(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2筐体は、前記被観察者からの光が直接的に前記第1ミラーへ入射する第1光路と前記被観察者からの光が直接的に前記第3ミラーへ入射する第2光路のうちのいずれか一方の光路を選択可能な光路選択手段を備え、
前記光路選択手段を介して前記第1光路を選択したときには、前記第1筐体、前記第2ミラー及び前記接眼鏡筒を静止させた状態で、前記被観察者の向きの変動又は該被観察者の観察部位において観察者が所望する観察方向の変動に応じて前記第1ミラーを回転させることにより、前記観察者の頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、該接眼鏡筒を介して該被観察者の同じ方向からの観察像又は該被観察者の観察部位において該観察者が所望する任意の観察方向からの観察像を観察でき、
前記光路選択手段を介して前記第2光路を選択したときには、前記第1筐体、前記第2ミラー、前記接眼鏡筒及び前記第4ミラーを静止させた状態で、前記被観察者の向きの変動又は該被観察者の観察部位において前記観察者が所望する観察方向の変動に応じて、前記第3ミラー及び前記第1ミラーを回転させることにより、該観察者の頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、該接眼鏡筒を介して該被観察者の同じ方向からの観察像又は該被観察者の観察部位において該観察者が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できるようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の口腔観察装置。
前記第1ミラーにおける入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して垂直な軸上に接続され、且つ、前記第1筐体に回転可能に設けられた第1回転軸と、前記第1ミラーに接続し、その一端が把持可能に構成された第1把持部と、を備え、前記第1把持部を把持しながら前記第1筐体に対して前記第1ミラーを回転させることが可能な第1回転操作部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の口腔観察装置。
前記第1ミラーにおける入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して平行な軸上に接続され、且つ、前記第1筐体に回転可能に設けられた第1回転軸と、前記第1ミラーに接続し、その一端が把持可能に構成された第1把持部と、を備え、前記第1把持部を把持しながら前記第1筐体に対して前記第1ミラーを回転させることが可能な第1回転操作部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の口腔観察装置。
前記第1ミラーにおける入射光軸と出射光軸との交点近傍に接続された回転部を有し、該回転部を中心として該第1ミラーを3次元方向に回転させることができるように前記第1筐体に設けられた第1回転軸と、前記第1ミラーに接続し、その一端が把持可能に構成された第1把持部と、を備え、前記第1把持部を把持しながら前記第1筐体に対して前記第1ミラーを3次元方向に回転させることが可能な第1回転操作部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の口腔観察装置。
前記第3ミラーにおける入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して垂直な軸上に接続され、且つ、前記第2筐体に回転可能に設けられた第2回転軸と、前記第3ミラーに接続し、その一端が把持可能に構成された第2把持部と、を備え、前記第2把持部を把持しながら前記第2筐体に対して前記第3ミラーを回転させることが可能な第2回転操作部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の口腔観察装置。
前記第1ミラーにおける入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して垂直な軸上に接続された第1回転軸と、前記第1回転軸を回転可能に配置された第1モータと、前記第1筐体の外部に設けられていて前記第1モータの駆動を制御する第1スイッチと、を備え、前記第1スイッチを介して前記第1筐体に対して前記第1ミラーを回転させることが可能な第1回転操作部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の口腔観察装置。
前記第1ミラーにおける入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して平行な軸上に接続された第1回転軸と、前記第1回転軸を回転可能に配置された第1モータと、前記第1筐体の外部に設けられていて前記第1モータの駆動を制御する第1スイッチと、を備え、前記第1スイッチを介して前記第1筐体に対して前記第1ミラーを回転させることが可能な第1回転操作部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の口腔観察装置。
前記第3ミラーにおける入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して垂直な軸上に接続された第2回転軸と、前記第2回転軸を回転可能に配置された第2モータと、前記第2筐体の外部に設けられていて前記第2モータの駆動を制御する第2スイッチと、を備え、前記第2スイッチを介して前記第2筐体に対して前記第3ミラーを回転させることが可能な第2回転操作部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の口腔観察装置。
さらに、前記第1筐体における、被観察者からの光を前記第1ミラーに入射させるための開口部の近傍に、該被観察者を照明するためのLEDを備えたことを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の口腔観察装置。
さらに、前記第2筐体における、被観察者からの光を前記第3ミラー又は前記第1ミラーに入射させるための開口部の近傍に、該被観察者を照明するためのLEDを備えたことを特徴とする請求項1〜5、9、12、15、17、20のいずれかに記載の口腔観察装置。
前記第2筐体の開口部は、前記被観察者からの光が直接的に前記第1ミラーへ入射する第1領域と、前記被観察者からの光が直接的に前記第3ミラーへ入射する第2領域を有し、
前記光路選択手段は、前記第1領域と前記第2領域のいずれか一方の領域を覆うことの可能な遮光部材からなることを特徴とする請求項4に記載の口腔観察装置。
【発明を実施するための形態】
【0044】
実施例の説明に先立ち、本発明の作用効果について説明する。
本発明の口腔観察装置は、被観察者からの光を偏向する第1ミラーと第1ミラーで偏向された被観察者からの光を偏向する第2ミラーを内部に備えた第1筐体と、第1筐体に接続されていて、第2ミラーで偏向された被観察者からの光による像を観察者が拡大観察可能な拡大鏡を備えた接眼鏡筒と、を有してなり、被観察者を観察するための光路上には、被観察者側から順に、第1ミラーと第2ミラーと接眼鏡筒が配置され、第1ミラーが、入射光軸と出射光軸との交点又は交点近傍を通る軸を中心として、第1筐体に対して回転可能に構成され、第1筐体、第2ミラー及び接眼鏡筒を静止させた状態で、被観察者の向きの変動又は被観察者の観察部位において観察者が所望する観察方向の変動に応じて第1ミラーを回転させることにより、観察者の頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、接眼鏡筒を介して被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者の観察部位において観察者が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できるように構成されている。
【0045】
本発明の口腔観察装置のように、被観察者を観察するための光路上に、被観察者側から順に、第1ミラーと第2ミラーと接眼鏡筒を配置し、第1ミラーが、入射光軸と出射光軸との交点又は交点近傍を通る軸を中心として、第1筐体に対して回転可能であって、第1筐体、第2ミラー及び接眼鏡筒を静止させた状態で、被観察者の向きの変動又は被観察者の観察部位において観察者が所望する観察方向の変動に応じて第1ミラーを回転させることにより、観察者の頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、接眼鏡筒を介して被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者の観察部位において観察者が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できるように構成すれば、被観察者が向きを変えても、又は被観察者の観察部位において観察者が所望する観察方向を変えても、被観察者の位置をスライドさせれば、観察者は観察姿勢を保持したまま第1ミラーを回転させるだけで被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者の観察部位において観察者が所望する任意の観察方向からの観察像を観察することができる。そして、後述する第2筐体を有して構成することにより、被観察者が向きを変えても、又は被観察者の観察部位において観察者が所望する観察方向を変えても、被観察者の位置をスライドさせることなく、観察者は頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、第1ミラーを回転させるだけで被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者の観察部位において観察者が所望する任意の観察方向からの観察像を観察することができ、観察者の肉体的・精神的な負担を大幅に軽減することができる。
【0046】
また、本発明の口腔観察装置のように、第1筐体内における被観察者を観察するための光路上に第1ミラーと第2ミラーのみを配置して接眼鏡筒に被観察者からの光線を導くようにすれば、従来の口腔観察装置のような多数のレンズとプリズムを備えずに済み、小型軽量化できる。その結果、強度と精密性を維持するために頑強な金属製の鏡体や、その重い鏡体を支持する頑丈な金属製の可動アーム及び可動アームを支持する支柱が不要となり、術者を補助する補助者としての歯科衛生士のスペースが大幅に拡がる。
そして、本発明の口腔観察装置のようにすれば、上述のように、小型軽量化でき、鏡体を支持する頑丈な、金属製の可動アーム及び可動アームを支持する支柱が不要となるため、製品としての価格を飛躍的に低減でき、需要者の経済的負担を格段に軽減でき、広く普及させることが可能となる。その結果、歯科治療において、歯科医による治療の精度が向上し、患者に与える肉体的負担も軽減できる。
【0047】
また、本発明の口腔観察装置は、第1筐体に対して被観察者側に、該第1筐体との相対的位置を変動可能に配置され、被観察者からの光を偏向する第3ミラーと第3ミラーで偏向された被観察者からの光を第1ミラーへ偏向する第4ミラーを内部に備えた第2筐体をさらに有してなり、被観察者を観察するための光路上には、被観察者側から順に、第3ミラーと、第4ミラーと、第1ミラーと第2ミラーと接眼鏡筒が配置され、第3ミラーが、入射光軸と出射光軸との交点又は交点近傍を通る軸を中心として、第2筐体に対して回転可能に構成され、第1筐体、第2ミラー、接眼鏡筒及び第4ミラーを静止させた状態で、被観察者の向きの変動又は被観察者の観察部位において観察者が所望する観察方向の変動に応じて、第3ミラー及び第1ミラーを回転させることにより、観察者の頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、接眼鏡筒を介して被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者の観察部位において観察者が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できるようにする。
その場合、好ましくは、第2筐体は、第1筐体に対して、第1ミラーの中心を上下方向に通る軸を中心として回転可能に取り付ける。あるいは、第2筐体は、第1筐体に対して、所定方向にスライド可能に取り付ける。
このように、第2筐体をさらに有して構成し、被観察者の向きの変動又は被観察者の観察部位において観察者が所望する観察方向の変動に応じて、第3ミラー及び第1ミラーを回転させることにより、観察者の頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、接眼鏡筒を介して被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者の観察部位において観察者が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できるようにすれば、被観察者が向きを変えても、又は被観察者の観察部位において観察者が所望する観察方向を変えても、観察者は頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、被観察者の位置をスライドさせることなく被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者の観察部位において観察者が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できる。
【0048】
この点に関し、本件出願人が着目した、口腔観察装置における従来技術における問題点と関連付けて、以下に詳しく説明する。
歯科治療では、歯科用のデンタルユニットに患者を座らせて治療を実施する。
