(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
銅の拡散に対するバリア性を有する材料からなり、前記最上層配線の表面と前記配線被覆膜との間に介在される第1バリア膜をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置。
前記第1バリア膜が、Ti、TiN、WN、TaN、Ta、WおよびTiWからなる群から選択される1つ以上の材料膜の単膜または積層膜からなる、請求項4または5に記載の半導体装置。
前記第2バリア膜が、Ti、TiN、WN、TaN、Ta、WおよびTiWからなる群から選択される1つ以上の材料膜の単膜または積層膜からなる、請求項7に記載の半導体装置。
前記パッシベーション膜は、窒化シリコンからなる窒化膜と、有機材料からなり、窒化膜上に形成される有機膜とを備えている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の半導体装置。
前記下配線と前記最上層配線との対向面積に対する前記ビアが形成されている領域の面積の占有率は、0.5%以上30%以下である、請求項15〜17のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の図解的な平面図である。
半導体装置1には、アナログ回路2、デジタル回路3および3つのパワートランジスタ回路4が形成されている。具体的には、
図1で示す平面視において、上半分の領域には、アナログ回路2とデジタル回路3とが左右に並べて形成されており、下半分の領域には、3つのパワートランジスタ回路4が左右に並べて形成されている。
【0041】
各回路2〜4が形成されている領域には、各回路2〜4と外部との電気接続のための複数のパッド電極5が適当な位置に配置されている。
また、
図1における右側のパワートランジスタ回路4が形成されている領域には、平面視L字状のアライメントマーク6が配置されている。
たとえば、半導体装置1の表面をレーザビームでスキャンし、アライメントマーク6を認識することにより、半導体装置1の表面に直交する軸線まわりにおける半導体装置1の位置(θ位置)を検出することができる。また、アライメントマーク6の位置に基づいて、半導体装置1の各部の位置(X位置、Y位置、Z位置)を検出することができる。
【0042】
図2は、
図1に示す半導体装置を切断線II−IIで切断したときの模式的な断面図である。
図2に示すように、半導体装置1は、その基体としてSi(シリコン)からなる基板20を備えている。基板20上には、第1層間絶縁膜21が積層されている。第1層間絶縁膜21は、SiO
2(酸化シリコン)からなる。
【0043】
第1層間絶縁膜21上には、下配線22およびヒューズ23が互いに間隔を空けて形成されている。下配線22およびヒューズ23は、Alからなる。
半導体装置1の表面がレーザビームでスキャンされ、アライメントマーク6の位置が認識されると、そのアライメントマーク6の位置に基づいて、ヒューズ23の位置(X位置、Y位置、Z位置)が認識される。そして、その認識されたヒューズ23にレーザビームを照射することにより、ヒューズ23を個別に切断することができる。ヒューズ23を切断するか否かにより、パワートランジスタ回路4(
図1参照)の特性値(たとえば、抵抗値など)を調整することができる。
【0044】
第1層間絶縁膜21、下配線22およびヒューズ23上には、第2層間絶縁膜24が積層されている。第2層間絶縁膜24は、SiO
2からなる。第2層間絶縁膜24の表面には、第1層間絶縁膜21上に形成された部分と、下配線22およびヒューズ23上に形成された部分との間に、下配線22およびヒューズ23の高さとほぼ同じ段差が生じている。
【0045】
第2層間絶縁膜24上には、第2層間絶縁膜24の表面に生じている段差をなくすように、TEOS(テトラエトキシシラン)膜25が形成されている。TEOS膜25の表面は、第2層間絶縁膜24における下配線22およびヒューズ23上に形成された部分の表面とほぼ面一をなしている。
第2層間絶縁膜24およびTEOS膜25上には、第3層間絶縁膜26が積層されている。第3層間絶縁膜26は、SiN(窒化シリコン)からなる。第3層間絶縁膜26には、ヒューズ23の上方の部分に開口26aが形成されている。
【0046】
また、第2層間絶縁膜24および第3層間絶縁膜26には、下配線22と厚さ方向に対向する部分に、それらを厚さ方向に貫通するビアホール27が形成されている。ビアホール27は、上側ほど開口面積が大きくなるようなテーパ形状に形成されている。
第3層間絶縁膜26上には、最上層配線としての上配線28およびアライメントマーク6が互いに間隔を空けた位置に形成されている。
【0047】
上配線28は、平面視でビアホール27を含む領域上に形成され、第3層間絶縁膜26から上方に突出して形成されている。上配線28は、たとえば、第3層間絶縁膜26の表面からの突出量が2μm以上(たとえば、10μm)となるような厚さを有している。上配線28の下端部は、ビアホール27内に入り込み、下配線22に接続されている。上配線28は、Cuからなる。
【0048】
上配線28と下配線22、第2層間絶縁膜24および第3層間絶縁膜26との間には、CuイオンおよびAuの拡散に対するバリア性を有するバリア膜30が介在されている。バリア膜30は、Ti(チタン)からなる。
上配線28の表面(上面および側面)は、CuイオンおよびAuの拡散に対するバリア性を有するバリア膜32に被覆されている。バリア膜32は、Tiからなる。
【0049】
バリア膜32の表面は、配線被覆膜31に被覆されている。配線被覆膜31およびアライメントマーク6は、同一の材料(Al)からなる。
第3層間絶縁膜26および配線被覆膜31上には、パッシベーション膜33が形成されている。パッシベーション膜33は、SiNからなる。パッシベーション膜33において、配線被覆膜31上に形成された部分には、配線被覆膜31の上面をパッド電極5(
図1参照)として部分的に露出させるためのパッド開口34が厚さ方向に貫通して形成されている。また、パッシベーション膜33は、アライメントマーク6上およびその周囲の部分、ならびにヒューズ23の上方の部分から除去されて、開口38,39が形成されている。
【0050】
パッド電極5(配線被覆膜31におけるパッド開口34から露出した部分)には、Auからなるボンディングワイヤ35の一端部が接合されている。ボンディングワイヤ35の他端部は、半導体装置1の外部に接続される。これにより、ボンディングワイヤ35は、配線被覆膜31、バリア膜30,32および上配線28を介して、下配線22と電気的に接続されている。
【0051】
図3は、
図2に示す半導体装置の斜視図である。なお、
図3では、
図2に示すボンディングワイヤ35の図示が省略されている。
図3に示すように、アライメントマーク6は、平面視L字状に形成されている。パッシベーション膜33は、アライメントマーク6上およびその周囲の部分から除去されている。これにより、パッシベーション膜33には、アライメントマーク6を露出させる平面視L字状の開口38と、ヒューズ23の上方の領域に配置された開口39とが形成されている。
【0052】
図4A〜4Fは、
図2に示す半導体装置の各製造工程における模式的な断面図である。
半導体装置1の製造工程では、まず、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法により、基板20上に、第1層間絶縁膜21が積層される。その後、スパッタ法により、第1層間絶縁膜21上に、下配線22およびヒューズ23の材料となるAl膜が形成される。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、Al膜がパターニングされることにより、下配線22およびヒューズ23が形成される。
【0053】
次いで、HDP(High Density Plasma:高密度プラズマ)−CVD法により、第1層間絶縁膜21、下配線22およびヒューズ23上に、第2層間絶縁膜24が形成される。その後、CVD法により、第2層間絶縁膜24上に、TEOS膜25が形成される。そして、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法により、TEOS膜25がその表面から研削される。このTEOS膜25の研削は、TEOS膜25の表面と第2層間絶縁膜24における下配線22およびヒューズ23上に形成された部分の表面とが面一になるまで続けられる。
【0054】
そして、プラズマCVD法により、第2層間絶縁膜24およびTEOS膜25上に、第3層間絶縁膜26が形成される。その後、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、
図4Aに示すように、第2層間絶縁膜24および第3層間絶縁膜26が選択的に除去され、それらを厚さ方向に貫通するビアホール27が形成される。また、ヒューズ23の上方の領域では、第3層間絶縁膜26が選択的に除去され、この第3層間絶縁膜26を貫通する開口26aが形成される。
【0055】
次に、
図4Bに示すように、スパッタ法により、ビアホール27の内面を含む第3層間絶縁膜26上に、バリア膜30が形成される。続いて、スパッタ法により、バリア膜30上に、Cuからなるシード膜36が形成される。その後、バリア膜30およびシード膜36上に、平面視でビアホール27を含む領域に対向する部分に開口を有するレジストパターン37が形成される。
【0056】
次いで、レジストパターン37の開口内に、Cuがめっき成長される。これにより、レジストパターン37の開口内がCuに埋め尽くされ、
図4Cに示すように、Cuからなる上配線28が形成される。上配線28の形成後、レジストパターン37は除去される。
その後、
図4Dに示すように、エッチングにより、バリア膜30およびシード膜36におけるレジストパターン37の下方に形成されていた部分が除去される。
【0057】
次に、スパッタ法により、第3層間絶縁膜26および上配線28上に、Ti膜およびAl膜がこの順に形成される。そして、フォトリソグラフィおよびドライエッチング(たとえば、RIE)により、Ti膜およびAl膜が選択的に除去され、
