(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040470
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】最適イオン化ポテンシャル成膜装置
(51)【国際特許分類】
C23C 14/54 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
C23C14/54 F
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-153328(P2012-153328)
(22)【出願日】2012年7月9日
(65)【公開番号】特開2014-15660(P2014-15660A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(72)【発明者】
【氏名】柳生 進二郎
(72)【発明者】
【氏名】後藤 真宏
(72)【発明者】
【氏名】吉武 道子
(72)【発明者】
【氏名】知京 豊裕
【審査官】
今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−267869(JP,A)
【文献】
特開平07−150354(JP,A)
【文献】
特開2005−320590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料から成膜後試料を真空環境で製造すると共に、成膜途中の試料や前記成膜後試料のイオン化ポテンシャル測定を真空環境又は大気圧環境で行う最適イオン化ポテンシャル成膜装置において、
成膜対象となる試料が複数個保持される第1と第2の試料保持部と、
成膜用原料を前記試料に対して所定の成膜条件で供給する成膜原料供給部と、
前記成膜原料供給部から前記膜原料が供給される対象となる試料を、順次切り替える第1の成膜試料切替部と、
単色化した紫外光を前記試料の成膜面に照射し、当該成膜面から発生する光電子を用いてイオン化ポテンシャルを計測する第1と第2のイオン化ポテンシャル計測部と、
第2のイオン化ポテンシャル計測部で計測される試料を、順次切り替える第2の成膜試料切替部と、
真空環境下で前記第1の試料保持部、前記成膜原料供給部、前記第1の成膜試料切替部、並びに前記第1のイオン化ポテンシャル計測部のプローブを収容する真空チャンバー部と、
大気圧環境と真空環境とを切り替え可能な準備チャンバー部であって、前記第2の試料保持部、前記第2の成膜試料切替部、並びに前記第2のイオン化ポテンシャル計測部のプローブを収容する前記準備チャンバー部と、
前記試料を前記真空チャンバー部から前記準備チャンバー部のイオン化ポテンシャル計測装置に移送する試料移送部と、
前記イオン化ポテンシャル計測を行った結果と、前記試料の成膜面でのイオン化ポテンシャル目標値とを比較して、前記イオン化ポテンシャル計測値が前記イオン化ポテンシャル目標値を充足するように、前記成膜原料供給部の成膜条件を修正するフィードバック制御部と、
を備え、
前記イオン化ポテンシャル目標値が真空環境下での値であれば、前記第1の成膜試料切替部により、前記試料を前記成膜原料供給部に対応する位置から前記第1のイオン化ポテンシャル計測部のプローブ位置に移送し、
前記イオン化ポテンシャル目標値が大気環境下での値であれば、前記試料を前記試料移送部により真空環境下の前記準備チャンバー部に移動してから、当該準備チャンバー部を大気圧にすると共に、前記第2の成膜試料切替部により前記試料を前記第2のイオン化ポテンシャル計測部のプローブ位置に移送することを特徴とする最適イオン化ポテンシャル成膜装置。
【請求項2】
試料から成膜後試料を真空環境で製造すると共に、成膜途中の試料や前記成膜後試料のイオン化ポテンシャル測定を大気圧環境で行う最適イオン化ポテンシャル成膜装置において、
成膜対象となる試料が複数個保持される第1と第2の試料保持部と、
成膜用原料を前記試料に対して所定の成膜条件で供給する成膜原料供給部と、
前記成膜原料供給部から前記膜原料が供給される対象となる試料を、順次切り替える第1の成膜試料切替部と、
単色化した紫外光を前記試料の成膜面に照射し、当該成膜面から発生する光電子を用いてイオン化ポテンシャルを計測するイオン化ポテンシャル計測部と、
前記イオン化ポテンシャル計測部で計測される試料を、順次切り替える第2の成膜試料切替部と、
真空環境下で前記第1の試料保持部、前記成膜原料供給部、並びに前記第1の成膜試料切替部を収容する真空チャンバー部と、
大気圧環境と真空環境とを切り替え可能な準備チャンバー部であって、前記第2の試料保持部、前記第2の成膜試料切替部、並びに前記イオン化ポテンシャル計測部のプローブを収容する前記準備チャンバー部と、
前記試料を前記真空チャンバー部から前記準備チャンバー部のイオン化ポテンシャル計測装置に移送する試料移送部と、
前記イオン化ポテンシャル計測を行った結果と、前記試料の成膜面でのイオン化ポテンシャル目標値とを比較して、前記イオン化ポテンシャル計測値が前記イオン化ポテンシャル目標値を充足するように、前記成膜原料供給部の成膜条件を修正するフィードバック制御部と、
を備え、
