0.5時間攪拌した。反応混合物をテトラヒドロフラン3mlで希釈し、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド829mg(3.91mmol)を加えて混合物を室温で18時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル50ml
で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液50mlで2回、水50mlで2回及びブライン50mlで2回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、母液を減圧下濃縮して標題化合物826mg(98%)を得た。
【0403】
表IVに示す以下の化合物を、上記方法と同様の方法により得た。
表IV
【0404】
【表4】
【0405】
[実施例XV−1]
(S)−(9H−フルオレン−9−イル)メチル 1−(ベンジル(2,2−ジエトキシエチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(化合物XV−1)の合成
(S)−2−(((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニルアミノ)プロパン酸1.98g(6.0mmol)の溶液に1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1.01g(7.5mmol)及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド1.44g(7.5mmol)のジクロロメタン20ml溶液並びにN−ベンジル−2,2−ジエトキシエタンアミン(化合物IV−1)1.12g(5.0mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン61mg(0.5mmol)のジクロロメタン5ml溶液を加え、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を酢酸エチル20mlで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液20ml、水20ml及びブライン20mlで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。濾液を減圧下濃縮して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=90:10〜70:30)で精製し、標題化合物1.1g(収率42%)を得た。
【0406】
表V−1〜V−4に示す以下の化合物を、上記方法と同様の方法により得た。表中、「Int_1」は中間体化合物の番号を意味し、「Int_X」は対応するカルボン酸である。
【0407】
表V−1
【0408】
【表5-1】
【0409】
表V−2
【0410】
【表5-2】
【0411】
表V−3
【0412】
【表5-3】
【0413】
表V−4
【0414】
【表5-4】
【0415】
[実施例XV−60]
(9H−フルオレン−9−イル)メチル (S)−1−((S)−(1,1−ジエトキシプロパン−2−イル)(ベンジル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(化合物XV−60)の合成
(S)−2−(((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニルアミノ)プロパン酸68mg(0.22mmol)及びO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート84mg(0.22mmol)のジクロロメタン1ml溶液に(S)−N−ベンジル−1,1−ジエトキシプロパン−2−アミン(化合物IV−15)47mg(0.2mmol)及びN,N’−ジイソプロピルエチルアミン38ml(0.22mmol)のジクロロメタン1ml
溶液を加え、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を酢酸エチル50mlで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液50ml、水50ml及びブライン50mlで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。濾液を減圧下濃縮して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜7:3)で精製し、標題化合物48mg(45%)を得た。
【0416】
表VIに示す以下の化合物を、上記方法と同様の方法により得た。「Int_1」は中間体化合物の番号を意味し、「Int_X」は対応するカルボン酸である。
【0417】
表VI
【0418】
【表6】
【0419】
[実施例VI−1]
(S)−2−アミノ−N−ベンジル−N−(2,2−ジエトキシエチル)プロパンアミド(化合物VI−1)の合成
(S)−(9H−フルオレン−9−イル)メチル 1−(ベンジル(2,2−ジエトキシエチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(化合物XV−1)1.12g(2.1mmol)に25%−ピペリジン/ジクロロメタン16mlを加え、混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=100:0〜70:30、クロロホルム:
メタノール=100:0〜80:20)で精製し、標題化合物640mg(収率100%)を得た。
