特許第6040659号(P6040659)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6040659
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】紫外線吸収性ハードコートフィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/18 20060101AFI20161128BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20161128BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20161128BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20161128BHJP
   C09D 5/32 20060101ALI20161128BHJP
   C09D 133/06 20060101ALI20161128BHJP
   C09D 133/24 20060101ALI20161128BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   B32B27/18 A
   C09D201/00
   C09D7/12
   C09D5/00 Z
   C09D5/32
   C09D133/06
   C09D133/24
   C09J7/02 Z
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-202756(P2012-202756)
(22)【出願日】2012年9月14日
(65)【公開番号】特開2014-58050(P2014-58050A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2015年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 将幸
(72)【発明者】
【氏名】蛸島 義瑛
(72)【発明者】
【氏名】池田 智之
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−152976(JP,A)
【文献】 特開2012−030532(JP,A)
【文献】 特開2010−106061(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/040541(WO,A1)
【文献】 特開2003−055489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/18
C09D 5/00
C09D 5/32
C09D 7/12
C09D 133/06
C09D 133/24
C09D 201/00
C09J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材フィルムの一方面に紫外線吸収性ハードコート層が形成されている、紫外線吸収性ハードコートフィルムであって、
前記紫外線吸収性ハードコート層は、
(A)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート100質量部と、
(B)300〜350nmの波長の光を吸収する下記一般式(1)で表される紫外線吸収剤1〜20質量部と、
(C)光重合開始剤0.1〜10質量部と、
(D)ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン0.001〜20質量部と、
を含む紫外線吸収性ハードコート層塗布液を紫外線硬化させた、厚みが0.5〜10μmの層であることを特徴とする紫外線吸収性ハードコートフィルム。
【化1】
【請求項2】
前記紫外線吸収性ハードコート層塗布液が、下記一般式(2)で表される4級アンモニウム塩基を有する化合物(e−1)と、1つのエチレン不飽和基を有する化合物(e−2)とをラジカル共重合して得られる(E)4級アンモニウム塩系共重合体を含むことを特徴とする請求項1に記載の紫外線吸収性ハードコートフィルム。
CH=C(R)COZ(CH(R・X ・・・(2)
(式中、RはHまたはCH、Rはそれぞれ独立して炭素数が1〜4の炭化水素基、Zは酸素原子またはNH基、kは1〜10の整数、Xは1価のアニオンを表す。)
【請求項3】
前記紫外線吸収性ハードコート層の上に、該紫外線吸収性ハードコート層よりも屈折率の低い低屈折率層が設けられていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の紫外線吸収性ハードコートフィルム。
【請求項4】