図4Eに示すように、配線被覆膜31、バリア膜32およびアライメントマーク6が形成される。
その後、
図4Fに示すように、CVD法により、第3層間絶縁膜26、配線被覆膜31およびアライメントマーク6上に、パッシベーション膜33が形成される。
【0058】
そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、パッシベーション膜33にパッド開口34が形成されるとともに、アライメントマーク6上およびその周囲の部分、ならびにヒューズ23の上方の部分からパッシベーション膜33が除去されて、開口38,39が形成される。その後、上配線28(配線被覆膜31)におけるパッド開口34から露出した部分にボンディングワイヤ35の一端部が接合されることにより、
図1、
図2および
図3に示す半導体装置1が得られる。
【0059】
以上のように、半導体装置1では、第3層間絶縁膜26上に、銅からなる上配線28が形成されている。上配線28の表面は、アルミニウムからなる配線被覆膜31により被覆されている。そして、第3層間絶縁膜26上には、パッシベーション膜33が形成されており、表面が配線被覆膜31に被覆された上配線28は、配線被覆膜31の外側をパッシベーション膜33により被覆されている。
【0060】
配線被覆膜31の材料であるAlは、上配線28の材料であるCuに対する密着性が高い。そのため、配線被覆膜31は、上配線28の表面に良好に密着する。また、配線被覆膜31の材料であるAlは、パッシベーション膜33の材料である絶縁材料(SiN)に対する密着性が高い。そのため、パッシベーション膜33は、配線被覆膜31の表面に良好に密着する。よって、上配線28からのパッシベーション膜33の剥離を防止することができる。
【0061】
また、上配線28がAlからなる配線被覆膜31で覆われているので、配線被覆膜31において、パッシベーション膜33に形成されたパッド開口34から露出した部分にボンディングワイヤ35を直に接合させることができる。したがって、上配線28上にボンディングパッドを設ける必要がないので、ボンディングパッドを形成する工程およびその工程に使用するレイヤが不要である。
【0062】
配線被覆膜31におけるパッド開口34から露出した部分には、Auからなるボンディングワイヤ35が接合される。そして、配線被覆膜31と上配線28との間には、Auの拡散に対するバリア性を有するバリア膜32が介在される。これにより、ボンディングワイヤ35中のAuの上配線28への拡散を防止することができる。
また、バリア膜32は、Cuの拡散に対するバリア性を有している。これにより、上配線28からCu(Cuイオン)が拡散するのを防止することができるので、上配線28と別の最上層配線との間にリークパスが形成されるのを確実に防止することができる。
【0063】
また、配線被覆膜31は、
図4Eに示すように、上配線28の形成後に、第3層間絶縁膜26および上配線28の表面を一括して覆うようにTi膜およびAl膜を形成し、そのTi膜およびAl膜における第3層間絶縁膜26上の不要部分を除去することにより形成される。このとき、Ti膜およびAl膜の不要部分を除去するための手法として、ウェットエッチングよりも安価に実施可能なRIEなどのドライエッチングが採用される。したがって、半導体装置1の製造コストを低減することができる。
【0064】
また、第3層間絶縁膜26の表面上には、アライメントマーク6が形成されている。配線被覆膜31およびアライメントマークは、同一の材料(Al)からなる。第3層間絶縁膜26および配線被覆膜31の表面は、絶縁材料からなるパッシベーション膜33に被覆されている。パッシベーション膜33には、アライメントマーク6を露出させる開口38が形成されている。
【0065】
アライメントマーク6は、Cuよりも光の反射率の高いAlからなる。そのため、アライメントマーク6の位置(X位置、Y位置)の認識精度を高めることができる。よって、上配線28がCuからなる構成において、アライメントマーク6の位置を高精度に認識することができる。
また、アライメントマーク6と配線被覆膜31とが同一の材料からなるので、アライメントマーク6および配線被覆膜31を一括して形成することができる。よって、製造工程数の削減を図ることができる。
【0066】
第3層間絶縁膜26よりも下層には、ヒューズ23が形成されている。ヒューズ23を切断するか否かによって、パワートランジスタ回路4の特性値(たとえば、抵抗値など)を変更することができる。また、アライメントマーク6は、第3層間絶縁膜26の表面上に形成されている。そのため、アライメントマーク6が上配線28上に形成されている構成と比較して、アライメントマーク6とヒューズ23との間の距離を短くすることができる。よって、ヒューズ23の位置(X位置、Y位置、Z位置)を高精度に認識することができ、ヒューズ23を切断する加工の精度を向上させることができる。
【0067】
図5は、前記第1の実施形態の一つの変形例に係る半導体装置の模式的な断面図である。なお、以下に説明する
図5〜
図7の各図において、
図2に示す各部に相当する部分には、それらの各部に付した参照符号と同一の参照符号を付している。そして、以下では、同一の参照符号を付した部分についての説明を省略する。
半導体装置41では、
図2に示す半導体装置1のパッシベーション膜33に代えて、窒化膜43と有機膜44との積層構造を有するパッシベーション膜42が設けられている。
【0068】
窒化膜43は、窒化シリコンからなる。窒化膜43は、第3層間絶縁膜26および配線被覆膜31上に形成されている。窒化膜43における配線被覆膜31上に形成された部分には、配線被覆膜31の上面をパッド電極5として部分的に露出させるためのパッド開口45が厚さ方向に貫通して形成されている。また、窒化膜43は、アライメントマーク6上およびその周囲の部分、ならびにヒューズ23の上方の部分から除去されている。
【0069】
上配線28が第3層間絶縁膜26上に突出して形成されているので、窒化膜43の表面には、上配線28を被覆する配線被覆膜31上に形成された部分と第3層間絶縁膜26上に形成された部分との間に、上配線28および配線被覆膜31の厚さにほぼ等しい段差が生じている。
有機膜44は、その窒化膜43の表面に生じている段差をなくすように形成されている。有機膜44は、有機材料(たとえば、ポリイミドまたはエポキシ樹脂)からなる。また、有機膜44には、平面視でパッド開口45が形成されている部分を含む領域に、パッド開口45と連通する開口46が形成されている。また、有機膜44は、アライメントマーク6上およびその周囲の部分、ならびにヒューズ23の上方の部分から除去されている。
【0070】
このような構成によっても、
図2に示す半導体装置1と同様の効果を奏することができる。
さらに、窒化膜43上に有機膜44が形成され、窒化膜43の表面の段差が有機膜44により埋められているので、上配線28(配線被覆膜31)に応力が加わったときに、その応力を有機膜44によって吸収することができる。
【0071】
また、パッシベーション膜42が窒化膜43と有機膜44との積層構造を有しているので、半導体装置41が樹脂パッケージにより封止されたときに、たとえ樹脂パッケージの材料に含まれるフィラーにより有機膜44が損傷を受けたとしても、窒化膜43まで損傷を受けることがないので、窒化膜43によりパッシベーション膜としての機能(水分の浸入の防止など)を確保することができる。よって、半導体装置41の信頼性の向上を図ることができる。
【0072】
図6は、前記第1の実施形態の他の変形例に係る半導体装置の模式的な断面図である。
半導体装置51は、
図2に示す半導体装置1のパッシベーション膜33に代えて、パッシベーション膜52を備えている。パッシベーション膜52は、たとえば、ポリイミドまたはエポキシ樹脂などの有機材料からなる有機膜である。
上配線28が第3層間絶縁膜26上に突出して形成されているので、上配線28を被覆する配線被覆膜31の表面と第3層間絶縁膜26の表面との間には、上配線28および配線被覆膜31の厚さにほぼ等しい段差が生じている。
【0073】
パッシベーション膜52は、配線被覆膜31の表面と第3層間絶縁膜26の表面との間に生じている段差をなくすように、第3層間絶縁膜26および配線被覆膜31上に形成されている。
また、パッシベーション膜52における配線被覆膜31上に形成された部分には、配線被覆膜31の上面をパッド電極5として部分的に露出させるためのパッド開口53が厚さ方向に貫通して形成されている。また、パッシベーション膜52は、アライメントマーク6上およびその周囲の部分、ならびにヒューズ23の上方の部分から除去されている。
【0074】
このような構成によっても、
図2に示す半導体装置1と同様の効果を奏することができる。また、配線被覆膜31の表面と上配線28の表面との間の段差がパッシベーション膜52により埋められているので、上配線28(配線被覆膜31)に応力が加わったときに、その応力をパッシベーション膜52によって吸収することができる。
図7は、前記第1の実施形態のさらに他の変形例に係る半導体装置の模式的な断面図である。
【0075】
図7に示す半導体装置61では、上配線28と配線被覆膜31との間に介在されるバリア膜32が省略されている。また、ボンディングワイヤ35がCuからなる。
このように、ボンディングワイヤ35がCuからなる場合、ボンディングワイヤ35と上配線28との間で金属イオンの移動による欠陥(エレクトロマイグレーション)が生じないので、
図2に示すバリア膜32を省略することができる。これにより、半導体装置61の製造コストを低減することができる。
【0076】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図である。
図8に示す半導体装置71は、その基体としてSiからなる基板72を備えている。基板72上には、第1層間絶縁膜73が積層されている。第1層間絶縁膜73は、SiO
2からなる。
第1層間絶縁膜73上には、下配線74およびヒューズ75が互いに間隔を空けて形成されている。下配線74およびヒューズ75は、Alからなる。
【0077】
第1層間絶縁膜73、下配線74およびヒューズ75上には、第2層間絶縁膜76が積層されている。第2層間絶縁膜76は、SiO
