(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板をめっき浴に入れる前に、金属シード層を前記有機分子層の上に形成させて、この金属シード層が前記1種以上の有機分子に付着する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
前記1個以上の有機分子が、アルコール、カルボキシレート、エーテル、エステル、他の求核物質、フェニルエチン、フェニルアリル基、ホスホネート、アミン、ピリジン、ピラジン、イソニコチンアミド、イミダゾール、ビピリジンおよびビピリジンの置換誘導体、ターピリジンおよび置換誘導体、ニトリル、イソニトリル、チオシアネート、フェナントロリン、フェナントロリンの置換誘導体、酸素、イオウ、リンおよび窒素供与リガンドおよびこれらの組合せからなる1種以上の結合基をさらに含む、請求項1記載の方法。
前記1種以上の有機分子が、興味ある分子を結合するように配置した1個以上の結合基および前記有機分子を前記表面に付着するように配置した1個以上の付着基を担持する熱安定性基本成分からなる、請求項1記載の方法。
前記1種以上の有機分子および前記基板を少なくとも25℃の温度に加熱する工程をさらに含み、この加熱工程を、下記の任意の1以上において実施する、請求項1記載の方法:オーブン、ホットプレート、CVD装置、加熱炉、高速加熱炉、MBE装置、およびこれらの組合せ。
前記加熱工程の後に、前記基板表面を清浄化する工程をさらに含み、前記清浄化工程が、下記の任意の1以上を含む、請求項1記載の方法:洗浄、濯ぎ、デスカミング(descuming)またはデスミア処理。
【背景技術】
【0002】
電子部品は、小さくて薄く且つ軽量の装置に対する要望が増加し続けていることから、より小さくて薄くなってきている。このことは、電子部品および集積回路の製造、設計およびパッケージングにおいて多くの進展をもたらしている。例えば、プリント回路板(PCB)は、集積回路および装置のパッケージングにおいて広く使用されている。今日のPCB基板は、集積回路相互間の効率的な信号伝達および通電のような種々の機能を備え、さらにまた、操作中の集積回路が発する熱の効率的な消散ももたらさなければならない。基板は、集積回路を機械的および環境的ストレスのような外力から保護するのに十分な強度を示さなければならない。装置密度が増大するにつれ、多層構造体のような高密度パッケージ設計がますます重要になり、このことは、さらなる設計課題を提供している。
【0003】
ポリマー類は、PCB基板用の望ましい材料として具現している。ポリマー基板は、数ある特性の中で、可撓性、低コスト、軽量および高耐熱性のような利点を示す。例えば、エポキシ、フェノールおよびポリイミド樹脂等のような種々のポリマーおよび炭素材料が使用さている。ガラス強化エポキシのような低価格有機材料が、PCB基板として使用されている。しかしながら、そのような材料は、貧弱な熱伝導性と異方性熱膨張しか示さない。ガラス強化ポリイミド、シアネート、エステルおよびテフロン(登録商標)(Teflon)のような改良された有機材料は、改良された温度安定性を示すが、吸湿性および銅に対する接着強度の乏しさに悩まされている。
【0004】
また、非有機PCB基板も使用されている。アルミナ(セラミック)は、広く使用されており、望ましい熱伝導性と熱膨張係数(CTE)を示している;しかしながら、そのような基板は、脆くて高価である。従って、新規な材料をPCB基板用の有力な候補として探し続けることが期待されている。PCB基板が特定の用途において使用されているかどうかにかかわらず、電気めっきまたは電気化学析出技術、とりわけ無電解めっきは、PCB基板上にメタライゼーション層を形成させるのに広く使用されている。銅は、プリント回路板(PCB)、フレキシブル回路板(FCB)、マルチチップモジュール(MCM)等のメタライゼーションにおいて、さらにまた、半導体装置の製造において、アルミニウムと比較してその低い抵抗率と有意に高いエレクトロマイグレーション耐性および良好な熱伝導性故に所望の金属となっている。また、銅電気化学めっき方式は、高度な相互接続構造の半導体製造のために開発されている。これらの方法は、以下の2つの基本工程を含んでいる:(1) 非導電性基板の表面を薬剤で処理して、この表面を、無電解的に形成された析出金属に対して触媒的に受容れ可能にする工程;および、(2) 金属を、無電解的に形成された導電性析出金属上に電着する工程。プリント回路のパターンは、スクリーンプリンティングまたはフォトレジストイメージングを使用することによって得られる。非導電性基板は、初めは、銅クラッディングしていても或いはしていなくてもよい;しかしながら、殆どの基板は、上記工程の開始時に銅クラッディングを有しており、このクラッディングは、後で、非パターン領域においては除去される。従って、そのような方法は、サブストラクティブ法と称する。
【0005】
貫通孔メタライゼーションを使用するプリント回路板製造に関連する典型的な方法においては、触媒物質は、殆どの場合、パラジウム金属を含む。触媒物質を基板表面に適用する方法は、基板をパラジウムおよびスズ化合物のコロイド溶液と接触させることを典型的に含む。例えば、米国特許第3,011,920号および第3,532,518号を参照されたい。一般に、スズ化合物は、触媒パラジウムに対しての保護コロイドとして作用するものと考えられる。殆どの場合、プリント回路板の非導電性基板の触媒作用の後は、活性触媒種を暴露させるまたは暴露を増大させる“促進”工程が続く。
【0006】
触媒物質を非導電性表面上に上記の方法で付着させた後、表面を無電解金属付着用溶液と接触させる;このめっき処理においては、化学還元が浴からの析出金属を上記触媒処理表面上にもたらす。貫通孔は、通常、Clyde F. Coombs, JrによってPrinted Circuit Handbook 3rd Edition, McGraw‐Hill Book Co., New York, N.Y., 1988, Chapter 12.5に記載されている手法のような、当該技術においては無電解銅めっきとして知られている銅還元手法によって通常めっきされる;上記文献は、その全体を参考として本明細書に合体させる。
【0007】
上述したタイプの方法は、見掛け上は単純ではあるものの、費用高で且つ厳格な工程管理の必要があることが判明している。これらの方法の使用におけるさらなる制約は、無電解金属層の化学物質感受性に由来し、また、極めて危険で有毒な化学薬品の必然的な使用によって生じる。これらの不利益を克服するための努力は、過去にほんの部分的にしか成功してなく、その不利益にその努力独自の不利益を加えている。従って、本発明によって達成される改善の意義を認識するためには、現在のプリント回路板技術の主な特徴を前以って再評価することが有益であろう。
【0008】
典型的な片面または両面プリント回路板の製造方法においては、適切な基板は、典型的には、非導電性材料の層で互いに分離している2枚以上の銅ホイルからなるラミネートを含む。単数または複数の非導電性層は、好ましくは、ガラス繊維を充填したエポキシ樹脂のような有機材料である。孔は、基板上の適切な位置にドリルまたはポンチで開孔し、メタライゼーションしたときに面面接続を得ている。その後、基板を、典型的にはアルカリ性の清浄化組成物で処理して、それによって汚れを落とし、貫通孔を状態調節し、次いで、銅表面予備処理物の除去のために使用する遅速酸エッチング工程、酸化および一様に活性な銅のプレゼンテイションを行う。このマイクロエッチング工程用の典型的な組成物は、過硫酸塩および硫酸‐過酸化水素溶液である。次に、基板を、貫通孔内および基板表面上に表面活性パラジウムの薄層を付着させる中性または酸性のスズ/パラジウム触媒溶液で触媒作用させる。基板表面および貫通孔のコロイド状スズは、促進剤組成物で処理することによって除去する。その後、基板は、無電解銅めっきする状態になっており、このめっきは、典型的には、薄い銅層を貫通孔内および基板表面上に付着させるアルカリ性のキレート化銅還元溶液によって実施する。一般的には硫酸によって酸浸漬した後、基板を、通常の銅めっき溶液によって金属めっきする。しかしながら、このメタライゼーション工程よりもイメージング工程を先行させるほうがより一般的である。
【0009】
パターンめっきとして知られている方法においては、ドライフィルムフォトレジストを、基板にラミネートし、次いで、露出させて回路の陰画を転写し、その後、陰画を現像して、露出させていない部分を除去する。上記レジストは、導電体パターンの1部ではない銅をコーティングする。露出させた銅パターンの厚さは、電解銅めっきによって増大する。その後、画像化ドライフィルムレジストを取出し、不要な銅、即ち、導電体パターンの1部ではない銅を露出させ、この不要な銅は、適切なエッチング剤、例えば、アンモニア性銅または硫酸/過酸化物で溶解させる。
【0010】
多層型プリント回路板は、前以って形成させた回路板を互いの上に積重ね、誘電性層をコーティングする以外は、同様な方法によって製造する。積重ね体を、加熱および加圧下に押圧して一緒に結合し、その後、孔をドリルで開け、上述した方法でめっきする。しかしながら、多層プリント回路板貫通孔の作成に伴って存在する1つの問題は、ドリル開孔が、ドリル操作中の加熱によって露出導電性銅金属内部層上に樹脂“スミア”を生ずることである。樹脂スミアは、貫通孔内の後めっき金属とこれらの銅内部層間の絶縁体として作用し得る。従って、このスミアは、貧弱な電気接続しかもたらし得ず、上記めっき操作前に除去しなければならない。
【0011】
各種のアルカリ性過マンガン酸塩処理が、貫通孔を含むプリント回路板の表面のデスミア処理(desmearing)における標準方法として使用されている。そのような過マンガン酸塩処理は、磨耗屑およびドリル屑を確実に除去するために、さらにまた、露出エポキシ樹脂表面を模様付けまたは微粗面化するために使用されている。後者の作用は、貫通孔メタライゼーションを、銅の粗面化および銅線の周波数応答の低減を代償としてエポキシ樹脂へ接着を容易にすることによって有意に改善する。他の通常のスミア除去方法は、硫酸、クロム酸による処理、並びに、基板を酸素およびフッ化炭素ガス、例えば、CF4に暴露させる乾式化学法であるプラズマデスミアを含む。一般に、過マンガン酸塩処理は、連続して使用する3種の溶液処理を含む。これらの溶液は、(1)溶媒膨潤溶液、(2)過マンガン酸塩デスミア溶液および(3)中性化溶液である。典型的には、プリント回路板を各溶液に浸漬または暴露し、3種の処理溶液間では脱イオン水洗浄を行う。
【0012】
表面の銅コーティングによる電気めっきは、当業界においては一般に周知である。典型的には、銅電気めっき法は、めっき浴/負帯電基板と接触する正帯電銅イオンを電子源として含む電解質を使用して帯電基板上に銅をめっきする。一般に、電気めっき法は、めっき溶液中の2つの電極間に電流を通すことを含み、1つの電極は、めっきすべき物品である。一般的なめっき溶液は、(1) 溶解銅塩(硫酸銅のような)、(2) 導電性を浴に付与するに十分な量の酸性電解質(硫酸のような)および(3) めっきの効率と品質を向上させるための添加剤(界面活性剤、光沢剤、平滑化剤(leveler)、および抑制剤)を含有する酸銅めっき溶液である。銅めっき浴の説明は、一般に、米国特許第5,068,013号、第5,174,886号、第5,051,154号、第3,876,513号および第5,068,013号において見出し得る。
【0013】
電気化学めっき用電解質は、全て、有機および無機化合物の双方を低濃度で含む。典型的な無機物としては、硫酸銅(CuSO
4)、硫酸(H
2SO
4)、および痕跡量のクロリド(Cl
-)イオンを含む。典型的な有機物としては、促進剤、抑制剤および平滑化剤がある。促進剤は、時には光沢剤または抗‐抑制剤(anti-suppressor)とも称する。抑制剤は、界面活性剤または湿潤剤であり得、時には担体とも称する。また、平滑化剤は、結晶成長抑制剤または過めっき抑制剤とも称する。
【0014】
上述したように、殆どの電気化学めっき方法は、一般に、2工程を必要とし、シード層を先ず基板上の形状物の表面上に形成させ(即ち、無電解工程、このプロセスは別個の装置内で実施し得る)、その後、上記形状物表面を、電解質溶液に、電気的バイアスを基板表面(カソードとして機能する)と電解質溶液中に置いたアノード間に同時に適用しながら暴露させる(即ち、電気めっきまたは電着工程)。
