(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記した従来の技術には,次のような問題があった。すなわち,従来の画像処理装置では,エラーメッセージを装置本体に記憶しており,メッセージ内容が固定されている。そのため,メッセージ内容を変更するには,装置個々に変更が必要であり手間がかかる。
【0006】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,エラー個々に対応するメッセージの内容変更にかかる手間が少ない画像処理システムおよび画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた画像処理システムは,画像処理装置と,前記画像処理装置と接続するサーバとを有する画像処理システムであって,前記画像処理装置で発生するエラーの種類ごとに,そのエラーに対応するメッセージを,前記画像処理装置に記憶する処理側記憶部と,前記画像処理装置で発生するエラーの種類ごとに,そのエラーに対応するメッセージを,前記サーバに記憶するサーバ側記憶部と,前記画像処理装置にエラーが発生した場合に,当該エラーに対応するメッセージの取得先を,前記画像処理装置とするか前記サーバとするかを選択する選択部と,前記選択部によって選択された取得先からメッセージを取得する取得部と,前記取得部によって取得されたメッセージを報知する報知部とを備えることを特徴としている。
【0008】
本明細書で開示される画像処理システムは,画像処理装置とサーバとでそれぞれ,エラーの種類ごとにそのエラーに対応するメッセージを記憶している。そして,画像処理装置にエラーが発生した場合に,当該エラーに対応するメッセージを画像処理装置とサーバとのどちらから取得するのかを選択し,さらに選択された取得先からメッセージを取得する。そして,取得されたメッセージをユーザに報知する。報知方法としては,例えば,画像処理装置の操作パネルに表示させてもよいし,エラーを発生させたジョブの送信元に表示させてもよい。
【0009】
すなわち,本明細書で開示される画像処理システムでは,エラーメッセージを画像処理装置とサーバとの両方に記憶し,画像処理装置でのエラー発生時,エラーメッセージの取得先を当該画像処理装置とするのかサーバとするのかを選択する。これにより,サーバから取得されるメッセージについては,サーバによって管理されることになる。そして,サーバで管理されるメッセージについては,サーバに記憶されるメッセージ内容を変更することで,サーバが管理する全ての画像処理装置でメッセージ内容の変更が完了することになる。従って,個々の画像処理装置に対して変更作業を行う必要がなく,ユーザにとってメッセージの内容変更にかかる手間が少ない。
【0010】
また,本明細書で開示される画像処理システムは,前記選択部によって前記サーバが取得先に選択され,前記取得部によって前記サーバからメッセージを取得する際にメッセージを取得できなかった場合に,取得先を前記画像処理装置に変更する変更部を備え,前記取得部は,前記変更部によって取得先が変更された場合に,その取得先からメッセージを取得するとよい。この構成によれば,画像処理装置がサーバからメッセージが取得できなかったとしても,画像処理装置自身で保有するメッセージを取得することで,確実にメッセージを報知できる。
【0011】
また,本明細書で開示される画像処理システムは,前記選択部によって前記サーバが取得先に選択され,前記取得部によって前記サーバから取得されたメッセージを,報知先の装置で報知可能か否かを,報知先の装置の能力に応じて判断する判断部と,前記判断部にて報知不可と判断された場合に,前記エラーに対応するメッセージを前記画像処理装置から取得する再取得部とを備えるとよい。例えば,メッセージを,画像処理装置に表示する場合は,画像処理装置の表示能力によって判断し,PCやスマートフォン等の外部装置に表示する場合は,その外部装置の表示能力を取得して判断する。この構成によれば,サーバから取得したメッセージを報知先の装置で報知できなかったとしても,画像処理装置自身で保有するメッセージを取得することで,確実にメッセージを報知できる。
【0012】
また,前記サーバ側記憶部は,1つのエラーに対応する複数のメッセージを記憶し,前記取得部は,前記選択部によって前記サーバが取得先に選択された場合に,前記報知部の報知先の能力に基づいて報知可能なメッセージを前記サーバ側記憶部から選択して取得するとよい。複数のメッセージとしては,例えば,画像付きのメッセージと,文字のみで構成されるメッセージの組み合わせや,文字数の多い詳細説明のメッセージと,文字数が少ない簡易説明のメッセージの組み合わせや,各種の言語に対応するメッセージが該当する。能力としては,例えば,画像表示能力,文字数制限,表示言語等の表示能力や,通信能力が該当する。すなわち,報知先の装置の表示能力によっては,表示できるメッセージと表示できないメッセージとがある。そこで,複数のメッセージを用意し,表示能力によって表示可能なメッセージを選択することで,より確実にメッセージを報知できる。