2からなる。第2層間絶縁膜76の表面には、第1層間絶縁膜73上に形成された部分と、下配線74およびヒューズ75上に形成された部分との間に、下配線74およびヒューズ75の高さとほぼ同じ段差が生じている。
【0078】
第2層間絶縁膜76上には、第2層間絶縁膜76の表面に生じている段差をなくすように、TEOS膜77が形成されている。TEOS膜77の表面は、第2層間絶縁膜76における下配線74およびヒューズ75上に形成された部分の表面とほぼ面一をなしている。
第2層間絶縁膜76およびTEOS膜77上には、第3層間絶縁膜78が積層されている。第3層間絶縁膜78は、SiNからなる。第3層間絶縁膜78には、ヒューズ75の上方の部分に開口78aが形成されている。
【0079】
また、第2層間絶縁膜76および第3層間絶縁膜78には、下配線74と厚さ方向に対向する部分に、それらを厚さ方向に貫通するビアホール79が形成されている。ビアホール79は、上側ほど開口面積が大きくなるようなテーパ形状に形成されている。
第3層間絶縁膜78上には、最上層配線としての上配線80およびアライメントマーク81が互いに間隔を空けた位置に形成されている。
【0080】
上配線80は、平面視でビアホール79を含む領域上に形成され、第3層間絶縁膜78から上方に突出して形成されている。上配線80は、たとえば、第3層間絶縁膜78の表面からの突出量が2μm以上(たとえば、10μm)となるような厚さを有している。上配線80の下端部は、ビアホール79内に入り込み、下配線74に接続されている。上配線80は、Cuからなる。
【0081】
上配線80と下配線74、第2層間絶縁膜76および第3層間絶縁膜78との間には、CuイオンおよびAuの拡散に対するバリア性を有するバリア膜82が介在されている。バリア膜82は、Tiからなる。
第3層間絶縁膜78および上配線80の表面は、パッシベーション膜83に覆われている。パッシベーション膜83は、SiNからなる。パッシベーション膜83において、上配線80上に形成された部分には、上配線80の上面を露出させるためのパッド開口84が厚さ方向に貫通して形成されている。また、パッシベーション膜83は、アライメントマーク81上およびその周囲の部分、ならびにヒューズ75の上方の部分から除去されている。
【0082】
上配線80におけるパッド開口84から露出した部分上には、配線被覆膜としてのパッド電極85が形成されている。パッド電極85は、アライメントマーク81と同一の材料(Al)からなる。パッド電極85は、上配線80の表面を被覆し、その周縁部がパッシベーション膜83におけるパッド開口84の周囲の部分に乗り上げている。
パッド電極85と上配線80およびパッシベーション膜83との間には、CuイオンおよびAuの拡散に対するバリア性を有するバリア膜86が介在されている。バリア膜86は、Tiからなる。
【0083】
パッド電極85の上面には、Auからなるボンディングワイヤ87の一端部が接合されている。ボンディングワイヤ87の他端部は、半導体装置71の外部に接続される。これにより、ボンディングワイヤ87は、パッド電極85、バリア膜82,86および上配線80を介して、下配線74と電気的に接続されている。
このような構成によっても、
図2に示す半導体装置1と同様の効果を奏することができる。
【0084】
図9は、
図8に示す半導体装置の第1の変形例を示す模式的な断面図である。
図9に示すように、アライメントマーク81がパッシベーション膜83上に形成されていてもよい。パッシベーション膜83の厚さは、たとえば、0.5μm以上3.0μm以下である。よって、アライメントマーク81がパッシベーション膜83上に形成されても、2μm以上の厚さを有する上配線80上にアライメントマーク81が形成される構成と比較して、アライメントマーク81とヒューズ75との間の距離を十分に短くすることができる。したがって、ヒューズ75の位置(X位置、Y位置、Z位置)の認識精度を向上させ、ヒューズ75を切断する加工の精度を向上させることができる。
【0085】
図10は、
図8に示す半導体装置の第2の変形例を示す模式的な断面図である。
図10に示すように、半導体装置71には、パッシベーション膜83に代えて、窒化膜90と有機膜91との積層構造を有するパッシベーション膜92が設けられていてもよい。
窒化膜90は、窒化シリコンからなる。窒化膜90は、第3層間絶縁膜78および上配線80の表面を被覆している。窒化膜90における上配線80上に形成された部分には、上配線80の上面を部分的に露出させるためのパッド開口93が厚さ方向に貫通して形成されている。また、窒化膜90は、アライメントマーク81上およびその周囲の部分、ならびにヒューズ75の上方の部分から除去されている。
【0086】
上配線80が第3層間絶縁膜78上に突出して形成されているので、窒化膜90の表面には、上配線80上に形成された部分と第3層間絶縁膜78上に形成された部分との間に、上配線80の厚さにほぼ等しい段差が生じている。
有機膜91は、その窒化膜90の表面に生じている段差をなくすように形成されている。有機膜91は、有機材料(たとえば、ポリイミドまたはエポキシ樹脂)からなる。また、有機膜91には、平面視でパッド開口93が形成されている部分を含む領域に、パッド開口93と連通する開口94が形成されている。また、有機膜91は、アライメントマーク81上およびその周囲の部分、ならびにヒューズ75の上方の部分から除去されている。
【0087】
図11は、
図8に示す半導体装置の第3の変形例を示す模式的な断面図である。
図11に示すように、半導体装置71には、パッシベーション膜83に代えて、パッシベーション膜95が備えられていてもよい。パッシベーション膜95は、たとえば、ポリイミドまたはエポキシ樹脂などの有機材料からなる有機膜である。
上配線80が第3層間絶縁膜78上に突出して形成されているので、上配線80の表面と第3層間絶縁膜78の表面との間には、上配線80の厚さにほぼ等しい段差が生じている。
【0088】
パッシベーション膜95は、上配線80の表面と第3層間絶縁膜78の表面との間に生じている段差をなくすように、第3層間絶縁膜78および上配線80上に形成されている。
また、パッシベーション膜95における上配線80上に形成された部分には、上配線80の上面を部分的に露出させるためのパッド開口96が厚さ方向に貫通して形成されている。また、パッシベーション膜95は、アライメントマーク81上およびその周囲の部分、ならびにヒューズ75の上方の部分から除去されている。
【0089】
以上の第1および第2の実施形態についてのさらに他の変形例は、次のとおりである。
たとえば、第3層間絶縁膜26,78の材料として、SiNを例示したが、第3層間絶縁膜26,78の材料としてSiO
2が採用されてもよい。ただし、Cuイオンは、SiN中よりもSiO
2中の方が拡散しやすいので、第3層間絶縁膜26,78の材料としてSiNが採用されることにより、Cuイオンの拡散をより良好に防止することができる。
【0090】
また、バリア膜30,32,82,86の材料として、Tiを例示したが、バリア膜30,32,82,86は、導電性を有し、CuイオンおよびAuの拡散に対するバリア性を有する材料であればよく、Tiの他に、たとえば、TiN(窒化チタン)、WN(窒化タングステン)、TaN(窒化タンタル)、Ta(タンタル)、W(タングステン)またはTiW(チタン‐タングステン合金)などを例示することができる。これらの材料の単膜をバリア膜として用いてもよいし、それらの材料膜から任意に選択した2種以上の材料膜の積層膜を用いてバリア膜を形成してもよい。
【0091】
また、配線被覆膜31およびパッド電極85の材料として、Alを例示したが、配線被覆膜31およびパッド電極85は、Cuおよび絶縁材料との密着性が高い金属材料であればよく、Alの他に、たとえば、AlSiCu(アルミニウム‐銅合金のシリコン化合物)またはAlCu(アルミニウム‐銅合金)などを例示することができる。
また、有機膜34,91およびパッシベーション膜42,95の材料として、ポリイミドまたはエポキシ樹脂を例示したが、有機膜34,91およびパッシベーション膜42,95の材料としては、たとえば、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)またはBCB(ベンゾシクロブテン)などを例示することができる。
【0092】
図12は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の図解的な平面図である。
半導体装置101には、アナログ回路102、デジタル回路103および3つのパワートランジスタ回路104が形成されている。具体的には、
図12で示す平面視において、上半分の領域には、アナログ回路102とデジタル回路103とが左右に並べて形成されており、下半分の領域には、3つのパワートランジスタ回路104が左右に並べて形成されている。
【0093】
各回路102〜104が形成されている領域には、各回路102〜104と外部との電気接続のための複数のパッド電極105が適当な位置に配置されている。
また、
図12における右側のパワートランジスタ回路104が形成されている領域には、平面視L字状のアライメントマーク106が配置されている。
たとえば、半導体装置101の表面をレーザビームでスキャンし、アライメントマーク106を認識することにより、半導体装置101の表面に直交する軸線まわりにおける半導体装置101の位置(θ位置)を検出することができる。また、アライメントマーク106の位置に基づいて、半導体装置101の各部の位置(X位置、Y位置、Z位置)を検出することができる。
【0094】
図13は、
図12に示す半導体装置を切断線XIII−XIIIで切断したときの模式的な断面図である。
図13に示すように、半導体装置101は、その基体としてSi(シリコン)からなる基板120を備えている。基板120上には、第1層間絶縁膜121が積層されている。第1層間絶縁膜121は、SiO
2(酸化シリコン)からなる。
【0095】
第1層間絶縁膜121上には、下配線122およびヒューズ123が互いに間隔を空けて形成されている。下配線122およびヒューズ123は、Al(アルミニウム)からなる。
