特許第6040417号(P6040417)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040417
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】ACF貼着装置及びACF貼着方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1345 20060101AFI20161128BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20161128BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20161128BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   G02F1/1345
   H05K3/32 B
   H01L21/60 311R
   G02F1/13 101
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-124100(P2012-124100)
(22)【出願日】2012年5月31日
(65)【公開番号】特開2013-250375(P2013-250375A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2014年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100170494
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩夫
(72)【発明者】
【氏名】山田 真五
(72)【発明者】
【氏名】辻 慎治郎
【審査官】 磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−027560(JP,A)
【文献】 特開平10−260422(JP,A)
【文献】 特開平06−075199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1345
H01L 21/447−21/449
H01L 21/60 −21/607
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベーステープの片面側にACFテープが貼り付けられて成るテープ部材を搬送し、前記テープ部材の先頭部側の前記ACFテープが切断されて前記ベーステープ上に形成されたACF切片を水平姿勢にするテープ搬送部と、
前記テープ搬送部によって水平姿勢にされた前記ACF切片を下方から撮像して前記ACF切片の位置を検出する切片位置検出手段と、
前記切片位置検出手段により検出された前記ACF切片の位置に基づいて、前記ACF切片の下方に基板上の切片貼着部位が位置するように前記基板を移動させる基板移動手段と、
前記基板移動手段により前記ACF切片の下方に前記基板上の前記切片貼着部位が位置するように前記基板が移動された後、前記ACF切片を押し付けツールによって前記基板に押し付けて貼着する切片貼着手段とを備え
前記切片位置検出手段は、前記テープ搬送部によって水平姿勢にされた前記ACF切片の前記テープ部材の搬送方向の少なくとも一方の端部を撮像して前記ACF切片の位置を検出し、
前記基板に設けられた位置決め用マークを上方から撮像して前記基板の位置を検出する基板位置検出手段を備え、
前記基板位置検出手段は、前記切片位置検出手段よりも前記基板移動手段の側に配置され、
前記切片位置検出手段は、前記基板位置検出手段による前記基板の位置の検出が行われている間に前記ACF切片の位置を検出することを特徴とするACF貼着装置。
【請求項2】
ベーステープの片面側にACFテープが貼り付けられて成るテープ部材を搬送し、前記テープ部材の先頭部側の前記ACFテープを切断して前記ベーステープ上に形成したACF切片を水平姿勢にするテープ搬送工程と、
前記テープ搬送工程で水平姿勢にした前記ACF切片を下方から撮像して前記ACF切片の位置を検出する切片位置検出工程と、
前記切片位置検出工程で検出した前記ACF切片の位置に基づいて、前記ACF切片の下方に基板上の切片貼着部位が位置するように前記基板を移動させる基板移動工程と、
