(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、この発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)について図面を参照しながら説明する。
【0019】
[実施の形態1]
図1及び
図2は、実施の形態1に係る画像形成装置を示すものである。
図1はその画像形成装置の全体の概要を示し、
図2はその画像形成装置における要部(画像形成部など)を示している。
【0020】
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えば、ラベルなどの熱に弱い記録媒体や加熱定着に適さない記録媒体などに対しても画像を形成することが可能なカラープリンタとして構成されたものである。この画像形成装置1は、
図1に示されるように、大別して、記録媒体上に未定着トナー像を形成する画像形成部2と、記録媒体上に形成された未定着トナー像を紫外線硬化性樹脂材料を用いて定着する定着部3とを備えている。画像形成部2は、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されたトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録媒体に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の記録媒体を収容して搬送する給紙装置50等を備えている。
【0021】
<画像形成装置の要部の構成>
作像装置10は、特別色(S)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の5色のトナー像をそれぞれ専用に形成する5つの作像装置10S,10Y,10M,10C,10Kで構成されている。この5つの作像装置10(S,Y,M,C,K)は、筐体1aの内部空間において1列に並べた状態となるよう配置されている。また、各作像装置10(S,Y,M,C,K)は、扱う現像剤の種類が異なる点を除けば、以下に示すようにほぼ共通した構成のものである。
【0022】
各作像装置10(S,Y,M,C,K)は、
図1や
図2に示されるように、回転する感光ドラム11を備えており、この感光ドラム11の周囲に、次のような各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する露光装置13と、その静電潜像を対応する色(S,Y,M,C,K)の現像剤4のトナーで現像してトナー像にする現像装置14(S,Y,M,C,K)と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写装置15と、一次転写後における感光ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を清掃する清掃装置16である。
【0023】
感光ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光ドラム11は、図示しない回転駆動装置から動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するように支持されている。
【0024】
帯電装置12は、感光ドラム11に接触した状態で配置されるロール等の接触型の帯電装置で構成される。帯電装置12は、そのロールに対して帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、その現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。
【0025】
露光装置13は、画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成される光を、帯電された後の感光ドラム11の周面に対して照射して静電潜像を形成するものである。露光装置13には、潜像形成時になると画像形成装置1に任意の手段で入力される画像の情報(信号)が送信される。
【0026】
現像装置14(S,Y,M,C,K)はいずれも、
図2に示されるように、開口部と現像剤の収容室が形成された筐体140の内部に、現像剤4を保持して感光ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像ロール141と、現像剤4を攪拌しながら現像ロール141を通過させるよう搬送する2つのスクリューオーガー等の攪拌搬送部材142,143と、現像ロール141に保持される現像剤の量(層厚)を規制する図示しない層厚規制部材などを配置して構成したものである。この現像装置14には、その現像ロール141と感光ドラム11の間に現像用電圧を図示しない電源装置から供給される。また、現像ロール141や攪拌搬送部材142,143は、図示しない回転駆動装置からの動力が伝達されて所要の方向に回転する。さらに、上記5色の現像剤4(S、Y,M,C,K)としては、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。
【0027】
一次転写装置15は、感光ドラム11の周囲に接触して回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
【0028】
ドラム清掃装置16は、