前記透明基材フィルムの他方面に粘着層が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の紫外線吸収性ハードコートフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線吸収性ハードコート層を備える紫外線吸収性ハードコートフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の自動車、建材分野などの加飾用途では加工性および価格に優れ、かつ軽量であることからフィルム製品が著しい進歩を遂げ、広く普及している。これらのフィルム製品は基材フィルムをベースに様々な機能を付与することができることなどから機能性に関しても注目を浴びている。
【0003】
これらのフィルム製品にはポリエチレンテレフタレート(PET)などの透明基材フィルムが一般に用いられるが、それら単体では表面硬度などの物理的耐性が弱く、硬いものが接触した際に傷が生じて外観を損ねてしまうなどといった問題があった。そこで、透明基材フィルムの上にハードコート層を積層して透明基材フィルムに表面硬度などの物理的耐性を付与する方法が従来から行われている(特許文献1)。
【0004】
一方、これらのフィルム製品は太陽光(特に紫外線)の当たる場所で使用される機会が多い。しかしながら、これらのフィルム製品に用いられる透明基材フィルムやハードコート層は太陽光に曝露されることで劣化するため、透明基材フィルムとハードコート層との密着性が低下したり、ハードコート層に付与した機能が消失してしまうなどといった問題があった。そこで太陽光に対する耐性を付与するため、PET表面に耐候性コート層を積層した耐候性ポリエステルフィルムが提案されている(特許文献2)。また、電子ディスプレイなどに用いられるハードコートフィルムではトリアジン系紫外線吸収剤をハードコート層に添加することで、紫外線による劣化を防いでいる(特許文献3)。さらに、建材用途でも同様にトリアジン系紫外線吸収剤をハードコート層に添加することで紫外線による劣化を防いでいる(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許2003−184329号公報
【特許文献2】特開2009−226745号公報
【特許文献3】特開2009−294329号公報
【特許文献4】特開2012−76354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、透明基材フィルムにハードコート層を積層することで、表面硬度などの物理的耐性に関する問題を解消している。しかし、太陽光による劣化の問題は解決されていない。
【0007】
一方、特許文献2は太陽光による劣化の問題を改善するものであるが、物理的耐性に関する記載がなく、この問題を解消しているとは言えない。また、特許文献3は特に電子ディスプレイに関するものであり、太陽光による劣化の問題を改善するものであるが、従来のトリアジン系紫外線吸収剤では性能的に必ずしも満足し得るものではなかった。したがって、十分な耐候性を得ようとすると、紫外線吸収剤の添加量が過剰になり、紫外線吸収剤がブリードするという問題点がある。また、紫外線吸収剤の総量を確保するために、ハードコート層の膜厚を過剰に厚くすると、ハードコート層の材料である紫外線硬化型樹脂の硬化収縮が大きくなるため、ハードコート層を備えるフィルムがカールして、加工性が悪化する問題がある。特許文献4は耐候性に関して適切な紫外線吸収剤を選択しているものの、基材フィルムとハードコート層との密着性を維持するために両者の間にプライマー層を設けており、加工工程の増加によるコストアップが懸念される。
【0008】
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、その目的とするところは、透明基材フィルムに直接ハードコート層を積層したハードコートフィルムであり、かつ、ハードコート層塗布液に、紫外線領域の光吸収能が高い特定構造の紫外線吸収剤を添加することで、紫外線吸収剤の添加量の低減とハードコート層の薄肉化とを実現でき、以ってカール性の悪化を避けつつ十分な耐候性を有する紫外線吸収性ハードコートフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の紫外線吸収性ハードコートフィルムは、次のものである。
(1)透明基材フィルムの一方面に紫外線吸収性ハードコート層が形成されている紫外線吸収性ハードコートフィルムであって、前記紫外線吸収性ハードコート層は、(A)紫外線硬化型樹脂100質量部と、(B)300〜350nmの波長の光を吸収する下記一般式(1)で表される紫外線吸収剤1〜20質量部と、(C)光重合開始剤0.1〜10質量部と、(D)表面調整剤0.001〜20質量部とを含む紫外線吸収性ハードコート層塗布液を紫外線硬化させた、厚みが0.5〜10μmの層であることを特徴とする紫外線吸収性ハードコートフィルム。
【化1】