【0015】
しかしながら、銅の使用は、多くの制約を被る。プリント回路板用途においては、ポリマーPCB基板への銅の接着は一般的に弱く、従って、種々の手段による基板表面の処理を必要とする。例えば、表面接着力は、酸化、湿式化学処理、基板表面を粗面化するためのプラズマまたはUV暴露のような処理によって増強される。しかしながら、上述したように、多層プリント回路板貫通孔の作成に伴って存在する1つの問題は、ドリル開孔が、ドリル操作中の加熱によって露出導電性銅金属内部層上に樹脂“スミア”を生ずることである。樹脂スミアは、貫通孔内の後めっき金属とこれらの銅内部層間の絶縁体として作用し得る。従って、このスミアは、貧弱な電気接続しかもたらし得ず、上記めっき操作前に除去しなければならない。種々の過マンガン酸塩デスミアおよび/または中和組成物および方法のような従来技術方法により、この問題に対処することが試みられている。例えば、Polichette等に付与された米国特許第4,073.740号は、水、過マンガン酸塩イオンおよびマンガン酸塩イオンを1.2対1までのマンガン酸塩/過マンガン酸塩モル比および11〜13のpHでもって含む組成物を開示している。Deckart等に付与された米国特許第4,515,829号は、貫通孔壁をアルカリ性過マンガン酸塩水溶液と、さらにその後、還元剤溶液と接触させることを開示している。Courduvelisに付与された米国特許第4,592.852号は、アルカリ性組成物を使用してプラスチックの無電解析出金属への接着を改善することを教示している。Pendelton等に付与された米国特許第5,015,339号は、基板をアルカリ性過マンガン酸塩溶液と、さらにその後、1工程の過マンガン酸塩中和剤と状態調節剤との組成物と接触させることを開示している。
【0016】
当該技術における他の教示は、種々の方法を示唆している。例えば、Fraenkel等に付与された米国特許第4,803,097号は、非導電性基板の表面を、先ずオゾン雰囲気に、次いでアルコールと強塩基との状態調節用溶媒に暴露し、さらにその後、酸化剤、例えば、過マンガン酸塩によって処理することを開示している。Haruta等に付与された米国特許第4,152,477号は、ブタジエン組成物をエッチングしてその内部のフェノール樹脂マイクロカプセルを露出し、その後、このマイクロカプセルを塩化パラジウムで感作することを示唆している。Amelioに付与された米国特許4,448,804号は、基板表面に対して良好な接着性を有する多官能性イオン性コポリマーを含有する酸性溶液による処理を記載している。Okabayashiに付与された米国特許5,268,088号は、水性アルカリ金属塩、例えば、KOHおよびNaOHを含むアルカリ性接着促進剤溶液の使用を開示している。エポキシ樹脂を含浸するのに使用するガラス繊維は、高い負表面電荷を有し、負帯電スズ‐パラジウム触媒粒子と反発する。Bach等に付与された米国特許第4,976,990号は、ガラス繊維上での活性化用物質、例えば、有機ケイ素化合物の吸着を改善する状態調節剤を開示している。Koizume等に付与された米国特許第5,342,654号は、ポリフェニレンスルフィド樹脂製の基板を、その中に特定の樹脂を混入し表面のこの特定の樹脂を選択的に溶出させることによって表面粗面化する方法を開示している。
【0017】
酸性溶液中のパラジウムおよび塩化スズ触媒をベースとする無電解めっき系は、広く使用され、報告されるようになってきている。Bupp等へ付与された米国特許第4,478,883号は、パラジウムシーディング剤を銅のような導電性金属の表面に引付けさせて、例えば、銅が基板の内面内に存在し得る貫通孔をめっきする場合に、所望領域に達するパラジウム触媒の量を少なめにし得ることを記載している。Bupp等に付与された米国特許第4,554,182号は、さらに、HClをH
2SO
4で置換えて、レジストのふくれ(blistering)および線テーリング(line tailing)の問題を明白に排除することを記載している。そのような高酸性系を置換える努力がなされている。Gulla等に付与された米国特許第4,634,468号は、保護コロイドとして作用し、好ましくは、水溶性ポリマー、例えば、ポリアクリルアミドまたはポリビニルピロリドンである有機懸濁剤上に固定させた還元触媒金属を開示している。
【0018】
酸性溶液は、場合によっては、ラミネート型回路板の銅層内に問題を発生させ得るので、触媒系の改変、例えば、Shipley, Jr.に付与された米国特許第3.011.920号およびD'Ottavioに付与された米国特許第3,532,518号に開示されているような、スズ増感剤およびパラジウム活性化剤双方の種々の異なるpHのコロイド状懸濁液を使用する1工程法が開発されている。上記方法のもう1つの変法は、Bickford等に付与された米国特許第5,318,803号に開示されており、触媒化工程を、レドックス交換反応に基づき2回実施している。
【0019】
無電解金属コーティング(通常は銅)は、さらなる電気めっきのために或いは所望する十分な厚さにまた所望する十分な表面回路パターンに十分に無電解析出するために、貫通孔を導電性とするように機能する。基板が最初は銅でないクラッドである場合、無電解銅の機能は、表面および貫通孔を導電性にすることである。無電解めっき工程は、当該技術において過剰な処理を受容れている。Burnett等に付与された米国特許第4,904,506号は、連続する2層の銅をアルカリ性無電解浴から基板上にめっきする無電解銅めっきを開示しており、その第2浴は第1浴よりも高いシアン化物イオンおよびO
2濃度を有している。プリント回路板技術における現在の傾向は、より小さくてより高いアスペクト比の孔が当該技術の出発となることを示唆している。最近、製造した基板の貫通孔の平均サイズにおいて、0.762mm(0.030インチ)以上からより小さい直径への実質的落込みが存在する。そのような傾向は、貫通孔を適切にめっきするという常に難しい作業に関して、プリント回路板を製造する方法論に対して益々の圧力を加えている。
【0020】
直接めっきは、Gulla等に付与された米国特許第4,810,333号に開示されており、非導電性基板を、直接の電気めっきを実施する前に、吸収させたコロイド表面コーティングで処理している。比較的高い電流密度を必要とすることが、この方法を大きめの貫通孔のめっきに制限している。従来の方法のもう1つの制約は、多くの場合フォトレジスト法と称される現在使用されているめっき回路板構築方法に対するそれら従来方法の適応性の無さである。Townsendに付与された米国特許第4,089,686号は、光重合性組成物を使用するそのような方法を記載している。Johnson等に付与された米国特許第4,948,707号は、触媒層上に所定のパターンで使用した永久的レジスト材料を開示している。しかしながら、上記レジスト層の下の触媒性材料の層は、例えば、高密度回路における互いに極めて接近している回路ライン間で漏電電流を生じる傾向を有する。触媒を、パラジウム/スズ粒子の均質なコロイド状分散液を使用することによって絶縁し、その後、通常の活性化用溶液を使用することによって活性化しなければならないことは、教示されている。
【0021】
電着の最終工程前の後活性化または促進工程の使用は普及してきている。この工程の目的は、基板を無電解銅浴に浸漬する前に、活性化工程において付着させた活性化種をできる限り“活性”にすることである。典型的には、活性化種はパラジウムであり、パラジウムが非活性化形に容易に酸化するのを阻止するためには、パラジウムを1〜10倍ほど多い第1スズ状態のスズ原子と結合させる。後活性化組成物、例えば、強酸性または強塩基性溶液により、パラジウムの周りのスズ原子の幾分かを除去し、それによって無電解銅めっき溶液の触媒パラジウムへのより大きなアクセスを作り出す。スズおよびパラジウム原子の幾分かは、除去されて、後活性化溶液中に分散するようになり、そこで、これらの原子は結合して、無電解析出を迅速に開始させる新たでより活性な種を形成する。また、後活性化処理は、活性化に続く洗浄工程中に形成されるスズの水酸化物を可溶化する機能も果す。スズの水酸化物は、パラジウム金属活性化剤粒子上にゼラチン状コーティングを形成し、活性化剤粒子の適切な機能を干渉する。
【0022】
後活性化用または促進剤溶液は、スズおよびパラジウムの過剰の除去を回避するために、それらの濃度、処理時間と温度、撹拌、およびスズと銅の蓄積量の緊密なモニタリングを必要とする。Okabavashiに付与された米国特許第5,342,501号は、促進剤溶液が、少量の銅イオンを取込んでいる弱塩基またアルカリ性浴でもあり得ることを教示している。Kukanskis等に付与された米国特許第4,608,275号は、保護第1スズを酸化し、パラジウム触媒を活性化する薬剤、例えば、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、過マンガン酸カリウムおよび過ホウ酸ナトリウムを開示しており、無電解ニッケル浴とこれら薬剤との使用を示唆している。
【0023】
上記で例示しているように、プリント回路板の開発と製造および設計に関して多くの研究がなされている。しかしながら、上記の各製造工程は、多くの場合、コスト高で複雑であり、従って、改善が大いに求められている。
【0024】
さらに、全ての用途において、即ち、PCBデザインおよび半導体装置におけるメタライゼーション層として、銅は、局所核形成部位上にめっきする傾向を有し、銅核心クラスター、銅クラスター/結晶を生じ、従って、付着は、基板の実質的表面または表面全体に亘って均一ではない。
【0025】
従って、例えば、基板の表面を処理して基板上への金属元素の有利な結合を促進することのできる金属めっき方法、さらにまた、薄い銅シード層をプリント回路板の基板上に直接めっきして基板表面に亘って銅のような金属を均一に形成することができ、さらに、バルク金属層のめっき前の特徴を満たす方法のような、PCB類の製造におけるさらなる開発および改良が求められている。
【発明を実施するための形態】
【0043】
上記の一般的説明および以下の説明は、共に例示で且つ説明目的のみであり、本明細書において説明する方法および装置を制限するものではないことを理解すべきである。本出願においては、単数形の使用は、特に他で断らない限り、複数形を包含する。また、“または”の使用は、他に断らない限り、“および/または”を意味する。同様に、“含む(comprise)”、“含む(comprises)”、“含む(comprising)”、“含む(include)”、“含む(includes)”、“含む(including)”、“有する(has)”および“有する(having)”も限定を意図するものではない。
【0044】
本発明は、有機分子層のフィルムを種々の表面上に付着させ成長させる方法を提供し、この方法は、従来技術の上述の問題に対する解決法を構成する。このフィルムは、このフィルムが電気めっきにおいて使用する元素(例えば、Cu、Ni、Pd)の付着を安定化させ、元の表面よりも適切な電気めっき用の基板を提供するという特性を有する。
【0045】
ある実施態様においては、本発明の方法は、上記有機フィルムのプレカーサーである少なくとも1種の熱安定性分子種の熱誘発反応によって実施し、上記フィルムを、上記分子種を表面と溶液中または化学蒸着により接触させることによって付着させ成長させる工程;上記表面を加熱して、上記分子を上記表面に結合させる化学反応を誘発させる工程;その後、未反応分子を溶解する溶媒を添加し除去することによって過剰物を洗い落とす工程を含む。この後、通常の手順を使用して、所望の金属を電気めっきする。結合分子は、上記表面上の金属イオンを安定化させ、電気めっきを促進する。
【0046】
1つの実施態様においては、本発明は、分子種を電子材料表面に付着させる方法を提供する。ある実施態様においては、上記分子としては、ポルフィリンおよび関連種がある。電子材料としては、限定するものではないが、ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、金属、金属酸化物、金属窒化物、並びにポリマーおよびエポキシのような炭素系材料のようなプリント回路基板がある。付着手順は、簡単であり、短時間で終了し得、最低限の材料しか必要とせず、種々の分子官能基と順応性があり、ある場合には、先例のない付着モチーフを利用可能にする。これらの特徴は、上記分子物質の、めっき工程を終了させるのに必要な処理工程中への取込みを大いに増進させる。