前記イオン化ポテンシャル目標値を大気環境下の値とすると共に、前記試料を前記試料移送部により真空環境下の前記準備チャンバー部に移動してから、当該準備チャンバー部を大気圧にし、かつ前記第2の成膜試料切替部により前記試料を前記イオン化ポテンシャル計測部のプローブ位置に移送することを特徴とする最適イオン化ポテンシャル成膜装置。
【請求項3】
前記成膜条件は、試料温度、雰囲気のガス圧、蒸着量の少なくとも何れか1種類を含み、
前記成膜条件の変更を行う場合の変更パラメータの優位順が予め定められていることを特徴とする請求項1または2に記載の最適イオン化ポテンシャル成膜装置。
【請求項4】
前記成膜原料供給部は、複数の成膜用原原料毎に設けられ、前記試料に対して当該成膜用原料毎に設けられる成膜条件により成膜するコンビナトリアル装置の機能を有することを特徴とする請求項1または2に記載の最適イオン化ポテンシャル成膜装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロニクス分野にかかわる高品質の半導体、誘電体、金属薄膜材料、有機半導体材料の最適イオン化ポテンシャル成膜装
置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体,金属,誘電体、有機半導体などの薄膜は、広範囲の電子デバイスに用いられており、それらの高性能化に対応した高品質の薄膜材料が求められている。とりわけ、異なる材料界面を作り、電子、イオン又はホールをやりとりする界面では、そのエネルギー障壁の制御が重要になっている。例えば有機半導体材料と金属電極材料エネルギー障壁は、有機半導体材料の伝導体下端と価電子帯上端と金属の仕事関数と差によって生じる。従って、注入障壁が小さい省エネルギーのデバイス開発においては、各材料のイオン化ポテンシャルの制御が欠かせない(非特許文献1)。
【0003】
図3はエネルギーバンド・ダイアグラムの説明図で、半導体や絶縁体のバンドダイグラムを示したものである。エネルギーバンドには、真空準位E
VAC、伝導体下端E
CBM、フェルミ準位E
F、価電子帯上端E
VBMがある。ここで金属はバンドギャップがないために、伝導体下端、フェルミ準位、価電子帯上端が同じ位置になる。真空準位E
VACから測った、価電子帯上端E
VBMの位置はイオン化ポテンシャルIと呼ばれる。また、金属ではイオン化ポテンシャルIと仕事関数Φは同じである。
【0004】
イオン化ポテンシャルは、各材料の組成はもちろんのこと、表面の形態や吸着など表面影響を大きく受ける物性値である。そのため、各材料が作成されるプロセス環境でのイオン化ポテンシャル測定が必要である。例えば、電極薄膜の作成、及び他の材料の積層プロセスが一貫して真空環境ならば真空環境での計測が必要であり、積層プロセスにおいて、途中で大気中でのプロセスが入るならば、大気中での測定が必要になる。
【0005】
イオン化ポテンシャル測定は、紫外光を照射したときに基板内の電子が励起され真空中に放出される現象である光電効果を用いる。実際には、照射する単色紫外光のエネルギーを走査し、出てくる電子を集める光電子収量分光法によって測定することができる。イオン化ポテンシャル計測装置は、大気や真空といった環境を選ばない装置であり、装置及び測定方法については、特許文献1及び2、並びに非特許文献2に示されている。
【0006】
各材料の開発において、材料の薄膜化は省原料化だけでなく、物理蒸着法を用いることで成膜条件を精密にコントロールできることから安定した品質のものを作成することができる。一方で、成膜条件の最適化は、多数の成膜条件パラメータを少しずつ変化させた幾通りもの成膜条件による実験と評価が必要とされ、最良の条件を決定するには膨大な手間と時間、さらには、困難さを伴っていた。例えば、成膜原材料のスパッタ法による物理蒸着では、成膜原材料の組成やその組み合わせに加え、スパッタガス圧力、スパッタパワー、基板温度、サンプルバイアス、といった多くの成膜条件パラメータ制御が必要である。これを自動化したのが、例えば特許文献3に示されるようなコンビナトアル薄膜装置である。
【0007】
薄膜作成部分についてはコンビナトリアル装置として自動化されているが、評価・物性計測部分については自動化が遅れている。その一つの理由として、開発で必要とされる物性の値が各デバイスで異なることである。例えば、電子伝導度や摩擦、又は磁気的性質などであり、それによって測定方法も違ってくるためである(非特許文献3)。他方で、薄膜作成から結晶構造評価までを一貫で行う一貫装置の開発も提案されている(非特許文献4)。しかし、一貫装置も含めた上記の装置では、今まで実験者が行っていたことを自動化したにすぎないという課題があった。
【0008】
一般に薄膜装置の開発現場においては、明確な最終的な目標値が存在している。そして、コンビナトリアル成膜装置を用いることで、成膜条件を変えたサンプル作成と計測を網羅的に行い、成膜条件と物性値のライブラリーの作成を自動化できる。しかしながら、開発担当者がほしい情報は、目標値又は目標値に近い成膜条件であり、成膜条件と物性値のライブラリー自体を得ることは迂遠であるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−85823号公報
【特許文献2】特開2007−303924号公報
【特許文献3】WO2002/024321号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】時任静士、真空学会誌、53巻、1号(2010)p.8.