【0013】
また,本明細書で開示される画像処理システムは,エラーの種類ごとにそのエラーに対応するメッセージを前記サーバから取得するか否かを識別する識別情報記憶部と,前記サーバ側記憶部にメッセージの追加あるいは変更があった場合に,前記識別情報記憶部に記憶されている当該メッセージに対応するエラーの前記識別情報を,前記サーバから取得する旨の情報に設定し,前記サーバ側記憶部にメッセージの消去があった場合に,前記識別情報記憶部に記憶されている当該メッセージに対応するエラーの前記識別情報を,前記サーバから取得しない旨の情報に設定する設定部とを備え,前記選択部は,前記識別情報に基づいてメッセージの取得先を選択するとよい。サーバ側のメッセージ内容に変更があった場合に,その変更に追随するように識別情報を変更することで,サーバ側のメッセージ内容の変更に対応でき,好適なメッセージ報知が期待できる。
【0014】
また,前記サーバは,所定の属性によって分類されたグループごとに前記サーバ側記憶部を備え,前記取得部は,前記サーバからメッセージを取得する際,前記画像処理装置からグループを特定する特定情報を取得し,当該特定情報によって特定されるグループに対応するメッセージを前記サーバ記憶部から取得するとよい。グループは,例えば,複数の画像処理装置を1つのグループとしてもよいし,複数のユーザを1つのグループとしてもよい。グループごとにメッセージを管理することで,グループ個々に応じた好適なメッセージを表示できる。
【0015】
また,前記処理側記憶部は,エラーの種類ごとに,そのエラーに対応するメッセージの取得先の選択を必要とするか否かを識別する要否情報も記憶し,前記取得部は,前記要否情報に前記選択を不要とする情報が記憶されているエラーの場合に,メッセージを前記画像処理装置から取得するとよい。例えば,重大なエラーについてはメッセージの取得先の選択を不要とし,画像処理装置からメッセージを取得して早期にメッセージを報知できる方が好ましい。また,通信エラーについては,サーバからメッセージを取得できないため,メッセージの取得先の選択を不要とする方が好ましい。
【0016】
また,本明細書には,エラーの種類ごとに,そのエラーに対応するメッセージを記憶する処理側記憶部と,制御部とを備え,前記制御部は,自装置にエラーが発生した場合に,当該エラーに対応するメッセージの取得先を,自装置とするか,自装置と接続するサーバとするか,を選択する選択処理と,前記選択処理によって選択された取得先からメッセージを取得する取得処理と,前記取得処理によって取得されたメッセージを報知する報知処理とを実行することを特徴とする画像処理装置が開示されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば,エラー個々に対応するメッセージの内容変更にかかる手間が少ない画像処理システムおよび画像処理装置が実現される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下,本発明にかかる画像処理システムを具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,印刷,読み取り等の各種の画像処理動作の実行が可能な複合機(MFP:Multi Function Peripheral )と,そのMFPと通信するサーバとを有する画像処理システムに,本発明を適用したものである。
【0020】
[画像処理システムの構成]
本形態の画像処理システム900は,
図1に示すように,MFP100,101,102と,サーバ200とを有し,各装置がインターネットを介して互いに通信可能に接続されている。なお,画像処理システム900に接続するMFPの個数はこれに限るものではない。
【0021】
[MFPの構成]
本形態のMFP100(画像処理装置の一例)は,
図1に示したように,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM(Non Volatile RAM)34とを備えた制御部30を備えている。また,制御部30は,用紙に画像を印刷する画像形成部10と,原稿の画像を読み取る画像読取部20と,動作状況の表示やユーザによる入力操作の受付を行う操作パネル40と,FAXインターフェース36と,ネットワークインターフェース37とに,電気的に接続されている。なお,他のMFP101,102もMFP100と同様の構成である。