図19に歯科治療を受ける患者と治療を行う歯科医師(術者)と、術者や患者のために照明を照射したり血液や唾液を処理したりして、術者を補助する歯科衛生士(補助者)と、患者との相対的な位置関係を概念的に示す。なお、
図19は、術者の位置を、一般の歯科医師に共通の表現方法である、患者の口(口腔)を中心とした時計回りの時刻表に基づいた数字で表している。
【0049】
術者は、
図19に示すように、9時から1時までの範囲で位置を決めながら治療を行う。その理由は、患部の場所に応じて正確に観察するため及び必要な治療器具を操作するためである。
しかしながら、術者が、いかに位置を変えても、上顎の臼歯の齲蝕治療などの場合、当該臼歯の直上の位置から下方を観察しただけでは、齲蝕部分の内部まで観察することが難しい。そして、術者は、詳しく観察しようとすればするほど、頭を下げて患者の口腔内を覗き込むような姿勢を余儀なくされる。しかも、術者は、器具を把持する手を自由に使いこなせるようにしながら器具を操作するために、背筋を、器具を把持する手の側に倒し気味にしながら、器具を患部に当てるような変形姿勢を強いられる。歯科治療においては、術者である歯科医師は、そのような変形姿勢を強いられた操作が日常化している。
図20に歯科治療中の歯科医が日常的に強いられている変形姿勢の一例を示す。
【0050】
しかるに、
図20に示すような変形姿勢が長時間続くと、当然ながら肉体的疲労が一部位に偏向・集中し、例えば頚部筋肉痛や椎間板ヘルニアの原因になる危険性が大きくなる。
このような危険性を回避するためには、術者の観察姿勢を頭と手との相対的な位置が真っ直ぐに保持することが必要と考えられる。
【0051】
ここで、特許文献2〜4に記載のような鏡体を支持する可動アームを備えた観察装置を用いた場合、術者が患者の側方からの観察像を観察するには、接眼レンズ、鏡筒、対物レンズを斜めに傾ける必要があり、接眼レンズを水平に保つことができない。このため、術者は接眼レンズを覗くために首又は背筋を曲げざるを得ない。
【0052】
一方、特許文献6に記載の手術用観察装置では、接眼ユニットを静止させた状態で、筒ユニットを回転させることができるように構成されているため、術者は、接眼ユニットを水平な状態に保ちながら、対物レンズを備えた筒ユニットを回転させることで、患者に対し斜め左右からの観察像を観察することができ、頭と作業ポジションのいずれか一方については変更することなく、向きの変動する観察対象を観察しながら手術を行うことができる。このため、特許文献6に記載の手術用観察装置を用いれば、術者は背筋を曲げることなく患者の側方から歯牙や口腔内を観察することができる。
図21に特許文献6に記載の手術用観察装置における筒ユニットを接眼ユニットに対して回転させる一つの状態を示す。
【0053】
しかし、特許文献6に記載の手術用観察装置では、術者は、頭と作業ポジションの両方とも変更することなく、向きの変動する観察対象を観察しながら手術を行うことができない。
特許文献6に記載の手術用観察装置を使用した場合、患者が顔の向きを変えたとき又は患者の観察部位において術者が観察方向を所望の方向に変えたときに、術者の作業ポジション及び患者の顔の位置を移動させないようにすると、
図22(a)に示すように、術者の背筋を垂直に保ったまま、術者の観察位置(即ち、術者の頭の位置)を平行に移動させる必要が生じる。また、術者の背筋を垂直に保ったまま、術者の観察位置を移動させないようにすると、
図22(b)に示すように、術者の作業ポジション及び患者の顔の位置を移動させる必要が生じる。
しかし、
図22(a)、
図22(b)に示すように、術者の観察位置(即ち、術者の頭の位置)と、術者の作業ポジション及び患者の顔の位置のいずれか一方を移動させた場合、術者の頭の位置と術者の手との相対的位置が正中ずれを起こしてしまう。このことは術者における手術姿勢における重心がずれることを意味している。
【0054】
術者が精密な作業を行なうためには、作業姿勢における重心の安定性が欠かせない。しかし、特許文献6に記載の手術用観察装置を用いた場合には、作業姿勢における重心のずれが生じやすい。日常的に、長時間にわたって正中ずれ(作業姿勢における重心のずれ)を起こしたまま、治療を継続した場合、術者が健康を害する虞が高くなる。
【0055】
しかるに、本発明の口腔観察装置のように、第2筐体をさらに備え、被観察者の向きの変動又は被観察者の観察部位において観察者が所望する観察方向の変動に応じて、第3ミラー及び第1ミラーを回転させることにより、観察者の頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、接眼鏡筒を介して被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者の観察部位において観察者が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できるようにすれば、被観察者が向きを変えても、又は被観察者の観察部位において観察者が所望する観察方向を変えても、観察者は、頭と手との相対的位置が正中ずれを起こすことなく真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、被観察者の位置を移動させることなく被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者の観察部位において観察者が所望する任意の観察方向からの観察像を観察することができる。その結果、術者である観察者の肉体的負担を軽減でき、健康を害する虞を未然に防止することができる。
【0056】
また、本発明の口腔観察装置によれば、被観察者の左右の眼が第2筐体の長手方向に沿うような被観察姿勢にあるとともに、第2筐体が第1筐体に対し、互いの筐体の長手方向が一致する状態で使用したときには、第3ミラー、第1ミラーの回転により、被観察者に対する上下方向において、観察者による頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持したまま、被観察者の位置を移動させることなく被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者の観察部位において観察者が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できる範囲を広くとることができる。また、従来、通常の観察装置では観察姿勢を保持したままでは観察が非常に難しかった被観察者の上顎についても、観察者は頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持したまま、被観察者の位置を移動させることなく観察像を観察できるようになる。
【0057】
さらに、本発明の口腔観察装置のように、第1筐体に対して第2筐体を第1ミラーの中心を上下方向に通る軸を中心として回転させることができるようにすれば、被観察者が正面の向きから左右何れの方向に所定角度向きを変えても、又は被観察者の観察部位において観察者が所望する観察方向を被観察者の正面の向きに対し左右何れの方向に所定角度変えても、第2筐体を回転させることにより、観察者は頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、被観察者の位置を移動させることなく被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者の観察部位において観察者が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できる。
【0058】
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、第1筐体の開口部に、第1ミラーの中心を上下方向に通る軸を中心として2次元方向に回転可能な2次元方向回転部を備え、2次元方向回転部は、第1筐体における開口部近傍の底面を環状の軌跡を描いて回転するスラスト玉軸受部と、上端がスラスト玉軸受部に接続し、第1筐体における開口部近傍の内側面を回転するラジアル玉軸受部と、ラジアル玉軸受部の下端に接続し、第2筐体を保持する第2筐体保持部と、を有する。
このように構成すれば、第1筐体に対して第2筐体を第1ミラーの中心を上下方向に通る軸を中心として回転させることが具現化できる。
【0059】
また、本発明の口腔観察装置は、好ましくは、第2筐体は、被観察者からの光が直接的に第1ミラーへ入射する第1光路と被観察者からの光が直接的に第3ミラーへ入射する第2光路のうちのいずれか一方の光路を選択可能な光路選択手段を備え、光路選択手段を介して第2光路を選択したときには、第1筐体、第2ミラー、接眼鏡筒及び第4ミラーを静止させた状態で、被観察者の向きの変動又は被観察者の観察部位において観察者が所望する観察方向の変動に応じて、第3ミラー及び第1ミラーを回転させることにより、観察者の頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、接眼鏡筒を介して被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者の観察部位において観察者が所望する任意の観察方向からの観察像を観察でき、光路選択手段を介して第1光路を選択したときには、第1筐体、第2ミラー及び接眼鏡筒を静止させた状態で、被観察者の向きの変動又は被観察者の観察部位において観察者が所望する観察方向の変動に応じて第1ミラーを回転させることにより、接眼鏡筒を介して被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者の観察部位において観察者が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できるようにする。
このように光路選択手段を備えれば、被観察者が正面、斜めのいずれの向きを向いても、又は被観察者の観察部位において観察者が所望する観察方向を変えても、観察者は頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、被観察者の位置を移動させることなく被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者の観察部位において観察者が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できる。
【0060】
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、第2筐体の開口部は、被観察者からの光が直接的に第1ミラーへ入射する第1領域と、被観察者からの光が直接的に第3ミラーへ入射する第2領域を有し、光路選択手段は、第1領域と第2領域のいずれか一方の領域を覆うことの可能な遮光部材からなる。
このように構成すれば、光路選択手段が具現化できる。
【0061】
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、第2筐体を第1筐体に対して着脱可能にする。
このように構成すれば、観察時における被観察者の向き及び位置を変える必要性のない場合に、第2筐体を取り外すことで、観察スペースをより広く確保することができるとともに、操作性が向上する。
【0062】
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、第2筐体保持部は、第2筐体の上部板面内側を保持する板面部と、板面部において第1筐体の開口部を挟んで少なくとも2つ設けられた凸条部とを備え、第2筐体は、2次元方向回転部を側方から挿入可能な切欠き部と、切欠き部の下側面に設けられた、夫々の凸条部を嵌入可能な複数の凹溝部とを備え、夫々の凸条部に夫々の凹溝部を嵌め入れ・抜き出しすることで、第2筐体が第1筐体に対し着脱可能にする。
このように構成すれば、第2筐体を第1筐体に対して着脱可能な構成が具現化できる。
【0063】
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、第1ミラーにおける入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して垂直な軸上に接続され、且つ、第1筐体に回転可能に設けられた第1回転軸と、第1ミラーに接続し、その一端が第1把持可能に構成された第1把持部と、を備え、把持部を把持しながら第1筐体に対して第1ミラーを回転させることが可能な第1回転操作部を有する。
このように構成すれば、左右の眼が観察者の左右の眼に対して交差するような被観察姿勢をとっている被観察者の向きの変動又は被観察者の観察部位において観察者が所望する観察方向の変動に応じた、観察者による第1ミラーを回転させることによる、接眼鏡筒を介した被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者の観察部位において観察者が所望する任意の観察方向からの観察像の観察が具現化できる。
【0064】
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、第1ミラーにおける入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して平行な軸上に接続され、且つ、第1筐体に回転可能に設けられた第1回転軸と、第1ミラーに接続し、その一端が把持可能に構成された第1把持部と、を備え、第1把持部を把持しながら第1筐体に対して第1ミラーを回転させることが可能な第1回転操作部を有する。
このように構成しても、左右の眼が観察者の左右の眼に対して平行となるような被観察姿勢をとっている被観察者の向きの変動又は被観察者の観察部位において観察者が所望する観察方向の変動に応じた、観察者による第1ミラーを回転させることによる、接眼鏡筒を介した被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者の観察部位において観察者が所望する任意の観察方向からの観察像の観察が具現化できる。
【0065】