半導体装置101の表面がレーザビームでスキャンされ、アライメントマーク106の位置が認識されると、そのアライメントマーク106の位置に基づいて、ヒューズ123の位置(X位置、Y位置、Z位置)が認識される。そして、その認識されたヒューズ123にレーザビームを照射することにより、ヒューズ123を切断することができる。ヒューズ123を切断するか否かにより、パワートランジスタ回路104(
図12参照)の特性値(たとえば、抵抗値など)を調整することができる。
【0096】
第1層間絶縁膜121、下配線122およびヒューズ123上には、第2層間絶縁膜124が積層されている。第2層間絶縁膜124は、SiO
2からなる。第2層間絶縁膜124の表面には、第1層間絶縁膜121上に形成された部分と下配線122およびヒューズ123上に形成された部分との間に、下配線122およびヒューズ123の高さとほぼ同じ段差が生じている。
【0097】
第2層間絶縁膜124上には、第2層間絶縁膜124の表面に生じている段差をなくすように、TEOS(テトラエトキシシラン)膜125が形成されている。TEOS膜125の表面は、第2層間絶縁膜124における下配線122およびヒューズ123上に形成された部分の表面とほぼ面一をなしている。
第2層間絶縁膜124およびTEOS膜125上には、第3層間絶縁膜126が積層されている。第3層間絶縁膜126は、SiN(窒化シリコン)からなる。第3層間絶縁膜126には、ヒューズ123の上方の部分に開口126aが形成されている。
【0098】
また、第2層間絶縁膜124および第3層間絶縁膜126には、下配線122と厚さ方向に対向する部分に、それらを厚さ方向に貫通する複数のビアホール127が形成されている。ビアホール127は、上側ほど開口面積が大きくなるようなテーパ形状に形成されている。
ビアホール127には、ビアホール127内を埋め尽くし、その上面が第3層間絶縁膜126の表面と面一をなすように、ビア128が埋設されている。ビア128は、W(タングステン)からなる。ビア128の直径は、たとえば、1.0μm以下である。
【0099】
また、ビア128と第2層間絶縁膜124および第3層間絶縁膜126との間には、バリア膜129が介在されている。バリア膜129は、金属原子の拡散に対するバリア性を有する材料からなり、たとえば、Ti(チタン)およびTiN(窒化チタン)をこの順に積層した構造を有している。
第3層間絶縁膜126上には、最上層配線としての上配線130およびアライメントマーク106が互いに間隔を空けた位置に形成されている。
【0100】
上配線130は、平面視でビアホール127を含む領域上に形成され、第3層間絶縁膜126から上方に突出して形成されている。上配線130は、たとえば、第3層間絶縁膜126の表面からの突出量が10μmとなるような厚さを有している。上配線130は、その下面が平坦に形成されている。そして、上配線130の下端部は、ビア128の上端部と接続されている。これにより、上配線130は、ビア128を介して、下配線122と電気的に接続されている。上配線130は、Cuからなる。
【0101】
上配線130と第3層間絶縁膜126との間には、CuイオンおよびAu(金)の拡散に対するバリア性を有するバリア膜131が介在されている。バリア膜131は、Tiからなる。
上配線130の表面(上面および側面)は、CuイオンおよびAuの拡散に対するバリア性を有するバリア膜132に被覆されている。バリア膜132は、Tiからなる。
【0102】
バリア膜132の表面は、配線被覆膜133に被覆されている。配線被覆膜133およびアライメントマーク106は、Alからなる。
第3層間絶縁膜126および配線被覆膜133上には、パッシベーション膜134が形成されている。パッシベーション膜134は、SiNからなる。パッシベーション膜134において、配線被覆膜133上に形成された部分には、配線被覆膜133の上面をパッド電極105(
図1参照)として部分的に露出させるためのパッド開口135が厚さ方向に貫通して形成されている。また、パッシベーション膜134は、アライメントマーク106上およびその周囲の部分ならびにヒューズ123の上方の部分から除去されて、開口134a,134bが形成されている。
【0103】
パッド電極105(配線被覆膜133におけるパッド開口135から露出した部分)には、Auからなるボンディングワイヤ136の一端部が接合されている。ボンディングワイヤ136の他端部は、半導体装置101の外部に接続される。これにより、ボンディングワイヤ136は、配線被覆膜133、バリア膜131,132および上配線130を介して、下配線122と電気的に接続されている。
【0104】
図14は、
図13に示す下配線、上配線およびビアのレイアウトを図解的に示す平面図である。なお、図面の理解が容易なように、
図14では、下配線が破線で示されている。
下配線122および上配線130は、その一部が平面視で重なるように配置されている。この下配線122と上配線130との対向部分137の面積は、たとえば、100μm
2である。
【0105】
対向部分137には、複数のビア128がマトリクス状に配置されている。具体的には、この実施形態において、複数のビア128は、平面視四角形状の対向部分137の各辺と平行な方向にそれぞれ5つずつ等間隔に配置されている。
ビア128の数は、任意に変更することができる。たとえば、対向部分137の面積に対するビア128の面積(複数のビア128の合計の面積)の占有率が、0.5%以上30%以下となるように、ビア128の数を自由に設定することができる。
【0106】
具体的には、下配線122と上配線130との間を電流が流れるときに、ビア128において電圧降下を生じる。ビア128における電圧降下量の許容値は、たとえば、抵抗値換算で300mΩである。ビア128がWからなり、その断面積が0.1μm
2であり、長さが0.8μmであるとき、ビア128の抵抗値は、約1.5Ωとなり、ビア128が5つ形成されていれば、電圧降下の値を抵抗値換算で300mΩとすることができる。このときのビア128の占有率は、0.5%である。
【0107】
また、複数のビア128を隣接して配置する場合には、隣り合うビア128間に一定以上の間隔(たとえば、0.3μm以上)を設ける必要がある。このビア128間の間隔を確保しつつ、ビア128を最大限配置すると、ビア占有率は、30%以下となる。
図15A〜15Fは、
図13に示す半導体装置の各製造工程における模式的な断面図である。
【0108】
半導体装置101の製造工程では、まず、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法により、基板120上に、第1層間絶縁膜121が積層される。その後、スパッタ法により、第1層間絶縁膜121上に、下配線122およびヒューズ123の材料となるAl膜が形成される。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、Al膜がパターニングされることにより、下配線122およびヒューズ123が形成される。
【0109】
次いで、HDP(High Density Plasma:高密度プラズマ)−CVD法により、第1層間絶縁膜121、下配線122およびヒューズ123上に、第2層間絶縁膜124が形成される。その後、CVD法により、第2層間絶縁膜124上に、TEOS膜125が形成される。そして、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法により、TEOS膜125がその表面から研削される。このTEOS膜125の研削は、TEOS膜125の表面と第2層間絶縁膜124における下配線122およびヒューズ123上に形成された部分の表面とが面一になるまで続けられる。
【0110】
そして、プラズマCVD法により、第2層間絶縁膜124およびTEOS膜125上に、第3層間絶縁膜126が形成される。その後、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、
図15Aに示すように、第2層間絶縁膜124および第3層間絶縁膜126が選択的に除去され、それらを厚さ方向に貫通する複数のビアホール127が形成される。また、ヒューズ123の上方の領域では、第3層間絶縁膜126が選択的に除去され、この第3層間絶縁膜126を貫通する開口126aが形成される。
【0111】
次に、
図15Bに示すように、スパッタ法により、ビアホール127の内面にバリア膜129が被着される。つづいて、W−CVD法(WF
6(六フッ化タングステン)ガスを原料ガスとして用いたプラズマCVD法)により、ビアホール127内におけるバリア膜129上に、ビア128が形成される。その後、ビア128がその表面から研磨されることにより、ビア128の表面が第3層間絶縁膜126の表面と面一にされる。次に、スパッタ法により、第3層間絶縁膜126上に、バリア膜131が形成される。続いて、スパッタ法により、バリア膜131上に、Cuからなるシード膜138が形成される。その後、バリア膜131およびシード膜138上に、平面視でビアホール127を含む領域に対向する部分に開口を有するレジストパターン139が形成される。
【0112】
次いで、レジストパターン139の開口内に、Cuがめっき成長される。これにより、レジストパターン139の開口内がCuに埋め尽くされ、
図15Cに示すように、Cuからなる上配線130が形成される。上配線130の形成後、レジストパターン139は除去される。
その後、
図15Dに示すように、エッチングにより、バリア膜131およびシード膜138におけるレジストパターン139の下方に形成されていた部分が除去される。
【0113】
次に、スパッタ法により、第3層間絶縁膜126および上配線130上に、Ti膜およびAl膜がこの順に形成される。そして、フォトリソグラフィおよびドライエッチング(たとえば、RIE)により、Ti膜およびAl膜が選択的に除去され、
図15Eに示すように、配線被覆膜133、バリア膜132およびアライメントマーク106が形成される。
【0114】
その後、
図15Fに示すように、CVD法により、第3層間絶縁膜126、配線被覆膜133およびアライメントマーク106上に、パッシベーション膜134が形成される。
そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、パッシベーション膜134にパッド開口135が形成されるとともに、アライメントマーク106上およびその周囲の部分、ならびにヒューズ123の上方の部分からパッシベーション膜134が除去されて、開口134a,134bが形成される。その後、上配線130(配線被覆膜133)におけるパッド開口135から露出した部分にボンディングワイヤ136の一端部が接合されることにより、
図12、
図13および
図14に示す半導体装置101が得られる。
【0115】
以上のように、半導体装置101では、下配線122上に第3層間絶縁膜126が形成されている。第3層間絶縁膜126の表面上には、Cuからなる上配線130が形成されている。上配線130と下配線122とは、第3層間絶縁膜126を厚さ方向に貫通する複数のビア128により電気的に接続されている。
上配線130と下配線122とが複数のビア128により電気的に接続されているので、上配線130と下配線122とが1つのビア128で接続される構成と比較して、上配線130と下配線122との間の接続抵抗を増大させることなく、各ビア128のサイズを小さくすることができる。各ビア128のサイズが小さくなると、当然に、各ビア128を埋設するためのビアホール127のサイズが小さくなる。そのため、ビアホール127の底面と側面とがなす角部を含めて、ビアホール127の底面および側面にバリア膜129をほぼ一様な厚さに形成することができる。
【0116】
また、ビア128がWからなるので、ビア128と第3層間絶縁膜126との間にバリア膜を設けなくても、ビア128から第3層間絶縁膜126中へのCuの拡散を生じない。
よって、第3層間絶縁膜126中へのCuの拡散を良好に防止することができながら、Cuからなる上配線130と下配線122とを電気的に接続することができる。
【0117】
また、ビア128のサイズを小さくすることにより、ビア128を半導体装置101の他の部分におけるビアと同一の工程で形成することができる。これにより、半導体装置101の製造工程の簡素化を図ることができる。
ビア128の表面と第3層間絶縁膜126の表面とは、面一に形成されている。これにより、バリア膜131を一定の膜厚で形成することができる。よって、バリア膜131が部分的に薄くなることがなく、上配線130から第3層間絶縁膜126へのCuの拡散を良好に防止することができる。
【0118】
図16は、前記第3の実施形態一つの変形例に係る半導体装置の模式的な断面図である。なお、
図16〜
図18の各図において、
図13に示す各部に相当する部分には、それらの各部に付した参照符号と同一の参照符号を付している。そして、以下では、同一の参照符号を付した部分についての説明を省略する。
この変形例に係る半導体装置141では、第3層間絶縁膜126および配線被覆膜133上に、窒化膜143と有機膜144との積層構造を有するパッシベーション膜142が設けられている。
【0119】
窒化膜143は、SiNからなる。窒化膜143は、第3層間絶縁膜126および配線被覆膜133上に形成されている。窒化膜143における配線被覆膜133上に形成された部分には、配線被覆膜133の上面をパッド電極105として部分的に露出させるためのパッド開口145が厚さ方向に貫通して形成されている。また、窒化膜143は、アライメントマーク106上およびその周囲の部分、ならびにヒューズ123の上方の部分から除去されている。
【0120】
上配線130が第3層間絶縁膜126上に突出して形成されているので、窒化膜143の表面には、上配線130を被覆する配線被覆膜133上に形成された部分と第3層間絶縁膜126上に形成された部分との間に、上配線130および配線被覆膜133の厚さにほぼ等しい段差が生じている。
有機膜144は、その窒化膜143の表面に生じている段差をなくすように形成されている。有機膜144は、有機材料(たとえば、ポリイミドまたはエポキシ樹脂)からなる。また、有機膜144には、平面視でパッド開口145が形成されている部分を含む領域に、パッド開口145と連通する開口146が形成されている。また、有機膜144は、アライメントマーク106上およびその周囲の部分、ならびにヒューズ123の上方の部分から除去されている。
【0121】
このような構成によっても、
図13に示す半導体装置101と同様の効果を奏することができる。
さらに、窒化膜143上に有機膜144が形成され、窒化膜143の表面の段差が有機膜144により埋められているので、上配線130(配線被覆膜133)に応力が加わったときに、その応力を有機膜144によって吸収することができる。
【0122】
また、パッシベーション膜142が窒化膜143と有機膜144との積層構造を有しているので、半導体装置141が樹脂パッケージにより封止されたときに、たとえ樹脂パッケージの材料に含まれるフィラーにより有機膜144が損傷を受けたとしても、窒化膜143まで損傷を受けることがないので、窒化膜143によりパッシベーション膜としての機能(水分の浸入の防止など)を確保することができる。よって、半導体装置141の信頼性の向上を図ることができる。
【0123】
図17は、前記第3の実施形態の他の変形例に係る半導体装置の模式的な断面図である。
半導体装置151は、第3層間絶縁膜126および配線被覆膜133上に、パッシベーション膜152を備えている。パッシベーション膜152は、たとえば、ポリイミドまたはエポキシ樹脂などの有機材料からなる有機膜である。
【0124】
上配線130が第3層間絶縁膜126上に突出して形成されているので、上配線130を被覆する配線被覆膜133の表面と第3層間絶縁膜126の表面との間には、上配線130および配線被覆膜133の厚さにほぼ等しい段差が生じている。
パッシベーション膜152は、配線被覆膜133の表面と第3層間絶縁膜126の表面との間に生じている段差をなくすように、第3層間絶縁膜126および配線被覆膜133上に形成されている。
【0125】
また、パッシベーション膜152における配線被覆膜133上に形成された部分には、配線被覆膜133の上面をパッド電極105として部分的に露出させるためのパッド開口153が厚さ方向に貫通して形成されている。また、パッシベーション膜152は、アライメントマーク106上およびその周囲の部分、ならびにヒューズ123の上方の部分から除去されている。
【0126】
このような構成によっても、
図13に示す半導体装置101と同様の効果を奏することができる。また、配線被覆膜133の表面と上配線130の表面との間の段差がパッシベーション膜152により埋められているので、上配線130(配線被覆膜133)に応力が加わったときに、その応力をパッシベーション膜152によって吸収することができる。
【0127】
図18は、前記第3の実施形態のさらに他の変形例に係る半導体装置の模式的な断面図である。
図18に示す半導体装置161では、上配線130と配線被覆膜133との間に介在されるバリア膜132が省略されており、ボンディングワイヤ135が銅からなる。
このように、ボンディングワイヤ135が銅からなる場合、ボンディングワイヤ135と上配線130との間で金属イオンの移動による欠陥(エレクトロマイグレーション)が生じないので、
図13に示すバリア膜132を省略することができる。これにより、半導体装置161の製造コストを低減することができる。
【0128】
以上の第3の実施形態についてのさらに他の変形例は、次のとおりである。
たとえば、
図13に示す半導体装置101において、ビア128は、複数設けられているとしたが、ビア128がWからなる場合、ビアは1つでもよい。
ビア128がWからなるので、ビア128の埋設のために形成される開口(ビアホール)のサイズが大きくても、その開口内にCuの拡散防止のためのバリア膜を設ける必要がない。よって、開口のサイズが大きくても、ビアから第3層間絶縁膜126へのCuの拡散を確実に防止することができる。
【0129】
また、ビア128の材料としてWを例示したが、ビア128の材料として、Cuを主成分とした材料が採用されてもよい。この場合、ビア128を形成する工程を省略し、上配線130を形成するためのめっき工程で、上配線130およびビア128を一括して形成することができる。ただし、WはCuよりも絶縁材料への拡散性が低いので、ビア128の材料としてWを採用することにより、リークパスが形成されるのを確実に防止することができる。
【0130】
たとえば、第3層間絶縁膜126の材料として、SiNを例示したが、第3層間絶縁膜126の材料としてSiO
2が採用されてもよい。ただし、Cuイオンは、SiN中よりもSiO
2中の方が拡散しやすいので、第3層間絶縁膜126の材料としてSiNが採用されることにより、Cuイオンの拡散をより良好に防止することができる。
また、バリア膜131,132の材料として、Tiを例示したが、バリア膜131,132は、導電性を有し、CuイオンおよびAuの拡散に対するバリア性を有する材料であればよく、チタンの他に、たとえば、TiN(窒化チタン)、WN(窒化タングステン)、TaN(窒化タンタル)、Ta(タンタル)、WまたはTiW(チタン‐タングステン合金)などを例示することができる。これらの材料の単膜をバリア膜として用いてもよいし、それらの材料膜から任意に選択した2種以上の材料膜の積層膜を用いてバリア膜を形成してもよい。
【0131】
また、配線被覆膜133の材料として、Alを例示したが、配線被覆膜133は、Cuおよび絶縁材料との密着性が高い金属材料であればよく、Alの他に、たとえば、AlSi(アルミニウムのシリコン化合物)、AlSiCu(アルミニウム‐銅合金のシリコン化合物)またはAlCu(アルミニウム‐銅合金)などを例示することができる。
また、有機膜134およびパッシベーション膜142の材料として、ポリイミドまたはエポキシ樹脂を例示したが、有機膜134およびパッシベーション膜142の材料としては、たとえば、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)またはBCB(ベンゾシクロブテン)などを例示することができる。
【0132】
次に、
図19〜
図25を参照して、前述の第1〜第3の実施形態に係る半導体装置の別の特徴を説明する。
図19は、
図1および
図12に示した平面図を、説明の便宜上、上下反転して再掲する平面図であり、
