特許第6040550号(P6040550)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040550
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】蓄電素子
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/30 20060101AFI20161128BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20161128BHJP
   H01M 2/04 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   H01M2/30 B
   H01M2/02 A
   H01M2/04 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-74500(P2012-74500)
(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公開番号】特開2013-206713(P2013-206713A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】増田 真規
(72)【発明者】
【氏名】山福 太郎
【審査官】 山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−004446(JP,U)
【文献】 特開平08−045795(JP,A)
【文献】 特開2009−283335(JP,A)
【文献】 特開2003−092103(JP,A)
【文献】 特開2010−097764(JP,A)
【文献】 特開2010−040533(JP,A)
【文献】 特開2006−278372(JP,A)
【文献】 実開昭52−067944(JP,U)
【文献】 実開平05−046022(JP,U)
【文献】 実公平05−032993(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/30
H01G 4/236
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに収容される発電要素と、前記発電要素の正及び/又は負の電極に導通接続され、かつ、前記ケースのケース外側面に配される外部端子と、を備えて成る蓄電素子であって、
前記外部端子は、金属材製の前記ケースにリベット止めされる絶縁材製の端子台に係止されており、
前記ケース外側面における前記端子台の傍らとなる箇所にハンダ付けによる肉盛り部を形成して、前記端子台を前記ケースに対して回り止めする回動規制手段が設けられている蓄電素子。
【請求項2】
前記端子台はリベットによりリベット止めされており、前記端子台における前記リベットの軸心であるリベット軸心よりも前記外部端子の軸心である端子軸心に近い側に前記肉盛り部が設けられている請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
ケースに収容される発電要素と、前記発電要素の正及び/又は負の電極に導通接続され、かつ、前記ケースのケース外側面に配される外部端子と、を備えて成る蓄電素子であって、
前記外部端子は、金属材製の前記ケースにリベット止めされる絶縁材製の端子台に係止されており、
前記ケース外側面における前記端子台の傍らとなる箇所にストッパがハンダ付けされて、前記端子台を前記ケースに対して回り止めする回動規制手段が設けられている蓄電素子。
【請求項4】
前記端子台はリベットによりリベット止めされており、前記端子台における前記リベットの軸心であるリベット軸心よりも前記外部端子の軸心である端子軸心に近い側に前記ストッパが設けられている請求項3に記載の蓄電素子。
【請求項5】