図2に示すように、一次転写後の感光ドラム11の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板と、清掃板で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収システムに送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材等で構成されている。清掃板としては、ゴム等の材料からなる板状の部材(例えばブレード)が使用される。
【0029】
中間転写装置20は、
図2に示されるように、各作像装置10(S,Y,M,C,K)の上方の位置に存在するように配置される。この中間転写装置20は、感光ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数のベルト支持ロール22〜25と、ベルト支持ロール23に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写装置30と、二次転写装置30を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置26とで主に構成されている。
【0030】
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール22は駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール23は二次転写のバックアップロールとして構成され、ベルト支持ロール24は張力付与ロールとして構成され、ベルト支持ロール25は中間転写ベルト21の走行位置などを保持する従動ロールとして構成されている。
【0031】
二次転写装置30は、中間転写装置20におけるベルト支持ロール23に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置において、中間転写ベルト21の周面に接触して回転するとともに二次転写用電圧が供給される二次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。二次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
【0032】
給紙装置50は、作像装置10の下方側の位置に存在するように配置される。この給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録媒体5を積載した状態で収容する単数(又は複数)の用紙収容体51と、用紙収容体51から記録媒体5を給紙する給紙ロール52と、給紙された記録媒体5を1枚ずつ分離した状態で送り出す分離ロール対53とで主に構成されている。記録媒体5としては、普通紙やコート紙、あるいは熱に弱いラベル用紙、加熱定着に適さない大幅に厚い厚紙(例えば、坪量200g/m
2以上)など、任意のものを使用することができる。
【0033】
給紙装置50と二次転写装置30との間には、給紙装置50から送り出される記録媒体5を二次転写位置まで搬送する単一又は複数の用紙搬送ロール対54や搬送ガイド55で構成される給紙搬送路56が設けられている。給紙搬送路56において二次転写位置の直前の位置に配置される用紙搬送ロール対54は、例えば記録媒体5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。
【0034】
定着部3は、
図1に示されるように、中間転写装置20の二次転写位置の上部一側(図中、左側)寄りに配置されている。定着部3は、層状に形成された紫外線硬化性樹脂材料を保持しつつ、紫外線硬化性樹脂材料を画像形成部2によって未定着トナー像が形成された記録媒体5に接触させることにより転写する転写装置60と、記録媒体5に転写された紫外線硬化性樹脂材料に紫外線を照射する照射装置70とを備えている。
【0035】
転写装置60は、紫外線硬化性樹脂材料61を層状に保持し、記録用紙の定着位置を通過しながら矢印Cで示す方向に回転する転写ベルト62と、転写ベルト62に紫外線硬化性樹脂材料61を供給する供給容器63と、転写ベルト62に供給された紫外線硬化性樹脂材料61の層厚を規制する層厚規制部材64と、転写ベルト62をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数のベルト支持ロール65〜68と、ベルト支持ロール66とベルト支持ロール67との間を移動する記録媒体5の背面を支持する背面支持ロール69a、69bとを備えている。
【0036】
転写ベルト62としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等の合成樹脂材料で製作される無端状のベルトが使用される。照射装置70は、転写ベルト62に保持された紫外線硬化性樹脂材料61が記録媒体5に接触している間に、紫外線硬化性樹脂材料61に紫外線を照射することを考慮すれば、転写ベルト62は、紫外線透過性を有することが望ましい。
【0037】
供給容器63は、紫外線硬化性樹脂材料61を収容し、底部に設けられた開口部63aから適量ずつ紫外線硬化性樹脂材料61を転写ベルト62の表面に供給する。層厚規制部材64は、バーコート、ダイコート、ロール等を用いて紫外線硬化樹脂の層厚を規制する。紫外線硬化樹脂の層厚は、例えば、0.1〜100μm程度に設定される。
【0038】
紫外線硬化性樹脂材料61は、主剤である紫外線硬化性樹脂、表面張力調整剤、重合開始剤、添加剤などから構成されている。
【0039】