【0047】
1つの実施態様においては、本発明は、有機分子を、第II、III、IV、VまたはVI族元素の表面に、或いは第II、III、IV、VまたはVI族元素を含む半導体に(より好ましくは、第III、IVまたはV族元素を含む材料に)、或いは遷移金属、遷移金属酸化物もしくは窒化物におよび/または遷移金属を含む合金に、或いは他の金属にカップリングさせる方法を提供する。
【0048】
ある実施態様においては、
図1において一般的に例示しているように、本発明は、分子を表面にカップリングさせる方法を提供し、この方法は、付着基を担持する1種以上の耐熱性有機分子を用意する工程;上記分子(1種以上)または種々の分子の混合物および/または上記表面を少なくとも約50℃の温度に加熱する工程;および、上記分子(1種以上)を上記表面に接触させ、それによって上記分子(1種以上)が上記表面への結合を形成する工程を含む。ある実施態様においては、上記有機分子(1種以上)は、上記表面に電気的にカップリングさせる。他の実施態様においては、上記分子は、上記表面に共有結合させる。上記方法は、必要に応じて、不活性雰囲気(例えば、Ar、N
2)下に実施し得る。ある実施態様においては、加熱は、上記分子(1種以上)を気相まで加熱することを含み、接触は、上記気相を上記表面に接触させることを含む。ある実施態様においては、加熱は、上記分子(1種以上)および/または上記表面を、上記分子を上記表面に接触させながら加熱することを含む。ある実施態様においては、加熱は、上記分子(1種以上)を上記表面に適用し、その後、上記分子(1種以上)および/または表面を同時にまたは連続して加熱することを含む。上記有機分子(1種以上)は、溶媒中または乾燥状態で、或いは気相中に、或いは溶媒中でなくて用意し得る。上記分子(1種以上)は、上記表面と、上記分子の溶液中に浸漬することにより、上記分子の溶液をスプレーすることにより、インクジェットプリンティングによりまたは上記分子の上記表面への直接の蒸着等により接触させ得る。1つの特定の利点として、本発明の方法は、平坦でない基板または表面をコーティングするのに適している。例えば、上記有機分子(1種以上)は、湾曲型または他の平坦でない表面および基板に付着させることができる。
【0049】
ある実施態様においては、加熱は、少なくとも約25℃、好ましくは少なくとも約50℃、より好ましくは少なくとも100℃、最も好ましくは少なくとも約150℃の温度にである。加熱は、任意の好都合な方法、例えば、オーブン内、ホットプレート上、CVD装置内、MBE装置内等で行い得る。ある実施態様においては、上記表面は、PCB基板、例えば、限定するものではないが、エポキシ、ガラス強化エポキシ、フェノール、ポリイミド樹脂、ガラス強化ポリイミド、シアネート、エステル、テフロン(登録商標)等のようなポリマーおよびカーボン材料がある。他の実施態様においては、上記表面は、第III族元素、第IV族元素、第V族元素、第III族元素を含む半導体、第IV族元素を含む半導体、第V族元素を含む半導体、遷移金属および遷移金属酸化物からなる群から選ばれる材料を含む。ある種の好ましい表面は、以下の1種以上を含む:Ga、Au、Ag、Cu、Al、Ta、Ti、Ru、Ir、Pt、Pd、Os、Mn、Hf、Zr、V、Nb、La、Y、Gd、Sr、Ba、Cs、Cr、Co、Ni、Zn、Ga、In、Cd、Rh、Re、W、Mo、並びにこれらの酸化物、合金、混合物および/または窒化物。ある実施態様においては、上記表面は、第III、第IVもしくは第V族元素、および/またはドープ第III、第IVもしくは第V族元素、例えば、ケイ素、ゲルマニウム、ドープケイ素、ドープゲルマニウム等を含む。上記表面は、必要に応じて、水素不動態化表面であり得る。
【0050】
一般に、ある実施態様においては、上記有機分子は、1個以上の結合基Xおよび1個以上の付着基Yを有する熱安定性の単位または基本成分からなる。ある実施態様においては、上記有機分子は、耐熱性金属結合性分子であり、関連出願においては“レドックス活性成分”または“ReAMs”とも称する1種以上の“表面活性成分”からなる。本発明の1つの実施態様は、米国特許第6208553号、第6381169号、第6657884号、第6324091号、第6272038号、第6212093号、第6451942号、第6777516号、第6674121号、第6642376号、第6728129号、米国公告第20070108438号、第20060092687号、第20050243597号、第20060209587号、第20060195296号、第20060092687号、第20060081950号、第20050270820号、第20050243597号、第20050207208号、第20050185447号、第20050162895号、第20050062097号、第20050041494号、第20030169618号、第20030111670号、第20030081463号、第20020180446号、第20020154535号、第20020076714号、第2002/0180446号、第2003/0082444号、第2003/0081463号、第2004/0115524号、第2004/0150465号、第2004/0120180号、第2002/010589号;U.S.S.N. 10/766,304号、10/834,630号、10/628868号、10/456321号、10/723315号、10/800147号、10/795904号、10/754257号、60/687464号において一般的に説明されている表面活性成分を使用する分子成分の組成物の使用に及ぶ;上記特許は、いずれも、その全体を本明細書に明確に合体させる。上記で列挙した関連出願においては、上記耐熱性分子は“レドックス活性成分”または“ReAMs”とも称されるけれども、本出願においては、表面活性成分なる用語がより適切であることに留意されたい。一般に、ある実施態様においては、大環状および非大環状成分のような、全て多座プロリガンドをベースとする本発明において有用な数種のタイプの表面活性成分が存在する。多くの適切なプロリガンドおよび複合体、並びに適切な置換基が、上記の引用文献に概略されている。さらに、多くの多座プロリガンドは、置換基(本明細書および上記の引用文献においては、多くの場合“R”基と称している)を含み得、成分を含み、米国特許公報第2007/0108438号に概略されている定義は、とりわけ置換基の定義について本明細書に参考として合体させる。
【0051】
適切なプロリガンドは、以下の2つのカテゴリーに分類される:窒素、酸素、イオウ、炭素またはリン原子(金属イオンによる)を配位原子(文献においてはシグマ(a)ドナーと一般に称されている)として使用するリガンド類、およびメタロセンリガンドのような有機金属リガンド類(文献においてはpiドナーと一般に称されており、米国特許公報第2007/0108438号においてはLmとして示されている)。
【0052】
さらに、1つの表面活性成分は、例えば、ポルフィリンおよびフェロセン類を使用している米国特許公報第2007/0108438号の
図13Aに示されているように、2個以上のレドックス活性サブユニットを有し得る。
【0053】
ある実施態様においては、上記表面活性成分は、大環状リガンドであり、これには、大環状プロリガンドおよび大環状複合体がある。“大環状プロリガンド”とは、本明細書においては、金属イオンに結合するように配向させたドナー原子(“配位原子”とも称する)を含有し且つ金属原子を取囲むのに十分に大きい環状化合物を意味する。一般に、上記ドナー原子は、限定するものではないが窒素、酸素およびイオウ(前者がとりわけ好ましい)のようなヘテロ原子である。しかしながら、当業者であれば認識しているように、異なる金属イオンは、異なるヘテロ原子に優先して結合し、従って、使用するヘテロ原子は、所望の金属イオンに応じ得る。さらに、ある実施態様においては、1つの大員環は、種々のタイプのヘテロ原子を含有し得る。
【0054】
“大環状複合体”は、少なくとも1個の金属イオンを有する大環状プロリガンドである;ある実施態様においては、大環状複合体は、単一の金属イオンを含むが、以下で説明するように、多核大環状複合体のような多核複合体も意図する。
【0055】
電子的に共役させている大環状リガンドおよびそうではあり得ない大環状リガンドのような広範囲の大環状リガンドにおいて、本発明における使用を見出している。適切な大環状リガンドの広範な概略図が、米国特許公開公報第2007/0108438号の
図15に示され、説明されている。ある実施態様においては、その環、結合および置換基は、電子的に共役させている化合物を生じるように、また、最低でも少なくとも2つの酸化状態を有するように選定する。
【0056】
ある実施態様においては、本発明の大環状リガンドは、ポルフィリン類(とりわけ、下記で定義するようなポルフィリン誘導体)およびシクレン(cyclen)誘導体からなる群から選ばれる。本発明において適する大員環のとりわけ好ましいサブセットは、ポルフィリン誘導体を含むポルフィリン類である。そのような誘導体としては、ポルフィリン核心にオルソ縮合またはオルソペリ縮合させた追加環を有するポルフィリン類、ポルフィリンの1個以上の炭素原子の他の元素の原子による置換(骨格置換)を有するポルフィリン類、ポルフィリン環の窒素原子の他の元素の原子による置換(窒素の骨格置換)を有する誘導体、ポルフィリンの周辺(メソ‐、(3‐またはコア原子に位置した水素以外の置換基を有する誘導体、ポルフィリンの1以上の結合の飽和を含む誘導体(ヒドロポルフィリン類、例えば、クロリン類、バクテリオクロリン類、イソバクテリオクロリン類、デカヒドロポルフィリン類、コルフィン類、ピロコルフィン類等)、ポルフィリン環中に挿入したピロールまたはピロメテニル単位のような1個以上の原子を有する誘導体(拡張ポルフィリン)、ポルフィリン環から除去した1個以上の基を有する誘導体(収縮ポルフィリン類、例えば、コリン、コロール)、および上記誘導体の組合せ(例えば、フタロシアニン類、サブ‐フタロシアニン類およびポルフィリン異性体)がある。さらなる適切なポルフィリン誘導体としては、限定するものではないが、エチオフィリン(etiophyllin)、ピロポルフィリン、ロードポルフィリン、フィロポルフィリン、フィロエリトリン、クロロフィルaおよびbのようなクロロフィル群;並びに、デューテロポルフィリン、デューテロヘミン、ヘミン、ヘマチン、プロトポルフィリン、メソヘミン、ヘマトポルフィリン、メソポルフィリン、コプロポルフィリン、ウルポルフィリン(uruporphyrin)およびツラシン(turacin)のようなヘモグロビン群;および、テトラアリールアザジピロメチン類の群がある。
【0057】
当業者であれば認識しているように、各不飽和位置は、炭素またはヘテロ原子のいずれであれ、その系の所望の結合価に応じて、本明細書において定義するような1個以上の置換基を有し得る。
【0058】
さらに、“ポルフィリン”の定義内には、ポルフィリンプロリガンドおよび少なくとも1個の金属イオンを含むポルフィリン複合体も包含される。ポルフィリン化合物における適切な金属は、配位原子として使用するヘテロ原子によるが、一般的には、遷移金属イオンから選択する。本明細書において使用するときの用語“遷移金属”は、典型的には、周期律表の第3〜12族内の38の元素を称する。典型的には、遷移金属は、その価電子、即ち、遷移金属が他の元素と結合するのに使用する電子が2以上のシェル内に存在し、結果として、多くの場合、幾つかの共通酸化状態を示すという事実に特徴を有する。ある実施態様においては、本発明の遷移金属としては、限定するものではないが、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、パラジウム、金、水銀、ラザホージウムの1種以上;および/またはこれらの酸化物、および/またはこれらの窒化物、および/またはこれらの合金、および/またはこれらの混合物がある。
【0059】
また、シクレン誘導体をベースとする多くの大員環も存在する。米国特許公開公報第2007/0108438号の