前記基板移動工程で前記ACF切片の下方に前記基板上の前記切片貼着部位が位置するように前記基板を移動させた後、前記ACF切片を押し付けツールによって前記基板に押し付けて貼着する切片貼着工程と
前記基板に設けられた位置決め用マークを上方から撮像して前記基板の位置を検出する基板位置検出工程とを含み、
前記切片位置検出工程では、前記テープ搬送工程で水平姿勢にされた前記ACF切片の前記テープ部材の搬送方向の少なくとも一方の端部を撮像して前記ACF切片の位置を検出し、
前記切片位置検出工程は前記基板位置検出工程を行っている間に行われることを特徴とするACF貼着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異方性導電膜から成るACF切片を基板に押し付けて貼着するACF貼着装置及びACF貼着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル等のモジュール製造工程では、異方性導電膜から成るACF(Anisotropic Conductive Film)テープの切片(ACF切片)を基板に貼着するACF貼着作業がACF貼着装置によって行われる。ACF貼着装置は、ベーステープ(一般にセパレータと呼ばれる)の片面側にACFテープが貼り付けられて成るテープ部材を搬送し、テープ部材の先頭部側のACFテープが切断されてベーステープ上に形成されたACF切片を基板上の切片貼着部位の上方に水平姿勢で位置させるテープ搬送部及びテープ搬送部によって基板上の切片貼着部位の上方に水平姿勢で位置されたACF切片を押し付けツールによって基板に押し付けて貼着する切片貼着手段を備えた構成となっている。
【0003】
ここで、ACF貼着装置におけるテープ搬送部は、ガイド溝を有する複数の案内ローラによってテープ部材を規定の経路上に案内するとともに、ベーステープを挟み込んだ一対の送りローラを回転させることによってテープ部材を搬送するようになっている(例えば、特許文献1)。そして、送りローラの回転数制御を行うことによって、ACF切片が基板上の切片貼着部位の上方に位置するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−187037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のACF貼着装置では、送りローラの回転数制御を行っていても、送りローラの磨耗等によって送りローラに対するベーステープの滑りが生じている場合にはACF切片の長手方向の位置のコントロールが不正確になってACF切片が切片貼着部位からずれた位置に貼着されてしまうおそれがあった。また、案内ローラに取り付けガタ等があり、テープ部材が搬送方向と直交する方向にぶれている場合にはACF切片の幅方向の位置のコントロールが不正確になるので同様の問題が発生するおそれがあった。
【0006】
そこで本発明は、ACF切片の位置のコントロールが多少不正確であったとしても基板上の切片貼着部位に確実にACF切片を貼着させることができるようにしたACF貼着装置及びACF貼着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のACF貼着装置は、ベーステープの片面側にACFテープが貼り付けられて成るテープ部材を搬送し、前記テープ部材の先頭部側の前記ACFテープが切断されて前記ベーステープ上に形成されたACF切片を水平姿勢にするテープ搬送部と、前記テープ搬送部によって水平姿勢にされた前記ACF切片を下方から撮像して前記ACF切片の位置を検出する切片位置検出手段と、前記切片位置検出手段により検出された前記ACF切片の位置に基づいて、前記ACF切片の下方に基板上の切片貼着部位が位置するように前記基板を移動させる基板移動手段と、前記基板移動手段により前記ACF切片の下方に前記基板上の前記切片貼着部位が位置するように前記基板が移動された後、前記ACF切片を押し付けツールによって前記基板に押し付けて貼着する切片貼着手段とを備え、前記切片位置検出手段は、前記テープ搬送部によって水平姿勢にされた前記ACF切片の前記テープ部材の搬送方向の少なくとも一方の端部を撮像して前記ACF切片の位置を検出し、前記基板に設けられた位置決め用マークを上方から撮像して前記基板の位置を検出する基板位置検出手段を備え、前記基板位置検出手段は、前記切片位置検出手段よりも前記基板移動手段の側に配置され、前記切片位置検出手段は、前記基板位置検出手段による前記基板の位置の検出が行われている間に前記ACF切片の位置を検出する