(2)前記紫外線吸収性ハードコート層塗布液が、下記一般式(2)で表される4級アンモニウム塩基を有する化合物(e−1)と、1つのエチレン不飽和基を有する化合物(e−2)とをラジカル共重合して得られる(E)4級アンモニウム塩系共重合体を含むことを特徴とする(1)に記載の紫外線吸収性ハードコートフィルム。
CH=C(R)COZ(CH(R・X ・・・(2)
(式中、RはHまたはCH、Rはそれぞれ独立して炭素数が1〜4の炭化水素基、Zは酸素原子またはNH基、kは1〜10の整数、Xは1価のアニオンを表す。)
(3)前記紫外線吸収性ハードコート層の上に、該紫外線吸収性ハードコート層よりも屈折率の低い低屈折率層が設けられていることを特徴とする、(1)または(2)に記載の紫外線吸収性ハードコートフィルム。
(4)前記透明基材フィルムの他方面に粘着層が設けられていることを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の紫外線吸収性ハードコートフィルム。
なお、本発明において数値範囲を示す「○○〜××」とは、その下限(○○)及び上限(××)の数値を含む意味である。したがって、正確に表せば「○○以上××以下」となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、透明基材フィルム上に、紫外線領域の光吸収能が高い紫外線吸収剤を含有するハードコート層を積層することで物理的耐性と耐候性(紫外線吸収性)を付与でき、加工性に優れ、太陽光に暴露される環境においても、透明基材フィルムとハードコート層との密着性が低下することなく長期使用に耐え得る紫外線吸収性ハードコートフィルムを提供することができる。
【0011】
前記紫外線吸収剤として、上記一般式(1)で表される特定構造のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が使用されている。当該紫外線吸収剤は短波長側(紫外線領域)の光に対して高い光吸収能を有するため、少量の添加でも効率よく紫外線を吸収できる。したがって、紫外線吸収剤の添加量を低減でき、ハードコート層の膜厚も小さくできる。これにより、カール性等の悪化を防止し、良好な加工性と耐候性を有するハードコートフィルムを得ることができる。また、本発明においてはハードコート層を透明基材フィルム上に直接積層するため、両者の密着性を高めるためのプライマー層が不要であり、加工工程の増加を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の紫外線吸収性ハードコートフィルムは、自動車や建材に適用されるものであって、透明基材フィルムの一方の面に、少なくとも紫外線吸収性ハードコート層が形成されている。
【0013】
<透明基材フィルム>
紫外線吸収性ハードコートフィルムに用いられる透明基材フィルムは、透明性を有している限り特に制限されない。そのような透明基材フィルムを形成する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、またはポリエーテルスルフォンなどが挙げられる。これらのうち、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが成形の容易性の点で好ましい。
【0014】
透明基材フィルムの厚みも特に限定されないが、一般的には25〜400μmであり、好ましくは50〜200μmである。透明基材フィルムの厚みが25μmより薄い場合や400μmより厚い場合には、紫外線吸収性ハードコートフィルムの製造時及び使用時における取り扱い性が低下してしまう。なお、透明基材フィルムには、各種の添加剤が含有されていてもよい。そのような添加剤としては、例えば紫外線吸収剤、帯電防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、難燃剤などが挙げられる。
【0015】
<紫外線吸収性ハードコート層>
紫外線吸収性ハードコート層は、(A)紫外線硬化型樹脂と、(B)一般式(1)で表されるヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤と、(C)光重合開始剤と、(D)表面調整剤とを含む紫外線吸収性ハードコート層塗布液を、紫外線硬化させた層である。紫外線吸収性ハードコート層は、前記各成分を含む紫外線吸収性ハードコート層塗布液を透明基材フィルムに直接塗布した後に紫外線を照射して硬化することにより形成される。
【0016】
紫外線吸収性ハードコート層の厚みは、0.5〜10μmであり、好ましくは1〜6μmである。紫外線吸収性ハードコート層の厚みが0.5μm未満では、紫外線吸収性ハードコート層の紫外線吸収剤の含有率にも限界があるので、結果として形成される紫外線吸収性ハードコート層における紫外線吸収剤の量が相対的に少なくなり、十分な紫外線吸収効果を得られない。一方、10μmを超えると、紫外線吸収性ハードコート層の硬化時におけるカールを低減することができなくなる。
