特許第6040587号(P6040587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040587
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20161128BHJP
   F16K 51/00 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   F16K31/06 305V
   F16K31/06 305M
   F16K51/00 B
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-142338(P2012-142338)
(22)【出願日】2012年6月25日
(65)【公開番号】特開2014-5889(P2014-5889A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2015年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】村上 敏夫
【審査官】 加藤 一彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−162765(JP,A)
【文献】 特開2007−002958(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0255593(US,A1)
【文献】 特開平05−306783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06
F16K 51/00
F16K 11/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油を供給する供給通路、及び作動油を制御対象に導く出力通路を有するバルブボディと、
前記バルブボディに形成された嵌合穴に嵌合され、前記供給通路に連通する供給ポート、及び前記出力通路に連通する出力ポートを有する筒状のスリーブと、
前記スリーブに形成された弁孔に軸方向移動可能に収容され、その軸方向移動によって前記供給ポートと前記出力ポートとの間の流路面積を変化させるスプール弁と、
前記スプール弁を軸方向移動させるソレノイド部とを備え、
前記スリーブには、その外周面における前記供給ポートを挟む軸方向の両側に周方向に沿って延びる一対の円弧溝が形成され、前記一対の円弧溝円弧帯状のフィルタ部材が嵌着されると共に、前記嵌合穴内における前記スリーブの偏心を抑制する圧力を導入する圧力導入部が前記供給ポートに連通して形成され
前記供給ポートと前記圧力導入部とが、前記フィルタ部材の周方向における両端部の間に開口を有して前記スリーブに形成された連通孔により連通し、
前記圧力導入部は、前記連通孔の開口から前記スリーブの軸方向に沿って形成された切欠きである、
電磁弁。
【請求項2】
前記スリーブには、前記供給通路の前記嵌合穴における開口に対して前記弁孔の中心軸を挟んで対向する位置に、前記圧力導入部が形成されている、
請求項1に記載の電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルに供給される励磁電流に応じて作動油を出力する電磁弁に関し、特に異物の侵入を抑制するためのストレーナを備えた電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筒状のスリーブ内に軸方向移動可能に収容された軸状のスプール弁を備え、このスプール弁を軸方向移動させることで、作動油の流路及び流路面積が変化するように構成された電磁弁が知られている。この種の電磁弁には、異物の侵入を抑制するためのストレーナが作動油の供給ポートに設けられたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のストレーナは、円弧状のフィルタ部及び一対の係合部を有し、この一対の係合部が、スリーブのストレーナ取付部に形成された係止部に係止されている。ストレーナ取付部は、スプール弁を囲むように形成されたU字状を呈している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−258161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スリーブは、バルブボディに形成された嵌合穴に嵌合し、バルブボディの供給通路を介して供給ポートに作動油が供給される。特許文献1に記載のものでは、ストレーナ取付部がスリーブの中心軸に対して非対称に形成されているので、供給ポートに供給される作動油の油圧によって、スリーブがバルブボディの嵌合穴に対して偏心してしまうおそれがある。
【0006】