【0009】
請求項に記載のACF貼着方法は、ベーステープの片面側にACFテープが貼り付けられて成るテープ部材を搬送し、前記テープ部材の先頭部側の前記ACFテープを切断して前記ベーステープ上に形成したACF切片を水平姿勢にするテープ搬送工程と、前記テープ搬送工程で水平姿勢にした前記ACF切片を下方から撮像して前記ACF切片の位置を検出する切片位置検出工程と、前記切片位置検出工程で検出した前記ACF切片の位置に基づいて、前記ACF切片の下方に基板上の切片貼着部位が位置するように前記基板を移動させる基板移動工程と、前記基板移動工程で前記ACF切片の下方に前記基板上の前記切片貼着部位が位置するように前記基板を移動させた後、前記ACF切片を押し付けツールによって前記基板に押し付けて貼着する切片貼着工程と、前記基板に設けられた位置決め用マークを上方から撮像して前記基板の位置を検出する基板位置検出工程とを含み、前記切片位置検出工程では、前記テープ搬送工程で水平姿勢にされた前記ACF切片の前記テープ部材の搬送方向の少なくとも一方の端部を撮像して前記ACF切片の位置を検出し、前記切片位置検出工程は前記基板位置検出工程を行っている間に行われる
【発明の効果】
【0011】
本発明では、テープ搬送部によって(テープ搬送工程で)水平姿勢にされたACF切片の位置を検出し、その検出したACF切片の位置に基づいて、ACF切片の下方に基板上の切片貼着部位が位置するように基板を移動させてからACF切片の基板への貼着を行うようになっており、仮にテープ搬送部における機構的な要因によってACF切片の位置のコントロールが多少不正確であったとしても、基板上の切片貼着部位に確実にACF切片を貼着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置の正面図
図2】本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置の側面図
図3】本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置の部分平面図
図4】本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置の制御系統を示すブロック図
図5】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置が実行するACF貼着作業の動作説明図
図6】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置が実行するACF貼着作業の動作説明図
図7】本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置が備える第2撮像カメラによる撮像画像の一例を示す図
図8】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置が実行するACF貼着作業の動作説明図
図9】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるACF貼着装置が実行するACF貼着作業の動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1図2及び図3に示すACF貼着装置1は、上流工程側に配置された電極洗浄装置及び下流工程側に配置された仮圧着装置や本圧着装置等とともに液晶パネル製造ラインを構成しており、上流工程側の電極洗浄装置から液晶パネル基板としての基板2を受け取った後、その基板2の上面の縁部に設けられた複数の切片貼着部位3(各切片貼着部位3には複数の電極3aが含まれる)のそれぞれに異方性導電膜から成るACFテープ4の切片(ACF切片4s)を貼着したうえで、その基板2を下流工程側の仮圧着装置に受け渡すものである。本実施の形態におけるACF貼着装置1において、ACFテープ4は、図1中の拡大図に示すように、ベーステープBTの片面側に貼り付けられたテープ部材Tpの状態で供給される。
【0014】
