(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040385
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】直流遮断器及びそれを用いる方法(Direct Current Circuit Breaker and Method Using The Same)
(51)【国際特許分類】
H01H 33/59 20060101AFI20161128BHJP
H01H 9/54 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
H01H33/59 C
H01H33/59 D
H01H9/54 E
H01H9/54 A
【請求項の数】16
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-201414(P2015-201414)
(22)【出願日】2015年10月9日
(65)【公開番号】特開2016-81923(P2016-81923A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2015年10月9日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0136914
(32)【優先日】2014年10月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ギョン‐ホ,リー
(72)【発明者】
【氏名】ジュン‐ウォック,シム
(72)【発明者】
【氏名】ヘ‐ヨン,パク
【審査官】
澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0299393(US,A1)
【文献】
実開昭62−165652(JP,U)
【文献】
実開昭57−104412(JP,U)
【文献】
特開昭63−269428(JP,A)
【文献】
特開平08−315666(JP,A)
【文献】
特表2015−534235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/54
H01H 33/59
H01H 85/02
H03K 17/10 − 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速スイッチと電力用半導体スイッチとが直列に連結された第1ラインと、
複数の高速スイッチと、それぞれ非線形抵抗器と電力ヒューズとが並列に連結された複数の並列連結ユニットと、抵抗と、が直列に連結された第2ラインと、
非線形抵抗器を有する第3ラインと、を備え、
前記第1、第2、及び第3ラインが、互いに並列に連結されていることを特徴とする、直流遮断器。
【請求項2】
前記第2ラインに設けられた前記高速スイッチは、前記非線形抵抗器と前記電力ヒューズとの前記並列連結ユニットの前後に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の直流遮断器。
【請求項3】
前記第2ラインに設けられた前記高速スイッチは、前記第1ラインに設けられた前記高速スイッチより適用電圧が低く構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の直流遮断器。
【請求項4】
前記電力用半導体スイッチは、IGBT、MOS FET、IGCT、GTOのいずれか一つであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の直流遮断器。
【請求項5】
前記第1、第2、及び第3ラインの前にさらに電流測定器を備えることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の直流遮断器。
【請求項6】
前記電流測定器には、前記高速スイッチ又は前記電力用半導体スイッチに開放信号を伝達する故障検出装置(FFD)が連結されていることを特徴とする、請求項5に記載の直流遮断器。
【請求項7】
前記故障検出装置は、故障電流遮断時の遮断動作及び正常電流通電時の遮断動作のための各スイッチング制御信号を、前記第1ライン及び前記第2ラインにそれぞれ備えられた前記高速スイッチに、設定された順に出力する、請求項6に記載の直流遮断器。
【請求項8】
前記故障検出装置は、前記故障電流遮断時の遮断動作において、前記第1ラインの前記高速スイッチと前記第2ラインの前記高速スイッチを先に開放し、その後一定時間が経過してから前記第1ラインの前記電力用半導体スイッチを開放する順に前記スイッチング制御信号を出力する、請求項7に記載の直流遮断器。
【請求項9】