前記ストッパが取り外し可能である請求項4に記載の蓄電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子に係り、詳しくは、ケースに収容される発電要素と、前記発電要素の正及び負の電極の少なくとも一方に導通接続され、かつ、前記ケースの外側面に配置される外部端子と、を備えて成る蓄電素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の蓄電素子としては、特許文献1において開示された非水電解質二次電池(リチウムイオン二次電池)が知られている。発電要素(1)は、正負の極板と絶縁用のセパレータとを渦巻状に巻回して成るものである。この蓄電要素における正負の電極の取出しについては、発電要素(1)の正及び負の各極に導通接続される正負の集電接続体(2)と、正負の外部端子(端子ボルト:9)とが、リベット(7)と導通板(端子台:8)とを介して導通接続される構造が採られている。
【0003】
このような電極取出し構造では、金属製の導通板(8)が外部端子(9)を立設状態に支持するとともに導通部材として機能している。そして、導通板(8)と集電接続体(2)とは、蓋板(4)を内外に貫通するリベット(7)を用いて導通接続されている。リベット(7)は、導通板(8)及び端子台(絶縁封止板:6)を蓋板(4)へ係止する手段としても機能している。また、外部端子(9)は結果的にリベット(7)によって蓋板(4)に支持される構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−232187
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような構成を採る蓄電素子においては、外部端子(9)は、中間に導通板(8)を用いてリベット(7)のみで蓋板(4)に支持されていることになるので、外部端子(9)並びに端子台(6)をリベット軸心回りに動いてしまわないように、回り止めする構成が必要である。
例えば、外部端子(9)にリード線をナット止めする際の締付けトルクや、運搬時や使用時における他物との当接や衝突により、外部端子(9)や端子台(6)がリベット軸心に関して回動移動しないようにするためである。
【0006】
従来においては、外部端子を端子台に対して回り止め状態にするとともに、接着剤を用いて端子台を蓋板に貼着させることにより、外部端子や端子台をリベット軸心回りに移動することがないようにしていた。
しかしながら、合成樹脂などの絶縁材製の端子台を金属製の蓋板に強固に貼着するための接着剤は、コストの高い特殊なものが必要であるとともに生産性の点で芳しくないものでもあり、改善の余地が残されているものであった。
【0007】
本発明の目的は、冒頭に記載した蓄電素子において、外部端子や端子台の蓋板に対する回り止め構造を、生産性に優れる或いは廉価に済むものとなるように、改善されたものとして提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、ケース4に収容される発電要素1と、前記発電要素1の正及び/又は負の電極7,8に導通接続され、かつ、前記ケース4のケース外側面18に配される外部端子5,6と、を備えて成る蓄電素子において、
前記外部端子5,6は、金属材製の前記ケース4にリベット止めされる絶縁材製の端子台17に係止されており、
前記ケース外側面18における前記端子台17の傍らとなる箇所にハンダ付けによる肉盛り部mを形成して、前記端子台17を前記ケース4に対して回り止めする回動規制手段Sが設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の蓄電素子において、
前記端子台17はリベット13によりリベット止めされており、前記端子台17における前記リベット13の軸心であるリベット軸心qよりも前記外部端子5,6の軸心である端子軸心tに近い側に前記肉盛り部mが設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、ケース4に収容される発電要素1と、前記発電要素1の正及び/又は負の電極7,8に導通接続され、かつ、前記ケース4のケース外側面18に配される外部端子5,6と、を備えて成る蓄電素子において、
前記外部端子5,6は、金属材製の前記ケース4にリベット止めされる絶縁材製の端子台17に係止されており、
前記ケース外側面18における前記端子台17の傍らとなる箇所にストッパ19がハンダ付けされて、前記端子台17を前記ケース4に対して回り止めする回動規制手段Sが設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の蓄電素子において、
