【課題を解決するための手段】
【0021】
従来、微細気泡の発生方法には、微細気泡の生成に際し、気体と液体を混合してエジェクターや撹拌装置のキャビテーションにより剪断する方法が主体であった。剪断する方法では気泡のサイズが大きなものから小さなものまで混在することが避けられない。共鳴発泡という技術はまだ提案されていない。
この微細気泡のサイズを均質化するには、共鳴装置で減圧条件をセットして、共鳴発泡させると、ほぼ均質な微細気泡が発生する。しかし、共鳴発泡による単独の技術では、微細気泡のサイズはマイクロサイズであるので、これをさらに真空条件で真空キャビテーションを行う事により、微細気泡が膨張して破砕され、ナノサイズの微細気泡になる。即ち、ほぼ均質な超微細なウルトラファインバブルの形成が可能である。
そこで、大量の超微細なウルトラファインバブル水、ウルトラファインバブルバブル水素水を生産するには、共鳴発泡と真空キャビテーションによる微細気泡の生成が必要である。
共鳴発泡は、1次ポンプからの水を共鳴エジェクターへ送り、気体を吸入混合し、真空計とニードルバルブで、減圧条件を調整しながら、共鳴発泡装置内に気液混合物を共鳴させて発泡させる。
真空キャビテーションは、1次ポンプと2次ポンプの2台の水流ポンプを用い、2次ポンプの性能は、1次ポンプの性能より大きな処理能力のポンプを選び真空を発生させる。2次ポンプが1次ポンプと同等であった場合でも、1次ポンプにはエジェクターによる流水の堰き止め効果が働き、2次ポンプの性能より低下するので、減圧効果で真空が発生する。
1次ポンプからの水をエジェクターで1次微細気泡を生成し、2次ポンプへ送る。2次ポンプでは、真空キャビテーションが起こり、1次微細気泡を破砕して2次微細気泡が発生する。
ウルトラファインバブル発生の原理は、共鳴エジェクターで生成された1次微細気泡が真空下で2次ポンプへ送られた段階で、1次微細気泡が数十〜数百倍の大きさに膨張拡大する。
数十倍の大きさに膨張した微細気泡をポンプの高速回転によるキャビテーションでさらに細かく破砕する。
破砕された2次微細気泡は、共鳴エジェクターにより10μm〜500μmになった気泡を更に破砕するので、全ての微細気泡が1μm以下になる。
また、このメカニズムでは、その処理能力は水流ポンプの大きさによって変換し、小型のものは、毎分10〜20リットルの処理能力でキャスターを有し、必要な場所へ移動することが可能であり、環境浄化等大型のものは毎分1〜10トンまでの必要量に対し対応が可能である。
【0022】
<共鳴発泡と真空キャビテーションによる空気のウルトラファインバブル水の製造>
空気のナノバブル水は、水の溶存酸素濃度を高め、環境浄化に有効であることが知られている。また、ナノサイズの微細気泡は、そのまま生体内へ進入することが可能で、生体内で酸素のキャリアーとしての機能もあり、呼吸の促進を行う。
また、1μm以下のサイズの空気のウルトラファインバブルは、生体内で種々の酵素反応を活性化し、生体の生長を速めたり、生体を大きく成長させることが知られている。
ただ酸化条件で反応性があるので、細胞組織の成長を促進すると同時に加齢を促進する。そのため作物の成長を速め収量を増加させる。成長の早いことが求められる養豚、養鶏、養魚に於いては、少ない飼料で成熟するため経済効果を高めることが判明している。
空気のウルトラファインバブル水の製造方法は、
図1に示す装置で行う。
水源1、吸水パイプ2、電源ソケット3、電源リード線4から水と電力を供給し、吸気口7から空気を供給し、共鳴エジェクター10で1次微細気泡を発生する。発生した1次微細気泡は、2次ポンプ14で真空キャビテーションを行い、2次微細気泡のウルトラファインバブル水を生成する。
空気のウルトラファインバブル水製造装置の操作
(1)水源1から水を吸水パイプ2を通じて吸い込み、1次ポンプ5で吸水作動する。
(2)1次ポンプ5で吸水作動した水は共鳴エジェクター10へ送る。
(3)空気は、吸気口7から吸入し、低圧フローガス流量計8を通過して共鳴エジェクター10へ送る。
(4)水は共鳴エジェクター10内で噴射し、噴出水流で空気が混入され、吸気側が減圧され、鳴調整真空計11が作動する。