図17 13Cは、大まかにはシクレン/シクラムをベースとする多くの大環状プロリガンドを示しており、これらは、個々に選択した炭素またはヘテロ原子の包含による骨格拡張を含み得る。ある実施態様においては、少なくとも1個のR基は、好ましくは金属に電子的に共役させた表面活性サブユニットである。ある実施態様においては、少なくとも1個のR基が表面活性サブユニットである場合に、2個以上の隣接R2基を包含させることによって、シクロまたはアリール環が形成される。本発明においては、上記少なくとも1個のR基は、表面活性サブユニットまたは成分である。
【0060】
さらにまた、ある実施態様においては、大環状複合体依存性有機金属リガンドを使用する。表面活性成分として使用するための純粋な有機化合物および複素環または環外置換基としてドナー原子を有する8‐結合有機リガンドを含む各種遷移金属配位複合体以外に、pi結合有機リガンドを含む広範囲の遷移金属有機金属化合物が存在する (Advanced Inorganic Chemistry, 5th Ed., Cotton & Wilkinson, John Wiley & Sons, 1988, chapter 26;Organometallics, A Concise Introduction, Elschenbroich et al., 2nd Ed., 1992, 30 VCH;および、Comprehensive Organometallic Chemistry II, A Review of the Literature 1982-1994, Abel et al. Ed., Vol. 7, chapters 7, 8, 1.0 & 11, Pergamon Pressを参照されたい;参考として本明細書に明確に合体させる)。そのような有機金属リガンドとしては、シクロペンタジエニドイオン[C
5H
5(−1)]のような環状芳香族化合物、およびビス(シクロペンタジエイル)金属化合物(即ち、メタロセン類)の群をもたらすインデニリド(−1)のような各種環置換および環縮合誘導体がある;例えば、Robins et al., J. Am. Chem. Soc. 104:1882-1893 (1982)、およびGassman et al., J. Am. Chem. Soc. 108:4228-4229 (1986)を参照されたい(参考として本明細書に合体させる)。これらのうち、フェロセン[(C
5H
5)
2Fe]およびその誘導体は、原型的な例であり、広範囲の化学反応(Connelly et al., Chem. Rev. 96:877-910 (1996);参考として本明細書に合体させる)および電気化学反応(Geiger et al., Advances in Organometallic Chemistry 23:1-93、およびGeiger et al., Advances in Organometallic Chemistry 24:87;参考として本明細書に合体させる)において使用されている。他の潜在的に適切な有機金属リガンドとしては、ビス(ベンゼン)クロムが原型的な例である、ビス(アレーン)金属化合物およびその環置換および環縮合誘導体をもたらすベンゼンのような環状アレーン類がある。アリル(−1)イオンまたはブタジエンのような他の非環式n‐結合リガンドは潜在的に適切な有機金属化合物をもたらし、そのようなリガンドは、全て、他の7c‐結合および8‐結合リガンドとともに、炭素結合に対して金属が存在する一般的な群の有機金属化合物を構成する。架橋有機リガンドおよびさらなる非架橋リガンドを有する、さらにまた、金属‐金属結合を有するまたは有さないそのような化合物の各種ダイマーおよびオリゴマーの電気化学試験は、全て有用である。
【0061】
ある実施態様においては、上記表面活性成分は、サンドイッチ配位複合体である。用語“サンドイッチ配位化合物”または“サンドイッチ配位複合体”とは、式L‐Mn‐Lの化合物を称し、式中、各Lは複素環リガンド(下記で説明するような)であり、各Mは金属であり、nは2以上であり、最も好ましくは2または3であり、各金属が、対のリガンド間に位置して、各リガンド内の1個以上のヘテロ原子(典型的には、複数のヘテロ原子、例えば、2個、3個、4個、5個)に結合している(金属の酸化状態による)。従って、サンドイッチ配位化合物は、金属が炭素原子に結合しているフェロセンのような有機金属化合物ではない。サンドイッチ配位化合物中のリガンドは、一般に、積み重ね配向で配置されている(即ち、一般的に共平面的に配向し、互いに軸方向に整列されているが、これらのリガンドは、互いに対してその軸の周りを回転し得るかまたは回転し得ない(例えば、Ng and Jiang (1997) Chemical Society Reviews 26: 433-442を参照されたい;参考として本明細書に合体させる)。サンドイッチ配位複合体としては、限定するものではないが、“2層サンドイッチ配位化合物”または“3層サンドイッチ配位化合物”がある。サンドイッチ配位化合物の合成および使用は、米国特許第6,212,093号、第6,451,942号、第6,777,516号に詳細に記載されており、これら分子の重合は、WO 2005/086826号に記載されている;それらの記載の全てを、とりわけ、サンドイッチ複合体および“単一大員環”複合体中での使用が見出される個々の置換基は、本明細書に含ませる。
【0062】
さらに、これらのサンドイッチ化合物のポリマーも有用である;これには、U.S.S.N 6,212,093号、6,451,942号、6,777,516号に記載されているような“二分子体(diad)”および“三分子体(triad)”;および、WO 2005/086826号に記載されているようなこれら分子の重合がある;これらの全てを、参考として本発明に合体させ含ませる。
非大環状キレート化剤を含む表面活性成分は、金属の存在が複数のプロリガンドが一緒に結合して複数の酸化状態をもたらすことから、金属イオンと結合させて非大環状キレート化合物を形成させる。
【0063】
ある実施態様においては、窒素供与プロリガンドを使用する。適切な窒素供与プロリガンドは、当該技術において周知であり、限定するものではないが、NH2;NFIR;NRR';
ピリジン;ピラジン;イソニコチンアミド;イミダゾール;ビピリジンおよびビピリジンの置換誘導体;ターピリジンおよび置換誘導体;フェナントロリン、とりわけ、1,10‐フェナントロリン(phenと略記する)および4,7‐ジメチルフェナントロリンおよびジピリドール[3,2‐a:2',3'‐c]フェナジン(dppzと略記する)のようなフェナントロリンの置換誘導体;ジピリドフェナジン;1,4,5,8,9,12‐ヘキサアザトリフェニレン(hatと略記する);9,10‐フェナントレンキノンジイミド(phiと略記する);1,4,5,8‐テトラアザフェナントレン(tapと略記する);1,4,8,11‐テトラアザシクロテトラデカン(cyclamと略記する)およびイソシアニドがある。また、縮合誘導体のような置換誘導体も使用し得る。金属イオンを配位的に飽和させてなく、他のプロリガンドの添加を必要とする大環状リガンドは、本目的においては非大環状とみなすことに留意すべきである。当業者であれば認識しているように、多数の“非大環状”リガンドを共有結合させて配位的に飽和の化合物を形成させることは可能であるが、これは環状骨格を欠いている。
【0064】
炭素、酸素、イオウおよびリンを使用する適切なシグマ供与リガンドは、当該技術において知られている。例えば、適切なシグマ炭素ドナーは、Cotton and Wilkenson, Advanced Organic Chemistry, 5th Edition, John Wiley & Sons, 1988において見出される;例えば、38ページを参照されたい、該文献は、参考として本明細書に合体させる。同様に、適切な酸素リガンドとしては、クラウンエーテル、水および当該技術において既知の他のリガンドがある。また、ホスフィンおよび置換ホスフィンも適している; CottonおよびWilkensonの38ページを参照されたい。
酸素, イオウ, リンおよび窒素供与リガンドは、ヘテロ原子を配位原子として機能せしめるような方法で付着させる。
【0065】
さらに、ある実施態様では、多核形成性リガンドである多座リガンドを使用する、例えば、これらのリガンドは、1個以上の金属イオンを結合し得る。これらは、大環状または非大環状であり得る。
また、上記分子成分も、本発明においては、上記で概略した表面活性成分のポリマーを含み得る;例えば、ポルフィリンポリマー(ポルフィリン複合体のポリマーを含む)、大員環複合体ポリマー、2種の表面活性サブユニットを含む表面活性成分等を使用することができる。上記ポリマーは、ホモポリマーまたはヘテロポリマーであり得、単量体表面活性成分の任意の多くの種々の混合物(混在物)を含み得る;また、“モノマー”も2種以上のサブユニットを含む表面活性成分(例えば、サンドイッチ配位化合物、1種以上のフェロセンで置換されたポルフィリン誘導体等)を含み得る。表面活性成分ポリマーは、WO 2005/086826号に記載されており、該文献は、その全体を参考として本明細書に合体させる。
【0066】
ある実施態様においては、上記表面活性成分の付着基Y(1個以上)は、アリール官能基および/またはアルキル付着基を含む。ある実施態様においては、アリール官能基は、アミノ、アルキルアミノ、ブロモ、カルボキシレート、エステル、アミン、ヨード、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ホルミル、ブロモメチル、ビニル、アリル、S‐アセチルチオメチル、Se‐アセチルセレノメチル、エチニル、2‐(トリメチルシリル)エチニル、メルカプト、メルカプトメチル、4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル、ジヒドロキシホスホリル、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる官能基を含む。ある実施態様においては、アルキル結合基は、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ホルミル、ビニル、メルカプト、セレニル、S‐アセチルチオ、Se‐アセチルセレノ、エチニル、2‐(トリメチルシリル)エチニル、4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イルおよびジヒドロキシホスホリルからなる群から選ばれる官能基を含む。ある実施態様においては、上記付着基は、アルコールまたはホスホネートを含む。
【0067】
ある実施態様においては、接触は、上記有機分子を表面のある領域に選択的に接触させ、他の領域には接触させないことを含む。例えば、接触は、保護コーティング(例えば、マスキング材料)を、上記有機分子(1種以上)を結合させない領域の表面上に置き;上記分子(1種以上)を上記表面と接触させ;上記保護コーティングを除去して上記有機分子(1種以上)の無い表面領域をもたらす工程を含む。ある実施態様においては、接触は、上記有機分子(1種以上)を含む溶液または乾燥有機分子(1種以上)の表面への接触プリンティングを含む。ある実施態様においては、接触は、表面上に、上記有機分子(1種以上)を含む溶液をスプレーするまたは滴下する或いは乾燥有機分子(1種以上)を適用することを含む。ある実施態様においては、接触は、表面を上記有機分子(1種以上)と接触させ、その後、表面の選定した領域をエッチングして上記有機分子(1種以上)を除去することを含む。ある実施態様においては、接触は、分子線エピタキシー(MBE)および/または化学蒸着(CVD)、原子層蒸着(ALD)、分子層蒸着(MLD)および/またはプラズマ援用蒸着、および/またはスパッタリング等を含む。ある実施態様においては、上記耐熱性有機分子は、少なくとも2種の異なる種の耐熱性有機分子の混合物を含み、加熱は、上記混合物および/または表面を加熱することを含む。
【0068】