前記端子台17はリベット13によりリベット止めされており、前記端子台17における前記リベット13の軸心であるリベット軸心qよりも前記外部端子5,6の軸心である端子軸心tに近い側に前記ストッパ19が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の蓄電素子において、
前記ストッパが取り外し可能であることを特徴とする。
【0013】
請求項1又は2に記載の蓄電素子において、
前記ケース4は、アルミ又はアルミ合金製で、かつ、前記肉盛り部mは、前記ケース4にアルミはんだyを用いたハンダ付けにより形成されていることを特徴とする参考手段1を採ることが可能である。
【0014】
請求項1又は2に記載の蓄電素子において、
前記端子台17は、端子軸心t方向視で前記端子軸心tとリベット軸心qとを結ぶ方向に長い矩形形状のものに形成され、 前記肉盛り部mは、前記端子台17の長手方向に延びる一対の長側壁17b,17bそれぞれに対応して沿う一対の横盛り部24,24と、前記端子台17における前記一対の長側壁17b,17bを繋ぐ一対の短側壁17d,17dのうちの前記端子軸心tに近い側の端子軸心側短側壁17dに沿う縦盛り部25と、を有するコ字状のものに形成されていることを特徴とする参考手段2を採ることが可能である。
【0015】
請求項3又は4に記載の蓄電素子において、
前記ケース4は、アルミ又はアルミ合金製で、かつ、前記ストッパ19は、前記ケース4にアルミはんだyを用いてハンダ付けされていることを特徴とする参考手段3を採ることが可能である。
【0016】
請求項1,2,3,4の何れか一項に記載の蓄電素子において、
前記肉盛り部m又は前記ストッパ19の端子軸心tに対する径方向間隔が、前記肉盛り部m又は前記ストッパ19のリベット軸心qに対する径方向間隔よりも小となる状態に設けられていることを特徴とする参考手段4を採ることが可能である
【発明の効果】
【0017】
請求項1,2の蓄電素子においては、ケースへのハンダ付けによる肉盛り部を端子台の傍らに設ける、という物理的な回動規制手段により端子台を回り止めしているので、従来の「金属材製蓋ケース部と絶縁材製端子台との接着」手段よりも、「ハンダ付け」手段の方が廉価で済み、かつ、回り止め防止作用及びその信頼性が向上するという利点が得られる。
従来では、経年による接着剤の劣化や外部から加えられる振動(走行振動など)により、貼着による端子台のケースへの固定が緩むおそれが考えられるが、本発明ではそのようなおそれが解消される。
その結果、外部端子や端子台のケースに対する回り止め構造を、生産性に優れる或いは廉価に済むものとなるように改善された蓄電素子を提供することができる。
【0018】
請求項3,4の蓄電素子においては、ケースにハンダ付けされたストッパを端子台の傍らに配備する、という物理的な回動規制手段により端子台をケースに対して回り止めしているので、従来の「金属材製蓋ケース部と絶縁材製端子台との接着」手段よりも、「金属製ストッパ+ハンダ付け」手段の方が廉価で済み、かつ、回り止め防止作用及びその信頼性が向上するという利点が得られる。
従来では、経年による接着剤の劣化や外部から加えられる振動(走行振動など)により、貼着による端子台の蓋ケース部への固定が緩むおそれが考えられるが、本発明ではそのようなおそれが解消される。
その結果、外部端子や端子台のケースに対する回り止め構造を、生産性に優れる或いは廉価に済むものとなるように改善された蓄電素子を提供することができる。
【0019】
請求項5の蓄電素子においては、外力や振動などによって端子台が回動移動しようとすることを、端子台のそばに配置されているストッパによって防止させることができる。そして、外部機器の取付け後など、端子台に回動トルクが作用しない状態になった場合には、ストッパを取外して不要部品の排除や軽量化を図ることが可能となる。
【0020】
参考手段1の蓄電素子においては、はんだの材料としてアルミはんだを用いているので、ケースがアルミ製(又はアルミ合金製)である場合に好適なものとなる。即ち、一般的な材料のはんだはアルミ材にハンダ付けできない又はかなり困難であるが、アルミはんだを用いることにより、アルミ製のケースに良好に肉盛り部を形成することができる。その結果、端子台や外部端子の回り止め効果の信頼性を、より向上させることができる。
