(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。また、実施形態において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」は、各々、パレット側からフォークリフトに正対したときの方向を示す。
【0019】
(パレットの全体構成)
実施形態のパレットの全体構成を
図1〜
図3に基づいて説明する。
図1に示すように、パレット10は、荷物11が積載される積載面12と、フォークリフトの左右のフォーク13を側方から差し込ませるフォーク差し込み部15,16とを有する。パレット10は、合成樹脂製のパレット本体20および複数(この例では、左右2本)の脚体50によって構成される。
【0020】
荷物11としては、鉄製のかご、樹脂製のケースを含む各種のコンテナや、所定の積み付けパターンで積み付けられた複数の外装箱などが挙げられるが、荷物11の種類や形態は任意である。
【0021】
図2に示すように、パレット本体20は、ブロー成形により中空で且つ板状に成形され、積載面12を上面に備える。パレット本体20の平面形状は、長方形状、正方形状、多角形状など各種の形状から選択可能である。なお、符号21で示す溝は、荷物11(
図1参照)の底部の形態(例えば、鉄製のかごの底部を構成するパイプの外形)に合わせて形成される凹みである。
【0022】
左右の脚体50は、各々、パレット本体20とは別部品で構成される共にパレット本体20の下面22に取り付けられる。脚体50は、けたやブロックと称される支持部材としての機能を有する。
【0023】
脚体50の上端には、パレット本体20の下面22に脚体50を取り付けるための係合凸部51が設けられる。この係合凸部51の詳しい構成については、後述する。
【0024】
図3(a)に示すように、脚体50は、パレット本体20と地面17の間にフォーク差し込み部15,16を形成させる。この例では、細長い左右2本の脚体50をフォーク13の差し込み方向(前後方向)に沿って下面22に設ける。これにより、2本の脚体50の間および各々の外側には、フォーク差し込み部15,16としての空間が形成される。フォーク差し込み部15,16は、前後方向に開放しており、いわゆる2方差しのパレットを構成する。パレット10では、内側のフォーク差し込み部15、あるいは、外側のフォーク差し込み部16に左右のフォーク13を差し込むことで、荷物11(
図1参照)を運搬・昇降することができる。また、いわゆるポーターリフト等の各種運搬手段の受け部を、フォーク差し込み部16に挿入することによっても、荷物11(
図1参照)を運搬することができる。
【0025】
図3(a)では、脚体50を地面17に接地させた例を示したが、この他、
図3(b)に示すように、パレット本体20を上部デッキボードとし、この上部デッキボードの下に、下部デッキボード23を対向させ、上部デッキボードと下部デッキボード23の間に脚体50を介在させてもよい。この場合、下部デッキボード23を地面17に接地させると共に、下部デッキボード23と上部デッキボードの間にフォーク差し込み部15,16を形成する。
【0026】
パレット10の主要寸法を例示すると、パレット本体20の幅W(
図1参照)は、600mmであり、パレット本体20の奥行きD(
図1参照)は、750mmである。また、脚体50の幅W1は、60mmであり、パレット本体20の側端から脚体50までの距離Lは、70mmである。また、パレット本体20の高さH1は、60mmであり、地面17から下面22までの高さH2は、60mmである。また、パレット本体20の上端から積載面12までの高さ(後述する縁25の高さ)h1は、10mmであり、下面22から積載面12までの高さ(パレット本体20の厚み)h2は、50mmである。これらの主要寸法は、この例に格別に限定されるものではなく、パレット10の仕様に応じて任意の大きさに設定可能である。
【0027】
(パレット本体の構成)
次に、パレット本体20の構成を
図2、
図4〜
図6に基づいて詳しく説明する。
図2に示すように、積載面12の外周には、上方に突出した縁25が形成される。縁25は、荷物11(
図1参照)の底部外周を支えて、荷物11(
図1参照)が積載面12から滑り落ちることを防ぐ。また、パレット本体20には、任意の平面形状(この例では、細長い長方形状または円形状)の補強用凹部26が形成される。
【0028】
図4に示すように、パレット本体20は、積載面12側を形成する上面壁27と、下面22側を形成する下面壁28とを有する。上面壁27と下面壁28との間には、中空部31が形成される。補強用凹部26は、上面壁27側から下面壁28側に凹ませて形成したものであり、補強用凹部26の下端部は、下面壁28の裏面に溶着される。これにより、補強用凹部26の周囲には、上面壁27と下面壁28とを厚み方向に連結するリブ32が形成される。なお、下面壁28側から上面壁27側に凹ませて補強用凹部を設けて、補強用凹部の上端部を上面壁27の裏面に溶着してもよい。また、上面壁27と下面壁28の間隔が大きくパレット本体20の厚みが大きい場合には、上面壁27側および下面壁28側からそれぞれ対向する壁に向けて凹ませて形成した補強用凹部の端部同士を互いに突き合わせて溶着させることがパレットを軽量化させる観点から好ましい。
【0029】