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、第1ミラーにおける入射光軸と出射光軸との交点近傍に接続された回転部を有し、回転部を中心として第1ミラーを3次元方向に回転させることができるように第1筐体に設けられた第1回転軸と、第1ミラーに接続し、その一端が把持可能に構成された第1把持部と、を備え、第1把持部を把持しながら第1筐体に対して第1ミラーを3次元方向に回転させることが可能な第1回転操作部を有する。
このように構成すれば、左右の眼が観察者の左右の眼に対してどのような被観察姿勢をとっている被観察者であっても、被観察者の向きの変動又は被観察者の観察部位において観察者が所望する観察方向の変動に応じた、観察者による第1ミラーを回転させることによる、接眼鏡筒を介した被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者の観察部位において観察者が所望する任意の観察方向からの観察像の観察が具現化できる。
【0066】
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、第3ミラーにおける入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して垂直な軸上に接続され、且つ、第2筐体に回転可能に設けられた第2回転軸と、第3ミラーに接続し、その一端が把持可能に構成された第2把持部と、を備え、第2把持部を把持しながら第2筐体に対して第3ミラーを回転させることが可能な第2回転操作部を有する。
このように構成すれば、被観察者の向きの変動又は被観察者の観察部位において観察者が所望する観察方向の変動に応じた、観察者による第3ミラー及び第1ミラーを回転させることによる、観察者の頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態での、接眼鏡筒を介した被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者の観察部位において観察者が所望する任意の観察方向からの観察像の観察が具現化できる。
【0067】
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、第1ミラーにおける入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して垂直な軸上に接続された第1回転軸と、第1回転軸を回転可能に配置された第1モータと、第1筐体の外部に設けられていて第1モータの駆動を制御する第1スイッチと、を備え、第1スイッチを介して第1筐体に対して第1ミラーを回転させることが可能な第1回転操作部を有する。
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、第1ミラーにおける入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して平行な軸上に接続された第1回転軸と、第1回転軸を回転可能に配置された第1モータと、第1筐体の外部に設けられていて第1モータの駆動を制御する第1スイッチと、を備え、第1スイッチを介して第1筐体に対して第1ミラーを回転させることが可能な第1回転操作部を有する。
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、第3ミラーにおける入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して垂直な軸上に接続された第2回転軸と、第2回転軸を回転可能に配置された第2モータと、第2筐体の外部に設けられていて第2モータの駆動を制御する第2スイッチと、を備え、第2スイッチを介して第2筐体に対して第3ミラーを回転させることが可能な第2回転操作部を有する。
これらのように構成すれば、第1ミラー、第3ミラーの回転操作が簡単になり、観察者の負担がより一層軽減される。
【0068】
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、第1ミラー及び第2ミラーが、金属製鏡からなる。
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、第1ミラー及び第2ミラーが、樹脂製表面反射鏡からなる。
また、本発明の口腔観察装置においては、第1筐体が、射出成形された樹脂材料からなる。
これらのように構成すれば、第1筐体の軽量化が具現化できる。
【0069】
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、第3ミラー及び第4ミラーが、金属製鏡からなる。
また、本発明の口腔観察装置においては、第2筐体が、射出成形された樹脂材料からなる。
これらのように構成すれば、第2筐体の軽量化が具現化できる。
【0070】
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、第1筐体が、任意の方向に曲げ可能に構成された支柱に保持されるようにする。
このように構成すれば、スペースを広く確保することが実現できる。
【0071】
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、さらに、第1筐体における被観察者からの光を第1ミラーに入射させるための開口部に防塵用の透明板状部材を備える。
また、本発明の口腔観察装置においては、さらに、第2筐体における被観察者からの光を第3ミラーに入射させるための開口部に防塵用の透明板状部材を備える。
これらのように構成すれば、観察時におけるゴミ等の観察装置内への侵入を阻止でき、被観察者の被観察部をより良好に観察できる。
【0072】
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、さらに、第1筐体における、被観察者からの光を第1ミラーに入射させるための開口部の近傍に、被観察者を照明するためのLEDを備える。
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、さらに、第2筐体における、被観察者からの光を第1ミラー又は第3ミラーに入射させるための開口部の近傍に、被観察者を照明するためのLEDを備える。
これらのように、筐体開口部近傍にLEDを備えれば、別途に照明装置を設けずに済み、装置全体が小型軽量化できる。
【0073】
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、第1筐体は、さらに、観察者により接眼鏡筒を介して拡大観察される被観察者からの光による像を撮像するビデオカメラを内蔵する。
このようにすれば、ビデオカメラで撮像した画像を外部の表示装置に表示することで、観察者が観察する被観察者の画像を被観察者も観察できるようになる。
【0074】
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、第1筐体に、防塵用の透明板状部材に付着する汚れを除去するエアー式ワイパーを備える。
また、本発明の口腔観察装置においては、好ましくは、第2筐体に、防塵用の透明板状部材に付着する汚れを除去するエアー式ワイパーを備える。
【0075】
本発明の口腔観察装置は、ミラーの反射により、光路長が延びて、焦点距離が長くなる傾向にある。光路長を抑えるためには、極力、観察者である術者が、治療作業に影響がない範囲で、筐体を被観察者である患者の口腔部に近接させる必要がある。詳しくは、観察光路をミラーで折り曲げない従来の歯科用顕微鏡の場合、患者の口腔部との距離を、平均して約25cm程度離すことができるが、ミラーで折り曲げる本発明の口腔観察装置の場合、筐体と患者の口腔部との距離は、約14〜20cmにする必要がある。
しかし、筐体を被観察者の口腔部に近接させると、歯を削る等したときに、水の飛沫が口腔外に飛散して、筐体内のレンズやミラーを曇らせることが起こりうる。レンズやミラーが曇る都度、手で拭き取らなければならないのでは、術者の作業が煩雑化し、手術に集中し難くなる。また、レンズやミラーを手で拭くとレンズの焦点がずれたり、ミラーの傾斜角度がずれたりして、観察条件を再調整しなければならなくなる虞もある。
しかるに、本発明のように、筐体に、防塵用の透明板状部材に付着する汚れを除去するエアー式ワイパーを備えれば、水の飛沫が飛散しても防塵用の透明板状部材により筐体内のレンズやミラーを曇らせることを防止した上で、エアー式ワイパーにより、観察者の手を用いることなく、防塵用の透明板状部材に付着する水の飛沫等を除去できる。このため、筐体を被観察者の口腔部に近接させた状態で、観察者である術者は手術に集中できる。
【0076】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。
実施例1
図1は本発明の
参考例としての実施例1にかかる口腔観察装置の構成を概念的に示す説明図である。
図2は
図1の口腔観察装置における第1ミラーの第1筐体に対して回転可能な構成の一具体例を示す説明図で、(a)は要部平面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。
図3は
図1の口腔観察装置における第1ミラーの第1筐体に対して回転可能な構成の変形例を示す説明図で、(a)は要部平面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。
図4は
図1の口腔観察装置における第1ミラーの第1筐体に対して回転可能な構成のさらに他の変形例を示す説明図で、(a)は要部平面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。
図5は
図1の口腔観察装置における要部の機能を概念的に示す説明図で、(a)は被観察者が口腔観察装置に対して正面を向いた状態において第2ミラーに被観察者(の口腔部)の正面の像が映るように第1ミラーの向きを調整したときの状態を示す図、(b)は被観察者が口腔観察装置に対して斜め側方を向いた状態において第2ミラーに被観察者(の口腔部)の正面の像が映るように第1ミラーの向きを調整したときの状態を示す図である。
図6は
図1の口腔観察装置を用いて被観察者を観察する場合における被観察者の向き及び観察位置と第1ミラーの回転方向との関係を原理的に示す説明図で、(a)は被観察者(の口腔部)が所定の基準位置で口腔観察装置に対して正面を向いた状態において、第1ミラーを所定量回転させて、第2ミラーに被観察者(の口腔部)の正面の像が映るようにしたときの状態を示す図、(b)は(a)の状態から被観察者(の口腔部)が所定角度−2α°斜めを向き且つ位置を所定量mスライドした状態において、第1ミラーを−α°回転させて、第2ミラーに被観察者(の口腔部)の正面の像が映るようにしたときの状態を示す図、(c)は(a)の状態から被観察者(の口腔部)が所定角度+2α°斜めを向き且つ位置を所定量−mスライドした状態において、第1ミラーを+α°回転させて、第2ミラーに被観察者の正面の像が映るようにしたときの状態を示す図である。
図7は
図1の口腔観察装置を用いて被観察者を観察する場合における被観察者の向き及び観察位置と第1ミラーの回転方向との関係を原理的に示す説明図で、(a)は被観察者(の口腔部)が口腔観察装置に対して
図6(a)に示す位置を基準として90度回転し且つ正面を向いた状態において、第1ミラーを所定量回転させて、第2ミラーに被観察者(の口腔部)の正面の像が映るようにしたときの状態を示す図、(b)は(a)の状態から被観察者(の口腔部)が所定角度−2β°斜めを向き且つ位置を所定量Lスライドした状態において、第1ミラーを−β°回転させて、第2ミラーに被観察者(の口腔部)の正面の像が映るようにしたときの状態を示す図、(c)は(a)の状態から被観察者(の口腔部)が所定角度+2β°斜めを向き且つ位置を所定量−Lスライドした状態において、第1ミラーを+β°回転させて、第2ミラーに被観察者の正面の像が映るようにしたときの状態を示す図である。
【0077】
実施例1の口腔観察装置1は、
図1に示すように、第1筐体10と、接眼鏡筒20を有して構成されている。
図1中、15は第1筐体の開口部、40は観察者(の眼)、50は被観察者(検体である患者)である。
第1筐体10は、射出成形された樹脂材料からなり、第1ミラー11と、第2ミラー12を内部に備えている。
第1筐体10の開口部15には、防塵用の透明板状部材16が取り付けられている。また、第1筐体10には、防塵用の透明板状部材16に付着する汚れを除去するためのエアー式ワイパー(図示省略)が備えられている。また、開口部15の周囲近傍には、被観察者50を照明するためのLED17が備えられている。
また、第1筐体10は、任意の方向に曲げ可能に構成された支柱(図示省略)に保持されている。
第1ミラー11は、金属製鏡又は樹脂製表面反射鏡からなり、被観察者50からの光を偏向する。また、第1ミラー11は、入射光軸と出射光軸との交点P又は交点Pの近傍を通る軸を中心として、第1筐体10に対して回転可能に構成されている。
第2ミラー12は、金属製鏡又は樹脂製表面反射鏡からなり、第1ミラー11で偏向された被観察者50からの光を偏向する。
接眼鏡筒20は、第1筐体10の第2ミラー12側端部に接続されていて、内部に拡大鏡21を備えている。
拡大鏡21は、第2ミラー12で偏向された被観察者50からの光による像を観察者40が拡大観察可能に構成されている。また、拡大鏡21は、観察像の倍率を可変になるように構成されている。さらに、本実施例では、拡大鏡21は双眼鏡として構成されており、
図1では、左右の眼の一方の構成を示してある。なお、拡大鏡は、単眼鏡として構成されていても良い。
【0078】
このように、実施例1の口腔観察装置1では、被観察者50を観察するための光路上には、被観察者50側から順に、第1ミラー11と第2ミラー12と接眼鏡筒20(拡大鏡21)が配置されている。
また、実施例1の口腔観察装置1は、第1筐体10に対して第1ミラー11を回転可能な第1回転操作部(
図1では図示省略)を有している。