【0021】
参考手段4の蓄電素子においては、肉盛り部又はストッパの端子軸心に対する径方向間隔が、肉盛り部又はストッパのリベット軸心に対する径方向間隔よりも小となる状態に設けられている。これにより、肉盛り部又はストッパにおける端子台が回ろうとするトルクの受け中心が、その回動軸心であるリベット軸心に対する径方向で遠い箇所に配置されることになり、従って、回動トルクを極力軽く良く受け止めることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】蓄電素子の一例であるリチウムイオン二次電池の分解斜視図
図2】実施形態1による端子台の回り止め構造を示す導通接続部の断面図
図3図2の導通接続部の平面図
図4図2の端子台の回り止め構造を示す概略の斜視図
図5】実施形態2による端子台の回り止め構造を示す概略の斜視図
図6】実施形態3による外部端子の回り止め構造を示し、(a)は導通接続部の断面図、(b)は導通接続部の平面図
図7】(a),(b)共に、他の実施形態による端子台の回り止め構造を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明による蓄電素子の実施の形態を、非水電解質二次電池として代表的なリチウムイオン二次電池に適用した場合について図面を参照しながら説明する。以下、一対の集電体2,3やその構造に関しては、基本的に一方(正極側)の説明のみとし、他方(負極側)には対応する符号を付して、その説明が為されたものとする。
【0024】
〔実施形態1〕
図1に、実施形態1によるリチウムイオン二次電池Aの分解斜視図が示されている。このリチウムイオン二次電池Aは、発電要素1や電解質(図示省略)などを収容する電池ケース4の上面に、正負の外部端子5,6を設けて成る扁平な縦向き角型のものに構成されている。電池ケース4は、無蓋箱状でアルミ又はアルミ合金製の本体ケース4Bと、アルミ又はアルミ合金の板材で成る蓋ケース部4Aとをレーザー溶接などによって溶接一体化されて構成されている。なお、図示は省略するが、発電要素1及び一対の集電体2,3などと電池ケース4との間には、これら発電要素1及び各集電体2,3などを収容する合成樹脂製袋状体などの絶縁材が配備されている。
【0025】
発電要素1は、図1に示すように、正及び負の各極板(極箔)7,8とそれら両者7,8間に設けられる絶縁材で二枚のセパレータ9とを渦巻状に巻回して渦巻軸心P方向視で角丸長方形を呈するものに形成されている。正極板7は、帯状のアルミニウム箔製の基材上に正極活物質層が形成されて成り、長手方向(左右方向)の一端部に正極活物質層のない正極の活物質層未形成部7Aが形成されている。負極板8は、帯状の銅箔製の基材上に負極活物質層が形成されて成り、長手方向(左右方向)の一端部に負極活物質層のない負極の活物質層未形成部8Aが形成されている。4枚積層体構造の発電要素1においては、正極板7と負極板8とが渦巻軸心P方向で互いに異なる方向にずらされた状態で交互に積層されている。
【0026】
正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出する公知の材料が可能であり、例えば、LiCoO2や前記Coの一部がNi,Mnその他の遷移金属或いはホウ素で置換されたα−NaFeO2構造を有するリチウム含有遷移金属酸化物、LiMn2O4に代表されるスピネル型結晶構造を有する化合物、LiFePO4、LiFeSO4、或は前記Feの一部がCo、Mn等で置換されたポリアニオン型化合物等を用いることが可能である。
【0027】
アルミ又はアルミ合金製の正極の集電体2と、銅又は銅合金製の負極の集電体3とは互いに同じ構造を有しているので、正極の集電体2で説明する。即ち、図1に示すように、正極の集電体2は、蓋ケース部4Aに係止される横板部10と、その端から折り曲げられて垂下される縦板部11と、縦板部11の下部両脇から内向きに90度曲げられた状態で下方延伸される帯状で一対の集電板部12,12とを備える屈曲板状のものに構成されている。
【0028】