前記故障検出装置は、前記正常電流通電時の遮断動作において、前記第2ラインの前記高速スイッチを先に開放し、その後一定時間が経過してから、前記第1ラインの前記高速スイッチを開放する順に前記スイッチング制御信号を出力することを特徴とする、請求項7に記載の直流遮断器。
【請求項10】
前記第2ラインにおいて、複数の並列連結ユニットが並列に連結されていることを特徴とする、請求項1に記載の直流遮断器。
【請求項11】
前記第1、第2、及び第3ラインの並列連結で構成された装置を一単位の構成要素とし、この構成要素が複数直列に連結されている、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の直流遮断器。
【請求項12】
高速スイッチと電力用半導体スイッチとが直列に連結された第1ラインと、複数の高速スイッチと、それぞれ非線形抵抗器と電力ヒューズとが並列に連結された複数の並列連結ユニットと、抵抗と、が直列に連結された第2ラインと、非線形抵抗器を有する第3ラインと、を備え、前記第1、第2、及び第3ラインが、互いに並列に連結されている直流遮断器を準備するステップと、
前記第1ラインの前記高速スイッチを開放し、その後一定時間経過してから、前記電力用半導体スイッチをターンオフにして、電流を前記第1ラインから前記第2ラインに迂回させる第1迂回ステップと、
前記第2ラインに迂回させた電流を、前記電力ヒューズの溶断により遮断して、前記第3ラインに迂回させる第2迂回ステップと、
前記第3ラインに迂回させた電流を前記非線形抵抗器により減少させるステップと、を有する方法。
【請求項13】
前記第1迂回ステップに先行して、電流測定器により故障電流を判断するステップを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電流測定器により故障電流が判断された後、高速故障検出装置を用いて、前記高速スイッチ及び前記電力用半導体スイッチに開放信号を伝達するステップを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記開放信号を伝達するステップは、
前記電流測定器により故障電流が判断された後、前記高速故障検出装置により、故障電流遮断時の動作のために、前記第1ラインの前記高速スイッチと前記第2ラインの前記高速スイッチを先に開放し、その後一定時間経過してから、前記第1ラインの前記電力用半導体スイッチを開放する順に前記スイッチング制御信号を出力する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
正常電流通電時に、定格電流を遮断して機器の補修及び点検を行うために、前記第2ラインの前記高速スイッチを先に開放し、その後一定時間経過してから、前記第1ラインの前記高速スイッチを開放することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流遮断器及びそれを用いる方法に関し、さらに詳細には、高圧直流(HVDC)の送電線路又は配電線路での機器の補修や取り替え及び故障電流発生の際、機器及び系統(送電系統や配電系統)の保護のために、迅速かつ効率よく系統を遮断するための直流遮断器及びそれを用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、直流遮断器は、高圧直流(HVDC、High Voltage Direct Current)の送電線路又は配電線路での機器の補修や取り替え及び故障電流発生の際、機器及び系統の保護のために、迅速かつ効率よく系統を遮断するために用いられる機器である。
【0003】
近年の直流遮断器の開発動向としては、反応速度に優れ、且つ、欠陥発生の際、周辺の電線路に被害を与え得る危険を減少できるように、電力用半導体スイッチを活用して設計される傾向にある。ところが、このような電力用半導体スイッチが適用された遮断器は、電流損失が大きく、高圧直流の送電には適していなかった。これは、高圧直流の送電に耐えるためには、用いられる電力用半導体スイッチが、数十〜数百個に至るほど多量に必要となるためである。また、このような多数の電力用半導体スイッチは、電流損失を引き起こすという問題点がある。
【0004】
上記のような問題点を改善するために提案された技術が、
図1及び
図2に示されている。図面を参照して従来技術の構成を検討すると、次のとおりである。
【0005】
図1は、従来技術の一実施例に係るソリッドステート(solid−state)遮断器のための基礎エレメント6を示すものである。ここで、ソリッドステート遮断器は、後述の主遮断器及び補助遮断器からなるものであり、下記でさらに説明する。基礎エレメント6は、第1電流方向4の電力用半導体スイッチ1及び電力用半導体スイッチ1に逆並列(anti−parallel)に連結されたフリーホイーリング(free−wheeling)ダイオード2を含む。