【非特許文献2】石井久夫・津波大介・末永 保・佐藤信之・木村康男・庭野道夫:表面科学Vol. 28, No.
【非特許文献3】長谷川哲也、福村知昭、真空学会誌、54巻、11号(2011)p.549.
【非特許文献4】後藤真宏、笠原章、土佐正弘、真空学会誌、54巻、11号(2011)p.565.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、所望のイオン化ポテンシャルの値又はそれに近い値を持つ、成膜条件を自動的に導き出せる最適イオン化ポテンシャル成膜装
置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の最適イオン化ポテンシャル成膜装置の第1態様は、例えば
図1に示すように、試料4から成膜後試料を製造すると共に、成膜途中の試料4や成膜後試料6のイオン化ポテンシャル測定を行う最適イオン化ポテンシャル成膜装置において、成膜用原料を試料4に対して所定の成膜条件で供給する成膜原料供給部(7a、7b)と、単色化した紫外光を試料4の成膜面に照射し、当該成膜面から発生する光電子を用いてイオン化ポテンシャルを計測するイオン化ポテンシャル計測部(12、13、16)と、イオン化ポテンシャル計測を行った結果と、試料4の成膜面でのイオン化ポテンシャル目標値とを比較して、イオン化ポテンシャル計測値がイオン化ポテンシャル目標値を充足するように、成膜原料供給部の成膜条件を修正するフィードバック制御部(15、17、19)とを備えることを特徴とする。
【0013】
このように構成された装置においては、成膜原料供給部は、試料に対して成膜用原料を所定の成膜条件で供給するもので、供給する成膜原料に応じて所定台数設けられており、成膜条件の初期値は予め設定されている。イオン化ポテンシャル計測部は、単色化した紫外光を用いて試料の成膜面のイオン化ポテンシャルを計測する。フィードバック制御部は、イオン化ポテンシャル計測値とその目標値とを比較して、イオン化ポテンシャル計測値がイオン化ポテンシャル目標値を充足するように、成膜原料供給部の成膜条件を修正する。このようにして、最適な成膜条件で成膜原料供給部による試料の成膜が行える。
【0014】
本発明の最適イオン化ポテンシャル成膜装置の第2態様は、例えば
図1に示すように、試料4や成膜後試料6を真空環境で製造すると共に、成膜途中の試料や成膜後試料6のイオン化ポテンシャル測定を真空環境又は大気圧環境で行う最適イオン化ポテンシャル成膜装置において、成膜対象となる試料4が複数個保持される第1と第2の試料保持部(3a、3b)と、成膜用原料を試料4に対して所定の成膜条件で供給する成膜原料供給部(7a、7b)と、成膜原料供給部7から膜原料が供給される対象となる試料を、順次切り替える第1の成膜試料切替部と、単色化した紫外光を試料4の成膜面に照射し、当該成膜面から発生する光電子を用いてイオン化ポテンシャルを計測する第1と第2のイオン化ポテンシャル計測部(12a、12b、13、16)と、第2のイオン化ポテンシャル計測部で計測される試料を、順次切り替える第2の成膜試料切替部を備えている。さらに、真空環境下で第1の試料保持部3a、成膜原料供給部7、第1の成膜試料切替部、並びに第1のイオン化ポテンシャル計測部のプローブ12aを収容する真空チャンバー部1と、大気圧環境と真空環境とを切り替え可能な準備チャンバー部2であって、第2の試料保持部3b、第2の成膜試料切替部、並びに第2のイオン化ポテンシャル計測部のプローブ12bを収容する準備チャンバー部2と、試料4を真空チャンバー部1から準備チャンバー部2のイオン化ポテンシャル計測装置に移送する試料移送部と、イオン化ポテンシャル計測を行った結果と、試料4の成膜面でのイオン化ポテンシャル目標値とを比較して、イオン化ポテンシャル計測値がイオン化ポテンシャル目標値を充足するように、成膜原料供給部7の成膜条件を修正するフィードバック制御部(15、17、19)を備えている。
そして、イオン化ポテンシャル目標値が真空環境下での値であれば、第1の成膜試料切替部により、試料4を成膜原料供給部7に対応する位置から第1のイオン化ポテンシャル計測部のプローブ位置に移送する。また、イオン化ポテンシャル目標値が大気環境下での値であれば、試料4を試料移送部により真空環境下の準備チャンバー部2に移動してから、当該準備チャンバー部2を大気圧にすると共に、第2の成膜試料切替部により試料4を第2のイオン化ポテンシャル計測部のプローブ位置に移送する。
【0015】