このように、本実施形態では、上面壁27と下面壁28の間に中空部31を形成することで、パレット本体20の軽量化を図ると共に、リブ32を設けることで、軽量化されたパレット本体20を補強してパレット本体20の強度を高めている。
【0030】
図2に戻る。
図2に示すように、パレット本体20には、脚体50を取り付けるための取り付け用凹部33が形成される。取り付け用凹部33の位置、個数は、任意であるが、この例では、各脚体50の前後2箇所をパレット本体20の下面22に取り付けるために、前後2つの取り付け用凹部33を左右に2列並べて設け、合計4つの取り付け用凹部33をパレット本体20に形成した。
【0031】
図5に示すように、取り付け用凹部33は、積載面12から下方に凹むように設けられる。取り付け用凹部33の底壁35には、底壁35を上下方向に貫通する挿入穴36が設けられる。これにより、後述する脚体50の係合凸部51が挿入された状態で積載面12から突出することがなく、取り付け用凹部33内で固定される。
【0032】
挿入穴36は、下面22に開口して設けられ、係合凸部51(
図2参照)を下から挿入させる。また、挿入穴36の前側には、挿入穴36に連なり底壁35を上下方向に貫通する係合溝37が設けられる。
【0033】
係合溝37は、挿入穴36に挿入された係合凸部51(
図2参照)に係合すると共に、係合凸部51(
図2参照)を水平方向(この例では前方)に案内して脚体50(
図2参照)を正規の取り付け位置に移動させる。さらに、取り付け用凹部33の後部には、規制体41が設けられる。
【0034】
規制体41は、係合溝37で所定の位置に案内された係合凸部51(
図2参照)の移動を規制する。ここで、「所定の位置」は、脚体50(
図2参照)を正規の取り付け位置に位置決めするための係合凸部51(
図2参照)の位置であり、例えば、取り付け用凹部33の前壁などに当接したときの係合凸部51(
図2参照)の位置である。
【0035】
図6(a)に示すように、挿入穴36の平面形状は、各種の形状から選択可能であるが、ここでは、長方形状を採用した。係合溝37は、挿入穴36から水平方向で且つ前方に向けて直線状に形成される。係合溝37の幅w1は、挿入穴36の幅よりも小さく設定される。
【0036】
図6(b)に示すように、規制体41は、取り付け用凹部33の後部にヒンジ部42を介して設けられる。
図6(b)では、挿入穴36から離れて起立した規制体41を示しているが、規制体41は、この起立した位置から、ヒンジ部42を回動軸として水平軸周り(矢印(1)で示す向き)に回動可能である。
【0037】
規制体41およびヒンジ部42は、パレット本体20とは別部品で構成しても差し支えないが、部品点数、作業工数を考慮すると、パレット本体20の成形時に一体成形することが好適である。その場合、例えば、規制体41の基端を成形金型で局部的に潰すことで、折り曲げ可能な薄肉のヒンジ部42を得ることができ、その他規制体41の外周部分はパレット本体20から切り離される。
【0038】
(パレット本体の製造例)
ここで、パレット本体20の製造例について述べる。
例えば、上面壁27(
図4参照)と下面壁28(
図4参照)を成形するための1対の分割金型を用い、溶融状態の筒状のパリソンを1対の分割金型の間に押し出し、吹き込み圧をパリソンに加える。これにより、上面壁27(
図4参照)と下面壁28(
図4参照)の間に中空部31(
図4参照)を有する中空成形体を得る。この際、上面壁27(
図4参照)を成形する金型成形面に凸部を適宜設けることで、補強用凹部26(
図4参照)や取り付け用凹部33を成形することができる。成形材料は、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂を含む各種の合成樹脂から選択可能である。
【0039】
(脚体の構成)
次に、脚体50の構成を
図2、
図7に基づいて詳しく説明する。
図2に示すように、左右の脚体50の各々は、角柱状に細長く形成される基部52と、基部52の上面に設けられる2個の係合凸部51とからなる。この例では、1本の脚体50に、2個の係合凸部51を前後に並べて設けたが、係合凸部51の個数、配置は、パレット10の仕様に応じて任意に設定可能である。
【0040】
また、脚体50は、パレット10をより軽くするため、合成樹脂からなる中空成形体(例えば、ブロー成形品)であることが望ましい。また、基部52の左右両側面には、補強用凹部53を設けることができる。
【0041】
なお、脚体50の構成は、
図2に示される例に格別に限定されるものではなく、パレット本体20と地面17(
図3参照)の間にフォーク差し込み部15,16(
図3参照)を形成できる構成であれば、脚体50の形状、個数、配置は、任意である。
【0042】
図7に示すように、係合凸部51は、基部52の上端に設けられるくびれ部55と、くびれ部55の上端に設けられる係止部56とから構成される。くびれ部55の幅w2は、基部52の幅よりも小さく設定され、且つ、係合溝37の幅w1(
図6(a)参照)と同等もしくはそれより小さく設定される。係止部56は、各種の形状から選択可能であるが、この例では、直方体状で且つ扁平状に形成した。係止部56の幅w3は、挿入穴36の幅と同等もしくはそれより小さく設定され、且つ、係合溝37の幅w1(