【0006】
実施形態として、基礎エレメント6は、
図2に記載された装置(device)に用いられる。
図2の遮断装置13は、送電線路14と直列に連結されている。送電線路14は、HVDC送電線路である。遮断装置13は、電圧レベルによって数十から数百個に至る基礎エレメント6の直列連結からなる主遮断器8、主遮断器8と並列に連結されている非線形抵抗器11、並びに、主遮断器8及び非線形抵抗器11と並列に連結されている高速スイッチ10及び補助遮断器9の直列連結を含む。補助遮断器9は、基礎エレメント6を一つのみ備える。高速スイッチ10は一つの機械的スイッチとして図示されているが、実際は、同時に動作する少なくとも2つの機械的スイッチの直列連結からなる。また、リアクトル12が遮断装置13と直列に連結されており、これにより、電流が定格に収まるように制限される。
【0007】
従来技術に係る遮断装置13の動作は、次のとおりである。
【0008】
定格電流が流れる状態では、主遮断器8及び補助遮断器9だけでなく、高速スイッチ10が閉じられ(closed)、定格電流は、高速スイッチ10及び補助遮断器9を通して流れることとなる。
【0009】
電線路に欠陥が生じて故障電流が発生すると、補助遮断器9は、補助遮断器開放信号を受信し、数マイクロ秒以内に直ちに開放(open)され、故障電流を主遮断器8に迂回させる。高速スイッチ10は、補助遮断器9が確実に開放されるまで一定期間待機した後、開放を始める。高速スイッチ10の開放が完了すると、主遮断器8は、数マイクロ秒内に直ちに開放される。主遮断器8が開放されると、故障電流は非線形抵抗器11に迂回し、電流レベルが減少し、電圧が制限される。
【0010】
ところが、従来技術の場合、数百kVの高電圧直流系統で用いるためには、主遮断器8は、数十〜数百個の電力用半導体スイッチが直列連結されて構成されなければならない。このような場合、電力用半導体スイッチは高価であるので、直流遮断器作製コストの過度な上昇を招くという問題点を依然として抱えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前述した問題点を解決するために案出されたものであって、その目的は、定格電流通電の際、通電損失が少なく、主遮断器において電力用半導体スイッチの使用を排除し、安価なコストで作製が可能な直流遮断器及びそれを用いる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施例に係る直流遮断器は、高速スイッチと電力用半導体スイッチとが直列に連結された第1ラインと、複数の高速スイッチと、それぞれ非線形抵抗器と電力ヒューズとが並列に連結された複数の並列連結ユニットと、抵抗と、が直列に連結された第2ラインと、非線形抵抗器を有する第3ラインと、を備え、前記第1、第2、及び第3ラインが、互いに並列に連結されていることを特徴とする。
【0013】
ここで、前記第2ラインに設けられた前記高速スイッチは、前記非線形抵抗器と前記電力ヒューズとの前記並列連結ユニットの前後に設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、前記第2ラインに設けられた前記高速スイッチは、前記第1ラインに設けられた前記高速スイッチより適用電圧が低く(低電圧容量で)構成されていることを特徴とする。
【0015】
また、前記電力用半導体スイッチは、IGBT、MOS FET、IGCT、GTOのいずれか一つであることを特徴とする。
【0016】
また、前記第1、第2、及び第3ラインの前にさらに電流測定器を備えることを特徴とする。
【0017】
また、前記電流測定器には、前記高速スイッチ又は前記電力用半導体スイッチに開放信号を伝達する故障検出装置(FFD)が連結されていることを特徴とする。
【0018】
また、前記第2ラインにおいて、複数の並列連結ユニットが並列に連結されていることを特徴とする。
【0019】
また、前記第1、第2、及び第3ラインの並列連結で構成された装置を一単位の構成要素とし、この構成要素が複数直列に連結されていることを特徴とする。
【0020】
本発明の一実施例に係る直流遮断器を用いる方法は、前記第1ラインの前記高速スイッチを開放し、その後一定時間経過してから、前記電力用半導体スイッチをターンオフにして、電流を前記第1ラインから前記第2ラインに迂回させる第1迂回ステップと、
前記第2ラインに迂回させた電流を、前記電力ヒューズの溶断により遮断して、前記第3ラインに迂回させる第2迂回ステップと、
前記第3ラインに迂回させた電流を前記非線形抵抗器により減少させるステップと、を有する。
【0021】
ここで、前記第1迂回ステップに先行して、電流測定器により故障電流を判断するステップを有することを特徴とする。