【0420】
表VII−1〜VII−4に示す以下の化合物を、上記方法と同様の方法により得た。表中、「Int_1」は中間体化合物の番号を意味する。
【0421】
表VII−1
【0422】
【表7-1】
【0423】
表VII−2
【0424】
【表7-2】
【0425】
表VII−3
【0426】
【表7-3】
【0427】
表VII−4
【0428】
【表7-4】
【0429】
[実施例VI−32]
(S)−2−アミノ−N−(2,2−ジエトキシエチル)−3−(ナフタレン−1−イル)−N−(3−フェニルプロピル)プロパンアミド(化合物VI−32)の合成
(S)−ベンジル 1−((2,2−ジエトキシエチル)(3−フェニルプロピル)アミノ)−3−(ナフタレン−1−イル)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(化合物XV−32)21.4g(36.8mmol)のメタノール200ml溶液に10%パラジウム炭素(8g)を加え、次いで混合物を水素雰囲気下、一晩攪拌した。混合物を濾過し、濾液を蒸発させて標題化合物14.5g(収率88%)を得た。
【0430】
表VIIIに示す以下の化合物を、上記方法と同様の方法により得た。表中、「Int_1」は中間体化合物の番号を意味する。
【0431】
表VIII
【0432】
【表8】
【0433】
[実施例V−1]
3−(3−ベンジルウレイド)チオフェン−2−カルボン酸(化合物V−1)の合成
メチル 3−アミノ−チオフェン−2−カルボキシレート9.43g(60mmol)のアセトニトリル12ml溶液に2N−水酸化ナトリウム36ml(72mmol)を加え、混合物を85℃で5時間攪拌した。反応混合物を2N−塩酸36ml(72mmol)で中和し、次いで飽和重炭酸ナトリウム溶液50ml及びベンジルイソシアネート7.41ml(60mmol)のアセトニトリル36ml溶液を加え、混合物を一晩攪拌した。反応混合物を2N−水酸化ナトリウム60mlで塩基性化し、エーテル100mlで洗浄した。水相を2N−塩酸85mlで酸性化した。水相を濾過してH
2Oで洗浄した。固形物を減圧下乾燥して標題化合物6.46g(収率39%)を得た。
【0434】
表IXに示す以下の化合物を、上記方法と同様の方法により得た。
【0435】
表IX
【0436】
【表9】
【0437】
[実施例V−3]
3−(3−(ピリジン−4−イルメチル)ウレイド)チオフェン−2−カルボン酸(化合物V−3)の合成
メチル 3−アミノチオフェン−2−カルボキシレート20.0g(0.127mol)の水150ml溶液に水酸化カリウム10.7g(0.191mol)の水溶液を加えた。結果生じる溶液を90℃に2時間加熱した。出発物質が消費されるまでTLCで検査した後、反応溶液を0℃に冷却した。次いでトリホスゲン18.9g(0.064mol)のトルエン150ml溶液を滴下して加えた。結果生じる溶液を室温で2時間攪拌した。残渣を濾過し、テトラヒドロフランから固形物を再結晶化して1H−チエノ[3,2−d][1,3]オキサジン−2,4−ジオン8.5g(収率40%)を得た。
上記化合物1.01g(6.0mmol)及び4−ピコリルアミン731μl(7.2mmol)のテトラヒドロフラン20ml溶液を室温で18時間攪拌した。TLCで検査した後、沈殿物を濾過し、テトラヒドロフラン20mlで洗浄して標題化合物1.47g(収率88%)を得た。
【0438】
表Xに示す以下の化合物を、上記方法と同様の方法により得た。表中、「Int_1」は中間体化合物の番号を意味する。
【0439】
表X
【0440】
【表10】
【0441】
[実施例XL−1]
エチル 2−(1−メチルヒドラジニル)アセテート(化合物XL−1)の合成
メチルヒドラジン7.13ml(150mmol)及びトリエチルアミン16.7ml(120mmol)の溶液にエチル 2−ブロモアセテート16.7g(100mmol)のジクロロメタン50ml溶液を加え、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を酢酸エチル300mlで希釈し、ブライン200mlで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、母液を減圧下濃縮して標題化合物10.2g(77%)を得た。
【0442】
[実施例XXXII−1]
エチル 2−(1−メチル−2−(ベンジルカルバモイル)ヒドラジニル)アセテート(化合物XXXII−1)の合成
エチル2−(1−メチルヒドラジニル)アセテート(化合物XL−1)10ml(76mmol)のテトラヒドロフラン40ml溶液にベンジルイソシアネート11.1g(83.3mmol)を0℃で加え、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を酢酸エチル150mlで希釈し、水75ml及びブライン75mlで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。濾液を減圧下濃縮して標題化合物15.2g(76%)を得た。
【0443】
[実施例VIII−1]
3−(3−ベンジルウレイド)プロパン酸(化合物VIII−1)の合成
β−アラニン5.0g(56mmol)のジクロロメタン56ml/テトラヒドロフラン56ml溶液にベンジルイソシアネート6.6ml(53mmol)を0℃で加えた。室温で一晩攪拌した後、反応混合物を酢酸エチル200mlで希釈し、水200ml及びブライン200mlで洗浄した。残りの溶液を減圧下、約100mlに濃縮した。混合物に1N水酸化ナトリウム溶液60mlを0℃で加えた。水相を3N HCl水溶液20mlで酸性化し、次いで酢酸エチル100mlで2回抽出した。抽出物をブライン50mlで洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。濾液を減圧下濃縮した。残渣にエーテル:ヘキサン=1:130mlを加え、沈殿物を濾過により回収して(corrected)標題化合物7.05g(59%)を得た。
