【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は冒頭に述べた照明装置により、本発明にしたがいレンズの裏面に少なくとも1つの反射性面が割り当てられており、および/またはレンズがその裏面に少なくとも1つの全反射性領域を有し、少なくとも1つの光源が、入射領域を介して光を前記レンズに入射し、前記レンズに前記入射領域を介して入射された光が、前記少なくとも1つの反射性面および/または前記少なくとも1つの全反射性領域により反射され、前記レンズから当該レンズの光出射面を介して出射され、当該照明装置の前方領域に投影される、ことによって解決される。
【0006】
公知の従来のレンズでは、光が光源からレンズに照射され、レンズの裏面(光入射面)に衝突し、レンズの中へ屈折される。さらなる屈折の後、光は光出射面(前面)で再び出射し、レンズないし照明装置の前方領域に投影される。
【0007】
本発明では、上記の「従来」構成とは択一的にまたはこれに加えて、光が1つまたは複数の光源から、裏面を介してレンズに入射されるのではなく、固有の光入射領域を介して入射される。この光入射領域は、従来のシステムで光がレンズに入射されるレンズの裏面とは異なり「小規模」に、すなわちレンズの裏面よりも(格段に)小さな光入射面によって構成され、したがって入射する光を所期のように反射性領域に偏向することができる。
【0008】
まず第一に本明細書で「裏面」とは、反射性面の構成に関して(ないしは全反射性領域を備える他の変形実施形態において)、「従来の」照明装置において光が発光装置を介してレンズに入射することのできるレンズの面/側であると理解すべきである。しかし原則的に反射性面および/または全反射性領域は、レンズの上部/上方、下部/下方、または側部ないし側方における、従来のシステムでも発光装置が光を照射しない領域に存在することもできる。
【0009】
ここでは少なくとも1つの入射領域がレンズの裏面の外に配置されている。
【0010】
このようにしてレンズに入射された光の、レンズ裏面に割り当てられた1つまたは複数の反射性面での反射、および/またはレンズ裏面にある1つまたは複数の全反射性の全反射性領域での反射により、光がレンズの光出射面の方向に偏向され、照明装置の前方領域に投影される。
【0011】
本発明により1つまたは複数の光源を、レンズの上方、下方または側方に配置することができる。照明装置の構造空間をこれにより小さく維持することができ、1つのレンズを介してハイビーム、ロービーム、日中走行光等の複数の光機能を、光源および反射性面の適切な配置によって達成することができる。
【0012】
対応して複数の光機能を実現するためには、2つ以上の光源が設けられており、これらの光源が割り当てられた各1つの入射領域を介して光をレンズに入射すると有利であり、ここでは前記入射領域を介して入射された光が、少なくとも1つの反射性面および/または少なくとも1つの全反射性領域により反射され、レンズからその光出射面を介して出射され、照明装置の前方領域に投影される。
【0013】
各光源により固有の光機能を実現できるようにするために、入射領域を介して光をレンズに入射する各光源には、少なくとも1つの反射性面および/または少なくとも1つの全反射性領域が割り当てられている。
【0014】
ここでは、入射領域を介して光をレンズに入射する光源からの光が、少なくとも1つの反射性面または少なくとも1つの全反射性領域における反射の直後に、または少なくとも1つのさらなる反射性面および/または少なくとも1つのさらなる全反射性領域におけるさらなる反射の後に、レンズからこのレンズの光出射面を介して出射するようにすることができる。
【0015】
したがって反射性/全反射性領域の数とそれらの配置に応じて、光は1回の反射の後に、しかし複数の反射の後でもレンズから出射することができる。
【0016】
散乱光を回避し、光収量を最適化するために、少なくとも1つの入射領域を入力結合箇所として構成し、割り当てられた光源がこの入力結合箇所に光を、好ましくは補助光学エレメントを介して入力結合するようにすることができる。
【0017】
この関連で、入射領域を介して光をレンズに入射する少なくとも1つの光源が、1つまたは複数の発光ダイオードを含むと同様に有利である。
【0018】
さらに、光源からの光を例えば最適に利用できるようにするために、入射領域を介して光をレンズに入射する光源に割り当てられた反射性面が、光源の主光出射方向で見て、割り当てられた光源に対して実質的に対向しているようにすることができる。
【0019】
レンズの全反射性領域を最適に利用できるようにするために、入射領域を介して光をレンズに入射する光源に割り当てられた全反射性領域が、割り当てられた光源の主光出射方向の外に存在するようにすると合目的的であり得る。
【0020】
基本的に、レンズの裏面に割り当てられた少なくとも1つの反射性面を、例えば反射器として構成することができ、この反射器は、レンズの裏面に対してある程度の間隔を置いて配置される。しかしながら少なくとも1つの反射性面がレンズの裏面に直接配置されており、好ましくはこれと「ワンピース」に構成されても有利である。ここで「ワンピース」とは、反射性面とレンズを1つの材料から作製しなければならないことを意味するのではなく、反射性面を取り付けた後にレンズと反射性面が1つの構成部材を形成することを意味する。この構成には、構成部材の数が少なくなり、組み立ての際の取り扱いが簡単になるという利点があり、光学的特性の観点でもこの変形実施形態は有利である。
【0021】
特に有利には、少なくとも1つの反射性面は、レンズの裏面の反射性コーティングとして構成されている。
【0022】
本発明の具体的な変形実施形態では、1つまたは複数の反射性面がレンズの裏面を完全に遮閉し、または例えば反射性コーティングの場合はこれを完全に覆うようにすることができる。この場合、反射性面(単数または複数)が透明でない場合には、光をレンズの裏面に照射する発光装置の使用が不可能である。
【0023】
しかし1つまたは複数の反射性面が、レンズの裏面を領域的にだけ遮閉し、またはこれを領域的にだけ覆うようにすることもできる。
【0024】
遮閉されていない、ないし覆われていないレンズ裏面の領域は、公知の投影システムと同じように、発光装置がこの裏面を介して光をレンズに入射し、この光が光分布の形成のために照明装置の前方領域に照射されることに使用することができる。
【0025】
レンズがその裏面に1つまたは複数の全反射性領域を有する場合、この領域を通して裏面を、「従来の」レンズで公知のように固有の発光装置によって透過照射することができる。
【0026】
レンズを裏面から反射性面の領域でも透過照射し、光分布を形成するために相応に利用できるようにするため、1つまたは複数の反射性面を部分透過性面として構成することができる。これらの面は、レンズの外側から到来する光を、相応に裏面を介してレンズに入射させ、これによりこの光を光分布の形成のために使用することができる。
【0027】
上に記述したように光をレンズに入射する少なくとも1つの光源の他に、既に述べたように少なくとも1つの別の発光装置を設け、この発光装置からの光がレンズの裏面に照射され、レンズから照明装置の前方領域に投影されることも有利であり得る。
【0028】
レンズの裏面にちょうど1つの連続的な反射性面が割り当てられていること、および/またはレンズがその裏面にちょうど1つの連続的な全反射性領域を有することも特に有利である。したがって複数の小さな反射性面および/または複数の小さな全反射性領域が設けられるのではなく、1つの連続的な、すなわち比較的に大きな、つながっている反射性面および/または1つの連続的な比較的に大きな、つながっている全反射性領域が設けられている。
【0029】
このような構成はさらなる利点を有する。一方では複数の小さな領域の場合よりも製造が格段に簡素化される。他方では光学的構成も、反射性領域および/または全反射性領域が複数の個別領域ないし個別面に分割されている場合よりも、1つの大きな、つながっている面の場合の方が格段に簡単である。
【0030】
以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。