スリーブがバルブボディの嵌合穴に対して偏心すると、作動油の漏れ量が増大し、この漏れ量の増大に応じて作動油を吐出するオイルポンプの負荷が増大してしまう。
【0007】
そこで、本発明は、スリーブに異物の侵入を抑制するフィルタ部材を設けながら、バルブボディに対するスリーブの偏心を抑制することが可能な電磁弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、下記の[1]及び[2]に記載の電磁弁を提供する。
【0009】
[1]作動油を供給する供給通路、及び作動油を制御対象に導く出力通路を有するバルブボディと、前記バルブボディに形成された嵌合穴に嵌合され、前記供給通路に連通する供給ポート、及び前記出力通路に連通する出力ポートを有する筒状のスリーブと、前記スリーブに形成された弁孔に軸方向移動可能に収容され、その軸方向移動によって前記供給ポートと前記出力ポートとの間の流路面積を変化させるスプール弁と、前記スプール弁を軸方向移動させるソレノイド部とを備え、前記スリーブには、その外周面における前記供給ポートを挟む軸方向の両側に周方向に沿って延びる一対の円弧溝が形成され、前記一対の円弧溝円弧帯状のフィルタ部材が嵌着されると共に、前記嵌合穴内における前記スリーブの偏心を抑制する圧力を導入する圧力導入部が前記供給ポートに連通して形成され、前記供給ポートと前記圧力導入部とが、前記フィルタ部材の周方向における両端部の間に開口を有して前記スリーブに形成された連通孔により連通し、前記圧力導入部は、前記連通孔の開口から前記スリーブの軸方向に沿って形成された切欠きである、電磁弁。
【0010】
[2]前記スリーブには、前記供給通路の前記嵌合穴における開口に対して前記弁孔の中心軸を挟んで対向する位置に、前記圧力導入部が形成されている、前記[1]に記載の電磁弁。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スリーブに異物の侵入を抑制するフィルタ部材を設けながら、バルブボディに対するスリーブの偏心を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係る電磁弁の構成例を示す断面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る第1ストレーナを示し、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る第1ストレーナのスリーブへの装着状態を示し、(a)はスリーブの上面図、(b)は図1におけるA−A線断面図、(c)はスリーブの下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、図1から図3を参照して説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態に係る電磁弁の構成例を示す断面図である。この電磁弁1は、例えば車両に設けられ、電子制御式自動変速装置の変速時におけるシフト操作力を流体圧でアシストするアクチュエータへの流体圧の供給通路に介装して用いられる。
【0016】
電磁弁1は、励磁電流の供給を受けるソレノイド部2と、ソレノイド部2に連結されたスプール制御弁3と、スプール制御弁3を収容するバルブボディ6とを備えて構成されている。
【0017】
ソレノイド部2は、電磁コイル20と、磁性体からなる筒状のカバー部材21と、同じく磁性体からなるコア部材22と、カバー部材21及びコア部材22に対して軸方向移動するプランジャ23とを有している。
【0018】
電磁コイル20は、カバー部材21に形成された環状の収容空間21aに収容され、カバー部材21の外周に固定されたコネクタ部201から励磁電流の供給を受けて磁界を発生させる。電磁コイル20は、軸方向の一端をカバー部材21の収容空間21aにおける底部211に対向させ、他端をコア部材22に対向させて収容空間21aに収容されている。
【0019】
カバー部材21は、電磁コイル20を収容する収容空間21aの内側に、プランジャ23を収容する円筒状のシリンダ部21bが形成されている。シリンダ部21bは、底部212、及び底部212からコア部材22側に突出した円筒状の突出部213から構成されている。突出部213の内側には、プランジャ23の軸方向移動を案内する軸受ブッシュ214が配置されている。
【0020】
コア部材22は、電磁コイル20に軸方向に向かい合うフランジ部221と、フランジ部221からカバー部材21の底部212及び突出部213に向かって突出した円筒状の突出部222とを一体に有している。コア部材22には、軸方向の貫通孔22aが形成され、この貫通孔22a内に軸受ブッシュ223が配置されている。コア部材22の突出部222の先端とカバー部材21の突出部213の先端との間には、空隙2aが形成されている。
【0021】