このように構成された装置においては、試料保持部と成膜試料切替部は、成膜原料供給部7で試料を順次成膜するために、試料保持部に保持された複数の試料から原料供給部7で成膜する試料を成膜試料切替部において順次切り替えている。真空チャンバー部1は、真空環境下で第1の試料保持部3a、成膜原料供給部7、第1の成膜試料切替部、並びに第1のイオン化ポテンシャル計測部のプローブ12aを収容する。準備チャンバー部2は、大気圧環境と真空環境とを切り替え可能であって、第2の試料保持部3b、第2の成膜試料切替部、並びに第2のイオン化ポテンシャル計測部のプローブ12bを収容する。試料移送部は、試料4を真空チャンバー部1から準備チャンバー部2のイオン化ポテンシャル計測装置に移送する。イオン化ポテンシャル計測部のプローブ12a、12bは、一方が真空環境下での測定用12aであり、他方が大気圧環境での測定用12bである。
なお、成膜原料供給部7、フィードバック制御部は、最適イオン化ポテンシャル成膜装置の第1態様で説明したものと同様である。
【0016】
本発明の最適イオン化ポテンシャル成膜装置の第3態様は、例えば
図1に示すように、試料4や成膜後試料6を真空環境で製造すると共に、成膜途中の試料や成膜後試料6のイオン化ポテンシャル測定を真空環境で行う最適イオン化ポテンシャル成膜装置において、成膜対象となる試料4が複数個保持される試料保持部3aと、成膜用原料を試料4に対して所定の成膜条件で供給する成膜原料供給部(7a、7b)と、成膜原料供給部7から膜原料が供給される対象となる試料を、順次切り替える成膜試料切替部と、単色化した紫外光を試料4の成膜面に照射し、当該成膜面から発生する光電子を用いてイオン化ポテンシャルを計測するイオン化ポテンシャル計測部(12a、13、16)と、真空環境下で試料保持部3a、成膜原料供給部7、成膜試料切替部、並びにイオン化ポテンシャル計測部のプローブ12aを収容する真空チャンバー部1と、イオン化ポテンシャル計測を行った結果と、試料4の成膜面でのイオン化ポテンシャル目標値とを比較して、イオン化ポテンシャル計測値がイオン化ポテンシャル目標値を充足するように、成膜原料供給部7の成膜条件を修正するフィードバック制御部(15、17、19)とを備えている。
そして、本態様の装置は、イオン化ポテンシャル目標値を真空環境下の値とすると共に、成膜試料切替部により、試料4を成膜原料供給部7に対応する位置からイオン化ポテンシャル計測部のプローブ位置に移送する。
【0017】
本発明の最適イオン化ポテンシャル成膜装置の第4態様は、例えば
図1に示すように、試料4や成膜後試料6を真空環境で製造すると共に、成膜途中の試料や成膜後試料6のイオン化ポテンシャル測定を大気圧環境で行う最適イオン化ポテンシャル成膜装置において、成膜対象となる試料が複数個保持される第1と第2の試料保持部(3a、3b)と、成膜用原料を試料4に対して所定の成膜条件で供給する成膜原料供給部(7a、7b)と、成膜原料供給部7から膜原料が供給される対象となる試料4を、順次切り替える第1の成膜試料切替部と、単色化した紫外光を試料4の成膜面に照射し、当該成膜面から発生する光電子を用いてイオン化ポテンシャルを計測するイオン化ポテンシャル計測部(12b、13、16)と、イオン化ポテンシャル計測部で計測される試料を、順次切り替える第2の成膜試料切替部とを備えている。さらに、真空環境下で第1の試料保持部3a、成膜原料供給部7、並びに第1の成膜試料切替部を収容する真空チャンバー部1と、大気圧環境と真空環境とを切り替え可能な準備チャンバー部であって、第2の試料保持部3b、第2の成膜試料切替部、並びにイオン化ポテンシャル計測部のプローブ12bを収容する準備チャンバー部2と、試料4を真空チャンバー部1から準備チャンバー部2のイオン化ポテンシャル計測装置に移送する試料移送部と、イオン化ポテンシャル計測を行った結果と、試料4の成膜面でのイオン化ポテンシャル目標値とを比較して、イオン化ポテンシャル計測値がイオン化ポテンシャル目標値を充足するように、成膜原料供給部7の成膜条件を修正するフィードバック制御部(15、17、19)を備えている。
そして、イオン化ポテンシャル目標値を大気環境下の値とすると共に、試料4を試料移送部により真空環境下の準備チャンバー部2に移動してから、当該準備チャンバー部を大気圧にし、かつ第2の成膜試料切替部により試料4をイオン化ポテンシャル計測部のプローブ位置に移送する。
【0018】
本発明の最適イオン化ポテンシャル成膜装置の第5態様は、第1態様から第4態様の最適イオン化ポテンシャル成膜装置において、好ましくは、成膜条件は、試料温度、雰囲気のガス圧、蒸着量の少なくとも何れか1種類を含み、成膜条件の変更を行う場合の変更パラメータの優位順が予め定められているとよい。