【0444】
[実施例VIII−2]
2−(2−(ベンジルカルバモイル)−1−メチルヒドラジニル)酢酸(化合物VIII−2)の合成
エチル 2−(1−メチル−2−(ベンジルカルバモイル)ヒドラジニル)アセテート(化合物XXXII−1)1.33g(5.0mmol)のテトラヒドロフラン/メタノール/水(2:3:1)24ml溶液に水酸化リチウム一水和物420mg(10.0mmol)を加え、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を水25mlで希釈し、エーテル25mlで洗浄した。水相を10%−クエン酸25mlで酸性化し、クロロホルム30mlで抽出した。有機相をブライン25mlで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。濾液を減圧下濃縮して標題化合物1.05g(88%)を得た。
【0445】
[実施例XXXIV−1]
N−メチル−N’−tert−ブトキシカルボニルヒドラジン(化合物XXXIV−1)の合成
N−メチルヒドラジン5.27ml(100mmol)及びトリエチルアミン8.36ml(60.0mmol)のジクロロメタン200ml溶液に30%ベンゾキシルオキシカルボニルクロリドのトルエン11.37ml(20.0mmol)溶液を加え、混合物を0℃で1時間攪拌した。反応混合物をクロロホルム200mlで希釈し、ブライン200mlで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。母液を減圧下濃縮してN−ベンゾキシルオキシカルボニル−N−メチルヒドラジンを得た。該生成物を更に精
製することなく用いた。
上記化合物3.60g(20.0mmol)及び炭酸カリウム11.1g(80.0mmol)の水42ml溶液にジ−tert−ブチル ジカーボネート9.19ml(40.0mmol)のアセトニトリル18ml溶液を加え、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を酢酸エチル200mlで希釈し、水200ml及びブライン200mlで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。母液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Merck 60N 球形、クロロホルムによる中性溶出)で精製し、N−ベンゾキシルオキシカルボニル−N−メチル−N’−(tert−ブチオキシカルボニル(butyoxycarbonyl))ヒドラジン4.08g(72.8%)を得た。
上記化合物5.61g(20.0mmol)のメタノール80ml溶液に5%パラジウム炭素400mgを加え、混合物を水素雰囲気下、室温で一晩時間攪拌した。反応混合物をセライトで濾過し、メタノール400mlで洗浄した。母液を減圧下濃縮して標題化合物3.05g(80.1%)を得た。
【0446】
[実施例XLIII−1]
(R)−ベンジル 3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−ヒドロキシプロパノエート(化合物XLIII−1)の合成
4−ヒドロキシフェニルピルビン酸9.01g(50.0mmol)のテトラヒドロフラン120ml溶液にトリエチルアミン7.0ml(50.0mmol)を加え、混合物を−20℃で0.5時間攪拌した。(−)−B−クロロジイソピノカンフェニルボランの60%ヘキサン41.2ml(70.0mmol)溶液を反応混合物に滴下して加え、混合物を室温に加温し、6時間攪拌した。反応混合物に1N水酸化ナトリウム200ml溶液を加え、混合物をエチルエーテル200mlで洗浄した。水相に3N塩酸塩水溶液80mlを加え、混合物を酢酸エチル200mlで抽出した。有機相をブライン200mlで洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。濾液を減圧下濃縮し、残渣にnヘキサン:酢酸エチル=60:40、50mlを加え、沈殿物を濾過により回収して(corrected)(R)−2−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン酸5.53g(収率61%)を得た。
上記化合物2.73g(15.0mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド100ml溶液に、炭酸カリウム5.18g(37.5mmol)を加え、混合物を0℃で10分間攪拌した。臭化ベンジル3.92ml(33.0mmol)を滴下して加え、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を酢酸エチル300mlで希釈し、水300ml及びブライン300mlで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。濾液を減圧下濃縮し、残渣にnヘキサン:酢酸エチル=90:10、40mlを加え、沈殿物を濾過により回収して(corrected)標題化合物3.78g(収率69%)を得た。
【0447】
[実施例XXVII−1]