また、本発明は、金属結合性分子(または、種々の種の金属結合性分子の収集物)を表面にカップリングさせる方法を提供する。ある実施態様においては、上記方法は、上記有機分子(1種以上)を気相に加熱する工程;および、上記有機分子(1種以上)を表面に接触させ、それによって上記金属結合性分子(1種以上)が表面にカップリングする工程を含む。ある実施態様においては、上記金属結合性分子を表面に化学的にカップリングさせ、および/または表面に電気的にカップリングさせる。ある実施態様においては、加熱は、少なくとも約25℃、好ましくは少なくとも約50℃、より好ましくは少なくとも約100℃、最も好ましくは少なくとも約150℃の温度にである。加熱は、任意の好都合な方法、例えば、オーブン内、ホットプレート上、CVD装置内、MBE装置内等で行い得る。
【0069】
ある実施態様においては、上記表面は、上述したように、第III族元素、第IV族元素、第V族元素、第III族元素を含む半導体、第IV族元素を含む半導体、第V族元素を含む半導体、遷移金属、遷移金属酸化物、プラスチック材料、エポキシ、セラミック、炭素等からなる群から選ばれる材料からなる。ある実施態様においては、上記表面は、Au、Ag、Cu、Al、Ta、Ti、Ru、Ir、Pt、Pd、Os、Mn、Hf、Zr、V、Nb、La、Y、Gd、Sr、Ba、Cs、Cr、Co、Ni、Zn、Ga、In、Cd、Rh、Re、W、Mo、および/またはこれらの酸化物、窒化物、混合物または合金のような材料を含む。ある実施態様においては、上記金属結合性分子としては、限定するものではないが、本明細書において説明している任意の分子がある。同様に、上記付着基としては、限定するものではないが、本明細書において説明している任意の付着基がある。ある実施態様においては、第II、III、IV、VまたはVI族元素;より好ましくは、第III、IVまたはV族元素;さらにより好ましくは、第IV族元素またはドープ化第IV族元素(例えば、ケイ素、ゲルマニウム、ドープケイ素、ドープゲルマニウム等)。ある実施態様においては、接触は、揮発させた上記有機分子を表面のある領域に選択的に接触させ、他の領域には接触させないことを含む。ある実施態様においては、接触は、保護コーティングを、上記金属結合性分子を付着させない領域の表面上に置き;上記分子を上記表面と接触させ;上記保護コーティングを除去して上記金属結合性分子の無い表面領域をもたらす工程を含む。ある実施態様においては、接触は、表面を上記分子と接触させ、その後、表面の選定した領域をエッチングして上記金属結合性分子を除去することを含む。ある実施態様においては、接触は、分子線エピタキシー(MBE)、および/または化学蒸着(CVD)、および/またはプラズマ援用蒸着、および/またはスパッタリング等を含む。
【0070】
もう1つの実施態様においては、本発明は、カップリングさせた有機分子を有する、第II、III、IV、VまたはVI族元素の表面或いは第II、III、IV、VもしくはVI族または遷移金属、遷移金属の酸化物または窒化物または合金または混合物を含む表面を提供し、上記有機分子は、上記表面に、本明細書において説明する方法によってカップリングさせる。ある実施態様においては、上記有機分子は、金属結合性分子であり、限定するものではないが、本明細書において説明する任意の分子がある。同様に、上記付着基としては、限定するものではないが、本明細書において説明する任意の付着基がある。ある実施態様においては、第II、III、IV、VまたはVI族元素;より好ましくは、第III、IVまたはV族元素;さらにより好ましくは、第IV族元素またはドープ化第IV族元素(例えば、ケイ素、ゲルマニウム、ドープケイ素、ドープゲルマニウム等)。
【0071】
もう1つの実施態様においては、本発明は、
図2に示すように、金属めっきにおいて使用する序列分子アッセンブリの製造方法を提供する。とりわけ、
図2は、2枚のエポキシ基板102および104を有する両面装置100の簡素化した概略図を示している。典型的な実施態様においては、有機分子106および108の層は、各エポキシ基板102と104の表面にカップリングし、銅めっきまたは結合に対しての界面を形成している。銅シード層110が、有機分子の層の1つ上に形成されている。銅シード層110の上には無電解めっき銅112が形成され、典型的には電気めっきにより形成されたバルク銅114が続く。各銅層は、2枚のエポキシ基板間でサンドイッチされている。1つの特定の配置を
図2では示しているけれども、異なる配置の各層を有する多くの他の装置、片面装置、ビア(via)を有する装置等は、全て、本発明の精神および範囲内に属する。ある実施態様においては、上記方法は、一般に、付着基によって誘導体化した耐熱性有機分子(または複数の異なる耐熱性有機分子)を用意する工程;上記分子および/または表面を少なくとも約100℃の温度に加熱する工程(上記表面は、限定するものではないが、エポキシ、ガラス強化エポキシ、フェノール、ポリイミド樹脂、ガラス強化ポリイミド、シアネート、エステル、テフロン(登録商標)のようなポリマーおよび他の有機材料、或いは第III、IVもしくはV族元素または遷移金属または金属酸化物のようなPCB基板を含む);上記分子(1種以上)を上記表面上の複数の別々の位置で接触させ、それによって上記付着基が上記表面と結合(限定するものではないが共有結合またはイオン結合)を複数の別々の位置で形成させる工程を含む。ある実施態様においては、加熱は、少なくとも約25℃であるが系の成分の分解温度よりも低い、好ましくは少なくとも約50℃、より好ましくは少なくとも約100℃、最も好ましくは少なくとも約150℃の温度にである。ある実施態様においては、上記有機分子は、金属結合性分子であり、限定するものではないが、本明細書において説明する任意の分子がある。同様に、上記付着基としては、限定するものではないが、本明細書において説明する任意の付着基がある。
【0072】
また、本発明は、有機分子をタイプIII、IVもしくはV材料または遷移金属または遷移金属酸化物の表面にカップリングさせるためのキットも提供する。これらのキットは、典型的には、付着基(例えば、本明細書において説明するような)によって誘導体化した耐熱性有機分子を収容する容器、および、必要に応じての、上記有機分子を、上記表面に、上記分子および/または表面を約100℃以上の温度に加熱することによってカップリングさせることを教示する教材を含む。
【0073】
本発明の方法は、非導電性表面(エポキシ、ガラス、SiO
2、SiN等)並びに銅、金、白金等のような導電性表面、さらに、還元性酸化物を含有する表面のような“非貴”表面;グラファイト表面;導電性または半導電性有機表面;合金表面;ピロール、アニリン、チオフェン、EDOT、アセチレンまたは多環芳香族化合物をベースとする表面のような通常の導電性ポリマー(1種以上)の表面;真性またはドープ半導体の表面;および、これら化合物の任意の組合せ等を処理するのに適している。
また、これらの各種分子化合物の混合物も、本発明に従って使用することができる。
【0074】
さらに、本発明の方法は、外部媒体に対する、例えば、腐蝕に対する保護を提供すること、および/または上記したような基のような有機官能基を有する付着コーティングを提供すること、および/または処理した対象物の表面で電気伝導度を増進させまたは維持することを同時になし得る有機フィルムを製造することを可能にする。
従って、本発明の方法によれば、多層導電性構造体を製造することも、例えば、本発明による有機挿入フィルムを使用することによって可能である。
ある実施態様においては、本発明に従って得られた有機フィルムは、この有機フィルムが付着している導電性表面の腐蝕電位よりも高いアノード電位に耐える付着保護コーティングを構成する。
従って、本発明の方法は、例えば、ビニルポリマーのフィルムを、導電性ポリマーフィルム上で相応するビニルモノマーを熱重合させることによって付着させる工程も含む。
【0075】
また、本発明の方法は、極めて強力な有機/導電体界面を生成させるのにも使用し得る。とりわけ、本発明の有機フィルムは、如何なる厚さにおいても導電性である。上記フィルムは、慎重に架橋させたとき、見掛け面積が上記フィルムを付着させる元の表面よりも極めて大きい導電性表面を有する“導電性スポンジ”を構成し得る。このことは、上記フィルムを付着させる出発表面上よりもはるかに濃密な機能化を実現することを可能にする。
従って、本発明は、調整可能な厚さを有する付着させ且つ導電性の有機コーティングを、導電性または半導電性表面上に生成させるのを可能にする。
【0076】
本発明の方法は、例えば、非貴金属を外的侵食、例えば、腐蝕等のような化学薬品によって生じる侵食に対して保護するのに使用することができる。本発明によって付与されるこの新規な保護は、例えば、接続部または接触部においてとりわけ有利であり、それらの導電性特性は改良されているおよび/または保持されていることを証明し得る。
【0077】
もう1つの用途においては、本発明の方法は、全てのタイプの官能化を実施することのできる全てのタイプの導電性または半導電性表面上の付着副層、とりわけ、電気化学、例えば、電着または電気結合を使用する、ビニルモノマー、張力環、ジアゾニウム塩、カルボン酸塩、アルキン、グリニャール誘導体等の副層の被膜を製造するのに使用し得る。従って、この副層は、例えば、バイオメディックス、バイオテクノロジー、化学センサー、機器等の分野において、対象物の再メタライゼーションにおけるまたは官能基を結合させるための高品質の最終加工を構成し得る。
【0078】
従って、本発明は、例えば、電子部品用のカプセル化コーティングの製造において、親水性コーティングの製造において、生体適合性コーティングの製造において、接着プライマーとして、有機官能化後支持体として、光吸収特性を有するコーティングとしてまたはステルス特性を有するコーティングとして使用することのできるフィルムの製造において使用することができる。
【0079】
とりわけ有利なことに、本発明は、金属の無電解析出および/または電気めっきのための分子接着層を得るのに使用し得る。1つの例においては、分子を、ポリマー、エポキシまたは炭素コーティング基板のようなプリント回路基板に付着させて、無電解銅めっきのような金属の無電解めっき用のシード層を得る。本発明の教示によれば、そのような分子は、有機基板に対する強力な結合、および/または強力な有機‐Cu結合を示す。ある実施態様においては、上記分子は共有結合を示す。付着分子の高親和性は、銅の無電解めっきを容易にし、その後、この銅をシード層として使用してより大量の銅を電気めっきする。接着層は、太陽エネルギー装置において使用するケイ素基板のような種々の目的の数多くの基板上で使用して、金属層;隣接表面および装置間の金属接続(1以上)を可能にする半導体装置上の貫通孔ビア;金属層の付着を可能にし、その後、キャパシタを形成させるのに使用し得る半導体部品の裏面;パターン化および内部接続のための金属層の付着を可能にするパッケージング基板;並びに、金属層の付着を可能にする多くのタイプのフレキシブル有機基板の電気めっきを可能にし得る。
【0080】
ある実施態様によれば、定義した構造体を基板上に形成させた後、無電解めっきを使用して第1の金属コーティングを基板表面上に形成させ、その後、電解質銅析出を使用してコーティングの厚さを増大させる。また、電解質銅は、米国特許第5,425,873号、第5,207,888号および第4,919,768号のいずれかに開示されているように、適切に作成したマイクロビア上に直接めっきすることもできる。上記方法の次の工程は、そのようにして作成した導電性マイクロビア上に、本発明の電気めっき溶液を使用して銅を電気めっきすることを含む。多種多様な基板を、上述したように、本発明の組成物によってめっきし得る。本発明の組成物は、小直径を有する回路基板、高アスペクト比マイクロビアおよび他の開孔のような難しいワークピースをめっきするのにとりわけ有用である。また、本発明のめっき用組成物は、成形半導体装置等のような集積回路装置をめっきするのにとりわけ有用である。
【0081】
例えば、ある実施態様においては、
図3および
図4に例示しているように、上記分子は、好ましい有機‐Cu結合を促進する結合基X (1個以上)を含む。適切な結合基Xの例としては、限定するものではないが、チオール類、ニトリル類、チオシアネート類、アミン類、アルコール類およびエーテル類がある。さらに、上記分子は、好ましい分子‐有機基板結合を促進する付着基基Y (1個以上)を含む。適切なY基の例としては、限定するものではないが、アミン類、アルコール類、エーテル類、他の求核試薬、フェニルエチン類、フェニルアリル基等がある。本発明の実施態様に従い、また、限定することなしに、幾つかの適切な分子を
