特許第6040491号(P6040491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6040491-濾過装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040491
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】濾過装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/64 20060101AFI20161128BHJP
   B01D 29/48 20060101ALI20161128BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   B01D29/38 550C
   B01D29/38 550A
   B01D29/48 A
   B01D29/10 510E
   B01D29/10 510C
   B01D29/10 520C
   B01D29/10 530A
【請求項の数】7
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-227564(P2012-227564)
(22)【出願日】2012年10月15日
(65)【公開番号】特開2014-79668(P2014-79668A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】503217875
【氏名又は名称】生田 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100080274
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 仁義
(72)【発明者】
【氏名】生田 尚之
【審査官】 目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】 実公平05−010884(JP,Y2)
【文献】 特開2003−325402(JP,A)
【文献】 特開昭57−127416(JP,A)
【文献】 実開昭61−118611(JP,U)
【文献】 実開平02−012408(JP,U)
【文献】 特開昭58−000211(JP,A)
【文献】 特開昭63−310611(JP,A)
【文献】 特開2009−066481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D29/00−29/96
B01D35/00−35/34
B04C1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイクロン容器と、該容器内に位置する下端が閉鎖した筒状の濾材と、該筒状濾材上端フランジ部に接触するフロートと、該フロートに下設した前記濾材の濾過面に接触してゴミ等を除去する回転ブラシとを具備し、サイクロン容器入口から流入した回転する水が前記回転ブラシを回転させるように構成したことを特徴とする濾過装置。
【請求項2】
前記回転ブラシは、複数とし、該回転ブラシ下端は、連結部材で連結する請求項1記載の濾過装置。
【請求項3】
前記連結部材は、リング状部材である請求項記載の濾過装置。
【請求項4】
前記筒状濾材は、スプリングフィルターの筒状濾材である請求項2又は3に記載
の濾過装置。
【請求項5】
前記回転ブラシは、細長い多数の合成樹脂製繊維を細長い平板で、ブラシ部が形成されるように挟んで固定したものである請求項〜4のいずれかに記載の濾過装置。
【請求項6】
前記フロートには、回転ブラシの加速羽根が下設されている請求項〜5のいずれかに記載の濾過装置。
【請求項7】
前記サイクロン形状の容器下端は、ドレン出口に形成され、容器上部には蓋体が固定され、該蓋体には、濾液の出口が形成されている請求項〜6のいずれかに記載の濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、筒状の濾材の洗浄操作(逆洗操作)を不要若しくは殆ど不要にした濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
RO膜を使用した濾過装置は、放射性物質、細菌、海水中の金属イオン、塩素イオン等を除去できることは知られている。しかしながら、海水、河川水等を濾過する場合は、凝集剤を添加して撹拌し、分離した上澄み水をサイクロンに入れ、更に砂濾過した後、RO膜を使用して濾過している。このようにしないと、RO膜が1年程度で使用不能になるからである。
【0003】
上記したように、RO膜で濾過するには、実際には、RO膜濾過器以外に沢山の濾過器やタンク、配管等を必要としたので、装置が大変大掛かりなものとなる問題があった。そればかりか、砂濾過器は、逆洗が非常に難しい問題があったから、砂を交換しなければならなかった。
【0004】
本発明者は、砂濾過器の代わりにスプリングフィルターを使用することを考案した。スプリングフィルターを使用することにより、装置を小型化できたことと、濾材の逆洗も容易に行うことができた。
【0005】
しかしながら、このスプリングフィルターで汚水を濾過すると、非常に多くの逆洗回数を必要とする問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、このような点に着目してなされたものであり、濾材の洗浄操作(逆洗操作)を不要若しくは著しく少なくした濾過装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的に沿う本発明の構成は、サイクロン容器と、該容器内に位置する下端が閉鎖した筒状の濾材と、該筒状濾材上端フランジ部に接触するフロートと、該フロートに下設した前記濾材の濾過面に接触してゴミ等を除去する回転ブラシとを具備し、サイクロン容器入口から流入した回転する水が、前記回転ブラシを回転させるように構成したことを特徴とする。
【0008】
前記回転ブラシは、複数とし、該回転ブラシ下端は、連結部材で連結するのが好ましい(請求項2)。回転ブラシを固定できるからである。特に、対向して2個設けるのが好ましい。3個以上では、摩擦抵抗が高くなるからである。連結部材としては、リング状部材が好ましい(請求項3)。竜巻状に回転した水が通過し易いからである。
