特許第6040406号(P6040406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040406
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】ガス充填包装方法とその包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/26 20060101AFI20161128BHJP
   B65B 1/22 20060101ALI20161128BHJP
   B65B 31/04 20060101ALI20161128BHJP
   B65B 43/28 20060101ALI20161128BHJP
   B65B 43/30 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   B65B43/26 A
   B65B1/22
   B65B31/04 C
   B65B43/28 A
   B65B43/30 A
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-99993(P2013-99993)
(22)【出願日】2013年5月10日
(65)【公開番号】特開2014-218282(P2014-218282A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2016年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108281
【氏名又は名称】ゼネラルパッカー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正明
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−126244(JP,A)
【文献】 特開2008−285171(JP,A)
【文献】 特開2011−006129(JP,A)
【文献】 特開2007−210614(JP,A)
【文献】 特開平01−167023(JP,A)
【文献】 特開平05−147601(JP,A)
【文献】 実開昭54−085168(JP,U)
【文献】 実開平05−075110(JP,U)
【文献】 特開2011−240962(JP,A)
【文献】 実開昭51−157470(JP,U)
【文献】 特開2006−321567(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0040413(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0098697(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B1/00−3/36
B65B31/00−31/10
B65B43/00−43/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの直線部とその両端の半円形部からなる環状通路を水平移動する多数のグリップユニットを複数の工程ごとに間欠移動し、そのグリップユニットのグリップにより袋口を上にして吊り下げ状に支持した包装袋に被包装物を充填すると共にガス充填を施してから袋口のヒートシールを行うようにしたトラック式ガス充填包装機を使用するガス充填包装方法であって、
前記包装袋として両側縁に折込み部分を有する大形のガゼット袋、底部に折込み部分を有する大形の自立袋若しくはそれら何れかの袋にチャックを備えた大形のチャック付袋又は平袋を対象とし、
操作パネルにより包装袋の大きさと種類、被包装物の種類を入力し、
給袋工程にて、マガジンに積み重ねて収められた多数の包装袋を袋補給ユニットの上下移動制御される吸盤により上から一枚ずつめくって持ち上げて袋チャックに受け渡し、その袋チャックによって掴まれた包装袋を隣接する袋位置決めユニットまで移送して当該ユニットのガイド内に落とし込んでから、前記入力データに基づいて該ガイドの袋幅に対応するサイドガイドの位置と、袋長さに対応する袋口側の前端ガイド及び後端ガイドの位置を自動調整して位置決めを施し、ついで前記ガイド内の包装袋を袋供給手段のチャックにより掴んで上方に待機する袋高さ補正機能を備えたクランプユニットのクランプに袋口を上にして挟持させ、そのクランプから給袋工程に待機する前記グリップに包装袋を送り込むようになし、
袋開口・膨らまし工程にて、吸盤の吸着作用により袋口を開放すると共に当該包装袋の底部を吸盤の吸着作用により膨らました状態とし、
被包装物の充填工程にて、包装袋の移送と同期して上下移動と水平移動制御される同調漏斗を下降させて包装袋に挿入すると共に底叩きユニットの受け部材を包装袋の底部にあてがってタッピングすることにより被包装物の落としこみを介助しつつ所定量の被包装物を充填し、
その充填作業終了間際から後続の複数工程までの間において、前記同調漏斗に備えたガス充填ノズルから当該袋内へ不活性ガスの吹き込み動作を継続し、
被包装物の充填工程から脱気・仮付けシール工程までの間において、前記底叩きユニットと、単数若しくは複数の包装袋を挟持して当該包装袋の移送速度に回転速度を同期するように制御される少なくとも一組のコンベアユニットを設けた整形手段との共同作業によって包装袋を所望の形態に整形し、
ついで、包装袋が脱気・仮付けシール工程まで移動する間において、前記漏斗及びガス充填ノズルを包装袋から脱出させると共に袋口の一部を吸盤の吸着作用により開放した状態とし、
脱気・仮付けシール工程にて、包装袋に脱気ノズルを挿入して当該袋内に残留する空気を除去してから当該ノズルを包装袋から脱出させ、ついで、仮付けヒータにより袋口を挟持して仮付けシールを施し、
さらに袋口の本シール工程にて仮付け箇所にヒートシールを施し、
冷却シール・系外排出工程にて、そのヒートシールを施された箇所を冷却してから包装袋を系外に排出するようにしたことを特徴とするガス充填包装方法。
【請求項2】
前記袋補給手段に包装袋の大きさに対応して収容スペースを自動調節可能な複数のマガジンを備えていて、包装袋をマガジンに充填する供給位置から前記袋チャックによりマガジンに収められた包装袋を取り出す補給位置へマガジンを循環移動させるようにされていることを特徴とする請求項1に記載のガス充填包装方法。
【請求項3】