【0017】
紫外線吸収性ハードコート層は加工時または実使用時に発生する埃などの異物の付着を防ぐ目的で帯電防止剤を含んでいてもよい。そのような帯電防止剤としては、例えば(E)4級アンモニウム塩系共重合体などが挙げられる。
【0018】
また、紫外線吸収性ハードコート層の屈折率は、1.45〜1.70程度であればよく、紫外線吸収性ハードコート層には、該紫外線吸収性ハードコート層の屈折率を調整するために必要に応じて金属酸化物などの屈折率調整剤が含有されていてもよい。屈折率調整に使用する金属酸化物は、屈折率を上昇する目的で紫外線吸収性ハードコート層塗布液に添加するものであれば、その種類は特に制限されない。そのような金属酸化物としては、例えば酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化シラン、酸化インジウム錫などが挙げられる。
【0019】
紫外線吸収性ハードコート層を透明基材フィルム上に形成する方法としては、紫外線吸収性ハードコート層塗布液をウェットコート法により直接塗布した後、紫外線を照射する方法であれば特に制限されず、塗布方法としては例えばグラビアコート法、スピンコート法、ダイコート法等の従来公知の塗工方法を採用することができる。
【0020】
<(A)紫外線硬化型樹脂>
紫外線吸収性ハードコート層を形成する紫外線硬化型樹脂としては、この種のハードコートフィルムにおいて従来から一般的に使用されている、紫外線を照射することにより硬化反応を生じる公知の樹脂であればその種類は特に制限されない。そのような樹脂として、例えば単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂などである。なお、本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートの双方を含む総称を意味する。また、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル系、及び(メタ)アクリロイルの記載も同様である。
【0021】
<(B)紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤は、300〜350nmの波長の光を吸収し、下記一般式(1)で表される〔2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン〕である。
【化2】
【0022】
(B)紫外線吸収剤の含有量は、(A)紫外線硬化型樹脂100質量部に対して1〜20質量部であり、5〜20質量部がより好ましい。紫外線吸収剤の含有量が20質量部よりも多い場合には、紫外線吸収性ハードコート層塗布液の紫外線による硬化性が低下する傾向があると共に、紫外線吸収性ハードコートフィルムの可視光線透過率が低下するおそれもある。一方、1質量部より少ない場合には、紫外線吸収性ハードコートフィルムの紫外線吸収性を十分に発揮することができなくなる。
【0023】
紫外線吸収剤は、波長300〜350nmの波長の光を吸収する上記一般式(1)で表される紫外線吸収剤が所定量含まれていれば、その他の波長の光を吸収する紫外線吸収剤も併用することができる。また、無機系の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)や酸化防止剤などの安定剤を併用してもよい。
【0024】
無機系の紫外線吸収剤としては、従来から公知のものが使用できる。例えば酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化チタン等が挙げられる。
【0025】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、従来から公知のものが使用できる。例えばデカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートの混合物、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン)等が挙げられる。
【0026】
<(C)光重合開始剤>
紫外線吸収性ハードコート層塗布液に含まれる光重合開始剤としては、紫外線により重合反応を開始可能であるものであればその種類は特に限定されず、220〜400nmの波長の光を吸収するものが好ましく、最大吸収波長が300〜350nmの範囲にないものがより好ましい。硬化に用いる光の波長が400nmを超える場合には、光重合開始能の発現が不足するおそれがある。光の波長が220nm未満の場合、オゾンが発生しやすくなるため好ましくない。また、光重合開始剤の最大吸収波長が300〜350nmの範囲にある場合、紫外線が紫外線吸収剤に吸収されてしまい、光重合開始剤の光重合開始能が十分に発現しないおそれがある。
【0027】