プランジャ23は、シリンダ部21b内で軸方向移動可能であり、中心部に貫通孔23aが形成されている。この貫通孔23a内には軸状のロッド24の基端部が固定されている。ロッド24には、その外周にプランジャ23のコア部材22側への移動を規制するストッパ体241が固定されている。
【0022】
ロッド24は、軸受ブッシュ223に案内されてコア部材22に形成された貫通孔22aを挿通し、その先端部がコア部材22のフランジ部221側から突出している。コア部材22から突出したロッド24の先端部は、次に述べるスプール制御弁3のスプール弁30の一端に当接し、スプール弁30を押圧して軸方向移動させる。
【0023】
スプール制御弁3は、軸状のスプール弁30と、スプール弁30を軸方向移動可能に収容する弁孔4aが形成された筒状のスリーブ4とを備えて構成されている。スリーブ4は、その一端がコア部材22のフランジ部221と共にカバー部材21の加締め部21cに加締め固定されている。
【0024】
スプール弁30は、ソレノイド部2側から順に、第1ランド部31と、第1ランド部31よりも小径の小径部32と、第2ランド部33と、第3ランド部34と、ボス部35とを一体に有している。スプール弁30は、ボス部35に当接するコイルばね47によって弾性的にソレノイド部2側に付勢されている。第1ランド部31には、ソレノイド部2側に突出する突起311が形成され、この突起311の先端部がロッド24の先端部に当接している。電磁弁1の非作動状態では、図1に示すように、ロッド24の基端部がカバー部材21の底部212に当接している。
【0025】
スリーブ4は、図略のオイルポンプの吐出ポートから作動油が供給される供給ポート41と、電磁弁1の作動状態において供給ポート41と連通し、作動油を出力する出力ポート42と、電磁弁1の非作動状態において出力ポート42と連通し、作動油を排出するドレンポート43と、後述のバルブボディ6を介して出力ポート42に連通するフィードバックポート44と、スプール弁30のボス部35及びコイルばね47を収容するばね室45とを備えている。
【0026】
ばね室45は筒状に形成され、その開口が栓体46によって塞がれている。栓体46には、コイルばね47の一端が当接している。また、栓体46は、その外周部がばね室45の内面に螺着している。ばね室45は、絞り孔451によって環状溝452に連通し、環状溝452は図1の上部においてサブドレン通路65に連通している。
【0027】
供給ポート41には、スリーブ4の弁孔4a内への異物の侵入を抑制するフィルタ部材としての第1ストレーナ51が装着されている。第1ストレーナ51は、スリーブ4の外周面に形成された円弧状の一対の凹部41a,41bに軸方向の両端部が収容されて嵌着されている。凹部41a,41bは、スリーブ4の外周面における供給ポート41を挟む軸方向の両側に、スリーブ4の周方向に沿って延びるように形成されている。第1ストレーナ51の構成については後述する。
【0028】
また、出力ポート42には、異物の排出を抑制する第2ストレーナ52が装着されている。第2ストレーナ52は、スリーブ4の外周面に形成された円弧状の凹部42a,42bに軸方向の両端部が収容されて嵌着されている。本実施の形態では、第2ストレーナ52が第1ストレーナ51と同様に構成されている。ただし、第2ストレーナ52を省略して電磁弁1を構成してもよい。
【0029】
スリーブ4は、バルブボディ6に形成された嵌合穴6aに嵌合されている。バルブボディ6は、例えば図略の電子制御式自動変速装置のオイルパン内に収納されている。嵌合穴6aは、軸方向の両端が開口している。
【0030】
バルブボディ6は、供給ポート41に連通する供給通路61と、出力ポート42に連通する出力通路62と、ドレンポート43に連通するドレン通路63と、出力通路62に連通するフィードバック通路64と、嵌合穴6aの外部に連通するサブドレン通路65とを有している。供給通路61は、図略のオイルポンプから吐出された作動油を供給ポート41に供給する。出力通路62は、出力ポート42から出力された作動油を制御対象(例えば電子制御式自動変速装置のクラッチ)に導く。ドレン通路63は、ドレンポート43から排出された作動油を導いて図略のドレンタンクに排出する。
【0031】
上記のように構成された電磁弁1は、電磁コイル20に励磁電流が供給されると、その磁力によってプランジャ23がコア部材22側に移動し、ロッド24がスプール弁30を押圧し、スプール弁30が弁孔4aの中心軸Cに沿って軸方向に移動する。スプール弁30が軸方向に移動すると、小径部32を介して供給ポート41と出力ポート42とが連通し、作動油が出力ポート42から出力通路62を介して制御対象に出力される。また、フィードバック通路64を介してフィードバックポート44にフィードバック圧が供給され、このフィードバック圧によってスプール弁30がソレノイド部2側に押圧される。
【0032】