図1図2及び図3において、ACF貼着装置1は、基台10上にX軸方向(図示しないオペレータから見た左右方向)に延びて設けられたX軸テーブル11a及びX軸テーブル11aに沿って移動自在でありY軸方向(オペレータから見た前後方向)に延びて設けられたY軸テーブル11b及びY軸テーブル11bに沿って移動自在であるとともにY軸テーブル11bに対して昇降自在及び上下軸(Z軸)回りに回転自在に設けられたθテーブル11cから成る基板保持部移動機構11によって水平面内方向に移動自在に設けられたテーブル状の基板保持部12、フレーム13に支持された貼着ヘッド14及び基板保持部移動機構11の後方に立設されてX軸方向に延びた平板状部15aを有するバックアップステージ15を備えている。
【0015】
図1及び図2において、貼着ヘッド14のベース部分であるベースプレート20はフレーム13に固定して設けられており、このベースプレート20の前面上部にはテープ供給リール21が取り付けられている。このテープ供給リール21はベースプレート20の裏面側に設けられた供給リール駆動モータ21aに駆動されてテープ部材Tpを繰り出し供給する。
【0016】
ベースプレート20の前面にはテープ供給リール21が供給するテープ部材Tpを搬送するテープ搬送部22が設けられている。このテープ搬送部22はテープ供給リール21が供給するテープ部材TpのうちベーステープBTの部分を挟んでテープ部材Tpの送り動作を行う一対の送りローラ23と、これら一対の送りローラ23によって送られるテープ部材Tpを規定の経路上に案内する複数のテープ案内ローラ(第1案内ローラ24a、第2案内ローラ24b、第3案内ローラ24c)及び送りローラ23によって引っ張られた先のベーステープBTを吸引して回収するテープ回収部25から成る。
【0017】
図1において、上記複数の案内ローラのうち第1案内ローラ24aはベースプレート20の左方上部に上下方向に延びて形成されたローラ移動溝20a内を移動自在であるとともに、図示しない付勢部材によって上方に付勢されている。第2案内ローラ24bは第1案内ローラ24aの下方であって、ベースプレート20の左側下部に設けられており、第3案内ローラ24cは第2案内ローラ24bの右方であって、ベースプレート20の右側下部に設けられている。一対の送りローラ23は第3案内ローラ24cの上方であって、ベースプレート20の右側中央部に左右方向に並んで設けられている。
【0018】
テープ搬送部22によって搬送されるテープ部材Tpのうち、第2案内ローラ24bと第3案内ローラ24cの間の領域にはテープ部材TpのうちベーステープBTを挟んで位置する一対の剥離ピン26(剥離部材。ピンのほか、ローラ等であってもよい)が設けられており、第2案内ローラ24bと剥離ピン26の間のテープ部材Tpは水平姿勢に保持される。2つの剥離ピン26はベースプレート20に対して水平方向に移動自在に設けられた移動ベース27に固定して設けられている。
【0019】
送りローラ23はベースプレート20の裏面側に設けられた送りローラ駆動モータ23a(図2)の回転作動によってテープ部材Tpの送り動作を行い、テープ回収部25はベースプレート20の裏面側に設けられたテープ回収部駆動部25a(図2)の作動によってベーステープBTの吸引動作を行う。
【0020】
テープ供給リール21から繰り出されたテープ部材Tpは、第1案内ローラ24aがローラ移動溝20a内で上方に付勢されることによって適度なテンションが与えられ、第1案内ローラ24aと第2案内ローラ24bの間ではベースプレート20の左側領域を垂直方向に延びた姿勢に保持され、第2案内ローラ24bと剥離ピン26の間では、ベースプレート20の下側領域を水平(左右)方向に延びた姿勢に保持される。またテープ部材Tpは、第3案内ローラ24cと送りローラ23との間では、ベースプレート20の右側領域を垂直方向に延びた姿勢に保持される。
【0021】
テープ搬送部22は、テープ供給リール21が繰り出すテープ部材TpのベーステープBTをテープ回収部25によって吸引しながら送りローラ23を順方向に回転させることでテープ部材Tpを順方向(第2案内ローラ24bと第3案内ローラ24cとの間の領域を左から右に流れる方向。図1中に示す矢印A)に搬送(前進搬送)することができ、テープ供給リール21が巻き取るテープ部材TpのベーステープBTをテープ回収部25によって吸引しながら送りローラ23を逆方向に回転させることでテープ部材Tpを逆方向(第2案内ローラ24bと第3案内ローラ24cの間の領域を右から左に流れる方向)に搬送(後退搬送)することができる。
【0022】