前記包装袋を支持するグリップの左右一対の挟持部の間隔を包装袋の大きさに合わせて自動調節するようにされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガス充填包装方法。
【請求項4】
包装袋が前記チャック付ガゼット袋の場合には、給袋後にチャックを開放すると共に袋の表面部若しくは背面部と、両側縁のV字形折り込み部分の一方との重なり部分にポイントシールを施して当該部分を固定するようにされていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のガス充填包装方法。
【請求項5】
前記袋口の本シール工程において、第1シール工程にて袋口のヒートシールを施した後に、さらに第2シール工程にて袋口のヒートシールを施すようにされていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のガス充填包装方法。
【請求項6】
前記給袋工程から冷却シール・系外排出工程に至る全ての工程が、前記環状通路を構成する一方の直線部側に配置されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のガス充填包装方法。
【請求項7】
前記包装袋が紙袋の場合には、袋の表面部と背面部の袋口の高さを所定寸法だけ異なる形状として内面に樹脂がコーティング処理されているものを使用し、前記脱気・仮付けシール工程にて袋口の仮付けシールを施してから系外に設置される縫製手段によって仮付けシールより上の部分を折り込んでミシン縫いを施すようにされていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のガス充填包装方法。
【請求項8】
二つの直線部とその両端の半円形部からなる環状通路を水平移動する多数のグリップユニットを複数の工程ごとに間欠移動し、そのグリップユニットのグリップにより袋口を上にして吊り下げ状に支持した包装袋に被包装物を充填すると共にガス充填を施してから袋口のヒートシールを行うようにしたトラック式ガス充填包装機であって、
前記包装袋として両側縁に折込み部分を有する大形のガゼット袋、底部に折込み部分を有する大形の自立袋若しくはそれら何れかの袋にチャックを備えた大形のチャック付袋又は平袋を対象とし、
包装袋の大きさと種類、被包装物の種類を入力する操作パネルと、
マガジンに積み重ねて収められた多数の包装袋を、駆動機構により上下移動自在とされた吸盤により上から一枚ずつめくって持ち上げて水平移動自在の袋チャックに受け渡し、その袋チャックによって掴まれた包装袋を移送して隣接する袋位置決めユニットのガイド内に落とし込む袋補給ユニットと、前記操作パネルによる入力データに基づいて袋幅に対応するサイドガイドの位置と、袋長さに対応する袋口側の前端ガイド及び後端ガイドの位置を自動調整して位置決めを施す前記袋位置決めユニットと、そのガイド内の包装袋を袋供給ユニットのチャックにより掴んで上方に待機する袋高さ補正機能を備えたクランプユニットのクランプに袋口を上にして挟持させて給袋工程に待機する前記グリップに包装袋を送り込むように設けた給袋手段と、
袋口の両側に進退自在に設けた吸盤の吸着作用により袋口を開放する開口ユニットと、包装袋の両側下方に進退自在に設けた吸盤の吸着作用により当該袋の底部を膨らました状態とする先行整形ユニットと、
包装袋の移送と同期して上下移動と水平移動制御される同調漏斗により所定量の被包装物を包装袋に充填すると共に、当該漏斗に備えたガス充填ノズルにより被包装物の充填作業終了間際から後続の複数工程までの間において該袋内へ不活性ガスの吹き込み動作を行なうように設けた充填手段と、
被包装物の充填工程から脱気・仮付けシール工程までの間において、受け部材を包装袋の底部にあてがってタッピングして被包装物の落とし込みを介助する底叩きユニットと、単数若しくは複数の包装袋を挟持して当該包装袋の移送速度に回転速度を同期するように制御される少なくとも一組のコンベアユニットとの共同作業によって包装袋を所望の形態に整形するように設けた整形手段と、
袋口の両側に進退自在に設けた吸盤の吸着作用により袋口の一部を開放して脱気ノズルの挿入を可能とすると共に該開放部分以外の袋口部分を閉鎖可能な移動式袋口補助開口ユニットと、
仮付けヒータにより袋口を挟持して仮付けシールを施す袋口の仮付けシールユニットと、その仮付け箇所にさらにヒートシールを施す袋口の本シールユニットと、
そのヒートシールを施された箇所を冷却する冷却シールユニットとから構成されることを特徴とするガス充填包装機。
【請求項9】
前記袋補給ユニットに包装袋の大きさに対応して収容スペースを自動調節可能な複数のマガジンを備えていて、包装袋をマガジンに充填する供給位置から前記袋チャックによりマガジンに収められた包装袋を取り出す補給位置へマガジンを循環移動させるように設けたことを特徴とする請求項8に記載のガス充填包装機。
【請求項10】
前記マガジンは、水平方向に平行に配置されたチェーン又はベルトが別々の駆動ユニットにより各々正転及び逆回転自在に設けられていて、一方のサイドガイドと他方のサイドガイドを別々のチェーン又はベルトに装着し、それらチェーン又はベルトの回転方向を互いに変えることにより両サイドガイドの間隔を所定の袋幅に合うように自動調整し、それらチェーン又はベルトが同じ回転方向の場合に所定の袋幅を維持した状態で循環移動するように設けられていることを特徴とする請求項8又は9に記載のガス充填包装機。
【請求項11】
前記包装袋を支持するグリップの左右一対の挟持部の間隔を包装袋の大きさに合わせて自動調節するように設けたことを特徴とする請求項8〜10の何れかに記載のガス充填包装機。
【請求項12】
包装袋が前記チャック付ガゼット袋の場合には、給袋後のチャック開き工程にてチャックを開放すると共にポイントシール工程にて袋の表面部若しくは背面部と、両側縁のV字形折り込み部分の一方との重なり部分にヒートシールを施して当該部分を固定するポイントシールユニットを設けることを特徴とする請求項8〜11の何れかに記載のガス充填包装機。
【請求項13】
前記袋口の本シールユニットが、第1シールユニットと第2シールユニットからなることを特徴とする請求項8〜12の何れかに記載のガス充填包装機。
【請求項14】