【0022】
ROM32には,MFP100を制御するための制御プログラムであるファームウェアや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM33およびNVRAM34は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいはデータを一時的に記憶する記憶領域として利用される。
【0023】
CPU31(制御部の一例)は,ROM32から読み出した制御プログラムや各種センサから送られる信号に従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,MFP200の各構成要素を制御する。
【0024】
FAXインターフェース36は,他の装置との通信を公衆回線を介して可能にするインターフェースである。ネットワークインターフェース37は,他の装置との通信をインターネットを介して可能にするインターフェースである。MFP100は,FAXインターフェース36あるいはネットワークインターフェース37を介して外部装置とデータの受け渡しを行う。
【0025】
操作パネル40は,ユーザ入力を受け付ける各種のボタンと,文字情報やボタン等を表示するタッチパネルとを有している。各種のボタンとしては,例えば,画像処理動作の開始を指示するOKボタンや,画像処理動作のキャンセルを指示するキャンセルボタンがある。また,タッチパネルは,文字情報の他,JPEGやビットマップ等の所定のフォーマットのカラー画像ファイルを表示することができる。
【0026】
また,MFP100のNVRAM34には,
図2に示すような,MFP100で発生する可能性があるエラーごとのメッセージを記憶するデータベース(以下,「メッセージDB341」とする。処理側記憶部の一例)が,記憶されている。具体的に,メッセージDB341は,エラーの種類を識別する「ID」と,メッセージの内容を記憶する「メッセージ」と,メッセージの取得先を識別する「取得先」と,の3つの項目を1つのレコードとし,エラーごとにレコードが登録されている。なお,「取得先」の項目が,識別情報記憶部の一例となる。
【0027】
前述したメッセージDB341の「取得先」には,「サーバ」,「自装置」,「N/A」,のいずれか1つが記憶される。「サーバ」は,メッセージの取得先がサーバ200であり,サーバ200に問い合わせ,サーバ200からエラーメッセージを取得することを意味する。この場合,メッセージDB341の「メッセージ」に記憶されているメッセージは,報知可能なメッセージをサーバ200から取得できなかった場合に利用される予備のメッセージとなる。「自装置」は,サーバ200に問い合わせず,自装置からエラーメッセージを取得することを意味する。すなわち,メッセージDB341の「メッセージ」に記憶されているメッセージがエラーメッセージとして取得される。
【0028】
「N/A」は,サーバ200に問い合わせず,さらに取得先の変更を禁止する,すなわちエラーメッセージの取得先が自装置に固定であることを意味する。この場合も,メッセージDB341の「メッセージ」に記憶されているメッセージがエラーメッセージとして取得される。「N/A」は,メッセージの取得先の選択を不要とする要否情報の一例であり,「サーバ」,「自装置」は,メッセージの取得先の選択を必要とする要否情報の一例である。取得先が「N/A」以外の場合は,「N/A」以外の内容に変更が可能であり,ユーザ操作あるいは装置自身やサーバ200の命令によって必要に応じて変更される。
【0029】
[サーバの構成]
本形態のサーバ200(サーバの一例)は,
図1に示したように,CPU51と,ROM52と,RAM53と,HDD54とを備えた制御部50を備えている。また,制御部50は,ネットワークインターフェース57と電気的に接続されている。
【0030】
ROM52には,各種設定,初期値等が記憶されている。RAM53およびHDD54は,各種プログラムが読み出される作業領域として,あるいはデータを一時的に記憶する記憶領域として利用される。
【0031】
CPU51は,ROM52から読み出したプログラムに従って,その処理結果をRAM53またはHDD54に記憶させながら,各種の処理を実行する。
【0032】
ネットワークインターフェース57は,インターネットと接続し,他の装置との通信を可能にするインターフェースである。サーバ200は,ネットワークインターフェース57を介して他の装置とのデータの受け渡しを行う。