【0019】
本発明の最適イオン化ポテンシャル成膜装置の第6態様は、第1態様から第4態様の最適イオン化ポテンシャル成膜装置において、好ましくは、成膜原料供給部7は、複数の成膜用原料毎に設けられ、試料4に対して当該成膜用原料毎に設けられる成膜条件により成膜するコンビナトリアル装置の機能を有するとよい。
【0020】
本発明の最適イオン化ポテンシャル成膜方法は、例えば
図2に示すように、成膜装置を用いて試料に対して所定成分の成膜を行う場合に、所望のイオン化ポテンシャルの値を有する成膜後試料を得るための最適な成膜条件を探索する方法であって、成膜装置における初期の成膜条件と、所望のイオン化ポテンシャルの値を設定し(S−01、S−02)、初期成膜条件に準拠する成膜条件で、成膜装置により試料4に対して所定成分の成膜を行い(S−03)、成膜試料のイオン化ポテンシャル測定を行ない(S−05)、当該イオン化ポテンシャル測定値と、前記所望のイオン化ポテンシャルの値とを比較して(S−07)、両者の乖離が減少するように、成膜条件の変更を行ない(S−08)、変更後の成膜条件で、成膜装置により試料4に後続する試料に対して所定成分の成膜を行うことを特徴とする。
【0021】
このように構成された本方法発明においては、成膜原料供給部7は試料に対して成膜用原料を所定の成膜条件で供給するもので、成膜条件の初期値と所望のイオン化ポテンシャル値が予め設定されている。イオン化ポテンシャル計測部12によって、試料の成膜面のイオン化ポテンシャルを計測する。フィードバック制御部は、イオン化ポテンシャル計測値とその目標値とを比較して、イオン化ポテンシャル計測値がイオン化ポテンシャル目標値を充足するように、成膜原料供給部7の成膜条件を修正する。このようにして、最適な成膜条件で成膜原料供給部7による試料の成膜が行える。
【発明の効果】
【0022】
本発明の最適イオン化ポテンシャル成膜装置によれば、所望のイオン化ポテンシャルを持つ最適な材料の成膜条件が、初期成膜条件から逐次成膜条件を変更することで最適な範囲を自動的に求めることができる。
即ち、技術開発担当者は、最終的な物性の目標値を明確に持っており、得られた結果を見て判断して、次の条件を考えると行った過程が必要である。そこで、本発明の最適イオン化ポテンシャル成膜装置によれば、一貫装置を用い成膜後すぐに物性値を計測し、その値を元に、成膜条件を自動で変えるフィードバック装置を持つ装置を作成することで、実験者は、最終的な物性の目標値を入れるだけで、成膜条件を自動で最適化することができる。
また本発明の最適イオン化ポテンシャル成膜方法によれば、所望のイオン化ポテンシャルを持つ最適な材料の成膜条件を自動的に取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の最適イオン化ポテンシャル成膜装置の一実施例を示す概略構成図である。
【
図2】本発明の最適イオン化ポテンシャル成膜条件探索方法の一実施例を示すフローチャートである。
【
図3】エネルギーバンドとイオン化ポテンシャル関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の最適イオン化ポテンシャル成膜装置の一実施例を示す概略構成図である。最適イオン化ポテンシャル成膜装置は、試料4から成膜後試料6を製造すると共に、成膜途中の試料4や成膜後試料6a、6bのイオン化ポテンシャル測定を行うものである。
【0025】
最適イオン化ポテンシャル成膜装置は、
図1に示すように、真空チャンバー部としての真空チャンバー1、準備チャンバー部としての準備・大気計測チャンバー2、第1と第2の試料保持部と第1と第2の成膜試料切替部としてのリボルバー型試料ホルダー3a、3b、加熱ヒータ5、成膜原料供給部としての蒸着源7a、7b、不活性ガス供給口8a、8b、反応ガス供給口9a、バルブ10a、10b、ゲートバルブ11、紫外光照射プローブ12a、12b、単色紫外光源13、電流計14a、14b、目標値・初期成膜条件設定装置15、イオン化ポテンシャル計測装置16、解析・判断装置17、試料位置変更装置18、成膜条件変更装置19を備えている。
同成膜装置は、機能的に区分すると、真空チャンバー部1、準備・大気計測チャンバー部2、イオン化ポテンシャル測定部、並びにフィードバック制御部の4機能部で構成される。
【0026】