そして、実施例1の口腔観察装置1は、第1筐体10、第2ミラー12及び接眼鏡筒20を静止させた状態で、被観察者50の向きの変動又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する観察方向の変動に応じて、第1回転操作部を介して第1ミラー11を回転させることにより、観察者40の頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、接眼鏡筒20を介して被観察者50の同じ方向からの観察像又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できるようになっている。
【0079】
ここで、第1ミラー11の第1筐体10に対して回転可能な第1回転操作部の構成について、
図2、
図3、
図4に示す例を用いて、より具体的に説明する。なお、便宜上、
図2(a)、
図4(a)では第1回転操作部における一部の構成を省略して示してある。
【0080】
図2の例の第1回転操作部13は、枠体13aと、第1回転軸13b,13cと、第1把持部13dを有して構成されている。
第1ミラー11は、第1回転軸13cに固定した状態で接続している。第1回転軸13cは、第1ミラー11における入射光軸と出射光軸を含む仮想平面に対して平行に配置された、入射光軸と出射光軸との交点P又は交点Pの近傍を通る軸上に位置する2本の棒状部材からなり、枠体13aに対して回転可能に設けられている。
枠体13aは、第1回転軸13bに固定した状態で接続している。
第1回転軸13bは、第1ミラー11における入射光軸と出射光軸を含む仮想平面に対して垂直に配置された、入射光軸と出射光軸との交点P又は交点Pの近傍を通る軸上に位置する2本の棒状部材からなり、第1筐体10に対して回転可能に設けられている。
また、第1回転軸13cの両端には、コの字形の連結部13d’が接続している。
第1把持部13dは、連結部13d’の中央上側に接続している。
このような構成により、
図2の例の第1回転操作部13は、観察者40が第1把持部13dを把持しながら、第1回転軸13bを中心とする回転方向(
図2における矢印x方向)や、第1回転軸13cを中心とする回転方向(
図2における矢印y方向)に回転させることにより、第1ミラー11を第1筐体10に対して回転させることができるようになっている。
【0081】
図3の例の第1回転操作部13は、枠体13aと、第1回転軸13b,13cと、第1モータ13e,13fと、ギア13g,13h,13i、13jと、図示しない第1スイッチを有して構成されている。
第1ミラー11は、第1回転軸13cに固定した状態で接続している。
第1回転軸13cは、第1ミラー11における入射光軸と出射光軸を含む仮想平面に対して平行に配置された、入射光軸と出射光軸との交点P又は交点Pの近傍を通る軸上に位置する2本の棒状部材からなり、枠体13aに対して回転可能に設けられている。
枠体13aは、第1回転軸13bに固定した状態で接続している。
第1回転軸13bは、第1ミラー11における入射光軸と出射光軸を含む仮想平面に対して垂直に配置された、入射光軸と出射光軸との交点P又は交点Pの近傍を通る軸上に位置する2本の棒状部材からなり、第1筐体10に対して回転可能に設けられている。
第1モータ13eは、例えば、ステッピングモータからなり、第1回転軸13bの近傍に設けられている。第1モータ13fは、例えば、ステッピングモータからなり、第1回転軸13cの近傍に設けられている。
ギア13gは、第1回転軸13bと同軸に設けられている。ギア13hは、第1回転軸13cと同軸に設けられている。
ギア13iは、第1モータ13eの軸部に設けられていて、ギア13gと歯合している。ギア13hは、第1モータ13fの軸部に設けられていて、ギア13hと歯合している。
第1スイッチ(不図示)は、第1モータ13e,13fの駆動を制御する。
このような構成により、
図3の例の第1回転操作部13は、観察者40が第1スイッチ(不図示)のON/OFF操作をすることにより、第1モータ13eの駆動及びギア13i,13gを介した第1回転軸13bを中心とする回転方向(
図3における矢印x方向)への回転や、第1モータ13fの駆動及びギア13j,13hを介した第1回転軸13cを中心とする回転方向(
図3における矢印y方向)への回転により、第1ミラー11を第1筐体10に対して回転させることができるようになっている。
【0082】
図4の例の第1回転操作部13は、第1回転軸13kと、第1把持部13dを有して構成されている。第1回転軸13kは、3次元方向回転部13k
1と、支持部13k
2を備えている。
3次元方向回転部13k
1は、第1回転軸13kの一端に設けられ、第1ミラー11における入射光軸と出射光軸との交点Pの近傍に接続されていて、3次元方向に回転可能な自在継手で構成されている。
支持部13k
2は、一端が3次元方向回転部13k
1を回転可能に支持し、他端が3次元方向回転部13k
1を中心として第1ミラー11を3次元方向に回転させることができるように第1筐体10に固定した状態で接続している。
また、第1ミラー11の両端における入射光軸と出射光軸との交点を通る軸上であって、且つ、第1ミラー11における第1回転軸13kの支持部13k
2と干渉しない、所定位置には、コの字形の連結部13d’が接続している。
第1把持部13dは、連結部13d’の中央上側に接続している。
このような構成により、
図4の例の第1回転操作部13は、観察者40が第1把持部13dを把持しながら、第1回転軸13kの3次元方向回転部13k
1を中心とする3次元方向(
図4における矢印x、y方向を含む3次元方向)に回転させることにより、第1ミラー11を第1筐体10に対して回転させることができるようになっている。
【0083】
このように構成された実施例1の口腔観察装置1を用いると、例えば、
図5(a)のように、正面を向いた被観察者50の正面の像を観察している場合において、被観察者50の向きを
図5(b)のように変動させたとき又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する観察方向を変動させたときには、被観察者50を所定方向に所定量スライドさせた後、観察者40は、例えば
図2又は
図4の例の把持部13dを把持しながら(あるいは、
図3の例における第1スイッチ(不図示)を介して)、第1筐体10、第2ミラー12及び接眼鏡筒20を静止させた状態で、把持部13dを所定方向に所定角度回転させる等の、第1回転操作部13を介した第1ミラー11を所定方向に所定角度回転させる操作を行なうことによって、観察者は観察姿勢を保持したまま、被観察者50の同じ方向からの観察像(ここでは、正面の像)又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する任意の観察方向からの観察像を観察することができるようになる。
その原理を
図6及び
図7を用いて説明する。
【0084】
まず、
図1の口腔観察装置1を用いて左右の眼が観察者40の左右の眼に対して交差するような被観察姿勢をとっている被観察者50を観察する場合における被観察者50の向き及び観察位置と第1ミラー11の回転方向との関係に関し、第1ミラー11における入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して垂直な軸上に接続され、且つ、第1筐体10に回転可能に設けられた第1回転軸13bを回転させる場合について
図6を用いて説明する。
図6(a)は、被観察者(の口腔部)50が所定の基準位置で口腔観察装置1に対して正面を向いた状態において、第1ミラー11を、第1回転軸13bを中心として所定量回転させて、被観察者(の口腔部)50の正面で反射した光が第2ミラー12、接眼鏡筒20の観察光軸を通るようにしたときの状態を示している。
図6(a)の状態から、被観察者(の口腔部)50が所定角度−2α°斜めを向いたときには、さらに被観察者50の位置を所定量+mスライドさせる。その状態で、観察者40は、第1回転操作部13を介して第1ミラー11を、第1回転軸13bを中心として−α°回転させると(
図6(b)参照)、
図6(a)と同様に、被観察者(の口腔部)50の正面で反射した光が第2ミラー12、接眼鏡筒20の観察光軸を通るようになる。
この原理を次に説明する。
なお、
図6においては、時計の針の回転方向を+、時計の針とは反対の回転方向を−で示すこととする。また、
図6(a)を基準とするスライド方向に関し、基準位置より右側方向を+、左側方向を−で示すこととする。
【0085】
図6(a)の状態から、接眼鏡筒20、第2ミラー12を静止させたまま、第1ミラー11のみを、第1回転軸13bを中心として−α°回転させたときにおける、接眼鏡筒20から被観察者50側に向かう光の方向について考える。第1ミラー11を、第1回転軸13bを中心として−α°回転させると、第1ミラー11に対し垂直な線も、第1回転軸13bを中心として−α°回転する。ここで、第2ミラー12は静止させたままであるから第2ミラー12からの光が第1ミラー11に入射するときの入射角度は
図6(a)に比べて−α°増えることになる。また、ミラーで反射する光の入射角と反射角は等しいため、第2ミラー12から第1ミラー11に入射し第1ミラー11で反射した光の反射角度は
図6(a)に比べて−2α°増えることになる。
図6(a)に比べて−2α°増えた反射光軸上に被観察者50を位置させるためには、被観察者50の位置を
図6(a)の状態から+mスライドさせる必要がある。さらに、
図6(a)に比べて−2α°増えた反射光軸上に位置する被観察者50の同じ部位を
図6(a)に比べて−2α°増えた反射光軸上に位置させるためには、
図6(a)の状態から被観察者50を−2α°回転させる必要がある。
【0086】
ここで、光の進行方向を逆向きに考える。被観察者50の向きが
図6(a)に比べて−2α°回転したときは、被観察者50の位置を
図6(a)の状態から+mスライドさせた状態で、第1ミラー11を、第1回転軸13bを中心として−α°回転させれば、
図6(a)で観察したときと同じ部位で反射した光が第1ミラー11での反射により第2ミラー12に入射することになる。
【0087】
また、上記と同様の原理より、
図6(a)の状態から、被観察者(の口腔部)50が所定角度+2α°斜めを向いたときには、さらに被観察者50の位置を所定量−mスライドさせる。その状態で、観察者40は、回転操作部13を介して第1ミラー11を、第1回転軸13bを中心として+α°回転させると(
図6(c)参照)、
図6(a)と同様に、被観察者(の口腔部)50の正面で反射した光が第2ミラー12、接眼鏡筒20の観察光軸を通るようになる。
【0088】
また、
図6を用いて説明した原理を応用すると、被観察者(の口腔部)50の向きを一定にさせた状態で、被観察者50の位置を所定量スライドさせながら、第1回転操作部13を介して第1ミラー13を回転させることで、被観察者40の観察部位において観察者50が所望する任意の観察方向からの観察光が第2ミラー12、接眼鏡筒20の観察光軸を通るようになる。
【0089】
次に、
図1の口腔観察装置1を用いて左右の眼が観察者の左右の眼に対して平行となるような被観察姿勢をとっている被観察者50を観察する場合における被観察者50の向き及び観察位置と第1ミラー11の回転方向との関係に関し、第1ミラー11における入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して平行な軸上に接続され、且つ、第1筐体10に回転可能に設けられた第1回転軸13cを回転させる場合について
図7を用いて説明する。
図7(a)は、被観察者(の口腔部)50が所定の基準位置で口腔観察装置1に対して正面を向いた状態において、第1ミラー11を、第1回転軸13cを中心として所定量回転させて、被観察者(の口腔部)50の正面で反射した光が第2ミラー12、接眼鏡筒20の観察光軸を通るようにしたときの状態を示している。
図7(a)の状態から、被観察者(の口腔部)50が所定角度−2β°斜めを向いたときには、さらに被観察者50の位置を所定量+Lスライドさせる。その状態で、観察者40は、回転操作部13を介して第1ミラー11を、第1回転軸13cを中心として−β°回転させると(
図7(b)参照)、
図7(a)と同様に、被観察者(の口腔部)50の正面で反射した光が第2ミラー12、接眼鏡筒20の観察光軸を通るようになる。
この原理を次に説明する。
なお、
図7においては、時計の針の回転方向を+、時計の針とは反対の回転方向を−で示すこととする。また、
図7(a)を基準とするスライド方向に関し、基準位置より右側方向を+、左側方向を−で示すこととする。
【0090】
図7(a)の状態から、接眼鏡筒20、第2ミラー12を静止させたまま、第1ミラー11のみを、第1回転軸13cを中心として−β°回転させたときにおける、接眼鏡筒20から被観察者50側に向かう光の方向について考える。第1ミラー11を、第1回転軸13cを中心として−β°回転させると、第1ミラー11に対し垂直な線も、第1回転軸13cを中心として−β°回転する。ここで、第2ミラー12は静止させたままであるから第2ミラー12からの光が第1ミラー11に入射するときの入射角度は
図7(a)に比べて−β°増えることになる。また、ミラーで反射する光の入射角と反射角は等しいため、第2ミラー12から第1ミラー11に入射し第1ミラー11で反射した光の反射角度は
図7(a)に比べて−2β°増えることになる。
図7(a)に比べて−2β°増えた反射光軸上に被観察者50を位置させるためには、被観察者50の位置を
図7(a)の状態から+Lスライドさせる必要がある。さらに、
図7(a)に比べて−2β°増えた反射光軸上に位置する被観察者50の同じ部位を
図7(a)に比べて−2β°増えた反射光軸上に位置させるためには、
図7(a)の状態から被観察者50を−2β°回転させる必要がある。
【0091】
ここで、光の進行方向を逆向きに考える。被観察者50の向きが
図7(a)に比べて−2β°回転したときは、被観察者50の位置を
図7(a)の状態から+Lスライドさせた状態で、第1ミラー11を、第1回転軸13cを中心として−β°回転させれば、