【0009】
前記筒状濾材は、スプリングフィルターの濾材であるのが好ましい(請求項4)。
【0010】
前記回転ブラシは、細長い多数の合成樹脂製繊維を細長い平板で、ブラシ部が形成されるように挟んで固定したものであるのが好ましい(請求項5)。金属製とすると、フィルターが摩耗するからであり、このように構成すれば、ブラシの毛が抜けなくなるからである。
【0011】
前記フロートには、回転ブラシ加速羽根を下設するのが好ましい(請求項6)。回転ブラシの回転が加速され、洗浄力が向上するからである。
【0012】
前記サイクロン形状の容器下端は、ドレン出口に形成され、容器上部には蓋体が固定され、該蓋体には、濾液の出口を形成するようにするとよい。(請求項7)。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、サイクロンの原理によって流入した回転水で回転ブラシを回転させ、濾過中常に回転ブラシで濾過面を摩擦洗浄しているので、濾材の洗浄操作(逆洗操作)を不要若しくは極端に少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の1実施例を示す(A)断面図、(B)内部の状態が見えるようにした斜視図、(C)本発明のブラシを下設したフロートを示す斜視図、である。
【符号の説明】
【0015】
1 サイクロン容器
2 スプリングフィルターの筒状濾材
3 筒状濾材上端のフランジ部
5 被処理水の入口ノズル
6 清水の出口ノズル
8 ドレン出口
9 フロート
10,10´ 回転ブラシ
11 リング(連結部材)
12,12´ 回転ブラシ加速羽根
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1に示すように、サイクロン容器1に、スプリングフィルターの筒状濾材2が内装されている。スプリングフィルターの筒状濾材2上端のフランジ部3が、サイクロン容器1のフランジ部4に載るようになっている。
【0018】
サイクロン容器1上部には、被処理水の入口ノズル5が形成され、サイクロン容器1上端には、清水の出口ノズル6が形成された上蓋7が固定されている。サイクロン容器1下端は、泥や砂などを含んで竜巻状に回転する水のドレン出口8に形成されている。
【0019】
図1(C)に示すように、フロート9には、対向して細長い回転ブラシ10,10´が下設されている。回転ブラシ上端は、フロート9に固定され、ブラシ下端は、リング(連結部材)11に連結固定されている。連結部材としては、スムーズに回転した水が落下し得るなら、リングでなくとも差支えない。このように連結部材で回転ブラシ10,10´を連結することにより、回転ブラシ10,10´が斜めに傾くのを防止することができる。
【0020】
回転ブラシ10,10´は、多数の合成樹脂製繊維(ブラシの毛)を数ミリの厚さとし、これを細長いフラットバーで多数のブラシの毛でブラシ部が形成されるように挟んで、ビス止め等で固定したものであるのが好ましい。フラットバーの幅を1〜2mmとし、多数のブラシの毛からなるブラシ部が2〜5mm形成されるのが好ましい。
【0021】
合成樹脂製繊維としては、テフロン(登録商標)、ナイロン等を使用するのが好ましい。強度が強く、常時濾材を摩擦しても切れたりしないからである。直径0.2mm〜1mm程度の合成樹脂製繊維を使用するのが好ましい。
【0022】
フロート9は、上記実施例では、合成樹脂で円形リング状に形成している。水に浮くものであれば、材質は特に限定されない。フロート9は、サイクロン容器1に水が流入すると濾材のフランジ部3に接触して回転する。
【0023】
フロート9には、対向して板体からなる回転ブラシ加速羽根12,12´が、下設されている。サイクロン容器1内に流入した水は、渦巻き状に高速回転して、フロートの回転ブラシ10,10´に当たって、回転ブラシを高速で回転させるが、加速羽根12,12´を設けると、この回転が更に加速される。回転する水は、回転ブラシ10,10´に当たって、フロートは回転するので、加速羽根12,12´は、無くとも差支えない。
【0024】
筒状濾材としては、スプリングフィルター及びセラミックフィルターの濾材を使用するのが好ましい。スプリングフィルターの濾材を使用するのが特に好ましい。砂濾過器の代わりの前フィルターとし好適に使用できるからである。
【0025】
本発明に使用するスプリングフィルターの濾材は、細菌を濾取する濾過器の濾材として使用されている。汚水を濾過する濾過器の濾材としては、使用されていない。数ミクロン〜数十ミクロンの大きさの突起が付いたフラットバーをヘリカル式に筒状に巻いて濾材を形成し、この濾材を筒状体に内装した濾過器がスプリングフィルターである。この濾材は、フラットバーとフラットバーとの隙間が数ミクロン〜数十ミクロンの濾材である。
【0026】
サイクロン容器1の被処理水の入口ノズル5は、水平向きで筒状の胴体13の中心線から偏心した位置に設けられている。筒状の胴体13との接続部が、水平で楕円状になるように斜めに接続されている。
筒状の胴体13には、下端に向けて先細の円錐形のホッパー部14が連設されている。このように形成しているので、被処理水が、サイクロン容器1に流入すると水が竜巻状に回転し、下に行くほど流速が早くなる。
【0027】
この竜巻状に回転した水が、フロートの回転ブラシ10,10´及び加速羽根12,12´に当たってフロートを回転させ、この回転により回転ブラシが筒状濾材の濾過面を連続的に擦って、濾過面は、常にゴミなどが付着しないようにしている。従って、本発明の濾材は、逆洗をする必要が不要若しくは著しく少なくできる。回転ブラシ10,10´は、回転により、スプリングフィルターの濾材1に押し付けられて、先端が多少屈曲する。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明によれば、濾過しながら洗浄しているので、濾材の洗浄操作(逆洗操作)を不要若しくは著しく少なくするという従来の濾過器には全く見られない著しく優れた利点を有するので、その利用が期待される。



図1