真空チャンバー部1は、試料4の成膜工程と、成膜後試料6aのイオン化ポテンシャル測定を真空中で行う必要がある時に用いるもので、リボルバー型試料ホルダー3a、加熱ヒータ5、蒸着源7、不活性ガス供給口8a、反応ガス供給口9a、バルブ10a、ゲートバルブ11、紫外光照射プローブ12a、単色紫外光源13、電流計14aを備えている。真空チャンバー部1では、リボルバー型の試料ホルダー3の上に試料4が置かれる。真空チャンバー1は、真空度が1.3x10
−7Pa(1.0x10
−9Torr)以下程度になっている。試料保持部としての試料ホルダー3aは、複数個の試料4が等間隔で円周上に置かれるもので、ここでは8個の試料4が置かれている。成膜試料切替部としての試料ホルダー3aは、回転軸を中心として試料ホルダー3aを面内に所定角度ピッチで回転するもので、図示しない駆動機構を有する。この駆動機構は油圧式でも電動式でもよい。この角度ピッチは、試料4を置く場所の数に応じて定める。試料4は、SiO
2膜/Si基板のような成膜に適した材質がよく、例えば金属・半導体・ガラス・セラミックス・有機材料など各種のものが用いられる。試料4の形状は平坦な円盤状が好ましいが、これに限定されるものではなく矩形や多角形や凸凹に湾曲した面を有していてもよい。
【0027】
加熱ヒータ5は、試料4を加熱するもので、赤外線加熱装置のような非接触式でもよく、また電熱線ヒータのような接触式でもよい。蒸着源7a、7bは、成膜用原料を供給するもので、供給手法としては、スパッタ法の他に、反応性スパッタ法、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、レーザーアブレーション法など、任意のものが挙げられる。膜原料の材質としては、金属、半導体、ガラス、セラミックス、酸化物、窒化物、有機材料など、任意のものが挙げられる。薄膜の形成やコンビナトリアル成膜に不都合がなければ、成膜用原料の供給手法や膜原料の材質は特に制限されるものではない。コンビナトリアル成膜の場合は、蒸着源7a、7bは、複数の成膜用原料毎に設けられ、試料4に対して当該成膜用原料毎に設けられる成膜条件により成膜する。
【0028】
不活性ガス供給口8aは、真空チャンバー1に不活性ガスを供給するものである。不活性ガスには、例えばアルゴンガスや窒素ガスが用いられる。反応ガス供給口9aは、真空チャンバー1に反応ガスを供給するものである。バルブ10aは、真空チャンバー1の真空引きを行うために、開閉状態を切り替えるものである。ゲートバルブ11は、真空チャンバー1と準備・大気計測チャンバー2とを連結するもので、開閉できる。紫外光照射プローブ12aは、成膜面に対してイオン化ポテンシャル測定を行うもので、電気的にグランド電位になっている。電流計14aは、紫外光源照射によって生じる光電子を測定する。
【0029】
このように構成された真空チャンバー部1では、試料ホルダー3aが回転することで、試料4の成膜位置、測定位置の変更を行う。また、リボルバー型試料ホルダー3aは、成膜時でのバイアス印加やイオン化ポテンシャル計測のために、電気的にグランド電位から浮いた状態になっている。成膜面は、鉛直上向きに対して行い、試料温度は加熱ヒータ5で制御することができる。蒸着源7a、7bは、坩堝やプラズマまたはイオンスパッタによるスパッタターゲットなど複数用意することができ、試料-蒸着源距離を変えるために垂直方向に動かすことができる。紫外光源照射プローブ12aは電気的にグランド電位になっている。紫外光源照射によって生じる光電子は、電流計14aにて計測される。
【0030】
準備・大気計測チャンバー部2は、成膜後試料6のイオン化ポテンシャル測定を大気中で行う必要がある時に用いるもので、リボルバー型試料ホルダー3b、不活性ガス供給口8b、バルブ10b、ゲートバルブ11、紫外光照射プローブ12b、電流計14bを備えている。準備・大気計測チャンバー部2は、真空チャンバー部1とはゲートバルブ11で仕切られており、真空チャンバー部1で作成された試料を、試料移送部としてのトランスファーロッド又はノーブルスティックで移すことができる。リボルバー型試料ホルダー3b、不活性ガス供給口8b、バルブ10b、紫外光照射プローブ12b、電流計14bは、それぞれリボルバー型試料ホルダー3a、不活性ガス供給口8a、バルブ10a、紫外光照射プローブ12a、電流計14aと同様の構成となっている。
【0031】