前記包装袋の供給から冷却シールを施すまでの全ての工程が、前記環状通路を構成する一方の直線部側に配置されていることを特徴とする請求項8〜13の何れかに記載のガス充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大形の包装袋に10〜20kg程度の重さの米、砂糖、ペットフード、肥料などの被包装物を充填すると共に不活性ガスを充填して施封して被包装物の充填から袋口の仮付けシールを施すまで連続的に整形を行うことにより平積み時における包装袋を荷崩れの生じにくい所望の安定した形態とし、袋サイズ変更に伴う関連装置の切り替えを含む全作業を自動化することができるガス充填包装方法とその包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロータリー式包装機において、1kgから15kg程度の重さの米、砂糖などの被包装物を充填して包装する方法が知られている。例えば、本件出願人に係る特許文献1には、ロータリー式ガス充填包装機を使用し、バイブレータを備えた押圧部材によって10kg〜15kgの重い被包装物が充填された包装袋を前後両側から押圧して被包装物を上下方向に延伸して一定の厚さに整形し、これと同時に当該袋内の空気を脱気ノズルにより除去して袋口のヒートシールを施す包装方法が開示されている。
【0003】
ところが、上記ロータリー式包装機においては、包装袋を支持するグリップが回転体に放射状に配置されて回転移動する構造とされ、10〜15kgの重量となる被包装物を充填した包装袋が工程間を回転移動するときに大きな遠心力が発生することから、グリップによる挟持部分の跡が残るという不都合を生じていた。また、従来の整形作業は1つの工程でのみ行われていることから整形後の形態に安定性を維持することが困難であり、このことが包装後の製品を平積みした時における荷崩れが生じやすい要因となっていた。
【0004】
さらに、コンベア式給袋装置は、ベルトコンベア上に包装袋を倒して重ねるように収めて前方の包装袋から一枚ずつめくって包装機のグリップに供給する公知の構造とされているが、長さ600〜1050mm程度の大形包装袋の場合はベルトコンベアが長くなって大きなスペースを要するほか、チャック付袋の場合にはベルトコンベア上で前方へ送るときに少し膨らみのあるチャック部分が円滑な移動を妨げるという現象を生ずる。また、従来のマガジン式給袋装置は、特許文献3に示すように袋サイズを切り替える際に包装袋を収容するガイドを手動調整する構造とされており、包装機の全自動化に適する機能を備えていない。また、大形のガゼット袋、大形のチャック付袋のストックや給袋作業に適する装置ではなかった。
【0005】
また、従来の包装機のグリップについては、包装袋を支持する挟持部を袋幅の大きさに合わせて手動で調整する構造とされていたので、袋サイズの変更に伴う切り替えに多くの時間と手間が掛かるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−126244号公報
【特許文献2】特開2008−285171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、大形包装袋への被包装物の袋詰めを品質の優れた安定した形態にて行うことができると共に袋サイズ変更に伴う関連装置の切り替えを含む全作業の自動化を図るガス充填包装方法とその包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために請求項1に記載した発明は、二つの直線部とその両端の半円形部からなる環状通路を水平移動する多数のグリップユニットを複数の工程ごとに間欠移動し、そのグリップユニットのグリップにより袋口を上にして吊り下げ状に支持した包装袋に被包装物を充填すると共にガス充填を施してから袋口のヒートシールを行うようにしたトラック式ガス充填包装機を使用するガス充填包装方法であって、
前記包装袋として両側縁に折込み部分を有する大形のガゼット袋、底部に折込み部分を有する大形の自立袋若しくはそれら何れかの袋にチャックを備えた大形のチャック付袋又は平袋を対象とし、
操作パネルにより包装袋の大きさと種類、被包装物の種類を入力し、
給袋工程にて、マガジンに積み重ねて収められた多数の包装袋を袋補給ユニットの上下移動制御される吸盤により上から一枚ずつめくって持ち上げて袋チャックに受け渡し、その袋チャックによって掴まれた包装袋を隣接する袋位置決めユニットまで移送して当該ユニットのガイド内に落とし込んでから、前記入力データに基づいて該ガイドの袋幅に対応するサイドガイドの位置と、袋長さに対応する袋口側の前端ガイド及び後端ガイドの位置を自動調整して位置決めを施し、ついで前記ガイド内の包装袋を袋供給手段のチャックにより掴んで上方に待機する袋高さ補正機能を備えたクランプユニットのクランプに袋口を上にして挟持させ、そのクランプから給袋工程に待機する前記グリップに包装袋を送り込むようになし、
袋開口・膨らまし工程にて、吸盤の吸着作用により袋口を開放すると共に当該包装袋の底部を吸盤の吸着作用により膨らました状態とし、
被包装物の充填工程にて、包装袋の移送と同期して上下移動と水平移動制御される同調漏斗を下降させて包装袋に挿入すると共に底叩きユニットの受け部材を包装袋の底部にあてがってタッピングすることにより被包装物の落としこみを介助しつつ所定量の被包装物を充填し、
その充填作業終了間際から後続の複数工程までの間において、前記同調漏斗に備えたガス充填ノズルから当該袋内へ不活性ガスの吹き込み動作を継続し、
被包装物の充填工程から脱気・仮付けシール工程までの間において、前記底叩きユニットと、単数若しくは複数の包装袋を挟持して当該包装袋の移送速度に回転速度を同期するように制御される少なくとも一組のコンベアユニットを設けた整形手段との共同作業によって包装袋を所望の形態に整形し、
ついで、包装袋が脱気・仮付けシール工程まで移動する間において、前記漏斗及びガス充填ノズルを包装袋から脱出させると共に袋口の一部を吸盤の吸着作用により開放した状態とし、
脱気・仮付けシール工程にて、包装袋に脱気ノズルを挿入して当該袋内に残留する空気を除去してから当該ノズルを包装袋から脱出させ、ついで、仮付けヒータにより袋口を挟持して仮付けシールを施し、
さらに袋口の本シール工程にて仮付け箇所にヒートシールを施し、
冷却シール・系外排出工程にて、そのヒートシールを施された箇所を冷却してから包装袋を系外に排出するようにしたことを特徴とする。
【0009】