図1および
図12に示した参照符号を併記してある。
半導体基板20,120上には、所定の配線パターンを有する配線203が形成されている。配線203は、半導体基板20,120上に形成された回路2,3,4にそれぞれ含まれている。
【0133】
図19Aは、
図19のXIXA部分の配線203を拡大して示す図解的な平面図である。
配線203は、たとえば、10μm以上の配線幅を有し、第1配線部分204、第2配線部分205および接続配線部分206を備えている。
第1配線部分204は、半導体基板20,120の1つの辺と平行な第1の方向Xに延びている。
【0134】
第2配線部分205は、第1の方向Xに直交する第2の方向Yに延びている。
接続配線部分206は、第1の方向Xおよび第2の方向Yと交差する方向に延び、第1配線部分204の一端部および第2配線部分205の一端部に接続されている。これにより、第1配線部分204および第2配線部分205は、接続配線部分206を介して連結されている。
【0135】
接続配線部分206の内側面は、第1配線部分204と接続配線部分206との接続点Aと、第2配線部分205と接続配線部分206との接続点Bとを結ぶ直線Lをなしている。同様に、接続配線部分206の外側面は、第1配線部分204と接続配線部分206との接続点A1と、第2配線部分205と接続配線部分206との接続点B1とを結ぶ直線L1をなしている。
【0136】
内側面の直線Lの第1の方向Xの寸法D1は、たとえば、1μmである。また、直線Lの第2の方向Yの寸法D2は、たとえば、1μmである。外側面の直線L1についても同様に、第1の方向Xの寸法および第2の方向Yの寸法が1μm以上であることが好ましく、
図19Aの例では、いずれも1μmよりも大きい。
図20は、
図19Aに示す半導体装置を切断線XX-XXで切断したときの模式的な断面図である。
【0137】
図20に示すように、半導体装置1,101は、その基体としてSi(シリコン)からなる基板20,120を備えている。基板20,120上には、層間絶縁膜210(層間絶縁膜21,24,25,26;121,124,125,126に対応)が積層されている。層間絶縁膜210は、SiO
2(酸化シリコン)からなる。層間絶縁膜210の厚さは、たとえば、2.5μmである。
【0138】
層間絶縁膜210上には、配線203(上配線28,130に対応)が形成されている。層間絶縁膜210から上方に突出して形成されている。配線203は、たとえば、層間絶縁膜210の表面からの突出量が10μmとなるような厚さを有している。配線203は、Cuからなる。
配線203と層間絶縁膜210との間には、Cuイオンの拡散に対するバリア性を有するバリア膜211(第2のバリア膜。バリア膜27,131に対応)が介在されている。バリア膜211は、Ti(チタン)からなる。
【0139】
配線203の表面(上面および側面)は、Cuイオンの拡散に対するバリア性を有するバリア膜212(第1のバリア膜。バリア膜32,132に対応)に被覆されている。バリア膜212は、Tiからなる。
バリア膜212の表面は、配線被覆膜213(配線被覆膜31,133に対応)に被覆されている。配線被覆膜213は、Alからなる。
【0140】
層間絶縁膜210および配線被覆膜213上には、パッシベーション膜214(パッシベーション膜33,134に対応)が形成されている。パッシベーション膜214は、SiNからなる。
<シミュレーション>
本願発明者は、寸法D1,D2および配線203の配線幅と配線203の角部に生じる最大応力との関係を調べるためのシミュレーションを行った。
【0141】
このシミュレーションでは、配線幅が50μm、20μmおよび10μmの各配線203につき、
図19Aに示す寸法D1,D2を10μm、5μm、2.5μm、1μmおよび0μmに変更して、配線203の角部に生じる応力を調べた。
シミュレーションの結果を表1に示す。
【0143】
図21は、表1に示す最大応力の折れ線グラフである。
図21では、横軸を寸法D1,D2(μm)とし、縦軸を最大応力(MPa)としている。
表1および
図21に示すように、配線幅にかかわらず、寸法D1,D2が1μm以上であれば、寸法D1,D2が0μmである場合と比較して、配線203の角部に生じる応力が大幅に低下する。
【0144】
図22は、配線幅が10μmであり、寸法D1,D2が0μmのときの配線の角部近傍を撮影したSEM写真である。また、
図23は、配線幅が50μmであり、寸法D1,D2が0μmのときの配線の角部近傍を撮影したSEM写真である。
図22に示すように、配線幅が10μmであり、寸法D1,D2が0μmである場合には、配線203の表面を被覆するパッシベーション膜214にクラックが生じない。このとき、表1に示すように、配線203の角部に生じる最大応力は、456.864MPaである。
【0145】
また、
図23に示すように、配線幅が50μmであり、寸法D1,D2が0μmである場合には、配線203の表面を被覆するパッシベーション膜214にクラックが生じる。このとき、表1に示すように、配線203の角部に生じる最大応力は、553.556MPaである。
したがって、
図21に破線で示すように、配線203の角部に生じる最大応力が456.864MPa以下であれば、その角部を被覆するパッシベーション膜214にクラックが発生しないと推測できる。寸法D1,D2が1μm以上であれば、配線幅にかかわらず、配線203の角部に生じる応力を456.864MPa以下にすることができる。よって、寸法D1,D2は、1μm以上の値に設定される。
【0146】
以上のように、第1配線部分204と第2配線部分205との間に接続配線部分206が設けられているので、配線203の側面には、第1配線部分204と接続配線部分206との間、および第2配線部分205と接続配線部分206との間に少なくとも2つの角部が形成される。よって、配線203の表面を被覆するパッシベーション膜214に応力が加わっても、その応力を複数の角部に分散させることができるので、パッシベーション膜214への応力の集中を抑制することができる。しかも、配線203の内側面および外側面に形成される複数の角部は、直角よりも大きな角度(すなわち鈍角)をなしているので、パッシベーション膜214への応力集中を効果的に抑制できる。
【0147】
また、配線203が10μm以上の配線幅を有している場合には、パッシベーション膜214に加わる応力が大きくなり、パッシベーション膜214へのクラックの発生確率が上昇する。この場合でも、第1配線部分204と前記接続配線部分206との接続点と、第2配線部分205と前記接続配線部分206との接続点とを結ぶ直線の第1の方向の寸法D1および第2の方向の寸法D2をそれぞれ1μm以上にすることにより、パッシベーション膜214への応力の集中を抑制することができ、パッシベーション膜214に応力が集中することによるクラックの発生を防止することができる。この実施形態では、
図19に参照符号Cで示すように、半導体基板20,120上に形成された配線203は、直角の角部を有していない。すなわち、配線203の直交する2辺の結合部分には、2つの角部(いずれも平面視において鈍角の側面を形成する角部)が形成されている。これにより、パッシベーション膜214への応力集中が抑制されている。
【0148】
図24は、配線203の他の構成例を示す模式的な断面図である。
なお、
図24において、
図20に示す各部に相当する部分には、それらの各部に付した参照符号と同一の参照符号を付している。そして、以下では、同一の参照符号を付した部分についての説明を省略する。
図24に示す構成では、バリア膜212および配線被覆膜213が省略されている。このような構成であっても、
図20に示す半導体装置1,101と同様の効果を奏することができる。ただし、配線被覆膜213は、配線203の材料であるCu、およびパッシベーション膜214の材料であるSiNに対する密着性が高いので、配線被覆膜213が設けられていることにより、パッシベーション膜214の配線203に対する密着性を向上させることができる。
【0149】
図25は、配線203のさらに他の構成例示す図解的な平面図である。
なお、
図25において、
図19Aに示す各部に相当する部分には、それらの各部に付した参照符号と同一の参照符号を付している。そして、以下では、同一の参照符号を付した部分についての説明を省略する。
図25に示す構成では、配線203は、第1配線部分204と第2配線部分205との間に、第1接続配線部分206aおよび第2配線部分206bを備えている。この実施形態では、第1および第2配線部分206aおよび206bは、ほぼ等しい長さを有している。
【0150】
第1接続配線部分206aの一端部は、第1配線部分204の一端部に接続されている。
第2接続配線部分206bの一端部は、第2配線部分205の一端部に接続されている。
また、第1接続配線部分206aおよび第2接続配線部分206bは、それらの他端部同士が接続されている。これにより、第1配線部分204および第2配線部分205は、第1接続配線部分206aおよび第2接続配線部分206bを介して連結されている。第1および第2接続配線部分206aおよび206bの内側面は、第1配線部分204と第1接続配線部分206aとの接続点A´と、第1および第2接続配線部分206a,206bの接続点C´と、第2配線部分205と第2接続配線部分206bとの接続点B´とを結ぶ折れ線をなしている。同様に、第1および第2接続配線部分206aおよび206bの外側面は、第1配線部分204と第1接続配線部分206aとの接続点A1´と、第1および第2接続配線部分206a,206bの接続点C1´と、第2配線部分205と接続配線部分206bとの接続点B1´とを結ぶ折れ線をなしている。接続点A´,B´,C´,A1´,B1´,C1´には、それぞれ、平面視において鈍角をなす角部が形成されている。
【0151】
配線203の内側面側において、第1配線部分204と第1接続配線部分206aとの接続点A´と、第2配線部分205と第2接続配線部分206bとの接続点B´とを結ぶ直線L´について、直線L´のX方向の寸法D1´は、たとえば、1μmである。また、直線L´のY方向の寸法D2´は、たとえば、1μmである。配線203の外側面側において、第1配線部分204と第1接続配線部分206aとの接続点A1´と、第2配線部分205と第2接続配線部分206bとの接続点B1´とを結ぶ直線L1´について、直線L1´のX方向の寸法´は、1μm以上(