(5)共鳴エジェクター10では、吸気口8から取り入れた空気は、低圧フローガス流量計8と鳴調整真空計11で流量、減圧を確かめながら、共鳴調整用ニードルバルブ9で調整し、共鳴発泡装置12内で1次微細気泡の共鳴発生に適した共鳴減圧に設定する。
(6)共鳴発泡装置12内で共鳴発生した微細気泡を含む水は導水パイプ13で2次ポンプ14へ送る。
(7)2次ポンプ14では、1次ポンプ5より排水処理能力を高く設定しているので、減圧状態になる。共鳴エジェクター以後の水系に架かる減圧の強さは真空計11に示される。
(8)2次ポンプ14では、共鳴発泡装置12内で発生した1次微細気泡が減圧状態で膨張し、さらに共鳴発泡装置12の吐出力と2次ポンプ14の吸引力の差により、2次ポンプ14内に水の蒸気圧(20〜30℃で約30torr)に相当する真空に近い減圧部位を生じ、微細気泡が数十倍に膨張し、真空キャビテーションにより破砕される。
すなわち、水の蒸気圧下の真空キャビテーションでナノサイズの微細気泡が生ずる。
(9)2次ポンプ14から送り出されたナノサイズの2次微細気泡は、通路を狭めた加圧装置16で加圧される。これにより微細気泡は更に収縮し、ウルトラファインバブルとなって白濁しない透明な水になる。
(10)生成ウルトラファインバブル水は、空気ウルトラファインバブル水貯留タンク19へ貯留するか配水パイプで分配々水を行う。
(11)装置は装置支持フレーム17に搭載され、キャスター18で移動が可能である。
(12)生成された空気のウルトラファインバブル水は、酸化性ラジカルを発生する。
【0023】
<共鳴発泡と真空キャビテーションによる水素のウルトラファインバブル水の製造>
ウルトラファインバブル水素水は還元性を示し、アトピー性皮膚炎の治療、糖尿病等生活習慣病の予防、がん予防に効果があるとされる。
ウルトラファインバブル水素水の製造方法は、
図2に示す装置で行う。
原理は、水源1、導水パイプ2、電源ソケット3、電気動線4から水と電力を供給し、水素供給源18から水素ガスを供給し、共鳴エジェクターで1次微細気泡を共鳴発泡させる。
1次発泡した1次微細気泡を2次ポンプで真空キャビテーションで真空破砕を行い、更に微細な2次発泡を行って2次微細気泡のウルトラファインバブル水素水とする。
水素のウルトラファインバブル水製造装置の操作
(1)水源1から導水パイプ2を通じて水を吸い上げ、1次ポンプ5で吸水作動する。
(2)1次ポンプ5で吸水作動した水は共鳴調整真空計11、低圧フローガス流量計8,共鳴調整用ニードルバルブ9、共鳴発泡装置12を装備した共鳴エジェクター10へ送る。
(3)水は共鳴エジェクター10内で噴射し、噴出水流でガスが吸引混合され、吸気側に減圧が生ずる。
(4)水素ガスはガス供給装置20から供給され、元栓21を開き、ガス圧メーター22でガス量を確認し、減圧バルブ23で減圧ガスメーター24を確認しながら目標の圧力へ調整する。
(5)ガスの供給はガス圧調整後ガス流量計25を見ながら共鳴調整用ガスニードルバルブ26でガス流量を調整する。
(6)水素ガスは、活性炭を充填した消臭ろ過装置27を通過させ、共鳴調整真空計11、低圧フローガス流量計8、共鳴調整用ニードルバルブ9、共鳴発泡装置12を装備した共鳴エジェクター10へ送る。
(7)共鳴エジェクター10では気液旋回する流出水を破断し、低圧フローガス流量計8と共鳴調整真空計11と共鳴調整用ニードルバルブ9で調整して共鳴発泡装置12内で瞬時に1次水素ガス微細気泡(マイクロバブル水素水)を共鳴発泡する。
(8)共鳴発泡装置12内で発生した水素の1次水素ガス微細気泡を含むマイクロバブル水素水は導水パイプ13で2次ポンプ14へ送る。
(9)2次ポンプ14では、1次ポンプ5より排水処理能力が高いので、減圧真空状態になる。その減圧の強さは水の蒸気圧(20〜30℃で約30torr)に相当する。
(10)共鳴発泡装置12以後の水系では、共鳴発泡装置12内で発生した1次の水素微細気泡が減圧状態で膨張し、さらに2次ポンプ12の高速回転により、真空ないし真空部位を生じ、水素の微細気泡が数十倍に膨張し、真空キャビテーションにより破砕される。
この現象により水の蒸気圧下における真空キャビテーションでナノサイズの水素の2次微細気泡のウルトラファインバブル水素水が発生する。