同様の目的を達成するために請求項2に記載した発明は、請求項1に記載のガス充填包装方法において、前記袋補給手段に包装袋の大きさに対応して収容スペースを自動調節可能な複数のマガジンを備えていて、包装袋をマガジンに充填する供給位置から前記袋チャックによりマガジンに収められた包装袋を取り出す補給位置へマガジンを循環移動させるようにされていることを特徴とするものである。
【0010】
マガジンは、包装を行う包装袋の大きさに対応して収容スペースを自動調節可能であるので、袋サイズ変更に伴う煩わしい作業が不要となり、包装機の自動化に寄与する。
【0011】
同様の目的を達成するために請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載のガス充填包装方法において、前記包装袋を支持するグリップの左右一対の挟持部の間隔を包装袋の大きさに合わせて自動調節するようにされていることを特徴とするものである。
【0012】
グリップは、包装を行う包装袋の大きさに対応して左右一対の挟持部の間隔を自動調節するようにされるので、袋サイズ変更に伴い多数のグリップを一々調節する煩わしい作業が不要となり、袋サイズ変更に伴う包装機の対応を迅速に円滑に行うことができる。
【0013】
同様の目的を達成するために請求項4に記載した発明は、請求項1〜3の何れかに記載のガス充填包装方法において、包装袋が前記チャック付きガゼット袋の場合には、給袋後にチャックを開放すると共に袋の表面部若しくは背面部と、両側縁のV字形折り込み部分の一方との重なり部分にポイントシールを施して当該部分を固定するようにされていることを特徴とするものである。
【0014】
包装袋が開放された状態で同調漏斗の下口が挿入されるときに、上記折込み部分が内方中央に突出していた場合に下口が干渉する虞がある。そこで、袋の表面部若しくは背面部と、両側縁のV字形折り込み部分の一方との重なり部分に、ポイントシールを施して当該部分を固定する処理を施すことにより、同調漏斗の挿入動作を円滑に行なうことができる。
【0015】
同様の目的を達成するために請求項5に記載した発明は、請求項1〜4の何れかに記載のガス充填包装方法において、前記袋口の本シール工程において、第1シール工程にて袋口のヒートシールを施した後に、さらに第2シール工程にて袋口のヒートシールを施すようにされていることを特徴とするものである。
【0016】
仮付けシール後に施す本シールを第1シールと第2シールの2回とすることにより、確実で品質の優れたシール処理を施すことができる。
【0017】
同様の目的を達成するために請求項6に記載した発明は、請求項1〜5の何れかに記載のガス充填包装方法において、前記給袋工程から冷却シール・系外排出工程に至る全ての工程が、前記環状通路を構成する一方の直線部側に配置されていることを特徴とするものである。
【0018】
全ての工程を一方の直線部側に配置することにより、作業者や保守管理人が移動する時間を少なくすることが可能となり、作業者等の労力の負担軽減に寄与する。
【0019】
同様の目的を達成するために請求項7に記載した発明は、請求項1〜6の何れかに記載のガス充填包装方法において、前記包装袋が紙袋の場合には、袋の表面部と背面部の袋口の高さを所定寸法だけ異なる形状として内面に樹脂がコーティング処理されているものを使用し、前記脱気・仮付けシール工程にて袋口の仮付けシールを施してから系外に設置される縫製手段によって仮付けシールより上の部分を折り込んでミシン縫いを施すようにされていることを特徴とするものである。
【0020】
同様の目的を達成するために請求項8に記載した発明は、二つの直線部とその両端の半円形部からなる環状通路を水平移動する多数のグリップユニットを複数の工程ごとに間欠移動し、そのグリップユニットのグリップにより袋口を上にして吊り下げ状に支持した包装袋に被包装物を充填すると共にガス充填を施してから袋口のヒートシールを行うようにしたトラック式ガス充填包装機であって、
前記包装袋として両側縁に折込み部分を有する大形のガゼット袋、底部に折込み部分を有する大形の自立袋若しくはそれら何れかの袋にチャックを備えた大形のチャック付袋又は平袋を対象とし、
包装袋の大きさと種類、被包装物の種類を入力する操作パネルと、
マガジンに積み重ねて収められた多数の包装袋を、駆動機構により上下移動自在とされた吸盤により上から一枚ずつめくって持ち上げて水平移動自在の袋チャックに受け渡し、その袋チャックによって掴まれた包装袋を移送して隣接する袋位置決めユニットのガイド内に落とし込む袋補給ユニットと、前記操作パネルによる入力データに基づいて袋幅に対応するサイドガイドの位置と、袋長さに対応する袋口側の前端ガイド及び後端ガイドの位置を自動調整して位置決めを施す前記袋位置決めユニットと、そのガイド内の包装袋を袋供給ユニットのチャックにより掴んで上方に待機する袋高さ補正機能を備えたクランプユニットのクランプに袋口を上にして挟持させて給袋工程に待機する前記グリップに包装袋を送り込むように設けた給袋手段と、
袋口の両側に進退自在に設けた吸盤の吸着作用により袋口を開放する開口ユニットと、包装袋の両側下方に進退自在に設けた吸盤の吸着作用により当該袋の底部を膨らました状態とする先行整形ユニットと、
包装袋の移送と同期して上下移動と水平移動制御される同調漏斗により所定量の被包装物を包装袋に充填すると共に、当該漏斗に備えたガス充填ノズルにより被包装物の充填作業終了間際から後続の複数工程までの間において該袋内へ不活性ガスの吹き込み動作を行なうように設けた充填手段と、
被包装物の充填工程から脱気・仮付けシール工程までの間において、受け部材を包装袋の底部にあてがってタッピングして被包装物の落とし込みを介助する底叩きユニットと、単数若しくは複数の包装袋を挟持して当該包装袋の移送速度に回転速度を同期するように制御される少なくとも一組のコンベアユニットとの共同作業によって包装袋を所望の形態に整形するように設けた整形手段と、
袋口の両側に進退自在に設けた吸盤の吸着作用により袋口の一部を開放して脱気ノズルの挿入を可能とすると共に該開放部分以外の袋口部分を閉鎖可能な移動式袋口補助開口ユニットと、
仮付けヒータにより袋口を挟持して仮付けシールを施す袋口の仮付けシールユニットと、その仮付け箇所にさらにヒートシールを施す袋口の本シールユニットと、
そのヒートシールを施された箇所を冷却する冷却シールユニットとから構成されることを特徴とする。
【0021】