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、アクリルロイルモルホリン、トリメチルロールプロパンテトラアクリレート、ポリエチレングリコール#200ジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレートなどを用いることができる。また、紫外線硬化性樹脂としては、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−フェノキリエチルアクリレート、イソデシアルアクリレート、イソオクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロンラクトンアクリレート、エトキシ化ノニルフェニルアクリレート、イソボニルアクリレート、アルコキシ化ノニルフェニルアクリレート、アクコキシ化2−フェノキリエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、3ブチレングリコールジアクリレート、1,4ブタジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、6-ヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアアクリレート、トリエチレングリコールジアアクリレート、トリプロピレングリコールジアアクリレート、エトキシ化(3)ビスフェノールAジアクリレート、ジプロピレングリコールジアルクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレートなどを用いても良い。
【0040】
また、表面張力調整剤は、アクリル系、ビニル系、シリコーン系、フッ素系に分類され、シリコーン系の表面張力調整剤としては、シリコンポリエーテルアクリレートなどが挙げられる。
【0041】
重合開始剤は、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤に分類され、重合開始剤としては、例えば、オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2フェニルアセトキリエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2―ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物などが用いられる。
【0042】
照射装置70は、転写ベルト62が循環移動する経路の内周において、支持ロール66とベルト支持ロール67との中間位置に配置されており、転写ベルト62に層状に塗布された紫外線硬化性樹脂材料61が記録媒体の画像面と接触して移動する間に、記録媒体5上の紫外線硬化性樹脂材料61に紫外線を照射する。紫外線の光源としては、水銀ランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、紫外線LEDなど種々のものが使用可能である。
【0043】
<画像形成装置の全体及び要部の動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
【0044】
ここでは、最初に、前記4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成するときの画像形成動作を代表して説明する。
【0045】
画像形成装置1は、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、転写装置60等が始動する。
【0046】
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)においては、
図2に示されるように、各感光ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光を照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
【0047】
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)が、感光ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーを現像ロール141からそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
【0048】
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)の感光ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わされるような状態で一次転写させる。
【0049】
また、一次転写が終了した各作像装置10では、清掃前帯電装置16が一次転写後の感光ドラム11の表面に残留するトナー等の付着物を再帯電した後、ドラム清掃装置16が再帯電された付着物を掻き取るように除去して感光ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10は、次の作像動作が可能な状態にされる。
【0050】
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置50では、作像動作に合わせて所要の記録媒体5を給紙搬送路56に送り出す。給紙搬送路56では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対54が記録媒体5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。
【0051】