(11)2次ポンプ12から送り出されたナノサイズの水素の2次微細気泡は、通路を狭めた加圧装置11で加圧され圧潰する。これにより微細気泡は更に収縮し水素ファインバブル水となって白濁しない透明な機能性の水を生成する。
(12)生成ウルトラファインバブル水素水は、所定のタンク29へ貯留するか配水パイプで分配々水を行う。
(13)装置は装置支持フレーム17に搭載され、キャスター18で移動が可能である。
(14)生成されたウルトラファインバブル水素水は、還元性ラジカルを発生する。
【0024】
<共鳴発泡と真空キャビテーションによる酸素のウルトラファインバブル水の製造>
ファインバブル酸素水は、特に酸素吸入と同様瀕死の重病人の介護に必要である。また、1μm以下の酸素ナノバブルは、生体内でヒドロキシラジカルを生成し、酵素活性を高めるなど、代謝活性が旺盛になる効果を有している。
ファインバブル酸素水の製造方法は、
図3に示す装置で行う。
原理は、水源1、導水パイプ2、電源ソケット3、電気動線4から水と電力を供給し、酸素供給源28から酸素ガスを供給し、共鳴エジェクターで1次微細気泡を共鳴発泡させる。
共鳴発泡で1次発泡した1次微細気泡を2次ポンプで真空キャビテーションを行って破砕し、2次発泡させて2次微細気泡のウルトラファインバブル酸素水とする。
酸素のウルトラファインバブル水製造装置の操作
(1)水源1から水を導水パイプ2を通じて吸い上げ、1次ポンプ5で吸水作動する。
(2)1次ポンプ5で吸水作動した水は共鳴調整真空計11、低圧フローガス流量計8,共鳴調整ニードルバルブ9、共鳴発泡装置12を装備した共鳴エジェクター10へ送る。
(3)水は共鳴エジェクター10内で噴射し、噴出水流でガスが吸引混合され、吸気側に減圧が起こる。
(4)酸素ガスはガス供給装置30から供給され、元栓21を開き、ガス圧メーター22でガス量を確認し、減圧バルブ23で減圧ガスメーター24を確認しながら目標の圧力へ調整する。
(5)ガス圧調整後ガス流量計25を見ながら共鳴調整用ガスニードルバルブ26でガス流量を調整する。
(6)酸素ガスは、活性炭を充填した消臭ろ過装置27を通過させ、共鳴調整真空計11、低圧フローガス流量計8、共鳴調整ニードルバルブ9、共鳴発泡装置12を装備した共鳴エジェクター10へ送る
(7)共鳴エジェクター10は気液旋回する流出水を破断し、低圧フローガス流量計8と共鳴調整真空計11と共鳴調整用ニードルバルブ9で調整して共鳴発泡装置12内で瞬時に1次酸素ガス微細気泡(マイクロバブル酸素水)を共鳴発泡する。
(8)共鳴発泡装置12内で発生した水素の1次微細気泡を含む水は導水パイプ13で2次ポンプ14へ送る。
(9)2次ポンプ14では、1次ポンプ5より排水処理能力が高いので、減圧真空状態になる。その減圧の強さは水の蒸気圧(20〜30℃で約30torr)に相当する。
(10)2次ポンプ14では、共鳴発泡装置12内で発生した1次の酸素微細気泡が減圧状態で膨張し、さらに2次ポンプ12の高速回転により、真空の減圧部位を生じ、酸素の微細気泡が数十倍に膨張し、真空キャビテーションにより破砕される。
(11)2次ポンプ12から送り出されたナノサイズの酸素の微細気泡は、通路を狭めた加圧装置16で加圧される。これにより微細気泡は更に収縮し、水中を浮揚する。
(12)生成ウルトラファインバブル酸素水は、所定のタンク31へ貯留するか配水パイプで分配々水を行う。
(13)装置は装置支持フレーム17に搭載され、キャスター18で移動が可能である。
(14)生成されたウルトラファインバブル酸素水は、酸化性ラジカルを発生する。
【0025】
<共鳴発泡と真空キャビテーションによるウルトラファインバブルオゾン水の生成>
オゾンは酸化還元電位が2070mVあり、ガスとして存在するときは、大変危険な存在になる。ナノバブルオゾン水とすれば、ガスのような吸引による被害もなく、安全に使用できる。
その殺菌作用と抗菌作用から、強い薬品を使用することなく、病室の消毒、生体の外部消毒に効果があるとされている。
ナノバブルオゾン水の生成方法は、
図4に示すに示す装置で行う。
水源1、導水パイプ2、電源ソケット3、電気動線4から水と電力を供給する。
オゾン水は酸素供給源16から供給される酸素をオゾン発生装置32でオゾンを作り、発生したオゾンを用いてエジェクターで1次微細気泡のマイクロバブルオゾン水を発生させる。