(S)−ベンジル 3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−ヒドロキシプロパノエート(化合物XXVIII−1)の合成
(R)−ベンジル 3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−ヒドロキシプロパノエート(化合物XLIII−1)1.81g(5.00mmol)及び2,6−ルチジン874μl(7.50mmol)のジクロロメタン15ml溶液にトリフルオロメタンスルホン酸無水物1.26ml(7.50mmol)を加え、混合物を0℃で0.5時間攪拌した。N−tert−ブトキシカルボニル−N’−メチルヒドラジン(化合物XXXIV−1)1.46g(10.0mol)を混合溶液に加え、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を酢酸エチル100mlで希釈し、水100mlで洗浄した。有機相をブライン100mlで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。母液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Merck 60N 球形、クロロホルムによる中性溶出)で精製し、標題化合物0.97g(17.3%)を得た。
【0448】
[実施例XXVIII−1]
(S)−ベンジル 3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イルオキシ)プロパノエート(化合物XXVIII−2)の合成
(R)−ベンジル 3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−ヒドロキシプロパノエート(化合物XLIII−1)18.1g(50.0mmol)のジクロロメタン80ml溶液にトリフルオロメタンスルホン酸無水物10.1ml(60.0mmol)及び2,6−ルチジン8.74ml(75.0mmol)を加え、混合物を室温で0.5時間攪拌した。反応混合物にN−ヒドロキシフタルイミド8.16g(50.0mmol)及びトリエチルアミン10.5ml(75.0mmol)を加え、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、酢酸エチル500mlで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム溶液500ml、水500ml及びブライン500mlで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。濾液を減圧下濃縮して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Merck 60N 球形、n−ヘキサン:酢酸エチル=90:10〜70:30による中性溶出)で精製し、標題化合物15.0g(収率59%)を得た。
【0449】
[実施例XVIII−1]
(S)−ベンジル 3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−(1−メチルヒドラジニル)プロパノエート(化合物XVIII−1)の合成
(S)−ベンジル 3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−N’−メチルヒドラジニル)プロパノエート(化合物XXVII−1)491mg(1.00mmol)のジクロロメタン1ml溶液にトリフルオロ酢酸743μl(10.0mmol)を加え、混合物を室温で0.5時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残渣を酢酸エチル50mlで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム溶液50mlで洗浄した。有機相を水50ml及びブライン50mlで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。母液を減圧下濃縮して標題化合物を得、更に精製せずに用いた。
【0450】
[実施例XVIII−2]
(S)−ベンジル 2−(アミノオキシ)−3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)プロパノエート (化合物XVIII−2)の合成
(S)−ベンジル 3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イルオキシ)プロパノエート(化合物XXVIII−1)15.02g(29.6mmol)のテトラヒドロフラン60ml/メタノール60ml溶液にヒドラジン一水和物4.31ml(88.8mmol)を加え、混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル500mlで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム溶液200ml、水200ml及びブライン200mlで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。濾液を減圧下濃縮して標題化合物を得、更に精製せずに用いた。
【0451】
[実施例XVII−1]
(S)−ベンジル 3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−(2−(3−(3−ベンジルウレイド)プロパノイル)−1−メチルヒドラジニル)プロパノエート(化合物XVII−1)の合成