二次転写位置においては、二次転写装置30が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した中間転写装置20では、ベルト清掃装置26が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
【0052】
続いて、トナー像が二次転写された記録媒体5は、中間転写ベルト21と二次転写装置30から剥離された後に搬送経路57に沿って定着部3まで搬送される。定着部3では、
図3に示されるように、転写装置60によって転写ベルト62の表面に紫外線硬化性樹脂材料61が予め定められた層厚に塗布される。紫外線硬化性樹脂材料61が塗布された転写ベルト62は、
図3及び
図4に示されるように、トナー像が二次転写された記録媒体5と重ね合わせた状態で接触することにより、記録媒体5のトナー像が転写された表面に紫外線硬化性樹脂材料61が転写される。
【0053】
転写ベルト62は、所定の層厚の紫外線硬化性樹脂材料61を介してトナー像が二次転写された記録媒体5と重ね合わされた状態で移動する間に、照射装置70によって紫外線が照射され、紫外線硬化性樹脂材料61が硬化され定着される。その際、紫外線硬化性樹脂材料61は、トナーの主成分であるポリスチレン(PS)等を溶解する特性を有している。トナー像がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)等からなるフルカラーの画像である場合であっても、トナー像を形成するトナーは、未硬化状態の紫外線硬化性樹脂材料61と接触し移動する間に溶解して互いに混合される。
【0054】
その後、転写ベルト62は、ベルト支持ロール67の位置において記録媒体5から剥離され、記録媒体上に形成されたトナー像が硬化した紫外線硬化性樹脂材料61によって被覆された定着画像を得ることができる。記録媒体5は、排出ロール対59により、例えば、筐体1aの外部に設置される図示しない排出収容部にむけて排出される。なお、記録媒体5が転写ベルト62から剥離される際に、紫外線硬化性樹脂材料61の表面は、転写ベルト62の表面に倣った形状となる。転写ベルト62の表面が鏡面状態又は鏡面に近い状態である場合、紫外線硬化性樹脂材料61の表面は、光沢を有する状態となる。また、転写ベルト62の表面が粗面化された状態である場合、紫外線硬化性樹脂材料61の表面は、光沢性の低い、低光沢の状態となる。なお、本実施の形態では、紫外線硬化性樹脂材料61の硬化時に記録媒体5と転写ベルト62が紫外線硬化性樹脂材料61を介して密着しているため、硬化させる領域に空気(酸素)が存在せず、紫外線硬化性樹脂材料61の選択の幅が広がる。
【0055】
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された記録用紙9が出力される。
【0056】
次に、画像形成装置1において、例えば上記した通常の画像形成を行う際に、前記特別色Sの現像剤で構成される特別色トナー像と併せて形成するときの動作について説明する。
【0057】
この場合は、まず、作像装置10Sにおいて前述した作像装置10(Y,M,C,K)の場合と同様の作像動作が行われ、これにより作像装置10Sにおける各感光ドラム11に特別色トナー像(S)がそれぞれ形成される。続いて、作像装置10Sで形成された特別色トナー像は、前述した4色のトナー像に関する画像形成動作の場合と同様に、中間転写装置20の中間転写ベルト21に一次転写された後に、二次転写装置30により中間転写ベルト21から記録媒体5に(他の色のトナー像と併せて)二次転写される。最後に、特別色トナー像と他の色のトナー像が二次転写された記録用紙5は、定着部3において定着処理がなされた後、筐体1aの外部に排出される。
【0058】
以上の動作により、前述した4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像の全面又は一部に対して特別色トナー像が重なり合って存在するように形成された記録媒体5が出力される。特別色(S)のトナーとしては、例えば、白色のトナーが用いられ、記録媒体5の全面に形成することにより、記録媒体5の白色度を向上させる場合などに用いられる。
【0059】
このように、上記実施の形態では、転写ベルト62上に所定の層厚の紫外線硬化性樹脂材料61を塗布し、紫外線硬化性樹脂材料61が塗布された転写ベルト62を記録媒体に重ね合わせるように接触させた状態で、紫外線硬化性樹脂材料61を記録媒体5に転写するため、記録媒体5上に形成されたトナー像に画像乱れが発生するのを抑制しつつ、紫外線硬化性樹脂材料61を転写することができる。
【0060】
また、紫外線硬化性樹脂材料61を保持した転写ベルト62を記録媒体5に接触したままの状態で紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂材料61を硬化させることにより、記録媒体5上に形成されたトナー像に画像乱れが発生するのをより一層抑制することができる。
【0061】
実施例
本発明者らは、
図3に示されるような転写装置及び照射装置を備えた定着部3を試作し、記録媒体5上に形成されたトナー像を紫外線硬化性樹脂材料61によって定着する処理を行った。
【0062】