1次発生した微細気泡は、2次ポンプで真空キャビテーションを行い、破砕して2次発泡し、ウルトラファインバブルオゾン水とする。
ウルトラファインバブルオゾン水製造装置の操作
(1)水の給源1から水を導水パイプ2を通じて吸い上げ、1次ポンプ5で吸水する。
(2)1次ポンプ5で吸水した水はエジェクター6へ送る。
(3)水はエジェクター6内で噴射し、減圧される。
(4)酸素ガスはガス供給装置30から供給され、元栓21を開き、ガス圧メーター22でガス量を確認し、減圧バルブ23で減圧ガスメーター24を確認しながら所定の圧力へ調整する。
(5)ガス圧調整後ガス流量計25を見ながら共鳴調整用ガスニードルバルブ26でガス流量を調整する。
(6)流量を調節した酸素ガスは、活性炭を充填した消臭ろ過装置27とオゾン発生装置32を通過させ、共鳴調整真空計11、低圧フローガス流量計8、共鳴調整ニードルバルブ9、共鳴発泡装置12を装備した共鳴エジェクター10へ送る。
(7)共鳴エジェクター10は気液旋回する流出水を破断し、低圧フローガス流量計8と共鳴調整真空計11と共鳴調整用ニードルバルブ9で調整して共鳴発泡装置12内で瞬時に1次オゾンガス微細気泡(マイクロバブルオゾン水)を共鳴発泡する。
(8)共鳴発泡装置12内で発生したマイクロバブルオゾン水は導水パイプ13で2次ポンプ14へ送る
(9)2次ポンプ14では、1次ポンプ5より排水処理能力が高いので、減圧状態になる。その減圧の強さは減圧ゲージメーター11に示される。
(10)共鳴発泡装置以後の水系では、共鳴発泡装置12内で発生した1次のオゾン微細気泡が2次ポンプの吸引力により吸引されて真空部を生じ、オゾンのマイクロバブルが数十倍に膨張し、2次ポンプ14の高速回転の真空キャビテーションにより破砕される。
この現象により水の蒸気圧下における真空キャビテーションでナノサイズのオゾンの2次微細気泡のウルトラファインバブルオゾン水が発生する。
(11)2次ポンプ14から送られたウルトラファインバブルオゾン水は白濁は消滅し、その後通路を狭めた加圧装置16で加圧され圧潰する。これにより微細気泡は更に収縮する。
(12)生成ウルトラファインバブルオゾン水は、所定のタンク33へ貯留するか配水パイプで配水を行う。
(13)装置は装置支持フレーム17に搭載され、キャスター18で移動が可能である。
【0026】
<共鳴発泡と真空キャビテーションによる窒素及び炭酸ガスのファインバブル水の製造>
野菜、肉、魚の鮮度保持時と長距離輸送には、低温と共に窒素ガス、又は炭酸ガスの単独ガス又は窒素と炭酸ガスの混合ガスによるファインバブル水が必要である。
これらのガスを含むファインバブル水は、細胞組織を眠らせ、仮眠又は仮死の状態で生体を移動することが可能であるので、野菜、肉、魚の鮮度が低下しない。
窒素ガス、又は炭酸ガス、又は窒素と炭酸ガスの混合ガスによるファインバブル水の製造方法は、
図5に示すに示す装置で行う。
原理は、水源1、導水パイプ2、電源ソケット3、電気動線4から水と電力を供給し、窒素供給源4から窒素ガス又は、炭酸ガス供給源35から炭酸ガスを供給し、共鳴エジェクターで1次微細気泡のマイクロバブル窒素水又は、マイクロバブル炭酸ガス水を発泡させる。
1次発泡した1次微細気泡を2次ポンプで真空キャビテーションを行い、2次発泡させて2次微細気泡のウルトラファインバブル窒素水又は、ウルトラファインバブル炭酸ガス水、或いはそれらの混合ガスによるウルトラファインバブル水とする。
窒素及び炭酸ガスのウルトラファインバブル水製造装置の操作
(1)水源1から水を導水パイプ2を通じて吸い上げ、1次ポンプ5で吸水作動する。
(2)1次ポンプ5で吸水作動した水は共鳴調整真空計11、低圧フローガス流量計8,共鳴調整用ニードルバルブ9、共鳴発泡装置12を装備した共鳴エジェクター10へ送る。
(3)水は共鳴エジェクター10内で噴射し、噴出水流でガスが吸引混合され、吸気側に減圧が起こる。
(4)窒素ガス又は、炭酸ガス又は、その混合ガスは窒素ガス供給装置34又は、炭酸ガス供給装置35から供給され、元栓21を開き、ガス圧メーター22でガス量を確認し、減圧バルブ23で減圧ガスメーター24を確認しながら所定の圧力へ調整する。
(5)ガス圧調整後ガス流量計25を見ながら共鳴調整用ガスニードルバルブ26でガス流量を調整する。