ベースプレート20の前面左部であって、第1案内ローラ24aと第2案内ローラ24bによって垂直方向に案内されているテープ部材Tpを左右両側から挟む位置にはテープ部材TpのうちACFテープ4の部分のみを切断(ハーフカット)してACF切片4sを形成するテープ切断ユニット28が設けられている。
【0023】
このテープ切断ユニット28は、第1案内ローラ24aと第2案内ローラ24bの間を垂直に延びるテープ部材Tpの左方領域において左右方向(すなわち、テープ部材Tpの面に直交する方向)に移動自在に設けられたカッター28a、カッター28aが左方の収納位置と右方の突出位置との間で移動(図1中に示す矢印B)するようにカッター28aを駆動するカッター駆動シリンダ28b及び第1案内ローラ24aと第2案内ローラ24bの間を垂直方向に延びるテープ部材Tpの右方領域においてカッター28aと水平方向に対向する位置(すなわちカッター28aとの間でテープ部材Tpを挟む位置)に設けられた背板部28cから成る。
【0024】
テープ切断ユニット28において、突出位置に位置した状態のカッター28aと背板部28cとの間にはベーステープBTの厚さ分だけのクリアランスが確保されている。このため、第1案内ローラ24aと第2案内ローラ24bとの間をテープ部材Tpが垂直方向に延びている状態で、カッター駆動シリンダ28bによってカッター28aを収納位置から突出位置に移動させると、テープ部材Tpの左面のACFテープ4に対して垂直にカッター28aが押し付けられ、テープ部材TpからACFテープ4のみが切断される。このとき背板部28cは、テープ部材Tpの右面のベーステープBTを支持してACFテープ4に対するカッター28aの押し付け荷重の反力をとる当て板として機能する。
【0025】
図1において、ベースプレート20の前面中央部であってテープ供給リール21の下方にはピストンロッド29aを下方に向けてツール昇降シリンダ29が設けられており、ツール昇降シリンダ29のピストンロッド29aの下端には押し付けツール30が取り付けられている。
【0026】
図1及び図2に示すように、押し付けツール30はバックアップステージ15の上方に位置しており、ツール昇降シリンダ29によって上方位置から下方位置へ下動されると、押し付けツール30は第2案内ローラ24bと剥離ピン26によって水平姿勢に保持されたテープ部材Tpを下方に押し下げてバックアップステージ15の平板状部15aの上面にテープ部材Tpを近接させる。このため、バックアップステージ15の上面に基板2を接触させた状態で、押し付けツール30の下方にACF切片4sが位置させておけば、押し付けツール30の下降動作によってACF切片4sが基板2に押し付けられて貼着される。押し付けツール30内にはACF切片4sを基板2に貼着する前に予め押し付けツール30を加熱しておくためのヒータ31(図1及び図2)が設けられている。
【0027】
図1において、ベースプレート20の中央部の前方位置には撮像視野を下方に向けた第1撮像カメラ32がベースプレート20に対して固定して設けられている。この第1撮像カメラ32は、基板保持部移動機構11が基板2を水平方向に移動させることによって撮像視野の下方に位置された基板2のX軸方向の端部の2つの位置決め用マーク2m(図3)をそれぞれ上方から撮像する。
【0028】
また、バックアップステージ15の平板状部15aの下方には、撮像視野を上方に向けた第2撮像カメラ33が設けられている。バックアップステージ15の平板状部15aの全体或いは第2撮像カメラ33の上方に位置する部分の一部は石英ガラス等の硬質で透明度の高い材料から成っており、第2撮像カメラ33はこのバックアップステージ15の石英ガラス部分15gを通してバックアップステージ15の上方に位置する対象物を撮像することができる。或いは、バックアップステージ15の平板状部15aの第2撮像カメラ33の上方に位置する部分に上下方向に貫通する透孔を設け、その透孔を通して第2撮像カメラ33がバックアップステージ15の上方に位置する対象物を撮像するようになっていてもよい。
【0029】
基板保持部12に保持された基板2の移動動作は、制御装置40がX軸テーブル11a、Y軸テーブル11b及びθテーブル11cから成る基板保持部駆動機構41(図4)の作動制御を行うことによってなされる。
【0030】