図25の例では1μmよりも大きい)である。また、直線L1´のY方向の寸法は、たとえば、1μm以上(
図25の例では1μmよりも大きい)である。
【0152】
このような構成であっても、
図19Aに示す半導体装置1,101と同様の効果を奏することができる。
なお、第1配線部分204と第2配線部分205との間には、3つ以上の多数の接続配線部分が設けられていてもよい。接続配線部分の数に比例して、配線203の側面に形成される角部が増加するので、配線203の角部に集中する応力を低減することができる。
【0153】
また、接続配線部分が多数設けられている場合、配線203の内側面および外側面には、多数の直線(平面)により構成される擬似的な曲線(曲面)が形成される。配線203の内側面および外側面には、多数の角部が形成され、それらの角部に均一に応力が分散するので、配線203に局所的に応力が集中するのを一層効果的に防止することができる。
また、バリア膜211,212の材料として、Tiを例示したが、バリア膜211,212は、導電性を有し、Cuイオンの拡散に対するバリア性を有する材料であればよく、Ti(チタン)の他に、たとえば、TiN(窒化チタン)、WN(窒化タングステン)、TaN(窒化タンタル)、Ta(タンタル)、WまたはTiW(チタン‐タングステン合金)などを例示することができる。これらの材料の単膜をバリア膜として用いてもよいし、それらの材料膜から任意に選択した2種以上の材料膜の積層膜を用いてバリア膜を形成してもよい。
【0154】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この明細書および図面から導き出される特徴を以下に記す。
1.層間絶縁膜と、
絶縁材料からなり、前記層間絶縁膜上に形成されたパッシベーション膜と、
銅を主成分とする材料からなり、前記層間絶縁膜の表面と前記パッシベーション膜との間に形成された最上層配線と、
アルミニウムを主成分とする材料からなり、前記パッシベーション膜と前記最上層配線の表面との間に介在され、前記最上層配線の表面を被覆する配線被覆膜とを含む、半導体装置。
近年、とくに大電力を消費するパワー半導体装置において、配線抵抗の低減が望まれている。そこで、本願発明者らは、最上層配線の材料としてAlよりも導電性の高いCu(銅)の採用を検討している。
Cuは、高い導電性を有するが、SiNなどの絶縁材料に対する密着性が乏しく、また、イオン化しやすい元素である。そのため、最上層配線の材料にCuが採用されると、最上層配線からパッシベーション膜が剥離して、Cuイオンが最上層配線からパッシベーション膜との界面を伝って拡散し、その拡散したCuイオンにより、別の最上層配線との間にリークパスが形成されるおそれがある。
そこで、上記項1の半導体装置では、層間絶縁膜上に、銅を主成分とする材料からなる最上層配線が形成されている。最上層配線の表面は、アルミニウムを主成分とする材料からなる配線被覆膜により被覆されている。そして、層間絶縁膜上には、パッシベーション膜が形成されており、表面が配線被覆膜に被覆された最上層配線は、配線被覆膜の外側をパッシベーション膜により被覆されている。
配線被覆膜の主成分であるアルミニウムは、最上層配線の主成分である銅に対する密着性が高い。そのため、配線被覆膜は、最上層配線の表面に良好に密着する。また、配線被覆膜の主成分であるアルミニウムは、パッシベーション膜の材料である絶縁材料に対する密着性が高い。そのため、パッシベーション膜は、配線被覆膜の表面に良好に密着する。よって、最上層配線からのパッシベーション膜の剥離を防止することができる。
また、最上層配線がアルミニウムからなる配線被覆膜で覆われているので、パッシベーション膜に開口(パッド開口)を形成し、その開口を介して、配線被覆膜の一部を露出させることにより、当該露出した部分にボンディングワイヤを直に接合させることができる。したがって、最上層配線上にボンディングパッドを設ける必要がないので、ボンディングパッドを形成する工程およびその工程に使用するレイヤが不要である。
ボンディングワイヤが金からなる場合、配線被覆膜と最上層配線との間には、金の拡散に対するバリア性を有するバリア膜が介在されるのが好ましい。これにより、ボンディングワイヤ中の金が配線被覆膜を貫通して最上層配線中に拡散することを防止できる。
また、バリア膜は、銅の拡散に対するバリア性を有しているのが好ましい。これにより、最上層配線から銅(銅イオン)が拡散することを防止できるので、最上層配線と別の最上層配線との間にリークパスが形成されることを確実に防止できる。
ボンディングワイヤが銅からなる場合、配線被覆膜と最上層配線との間にバリア膜が介在されず、配線被覆膜が最上層配線に密着していてもよい。
また、配線被覆膜は、最上層配線の形成後に、層間絶縁膜および最上層配線の表面を一括して覆うように金属膜を形成し、その金属膜における層間絶縁膜上の不要部分を除去することにより形成することができる。このとき、金属膜の不要部分を除去するための手法として、ウェットエッチングより安価に実施可能なRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)などのドライエッチングを採用することができる。よって、半導体装置の製造コストを低減することができる。
パッシベーション膜の材料は、窒化シリコンであってもよいし、有機材料であってもよい。また、パッシベーション膜は、窒化シリコンからなる窒化膜と、有機材料からなり、窒化膜上に形成される有機膜とを備えていてもよい。
また、層間絶縁膜は、窒化シリコンからなっていてもよい。
2.層間絶縁膜と、
Cuを主成分とする材料からなり、前記層間絶縁膜の表面上に形成された最上層配線と、
Alを主成分とする材料からなり、前記最上層配線上に形成された配線被覆膜と、
前記配線被覆膜と同一の材料からなり、前記層間絶縁膜の表面上に形成されたアライメントマークと、絶縁材料からなり、前記層間絶縁膜および前記配線被覆膜の表面を被覆し、前記アライメントマークを露出させる開口が形成されたパッシベーション膜とを備えている、半導体装置。
この半導体装置は、たとえば、以下の工程A,Bを含む製造方法により製造することができる。
A.層間絶縁膜の表面上にCuを主成分とする材料からなる最上層配線を形成する配線形成工程。
B.前記配線形成工程後、前記層間絶縁膜および前記最上層配線上にAlを主成分とする材料からなる金属膜を形成し、前記金属膜をパターニングすることにより、前記層間絶縁膜上にアライメントマークを形成するとともに、前記最上層配線上に配線被覆膜を形成する工程。
本願発明者らは、最上層配線の材料としてAlよりも導電性の高いCu(銅)を採用する場合に、そのCuからなる最上層配線を従来のAlからなる最上層配線よりも厚く形成することを検討している。
この場合、最上層配線と同一工程で形成されるアライメントマークは、最上層配線の材料と同じCuからなり、最上層配線と同じ厚さを有する。Cuは、Alと比較して光の反射率が低い。そのため、Cuからなるアライメントマークの位置(X位置、Y位置)の認識精度は、Alからなるアライメントマークの位置の認識精度よりも低くなる。また、アライメントマークの厚さが大きいため、アライメントマークの表面とヒューズとの間の距離が大きくなる。その結果、ヒューズの位置(X位置、Y位置、Z位置)の認識精度が低下し、ヒューズを切断する加工の精度が著しく低下する。
そこで、上記項2の構成では、アライメントマークは、銅よりも光の反射率が高いAlを主成分とする材料からなる。そのため、アライメントマークの位置(X位置、Y位置)の認識精度を高めることができる。よって、最上層配線がCuを主成分とする構成において、アライメントマークの位置を高精度に認識することができる。
また、アライメントマークは、最上層配線上ではなく、層間絶縁膜の表面上に形成されている。そのため、層間絶縁膜よりも下層に、半導体装置が有する回路の特性値を調整するためのヒューズが形成されている場合に、アライメントマークが最上層配線上に形成されている構成と比較して、アライメントマークとヒューズとの間の距離を短くすることができる。よって、ヒューズの位置(X位置、Y位置、Z位置)を高精度に認識することができ、ヒューズを切断する加工の精度を向上させることができる。
配線被覆膜は、最上層配線の表面を被覆していてもよい。配線被覆膜の主成分であるAlは、最上層配線の主成分であるCuに対する密着性が高い。そのため、配線被覆膜は、最上層配線の表面に良好に密着する。また、配線被覆膜の主成分であるAlは、パッシベーション膜の材料である絶縁材料に対する密着性が高い。そのため、パッシベーション膜は、配線被覆膜の表面に良好に密着する。よって、最上層配線からのパッシベーション膜の剥離を防止することができる。
また、最上層配線がAlからなる配線被覆膜で覆われているので、パッシベーション膜に開口(パッド開口)を形成し、その開口を介して、配線被覆膜の一部を露出させることにより、当該露出した部分にボンディングワイヤを直に接合させることができる。したがって、最上層配線上にボンディングパッドを設ける必要がないので、ボンディングパッドを形成する工程およびその工程に使用するレイヤが不要である。
ボンディングワイヤがAu(金)からなる場合、配線被覆膜と最上層配線との間には、Auの拡散に対するバリア性を有するバリア膜が介在されるのが好ましい。これにより、ボンディングワイヤ中のAuが配線被覆膜を貫通して最上層配線中に拡散することを防止できる。
また、バリア膜は、Cuの拡散に対するバリア性を有しているのが好ましい。これにより、最上層配線からCu(Cuイオン)が拡散することを防止できるので、最上層配線と別の最上層配線との間にリークパスが形成されることを確実に防止できる。
ボンディングワイヤがCuからなる場合、配線被覆膜と最上層配線との間にバリア膜が介在されず、配線被覆膜が最上層配線に密着していてもよい。