(6)窒素ガス又は、炭酸ガス又は、その混合ガスは、活性炭を充填した消臭ろ過装置27を通過させ、共鳴調整真空計11、低圧フローガス流量計8、共鳴調整用ニードルバルブ9、共鳴発泡装置12を装備した共鳴エジェクター10へ送る。
(7)共鳴エジェクター10では気液旋回する流出水を破断し、低圧フローガス流量計8と共鳴調整真空計11と共鳴調整用ニードルバルブ9で調整して共鳴発泡装置12内で瞬時に1次水素ガス微細気泡(マイクロバブル)を共鳴発泡する。
(8)共鳴発泡装置12内で発生した水素の1次水素ガス微細気泡を含む水は導水パイプ13で2次ポンプ14へ送る。
(9)2次ポンプ14では、1次ポンプ5より排水処理能力が高いので、減圧真空状態になる。その減圧の強さは水の蒸気圧(20〜30℃で約30torr)に相当する。
(10)2次ポンプ14では、共鳴発泡装置12内で発生した1次の水素微細気泡が減圧状態で膨張し、さらに2次ポンプ12の高速回転により、真空ないし真空部位を生じ、水素の微細気泡が数十倍に膨張し、真空キャビテーションにより破砕される。
この現象により水の蒸気圧下における真空キャビテーションでナノサイズの水素の2次微細気泡が発生する。
(11)2次ポンプ12から送り出されたナノサイズの水素の2次微細気泡は、通路を狭めた加圧装置11で加圧され圧潰する。これにより微細気泡は更に収縮し水素 ファインバブル水となって白濁しない。
(12)生成ウルトラファインバブル窒素水又は、ウルトラファインバブル炭酸ガス水又は、ウルトラファインバブル窒素・炭酸ガス水は所定のタンク36へ貯留するか配水パイプで配水を行う。
(13)装置は装置支持フレーム17に搭載され、キャスター18で移動することも可能である。
【0027】
<多段共鳴発泡と真空キャビテーションによる超微細なファインバブル水の製造>
超微細な
ウルトラファインバブルも、時代の推移に伴って、医学、動物学、植物学等ライフサイエンス、無機化学、電子工学、原子物理学、各種製造事業、洗浄事業等において、更に微細な
ウルトラファインバブルを必要とする時代が訪れると考えられ、
ウルトラファインバブルを更に細かく細断する技術を提案する。
[0022]の空気、[0023]の水素、[0024]の酸素、[0025]のオゾン、[0026]の窒素・炭酸ガスの
ウルトラファインバブル製造における共鳴発泡と真空キャビテーションによる超微細な
ウルトラファインバブル製造装置について、2次ポンプの後段に、共鳴発泡技術と真空キャビテーションポンプを組み込んだ、多段共鳴発泡と真空キャビテーション装置を
図6に示した。
装置は、水源から吸引した水を送り出す1次ポンプ5と、各種ガスの供給するパイプ26と、1次ポンプから吐出する水で各種ガスの減圧混合する共鳴エジェクター10と、エジェクターに接続し加圧工程を有する共鳴装置12と、共鳴発泡した微細気泡を真空キャビテーションする2次ポンプを有する装置を基本とする。
多段共鳴発泡と真空キャビテーションは、この2次ポンプの後段に共鳴発泡装置と3次ポンプ35を取り付け、必要によっては4次ポンプ、5次ポンプ等共鳴発泡装置と真空キャビテーションを繰り返して、新分野への対応を図る。
【0028】
実施例1 空気の破砕処理、共鳴発泡及び真空キャビテーションによる微細気泡処理の相 違が溶液への気体溶存率と溶液の白濁状況に及ぼす影響
実験のねらい
従来多くの微細気泡生成に関する研究は、気体と液体を混入させて気泡を剪断、微細気泡が発生することを基本にこれをくりかえし、どのような方法で剪断すると効率的であるかを重点に、剪断発泡技術が開発されてきた。
本発明では気泡の発生は減圧と加圧の加減による共鳴が剪断と合わせ均一な気体の発泡を促すこと、一度発泡した気泡を真空にすることによって気泡が膨張し、これを真空キャビテーションで破砕することにより、気泡が一段と微細な気泡に変化する共鳴発泡と真空キャビテーションが効率的であることを観察し、これを実証する。
1)試験の方法
(1)アスピレターによる剪断破砕、
(2)減圧共鳴発泡、
(3)減圧共鳴発泡と真空キャビテーションによる2重破砕
について比較試験を行い、水の気体溶存状況の比較を行った。
2)装置の概要:
図7,
図8、
図9に示した。