準備・大気計測チャンバー部2では、成膜途中の試料4と成膜後試料6bのイオン化ポテンシャル計測を行うために、ゲートバルブ11を閉じた後、大気又は不活性ガスを導入し大気圧に戻すことが行えると共に、大気圧に戻した後、再度真空ポンプを用いて真空引きすることもできる。イオン化ポテンシャル測定を行うための紫外光源照射プローブ12b、電流計14bが設置されている。リボルバー型試料ホルダー3bを設置することで、真空チャンバーにある試料の準備室としても使うことができる。
【0032】
イオン化ポテンシャル測定部は、紫外光源照射プローブ12a、12b、単色化光源13、電流計14a、14b並びにイオン化ポテンシャル計測装置16で構成される。単色化光源13では、重水素ランプまたはキセノンランプより生じる連続紫外光を分光器によって単色化し、光学系を通じて紫外光源照射プローブ12に放射する。紫外光源照射プローブ12では、単色化した紫外光を成膜試料面に照射し、当該成膜試料面から発生する光電子を電流計14a、14bを用いて計測する。電流計には、サブフェムトアンペアーが測定できる電流計や同時に電圧印加も行えるソースメーターを用いることができる。単色化光源13からの紫外光は、例えば光ファイバーを用いて紫外光源照射プローブ12に送られるが、レンズなどの光学部品を用いてもよい。
【0033】
フィードバック制御部は、成膜・イオン化ポテンシャル計測を行った結果から成膜条件を制御するもので、目標値・初期成膜条件設定装置15、イオン化ポテンシャル計測装置16、解析・判断装置17、試料位置変更装置18、成膜条件変更装置19を備えている。目標値・初期成膜条件設定装置15では、製造する製品の仕様に適合したイオン化ポテンシャル値と、初期の成膜条件パラメータを解析・判断装置17に設定する。そして、試料位置変更装置18を通じて、リボルバー型試料ホルダー3a、3bまたはトランスファーロッドにて成膜サンプルとなる成膜後試料6a、6bを測定位置に移動すると共に、成膜されていない試料4を成膜位置に移動する。
【0034】
イオン化ポテンシャル計測装置16は成膜後試料6のイオン化ポテンシャル測定を行い、その測定値信号を解析・判断装置17に送る。解析・判断装置17は、イオン化ポテンシャル計測装置16から送られた測定値信号を用いて、成膜後試料6が製造する製品の仕様に適合するように解析・判断を行う。解析・判断装置17は、解析・判断の結果得られる操作量を基準にして、成膜条件変更装置19を通じて、蒸着源7、ガス導入口8a、8b、9、及び加熱ヒータ5の運転条件を変更する。この運転条件は、例えば表1や表2に説明してある。
上記のような装置を用いることにより最適イオン化ポテンシャル成膜が可能になる。
【0035】
<最適イオン化ポテンシャル成膜装置の手順>
次に、最適イオン化ポテンシャル成膜装置の操作手順について、図及びフローチャートを用いて説明する。
図2は、最適イオン化ポテンシャル成膜装置を用いた最適イオン化ポテンシャル成膜手順の一例を示すフローチャートである。
【0036】
初めに、目標値・初期成膜条件設定装置15に、初期の成膜条件(S−01)及び、所望のイオン化ポテンシャルの値(S−02)を設定する。
続いて、初期成膜条件をもとに蒸着源7a、7bを用いて試料4の成膜を行い(S−03)、成膜された試料6a、6bをイオン化ポテンシャル測定位置12a、12bに移動する。この際、所望のイオン化ポテンシャルが真空環境のままであれば、真空チャンバー部1内のリボルバー型の試料ホルダー3aを回転させるだけでよい。
【0037】
しかし、所望のイオン化ポテンシャルが大気環境下であれば、成膜試料を真空チャンバー部1から準備・計測大気チャンバー2へトランスファーロッド又はノーブルスティックを用いて移動する。移動後、ゲートバルブ11を閉じ、不活性ガス供給口8bから大気を取り入れて、準備・計測大気チャンバー2を大気解放する。
【0038】
そして、イオン化ポテンシャル計測装置16を用いて当該試料のイオン化ポテンシャル測定を行う(S−04)。そして、イオン化ポテンシャル計測装置16は、イオン化ポテンシャル測定値とそのときの成膜条件を出力する(S−06)。得られたイオン化ポテンシャル測定値をもとに、S−02で設定されたイオン化ポテンシャルの値と比較し、一致する場合であればそれで終了する。一致しない場合は、あらかじめS−01で設定した変更パラメータの優位順に従って、成膜条件(試料温度、雰囲気のガス圧、蒸着量)の変更を行う(S−08)。S−08の処理が終了後は、S−03に戻り、S−03以降の処理を行う。
【0039】
なお、大気での測定を行う場合は、その測定が終了した後、準備・測定大気チャンバー2の真空引きを行い、次の試料測定のために備える。