紫外線硬化性樹脂材料61は、紫外線硬化性樹脂として、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(新中村化学社製:商品名「AD―TMP」)を、表面張力調整剤としてシリコンポリエーテルアクリレート(tego社製:商品名「TEGO Rad2200N)を、重合開始剤として、オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2フェニルアセトキリエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2―ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物(BASF社製:商品名「Irgacure754」)をそれぞれ用いた。紫外線硬化性樹脂として用いたジトリメチロールプロパンテトラアクリレートの溶解パラメータ:SP値は9.7(cal/cm
3)1/2であり、トナーの主成分であるポリスチレンのSP値は9.0(cal/cm
3)1/2に近く、トナーを溶解する特性を有している。
【0063】
配合量は、紫外線硬化性樹脂が20(g)、表面張力調整剤が0.6(g)、重合開始剤が同じく0.6(g)に設定した。
【0064】
記録媒体として、普通紙及びコート紙を用い、紫外線硬化性樹脂材料61の層厚は、50μm程度に設定した。
【0065】
その結果、紫外線硬化性樹脂材料61の記録媒体5に対する定着強度は、「クリーステスト」を呼ばれる剥離試験を行ったが、硬化した紫外線硬化性樹脂材料61の剥離がまったくなく、十分な定着強度を得ることができることが判った。
【0066】
トナーの発色性(2次色)については、通常の加熱・加圧定着方式と略同レベルの発色が得られ、写真画像についても何ら画質に問題がなかった。
【0067】
記録媒体5の表面状態は、光沢面であり、紫外線硬化性樹脂材料61が硬化する際に、転写フィルムの平滑な表面に倣ったものと思われる。
【0068】
また、トナー像によって紫外線が遮られて紫外線が直接照射されていない領域の紫外線硬化性樹脂材料61も硬化しており、トナー像による紫外線の遮蔽は何ら問題とならなかった。
【0069】
定着部3で消費される電力としては、転写ベルトを駆動する電力を除けば、照射装置70の電力のみで、今回使用した照射装置70の光源は、200W程度であり、省電力化が可能となる。
【0070】
[実施の形態2]
図5は、実施の形態2に係る画像形成装置を示すものである。
【0071】
<画像形成装置の全体の構成>
この実施の形態2では、
図5に示されるように、紫外線硬化性樹脂材料61を用いた定着部3以外に、通常の加熱・加圧方式による定着装置40を備えており、記録媒体5の搬送経路を切り替えゲートGによって切り替えることによって、通常の加熱・加圧方式による定着も可能となるように構成されている。
【0072】
画像形成装置1は、中間転写装置20の二次転写位置の上方に定着装置40を備えている。定着装置40は、記録媒体5の導入口及び排出口が形成された筐体41の内部に、矢印で示す方向に回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるドラム形態の加熱回転体42と、この加熱回転体42の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して従動回転するドラム形態の加圧用回転体43などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、加熱回転体42と加圧用回転体43が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部になる。
【0073】
また、画像形成装置1は、中間転写装置20の二次転写位置の上部に、記録媒体5を定着部3へと搬送する搬送経路57と、記録媒体5を定着装置40へと搬送する搬送経路58とを切り替える切替ゲートGを備えている。なお、切替ゲートGは、便宜上、記録媒体5の画像側に図示されているが、記録媒体5上の画像を乱すことなく搬送経路を切り替え可能であることは勿論である。
【0074】
<画像形成装置の全体の動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
【0075】
ユーザが紫外線硬化性樹脂材料61を用いた定着ではなく、通常の加熱・加圧方式による定着を希望する場合には、図示しないユーザインターフェイスを操作して、通常の加熱・加圧方式による定着を選択する。すると、切替ゲートGは、記録媒体5を定着装置40へと搬送する搬送経路58に切り替えられる。
【0076】
画像形成装置1では、上述した実施の形態1と同様に、前記4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が中間転写装置20によって記録媒体5上に二次転写される。
【0077】
その後、記録媒体5は、切替ゲートGによって搬送経路が搬送経路58側へと切り替えられ定着装置40へ搬送される。定着装置40では、未定着トナー像が転写された記録媒体5が加熱回転体42と加圧用回転体43が接触する接触部を通過する間に加熱及び加圧処理を受けて、記録媒体5上に未定着トナー像が定着され、用紙排出ロール対59によって画像形成装置1の筐体1aの上端部に設けられた排出部80へと排出される。
【0078】
この実施の形態2では、紫外線硬化性樹脂材料61を用いた定着部3以外に、通常の加熱・加圧方式による定着装置40を備えているため、通常の画像形成装置と同様の加熱・加圧方式によって定着された画像を得ることができ、画像形成装置1の用途を一般のオフィス等に広げることができる。
【0079】
なお、
図6に示すように、紫外線硬化性樹脂材料61を用いた定着部3にて定着した記録媒体5と、通常の加熱・加圧方式による定着装置40にて定着した記録媒体5とを、切替ゲートG1、G2によって搬送経路を切り替えることによって同じ排出トレイ81上に排出し、両者の混合した記録媒体5の排出が可能となるように構成しても良い。