テープ搬送部22によるテープ部材Tpの搬送動作は、制御装置40が供給リール駆動モータ21a、送りローラ駆動モータ23a及びテープ回収部駆動部25aの作動制御を行うことによってなされ(図4)、テープ部材TpにおけるACFテープ4の先頭部の位置は、ベースプレート20上に設けられた回転数検出センサ42(図4)によって検出される一方の送りローラ23の回転数の情報及びその送りローラ23の半径のデータ等から制御装置40において算出される。
【0031】
テープ切断ユニット28におけるカッター28aの左右方向への移動動作、すなわちカッター28aによるACFテープ4の切断(ハーフカット)動作は、制御装置40がカッター駆動シリンダ28bの作動制御を行うことによってなされ(図4)、押し付けツール30の昇降動作は、制御装置40がツール昇降シリンダ29の作動制御を行うことによってなされる。また、押し付けツール30の内部に設けられたヒータ31の加熱制御は制御装置40によってなされる(図4)。
【0032】
2つの剥離ピン26が取り付けられた移動ベース27はベースプレート20上に設けられた移動ベース駆動機構27a(図4)が制御装置40によって作動制御されることで待機位置(図1に示す位置であり、押し付けツール30よりも右方の位置)とその左方の剥離位置(押し付けツール30の左端の下方に達する位置)との間で水平方向に移動される。
【0033】
第1撮像カメラ32による撮像動作制御及び第2撮像カメラ33による撮像動作制御は制御装置40によってなされ(図4)、第1撮像カメラ32によって撮像された画像データ及び第2撮像カメラ33によって撮像された画像データは制御装置40に送られて制御装置40の画像認識部40a(図4)において画像認識される。
【0034】
次に、図5図9を用いてACF貼着装置1により基板保持部12により保持した基板2上の各切片貼着部位3にACF切片4sを貼着する作業(ACF貼着作業)の実行手順を説明する。
【0035】
ACF貼着作業では、制御装置40は先ず、基板保持部移動機構11の作動制御を行って基板2を水平面内方向に移動させ、基板2上に設けられた2つの位置決め用マーク2mを第1撮像カメラ32に撮像させて画像認識し、その位置を算出する(図5(a)及び図5(b))。なお、この2つの位置決め用マーク2mの撮像時には、位置決め用マーク2mを第1撮像カメラ32の下方に位置させる必要から、基板2の前方端部(切片貼着部位3が設けられている側の端部)をバックアップステージ15よりも前方の位置に位置させている。したがってこの状態では、第2撮像カメラ33は押し付けツール30の下方を水平方向に延びるテープ部材Tpの下面を撮像することができる(図6(a))。
【0036】
制御装置40は、上記のように2つの位置決め用マーク2mの撮像を行っている間に、テープ搬送部22によってテープ部材Tpを搬送し(図5(b)中に示す矢印C)、テープ部材Tpの先頭部側のACFテープ4がテープ切断ユニット28によって切断されることによってベーステープBT上に形成されたACF切片4sを押し付けツール30の下方において水平姿勢で第2撮像カメラ33の上方に位置するようにしたうえで(テープ搬送工程)、ACF切片4sの位置の検出を行う(切片位置検出工程)。なお、第2撮像カメラ33をX軸方向に移動自在な構成としておけば、基板2の品種が変更されてACF切片4sの長さが変わった場合であってもこれに容易に対応することができる。
【0037】
このACF切片4sの位置の検出は、具体的には、テープ搬送部22によって水平姿勢にされたACF切片4sの先頭部を第2撮像カメラ33により撮像し、得られた撮像画像G(図7)中のACF切片4sの先頭部側(図7では紙面右側)の端部の隅部PDの位置を画像認識により把握してその位置を算出して行う。なお、ACF切片4sの位置の検出は、ACF切片4sの先頭部側とは反対側の端部であってもよい(すなわちACF切片4sの両端部の少なくとも一方でよい)が、ACF切片4sの先頭部側の端部であれば、第2撮像カメラ33による撮像画像G中、背景となるベーステープBTとの輝度差を確保できることから明瞭に認識することができるという利点がある(先頭部側とは反対側の端部は、ハーフカットの切れ目を挟んで次のACF切片4sと隣接しているので認識しにくいケースが起こり得る)。
【0038】