220〜400nmの波長の光を吸収する光重合開始剤としては、例えば1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オンなどが挙げられる。中でも、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンが好ましい。
【0028】
(C)光重合開始剤の含有量は、(A)紫外線硬化型樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部である。光重合開始剤の含有量が0.1質量部未満の場合には紫外線吸収性ハードコート層の重合硬化が不十分となり、10質量部を越える場合には、光重合開始に使用されなかった光重合開始剤が形成された紫外線吸収性ハードコート層内に残存し、紫外線吸収性ハードコートフィルムの可視光線透過率が低下するなどの弊害が生じるおそれがある。
【0029】
<(D)表面調整剤>
表面調整剤は紫外線吸収性ハードコート層の表面に滑り性を付与する目的で使用される。表面調整剤の種類は特に限定されるものではないが、例えばアクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン、アクリル基を有するポリエステル変性ジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、などが挙げられる。中でも、滑り性の観点からアクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが好ましい。
【0030】
(D)表面調整剤の含有量は(A)紫外線硬化型樹脂100質量部に対し、0.001〜20質量部である。表面調整剤の含有量が0.001質量部未満の場合は表面の滑り性を十分に付与できなくなり物理的耐性が低下する。また、表面調整剤の含有量が20質量部以上の場合は、紫外線吸収性ハードコート層塗布液を透明基材フィルムに塗布した際に透明基材フィルムが紫外線吸収性ハードコート層塗布液をはじいてしまい、紫外線吸収性ハードコート層を均一に形成することができない。
【0031】
<(E)4級アンモニウム塩系共重合体>
紫外線吸収性ハードコート層に帯電防止能を付与するために(E)4級アンモニウム塩系共重合体を用いることもできる。4級アンモニウム塩系共重合体は、下記一般式(2)で表される4級アンモニウム塩基を有する化合物(e−1)、及び1つのエチレン不飽和基を有する化合物(e−2)を構成成分とする。
CH=C(R)COZ(CH(R・X ・・・(2)
(式中、RはHまたはCH、Rはそれぞれ独立して炭素数が1〜4の炭化水素基、Zは酸素原子またはNH基、kは1〜10の整数、Xは1価のアニオンを表す。)
【0032】
(E)4級アンモニウム塩系共重合体の使用量は、(A)紫外線硬化型樹脂100重量部に対し、1〜20重量部であることが好ましく、3〜10重量部がより好ましい。1重量部未満では十分な帯電防止性能を得ることができず、20重量部を超えると形成される紫外線吸収性ハードコート層の耐擦傷性が低下する。
【0033】
<4級アンモニウム塩基を有する化合物(e−1)>
4級アンモニウム塩基を有する化合物(e−1)は、前記一般式(2)で表され、その構造中に4級アンモニウム塩を含有する(メタ)アクリル類であれば特に制限さない。そのような化合物として、例えば、アミノ基を有する(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
【0034】
一般式(2)におけるRである炭素数が1〜4の炭化水素基は、置換又は無置換のものが使用できる。Rの炭素数が5よりも大きい場合、生成される(E)4級アンモニウム塩系共重合体の疎水性が高まる結果、(E)4級アンモニウム塩系共重合体を含有する紫外線吸収性ハードコート層の吸湿性が低下し、良好な帯電防止性能を得られない場合がある。
【0035】
一般式(2)におけるRは、無置換の炭化水素基が好ましく、無置換のアルキル基がより好ましい。無置換のアルキル基としては、分岐を有するもの、有しないもの、いずれをも使うことができる。無置換のアルキル基としては、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基やエチル基等を有するものが入手し易いという点で好ましい。
【0036】
一般式(2)におけるZが酸素原子の4級アンモニウム塩基を有する化合物(e−1)を形成するためのアミノ基を有する(メタ)アクリレート類の例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート塩化メチル4級塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート塩化メチル4級塩などである。
【0037】
