技術分野
交流電動機駆動などを目的としたフライングキャパシタ形のマルチレベル電力変換回路の保護制御方式
発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋
一般に電力変換回路を構成している半導体スイッチが、何らかの原因で故障(破壊)した場合、通常短絡状態となる。図9に2レベルインバータ回路の短絡電流の動作図を示す。図9においてIGBTT2が短絡故障し、次にIGBTT1にオン指令が入力されると、図示するような破線の経路で直流短絡電流Istが流れ、この状態がある程度続くとIGBTT1も破壊し、完全な直流短絡状態となり、装置としての被害が拡大する。これを防止するため、一般には各IGBTのゲート駆動回路GDにアーム短絡検知回路と、検知した際に強制的にIGBTを遮断する短絡保護回路を設ける。
図10にその回路例を示す。ゲート駆動回路は、オンオフ信号をフォトカプラPC1で絶縁してIGBTT0のゲートエミッタ間に与える構成で、オン信号がフォトカプラに入力されると、トランジスタQaがオンして駆動回路の正側電源Epから抵抗RGを介してIGBTT0のゲートエミッタ間を順バイアス駆動してIGBTT0をオンさせる。またオフ信号がフォトカプラに入力されると、トランジスタQbがオンして駆動回路の負側電源Enから抵抗RGを介してIGBTT0のゲートエミッタ間を逆バイアス駆動してIGBTT0をオフさせる。ダイオードDc、抵抗R1、コンデンサCd、定電圧ダイオードZD、トランジスタQc及びダイオードDdで構成された回路が過電流時に強制的にIGBTを遮断する短絡保護回路である。オン信号期間中にIGBTT0に過電流が流れるとIGBTT0のコレクタ−エミッタ間電圧が上昇し、ダイオードDcが非導通状態となり、トランジスタQcがオン→トランジスタQbオンとなり、IGBTT0を強制的に遮断させるものである。フォトカプラPC2は過電流遮断が発生したことを制御回路にフィードバックする短絡検知回路である。
図9では2レベルの回路を例とし示したが、図5に示すようなマルチレベル回路においても同様で、IGBTT3又はT4が短絡故障した場合は、故障していない側のIGBTをオンさせるとコンデンサC1が短絡状態となるため、IGBTT4又はT3のゲート駆動回路にて強制遮断を行う。またIGBTT2又はT5が故障した場合は、コンデンサC1とC2が短絡状態となるため、IGBTT5又はT2のゲート駆動回路にて強制遮断を行う。またIGBTT1又はT6が故障した場合は、直流電源EdとコンデンサC2が短絡状態となるため、IGBTT6又はT1のゲート駆動回路にて強制遮断を行う。図6、図7においても同様の動作となる。
ところが、図5においてIGBTT3が短絡故障した場合を例に取ると、図11に示すように、直流電源DPからIGBTT1→T2→T3の経路で負荷に電流を流している状態である図11(a)からIGBTT3が短絡故障した図11(b)に移行する際に、IGBTT4にオン信号が入力されると、図示する点線の短絡電流Istが流れる。その際IGBTT4側のゲート駆動回路によって短絡検知を行ってIGBTT4は強制遮断される。同時に図10におけるフォトカプラPC2を介して故障検知信号が制御装置に送信され、制御装置からは全IGBTに対して遮断信号が出力される。その結果、負荷側を流れている電流は図11(c)に示すように、IGBTT6のダイオード→IGBTT5のダイオード→コンデンサC1→IGBTT3を通る経路となる。この時IGBTT3は短絡状態となっているため、コンデンサC1を介する電流となり、コンデンサC1は放電し続け、零電圧(コンデンサC1の電圧V
C1 =0)となったところで、IGBTT4のダイオードが導通し、図11(d)に示す経路となる。この時、コンデンサC2の電圧V
C2 は2Ed/3程度の電圧となっているため、IGBTT2に印加される電圧V
T2 は、V
T2 =V
C2 ≒2Ed/3となる。
図12にIGBTT4が故障した場合の動作図を示す。基本的には図11と同様の動作となる。負荷からIGBTT4→T5→T6の経路で電流を流している状態である図12(a)からIGBTT4が短絡故障した図12(b)に移行する際に、IGBTT3にオン信号が入力されると、図示する点線の短絡電流が流れる。その際IGBTT3側のゲート駆動回路によって短絡検知を行ってIGBTT3は強制遮断される。同時に図10におけるフォトカプラPC2を介して故障検知信号が制御装置に送信され、制御装置からは全IGBTに対して遮断信号が出力される。その結果、負荷側を流れている電流は図11(c)に示すように、IGBTT4→コンデンサC1→IGBTT2のダイオード→IGBTT1のダイオードを通る経路となる。この時IGBTT4は短絡状態となっているため、コンデンサC1を介する電流となり、コンデンサC1は放電し続け、零電圧(コンデンサC1の電圧V