制御装置40は、2つの位置決め用マーク2mの位置を算出することによって基板2の全体の位置を把握し、かつ、ACF切片4sの位置を検出したら、その検出したACF切片4sの位置に基づいて、ACF切片4sの下方に基板2上の切片貼着部位3が位置するように、基板保持部移動機構11の作動制御を行って、基板2を移動させる(図5(c)。基板移動工程)。なお、この基板移動工程では、制御装置40は、基板2全体を後方に移動させて(図6(b)中に示す矢印D)、切片貼着部位3がX軸方向に並ぶ基板2の前方端部がバックアップステージ15の平板状部15aの上方に位置するようにする(図6(b))。
【0039】
制御装置40は、ACF切片4sの下方に基板2上の切片貼着部位3が位置するように基板2を移動させたら、基板保持部移動機構11の作動制御を行って基板保持部12を下降させ、これからACF切片4sを貼着しようとする切片貼着部位3の基板2の下面をバックアップステージ15の平板状部15aの上面に接触させる(図8(a)。図中に示す矢印E1)。そして、ツール昇降シリンダ29の作動制御を行って押し付けツール30を上方位置から下方位置まで下動させ(図8(b)中に示す矢印F1)、ヒータ31によって予め加熱しておいた押し付けツール30によって、ACF切片4sをベーステープBTごと基板2に押し付けて、ACF切片4sを基板2上の切片貼着部位3に貼着させる(図8(b))。これによりACF切片4sが基板2上の切片貼着部位3に貼着されたら、制御装置40はツール昇降シリンダ29を作動させて、押し付けツール30を上昇させる(図8(c)。図中に示す矢印F2。切片貼着工程)。
【0040】
上記のように、押し付けツール30を下方位置から上方位置まで上動させた状態では、図8(c)に示すように、基板2上に貼着されたACF切片4sの両端からテープ部材Tp(ACF切片4sの右側ではベーステープBT)が上方に傾斜して延びた状態となっており、制御装置40は、ツール昇降シリンダ29により押し付けツール30を上昇させた後、基板2に貼着させたACF切片4sよりもテープ部材Tpの搬送方向の下流側の位置においてベーステープBTを挟んでいる一対の剥離ピン26を、移動ベース27ごと、テープ部材Tpの搬送方向の上流側(図1における矢印Aとは反対の方向)に向けて待機位置から剥離位置まで水平移動させ、これにより基板2に貼着させたACF切片4sからベーステープBTを剥離させる(図9(a)。図中に示す矢印G1。剥離工程)。
【0041】
制御装置40は、上記のようにして剥離工程を実行したら、2つの剥離ピン26を移動ベース27ごと、テープ部材Tpの搬送方向の下流側(図1における矢印Aの方向)に向けて水平移動させて待機位置に復帰させる(図9(b)。図中に示す矢印G2)。また、これと並行して制御装置40は、テープ切断ユニット28によるACFテープ4の切断(ハーフカット)を行い(図9(b)中に示す矢印H)、ベーステープBT上に新たなACF切片4sを形成させる(図9(b))。なお、このACFテープ4の切断の前には、必要に応じてテープ部材Tpを前進搬送又は後退搬送させて、切断した後のACF切片4sの長さが切片貼着部位3の長さに対応した所定の長さになるようにする。
【0042】
制御装置40は、ACFテープ4の切断を行ったら(或いは剥離ピン26の待機位置への復帰動作やACFテープ4の切断と並行して)、基板保持部移動機構11の作動制御を行って基板2がバックアップステージ15の平板状部15aから離間するように基板2を上方に移動させるとともに(図9(b)中に示す矢印E2))、基板2を水平方向に移動させて、前述の切片貼着工程で基板2上に貼着したACF切片4sの端部のうちの少なくとも一方を第1撮像カメラ32によって撮像し、目標としていた切片貼着部位3にACF切片4sが正しく貼着されているかどうかの確認を行う(図9(b))。なお、このACF切片4sの第1撮像カメラ32による撮像は、ACF切片4sが第1撮像カメラ32の下方に位置するように、基板2をACF切片4sの貼着時よりも前方に移動させた状態で行う(図6(a))。
【0043】
制御装置40は、上記の工程が終了したら(或いは上記の工程と並行して)、ACF切片4sの貼着後に新たにACFテープ4の先頭部に位置するようになったACF切片4sを基板2上の次の(図1における左隣の)切片貼着部位3に貼着すべく、テープ搬送部22によってテープ部材Tpを搬送し(図9(c)中に示す矢印C)、ベーステープBT上に形成されたACF切片4sが水平姿勢で第2撮像カメラ33の上方に位置するようにしたうえで(テープ搬送工程)、ACF切片4sの位置の検出を行う(切片位置検出工程)。そして、その検出したACF切片4sの位置に基づいて、ACF切片4sの下方に基板2上の切片貼着部位3が位置するように、基板2を移動させる(図9(c)。基板移動工程)。