一般式(2)におけるZがNH基の4級アンモニウム塩基を有する化合物(e−1)を形成するためのアミノ基を有する(メタ)アクリルアミド類の例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド塩化メチル4級塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド塩化メチル4級塩などである。
【0038】
<1つのエチレン不飽和基を有する化合物(e−2)>
1つのエチレン不飽和基を有する化合物(e−2)としては、エチレン不飽和基を1つ含有するモノマーであれば特に限定されない。そのような化合物として、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。また、化合物(e−2)は2種類以上を併用しても良い。
【0039】
(E)4級アンモニウム塩系共重合体は、化合物(e−1)及び(e−2)をラジカル共重合して得ることができる。化合物(e−1)及び(e−2)それぞれの使用量は、4級アンモニウム塩系共重合体の合計100質量部中、化合物(e−1)は、帯電防止性能の観点から30〜70質量部であることが好ましく、化合物(e−2)は、生成される(E)4級アンモニウム塩系共重合体の帯電防止性、溶解性を整える目的で70〜30質量部であることが好ましい。
【0040】
<低屈折率層>
本発明の紫外線吸収性ハードコートフィルムは、太陽光や蛍光灯などの外光の反射や映り込みを防止するために、表面に低屈折率層を備えることが好ましい。低屈折率層は、紫外線吸収性ハードコート層よりも屈折率の低い層であり、紫外線吸収性ハードコート層の上(表面側)に設けられる。
【0041】
低屈折率層を形成する材料としては、屈折率が1.20〜1.50の範囲であり、紫外線吸収性ハードコート層の屈折率よりも低ければ、この種のハードコートフィルムにおいて低屈折率層を形成する公知の材料を用いることができる。例えば、バインダー樹脂に、屈折率を低下させる中空シリカやフッ化マグネシウム等の低屈折率無機微粒子を添加したもの、あるいはフッ素系樹脂などを用いることができる。バインダー樹脂としては、紫外線吸収性ハードコート層を形成する(A)紫外線硬化型樹脂と同様の(メタ)アクリレート等を使用できる。低屈折率層は、紫外線吸収性ハードコート層と同様の方法で、低屈折率層塗布液を紫外線吸収性ハードコート層上に塗布硬化することで形成できる。また、この低屈折率層は機能を損なわない限りその他の機能を有していてもよく、添加剤などを添加して帯電防止性や防汚性、滑り性、紫外線吸収などの機能を1種又は2種以上付与することができる。
【0042】
<粘着層>
本発明の紫外線吸収性ハードコートフィルムは、貼合対象物に対する接着機能を付与するために、紫外線吸収性ハードコート層が積層された面とは反対の面に粘着層を有することが好ましい。粘着層は透明基材フィルムの他方面に設けられる。粘着層を形成する材料は特に制限されるものではないが、例えばアクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等の粘着剤が挙げられるが、粘着力の観点からアクリル系粘着剤が好ましい。
【0043】
粘着層を形成する方法は特に限定されないが、ウェットコーティング法により塗布膜を形成した後、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化等により硬化膜を得る従来公知の方法を用いることができる。また、この接着層には機能を損なわない限りその他の機能を有していてもよく、例えば色素や添加剤などを添加して、特定波長域の光の遮断、コントラストの向上、色調の補正等の機能を1種又は2種以上付与することができる。
【実施例】
【0044】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
【0045】
(4級アンモニウム塩系共重合体の調製)
(E)4級アンモニウム塩系共重合体(E1〜E4)は、(e−1)及び(e−2)を下記表1に示す組成のように共重合することで得た。なお、表1中に示す各具体的材料は、次の通りである。
α1:ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級
一般式(1):R1=CH3、R=CH3、Z=O、k=2、X=Cl
α2:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4 級
一般式(1):R1=H、R=CH3、Z=NH基、k=3、X=Cl
β1:ブチルメタクリレート
β2:ベンジルメタクリレート
【0046】
【表1】
【0047】
(紫外線吸収性ハードコート層塗布液の調製)
紫外線吸収性ハードコート層塗布液は、(A)紫外線硬化型樹脂と、上記一般式(1)の(B)紫外線吸収剤と、(C)光重合開始剤と、(D)表面調整剤と、(E)4級アンモニウム塩系共重合体とを下記表2に示す組成のように混合し、固形分濃度が40質量%となるようにイソプロピルアルコール(IPA)を混合して紫外線吸収性ハードコート層塗布液を得た。なお、表2中に示す各具体的材料は、次の通りである。