図7(a)で観察したときと同じ部位で反射した光が第1ミラー11での反射により第2ミラー12に入射することになる。
【0092】
また、上記と同様の原理より、
図7(a)の状態から、被観察者(の口腔部)50が所定角度+2β°斜めを向いたときには、さらに被観察者50の位置を所定量−Lスライドさせる。その状態で、観察者40は、第1回転操作部13を介して第1ミラー11を、第1回転軸13cを中心として+β°回転させると(
図7(c)参照)、
図7(a)と同様に、被観察者(の口腔部)50の正面で反射した光が第2ミラー12、接眼鏡筒20の観察光軸を通るようになる。
【0093】
また、
図7を用いて説明した原理を応用すると、被観察者(の口腔部)50の向きを一定にさせた状態で、被観察者50の位置を所定量スライドさせながら、第1回転操作部13を介して第1ミラー13を回転させることで、被観察者40の観察部位において観察者50が所望する任意の観察方向からの観察光が第2ミラー12、接眼鏡筒20の観察光軸を通るようになる。
【0094】
なお、
図1に示したように、実施例1の口腔観察装置1において、第1ミラー11で反射したときの被観察者の像は左右が反転した像となるが、第2ミラー12で反射したときに被観察者の像は左右が元の状態に戻った像となる。
【0095】
実施例1の口腔観察装置1によれば、被観察者50を観察するための光路上に、被観察者50側から順に、第1ミラー11と第2ミラー12と接眼鏡筒20を配置し、第1ミラー11が、入射光軸と出射光軸との交点P又は交点Pの近傍を通る軸を中心として、第1筐体10に対して回転可能であって、第1筐体10、第2ミラー12及び接眼鏡筒20を静止させた状態で、被観察者50の向きの変動又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する観察方向の変動に応じて第1ミラー11を回転させることにより、観察者40の頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、接眼鏡筒20を介して被観察者50の同じ方向からの観察像又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できるように構成したので、被観察者50が向きを変えても、又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する観察方向を変えても、被観察者50の位置をスライドさせれば、観察者40は観察姿勢を保持したまま第1ミラー11を回転させるだけで被観察者50の同じ方向からの観察像又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する任意の観察方向からの観察像を観察することができる。
そして、実施例1の口腔観察装置1によれば、実施例2において後述する第2筐体を有して構成することにより、被観察者50が向きを変えても、又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する観察方向を変えても、観察者40は頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、第1ミラー11を回転させるだけで被観察者50の同じ方向からの観察像又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する任意の観察方向からの観察像を観察することができ、観察者40の肉体的・精神的な負担を大幅に軽減することができる。
【0096】
また、実施例1の口腔観察装置1によれば、第1筐体10内における被観察者50を観察するための光路上に第1ミラー11と第2ミラー12のみを配置して接眼鏡筒20に被観察者50からの光線を導くようにしたので、従来の口腔観察装置のような多数のレンズとプリズムを備えずに済み、小型軽量化できる。その結果、強度と精密性を維持するために頑強な金属製の鏡体や、その重い鏡体を支持する頑丈な金属製の可動アーム及び可動アームを支持する支柱が不要となり、術者を補助する補助者としての歯科衛生士のスペースが大幅に拡がる。
そして、実施例1の口腔観察装置1によれば、上述のように、小型軽量化でき、鏡体を支持する頑丈な金属製の可動アーム及び可動アームを支持する支柱が不要となるため、製品としての価格を飛躍的に低減でき、需要者の経済的負担を格段に軽減でき、広く普及させることが可能となる。その結果、歯科治療において、歯科医による治療の精度が向上し、患者に与える肉体的負担も軽減できる。
【0097】
また、実施例1の口腔観察装置1において、第1回転操作部13を、第1ミラー11における入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して垂直な軸上に接続された第1回転軸13bと、第1回転軸13bを回転可能に配置された第1モータ13eと、第1筐体10の外部に設けられていて第1モータ13eの駆動を制御する第1スイッチ(不図示)と、を備え、第1スイッチを介して第1筐体10に対して第1ミラー11を回転させることが可能に構成する、あるいは、第1回転操作部13を、第1ミラー11における入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して平行な軸上に接続された第1回転軸13cと、第1回転軸を回転可能に配置された第1モータ13fと、第1筐体10の外部に設けられていて第1モータ13fの駆動を制御する第1スイッチ(不図示)と、を備え、第1スイッチを介して第1筐体10に対して第1ミラー11を回転させることが可能に構成すれば、第1ミラー11の回転操作が簡単になり、観察者40の負担がより一層軽減される。
【0098】
また、実施例1の口腔観察装置1によれば、第1ミラー11及び第2ミラー12を、金属製鏡又は樹脂製表面反射鏡で構成し、また、第1筐体10を、射出成形された樹脂材料で構成したので、第1筐体10の軽量化が具現化できる。
【0099】
そして、実施例1の口腔観察装置1によれば、第1筐体10が、任意の方向に曲げ可能に構成された支柱(不図示)に保持されるようにしたので、スペースを広く確保することが実現できる。
【00100】
また、実施例1の口腔観察装置1によれば、さらに、第1筐体10における被観察者50からの光を第1ミラー11に入射させるための開口部15に防塵用の透明板状部材16を備えたので、観察時におけるゴミ等の観察装置内への侵入を阻止でき、被観察者50の被観察部をより良好に観察できる。
【00101】
また、実施例1の口腔観察装置1によれば、第1筐体10に、防塵用の透明板状部材16に付着する汚れを除去するエアー式ワイパー(図示省略)を備えたので、水の飛沫が飛散しても防塵用の透明板状部材16により第1筐体10内のレンズやミラーを曇らせることを防止した上で、エアー式ワイパーにより、観察者40の手を用いることなく、防塵用の透明板状部材16に付着する水の飛沫等を除去できる。このため、第1筐体10を被観察者50の口腔部に近接させた状態で、観察者40である術者は手術に集中できる。
【0102】
また、実施例1の口腔観察装置1によれば、さらに、第1筐体10における、被観察者50からの光を第1ミラー11に入射させるための開口部15の近傍に、被観察者50を照明するためのLED17を備えたので、別途に照明装置を設けずに済み、装置全体が小型軽量化できる。
【0103】
なお、実施例1の口腔観察装置1の
図2、
図3に示す例では、第1回転操作部13を、入射光軸と出射光軸との交点P又は交点Pの近傍を通る、第1ミラーにおける入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して、垂直な回転軸13bと平行な軸の両方の回転軸13cの両方の軸を中心として、第1筐体10に対して回転可能に構成したが、いずれか一方の回転軸のみを中心として回転可能に構成してもよい。
【0104】
実施例2
図8は本発明の実施例2にかかる口腔観察装置の構成を概念的に示す説明図である。
図9は
図8の口腔観察装置における第2筐体の第1筐体に対して回転可能な構成の具体例を示す説明図で、(a)は概略断面図、(b)は要部平面図、(c)は要部側面図である。
図10は
図8の口腔観察装置における第3ミラーの第2筐体に対して回転可能な構成の一具体例を示す説明図で、(a)は要部平面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は側面図である。
図11は
図8の口腔観察装置における第3ミラーの第2筐体に対して回転可能な構成の変形例を示す説明図で、(a)は要部平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
図12は
図8の口腔観察装置における光路選択手段による光路の選択状態を示す説明図で、(a)は第2光路を選択したときの状態を示す図、(b)は第1光路を選択したときの状態を示す図である。
図13は
図8の口腔観察装置における要部の機能を概念的に示す説明図で、被観察者が口腔観察装置に対して斜め側方を向いた状態において第2ミラーに被観察者(の口腔部)の正面の像が映るように第3ミラー及び第1ミラーの向きを調整したときの状態を示す図である。
図14は
図8の口腔観察装置における第1筐体に対する第2筐体の相対的な向きを示す説明図で、(a)は第1筐体に対し第2筐体が組み合わさった状態を示す図、(b)は(a)に示す第1筐体に組み合わさる第2筐体の向きの一例を示す図、(c)は(a)に示す第1筐体に組み合わさる第2筐体の向きの他の例を示す図、(d)は(c)の向きで第2筐体を組み合わせた状態における、被観察者の観察可能部位の一例を示す説明図であって、第2筐体の長手方向が第1筐体の長手方向に沿うように、第2筐体を回転させて、被観察者の上顎を観察するときの状態を概念的に示す光路図である。
図15は
図8の口腔観察装置を用いて被観察者を観察する場合における被観察者の向きと第1ミラー及び第3ミラーの回転方向との関係を原理的に示す説明図で、(a)は被観察者(の口腔部)が
図6(a)の状態から位置をスライドすることなく所定角度−2α°斜めを向いた状態において、第3ミラーを所定角度回転させるとともに第1ミラーを−α°回転させて、第2ミラーに被観察者(の口腔部)の正面の像が映るようにしたときの状態を示す図、(b)は被観察者(の口腔部)が
図6(a)の状態から位置をスライドすることなく所定角度−4α°斜めを向いた状態において、第3ミラーを所定角度回転させるとともに第1ミラーを−(1/2)A°回転させて、第2ミラーに被観察者(の口腔部)の正面の像が映るようにしたときの状態を示す図、(c)は被観察者(の口腔部)が
図6(a)の状態から位置をスライドすることなく所定角度−α°斜めを向いた状態において、第3ミラーを所定角度回転させるとともに第1ミラーを−(1/2)B°回転させて、第2ミラーに被観察者(の口腔部)の正面の像が映るようにしたときの状態を示す図、(d)は被観察者(の口腔部)が
図6(a)の状態から位置をスライドすることなく所定角度+2α°斜めを向いた状態において、第2筐体を第1ミラーの中心を上下方向に通る軸を中心として180度回転させ、さらに、第3ミラーを所定角度回転させるとともに第1ミラーを+α°回転させて、第2ミラーに被観察者(の口腔部)の正面の像が映るようにしたときの状態を示す図である。
図16は
図8の口腔観察装置を用いて被観察者を観察する場合における被観察者の向きと第1ミラー及び第3ミラーの回転方向との関係を原理的に示す説明図で、(a)は被観察者(の口腔部)が口腔観察装置に対して
図6(a)に示す位置を基準として90度回転し且つ所定角度−2β°斜めを向いた状態において、第3ミラーを所定角度回転させるとともに第1ミラーを−β°回転させて、第2ミラーに被観察者(の口腔部)の正面の像が映るようにしたときの状態を示す図、(b)は被観察者(の口腔部)が口腔観察装置に対して
図6(a)に示す位置を基準として90度回転し且つ所定角度+2β°斜めを向いた状態において、第3ミラーを所定角度回転させるとともに第1ミラーを+β°回転させて、第2ミラーに被観察者(の口腔部)の正面の像が映るようにしたときの状態を示す図である。
【0105】
実施例2の口腔観察装置1’は、
図8に示すように、第1筐体10と、接眼鏡筒20と、第2筐体30を有して構成されている。
図8中、35は第2筐体の開口部である。
第1筐体10における第1ミラー11及び第2ミラー12、接眼鏡筒20の構成は、実施例1の口腔観察装置1におけるものと略同じである。
第2筐体30は、射出成形された樹脂材料からなり、第3ミラー31と、第4ミラー32を内部に備えている。
第2筐体30の開口部35には、防塵用の透明板状部材36が取り付けられている。また、第2筐体30には、防塵用の透明板状部材36に付着する汚れを除去するためのエアー式ワイパー(図示省略)が備えられている。また、開口部35の周囲近傍には、被観察者50を照明するためのLED37が備えられている。
また、第2筐体30は、第1筐体10に対して被観察者50側に配置され、第1ミラー11の中心Pを上下方向に通る軸を中心として回転可能に構成されている。
第3ミラー31は、金属製鏡又は樹脂製表面反射鏡からなり、被観察者50からの光を偏向する。また、第3ミラー31は、入射光軸と出射光軸との交点Q又は交点Qの近傍を通る軸を中心として、第2筐体30に対して回転可能に構成されている。
第4ミラー32は、金属製鏡又は樹脂製表面反射鏡からなり、第3ミラー31で偏向された被観察者50からの光を第1ミラー11へ偏向する。
【0106】
このように、実施例2の口腔観察装置1’では、被観察者50を観察するための光路上には、被観察者50側から順に、第3ミラー31と、第4ミラー32と、第1ミラー11と第2ミラー12と接眼鏡筒20が配置されている。
また、本実施例の口腔観察装置1’は、第2筐体30に対して第3ミラー31を回転可能な第2回転操作部(
図8では図示省略)を有している。
さらに、実施例2の口腔観察装置1’では、第2筐体30は、被観察者50からの光が直接的に第1ミラー11へ入射する第1光路と被観察者50からの光が直接的に第3ミラー31へ入射する第2光路のうちのいずれか一方の光路を選択可能な光路選択手段として、開口部35における一部の領域を覆うことの可能な遮光部材38を備えている。