【0033】
また,サーバ200のHDD54には,
図3に示すようなグループ情報を記憶するデータベース(以下,「グループDB540」とする)が記憶されている。サーバ200は,複数のMFPをグループとして管理しており,グループDB540には,グループを識別する「グループID」と,そのグループに属する装置の識別情報を記憶する「所属装置」と,そのグループが利用するデータベースに関する「リンク情報」と,の3つの項目を1つのレコードとし,グループごとにレコードが登録されている。
【0034】
また,HDD54には,グループごとに,そのグループで共有するエラーメッセージを記憶するデータベース(以下,「グループ別メッセージDB」とする。サーバ側記憶部の一例)が記憶されている。
図3は,各グループに対応するグループ別メッセージDB541,542,543の構成を示している。グループ別メッセージDB541は,エラーの種類を識別する「ID」と,メッセージの内容を記憶する「メッセージ」と,の2つの項目を1つのレコードとし,エラーごとにレコードが登録されている。他のグループ別メッセージDB542,543についても同様の構成である。
【0035】
本形態の画像処理システム900では,サーバ200がMFPをグループ化して管理しており,グループごとに独自のメッセージを記憶している。そのため,例えば,MFPを設置場所によってグループ化している場合には,設置場所ごとに,メッセージに表示される問合せ先の電話番号や,表示言語を切り換えることができる。
【0036】
[画像処理システムのエラー報知動作]
[第1の形態]
続いて,MFP100でエラーが発生し,そのエラーに対応するメッセージをユーザに報知する際の,画像処理システム900の動作について,MFP100での動作と,サーバ200での動作とに分けて説明する。
【0037】
[メッセージ報知処理]
始めに,MFP100で実行されるメッセージ報知処理について,
図4のフローチャートを参照しつつ説明する。メッセージ報知処理は,エラーの発生を契機にCPU31によって実行される。
【0038】
メッセージ報知処理では,先ず,発生したエラーがサーバ200への問合せが必要なエラーか否かを判断する(S101,選択部の一例)。具体的にS101では,
図2に示したメッセージDB341を参照し,エラーのIDに基づいて,発生したエラーに対応するレコードを抽出し,「取得先」が「サーバ」であれば問合せが必要と判断し,それ以外であれば問合せが不要と判断する。すなわち,S101では,エラーメッセージの取得先の選択が行われる。
【0039】
サーバへの問合せが不要なエラーの場合(S101:NO),自装置からメッセージを取得する(S102,取得部の一例)。すなわち,メッセージDB341を参照し,発生したエラーに対応するレコードの「メッセージ」に記憶されている内容を取得する。そして,S102で取得されたメッセージをユーザに報知する(S103,報知部の一例)。報知方法は,自装置の操作パネル40に表示してもよいし,ジョブの送信元の装置に表示させてもよい。また,メール送信や音声出力であってもよい。
【0040】
一方,サーバへの問合せが必要なエラーの場合(S101:YES),サーバ200に対してメッセージ送信要求を出力する(S121)。メッセージ送信要求には,自装置を識別する情報(例えば,サーバ200が自装置を識別可能なIDやMACアドレス)である装置情報と,発生したエラーのIDとが付加される。なお,MFP100がサーバ200で管理されるグループを識別するグループIDを把握している場合には,そのグループIDを付加してもよい。
【0041】
S121の後は,サーバ200からの応答を受信したか否かを判断する(S122)。サーバ200は,メッセージ送信要求を受信すると,発生したエラーに対応するメッセージを応答する。MFP100は,その応答を受信することでサーバ200からメッセージを取得する(取得部の一例)。サーバ200の処理については後述する。サーバ200からの応答を受信していない場合には(S122:NO),受信するまで待機する。
【0042】
サーバ200からの応答を受信した場合には(S122:YES),その応答にメッセージが付加されているか否かを判断する(S123)。サーバ200は,MFP100で発生したエラーに対応するメッセージを記憶していないと,メッセージを付加せずに応答する。そのため,サーバ200からの応答にメッセージが付加されていない場合には(S123:NO),S102に移行し,メッセージDB341を参照し,サーバ200に代わって自装置からメッセージを取得する(変更部の一例)。
【0043】