【0022】
また、前記電流測定器により故障電流が判断された後、高速故障検出装置を用いて、前記高速スイッチ及び前記電力用半導体スイッチに開放信号を伝達するステップを有することを特徴とする。
【0023】
また、正常電流通電時に、定格電流を遮断して機器の補修及び点検を行うために、前記第2ラインの前記高速スイッチを先に開放し、その後一定時間経過してから、前記第1ラインの前記高速スイッチを開放することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一実施例に係る直流遮断器によると、故障電流の遮断動作のために、遮断部を、高速スイッチ及びそれぞれ非線形抵抗器と電力ヒューズとが並列に連結された複数の並列連結ユニットから構成するから、作製コストを減少できる。
【0025】
また、限流電力ヒューズの場合、小型で大きな遮断容量を有する長所があり、小型化、軽量化が可能となり、補修が簡単になる。
【0026】
また、本発明の一実施例に係る直流遮断器を用いる方法によると、機器の補修、取り替えの場合の定格電流遮断時と、線路欠陥の場合の故障電流遮断時とに分けて作動するようにすることで、系統で頻繁に発生し得る遮断動作に伴う限流電力ヒューズの取り替え作業を減少させ、これによって補修コストを節減できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】従来技術に係る直流遮断器のエレメントの構成図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る直流遮断器の構成図である。
【
図4】本発明の他の実施例に係る直流遮断器の構成図である。
【
図5】本発明のさらに他の実施例に係る直流遮断器の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施例を、添付図面を参照して説明するが、これは、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が発明を容易に実施できる程度に詳細に説明するためのものであって、これにより、本発明の技術的な思想及び範疇が限定されることを意味するものではない。
【0029】
図面を参照して、本発明の各実施例に係る直流遮断器について詳細に説明する。
【0030】
図3は、本発明の一実施例に係る直流遮断器の構成図である。
【0031】
図3を参照すると、本発明の一実施例に係る直流遮断器は、高速スイッチ21と電力用半導体スイッチ22とが直列に連結された第1ライン20と、高速スイッチ31と、それぞれ非線形抵抗器32と電力ヒューズ33とが並列に連結された複数の並列連結ユニットと、抵抗36と、が直列に連結された第2ライン30と、非線形抵抗器41を有する第3ライン40と、を備え、第1、第2、及び第3ライン20,30,40が、互いに並列に連結されていることを特徴とする。
【0032】
第1ライン20は、高速スイッチ21と電力用半導体スイッチ22とが直列に連結されて構成され、定格電流の通電を担当することとなる。即ち、主回路の役割をする。
【0033】
高速スイッチ21は、電力系統で発生する故障電流を効果的に制御するための電力機器であって、故障電流の発生時、短時間で故障電流を他の回路に迂回させるために用いられる。
【0034】
高速スイッチ21は、主回路に連結されて前記主回路を開閉させる真空インタラプタ、前記真空インタラプタの稼動部に結合されて接圧力を提供する接圧ばね、前記接圧ばねに連結される絶縁ロッド、前記絶縁ロッドに連結されて開閉駆動力を提供する永久磁石操作器、前記永久磁石操作器に連結される駆動コイル、前記永久磁石操作器のコイル部または駆動コイルに放電電流を提供するキャパシタ等から構成することができる。また、高速スイッチ21は、交流(AC)電力系統において一般に用いる遮断器が用いられてもよい。このとき、第1ライン20に加えられる電圧レベルによってガス絶縁開閉装置(Gas Insulated Switchgear)や真空遮断器(Vacuum Circuit Breaker)等を用いてもよい。
【0035】
電力用半導体スイッチ22は、電力変換や制御用に用いられるものであって、高電圧、大電流用に用いられる。電力用半導体スイッチ22は、電流のターンオン(turn−on)、ターンオフ(turn−off)性能を有するIGBT(Insulated−Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGCT(Integrated Gate−Commutated Thyristor)、GTO(Gate Turn−off Thyristor)等から構成することができる。
【0036】