スプール弁30は、その軸方向移動によって、供給ポート41と出力ポート42との間の流路面積、及び出力ポート42とドレンポート43との間の流路面積を変化させる。スプール弁30は、電磁コイル20の磁力によるプランジャ23の推進力と、コイルばね27の付勢力及びフィードバック圧とが釣り合う位置に定位する。
【0033】
また、本実施の形態の特徴として、供給ポート41に連通し、供給ポート41に供給された作動油が導入される圧力導入部としての切欠き412がスリーブ4の外周面に形成されている。この切欠き412には、供給ポート41と切欠き412とを連通させる連通孔411を介して作動油の圧力が導入され、切欠き412における受圧面412aに作動油の圧力が作用する。受圧面412aは、スリーブ4の外周面の一部として、弁孔4aの中心軸Cに対して平行な平坦な面に形成されている。切欠き412及びその周辺部の構成の詳細については後述する。
【0034】
図2は、第1ストレーナ51を示し、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【0035】
第1ストレーナ51は、帯状のステンレス等の金属からなる金属板を円弧状に屈曲して形成された円弧帯状である。第1ストレーナ51には、その外周側の面と内周側の面との間を貫通する複数の貫通孔510が穿設されている。貫通孔510の直径は、作動油を流通させると共に、作動油に混じった異物の通過を抑制することが可能な寸法に設定されている。この貫通孔510は、第1ストレーナ51の周方向の両端部51a,51bを除く範囲に設けられている。
【0036】
第1ストレーナ51の円弧角(円弧中心に対する一方の端部51aから他方の端部51bまでの角度)は180°以上(図2に示す例では276°)であり、円弧半径は例えば5.8mm、幅方向(軸方向)の寸法は例えば4.1mm、厚みは例えば0.3mmである。また、貫通孔510の直径は例えば0.4mmである。
【0037】
図3は、第1ストレーナ51のスリーブ4への装着状態を示し、(a)はスリーブ4の上面図、(b)は図1におけるA−A線断面図、(c)はスリーブ4の下面図である。
【0038】
図3(a)では、第1ストレーナ51の輪郭を二点鎖線で示し、第1ストレーナ51の内側におけるスリーブ4の構成を実線で示している。また、図3では、凹部41aの周方向における一方の端部41aA及び他方の端部41aBを結ぶ線分に対して直交し、かつ一方の端部41aA及び他方の端部41aBを通過する二本の直線S,Sを二点鎖線で示している。
【0039】
供給ポート41は、図3(b)に示すように、スリーブ4の壁部40が設けられていない範囲に形成されている。壁部40は、供給ポート41を含む断面において、スプール弁30の外周面の一部を囲む円弧状に形成されている。連通孔411は、壁部40の円弧状断面における底部に設けられている。供給ポート41には、第1ストレーナ51の複数の貫通孔510を通過した作動油が流入する。
【0040】
凹部41a,41bは、第1ストレーナ51の円弧角に応じた範囲に亘ってスリーブ4の周方向に沿って互いに平行に形成されている。図3(b)では、このうち凹部41aのみを示している。凹部41aの周方向における中央部41aCは、二本の直線S,Sの間に位置している。
【0041】
連通孔411は、図3(a)及び(b)に示すように、第1ストレーナ51の周方向における両端部51a,51bの間に開口411aを有し、この開口411aにおいて切欠き412と連通している。供給ポート41と切欠き412とは、スリーブ4の壁部40の内面とスプール弁30の外面との間、及び連通孔411を介して連通している。すなわち、切欠き412における作動油の油圧は、供給ポート41に供給される作動油の油圧に実質的に等しい。
【0042】
切欠き412は、供給通路61の嵌合穴6aにおける開口61aに対して、すなわち凹部41aの周方向における中央部41aCに対して、弁孔4aの中心軸Cを挟んで対向する位置に形成されている。より詳細には、切欠き412は、中心軸Cに直交する仮想面における凹部41aの中央部41aCの中心軸Cに対する点対称の位置を含んで形成されている。また、切欠き412は、連通孔411の開口411aからスリーブ4の軸方向に沿って中心軸Cと平行に、ソレノイド部2側に向かって延びるように形成されている。
【0043】
凹部41aには、供給ポート41に供給される作動油の油圧が作用する。凹部41aは、前述のように円弧状に形成されているので、凹部41a全体に作用する油圧は、スリーブ4の周方向において不均一である。つまり、図3(b)における直線S,Sの外側で凹部41aに作用する油圧は互いに相殺されるが、直線S,Sの間における凹部41aに作用する油圧は、スリーブ4をバルブボディ6に対して供給通路61とは反対側に押し付けるように作用する。また、凹部41bについても同様に、直線S,Sの間の範囲で受ける油圧が、スリーブ4をバルブボディ6に対して供給通路61とは反対側に押し付けるように作用する。