A1:DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
B1:BASFジャパン株式会社製の製品名:チヌビン479〔2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン〕
B2:BASFジャパン株式会社製の製品名:チヌビン123〔デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物〕
C1:BASFジャパン株式会社製の製品名:イルガキュア184
C2:BASFジャパン株式会社製の製品名:イルガキュア907
D1:アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミージャパン株式会社製の製品名:BYK3500)
D2:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミージャパン株式会社製の製品名:BYK3510)
【0048】
(低屈折率層塗布液γ1の調製)
低屈折率層塗布液γ1は、粒子径が60nmの中空シリカ微粒子60質量部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)40質量部と、光重合開始剤〔BASFジャパン株式会社製の製品名:イルガキュア907〕2質量部とを、固形分濃度が5質量%となるようにイソプロピルアルコール(IPA)を混合して得た。
【0049】
(粘着層塗布液δ1の調製)
n‐ブチルアクリレート94.6質量部、アクリル酸4.4質量部、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート1質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.4質量部、酢酸エチル90質量部、トルエン60質量部を混合し、窒素雰囲気下で混合物を65℃に加温して10時間重合反応を行い、アクリル樹脂組成物を調製した。このアクリル樹脂組成物99質量部にコロネートL〔日本ポリウレタン(株)製ポリイソシアネート〕1質量部、および固形分濃度が20質量%となるように酢酸エチルを加えることにより、粘着樹脂組成物の固形分濃度が20質量%である粘着層塗布液δ1を得た。
【0050】
(紫外線吸収性ハードコートフィルムの作製)
<実施例1−1〜1−12>
ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、表2に記載した各実施例用の紫外線吸収性ハードコート層塗布液を、グラビアコート法で乾燥膜厚が0.5、1又は10μmになるよう塗布し、乾燥後、窒素雰囲気下で400mJ/cmの出力にて紫外線を照射して硬化させることにより、実施例1−1〜1−12の紫外線吸収性ハードコートフィルムを作製した[表2]。
<実施例2−1〜2−6>
ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、表3に記載した(E)4級アンモニウム塩系共重合体を加えた各実施例用の紫外線吸収性ハードコート層塗布液を、グラビアコート法で乾燥膜厚が1μmになるよう塗布し、乾燥後、窒素雰囲気下で400mJ/cmの出力にて紫外線を照射して硬化させることにより、実施例2−1〜2−6の紫外線吸収性ハードコートフィルムを作製した[表3]。
<実施例3−1、3−2>
実施例1−1及び2−1で作製した紫外線吸収性ハードコート層上に、前記低屈折率層塗布液γ1を、硬化後の光学膜厚がkλ/4(k:1、λ:550nm)になるようにグラビアコート法で塗布し、乾燥後、窒素雰囲気下で400mJ/cmの紫外線を照射して硬化させることにより、実施例3−1及び3−2の紫外線吸収性ハードコートフィルムを作製した[表3]。
<実施例4−1〜4−4>
粘着層塗布液δ1をPET製のセパレートフィルム上に乾燥後の厚みが25μmとなるようにオートアプリケーターを用いて塗布し、90℃で2分間乾燥後、実施例1−1、3−1、2−1、及び3−2において形成した紫外線吸収性ハードコート層フィルムを用いて、前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの紫外線吸収性ハードコート層を形成した面とは反対の他方面に貼合して30℃で5日間保存することにより実施例4−1〜4−4の紫外線吸収性ハードコートフィルムを作製した[表3]。
【0051】
<比較例1>
紫外線吸収性ハードコート層塗布液から(B)紫外線吸収剤を抜いた以外は、実施例1−1と同様に紫外線吸収性ハードコートフィルムを作製した。
【0052】
<比較例2>
紫外線吸収性ハードコート層の膜厚を0.1μmにした以外は、実施例1−1と同様に紫外線吸収性ハードコートフィルムを作成した。
【0053】
<比較例3>