第2ライン30は、高速スイッチ31、電力ヒューズ33と非線形抵抗器32との並列連結ユニット、及び、抵抗36が直列に連結されて構成される。即ち、非線形抵抗器32と電力ヒューズ33とは、互いに並列に連結され、複数直列連結される。第2ライン30は、故障電流の発生時、故障電流を限流し、遮断する役割をする。即ち、第2ライン30は、主遮断回路の役割をする。
【0037】
電力ヒューズ33は、電力用半導体スイッチ22よりは適用電圧が低く構成される。電力ヒューズ33は、限流電力ヒューズで構成することができる。電力ヒューズ33は、複数個で構成され、直流遮断器にかかる電圧を一定に分担することとなる。
【0038】
非線形抵抗器32は、アレスター(Arrestor)等を用いることができる。非線形抵抗器32は、電流遮断時、電力ヒューズ33にかかる過電圧から機器を保護することとなる。
【0039】
電力ヒューズ33と非線形抵抗器32との並列組み合わせが一つの単位ユニットをなし、この単位ユニットが直流遮断器の電圧大きさに合うように複数個直列に連結される。
【0040】
電力ヒューズ33と非線形抵抗器32との組み合わせからなるユニットの直列連結の前後に高速スイッチ31が備えられる。第2ライン30に設けられる高速スイッチ31は、第1ライン20に設けられる高速スイッチ21と同じ種類の高速スイッチを設けることができる。しかし、第2ラインに2つの高速スイッチが設けられる場合、第2ライン30に設けられた高速スイッチ31は、第1ライン20に設けられた高速スイッチ21の1/2の電圧に耐えればよいので、第1ライン20に設けられた高速スイッチ21より低い電圧レベルの(適用電圧が低い)スイッチで構成することが可能である。
【0041】
抵抗36は、第1ライン20と第2ライン30との間の電流の流れを調節するために用いられる。また、抵抗36は、遮断時に電流を限流させる役割をする。これによって、電力ヒューズ33に流れる電流により電力ヒューズ33が溶断する速度を調節することができる。
【0042】
第3ライン40は、非線形抵抗器41で構成される。第3ライン40は、最終的に故障電流を減少させ、電圧を抑制する役割をする。
【0043】
回路の前端に電流測定器50と高速故障検出装置(Fast Fault Detector;FFD)55が設けられ、送・配電ライン60に流れる電流を測定し、予め設定された電流値以上の故障電流が発生すると、高速スイッチ21,31及び電力用半導体スイッチ22に順次に動作信号を送って、直流遮断器100を作動させる。
【0044】
本発明の一実施例に係る直流遮断器は、直流の送・配電ライン60に直列に設けられて利用される。定格電流の通電時、高速スイッチ21、31及び電力用半導体スイッチ22は閉じられた(closed)状態であり、ほとんどの定格電流は、高速スイッチ21と電力用半導体スイッチ22とが直列に連結されている第1ライン20を通じて流れることとなる。定格電流の通電時、第1ライン20と第2ライン30とに通電する電流量の差は、二つのラインの線路抵抗値により定められ、第2ライン30にある抵抗36の値を大きくすると、さらに多くの電流が第1ライン20を通じて流れることとなる。
【0045】
本発明の一実施例に係る直流遮断器100を用いた遮断方法を説明する。
【0046】
本発明の一実施例に係る直流遮断器の遮断動作は、故障電流遮断時の遮断動作と正常電流通電時の遮断動作とに分けられる。
【0047】
先ず、故障電流遮断時の動作を説明する。
【0048】
電流測定器50で測定される電流値が設定された電流値以上となる故障電流が発生した場合、高速故障検出装置55は、高速スイッチ21,31に開放(open)信号を送る。高速スイッチ21,31が開放されて一定時間(数ミリ秒、ms)が経過した後、高速故障検出装置55は、電力用半導体スイッチ22に開放信号を送る。信号を受けた電力用半導体スイッチ22は、数マイクロ秒(μs)内に遮断(turn−off)動作を終了することとなる。電力用半導体スイッチ22の遮断動作が完了すると、故障電流は、第1ライン20から第2ライン30に迂回することとなり、第2ライン30にある抵抗36によって限流される。一定時間(数ms)が経過すると、限流された故障電流により電力ヒューズ33が溶断し、第2ライン30に流れる故障電流は遮断され、故障電流は、第3ライン40に迂回する。第3ライン40に流れる故障電流は、非線形抵抗器41により減少させられ、直流遮断器100の両端にかかる電圧が抑制される。
【0049】
次に、正常電流通電時の遮断動作を説明する。正常電流通電時の遮断動作は、送・配電ライン60に設けられた機器の補修または取り替えのために直流遮断器100を動作させる場合等、正常状態でなされる。これは、上述したように、定格電流通電時の遮断動作である。
【0050】