図4に示している。
【0082】
もう1つの実施態様においては、分子を表面または基板上に存在する金属または金属窒化物(例えば、TaまたはTaN)に付着させて銅めっき用のシード層を得る。この実施態様においては、分子は、TaNまたはTaに対する強い結合を有する付着基Yおよび強いCu結合を示してエレクトロマイグレーションを減じる結合基Xを有し、且つ、分子層が、高電流密度を該有機層を介してTaNからCuへ伝導させたときに、薄くておよび/または導電性である分子を使用する。また、上記分子は、TaNが、一旦大気に暴露されると、幾分かの酸化物を有するようであるので、TaO
2にも結合するであろう。
【0083】
意義深いことに、本発明は、用途に応じた特定の結合基Xおよび付着基Yの選定法を提供する。このことは、本発明を広範囲の基板材料でもって実施することを可能にし、従って、柔軟で健全な方法および通常の方法を越える有意な進歩性を提供する。例えば、
図5は、有機分子を標準のエポキシ基板に付着させるための典型的な反応方法を例示している。さらに、本発明の方法は、表面処理を受けている基板によって実施し得る。例えば、
図6は、有機分子を、部分粗面化したまたは酸化した表面を有するエポキシ基板に付着させるための典型的な反応方法を示している。
図7は、有機分子を部分硬化エポキシ基板(残留エポキシド)に付着させるための典型的な反応方法を示している。
【0084】
本発明の電気めっき溶液は、一般に、少なくとも1種の可溶性銅塩、電解質および光沢剤成分を含む。さらに詳細には、本発明の電気めっき用組成物は、好ましくは、銅塩;電解質、好ましくは、クロリドまたは他のハライドイオン源を含む硫酸溶液のような酸性水溶液;および、上述したような1種以上の光沢剤を含有する。また、本発明の電気めっき用組成物は、好ましくは、抑制剤も含有する。また、上記めっき用組成物は、1種以上の平滑化剤等のような他の成分も含有し得る。
【0085】
例えば、硫酸銅、酢酸銅、フルオロホウ酸銅および硝酸銅のような種々の銅塩を、上記電気めっき溶液において使用し得る。硫酸銅五水和物は、とりわけ好ましい銅塩である。銅塩は、本発明の電気めっき用組成物において比較的広い濃度範囲で存在する。好ましくは、銅塩は、めっき溶液の1リットル当り約10〜約300グラムの濃度、より好ましくはめっき溶液の1リットル当り約25〜約200グラムの濃度、さらにより好ましくはめっき溶液の1リットル当り約40〜約175グラムの濃度で使用する。
【0086】
本発明のめっき浴は、好ましくは、典型的には酸性水溶液であり且つ好ましくはハライドイオン源、とりわけクロリドイオン源を含有する酸性電解質を使用する。電解質用の適切な酸の例としては、硫酸、酢酸、フルオロホウ酸、メタンスルホン酸およびスルファミン酸がある。硫酸が一般に好ましい。クロリドが一般的に好ましいハライドイオンである。広範囲のハライドイオン濃度(ハライドイオンを使用する場合)を、適切には、例えば、めっき溶液中で100万部当り約0部(ハライドイオンを使用しない場合)〜100部(ppm)のハライドイオン、より好ましくはめっき溶液中で約25〜約75ppmのハライドイオン源を使用する。
【0087】
また、本発明の実施態様としては、添加酸を実質的にまたは完全に含まず、また、中性または本質的に中性であり得る電気めっき浴(例えば、少なくとも約8または8.5よりも低いpH)がある。そのようなめっき用組成物は、適切には、本明細書において開示している他の組成物と同じ成分によって同じ方法で調製するが、添加酸はなしである。従って、例えば、本発明の好ましい実質的に中性のめっき用組成物は、下記の実施例3のめっき浴と同じ成分を含み得るが、硫酸は添加しない。既知の光沢剤のような多種多様な光沢剤を、本発明の銅電気めっき用組成物において使用し得る。典型的な光沢剤は、1個以上のイオウ原子を含有し、典型的には窒素原子を何ら含まず、分子量は約1000以下である。銅塩、電解質および光沢剤以外に、本発明のめっき浴は、有機添加剤、例えば、抑制剤、平滑化剤等のような種々の他の成分も必要に応じて含有し得る。高めた光沢剤濃度と組合せての抑制剤の使用は、とりわけ好ましく、驚くべきことに、とりわけ小直径および/または高アスペクト比マイクロビアのボトム堆積めっきにおける増強されためっき性能を提供している。
【0088】
本発明のめっき浴中での1種以上の平滑化剤の使用は、一般に好ましい。適切な平滑化剤の例は、米国特許第3,770,598号、第4,374,709号、第4,376,685号、第4,555,315号および第4,673,459号に記載され、説明されている。一般に、有用な平滑化剤としては、R‐‐N‐‐R'を有する化合物のような置換アミノ基を含有する平滑化剤がある;上記式中、RおよびR'は、各々、個々に、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリール基である。典型的には、上記アルキルは、1〜6個の炭素原子、より典型的には1〜4個の炭素原子を有する。適切なアリール基としては、置換または非置換のフェニルまたはナフチルがある。置換アルキルおよびアリール基の置換基は、例えば、アルキル、ハロおよびアルコキシである。
【0089】
また、本発明の他の特徴および利点は、非限定的な例示として示す下記の実施例を添付図面と関連して読めば、当業者にとって明白となろう。
とりわけ有利には、各種のパラメーターを、如何なる特定の有機分子の付着においても最適化することができる。これらのパラメーターとしては、(1) 上記分子(1種以上)の濃度、(2) ベーキング時間、および(3) ベーキング温度がある。これらの手順は、溶液中の種々の濃度の分子または生のまま分子を典型的に使用する。極めて少量の物質の使用は、比較的少量の有機溶媒を使用し、それによって環境的危険を最小限にし得ることを示唆している。
【0090】
さらに、数分ほどの短いベーキング時間(例えば、典型的には約1秒〜約1時間、好ましくは約10秒〜約30分、さらに好ましくは約1分〜約15、30または45分、最も好ましくは約5分〜約30分)は、高表面被覆率を与える。短時間は、該処理工程で使用するエネルギー量を最少にする。
400℃以上ほどの高いベーキング温度を、ある種のタイプの分子の分解なしで使用し得る。この結果は、PCBまたは半導体装置の製造における多くの処理工程が高温処理を伴う点で重要である。ある実施態様においては、好ましいベーキング温度は、約25℃〜約400℃、好ましくは約100℃〜約200℃、より好ましくは約150℃〜約250℃、最も好ましくは約150℃〜約200℃の範囲である。
【0091】
上記有機分子上の多様な官能基は、ケイ素または他の基板(例えば、第III、IVまたはV族元素;遷移金属;遷移金属の酸化物または窒化物;遷移金属合金等)への付着において使用するのに適している。上記の基としては、限定するものではないが、アミン、アルコール、エーテル、チオール、S‐アセチルチオール、ブロモメチル、アリル、ヨードアリール、カルボキサルデヒド(carboxaldehyde)、エチン、ビニル、ヒドロキシメチルがある。また、エチル、メチルまたはアレーンのような基は本質的に結合を与えない。
【0092】
ある実施態様においては、加熱は、基板をオーブン内に入れることによって達成されるものの、本質的には任意の好都合な加熱方法を使用でき、適切な加熱および接触方法を特定の(例えば、工業的)生産状況に対して最適化し得る。従って、例えば、ある実施態様においては、加熱は、表面を、付着すべき上記有機分子を含有する高温溶液に浸漬することによって達成し得る。局所加熱/パターン化は、例えば、高温接触プリンターまたはレーザーを使用して達成し得る。また、加熱は、強制空気、対流式オーブン、放射加熱等を使用しても達成し得る。これらの実施態様は、限定よりはむしろ例示を意図する。
【0093】
ある実施態様においては、上記有機分子は、溶媒、分散液、エマルジョン、ペーストまたはゲル等中で調製する。好ましい溶媒、ペースト、ゲル、エマルジョン、分散液等は、第II、III、IV、Vおよび/またはVI族材料(1種以上)および/または遷移金属に、この基板を実質的に劣化させることなく適用でき、且つ基板にカップリングさせるべき有機分子(1種以上)を可溶化または懸濁させるが分解させることのない溶媒である。ある実施態様においては、好ましい溶媒としては、高沸点溶媒(例えば、約130℃よりも高い、好ましくは約150℃よりも高い、さらに好ましくは約180℃よりも高い初期沸点を有する溶媒)がある。そのような溶媒としては、限定するものではないが、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ベンゾニトリル、ジメチルホルムアミド、キシレン、オルソ‐ジクロロベンゼン等がある。
【0094】
ある実施態様においては、基板(例えば、第II、III、IV、VまたはVI族元素、半導体、および/または酸化物、および/または遷移金属、遷移金属酸化物または窒化物、エポキシまたは他のポリマー系材料等)への付着を行うには、上記耐熱性有機分子は、1個以上の付着基Y (例えば、置換基(1個以上)として)を担持するか、および/または上記有機分子が基板に直接またはリンカーを介して結合するように誘導体化する。
【0095】
ある種の好ましい実施態様においては、上記付着基Yは、アリールまたはアルキル基を含む。ある種の好ましいアリール基は、アミノ、アルキルアミノ、ブロモ、カルボキシレート、エステル、アミン、ヨード、ヒドロキシ、エーテル、ヒドロキシメチル、ホルミル、ブロモメチル、ビニル、アリル、S‐アセチルチオメチル、Se‐アセチルセレノメチル、エチニル、2‐(トリメチルシリル)エチニル、メルカプト、メルカプトメチル、 4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル、およびジヒドロキシホスホリルのような官能基を含む。ある種の好ましいアルキルは、アセテート、カルボニル、カルボン酸、アミン、エポキシド、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、ホルミル、ビニル、メルカプト、セレニル、S‐アセチルチオ、Se‐アセチルセレノ、エチニル、2‐(トリメチルシリル)エチニル、4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル、ジヒドロキシホスホリル、およびこれらの組合せのような官能基を含む。
【0096】
ある実施態様においては、上記付着基Yとしては、限定するものではないが、アルコール、チオール、カルボキシレート、エーテル、エステル、S-アセチルチオール、ブロモメチル、アリル、ヨードアリール、カルボキサルデヒド、エチン等がある。ある実施態様においては、上記結合基としては、限定するものではないが、4‐(ヒドロキシメチル)フェニル、4‐(S‐アセチルチオメチル)フェニル、4‐(Se‐アセチルセレノメチル)フェニル、4‐(メルカプトメチル)フェニル、4‐(ヒドロセレノメチル)フェニル、4‐ホルミルフェニル、4‐(ブロモメチル)フェニル、4‐ビニルフェニル、4‐エチニルフェニル、4‐アリルフェニル、4‐[2‐(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4‐[2‐(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4‐ブロモフェニル、4‐ヨードフェニル、4‐ヒドロキシフェニル、4‐(4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン‐2‐イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ヒドロキシメチル、S‐アセチルチオメチル、Se‐アセチルセレノメチル、メルカプトメチル、ヒドロセレノメチル、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4‐[2‐(4‐(ヒドロキシメチル)‐フェニル)エチニル]フェニル、4‐(エチニル)ビフェニ‐4'‐イル、4‐[2‐(トリイソプロピルシリル)エチニル] ビフェニ‐4'‐イル、3,5‐ジエチニルフェニル、2‐ブロモエチル等がある。これの付着基Yは、例示を意味し、限定するものではない。
【0097】