同様の目的を達成するために請求項9に記載した発明は、請求項8に記載のガス充填包装機において、前記袋補給ユニットに包装袋の大きさに対応して収容スペースを自動調節可能な複数のマガジンを備えていて、包装袋をマガジンに充填する供給位置から前記袋チャックによりマガジンに収められた包装袋を取り出す補給位置へマガジンを循環移動させるように設けたことを特徴とするものである。
【0022】
同様の目的を達成するために請求項10に記載した発明は、請求項8又は9に記載のガス充填包装機において、前記マガジンは、水平方向に平行に配置されたチェーン又はベルトが別々の駆動ユニットにより各々正転及び逆回転自在に設けられていて、一方のサイドガイドと他方のサイドガイドを別々のチェーン又はベルトに装着し、それらチェーン又はベルトの回転方向を互いに変えることにより両サイドガイドの間隔を所定の袋幅に合うように自動調整し、それらチェーン又はベルトが同じ回転方向の場合に所定の袋幅を維持した状態で循環移動するように設けられていることを特徴とするものである。
【0023】
マガジンは、包装を行う包装袋の大きさに対応して収容スペースを自動調節可能であるので、袋サイズ変更に伴う煩わしい作業が不要となり、包装機の自動化に寄与する。
【0024】
同様の目的を達成するために請求項11に記載した発明は、請求項8〜10の何れかに記載のガス充填包装機において、前記包装袋を支持するグリップの左右一対の挟持部の間隔を包装袋の大きさに合わせて自動調節するように設けたことを特徴とするものである。
【0025】
グリップは、包装を行う包装袋の大きさに対応して左右一対の挟持部の間隔を自動調節するように設けられているので、袋サイズ変更に伴い多数のグリップを一々調節する煩わしい作業が不要となり、袋サイズ変更に伴う包装機の対応を迅速に円滑に行うことができる。
【0026】
同様の目的を達成するために請求項12に記載した発明は、請求項8〜11の何れかに記載のガス充填包装機において、包装袋が前記チャック付きガゼット袋の場合には、給袋後のチャック開き工程にてチャックを開放すると共にポイントシール工程にて袋の表面部若しくは背面部と両側縁のV字形折り込み部分の一方との重なり部分にヒートシールを施して当該部分を固定するポイントシールユニットを設けることを特徴とするものである。
【0027】
包装袋が開放された状態で同調漏斗の下口が挿入されるときに、上記折込み部分が内方中央に突出していた場合に下口が干渉する虞がある。そこで、袋の表面部若しくは背面部と、両側縁のV字形折り込み部分の一方との重なり部分に、ポイントシールを施して当該部分を固定する処理を施すことにより、同調漏斗の挿入動作を円滑に行なうことができる。
【0028】
同様の目的を達成するために請求項13に記載した発明は、請求項8〜12の何れかに記載のガス充填包装機において、前記袋口の本シールユニットが、第1シールユニットと第2シールユニットからなることを特徴とするものである。
【0029】
仮付けシール直後に施される本シールを第1シールと第2シールの2回とすることにより、確実で品質の優れたシール処理を施すことができる。
【0030】
同様の目的を達成するために請求項14に記載した発明は、請求項8〜13の何れかに記載のガス充填包装機において、前記包装袋の供給から冷却シールを施すまでの全ての工程が、前記環状通路を構成する一方の直線部側に配置されていることを特徴とするものである。
【0031】
全ての工程を一方の直線部側に配置することにより、作業者や保守管理人が移動する時間を少なくすることが可能となり、作業者等の労力の負担軽減に寄与する。
【発明の効果】
【0032】
(請求項1の発明)
このガス充填包装方法によれば、大形包装袋への被包装物の袋詰めを品質の優れた安定した形態にて行うことができるので、包装後の製品を平積みした時における荷崩れが生じにくい利点がある。加えて、操作パネルにより包装袋の大きさと種類、被包装物の種類を入力することにより、袋サイズ変更に伴う関連装置、例えば供給装置のマガジンの収容スペース、袋位置決めユニットのガイド位置調整、グリップの挟持部の間隔調節などの切り替えを含む全作業を自動的に行うことができ、大形包装袋による包装を円滑に行うことができる。
【0033】
(請求項8の発明)
このガス充填包装機によれば、大形包装袋への被包装物の袋詰めを品質の優れた安定した形態にて行うことができるので、包装後の製品を平積みした時における荷崩れが生じにくい利点がある。加えて、操作パネルによる包装袋の大きさと種類、被包装物の種類を入力することにより、袋サイズ変更に伴う関連装置、例えば供給装置のマガジンの収容スペース、袋位置決めユニットのガイド位置調整、グリップの挟持部の間隔調節などの切り替えを含む全作業を自動的に行うことができ、大形包装袋による包装を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明方法に係るガス充填包装機の概要説明図
図2】同、平面図
図3】同、側面図
図4】包装工程における作業内容を説明する模式図
図5】クランプユニットの斜視図
図6】クランプユニットの平面図
図7】給袋装置における連係作業を説明する模式図
図8】給袋装置の正面図
図9】給袋装置の側面図
図10】(1)通常のプラスチック製袋と、(2)紙袋の袋口の説明図
図11】充填工程から本シール工程までの説明図
図12】充填工程における充填装置と整形装置の配置を示す説明図
図13】コンベアユニットの平面図
図14】脱気・仮付けシール工程における作業を説明する模式図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明の最良の形態例を図面に基づいて説明する。
【0036】
本発明のガス充填包装方法とその包装機を適用するトラック式ガス充填包装機Pを図1図2に示す。この包装機Pは、大形の包装袋に10〜20kg程度の重さの米、ペットフード、肥料などの被包装物を充填して施封して被包装物の充填から袋口の仮付けシールを施すまで連続的に整形を行うことにより、包装後の製品を平積みした時における荷崩れの生じにくい安定した形態の製品を得る包装を行い、オペレータの指令に基づいて袋サイズの変更に伴う関連装置の切り替えを含む全作業を自動的に行なうことができる。包装工程としては、図1図4に示すように、給袋工程(1)、チャック付袋の場合に閉じられたチャックを開放するチャック開き工程(2)、ポイントシール工程(3)、袋開口・膨らまし工程(4)、被包装物の充填工程(5)、振動・ガス充填工程(6)(7)、脱気・仮付けシール工程(8)、第1シール工程(9)、第2シール工程(10)、冷却・系外排出工程(11)からなる。