また、配線被覆膜は、最上層配線の形成後に、層間絶縁膜および最上層配線の表面を一括して覆うように金属膜を形成し、その金属膜における層間絶縁膜上の不要部分を除去することにより形成することができる。このとき、金属膜の不要部分を除去するための手法として、ウェットエッチングより安価に実施可能なRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)などのドライエッチングを採用することができる。よって、半導体装置の製造コストを低減することができる。
パッシベーション膜の材料は、窒化シリコンであってもよいし、有機材料であってもよい。また、パッシベーション膜は、窒化シリコンからなる窒化膜と、有機材料からなり、窒化膜上に形成される有機膜とを備えていてもよい。
また、層間絶縁膜の材料は、窒化シリコンであってもよい。
3.下配線と、
前記下配線上に形成された層間絶縁膜と、
Cuを主成分とする材料からなり、前記層間絶縁膜の表面上に突出した最上層配線と、
前記層間絶縁膜を厚さ方向に貫通し、前記下配線と前記最上層配線とを電気的に接続する複数のビアとを含む、半導体装置。
本願発明者は、最上層配線とその下層に形成される配線(下配線)との電気的な接続のためのビアについて検討した。最上層配線の材料としてCuが採用される場合、最上層配線と下配線との電気的な接続のためのビアは、通常、最上層配線と一体的に形成される。
具体的には、下配線上に層間絶縁膜が形成された後、下配線の一部を露出させ、層間絶縁膜を貫通する開口が形成され、この開口内を含む層間絶縁膜上にCuがめっき成長されることにより、開口を埋め尽くすビアと最上層配線とが一括して形成される。
Cuからなるビアと層間絶縁膜とが接していると、ビアに含まれるCuイオンが層間絶縁膜中に拡散し、リークパスが形成されるおそれがある。そのため、ビアと層間絶縁膜との間には、Cuの拡散に対するバリア性を有するバリア膜を介在させる必要がある。
開口は、平面視で比較的大きなサイズ(たとえば、1辺が5〜6μmの平面視矩形状)に形成される。これにより、開口内に形成されるビアの断面積が大きくなるので、最上層配線と下配線との間の接続抵抗を低減することができる。しかしながら、開口の底面のサイズが大きいので、その底面にCuの拡散に対するバリア性を確保するために必要十分な厚さのバリア膜を形成しようとした場合、開口の側面(層間絶縁膜における開口に臨む面)および開口の底面と側面とがなす角部でバリア膜の厚さが小さくなる。したがって、そのバリア膜の厚さの小さい部分からCuイオンが層間絶縁膜中に拡散するおそれがある。
そこで、上記項3の構成では、最上層配線と下配線とが複数のビアにより電気的に接続されているので、最上層配線と下配線とが1つのビアで接続される構成と比較して、最上層配線と下配線との間の接続抵抗を増大させることなく、各ビアのサイズを小さくすることができる。各ビアのサイズが小さくなると、当然に、各ビアを埋設するために層間絶縁膜に形成される開口(ビアホール)のサイズが小さくなる。
そのため、ビアがCuを含む金属材料からなり、Cuの拡散防止のためのバリア膜がビアと層間絶縁膜との間に介在される場合、ビアが埋設される開口の底面と側面とがなす角部を含めて、その開口の底面および側面に、バリア膜をほぼ一様な厚さに形成することができる。
また、ビアがCuを含まない導電材料(たとえば、W(タングステン))からなる場合、ビアと層間絶縁膜との間にバリア膜を設けなくても、ビアから層間絶縁膜中へのCuの拡散を生じない。
よって、いずれの場合にしても、層間絶縁膜中へのCuの拡散を良好に防止することができながら、Cuを主成分とする最上層配線と下配線とを電気的に接続することができる。また、ビアのサイズを小さくすることにより、ビアを半導体装置の他の部分におけるビアと同一の工程で形成することができる。これにより、半導体装置の製造工程の簡素化を図ることができる。
さらに、ビアがCuを含まない導電材料からなる場合には、ビアと層間絶縁膜との間にバリア膜を設ける必要がないので、そのバリア膜を形成する工程を省略することができる。よって、半導体装置の製造工程のさらなる簡素化を図ることができる。
ビアの表面と層間絶縁膜の表面とは、面一に形成されているのが好ましい。これにより、最上層配線と層間絶縁膜およびビアとの間に、Cuの拡散防止のためのバリア膜が介在される場合、そのバリア膜を一定の膜厚で形成することができる。よって、バリア膜が部分的に薄くなることがなく、最上層配線から層間絶縁膜へのCuの拡散を良好に防止することができる。
下配線と最上層配線との対向面積に対するビアが形成されている領域の面積の占有率(以下、単に「ビア占有率」という。)は、0.5%以上30%以下であるのが好ましい。
下配線と最上層配線との間で電流が流れるとき、ビアの抵抗値に応じて電圧降下が生じる。ビア占有率が高ければ高いほど、ビアの抵抗値が低下するので、ビアにおける電圧降下の値も小さくなる。ビア占有率が0.5%以上であれば、電流がビアを流れることによる電圧降下量を許容値(たとえば、抵抗値換算で300mΩ)以下にすることができる。
また、複数のビアを隣接して配置する場合には、隣り合うビア間に一定以上の間隔を設ける必要がある。このビア間の間隔を確保するには、ビア占有率が30%以下であることが好ましい。この場合、ビアが埋設されるビアホールを形成するためのマスクパターンを精度よく形成することができる。
4.下配線と、
前記下配線上に形成された層間絶縁膜と、
Cuを主成分とする材料からなり、前記層間絶縁膜の表面上に突出した最上層配線と、
Wからなり、前記層間絶縁膜を厚さ方向に貫通し、前記下配線と前記最上層配線とを電気的に接続するビアとを含む、半導体装置。
この半導体装置では、下配線上に層間絶縁膜が形成されている。層間絶縁膜の表面上には、Cuを主成分とする材料からなる最上層配線が形成されている。最上層配線と下配線とは、Wからなり、層間絶縁膜を厚さ方向に貫通するビアにより電気的に接続されている。
ビアがWからなるので、最上層配線とビアとがCuを主成分とする材料により一体的に形成される構成とは異なり、ビアと層間絶縁膜との間にCuの拡散防止のためのバリア膜を介在させる必要がない。よって、ビアホール内にバリア膜を形成することなく、層間絶縁膜へのCuの拡散を確実に防止することができる。
5.層間絶縁膜と、銅を主成分とする材料からなり、前記層間絶縁膜の表面上から突出した配線と、絶縁材料からなり、前記層間絶縁膜および前記配線の表面を被覆するパッシベーション膜とを含む半導体装置であって、
前記配線は、第1の方向に延びる第1配線部分と、前記第1の方向と直交する第2の方向に延びる第2配線部分と、前記第1配線部分の一端部と前記第2配線部分の一端部とを接続し、それぞれ前記第1の方向および前記第2の方向と交差する直線上に延びる1または複数の接続配線部分とを有し、
前記第1配線部分と前記接続配線部分との接続点と、前記第2配線部分と前記接続配線部分との接続点とを結ぶ直線の前記第1の方向の寸法および前記第2の方向の寸法がそれぞれ1μm以上である、半導体装置。
本願発明者は、銅を主成分とする材料からなる配線を有する半導体装置におけるパッシベーション膜について検討した。
パッシベーション膜は、たとえば、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法により形成される。CVD法では、半導体装置が、たとえば、400℃の温度条件下に曝された状態で、パッシベーション膜の材料であるSiNが層間絶縁膜の表面および最上層配線の表面に堆積された後、半導体装置が常温にまで自然冷却される。このとき、パッシベーション膜には、成膜時の熱膨張および冷却時の熱収縮により応力が加わる。
最上層配線は、所定の配線パターンで形成される。たとえば、配線が直角に屈曲している角部では、その内側面に形成されたパッシベーション膜に応力が集中し、この応力によりパッシベーション膜にクラックが生じるという問題がある。
上記項5の構成では、第1配線部分と第2配線部分との間に接続配線部分が設けられているので、配線の側面には、第1配線部分と接続配線部分との間、および第2配線部分と接続配線部分との間に少なくとも2つの角部が形成される。よって、配線の表面を被覆するパッシベーション膜に応力が加わっても、その応力を複数の角部に分散させることができるので、パッシベーション膜への応力の集中を抑制することができる。
とくに、配線が10μm以上の配線幅を有している場合には、パッシベーション膜に加わる応力が大きくなり、パッシベーション膜へのクラックの発生確率が上昇する。この場合でも、第1配線部分と前記接続配線部分との接続点と、第2配線部分と前記接続配線部分との接続点とを結ぶ直線の第1の方向の寸法および第2の方向の寸法をそれぞれ1μm以上にすることにより、パッシベーション膜への応力の集中を抑制することができ、パッシベーション膜に応力が集中することによるクラックの発生を防止することができる。
接続配線部分は、1つであってもよい。接続配線部分が1つであっても、配線の側面には、2つの角部が形成される。これにより、第1配線部分と第2配線部分とが直接接続される構成と比較して、パッシベーション膜における角部を被覆する部分に生じる応力を軽減することができる。
アルミニウムを主成分とする材料からなり、配線とパッシベーション膜との間に介在される配線被覆膜をさらに含んでいることが好ましい。配線被覆膜の主成分であるアルミニウムは、配線の主成分である銅に対する密着性が高い。そのため、配線被覆膜は、配線の表面に良好に密着する。また、配線被覆膜の主成分であるアルミニウムは、パッシベーション膜の材料である絶縁材料に対する密着性が高い。そのため、パッシベーション膜は、配線被覆膜の表面に良好に密着する。よって、配線からのパッシベーション膜の剥離を防止することができる。
この場合、銅の拡散に対するバリア性を有する材料からなり、配線と配線被覆膜との間に介在される第1バリア膜をさらに含んでいるのが好ましい。これにより、配線から銅(銅イオン)が拡散することを防止できるので、配線と別の配線との間にリークパスが形成されることを確実に防止できる。
前記半導体装置は、銅の拡散に対するバリア性を有する材料からなり、前記配線と前記層間絶縁膜との間に介在される第2バリア膜をさらに含むことが好ましい。これにより、配線からの銅(銅イオン)の拡散を防止できる。
前記第1バリア膜および第2バリア膜は、それぞれ、たとえば、Ti、TiN、WN、TaN、Ta、WおよびTiWからなる群から選択される1つ以上の材料膜の単膜または積層膜からなっていてもよい。