紫外線吸収性ハードコート層の膜厚を15μmにした以外は、実施例1−1と同様に紫外線吸収性ハードコートフィルムを作成した。
【0054】
<比較例4>
紫外線吸収性ハードコート層塗布液から(D)表面調整剤を抜いた以外は、実施例1−1と同様に紫外線吸収性ハードコートフィルムを作成した。
【0055】
得られた各実施例及び比較例の紫外線吸収性ハードコートフィルムにおいて、表面硬度や耐擦傷性、耐候性試験後の密着性、カール性、表面抵抗率、視感度反射率、接着性を評価した。その結果も表2および表3に示す。なお、各項目の測定方法は次の通りである。
【0056】
(I)表面硬度
安田精機(株)製鉛筆硬度試験機を用いてJIS K5600−5−4に従って、鉛筆硬度を測定した。
【0057】
(II)耐擦傷性
(株)本光製作所製消しゴム摩耗試験機の先端に、#0000のスチールウールを固定し、2.5N(250gf)の荷重をかけて、紫外線吸収性ハードコートフィルムの表面上を10回往復摩擦したあとの表面の傷を目視で観察し、以下のA〜Eの6段階で評価した。
A:傷なし、A':傷1〜3本、B:傷4〜10本、C:傷11〜20本、D:傷21〜30本、E:31本以上
【0058】
(III)耐候性試験I
<スーパーキセノン試験>
スーパーキセノンウェザーメーターSX75(スガ試験機株式会社製)を用いて、照射照度180W/m、照射光の波長300〜400nm、BPT温度63±1℃の試験条件で100時間試験を行い、試験後、JIS D0202−1998に準拠して碁盤目剥離テープ試験を行った。セロハンテープ〔ニチバン(株)製、CT24〕を用い、紫外線吸収性ハードコートフィルムの紫外線吸収性ハードコート層、あるいは低屈折率層に密着させた後剥離した。耐候性は密着性にて判定し、100マスのうち、剥離しないマス目の数を、○○/100として表した。例えば、全く剥離しない場合は100/100、完全に剥離する場合は0/100として表した。
【0059】
(IV)耐候性試験II
<サンシャインウェザーメーター試験>
サンシャインウェザーメーターS80(スガ試験機株式会社製)を用いて、照射照度(255W/m)、照射光の波長300〜400nm、BP温度63±1℃、60分の内12分降雨の試験条件で500時間試験を行い、試験後、耐候性試験Iで実施した碁盤目剥離テープ試験を行った。
【0060】
(V)カール性試験
10cm×10cmのサイズの紫外線吸収性ハードコートフィルムを作成し、水平面に置いた際の4隅のカール高さを測定し、下記の基準により判定した。
○:カール高さが20mm未満
△:カール高さが20mm以上50mm未満
×:カール高さが50mm以上
【0061】
(VI)表面抵抗率
JISK6911−1995に準拠して、デジタル絶縁計〔東亜ディーケーケー(株)製、SM−8220〕を用いて測定した。
【0062】
(VII)視感度反射率
測定面の裏面反射を除くため、裏面をサンドペーパーで粗し、黒色塗料で塗りつぶした紫外線吸収性ハードコートフィルムを分光光度計〔日本分光(株)製、商品名:U−best560〕により、光の波長380nm〜780nmの5°、−5°正反射スペクトルを測定した。得られる380nm〜780nmの分光反射率と、CIE標準イルミナントD65の相対分光分布を用いて、JIS Z8701で想定されているXYZ表色系における、反射による物体色の三刺激値Yを視感度反射率(%)とした。
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】

【0065】
表2の結果より、各実施例の紫外線吸収性ハードコートフィルムは、物理的耐性を有すると共に耐候性試験後の密着性が良好であった。また、カール性も良好であった。これに対し比較例1の紫外線吸収性ハードコートフィルムは、紫外線吸収性ハードコート層に(B)紫外線吸収剤が入っていないため、耐候性試験後の密着性が著しく悪化した。比較例2の紫外線吸収性ハードコートフィルムは、紫外線吸収性ハードコート層の膜厚の薄膜化に伴う(B)紫外線吸収剤の含有量低下のため、紫外線吸収性ハードコートフィルムの紫外線による劣化を十分に抑制できず、耐候性試験後の密着性が悪化した。比較例3の紫外線吸収性ハードコートフィルムは、紫外線吸収性ハードコート層の膜厚が厚すぎるため、カール性が悪化した。比較例4の紫外線吸収性ハードコートフィルムは、(D)表面調整剤が添加されていないため、表面の滑り性が低下し、物理的耐性が低下した。
【0066】
表3の結果より、実施例2−1〜2−6、3−2、4−3、および4−4では紫外線吸収性ハードコート層が帯電防止剤である(E)4級アンモニウム塩系共重合体を含有しているため帯電防止能が付与されていた。また、実施例3−1、3−2、4−2、および4−4では低屈折率層を積層しているため視感度反射率を低下させることが出来ると共に、低屈折率層を積層してもカール性などに影響を与えないことが確認できた。さらに実施例4−1〜4−4では粘着層を積層しているため接着性を得ることが出来た。