【0037】
図1〜3に示すように、この包装機Pは、二つの直線部3a,3bとその両端の半円形部3c,3dからなる環状通路3を水平移動する多数のグリップユニット5を上記工程ごとに間欠移動させ、そのグリップユニット5のグリップ11により袋口を上にして吊り下げ状に支持される包装袋に被包装物を充填すると共に品質を維持するための不活性ガス(窒素ガス)の充填を施して袋口を施封する構成とされている。そして、包装袋の供給から冷却シールを施すまでの全ての工程が、環状通路3を構成する一方の直線部3a側に配置されている。この包装機Pを構成する主な装置、ユニット及び要点について以下に説明する。
【0038】
なお、この包装機Pでは、袋口の本シール工程を第1シール工程(9)と第2シール工程(10)の2つの工程に分けてヒートシールの確実性を維持しているが、これを1つの工程とすることも可能である。
【0039】
包装袋の対象としては、両側縁に折込み部分を有するガゼット袋、底部に折込み部分を有する自立袋若しくはそれら何れかの袋にチャックを備えたチャック付袋又は平袋である。この実施例における袋の大きさについては、幅:300〜450mm、長さ(高さ):600〜1050mmである。折込み部分を展開した長さは、100〜200mmである。
【0040】
図5図6に示すように、グリップユニット5は、ベース6に回動自由に設けられた複数組のローラ7が環状通路3を形成するレール4a,4bに装着されていて、機台1に内装される割り出し機構とモータ装置とからなる公知の駆動ユニット(図示せず)によって駆動される環状搬送ベルト4に該ベース6が取り付けられて間欠移動するように設けられている。
【0041】
図6において、ベース6には、左右一対のホルダ8が回動可能に軸支され、それらホルダ8の一部同士をリンク9により連結している。ホルダ8に夫々備えるグリップ11の挟持部12は、リンク機構13の作動杆13aに備えたローラ14を、公知の駆動ユニットで回転制御されるカム機構(図示せず)により押圧部材(図示せず)を進退動作させることによって開閉自在に設けられている。
【0042】
また、一組のグリップ11の挟持部12の間隔(w)については、一方のホルダ8から延びるレバー8aに備えたローラ15をサーボモータ駆動ユニット(図示せず)により移動制御される押圧部材17の進退動作により袋幅の大きさに合わせて自動調節可能に設けられている。18は一方のホルダ8と他方のホルダ8の間に懸架されたコイルスプリングである。このコイルスプリング18は、ローラ15を押圧部材17に弾圧させることにより、挟持部12を一定の間隔(w)に保持させる役割を担う。
【0043】
(給袋装置)
給袋装置(給袋手段)20は、マガジン31に積み重ねられる包装袋を袋位置決めユニット35のガイド内に落とし込む袋補給ユニット22と、包装機Pに備えられた操作パネル2により入力される袋のサイズに対応してガイドの位置決めを施す袋位置決めユニット35と、袋供給ユニット45とクランプユニット50の連係動作により包装袋を所定姿勢にて給袋工程(1)に待機するグリップ11に送り込む概要構成とされている。この給袋装置20における主な作業内容については、図7に示す。
【0044】
図8において、袋補給ユニット22は、フレーム21に取り付けられたサーボモータ駆動ユニット(駆動機構)23により上下移動自在とされる吸盤24によってマガジン31に積み重ねて収められる多数の包装袋を上から一枚ずつめくって所定高さまで持ち上げるように設けられている。27はアクチュエータ25により水平移動自在とされていて、シリンダー26の作動によって開閉自在とされた袋チャックである。袋チャック27は袋補給ユニット22の吸盤24によって持ち上げられた包装袋の一側縁(袋位置決めユニット35寄りの側縁)を掴んで隣接する袋位置決めユニット35のガイド内に落とし込むように設けられている。
【0045】
マガジン31は、フレーム29に水平方向に平行に配置されたチェーン(若しくはベルト、好ましくはタイミングベルト)30,30が別々に備えるサーボモータ駆動ユニットにより各々正転及び逆回転自在に設けられていて、一方のサイドガイド32aと他方のサイドガイド32bを各々のチェーン30に装着し、それらチェーン30,30の回転方向を互いに変えることにより両サイドガイド32a,32bの間隔を所定の袋幅に合うように自動調整するように設けられている。複数のマガジン31は、一方のチェーン30と他方のチェーン30が同じ回転方向に駆動される場合に、所定の袋幅を維持した状態で袋を充填する供給位置(L)、待機位置(L)から袋チャック27により包装袋の一側縁を掴む補給位置(L)に循環移動可能に設けられている。
【0046】
袋位置決めユニット35は、入力データに基づいて袋幅に対応するサイドガイド36,37の位置をサーボモータ駆動ユニット(図示せず)により自動調整し、後端ガイド38の位置をサーボモータ駆動ユニット39により自動調整して位置決めを施すようにされている。さらに、袋口側の前端ガイド40が通常のプラスチック製袋と、紙袋に対応するようにアクチュエータ41の作動により位置を自動的に切り替え可能に設けられている。なお、この実施例において、「ガイド」と称するときは、サイドガイド36,37と前端ガイド40とからなる構成を意味するものとする。
【0047】
因みに、包装袋が紙袋の場合には、袋の表面部と背面部の袋口の高さを所定寸法だけ異なる形状として内面に樹脂がコーティング処理されているものを使用し、この包装機Pにて袋口の仮付けシールを施してから、系外に設置される縫製手段によって仮付けシールより上の部分を折り込んだ状態でミシン縫いを施すようにされる。このため、紙袋の場合には、図10に示すように、袋口の高さが揃っていなくて低い側を高さの基準としていることから、グリップ11により挟持される位置から袋口までの長さ寸法(h)を通常のプラスチック製袋よりも大きくすることができるように前端ガイド40によって切り替え調節可能に設けられている。
【0048】
袋供給ユニット45は、図示しないカムにより回転制御される軸46に固定されたアーム47を包装袋の掴着位置とクランプユニット50のクランプ56へ受け渡す位置の間を往復回転するように設けられている。48はアーム47の先端部に設けられたチャックである。
【0049】