サーバ200からの応答にメッセージが付加されていた場合には(S123:YES),そのメッセージが報知先の装置で報知可能か否かを判断する(S124,判断部の一例)。例えば,メッセージとして特定のフォーマットの画像ファイルが付加されていた場合には,報知先の装置(報知先の装置が自装置であれば操作パネル40)にその特定のフォーマットの画像ファイルを表示する機能がなければ報知できない。また,例えば日本語のメッセージを取得した場合,報知先の装置に日本語の表示機能がなければ報知できない。すなわち,S124では,付加されていたメッセージが報知先の装置の報知能力に適合するか否かを判断する。メッセージが報知できない場合には(S124:NO),S102に移行し,メッセージDB341を参照し,サーバ200に代わって自装置からメッセージを取得する(再取得部の一例)。
【0044】
一方,メッセージが報知できる場合には(S124:YES),サーバ200から取得したメッセージをユーザに報知する(S103,報知部の一例)。これにより,MFP100では,サーバ200に記憶されているメッセージと,自装置に記憶されているメッセージとの,いずれか一方が報知される。S103の後は,メッセージ報知処理を終了する。
【0045】
[メッセージ応答処理]
続いて,サーバ200で実行されるメッセージ応答処理について,
図5のフローチャートを参照しつつ説明する。メッセージ応答処理は,サーバ200が管理するMFPから出力されるメッセージ送信要求,すなわち上述したメッセージ報知処理のS121で出力されるメッセージ送信要求の受信を契機に,CPU51によって実行される。
【0046】
メッセージ応答処理では,先ず,
図3に示したグループDB540を参照し,メッセージ送信要求に付加されている装置情報に基づいて,メッセージ送信要求の送信元のMFPが属するグループを特定し,特定されたグループが利用するグループ別メッセージDBを選択する(S151)。すなわち,特定されたグループのレコードをグループDB540から抽出し,そのレコードの「リンク情報」に記憶されている情報に関連付けられたグループ別メッセージDBを選択する。
【0047】
次に,選択されたグループ別メッセージDBを参照し,メッセージ送信要求に付加されているエラーのIDに基づいて,そのエラーに対応するレコードを抽出し,さらにそのレコードからメッセージを取得する(S152)。
【0048】
次に,メッセージを取得できたか否かを判断する(S153)。メッセージが取得できない例としては,S151にてグループを特定できない場合や,グループを特定できたとしてもエラーに対応するレコードがグループ別メッセージDBに登録されておらず,S152にてメッセージを取得できない場合が該当する。
【0049】
メッセージを取得できた場合には(S153:YES),そのメッセージを応答に付加し,メッセージ送信要求の送信元のMFPに応答を出力する(S155)。一方,メッセージを取得できなかった場合には(S153:NO),未設定である旨の情報を応答に付加し,メッセージ送信要求の送信元のMFPに応答を出力する(S171)。S171では,応答にメッセージは付加されない。S155あるいはS171の後は,メッセージ応答処理を終了する。
【0050】
すなわち,第1の形態の画像処理システム900では,サーバ200において複数のMFPで共用するメッセージを記憶している。そして,MFP100では,エラーが発生した際,エラーの種類に応じてエラーメッセージの取得先を自装置とサーバ200とから選択している。そして,取得先がサーバ200であった場合には,サーバ200で記憶されるメッセージがMFP100によって報知される。この構成では,取得先がサーバ200となるエラーのメッセージは複数のMFPで利用される。そのため,MFP100で発生する可能性があるエラーに対応するメッセージのうち,取得先がサーバ200となるエラーのメッセージについては,サーバ200で記憶するメッセージを変更することで,サーバ200で管理するMFPの全てでメッセージ内容が変更されることになる。
【0051】
[第2の形態]
続いて,上述した画像処理システム900の動作の別形態について説明する。第2の形態では,サーバ200が,要求元のMFPでメッセージが報知可能か否かを判断し,さらに要求元のMFPの表示能力に応じたメッセージを選択して応答する。この点,MFP100が,サーバ200から取得したメッセージが報知可能か否かを判断する第1の形態と異なる。
【0052】
第2の形態のサーバ200には,