【0107】
そして、実施例2の口腔観察装置1’では、遮光部材38を介して第1光路を選択したときには、第1筐体10、第2ミラー12及び接眼鏡筒20を静止させた状態で、被観察者50の向きの変動又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する観察方向の変動に応じて第1ミラー11を回転させることにより、観察者40の頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、接眼鏡筒20を介して被観察者50の同じ方向からの観察像又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する任意の観察方向からの観察像を観察でき、遮光部材38を介して第2光路を選択したときには、第1筐体10、第2ミラー12、接眼鏡筒20及び第4ミラー32を静止させた状態で、被観察者50の向きの変動又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する観察方向の変動に応じて、第3ミラー31及び第1ミラー11を回転させることにより、観察者40の頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、接眼鏡筒20を介して被観察者50の同じ方向からの観察像又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できるようになっている。
【0108】
ここで、第2筐体30の第1筐体10に対して回転可能な構成について、
図9に示す例を用いて、より具体的に説明する。
図9の例では、第1筐体10は、開口部に、第1ミラー11の中心Pを上下方向に通る軸を中心として2次元方向(
図9では矢印Z方向)に回転可能な2次元方向回転部18を備えている。
2次元方向回転部18は、スラスト玉軸受部18aと、ラジアル玉軸受部18bと、第2筐体保持部18cとを有している。
スラスト玉軸受部18aは、下側に溝が形成された環状板部18a
1と、環状板部18a
1の溝に嵌めこまれていて、第1筐体10における開口部15近傍の底面を環状の軌跡を描いて転がる複数のボール18a
2とで構成されている。
ラジアル玉軸受部18bは、環状板部18a
1における溝の内側位置から下方に垂直に延びていて、外側に溝が形成された筒状部18b
1と、筒状部18b
1の溝に嵌めこまれていて、第1筐体10における開口部15近傍の内側面を転がる複数のボール18b
2とで構成されている。
第2筐体保持部18cは、筒状部18b
1の下端に接続していて、第2筐体30の上部板面内側を保持する板面部18c
1と、板面部18c
1における筒状部18b
1を挟んだ第1筐体10の短手方向に少なくとも2つ設けられた凸条部18c
2とで構成されている。
また、第2筐体30には、上部及び上部側方にかけて、
図10(c)に示すように、第1筐体10に取り付けられた2次元方向回転部18を側方から挿入可能な切欠き部が形成されている。また、切欠き部の下側面には、夫々の凸条部18c
2を嵌入可能な複数の凹溝部38’が設けられている。
そして、第2筐体30は、夫々の凹溝部38’を第1筐体10に備えられた2次元方向回転部18における第2筐体保持部18cの夫々の凸条部18c
2に沿って嵌入させられることにより、第1筐体10に取り付けられて、第2筐体30の上部板面内側が第2筐体保持部18cの板面部18c
1に保持された状態となり、さらに、その状態において、2次元方向回転部18におけるスラスト玉軸受部18a、ラジアル玉軸受部18bを介して、第1筐体10に対して、第1ミラー11の中心Pを上下方向に通る軸を中心として矢印Z方向に回転可能となる。
なお、第2筐体30は、夫々の凹溝部38’を第1筐体10に備えられた2次元方向回転部18における第2筐体保持部18cの夫々の凸条部18c
2に沿って抜くことにより、第1筐体10から取り外すこともできる。
【0109】
次に、第3ミラー31の第2筐体30に対して回転可能な第2回転操作部の構成について、
図10、
図11に示す例を用いて、より具体的に説明する。なお、便宜上、
図10(a)では第2回転操作部における一部の構成を省略して示してある。
図10の例の第2回転操作部33は、第2回転軸33bと、第2把持部33dを有して構成されている。第3ミラー31は、第2回転軸33bに接続している。第2回転軸33bは、第3ミラー31における入射光軸と出射光軸を含む仮想平面に対して垂直に配置された、入射光軸と出射光軸との交点Q又は交点Qの近傍を通る軸であって、第2筐体30に対して回転可能に設けられている。また、第2回転軸33bの一端には、L字形のレバー部33d’が接続している。第2把持部33dは、レバー部33d’の上端に接続されている。
このような構成により、
図10の例の第2回転操作部33は、観察者40が第2把持部33dを把持しながら、第2回転軸33bを中心とする回転方向(
図10における矢印x方向)に回転させることにより、第3ミラー31を第2筐体10に対して回転させることができるようになっている。
【0110】
図11の例の第2回転操作部33は、第2回転軸33bと、第2モータ33eと、ギア33g,33iと、図示しない第2スイッチを有して構成されている。第3ミラー31は、第2回転軸33bに接続している。第2回転軸33bは、第2ミラー31における入射光軸と出射光軸を含む仮想平面に対して垂直に配置された、入射光軸と出射光軸との交点Q又は交点Qの近傍を通る軸であって、第2筐体30に対して回転可能に設けられている。
第2モータ33eは、例えば、ステッピングモータからなり、第2回転軸13bの近傍に設けられている。ギア13gは、第2回転軸33bと同軸に設けられている。ギア33iは、第2モータ33eの軸部に設けられていて、ギア33gと歯合している。
第2スイッチ(不図示)は、第2モータ33eの駆動を制御する。
このような構成により、
図11の例の第2回転操作部33は、観察者40が第2スイッチ(不図示)のON/OFF操作をすることにより、第2モータ33eの駆動及びギア33i,33gを介した第2回転軸33bを中心とする回転方向(
図11における矢印x方向)への回転により、第3ミラー31を第2筐体30に対して回転させることができるようになっている。
【0111】
次に、遮光部材38を介した光路選択について
図12を用いて説明する。
第2筐体30の開口部35は、被観察者からの光が直接的に第1ミラーへ入射可能な第1領域35aと、被観察者からの光が直接的に第3ミラーへ入射可能な第2領域35bを有している。
遮光部材38は、第2筐体30において開口部35の上方をスライドする薄板状部材からなり、開口部35における第1領域35a、第2領域35bのいずれか一方を覆うことができるように構成されている。遮光部材38のスライドは、遮光部材38に接続する図示しない把持部を介して行うことができるようになっている。なお、遮光部材38のスライドは、ステッピングモータやギア等を介して電動で行うようにしてもよい。
そして、
図8の口腔観察装置1’では、遮光部材38が第1領域35aを遮光したときに、被観察者50からの光が直接的に第3ミラー31へ入射する第2光路が選択され、遮光部材38が第2領域35bを遮光したときに、被観察者50からの光が直接的に第1ミラー11へ入射する第1光路が選択される。
【0112】
このように構成された実施例2の口腔観察装置1’を用いると、例えば、
図13のように正面から外れた所定方向を向いた被観察者50の正面の像を観察している場合において、被観察者50が向きを変動させたとき又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する観察方向を変動させたときには、観察者40は、遮光部材38を介して第3光路を選択するとともに、例えば
図2又は
図4の例の把持部13d及び
図10の例の把持部33dを把持しながら(あるいは、
図3の例における第1スイッチ(不図示)及び
図11の例における第2スイッチ(不図示)を介して)、第1筐体10、第2ミラー12、接眼鏡筒20、第4ミラー32を静止させた状態で、把持部13dを所定方向に所定角度回転させる等の、回転操作部13を介した第1ミラー11を所定方向に所定角度回転させる操作及び把持部33dを所定方向に所定角度回転させる等の、回転操作部33を介した第3ミラー31を所定方向に所定角度回転させる操作を行なうことによって、頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持したまま、被観察者50の位置を移動させることなく被観察者50の同じ方向からの観察像又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できるようになる。
また、被観察者50が
図13とは反対方向を向いたときには、例えば、
図14(a)、
図14(b)の状態から、第2筐体30を第1筐体10に対して第1ミラー11の中心Pを上下方向に通る軸を中心としてZ方向に180度回転させて、上記と同様の操作を行なうことによって、頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持したまま、被観察者50の位置を移動させることなく被観察者50の同じ方向からの観察像又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できるようになる。
なお、被観察者50が正面を向いたときには、観察者40は、遮光部材38を介して第1光路を選択して、実施例1と同様の操作を行なうことによって、頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持したまま、被観察者50の位置を移動させることなく被観察者50の同じ方向からの観察像又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できるようになる。
また、第2筐体30を第1筐体10に対し、例えば、
図14(a)に示す状態から、
図14(c)に示すように、互いの筐体の長手方向が一致するように回転させると、第3ミラー31、第1ミラー11の回転により、被観察者50に対する上下方向において、観察者40における頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持したまま、被観察者50の位置を移動させることなく被観察者50の同じ方向からの観察像又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できる範囲を広くとることができる。また、実施例2の口腔観察装置1’を用いると、例えば、
図14(d)に示すように、従来、通常の観察装置では観察姿勢を保持したままでは観察が非常に難しかった被観察者40の上顎についても、観察者40は頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持したまま、被観察者50の位置を移動させることなく観察像を観察できるようになる。
その原理を
図15及び
図16を用いて説明する。
【0113】
まず、
図8の口腔観察装置1’を用いて左右の眼が観察者40の左右の眼に対して交差するような被観察姿勢をとっている被観察者50を観察する場合における被観察者50の向き並びに観察位置と第1ミラー11及び第3ミラー31の回転方向との関係に関し、第1ミラー11における入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して垂直な軸上に接続され、且つ、第1筐体10に回転可能に設けられた第1回転軸13b及び第3ミラー31における入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して垂直な軸上に接続され、且つ、第2筐体10に回転可能に設けられた第2回転軸33bを回転させる場合について
図15を用いて説明する。
なお、
図15では被観察者50は左右の眼が第2筐体30の長手方向に沿うような被観察姿勢にあるとともに、第2筐体30は第1筐体10に対し、互いの筐体の長手方向が一致するように回転させられているものとする。
図15(a)は、被観察者(の口腔部)50が
図6(a)の状態から位置をスライドすることなく所定角度−2α°斜めを向いた状態において、第3ミラー31を所定角度回転させるとともに第1ミラーを−α°回転させて、第2ミラー12に被観察者(の口腔部)50の正面の像が映るようにしたときの状態を示している。この状態は、次の操作により実現できる。
図6(a)の状態から、被観察者(の口腔部)50が所定角度−2α°斜めを向いたときには、被観察者50の位置をスライドさせることなく、観察者40は、第2回転操作部33を介して第3ミラー31を、第2回転軸33bを中心として所定角度回転させると、第4ミラー32で反射した光が、
図6(b)と同様に、
図6(a)の状態から−2α°斜めを向いて第1ミラー11に入射するようになる。その状態で、観察者40は、第1回転操作部13を介して第1ミラー11を、第1回転軸13bを中心として−α°回転させると(
図15(a)参照)、
図6(a)と同様に、被観察者(の口腔部)50の正面で反射した光が第2ミラー12、接眼鏡筒20の観察光軸を通るようになる。
この原理を次に説明する。
なお、
図15においては、時計の針の回転方向を+、時計の針とは反対の回転方向を−で示すこととする。
【0114】
上述したように、接眼鏡筒20から被観察者50側に向かう光の方向について考えたとき、
図6(a)の状態から、接眼鏡筒20、第2ミラー12を静止させたまま、第1ミラー11を、第1回転軸13bを中心として−α°回転させると、第2ミラー12から第1ミラー11に入射し第1ミラー11で反射した光の反射角度は
図6(a)に比べて−2α°増えることになる。
第1ミラー11で反射した光を第4ミラー32で反射し、第4ミラー32で反射した光を第3ミラー31で反射させる。ここで、