本包装機Pの機台1に内装される駆動装置により全体の装置・機構のタイミングを制御する主軸1aには、図示しない複数のカムを設けている(図3)。そして、クランプユニット50は、図9に示すように、そのうちの特定のカムにより回転制御される軸51に固定されたレバー52により一対のクランプ56を備えたベース55を前後方向に移動自在に設けられている。クランプ56は、図示しないカムにより回転制御される軸53に固定されたレバー54により開閉自在に設けられている。ベース55は、前記アーム47に設けられたレーザ式センサ49により検出されるデータに基づいてサーボモータ駆動ユニット57により昇降自在に設けられている。これにより、クランプ56で挟持される包装袋の高さを所定の寸法に自動調整可能とし、ここではその機能のことを「袋高さ補正機能」と言うものとする。この「袋高さ補正機能」については、本件出願人に係る包装袋供給装置の一例である特開2011−6129号公報において開示されている公知機構に準ずる構成とされている。
【0050】
しかして、マガジン31に積み重ねて収められた多数の包装袋を袋補給ユニット22の吸盤24により上から一枚ずつめくって持ち上げて袋チャック27に受け渡し、その袋チャック27によって掴まれた包装袋を隣接する袋位置決めユニット35まで移送して当該ユニット35のガイド内に落とし込んでから、前記入力データに基づいてガイドの袋幅に対応するサイドガイド36,37の位置と、前端ガイド40及び後端ガイド38の位置を自動調整して位置決めを施し、ついでガイド内の包装袋(a)を袋供給ユニット45のチャック48により掴んで上方に待機するクランプユニット50のクランプ56に袋口を上にして挟持させて給袋工程(1)に待機するグリップ11に包装袋を送り込む給袋装置20が構成される。
【0051】
(ポイントシールユニット)
ポイントシール工程(3)には、ポイントシールユニット60を設けている。ガゼット袋の場合には、図10に示すように、両側縁にV字形折り込み部分(c)が形成されており、本包装機Pで使用される大形袋(a)の場合には、たたまれた状態で折込み部分の長さ寸法が50mm若しくは100mmとなる。この袋(a)が開放された状態で後記同調漏斗の下口が挿入される際に、仮に折込み部分(c)が内方中央に突出していたときに下口が干渉する虞がある。このことを考慮して、袋の表面部若しくは背面部と、両側縁のV字形折り込み部分(c)の一方との重なり部分に、ポイントシールユニット60によりヒートシールを施して当該部分を固定する処理を施すようにされている。
【0052】
(先行整形ユニット)
袋開口・膨らまし工程(4)には、袋口(b)の両側に進退自在に設けた吸盤63の吸着作用により袋口を開放する開口ユニット62と、先行整形ユニット65を設けている。図4に示すように、先行整形ユニット65は、包装袋(a)の両側下方に進退自在に設けた吸盤66の吸着作用により当該袋の底部を膨らました状態とするように設けられている。
【0053】
(充填装置)
充填装置(充填手段)70は、包装袋の移送と同期して上下移動と水平移動を制御される同調漏斗77により所定量の被包装物を包装袋に充填するように設けられている。詳しくは、図3において、平面から見て所定間隔を置いて配置された一対のプーリー71に装着された環状搬送ベルト72に昇降ユニット73を設け、昇降ユニット73のスライド76にガス充填ノズル78を備えた同調漏斗77を取り付けている。昇降ユニット73の下端部73bは、第2の環状通路70aを形成するレール75に移動自由に装着されている。そして、昇降ユニット73は、包装袋の移送と同期してサーボモータ駆動ユニット74の駆動により上下移動を制御され、機台1に内装される割り出し機構とモータ装置とからなる公知の駆動ユニット(図示せず)により包装袋の移送と同期させて水平移動を制御されるように設けられている。
【0054】
(底叩きユニット)
底叩きユニット80は、被包装物の充填工程(5)、振動・ガス充填工程(6)(7)及び脱気・仮付けシール工程(8)の3箇所に配置され(図11図12)、機台1側に設置されたサーボモータ駆動ユニット81による回転運動をクランク機構82により直線運動に変換することによって受け部材83を上下運動させるように設けられている。85は縦向きに配置されたガイド部材84に装着された底叩きユニット80を上下方向に移動させることにより高さ調節を行うように設けられたサーボモータ駆動ユニットである。
【0055】
しかして、同調漏斗77が袋開口・膨らまし工程(4)にてサーボモータ駆動ユニット74の駆動により下降して包装袋に挿入された状態で被包装物の充填工程(5)に移動し停止したとき、底叩きユニット80の受け部材83を包装袋の底部にあてがってタッピングすることにより被包装物の落としこみを介助しつつ、図示しない秤量装置から放出される所定量の被包装物が該同調漏斗77を介して充填され、充填作業終了間際からガス充填ノズル78により当該袋内へ不活性ガスの吹き込み動作を開始する充填装置70が構成される。
【0056】
(整形装置)
整形装置(整形手段)は、図11に示すように、被包装物の充填工程(5)から脱気・仮付けシール工程(8)までの間において、単数若しくは複数の包装袋を挟持して当該包装袋の移送速度に回転速度を同期するように制御される少なくとも一組の、この実施例においては三組のコンベアユニット91と、前記底叩きユニット80との共同作業によって包装袋を所望の形態、この実施例では直方体の形態に整形するように設けられている。しかして、これらの整形を施すことにより、製品としての包装袋を平積みしたときの荷崩れを生ずることが回避されるのである。
【0057】
図12図13において、コンベアユニット91は、機台1に所定間隔を置いて配置された軸受部材92にガイドバー93を包装袋の流れ方向(x)に対して直交する方向に進退自由に支持させ、それらガイドバー93の先端に固定されたベース94にサイドコンベア98を設けている。96はサーボモータ駆動ユニット95により回転制御されるボールネジであり、ボールネジ96の先端部はベース94に取り付けられている。サイドコンベア98は、包装袋の流れ方向(x)に平行に所定間隔を置いて配置されたプーリー99,99にプラスチックチェーン100を掛け渡し、プラスチックチェーン100の回転速度を包装袋の移送速度に同期させるように設けられている。図13に示すように、このサイドコンベア98は、通過する包装袋の表面と背面の両側に配置されていて、包装袋の流れ方向(x)と同じ方向に回転するように設けられている。