図6(a)参照)よりも大きく設定される。このように係止部56、くびれ部55を構成することで、挿入穴36に係止部56を下から挿入し、くびれ部55を係合溝37に係合させて水平移動させることができる。
【0043】
(脚体の取り付け方法)
続いて、脚体50の取り付け方法を
図8〜
図12に基づいて説明する。
図8に示すように、まず、パレット本体20の下方に脚体50を配置し、係合凸部51の係止部56を挿入穴36に下から挿入する(矢印(2))。
【0044】
次に、
図9に示すように、取り付け用凹部33の底壁35よりも上に係止部56を臨ませた後、くびれ部55(
図7参照)を係合溝37に嵌める。そして、くびれ部55(
図7参照)を係合溝37で案内しながら、係合凸部51を底壁35にて摺動させ(矢印(3))、脚体50を前方に水平移動させる。これにより、係止部56と基部52の間に底壁35が挟まれて係合するため、下方への脚体50の引き抜けが不能になる。このとき、例えば、取り付け用凹部33の前壁38(
図6(b)参照)に係止部56を当接させることで、脚体50を正規の取り付け位置に位置決めすることができる。
【0045】
そして、
図10に示すように、挿入穴36を塞ぐように規制体41を前側に回動させる(矢印(4))。すると、
図11に示すように、規制体41は、基部52(
図8参照)の上面に当接して取り付け用凹部33の後部に嵌ると共に、係止部56の後部に近接する。結果、
図12に示すように、係止部56の後退(矢印(5)で示す向きの移動)が規制体41によって阻止される。以上のような要領で、前後2個の係合凸部51をパレット本体20に同時に係合させて、パレット本体20に脚体50を取り付ける。この取り付け作業を左右2本の脚体50のそれぞれについて行い、これにより、左右2本の脚体50が組み付けられたパレット10を得る。
【0046】
(パレットの効果)
以上、説明したパレット10の効果を
図12に基づいて説明する。
図12に示すように、本実施形態のパレット10では、パレット本体20に対して脚体50を別部品としたので、例えば、ブロー成形において、パレット本体20の壁の肉厚tは、脚体50の構成による制約を受けない。これにより、中空に成形されるパレット本体20の壁を可能な限り薄くすることができる。さらには、パレット本体20の上面壁27と下面壁28の肉厚差を小さくすることができる。したがって、パレット10によれば、パレット本体20の薄肉化を図ることができ、パレット10の一層の軽量化を実現することができるとともに、全体として薄肉で軽量であっても、所望の剛性を有するパレットを得ることができる。
【0047】
また、実施形態における脚体の取り付け構造60では、係合凸部51を挿入穴36(
図8参照)に挿入して係合溝37で案内するだけの簡単な作業で、パレット本体20に脚体50を正確且つ容易に取り付けることができる。
【0048】
また、係合凸部51の後退(挿入穴36側に戻る方向への移動)が規制体41によって規制されるため、係合凸部51が挿入穴36(
図8参照)から抜けることを防止でき、パレット本体20に脚体50をしっかりと取り付けることができる。
【0049】
また、合成樹脂からなる中空成形体で脚体50を構成すれば、パレット10の主要素が全て中空成形体となるため、パレット10の更なる軽量化を実現することができる。
【0050】
(脚体の取り付け構造の変形例)
次に、脚体の取り付け構造の変形例を
図13、
図14に基づいて説明する。なお、前述した取り付け構造60(
図12参照)と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0051】
前述した取り付け構造60(
図12参照)は、規制体を特に固定しない構造としたが、この他、各種の固定手段を用いて規制体を脚体に固定してもよい。
【0052】
例えば、
図13に示すように、取り付け構造60Bでは、脚体50の基部52の上壁に穴部61を設け、この穴部61に係合可能な突起部62を規制体41に設ける。突起部62は、部品点数を考慮すると、規制体41に一体成形することが好ましいが、規制体41とは別部品で構成しても差し支えない。
【0053】
この取り付け構造60Bによれば、脚体50の基部52に規制体41を係合したので、係合凸部51から離れる方向(矢印(6)で示す向き)に規制体41が回動することを防止できる。同時に、突起部62と穴部61の係合によって、パレット本体20に脚体50を強固に取り付けることもできる。
【0054】
また、
図14に示すように、取り付け構造60Cでは、脚体50の基部52と規制体41をねじ部材(例えば、ビス)63で締結した。この場合、ねじ部材63が荷物11(
図1参照)に接触することを防ぐため、規制体41に凹部65を設け、この凹部65の中にねじ部材63の上部(例えば、ビスの頭部など)を収めるようにすることが望ましい。
【0055】
この取り付け構造60Cによっても、係合凸部51から離れる方向(矢印(6)で示す向き)に規制体41が回動することを防止できると共に、ねじ部材63の締結力によって、パレット本体20に脚体50を強固に取り付けることができる。
【0056】
変形例に係る取り付け構造60B,60Cによれば、安価で且つ簡単な構成で、脚体50の引き抜けをより確実に防止でき、しかも、脚体50の取り付け強度を高めることができる。
【0057】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。