3−(3−ベンジルウレイド)プロパン酸(化合物VIII−1)267mg(1.20mmol)のジクロロメタン5ml溶液にN−ヒドロキシベンゾトリアゾール(hydroxybenztriazole)203mg(1.50mmol)及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩288mg(1.50mmol)を加え、混合物を室温で0.5時間攪拌した。反応混合物に(S)−ベンジル 3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−(1−メチルヒドラジニル)プロパノエート(化合物XVIII−1)390mg(1.00mmol)及びジメチルアミノピリジン
61mg(0.50mmol)のジクロロメタン1ml溶液を加え、混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル50mlで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム溶液50mlで2回、水50mlで2回及びブライン50mlで洗浄し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。母液を減圧下濃縮して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Merck 60N 球形、クロロホルム:メタノール=100:0〜95:5による中性溶出)で精製し、標題化合物0.31g(52.0%)を得た。
【0452】
表XIに示す以下の化合物を、上記方法と同様の方法により得た。表中、「Int_1」及び「Int_2」は中間体化合物の番号を意味する。
【0453】
表XI
【0454】
【表11】
【0455】
[実施例XVII−4]
(S)−ベンジル 3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−(1−((3−ベンジルウレイド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミドオキシ)プロパノエート(化合物XVII−4)の合成
Fmoc−1−アミノメチル−シクロヘキサンカルボン酸2.41g(6.36mmol)、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール1.07g(7.95mmol)及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩1.52g(7.95mmol)のジクロロメタン20ml溶液に(S)−ベンジル 2−(アミノオキシ)−3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)プロパノエート(化合物XVIII−2)2.0g(5.3mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン65mg(0.53mmol)のジクロロメタン15ml溶液を加え、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液40ml、水40ml及びブライン40mlで洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。濾液を減圧下濃縮して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Merck 60N 球形、n−ヘキサン:酢酸エチル=100:0〜70:30による中性溶出)で精製し、(S)−ベンジル 2−(1−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニルアミノ)メチル)シクロヘキサンカルボキサミドオキシ)−3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)プロパノエート1.25g(32%)を得た。
上記化合物1.25g(1.69mmol)に25%−ピペリジン/ジクロロメタン20mlを加え、混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Merck 60N 球形、n−ヘキサン:酢酸エチル=100:0〜70:30及びクロロホルム:メタノール=100:0〜80:20による中性溶出)で精製し、(S)−ベンジル 2−(1−(アミノメチル)シクロヘキサンカルボキサミドオキシ)−3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)プロパノエート528mg(60%)を得た。
(S)−ベンジル 2−(1−(アミノメチル)シクロヘキサンカルボキサミドオキシ)−3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)プロパノエートのジクロロメタン9ml溶
液にベンジルイソシアネート143μl(1.16mmol)及びトリエチルアミン271μl(1.94mmol)を加え、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を水10ml及びブライン10mlで洗浄した。次いで、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して濃縮した。粗精製残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Merck 60N 球形、n−ヘキサン:酢酸エチル=100:0〜70:30による中性溶出)で精製し、標題化合物257mg(41%)を得た。
【0456】
[実施例VII−1]