他の付着基Yの適合性は、容易に評価し得る。興味ある上記付着基(1種以上)(直接またはリンカー上の)を担持する耐熱性有機分子は、本明細書において説明する方法に従い、基板(例えば、エポキシ)にカップリングさせる。その後、付着の有効性を、分光学的に、例えば、反射率UV吸収測定法を使用して評価し得る。
【0098】
付着基Yは、上記耐熱性有機分子を含む置換基(1個以上)である。また、上記有機分子は、該分子に直接またはリンカーを介して付着基Y(1個以上)を連結するように誘導体化し得る。
分子を、例えば、アルコールまたはチオールにより誘導体化する方法は、当業者にとって周知である(例えば、Gryko et al. (1999) J. Org. Chem., 64: 8635-8647;Smith and March (2001) March's Advanced Organic Chemistry, John Wiley & Sons, 5th Edition等を参照されたい)。
【0099】
付着基Yがアミンを含む場合、ある実施態様においては、適切なアミンとしては、限定するものではないが、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、ベンジルアミン、およびアリールアミンがある。ある種のとりわけ好ましいアミンとしては、限定するものではないが、1〜10個の炭素の直鎖アミン、アリニンおよびフェネチルアミンがある。
付着基Yがアルコールを含む場合、ある実施態様においては、適切なアルコールとしては、限定するものではないが、第一級アルコール、第二級アルコール、第三級アルコール、ベンジルアルコール、およびアリールアルコール(即ち、フェノール)がある。ある種のとりわけ好ましいアルコールとしては、限定するものではないが、2〜10個の炭素の直鎖アルコール、ベンジルアルコールおよびフェネチルアルコール、または側鎖基を含有するエーテルがある。
付着基Yがチオールを含む場合、ある実施態様においては、適切なチオールとしては、限定するものではないが、第一級チオール、第二級チオール、第三級チオール、ベンジルチオール、およびアリールチオールがある。とりわけ好ましいチオールとしては、限定するものではないが、2〜10個の炭素の直鎖チオール、ベンジルチオールおよびフェネチルチオールがある。
【0100】
表面は、本質的に任意の形状を有し得る。例えば、表面は、平坦基板、エッチング基板、パターン化または構造化基板(即ち、パターン化銅線、ビアおよび/またはめっき貫通孔のような他の特徴を含む基板のような)、もう1つの基板上の堆積ドメイン等として提供し得る。とりわけ好ましい形状としては、固体状態の電子機器および回路板製造過程において一般的に使用する形状がある。しかしながら、本発明は、通常の基板形状に限定するものではない。例えば、表面または基板は、湾曲状および他の非平坦形状であり得る。さらに、基板は、光起電性または太陽電池装置であり得る。
【0101】
必ずしも必要ではないが、ある実施態様においては、表面を分子付着の前および/または後に、例えば、当業者にとって既知の標準方法を使用して清浄化する。従って、例えば、1つの好ましい実施態様においては、表面を1連の溶媒(例えば、アセトン、トルエン、アセトン、エタノールおよび水)中での音波処理によって清浄化し、その後、標準のウエハー清浄化溶液(例えば、Piranha (硫酸:30%過酸化水素 2:1))に昇温(例えば、100℃)下に暴露する。各種のアルカリ性過マンガン酸塩処理は、貫通孔を含むプリント回路板表面をデスミアする標準方法として使用されている。そのような過マンガン酸塩処理は、磨耗およびドリル掛け屑片を確実に除去するために、さらにまた、露出エポキシ樹脂表面を模様付けまたは微細粗面化するために使用されている。後者の効果は、エポキシ樹脂に対する接着を容易にすることによって、銅の粗面化および銅線の周波数応答の低減を偽性にして、貫通孔のメタライゼーションを有意に改善する。他の通常のスメア除去方法は、硫酸、クロム酸による処理、並びに基板を酸素とフッ化炭素ガス、例えば、CF
4に暴露させる乾式化学方法であるプラズマデスミアを含んでいる。一般に、過マンガン酸塩処理は、連続して使用する3種の溶液処理を含む。これらの溶液は、(1) 溶媒膨潤溶液、(2) 過マンガン酸塩デスミア溶液、および(3) 中和溶液である。
図6は、分子と、デスミアされ且つ表面上での反応において利用可能な酸化された官能基を有するエポキシ基板との反応を示している。
【0102】
ある実施態様においては、酸化物を基板表面から除去し得、表面を水素不動態化し得る。多くの水素不動態化への方法が、当業者にとって周知である。例えば、1つの方法においては、分子水素流を濃密マイクロ波プラズマに磁場を横切って通す。磁場は、サンプル表面が帯電粒子によって衝撃されるのを保護するように作用する。従って、交差ビーム(CB)法は、多くの半導体装置においてそのように有害であるプラズマエッチングおよび重イオン衝撃を回避するのを可能にする(例えば、Balmashnov, et al. (1990) Semiconductor Science and Technology, 5: 242を参照されたい)。1つのとりわけ好ましい実施態様においては、不動態化は、不動態化すべき表面をフッ化アンモニウム溶液(好ましくは、酸素掃気した)と接触させることによる。
表面を清浄化し不動態化する他の方法は、当業者にとって既知である(例えば、Choudhury (1997) The Handbook of Microlithography, Micromachining, and Microfabrication, Bard & Faulkner (1997) Fundamentals of Electrochemistry, Wiley, New York等を参照されたい)。
【0103】
ある実施態様においては、上記耐熱性有機分子を付着させて、均一なまたは実質的に均一なフィルムを基板表面に亘って形成させる。他の実施態様においては、上記有機分子を、表面上の1以上の別々の位置で個別にカップリングさせる。ある実施態様においては、異なる分子を表面上の異なる位置でカップリングさせる。
【0104】
上記分子をカップリングさせる位置は、任意の多くの方法で確保することができる。例えば、ある実施態様においては、有機分子(1種以上)を含む溶液(1以上)を、表面上の特定の位置に選択的に付着させ得る。ある他の実施態様においては、溶液を表面上に均一に付着させ得、選択ドメインを加熱し得る。ある実施態様においては、上記有機分子を表面全体にカップリングさせ、その後、ある領域から選択的にエッチング除去する。また、リンカー成分を基板上の特定の官能基と選択的に反応するように設計してこの分子付着過程がパターン化と同様に機能することを可能にし得る。
【0105】
表面を上記有機分子(1種以上)と選択的に接触させる最も一般的な方法は、上記有機分子を除かなければならない表面領域をマスクして上記分子(1種以上)を含む溶液またはガス相がそれら領域内の表面と接触できないようにすることを含む。このマスキングは、基板をマスキング材料(例えば、ポリマーレジスト)でコーティングし、そのレジストをカップリングしなければならない領域から選択的にエッチングすることによって容易に達成される。また、光活性化性レジストを表面に適用し、保護しなければならない領域内で選択的に活性化させてもよい(例えば、UV光によって)。そのような“フォトリトグラフィー”法は、半導体産業においては周知である(例えば、Van Zant (2000) Microchip Fabrication: A Practical Guide to Semiconductor Processing;Nishi and Doering (2000) Handbook of Semiconductor Manufacturing Technology;Xiao (2000) Introduction to Semiconductor Manufacturing Technology;Campbell (1996) The Science and Engineering of Microelectronic Fabrication (Oxford Series in Electrical Engineering), Oxford University Press等を参照されたい)。さらに、レジストは、表面上で、単純にレジストを表面に接触プリンティングすることによってもパターン化し得る。
【0106】
他の方法においては、表面を上記分子と均一に接触させる。その後、上記分子を、分子を除かなければならない領域内の表面から選択的にエッチングし得る。エッチング方法は、当業者にとって周知であり、限定するものではないが、プラズマエッチング、レーザーエッチング、酸エッチング等がある。
他の方法は、例えば、上記試薬を、カップリングさせなければならない領域内に選択的に付着させるように成形した接触プリントヘッドを使用する上記試薬の接触プリンティング、試薬を特定の領域内に選択的に付着させるインクジェット装置の使用(例えば、米国特許第6,221,653号参照)、試薬を特定の領域内に選択的に封じ込めるダム(せき止め)の使用等を含む。
【0107】
ある種の好ましい実施態様においては、カップリング反応を数回繰返す。反応(1以上)を終えた後、未カップリング有機分子を、表面上から、例えば、標準の洗浄工程(例えば、ベンゾニトリル洗浄、その後の乾燥塩化メチレン中での音波処理)を使用して洗い落とす。さらなる表面清浄化工程(例えば、追加の洗浄、デスカム処理(descuming)またはデスミアリング工程等)を分子付着の後に使用して、過剰の未反応分子を、とりわけビアを含む構造体上への金属付着前に除去する。
【0108】
1つの例においては、中央Cu金属を含むポルフィリン大員環からなる分子を上述したようなTaN表面に結合させた。分子は、使用において、その基板との結合を形成する親和性、その熱安定性およびそのCu
2+イオンに対する親和性に基づき選定する。付着分子の高親和性は、銅の無電解めっきを容易にした;その後、その銅をシード層として使用してより大量の銅を電気めっきすることができる。
【0109】
上記分子被覆基板上での電気めっきは、上述したように行う。要するに、分子コーティッド基板を、適切量の銅塩、電解質、好ましくは酸性水溶液、例えば、クロリドまたは他のハライドイオン源を含む硫酸溶液、および上述したような高めた濃度の1種以上の光沢剤、並びに好ましくは抑制剤を含むめっき浴中に浸漬する。また、上記めっき用組成物は、1種以上の平滑化剤等のような他の成分も含み得る。カソード電圧(例えば、−1V)を上記分子被覆基板に加え、Cu
2+イオンのCu
0(s)への還元を生じさせ、このCu
0(s)が上記分子層上に析出して上記分子層上に金属層を形成する。何ら特定の理論によって拘束するものではないが、
図8Aおよび
図8Bは、それぞれ、Cu
2+イオン析出およびその後の銅層Cu
0(s)への還元を示す1つの可能性ある反応メカニズムを例示している。この銅層は、通常のプロトコールにおいて付着させた銅層と同じ性質を有し、その後、リトグラフィーパターン化、ダマシンおよび二重ダマシンプロセスのような同様な方法で加工し得る。
【0110】
著しく有利なことに、本発明の方法は、金属層の微細線パターン化を可能にするプリント回路板を提供する。ある実施態様においては、金属層を有するプリント回路板を提供し、上記金属層は、0.5kg/cmよりも高い剥離強度および200nmよりも小さい基板表面粗さを示す。他の実施態様においては、金属層を有するプリント回路板を提供し、上記金属層は、0.5kg/cmよりも高い剥離強度および100nmよりも細かい基板表面粗さを示す。そのような低表面粗さは、極めて微細な金属線のパターン化を可能にする。従来技術方法においては、金属層を粗面化してその後に形成される層が金属層に接着するようにしている。この粗面化は、パターン化微細線の使用を可能にはしない;何故ならば、上記粗面化方法は、微細線を除去または実質的に破壊するからである(RAO, R. et al. Fundamental Limits of Organic Packages and Boards and the Need for Novel Ceramic Boards for Next Generation Electronic Packaging, Journal of Electroceramics, 13, 417 - 422, 2004を参照されたい)。対照的に、本発明においては、金属層の表面は、層が接着するための粗面化を必要としない。本発明によって付与されているように、金属層の望ましい剥離強度は、細かい表面粗さを同時に示しながら達成されている。