横板部10は、その内側端部に形成される孔10aを挿通するリベット13等を用いて(介して)正極の外部端子5に導通接続される。各集電板部12には、金属材製のクリップ14を用いて正極の活物質層未形成部7Aの複数が導通接合される。具体的には、活物質層未形成部7Aにおける上下に延びる部分の複数を束ねてクリップ14に挟み込み、その複数の活物質層未形成部7Aを挟み込んだ状態のクリップ14と集電板部12とを重ね、超音波溶接等の手段を用いて導通接合させる。すなわち、リベット13のケース内側部分13cと発電要素1の正極板7とは導通接続されている。なお、正極用のクリップ14はアルミ又はアルミ合金製であり、負極用のクリップ14は銅板製である。
【0029】
次に、発電要素1と正負の外部端子5,6との導通接続部の構造について説明する。正負の各導通接続部は互いに同じ構造であるので、正極の外部端子5のもので代表説明する。
図1に示すように、正極の集電体2と正極の外部端子5とは、リベット13と導通板15とを介して(用いて)導通接続されている。正極用のリベット13はアルミ又はアルミ合金製であり、横板部10と、蓋ケース部4Aと、これら両者10,4Aとの上下間に介装される絶縁性の内部ガスケット16と、絶縁性の端子台(外部ガスケット)17との四者をカシメ(加締)ることにより、集電体2及びリベット13とを導通接続しながらもそれら両者2,13、内部ガスケット16、及び端子台17を蓋ケース部4Aに支持させている。すなわち、端子台17は、ケース4と絶縁状態で、ケース内外を挿通する金属材製のリベット13により、ケース外側面18に係止され、リベット13のケース外側部分13aと外部端子5とが導通接続されている。
【0030】
導通板15は、リベット13の上部に挿通されてのカシメにより、リベット13に導通接続されるとともに支持される構造である。要するに、導通板15は蓋ケース部4Aに強度的に支持される構造となっている。外部端子5は、その下部が端子台17に収容される状態で導通板15に強制内嵌されている。従って、外部端子5も、最終的には蓋ケース部4Aに強度的に支持される構造となっている。
【0031】
図2及び図3を用いて、上述の導通接続構造をより詳細に説明する。リベット13は、円柱状のリベット上部(「ケース外部側部分」の一例)13a、リベット上部13aよりも径の太いリベット中間部13b、及び断面中空でリベット上部13aと同じ外径を有する筒状のリベット下部(「ケース内部側部分」の一例)13cとを備えている。なお、簡単のため、図1において、リベット13は概略形状(円柱状)のものとして描いてある。帯板形状の内部ガスケット16は、その左右方向で内側端部に形成される挿通孔16aを有する合成樹脂製等の絶縁部材である。
【0032】
蓋ケース部4Aの上面に装備される端子台17は、略無蓋箱状の本体枠17Aと、上方突出部17Bと、下方に延びる筒部17Cとを備えて成る合成樹脂製等の絶縁部材である。本体枠17Aは、底壁17aと一対の長側壁17b,17bと一対の短側壁17d,17dとを有し、平面視が四角形を呈する上方突出部17Bが底壁17aから盛り上がり形成されている。そして、上下に貫通する円孔17cを備える筒部17Cが、底壁17aから垂下形成されている。筒部17Cは、蓋ケース部4Aに形成されている円孔4aに挿通内嵌するように設定されている。
【0033】
外部端子5は、無底四角箱状のベース部5Aと、このベース部5Aから延出されるねじ軸状の端子部5Bとを有するアルミ又はアルミ合金製のボルト状部材に形成されている。外部端子5は、そのベース部5Aが上方突出部17Bに丁度外嵌されて収容されることで、端子軸心tに関して回り止めされる状態で端子台17内に載置される。
ベース部5Aは、その外面(符記省略)が一対の長側壁17b,17b及び一端の短側壁17dそれぞれの内面(符記省略)に沿っており、回り止め機能が出るように描かれているが、互いに離間していても良い。ベース部5Aの形状は、四角箱状でなくてもよく、非円形状であればよい。
導通板15は、アルミ又はアルミ合金製で矩形板状の部材であり、リベット上部13a挿通用の第1孔15aと端子部5B挿通用の第2孔15bとが形成されている。
【0034】
図1〜3に示すように、端子台17を蓋ケース部4Aに対して回り止めする回動規制手段Sが設けられている。即ち、蓋ケース部4Aの上面であるケース外側面18における端子台17の傍らとなる箇所にハンダ付けによる肉盛り部mを形成して、端子台17の蓋ケース部4Aに対するリベット軸心qに関する回動移動を、肉盛り部mで物理的に阻止可能な回動規制手段Sが構成されている。