装置は、水道水の蛇口を、本発明の1次ポンプの機能に見立てて採用し、アスピレターによる剪断破砕、減圧共鳴発泡、減圧共鳴発泡と真空キャビテーションによる2重破砕を行った。真空キャビテーションによる2重破砕に用いるポンプは本発明の2次ポンプに相当する。
図7は、アスピレター送気装置による剪断破砕方法を示した。剪断破砕は、水をアスピレーターよる気液旋回破砕によって気泡を破砕するもので、装置はアスピレーターと水気分離装置を備えている。アスピレターの原理で水道からの水の噴出によって吸気口から空気を吸入して、水気分離装置で大きな気泡となり、水圧加圧装置で送気するシステムである。
この水の噴出によって吸気口から空気を吸入噴射する際、噴射部Aで気体の剪断が起こり大小の微細気泡が排水口から流出する。すなわち、キャビテーションと共に微細気泡を製造する際の気体の剪断方法の一つである。高速撹拌装置のキャビテーションによる気液剪断破砕によっても同様の微細気泡を生ずる。
剪断破砕は多くのマイクロバブルの製造に用いられている。この場合気泡のサイズが大小不揃いになるので、水を破砕装置内を繰り返し通過循環させ、微細気泡の集積を図る方法が採用されている。
図8は、アスピレター送気装置による減圧共鳴発泡方法を示した。減圧共鳴発泡はこの装置の吸引部にニードルバルブと真空計を取り付け、吸気を減圧することによって水気分離装置が共鳴装置の役割を獲得して、噴出水量と減圧給気と水圧加圧部の条件によって、丁度笛を吹いた場合と同様、共鳴が起こり瞬時に吸気の大部分が共鳴装置全体へ発泡し、水が白濁する。分散した白濁気泡は粒径の揃ったマイクロバブルである。
図9は、
図8の減圧共鳴発泡方法を一体的な装置に組み込み、共鳴発泡で粒径の揃ったマイクロバブルを製造後、共鳴装置から送り出される水の供給量より大きな吸引量を有するポンプを用いて真空キャビテーションを行う2重破砕方法である。2重破砕方法で、吐出される水は、多量の気体を含有するが、白濁しない無色透明の水である。
通常、1〜200μmのマイクロバブルは、チンダル現象を起こし、光の乱反射が起こるので白濁する。しかし、1μm以下のナノサイズの
ウルトラファインバブルは、粒子が小さ過ぎて光の乱反射が起こらないので白濁しないことが知られている。
3)測定方法:水の流量計、気体の精密流量計、真空計、1リットルメスシリンダーを用いた集気装置で残存気体の回収計測、水の白濁状況の観察等を行った。
毎分30lの水量の水道を用いた。
計測方法は
(1)
図7のアスピレターによる剪断破砕を行う際、その水の流量、注入空気の流量、回 収される気体量の計測を行った。
(2)
図8に示す減圧共鳴破砕を行う際、その水の流量、注入空気の流量、回収される気 体量の計測を行った。
(3)同じスケールで
図9に示す減圧共鳴破砕と真空キャビテーション破砕を行い、その 水の流量、注入空気の流量、回収される気体量の計測を行った。
アスピレーター及び加圧装置は水の状況変化を観察するためガラス製で行った。
4)試験の結果
測定の結果を表1に示した。
【表1】
結果概要
水道水の流量は、毎分30リットルであるが、アスピレーターが堰となって、これを通過する場合に毎分10リットルに低下する。減圧をかけて共鳴させると更に低下し毎分9リットルの流量となる。
剪断破砕を行った場合は、水の流量毎分10リットルに対し、毎分2リットルの空気の吸入があり、大きな気泡として水系外へ放出される空気量が1,8リットルあり、微細気泡として水に残留する量が、200mlである。20〜25℃で通常の水に含まれる空気量は1.5〜1.8%であるので、気体溶解度(容積比%)は2.5〜3.8%である。この時の噴射部Aにおける減圧は−0.01MPa程度であった。水の白濁状況は半白濁の状況で、微細化粒子にばらつきがあり、マイクロバブル水とするには、循環処理して微細気泡を集積する必要があることが判明した。
共鳴発泡を行う場合は、真空計とニードルバルブを用い、アスピレーターを通過する水へ減圧を加え、アスピレーターから噴出する水へ共鳴装置で加圧を行う。これにより水の流量毎分9リットルに低下する。この噴出流に対し空気の吸入を毎分1リットルに抑え、噴射部Aにおける減圧を−0.09MPaにして共鳴させると、液全体が白濁してマイクロバブルが瞬間的に大量発生する。大きな気泡として水系外へ放出される空気量が300ml程度であり、微細気泡として水に残留する量が、700mlである。従って水の微細気泡を含めた気体溶解度(容積比%)は9.2〜9.5%であり、チンダル現象による光散乱が起こって白濁する。