【0058】
(移動式袋口補助開口ユニット)
図11図14に示すように、移動式袋口補助開口ユニット105は、小型の吸盤107と、脱気ノズル110の挿入を可能とする開放部分以外の袋口部分を閉鎖する袋口押さえ部材108が取り付けられたベース106をアクチュエータ(図示せず)の駆動により進退自在に設けると共に該アクチュエータをサーボモータ駆動ユニット(図示せず)により振動・ガス充填工程(7)と脱気・仮付けシール工程(8)の間を往復移動自在に設けている。それら吸盤107と袋口押さえ部材108は、包装袋の表面と背面の両側に対応して夫々配置されている。
【0059】
しかして、袋口の両側に進退自在に設けた吸盤107,107の吸着作用により袋口の一部を開放して脱気ノズル110の挿入を可能とすると共に該開放部分以外の袋口部分を閉鎖可能に設けた移動式袋口補助開口ユニット105が構成される。
【0060】
脱気・仮付けシール工程(8)においては、包装袋に脱気ノズル110を挿入して当該袋内に残留する空気を除去してから当該ノズル110を包装袋から脱出させた後に、仮付けシールユニットの仮付けヒータ112により袋口を挟持して仮付けシールが施される。
【0061】
本シールユニットは、第1シール工程(9)に設置される第1シールユニットと、第2シール工程(10)に設置される第2シールユニットからなる。そして、仮付けヒータ112により施された仮付け箇所に、さらに第1シールユニットのヒータ113、第2シールユニットのヒータ114によりヒートシールが施される。
【0062】
冷却シールユニットは、本シールユニットでヒートシールを施された箇所を冷却バー115により冷却を施す公知構成とされている。
【0063】
以上により、操作パネル2により包装袋の大きさと種類、被包装物の種類などを入力し、
給袋工程(1)にて、給袋装置20のマガジン31に積み重ねて収められた多数の包装袋を袋補給ユニット22の吸盤24により上から一枚ずつめくって持ち上げて袋チャック27に受け渡し、袋チャック27によって掴まれた包装袋を袋位置決めユニット35まで移送して当該ユニットのガイド内に落とし込んでから、入力データに基づいて袋幅に対応するサイドガイド36,37の位置と、前端ガイド40及び後端ガイド38の位置を自動調整し、ガイド内の包装袋を袋供給ユニット45のチャック48により掴んで上方に待機するクランプユニット50のクランプ56に袋口を上にして挟持させ、クランプ56から給袋工程(1)に待機するグリップ11に包装袋を送り込み、
袋開口・膨らまし工程(4)にて、吸盤63の吸着作用により袋口を開放すると共に当該包装袋の底部を吸盤66の吸着作用により膨らました状態とし、
被包装物の充填工程(5)にて、包装袋の移送と同期して上下移動と水平移動制御される同調漏斗77を下降させて包装袋に挿入すると共に底叩きユニット80の受け部材83を包装袋の底部にあてがってタッピングすることにより被包装物の落としこみを介助しつつ所定量の被包装物を充填し、
その充填作業終了間際から後続の複数工程までの間において、同調漏斗77に備えたガス充填ノズル78から当該袋内へ不活性ガスの吹き込み動作を継続し、
被包装物の充填工程(5)から脱気・仮付けシール工程(8)までの間において、底叩きユニット80と、単数若しくは複数の包装袋を挟持して当該包装袋の移送速度に回転速度を同期するように制御される三組のコンベアユニット91を設けた整形装置との共同作業によって包装袋を所望の形態に整形し、
包装袋が脱気・仮付けシール工程(8)まで移動する間において、同調漏斗77及びガス充填ノズル78を包装袋から脱出させると共に袋口の一部を吸盤107の吸着作用により開放した状態とし、
脱気・仮付けシール工程(8)にて、包装袋に脱気ノズル110を挿入して残留する空気を除去してから当該ノズル110を包装袋から脱出させ、仮付けヒータ112により袋口を挟持して仮付けシールを施し、
第1シール工程(9)と、第2シール工程(10)にて仮付け箇所にヒートシールを施し、
冷却シール・系外排出工程(11)にて、ヒートシール箇所を冷却してから製品たる包装袋(a′)を系外に排出し、袋サイズの変更に伴う関連装置の切り替え作業を全自動で行なうことができる本発明に係るトラック式ガス充填包装機Pが構成される。
【0064】
なお、グリップ11により支持された包装袋が、所定の高さでない場合、チャック付袋の場合にチャックが開放されていない場合又は片方のグリップ11でしか支持していない場合についてはポイントシール工程(3)にてグリップ11が開放作動して該袋を系外に排出する処理が行われる。また、グリップ11により支持された包装袋が、開口不良、膨らまし不良の場合には第1シール工程(9)にてグリップ11が開放作動して該袋を系外に排出する処理が行われる。さらに、包装袋に充填された被包装物に金属が混入している場合には、金属探知センサ(図示せず)の検知動作に基づいて第1シール工程(9)にてグリップ11が開放作動して該袋を系外に排出する処理が行われる。
【0065】
被包装物が充填された包装袋は15〜20kgの重量となり、これをグリップ11だけで支持すると袋の上部が延びる虞がある。このため、第1シール工程(9)から冷却・系外排出工程(11)に袋の底部を支持するコンベア群120が配置されている。121は系外排出用コンベアである。
【0066】
本発明に係るトラック式ガス充填包装機Pの作用については、主な装置、各ユニットの項で構成に関連して述べていることから、説明を省略する。
【符号の説明】
【0067】
P・・・本発明に係るトラック式ガス充填包装機
a・・・包装袋
a′・・・製品としての包装袋
b・・・袋口
c・・・折込み部分
x・・・包装袋の流れ方向
3・・・環状通路
5・・・グリップユニット
11・・・グリップ
20・・・給袋装置(給袋手段)
22・・・袋補給ユニット
24・・・吸盤
27・・・袋チャック
31・・・マガジン
32a,32b・・・サイドガイド
35・・・袋位置決めユニット
38・・・後端ガイド
40・・・前端ガイド
60・・・ポイントシールユニット
62・・・開口ユニット
65・・・先行整形ユニット
70・・・充填装置(充填手段)
77・・・同調漏斗
78・・・ガス充填ノズル
80・・・底叩きユニット
91・・・コンベアユニット
105・・・移動式袋口補助開口ユニット
110・・・脱気ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14