【0035】
即ち、蓋ケース部4Aのケース外側面18に、アルミはんだyを溶かしてハンダ付けすることで、平面視でコ字状の肉盛り部mが蓋ケース部4Aに一体的に構築されている。図4に示すように、一対の長側壁17b,17bの外面20に隙間無く又は隙間少なく沿う一対の横盛り部24,24と、一対の短側壁17d,17dのうちの端子軸心tに近い側の端子軸心側短側壁17dの外面21に隙間無く又は隙間少なく沿う単一の縦盛り部25と、を備える平面視(端子軸心t方向視)でコ字状に肉盛り部mが形成されている。
【0036】
さて、導通接続部を組付けるには、まず、端子台17を、その筒部17Cが蓋ケース部4Aの円孔4aに挿通内嵌され、かつ、本体枠17Aが肉盛り部mの内側に嵌まり込むように蓋ケース部4Aに載置する。そして、筒部17Cにおける蓋ケース部4Aから下方に突出する部分に挿通孔16aを嵌合させ、内部ガスケット16を蓋ケース部4Aの下面側に配置する。
【0037】
それから、或いは並行して、リベット下部13cを筒部17Cの円孔17cに挿入することでリベット13を端子台17に装填し、次いで、下方突出しているリベット下部13cに孔10aを挿通させて集電体2を内部ガスケット16の下側に配置し、その状態でリベット下部13cをカシメ処理する。
【0038】
カシメ処理によって形成される環状カシメ部13dとリベット中間部13bとの上下間に、集電体2の横板部10と、内部ガスケット16と、蓋ケース部4Aと、底壁17aとが挟まれて圧接されることにより、端子台17、内部ガスケット16、及び集電体の三者が蓋ケース部4Aに支持される状態(図2参照)がもたらされる。
【0039】
次いで、ベース部5Aを上方突出部17Bに外嵌させて端子台17に載置されている外部端子5の端子部5Bに、第2孔15bを強制外嵌(密嵌合又は圧入など)させて導通板15を下ろし移動させて行き、第1孔15aをリベット上部13aに外嵌させる。なおも導通板15を強制下降移動させ、ベース部5Aの上面(符記省略)並びにリベット中間部13bの上面(符記省略)それぞれに当接される所定の位置に置く。
【0040】
その状態において、今度はリベット上部13aをカシメ処理し、そのカシメ部13eとリベット中間部13bとの間に導通板15を圧接保持させる。この導通板15のリベット13への圧接保持により、下方に押え付けられる外部端子5が回り止め及び上方への抜け止め状態で端子台17に係止固定されるとともに、導通板15及びリベット13を介して外部端子5と集電体2とが導通接続される状態(図2参照)がもたらされる。
【0041】
この組付状態においては、外部端子5を回り止め状態で立設支持する端子台17は、肉盛り部mを用いた回動規制手段Sにより、リベット軸心q回りに回動移動できない状態に保持される。従って、外部端子5に外部機器のリード線等を導通接続すべく、端子部5Bにナット(図示省略)を締め付けることによるトルクは、端子台17及び肉盛り部mを伝って最終的には蓋ケース部4Aで受け止められる構造である。また、端子台17が、その締付トルクにより、或いは他物との衝突等による外力によってリベット軸心q回りに回動移動しようとすることは、回動規制手段Sにより牽制阻止される。
【0042】
実施形態1による回動規制手段Sにおいては、肉盛り部mの端子軸心tに対する径方向間隔が、肉盛り部mのリベット13の軸心であるリベット軸心qに対する径方向間隔よりも小となる状態に設けられている。つまり、端子軸心t回りに端子台17が回ろうとするトルクを極力軽く良く受け止めるために、ストッパ19の位置(トルク受け中心)は、端子軸心tからなるべくその径方向で遠い箇所に設けるのが良いからである。
【0043】
〔実施形態2〕
実施形態2による蓄電素子Aは、図5に示すように、実施形態1のものと回動規制手段Sが異なる以外は同じである。実施形態2による回動規制手段Sは、ケース外側面18における端子台17の傍らとなる箇所にアルミ又はアルミ合金製のストッパ19がハンダ付け固定されたものであって、端子台17の蓋ケース部4Aに対する回動移動をストッパ19で阻止可能とする構成のものである。
【0044】