(S)−3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−(2−(3−(3−ベンジルウレイド)プロパノイル)−1−メチルヒドラジニル)プロパン酸(化合物VII−1)の合成
(S)−ベンジル 3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−(2−(3−(3−ベンジルウレイド)プロパノイル)−1−メチルヒドラジニル)プロパノエート(化合物XVII−1)149mg(0.25mmol)のテトラヒドロフラン:メタノール=1:1.5 1.5ml溶液に水酸化リチウム一水和物16mgの水0.3ml溶液を加え、混合物を室温で1.5時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、1N HCl水溶液10mlを加え、混合物を酢酸エチル20mlで抽出した。有機相を水20ml及びブライン20mlで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。母液を減圧下濃縮して標題化合物を得た。残渣を更に精製せずに用いた。
【0457】
表XIIに示す以下の化合物を、上記方法と同様の方法により得た。表中、「Int_1」は中間体化合物の番号を意味する。
【0458】
表XII
【0459】
【表12】
【0460】
[実施例II−1](Syn.II−1)
(S)−N−(1−(ベンジル(2,2−ジエトキシエチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)−3−(3−ベンジルウレイド)チオフェン−2−カルボキサミド(化合物II−1)の合成
3−(3−ベンジルウレイド)チオフェン−2−カルボン酸(化合物V−1)49.7mg(0.18mmol)及びN−ヒドロキシベンゾトリアゾール6.1mg(0.045mmol)のジクロロメタン1ml溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド43.1mg(0.225mmol)を加え、混合物を室温で0.5時間攪拌した。(S)−2−アミノ−N−ベンジル−N−(2,2−ジエトキシエチル
)プロパンアミド(化合物VI−1)44.2mg(0.15mmol)のジクロロメタン1ml溶液を反応混合物に加え、混合物を室温で18時間攪拌した。反応混合物を飽和NaHCO
3水溶液1ml、水1ml及びブライン1mlで洗浄した。有機相をセライト1g及び硫酸マグネシウム150mgで濾過した。母液を減圧下濃縮して残渣をPTLC(展開溶媒:クロロホルム:メタノール=98:2)で精製し、標題化合物44.7mg(54%)を得た。
【0461】
[実施例II−262](Syn.II−2)
(S)−3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−(2−(3−(3−ベンジルウレイド)プロパノイル)−1−メチルヒドラジニル)−N−(2,2−ジエトキシエチル)−N−(ナフタレン−1−イルメチル)プロパンアミド(化合物II−262)の合成
(S)−3−(4−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−(2−(3−(3−ベンジルウレイド)プロパノイル)−1−メチルヒドラジニル)プロパン酸(化合物VII−1)126mg(0.25mmol)のジクロロメタン1.5ml溶液に2,2−ジエトキシ−N−(ナフタレン−1−イルメチル)エタンアミン(化合物IV−2)85mg(0.31mmol)及びDMT−MM173mg(0.63mmol)を加え、混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物をクロロホルム50mlで希釈し、水50mlで2回、及びブライン50mlで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。母液を減圧下濃縮して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Merck 60N 球形、クロロホルム:メタノール=100:0〜90:10(各溶液は50ml)による中性10ml溶出)で精製し、所望の生成物を単黄色油85.0mg(35.8%)として得た。
【0462】
上記の例を含む、本明細書中に記載のいずれかの方法を用いて、対応する中間体を反応させ、且つ処理することにより得られ得る、一般式IIを有する本発明の化合物の典型例を表XIII−1〜XIII−25に示す。当該化合物は、表中、「Syn」の列において示される化合物番号(例、「II−1」)の調製方法に従って調製されており、「Int_1」及び「Int_2」は中間体化合物の番号を表示する。「収率」の列における「n.d.」はこの段階では決定されず、更なる反応に用いられたことを意味する。「R」の列においては、「R
1」、「R
2」及び「R
3」は一般式II中の化学基を表示した。
【0463】
一般式(II)
【0464】
【化15】
【0465】
表XIII−1
【0466】
【表13-1】
【0467】
表XIII−2
【0468】
【表13-2】
【0469】
表XIII−3
【0470】
【表13-3】
【0471】
表XIII−4
【0472】
【表13-4】
【0473】
表XIII−5
【0474】
【表13-5】
【0475】
表XIII−6
【0476】
【表13-6】
【0477】
表XIII−7
【0478】
【表13-7】
【0479】
表XIII−8
【0480】
【表13-8】
【0481】
表XIII−9
【0482】
【表13-9】
【0483】
表XIII−10
【0484】
【表13-10】
【0485】
表XIII−11