C1 =0)となったところで、IGBTT3のダイオードが導通し、図12(d)に示す経路となる。この時、コンデンサC2の電圧V
C2 は2Ed/3程度の電圧となっているため、IGBTT5に印加される電圧V
T5 は、V
T5 =V
C2 ≒2Ed/3となる。
これらのケースを想定した場合、IGBTT2(T3が故障した場合)及びT5(T4が故障した場合)には2Ed/3以上の耐圧を有した素子が必要となり、実質的には直流電源DPの電圧Ed程度の耐圧を有するIGBTが必要である。すなわち前述したような通常状態では、定常的に印加される電圧の2倍の2Ed/3程度の耐圧で済むところが、それ以上の高い耐圧を有する必要があり、素子の大型化やコストアップといった課題が発生する。
従って、本発明の課題は、IGBTに短絡故障が発生した場合に、健全なIGBTに印加される電圧を低く抑制し、半導体スイッチの耐圧を必要以上に高くする必要のない、小型、低価格の装置を提供することである。
課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋
上述の課題を解決するために、第1の発明においては、直流から交流、もしくは交流から直流に変換する電力変換回路であって、1相分の回路として、直流電源回路の正側端子と負側端子間に、それぞれダイオードを逆並列接続した第1〜第6の半導体スイッチが正側端子から順に直列に接続され、前記各半導体スイッチのゲートにはアーム短絡保護回路付のゲート駆動回路が接続され、前記第1と第2の半導体スイッチの接続点と前記第・・・ 続きを
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【発明の効果】
本発明では、フライングキャパシタ形マルチレベル電力変換回路において、半導体スイッチに短絡故障が発生した場合にフライングキャパシタとしてのコンデンサが短絡放電される半導体スイッチをゲート駆動回路の短絡保護回路で遮断させ、そのコンデンサに接続される直流電源側の半導体スイッチをオン又はオンを継続させて、その半導体スイッチの直流電源側に接続されるコンデンサの電圧が所定値に達した時点でオン又はオンを継続している半導体スイッチをオフさせるようにしている。
この結果、短絡故障時においても半導体スイッチの耐圧を必要以上に高くする必要がなくなり、小型、低価格の装置を構築することが可能となる。
この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]
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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋
【図1】 本発明の保護動作アルゴリズムの実施例である。
【図2】 IGBTT3短絡故障時の保護動作モード図である。
【図3】 IGBTT4短絡故障時の保護動作モード図である。
【図4】 一般的なインバータのシステム図である。
【図5】 フライングキャパシタ形4レベル変換回路図である。
【図6】 フライングキャパシタ形5レベル変換回路図である。
【図7】 フライングキャパシタ形6レベル変換回路図である。
【図8】 中性点クランプ併用フライングキャパシタ形7レベル変換回路図である。
【図9】 アーム短絡現象の動作説明図である。
【図10】 アーム短絡検知と保護回路付ゲート駆動回路である。
【図11】 従来方式によるアーム短絡保護時の動作モード図1である。
【図12】 従来方式によるアーム短絡保護時の動作モード図2である。
DP、DP1、DP2・・・直流電源、Q1〜Q6、T0〜T10・・・IGBT
GD、GD1〜GD6・・・ゲート駆動回路 ACM・・・電動機
CNT・・・制御装置 C1〜C4・・・コンデンサ(フライングキャパシタ)
PC1、PC2・・・フォトカプラ R1、R2、RG・・・抵抗
Qa、Qb、Qc・・・トランジスタ Dc、Dd・・・ダイオード
ZD・・・定電圧ダイオード Cd・・・コンデンサ
Ep、En・・・駆動回路電源
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