ストッパ19は、一対の長側壁17b,17bの外面20に隙間無く又は隙間少なく沿う一対の横片部19a,19aと、一対の短側壁17d,17dのうちの端子軸心tに近い側の端子軸心側短側壁17dの外面21に隙間無く又は隙間少なく沿う単一の縦片部19bとを備える平面視(端子軸心t方向視)でコ字状を呈する部材に形成されている。
そして、各横片部19a,19a及び縦片部19bそれぞれの外側壁22,23とケース外側面18とに亘って、アルミはんだyを用いたハンダ付けを行うことにより、ストッパ19は蓋ケース部4Aに固定されている。
【0045】
ストッパ19は、外部端子5に外部機器のリード線等を取り付けた後には、アルミはんだyを溶解させることにより、取外しが可能である。車載用電池等では、電池重量を少しでも軽くすることが求められるており、トルクがかからない状態になった後はストッパ19を取り外すことで軽量化できるのは好ましい。
【0046】
〔実施形態3〕
回動規制手段Sは、図6に示す構造のものでも良い。要点を述べると、外部端子5がリベット機能を兼ねており、絶縁のための端子台17が、L字状のストッパ19で蓋ケース部4Aに回り止めされる構成である。外部端子5の端子下部26のカシメ処理によるカシメ部13eにより、平面視形状が正四角形を呈する端子台17と、集電体2と、内部ガスケット16とが蓋ケース部4Aに共締め係止されている。
【0047】
外部端子5は、その中間四角部27と端子台17との嵌合によって端子軸心tに関して回り止めされており、端子台17はL字状ストッパ19によって回り止めされる。つまり、外部端子5は、金属材製の蓋ケース部4Aに係止される絶縁材製の端子台17に立設され、かつ、その立設方向に延びる端子軸心tに対して回り止めされており、ケース外側面18における端子台17の傍らとなる箇所に金属材製のストッパ19をハンダ付けして、端子台17の蓋ケース部4Aに対する回動移動をストッパ19で阻止可能な回動規制手段Sが構成されているのである。
【0048】
〔別実施形態〕
図2,3に示す構造の回動規制手段Sにおいて、ストッパ19や肉盛り部mを、端子台17に掛かるトルクの受方向のみに設ける構造や、端子軸心tよりもリベット軸心qに径方向間隔が近くなる位置に設ける構造でも良い。
または、肉盛り部mは、図7(a)に示すように、長側壁17b,17b及び短側壁17d,17dの一部(外面20,21等)に接する構造や、図7(b)に示すように、端子台17に設けた貫通孔28に位置させたり埋める形で設ける構造でも良い。
外部端子や端子台を回り止めするストッパ19や肉盛り部mは、例えば、端子台17を囲繞する四角ループ状やI形状、長側壁17b,17bに沿う形状、短側壁17d,17dに沿う形状のもの等、コ字状やL字状以外の種々の形状に変更することは可能である。
【0049】
また、実施形態1,2では、端子台17が、リベット13と蓋ケース部4Aとを絶縁する絶縁部材と、外部端子5,6と嵌合する回り止め部材とを兼ねていたが、絶縁部材と回り止め部材とが別体となっていても良い。その場合、回り止め部材には、合成樹脂製に限らず、セラミックス等の絶縁性の材料を用いることができる。
また、実施形態2,3では、金属製のストッパ19を用いたが、ハンダ付けできる材質であれば、金属以外の材料を用いても良い。
また、実施形態1では、蓋ケース部4Aに肉盛り部mを設けた後で、端子台17の取り付けやリベット13のカシメ処理を行ったが、肉盛り部m又はストッパ19の取り付けは、端子台17の取り付けやリベット13のカシメ処理などの後に行ってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 発電要素
4 ケース
4A 蓋ケース部
5 正の外部端子
5A ベース部
5B 端子部
6 負の外部端子
6A ベース部
6B 端子部
7 正の電極
8 負の電極
13 リベット
13a ケース外部側部分
13c ケース内部側部分
17 端子台
17b 長側壁
17d 短側壁(端子軸心側短側壁)
18 ケース外側面
19 ストッパ
24 横盛り部
25 縦盛り部
S 回動規制手段
m 肉盛り部
q リベット軸心
t 端子軸心
y アルミはんだ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7