このように、本実施例のイオン化ポテンシャル成膜装置は、成膜・計測機能を有し、その値をフィードバックし、成膜条件を変える機能設備を有しすることで、最適なイオン化ポテンシャルの値を持つ成膜条件を自動で見つけることができる。
【0040】
<最適なイオン化ポテンシャル成膜装置とその方法実施例>
前述の
図2のフローチャートに従って、Al−Pt組成変化における最適イオン化ポテンシャル成膜条件の実施例について説明する。表1と表2は最適イオン化ポテンシャル成膜条件探索の一例である。
【0041】
Al−Pt電極において、Pt多結晶より高いイオン化ポテンシャル(仕事関数)が所望のイオン化ポテンシャルの値であり、この値より大きい値を目標値に設定する。また、この電極は作成後大気中にて他の材料を積層するために、大気中での値が必要である。
Ptの大気中でのイオン化ポテンシャルの値を測定し、目標となる値としてPtの大気中での値より大きい値を目標値(設定値)とする。また、できるだけPtの量を減らしたいためにAlの量をできるだけ多くするといった条件を入れる。
【0042】
表1は試料番号、イオン化ポテンシャルの値、Al及びPtのスパッタ時間(蒸着量)を示したものである。表2はその他の条件である。成膜量は、全体で50nmに設定されており、蒸着量はそれぞれの材料のスパッタリングレートから計算される。なお今回は、スパッタ蒸着量のみを制御条件としており、その他の条件は固定している。
【表1】
【0044】
初期の成膜条件は、例えば表1に示すように、試料番号に応じたイオン化ポテンシャルの値[eV]、Alのスパッタ時間[sec]、Ptのスパッタ時間[sec]が定められている。例えば、試料番号2については、夫々5.14[eV]、9.5[sec]、30[sec]になっている。初期の成膜条件については、表2にその他の条件が定められており、試料温度について室温、全被覆膜厚について50nm、全圧力について1.3x10
−7Pa(1.0x10
−9Torr)、試料バイアス電圧について0V、スパッタガスの種類についてアルゴン、スパッタ電圧について5kV、スパッタ圧力について2.7x10
−6Pa(2.0x10
−8Torr)、Alのスパッタ速度について1.05[nm/sec]、Ptのスパッタ速度について1.32[nm/sec]との項目がある。
【0045】
はじめに表1にある試料(試料番号1)にPtのみを積層する。そして大気チャンバーに試料を移動し、当該試料のイオン化ポテンシャル測定を行う。次のサンプル(試料番号2)に、AlとPtのスパッタ蒸着を行い試料番号1と同様にイオン化ポテンシャル測定を行う。表1に示されるように、Alのスパッタ蒸着量を増やすと試料番号3までイオン化ポテンシャルは増加する。試料番号4を試すことで試料番号3が最適条件となることがわかる。しかしながら、初期条件として、試料番号4の条件でもイオン化ポテンシャル値の目標値を超えているために、試料番号5を試している。試料番号5の値が目標値を下回っているので、これで適化は終了する。
上述したように、本発明の最適イオン化ポテンシャル成膜装置によって所望のイオン化ポテンシャルに最適な成膜条件を導き出すことができる。
【0046】
なお、上記の実施の形態においては、蒸着源は真空中に置き、イオン化ポテンシャル計測部は真空チャンバーと大気圧に対処できる準備チャンバーの2箇所に設ける場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、大気圧雰囲気でのイオン化ポテンシャル計測をしない場合は、真空チャンバーだけを設ければよい。すると、準備チャンバー並びに真空チャンバーと準備チャンバー間の試料移送部を設ける必要がなくなる。
また真空中でのイオン化ポテンシャル計測をしない場合は、真空チャンバー側のイオン化ポテンシャル計測部を設ける必要がなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の最適イオン化ポテンシャル成膜装置によって所望のイオン化ポテンシャルに最適な成膜条件を導き出すことができ、通常のスパッタリング装置やコンビナトリアル装置による半導体等の成膜工程に用いて好適である。
【符号の説明】
【0048】
1 真空チャンバー
2 準備チャンバー
3 リボルバー型試料ホルダー(試料保持部・成膜試料切替部)
4 試料
5 加熱ヒータ
6 成膜後試料
7 蒸着源(成膜原料供給部)
12a、12b 紫外光照射プローブ
13 単色紫外光源
14a、14b 電流計
15 目標値・初期成膜条件設定装置
16 イオン化ポテンシャル計測装置
17 解析・判断装置
18 試料位置変更装置
19 成膜条件変更装置