【0111】
ある実施態様においては、上記プリント回路板の金属層は、その上に形成されたパターン化金属線を含み、該パターン化金属線は、25ミクロン以下の幅を有する。他の実施態様においては、上記パターン化金属線は、15ミクロン以下の幅を有する。さらなる実施態様においては、上記パターン化金属線は、10ミクロン以下の幅を有する。さらなる実施態様においては、上記パターン化金属線は、5ミクロン以下の幅を有する。
【0112】
試験
本発明は、以下の実施例から、さらに良好に理解し得るであろう。多くの試験を、下記で説明するようにして実施した。各実施例は、単なる例示目的で示しており、本発明を如何なる形でも限定するものではない。
実施例
本発明の特徴をさらに説明するために、改めて
図9に関しては、典型的な試験プロセス経路が示されており、次の4つの主要工程を含む:(1) 分子付着200、(2) 無電解Cu析出300、(3) 電解質Cu析出400、および(4) 必要に応じての加熱処理。特定のデータおよび結果は、単なる例示目的で示しており、本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではない。
図9は、上記プロセスにおいて、工程320のテープ剥離を工程410の剥離強度試験を実施するように示している;しかしながら、これは、使用する試験手順およびプロトコールを説明するためにのみ示している。本発明の広範な方法工程は、剥離試験工程320および410を含まない。
図9に関し、典型的な試験手順においては、分子付着を、基板の清浄化202、1種以上の分子の基板との付着または接触204、工程206での分子の基板への付着を促進させるための加熱またはベーキング、およびその後の基体の洗浄および後処理208によって実施している。
【0113】
次の銅の無電解析出は、工程300において実施する。具体的には、基板を状態調節し(302)、洗浄し(304)、予備浸漬する(306)。基板の活性化308と再度の洗浄310を実施する。促進312およびさらなる洗浄工程314を実施し、その後、工程316での無電解銅析出が続く。その後、無電解銅を有する基板を洗浄し乾燥させ(318)、その後、必要に応じて、工程319において予備アニーリングする。この段階において、テープ剥離試験320を実施して、銅層の品質と接着性を測定する。実際の試験結果は、下記に示している。
【0114】
次の銅の電着は、工程400で実施する。テープ剥離試験後、基板を酸清浄化する(402)。その後、基板上での銅の電着を工程404において実施する。次に、基板を洗浄し乾燥させる(406)。必要に応じて、後加熱処理を工程408において実施し得、その後、剥離強度試験を工程410で行う。実際の試験結果は、下記に示している。
【実施例1】
【0115】
分子付着
本実施例は、有機分子の層をPCB基板上に形成させる1つの典型的な方法を例示する、この場合、
図4に示すエチニル末端分子を、
図5に示すようなC‐C結合の形成により、エポキシ表面に付着させる。市販の平滑エポキシ基板を、先ず、水中での5分間の音波処理およびその後のイソプロピルアルコールにより清浄化した。基板を、0.1〜1mMのポルフィリン分子を適切な溶媒(例えば、イソプロパノール、ヘキサン、トルエン等)中に含有する溶液で、スプレーコーティング、ディップコーティング、ドロップコーティング(drop-coating)またはスピンコーティングのいずれかよってコーティングした。その後、サンプルを70〜200℃で5〜20分間ベーキングし、次いで、標準の表面清浄化工程を行って残留未付着分子を除去した。付着分子の量は、分子の濃度、付着温度および時間を変えることによって調整し得、
図10および11に示すようなUV吸収分光法によってモニターし得る。
図10に示すように、UV吸収強度は、付着濃度の増大とともに増大する分子被覆率に比例している。さらに、分子被覆率は、
図11に示すように、付着温度の上昇とともに増大している。
【実施例2】
【0116】
無電解Cu析出
分子付着および表面清浄化工程の後、エポキシ基板を、以下の方法で無電解Cu析出に供した:(a) Shipley/Circuposit Conditioner 3320中に65℃で10分間浸漬し、次いで、65℃で2分間のDI水洗浄を行い、(b) Shipley/Cataposit Catalyst 404中に23℃で1分間(予備浸漬)、次いでShipley/Cataposit Catalyst 44中に40℃で5分間(活性化)浸漬し、その後、23℃2分間のDI水洗浄を行い、(c) Shipley/Accelerator 19E中に30℃で5分間浸漬し(促進)、その後、23℃2分間のDI水洗浄を行い、(d) Shipley/Cuposit 328L Copper Mix中に30℃で40分間浸漬し(無電解Cu)、その後、23℃で2分間のDI水洗浄および23℃の空気による1分間のブロー乾燥を行った。その後、サンプルを170℃の空気中で30分間アニーリングした。無電解フィルムを
図12〜14に示すテープ剥離によって評価し、
図15に示す顕微鏡により特性決定した。
図12Aおよび12Bは、テープ剥離試験方法を略図的に示している。テープ500を試験クーポン、この場合は、本発明の方法によってその上に形成された無電解銅504を有するエポキシ基板502の1部上に置き、押圧する。その後、テープ500の1部を手で剥離する。テープ剥離試験は、銅層の剥離強度の定性的特性決定をもたらし、一般に、無電解銅層を試験するために実施する。
図13は、本発明の方法によってその上に形成された無電解銅を有するエポキシA基板の複数の試験クーポン0131〜0140の、本発明に従って製造していない対照試験クーポン0007と一緒の写真を示す。
図14は、本発明の方法によってその上に形成された無電解銅を有するエポキシB基板の複数の試験クーポン0039〜0040の、本発明に従って製造していない対照試験クーポン0026と一緒の写真を示す。各試験クーポンは、両図面において、剥離の前後で示されている。
図13および14に示されているように、本発明のポルフィリン分子はめっき用の良好な基板をもたらしており、平滑なエポキシ基板に対する銅接着を増強している。さらに、より良好な銅被覆率は、一般に、本発明に従って製造した基板によって達成されている。さらに、
図15Aおよび15Bは、ポルフィリン分子が、欠陥密度も低下させ、従って、銅とエポキシ基板間の接着を促進していることを例証している。
図15Bにおいて示しているように、50×および500×倍率の双方において、本発明に従って製造したエポキシB基板上の銅層は、良好な銅接着と低欠陥密度を示しており、通常に製造した銅層(
図15A)に対して有意に優れている。
【実施例3】
【0117】
電解質Cu析出
電着を無電解Cu被覆基板に適用して、銅の厚さを剥離強度評価のために25〜50μmまで増大させた。基板を、先ず、1M 硫酸中で清浄化し、次いで、Shipley/Copper Gleam ST-901 Acid Copper中で2A/cm
2、23℃にて90分間電気めっきし、その後、23℃2分間のDI水洗浄および23℃の空気による1分間のブロー乾燥を行った。その後、サンプルを170℃の空気中で120分間アニーリングした。次に、剥離強度を電解質銅層上で試験する。
図16Aおよび16Bは、剥離強度試験方法を略図的に示している。先ず、10mm幅の剥離ストリップ600を、試験クーポン、この場合は、本発明の方法によってその上に形成された無電解および電解質銅604を有するエポキシ基板602の二面上に切込みを入れることによって作成する。次に、剥離ストリップ600を、剥離試験器のフォースゲージに固定する。その後、剥離強度を、90度の剥離角度および50mm/分の剥離速度で測定する。
図17Aは、ポルフィリン結合平滑基板上の電解質銅の剥離強度が、分子結合なしの平滑基板と比較して、60の係数で高まっていることを例証しており、この剥離強度は、
図17Bに示しているような粗面化対照基板で観察される剥離強度と匹敵するかまたは良好である。表面画像化は、平滑基板上での接着力の増強が、
図17Cの表のデータに示しているように、表面粗さおよび形態の有意な変化なしで達成されていたことを実証している。剥離強度の同様な増強は、100nm未満の粗さを有するさらなる基板上で、表面を有意に粗面化することなく実証されている。
【実施例4】
【0118】
微細線パターン化
その後、上記で形成した装置をさらに加工して微細線のパターン化が本発明によって可能であることを実証した。具体的には、基板を、無電解銅がおよそ0.5ミクロンの高さに付着する時点まで、実施例2で説明したようにして処理した。この時点で、セミアディティブ(semi-additive)パターン化法(例えば、Liu, F et al, A Novel Technology for Stacking Microvias on Printed Wiring Board, Proceedings 53rd IEEE Electronics Components and Technology Conference, May 2003, pp 1134-39参照)を用いる標準リトグラフィー法を使用して、等寸法(例えば、30/30、18/18、14/14、12/12および8/8ミクロン)を有する線と間隔のコームパターンを生じさせた。良好な結果がこれらの構造体の全てにおいて得られており、本発明の分子接着法による処理が、下記の表1に示しているように、銅線を微細線間隔でパターン化する能力を有意に改善することを示唆していた。
【0119】
【実施例5】
【0120】
信頼性試験
多くの試験を実施して、本発明に従って形成させた装置の信頼性を種々の応力条件下において試験した。結果は、下記で詳細に説明するように、
図18〜21に提示している。
【0121】
図18に関しては、信頼性試験を、本発明の1つの実施態様に従う装置において実施し、対照基板と比較した。基板を、高加速ストレス試験(HAST)の試験に種々の間隔で供し、その後、剥離強度について試験した。剥離強度は、実施例3で説明し、
図16Aおよび16Bに示しているようにして試験した。具体的には、剥離強度は、基板上で、最初に形成させたとき、その後、予備状態調節およびリフロー後に試験した。予備状態調節は、125℃で25時間、その後、30℃/60%RHで192時間実施した。リフローは、260℃で3回実施した。その後、HAST試験を96時間および192時間後に実施した。
図18に示しているように、本発明の装置は、96時間のHAST試験後、10%未満のほんの僅かな剥離強度の低下しか示していないのに対し、対照基板は、13%の剥離強度の低下を被っていた。
【0122】
さらなる信頼性試験を、本発明の1つの実施態様に従う装置において実施し、対照基板と比較した。基板を165℃での延長したベーキングによって熱エージングし、その後、
図19に示しているように、種々の時間間隔で剥離強度について試験した。実証されているように、本発明の装置は、熱エージング1008時間後に、何らの剥離強度の低下も示していない。
【0123】
また、本発明の装置を、
図20に示しているように、熱サイクル(TC)に供した。基板を、−65℃〜150℃の温度範囲に亘る熱サイクルに、15分間の滞留時間で、総計1000サイクルで供した。
図20に示すように、本発明の装置は、1000サイクル後、剥離強度の僅かな低下を示している。
【0124】
また、本発明の装置を、
図21に示しているように、熱衝撃(TS)試験に供した。基板を、−65℃〜150℃の温度範囲に亘る液体中での熱サイクルに、15分間の滞留時間で、総計1000サイクルで供した。
図21に示すように、本発明の装置は、1000サイクル後、剥離強度の僅かな低下を示している。具体的には、本発明の装置は、100サイクル後に剥離強度の僅か4%の低下を示したのに対し、対照基板は、1000サイクル後8%の低下を示している。
【0125】
上記の方法および説明は、例示を意図している。本明細書において示した教示を考慮すれば、他の試みは、当業者にとって明白であろうし、そのような試みは、本発明の範囲に属するものとする。