図6に示す構成を有するグループ別メッセージDB545が記憶されている。グループ別メッセージDB545では,エラーを識別する情報である「ID」の他,そのエラーに対応する日本語のメッセージを記憶する「日本語メッセージ」と,そのエラーに対応する英語のメッセージを記憶する「英語メッセージ」と,所定文字数以下のメッセージを記憶する「ショートメッセージ」と,画像ファイル名を記憶する「画像データ」と,の5つの項目を1つのレコードとし,エラーごとにレコードが登録されている。すなわち,第2の形態では,様々なMFPの能力に対応するため,サーバ200は,1つのエラーに対して複数の報知態様のメッセージを有している。
【0053】
[メッセージ報知処理]
始めに,MFP100で実行されるメッセージ報知処理について,
図7のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,第1の形態と同じ処理については同じ符号を付し,説明を省略する。
【0054】
第2の形態のメッセージ報知処理では,先ず,MFP100で発生したエラーがサーバへの問合せが必要なエラーか否かを判断する(S101)。サーバへの問合せが不要なエラーの場合は(S101:NO),第1の形態と同様に,自装置からメッセージを取得し(S102),そのメッセージをユーザに報知する(S103)。
【0055】
サーバへの問合せが必要なエラーの場合(S101:YES),サーバ200に対してメッセージ送信要求を出力する(S221)。S221では,メッセージ送信要求に,装置情報およびエラーのIDの他,報知能力の情報も付加する。例えば,自装置の操作パネル40に報知する場合には,表示可能言語,カラー対応,解像度,表示可能画像フォーマット,表示可能文字数等の,ディスプレイの表示能力が該当する。また,外部装置に報知する場合には,その外部装置の表示能力が該当する。
【0056】
S221の後は,サーバ200からの応答を受信したか否かを判断し(S122),サーバ200からの応答を受信していない場合には(S122:NO),受信するまで待機する。サーバ200からの応答を受信した場合には(S122:YES),その応答にメッセージが付加されているか否かを判断する(S123)。
【0057】
サーバ200からの応答にメッセージが付加されていない場合には(S123:NO),S102に移行し,自装置からメッセージを取得する。サーバ200からの応答にメッセージが付加されていた場合には(S123:YES),サーバ200から取得したメッセージをユーザに報知する(S103)。S103の後は,メッセージ報知処理を終了する。
【0058】
[メッセージ応答処理]
続いて,サーバ200で実行されるメッセージ応答処理について,
図8のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,第1の形態と同じ処理については同じ符号を付し,説明を省略する。
【0059】
第2の形態のメッセージ応答処理では,先ず,メッセージ送信要求の送信元のMFPが属するグループを特定し,さらに特定されたグループが利用するグループ別メッセージDBを選択する(S151)。そして,選択されたグループ別メッセージDBを参照し,メッセージ送信要求に付加されているエラーのIDおよび報知能力の情報に基づいて,メッセージ送信要求の送信元のMFPで報知可能なメッセージを取得する(S252)。
【0060】
S252では,例えば,ユーザへの報知を行う装置である報知装置に日本語の表示能力がある場合には,グループ別メッセージDB545から「日本語メッセージ」の内容を取得する。また,報知装置の表示可能文字数に制限があり,その表示可能文字数がグループ別メッセージDB545の「ショートメッセージ」で規定される文字数より多い場合には,グループ別メッセージDB545から「ショートメッセージ」の内容を取得する。また,報知装置が画像付きメッセージの表示が可能であれば,グループ別メッセージDB545の「画像データ」を参照し,さらに報知装置が「画像データ」に記憶されている画像ファイルのフォーマットの表示が可能であればその画像ファイルを取得する。なお,グループ別メッセージDB545の項目には優先順位が設定されており,複数の項目の報知が可能であれば,その優先順位に従って報知可能なメッセージが選択される。なお,報知装置で報知可能なメッセージがなければ,メッセージは取得されない。
【0061】
次に,メッセージを取得できたか否かを判断する(S153)。メッセージを取得できた場合には(S153:YES),そのメッセージを応答に付加し,メッセージ送信要求の送信元のMFPに応答を出力する(S155)。一方,メッセージを取得できなかった場合には(S153:NO),未設定である旨の情報を応答に付加し,メッセージ送信要求の送信元のMFPに応答を出力する(S171)。S155あるいはS171の後は,メッセージ応答処理を終了する。