【0486】
【表13-11】
【0487】
表XIII−12
【0488】
【表13-12】
【0489】
表XIII−13
【0490】
【表13-13】
【0491】
表XIII−14
【0492】
【表13-14】
【0493】
表XIII−15
【0494】
【表13-15】
【0495】
表XIII−16
【0496】
【表13-16】
【0497】
表XIII−17
【0498】
【表13-17】
【0499】
表XIII−18
【0500】
【表13-18】
【0501】
表XIII−19
【0502】
【表13-19】
【0503】
表XIII−20
【0504】
【表13-20】
【0505】
表XIII−21
【0506】
【表13-21】
【0507】
表XIII−22
【0508】
【表13-22】
【0509】
表XIII−23
【0510】
【表13-23】
【0511】
表XIII−24
【0512】
【表13-24】
【0513】
表XIII−25
【0514】
【表13-25】
【0515】
[実施例I−1](Syn.I−1)
(8S)−N,6−ジベンジル−8−メチル−7,10−ジオキソ−4a,5,6,7,8,10−ヘキサヒドロ−4H−ピラジノ[1,2−a]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−カルボキサミド(化合物I−1)の合成
(S)−N−(1−(ベンジル(2,2−ジエトキシエチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)−3−(3−ベンジルウレイド)チオフェン−2−カルボキサミド(化合物II−1)44.7mg(0.08mmol)にギ酸2mlを加え、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残渣をPTLC(展開溶媒 クロロホルム:メタノール=95:5)で精製し、標題化合物28mg(76%)を得た。
【0516】
[実施例I−268](Syn.I−2)
(2S)−N−ベンジル−2−(4−ヒドロキシベンジル)−1−メチル−4−(ナフタレン−1−イルメチル)−3,9−ジオキソオクタヒドロピリミド[1,2−b][1,2,5]トリアゼピン−6(7H)−カルボキサミド(化合物I−268)の合成
(2S)−N−ベンジル−2−(4−(ベンジルオキシ)ベンジル)−1−メチル−4−(ナフタレン−1−イルメチル)−3,9−ジオキソオクタヒドロピリミド[1,2−b][1,2,5]トリアゼピン−6(7H)−カルボキサミド(化合物I−267)33mg(0.05mmol)を25%HBr酢酸溶液0.2mlに溶解し、混合物を室温で5時間攪拌した。エーテル1.2ml及びn−ヘキサン0.8mlを反応混合物に加え、混合物を減圧下濃縮した。沈殿物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0〜95:5)により精製し、標題化合物7.3mg(収率25%)を得た。
【0517】
本明細書中に記載のいずれかの方法を用いて、対応する出発化合物を反応させ、且つ処理することにより得られ得る、本発明の化合物Iの典型例を表XIV−1〜XIV−25に示す。当該化合物は、表中、「Syn」の列において示される化合物番号(例、「I−1」)の調製方法に従って調製された。「Int」は中間体化合物の番号を意味する。以下に言及する表において、「RT」で表示するデータは液体クロマトグラフィーの保持時間のデータを意味する。「Mass」の列においては、質量分析のデータを示した。「方法」の列においては、液体クロマトグラフィーの溶出条件を記載する。液体クロマトグラフィーにおける保持時間の表示については、溶出条件についての「A」の表示は、測定を5〜100%(v/v)溶液B0分〜5分、次いで100%溶液B6分までのリニアーグラジエントでの溶出により行ったことを意味する。
【0518】
一般式(I)
【0519】
【化16】
【0520】
表XIV−1
【0521】
【表14-1】
【0522】
表XIV−2
【0523】
【表14-2】
【0524】
表XIV−3
【0525】
【表14-3】
【0526】
表XIV−4
【0527】
【表14-4】
【0528】
表XIV−5
【0529】
【表14-5】
【0530】
表XIV−6
【0531】
【表14-6】
【0532】
表XIV−7
【0533】
【表14-7】
【0534】
表XIV−8
【0535】
【表14-8】
【0536】
表XIV−9
【0537】
【表14-9】
【0538】
表XIV−10
【0539】
【表14-10】
【0540】
表XIV−11
【0541】
【表14-11】
【0542】
表XIV−12
【0543】
【表14-12】
【0544】
表XIV−13
【0545】
【表14-13】
【0546】
表XIV−14
【0547】
【表14-14】
【0548】
表XIV−15
【0549】
【表14-15】
【0550】
表XIV−16
【0551】
【表14-16】
【0552】
表XIV−17
【0553】
【表14-17】
【0554】
表XIV−18
【0555】
【表14-18】
【0556】
表XIV−19
【0557】
【表14-19】
【0558】
表XIV−20
【0559】
【表14-20】
【0560】
表XIV−21
【0561】
【表14-21】
【0562】
表XIV−22
【0563】
【表14-22】
【0564】
表XIV−23
【0565】
【表14-23】
【0566】
表XIV−24
【0567】
【表14-24】
【0568】
表XIV−25
【0569】
【表14-25】