【0044】
図3(a)では、凹部41aのうち、直線S,Sの間の領域を第1領域41aとしてクロスハッチングで示し、これ以外の領域を第2領域41aとして示している。また、凹部41bのうち、直線S,Sの間の領域を第1領域41bとしてクロスハッチングで示し、これ以外の領域を第2領域41bとして示している。図3(c)では、受圧面412aをクロスハッチングで示している。
【0045】
スリーブ4がバルブボディ6に対して供給通路61とは反対側に押し付けられ、スリーブ4の中心軸がバルブボディ6の嵌合穴6aの中心軸に対して径方向にずれると、スリーブ4の外周面と嵌合穴6aの内周面の間からの作動油の漏れ量が増し、供給ポート41に作動油を供給するオイルポンプの負荷が増大する。本実施の形態では、凹部41a,41bに作用する油圧の不均一性に起因するスリーブ4のバルブボディ6に対する径方向の位置ずれを、スリーブ4に切欠き412を設けることにより緩和している。
【0046】
つまり、切欠き412に作動油の油圧を導入することにより受圧面412aが受ける圧力によって、凹部41aの第1領域41a及び凹部41bの第1領域41bが受ける圧力の少なくとも一部を相殺し、スリーブ4のバルブボディ6の嵌合穴6aに対する偏心を抑制する。すなわち、切欠き412は、バルブボディ6の嵌合穴6a内におけるスリーブ4の偏心を抑制する圧力を導入する。
【0047】
受圧面412aの面積をA、凹部41aの第1領域41a及び凹部41bの第1領域41bの面積の総和をAとすると、AはAの80〜120%(0.8×A≦A≦1.2×A)であるとよい。より望ましくは、AはAの90〜110%(0.9×A≦A≦1.1×A)であるとよい。本実施の形態では、A=Aとなるように、凹部41a,41b及び切欠き412が形成されている。
【0048】
このように、本実施の形態によれば、切欠き412をスリーブ4に設けることにより、スリーブ4のバルブボディ6の嵌合穴6aに対する偏心が抑制されるので、作動油の漏れによるオイルポンプの負荷の増大を抑制することができる。ひいては、電磁弁1が搭載された車両の燃費を改善することができる。
【0049】
以上、本発明の実施の形態の一例について説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【0050】
例えば、本実施の形態では、切欠き412を連通孔411の開口411aからソレノイド部2側に向かって延びるように形成した場合について説明したが、これに限らず、切欠き412を連通孔411の開口端からソレノイド部2側とは反対側(コイルばね47側)に向かって延びるように形成してもよい。また、切欠き412を連通孔411のソレノイド部2側及びその反対側に延びるように形成してもよい。
【0051】
また、本実施の形態では、受圧面412aがスリーブ4の軸方向に対して平行な平坦面である場合について説明したが、これに限らず、例えばスリーブ4の中心側に向かって窪んだ凹曲面であってもよい。
【0052】
また、本実施の形態では、凹部41a,41bが円弧溝として形成された場合について説明したが、凹部41a,41bは、スリーブ4の外周面における全周に亘って形成された円周溝であってもよい。この場合、第1ストレーナ51は、円筒状であってもよい。なお、凹部42a,42b及び第2ストレーナ52についても同様である。
【0053】
電磁弁1の用途についても、特に制限されることはなく、様々な用途に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…電磁弁、2…ソレノイド部、2a…空隙、3…スプール制御弁、4…スリーブ、4a…弁孔、6…バルブボディ、6a…嵌合穴、20…電磁コイル、21…カバー部材、21a…収容空間、21b…シリンダ部、21c…加締め部、22…コア部材、22a…貫通孔、23…プランジャ、23a…貫通孔、24…ロッド、30…スプール弁、31…第1ランド部、32…小径部、33…第2ランド部、34…第3ランド部、35…ボス部、40…壁部、41…供給ポート、41a,41b…凹部、41a,41b…第1領域、41a,41b…第2領域、41aA,41aB…端部、41aC…中央部、42…出力ポート、42a,42b…凹部、43…ドレンポート、44…フィードバックポート、45…ばね室、46…栓体、51…第1ストレーナ、51a,51b…端部、52…第2ストレーナ、61…供給通路、61a…開口、62…出力通路、63…ドレン通路、64…フィードバック通路、65…サブドレン通路、201…コネクタ部、211,212…底部、213…突出部、214…軸受ブッシュ、221…フランジ部、222…突出部、223…軸受ブッシュ、241…ストッパ体、311…突起、411…連通孔、411a…開口、412a…受圧面、451…絞り孔、452…環状溝、510…貫通孔、C…中心軸、S,S…直線
図1
図2
図3