共鳴発泡と真空キャビテーションを行うと、共鳴発泡の行程では、共鳴発泡の装置と同じ結果であるが、真空キャビテーションを加えたことによって、微細気泡が更に微細化して、チンダル現象による光散乱が失われ、無色透明になる。
微細化気泡が1μm以下になるとチンダル現象による光散乱がなく、無色透明になることは、既に知られている。
本実施例は、本技術のメカニズムの相違と発生する
ウルトラファインバブルの相違を明確にする狙いで実施た。実際には大規模にするためには
図1から
図6に示したように、1次ポンプ及び2次ポンプを連結するが、2台のポンプの間に共鳴発泡装置を設置して、共鳴発泡して生じたマイクロバブルを2次ポンプの吸引力の差によって生ずる真空キャビテーションによってナノバブルを製造する構造を基本としている。
【0029】
実施例2 空気の空気のウルトラファインバブル発生量とバブルのサイズに関する調査
1)試験の方法
(1)
ウルトラファインバブル装置:本発明による真空キャビテーション
ウルトラファインバブル発生装置.
(2)測定方法:チンダル現象による光散乱法
ウルトラファインバブル水を入れた分析用セル容器に緑色レーザー光を照射し、
表2に示す様に光散乱強度を測定した。
本方法により100nm以下の大きさの
ウルトラファインバブル分散量が測定できる。
2)試験の結果
測定の結果を
表2に示した。
【表2】
3)結果概要
ウルトラファインバブル濃度が高くなるに連れて、光散乱量が強くなる。本装置では大量の
ウルトラファインバブルの生産が確認された。
但し、
ウルトラファインバブルのサイズ分布は確認できなかった。
【0030】
実施例3
ウルトラファインバブル水素水の生産と水の性質変換調査
前記
ウルトラファインバブル水素水製造供給装置を用いて、水道水を処理した
ウルトラファインバブル水素水の酸化還元電位を調査した。比較に水道水と水へ水素ガスを吹き込みキャビテーションにより水素を吸収させた還元性水素水、
ウルトラファインバブル水素水の酸化還元電位を数回に亘り調査し、
表
3に比較掲載した。
1)試験の結果
【表3】
2)結果概要
水道水は次亜塩素酸消毒を行っているので、酸化還元電位は高く、+320mVであった。
水道水の酸化還元電位は、浄水場に近いほど高く+600mVの所もあり、水道管の鉄を錆びさせ電子を放出するため常時低下し、遠いと+250mV程度の所も発生する。
本試験の原水は、ごく普遍的な範囲での酸化還元電位であるが、キャビテーションによる還元性水素水の場合は水素供給が不十分な処理の場合に−550mV程度の強還元性であり、水素ガスを十分に供給して水素を飽和する処理の場合は−600mVに達し強還元性を示す。
微細気泡を真空キャビテーションして生成する
ウルトラファインバブル水素水の場合は、水素の過飽和状態により、酸化還元電位はさらに低下し、条件によって−700mVから−750mVの極めて強い還元条件を創出することが可能である。ウルトラファインバブル水素水の数値は飽和水素水の理論適数値より著しく高くなっている。
溶存水素含有量は、還元性水素水が1.0ppm以上1.3ppm程度であるが、ウルトラファインバブル水素水は1,5〜1.8ppmあり、水素含有量も高まる。溶存酸素量は、水素ガスの含有量が多くなれば、気体の分圧の関係で、水系から追い出されて、還元性水素水が0.6ppm以下、ウルトラファインバブル水素水が0.06ppm以下に低下する。
各還元処理によるpHの変化は、酸化還元電位が0.4上昇し、ウルトラファインバブル水素水が0.6上昇する程度で、いずれも大きな変動はなく、アルカリ性水にはならず、飲料水としても十分に安全である。
【0031】
実施例4 水素のウルトラファインバブル水の
還元性ラジカル活性について
還元性ラジカルの測定方法としては、DPPHラジカル消去能の測定が適切である。
1)試験の方法
ラジカル消去は、紫色の酸化型DPPHと水素のウルトラファインバブル水が反応して無色の還元型DPPHに変化する反応を利用し、分光光度計で波長520nmで比色定量を行う。
原理は反応式1に示す通り、水の還元ラジカルがDPPH酸化性ラジカルを消去する。