外部から直流遮断器100の遮断動作信号が印加されると、先ず、第2ライン30の高速スイッチ31が開放動作をする。このとき、第2ライン30を通じて流れる電流は、数Aから数十Aに過ぎないので、高速スイッチ31が相対的に低電圧であっても遮断され得る。一定時間(数ms)が経過した後、高速スイッチ31の開放動作が完了すると、第1ライン20の高速スイッチ21が開放動作を始めることとなる。一定時間(数ms)が経過した後、第1ライン20の高速スイッチ21が開放動作を完了すると、電力用半導体スイッチ22がターンオフ(turn−off)動作をすることとなる。電力用半導体スイッチ22がターンオフ(turn−off)動作は数μs以内に終了し、定格電流は、第3ライン40に迂回する。第3ライン40に迂回した定格電流は、非線形抵抗器41により減少させられ、直流遮断器100の両端の電圧が抑制される。
【0051】
図4を参照して、本発明の他の実施例に係る直流遮断器101を説明する。
【0052】
この実施例においては、第2ライン30が複数個並列に連結される。回路上では、第2ライン30の中で抵抗36を除く残りの構成要素が複数個並列に連結されることで具現されてもよい。
【0053】
正常状態で第2ラインは、いずれか一つのライン30だけが連結された(閉じられた)状態にある。遮断動作により連結された状態にあるいずれか一つのライン30が開放されると、故障電流の解消後、他の一つのライン30’が連結される(閉じられる)。以後、再び連結されたライン30’が故障電流により遮断されると、さらに他のラインが閉じられることとなる。このような方式で電力ヒューズ33の取り替え作業による時間を確保できるように、多数個の代替ラインが構成されている。
【0054】
図5を参照して、本発明のさらに他の実施例に係る直流遮断器を説明する。
【0055】
この実施例においては、全実施例の構成(第1、第2、及び第3ラインの並列連結組み合わせからなる装置)が一単位の構成要素となって、複数直列に連結される。これにより、送・配電線に流れる高電圧に対して大容量の遮断性能を示すことが可能となる。
【0056】
本発明の一実施例に係る直流遮断器によると、遮断部を、高速スイッチ及びそれぞれ非線形抵抗器とパワーヒューズとが並列に連結された複数の並列連結ユニットから構成するから、作製コストを減少できる。
【0057】
また、限流パワーヒューズの場合、小型で大きな遮断容量を有する長所があり、小型化、軽量化が可能となり、補修が簡単になる。
【0058】
また、本発明の一実施例に係る直流遮断器を用いる方法において、機器の補修、取り替えの場合の定格電流遮断時と、線路欠陥の場合の故障電流遮断時とに分けて作動するようにすることで、系統で頻繁に発生し得る遮断動作に伴う限流パワーヒューズの取り替え作業を減少させ、これによって補修コストを節減できる。
【0059】
本発明は、上記において言及された好ましい実施例と関連して説明されたが、発明の要旨を外れない範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは、当業者であれば容易に認識することができ、このような修正及び変形は、いずれも添付された請求の範囲に属することは自明である。
【0060】
例えば、本発明の一実施例においては、第2ラインに抵抗が直列に連結された構成について説明したが、本発明の他の実施例においては、直流遮断器が、定格電流の通電のための電力用半導体スイッチが備えられた第1ラインと、第1ラインに並列に連結され、故障電流の発生時、故障電流を制限し、遮断するように、非線形抵抗器と電力ヒューズとが並列に連結されて複数直列連結された第2ラインと、第1ラインに並列に連結され、迂回した故障電流または定格電流を減少させ、電圧を抑制するための非線形抵抗器が備えられた第3ラインと、故障電流遮断時の遮断動作及び正常電流通電時の遮断動作のための各スイッチング制御信号を、前記第1ライン及び前記第2ラインにそれぞれ備えられた前記高速スイッチに、設定された順に出力する高速故障検出装置と、を備えて構成してもよい。
【0061】
同様に、本発明の他の実施例に係る直流遮断器の直流遮断方法は、定電流の通電のための電力用半導体スイッチが備えられた第1ラインを準備するステップと、第1ラインに並列に連結され、故障電流の発生時、故障電流を制限し、遮断するように、非線形抵抗器と電力ヒューズとが並列に連結されて複数直列連結された第2ラインを準備するステップと、第1ラインに並列に連結され、迂回した故障電流または定格電流を減少させ、電圧を制限するための非線形抵抗器が備えられた第3ラインを準備するステップと、高速故障検出装置により、故障電流遮断時の遮断動作と正常電流通電時の遮断動作のための各スイッチング制御信号を、第1ライン及び第2ラインにそれぞれ備えられた高速スイッチに、設定された順に出力するステップと、を有するものであってもよい。