【0062】
すなわち,第2の形態の画像処理システム900では,サーバ200が1つのエラーに対して複数の報知態様のメッセージを記憶している。そして,報知装置の報知能力に応じて適切なメッセージを選択している。この構成であっても,第1の形態と同様に,取得先がサーバ200となるエラーのメッセージは複数のMFPで利用される。また,複数の報知態様を記憶していることから,報知装置の能力に応じて好適なメッセージを選択でき,第1の形態と比較してメッセージを報知できる可能性が高い。
【0063】
なお,第2の形態では,サーバ200とMFP100とで報知能力を受け渡す際,MFP100がサーバ200に報知装置の報知能力を送信しているが,これに限るものではない。例えば,サーバ200が報知装置の種類ごとの報知能力を記憶するデータベースを備え,MFP100はメッセージ送信要求に報知装置の種類を識別する情報を付加し,サーバ200はその情報に応じて自装置のデータベースから報知能力を取得する構成であってもよい。
【0064】
また,第2の形態では,サーバ200が報知装置の報知能力に適したメッセージを応答しているため,MFP100においてメッセージが報知可能か否かの判断を行っていないが,第1の形態のS124のように報知可能か否かを判断し,報知不可であれば自装置からメッセージを取得する構成であってもよい。
【0065】
[画像処理システムのメッセージ設定動作]
続いて,サーバ200にてグループ別メッセージDBの内容に変更があった際の,画像処理システム900の動作について,サーバ200での動作と,MFP100での動作とに分けて説明する。
【0066】
[メッセージ設定処理]
始めに,サーバ200で実行されるメッセージ設定処理について,
図9のフローチャートを参照しつつ説明する。メッセージ設定処理は,グループ別メッセージDBの内容の変更を契機にCPU51によって実行される。
【0067】
メッセージ設定処理では,先ず,グループ別メッセージDBの変更態様を取得する(S301)。グループ別メッセージDBの変更には,レコードの追加,レコードの編集,レコードの削除があり,S301ではいずれか1つを取得する。
【0068】
S301の後は,取得した変更態様がレコードの追加か否かを判断する(S302)。レコードの追加の場合(S302:YES),すなわち新規のエラーに対応するメッセージが追加された場合には,そのことをその変更されたグループ別メッセージDBに対応するグループに属するMFP全てに通知する必要がある。そのため,該当のエラーが発生した場合に,サーバ200への問い合わせが必要となる設定を,後述の設定要求に付加する(S303)。
【0069】
また,レコードの追加でなければ(S302:NO),取得した変更態様がレコードの編集か否かを判断する(S321)。レコードの編集の場合(S321:YES),すなわち既存のエラーに対応するメッセージが修正された場合には,その変更をグループ別メッセージDBに対応するグループに属するMFP全てに反映させる方が好ましい。そのため,S303に移行し,サーバ200への問い合わせが必要となる設定を設定要求に付加する。
【0070】
また,レコードの編集でなければ(S321:NO),取得した変更態様がレコードの削除,すなわち既存のエラーに対応するメッセージの削除となる。レコードが削除されると,当該レコードに対応するエラーについてのメッセージ送信要求があったとしても,そのエラーに対応するメッセージが存在しない。そこで,削除されたレコードに対応するエラーについては,サーバ200への問い合わせが不要となる設定を,設定要求に付加する(S322)。
【0071】
S322あるいはS303の後は,変更されたグループ別メッセージDBに属するMFP全てに設定要求を送信する(S304)。設定要求には,サーバ200への問合せの要否とエラーのIDとが付加される。S304の後は,メッセージ設定処理を終了する。
【0072】
[設定変更処理]
次に,MFP100で実行される設定変更処理について,
図10のフローチャートを参照しつつ説明する。設定変更処理は,サーバ200から出力される設定要求,すなわち上述したメッセージ設定処理のS304で出力される設定要求,の受信を契機に,CPU31によって実行される。
【0073】
設定変更処理では,先ず,設定要求に付加されたエラーのIDに対応するレコードが,メッセージDB341にあるか否かを判断する(S351)。
【0074】