2)測定の結果
【表4】
3)測定結果の概要
表
4に見られるように、無処理区の水では、酸化還元電位は+230mVで、参加条件を示し、ラジカル消去能も認められなかった。水素ウルトラファインバブル水では−700mVより低い酸化還元電位を示している。[0017]特許文献15では、磁場処理とキャビテーションによるマイクロバブルにも抗酸化性のラジカル消去能があることが示された。
しかし、磁場処理を
実施していない本装置によって生成される水素ウルトラファインバブル水では、1.63〜1.92μM/L/minの
酸化性ラジカルを消去する還元性のラジカルが測定された。
即ち、水素のウルトラファインバブル水では、気泡のサイズが微小であることに起因して、
還元性のラジカルがあることが確認され
た。【0032】
実施例5 酸素のウルトラファインバブル水の生産と水の性質変換調査
前記
ウルトラファインバブル酸素水製造供給装置を用いて、水道水を処理した
ウルトラファインバブル酸素水の水の性質の変化を調査した。
比較に水道水と水へ酸素ガスを吹き込みキャビテーションにより酸素を吸収させた
ウルトラファインバブル酸素水の酸化還元電位等を数回に亘り調査し、表
5に比較掲載した。
1)試験の結果
【表5】
2)結果概要
表
5に見られる通り、通常の飲料水の溶存酸素は常温で1気圧の場合、容積比率(%)では0.36%程度あり、酸素をウルトラファインバブルとして、微細気泡を水に加えてやれば、酸化還元電位はそれほど変化しないものの、溶存酸素含有量は著しく増大し、容積比率(%)で7.36%程度まで上昇させることができる。
酸素をふんだんに含む水は、術後の患者、虚弱性の患者の一時的な体力回復に役立つので医療行為には欠かせないものである。
【0033】
実施例6 空気のウルトラファインバブル水の酸化性ラジカル活性について
酸化性ラジカルの量的測定法は、化学的手法では困難であると考えられてきた。
しかし、測定限界の低濃度の酸化性ラジカル吸収剤を用い、化学的手法でも測定できるのではないかと考え、硫酸酸性条件を設定し、ウルトラファインバブル水の酸化性ラジカルをチオ硫酸ナトリウム希薄規定液と反応させ、残余のチオ硫酸ナトリウムを過マンガン酸カリで滴定する方法を検討した。
1)試験の方法
ウルトラファインバブル水の酸化性ラジカル発生瞬間的に発生・消滅するので、反応はチオ硫酸ナトリウム希薄規定液の(1M/10000Na
2S
2O
3)を用い、一旦、10分間ウルトラファインバブル水と反応させ、発生する酸化ラジカルの集積量(integrated radical)を過マンガン酸カリの規定液で滴定する。その反応としては
次の反応式2が挙げられる。
反応式2
具体的には、ウルトラファインバブル20mlをチオ硫酸ナトリウム希薄規定液10mlと10分間反応を継続させ、残余のM/10000Na
2S
2O
3を硫酸酸性下で、M/1000 KMnO
4で滴定して、発生した酸化ラジカルの集積量を測定した。
2)試験の結果
試験結果を表
6に示した。
【表6】
3)結果概要
表
6に見られるように、供試
ウルトラファインバブル水の酸化性ラジカルはチオ硫酸ナトリウム1分子と当量であり、チオ硫酸ナトリウム分子と過マンガン酸カリ分子の関係も当量であるので、KMnO
4消費量の強度の計算は、M/1000 KMnO
4 1mlは1μMのKMnO
4の消費に相当する。
表
6に見られるように、
空気のウルトラファインバブル水の酸化性ラジカルのNa
2S
2O
3の
力価消費量は滴定するM/1000 KMnO
4に換算して測定した。
Na
2S
2O
3によりKMnO
4消費量の強度の計算はM/1000 KMnO
4 1mlは1μMのKMnO
4の消費に相当するが、2分子の水分子に発生するラジカルと2分子のNa
2S
2O
3が反応し1分子のNa
2SO
4を生成するので、水分子とチオ硫酸ナトリウム分子が当量の関係に当たる。
計算式=1μM×滴定差÷試料採取量×1000
÷10分=1μM×0.40÷20×1000÷10分=2μM/L/min
即ち、M/1000 KMnO
4滴定量によるウルトラファインバブルのラジカル発生量は水1L当たり、
1分間に約2μMの酸化性ラジカルが経時的に生成されることが量的に算定された。