図15(a)の例では、第3ミラー31を所定角度回転させて第3ミラー31で反射した光が被観察者(の口腔部)50に入射するように調整されているものとし、このときの第3ミラー31で反射した光の入射角が−2α°であるものとする。
図15(a)の状態から、被観察者(の口腔部)50がさらに−2α°(
図6(a)の状態から−4α°)斜めを向いたときに、第3ミラー31を所定量回転させることで、第4ミラー4を経由して、第1ミラー11の中心Pに光を入射させることができる。
図15(b)の例では、第1ミラー11に入射する光の入射角は、
図6(a)の状態よりも−A°増えている。
第1ミラー11に
図6(a)の状態よりも−A°増えた角度で入射した光は、上述したように、その1/2倍の角度(即ち、−1/2A°)に第1ミラー11を回転させることで、
図6(a)で観察したときと同じ部位で反射した光が第1ミラー11での反射により第2ミラー12に入射されることになる。
同様に、
図15(a)の状態から、被観察者(の口腔部)50がさらに+α°(
図6(a)の状態から−α°)斜めを向いたときに、第3ミラー31を所定量回転させることで、第4ミラー4を経由して、第1ミラー11の中心Pに光を入射させることができる。
図15(c)の例では、第1ミラー11に入射する光の入射角は、
図6(a)の状態よりも−B°増えている。
第1ミラー11に
図6(a)の状態よりも−B°増えた角度で入射した光は、上述したように、その1/2倍の角度(即ち、−1/2B°)に第1ミラー11を回転させることで、
図6(a)で観察したときと同じ部位で反射した光が第1ミラー11での反射により第2ミラー12に入射されることになる。
即ち、実施例2の口腔観察装置1’では、第3ミラー31を所定量回転させて、第4ミラー32の反射光が、第1ミラー11の中心Pに入射するように調整すれば、第1ミラー11に入射する光の入射角度が、
図6(a)を基準として、どのような角度であっても、第1ミラー11を、第1ミラー11に入射する光の角度の1/2回転させることで、
図6(a)で観察したときと同じ部位で反射した光を第2ミラー12に入射させることができる。
【0115】
また、
図6(a)の状態から、被観察者(の口腔部)50が所定角度+2α°斜めを向いたときには、第1筐体10に対し、第2筐体30を180°回転させる。これにより、第3ミラー31で被観察者(の口腔部)50からの光を反射させ、第4ミラー32を経由して、第1ミラー11の中心Pに光を入射させることができる。
図15(d)の例では、第1ミラー11に入射する光の入射角は、
図6(a)の状態よりも+2α°増えている。
上述したように、実施例2の口腔観察装置1’では、第3ミラー31を所定量回転させて、第4ミラー32の反射光が、第1ミラー11の中心Pに入射するように調整すれば、第1ミラー11に入射する光の入射角度が、
図6(a)を基準として、どのような角度であっても、第1ミラー11を、第1ミラー11に入射する光の角度の1/2回転させることで、
図6(a)で観察したときと同じ部位で反射した光を第2ミラー12に入射させることができる。このため、第1ミラー11を+α°回転させることで、
図6(a)で観察したときと同じ部位で反射した光が第1ミラー11での反射により第2ミラー12に入射されることになる。
【0116】
また、
図15を用いて説明した原理を応用すると、被観察者(の口腔部)50の向きを一定にさせた状態で、第2回転操作部33を介して第3ミラー33を回転させるとともに、第1回転操作部13を介して第1ミラー33を回転させることで、被観察者40の観察部位において観察者50が所望する任意の観察方向からの観察光が第2ミラー12、接眼鏡筒20の観察光軸を通るようになる。
【0117】
次に、
図8の口腔観察装置1’を用いて左右の眼が観察者の左右の眼に対して平行となるような被観察姿勢をとっている被観察者50を観察する場合における被観察者50の向き及び観察位置と第1ミラー11及び第3ミラー31の回転方向との関係に関し、第1ミラー11における入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して平行な軸上に接続され、且つ、第1筐体10に回転可能に設けられた第1回転軸13c及び第3ミラー31における入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して垂直な軸上に接続され、且つ、第2筐体10に回転可能に設けられた第2回転軸33b、を回転させる場合について
図16を用いて説明する。
なお、
図16では被観察者50は左右の眼が第2筐体30の長手方向に90度交差するような被観察姿勢にあるとともに、第2筐体30は第1筐体10に対し、互いの筐体の長手方向が90度交差するように回転させられているものとする。
図16(a)は、被観察者(の口腔部)50が
図6(a)の状態から位置をスライドすることなく所定角度−2β°斜めを向いた状態において、第3ミラー31を所定角度回転させるとともに第1ミラーを−β°回転させて、第2ミラー12に被観察者(の口腔部)50の正面の像が映るようにしたときの状態を示している。この状態は、次の操作により実現できる。
図7(a)の状態から、被観察者(の口腔部)50が所定角度−2β°斜めを向いたときには、被観察者50の位置をスライドさせることなく、観察者40は、第2回転操作部33を介して第3ミラー31を、第2回転軸33bを中心として所定角度回転させると、第4ミラー32で反射した光が、
図7(b)と同様に、
図7(a)の状態から−2β°斜めを向いて第1ミラー11に入射するようになる。その状態で、観察者40は、第1回転操作部13を介して第1ミラー11を、第1回転軸13bを中心として−β°回転させると(
図16(a)参照)、
図7(a)と同様に、被観察者(の口腔部)50の正面で反射した光が第2ミラー12、接眼鏡筒20の観察光軸を通るようになる。
この原理を次に説明する。
なお、
図16においては、時計の針の回転方向を+、時計の針とは反対の回転方向を−で示すこととする。また、
図16(a)におけるスライド方向に関し、基準位置より右側方向を+、左側方向を−で示すこととする。
【0118】
上述したように、接眼鏡筒20から被観察者50側に向かう光の方向について考えたとき、
図7(a)の状態から、接眼鏡筒20、第2ミラー12を静止させたまま、第1ミラー11を、第1回転軸13cを中心として−β°回転させると、第2ミラー12から第1ミラー11に入射し第1ミラー11で反射した光の反射角度は
図7(a)に比べて−β°増えることになる。
第1ミラー11で反射した光を第4ミラー32で反射し、第4ミラー32で反射した光を第3ミラー31で反射させる。ここで、
図16(a)の例では、第3ミラー31を所定角度回転させて第3ミラー31で反射した光が被観察者(の口腔部)50に入射するように調整されているものとし、このときの第3ミラー31で反射した光の入射角が−2β°であるものとする。
第1ミラー11に
図7(a)の状態よりも−2β°増えた角度で入射した光は、上述したように、その1/2倍の角度(即ち、−β°)に第1ミラー11を回転させることで、
図7(a)で観察したときと同じ部位で反射した光が第1ミラー11での反射により第2ミラー12に入射されることになる。
【0119】
また、上記と同様の原理より、
図7(a)の状態から、被観察者(の口腔部)50がさらに+2β°斜めを向いたときに、第3ミラー31を所定量回転させることで、第4ミラー4を経由して、第1ミラー11の中心Pに光を入射させることができる。
図16(b)の例では、第1ミラー11に入射する光の入射角は、
図7(a)の状態よりも−2β°増えている。
第1ミラー11に
図7(a)の状態よりも−β°増えた角度で入射した光は、上述したように、その1/2倍の角度(即ち、−1/2β°)に第1ミラー11を回転させることで、
図7(a)で観察したときと同じ部位で反射した光が第1ミラー11での反射により第2ミラー12に入射されることになる。
【0120】
また、上記と同様の原理より、
図7(a)の状態から、被観察者(の口腔部)50が所定角度+2β°斜めを向いたときには、被観察者50の位置をスライドさせることなく、観察者40は、第2回転操作部33を介して第3ミラー31を、第2回転軸33bを中心として所定角度回転させると、第4ミラー32で反射した光が、
図7(b)と同様に、
図7(a)の状態から+2β°斜めを向いて第1ミラー11に入射するようになる。その状態で、観察者40は、第1回転操作部13を介して第1ミラー11を、第1回転軸13cを中心として+β°回転させると(
図16(b)参照)、
図7(a)と同様に、被観察者(の口腔部)50の正面で反射した光が第2ミラー12、接眼鏡筒20の観察光軸を通るようになる。
【0121】
また、
図16を用いて説明した原理を応用すると、被観察者(の口腔部)50の向きを一定にさせた状態で、第2回転操作部33を介して第3ミラー33を回転させるとともに、第1回転操作部13を介して第1ミラー33を回転させることで、被観察者40の観察部位において観察者50が所望する任意の観察方向からの観察光が第2ミラー12、接眼鏡筒20の観察光軸を通るようになる。
【0122】
なお、例えば、
図16の状態から第2筐体30を第1筐体10に対して、互いの長手方向が交差するように回転させると、
図14(d)に示したような向きにすることができる。この場合においても、
図15、
図16を用いて説明したのと同様の原理により、観察者40は、被観察者50の位置をスライドさせることなく、第3ミラー31、第1ミラー11、第2筐体30の回転により、被観察者(の口腔部)50を上下方向の所定範囲の角度にわたって、被観察者(の口腔部)50の正面で反射した光が第2ミラー12、接眼鏡筒20の観察光軸を通るようになる。
また、
図16の状態から第2筐体30を第1筐体10に対して、互いの長手方向が交差するように回転させて
図14(d)に示したような向きにした場合において、被観察者50の位置をスライドさせることなく、しかも被観察者50の上下方向の向きを変動させない場合は、第3ミラー31、第1ミラー11、第2筐体30の回転により、被観察者(の口腔部)50を上下方向の所定範囲の角度にわたって、被観察者(の口腔部)50における異なる部位で反射した光が第2ミラー12、接眼鏡筒20の観察光軸を通るようになり、従来、通常の観察装置では観察姿勢を保持したままでは観察が非常に難しかった被観察者40の上顎についても、観察像を観察できるようになる。
【0123】
実施例2の口腔観察装置1’によれば、実施例1の口腔観察装置1の構成に加えて、第2筐体30をさらに有して構成し、被観察者50の向きの変動又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する観察方向の変動に応じて、第3ミラー31及び第1ミラー11を回転させることにより、接眼鏡筒20を介して被観察者50の同じ方向からの観察像又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できるようにしたので、被観察者50が向きを変えても、又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する観察方向を変えても、観察者40は頭と手との相対的位置が正中ずれを起こすことなく真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、被観察者50の位置を移動させることなく被観察者50の同じ方向からの観察像又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できる。
【0124】
また、実施例2の口腔観察装置1’によれば、被観察者50の左右の眼が第2筐体30の長手方向に沿うような被観察姿勢にあるとともに、第2筐体30が第1筐体10に対し、互いの筐体の長手方向が一致する状態で使用したときには、第3ミラー31、第1ミラー11の回転により、被観察者50に対する上下方向において、観察者40における頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持したまま、被観察者50の位置を移動させることなく被観察者50の同じ方向からの観察像又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できる範囲を広くとることができる。また、従来、通常の観察装置では観察姿勢を保持したままでは観察が非常に難しかった被観察者50の上顎についても、観察者40は頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持したまま、被観察者50の位置を移動させることなく観察像を観察できる。
【0125】
また、実施例2の口腔観察装置1’によれば、第1筐体10に対して第2筐体30を第1ミラー11の中心Pを上下方向に通る軸を中心として回転させることができるようにしたので、被観察者50が正面の向きから左右何れの方向に所定角度向きを変えても、又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する観察方向を変えても、第2筐体30を回転させることにより、観察者40は頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、被観察者50の位置を移動させることなく被観察者50の同じ方向からの観察像又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できる。
【0126】
また、実施例2の口腔観察装置1’によれば、第2筐体30に、被観察者50からの光が直接的に第1ミラー11へ入射する第1光路と被観察者50からの光が直接的に第3ミラー31へ入射する第2光路のうちのいずれか一方の光路を選択可能な光路選択手段(