【0044】
この状態は前述の図5(c)に示す状態と切片貼着部位3が異なるだけで全く同じであるので、以下、上記工程を繰り返すことによって基板2上の全ての切片貼着部位3に対するACF切片4sの貼着を行うことができる。
【0045】
このように、本実施の形態におけるACF貼着装置1は、ベーステープBTの片面側にACFテープ4が貼り付けられて成るテープ部材Tpを搬送し、テープ部材Tpの先頭部側のACFテープ4が切断されてベーステープBT上に形成されたACF切片4sを水平姿勢にするテープ搬送部22、テープ搬送部22によって水平姿勢にされたACF切片4sの位置を検出する切片位置検出手段(第2撮像カメラ33及び制御装置40)、切片位置検出手段により検出されたACF切片4sの位置に基づいて、ACF切片4sの下方に基板2上の切片貼着部位3が位置するように基板2を移動させる基板移動手段(基板保持部移動機構11及び制御装置40)、基板移動手段によりACF切片4sの下方に基板2上の切片貼着部位3が位置するように基板2が移動された後、ACF切片4sを押し付けツール30によって基板2に押し付けて貼着する切片貼着手段としてのツール昇降シリンダ29を備えたものとなっている。
【0046】
そして、このACF貼着装置1によるACF貼着方法は、ベーステープBTの片面側にACFテープ4が貼り付けられて成るテープ部材Tpを搬送し、テープ部材Tpの先頭部側のACFテープ4を切断してベーステープBT上に形成したACF切片4sを水平姿勢にするテープ搬送工程、テープ搬送工程で水平姿勢にしたACF切片4sの位置を検出する切片位置検出工程、切片位置検出工程で検出したACF切片4sの位置に基づいて、ACF切片4sの下方に基板2上の切片貼着部位3が位置するように基板2を移動させる基板移動工程及び基板移動工程でACF切片4sの下方に基板2上の切片貼着部位3が位置するように基板2を移動させた後、ACF切片4sを押し付けツール30によって基板2に押し付けて貼着する切片貼着工程を含むものとなっている。
【0047】
本実施の形態におけるACF貼着装置1(ACF貼着方法)では、テープ搬送部22によって(テープ搬送工程で)水平姿勢にされたACF切片4sの位置を検出し、その検出したACF切片4sの位置に基づいて、ACF切片4sの下方に基板2上の切片貼着部位3が位置するように基板2を移動させてからACF切片4sの基板2への貼着を行うようになっており、仮にテープ搬送部22における機構的な要因によってACF切片4sの位置のコントロールが多少不正確であったとしても、基板2上の切片貼着部位3に確実にACF切片を貼着させることができる。
【0048】
なお、上述の実施の形態では、第2撮像カメラ33がバックアップステージ15の平板状部15aの下方に位置するものであったが、これは一例であり、第2撮像カメラ33が設けられる位置は特に限定されない。
【0049】
また、上述の実施の形態では、切片位置検出手段は、テープ搬送部22によって水平姿勢にされたACF切片4sのテープ部材Tpの搬送方向の少なくとも一方の端部を撮像してACF切片4sの位置を検出するもの(第2撮像カメラ33及び制御装置40)であったが、切片位置検出手段はテープ搬送部22によって水平姿勢にされたACF切片4sの位置を検出するものであればよく、必ずしもカメラの撮像によって得られた画像に基づいてACF切片4sの位置を検出するものでなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
ACF切片の位置のコントロールが多少不正確であったとしても基板上の切片貼着部位に確実にACF切片を貼着させることができるようにしたACF貼着装置及びACF貼着方法を提供する。
【符号の説明】
【0051】
1 ACF貼着装置
2 基板
3 切片貼着部位
4 ACFテープ
4s ACF切片
11 基板保持部移動機構(基板移動手段)
22 テープ搬送部
29 ツール昇降シリンダ(切片貼着手段)
30 押し付けツール
33 第2撮像カメラ(切片位置検出手段)
40 制御装置(切片位置検出手段、基板移動手段)
Tp テープ部材
BT ベーステープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9