レコードが有る場合には(S351:YES),設定要求に付加された問合せの要否の設定が,サーバ200への問合せが必要となる設定か否かを判断する(S352)。問合せが必要となる設定であれば(S352:YES),メッセージDB341のうち設定要求に付加されたエラーのIDに対応するレコードの取得先を「サーバ」に設定する(S373,設定部の一例)。一方,問合せが必要となる設定でなく,問合せが不要となる設定であれば(S352:NO),設定要求に付加されたエラーのIDに対応するレコードの取得先を「自装置」に設定する(S353,設定部の一例)。S353あるいはS373の後は,設定変更処理を終了する。
【0075】
一方,レコードが無い場合には(S351:NO),設定要求に付加された問合せの要否の設定が,サーバ200への問合せが必要となる設定か否かを判断する(S371)。問合せが必要となる設定であれば(S371:YES),先ず,設定要求に付加されたIDに対応するエラーのレコードをメッセージDB341に追加する(S372)。そして,そのレコードの取得先を「サーバ」に設定する(S373)。一方,問合せが必要となる設定でなく,問合せが不要となる設定であれば(S371:NO),レコードを追加することなく,設定変更処理を終了する。
【0076】
すなわち,画像処理システム900では,サーバ200が記憶するメッセージに変更が有った場合に,その変更が各MFPに反映されるようにメッセージDB341の取得先を自動的に変更する。これにより,新規レコードの追加や既存レコードの編集や削除があっても,ユーザがMFP側のメッセージDB341の設定変更を行う必要がない。
【0077】
以上詳細に説明したように実施の形態の画像処理システム900では,エラーメッセージをMFP100とサーバ200との両方に記憶し,MFP100でのエラー発生時,エラーメッセージの取得先をMFP100とするのかサーバ200とするのかを選択している。これにより,サーバ200から取得されるメッセージについては,サーバ200によって管理される。そして,サーバ200で管理されるメッセージについては,サーバ200に記憶されているメッセージ内容を変更することで,サーバ200が複数のMFPを管理する場合であっても,それら全てのMFPでメッセージ内容の変更が完了することになる。従って,個々のMFPに対して変更作業を行う必要がなく,ユーザにとってメッセージの内容変更にかかる手間が少ない。
【0078】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,MFPは,画像処理の機能を備えるものであればよく,プリンタ,スキャナ,複写機,FAX装置であっても適用可能である。
【0079】
また,実施の形態では,メッセージ内容と取得先とを同じデータベース(メッセージDB341)に記憶しているが,それぞれ別々のデータベースに管理してもよい。
【0080】
また,実施の形態では,サーバ200が装置ごとにグループ化して管理しているが,これに限るものではない。例えば,ユーザごとにグループ化してもよい。ここでいうユーザは,例えば,個人であってもよいし,会社であってもよいし,会社内の部署であってもよい。この場合,MFP100はメッセージ送信要求にユーザを識別するユーザ情報を付加し,サーバ200はそのユーザ情報に基づいてどのグループ別メッセージDBを利用するかを判断する。
【0081】
また,実施の形態では,サーバ200がグループごとのグループ別メッセージDB541を備え,グループごとにメッセージを管理しているが,グループ管理は行わず,全MFPを共通のエラーメッセージデータベースで管理してもよい。
【0082】
また,実施の形態では,MFP100のメッセージDB341に「取得先」の項目を設け,MFP100がエラーメッセージの取得先を選択しているが,サーバ200がエラーメッセージの取得先を選択してもよい。この場合,例えば,サーバ200のグループ別メッセージDB541,542,543にそれぞれ「取得先」の項目を設ける。そして,MFP100でエラーが発生した際には,S101を行うことなくS121を実行すればよい。
【0083】
また,実施の形態では,MFP100のメッセージDB341の「取得先」の項目に,自装置固定を意味する情報(実施の形態では「N/A」。
図2参照)を記憶することが可能であるが,サーバ固定を意味する情報を記憶してもよい。この場合も自装置固定の場合と同様に,そのサーバ固定を意味する情報が記憶されているエラーについては取得先の変更を禁止し,メッセージの取得先の選択を不要にする。
【0084】
また,実施の形態に開示されている処理は,単一のCPU,複数のCPU,ASICなどのハードウェア,またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体,または方法等の種々の態様で実現することができる。