図8の例では、遮光部材38)を備え、光路選択手段を介して第2光路を選択したときには、第1筐体10、第2ミラー12、接眼鏡筒20及び第4ミラー32を静止させた状態で、被観察者50の向きの変動又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する観察方向の変動に応じて、第3ミラー31及び第1ミラー11を回転させることにより、観察者40の頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、接眼鏡筒20を介して被観察者50の同じ方向からの観察像又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する任意の観察方向からの観察像を観察でき、光路選択手段を介して第1光路を選択したときには、第1筐体10、第2ミラー12及び接眼鏡筒20を静止させた状態で、被観察者50の向きの変動又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する観察方向の変動に応じて第1ミラー11を回転させることにより、観察者40の頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、接眼鏡筒20を介して被観察者50の同じ方向からの観察像又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できるようにしたので、被観察者が正面、斜めのいずれの向きを向いても、又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する観察方向を何れの方向に変えても、観察者は頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、被観察者の位置を移動させることなく被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者50の観察部位において観察者40が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できる。
【0127】
また、実施例2の口腔観察装置1’によれば、第2筐体30を第1筐体10に対して着脱可能に構成したので、観察時における被観察者50の向き及び位置を変える必要性のない場合に、第2筐体30を取り外すことで、観察スペースをより広く確保することができるとともに、操作性が向上する。
【0128】
また、実施例2の口腔観察装置1’において、第2回転操作部33を、第3ミラー31における入射光軸及び出射光軸を含む仮想平面に対して垂直な軸上に接続された第2回転軸33bと、第2回転軸33bを回転可能に配置された第2モータ33eと、第2筐体30の外部に設けられていて第2モータ33eの駆動を制御する第2スイッチ(不図示)と、を備え、第2スイッチを介して第2筐体30に対して第3ミラー31を回転させることが可能に構成すれば、第3ミラー31の回転操作が簡単になり、観察者40の負担がより一層軽減される。
【0129】
また、実施例2の口腔観察装置1’によれば、第3ミラー31及び第4ミラー32を、金属製鏡又は樹脂製表面反射鏡で構成し、また、第2筐体30を、射出成形された樹脂材料で構成したので、第2筐体30の軽量化が具現化できる。
【0130】
また、実施例2の口腔観察装置1’によれば、さらに、第2筐体30における被観察者50からの光を第3ミラー31又は第1ミラー11に入射させるための開口部35に防塵用の透明板状部材36を備えたので、観察時におけるゴミ等の観察装置内への侵入を阻止でき、被観察者50の被観察部をより良好に観察できる。
【0131】
また、実施例2の口腔観察装置1’によれば、第2筐体30に、防塵用の透明板状部材36に付着する汚れを除去するエアー式ワイパー(図示省略)を備えたので、水の飛沫が飛散しても防塵用の透明板状部材36により第2筐体30内のミラーを曇らせることを防止した上で、エアー式ワイパーにより、観察者40の手を用いることなく、防塵用の透明板状部材36に付着する水の飛沫等を除去できる。このため、第2筐体30を被観察者50の口腔部に近接させた状態で、観察者40である術者は手術に集中できる。
【0132】
また、実施例2の口腔観察装置1’によれば、さらに、第2筐体30における、被観察者50からの光を第3ミラー31又は第1ミラー11に入射させるための開口部35の近傍に、被観察者50を照明するためのLED37を備えたので、別途に照明装置を設けずに済み、装置全体の小型軽量化に寄与する。
【0133】
その他の構成及び作用効果は、実施例1の口腔観察装置1と略同じである。
【0134】
以上、本発明の口腔観察装置の実施例を説明したが、本発明の口腔観察装置は、上記実施例の構成に限定されるものではない。
例えば、実施例2における
図9及び
図10に示した口腔観察装置1’では、2次元方向回転部18に第2筐体保持部18c(板面部18c
1、凸条部18c
2)を備えるとともに、第2筐体30の上部及び上部側方にかけて2次元方向回転部18を側方から挿入可能な切欠き部と、第2筐体30の凹溝部38’を設け、第2筐体30を第1筐体10に着脱可能に構成したが、第2筐体30は、第1筐体10に対し、第1ミラー11の中心Pを上下方向に通る軸を中心として2次元方向(
図9では矢印Z方向)に回転可能であれば、第1筐体10に対し着脱不能に構成してもよい。
【0135】
また、本発明の口腔観察装置における、第1ミラーが第1筐体に対して回転可能な構成や、第3ミラーが第2筐体に対して回転可能な構成は、上記各実施例の説明において図示した構成に限定されるものではなく、どのような構成であってもよい。
【0136】
また、
図8に示した実施例2の口腔観察装置1’では、第2筐体30を、第1筐体10に対して、第1ミラー11の中心Pを上下方向に通る軸を中心として回転可能に構成したが、本発明の口腔観察装置は、第2筐体を第1筐体との相対的位置を変動可能に配置されたものであればよく、例えば、
図17に示すように、第2筐体30を、第1筐体10に対して、所定方向にスライド可能に取り付けた構成としてもよい。
【0137】
図17は実施例2の一変形例にかかる口腔観察装置の要部構成を示す説明図で、(a)は斜視図、(b)は第1筐体に対する第2筐体の取り付け状態を示す図である。なお、
図17では便宜上、拡大鏡、その他一部の構成を省略して示してある。
図17の変形例の口腔観察装置1”では、第1筐体10の底部には、短手方向の一対の辺に沿って、1対のガイド部19が設けられている。ガイド部19は、肉厚状の基部19aと、支持部19bとで構成されている。支持部19bは断面がL字状に形成されていて基部19aに固定されている。
また、第2筐体30の長手方向側部には、一対の被支持部39が設けられている。被支持部39は、断面がL字状に形成されていて、上下の向きを逆にして、第2筐体30の長手方向側部に固定されている。
そして、第2筐体30は、第1筐体10に対し、被支持部39が支持部19に支持されるように挿入されており、第1筐体10の短手方向(
図17では矢印A方向)にスライド可能となっている。
【0138】
なお、
図17の変形例の口腔観察装置1”では、第1筐体10には、コの字形の枠体13a’が固定されている。また、第1回転軸13bがコの字形の枠体13a’に対し、回転可能に設けられている。そして、第1ミラー11は、第1回転軸13bに接続されており、第1回転軸13bを介して第1筐体10に対して回転可能となっている。
また、第2筐体30には、コの字形の枠体33a’が固定されている。また、第2回転軸33bがコの字形の枠体33a’に対し、回転可能に設けられている。そして、第3ミラー31は、第2回転軸33bに接続されており、第2回転軸33bを介して第2筐体30に対して回転可能となっている。
その他の構成は、
図8に示した実施例2の口腔観察装置1’と略同じである。
【0139】
図17の変形例の口腔観察装置1”によれば、第2筐体30を、第1筐体10に対し、第1筐体10の短手方向にスライドさせるとともに、第1ミラー11、第3ミラー31の回転角度を調整することにより、被観察者が正面の向きから左右何れか一方の方向に所定角度向きを変えても、又は被観察者の観察部位において観察者が所望する観察方向を変えても、観察者は頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、被観察者の位置をスライドさせることなく被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者の観察部位において観察者が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できる。
その他の作用効果は、
図8に示した実施例2の口腔観察装置1’と略同じである。
【0140】
図18は実施例2の他の変形例にかかる口腔観察装置の要部構成を示す説明図で、(a)は上方から見た図、(b)は斜視図である。
図18(b)中、50aは観察者の手である。なお、
図18では便宜上、拡大鏡、その他一部の構成を省略して示してある。
図18の変形例の口腔観察装置1’”では、第1回転操作部13は、コの字形の枠体13a”と、第1回転軸13b”,13c”と、第1把持部13d”を有して構成されている。第1ミラー11は、第1回転軸13b”に固定した状態で接続している。第1回転軸13b”は、第1ミラー11における入射光軸と出射光軸を含む仮想平面に対して垂直に配置された、入射光軸と出射光軸との交点又は交点の近傍を通る軸上に位置する1本の棒状部材からなり、コの字形の枠体13a”に対して回転可能に設けられている。コの字形の枠体13a”は、第1回転軸13c”の一端に固定した状態で接続している。第1回転軸13c”は、第1ミラー11における入射光軸と出射光軸を含む仮想平面に対して平行に配置された、入射光軸と出射光軸との交点又は交点の近傍を通る軸上に位置する1本の棒状部材からなり、第1筐体10に対して回転可能に設けられている。第1把持部13d”は、第1回転軸13c”の他端に固定した状態で接続している。
【0141】
また、
図18の変形例の口腔観察装置1’”では、第1筐体10に対して第2ミラー12を回転可能な第2ミラー回転操作部14”を有している。第2ミラー回転操作部14”は、コの字形の枠体14a”と、回転軸14b”,14c”と、把持部14d”を有して構成されている。第2ミラー12は、回転軸14b”に固定した状態で接続している。回転軸14b”は、第2ミラー12における入射光軸と出射光軸を含む仮想平面に対して垂直に配置された、入射光軸と出射光軸との交点又は交点の近傍を通る軸上に位置する1本の棒状部材からなり、コの字形の枠体14a”に対して回転可能に設けられている。コの字形の枠体14a”は、回転軸14c”の一端に固定した状態で接続している。回転軸14c”は、第2ミラー12における入射光軸と出射光軸を含む仮想平面に対して平行に配置された、入射光軸と出射光軸との交点又は交点の近傍を通る軸上に位置する1本の棒状部材からなり、第1筐体10に対して回転可能に設けられている。把持部14d”は、回転軸14c”の他端に固定した状態で接続している。
【0142】
また、
図18の変形例の口腔観察装置1’”では、第2回転操作部33は、コの字形の枠体33a”と、第2回転軸33b”,33c”と、第2把持部33d”を有して構成されている。第3ミラー31は、第2回転軸33b”に固定した状態で接続している。第2回転軸33b”は、第3ミラー31における入射光軸と出射光軸を含む仮想平面に対して垂直に配置された、入射光軸と出射光軸との交点又は交点の近傍を通る軸上に位置する1本の棒状部材からなり、コの字形の枠体33a”に対して回転可能に設けられている。コの字形の枠体33a”は、第2回転軸33c”の一端に固定した状態で接続している。第2回転軸33c”は、第3ミラー31における入射光軸と出射光軸を含む仮想平面に対して平行に配置された、入射光軸と出射光軸との交点又は交点の近傍を通る軸上に位置する1本の棒状部材からなり、第2筐体30に対して回転可能に設けられている。第2把持部33d”は、第2回転軸33c”の他端に固定した状態で接続している。
【0143】
また、第2筐体30は、第1筐体10に対して被観察者側に配置され、2次元方向回転部18”を介して第1ミラー11の中心を上下方向に通る軸を中心として回転可能に構成されている。2次元方向回転部18”は、筒状の軸受部18a”と、第2筐体保持部18c”とを有している。筒状の軸受部18a”は、例えば、
図9に示した2次元方向回転部18におけるスラスト玉軸受部とラジアル玉軸受部を備えて構成されている。第2筐体保持部18c”は、第2筐体30の上部に固定されていて、筒状の軸受部18a”の筒形状部分を嵌合する穴を有し、穴の周囲で筒状の軸受部18a”の上縁を保持する板面で構成されている。
その他の構成は、
図8に示した実施例2の口腔観察装置1’と略同じである。
図18の変形例の口腔観察装置1’”によれば、
図8に示した実施例2の口腔観察装置1’と同様、被観察者が向きを変えても、又は被観察者の観察部位において観察者が所望する観察方向を変えても、観察者は頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で、被観察者の位置をスライドさせることなく被観察者の同じ方向からの観察像又は被観察者の観察部位において観察者が所望する任意の観察方向からの観察像を観察できる。
【0144】
さらに、本発明の口腔観察装置は、上記の実施例、変形例で説明した構成に限定されるものではなく、これらの例の夫々において特有の構成を任意に組合せて構成してもよい。
【課題】装置全体を小型・軽量化でき、且つ、被観察者の向きの変動又は観察者が所望する観察方向の変動に追従して、観察者の頭と手との相対的な位置が真っ直ぐな観察姿勢を保持した状態で観察可能な口腔観察装置の提供。
【解決手段】被観察者からの光を偏向する第1ミラー11と第1ミラーで偏向された光を偏向する第2ミラー12を備えた第1筐体10と、第1筐体に接続され第2ミラーで偏向された光による像を拡大観察可能な接眼鏡筒20とを有し、観察光路上には被観察者側から順に第1ミラーと第2ミラーと接眼鏡筒が配置され、第1ミラーが、入射光軸と出射光軸との交点P又は交点近傍を通る軸を中心として第1筐体に対して回転可能に構成され、第1筐体、第2ミラー及び接眼鏡筒を静止させた状態で、被観察者の向きの変動に応じて第1ミラーを回転させて、被観察者の同じ方向からの観察像を観察できるようにした。